JPH1095839A - 全芳香族サーモトロピック液晶ポリエステルおよび電気電子部品用封止材料 - Google Patents

全芳香族サーモトロピック液晶ポリエステルおよび電気電子部品用封止材料

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JPH1095839A
JPH1095839A JP21710797A JP21710797A JPH1095839A JP H1095839 A JPH1095839 A JP H1095839A JP 21710797 A JP21710797 A JP 21710797A JP 21710797 A JP21710797 A JP 21710797A JP H1095839 A JPH1095839 A JP H1095839A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温で成形することができ、しかも半田付け
等の加工に十分耐え得る耐熱性を保持しているサーモト
ロピック液晶ポリエステルおよびそれからなる電気電子
部品用封止材料を提供する。 【解決手段】 特定の5種類の繰返し構造単位を所定の
割合で含み、かつ固有粘度、または完全溶融温度および
貯蔵弾性率が特定の条件を満たすことを特徴とする全芳
香族サーモトロピック液晶ポリエステルおよび電気電子
部品用封止材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なサーモトロ
ピック液晶ポリエステルおよびそれを用いた電気電子部
品用封止材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、テレ
フタル酸、イソフタル酸、4,4'−ジヒドロキシビフェ
ニルおよびヒドロキノンから得られるサーモトロピック
液晶ポリエステルは、溶融成形が可能であり、かつ流動
性や耐熱性に優れているといわれている。このようなサ
ーモトロピック液晶ポリエステルの特性を利用して、例
えば特開昭60−40163号公報には、p−ヒドロキ
シ安息香酸を含むサーモトロピック液晶ポリエステルを
用いた樹脂による電子部品の封止が示されている。しか
しながら、上記の材料は必ずしも満足すべきものではな
い。例えば、サーモトロピック液晶ポリエステルは一般
に高融点であり、そのため封止に際しては高温の溶融ポ
リエステルが被封止部品と接触する。その結果、被封止
部品としての電気電子部品などの内部の半田接着部分が
再溶融して回路が断線したり、あるいは部品内部に使用
されている絶縁用被覆樹脂もまた再溶融して回路がショ
ートを起こす等の問題が生じる。この対策として、単に
樹脂自体の成形温度を低くするだけでは、耐熱性も同時
に低下するため、一度樹脂封止した部品を回路基板等に
半田付けする場合に、封止樹脂自体が変形や再溶融を起
こすことがあり好ましくない。
【0003】一方、特に封止用材料を目的としたもので
はないが、p−ヒドロキシ安息香酸(HBA)、4,4'
−ジヒドロキシビフェニル(ビフェノール:BP)、ヒ
ドロキノン(HQ)、テレフタル酸(TPA)、イソフ
タル酸(IPA)からなる5元系のサーモトロピック液
晶ポリエステルが従来いくつか提案されている。例え
ば、特開昭63−39918号公報、特開昭63−57
633号公報、特開平3−52921号公報、特開昭6
0−38425号公報、特公表03−501749号公
報およびアメリカ特許第5066767号公報等であ
る。ここで、特開昭63−39918号公報、特開昭6
3−57633号公報、特開平3−52921号公報、
特公表03−501749号公報およびアメリカ特許第
5066767号公報に記載されたサーモトロピック液
晶ポリエステルを封止材料として用いた場合には、成形
温度が高いため、前記のように断線やショートが起こる
などの問題が生じる。一方、特開昭60−38425号
公報に記載されたサーモトロピック液晶ポリエステルを
封止材料として用いた場合には、成形温度が十分に低い
ために断線やショートの問題が発生する可能性は少ない
が、耐熱性が低くなるため、一旦封止した後に半田付け
等の加工を行う際に、封止樹脂の再溶融や変形を起こす
可能性がある。このように電気電子部品用の封止材料
は、低い成形温度と高い耐熱性という一見相反する物性
を充足する必要があり、この点において、上記従来の5
元系のサーモトロピック液晶ポリエステルでは不十分で
あった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、電気電
子部品用の封止材料として使用するサーモトロピック液
晶ポリエステルは、断線やショートを起こさないために
十分に低い温度で成形することができ、かつ半田付け等
の後加工に十分耐え得る耐熱性を保持していなければな
らない。すなわち、本発明は、上記5成分に代表される
原料からなり、しかも成形温度が低く、耐熱性に優れた
サーモトロピック液晶ポリエステルおよびそれからなる
電気電子部品用封止材料を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく鋭意検討した結果、p−ヒドロキシ安息
香酸、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4'−ジヒドロ
キシビフェニルおよびヒドロキノンに代表される構造単
位について特定の組成比を有し、好ましくは完全溶融温
度、および貯蔵弾性率(G')の変化率において特定の
条件を満たす全芳香族サーモトロピック液晶ポリエステ
ルが、成形温度において著しく低く、かつ優れた耐熱性
を有することを見出して本発明を完成するに至った。本
発明の第1は、次の式〔a〕〜〔e〕により表される繰
返し構造単位からなり、
【0006】
【化3】
【0007】かつ以下の条件(1)〜(5)を満たすこ
とを特徴とする全芳香族サーモトロピック液晶ポリエス
テルに関するものである。 (1)式〔a〕の構造単位の含有割合(mol%、以下
「(a)」と略す、その他同様)が全体の55〜67mol
%、(2)(b)+(c)および(d)+(e)がいずれも全体
の16.5〜22.5mol%、(3)(b)/(c)のモル比
が30/70〜50/50、(4)(d)/(e)のモル比
が50/50〜90/10、および(5)ペンタフルオ
ロフェノール中において60℃で測定した固有粘度が
0.3〜10dl/g。本発明の第2は、上記式〔a〕〜
〔e〕により表される繰返し構造単位からなり、かつ以
下の条件(1)〜(6)を満たすことを特徴とする全芳
香族サーモトロピック液晶ポリエステルに関するもので
ある。 (1)(a)が全体の55〜67mol%、(2)(b)+
(c)および(d)+(e)がいずれも全体の16.5〜22.
