JPH1088817A - コンクリート補修剤注入プラグ及びコネクタ - Google Patents

コンクリート補修剤注入プラグ及びコネクタ

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JPH1088817A
JPH1088817A JP8269369A JP26936996A JPH1088817A JP H1088817 A JPH1088817 A JP H1088817A JP 8269369 A JP8269369 A JP 8269369A JP 26936996 A JP26936996 A JP 26936996A JP H1088817 A JPH1088817 A JP H1088817A
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Abstract

(57)【要約】 〔課題〕外径が小さくしかも使い捨てに適した簡易・安
価なコンクリート補修剤注入プラグを提供することにあ
る。 〔解決手段〕小さな外径の円筒体から成る先端側の注入
パイプ(11)と、この先端側の注入パイプ(11)の根元側に
取付け可能でかつ大きな外径の円筒体から成る根元側の
注入パイプ(12)と、先端側の注入パイプ(11)の外周面を
囲む弾性円筒体 (13a)と、この弾性円筒体(13a) をその
中心軸と平行な方向に圧縮することにより径方向に膨張
させて注入孔の内壁面に押し付ける圧縮機構(13b,13c)
とから成る注入孔への固定機構(13)と、根元側の注入パ
イプ(12)の内部に形成された逆流防止機構(14)とを備え
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート壁面
の内部に発生した剥離空間層や、コンクリート躯体層に
発生したクラックなどの内部にコンクリート補修剤を注
入するのに利用されるコンクリート補修剤注入プラグに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】コンクリート壁面の多くは、コンクリー
ト躯体層とその表面に形成された厚み2 cm〜3 cmの化粧
用の下地モルタル層から構成されている。このような構
造のコンクリート壁面では、経年変化により、コンクリ
ート躯体層と下地モルタル層との界面部分に厚さ0.2 m
m〜1 mm程度の浮きと称される剥離空間層が形成され
る。
【0003】このような剥離空間層が形成されたコンク
リート壁面を補修するための効果的な補修方法として、
このような壁面にその内部の剥離空間層まで達する深さ
の注入孔を形成し、この注入孔の内部に注入プラグを挿
入固定し、この注入プラグを通して剥離空間層内にエポ
キシ樹脂やポリマーセメントなどを主体とするコンクリ
ート補修剤を注入し固化させるものが知られている。
【0004】上記コンクリート補修剤の注入プラグは、
打ち込みボルト型など補修対象のコンクリート壁面に埋
め込んでしまって回収を行わない壁面埋め込み式のもの
と、壁面の補修の終了後はここから取り外す着脱式のも
のに大別される。壁面埋め込み式の注入プラグは、通
常、その頭部がコンクリート壁面から突出することなど
により補修後の壁面の美観を損ねる場合が多いため、補
修の終了後は壁面から回収する着脱式のものが望まれて
いる。
【0005】上記着脱式の注入プラグは、補修剤を注入
してから補修剤が固化するまでの間は強固に壁面に固定
されると共に、補修剤の固化後は壁面から容易に取り外
せるようなものであることが望ましい。この点で、フラ
ンジに接着剤を塗布して壁面に固定する形式の補修剤注
入プラグは、注入プラグを取り外したのちに壁面に残留
する接着剤層を除去するための作業などが必要になり、
この作業に手間と時間がかさむという問題がある。その
ような接着剤の除去の問題を伴わない注入プラグとし
て、壁面への機械的な固定機構を使用してコンクリート
