JPH1098867A - 永久磁石界磁型リターダ - Google Patents

永久磁石界磁型リターダ

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JPH1098867A
JPH1098867A JP27306396A JP27306396A JPH1098867A JP H1098867 A JPH1098867 A JP H1098867A JP 27306396 A JP27306396 A JP 27306396A JP 27306396 A JP27306396 A JP 27306396A JP H1098867 A JPH1098867 A JP H1098867A
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JP
Japan
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permanent magnet
pole piece
magnetic
retarder
ferromagnetic
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JP27306396A
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English (en)
Inventor
Masahiro Mita
正裕 三田
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Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動車などの制動用に適用する永久磁石界磁
型リターダにおいて、ポールピース部材の信頼性を高く
するとともに、部品点数が削減されてポールピース部材
の製造が容易かつ安価となるようにした。 【解決手段】 回転駆動軸に制動力を付与する回転ドラ
ム62と、固定側の永久磁石1との間にポールピース部
材11が配置され、前記ポールピース部材11が強磁性
部分と非磁性部分とが共存する素材を用いて形成され、
ポールピース部材11の強磁性部分に対して一致する位
置と非一致位置とに永久磁石1が移動されるようになっ
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車や電
車等に用いられる制動用の永久磁石界磁型リターダに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車や電車等に用いられる
制動用のリターダとして電磁式リターダが知られてい
る。しかし、この電磁式リターダは本体重量が数百kg
にもなり、さらに周辺部品も含めると全体の重量が非常
に重くかつ大型化してしまうという問題がある。また、
電磁式リターダのコイルに流す電流を供給するバッテリ
ーの負担もまた問題である。この電磁式リターダの欠点
を克服するものとして、下記の永久磁石界磁型リターダ
が知られている。
【0003】図6および図7に従来の永久磁石界磁型リ
ターダを示す。図6は従来の永久磁石界磁型リターダの
一部破砕された要部斜視図であり、1はアークセグメン
ト状の永久磁石で、図示のように平行着磁されて、帯状
リング形のヨーク12上に並設配置されるとともに、そ
のヨーク12上の外周面円周方向に非磁性体製の固定部
材4を挟んで配置固定されている。5は固定部材4をヨ
ーク12へ締結するネジ(例えば、非磁性体製。)であ
る。ヨーク12の下面はケース60に支持固定され、こ
のケース60はその永久磁石界磁型リターダの固定側
(図示省略)に接続支持されている。また、上記の永久
磁石1および固定部材4に対向してポールピース部材7
が配置されている。ポールピース部材7は非磁性体(例
えば、SUS304等。)で形成されたポールピース保
持部30と、そのポールピース保持部30に貼着等によ
り組み込まれた強磁性体製のポールピース20(例え
ば、SS400製等。)とからなっている。ポールピー
ス保持部30の一端は延ばされて突出部30aを形成し
ている。ポールピース部材7と上記の永久磁石1および
固定部材4との間には非常に狭い隙間(例えば、半径方
向の間隔が1mm以下のエアギャップ。)が設けられ