5mol%、(3)(b)/(c)のモル比が30/70〜5
0/50、(4)(d)/(e)のモル比が50/50〜9
0/10、(5)キャピラリーレオメーターで測定した
見かけ粘度から求めた完全溶融温度が270〜330
℃、および(6)プレス成形で作製した平板の貯蔵弾性
率(G')の150℃における値より20%低い値を示
す温度が260℃以上。本発明の第3は、上記本発明の
第1または本発明の第2の全芳香族サーモトロピック液
晶ポリエステルと、組成物全体に対し10〜90重量%
の無機充填材とを含む組成物に関するものである。本発
明の第4は、上記本発明の第1または本発明の第2の全
芳香族サーモトロピック液晶ポリエステルと、材料全体
に対し10〜90重量%の無機充填材とを含む電気電子
部品用封止材料に関するものである。
【0008】以下に本発明をさらに詳しく説明する。本
発明における上記式〔a〕の繰返し構造単位に該当する
モノマーとしては、p−ヒドロキシ安息香酸およびその
機能誘導体が挙げられる。機能誘導体としては、エステ
ル化反応により式〔a〕の繰返し構造単位が誘導され得
るモノマー、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸フェニ
ル、p−アセトキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸
メチル、p−アセトキシ安息香酸メチルなどが例示され
る。これらのモノマーは単独でもまた混合物としても使
用することができる。上記式〔b〕の繰返し構造単位に
該当するモノマーとしては、テレフタル酸およびその機
能誘導体が挙げられる。機能誘導体としては、エステル
化反応により式〔b〕の繰返し構造単位が誘導され得る
モノマー、例えば、テレフタル酸のジフェニルエステ
ル、同ジメチルエステル、同ジエチルエステルなどが例
示される。これらのモノマーは単独でもまた混合物とし
ても使用することができる。上記式〔c〕の繰返し構造
単位に対応するモノマーとしては、イソフタル酸および
その機能誘導体が挙げられる。機能誘導体としては、エ
ステル化反応により式〔c〕の繰返し構造単位が誘導さ
れ得るモノマー、例えば、イソフタル酸のジフェニルエ
ステル、同ジメチルエステル、同ジエチルエステルなど
が例示される。これらのモノマーは単独でもまた混合物
としても使用することができる。また上記式〔d〕の繰
返し構造単位に該当するモノマーとしては、4,4'−ジ
ヒドロキシビフェニルおよびその機能誘導体が挙げられ
る。機能誘導体としては、エステル化反応により式
〔d〕の繰返し構造単位が誘導され得るモノマー、例え
ば、ジアセトキシビフェニルなどが例示される。これら
のモノマーは単独でもまた混合物としても使用すること
ができる。また上記式〔e〕の繰返し構造単位に該当す
るモノマ−としては、ヒドロキノンおよびその機能誘導
体が挙げられる。機能誘導体としては、エステル化反応
により式〔e〕の繰返し構造単位が誘導され得るモノマ
ー、例えば、ジアセトキシベンゼンが例示される。これ
らのモノマーは単独でもまた混合物としても使用するこ
とができる。
【0009】上記式〔a〕の構造単位の含有割合(a)
は、全芳香族サーモトロピック液晶ポリエステル全体の
55〜67mol%であることが必要である。55mol%未
満では液晶ポリエステルの耐熱性が不十分となり、また
67mol%より多いと成形温度が高くなるため好ましく
ない。上記式〔b〕および式〔c〕の構造単位につい
て、(b)+(c)は全芳香族サーモトロピック液晶ポリエ
ステル全体の16.5〜22.5mol%であり、また(b)
/(c)のモル比は30/70〜50/50の範囲である
ことが必要である。(b)+(c)の合計に対し(c)が70
mol%より多いと耐熱性が不十分となり、50mol%未満
では成形温度が高すぎて好ましくない。上記式〔d〕お
よび式〔e〕の構造単位について、(d)+(e)は全体の
16.5〜22.5mol%であり、また(d)/(e)のモル
比は50/50〜90/10の範囲であることが必要で
ある。(d)+(e)の合計に対し(d)が50mol%未満で
は成形温度が高すぎ、90mol%より多いと耐熱性が低
すぎるので好ましくない。また、上記構成の全芳香族サ
ーモトロピック液晶ポリエステルは、ペンタフルオロフ
ェノール中において60℃で測定された固有粘度が0.