壁面に着脱自在に取り付ける形式のもの知られており、
その典型例が実開昭63ー148748号公報に開示されてい
る。
【0006】また、上記着脱式の補修剤注入プラグは、
コンクリート壁面の内部に注入した補修剤が逆流しない
程度の固さに変化(固化)するまで、壁面から取り外す
ことができないという固有の事情がある。このため、注
入プラグ内部に残留する補修剤が固化し始める前にこれ
を早めに除去することができず、固化しかけた補修剤、
あるいは壁面からの取り外しの時期を逸したためほとん
ど固化してしまった補修剤を注入プラグの内部から除去
するための作業に多大の労力と時間がかかるという問題
がある。
【0007】さらに、コンクリート壁面への注入時に補
修剤の逆流を防ぐには、注入プラグの側に逆流防止機構
を設ける方法と、この注入プラグではなくこれに接続す
るホースやコネクタの側に逆流防止機構を形成する方法
とが考えられる。ホースやコネクタの稼働効率や、固化
しかけたあるいは完全に固化した補修剤の除去作業の困
難さを考慮すると、注入プラグの側に逆流防止機構を設
けることが、補修作業全体の作業能率の向上という観点
から望ましい。
【0008】上記注入プラグからの固化した補修剤の除
去という問題を解決するために、注入プラグの構造の簡
略化による低廉化を図ることでこれを使い捨てにすると
いう方法が考えられる。しかしながら、壁面への着脱機
構と逆流防止機構とを有する注入プラグについては、そ
の機構の簡略化にも限界がある。このため、本出願人の
先願(特願平4ー75176 号) に係わる注入プラグでは、
注入プラグを同軸の二重構造とし、コンクリート補修剤
の流路を形成する内部のパイプを外部のパイプに対して
着脱自在として、この簡易な構造によって安価な内部の
パイプのみの使い捨てを可能にしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記、先願に係わるコ
ンクリート補修剤注入プラグは、内部のパイプのみを使
い捨てにしているため極めて安価で、しかも使い易いた
め補修剤注入作業の能率が向上するという顕著な利点を
有している。しかしながら、この注入プラグは同軸の二
重構造を採用している関係上その外径が20mm程度の大
きな値となり、コンクリート壁面に形成すべき注入穴の
径が増大する。この注入穴は注入プラグを取り外したの
ちにコンクリート補修剤の充填などにより目立ないよう
に整形されるが、その径が大きくなるにつれて補修痕が
目立ってしまい、壁面の美観が損なわれるという問題が
ある。
【0010】また、本出願人の先願に係わる特願平7ー
106979号には、この種のコンクリート補修剤注入プラグ
に注入ホースの先端部分を着脱自在に接続するためのコ
ネクタが開示されている。このコネクタは、樹脂製のブ
ロックの内部に中央部分で直角に折れ曲がった補修剤の
流路を形成し、この流路の折れ曲がり部分をニードルバ
ルブで開閉するという比較的複雑な構造を呈している。
このように構造が複雑になるにつれて固化したコンクリ
ート補修剤の除去が困難になるという問題がある。
【0011】従って、本発明の一つの目的は、補修対象
のコンクリートの壁面に形成すべき注入孔が小径のもの
で済むような小さな外径のコンクリート補修剤注入プラ
グを提供することにある。本発明の他の目的は、小さな
外径のしかも使い捨て用に適した簡易・安価なコンクリ
ート補修剤注入プラグを提供することにある。本発明の
更に他の目的は、この種のコンクリート補修剤注入プラ
グに注入装置を結合するのに適した簡易な構造のコンク
リート補修剤注入用コネクタを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のコンクリート補
修剤注入プラグは、小さな外径の円筒体から成る先端側
の注入パイプと、この先端側の注入パイプの根元側に取
