JPH1098271A - 層間絶縁剤および多層プリント配線板 - Google Patents

層間絶縁剤および多層プリント配線板

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JPH1098271A
JPH1098271A JP9115139A JP11513997A JPH1098271A JP H1098271 A JPH1098271 A JP H1098271A JP 9115139 A JP9115139 A JP 9115139A JP 11513997 A JP11513997 A JP 11513997A JP H1098271 A JPH1098271 A JP H1098271A
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JP
Japan
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resin
layer
insulating layer
wiring board
printed wiring
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Application number
JP9115139A
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English (en)
Inventor
Ayumi Suzuki
歩 鈴木
Masahito Kawade
雅人 川出
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Ibiden Co Ltd
Original Assignee
Ibiden Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 現像残りに起因した導通不良を招くことなく
効率的にバイアホールを形成できる、信頼性に優れたプ
リント配線板を提供するのに好適な樹脂絶縁層の構成と
層間絶縁剤を提案すること。 【解決手段】 上層と下層の導体回路が、樹脂絶縁層に
よって電気的に絶縁され、この樹脂絶縁層に設けたバイ
アホール7を介して電気的に接続されてなる多層プリン
ト配線板において、前記樹脂絶縁層を、上層を無電解め
っき用接着剤を硬化して得られる接着剤層2bで構成し、
下層を、硬化処理によって酸あるいは酸化剤に難溶性と
なる耐熱性樹脂中に、酸あるいは酸化剤に可溶性の平均
粒径 0.1〜2.0 μmの硬化処理された耐熱性樹脂粒子18
を分散して含有してなる層間絶縁剤を硬化して得られる
絶縁剤層2aで構成した、複合層とすることを特徴とする
多層プリント配線板である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、層間絶縁剤および
多層プリント配線板に関し、特に、ピール強度や電気特
性などの信頼性に優れたプリント配線板を提供するのに
好適な樹脂絶縁層の構成に関する提案である。
【0002】
【従来の技術】多層プリント配線板には、導体回路と樹
脂絶縁層を交互にビルドアップし、バイアホールなどに
よって内層回路と外層回路を接続、導通させてなるビル
ドアップ多層配線板がある。このビルドアップ多層配線
板は、一般に、サブトラクティブ法にて基板に最も近い
位置に導体回路の層を形成し、この導体回路層の上にア
ディティブ法にて複数の導体回路層を積層する方法によ
り製造されている。
【0003】このうち上記アディティブ法は、ガラスエ
ポキシ等の基板上に無電解めっき用の接着剤を塗布する
ことにより樹脂絶縁層を形成し、次いでこの樹脂絶縁層
の表面を粗化した後、その粗化面にめっきレジストを形
成し、その後、無電解めっきによって導体回路となる金
属を付着させる方法である。
【0004】この方法によると、粗化された樹脂絶縁層
上に導体回路をめっき等によって付着させることから、
両者間には優れた接合性が確保でき、導体回路が樹脂絶
縁層から剥離しにくいプリント配線板を作製することが
できる。
【0005】ところで、上述したアディティブ法におい
て不可欠である樹脂絶縁層は、一般には単に1種類の樹
脂組成物を被成することによって形成されている。しか
し、このような樹脂絶縁層では、近年のように、プリン
ト配線板が色々な分野で使われるようになると、全ての
分野において優れた用途適性を示すように構成すること
は極めて困難であった。特に最近では、電子部品の高性
能化、高密度化によってプリント配線板を構成する樹脂
絶縁層が薄くなる傾向にあり、そのことが導体層と他の
導体層との絶縁性の確保を困難にし、これがひいては、
多層プリント配線板の信頼性低下の原因となっていた。
【0006】また一方で、上記樹脂絶縁層は、ピール強
度確保のために例えば、酸や酸化剤を用いて、その酸化
剤等に難溶性の耐熱性樹脂中に分散している前記酸化剤
等に可溶性の耐熱性樹脂粒子を溶解除去することによっ
て、その表面が粗化される。しかし、溶解除去する耐熱
性樹脂粒子が凝集等を起こしていると、粗化層の深さが
一定とならず、特に樹脂絶縁層が薄い場合には、この粗
化層の深さが樹脂絶縁層の厚さに達することもあり、樹
脂絶縁層本来の要求特性である層間絶縁性の低下が著し
い。
【0007】これに対し、発明者らは先に、樹脂絶縁層
を、導体との高い密着強度を得るための無電解めっき用
接着剤の層と、優れた層間絶縁性を得るための絶縁剤層
との少なくとも2層からなる複合膜で構成することが有
効であることを見出し、かかる複合膜で構成した樹脂絶
縁層を有するプリント配線板を提案した(特開平7−13
9502号公報参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この提案にかかる複合
膜で構成した樹脂絶縁層は、樹脂絶縁層の厚さが薄くて
も、導体(めっき膜)のピール強度を低下させることな
く優れた層間絶縁性を示す。しかしながら、この樹脂絶
縁層は、バイアホール用開口を形成する上で、以下に示
すような欠点があった。
【0009】.開口径が 100μm以下である小径のバ
イアホール用開口を露光,現像処理により形成しようと
すると、その開口底部に現像残りが発生しやすいという
欠点があった。かかる欠点は、回路基板上に、絶縁剤層
と接着剤層を形成してから、これらの層を同時に露光、
現像処理してバイアホール用開口を形成する方法におい
て顕著である。
【0010】.また、樹脂絶縁層を現像処理してバイ
アホール用開口を形成する場合、基板を水平搬送させな
がらスプレー現像すると、基板上側の樹脂絶縁層に形成
するバイアホール用開口には現像液が溜まってしまう。
その結果、基板上側の樹脂絶縁層は、現像液の浸透によ
って膨潤し、下層の導体パッドから剥離してしまうとい
う問題があった。即ち、基板を水平搬送させながらスプ
レー現像する方法では、基板の表裏面で現像状態が異な
るという現象が見られた。これに対し、基板を立てた状
態(基板の法線ベクトルと重力のベクトルが垂直になる
ような状態である)にして、基板の両面に現像液を吹き
つけてスプレー現像する方法があり、この方法によれ
ば、バイアホール用開口には現像液が溜まらず、上記問
題を解決することができる。しかしながら、かかる方法
は、スプレーの噴射具合によってはその開口底部に現像
残りが発生しやすいという欠点があった。
【0011】このように、上記提案にかかる複合膜で構
成した樹脂絶縁層は、バイアホール用開口を形成すると
その開口底部に現像残りが発生しやすく、このままの状
態で導体を形成しても導通不良が発生するという問題が
生じる。
【0012】本発明は、従来技術が抱える上記問題を解
消するためになされたものであり、その主たる目的は、
現像残りに起因した導通不良を招くことなく効率的にバ
イアホールを形成できる、信頼性に優れたプリント配線
板を提供するのに好適な樹脂絶縁層の構成を提案するこ
とにある。本発明の他の目的は、複合膜で構成した上記
樹脂絶縁層の絶縁剤層として好適に用いられる層間絶縁
剤を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記目的の
実現に向け鋭意研究を行った。その結果、以下に示す内
容を要旨構成とする発明を完成するに至った。すなわ
ち、本発明は、 (1) 硬化処理によって酸あるいは酸化剤に難溶性となる
未硬化の耐熱性樹脂中に、酸あるいは酸化剤に可溶性の
平均粒径 0.1〜2.0 μmの硬化処理された耐熱性樹脂粒
子を分散して含むことを特徴とする層間絶縁剤である。 (2) 上層と下層の導体回路が、樹脂絶縁層によって電気
的に絶縁され、この樹脂絶縁層に設けたバイアホールを
介して電気的に接続されてなる多層プリント配線板にお
いて、前記樹脂絶縁層を、上層を無電解めっき用接着剤
を硬化してなる接着剤層で構成し、下層を、硬化処理に
よって酸あるいは酸化剤に難溶性となる未硬化の耐熱性
樹脂中に、酸あるいは酸化剤に可溶性の平均粒径 0.1〜
2.0 μmの硬化処理された耐熱性樹脂粒子を分散して含
む層間絶縁剤を硬化してなる絶縁剤層で構成した、複合
層とすることを特徴とする多層プリント配線板である。
なお、この多層プリント配線板において、上記接着剤層
は、酸あるいは酸化剤に可溶性の耐熱性樹脂粒子を酸あ
るいは酸化剤に難溶性の耐熱性樹脂マトリックス中に分
散してなる粗化可能な無電解めっき用の接着剤層とする
ことが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の層間絶縁剤は、硬化処理
によって酸あるいは酸化剤に難溶性となる未硬化の耐熱
性樹脂中に、酸あるいは酸化剤に可溶性の平均粒径 0.1
〜2.0 μmの硬化処理された耐熱性樹脂粒子を分散して
含むことを特徴とする。
【0015】そして、かかる層間絶縁剤を樹脂絶縁層と
して用いた本発明の多層プリント配線板は、その樹脂絶
縁層を複層化し、上層を無電解めっき用接着剤を硬化し
てなる接着剤層で構成し、下層を、硬化処理によって酸
あるいは酸化剤に難溶性となる未硬化の耐熱性樹脂中
に、酸あるいは酸化剤に可溶性の平均粒径 0.1〜2.0 μ
mの硬化処理された耐熱性樹脂粒子を分散して含む層間
絶縁剤を硬化してなる絶縁剤層で構成したことを特徴と
する(図1参照)。
【0016】このように、本発明にかかる層間絶縁剤を
