JPH1088486A - 人工皮革用繊維シート及びその製造方法 - Google Patents

人工皮革用繊維シート及びその製造方法

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JPH1088486A
JPH1088486A JP24181896A JP24181896A JPH1088486A JP H1088486 A JPH1088486 A JP H1088486A JP 24181896 A JP24181896 A JP 24181896A JP 24181896 A JP24181896 A JP 24181896A JP H1088486 A JPH1088486 A JP H1088486A
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善雄 岸野
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豪 山崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 柔軟な風合いを持ち合わせていて、引裂強力
と耐切創性に非常に優れた人工皮革の基体として用いら
れる繊維シートを提供する。 【解決手段】 3次元絡合された繊度0.5デニール以
下の溶融液晶性ポリエステルの極細繊維からなる繊維絡
合不織布とその絡合空間に存在する弾性重合体からなる
繊維シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、人工皮革等の構成基体と
して用いられる、表面平滑性と柔軟な風合いをもちあわ
せていて、かつ引裂強力と耐切創性に非常に優れている
繊維質シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、表面平滑性と柔軟な風合いを
有する人工皮革用の繊維シートについて、また引裂強力
に優れている人工皮革用の繊維シートについて数多く提
案されており、多くの素材が生み出されてきた。柔軟な
風合いを有する繊維シートを得る方法としては、人工皮
革用基体を作るに際し、繊維絡合不織布等の繊維構造体
にポリビニルアルコール(以下PVA)等の水溶性可溶
性樹脂を付与して、繊維表面を該樹脂で覆い、そして弾
性重合体を含有せしめた後に、該水溶性可溶性樹脂を溶
解除去し、繊維と弾性重合体との間に空隙を形成せしめ
る方法が、特公昭45−18745号公報、特公昭45
−1943号公報、特開昭62−33885号公報、特
開昭62−149986号公報等に提案されている。こ
の方法を用いると、繊維表面が水溶性高分子で被覆され
ることにより繊維と弾性重合体とが接着することを防止
し、柔軟な風合いが得られることとなる。
【0003】また引裂強力を向上させる方法として、特
公昭59−39550号公報に、不織布とポリウレタン
エラストマーを主体とする弾性重合体からなる繊維シー
トに、ポリアミン誘導体のエピハロヒドリンによる重縮
合カチオン活性剤を付与する方法、また特開平5−27
9968号公報に、繊維絡合不織布中の見掛け比重を高
めることにより、繊維シートの引裂強力を向上させる方
法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】最近、靴等に用いられ
る人工皮革の分野において高品質化が要求され、外観、
風合い、表面平滑性等の感性面と、引裂強力、耐切創
性、機械的強度等の物性面をすべて満足させることが求
められている。しかも最近の傾向から特に競技用靴の分
野においては、薄地化、軽量化の傾向にあり、薄くて強
いものが求められている。しかしながら、従来公知の極
細繊維束と弾性重合体からなる人工皮革用基体では、外
観、風合等の感性面については申し分ないが、引裂強
力、耐切創性、機械的強度の物性面については、繊維質
基体を構成する繊維の物性自体に限度があり、用途によ
っては物性面で満足できるものは得られていなかった。
【0005】引裂強力を向上させる手段として、上記し
た、不織布とポリウレタンエラストマーからなる繊維シ
ートに重縮合カチオン活性剤を付与する方法や繊維絡合
不織布中の見掛け比重を高める方法を用いても、高引裂