付け可能でかつ大きな外径の円筒体から成る根元側の注
入パイプと、先端側の注入パイプの外周面を囲む弾性円
筒体と、この弾性円筒体をその中心軸と平行な方向に圧
縮することにより径方向に膨張させて注入孔の内壁面に
押し付ける圧縮機構とから成る注入孔への固定機構と、
根元側の注入パイプの内部に形成された逆流防止機構と
を備えている。
【0013】本発明のコンクリート補修剤注入コネクタ
は、注入プラグの円柱状の根元側端部を収容するための
根元側収容孔及びこの根元側収容孔よりも拡大された内
径の先端側収容孔とが形成されると共にこの先端側収容
孔の内周面にネジ溝が形成されたハウジングと、このハ
ウジングの内周面に形成されたネジ溝に螺合されるネジ
溝が外周面上に形成されたネジ溝付き円筒体と、前記ハ
ウジングの前記先端側収容孔内の前記根元側収容孔と前
記ネジ溝付き円筒体との間に収容される円環状のパッキ
ンとを備えている。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明のコンクリート補修剤注入
プラグの実施の形態によれば、注入孔への固定機構は、
先端側の注入パイプの外周面上に形成されその先端方向
への弾性円筒体の移動を禁止する突起部と、先端側注入
パイプの外周面に、その先端側には移動し易くかつその
根元側には移動し難い状態で取付けられることにより、
弾性円筒体の根元側端部を先端方向に押圧する止め輪と
を備え、さらに、弾性円筒体の根元側端部と止め輪との
間に、先端側の注入パイプの外周面上にその軸線方向に
摺動自在に、取付けられたスリーブを備えている。
【0015】
【実施例】図1は、本発明の第1の実施例のコンクリー
ト補修剤注入プラグ10の構成を示す断面図であり、
(A)は中心線を含む平面で切断した状態を示す縦断面
図、図(B)と(C)とはそれぞれ断面図(A)中のX
ーX平面と、YーY平面で切断した状態を示す横断面図
である。
【0016】このコンクリート補修剤注入プラグ10
は、小さな外径の円筒体から成る先端側の注入パイプ1
1と、この先端側の注入パイプ11の根元側に取付けら
れた大きな外径の円筒体から成る根元側の注入パイプ1
2と、先端側の注入パイプ11の外周面に取付けられた
注入孔への固定機構13と、根元側の注入パイプ12の
内部に形成された逆流防止機構14とから構成されてい
る。
【0017】先端側の注入パイプ11も根元側の注入パ
イプ12も、共にポリプロピレン系の樹脂を素材として
おり、それぞれの内部には互いに連通する同一の内径の
コンクリート補修剤のための流路が形成されている。根
元側の注入パイプ12は、内周面に段差が形成されてお
り、内径の拡大された先端側部分が先端側の注入パイプ
11の根元側の端部に圧入などによって強固に嵌め合わ
され、必要に応じて接着などにより一層強固に固定され
る。
【0018】先端側の注入パイプ11の外周面上に形成
される注入孔への固定機構13は、パッキン13aと、
止め輪13bと、スリーブ13cと注入パイプ11の先
端部に形成された突起13dとから構成されている。上
述した先端側の注入パイプ11の根元側端部に根元側の
注入パイプ12を固定する前に、先端側の注入パイプ1
1の外周面上に、パッキン13a、スリーブ13c、止
め輪13bが順次嵌め合わされた状態で配置される。
【0019】パッキン13aは、ゴムなどの適宜な弾性
の弾性体から成り、先端側の注入パイプ11の外周面上
に緩やかに嵌め合わされた状態で配置されると共に、パ
イプの先端部に形成されたフランジ状の突起13dによ
って先端側への移動が阻止される。このパッキン13a
の根元側端部には、注入パイプ11の外周面上に摺動自
在に嵌め合わされたスリーブ13cを介して、止め輪1
3bからの押圧力が作用する。
【0020】止め輪13bは大きな強度のバネ鋼を素材
としており、図1の横断面図(B)を参照すれば、周辺
の環状部分Qと、この環状部分Qの内周面の周方向に6