3〜10dl/g の範囲にあることが必要である。固有粘
度が0.3dl/g 未満では機械的強度が不足し、また10
dl/g より大きいものは成形性が劣るのでいずれも好ま
しくない。
【0010】前記式〔a〕〜〔e〕により表される繰返
し構造単位からなり、かつ各繰返し単位の含有割合が前
記(1)〜(4)の関係を満足するような本発明の全芳
香族サーモトロピック液晶ポリエステルは、封止材料と
して好ましく使用される。さらに封止材料としては、キ
ャピラリーレオメーターで測定した見かけ粘度から求め
られる完全溶融温度が270〜330℃の範囲にあるこ
とが望ましい。見かけ粘度の測定においては、キャピラ
リーとして径1.0mm、長さ40mm、流入角90°
のものを用い、240℃から+4℃/分の昇温速度で等
速加熱を行いつつ、剪断速度100sec-1でポリエステ
ルの見かけ粘度を測定して、見かけ粘度−温度曲線を求
める。サーモトロピック液晶ポリエステルを上記の方法
で測定した場合、液晶相と結晶相が混在する状態では見
かけ粘度の温度に対する変化が急激になり、また、ほと
んど全体が溶融して液晶相のみとなった状態では見かけ
粘度の温度に対する変化は緩やかになる(図1参照)。
得られた曲線について、見かけ粘度の温度に対する変化
が急激な領域の近似直線と、見かけ粘度の温度に対する
変化が緩やかな領域の近似直線との交点に対応する温度
を求めて「完全溶融温度」とする。図1は、見かけ粘度
−温度曲線を用いて完全溶融温度を求める方法を示す説
明図である。
【0011】全芳香族液晶ポリエステルの射出成形は、
この完全溶融温度付近において安定に行うことができ
る。完全溶融温度より低い温度で射出成形を行うと、シ
ョートショット等の問題が発生し、完全溶融温度より著
しく高い温度では、樹脂の発泡や劣化が起こり安定な成
形を行うことができない。また、完全溶融温度は、DS
Cで測定される融点とは必ずしも一致しない。完全溶融
温度がDSCで測定される融点より20℃近く高くなる
場合もあるので、射出成形温度を決定する指標として
は、見かけ粘度−温度曲線から求めた完全溶融温度を用
いる方が好ましい。このようにして測定した完全溶融温
度は、前記のように270〜330℃の範囲にあること
が好ましい。さらに好ましくは280〜320℃の範囲
である。完全溶融温度が330℃より高いと、被封止部
品としての電気電子部品内部の半田接着部分が再溶融し
て回路が断線したり、部品内部に使用されている絶縁用
被覆樹脂もまた再溶融して回路がショートを起こす等の
問題が生じるので好ましくない。また、完全溶融温度が
270℃未満では、耐熱性が著しく低下して、一度樹脂
封止した部品を回路基板等に半田付けする場合に、封止
樹脂自体の変形や再溶融を起こすことがあり好ましくな
い。
【0012】さらに封止材料としては、プレス成形で作
製した平板の貯蔵弾性率(G')の150℃における値
より20%低い値を示す温度が260℃以上であること
が好ましい。ここで貯蔵弾性率とは、動的粘弾性の測定
により得られる値である。動的粘弾性測定用の試験片と
しては、キャピラリーレオメーターを用いて求めた完全
溶融温度より15℃高い温度および圧力5kg/cm2の条件
で試料をプレス成形して得た幅10mm、長さ60〜8
0mm、厚さ1〜5mmの平板を用いる。上記の条件で
プレス成形を行う限り、プレス成形に用いる装置および
方法は特に限定されない。貯蔵弾性率(G')の測定に
おいては、上記のプレス成形で得られた平板の一方の端
を固定し、もう一方の端を6.28rad の角度で水平面
上でねじり運動を行わせて、発生するトルクから貯蔵弾
性率(G')を求める。このとき50℃から 300
℃まで+2℃/分の昇温速度で等速加熱を行いつつ上記
測定を行って、貯蔵弾性率(G')−温度曲線を求め
る。得られた曲線上で150℃における貯蔵弾性率
(G')の値を求め、この値より20%低い値を示す曲
線上の点に対応する温度(以下、「20%低下温度」と
いう)を求める。換言すれば、150℃における貯蔵弾
性率の80%の値を示す温度である。ここで、150℃
における貯蔵弾性率(G')を20%低下温度の基準点
にした理由は以下の通りである。すなわち、全芳香族液
晶ポリエステルは100℃付近にガラス転移点を有する
場合がある。従って、100℃付近では、貯蔵弾性率
(G')の温度による変化が大きくなり再現性が得られ
難く、基準点とするには好ましくない。また、ガラス転
移温度以下では、平板内部に残存する成形ひずみの影響
のため、同じサンプルを測定しても貯蔵弾性率(G')
の値がばらつく傾向がある。このように、再現性のある
測定結果を得るためには、相転移や成形ひずみの影響が
ない、ガラス転移温度以上の温度を基準点とするのが好
ましく、本発明においては150℃の貯蔵弾性率
(G')を基準とした。
【0013】図2は、貯蔵弾性率(G')−温度曲線を
用いて20%低下温度を求める方法を示す説明図であ
る。この20%低下温度は、耐熱性を表すパラメータで
あり、射出成形品の半田耐熱性と相関関係が認められ
る。本発明においては、上記の方法で求めた20%低下
温度が260℃以上のサーモトロピック液晶ポリエステ