複合層で構成した上記樹脂絶縁層の下層として用いれ
ば、樹脂絶縁層の厚さが薄くても、粗化が進みすぎて絶
縁不良を招くことがなくなり、多層プリント配線板の層
間絶縁特性が向上する。ここで、本発明にかかる多層プ
リント配線板の樹脂絶縁層は、下層を構成する層間絶縁
剤中に酸あるいは酸化剤に可溶性の硬化処理された耐熱
性樹脂粒子が含まれている。それにもかかわらず本発明
の多層プリント配線板は、粗化された樹脂絶縁層で絶縁
不良が生じない。この理由、下層の層間絶縁剤中に含ま
れる耐熱性樹脂粒子の平均粒径が 0.1〜2.0 μmと微細
であるので、粗化により樹脂粒子同士が連通することが
ないからである。この微細な耐熱性樹脂粒子は、露光光
の乱反射が少ないので解像度を低下させることもない。
【0017】また、本発明にかかる層間絶縁剤を複合層
で構成した上記樹脂絶縁層の下層として用いれば、多層
プリント配線板の層間絶縁特性のみならず電気的な接続
信頼性が向上する。例えば、開口径が 100μm以下であ
る小径のバイアホール用開口を形成するために、前述の
従来技術にかかる樹脂絶縁層(接着剤層と絶縁剤層)を
露光,現像処理すると、現像液のつきまわりが原因と思
われる接着剤や絶縁剤の現像不良が発生し、その開口底
部に現像残りが発生しやすい(図1(a) 参照)。この
点、酸や酸化剤に溶解する微細な樹脂粒子が樹脂絶縁層
中に存在する本発明では、このような現像不良が発生し
ても、かかる微細な樹脂粒子が酸や酸化剤による粗化処
理の工程で溶解し、その樹脂粒子を包囲する樹脂マトリ
ックスもまた溶解または損壊するので、開口底部に残存
する樹脂の除去が可能になる(図1(b) 参照)。このた
め、本発明によれば、立てた状態にした基板の両面に現
像液をスプレーするという現像方法を採用しても、現像
残りが見られなかった。その結果、本発明にかかる樹脂
絶縁層は、特にバイアホールを形成するに際し、現像残
りによる導通不良が生じない。
【0018】さらに、本発明にかかる多層プリント配線
板において、回路基板上に絶縁剤層と接着剤層を形成し
てから、これらの層を同時に露光,現像処理することに
より、樹脂絶縁層にバイアホール用開口を形成すると、
該バイアホール用開口の側壁には下層の絶縁剤層が露出
した状態となる。こうして露出した状態にある絶縁剤層
は、酸あるいは酸化剤に可溶性の平均粒径 0.1〜2.0 μ
mの耐熱性樹脂粒子が分散して存在しているので、酸や
酸化剤による粗化処理の工程で、その露出部分に細かな
アンカーが形成される。その結果、本発明にかかる樹脂
絶縁層は、上層の接着剤層のアンカー効果に加えてさら
に下層の絶縁剤層のアンカー効果により、バイアホール
における導体との密着強度が向上する(図1(c) 参
照)。
【0019】そしてさらに、本発明にかかる多層プリン
ト配線板は、複合層で構成した上記樹脂絶縁層の上層と
して無電解めっき用接着剤からなる接着剤層、好ましく
は酸あるいは酸化剤に可溶性の耐熱性樹脂粒子を酸ある
いは酸化剤に難溶性の耐熱性樹脂マトリックス中に分散
してなる粗化可能な無電解めっき用の接着剤層を用いて
いる。そのため、本発明にかかる多層プリント配線板
は、接着剤層の粗化による明確なアンカーを有するの
で、高い導体密着強度(ピール強度)を示す。
【0020】以上説明したように本発明によれば、現像
残りに起因した導通不良を招くことなく効率的にバイア
ホールを形成でき、樹脂絶縁層の厚さが薄くてもピール
強度特性に優れると同時に、層間の絶縁特性や接続信頼
性などの信頼性にも優れるプリント配線板を安定して提
供することができる。
【0021】ここで、本発明の層間絶縁剤において、酸
あるいは酸化剤に可溶性の硬化処理された耐熱性樹脂粒
子は、その平均粒径を 0.1〜2.0 μmとすることが必要
であり、望ましくは 0.1〜1.0 μm、さらに望ましく
は、 0.1〜0.6 μmとする。この理由は、耐熱性樹脂粒
子の平均粒径が 0.1μm未満では、上述したアンカー効
果や現像残りの樹脂を除去する効果がない。一方、平均
粒径 2.0μmを超えると、過剰粗化によって樹脂粒子同
士が連通し、上層と下層の導体回路が導通する不良が生
じやすくなるからである。特に望ましい平均粒径は、
0.4〜0.6 μmである。
【0022】このような酸あるいは酸化剤に可溶性の硬
化処理された耐熱性樹脂粒子の配合量は、層間絶縁剤の
耐熱性樹脂マトリックスの樹脂固形分 100に対して、重
量比で5〜40の割合であることが望ましい。この理由
は、重量比で5未満では、現像残りを粗化処理時に除去
しきれないために良好なバイアホール用開口部を形成し
にくく、一方、重量比で40を超えると、樹脂粒子による
光の散乱で良好なバイアホール用開口部を形成しにくく
なるからである。従って、この範囲は、バイアホール用
開口部を形成するための特異的な配合範囲と言える。
【0023】本発明の層間絶縁剤において、硬化処理に
よって酸あるいは酸化剤に難溶性となる耐熱性樹脂のマ
トリックスに熱可塑性樹脂を配合させることは、熱可塑
性樹脂が有する可撓性によって、接着剤層やバイアホー
ル部分にクラックが発生しにくくなることから、好適で
ある。
【0024】このような熱可塑性樹脂を配合した上記耐
熱性樹脂は、特に、熱硬化性樹脂(一部の熱硬化基を感
光基に置き換えたものでもよい)と熱可塑性樹脂の樹脂
複合体で構成することが望ましい。なぜなら、熱硬化性
樹脂の剛直骨格により耐酸特性や耐酸化剤特性を確保
し、熱可塑性樹脂の可撓性により靱性を確保して、ヒー
トサイクルなどに強い配線板を得ることができるからで
ある。ここに、上記樹脂複合体を構成する熱硬化性樹脂
としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂や尿素樹脂の
ようなアミノ樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ変性ポリイ
ミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、
ウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂などが使用でき
る。特に、エポキシ樹脂としては、フェノールノボラッ
クやクレゾールノボラックなどのノボラック型エポキシ
樹脂が好適である。ベンゼン環の配列による剛直骨格を
有するので、耐酸化剤特性や耐酸特性に優れるからであ
る。また、熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルスルフ
ォン、ポリスルフォン、フェノキシ樹脂、ポリエーテル
イミド、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアリレー
ト、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポ
リエーテルエーテルケトン、ポリオキシベンゾネート、
ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアセタール、ポ
リカーボネートなどが使用できる。特に、靱性やエポキ
シ樹脂との相溶性の点では、ポリエーテルスルフォンが
好適である。
【0025】本発明の層間絶縁剤において、硬化処理に
よって酸あるいは酸化剤に難溶性となる未硬化の耐熱性
樹脂のマトリックス中にはシリコーンオイルを含有させ
てもよい。このシリコーンオイルは、シロキサン結合
(−Si−O)n −の線状分子であり、常温で流動性を
示す。そのため、有機溶剤を含む未硬化の耐熱性樹脂マ
トリックス中にシリコーンオイルを添加すると、そのシ
リコーンオイルは、マトリックス中に微細に分散して含
有される。その結果、かかるシリコーンオイルを含む層
間絶縁剤で構成した樹脂絶縁層は、そのマトリックス中
にシリコーンオイルが存在しても見かけ上失透せず、レ
ーザによる孔明けや露光、現像処理による孔明けを良好
に行うことができ、バイアホールを確実に形成すること
ができる。
【0026】このようなシリコーンオイルを含む耐熱性
樹脂として、例えば、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の樹
脂複合体を用い、その溶媒として、N−メチルピロリド
ン(NMP)を用いる場合、かかる複合樹脂系において
は、シリコーンオイルの相溶性が低下し、該シリコーン
オイルの分散粒子が大きくなって失透しやすくなる。こ
の点では、エチレンオキシド構造やプロピレンオキシド
構造を有するシリコーンオイルは、前記複合樹脂系にお
いても失透を防止する作用があり好適である。
【0027】また、このシリコーンオイルは、その微細
粒が気泡膜中に入りこみ、ここを起点としてクラックが
発生して層間絶縁剤中の気泡を消す作用がある。さら
に、このシリコーンオイルは、層間絶縁剤の耐熱性樹脂
マトリックス中に島状に細かく分散しているので、耐熱
性樹脂マトリックスの破壊強度(靱性)を改善する効果
もある。
【0028】特に、樹脂の強度を改善できるシリコーン
オイルとしては、その末端基が、エポキシ基、ポリオキ
シアルキレン基、アミノ含有基、カルボキシ含有基、脂
肪酸含有基およびアルコール含有基の中から選ばれるい
ずれか少なくとも1種の官能基で変性されたものものが
挙げられる。例えば、エポキシ基変成シリコーンオイル
としては、信越化学製 KF101 、KF102 、KF105
、X−60−164 などがある。ポリオキシアルキレン基
変成シリコーンオイルとしては、信越化学製のKF351
、KF353 などがある。アミノ含有基変成シリコーン
オイルとしては、信越化学製のKF393 、KF861 など
がある。カルボキシ含有基変成シリコーンオイルとして
は、信越化学製 X−22−3701Eなどがある。脂肪酸含
有基変成シリコーンオイルとしては、信越化学製KF91
0 などがある。アルコール含有基変成シリコーンオイル
としては、信越化学製 KF851 などがある。
【0029】本発明の多層プリント配線板において、複
合層で構成した樹脂絶縁層の下層として採用した絶縁剤
層は、その膜厚を10〜100 μmとすることが好ましい。
この理由は、絶縁剤層の膜厚が10μmより薄いと樹脂絶
縁層としての機能が不十分となり易く、一方、絶縁剤層
の膜厚が100 μmより厚いと必要以上の厚さで樹脂絶縁
層を形成することになり経済的でないからである。