強力シートとしては不十分なものであった。また高強力
繊維を絡合不織布構成繊維として用いる方法が考えられ
るが、人工皮革用基体としては、外観、風合い、表面平
滑性等の感性面で劣るという問題があり、人工皮革用基
体としては今まで用いられていなかった。さらに高強力
繊維を不織布シートとした場合には、デニールが太いた
めに、繊維同士の絡み合いが悪く、引裂き時に素抜け状
態となり、高強力繊維自体の持つ物性面の効果が得られ
ないばかりでなく表面平滑性も悪いという問題があっ
た。
【0006】本発明は、高強力繊維の持つ物性特性を損
なうことなく、人工皮革用基体として応用するために、
太い高強力繊維同士では絡み合いが悪かったものを、極
細繊維として用いることにより、繊維同士の絡み合いを
改善し、高強力繊維自体の持つ物性特性を繊維シートに
生かすものである。すなわち本発明は、該問題を解決
し、人工皮革の構成基体として用いられる、柔軟な風合
を持ち合わせていて、かつ引裂強力に非常に優れている
繊維シートを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、3次
元絡合された繊度0.5デニール以下の溶融液晶性ポリ
エステル繊維からなる繊維絡合不織布とその絡合空間に
存在する弾性重合体からなる人工皮革用繊維シートであ
る。また本発明は、溶融液晶性ポリエステルとその他の
ポリマーからなり、該その他のポリマーを除去又は両ポ
リマーの界面で剥離することにより繊度0.5デニール
以下の極細繊維となる極細繊維発生型繊維から構成され
た三次元絡合不織布に、次の(1)又は(2)の方法、
(1)弾性重合体を含浸し、その後に極細繊維発生型繊
維を極細繊維化する方法、(2)極細繊維発生型繊維を
極細繊維化したのち、弾性重合体を含浸する方法、を行
うことにより人工皮革用繊維シートを製造する方法であ
り、特に好ましくは、この方法において、極細繊維発生
型繊維を極細繊維化したのちに、繊維シートを窒素雰囲
気下で熱処理し、その後に弾性重合体を含浸する方法で
ある。
【0008】本発明にいう溶融液晶性とは、溶融相にお
いて光学異方性を示すものである。このような特性は、
公知の方法、例えばホットステ−ジにのせた試料を窒素
雰囲気下で昇温加熱し、その透過光を観察することによ
り容易に認定することができる。本発明に用いられる溶
融液晶性芳香族ポリエステルは、例えば芳香族ジオ−
ル、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸
等より得られるポリマ−であり、好適には化1〜化3に
示される反復構成単位の組み合わせからなるポリマ−が
挙げられる。
【0009】
【化1】
【0010】
【化2】
【0011】
【化3】
【0012】溶融液晶性ポリエステルの融点(MP)
は、260℃から380℃、特に270℃から350℃
が好ましい。ここでいう融点とは、示差熱量走査装置
(DSC;例えばMETTLER社製のTA3000)
で観察される主吸熱ピークのピーク温度である。特に好
ましくは、パラヒドロキシ安息香酸(a)と2−ヒドロ
キシ−6−ナフトエ酸(b)の構成単位からなる部分が
80モル%以上である溶融異方性芳香族ポリエステルであ
り、特にaとbの合計量に対するb成分の割合が5〜45
モル%である芳香族ポリエステルが好ましい。なお本発
明で使用する溶融液晶性ポリエステルには、適宜酸化チ
タン、カオリン、シリカ、硫酸バリウム、カーボンブラ
ック、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を
含んでいても良い。
【0013】本発明の繊維シートは、例えば以下の工程
を順次行うことにより得られる。 繊維から溶解または分解除去することのできる海成分
ポリマー中に、溶融液晶性ポリエステルが島成分として
分散しており、海成分ポリマーを除去することにより溶
融液晶性ポリエステルが0.5デニール以下の極細繊維
となる極細発生繊維を製造する工程、 該繊維からなる絡合不織布を製造する工程、 必要に応じて不織布を、溶解除去可能な樹脂により仮
固定する工程、 該絡合不織布に弾性重合体液を含浸し、湿式凝固する