ルであることが好ましい。20%低下温度が260℃未
満では、耐熱性が著しく低くなり、半田工程において封
止樹脂自体の変形や再溶融を起こすため好ましくない。
すなわち、本発明の樹脂は、上記の方法で求めた20%
低下温度が260℃以上であるために、一旦封止した樹
脂封止部品を半田浴(浴温度は通常280℃)に浸漬し
ても、樹脂封止部品における封止樹脂自体はある程度の
機械的強度を保持することができる。従って、樹脂封止
部品においてすでに封止を行った樹脂は、半田付けの際
に加熱されたり圧力を受けても変形等を起こすことが少
なく、半田耐性を示す。なお、半田浴に浸漬する場合
に、必ずしも浸漬した部品全体が浴温度まで加熱される
ことはない。従って、上記方法で求めた20%低下温度
の限界値は280℃ではなく260℃とした。また、2
0%低下温度の上限値は高い方が好ましく、特に限定さ
れないが、通常は350℃以下、好ましくは330℃以
下である。
【0014】封止材料として好ましいサーモトロピック
液晶ポリエステルは、共重合に用いるモノマーの種類、
触媒、重合条件等を適宜に選択し、得られたサーモトロ
ピック液晶ポリエステルの固有粘度、完全溶融温度およ
び20%低下温度がそれぞれ前記特定の範囲に含まれる
ように重合することが重要である。すなわち、これらの
パラメーターを指標として、モノマーの種類、触媒、重
合条件等を変更することができる。具体的には、本発明
の全芳香族ポリエステルは従来のポリエステルの重縮合
法に準じて製造することができ、製造方法に特に制限は
ないが、代表的な方法として例えば次の(1)〜(4)
が挙げられる。 (1)芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物、芳香
族ヒドロキシカルボン酸のアシル化物および芳香族ジカ
ルボン酸から脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。 (2)芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族ヒドロキシカ
ルボン酸および芳香族ジカルボン酸、ならびに無水酢酸
から脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。 (3)芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族ジカルボン酸
のジフェニルエステル、および芳香族ヒドロキシカルボ
ン酸のフェニルエステルから脱フェノール重縮合により
製造する方法。 (4)芳香族ヒドロキシカルボン酸および芳香族ジカル
ボン酸を所望量のジフェニルカーボネートと反応させ、
カルボキシル基をフェニルエステル化した後、芳香族ジ
ヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応によ
り製造する方法。 例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4'−ジヒドロキ
シビフェニル、テレフタル酸、イソフタル酸およびヒド
ロキノンを反応器に入れ、無水酢酸を加えて無水酢酸還
流下にアセトキシ化を行い、その後昇温して250〜3
50℃の温度範囲で酢酸を留出しながら脱酢酸重縮合を
行うことによりポリエステル前駆体が得られる。重合時
間は1時間〜数十時間の範囲で選択することができる。
【0015】重縮合反応に使用する触媒としては、酢酸
マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、
酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチ
モン、金属触媒が代表的であり、特に脱フェノール重縮
合の際に有効である。
【0016】本発明の全芳香族ポリエステルは、上記の
重縮合方法のそれぞれについて溶融重合と固相重合を併
用して製造することが望ましい。すなわち、溶融重合に
より重縮合を終えたポリマーを固相重合によりさらに高
度に重合する製造方法である。固相重合には公知の方法
を使用することができる。例えば、溶融重合により得ら
れたポリエステルのプレポリマーを、窒素などによる不
活性雰囲気下において、200〜350℃の温度範囲で
1時間〜30時間熱処理することにより行われる。
【0017】また、重合器は特に限定されるものではな
いが、一般の高粘度反応に用いられる攪拌設備、例え
ば、錨型、多段型、螺旋帯、螺旋軸等の各種形状の攪拌
機またそれらを変形したものを具備する攪拌槽型重合
器、具体的にはワーナー式ミキサー、バンバリーミキサ
ー、ポニーミキサー、ミューラーミキサー、ロールミ
ル、連続操作可能なコニーダー、パグミル、ギヤーコン
パウンダーなどから選ばれるものが望ましい。
【0018】上記のようにして得られた本発明の全芳香
族ポリエステルは、単独であるいは他の全芳香族ポリエ
ステルと混合して使用することができる。また、本発明
の全芳香族ポリエステルは、主として機械的強度の向上
のために、繊維状、粉粒状、板状などの無機または有機
充填材を配合することができる。繊維状の充填材として
