JP2000345015A - サーモトロピック液晶コポリエステル樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

サーモトロピック液晶コポリエステル樹脂組成物およびその成形体

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JP2000345015A JP2000097838A JP2000097838A JP2000345015A JP 2000345015 A JP2000345015 A JP 2000345015A JP 2000097838 A JP2000097838 A JP 2000097838A JP 2000097838 A JP2000097838 A JP 2000097838A JP 2000345015 A JP2000345015 A JP 2000345015A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温環境下で発生する腐食性ガス量が顕著に
少なく、電気・電子部品の構成材料として優れたサーモ
トロピック液晶コポリエステルを提供する。 【解決手段】 芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジ
カルボン酸およびジオールからなる反応系のモノマー水
酸基を所定量の無水酢酸によりアセチル化し、その後溶
融重合および必要に応じて固相重合を行うことにより製
造されるサーモトロピック液晶コポリエステル100重
量部、および下記式(1)で示される亜リン酸エステル
の1種または2種以上0.001〜1重量部からなる組
成物。 【化1】 (式中、RおよびR’は、それぞれアルキル基、アルケ
ニル基、アリール基またはアラルキル基を示し、同一で
も異なってもよい。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サーモトロピック
液晶コポリエステル樹脂組成物およびその成形体に関
し、特に高温環境下で発生する腐食性アウトガスの量が
少ないサーモトロピック液晶コポリエステルの製造方法
およびサーモトロピック液晶コポリエステル樹脂組成物
および該樹脂組成物からなる電気・電子用の樹脂成形品
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来公知の方法で製造されたサーモトロ
ピック液晶コポリエステルは、高温環境下(例えばハン
ダつけ工程、表面実装)で電気・電子部品の金属製導電
部(例えば、電子回路)に対する腐食性アウトガスを発
生することが見出され、その腐蝕性が問題として認識さ
れている。また、この腐食性アウトガスは一般に酢酸が
主成分であるとして認識されてきている(例えば、特開
平8−53543号公報を参照)。
【0003】特に、サーモトロピック液晶コポリエステ
ル樹脂から発生するガスに曝される金属導電部を含む電
気・電子部品、例えば、リレー、スイッチ、コネクタ
ー、ソケット、抵抗器、コンデンサー、モーター、発振
器、プリント配線板、パワーモジュールでは、表面実装
時の熱履歴のため腐食性を有するアウトガス等により金
属導電部が酸化されて腐食皮膜が形成しその結果導通不
良を起こしたり、また、上記部品が機械的な電気接点を
有しているような場合には接点作動時の放電により主と
して接点部分に炭化物層が生成されることにより接点不
良が生じるなどの問題点が指摘されている。
【0004】特に、リレー、スイッチのように良好な接
点特性を、長期にわたり維持することが必要とされる部
品では、この腐食は大きな問題となっている。そのほ
か、近年ではHDD内で使用される各種部品(キャリッ
ジ、シャーシ、アクチュエータのVCMコイル保持部
品、停止時のヘッド収納部材等)およびFDD、光ディ
スクドライブ等における同様の構成部材においてもサー
モトロピック液晶コポリエステルが用いられており、こ
れら機器に必須の磁気または光学的データ読み取り部位
についても上記と同様該樹脂から発生する腐食性アウト
ガスによる当該機能の低下も懸念されはじめている。
【0005】サーモトロピック液晶コポリエステルは、
その肉薄成形性(優れた成形性・流動性)、耐ハンダ特
性(優れた耐熱性)、高い寸法精度を生かして、さまざ
まな電気・電子部品分野の構成材料として採用されてき
た。現在これら電子部品は、ますます小型化および低電
圧化の方向に進んでおり、前記した腐食皮膜の形成や炭
化物層の生成は、従来以上に初期不良や作動不良を起こ
す原因となるためサーモトロピック液晶コポリエステル
について腐食性アウトガスの発生が少ないことが求めら
れている。この要求は、リレー、スイッチ部品に関して
特に強い。なお、これらの部品での炭化物層の生成は、
腐食性アウトガスがアーク放電によって炭化、付着して
導電異常を引き起こすためと推定される。
【0006】サーモトロピック液晶コポリエステルの腐
食性アウトガスを低減する方法としては、ガス吸収材を
配合する方法(特開平8−333505号公報)、分子
鎖末端を1官能性モノマーで封止する方法(特開平3−
203925号公報、特開平4−249528号公報お
よび特開平8−53543号公報)等がすでに提案され
ているが、これらは必ずしも満足すべき方法ではない。
これら出願は、腐食性アウトガスの主成分はサーモトロ
ピック液晶コポリエステルから発生する酢酸であるとの
前提で、酢酸発生の抑制と捕獲の技術を提案している。
しかし、近年、電気・電子機器部品中の金属導電部に腐
食障害を与えている腐食性アウトガスが何であるかは未
だ解明されておらず、酢酸発生の防止対策のみで電子部
品が要求する腐食性アウトガスサーモトロピック液晶コ
ポリエステルが得られるとは限らない。特に、酢酸の発
生抑制にのみ注力するあまり、その技術が他の腐食性ア
ウトガス発生を増加させているような場合は、上記手法
は本質的な限界を有している可能性が高い。
【0007】また、サーモトロピック液晶コポリエステ
ルはこれら電気・電子部品の構造部材等に使用されると
きは、無機充填剤または有機充填剤、特に、これらの中
でも、ガラス系充填剤、すなわち、ガラス繊維、ミルド
グラスファイバー、ガラスバルーン等を配合して使用さ
れることが多いが、これらの充填剤を含むサーモトロピ
ック液晶コポリエステル材料は無充填のものと比較して
経験的にアウトガスを発生させる傾向が大きいことが認
められている。特に、この傾向は、ガラス系充填剤を含
むサーモトロピック液晶コポリエステル材料において認
められている。したがって、単に、サーモトロピック液
晶コポリエステル自体が腐食性アウトガスの発生が少な
いのではなく、このような、充填剤を含んだ材料として
も、腐食性アウトガスの発生が少ないことが必要であ
る。さらに述べれば、これらサーモトロピック液晶コポ
リエステルが各種成形品となるときは、その成形加工過
程である熱披歴と剪断披歴を受けるから、当該披歴後に
あっても、腐食性アウトガスの発生が少ないことが必要
である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高温
環境下で発生する腐食性アウトガスの量が顕著に少な
く、ガラス系充填剤等の充填剤を含む場合においても、
電気・電子部品の構造部材としての要求特性を高度に満
足するサーモトロピック液晶コポリエステルからなる樹
脂組成物およびその樹脂組成物を用いて成形してなる電
気・電子部品を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は第1に、芳香族
ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸およびジオ
ールからなる反応系のモノマー水酸基を過剰量の無水酢
酸によりアセチル化し、その後溶融重合および必要に応
じて固相重合を行うことにより製造されるサーモトロピ
ック液晶コポリエステル100重量部、および下記式
(1)で示される亜リン酸エステルの1種または2種以
上0.001〜1重量部からなることを特徴とするアウ
トガス発生の少ないサーモトロピック液晶コポリエステ
ル樹脂組成物である。
【0010】
【化5】
【0011】(式中、RおよびR’は、それぞれアルキ
ル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基を
示し、同一でも異なってもよい。)
【0012】本発明は第2に、金属製導電部と上記のサ
ーモトロピック液晶コポリエステル樹脂組成物からなる
電気・電子部品である。
【0013】本発明は第3に、次の工程(1)〜工程
(4)と必要に応じて行われる工程(5)から製造され
るサーモトロピック液晶コポリエステル100重量部、
および、下記式(2)で示される亜リン酸エステルの1
種または2種以上0.001〜1重量部からなることを
特徴とするアウトガス発生の少ないサーモトロピック液
晶コポリエステル樹脂組成物である。 工程(1)反応器に、芳香族ヒドロキシカルボン酸5〜
100モル%、芳香族ジカルボン酸0〜47.5モル%
および芳香族ジオール0〜47.5モル%(合計のモル
%は100モル%であり、芳香族ジカルボン酸と芳香族
ジオールのモル%は実質的に等しい。)を仕込む工程、 工程(2)次の式を満足する量の無水酢酸を添加する工
程、 (B−C)/A≧1.04 ただし、Aは反応系内の水酸基の合計モル数、Bは添加
する無水酢酸のモル数、Cは無水酢酸を添加する前の反
応系に存在する水のモル数をそれぞれ表す。 工程(3)アセチル化工程、 工程(4)溶融重合工程および 工程(5)固相重合工程。
【0014】
【化6】
【0015】(式中、RおよびR’は、それぞれアルキ
ル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基を
示し、同一でも異なってもよい。)
【0016】本発明は第4に、サーモトロピック液晶コ
ポリエステルの製造工程(1)の後で(2)の前に反応