工程、 該極細繊維発生繊維から極細繊維に変性する工程 なお上記との工程は順序が逆転していてもよい。さ
らに上記との工程が逆転している場合には、の工
程との工程の間に、繊維シートを窒素雰囲気下で熱処
理する工程を挿入するのが好ましい。また上記の工程
の繊維として、溶融液晶性ポリエステルが、その他のポ
リマーにより分割されており、その他のポリマーを除
去、あるいは両ポリマーの界面で剥離することにより溶
融液晶性ポリエステルが0.5デニール以下の極細繊維
となる極細繊維発生型繊維であってもよい。
【0014】本発明に用いる溶融液晶性ポリエステルか
らなる極細繊維は、溶融液晶性ポリエステルとその他の
ポリマーの少なくとも2種類のポリマーからなる極細繊
維発生型繊維から製造される。例えば、海成分ポリマー
が溶剤または水酸化ナトリウム等の分解剤により溶解除
去または分解除去することで島成分の溶融液晶性ポリエ
ステルが極細繊維として残るいわゆる抽出型繊維あるい
は機械的にまたは処理剤によって各ポリマーからなる極
細繊維にフィブリル化する分割型繊維等があげられる。
【0015】抽出型繊維で溶解除去または分解除去され
るポリマー成分は、極細繊維成分の溶融液晶性ポリエス
テルと溶剤または分解剤に対する溶解性または分解性を
異にし、溶融液晶性ポリエステルと相溶性の小さいポリ
マーであり、かつ紡糸条件下で溶融液晶性ポリエステル
より溶融粘度が小さいかあるいは表面張力が小さいポリ
マーであり、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポ
リエチレンプロピレン共重合体、変性ポリエステルなど
のポリマーから選ばれた少なくとも1種類のポリマーが
挙げられる。
【0016】ここで溶融液晶性ポリエステルからなる極
細繊維は繊度0.5デニール以下となるようにする。溶
融液晶性ポリエステルは剛直なポリマーであるため、該
ポリエステルよりなる極細繊維の繊度が0.5デニール
より大きいと繊維シートとしたときに、表面の平滑性が
悪く、さらに繊維シートが硬くなり柔軟な風合いのもの
は得られにくい。さらに不織布を引裂く際に、素抜け状
態となり引裂強力がそれほど高いものとならない。好ま
しくは0.1デニール以下である。極細繊維とすると溶
融液晶性ポリエステル繊維同士が互いに絡みつくことと
なり絡合性が高まる。本発明において用いられる極細繊
維発生型繊維の代表例は、繊維軸方向に垂直な方向の繊
維断面形状が、溶融液晶性ポリエステルが海成分、その
他のポリマーが島成分となっている海島構造の場合であ
り、また溶融液晶性ポリエステルとその他のポリマーが
交互積層構造となっている場合も代表例として挙げられ
る。本発明の繊維は、混合紡糸繊維(いわゆるチップブ
レンド繊維)であっても、複合紡糸繊維(いわゆるそれ
ぞれのポリマーを別々に溶融し、紡糸口金近辺で両ポリ
マーを合流して紡糸した繊維)であってもよい。
【0017】本発明の繊維シートは、溶融液晶性ポリエ
ステルの繊度が0.5デニール以下であるため、溶融液
晶性ポリエステルの極細繊維だけからなる繊維シートで
も十分に風合いの柔らかいものが得られるが、さらに柔
らかいものを得るためには第2の極細繊維を加えても良
い。第2の極細繊維を構成するポリマーとしては、6-
ナイロン、66-ナイロンをはじめとする溶融紡糸可能
なポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート、カチオン可染型変性ポリエチレ
ンテレフタレートをはじめとする溶融紡糸可能なポリエ
ステル類などから選ばれた少なくとも1種類のポリマー
が挙げられる。またこの第2の極細繊維発生型繊維も一
成分を溶解除去又は分解除去することにより極細化する
繊維が好ましく、溶解除去又は分解除去される成分は溶
融液晶性ポリエステルからなる極細繊維発生型繊維を構
成している溶解除去又は分解除去されるポリマーと同一
条件下で溶解除去又は分解除去されるポリマーが好まし
い。
【0018】溶融液晶性ポリエステルからなる極細繊維
発生繊維と第2の極細繊維発生型繊維とを混繊する方法
としては、紡糸後の繊維を延伸、油剤付与、機械捲縮を
付与した後、カットしてステープルとしたものをブレン
ダーを使用して混繊する方法、あるいはフィラメントの