は、ガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、シリカ
アルミナ繊維、チタン酸カリウム繊維、炭素もしくは黒
鉛繊維、さらにアルミニウム、チタン、銅などの金属の
繊維状物などの無機繊維状物質が挙げられる。代表的な
ものはガラス繊維である。一方、粒状充填材としては、
カーボンブラック、黒鉛、シリカ、石英粉末、ガラスビ
ーズ、ミルドガラスファイバー、ガラスバルーン、ガラ
ス粉、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、タル
ク、クレー、ケイ藻土、ウォラストナイトのようなケイ
酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化アンチモ
ン、アルミナ、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、その
他各種の金属粉末が挙げられる。また、板状充填材とし
ては、マイカ、ガラスフレーク、各種の金属箔などが挙
げられる。そのほか、有機充填材の例としては、芳香族
ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリイミドなどから
なる耐熱性高強度の繊維などが挙げられる。これらの充
填材は、必要に応じあらかじめ従来公知の集束剤または
表面処理剤により処理することができる。
【0019】また、上記以外に従来公知の酸化防止剤、
熱安定剤、増量剤、補強剤、顔料、難燃化剤等の種々の
添加剤を適宜の量添加してもよい。これらの添加剤およ
び充填材は1種または2種以上を併用することができ
る。
【0020】無機充填材を用いる場合に、その配合量は
組成物全体に対して10重量%以上、90重量%以下、
好ましくは80重量%以下である。90重量%より多い
無機充填材を配合すると、機械的強度はむしろ低下する
ので好ましくない。
【0021】上記のようにして得られる本発明のサーモ
トロピック液晶ポリエステルは、優れた特性により、従
来公知の成形法、例えば、押出成形、射出成形、圧縮成
形、ブロー成形などの通常の溶融成形に供して、繊維、
フィルム、三次元成形品、容器、ホースなどに加工し成
形品を得ることができる。
【0022】なお、このようにして得られた成形品は、
熱処理によって強度を増大させることができ、弾性率も
多くの場合向上させることができる。この熱処理は、成
形品を不活性雰囲気(例えば窒素、アルゴン、ヘリウム
または空気)中、酸素含有雰囲気(例えば空気)中また
は減圧下において、ポリマーの融点以下の温度で加熱す
ることによって行うことができる。
【0023】封止材料に配合する無機充填材としては、
熱膨張が小さく、熱伝導率が大きく、かつ電気電子部品
の電気的動作を妨害する懸念のある有害物質をできる限
り除去した無機充填材であれば、特に限定されない。好
ましくは、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化
亜鉛、ケイ酸チタン、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸リチ
ウムアルミニウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、
チタン酸アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ
素、タルク、マイカ等の球状粒子や破砕粒子およびガラ
スビーズ、ガラスファイバー等が例示される。
【0024】封止材料に用いる粒状充填材の粒径、また
は繊維状充填材の直径およびアスペクト比等は、適宜に
任意の範囲から選択して使用することができる。これら
の充填材は単独で用いることができ、また2種以上を混
合することもできる。これらの内では、流動性と耐熱性
の両方を考慮すると、シリカ、アルミナ、ガラスビー
ズ、ガラスファイバーおよびタルクから選ばれる1種ま
たは2種以上の混合物が好ましい。
【0025】封止材料としての流動性および耐熱性を良
好に保つためには、充填材の量を樹脂組成物全体に対し
て前述のように10〜90重量%配合することが好まし
く、30〜65重量%が特に好ましい。10重量%未満
では熱膨張率や熱伝導率があまり向上せず、一方90重
量%より多いと樹脂の流動性が低下し、表面状態が劣る
ものになるので、いずれも好ましくない。
【0026】本発明の封止材料を得るための配合および
その封止材料による電子部品の封止は、公知の方法によ
り適宜に行うことができる。例えば、封止方法として
は、樹脂温度270〜330℃、金型温度20〜170
℃で射出成形し、対象とする電気電子部品を例えばイン
サート成形により封止することができる。
【0027】
【発明の実施の態様】以下に実施例により本発明をさら
に詳しく説明する。なお、以下の各実施例および比較例
により得られた全芳香族ポリエステルは、常法により測
定したところいずれも溶融時に光学的異方性を示した。
【実施例】
<測定方法>実施例に示されている物性値は、次の方法
で測定した。 (1)完全溶融温度 キャピラリーレオメーター(商品名:モデル 201