【0030】また、上記樹脂絶縁層の上層として採用し
た接着剤層は、その膜厚を10〜50μmとすることが好ま
しい。この理由は、接着剤層の膜厚を10μm以上にする
ことで十分な厚さの粗化面が形成することができ、接着
剤層の膜厚を10〜50μmの範囲内とすることで、接着剤
としての機能を効率的に発揮させることができるからで
ある。
【0031】なお、この接着剤層を構成する,酸あるい
は酸化剤に可溶性の耐熱性樹脂粒子は、粒子形状、中空
形状、解砕片状などの各種形状のものを使用でき、より
望ましくは、平均粒径10μm以下の粒子、平均粒径
2μm以下の耐熱性樹脂粉末を凝集させて平均粒径2〜
10μmの大きさとした凝集粒子、平均粒径2〜10μm
の耐熱性樹脂粉末と平均粒径2μm以下の耐熱性樹脂粉
末との混合物、平均粒径2〜10μmの耐熱性樹脂粉末
の表面に平均粒径2μm以下の耐熱性樹脂粉末もしくは
平均粒径2μm以下の無機粉末のいずれか少なくとも1
種を付着させてなる擬似粒子、のなかから選ばれる。こ
の理由は、平均粒径10μmを超えると、アンカーが深く
なり、100 μm以下の所謂ファインパターンを形成でき
なくなるからであり、一方、平均粒径2μm未満では、
明確なアンカーを形成することができないからである。
特に、上記〜のなかでも〜の樹脂粒子が望まし
い。この理由は、複雑なアンカーを形成でき、ピール強
度を向上させることができるからである。
【0032】このような耐熱性樹脂粒子の配合量は、接
着剤の耐熱性樹脂マトリックスの樹脂固形分100 に対し
て、重量比で5〜100 の割合であることが望ましい。こ
の理由は、重量比で5未満の場合は、明確なアンカーを
形成することができず、 100を超えると、混練が難しく
なること、また相対的に耐熱性樹脂マトリックスの量が
減り、接着剤層の強度が低下してしまうためである。
【0033】また、このような接着剤層の表面に形成す
るアンカー窪みは、それの平均深さが15μm以下である
ことが望ましく、そうすることにより、導体パターンL
/S=50/50μm以下のファインパターンとすることが
できる。
【0034】以上説明したような本発明にかかる層間絶
縁剤、無電解めっき用接着剤の耐熱性樹脂マトリックス
および多層プリント配線板において、これらの製造に用
いる耐熱性樹脂は、熱硬化性樹脂、一部に感光性を付与
した熱硬化性樹脂、感光性樹脂、熱硬化性樹脂(一部に
感光性を付与した熱硬化性樹脂を含む)または感光性樹
脂と熱可塑性樹脂との樹脂複合体、光開始剤、光開始助
剤および硬化剤などを適宜に配合して構成され、必要に
応じて耐熱性樹脂微粒子が添加される。
【0035】なお、本発明の多層プリント配線板におい
て、複合層で構成した樹脂絶縁層は、上層の無電解めっ
き用接着剤を構成する耐熱性樹脂マトリックスとして、
熱硬化性樹脂(一部に感光性を付与した熱硬化性樹脂を
含む)または感光性樹脂と熱可塑性樹脂との複合体を使
用し、下層の層間絶縁剤として、熱可塑性樹脂を含まな
い熱硬化性樹脂(一部または全部に感光性を付与した熱
硬化性樹脂を含む)または感光性樹脂を使用することが
望ましい。この理由は、このような構成にした樹脂絶縁
層によれば、無電解めっき用接着剤層の靱性を改善し
て、ピール強度を向上させることができ、しかも、粗化
処理時に、バイアホール用開口部の底面に熱可塑性樹脂
が残存することもないからである。
【0036】(1)熱硬化性樹脂としては、フェノール樹
脂、メラミン樹脂や尿素樹脂のようなアミノ樹脂、エポ
キシ樹脂、エポキシ変性ポリイミド樹脂、不飽和ポリエ
ステル樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ジアリル
フタレート樹脂、アリル樹脂、およびユリア樹脂のなか
から選ばれるいずれか1種以上が好適に用いられる。
【0037】(2)一部に感光性を付与した熱硬化性樹脂
としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂あるい
はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の一部をアクリ
ル化したものが好適に用いられる。なお、アクリル化
は、エポキシ樹脂をアクリル酸やメタクリル酸などと反
応させることにより行われる。アクリル化率は、エポキ
シ基のうち、アクリル酸やメタクリル酸と反応した部分
の割合を意味し、必要に応じて容易に変えられるもので
ある。
【0038】(3)感光性樹脂としては、公知の単官能あ
るいは多官能の感光性樹脂、例えば、アクリル樹脂やト
リプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロー
ルプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールト
リアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレー
ト、エポキシアクリレートなどが好適に用いられる。
【0039】(4)熱可塑性樹脂としては、ポリエーテル
スルフォン、ポリスルフォン、フェノキシ樹脂、ポリエ
ーテルイミド、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアリ
レート、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィ
ド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオキシベンゾネ
ート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアセター
ルおよびポリカーボネートのなかから選ばれるいずれか
1種以上が好適に用いられる。
【0040】(5)熱硬化性樹脂または感光性樹脂と熱可
塑性樹脂との樹脂複合体としては、PES変性エポキシ
樹脂やPES変性アクリル樹脂などが好適に用いられ
る。
【0041】(6)光開始剤としては、.ベンゾイソブ
チルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ジエトキシ
アセトフェノン、アシロキシムエステル、塩素化アセト
フェノン,ヒドロキシアセトフェノン等の分子内結合開
裂型、.ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ジベンゾ
スベロン、2−エチルアンスラキノン、イソブチルチオ
キサンソン等の分子間水素引抜型、のいずれか1種以上
が好適に用いられる。
【0042】(7)光開始助剤としては、トリエタノール
アミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノ
ールアミン、ミヒラーケトン、4,4-ジエチルアミノベン
ゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−
ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安
息香酸(n-ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息
香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチ
ルヘキシル、重合性3級アミン等のいずれか1種以上が
好適に用いられる。
【0043】(8)硬化剤としては、例えば、エポキシ樹
脂およびその感光化物の場合は、DICYやアミン系硬化
剤、酸無水物、イミダゾール系硬化剤などが好適に用い
られる。特に、固形分で、2〜10wt%のイミダゾール系
硬化剤を含有させることが好ましい。この理由は、イミ
ダゾール系硬化剤の含有量が10wt%を超えると樹脂が硬
化しすぎて脆くなり、一方、2wt%より少ないと樹脂の
硬化が不十分なために充分な樹脂強度が得られないから
である。その他の熱硬化性樹脂の硬化剤には公知のもの
を使用する。
【0044】なお、本発明にかかる樹脂絶縁層に用いる
上記耐熱性樹脂は、溶剤を含まない樹脂をそのまま使用
することもできるが、樹脂を溶剤に溶解したものは、粘
度調節が容易であることから樹脂粒子を均一に分散させ
ることができ、しかもベースフィルム上に塗布し易いと
いう性質があるので、特にシート状の樹脂絶縁層を製造
する場合に有利に使用することができる。この耐熱性樹
脂を溶解するのに使用する溶剤としては、通常の溶剤、
例えば、メチルエチルケトンやメチルセロソルブ、エチ
ルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブア
セテート、ブチルカルビトール、ブチルセルロース、テ
トラリン、ジメチルホルムアミド、ノルマルメチルピロ
リドンなどを挙げることができる。また、上記耐熱性樹
脂には、例えば、着色剤(顔料)やレベリング剤、消泡
剤、紫外線吸収剤、難燃化剤などの添加剤、あるいはそ
の他の充填材を適宜配合してもよい。
【0045】次に、本発明にかかる多層プリント配線板
を製造する一方法について具体的に説明する。 (1) まず、導体層が形成された基板をエッチング処理す
ることにより、基板上に下層の導体回路を形成する。こ
こで、前記基板のエッチング処理は、例えば、銅張積層
板に露光、現像により感光性エッチングレジストを形成
し、塩化第二銅などのエッチング液に浸漬して、導体層
の不要部分を除去し、必要な導体回路部分のみを残すこ
とにより行われる。
【0046】(2) 上記(1) で得られた、導体不要部分が
除去された凹部分を有する基板に、樹脂を塗布し硬化さ
せて、前記凹部分に樹脂を充填し、さらに、その充填樹
脂の表面を導体回路の表面と同一平面上になるように、
下層の導体回路が露出するまで研磨する。ここで、上記
凹部分に充填する充填樹脂としては、無溶剤樹脂を用い
ることが望ましい。この理由は、溶剤入りの樹脂を使用
すると、樹脂絶縁層を塗布して加熱、乾燥させると平滑
化のための前記充填樹脂から溶剤が揮発し、該充填樹脂
と樹脂絶縁層との間で剥離が生じるからである。
【0047】このような充填樹脂としては、ビスフェノ
ールA型、ビスフェノールF型のエポキシ樹脂(分子量
150〜180 程度)が好適に用いられる。柔らかく比較的
研磨しやすいからである。
【0048】また、上記充填樹脂は、シリカやアルミ