oの角度を保って離間した6箇所のそれぞれから中心
に向けて放射状に突出する6個の歯形突起P1〜P6と
から構成されている。この歯形突起P1〜P6は、断面
図(A)を参照すると、後方(注入パイプ11の根元
側)に反っている。
【0021】この結果、前進(注入パイプ11の先端側
への移動)は容易であるが、後退(注入パイプ11の根
元側への移動)に際しては歯形突起P1〜P2の先端部
が注入パイプ11の外周面に食い込むためこの後退は困
難であり、強いて後退させるには大きな力を必要とす
る。この種の止め輪としては、株式会社落合製作所から
商品番号CSTWー6の名称で市販されているものなど
を使用できる。
【0022】この注入プラグ10を注入孔の内部に固定
する場合には、適宜な工具を利用して、止め輪13bを
前進させことにより、スリーブ13cを介してパッキン
13aをその軸線方向に圧縮する。これに伴い、パッキ
ン13aが径方向に膨張し、その外周面が注入孔の内周
面に強く押圧され、パッキン13aの外周面と注入孔の
内周面間の摩擦力により、パッキン13a、従って、こ
の注入プラグが注入孔の内部に強固に固定される。
【0023】根元側の注入パイプ12の内部に形成され
た逆流防止機構14は、適宜な弾性とコンクリート補修
剤への耐蝕性とを兼ね備えたゴムなどを素材とする板状
のシート14aと、ばね鋼などの金属を素材とするコイ
ルばね14bと、ポリプロピレン系の樹脂などを素材と
するブッシュ14cとから構成されている。
【0024】概ね円筒形状のブッシュ14cの内部には
注入対象のコンクリート補修剤に対する流路が形成され
ると共に、階段状に減少した外径を有する先端部分が根
元側の注入パイプ12の内部に圧入されることにより、
この注入パイプ12の根元側の端部に強固に固定され
る。ブッシュ14cの先端面は、面取り成形された鋭い
ナイフエッジの形状を呈しており、シート14cの表面
との間に細線状の円形の接触線を形成しながらコイルば
ね14bによる押圧力に抗してシート14aを下方に押
し下げる。
【0025】図1の断面図(C)を参照すると、シート
14aは、根元側の注入パイプ12の内周面にほぼ内接
する寸法を有する概ね正方形の形状を呈しており、その
四片のそれぞれと注入パイプの内周面との間に4個の円
弧状の空隙を形成する。シート14aが注入パイプ12
の内部を滑らかに上下できるよう、シート14aの四隅
は裁断されている。
【0026】図2は、図1の実施例のコンクリート補修
剤注入プラグの使用状態を示す部分断面図である。部分
的な断面図によって示す補修対象のコンクリート壁面
は、コンクリートの躯体層Bと、その表面を覆う化粧用
の下地モルタル層Aとから構成され、両層の界面に経年
変化によるって発生した「浮き」などと称される剥離空
間層Cが形成されている。
【0027】この剥離空間層Cに連通するように、円形
の注入孔Dがドリルなどを使用して形成される。このド
リルによる注入孔Dの形成に際しては、ドリルの先端が
下地モルタル層Aを突き破って剥離空間層Cに達する直
前に、この下地モルタル層Aの薄くなった部分の崩落が
生じ、これに伴って発生した破片が注入孔Dから剥離空
間層Cへの連通部分を塞いでしまい、以後の補修剤注入
作業が困難になるという問題がある。この難点を解決す
るため、注入孔Dがコンクリート壁面に対して傾いた状
態で形成されている。これの詳細については、必要に応
じて、特願平4ー75176号の明細書などを参照され
たい。
【0028】上述のようにして補修対象のコンクリート
壁面に斜めに形成される注入孔Dの内径は、図1の実施
例のコンクリート補修剤注入プラグの外径よりも多少大
きな値に設定されている。この注入孔D内に図1の実施
例の注入プラグの先端側の注入パイプ11とその外周面
に形成された注入孔への固定機構13が挿入される。続
いて、ヤットコに類似した構造の工具40を使用して、
止め輪13bを注入プラグ10の先端側に向けて前進さ