て、永久磁石1の直上にその隙間を介してポールピース
20が配置可能に構成されている。このため、ヨーク1
2の外周面上に配置されて連結された永久磁石1と保持
部材4とヨーク12とを適宜の手段を用いてポールピー
ス20に対して矢印ON/OFF方向にケース60上面
を移動させることで、ポールピース20の外周側へ通す
永久磁石1からの磁束量を自在に調整できる。したがっ
て、ポールピース部材7の外周側に非常に狭い隙間(例
えば、半径方向の間隔が1mm以下のエアギャップ。)
を介して配置された図示省略の導電性でかつ非磁性の回
転体(回転ドラム)に、その永久磁石1からの形成磁場
によってその回転体の回転とともに渦電流を発生させて
その回転体が接続された回転駆動軸(図示省略)に制動
力(減速力)を付与するようになっている。
【0004】図7は従来の別の永久磁石界磁型リターダ
を示す一部破砕された要部斜視図である。図7におい
て、1はアークセグメント状の永久磁石で、図示のよう
に平行着磁されて、帯状リング形のヨーク22上の外周
面円周方向に非磁性体製の固定部材4を挟んで複数の永
久磁石1が配置固定されている。5は固定部材4をヨー
ク22へ締結するネジ(例えば、非磁性体製。)であ
る。ヨーク22の下面はケース70に支持固定され、こ
のケース70はその永久磁石界磁型リターダの固定側
(図示省略)に接続支持されている。また、上記の永久
磁石1および固定部材4に対向してポールピース部材1
7が配置されている。ポールピース部材17は非磁性体
(例えば、Al合金等。)で形成されたポールピース保
持部50と、そのポールピース保持部50に貼着等によ
り組み込まれた強磁性体製のポールピース40(例え
ば、SS41製等。)とからなっている。ポールピース
保持部50の一端は延ばされて突出部50aを形成して
いる。ポールピース部材17と上記の永久磁石1および
固定部材4との間には非常に狭い隙間(例えば、半径方
向の間隔が1mm以下のエアギャップ。)が設けられ
て、永久磁石1の直上にその隙間を介してポールピース
40が配置可能に構成されている。15は連結された永
久磁石4と固定部材4とヨーク22とをケース70の上
面に沿って矢印で示すON/OFF方向へスライドさせ
るためのスペースである。そして、適宜の手段でこの連
結された永久磁石1と保持部材4とヨーク22とをポー
ルピース40に対して矢印ON/OFF方向に移動させ
ることで、ポールピース40の外周側へ通す永久磁石1
からの磁束量を自在に調整できる。したがって、ポール
ピース部材17の外周側に非常に狭い隙間(例えば、半
径方向の間隔が1mm以下のエアギャップ。)を介して
配置された図示省略の導電性でかつ非磁性の回転体(回
転ドラム)に、その永久磁石1からの形成磁場によって
その回転体の回転とともに渦電流を発生させてその回転
体が接続された回転駆動軸(図示省略)に制動力(減速
力)を付与するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の図6および図7のものでは、強磁性のポールピース
が非磁性のポールピース保持部に組み込まれているた
め、その組み込み部分の信頼性が低いとともに、部品点
数が増え、同時にその組み込み作業が繁雑化して多大の
組み込み工数を要する等の問題がある。さらに、ポール
ピース保持部には突出部などの形状複雑部が生じて機械
加工コストが増大し易い。また、ポールピースを低融点
の金属材料(例えば、Al合金等。)で鋳ぐるむ構成と
した場合には、鋳ぐるみにより製造コストが高価となる
とともに、ポールピースと永久磁石との間に上記隙間に
加えてさらに非磁性の鋳ぐるみ金属が存在することにな
る。このため、永久磁石とポールピースとの距離が増大
することになり、漏洩磁束が増えて永久磁石から発した
磁力線を効率良くポールピースの外周側に配置した回転
体に通すことができ難くなる。すなわち、この場合には
永久磁石界磁型リターダとしての制動力(減速力)を十
分に得難いという問題がある。
【0006】したがって、本発明の課題は、ポールピー
ス部材の信頼性が高いとともに、部品点数が削減されて
ポールピース部材の製造が容易かつ安価である永久磁石
界磁型リターダを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記従来の課題を解決し
た本発明の永久磁石界磁型リターダは、永久磁石と、そ