ナ、ジルコニアなどのセラミックフィラーを含有させる
ことが望ましい。この理由は、セラミックフィラーを含
有すると、硬化収縮が小さくなり、基板に反りを発生さ
せることがないからである。望ましくは、粒子径が 0.5
〜2.0 μm程度のセラミックフィラーを用いる。細かす
ぎると充填樹脂の粘度が高くなって塗布しにくく、一
方、粗すぎると平滑さを失ってしまうためである。
【0049】このような充填樹脂の研磨は、樹脂が完全
に硬化させない状態で行うことが望ましい。つまり、充
填樹脂は、研磨可能な状態(全官能基数の60〜80%を硬
化させる)ではあるが、完全には硬化しない状態まで硬
化させることが望ましい。柔らかく研磨しやすいからで
ある。なお、充填樹脂の研磨は、ベルトサンダーやバフ
研磨などの方法で行うことができる。
【0050】(3) 導体回路間の凹部分に樹脂を充填した
基板の表面に、上層を無電解めっき用接着剤を硬化して
なる接着剤層で構成し、下層を、硬化処理によって酸あ
るいは酸化剤に難溶性となる未硬化の耐熱性樹脂中に、
酸あるいは酸化剤に可溶性の平均粒径 0.1〜2.0 μmの
硬化処理された耐熱性樹脂粒子を分散して含む層間絶縁
剤を硬化してなる絶縁剤層で構成した、複合層の樹脂絶
縁層を形成する。この樹脂絶縁層は、上記 (1)および
(2) の工程を経た基板の表面に形成されるので、厚さが
均一であり、バイアホール用開口を高い寸法精度で形成
することができる。その結果、アディティブ法によって
形成するバイアホールにはオーバーエッチングによる絶
縁不良や形状不良などが発生せず、しかも、その上層導
体回路の表面も平滑になるため、接続信頼性や実装信頼
性にも優れる。この場合、樹脂絶縁層の硬化は、層間絶
縁剤と接着剤を同時に硬化させて行う。この際、下層導
体回路の表面を充填樹脂によって平滑化していると、硬
化収縮時の接着剤層と絶縁剤層との剥離を防止すること
ができる。ここで、この樹脂絶縁層を構成する耐熱性樹
脂は、熱硬化性樹脂、一部に感光性を付与した熱硬化性
樹脂、感光性樹脂、熱硬化性樹脂または感光性樹脂と熱
可塑性樹脂との樹脂複合体、光開始剤、光開始助剤およ
び硬化剤などを適宜に配合して構成され、必要に応じて
耐熱性樹脂微粒子が添加される。
【0051】特に、感光化した耐熱性樹脂からなる上記
樹脂絶縁層(複合層)にバイアホール用開口を形成する
場合は、例えば、以下の方法にて行う。 .導体回路を形成した基板上に、層間絶縁剤をロール
コーターなどにより塗布し、乾燥したのち、露光、現像
し、バイアホール(BVH )のための開口を穿孔したBス
テージ状態の絶縁剤層を形成する。次いで、この絶縁剤
層上に、無電解めっき用の接着剤をロールコーターなど
により塗布し、乾燥したのち、露光、現像し、前記絶縁
剤層のBVH 用開口と同位置に、より小径のBVH 用開口を
穿孔したBステージ状態の接着剤層を形成する。そし
て、これらの層を同時に光硬化、熱硬化して、バイアホ
ール用開口を形成した絶縁剤層と接着剤層の複合層から
なる樹脂絶縁層を得る。 .導体回路を形成した基板上に、層間絶縁剤をロール
コーターなどにより塗布し、乾燥して、Bステージ状態
の絶縁剤層を形成する。次いで、この絶縁材層上に、無
電解めっき用の接着剤をロールコーターなどにより塗布
し、乾燥して、Bステージ状態の接着剤層を形成する。
そして、これらの層を同時に露光、現像処理してバイア
ホール用開口を穿孔し、バイアホール用開口を形成した
絶縁剤層と接着剤層の複合層からなる樹脂絶縁層を得
る。なお、基板上に樹脂絶縁層を形成する方法として
は、上述したような塗布による方法の他、層材をフィル
ム状に加工した樹脂フィルムや層材を繊維に含浸させた
プリプレグを貼着する方法を適用することができる。
【0052】(4) 次に、前記(3) にて形成した樹脂絶縁
層の表面を、酸あるいは酸化剤を用いる常法にしたがっ
て粗化し、粗化した樹脂絶縁層の表面に触媒を付与して
固定化する。次いで、必要に応じて所定のパターンに印
刷したレジストを形成し、酸処理にて触媒を活性化した
のち無電解めっきを施し、上層の導体回路を形成する。
そしてさらに、その上層導体回路上に、層間絶縁剤、接
着剤を塗布して次の層を順次ビルドアップすることによ
り、所望の多層プリント配線板を得る。
【0053】ここで、樹脂絶縁層表面の粗化方法として
は、樹脂絶縁層が形成された基板を酸化剤等の溶液中に
浸漬するか、あるいはこの樹脂絶縁層の表面に酸化剤等
の溶液をスプレーするなどの手段によって実施すること
ができる。かかる樹脂絶縁層を粗化する酸としては、塩
酸や硫酸、有機酸などがよく、酸化剤としては、クロム
酸やクロム酸塩,過マンガン酸塩,オゾンなどがよい。
また、無電解めっきの方法としては、例えば、無電解銅
めっきや無電解ニッケルめっき、無電解錫めっき、無電
解金めっき、無電解銀めっきなどを挙げることができ、
特に、無電解銅めっき、無電解ニッケルめっきおよび無
電解金めっきのいずれか少なくとも1種であることが好
適である。前記無電解めっきを施した上にさらに異なる
種類の無電解めっきあるいは電解めっきを行ったり、は
んだをコートしたりすることもできる。
【0054】なお、樹脂絶縁層の表面を平滑にすると、
液状めっきレジストを塗布して形成しためっきレジスト
の膜厚は均一となり、その解像度も向上する。それ故
に、めっきレジスト非形成部分に上層の導体回路を形成
した後、その表面をさらに研磨し、めっきレジストと上
層導体回路の表面を同一平面に揃えることができる。こ
れにより、アディティブ法による導体回路層のビルドア
ップを何回繰り返しても、常に多層プリント配線板の表
面を平滑にすることができる。即ち、導体回路層のビル
ドアップの際の凹凸の累積を防ぐことが可能となる。そ
の結果、微小な部品を取り付けるときでも、多層プリン
ト配線板の表面が平滑であるため、部品の浮き上がりが
なく端子を適切に接続でき、実装信頼性を向上させるこ
とが可能となる。しかしながら、研磨による平滑化を、
サブトラクティブ法により形成した導体回路層のみに対
して行い、その後にアディティブ法によりビルドアップ
される導体回路層に対しては行わないようにすること
は、多層プリント配線板の製造コストを低減するために
は有効である。
【0055】
【実施例】
(実施例1) (1) 厚さ1mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマ
レイミドトリアジン)樹脂からなる基板1の両面に18μ
mの銅箔8がラミネートされている銅張積層板を出発材
料とした(図2(a) 参照)。この銅張積層板をドリル削
孔し、めっきレジストを形成した後、無電解めっき処理
してスルーホール9を形成し、さらに導体不要部分であ
る銅箔8をパターン状にエッチングすることにより、基
板1の両面に内層銅パターン4を形成した(図2(b) 参
照)。
【0056】(2) ビスフェノールF型エポキシ樹脂(油
化シェル製、分子量:172 、商品名:E−807 ) 100重
量部と、イミダゾール硬化剤(四国化成製、商品名:2E
4MZ-CN)6重量部を混合し、さらにこれらの混合物に対
して平均粒径 1.6μmのSiO2粒状子(ここで、最大粒子
の大きさは後述する内層銅パターンの厚み(15μm)以
下とする) 170重量部を混合し、3本ロールにて混練し
て粘度100,000cpsの基板平滑化のための樹脂(充填樹脂
10)を得た。
【0057】(3) 前記(1) で内層銅パターン4を形成し
た基板の片面に、充填樹脂10をスクリーン印刷機を用い
て厚さ20μmに印刷し、得られた樹脂層を 150℃で30分
間の加熱処理を施して硬化した。そして、他方の面に
も、同様にして前記樹脂層を形成した(図2(c) 参
照)。なお、印刷は、 200メッシュのスクリーン印刷版
を用い、印刷スピード 0.2m/s、印刷圧50kg/cm2
条件にて行った。また、上述した充填樹脂10は、 150℃
で3時間の加熱処理を行うと、ほぼ完全に架橋して高い
硬度となる。しかし、この工程では、充填樹脂の研磨作
業を容易に行なうために、ベルトサンダー研磨またはバ
フ研磨が可能な範囲に硬化させた。
【0058】(4) 前記(3) で樹脂層を形成した基板の片
面を、ベルトサンダーを用い、♯600のベルト研磨紙
(三共理化学製)により、内層銅パターン表面に充填樹
脂が残らないように研磨した。次いで、ベルトサンダー
による傷を取り除くために、バフ研磨を行った。このよ
うな一連の研磨を基板の他方の面についても同様に行っ
た。そして、スルーホール9に充填された充填樹脂10を
150℃、3時間の加熱にて完全に架橋させることによ
り、両面を充填樹脂10にて平滑化した基板を得た(図2
(d) 参照)。なお、充填樹脂10が内層銅パターン表面に
わずかに残るように、ベルトサンダー研磨にて研磨し、
次いでバフ研磨する方法、あるいはバフ研磨のみによる
研磨方法も採用できる。
【0059】(5) クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
の25%アクリル化物(日本化薬製)70重量部、ポリエー
テルスルフォン(三井東圧製)25重量部、平均粒径 0.5
μmの酸あるいは酸化剤に可溶性の硬化処理された耐熱
性樹脂粒子18としてのエポキシ樹脂粒子(東レ性、商品
名:トレパール)30重量部、ベンゾフェノン4重量部、
ミヒラーケトン0.4 重量部およびイミダゾール系硬化剤
を混合した後、ノルマルメチルピロリドン(NMP)を
添加しながらホモディスパー攪拌機で粘度30pa・s に調
整し、さらに3本ロールで混練して層間絶縁剤(下層)
を得た。
【0060】(6) クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
の25%アクリル化物(日本化薬製、分子量:2500)70重
量部、ポリエーテルスルフォン(三井東圧製)30重量
部、光開始剤としてのベンゾフェノン(関東化学製)5
重量部、光開始剤としてのミヒラーケトン0.4 重量部、
イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ-C
N)4重量部、感光性モノマーであるカプロラクトン変
性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート(東亜
合成製、商品名:アロニックスM325 )10重量部、およ