系内の水分測定を実施することによりCの値をもとめる
ことを特徴とする上記のサーモトロピック液晶コポリエ
ステル樹脂組成物である。
【0017】本発明は第5に、(B−C)/Aの値が、
1.04以上で1.08以下の範囲にあることを特徴と
する上記のサーモトロピック液晶コポリエステル樹脂組
成物である。
【0018】本発明は第6に、芳香族ヒドロキシカルボ
ン酸がp−ヒドロキシ安息香酸90〜100モル%およ
びその他の芳香族ヒドロキシ酸0〜10モル%(芳香族
ヒドロキシカルボン酸の合計を100モル%とする。)
からなり、芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸45〜1
00モル%およびその他の芳香族ジカルボン酸が0〜5
5モル%(芳香族ジカルボン酸の合計を100モル%と
する。)からなり、芳香族ジオールがp,p’−ビフェ
ノールが60〜100モル%およびその他の芳香族ジオ
ール0〜40モル%(芳香族ジオールの合計を100モ
ル%とする。)からなることを特徴とする上記のサーモ
トロピック液晶コポリエステル樹脂組成物である。
【0019】本発明は第7に、芳香族ヒドロキシカルボ
ン酸がp−ヒドロキシ安息香酸90〜100モル%およ
び2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸0〜10モル%(芳
香族ヒドロキシカルボン酸の合計を100モル%とす
る。)からなり、芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸4
5〜100モル%およびイソフタル酸0〜55モル%
(芳香族ジカルボン酸の合計を100モル%とする。)
からなり、かつ芳香族ジオールがp,p’−ビフェノー
ルが60〜100モル%およびヒドロキノンが0〜40
モル%(芳香族ジオールの合計を100モル%とす
る。)からなることを特徴とする上記のサーモトロピッ
ク液晶コポリエステル樹脂組成物である。
【0020】本発明は第8に、金属製導電部と上記のサ
ーモトロピック液晶コポリエステル樹脂組成物からなる
電気・電子部品である。
【0021】本発明は第9に、p−ヒドロキシ安息香酸
および2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸から選ばれる芳
香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および
ジオールからなる反応系のモノマー水酸基を過剰量の無
水酢酸によりアセチル化し、その後溶融重合および必要
に応じて固相重合を行うことにより製造されるサーモト
ロピック液晶コポリエステル100重量部、および、下
記式(1)で示される亜リン酸エステルの1種または2
種以上0.001〜1重量部からなるサーモトロピック
液晶コポリエステル樹脂組成物90重量%〜10重量%
と、無機または有機充填剤10重量%〜90重量%(樹
脂組成物と充填剤をあわせて100重量%とする。)、
からなることを特徴とするアウトガス発生の少ないサー
モトロピック液晶コポリエステル樹脂組成物である。
【0022】
【化7】
【0023】(式中、RおよびR’は、それぞれアルキ
ル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基を
示し、同一でも異なってもよい。)
【0024】本発明は第10に、金属製導電部と上記の
サーモトロピック液晶コポリエステル樹脂組成物からな
る電気・電子部品である。
【0025】本発明は第11に、次の工程(1)〜工程
(4)と必要に応じて行われる工程(5)から製造され
るサーモトロピック液晶コポリエステル100重量部、
および、下記式(1)で示される亜リン酸エステルの1
種または2種以上0.001〜1重量部からなるサーモ
トロピック液晶コポリエステル樹脂組成物90重量%〜
10重量%と、無機または有機充填剤10重量%〜90
重量(樹脂組成物と充填剤をあわせて100重量%とす
る。)、からなることを特徴とするアウトガス発生の少
ないサーモトロピック液晶コポリエステル樹脂組成物で
ある。 工程(1)反応器に、芳香族ヒドロキシカルボン酸5〜
100モル%、芳香族ジカルボン酸0〜47.5モル%
および芳香族ジオール0〜47.5モル%(合計のモル
%は100モル%であり、芳香族ジカルボン酸と芳香族
ジオールのモル%は実質的に等しい。)を仕込む工程、 工程(2)次の式を満足する量の無水酢酸を添加する工
程、 (B−C)/A≧1.04 ただし、Aは反応系内の水酸基の合計モル数、Bは添加
する無水酢酸のモル数、Cは無水酢酸を添加する前の反
応系に存在する水のモル数をそれぞれ表す。 工程(3)アセチル化工程、 工程(4)溶融重合工程および 工程(5)固相重合工程。
【0026】
【化8】
【0027】(式中、RおよびR’は、それぞれアルキ
ル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基を
示し、同一でも異なってもよい。)
【0028】本発明は第12に、サーモトロピック液晶
コポリエステルの製造工程(1)の後で(2)の前に反
応系内の水分測定を実施することによりCの値をもとめ
ることを特徴とする上記のサーモトロピック液晶コポリ
エステル樹脂組成物である。
【0029】本発明は第13に、(B−C)/Aの値
が、1.04以上で1.08以下の範囲にあることを特
徴とする上記のサーモトロピック液晶コポリエステル樹
脂組成物である。
【0030】本発明は第14に、芳香族ヒドロキシカル
ボン酸がp−ヒドロキシ安息香酸90〜100モル%お
よびその他の芳香族ヒドロキシ酸が0〜10モル%(芳
香族ヒドロキシカルボン酸の合計を100モル%とす
る。)からなり、芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸が
45〜100モル%およびその他の芳香族ジカルボン酸
が0〜55モル%(芳香族ジカルボン酸の合計を100
モル%とする。)からなり、芳香族ジオールがp,p’
−ビフェノールが60〜100モル%およびその他の芳
香族ジオールが0〜40モル%(芳香族ジオールの合計
を100モル%とする。)からなることを特徴とする上
記のサーモトロピック液晶コポリエステル樹脂組成物で
ある。
【0031】本発明は第15に、芳香族ヒドロキシカル
ボン酸がp−ヒドロキシ安息香酸90〜100モル%お
よび2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸が0〜10モル%
(芳香族ヒドロキシカルボン酸の合計を100モル%と
する。)からなり、芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸
が45〜100モル%およびイソフタル酸が0〜55モ
ル%(芳香族ジカルボン酸の合計を100モル%とす
る。)からなり、かつ芳香族ジオールがp,p’−ビフ
ェノールが60〜100モル%およびヒドロキノンが0
〜40モル%(芳香族ジオールの合計を100モル%と
する。)からなることを特徴とする上記のサーモトロピ
ック液晶コポリエステル樹脂組成物である。
【0032】本発明は第16に、金属製導電部と上記の
サーモトロピック液晶コポリエステル樹脂組成物からな
る電気・電子部品である。
【0033】本発明は、高温環境下ではサーモトロピッ
ク液晶コポリエステルからは、従来知られていた酢酸と
同時に、腐食性、炭化性を有するフェノールが発生する
ことがあることを見いだし、この知見に基づいて、電気
・電子部品分野の要求する、腐食性アウトガスの発生が
少ない信頼性の高い構成材料となるサーモトロピック液
晶コポリエステルをもたらす重要な因子が重合前アセチ
ル化が行われる反応系内の無水酢酸の量の制御および所
定のリン化合物の併用にあることをつきとめて完成した
ものであり、本発明によってはじめて充填剤配合の組成
物においても酢酸とフェノールの両腐食性アウトガスの
発生量を抑制するという顕著な効果を得ることができる
のである。
【0034】
【発明の実施の形態】以下本発明をさらに詳しく説明す
る。本発明の製造方法においては、p−ヒドロキシ安息
香酸または2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、芳香族ジ
カルボン酸およびジオールからなる反応系のモノマー水
酸基を過剰量の無水酢酸によりアセチル化し、その後溶
融重合および必要に応じて固相重合を行うことにより製
造されるサーモトロピック液晶コポリエステルに下記式
(1)で示される亜リン酸エステルを配合することによ
り、高温環境下での腐食性アウトガスの発生が少ないサ
ーモトロピック液晶コポリエステルを製造する。
【0035】
【化9】
【0036】(式中、RおよびR’は、それぞれアルキ
ル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基を
示し、同一でも異なってもよい。) この効果は、サーモトロピック液晶コポリエステルを次
の工程(1)〜工程(4)と必要に応じて行われる工程
(5)から製造されるサーモトロピック液晶コポリエス
テルとすることでさらに高めることができる。 工程(1)反応器に、芳香族ヒドロキシカルボン酸5〜
100モル%、芳香族ジカルボン酸0〜47.5モル%
および芳香族ジオール0〜47.5モル%(合計のモル
%は100モル%であり、芳香族ジカルボン酸と芳香族
ジオールのモル%は実質的に等しい。)を仕込む工程、 工程(2)次の式を満足する量の無水酢酸を添加する工
程、 (B−C)/A≧1.04 ただし、Aは反応系内の水酸基の合計モル数、Bは添加
する無水酢酸のモル数、Cは無水酢酸を添加する前の反
応系に存在する水のモル数をそれぞれ表す。 工程(3)アセチル化工程、 工程(4)溶融重合工程および 工程(5)固相重合工程。
【0037】仕込み原料としてのモノマーはより具体的