の永久磁石の作る磁場により渦電流を発生させて回転駆
動軸に制動力を付与する回転体と、前記の永久磁石と回
転体との間に配置されるポールピースと、前記ポールピ
ースを保持する非磁性部分とを備えた永久磁石界磁型リ
ターダであって、前記のポールピースと非磁性部分とが
強磁性部分と非磁性部分とが共存する素材を用いて形成
されるとともに、その強磁性部分がポールピース位置に
配置されることを特徴とする。本発明により、ポールピ
ース部材をひとつながりの部材で形成できるので、従来
のようなポールピース組み込みによる接合部がなくな
り、機械的強度特性に優れたポールピース部材とするこ
とができる。また、部品点数が削減できると同時に、組
み込み作業が不要となるので、安価な永久磁石界磁型リ
ターダを製造する上で非常に好都合である。
【0008】また、本発明の永久磁石界磁型リターダ
は、永久磁石と、その永久磁石の作る磁場により渦電流
を発生させて回転駆動軸に制動力を付与する回転体と、
前記の永久磁石と回転体との間に配置されるポールピー
スと、前記ポールピースを保持する非磁性部分とを備え
た永久磁石界磁型リターダであって、前記のポールピー
スと非磁性部分とが強磁性部分と非磁性部分とが共存す
る素材を用いて形成されるとともに、その強磁性部分が
ポールピース位置に配置され、前記回転体の回転方向に
沿って前記永久磁石が移動することでON/OFF切り
換えされることを特徴とする。この構成により、非常に
実用性に優れた永久磁石界磁型リターダを製造すること
ができる。
【0009】また、本発明の永久磁石界磁型リターダ
は、永久磁石と、その永久磁石の作る磁場により渦電流
を発生させて回転駆動軸に制動力を付与する回転体と、
前記の永久磁石と回転体との間に配置されるポールピー
スと、前記ポールピースを保持する非磁性部分とを備え
た永久磁石界磁型リターダであって、前記のポールピー
スと非磁性部分とが強磁性部分と非磁性部分とが共存す
る素材を用いて形成されるとともに、その強磁性部分が
ポールピース位置に配置され、前記回転体の回転軸方向
に沿って前記永久磁石が移動することでON/OFF切
り換えされることを特徴とする。この構成によっても、
非常に実用性に優れた永久磁石界磁型リターダを製造す
ることができる。
【0010】上記本発明では、ポールピース部材の非磁
性部分は加熱変成部で構成されている。この加熱変成部
は、後述の局部加熱冷却処理または局部加熱溶融凝固処
理によって非磁性化することが可能な素材において、そ
の素材のオーステナイト変態温度以上でかつ融点未満の
温度に加熱後冷却して非磁性化した部分(以後、加熱冷
却部と呼ぶ。)および/またはその素材の融点以上の温
度に加熱溶融後冷却凝固させて非磁性化した部分(以
後、溶融凝固部と呼ぶ。)をいう。
【0011】また、上記本発明では、ポールピース部材
の非磁性部分が30体積%以上の溶融凝固組織を含有す
ることで、例えばー40〜ー60℃という極低温度にさ
らされてもその非磁性部分が強磁性に戻ることが抑制さ
れて、永久磁石界磁型リターダとしての耐極低温度特性
を良好に維持することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面により本発明を説明す
るが、下記態様により本発明が限定されるものではな
い。
【0013】図1は本発明の永久磁石界磁型リターダの
回転軸方向の要部断面図である。図1において、永久磁
石1が強磁性ヨーク2上に貼着配置されるとともに、そ
の強磁性ヨーク2の下面側はケース6に支持固定されて
いる。このケース6は本発明のこの永久磁石界磁型リタ
ーダの固定側(図示省略)に接続支持されている。ま
た、導電性の非磁性金属材料(例えば、Al合金等。)
で形成された回転体(回転ドラム)62の中心軸孔が自
動車の回転駆動軸であるプロペラシャフト61に嵌着固
定されるとともに、回転体62は渦電流発生部62aお
よび放熱フィン部62bとを備えている。また、永久磁
石1と回転体62との間にはエアギャップ3を介してポ
ールピース部材11が配置されている。ポールピース部
材11はこの永久磁石界磁型リターダの固定側(図示省
略)に接続支持されている。そして、その永久磁石1の
作る磁場によって回転体62の回転とともに62a部分
に渦電流を発生させて、永久磁石界磁型リターダとして