せる。
【0029】止め輪13bが前進すると、スリーブ13
cを介してパッキン13aがその軸線方向に圧縮され
る。これに伴い、パッキン13aが径方向に膨張し、そ
の外周面が注入孔の内周面に強く押圧され、パッキン1
3aの外周面と注入孔の内周面間の摩擦力により、パッ
キン13a、従って、この注入プラグが注入孔の内部に
強固に固定される。前述のように、止め輪13bの後退
に際しては歯形突起P1〜P6の先端部が注入パイプ1
1の外周面に食い込むためこの後退は困難でありこの注
入プラグ10の注入孔内へ固定状態は保持される。
【0030】図3は、注入済みのコンクリート補修剤の
固化後に行われる注入孔からの注入プラグ10の取り外
しの様子を示す部分断面図である。ヤットコに類似した
構造の工具50を使用して、止め輪13bを注入プラグ
10の根元側に向けて後退させる。この止め輪13bの
後退にはかなり大きな力を必要とし、場合によっては歯
形突起など止め輪13bの一部の破壊を伴うが、この止
め輪を含む注入プラグ10全体が使い捨てされるもので
あるため構成要素の一部に破壊が生じても全く支障はな
い。
【0031】止め輪13bの後退に伴い、パッキン13
aが自己の弾力に基づき軸線方向に膨張する。この結
果、パッキン13aは径方向に収縮し、注入孔の内周面
に対する押圧力と摩擦力が消滅する。この状態で、注入
プラグ10がコンクリート壁面に形成された注入孔から
容易に引き抜かれる。引き抜かれた注入プラグ10は、
その内部からほとんど固化したコンクリート補修剤を除
去するという再使用のための清掃作業に費やす労力と時
間とを省くために、廃棄される。
【0032】図4は、図1の実施例の注入プラグにコネ
クタ20を結合した状態を示している。このコネクタ2
0は、ハウジング21、パッキン22、スクリュープラ
グ23及びホース継ぎ手24から構成されており、ホー
ス継ぎ手24には電動ポンプや手動注入ポンプなどから
引き出されるホースの先端部分が結合される。
【0033】コネクタ20のハウジング21の内部に
は、注入プラグ10の根元側の注入パイプ12とブッシ
ュ14cとを収容するための根元側収容孔と、この根元
側収容孔よりも拡大された内径の先端側収容孔とが形成
されている。ハウジング21の根元側端部にはネジ溝が
形成されており、このネジ溝にホース継ぎ手24の先端
部が螺合されている。先端側収容孔には、円環状のパッ
キン22が収容されると共に、この収容孔の内周面上に
形成されたネジ溝には円環状のスクリュープラグ23が
螺合されている。
【0034】本実施例では、弾性と耐磨耗性とを考慮し
てパッキン22はウレタンゴムで形成し、その内径は注
入プラグの根元側の注入パイプ12の外径と同程度の値
に設定している。スクリュープラグ23を注入プラグ1
0の根元側に向けて後退させ、パッキン22の軸方向へ
の圧縮と径方向への膨張とを行わせることにより、パッ
キン22を根元側の注入パッキンの外周面に押圧する。
この結果、パッキン22を介した摩擦力によってコネク
タ20と注入プラグ10との間の機械的結合が行われる
と共に、両者の間の液密状態が保たれる。上記摩擦力を
高めて機械的結合の強度と液密状態とを改良するため
に、図1の断面図(A)に示したように、根元側の注入
パイプ12の外周面上に、2条の凹溝12bが形成され
ている。
【0035】コネクタ20を通して加圧注入されたコン
クリート補修剤は、注入プラグ10のブッシュ14cを
通過し、シート14aをコイルばね14bの押圧力に抗
して下方に移動させ、ブッシュ14cのナイフエッジ状
の先端面とシート14aとの間に形成される円形の空隙
と、シート14aと注入パイプ12の内周面との間に形
成される円弧状の空隙とを通して先端側の注入パイプ1
1の内部に流れ込む。先端側の注入パイプ11の内部に
流れ込んだコンクリート補修剤は、注入孔Dを通ってこ
れに連通する空隙C内に流れ込む。