には、サーモトロピック液晶コポリエステルを構成した
ときにそれぞれ下記式(2)から(4)に示す繰返し構
成単位を構成することができるモノマーである。 −O−(X)−CO− ………式(2) −CO−(Y)−CO− ………式(3) −O−(Z)−CO− ………式(4) (2)の繰返し単位を構成することができるモノマーは
芳香族ヒドロキシカルボン酸であり、具体的にはp−ヒ
ドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、
m−ヒドロキシ安息香酸などが挙げられる。これらのモ
ノマーは単独でもまた混合物としても使用することがで
きる。好ましくは、p−ヒドロキシ安息香酸またはp−
ヒドロキシ安息香酸および2−ヒドロキシ−6−ナフト
エ酸である。
【0038】(3)の繰返し単位を構成することができ
るモノマーは、芳香族ジカルボン酸であり、具体的に
は、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ジカルボキ
シナフタレン、4,4’−ビフェニルジカルボン酸など
が挙げられる。これらのモノマーは単独でもまた混合物
としても使用することができる。好ましくはテレフタル
酸またはテレフタル酸およびイソフタル酸の混合物であ
る。
【0039】(4)の繰返し単位を構成することができ
るモノマーは芳香族ジオールであり、具体的には、4,
4’−ビフェノール、ヒドロキノン、2,6−ジヒドロ
キシナフタレンなどが挙げられる。これらのモノマーは
単独でもまた混合物としても使用することができる。好
ましくは4,4’−ビフェノールまたは4,4’−ビフ
ェノールおよびヒドロキノンの混合物である。
【0040】本発明により製造されるサーモトロピック
液晶コポリエステルとして、好ましいモノマー構成の具
体例として以下のものが例示される。 p−ヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸、p,p’−
ビフェノール p−ヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸およびイソフ
タル酸、p,p’−ビフェノール p−ヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸およびイソフ
タル酸、p,p’−ビフェノールおよびヒドロキノン p−ヒドロキシ安息香酸および2−ヒドロキシ−6−
ナフトエ酸 p−ヒドロキシ安息香酸および2−ヒドロキシ−6−
ナフトエ酸、テレフタル酸およびイソフタル酸、p,
p’−ビフェノール p−ヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸およびイソフ
タル酸および2,6−ジカルボキシナフタレン、p,
p’−ビフェノール
【0041】さらに好ましいモノマー類の構成として
は、芳香族ヒドロキシカルボン酸としてp−ヒドロキシ
安息香酸が90〜100モル%およびその他の芳香族ヒ
ドロキシカルボン酸が0〜10モル%(両者の合計を1
00モル%とする。)であり、芳香族ジカルボン酸とし
てのテレフタル酸が45〜100モル%およびその他の
芳香族ジカルボン酸が0〜55モル%(両者の合計を1
00モル%とする。)であり、かつ、芳香族ジオールと
してのp,p’−ビフェノール60〜100モル%およ
びその他の芳香族ジオール0〜40モル%(両者の合計
を100モル%とする。)が例示される。
【0042】最も好ましいモノマー類の構成としては、
芳香族ヒドロキシカルボン酸としてのp−ヒドロキシ安
息香酸が90〜100モル%および2−ヒドロキシ−6
−ナフトエ酸が0〜10モル%(両者の合計を100モ
ル%とする。)であり、芳香族ジカルボン酸としてのテ
レフタル酸が45〜100モル%およびイソフタル酸が
0〜55モル%(両者の合計を100モル%とする。)
であり、かつ、芳香族ジオールとしてのp,p’−ビフ
ェノールが60〜100モル%およびヒドロキノンが0
〜40モル%(両者の合計を100モル%とする。)が
例示される。
【0043】これらの好ましいモノマー構成を採用する
ことにより、サーモトロピック液晶コポリエステルが有
する成形性・流動性、耐熱性、成形加工温度のバランス
がさらに向上し、肉薄の電気・電子部品の成形に対する
適応性と機能性が高まる。また、同時に、成形加工過程
で受ける剪断応力履歴の低下、高温環境下および成形加
工温度下での安定性が高まり腐食性アウトガスの発生を
抑制する基礎特性が向上し、本発明の効果が高まる。
【0044】モノマー類および後記する無水酢酸は、工
業的に入手できるものをそのまま使用することができ
る。なおモノマー類は乾燥してから投入することもで
き、また反応器へ投入後に乾燥することもできる。仕込
み後の乾燥方法を例示すれば、70℃程度に適宜に昇温
した後、攪拌しながら減圧−窒素注入を数回繰り返し、
数時間をかけて窒素置換とモノマーの乾燥を行う方法が
あげられる。通常はこのような乾燥で十分である。バッ
チ式で行う場合、必要に応じて触媒、安定剤等を反応槽
に仕込むことができる。触媒としては、特に限定なく後
記するような公知の触媒を用いることができる。なお後
記するアセチル化工程、溶融重合工程も含めバッチ式ま
たは連続式で反応させることができる。
【0045】工程(1)において所定のモノマー類を反
応器に仕込み、工程(2)により工程(3)のアセチル
化工程に必要な無水酢酸を添加する。そして、本発明で
は、この工程(2)から工程(3)に係わる変動可能な
因子を制御する。
【0046】すなわち、アセチル化が行われる反応系に
係わる変動可能な因子から第一に選定・制御するもの
は、工程(2)に係る仕込む無水酢酸の量である。無水
酢酸の量は、アセチル化反応開始時における反応系内に
存在するモノマー類の水酸基の合計モル数をA、無水酢
酸のモル数をB、無水酢酸添加前の反応系内に存在する
水のモル数をCとしたとき次の関係で表される。本発明
では(B−C)/Aの値を1.04以上とする。さらに
好ましくは、(B−C)/Aの値を1.04以上で1.
08以下とする。この値は無水酢酸の添加量を決定する
ためのパラメータであり、1.04よりも小さいと、フ
ェノールガスの発生量が著しく増加するため好ましくな
い。また、1.08より大きいと、酢酸ガスの発生量が
著しく増加するので好ましくない。すなわち、この値が
1.04以上であれば、フェノールガスの発生は実用的
なレベルに抑制することが可能である。
【0047】そのために、工程(1)において所定のモ
ノマー類を反応器に仕込み、必要に応じて、反応系内の
水分測定を実施することによりCの値をもとめる。例え
ば、上記の加熱乾燥工程後、無水酢酸を投入する前に、
反応系内の水分を測定する。水分測定方法は、ppm程
度の微量の水分の測定が可能ならばいずれの公知の方法
も採用することができる。水分測定法自体としては、例
えばカールフィッシャー法を採用することができる。具
体例を例示すれば、無水酢酸を投入する前に、反応系に
含まれる水分を測定する。前記したようにモノマー類を
乾燥させても反応系からは通常一定量の水分が検出され
る。この量は、通常最大0.2重量%程度の値である。
【0048】本発明において重要な点は、無水酢酸が反
応系内のH2 Oとの反応により消費される量を考慮し
て、無水酢酸量を添加することである。工程(2)で添
加する無水酢酸は、モノマーの水酸基をアセチル化する
ために添加するものである。そしてこの無水酢酸は、H
2 Oと容易に反応して酢酸に分解する。従って、反応系
中に水分が存在すると、無水酢酸は直ちにこれと反応し
て酢酸に分解し、その結果アセチル化工程において実質
的に反応に関与する無水酢酸の量は減少する。すなわ
ち、添加する無水酢酸量と実際にアセチル化工程に関与
する無水酢酸量は、反応系中に存在するH2 Oの量によ
って変化し、さらにそのH2 Oの量は、モノマーの製造
方法や保存状態の相違、大気の湿度、あるいはコポリエ
ステル製造におけるモノマー乾燥の有無および乾燥の程
度などにより著しく異なる。従って、サーモトロピック
液晶コポリエステルの製造において添加する無水酢酸の
量は、モノマー中に含まれるH2 Oの量を考慮して決定
する。
【0049】なお、無水酢酸と水の反応によって酢酸が
生成すると、この酢酸によってもアセチル化は理論上進
行する。しかしながら、モノマー水酸基のアセチル化反
応は、無水酢酸による場合には容易に進行するが、酢酸
の場合には実際上その反応速度が極めて遅い。従って、
無水酢酸の量が少なくなるとアセチル化工程におけるモ
ノマー水酸基のアセチル化率が低下し、重合速度が遅く
なる。しかしながら、本発明では、無水酢酸の量は適切
な重合速度の確保に必要であると同時に、得られるコポ
リエステルから発生するアウトガス、特に酢酸およびフ
ェノールのガス量に影響を与える主要因子であることを
見出したのである。
【0050】このようにして有効無水酢酸量が上記の条
件を満たすような無水酢酸の量を計算により求め、工程
(2)において所定量の無水酢酸を仕込んだ後、工程
(3)としてアセチル化を行う。アセチル化は無水酢酸
の還流状態を保持し、無水酢酸の還流状態を保持するよ
うに加熱しながら行う。アセチル化は、通常バッチ式の
場合、1〜10時間で完了する。上記モル比関係に加え
て、本発明では、アセチル化の間、酢酸を反応系外へ放
出せずに行い、しかもアセチル化反応を行った後、過剰
の無水酢酸やアセチル化で生成した酢酸を除去せずに、
速やかに、次の溶融重合反応である工程(4)に移行さ
せることが好ましい。
【0051】このようにして、適切な過剰無水酢酸が存
在する反応系において、反応系外へ放出せずにアセチル
化を行った後、速やかに重合反応への移行を行うことに
より、(1)系内の物質収支を一定に保つこと、(2)
系内の水分の除去を加熱下の無水酢酸で行うことにより
水分の影響を確実に排除すること、(3)添加した全無
水酢酸の全量をアセチル化反応に有効に利用すること、