び酸や酸化剤に可溶性の硬化処理された耐熱性樹脂粒子
18としてのエポキシ樹脂フィラー(東レ製、商品名:ト
レパール)で5.5 μmのものを35重量部、0.5μmのも
のを5重量部を混合した後、ノルマルメチルピロリドン
(NMP)を添加しながらホモディスパー攪拌機で粘度
2000cps に調整し、さらに3本ロールで混練して感光性
接着剤を得た。この感光性接着剤は、硬化処理によって
クロム酸やリン酸等のような粗化液に対して難溶となる
樹脂マトリックス中に、その粗化液に対して可溶性の硬
化処理された耐熱性樹脂粒子18を分散させたものであ
る。
【0061】(7) 前記(5) で得た層間絶縁剤を、前記
(4) で平滑化した基板の両面に、ロールコーターを用い
て塗布し、水平状態で20分間放置してから、60℃で乾燥
(プリベーク)を行ない、絶縁剤層2aを形成した(図2
(e) 参照)。さらに絶縁材層2aの上に、前記(6) で得た
感光性接着剤を、ロールコーターを用いて塗布し、水平
状態で20分間放置してから、60℃で乾燥(プリベーク)
を行い、接着剤層2bを形成した(図2(f) 参照)。
【0062】(8) 前記(7) で絶縁材層2aおよび接着剤層
2bを形成した基板の両面に、裏面に粘着剤が付着された
ポリエチレンテレフタレート(PET) フィルムを張りつけ
て重合反応を阻害する酸素との接触を遮断した。そし
て、バイアホールが描画されたフォトマスクフィルムを
載置し、超高圧水銀灯 400mJ/cm2 で露光し、フォトマ
スクフィルムを取り外してさらに、超高圧水銀灯により
約3000mJ/cm2 で露光し、ついで、PET フィルムを剥離
し、その後、基板を立てて(基板の法線ベクトルと重力
のベクトルが垂直になるように、という意味)その基板
の両面からスプレー噴霧するという方法を採用して、ト
リエチレングリコールジメチルエーテル(DMTG)で
現像した。その後、150 ℃で5時間の加熱処理(ポスト
ベーク)することによりフォトマスクフィルムに相当す
る寸法精度に優れた開口(バイアホール形成用開口)6
を有する厚さ50μmの樹脂絶縁層2(2層構造)を形成
した(図2(g) 参照)。
【0063】(9) 次に、クロム酸や過マンガン酸カリウ
ム等の粗化液を用いて、常法に従って前記樹脂絶縁層2
の表面を粗化した。具体的には、樹脂絶縁層2を形成し
た基板をクロム酸中に70℃で20分間浸漬することによ
り、樹脂絶縁層2を構成する接着剤層2bの表面に分散し
ている耐熱性樹脂粒子を溶解除去し、接着剤層2bの表面
に、微細なアンカーが多数形成された粗化面を形成し
た。
【0064】(10)前記(9) で粗化した樹脂絶縁層2の表
面に、無電解めっき金属の最初の析出に必要な触媒核
を、 PdCl2・2H2O: 0.2g/l、 SnCl2・2H2O:15g/
l、 HCl:30g/lの液中で処理することにより付与
し、次いで、その樹脂絶縁層2の表面に、市販の液状感
光性レジストを60μmの厚さで塗布して、乾燥し、露光
現像を行い、めっきレジスト3を形成した(線幅50μ
m)。
【0065】(11)そして、 100g/lの硫酸水溶液によ
る処理で触媒核を活性化した後、下記組成を有する無電
解銅−ニッケル合金めっき浴を用いて一次めっきを行
い、レジスト非形成部分に厚さ約1.7 μmの銅−ニッケ
ル−リンめっき薄膜を形成した。このとき、めっき浴の
温度は60℃とし、めっき浸漬時間は1時間とした。
【0066】(12)次に、一次めっき処理した基板を前記
めっき浴から引き上げて表面に付着しているめっき浴を
水で洗い流し、さらに、その基板を酸性溶液で処理する
ことにより、銅−ニッケル−リンめっき薄膜表層の酸化
皮膜を除去した。その後、Pd置換を行うことなく、銅−
ニッケル−リンめっき薄膜上に、下記組成の無電解銅め
っき浴を用いて二次めっきを施すことにより、必要な導
体パターン5およびバイアホール(BVH )7を形成した
(図2(h) 参照)。このとき、めっき浴の温度は50℃〜
70℃とし、めっき浸漬時間は90分〜360 分とした。 金属塩… CuSO4・5H2O : 8.6 mM 錯化剤…TEA : 0.15M 還元剤…HCHO : 0.02M その他…安定剤(ビピリジル、フェロシアン化カリウム
等):少量 析出速度は、6μm/時間
【0067】(13)前記(11)(12)で導体パターン5および
バイアホール(BVH )7を形成した基板の両面を、ベル
トサンダーを用い、♯600 のベルト研磨紙により研磨
し、さらにバフ研磨を行った。このとき、めっきレジス
ト3の表面と導体層5との表面が同一平面に揃うまで研
磨した。 (14)上記 (7)〜(13)の工程を繰り返して、両面6層の多
層プリント配線板を製造した(図2(i) 参照)。
【0068】(実施例2)実施例1の(5) において、平
均粒径 0.3μmのエポキシ樹脂粒子(東レ製、商品名:
トレパール)13.9重量部を混合したこと以外は、実施例
1と同様にして両面6層の多層プリント配線板を製造し
た。
【0069】(比較例1)実施例1の(5) において、層
間絶縁剤中に、平均粒径 0.5μmの酸あるいは酸化剤に
可溶性の硬化処理された耐熱性樹脂粒子を配合しないこ
と以外は、実施例1と同様にして両面6層の多層プリン
ト配線板を製造した。
【0070】このようにして得られた多層プリント配線
板について、現像残りの有無、導通不良の有無、 BVH解
像度および−65℃×10分〜 155℃×10分のヒートサイク
ル特性(耐冷熱衝撃性)を調べた。その結果を表1に示
す。
【0071】
【表1】
【0072】以下に、表1に示す各項目の評価方法と評
価結果について説明する。 .現像残りの有無 バイアホール形成のための開口部を光学顕微鏡にて観察
することにより、粗化処理後の現像残りを確認した。 .導通不良の有無 バイアホールを形成した後に、チェッカーのプローブを
接触させて、バイアホールの導通の有無を確認した。こ
の場合、現像残りがあると、内層のパッドとバイアホー
ルとが電気的に接続されていないことが多く、導通不良
が観察される。
【0073】上記,の評価の結果、実施例において
は、基板を立ててスプレーするという現像方法を採用し
たにもかかわらず、現像残りが見られず、導通不良を招
くことはなかった。これに対し、比較例では、わずかに
現像残りが発生し、導通不良を招いた。これは、実施例
では、粗化処理時に現像残りを完全に除去できるのに対
し、比較例では、粗化処理しても現像残りを完全に除去
できないからであると考える。つまり、基板を立てて現
像液をスプレーするという方法は、両面多層配線板を製
造する上では、非常に効率的であり、製品が重力の影響
を受けず、表裏面で特性の差が生じない。反面、スプレ
ーの強さや現像液の当り具合によって現像残りがわずか
に発生する場合もある。この点、実施例の基板では、わ
ずかの現像残りであれば、粗化工程で除去できると考え
られる。
【0074】.BVH 解像度 形成できる最小のバイアホール用開口径を記載した。こ
こで、「粗化前」の数値は、粗化しなくても現像残りを
生ずることなく形成できる開口部の最小開口径であり、
一方「粗化後」の数値は、粗化処理時に現像残りを完全
に除去して形成できる開口部の最小開口径である。
【0075】上記の評価の結果、「粗化前」のBVH 解
像度は、実施例が 100μmであるのに対して比較例が 1
10μmであった。これは、硬化処理された微細な耐熱性
樹脂粒子を含む実施例にかかる層間絶縁剤は、現像の
際、その樹脂粒子が溶解せずに周囲の未露光樹脂が溶解
して現像液中に流れ出す。即ち、現像する未露光樹脂の
絶対量が樹脂粒子分だけ少なくなり、その分現像しやす
くなるので、より小さな開口が開けられると考えられ
る。また、樹脂粒子の攪拌作用により未露光樹脂が溶解
しやすくなることも一要因であろうと考えられる。一
方、「粗化後」のBVH 解像度については、実施例では、
現像時に現像残りが発生してもこれを粗化処理により除
去できるので、80〜90μmの小さな径の開口を形成する
ことができる。これに対し、比較例では、現像残りを粗
化処理で除去できないので、粗化後であっても 110μm
程度の開口しか形成できない。
【0076】.ヒートサイクル特性 −65℃〜 155℃(各10分)で1000回と1500回のヒートサ
イクル試験を行い、バイアホールとそれと電気的に接続
する導体との間にチェッカーのプローブを接触させ、そ
の導通を測定して評価した。なお、−65℃〜 125℃(各
10分)のヒートサイクル試験では、微細な樹脂粒子の含
有による効果の差がでないので、本実施例では、より厳
しいヒートサイクル条件とした。
【0077】上記の評価の結果、1000回程度のサイク
ル数であれば、実施例と比較例とで差が現れなかった
が、1500回のサイクル数になると、比較例において導通
不良が観察された。これは、比較例では、バイアホール
壁面の層間絶縁剤の下層部分に粗化面が形成されていな
いので、ヒートサイクル数の増加により剥離やクラック
が発生し、導通不良が生じたものと考えられる。
【0078】なお、実施例にかかる本発明の配線板は、
バイアホール用開口の外周壁面に露出する樹脂絶縁層の
下層部分にも微細なアンカーが形成されるので、バイア
ホール部分の導体ピール強度が比較例にかかる配線板に
比べて優れていた。また、実施例にかかる本発明の配線
板は、層間絶縁抵抗にも優れるものであった。
【0079】(実施例3)(フルアディティブ法) (1) 厚さ1mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマ
レイミドトリアジン)樹脂からなる基板1の両面に18μ
mの銅箔8がラミネートされている銅張積層板を出発材
料とした(図3参照)。まず、この銅張積層板をドリル
削孔し、めっきレジストを形成した後、無電解めっき処
理してスルーホール9を形成し、さらに、銅箔8を常法
に従いパターン状にエッチングすることにより、基板1
の両面に内層銅パターン4を形成した。
【0080】(2) 一方、ビスフェノールF型エポキシモ
ノマー(油化シェル製、分子量310 、商品名:YL983U)
100重量部と、イミダゾール硬化剤(四国化成製、商品
名:2E4MZ-CN)6重量部、消泡剤(サンノプコ製、商品
名:ペレノールS4)1.5 重量部を混合し、さらに、こ
れらの混合物に対し、表面にシランカップリング剤をコ
ーティングした平均粒径 1.6μmのSiO2 球状粒子(ア