【0036】補修対象のコンクリート壁面が広い範囲に
わたる場合には、この壁面上に複数の注入孔が形成さ
れ、それぞれの内部に図1に示した構造のコンクリート
補修剤注入プラグが固定される。各注入プラグにコネク
タとホースとを介してコンクリート補修剤の注入ポンプ
が接続されて補修剤の注入が行われるが、通常は注入ポ
ンプが一つのため、下方に位置する注入プラグから順に
一つずつ注入作業が反復される。
【0037】この際、コンクリート補修剤の注入を促進
するうえで、壁面内部の剥離空間層内の空気を壁面外部
の大気中に排気する必要がある。しかしながら、上方の
未だ注入が行われていない注入パイプでは、図1の断面
図(A)に示すように、逆流防止機構14が閉じている
ため、このような未注入の注入プラグを通して壁面内部
の剥離空間層を壁面の外部の大気に連通させることがで
きない。そこで、未注入の注入プラグの逆流防止機構を
解除するための空気抜き栓が注入プラグの付属品として
使用される。
【0038】注入プラグを通して剥離空間層内に十分な
量のコンクリート補修剤が注入されると、空気抜き栓を
付加した状態で上方の壁面に設置済みの注入プラグか
ら、コンクリート補修剤が溢れ出し始める。このコンク
リート補修剤の溢れ出しの開始をもって、下方の注入プ
ラグを通して行われた補修剤の注入作業の終了が確認さ
れる。このように、空気抜き栓を付加した注入プラグ
は、剥離空間層の空気抜きと、下方の注入プラグを通し
て行われる注入作業の終了の確認に利用される。
【0039】図5は、上記空気抜き栓30の構造を示す
正面図である。この空気抜き栓30は、適宜な樹脂から
成る円柱形状の頭部31と、この頭部31の下方に突出
するばね鋼線から成るU字クリップ32とから成ってい
る。図6に示すように、この空気抜き栓30のU字クリ
ップ32を、未注入の注入プラグ10のブッシュ14c
の内部に挿入し、その先端部分によって逆流防止機構1
4のシート14aを押下げることにより、コンクリート
壁面の内部の空隙をこの注入プラグを通して大気に連通
させる。
【0040】以上、パッキンと止め輪との間にスリーブ
を設置する構成を例示した。しかしながら、このような
パッキンの長さや設置位置によってはそのようなスリー
ブを省略してもよい。
【0041】また、パッキン先端側の前進を防止する機
構として先端側の注入パイプの外周面上に周方向に連続
するフランジ状の突起をこの注入パイプの一部として形
成したが、周方向に離散的に配置される複数の突起を注
入パイプの一部として形成したり、あるいは別個に作成
した円環状体を先端側の外周面に嵌合される構成であっ
てもよい。
【0042】さらに、コネクタ20側のパッキン22と
注入プラグ10との間の摩擦力を高めて機械的結合を強
化し、液密状態を改良するために、根元側の注入パイプ
12の外周面上に凹溝12bを形成する構成を例示し
た。しかしながら、コンクリート補修剤の注入液圧が3
kg/cm2 程度の低圧注入用としては、そのような凹
溝の形成を省略することもできる。
【0043】なお、注入孔をコンクリート壁面に斜めに
形成する補修方法を例示したが、このような注入孔をコ
ンクリート壁面に直角に形成する場合であっても本発明
の注入プラグやコネクタを使用できることは明らかであ
る。
【0044】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明のコ
ンクリート補修剤注入プラグは、外側に注入孔への固定
機構が形成される先端側を小さな外径の注入パイプで構
成し、注入孔内に挿入されない根元側の部分を大きな外
径の注入パイプで構成しその内部に逆流防止機構を形成
する構成であるから、注入孔の径が小さくでき、補修済
みのコンクリート壁面の美観を損なう補修痕を最少限に
留めることができる。
【0045】また、本発明のコンクリート補修剤注入コ
ネクタは、内部に形成されるコンクリート補修剤の流路