(4)過度のオリゴマー生成の発生を抑制すること、が
可能になるものと推定される。これらの効果と両腐食性
アウトガスの発生抑制との関係は明確ではないが、重合
前のモノマー群のアセチル化率の向上、オリゴマーの発
生の抑制等により、その後の重合反応が均一に進行し、
また、(B−C)/Aの値を1.08以下の範囲とする
ことで、無水酢酸間の副反応の制御と残留無水酢酸およ
び残留酢酸の低減が行われるものと推定される。
【0052】アセチル化が終了した後、工程(4)とし
て昇温して酢酸を留出させつつ脱酢酸と同時に溶融重縮
合を行うことによりコポリエステルを製造することがで
きる。p−ヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸、イソフ
タル酸および4,4’−ビフェノールを原料とする場合
には、150〜350℃の温度範囲で酢酸を留出させ、
脱酢酸と同時に溶融重縮合を行うことによりコポリエス
テルを製造することができる。重合時間は、1時間から
数十時間の範囲から選択することができる。当該溶融重
合工程(5)では、反応基質自身を反応溶媒とし、それ
故、特に反応溶媒を用いることなく重合を行う。
【0053】なお、アセチル化、重合反応またはその両
工程において触媒を使用することができる。使用する触
媒としては、従来ポリエステルの重縮合用触媒として公
知のものを使用することができ、例えば酢酸マグネシウ
ム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢
酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモンなどの
金属塩触媒、あるいはN−メチルイミダゾールなどの有
機化合物触媒等が挙げられる。アセチル化および重合の
工程の触媒は同一または異なる触媒を用いることができ
る。通常は、モノマー類の投入時、すなわち工程(1)
の際にモノマー類とともに触媒を投入し、触媒を除去す
ることなくそのままアセチル化および重合に用いる。
【0054】工程(4)の溶融重合における重合器は特
に限定されるものではないが、一般の高粘度反応に用い
られる攪拌設備、例えば、鋳型、多段型、螺旋帯、螺旋
軸等の各種形状の攪拌機またはそれらを変形したものを
有する攪拌槽型重合器、具体的にはワーナー式ミキサ
ー、バンバリーミキサー、ポニーミキサー、ミュラーミ
キサー、ロールミル、連続操作可能なコニーダー、パグ
ミル、ギヤコンパウンダーなどから選ぶことが望まし
い。なお、前記アセチル化工程の反応器と溶融重合にお
ける重合器とは、同じ反応器とすることもでき、異なる
ものを用いることもできる。
【0055】工程(4)の溶融重合により得られた重合
体はさらに工程(5)の固相重合を行うことができる。
特に、モノマー類の構成が、芳香族ヒドロキシカルボン
酸としてp−ヒドロキシ安息香酸が90〜100モル%
およびその他の芳香族ヒドロキシカルボン酸が0〜10
モル%(両者の合計を100モル%とする。)であり、
芳香族ジカルボン酸としてのテレフタル酸が45〜10
0モル%およびその他の芳香族ジカルボン酸が0〜55
モル%(両者の合計を100モル%とする。)であり、
かつ、芳香族ジオールとしてのp,p’−ビフェノール
60〜100モル%およびその他の芳香族ジオール0〜
40モル%(両者の合計を100モル%とする。)、あ
るいは、芳香族ヒドロキシカルボン酸としてのp−ヒド
ロキシ安息香酸が90〜100モル%および2−ヒドロ
キシ−6−ナフトエ酸が0〜10モル%(両者の合計を
100モル%とする。)であり、芳香族ジカルボン酸と
してのテレフタル酸が45〜100モル%およびイソフ
タル酸が0〜55モル%(両者の合計を100モル%と
する。)であり、かつ、芳香族ジオールとしてのp,
p’−ビフェノールが60〜100モル%およびヒドロ
キノンが0〜40モル%(両者の合計を100モル%と
する。)である場合は、溶融重合で得られる重縮合物の
融点が高くなるため、必然的に溶融重合温度が高くな
る。したがって、腐食性アウトガスの発生につながる重
合物の過度の熱披歴を避けるため、工程(5)を併用し
て適切な重合度を得ることが好ましい。
【0056】工程(5)の固相重合に際しては、工程
(4)の溶融重合工程からポリマーを抜き出し、その後
好ましくは、粉砕してパウダー状もしくはフレーク状に
した後、公知の固相重合方法により行う。具体的な固相
重合方法は、例えば、窒素などの不活性雰囲気下に20
0〜350℃の温度範囲において、1〜30時間固相状
態で熱処理することにより行うことができる。固相重合
は、攪拌しながら行ってもよく、また攪拌することなく
静置した状態で行ってもよい。なお適当な攪拌機構を備
えることにより溶融重合槽と固相重合槽とを同一の反応
槽とすることもできる。固相重合後、得られたサーモト
ロピック液晶コポリエステルは、適宜に公知の方法によ
りペレット化し、成形に供することができる。
【0057】このようにして得られるサーモトロピック
液晶コポリエステルに下式(1)で示される亜リン酸エ
ステルを配合する。
【0058】
【化10】
【0059】(式中、RおよびR’は、それぞれアルキ
ル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基を
示し、同一でも異なってもよい。)配合はアセチル化時
または重合時においても可能であるが、好ましくは工程
(4)、または、工程(5)を行うときは工程(5)の
後に重合体に配合することが好ましい。配合の方法は常
法により行うことができる。これは、溶融重合工程の終
了時の反応器からの抜き出し工程で高温溶融状態にある
サーモトロピック液晶コポリエステルに含まれる亜リン
酸エステルが外気中の水分と容易に接触して加水分解を
受けた場合、当該分解物がサーモトロピック液晶コポリ
エステルからの腐食性アウトガスの生成に関して悪影響
を与える可能性があるからである。具体的な化合物とし
ては、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチ
ルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビ
ス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエ
リスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリ
スリトールジホスファイト、ビス(ドデシル)ペンタエ
リスリトールジホスファイトなどが例示される。
【0060】本発明における亜リン酸エステルの配合量
は、サーモトロピック液晶ポリエステル100重量部に
対して0.001〜1重量部の範囲が好ましい。亜リン
酸エステルの配合量が0.001重量部より少ない場合
は、フェノールガスの低減に十分な効果が得られず、ま
た、1重量部より多い場合には、亜リン酸エステルの分
解ガスが増加して逆の効果となるために好ましくない。
亜リン酸エステルの配合量の特に好ましい範囲は、0.
01〜0.5重量部である。
【0061】このようにして得られるサーモトロピック
液晶コポリエステルは、アウトガス、例えば酢酸とフェ
ノールの発生量が少ない。具体的なアウトガスの量は、
酢酸の場合に20ppm以下、フェノールの場合に5p
pm以下であることが望ましい。酢酸およびフェノール
の量がこれより多くなると、サーモトロピック液晶コポ
リエステルを用いて成形した電子部品等の作動不良を起
こす確率が高くなるため好ましくない。
【0062】本発明の製造方法により得られるサーモト
ロピック液晶コポリエステルは、各種用途に用いること
ができる。一般的には主として機械的強度を向上させる
ために、繊維状、粉粒状、板状などの無機または有機充
填材を配合することができる。繊維状の充填材として
は、ガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、シリカ
アルミナ繊維、チタン酸カリウム繊維、炭素もしくは黒
鉛繊維、さらにアルミニウム、チタン、銅などの金属の
繊維状物質が挙げられる。代表的なものはガラス繊維で
ある。
【0063】一方、粒状充填材としては、カーボンブラ
ック、黒鉛、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ミルド
ガラスファイバー、ガラスバルーン、ガラス粉、ケイ酸
カルシウム、ケイ酸アルミニウム、タルク、クレー、ケ
イ藻土、ウオラストナイトなどのケイ酸塩、あるいは酸
化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、アル
ミナ、硫酸カルシウム、その他各種の金属粉末等が挙げ
られる。また、板状充填材としては、マイカ、ガラスフ
レーク、各種金属箔などが挙げられる。そのほか、有機
充填材の例としては、芳香族ポリエステル、芳香族ポリ
イミド、ポリアミドなどからなる耐熱性高強度の繊維な
どが挙げられる。これらの充填材は、必要に応じてあら
かじめ従来公知の表面処理剤により処理することができ
る。繊維状充填材の場合には、さらに収束剤を用いるこ
とができる。
【0064】また、上記以外に従来公知の酸化防止剤、
熱安定剤、増量剤、補強剤、顔料、難燃化剤等の種々の
添加剤を適宜の量添加することができる。これらの添加
剤および充填剤は2種以上を併用することができる。
【0065】充填材を用いる場合には、配合量は組成物
全体に対して10重量%以上、90重量%以下、好まし
くは80重量%以下である。90重量%よりも多く充填
材を配合すると、機械的強度が低下するため好ましくな
い。充填剤の配合方法は公知の方法によることができ
る。
【0066】上記のようにして本発明の方法により製造
したサーモトロピック液晶コポリエステル樹脂組成物
は、従来公知の成形方法、例えば、押出成形、射出成
形、圧縮成形、ブロー成形などの通常の溶融成形に供
し、繊維、フィルム、三次元成形品、容器、ホースなど