ドマテック製、CRS 1101−CE、ここで、最大粒子の大き
さは後述する内層銅パターンの厚み(15μm)以下とす
る) 170重量部を混合し、3本ロールにて混練すること
により、その混合物の粘度を23±1℃で45,000〜49,000
cps に調整して、基板表面平滑化のための樹脂充填剤10
を得た。この樹脂充填剤は無溶剤である。もし溶剤入り
の樹脂充填剤を用いると、後工程において層間剤を塗布
して加熱・乾燥させる際に、樹脂充填剤の層から溶剤が
揮発して、樹脂充填剤の層と層間材との間で剥離が発生
するからである。
【0081】(3) 前記(1) で内層銅パターン4を形成し
た基板を水洗いし、乾燥した後、NaOH(10g/l)、Na
ClO2(40g/l)、Na3PO4(6g/l)を酸化浴(黒化
浴)、またNaOH(10g/l)、NaBH4 (6g/l)を還
元浴として用い、内層導体回路4およびスルーホール9
の全表面に粗化層11を設けた(図4参照)。
【0082】(4) 前記(2) で得た樹脂充填剤10を、図4
に示す基板1の片面にロールコータを用いて塗布するこ
とにより、内層導体回路4間あるいはスルーホール9内
に充填し、120 ℃,20分間で仮硬化し、他方の面につい
ても同様にして樹脂充填剤10を内層導体回路4間あるい
はスルーホール9内に充填し、120 ℃,20分間で仮硬化
した(図5参照)。
【0083】(5) 前記(4) の処理を終えた図5に示す基
板の片面を、#600 のベルト研磨紙(三共理化学製)を
用いたベルトサンダー研磨により、内層銅パターン4の
表面やスルーホール9のランド表面に樹脂充填剤10が残
らないように研磨し、次いで、前記ベルトサンダー研磨
による傷を取り除くためのバフ研磨を行った。このよう
な一連の研磨を基板の他方の面についても同様に行った
(図6参照)。次いで 100℃で1時間、 120℃で3時
間、 150℃で1時間、 180℃で7時間の加熱処理を行っ
て樹脂充填剤10を完全硬化した。
【0084】このようにして、スルーホール9等に充填
された樹脂充填剤10の表層部および内層導体回路4上面
の粗化層11を除去して基板両面を平滑化し、樹脂充填剤
10と内層導体回路4の側面とが粗化層11を介して強固に
密着し、またスルーホール9の内壁面と樹脂充填剤10と
が粗化層11を介して強固に密着した配線基板を得た。即
ち、この工程により、樹脂充填剤10の表面と内層銅パタ
ーン4の表面が同一平面となる。ここで、充填した硬化
樹脂のTg点は155.6 ℃、線熱膨張係数は44.5×10-6
℃であった。
【0085】(6) 前記(5) の処理で露出した内層導体回
路4およびスルーホール9のランド上面に厚さ 2.5μm
のCu−Ni−P合金からなる粗化層(凹凸層)11を形成
し、さらにその粗化層11の表面に厚さ0.3 μmのSn層を
形成した(図7参照、但し、Sn層については図示しな
い)。その形成方法は以下のようである。即ち、基板を
酸性脱脂してソフトエッチングし、次いで、塩化パラジ
ウムと有機酸からなる触媒溶液で処理して、Pd触媒を
付与し、この触媒を活性化した後、硫酸銅8g/l、硫
酸ニッケル 0.6g/l、クエン酸15g/l、次亜リン酸
ナトリウム29g/l、ホウ酸31g/l、界面活性剤 0.1
g/l、pH=9からなる無電解めっき浴にてめっきを
施し、銅導体回路4およびスルーホール9の全表面にCu
−Ni−P合金の粗化層11を形成した。ついで、ホウフッ
化スズ0.1mol/l、チオ尿素1.0mol/l、温度50℃、p
H=1.2の条件でCu−Sn置換反応を行い、粗化層11の表
面に厚さ0.3 μmのSn層を設けた(Sn層については図示
しない)。
【0086】(7) DMDG(ジエチレングリコールジメ
チルエーテル)に溶解したクレゾールノボラック型エポ
キシ樹脂(日本化薬製、分子量2500)の25%アクリル化
物を35重量部、ポリエーテルスルフォン(PES)12重
量部、イミダゾール硬化剤(四国化成製、商品名:2E4M
Z −CN)2重量部、感光性モノマーであるカプロラクト
ン変成トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート
(東亜合成製、商品名:アロニックスM325 )4重量
部、光開始剤としてのベンゾフェノン(関東化学製)2
重量部、光増感剤としてのミヒラーケトン(関東化学
製)0.2 重量部を混合し、これらの混合物に対してエポ
キシ樹脂粒子(三洋化成製、商品名:ポリマーポール)
の平均粒径3.0 μmのものを10.3重量部、平均粒径0.5
μmのものを3.09重量部、消泡剤であるシリコーンオイ
ル(楠本化成製、商品名:ディスパロン1610)0.5 重量
部を混合した後、さらにNMP30重量部を添加しながら
混合し、粘度7Pa・sの感光性接着剤溶液(上層)を得
た。
【0087】(8) DMDGに溶解したクレゾールノボラ
ック型エポキシ樹脂(日本化薬製、分子量2500)の25%
アクリル化物を35重量部、ポリエーテルスルフォン(三
井東圧製、PES1010P)12重量部、イミダゾール硬化
剤(四国化成製、商品名:2E4MZ −CN)2重量部、感光
性モノマーであるカプロラクトン変成トリス(アクロキ
シエチル)イソシアヌレート(東亜合成製、商品名:ア
ロニックスM325 )4重量部、光開始剤としてのベンゾ
フェノン(関東化学製)2重量部、光増感剤としてのミ
ヒラーケトン(関東化学製)0.2 重量部を混合し、これ
らの混合物に対してエポキシ樹脂粒子(三洋化成製、商
品名:ポリマーポール)の平均粒径0.5 μmのものを1
2.0重量部、消泡剤(楠本化成、商品名:ディスパロン1
610)0.5 重量部を混合した後、さらにNMPを添加し
ながら混合し、粘度1.5 Pa・sおよび7.0 Pa・sの層間
絶縁剤(下層)を得た。
【0088】(9) 前記 (6)の基板の両面に、前記(8) で
得られた粘度7.0 Pa・sの層間絶縁剤(下層)をロール
コータで塗布し、水平状態で20分間放置してから、60℃
で乾燥を行い、絶縁剤層2aを形成した。さらに前記(7)
で得られた感光性接着剤溶液(上層)を基板両面に塗布
し、水平状態で20分間放置してから、60℃で30分の乾燥
を行い、厚さ60μmの接着剤層2bを形成した。(図8参
照)
【0089】(10)絶縁剤層2aおよび接着剤層2bからなる
2層構造の樹脂絶縁層2を形成した基板の両面に、 100
μmφの黒円が印刷されたフォトマスクフィルムを密着
させ、超高圧水銀灯により 500mJ/cm2 で露光した。次
いで、これをDMTG溶液でスプレー現像し、さらに、
当該基板を超高圧水銀灯により3000mJ/cm2 で露光し、
100 ℃で1時間、その後 150℃で5時間の加熱処理をす
ることにより、フォトマスクフィルムに相当する寸法精
度に優れた 100μmφの開口(バイアホール形成用開口
6)を有する厚さ50μmの樹脂絶縁層2を形成した(図
9参照)。
【0090】(11)開口が形成された基板を、クロム酸に
2分間浸漬し、接着剤層2bの表面のエポキシ樹脂粒子を
溶解除去することにより、樹脂絶縁層2の表面を粗面と
し、その後、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから
水洗いした(図10参照)。さらに、粗面化処理(粗化深
さ6μm)した該基板の表面に、パラジウム触媒(アト
テック製)を付与することにより、樹脂絶縁層2の表面
およびバイアホール用開口6に触媒核を付けた。
【0091】(12)一方、DMDGに溶解させた40重量%
のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製)
のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴ
マー(分子量4000)を 100重量部、メチルエチルケトン
に溶解させた20重量%のビスフェノールA型エポキシ樹
脂(油化シェル製、商品名:エピコート1001)を32重量
部、イミダゾール硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ
−CN)3.4 重量部、感光性モノマーである多価アクリル
モノマー(日本化薬製、商品名:R604 )6.4 重量部、
同じく感光性モノマーである多価アクリルモノマー(共
栄社化学製、商品名:DPE6A )3.2 重量部を混合し、さ
らにこれらの混合物 100重量部に対し、レベリング剤
(共栄社化学製、商品名:ポリフローNo.75 ) 0.5重量
部を混合して攪拌し、混合液Aを得た。一方、光開始剤
としてのベンゾフェノン(関東化学製)4.3 重量部、光
増感剤としてのミヒラーケトン(関東化学製)0.4 重量
部を40℃に加熱した6.4 重量部のジエチレングリコール
ジメチルエーテル(DMDG)に溶解させて混合液Bを
得た。上記混合液Aと上記混合液Bを混合攪拌し、液状
レジストを得た。
【0092】(13)前記(11)で触媒核付与の処理を終えた
基板の両面に、上記液状レジストをロールコーターを用
いて塗布し、60℃で30分の乾燥を行い、厚さ30μmのレ
ジスト層を形成した。次に、このレジスト層の上に、導
体回路パターンの描画されたフォトマスクフィルムを載
置して 400mJ/cm2 の紫外線を照射し、露光した。そし
て、フォトマスクフィルムを取り除いた後、レジスト層
をDMTGで現像処理し、基板上に導体回路パターン部
の抜けためっき用レジストを形成し、さらに、超高圧水
銀灯にて6000mJ/cm2 で露光し、 100℃で1時間、その
後、150 ℃で3時間の加熱処理を行い、樹脂絶縁層2の
上に永久レジスト3を形成した(図11参照)。
【0093】(14)上記永久レジスト3を形成した基板
に、予め、めっき前処理(具体的には触媒核の活性化)
を施し、その後、下記組成を有する無電解銅−ニッケル
合金めっき浴を用いて一次めっきを行い、レジスト非形
成部分に厚さ約1.7 μmの銅−ニッケル−リンめっき薄
膜を形成した。このとき、めっき浴の温度は60℃とし、
めっき浸漬時間は1時間とした。
【0094】(15)一次めっき処理した基板を、前記めっ
き浴から引き上げて表面に付着しているめっき浴を水で
洗い流し、さらに、その基板を酸性溶液で処理すること
により、銅−ニッケル−リンめっき薄膜表層の酸化皮膜