の強力な制動力を発生するようになっている。
【0014】図1で、本発明の永久磁石界磁型リターダ
のON/OFF切り換えの概念を説明すると、永久磁石
1の直上にエアギャップ3を介してポールピース部材1
1のポールピースが配置されて両者が最近接位置で対向
している状態でリターダON、永久磁石1とポールピー
スとが十分に離れた状態でリターダOFFされるように
構成されている。また、図1で、簡略的にポールピース
部材11のポールピースおよび永久磁石1の回転軸方向
の長さを(l)とした場合、回転軸方向すなわち図1紙
面の左方向に寸法(l)だけ永久磁石1およびヨーク2
がケース6上面に沿って一体に移動することで、このリ
ターダをOFFすることができる。便宜的に、この場合
のリターダOFF状態における永久磁石1とヨーク2の
位置を点線で示した。また、図1において、回転軸を中
心として、ケース6の上面に沿って永久磁石1およびヨ
ーク2を回転軸まわりに回転させて、永久磁石1とポー
ルピースとの距離を調整することでも、このリターダの
ON/OFF切り換えを行うことができる。
【0015】図2は本発明の永久磁石界磁型リターダの
具体的態様の一例を示す一部破砕された要部斜視図であ
る。図2では、アークセグメント状の複数の永久磁石1
(例えば、日立金属(株)製のNd−Fe−B系異方性
焼結磁石HS−37BH等)が図示のように平行着磁さ
れて、帯状リング形の強磁性ヨーク2(例えば、SS4
00製。)上に並設固定されるとともに、そのヨーク2
上の外周面円周方向に非磁性体製の固定部材4を挟んで
複数の永久磁石1が配置固定されている。5は固定部材
4をヨーク2へ締結するネジ(例えば、非磁性体製。)
である。ヨーク2の下面はケース6に支持固定され、こ
のケース6は上記の通りこの永久磁石界磁型リターダの
固定側(図示省略)に接続支持されている。また、上記
の永久磁石1および固定部材4に対向してポールピース
部材11が配置されている。ポールピース部材11は本
発明の加熱変成処理によって強磁性部分と非磁性部分と
が共存可能な素材(例えば、フェライト系ステンレス
鋼、マルテンサイトステンレス鋼、高マンガン鋼等)を
用いて後述の局部加熱冷却手段または局部加熱溶融凝固
手段および適宜の機械加工を経て製作することができ
る。このポールピース部材11はひとつながりの部品
で、かつポールピース11a(強磁性母相部)以外の部
分は非磁性部11bとなっている。また、ポールピース
部材11と永久磁石1および固定部材4との間には非常
に狭い隙間(例えば、半径方向の間隔が1mm以下のエ
アギャップ。)が設けられて、永久磁石1の直上にその
隙間を介してポールピース11が配置可能に構成されて
いる。このため、ヨーク2の外周面上に配置されて連結
された永久磁石1と保持部材4とヨーク2とを適宜の手
段(例えばエアシリンダ等。)を用いてポールピース1
1に対して矢印ON/OFF方向にケース6上面に沿っ
て移動させることで、ポールピース11の外周側へ通す
永久磁石1からの磁束量を自在に調整できる。したがっ
て、ポールピース部材11の外周側に非常に狭い隙間
(例えば、半径方向の間隔が1mm以下のエアギャッ
プ。)を介して配置された図示省略の導電性でかつ非磁
性の回転体(回転ドラム)に、その永久磁石1からの形
成磁場によってその回転体の回転とともに渦電流を発生
させてその回転体に接続された回転駆動軸(図示省略)
に強力な制動力を発生させるようになっている。
【0016】(実施例1)上記図2のポールピース部材
11の形成素材として、重量%で0.6%C−13%C
r−残Feおよび不可避不純物からなる組成のマルテン
サイト系ステンレス鋼素材を用いて、この素材全体を優
れた強磁性特性とするために適宜の磁気焼鈍を行った後
のこの素材全体は、室温20℃で図8のB−H特性に示
されるように最大飽和磁束密度Bs=1.4T、保磁力
Hc=10 Oeという優れた強磁性特性となり、上記
図2の永久磁石界磁型リターダのポールピース11aと
して十分な強磁性特性を示した。次に、上記図2のポー
ルピース部材11の略寸法形状に機械加工した後、上記
非磁性部11bに対応する部分を、CO2レーザを用い
て、この素材のマルテンサイト変態温度以上でかつ融点
未満(例えば、1200℃。)に局部加熱後冷却して、
非磁性部11bとなるべきその局部をマルテンサイト母
相組織から非磁性のオーステナイト組織に変態させた。