に加工して成形品を得ることができる。なお、このよう
にして得られた成形品は、熱処理によって強度を増大さ
せることができ、弾性率も多くの場合向上させることが
できる。この熱処理は、不活性雰囲気(例えば窒素、ア
ルゴン、ヘリウム等)中、酸素含有雰囲気(例えば空
気)中または減圧下において、成形品をポリマーの融点
以下の温度で加熱することによって行うことができる。
【0067】本発明によるサーモトロピック液晶コポリ
エステルは、長時間の使用または高温環境下(例えばハ
ンダつけ工程、表面実装)での腐食性アウトガスの発生
量が小さいから、樹脂部から発生する腐食性アウトガス
が問題として認識されている部材の構成材料として使用
すると、その部材の有する各種機能の信頼性を高めるこ
とができる。例えば、HDD内で使用される各種部品
(キャリッジ、シャーシ、アクチュエータのVCMコイ
ル保持部、停止時のヘッド収納部材等)、FDD、光デ
ィスクドライブの構成部材として使用すると、相当部材
から発生する腐食性アウトガスが減少し、データ読み出
し機能の安定性が向上する。
【0068】特に、樹脂から発生する腐食性ガスに曝さ
れる金属導電部を有する構造のサーモトロピック液晶コ
ポリエステル製の電気・電子部品、例えば、リレー、コ
ネクター、ソケット、抵抗器、コンデンサー、モータ
ー、発振器、プリント配線板、パワーモジュール等では
その部材の有する各種機能の信頼性を高めることができ
る。特に、電気的な接点部分を有するサーモトロピック
液晶コポリエステル製の電気・電子部品、たとえばリレ
ー、スイッチ等の部品では、当該接点部分が腐食性を有
するアウトガス等により酸化され腐食皮膜が形成されて
初期不良を起こしたり、また電圧印加時に炭化物層が生
成することにより接点不良が生じるなどの問題点が解決
され、部材の信頼度が向上する。それゆえ、このような
部品は本発明の方法により得られるサーモトロピック液
晶コポリエステルを採用してその樹脂部を構成すること
が好ましい。なお、上記電気・電子部品をサーモトロピ
ック液晶コポリエステルを用いて製造するには、公知の
成形方法、例えば射出成形によるインサート成形方法、
封止成形方法などを適宜に採用することができる。
【0069】以下、実施例により本発明をさらに詳しく
説明する。なお、以下の各実施例および比較例により得
られたサーモトロピック液晶コポリエステルは、常法に
より測定を行った結果、いずれも溶融時に光学異方性を
示した。
【0070】
【実施例】<測定方法>実施例に示す物性値は、次の方
法で測定した。 (1)融点 セイコー電子工業(株)製の示差走査熱量計を用いるD
SCにより、基準物質としてα−アルミナを用いて融点
測定を行った。温度を速度20℃/分で室温から420
℃まで昇温してポリマーを完全に融解させた後、速度1
0℃/分で150℃まで降温し、さらに20℃/分の速
度で430℃まで昇温したときに得られる吸熱ピークの
頂点を融点とした。 (2)見掛け粘度 見掛け粘度の測定には、インテスコ(株)製のキャピラ
リーレオメーター(モデル2010)を用い、キャピラ
リーとして径1.0mm、長さ40mm、流入角90°
のものを用い、せん断速度100sec-1において、D
SCにより測定した融点よりも30℃低い温度から、+
4℃/分の昇温速度で等速加熱を行いながら測定を行
い、所定温度における見掛け粘度を求めた。 (3)モノマー中の水分 三菱化成(株)製のカールフィッシャー法水分測定装置
(モデルVA−05)を用い、モノマー約2gを採取し
て、175℃において水分の測定を行った。 (4)アウトガス量 得られたサーモトロピック液晶コポリエステルを押出機
により融点近傍で溶融混練してペレットを作製し、この
ペレットを1mm以下に粉砕したものを150℃で24
時間熱処理した後に発生する酢酸およびフェノールのガ
スをガスクロマトグラフィーにより定量した。
【0071】酢酸およびフェノールのガスを測定する具
体的な例としては、ペレットを粉砕したものを20ml
のバイアル瓶に入れて密封し、エアーオーブン等を用い
て150℃で24時間熱処理を行い、発生する気体をガ
スクロマトグラフィーにより分析してアウトガス量を求
める方法が挙げられる。バイアル瓶中の気体をガスクロ
マトグラフィー装置に注入する方法としては、シリンジ
により手作業で行う方式やヘッドスペースサンプラーに
より注入する方法が挙げられる。測定精度を高めるため
には、ヘッドスペースサンプラーを用いることが好まし
い。この測定に用いるバイアル瓶、アルミキャップ、セ
プタム等は、150℃の熱処理に対応し得るものであれ
ば特に限定されるものではなく、市販のものを用いるこ
とができる。また、ガスクロマトグラフィー分析に用い
るカラムとしては、酢酸およびフェノールの定量分析が
可能であれば特に限定されるものではないが、無極性の
カラムが望ましい。例えば、化学品検査協会製のガラス
カラムであるG−100が挙げられる。また、測定温度
条件は、酢酸とフェノールのピークを分離して定量する
ことが可能であれば特に限定されるものではない。例え
ば、45℃から280℃まで20℃/分の速度で昇温す
る条件が挙げられる。
【0072】アウトガス量の測定を、具体的には次の条
件で行った。 (測定用ペレット及び測定方法)すなわち、ペレット
を、1mmφメッシュの粉砕機により粉砕し、得られた
粉砕物を20mlのバイアル瓶に入れて密封した後、1
50℃で24時間熱処理を行った。発生した酢酸および
フェノールのガスをヒューレットパッカード社製のヘッ
ドスペースサンプラー(HP7694)を接続したガス
クロマトグラフィー(HP6890)により定量した。
カラムには化学品検査協会製のG−100(40m)を
用い、その他の条件は、初期温度45℃、昇温速度20
℃/分、最終温度280℃、ヘリウム圧8.3psiお
よびスプリット比2.0として、FID検出器を用いて
測定を行う。 (測定用成形体)(株)新潟鉄工所製の射出成形機(M
IN−7)により、ペレットから成形温度380℃、射
出圧869kg/cm2 、射出速度69.5mm/se
c、保圧790kg/cm2 、射出時間3秒、冷却時間
12秒および金型温度150℃の条件で射出成形を行
い、20mm×50mm×1mm厚の引張試験片を得
る。この試験片について、上と同様にしてアウトガス発
生を測定する。なお、ミルドグラスファイバー等の充填
剤を配合したものは、無充填のものと比較して経験的に
アウトガスを発生させる傾向が大きい。そのため以下の
実施例では、アウトガス発生量の比較をより明瞭にする
ために、充填剤入りの試料を用いてアウトガスの試験を
行うものである。
【0073】<実験例1>SUS316を材質とし、ダ
ブルヘリカル攪拌翼を有する重合槽(日東高圧(株)
製)を用い、重合槽の減圧−窒素注入を5回繰り返して
窒素置換を行った後、上野製薬(株)製のp−ヒドロキ
シ安息香酸(HBA)1,330.10g(9.63モ
ル)、エイジーインターナショナル社製のイソフタル酸
(IPA)79.99g(0.4815モル)、三井石
油化学工業(株)製のテレフタル酸(TPA)453.
29g(2.7285モル)、本州化学工業(株)製の
p,p’−ビフェノール(BP)597.73g(3.
21モル)および触媒として東京化成社製の酢酸マグネ
シウム0.35gを仕込み、攪拌翼の回転数を50rp
mとして重合槽内のモノマーを攪拌混合した。重合槽内
のモノマー混合物2gを取り出して水分測定を行ったと
ころ、モノマー混合物中に0.176重量%の水分量が
測定された。すなわち、重合槽内には、4.33g
(0.24モル)のH 2 Oが存在していた。水分測定の
ために取り出したモノマーを重合槽に戻し、チッソ
(株)製の無水酢酸1,769.22g(17.33モ
ル)を添加し、攪拌翼の回転数を100rpmとして1
50℃まで1時間で昇温し、無水酢酸の還流状態で2時
間アセチル化反応を行った。アセチル化終了後、酢酸を
留出する状態にして速度0.5℃/分で昇温し、330
℃において重合物を重合槽下部の抜出し口から取り出し
た。取り出した重合体を粉砕機により1mm以下に粉砕
し、円筒型回転式リアクターを有する固相重合装置(旭
硝工(株)製)により固相重合を行った。すなわち、リ
アクターに粉砕した重合体を投入し、窒素を1リットル
/分の流量で流通させ、回転数20rpmで280℃ま
で2時間をかけて昇温した。280℃で1時間保持し、
300℃まで30分で昇温して4時間保持した後、室温
まで1時間で冷却して重合体を得た。得られた重合体の
融点をDSCにより測定したところ、376℃であっ
た。また、410℃における見掛け粘度は1,110ポ
イズであった。得られたサーモトロピック液晶コポリエ
ステル70重量%に対し、旭ファイバーグラス(株)製
のミルドガラスファイバー(MJH20JMH−1−2
0)30重量%を混合し、池貝鉄工(株)製の30mm
φ二軸押出機(PCM−30)によりシリンダーの最高
温度400℃でコンパウンドを行い、ガラスファイバー
30重量%充填物(ペレット)を得た。またこのペレッ
トからアウトガス測定用の試験片を前記した成形法に従
い射出成形した。また同様にして亜リン酸エステルとし
てビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフ
ェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(旭電化
工業(株)製、以下「P−1」と略記する)を、サーモ
トロピック液晶コポリエステルとミルドガラスファイバ
ーの混合物に対して0.1重量%混合し、アウトガス測
定用のペレットと試験片を作成した。表−1に有効無水
酢酸量を、表−2にガラスファイバー30重量%充填物
につきペレットと成形体(試験片)のアウトガス測定結
果を示す。
【0074】<実験例2>実験例1と同様の装置を用
い、p−ヒドロキシ安息香酸(HBA)1,330.1
0g(9.63モル)、イソフタル酸(IPA)79.