段階で合糸により繊維束として混繊する方法などが挙げ
られる。第2の極細繊維も0.5デニール以下が好まし
い。ここで、溶融液晶性ポリエステル繊維と第2の極細
繊維とを混合する比率としては、重量比で100/0〜
20/80、好ましくは100/0〜50/50の範囲
である。溶融液晶性ポリエステルの比率が20重量%未
満であると溶融液晶性ポリエステルの高強力特性が生か
せず、繊維シートとしたときの引裂強力が溶融液晶性ポ
リエステル繊維を混綿しないときとほとんど変わらな
い。
【0019】極細繊維発生型繊維は、カードで開繊し、
ウェーバーを通してランダムウェブ、またはクロスラッ
プウェブを形成し、得られた繊維ウェブは、所望の重
さ、厚さに積層する。次いで、ニードルパンチ、高速流
体パンチなどの公知の方法で絡合処理を行って絡合不織
布とするか、あるいはこの繊維ウェブを水流等を使用し
て編地などに絡合させ、繊維絡合不織布とする。
【0020】なお必要に応じ、繊維絡合不織布にポリビ
ニルアルコールで代表される水溶性樹脂を含浸し、繊維
表面を水溶性樹脂で覆うことにより、後に付与する弾性
重合体と繊維との間に水溶性樹脂が存在するようにし、
弾性重合体を付与した後に水溶性樹脂を水洗除去するこ
とにより、繊維と弾性重合体とが実質的に接着していな
いような状態となり、このような繊維シートは繊維が弾
性重合体からある程度フリーに動けるため、極めて柔軟
な繊維シートが得られることとなる。
【0021】次に、繊維絡合不織布に弾性重合体液を含
浸し、加熱乾燥することでゲル化させるかあるいは弾性
重合体の非溶剤を含む液に浸漬して湿式凝固することで
多孔質化させる。ここで含浸する弾性樹脂としては、例
えば、平均分子量500〜3000のポリエステルジオ
ール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオー
ルあるいはポリエステルポリエーテルジオール等の複合
ジオール等から選ばれた少なくとも1種類のポリマージ
オールと、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイ
ソシアネートなどの芳香族系、脂環族系、脂肪族系のジ
イソシアネートなどから選ばれた少なくとも1種類のジ
イソシアネートと、エチレングリコールやエチレンジア
ミン等の2個以上の活性水素原子を有する少なくとも1
種類の低分子化合物とを所定のモル比で反応させて得た
ポリウレタンおよびその変性物が挙げられる。これら以
外に、例えばポリエステルエラストマーやアクリル系エ
ラストマー等の弾性重合体であってもよく、またこれら
を混合した重合体組成物であってもよい。しかし、柔軟
性、弾性回復性、スポンジ形成性等の点より上記のポリ
ウレタンが最も好ましく用いられる。
【0022】上記のような弾性重合体を溶剤あるいは分
散剤に溶解あるいは分散させて得た弾性重合体液を繊維
絡合体に含浸し、弾性重合体の非溶剤で処理して湿式凝
固させ多孔質化させるか、或いはそのまま加熱乾燥して
ゲル化させ多孔質化させるかの方法で繊維質基体を得
る。この重合体液には、必要に応じて着色剤、凝固調節
剤、酸化防止剤、分散剤等の添加剤を配合する。極細化
処理した繊維質基体に占める弾性重合体の比率は、基体
に柔軟な風合いと弾性回復性を持たせ、なにより重要な
ことには平滑性の高い基体表面を形成するために固形分
として重量比で10%以上、好ましくは30〜50%の
範囲で含有させるのがよい。弾性重合体比率が10%未
満では緻密な弾性体スポンジが形成されない。
【0023】次に、弾性重合体を含有した繊維質基体
を、極細繊維および弾性重合体に非溶剤であり、かつ極
細繊維発生型繊維の分散媒成分(海成分)の溶剤または
分解剤等によって処理するかあるいは機械的な処理を加
えることで極細繊維発生型繊維を極細繊維束に変える。
これにより、極細繊維が高強力繊維に絡みついた構造を
有する繊維シートが得られる。また本発明において、絡
合処理を行って得られた絡合不織布を、極細繊維発生型
繊維の分散媒成分(海成分)の溶剤または分解剤等によ
り処理して溶融液晶性ポリエステルの極細繊維からなる
繊維絡合体にしておいてから、窒素雰囲気下で繊維絡合
体を熱処理し、次いで弾性重合体液を繊維絡合体に含浸
