JPH1088428A - 無機粒子含有繊維布帛の製造方法 - Google Patents
無機粒子含有繊維布帛の製造方法Info
- Publication number
- JPH1088428A JPH1088428A JP8257727A JP25772796A JPH1088428A JP H1088428 A JPH1088428 A JP H1088428A JP 8257727 A JP8257727 A JP 8257727A JP 25772796 A JP25772796 A JP 25772796A JP H1088428 A JPH1088428 A JP H1088428A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- sheath
- core
- inorganic particles
- fibers
- polymer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
- Artificial Filaments (AREA)
- Multicomponent Fibers (AREA)
- Woven Fabrics (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 無機粒子による製糸工程,仮撚工程,撚糸工
程,製織および製編工程での繊維との接触による糸道ガ
イド,ローラ,筬,編針等の摩耗問題を回避して製造す
ることが可能な無機粒子含有繊維の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 無機粒子を含有するポリマーからなる繊
維を製造するに際し,芯部と鞘部を実質的に同心円状に
配置し,無機粒子を1.0重量%以上含有する芯部の容積
比率を80〜90%とし,かつ鞘部を形成するポリマー
は,実質的に無機粒子を含まず,芯部を形成するポリマ
ーより溶剤に対する溶解性が大なるポリマーで構成し
て,鞘部の最も薄い部分の厚みが0.2〜1.0μmである
芯鞘複合繊維を製造し,この芯鞘複合繊維を用いて製編
織した後,鞘成分のみを溶解除去することを特徴とする
無機粒子含有繊維の製造方法。
程,製織および製編工程での繊維との接触による糸道ガ
イド,ローラ,筬,編針等の摩耗問題を回避して製造す
ることが可能な無機粒子含有繊維の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 無機粒子を含有するポリマーからなる繊
維を製造するに際し,芯部と鞘部を実質的に同心円状に
配置し,無機粒子を1.0重量%以上含有する芯部の容積
比率を80〜90%とし,かつ鞘部を形成するポリマー
は,実質的に無機粒子を含まず,芯部を形成するポリマ
ーより溶剤に対する溶解性が大なるポリマーで構成し
て,鞘部の最も薄い部分の厚みが0.2〜1.0μmである
芯鞘複合繊維を製造し,この芯鞘複合繊維を用いて製編
織した後,鞘成分のみを溶解除去することを特徴とする
無機粒子含有繊維の製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,無機粒子を含有す
るポリマーからなる繊維布帛の製造方法に関し,詳しく
は,無機粒子による製糸工程,後加工工程での繊維との
接触による糸道ガイド,ローラ,筬および編針等の摩耗
を軽減することが可能な無機粒子含有合成繊維よりなる
布帛の製造方法に関するものである。
るポリマーからなる繊維布帛の製造方法に関し,詳しく
は,無機粒子による製糸工程,後加工工程での繊維との
接触による糸道ガイド,ローラ,筬および編針等の摩耗
を軽減することが可能な無機粒子含有合成繊維よりなる
布帛の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】合成繊維の用途の多様化および高機能化
に伴い,近年,無機粒子を含むポリマーからなる繊維に
対する要望が強くなっている。しかし,無機粒子の含有
率を多くすると,糸表面に存在する無機粒子の量が増
え,製糸工程,仮撚工程,撚糸工程,製織および製編等
の工程における糸道ガイド,ローラ,筬および編針等の
摩耗が多く,毛羽や糸切れの発生原因となるため,頻繁
に部品を交換する必要があり,交換費用および機械損失
によるコストアップが避けられず,そればかりか,最近
特に各工程においてスピードアップによるコストダウン
を行う上で著しい障害となっている。
に伴い,近年,無機粒子を含むポリマーからなる繊維に
対する要望が強くなっている。しかし,無機粒子の含有
率を多くすると,糸表面に存在する無機粒子の量が増
え,製糸工程,仮撚工程,撚糸工程,製織および製編等
の工程における糸道ガイド,ローラ,筬および編針等の
摩耗が多く,毛羽や糸切れの発生原因となるため,頻繁
に部品を交換する必要があり,交換費用および機械損失
によるコストアップが避けられず,そればかりか,最近
特に各工程においてスピードアップによるコストダウン
を行う上で著しい障害となっている。
【0003】かかる欠点を改善する方法として,特公昭
63−17926号公報には,芯鞘複合繊維において,
芯部に無機粒子として酸化チタンを比較的高濃度に含有
したポリマーを用い,鞘部にはこれらの無機粒子の含有
量を低くしたポリマーを用いることにより,摩耗特性を
改善する方法が開示されている。しかし,このような方
法においては,鞘部の無機粒子の含有量を減らさなけれ
ばならないために,無機粒子のもつ長所を十分に生かす