を除去した。その後、Pd置換を行うことなく、銅−ニッ
ケル−リンめっき薄膜上に、下記組成の無電解銅めっき
浴を用いて二次めっきを施すことにより、アディティブ
法による導体層として必要な20μmの外層導体パターン
5およびバイアホール(BVH )7を形成した(図12参
照)。このとき、めっき浴の温度は50〜70℃とし、めっ
き浸漬時間は90〜360 分とした。 金属塩… CuSO4・5H2O : 8.6 mM 錯化剤…TEA : 0.15M 還元剤…HCHO : 0.02M その他…安定剤(ビピリジル、フェロシアン化カリウム
等):少量 析出速度は、6μm/時間
【0095】(16)このようにしてアディティブ法による
導体層を形成した後、#600 のベルト研磨紙を用いたベ
ルトサンダー研磨により、基板の片面を、永久レジスト
の表層とバイアホールの銅の最上面とが揃うまで研磨し
た。引き続き、ベルトサンダーによる傷を取り除くため
にバフ研磨を行った(バフ研磨のみでもよい)。そし
て、他方の面についても同様に研磨して、基板両面が平
滑なプリント配線基板を形成した。
【0096】(17)そして、硫酸銅8g/l、硫酸ニッケ
ル 0.6g/l、クエン酸15g/l、次亜リン酸ナトリウ
ム29g/l、ホウ酸31g/l、界面活性剤 0.1g/lか
らなるpH=9の無電解めっき液に浸漬し、厚さ3μm
のCu−Ni−P合金からなる粗化層11を形成した(図13参
照)。そしてさらに、前述の工程を繰り返すことにより
(但し、使用する下層の層間絶縁剤は、粘度 1.5Pa・s
のものを使用した。)、アディティブ法による導体層を
更にもう一層形成し、このようにして配線層をビルドア
ップすることにより6層の多層プリント配線板を得た。
【0097】(18)一方、DMDGに溶解させた60重量%
のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製)
のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴ
マー(分子量4000)を 46.67g、メチルエチルケトンに
溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂
(油化シェル製、エピコート1001)15.0g、イミダゾー
ル硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ-CN)1.6 g、感
光性モノマーである多価アクリルモノマー(日本化薬
製、商品名:R604 )3g、同じく多価アクリルモノマ
ー(共栄社化学製、商品名:DPE6A ) 1.5g、分散系消
泡剤(サンノプコ社製、商品名:S−65)0.71gを混合
し、さらにこれらの混合物に対して光開始剤としてのベ
ンゾフェノン(関東化学製)を2g、光増感剤としての
ミヒラーケトン(関東化学製)を0.2 g加えて、粘度を
25℃で 2.0Pa・sに調整したソルダーレジスト組成物を
得た。なお、粘度測定は、B型粘度計(東京計器、 DVL
-B型)で 60rpmの場合はローターNo.4、6rpm の場合は
ローターNo.3によった。
【0098】(19)前記(17)で得られた多層プリント配線
板に、Pd触媒を付与し、この触媒を活性化した後、硫
酸銅8g/l、硫酸ニッケル 0.6g/l、クエン酸15g
/l、次亜リン酸ナトリウム29g/l、ホウ酸31g/
l、界面活性剤 0.1g/l、pH=9からなる無電解め
っき浴にてCu−Ni−P合金からなるめっきを施し、導体
回路表面に粗化層11を形成した。その多層プリント配線
板の両面に上記ソルダーレジスト組成物を20μmの厚さ
で塗布した。次いで、70℃で20分間、70℃で30分間の乾
燥処理を行った後、1000mJ/cm2 の紫外線で露光し、DM
TG現像処理した。そしてさらに、80℃で1時間、 100℃
で1時間、 120℃で1時間、 150℃で3時間の条件で加
熱処理し、パッド部分が開口した(開口径 200μm)ソ
ルダーレジスト層(厚み20μm)14を形成した。
【0099】(20)次に、ソルダーレジスト層14を形成し
た基板を、塩化ニッケル30g/l、次亜リン酸ナトリウ
ム10g/l、クエン酸ナトリウム10g/lからなるpH
=5の無電解ニッケルめっき液に20分間浸漬して、開口
部に厚さ5μmのニッケルめっき層15を形成した。さら
に、その基板を、シアン化金カリウム2g/l、塩化ア
ンモニウム75g/l、クエン酸ナトリウム50g/l、次
亜リン酸ナトリウム10g/lからなる無電解金めっき液
に93℃の条件で23秒間浸漬して、ニッケルめっき層15上
に厚さ0.03μmの金めっき層16を形成した。
【0100】(21)そして、ソルダーレジスト層14の開口
部に、はんだペーストを印刷して 200℃でリフローする
ことによりはんだバンプ17を形成し、はんだバンプ17を
有する多層プリント配線板を製造した(図14参照)。
【0101】(実施例4)(セミアディティブ法) (1) 実施例3の(1) 〜(6) までの処理により、内層導体
回路4の上面、側面、スルーホール9のランド上面、側
面、スルーホール9の内壁面に粗化層11を設けた基板を
得た(図3〜図7参照)。
【0102】(2) DMDGに溶解したクレゾールノボラ
ック型エポキシ樹脂(日本化薬製、分子量2500)の25%
アクリル化物を35重量部、ポリエーテルスルフォン(三
井東圧製、商品名:PES1010P)12重量部、イミダゾ
ール硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ −CN)2重量
部、感光性モノマーであるカプロラクトン変成トリス
(アクロキシエチル)イソシアヌレート(東亜合成製、
商品名:アロニックスM325 )4重量部、光開始剤とし
てのベンゾフェノン(関東化学製)2重量部、光増感剤
としてのミヒラーケトン(関東化学製)0.2 重量部を混
合し、これらの混合物に対してエポキシ樹脂粒子(三洋
化成製、商品名:ポリマーポール)の平均粒径1.0 μm
のものを12.0重量部、消泡剤(サンノプコ製、商品名:
S−65)0.8重量部を混合した後、さらにNMPを添加
しながら混合し、粘度1.5 Pa・sおよび7.0 Pa・sの層
間絶縁剤(下層)を得た。
【0103】(3) 前記(1) で得られた基板の両面に、前
記(2) の層間絶縁剤(粘度7.0 Pa・s) をロールコータ
で塗布し、水平状態で20分間放置してから、60℃で30分
の乾燥を行い、絶縁剤層2aを形成した。さらに実施例3
の(7) で得た感光性接着剤溶液をロールコータを用いて
塗布し、水平状態で20分間放置してから、60℃で30分の
乾燥を行い、厚さ60μmの接着剤層2bを形成した(図8
参照)。
【0104】(4) 絶縁剤層2aおよび接着剤層2bからなる
2層構造の樹脂絶縁層2を形成した基板の両面に、 100
μmφの黒円が印刷されたフォトマスクフィルムを密着
させ、超高圧水銀灯により 500mJ/cm2 で露光した。次
いで、これをDMTG溶液でスプレー現像し、さらに、
当該基板を超高圧水銀灯により3000mJ/cm2 で露光し、
100 ℃で1時間、その後 150℃で5時間の加熱処理をす
ることにより、フォトマスクフィルムに相当する寸法精
度に優れた 100μmφの開口(バイアホール形成用開口
6)を有する厚さ50μmの樹脂絶縁層2を形成した(図
9参照)。なお、バイアホールとなる開口には、図示し
ないスズめっき層を部分的に露出させた。
【0105】(5) 開口が形成された基板を、クロム酸に
1分間浸漬し、接着剤層2bの表面のエポキシ樹脂粒子を
溶解除去することにより、樹脂絶縁層2の表面を粗面と
し、その後、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから
水洗いした(図10参照)。さらに、粗面化処理した該基
板の表面に、パラジウム触媒(アトテック製)を付与す
ることにより、樹脂絶縁層2の表面およびバイアホール
用開口6の内壁面に触媒核を付けた。
【0106】(6) 以下の組成の無電解銅めっき浴中に基
板を浸漬して、粗面全体に厚さ3μmの無電解銅めっき
膜12を形成した(図15参照)。 〔無電解めっき液〕 EDTA 150 g/l 硫酸銅 20 g/l HCHO 30 ml/l NaOH 40 g/l α、α’−ビピリジル 80 mg/l PEG 0.1 g/l 〔無電解めっき条件〕 70℃の液温度で30分
【0107】(7) 前記(6) で形成した無電解銅めっき膜
12上に市販の感光性ドライフィルムを張り付け、マスク
を載置して、 100mJ/cm2 で露光、0.8 %炭酸ナトリウ
ムで現像処理し、厚さ15μmのめっきレジスト3を設け
た(図16参照)。
【0108】(8) ついで、レジスト非形成部分に以下の
条件で電解銅めっきを施し、厚さ15μmの電解銅めっき
膜13を形成した(図17参照)。 〔電解めっき液〕 硫酸 180 g/l 硫酸銅 80 g/l 添加剤(アトテックジャパン製、商品名:カパラシドG
L)1 ml/l 〔電解めっき条件〕 電流密度 1A/dm2 時間 30分 温度 室温
【0109】(9) めっきレジスト3を5%KOH で剥離除
去した後、そのめっきレジスト3下の無電解めっき膜12
を硫酸と過酸化水素の混合液でエッチング処理して溶解
除去し、無電解銅めっき膜12と電解銅めっき膜13からな
る厚さ18μmの外層導体回路(バイアホールを含む)5
を形成した(図18参照)。さらに、その基板を800g/l
のクロム酸中に2分間浸漬して粗化面上に残留している
パラジウム触媒核を除去した。
【0110】(10)外層導体回路5を形成した基板を、硫
酸銅8g/l、硫酸ニッケル 0.6g/l、クエン酸15g
/l、次亜リン酸ナトリウム29g/l、ホウ酸31g/
l、界面活性剤 0.1g/lからなるpH=9の無電解め
っき液に浸漬し、該外層導体回路5の表面に厚さ3μm
の銅−ニッケル−リンからなる粗化層11を形成した(図
19参照)。このとき、形成した粗化層11をEPMA(蛍
光X線分析装置)で分析したところ、Cu:98mol %、N
i:1.5mol%、P:0.5mol%の組成比であった。さら
に、ホウフッ化スズ0.1mol/l、チオ尿素1.0mol/l、
温度50℃、pH=1.2 の条件でCu−Sn置換反応を行い、
前記粗化層11の表面に厚さ 0.3μmのSn層を設けた(Sn