0、インテスコ(株)製)を用い、前記の方法により測定
する。 (2)貯蔵弾性率 動的粘弾性測定装置(商品名:RDS−II、レオメトリ
ックス(株)製)を用い、試験片として幅10mm、長さ
70mm、厚さ3mmの平板を用いて、前記の方法によ
り測定する。 (3)半田耐熱性 製造したサーモトロピック液晶ポリエステルにミルドガ
ラスファイバー40重量%を混合して、二軸押出機で混
練造粒し、ペレット状の成形材料を得る。ペレットを射
出成形機(アキュムレーター付;商品名:SG−Syc
ap.M III、住友重機械工業(株)製)を用いて完全溶
融温度で成形し、長さ50mm、幅10mm、厚さ1m
mの試験片を作製する。この試験片を280℃の半田浴
槽に浸漬し、変形もしくはブリスター(内部発生ガスに
よる膨れ)が発生するまでの時間を比較する。 (4)コイル素子の変化量 半田耐熱性の測定に用いたものと同じ成形材料を、射出
成形機を用いて、所定のシリンダー温度、金型温度30
℃でコイル素子の封止成形を行い、得られた封止部品を
軟X線投影装置により撮影してコイル素子の変化量(ズ
レ)を測定する。
【0028】<実施例1>錨型攪拌翼を有し、重合槽の
槽壁と攪拌翼とのクリアランスの小さい重合槽に、p−
ヒドロキシ安息香酸 1238.09g(8.96モ
ル)、4,4'−ジヒドロキシビフェニル 357.54g
(1.92モル)、テレフタル酸 292.39g
(1.76モル)、イソフタル酸 292.39g(1.7
6モル)およびヒドロキノン 176.16g(1.60
モル)を入れ、無水酢酸 1713.6gを加えて、15
0℃で3時間無水酢酸還流下でアセトキシ化反応を行っ
た。その後、1℃/分の速度で昇温しながら酢酸を留去
し、温度が280℃に達した後その温度で 45分間保
持した。次いで、300℃まで1℃/分の速度で昇温し
て30分間保持し、さらに330℃まで1℃/分で昇温
後、10分間保持し、その後、得られた重合体を抜き出
し口より取り出した。取り出した重合体を粉砕機により
粉砕し、窒素雰囲気下で250℃まで120分で昇温
し、250℃で固相重合を行った。キャピラリーレオメ
ーターで測定した完全溶融温度における見かけ粘度が2
00poise になった時点を固相重合の終点とした。得ら
れた重合体の固有粘度を、ペンタフルオロフェノール中
の0.1重量%溶液として60℃で測定したところ、
1.2dl/g であった。さらに貯蔵弾性率の温度依存性を
測定し、20%低下温度を求め、半田耐熱性およびコイ
ル素子の変化量も測定した。原料成分の配合割合を表1
に、また得られた重合体の固有粘度、完全溶融温度、2
0%低下温度、半田耐熱性、コイル素子の変化量および
成形温度を表2に示す。
【0029】<実施例2>実施例1と同様の装置を用
い、p−ヒドロキシ安息香酸 1326.53g(9.6
0モル)、4,4'−ジヒドロキシビフェニル 387.3
4g(2.08モル)、テレフタル酸 265.81g
(1.60モル)、イソフタル酸 265.81g(1.6
0モル)、ヒドロキノン 123.31g(1.12モ
ル)を入れて、無水酢酸 1713.6gを加え、実施例
1と同様にして重合体を得た後、実施例1と同様の測定
を行った。組成および測定結果を表1および表2に示
す。
【0030】<実施例3>実施例1と同様の装置を用
い、p−ヒドロキシ安息香酸 1326.53g(9.6
0モル)、4,4'−ジヒドロキシビフェニル 327.7
5g(1.76モル)、テレフタル酸 212.65g
(1.28モル)、イソフタル酸 318.97g(1.9
2モル)、ヒドロキノン 158.54g(1.44モ
ル)を入れて、無水酢酸 1713.6gを加え、実施例
1と同様にして重合体を得た後、実施例1と同様の測定
を行った。組成および測定結果を表1および表2に示
す。
【0031】<実施例4>実施例1と同様の装置を用
い、p−ヒドキシ安息香酸 1414.96g(10.2
4モル)、4,4'−ジヒドロキシビフェニル 446.9
3g(2.40モル)、テレフタル酸 159.48g
(0.96モル)、イソフタル酸318.97g(1.9
2モル)およびヒドロキノン 52.85g(0.48モ
ル)を入れて、無水酢酸 1713.6gを加え、実施例
1と同様に重合体を得た後、実施例1と同様の測定を行
った。組成および測定結果を表1および表2に示す。
【0032】<実施例5>実施例1と同様の装置を用
い、p−ヒドロキシ安息香酸 1326.52g(9.6
0モル)、4,4'−ジヒドロキシビフェニル 506.5
1g(2.72モル)、テレフタル酸 186.07g
(1.12モル)、イソフタル酸345.55g(2.0
8モル)およびヒドロキノン 52.85g(0.48モ
ル)を入れ、無水酢酸 1713.6gを加えて、実施例
1と同様にして重合体を得た後、実施例1と同様の測定
を行った。組成および測定結果を表1および表2に示
す。
【0033】<比較例1>実施例1と同様の装置を用
い、p−ヒドロキシ安息香酸 1547.62g(11.
2モル)、4,4'−ジヒドロキシビフェニル 223.4
5g(1.2モル)、テレフタル酸 132.90g(0.