して繊維シートを得る方法も好ましい。溶融液晶性ポリ
エステル繊維を窒素雰囲気下で熱処理すると、強度およ
び耐熱性が大きく向上する。
【0024】熱処理する具体的条件としては、他の極細
繊維が溶融或いは分解しない温度が好ましく、通常は2
20℃以上、特に240℃以上でかつ不織布構成繊維が
溶融又は分解する温度よりわずかに低い温度が用いられ
る。熱処理時間としては1〜50時間の範囲が好まし
い。弾性重合体を含浸したのちに熱処理を行った場合に
は、弾性重合体が熱処理条件で溶融したり分解するた
め、本発明においては弾性重合体を含浸した後に行うの
が好ましい。また極細繊維発生型繊維を極細化していな
い状態で熱処理を行った場合には、分散媒成分として通
常、低融点ポリマーが用いられているため、熱処理温度
で溶融し絡合不織布の状態が大きく変化を受けるため好
ましくない。したがって熱処理は、極細繊維発生型繊維
を極細化した後に行うのが好ましい。本発明により得ら
れる繊維シートは、表面平滑性に優れ、柔軟な風合いを
持ち合わせており、さらに引裂強力及び耐切創性におい
ても優れたものである。本発明の繊維シートの表面にポ
リウレタンで代表される弾性重合体を塗布することによ
り銀面付きの人工皮革が得られ、また本発明の繊維シー
トの少なくとも片面をバフィングすることによりスエー
ド調の人工皮革が得られる。
【0025】
【実施例】次に、本発明を具体的な実施例で説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、本発明において、物性値は以下の条件で測定した
ものである。 1.目付(g/m2 ) 得られた繊維シートを10cm角に切り取り、その重量
Wを電子天秤(メトラ製AE180)で測定し、W/
0.01により求めた。 2.厚み(mm) 厚み測定器(OZAKI MFG CO.LTD製ピー
コックG)を用いて10箇所を測定してその平均を求め
た。 3.密度(g/cm3) (目付/厚み)×1,000により求めた。
【0026】4.裂断長(km) 25cm巾の試料を10cmの間隔でチャックに挟み万
能試験機(インストロン社製)を用いてヘッドスピード
100mm/分で破断したときの強力を求め、強力を目
付×0.25で割って求めた。 5.比引き裂き強力(m2) 巾4cmの試料の中央に長さ10cmの切れ目を入れ
て、上記万能試験機を用いて100mm/分のヘッドス
ピードで引き裂いたときの強力を目付で割って求めた。 6.耐切創性(m2) 巾1cmの試料を角度10度に設定したカッターの刃に
通し、上記万能試験機を用いて50mm/分のヘッドス
ピードで試料を切断したときの強力を目付で割って求め
た。
【0027】実施例1〜4、比較例1 島成分ポリマーとして、パラヒドロキシ安息香酸73モ
ル%と2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸27モル%から
重合された溶融液晶性ポリエステルを50重量%、海成
分に高密度ポリエチレンを50重量%混合して305℃
で海島型の極細繊維発生型繊維を混合紡糸し、機械捲縮
をかけて51mmにカットしてステープル(A)とし
た。極細繊維発生型繊維の繊度は5デニールで個々の島
成分の繊度は約0.003デニールであった。また島成
分としてナイロン−6を50重量%、海成分として低密
度ポリエチレンを50重量%混合して290℃で海島型
の極細繊維発生型繊維を混合紡糸し、80℃温水中で延
伸し、機械捲縮をかけて51mmにカットしてステープ
ル(B)とした。この極細繊維発生型繊維の繊度は9デ
ニールで個々の島成分の繊度は0.002デニールであ
った。これら2種のステープルを混綿比率がA/B=1
00/0〜20/80となるように混綿した。この混綿
繊維をカードにかけ、クロスラップ法でウェブを形成
し、次いでニードルパンチングしてカレンダーロールで
プレスすることで表面の平滑な絡合不織布を得た。この
絡合不織布に、ポリエーテル系ポリウレタンの13%ジ
メチルホルムアミド溶液を含浸し、ジメチルホルムアミ
ド/水混合液の中に浸して湿式凝固した後、熱トルエン
中で混合繊維中の海成分ポリマーを溶出除去し繊維シー
トを得た。繊維シートにおける弾性重合体の重量割合は