99g(0.4815モル)、テレフタル酸(TPA)
453.29g(2.7285モル)、p,p’−ビフ
ェノール(BP)597.73g(3.21モル)およ
び触媒として酢酸マグネシウム0.35gを仕込み、重
合槽内を70℃に昇温した後、攪拌翼を50rpmで回
転させながら減圧−窒素注入を5回行い、2時間をかけ
て窒素置換とモノマーの乾燥を行った。乾燥終了後、重
合槽内のモノマー混合物2gを取り出して水分測定を行
ったところ、モノマー混合物に0.015重量%の水分
量が測定された。すなわち、重合槽内には、0.37g
(0.02モル)のH2Oが存在していた。水分測定の
ために取り出したモノマーを重合槽に戻し、無水酢酸
1,739.61g(17.04モル)を添加し、攪拌
翼の回転数を100rpmとして150℃まで1時間で
昇温し、還流状態で2時間アセチル化反応を行った。ア
セチル化終了後、酢酸を留出する状態にして速度0.5
℃/分で昇温し、330℃において重合物を重合槽下部
の抜出し口から取り出した。取り出した重合体を粉砕機
により1mm以下に粉砕し、円筒型回転式リアクターを
有する固相重合装置により固相重合を行った。すなわ
ち、リアクターに粉砕した重合体を投入し、窒素を1リ
ットル/分の流量で流通させ、回転数20rpmで28
0℃まで2時間をかけて昇温した。280℃で1時間保
持し、300℃まで30分で昇温して4時間保持した
後、室温まで1時間で冷却して重合体を得た。得られた
重合体の融点をDSCにより測定したところ、375℃
であった。また、410℃における見掛け粘度は930
ポイズであった。得られたサーモトロピック液晶コポリ
エステル70重量%に対し、実験例1と同じミルドガラ
スファイバー30重量%を混合し、30mmφ二軸押出
機(PCM−30)によりシリンダーの最高温度400
℃でコンパウンドを行い、ガラスファイバー30重量%
充填物(ペレット)を得た。またこのペレットからアウ
トガス測定用の試験片を前記した成形法に従い射出成形
した。また同様にして亜リン酸エステル P−1を、サ
ーモトロピック液晶コポリエステルとミルドガラスファ
イバーの混合物に対して0.1重量%混合し、アウトガ
ス測定用のペレットと試験片を作成した。表−1に有効
無水酢酸量を、表−2にガラスファイバー30重量%充
填物につきペレットと成形体(試験片)のアウトガス測
定結果を示す。
【0075】<実験例3>実験例1と同様の装置を用
い、重合槽の減圧−窒素注入を5回繰り返して窒素置換
を行った後、p−ヒドロキシ安息香酸(HBA)1,3
30.10g(9.63モル)、イソフタル酸(IP
A)132.90g(0.80モル)、テレフタル酸
(TPA)400.37g(2.41モル)、p,p’
−ビフェノール(BP)597.73g(3.21モ
ル)および触媒として酢酸マグネシウム0.35gを仕
込み、攪拌翼の回転数を50rpmとして重合槽内のモ
ノマーを攪拌混合した。重合槽内のモノマー混合物2g
を取り出して水分測定を行ったところ、モノマー混合物
中に0.200重量%の水分量が測定された。すなわ
ち、重合槽内には、4.92g(0.27モル)のH2
Oが存在していた。水分測定のために取り出したモノマ
ーを重合槽に戻し、無水酢酸1,785.55g(1
7.49モル)を添加し、攪拌翼の回転数を100rp
mとして150℃まで1時間で昇温し、還流状態で2時
間アセチル化反応を行った。アセチル化終了後、酢酸を
留出する状態にして速度0.5℃/分で昇温し、330
℃において重合物を重合槽下部の抜出し口から取り出し
た。取り出した重合体を粉砕機により1mm以下に粉砕
し、円筒型回転式リアクターを有する固相重合装置によ
り固相重合を行った。すなわち、リアクターに粉砕した
重合体を投入し、窒素を1リットル/分の流量で流通さ
せ、回転数20rpmで290℃まで2時間をかけて昇
温した。290℃で6時間保持した後、室温まで1時間
で冷却して重合体を得た。得られた重合体の融点をDS
Cにより測定したところ、356℃であった。また、3
70℃における見掛け粘度は980ポイズであった。得
られたサーモトロピック液晶コポリエステル70重量%
に対し、実験例1と同じミルドガラスファイバー30重
量%を混合し、30mmφ二軸押出機(PCM−30)
によりシリンダーの最高温度370℃でコンパウンドを
行い、ガラスファイバー30重量%充填物(ペレット)
を得た。またこのペレットからアウトガス測定用の試験
片を前記した成形法に従い射出成形した。また同様にし
て亜リン酸エステル P−1を、サーモトロピック液晶
コポリエステルとミルドガラスファイバーの混合物に対
して0.1重量%混合し、アウトガス測定用のペレット
と試験片を作成した。表−1に有効無水酢酸量を、表−
2にガラスファイバー30重量%充填物につきペレット
と成形体(試験片)のアウトガス測定結果を示す。
【0076】<実験例4>実験例1と同様の装置を用
い、重合槽の減圧−窒素注入を5回繰り返して窒素置換
を行った後、p−ヒドロキシ安息香酸(HBA)1,3
30.10g(9.63モル)、イソフタル酸(IP
A)79.99g(0.4815モル)、テレフタル酸
(TPA)453.29g(2.7285モル)、p,
p’−ビフェノール(BP)597.73g(3.21
モル)および触媒として酢酸マグネシウム0.35gを
仕込み、攪拌翼の回転数を50rpmとして重合槽内の
モノマーを攪拌混合した。重合槽内のモノマー混合物2
gを取り出して水分測定を行ったところ、モノマー混合
物中に0.180重量%の水分量が測定された。すなわ
ち、重合槽内には、4.43g(0.25モル)のH2
Oが存在していた。水分測定のために取り出したモノマ
ーを重合槽に戻し、無水酢酸1,703.88g(1
6.69モル)を添加し、攪拌翼の回転数を100rp
mとして150℃まで1時間で昇温し、還流状態で2時
間アセチル化反応を行った。アセチル化終了後、酢酸を
留出する状態にして速度0.5℃/分で昇温し、330
℃において重合物を重合槽下部の抜出し口から取り出し
た。取り出した重合体を粉砕機により1mm以下に粉砕
し、円筒型回転式リアクターを有する固相重合装置によ
り固相重合を行った。すなわち、リアクターに粉砕した
重合体を投入し、窒素を1リットル/分の流量で流通さ
せ、回転数20rpmで280℃まで2時間をかけて昇
温した。280℃で1時間保持し、300℃まで30分
で昇温して6時間保持した後、室温まで2.5時間で冷
却して重合体を得た。得られた重合体の融点をDSCに
より測定したところ、378℃であった。また、410
℃における見掛け粘度は910ポイズであった。得られ
たサーモトロピック液晶コポリエステル70重量%に対
し、実験例1と同じミルドガラスファイバー30重量%
を混合し、30mmφ二軸押出機(PCM−30)によ
りシリンダーの最高温度400℃でコンパウンドを行
い、ガラスファイバー30重量%充填物(ペレット)を
得た。またこのペレットからアウトガス測定用の試験片
を前記した成形法に従い射出成形した。また同様にして
亜リン酸エステル P−1を、サーモトロピック液晶コ
ポリエステルとミルドガラスファイバーの混合物に対し
て0.1重量%混合し、アウトガス測定用のペレットと
試験片を作成した。表−1に有効無水酢酸量を、表−2
にガラスファイバー30重量%充填物につきペレットと
成形体(試験片)のアウトガス測定結果を示す。
【0077】<実験例5>実験例1と同様の装置を用
い、重合槽の減圧−窒素注入を5回繰り返して窒素置換
を行った後、p−ヒドロキシ安息香酸(HBA)1,3
30.10g(9.63モル)、イソフタル酸(IP
A)79.99g(0.4815モル)、テレフタル酸
(TPA)453.29g(2.7285モル)、p,
p’−ビフェノール(BP)597.73g(3.21
モル)および触媒として酢酸マグネシウム0.35gを
仕込み、攪拌翼の回転数を50rpmとして重合槽内の
モノマーを攪拌混合した。重合槽内のモノマー混合物2
gを取り出して水分測定を行ったところ、モノマー混合
物中に0.175重量%の水分量が測定された。すなわ
ち、重合槽内には、4.31g(0.24モル)のH2
Oが存在していた。水分測定のために取り出したモノマ
ーを重合槽に戻し、無水酢酸1,835.58g(1
7.98モル)を添加し、攪拌翼の回転数を100rp
mとして150℃まで1時間で昇温し、還流状態で2時
間アセチル化反応を行った。アセチル化終了後、酢酸を
留出する状態にして速度0.5℃/分で昇温し、330
℃において重合物を重合槽下部の抜出し口から取り出し
た。取り出した重合体を粉砕機により1mm以下に粉砕
し、円筒型回転式リアクターを有する固相重合装置によ
り固相重合を行った。すなわち、リアクターに粉砕した
重合体を投入し、窒素を1リットル/分の流量で流通さ
せ、回転数20rpmで280℃まで2時間をかけて昇
温した。280℃で1時間保持し、300℃まで30分
で昇温して4時間保持した後、室温まで2.5時間で冷
却して重合体を得た。得られた重合体の融点をDSCに
より測定したところ、376℃であった。また、410
℃における見掛け粘度は1,250ポイズであった。得
られたサーモトロピック液晶コポリエステル70重量%
に対し、実験例1と同じミルドガラスファイバー30重
量%を混合し、30mmφ二軸押出機(PCM−30)
によりシリンダーの最高温度400℃でコンパウンドを
行い、ガラスファイバー30重量%充填物(ペレット)
を得た。またこのペレットからアウトガス測定用の試験
片を前記した成形法に従い射出成形した。また同様にし
て亜リン酸エステル P−1を、サーモトロピック液晶
コポリエステルとミルドガラスファイバーの混合物に対
して0.1重量%混合し、アウトガス測定用のペレット
と試験片を作成した。表−1に有効無水酢酸量を、表−
2にガラスファイバー30重量%充填物につきペレット
と成形体(試験片)のアウトガス測定結果を示す。
【0078】<実験例6>実験例1と同様の装置を用
い、p−ヒドロキシ安息香酸(HBA)1,330.1
0g(9.63モル)、イソフタル酸(IPA)79.