8モル)、イソフタル酸 265.81g(1.6モル)
およびヒドロキノン 132.12g(1.2モル)を入
れて、無水酢酸 1713.6gを加え、実施例1と同様
にして重合体を得た後、実施例1と同様の測定を行っ
た。組成および測定結果を表1および表2に示す。
【0034】<比較例2>実施例1と同様の装置を用
い、p−ヒドロキシ安息香酸 1105.44g(8.0
モル)、4,4'−ジヒドロキシビフェニル 372.42
g(2.0モル)、テレフタル酸 332.26g(2.0
モル)、イソフタル酸 332.26g(2.0モル)お
よびヒドロキノン 220.20g(2.0モル)を入れ
て、無水酢酸 1713.6gを加え、実施例1と同様に
して重合体を得た後、実施例1と同様の測定を行った。
組成および測定結果を表1および表2に示す。
【0035】<比較例3>実施例1と同様の装置を用
い、p−ヒドロキシ安息香酸 1238.09g(8.9
6モル)、4,4'−ジヒドロキシビフェニル 268.1
6g(1.44モル)、テレフタル酸 292.39g
(1.76モル)、イソフタル酸 292.39g(1.7
6モル)およびヒドロキノン 229.01g(2.08
モル)を入れて、無水酢酸 1713.6gを加え、実施
例1と同様にして重合体を得た後、実施例1と同様の測
定を行った。組成および測定結果を表1および表2に示
す。
【0036】<比較例4>実施例1と同様の装置を用
い、p−ヒドロキシ安息香酸 1238.09g(8.9
6モル)、4,4'−ジヒドロキシビフェニル 655.4
9g(3.52モル)、テレフタル酸 292.39g
(1.76モル)およびイソフタル酸292.39g
(1.76モル)を入れて、無水酢酸 1713.6gを
加え、実施例1と同様にして重合体を得た後、実施例1
と同様の測定を行った。組成および測定結果を表1およ
び表2に示す。
【0037】<比較例5>実施例1と同様の装置を用
い、p−ヒドロキシ安息香酸 1326.53g(9.6
0モル)、4,4'−ジヒドロキシビフェニル 387.3
4g(2.08モル)、テレフタル酸 106.32g
(0.64モル)、イソフタル酸 425.29g(2.5
6モル)およびヒドロキノン 123.31g(1.12
モル)を入れて、無水酢酸 1713.6gを加え、実施
例1と同様にして重合体を得た後、実施例1と同様の測
定を行った。組成および測定結果を表1および表2に示
す。
【0038】<比較例6> 〔特開昭63−39918号公報記載の実施例1と同じ
モノマー組成の重合体〕本発明の実施例1と同様の装置
を用い、p−ヒドロキシ安息香酸1326.53g(9.
60モル)、4,4'−ジヒドロキシビフェニル 405.
48g(2.18モル)、テレフタル酸 398.40g
(2.40モル)、イソフタル酸132.80g(0.8
0モル)およびヒドロキノン 112.20g(1.02
モル)を入れて、無水酢酸 1713.6gを加え、実施
例1と同様にして重合体を得た後、実施例1と同様の測
定を行った。組成および測定結果を表1および表2に示
す。
【0039】<比較例7> 〔特開昭63−57633号公報記載の実施例1と同じ
モノマー組成の重合体〕本発明の実施例1と同様の装置
を用い、p−ヒドロキシ安息香酸 948.47g(6.
87モル)、4,4'−ジヒドロキシビフェニル 405.
21g(1.76モル)、テレフタル酸 608.70g
(3.66モル)、イソフタル酸150.18g(0.9
0モル)およびヒドロキノン 309.16g(2.81
モル)を入れて、無水酢酸 1713.6gを加え、実施
例1と同様にして重合体を得た後、実施例1と同様の測
定を行った。組成および測定結果を表1および表2に示
す。
【0040】<比較例8> 〔特開平3−52921号公報記載の実施例1と同じモ
ノマー組成の重合体〕本発明の実施例1と同様の装置を
用い、p−ヒドロキシ安息香酸1015.68g(7.3
6モル)、4,4'−ジヒドロキシビフェニル 386.8
8g(2.08モル)、テレフタル酸 531.20g
(3.20モル)、イソフタル酸185.92g(1.1
2モル)およびヒドロキノン 246.40g(2.24
モル)を入れて、無水酢酸 1713.6gを加え、実施
例1と同様にして重合体を得た後、実施例1と同様の測
定を行った。組成および測定結果を表1および表2に示
す。
【0041】<比較例9> 〔特開昭60−38425号公報記載の実施例13と同
じモノマー組成の重合体〕本発明の実施例1と同様の装
置を用い、p−ヒドロキシ安息香酸1190.56g
(8.62モル)、4,4'−ジヒドロキシビフェニル 1
13.22g(0.61モル)、テレフタル酸 146.1
9g(0.88モル)、イソフタル酸467.82g
(2.82モル)およびヒドロキノン 338.23g
(3.07モル)を入れて、無水酢酸 1713.6gを
加え、実施例1と同様にして重合体を得た後、実施例1
と同様の測定を行った。組成および測定結果を表1およ
び表2に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】表1および表2において比較例1、2と実
施例1〜5を比較すると、テレフタル酸(TPA)/イ
ソフタル酸(IPA)比、ビフェノール(BP)/ヒド
ロキノン(HQ)比が本発明の特許請求の範囲内にあっ
ても、p−ヒドロキシ安息香酸(HBA)の含有割合が
適正な範囲から外れる場合には、HBAが多すぎると
(比較例1)、20%低下温度は260℃以上になり、
半田耐熱性も十分であるが、完全溶融温度が高すぎて低
温での成形が困難になり、結果として半田の再溶融が発
生し、そのためコイルの変化量が非常に大きくなる。逆
にHBAが少なすぎると(比較例2)、成形温度が低
く、コイルの変化量も小さくなるが、20%低下温度が