層については図示しない)。なお、前記粗化層11は、Na
OH(10g/l)、NaClO2(40g/l)およびNa3PO4(6
g/l)からなる酸化浴(黒化浴)、NaOH(10g/l)
およびNaBH4 (6g/l)からなる還元浴を用いてエッ
チングすることにより形成したものであってもよい。
【0111】(11)前記 (2)〜(10)の工程を繰り返すこと
により、さらに外層の導体回路を形成し、6層の多層プ
リント配線板を得た。但し、Sn置換は行わなかった(図
20〜図25参照)。 (12)さらに、実施例3の(18)〜(21)までを実施して、は
んだバンプ17を有する多層プリント配線板を製造した
(図26参照)。
【0112】(実施例5)下層の絶縁剤層として、ポリ
エーテルスルフォンを含まない以下に示す成分組成の層
間絶縁剤を用いたこと以外は、実施例4と同様にしては
んだバンプを有する多層プリント配線板を製造した。 〔層間絶縁剤の成分組成〕 クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の25%アクリル化物:35重量部 イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN) :2重量部 感光性モノマー(東亜合成製、M−125 ) :4重量部 光開始剤(チバガイギー製、I907 ) :2重量部 光増感剤(日本化薬製、DETX−S) :0.2 重量部 これらの混合物に対し、 平均粒径 0.5μmのエポキシ樹脂粒子 :15重量部 (三洋化成製、ポリマーポール) 消泡剤(楠本化成製、ディスパロン 1610 ) :0.8 重量部
【0113】(比較例2)下層の絶縁剤層として、平均
粒径 1.0μmのエポキシ樹脂粒子を配合しない層間絶縁
剤を用いたこと以外は、実施例4と同様にしてはんだバ
ンプを有する多層プリント配線板を製造した。
【0114】(比較例3)上層の無電解めっき用接着剤
層のみで層間樹脂絶縁層を構成したこと以外は、実施例
4と同様にしてはんだバンプを有する多層プリント配線
板を製造した。
【0115】(比較例4)下層の絶縁剤層として、平均
粒径 0.5μmのエポキシ樹脂粒子を配合しない層間絶縁
剤を用いたこと以外は、実施例3と同様にしてはんだバ
ンプを有する多層プリント配線板を製造した。
【0116】(比較例5)上層の無電解めっき用接着剤
層のみで層間樹脂絶縁層を構成したこと以外は、実施例
3と同様にしてはんだバンプを有する多層プリント配線
板を製造した。
【0117】このようにして製造した実施例3〜5およ
び比較例2〜5の多層プリント配線板について、層間の
連通の有無、バイアホール用開口部底面の現像残りの有
無を確認した。層間の連通の有無は、電子顕微鏡観察
と、チェッカーによる層間絶縁の有無により確認した。
その評価は、実施例3〜5および比較例2〜5の工程に
従って作成した 100枚の基板のうち、1枚でも連通が生
じた場合に連通有りとした。バイアホール用開口部底面
の現像残りの有無は、バイアホール用開口部を上方から
電子顕微鏡観察したり、断面を電子顕微鏡観察すること
による、樹脂残りの有無により確認した。
【0118】また、実施例3〜5および比較例2〜5の
多層プリント配線板について、128℃で48時間の加熱処
理を施し、バイアホール部分の抵抗値の変化率を測定し
た。このようなヒートショックによる抵抗変化率が大き
いものは、バイアホール用開口部底面に樹脂が残存し、
バイアホールの剥離が生じているものと考えられる。
【0119】さらに、実施例3〜5および比較例2〜5
の多層プリント配線板について、2気圧,121 ℃, 相対
湿度 100% の条件でプレッシャークッカーテスト(P
CT)を実施し、抵抗値の変化率を測定した。これらの
結果を表2に示す。
【0120】
【表2】
【0121】この表に示す結果から明らかなように、本
発明にかかる実施例によれば、バイアホール用開口部か
ら露出するパッド表面が粗化処理されている場合でも、
層間絶縁性を確保したままバイアホール用開口部底面の
現像残りをほぼ完全に除去できる。即ち、内層の導体パ
ターン表面の粗化は、上層に設ける層間樹脂絶縁層との
密着性を改善するために必要であるが、一方でバイアホ
ール用開口部底面に現像残りが発生しやすいという問題
があった。この点、本発明では、このような現像残りに
よる問題が解消される。
【0122】なお、電子顕微鏡観察等で樹脂の現像残り
が無いと確認された場合でも、ヒートショックやPCT
により僅かな抵抗変化が見られた。この理由は、バイア
ホール用開口部底面から露出しているパッド表面には、
Cu−Ni−Pの針状合金めっきが施されており、この針状
の合金間に電子顕微鏡では確認しにくい樹脂が残存して
いるためであると考えられる。
【0123】また、比較例2および4において、抵抗変
化率が大きい理由は、樹脂の現像残りがあること、ある
いはバイアホール用開口部の壁面の下層側が粗化されて
いないことにより、バイアホールが剥離しやすいためで
あると考えられる。実施例5では、PCTにおいても抵
抗値変化が小さい。この理由は、PESを使用していな
いためであると考えられる。
【0124】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、現
像残りに起因した導通不良を招くことなく効率的にバイ
アホールを形成でき、樹脂絶縁層の厚さが薄くてもピー
ル強度特性に優れると同時に、層間の絶縁特性や接続信
頼性などの信頼性にも優れるプリント配線板を安定して
提供することができる。また、本発明によれば、バイア
ホール用開口部底面に露出する下層導体(パッド)表面
が粗化処理されていても、現像残りが発生せず、実用的
な配線板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる樹脂絶縁層にバイアホールを形
成する各処理工程における配線板の状態を示す部分断面
図である。
【図2】実施例における本発明にかかる多層プリント配
線板の一製造工程を示す図である。
【図3】実施例における本発明にかかる多層プリント配
線板の各製造工程を示す図である。
【図4】実施例における本発明にかかる多層プリント配
線板の各製造工程を示す図である。
【図5】実施例における本発明にかかる多層プリント配
線板の各製造工程を示す図である。
【図6】実施例における本発明にかかる多層プリント配
線板の各製造工程を示す図である。
【図7】実施例における本発明にかかる多層プリント配
線板の各製造工程を示す図である。
【図8】実施例における本発明にかかる多層プリント配
線板の各製造工程を示す図である。
【図9】実施例における本発明にかかる多層プリント配
線板の各製造工程を示す図である。
【図10】実施例における本発明にかかる多層プリント配
線板の各製造工程を示す図である。
【図11】実施例における本発明にかかる多層プリント配
線板の各製造工程を示す図である。
【図12】実施例における本発明にかかる多層プリント配
線板の各製造工程を示す図である。
【図13】実施例における本発明にかかる多層プリント配
線板の各製造工程を示す図である。
【図14】実施例における本発明にかかる多層プリント配
線板の各製造工程を示す図である。
【図15】実施例における本発明にかかる多層プリント配
線板の各製造工程を示す図である。
【図16】実施例における本発明にかかる多層プリント配
線板の各製造工程を示す図である。
【図17】実施例における本発明にかかる多層プリント配
線板の各製造工程を示す図である。
【図18】実施例における本発明にかかる多層プリント配
線板の各製造工程を示す図である。
【図19】実施例における本発明にかかる多層プリント配
線板の各製造工程を示す図である。
【図20】実施例における本発明にかかる多層プリント配
線板の各製造工程を示す図である。
【図21】実施例における本発明にかかる多層プリント配
線板の各製造工程を示す図である。
【図22】実施例における本発明にかかる多層プリント配
線板の各製造工程を示す図である。
【図23】実施例における本発明にかかる多層プリント配
線板の各製造工程を示す図である。
【図24】実施例における本発明にかかる多層プリント配
線板の各製造工程を示す図である。
【図25】実施例における本発明にかかる多層プリント配
線板の各製造工程を示す図である。
【図26】実施例における本発明にかかる多層プリント配
線板の各製造工程を示す図である。
【符号の説明】
1 基板 2 樹脂絶縁層 2a 絶縁剤層(層間絶縁剤の層) 2b 接着剤層 3 めっきレジスト 4 内層導体回路(内層銅パターン) 5 外層導体回路(外層銅パターン) 6 バイアホール用開口 7 バイアホール(BVH ) 8 銅箔 9 スルーホール 10 充填樹脂(樹脂充填剤) 11 粗化層 12 無電解銅めっき膜 13 電解銅めっき膜 14 ソルダーレジスト層 15 ニッケルめっき層 16 金めっき層 17 はんだバンプ 18 耐熱性樹脂粒子

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硬化処理によって酸あるいは酸化剤に難
    溶性となる未硬化の耐熱性樹脂中に、酸あるいは酸化剤
    に可溶性の平均粒径 0.1〜2.0 μmの硬化処理された耐
    熱性樹脂粒子を分散して含むことを特徴とする層間絶縁
    剤。
  2. 【請求項2】 上層と下層の導体回路が、樹脂絶縁層に
    よって電気的に絶縁され、この樹脂絶縁層に設けたバイ
    アホールを介して電気的に接続されてなる多層プリント
    配線板において、 前記樹脂絶縁層を、上層を無電解めっき用接着剤を硬化
    してなる接着剤層で構成し、下層を、硬化処理によって
    酸あるいは酸化剤に難溶性となる未硬化の耐熱性樹脂中
    に、酸あるいは酸化剤に可溶性の平均粒径 0.1〜2.0 μ
    mの硬化処理された耐熱性樹脂粒子を分散して含む層間
    絶縁剤を硬化してなる絶縁剤層で構成した、複合層とす
    ることを特徴とする多層プリント配線板。
JP9115139A 1996-03-29 1997-03-28 層間絶縁剤および多層プリント配線板 Pending JPH1098271A (ja)

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