99g(0.4815モル)、テレフタル酸(TPA)
453.29g(2.7285モル)、p,p’−ビフ
ェノール(BP)597.73g(3.21モル)およ
び触媒として酢酸マグネシウム0.35gを仕込み、重
合槽内を70℃に昇温した後、攪拌翼を50rpmで回
転させながら減圧−窒素注入を5回繰り返して、重合槽
内の窒素置換とモノマーの乾燥を行った。乾燥終了後、
重合槽内のモノマー混合物2gを取り出して水分測定を
行ったところ、モノマー混合物中に0.013重量%の
水分量が測定された。すなわち、重合槽内には、0.3
2g(0.02モル)のH2 Oが存在していた。水分測
定のために取り出したモノマーを重合槽に戻し、無水酢
酸1,671.21g(16.37モル)を添加し、攪
拌翼の回転数を100rpmとして150℃まで1時間
で昇温し、還流状態で2時間アセチル化反応を行った。
アセチル化終了後、酢酸を留出する状態にして速度0.
5℃/分で昇温し、330℃において重合物を重合槽下
部の抜出し口から取り出した。取り出した重合体を粉砕
機により1mm以下に粉砕し、円筒型回転式リアクター
を有する固相重合装置により固相重合を行った。すなわ
ち、リアクターに粉砕した重合体を投入し、窒素を1リ
ットル/分の流量で流通させ、回転数20rpmで28
0℃まで2時間をかけて昇温した。280℃で1時間保
持し、300℃まで30分で昇温して6時間保持した
後、室温まで2.5時間で冷却して重合体を得た。得ら
れた重合体の融点をDSCにより測定したところ、37
9℃であった。また、410℃における見掛け粘度は8
90ポイズであった。得られたサーモトロピック液晶コ
ポリエステル70重量%に対し、実験例1と同じミルド
ガラスファイバー30重量%を混合し、30mmφ二軸
押出機(PCM−30)によりシリンダーの最高温度4
00℃でコンパウンドを行い、ガラスファイバー30重
量%充填物(ペレット)を得た。またこのペレットから
アウトガス測定用の試験片を前記した成形法に従い射出
成形した。また同様にして亜リン酸エステル P−1
を、サーモトロピック液晶コポリエステルとミルドガラ
スファイバーの混合物に対して0.1重量%混合し、ア
ウトガス測定用のペレットと試験片を作成した。表−1
に有効無水酢酸量を、表−2にガラスファイバー30重
量%充填物につきペレットと成形体(試験片)のアウト
ガス測定結果を示す。
【0079】<実験例7〜10>実験例1の固相重合に
より得られたサーモトロピック液晶コポリエステルに対
して、同様にしてミルドグラスファイバーを30重量%
混合するとともに、0.1重量%の亜リン酸エステルと
して実験例7ではビス(2,4−ジ−tert−ブチル
フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(以下
「P−2」と略記する)を、実験例8ではジステアリル
ペンタエリスリトールジホスファイト(以下「P−3」
と略記する)を、実験例9では2,2’−メチレンビス
(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホ
スファイト(以下「P−4」と略記する)を、実験例1
0ではトリ(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)
ホスファイト(以下「P−5」と略記する)をそれぞれ
配合しペレットを製造し、さらに成形体(試験片)を射
出成形した。なお、実験例9の亜リン酸エステル P−
4および実験例10の亜リン酸エステル P−5は、い
ずれも前記式(1)には該当しない亜リン酸エステルで
ある。表−1にガラスファイバー30重量%充填物につ
き成形体(試験片)のアウトガス測定結果を示す。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】表1に示すように、実験例1、2および3
においては、有効無水酢酸量が1.04〜1.08の範
囲にあるのに対し、実験例4および6では有効無水酢酸
量が1.04より小さく、また、実験例5では有効無水
酢酸量が1.08よりも大きい。そして、表−2のアウ
トガス測定結果によれば、実験例4および6のように有
効無水酢酸量が小さい場合には、酢酸は検出されない
が、大量のフェノールガスが検出された。また、実験例
5のように有効無水酢酸量が大きい場合には、フェノー
ルガスの検出量は極めて少ないが、酢酸ガスが大量に発
生する結果が得られた。これらに対し、有効無水酢酸量
が1.04〜1.08の範囲にある実験例1、2および
3では、酢酸およびフェノールガスの発生量が極めて少
なく、良好な結果であった。上記の結果から、本発明の
製造方法に従って製造したサーモトロピック液晶コポリ
エステルは、酢酸およびフェノールガスの発生量が極め
て少ないことが判る。
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、モノマーの水酸機を無
水酢酸によりアセチル化した後に溶融重合または溶融重
合と固相重合の2段階重合によりサーモトロピック液晶
コポリエステルを製造する方法において、無水酢酸の量
を特定の範囲に制限して製造したサーモトロピック液晶
コポリエステルに対し、特定の構造を有する亜リン酸エ
ステルを配合することによって、フェノールガスの発生
量が極めて少ないサーモトロピック液晶コポリエステル
樹脂組成物を提供することができる。本発明によるサー
モトロピック液晶コポリエステルは、長時間の使用また
は高温環境下(例えばハンダつけ工程、表面実装)で電
気・電子部品の金属製導電部(例えば、回路)に対する
腐食性アウトガスの発生量が小さいために、該樹脂を構
成材料として使用する部品の各種機能の信頼性を高める
ことができる。例えば、本発明によるサーモトロピック
液晶コポリエステルは、HDD内で使用される各種部品
(キャリッジ、シャーシ、アクチュエータのVCMコイ
ル保持部、停止時のヘッド収納部材等)、FDD、光デ
ィスクドライブの構成部材として使用すると、相当部材
から発生する腐食性アウトガスが減少し、データ読み出
し機能の安定性が向上する。特に、金属導電部が樹脂か
ら発生する腐食性ガスに曝される構造の金属導電部を含
む電気・電子部品、例えば、リレー、コネクター、ソケ
ット、抵抗器、コンデンサー、モーター、発振器、プリ
ント配線板、パワーモジュールでは接点部分が腐食性を
有するアウトガス等により酸化され腐食皮膜が形成され
て初期不良を起こしたり、また、電圧印加時に炭化物層
が生成することにより接点不良が生じるなどの問題が解
決され、その結果、部材の信頼度が向上する。特に、電
気接点を有するリレー、スイッチにおいてこの問題の解
決は部品への信頼性の大なる向上をもたらす。さらに、
腐食性ガスの発生は充填剤の樹脂への配合により促進さ
れる傾向があるが、充填剤配合によりガスを発生しやす
い樹脂であっても、好ましくは特定の亜リン酸エステル
を配合することにより実用上有効にガス発生を抑制する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CF161 CF181 DA017 DA027 DA077 DA097 DA117 DE107 DE117 DE127 DE137 DE147 DE187 DG057 DJ007 DJ017 DJ027 DJ037 DJ047 DJ057 DL007 EW086 FA047 FA087 FA107 FD017 GQ00

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジ
    カルボン酸およびジオールからなる反応系のモノマー水
    酸基を過剰量の無水酢酸によりアセチル化し、その後溶
    融重合および必要に応じて固相重合を行うことにより製
    造されるサーモトロピック液晶コポリエステル100重
    量部、および下記式(1)で示される亜リン酸エステル
    の1種または2種以上0.001〜1重量部からなるこ
    とを特徴とするアウトガス発生の少ないサーモトロピッ
    ク液晶コポリエステル樹脂組成物。 【化1】 (式中、RおよびR’は、それぞれアルキル基、アルケ
    ニル基、アリール基またはアラルキル基を示し、同一で
    も異なってもよい。)
  2. 【請求項2】 金属製導電部と請求項1に記載のサーモ
    トロピック液晶コポリエステル樹脂組成物からなる電気
    ・電子部品。
  3. 【請求項3】 次の工程(1)〜工程(4)と必要に応
    じて行われる工程(5)から製造されるサーモトロピッ
    ク液晶コポリエステル100重量部、および、 下記式(2)で示される亜リン酸エステルの1種または
    2種以上0.001〜1重量部からなることを特徴とす
    るアウトガス発生の少ないサーモトロピック液晶コポリ
    エステル樹脂組成物。 工程(1)反応器に、芳香族ヒドロキシカルボン酸5〜