260℃よりも低くなり、結果として半田耐熱性が著し
く低下する。比較例3〜6と実施例を比べると、HBA
の含有割合が適正な範囲内にあっても、BP/HQ比が
低すぎたり(比較例3)TPA/IPA比が高すぎたり
(比較例6)すると、比較例1の場合と同様に、20%
低下温度および半田耐熱性は十分な性能を有するが、低
温での成形が困難になり、コイルの変化量が非常に大き
くなる。逆にBP/HQ比が高すぎたり(比較例4)、
TPA/IPA比が低すぎたり(比較例5)すると、低
温で成形が可能であり、コイルも余り変化しないが、耐
熱性に劣る結果となり、いずれかの物性が要求を満たす
ことができない。比較例6〜9は、それぞれ特開昭63
−39918号、特開昭63−57633号、特開平3
−52921号および特開昭60−38425号の各公
報記載の実施例と同じモノマー組成で行った結果である
が、これらの実施例はすべて本発明の特許の請求範囲か
ら逸脱しており、その結果いずれかの物性が要求を満た
していないことがわかる。
【0045】一方、実施例1〜5の結果によれば、HB
Aの含有割合、TPA/IPA比およびBP/HQ比が
すべて適正な範囲内にある場合、成形温度は310℃前
後であり、十分に低温で成形が可能であり、コイル素子
の変化量も非常に少ない。また、20%低下温度は26
0℃以上であり、半田耐熱性も、低温で成形することが
できた比較例に比べて著しく向上している。上記の結果
から、本発明のサーモトロピック液晶ポリエステルは、
成形温度が非常に低く、しかも耐熱性に優れているとい
う相反する両特性を兼ね備えていることがわかる。
【0046】
【発明の効果】本発明のサーモトロピック液晶ポリエス
テルは、特定の組成および特定の物性を有していること
により、封止材料として用いた場合に低温による封止成
形が可能であり、封止した電気電子部品の内部素子の損
傷を少なくすることができ、しかも耐熱性の低下は少な
いので、半田付け等の後加工時においても十分な耐熱性
を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】見かけ粘度−温度曲線を用いて完全溶融温度を
求める方法を示す説明図である。
【図2】貯蔵弾性率(G')−温度曲線を用いて150
℃の値よりも20%低い値に相当する温度を求める方法
を示す説明図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の式〔a〕から〔e〕により表される
    繰返し構造単位からなり、 【化1】 かつ以下の条件(1)から(5)を満たすことを特徴と
    する全芳香族サーモトロピック液晶ポリエステル、
    (1)式〔a〕の構造単位の含有割合(mol%、以下
    「(a)」と略す、その他同様)が全体の55〜67mol
    %、(2)(b)+(c)および(d)+(e)がいずれも全体
    の16.5〜22.5mol%、(3)(b)/(c)のモル比
    が30/70〜50/50、(4)(d)/(e)のモル比
    が50/50〜90/10、および(5)ペンタフルオ
    ロフェノール中において60℃で測定した固有粘度が
    0.3〜10dl/g。
  2. 【請求項2】 次の式〔a〕から〔e〕により表される
    繰返し構造単位からなり、 【化2】 かつ以下の条件(1)から(6)を満たすことを特徴と
    する全芳香族サーモトロピック液晶ポリエステル、
    (1)(a)が全体の55〜67mol%、(2)(b)+
    (c)および(d)+(e)がいずれも全体の16.5〜22.
    5mol%、(3)(b)/(c)のモル比が30/70〜5
    0/50、(4)(d)/(e)のモル比が50/50〜9
    0/10、(5)キャピラリーレオメーターで測定した
    見かけ粘度から求めた完全溶融温度が270〜330
    ℃、および(6)プレス成形で作製した平板の貯蔵弾性
    率(G')の150℃における値より20%低い値を示
    す温度が260℃以上。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の全芳香族
    サーモトロピック液晶ポリエステルと、組成物全体に対
    して10〜90重量%の無機充填材とを含む組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1または請求項2記載の全芳香族
    サーモトロピック液晶ポリエステルと、材料全体に対し
    て10〜90重量%の無機充填材とを含む電気電子部品
    用封止材料。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006057005A (ja) * 2004-08-20 2006-03-02 Sumitomo Chemical Co Ltd 高熱伝導性の樹脂成形体
JP2006089714A (ja) * 2004-06-22 2006-04-06 Toray Ind Inc 液晶性樹脂、その製造方法、液晶性樹脂組成物および成形品
KR101109947B1 (ko) * 2004-06-22 2012-02-15 도레이 카부시키가이샤 액정성 수지, 그의 제조 방법, 액정성 수지 조성물 및성형품
US8440780B2 (en) 2010-12-27 2013-05-14 Toray Industries, Inc. Wholly aromatic liquid crystalline polyester and method of producing the same

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