が直線状であり、しかもニードル弁などの複雑な要素を
使用しないなど簡易な構成であるため、製造費用が安価
であるだけでなく、内部に残留するコンクリート補修剤
の残滓の除去作業が容易になり、補修作業の能率が向上
するという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のコンクリート補修剤注入プ
ラグの構成を示す縦断面図(A)及び横断面図(B)、
(C)である。
【図2】図1の実施例のコンクリート補修剤注入プラグ
の使用状態を示す部分断面図である。
【図3】図1の実施例のコンクリート補修剤注入プラグ
の使用状態を示す部分断面図である。
【図4】図1の実施例のコンクリート補修剤注入プラグ
の使用状態をコネクタと共に示す断面図である。
【図5】上記実施例の注入プラグの付属品の一つである
空気抜き栓の構成を示す正面図である。
【図6】上記空気抜き栓の使用状態を逆流防止機構と共
に示す部分断面図である。
【符号の説明】
10 コンクリート補修剤注入プラグ 11 先端側の注入パイプ 12 根元側の注入パイプ 13 注入孔への固定機構 13a パッキン 13b 止め輪 13c スリーブ 14 逆流防止機構 14a シート 14b コイルばね 14c ブッシュ Q 周辺の環状部分 P1〜P6 歯形突起 20 コネクタ 30 空気抜き栓 40,50 作業用工具

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】小さな外径の円筒体から成る先端側の注入
    パイプと、 この先端側の注入パイプの根元側に取付け可能でかつ大
    きな外径の円筒体から成る根元側の注入パイプと、 前記先端側の注入パイプの外周面を囲む弾性円筒体と、
    この弾性円筒体をその中心軸と平行な方向に圧縮するこ
    とにより径方向に膨張させて注入孔の内壁面に押し付け
    る圧縮機構とから成る注入孔への固定機構と、 前記根元側の注入パイプの内部に形成された逆流防止機
    構とを備えたことを特徴とするコンクリート補修剤注入
    プラグ。
  2. 【請求項2】 請求項1において前記注入孔への固定機
    構は、 前記先端側の注入パイプの外周面上に形成されその先端
    方向への前記弾性円筒体の移動を禁止する突起部と、 前記先端側注入パイプの外周面に、その先端側には移動
    し易くかつその根元側には移動し難い状態で取付けられ
    ることにより、前記弾性円筒体の根元側端部を先端方向
    に押圧する止め輪とを備えたことを特徴とするコンクリ
    ート補修剤注入プラグ。
  3. 【請求項3】 請求項2において前記注入孔への固定機
    構は、 前記弾性円筒体の根元側端部と前記止め輪との間に、前
    記先端側の注入パイプの外周面上にその軸線方向に摺動
    自在に、取付けられたスリーブを更に備えたことを特徴
    とするコンクリート補修剤注入プラグ。
  4. 【請求項4】コンクリート壁面に形成された注入孔内に
    先端側が固定されるコンクリート補修剤注入プラグに補
    修剤注入ホースを結合させるためのコネクタであって、 前記注入プラグの円柱状の根元側端部を収容するための
    根元側収容孔及びこの根元側収容孔よりも拡大された内
    径の先端側収容孔とが形成されると共にこの先端側収容
    孔の内周面にネジ溝が形成されたハウジングと、 前記ハウジングの内周面に形成されたネジ溝に螺合され
    るネジ溝が外周面上に形成されたネジ溝付き円筒体と、 前記ハウジングの前記先端側収容孔内の前記根元側収容
    孔と前記ネジ溝付き円筒体との間に収容される円環状の
    パッキンとを備えたことを特徴とするコンクリート補修
    剤注入コネクタ。
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