    100モル%、芳香族ジカルボン酸0〜47.5モル%
    および芳香族ジオール0〜47.5モル%(合計のモル
    %は100モル%であり、芳香族ジカルボン酸と芳香族
    ジオールのモル%は実質的に等しい。)を仕込む工程、 工程(2)次の式を満足する量の無水酢酸を添加する工
    程、 (B−C)/A≧1.04 ただし、Aは反応系内の水酸基の合計モル数、Bは添加
    する無水酢酸のモル数、Cは無水酢酸を添加する前の反
    応系に存在する水のモル数をそれぞれ表す。 工程(3)アセチル化工程、 工程(4)溶融重合工程および 工程(5)固相重合工程。 【化2】 (式中、RおよびR’は、それぞれアルキル基、アルケ
    ニル基、アリール基またはアラルキル基を示し、同一で
    も異なってもよい。)
  4. 【請求項4】 サーモトロピック液晶コポリエステルの
    製造工程(1)の後で(2)の前に反応系内の水分測定
    を実施することによりCの値をもとめることを特徴とす
    る請求項3に記載のサーモトロピック液晶コポリエステ
    ル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 (B−C)/Aの値が、1.04以上で
    1.08以下の範囲にあることを特徴とする請求項3ま
    たは4に記載のサーモトロピック液晶コポリエステル樹
    脂組成物。
  6. 【請求項6】 芳香族ヒドロキシカルボン酸がp−ヒド
    ロキシ安息香酸90〜100モル%およびその他の芳香
    族ヒドロキシ酸0〜10モル%(芳香族ヒドロキシカル
    ボン酸の合計を100モル%とする。)からなり、芳香
    族ジカルボン酸がテレフタル酸45〜100モル%およ
    びその他の芳香族ジカルボン酸が0〜55モル%(芳香
    族ジカルボン酸の合計を100モル%とする。)からな
    り、芳香族ジオールがp,p’−ビフェノールが60〜
    100モル%およびその他の芳香族ジオール0〜40モ
    ル%(芳香族ジオールの合計を100モル%とする。)
    からなることを特徴とする請求項3から5のいずれかに
    記載のサーモトロピック液晶コポリエステル樹脂組成
    物。
  7. 【請求項7】 芳香族ヒドロキシカルボン酸がp−ヒド
    ロキシ安息香酸90〜100モル%および2−ヒドロキ
    シ−6−ナフトエ酸0〜10モル%(芳香族ヒドロキシ
    カルボン酸の合計を100モル%とする。)からなり、
    芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸45〜100モル%
    およびイソフタル酸0〜55モル%(芳香族ジカルボン
    酸の合計を100モル%とする。)からなり、かつ芳香
    族ジオールがp,p’−ビフェノールが60〜100モ
    ル%およびヒドロキノンが0〜40モル%(芳香族ジオ
    ールの合計を100モル%とする。)からなることを特
    徴とする請求項3から5のいずれかに記載のサーモトロ
    ピック液晶コポリエステル樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 金属製導電部と請求項3から7のいずれ
    かに記載のサーモトロピック液晶コポリエステル樹脂組
    成物からなる電気・電子部品。
  9. 【請求項9】 p−ヒドロキシ安息香酸および2−ヒド
    ロキシ−6−ナフトエ酸から選ばれる芳香族ヒドロキシ
    カルボン酸、芳香族ジカルボン酸およびジオールからな
    る反応系のモノマー水酸基を過剰量の無水酢酸によりア
    セチル化し、その後溶融重合および必要に応じて固相重
    合を行うことにより製造されるサーモトロピック液晶コ
    ポリエステル100重量部、および、下記式(1)で示
    される亜リン酸エステルの1種または2種以上0.00
    1〜1重量部からなるサーモトロピック液晶コポリエス
    テル樹脂組成物90重量%〜10重量%と、無機または
    有機充填剤10重量%〜90重量(樹脂組成物と充填剤
    をあわせて100重量%とする。)、からなることを特
    徴とするアウトガス発生の少ないサーモトロピック液晶
    コポリエステル樹脂組成物。 【化3】 (式中、RおよびR’は、それぞれアルキル基、アルケ
    ニル基、アリール基またはアラルキル基を示し、同一で
    も異なってもよい。)
  10. 【請求項10】 金属製導電部と請求項9に記載のサー
    モトロピック液晶コポリエステル樹脂組成物からなる電
    気・電子部品。
  11. 【請求項11】 次の工程(1)〜工程(4)と必要に
    応じて行われる工程(5)から製造されるサーモトロピ
    ック液晶コポリエステル100重量部、および、 下記式(1)で示される亜リン酸エステルの1種または
    2種以上0.001〜1重量部からなるサーモトロピッ
    ク液晶コポリエステル樹脂組成物90重量%〜10重量
    %と、無機または有機充填剤10重量%〜90重量(樹
    脂組成物と充填剤をあわせて100重量%とする。)、
    からなることを特徴とするアウトガス発生の少ないサー
    モトロピック液晶コポリエステル樹脂組成物。 工程(1)反応器に、芳香族ヒドロキシカルボン酸5〜
    100モル%、芳香族ジカルボン酸0〜47.5モル%
    および芳香族ジオール0〜47.5モル%(合計のモル
    %は100モル%であり、芳香族ジカルボン酸と芳香族
    ジオールのモル%は実質的に等しい。)を仕込む工程、 工程(2)次の式を満足する量の無水酢酸を添加する工
    程、 (B−C)/A≧1.04 ただし、Aは反応系内の水酸基の合計モル数、Bは添加
    する無水酢酸のモル数、Cは無水酢酸を添加する前の反
    応系に存在する水のモル数をそれぞれ表す。 工程(3)アセチル化工程、 工程(4)溶融重合工程および 工程(5)固相重合工程。 【化4】 (式中、RおよびR’は、それぞれアルキル基、アルケ
    ニル基、アリール基またはアラルキル基を示し、同一で
    も異なってもよい。)
  12. 【請求項12】 サーモトロピック液晶コポリエステル
    の製造工程(1)の後で(2)の前に反応系内の水分測
    定を実施することによりCの値をもとめることを特徴と
    する請求項11に記載のサーモトロピック液晶コポリエ
    ステル樹脂組成物。
  13. 【請求項13】 (B−C)/Aの値が、1.04以上
    で1.08以下の範囲にあることを特徴とする請求項1
    1または12に記載のサーモトロピック液晶コポリエス
    テル樹脂組成物。
  14. 【請求項14】 芳香族ヒドロキシカルボン酸がp−ヒ
    ドロキシ安息香酸90〜100モル%およびその他の芳
    香族ヒドロキシ酸が0〜10モル%(芳香族ヒドロキシ
    カルボン酸の合計を100モル%とする。)からなり、
    芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸が45〜100モル
    %およびその他の芳香族ジカルボン酸が0〜55モル%
    (芳香族ジカルボン酸の合計を100モル%とする。)
    からなり、芳香族ジオールがp,p’−ビフェノールが
    60〜100モル%およびその他の芳香族ジオールが0
    〜40モル%(芳香族ジオールの合計を100モル%と
    する。)からなることを特徴とする請求項11から13
    のいずれかに記載のサーモトロピック液晶コポリエステ
    ル樹脂組成物。
  15. 【請求項15】 芳香族ヒドロキシカルボン酸がp−ヒ
    ドロキシ安息香酸90〜100モル%および2−ヒドロ
    キシ−6−ナフトエ酸が0〜10モル%(芳香族ヒドロ
    キシカルボン酸の合計を100モル%とする。)からな
    り、芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸が45〜100
    モル%およびイソフタル酸が0〜55モル%(芳香族ジ
    カルボン酸の合計を100モル%とする。)からなり、
    かつ芳香族ジオールがp,p’−ビフェノールが60〜
    100モル%およびヒドロキノンが0〜40モル%(芳
    香族ジオールの合計を100モル%とする。)からなる
    ことを特徴とする請求項11から13のいずれかに記載
    のサーモトロピック液晶コポリエステル樹脂組成物。
  16. 【請求項16】 金属製導電部と請求項11から15の
    いずれかに記載のサーモトロピック液晶コポリエステル
    樹脂組成物からなる電気・電子部品。
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