42%であった。得られた繊維シートの物性を表1に示
す。
【0028】比較例2 実施例1で用いた溶融液晶性ポリエステルのみを単独紡
糸し、機械捲縮をかけて51mmにカットして溶融液晶
性ポリエステルのみからなるステープルとした。繊度は
2.5デニールであった。このステープルのみを用いて
実施例1と全く同様にして絡合不織布とした。この絡合
不織布に実施例1と同一のポリウレタン溶液を含浸して
凝固し、繊維シートを得た。得られた繊維シートの物性
を表1に示す。
【0029】実施例5 実施例1で用いた溶融液晶性ポリエステルと高密度ポリ
エチレンを用いて13層積層型の分割型極細繊維発生型
繊維を複合紡糸し、機械捲縮をかけて51mmにカット
してステープルとした。極細繊維発生型繊維の繊度は5
デニールであった。この繊維から得られる極細繊維の太
さは約0.3デニールであった。このステープルのみを
用いて実施例1と全く同様にして繊維シートを得た。得
られた繊維シートの物性を表1に示す。
【0030】実施例6 実施例1で得られた絡合不織布を熱トルエン中で混合繊
維中の海成分を溶出除去した後に、窒素雰囲気下で26
0℃で10時間熱処理した。この熱処理した不織布にポ
リエーテル系ポリウレタンを主体とするポリウレタン溶
液を含浸し、湿式凝固して繊維シートを得た。得られた
繊維シートの物性を表1に示す。
【0031】実施例7 実施例1で用いた溶融液晶性ポリエステルの替わりに化
3で示された構成単位C〜Fのモル比がC:D:E:F
=60:20:15:5である溶融液晶性ポリエステル
ポリマーを用い、ヘッド温度340℃で海島型の極細繊
維発生型繊維を混合紡糸し、機械捲縮をかけて51mm
にカットしてステープルとした。極細繊維発生型繊維の
繊度は5デニールで個々の島成分の繊度は約0.003
デニールであった。このステープルを用いて実施例1と
同様にして繊維シートを得た。得られた繊維シートの物
性を表1に示す。
【0032】実施例8 実施例7で用いた溶融液晶性ポリエステルステープルを
用いた以外は実施例6と全く同様にして繊維シートを得
た。得られた繊維シートの物性を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】本発明で得られた繊維シートは、柔軟な
風合い及び優れた表面平滑性を持ち合わせていて、引裂
強力と耐切創性に非常に優れているものであり、靴用や
手袋用等の人工皮革の基体として利用できる。
フロントページの続き (72)発明者 山崎 豪 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3次元絡合された繊度0.5デニール以
    下の溶融液晶性ポリエステル繊維からなる繊維絡合不織
    布とその絡合空間に存在する弾性重合体からなる人工皮
    革用繊維シート。
  2. 【請求項2】 溶融液晶性ポリエステルとその他のポリ
    マーからなり、該その他のポリマーを除去又は両ポリマ
    ーの界面で剥離することにより繊度0.5デニール以下
    の極細繊維となる極細繊維発生型繊維から構成された三
    次元絡合不織布に、次の(1)又は(2)の方法、
    (1)弾性重合体を含浸し、その後に極細繊維発生型繊
    維を極細繊維化する方法、(2)極細繊維発生型繊維を
    極細繊維化したのち、弾性重合体を含浸する方法、を行
    う人工皮革用繊維シートの製造方法。
  3. 【請求項3】 極細繊維発生型繊維を極細繊維化したの
    ちに、繊維シートを窒素雰囲気下で熱処理し、その後に
    弾性重合体を含浸する請求項2の製造方法。
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CN103160953A (zh) * 2013-03-15 2013-06-19 武汉纺织大学 一种热致性液晶聚芳酯纳原纤的短流程制备方法
CN108691095A (zh) * 2017-04-07 2018-10-23 安安(中国)有限公司 一种真皮纤维复合超纤合成革的生产方法

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