その後、必要に応じて仕上げ加工を行なってポールピー
ス部材11の最終寸法に仕上げた。ここで、図8の強磁
性特性はこのポールピース11aの磁気特性である。ま
た上記の局部加熱冷却処理によって非磁性化された加熱
冷却部分すなわち図2の非磁性部11bの室温20℃に
おけるB−Hカーブを測定したところ、図9の結果が得
られた。図9より、この非磁性部11bの室温20℃で
の比透磁率μsは約1.1でありμs≦2という非磁性
特性が確保できていた。このμs=1.1という値はほ
ぼ空気と同等の非常に優れた非磁性特性である。
【0017】次に、上記図2の永久磁石界磁型リターダ
について、その回転駆動軸に垂直な断面で切断した要部
断面図の図5を用いて、上記図2の本発明のリターダに
おけるON/OFF切り換えについて説明する。ここ
で、図5において、上記図1、図2と同一の構成部分に
は同一の符号を付している。また、図5ではポールピー
ス11aの外周側長さ(m)と、永久磁石1の外周側長
さ(m’)と、非磁性部11bの外周側長さ(n)と、
固定部材4の外周部長さ(n’)とがm>n、m’>
n’になっているとともに、ポールピース11aと永久
磁石1とは同一中心角度θmm’を有するように、また
非磁性部11bと固定部材4とは同一中心角度θnn’
を有するように配置されている。そして、図5(a)が
リターダONの状態であり、図5(b)がリターダOF
Fの状態を示している。図5(a)では永久磁石1の直
上にポールピース11aが配置されて、永久磁石1から
の磁力線が順次エアギャップ7、ポールピース11a、
エアギャップ8、回転ドラム62の発熱部分62a、エ
アギャップ8、ポールピース11a、エアギャップ7を
経由して永久磁石1に戻る閉ループΦを形成している。
このように、永久磁石1の作る磁場で回転ドラム62の
回転とともにその62a部分が渦電流により加熱されて
発熱し、同時にこのリターダの回転駆動軸に強い制動力
を発生させる。
【0018】一方、図5(b)では、永久磁石1の直上
にポールピース部材11の非磁性部11bが配置され、
かつポールピース11a部分は近接する永久磁石1のN
極とS極とをショートする形となっているので、永久磁
石1から発した磁力線は回転ドラムの62a部分まで到
達せず、短絡したΦ’ループになっている。この状態で
はリターダには制動力が発生せず、OFF状態となる。
【0019】次に、本発明のリターダの別の態様を図3
の要部斜視図に示す。図3において、上記図2と同一の
構成部分には同一の符号を付している。図3では、永久
磁石1と固定部材4とヨーク2との連結体がケース6上
面に沿って矢印のON/OFF方向に永久磁石1の幅寸
法(x)分ずらされて、スライド用スペース10側に移
動されると、永久磁石1とポールピース部材11’の非
磁性部11b’とが最近接位置に配置されて、このとき
永久磁石1とポールピース11’とは十分に離されるの
で、ポールピース部材11’の外周側にエアギャップを
介して配置される回転体(図示省略)まで永久磁石1か
らの磁場が到達し難い。この状態では図3のリターダは
OFFされるようになっている。
【0020】(実施例2)上記図3におけるポールピー
ス部材11’の形成素材として、上記図2と同様のマル
テンサイト系ステンレス鋼素材を用いて、上記と同様の
磁気焼鈍を行った後、上記図3のポールピース部材1
1’の略寸法形状に機械加工し、上記非磁性部11b’
に対応する部分を、CO2レーザを用いて、この素材の
融点直上10℃の温度で局部加熱溶融後冷却凝固させ
て、非磁性部11b’に該当する部分をマルテンサイト
母相組織から非磁性のオーステナイト組織に変態させ
た。その後、必要に応じて軽度の仕上げ加工を行い、ポ
ールピース部材11’の寸法形状まで仕上げた。この非
磁性部11b’の組織構成は溶融凝固組織が70体積%
と、マルテンサイト変態温度以上でかつ未溶融の加熱条
件で変成された非磁性組織(加熱冷却部)が30体積%
となっていた。この実施例2の強磁性部(ポールピー
ス)11a’および非磁性部11b’の室温20℃にお
けるB−Hカーブを測定したところ、ポールピース11
a’は上記図8と同様の強磁性特性であり、非磁性部1
1b’は上記図9と同様の良好な非磁性特性になってい
た。
【0021】次に、実施例1および実施例2の非磁性部
11b,11b’に対して極低温度域においてその非磁
性部の安定性を評価した結果について説明する。まず、
実施例1および実施例2のポールピース部材を、各々、
ドライアイスを加えることによって−10℃〜−60℃
に調整した液体メタノール冷媒中に浸し、その非磁性部
11b,11b’のオーステナイト相がフェライト相に
変態する温度を調べた。冷媒に浸した時間は30分であ
り、その後室温20℃に戻し、X線回折で結晶構造を同
定した。結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】表1から、局部未溶融加熱処理により非磁
性化された実施例1の非磁性部11b(加熱冷却部)は
−40℃までその非磁性部のオーステナイト相が相変態
することなく安定に存在していた。また、実施例2の非
磁性部11b’(溶融凝固部)は−60℃までその非磁
性部のオーステナイト相が安定に存在していた。したが
って、実施例1の非磁性部11bを有するポールピース
部材11を配置した本発明のリターダでは自動車の普通
使用(−40℃まで)を満足することができる。また、
実施例2の非磁性部11b’を有するポールピース部材
11’を配置した本発明のリターダでは自動車の特殊使
用(−60℃まで)を満足することができる。この極低
温度域で非磁性部を安定化した複合磁性部材を用いた永
久磁石界磁型リターダは本発明者によって初めて見出さ
れたものである。なお、上記実施例2では、非磁性部に
含有される溶融凝固部の含有割合が70体積%であった
が、その非磁性部として平均30体積%以上の溶融凝固
部が含有されれば、極低温度域におけるポールピース部
材の非磁性部の上記安定化作用を奏することが可能であ
る。
【0024】上記溶融凝固部の存在によって達成された
極低温度域でのポールピース部材の非磁性部の良好な安
定性は、本発明者のミクロ解析により、次のように結論
付けられている。上記溶融凝固部11b’および未溶融
の加熱冷却部11bのミクロ組織を電子顕微鏡により観
察した結果を図10の断面図に示した。図10(a)に
示す上記非磁性部11b’の溶融凝固部では析出してい
る炭化物の数がわずかであるが、図10(b)に示す上
記非磁性部11bの加熱冷却部(未溶融部)では析出し
ている炭化物粒子数が非常に多い。図10(b)に比べ
て図10(a)の析出炭化物粒子の総占有面積はほぼ1
/40程度に減少していることがわかった。すなわち、
未溶融加熱処理によって局部を非磁性化するだけではそ
の局部に析出している炭化物が母相に固溶できないが、
加熱溶融凝固処理を行うと母相の局部に析出していた炭
化物が母相に固溶し、その母相部分の含有する有効炭素
量が増加したことでその局部に生成したオーステナイト
相の存在安定性が高められて、上記加熱溶融凝固処理に
よって上記非磁性部11b’を構成するオーステナイト
相がー60℃までの極低温度域で安定な状態が実現され
たものと考えられる。
【0025】次に、図4は本発明のリターダにおける永
久磁石1の固定手段の一態様を示す斜視図である。図4
で、永久磁石1はその両側に段差部18を有し、この段
差部18,18上に固定部材4の両側突出部が係合され
て図示省略のヨーク側にネジ5により締結されている。
【0026】本発明による上記態様では、自動車に装着
される永久磁石界磁型リターダについて記載したが、他
の車両(例えば、電車等。)にも装着可能であることは
勿論である。
【0027】
【発明の効果】本発明は以上記述のような構成及び作用
であるから、下記の効果を奏し得る。 (1)ポールピース部材の信頼性が高いリターダを提供
できる。 (2)ポールピース部材の部品点数を大幅に削減できる
とともに、簡単形状のためポールピース製作作業が単純
化されてポールピース部材の製作工数が削減でき、安価
なリターダの製作が可能である。 (3)リターダの小型、軽量化が図れる。 (4)複合磁性部材を用いたポールピース部材の非磁性
部分の極低温度域での安定性が大幅に改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリターダの基本構成を示す要部断面図
である。
【図2】本発明のリターダの一態様を示す要部斜視図で
ある。
【図3】本発明のリターダの他の態様を示す要部斜視図
である。
【図4】本発明のリターダにおける永久磁石の固定に関
わる一態様を示す斜視図である。
【図5】図2のリターダのON/OFF切り換えを説明
する図である。
【図6】従来のリターダを示す要部斜視図である。
【図7】従来のリターダを示す要部斜視図である。
【図8】本発明のリターダに装着されるポールピースの
B−Hカーブを示す特性図である。
【図9】本発明のリターダに装着されるポールピース部
材の非磁性部のB−Hカーブを示す特性図である。
【図10】本発明のポールピース部材における非磁性部
に関わる、溶融凝固部(a)と、加熱冷却部(b)のミ
クロ組織を示す金属組織写真である。
【符号の説明】
1 永久磁石 2,12,22 ヨーク 3,7,8 エアギャップ 4 固定部材 5 ネジ 6,60,70 ケース、 11,11’,17 ポールピース部材 10,15 スペース、 11a,11a’,20,40 ポールピース 11b,11b’非磁性部 30,50 ポールピース保持部 30a,50a 突出部 61 プロペラシャフト 62 回転ドラム

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 永久磁石と、その永久磁石の作る磁場に
    より渦電流を発生させて回転駆動軸に制動力を付与する
    回転体と、前記の永久磁石と回転体との間に配置される
    ポールピースと、前記ポールピースを保持する非磁性部
    分とを備えた永久磁石界磁型リターダであって、 前記のポールピースと非磁性部分とが強磁性部分と非磁
    性部分とが共存する素材を用いて形成されるとともに、
    その強磁性部分がポールピース位置に配置されることを
    特徴とする永久磁石界磁型リターダ。
  2. 【請求項2】 永久磁石と、その永久磁石の作る磁場に
    より渦電流を発生させて回転駆動軸に制動力を付与する
    回転体と、前記の永久磁石と回転体との間に配置される
    ポールピースと、前記ポールピースを保持する非磁性部
    分とを備えた永久磁石界磁型リターダであって、 前記のポールピースと非磁性部分とが強磁性部分と非磁
    性部分とが共存する素材を用いて形成されるとともに、
    その強磁性部分がポールピース位置に配置され、前記回
    転体の回転方向に沿って前記永久磁石が移動することで
    ON/OFF切り換えされることを特徴とする永久磁石
    界磁型リターダ。
  3. 【請求項3】 永久磁石と、その永久磁石の作る磁場に
    より渦電流を発生させて回転駆動軸に制動力を付与する
    回転体と、前記の永久磁石と回転体との間に配置される
    ポールピースと、前記ポールピースを保持する非磁性部
    分とを備えた永久磁石界磁型リターダであって、 前記のポールピースと非磁性部分とが強磁性部分と非磁
    性部分とが共存する素材を用いて形成されるとともに、
    その強磁性部分がポールピース位置に配置され、前記回
    転軸方向に沿って前記永久磁石が移動することでON/
    OFF切り換えされることを特徴とする永久磁石界磁型
    リターダ。
  4. 【請求項4】 その非磁性部分が加熱変成部であること
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の永久磁
    石界磁型リターダ。
  5. 【請求項5】 その非磁性部分が30体積%以上の溶融
    凝固組織を含有することを特徴とする請求項1乃至3の
    いずれかに永久磁石界磁型リターダ。
JP27306396A 1996-09-24 1996-09-24 永久磁石界磁型リターダ Pending JPH1098867A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1005144A1 (en) * 1997-06-12 2000-05-31 Isuzu Motors Limited Permanent magnet type eddy current reduction apparatus
EP1073183A2 (en) * 1999-07-29 2001-01-31 Isuzu Motors Limited Eddy-current deceleration apparatus
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