ことができないという問題がある。
63−17926号公報には,芯鞘複合繊維において,
芯部に無機粒子として酸化チタンを比較的高濃度に含有
したポリマーを用い,鞘部にはこれらの無機粒子の含有
量を低くしたポリマーを用いることにより,摩耗特性を
改善する方法が開示されている。しかし,このような方
法においては,鞘部の無機粒子の含有量を減らさなけれ
ばならないために,無機粒子のもつ長所を十分に生かす
ことができないという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,上記の従来
技術の問題点を解決し,製糸時の捲取ロールや糸道ガイ
ドの摩耗および仮撚工程,撚糸工程,製織および製編工
程における繊維と摺道部分での摩耗を軽減させつつ,無
機粒子含有合成繊維よりなる布帛を製造することを目的
とするものである。
技術の問題点を解決し,製糸時の捲取ロールや糸道ガイ
ドの摩耗および仮撚工程,撚糸工程,製織および製編工
程における繊維と摺道部分での摩耗を軽減させつつ,無
機粒子含有合成繊維よりなる布帛を製造することを目的
とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは,このよう
な課題を解決するために鋭意検討の結果,溶剤に対して
溶解性の大なるポリマーで表面を被覆し,加工後にこの
ポリマーを溶出除去させることにより上記問題を解決で
きることを見出し,本発明に到達した。すなわち,本発
明は,無機粒子を含有するポリマーからなる繊維を製造
するに際して,芯部と鞘部を実質的に同心円状に配置
し,無機粒子を1.0重量%以上含有する芯部の容積比率
を80〜90%とし,かつ鞘部を形成するポリマーは,
実質的に無機粒子を含まず,芯部を形成するポリマーよ
り溶剤に対する溶解性が大なるポリマーで構成して,鞘
部の最も薄い部分の厚みが0.2〜1.0μmである芯鞘複
合繊維を製造し,この芯鞘複合繊維を用いて製編織した
後,鞘成分のみを溶解除去することを特徴とする無機粒
子含有繊維布帛の製造方法を要旨とするものである。
な課題を解決するために鋭意検討の結果,溶剤に対して
溶解性の大なるポリマーで表面を被覆し,加工後にこの
ポリマーを溶出除去させることにより上記問題を解決で
きることを見出し,本発明に到達した。すなわち,本発
明は,無機粒子を含有するポリマーからなる繊維を製造
するに際して,芯部と鞘部を実質的に同心円状に配置
し,無機粒子を1.0重量%以上含有する芯部の容積比率
を80〜90%とし,かつ鞘部を形成するポリマーは,
実質的に無機粒子を含まず,芯部を形成するポリマーよ
り溶剤に対する溶解性が大なるポリマーで構成して,鞘
部の最も薄い部分の厚みが0.2〜1.0μmである芯鞘複
合繊維を製造し,この芯鞘複合繊維を用いて製編織した
後,鞘成分のみを溶解除去することを特徴とする無機粒
子含有繊維布帛の製造方法を要旨とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下,本発明を詳細に説明する。
本発明に適用されるポリマーとしては,ナイロン6,ナ
イロン66等のポリアミド,ポリエチレンテレフタレー
ト,ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルおよ
びこれらの共重合体並びに混合体等が挙げられる。上述
の各種ポリマーには,無機粒子以外に必要に応じて耐光
剤,耐熱剤,蛍光増白剤,染料等の添加剤を含有しても
よい。
本発明に適用されるポリマーとしては,ナイロン6,ナ
イロン66等のポリアミド,ポリエチレンテレフタレー
ト,ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルおよ
びこれらの共重合体並びに混合体等が挙げられる。上述
の各種ポリマーには,無機粒子以外に必要に応じて耐光
剤,耐熱剤,蛍光増白剤,染料等の添加剤を含有しても
よい。
【0007】本発明に適する無機粒子としては,セラミ
ック,チタン,カーボン,シリカ,マイカ等で,最大粒
径が5μm以下,平均粒径1.0μm以下のものの占める
割合が少なくとも50重量%以上であることが,糸切
れ,分散性の点で好ましい。本発明において,芯部に含
まれる無機粒子の量は,少なくとも1.0重量%であるこ
とが必要であり,好ましくは2.0〜8.0重量%の範囲内
にあることが望ましい。無機粒子含有率が1.0重量%未
満では,無機粒子の糸表面での存在量が少なくなるの
で,一般に摩耗は起こりにくくなるが,無機粒子に固有
の効果が不十分になる場合が多く,好ましくない。また
無機粒子含有率が8重量%を超えると,無機粒子の分散
性の低下に起因する紡糸時の濾過材の目詰まりが著しく
なり,長時間安定して紡糸することが困難となることが
あり,好ましくない。
ック,チタン,カーボン,シリカ,マイカ等で,最大粒
径が5μm以下,平均粒径1.0μm以下のものの占める
割合が少なくとも50重量%以上であることが,糸切
れ,分散性の点で好ましい。本発明において,芯部に含
まれる無機粒子の量は,少なくとも1.0重量%であるこ
とが必要であり,好ましくは2.0〜8.0重量%の範囲内
にあることが望ましい。無機粒子含有率が1.0重量%未
満では,無機粒子の糸表面での存在量が少なくなるの
で,一般に摩耗は起こりにくくなるが,無機粒子に固有
の効果が不十分になる場合が多く,好ましくない。また
無機粒子含有率が8重量%を超えると,無機粒子の分散
性の低下に起因する紡糸時の濾過材の目詰まりが著しく
なり,長時間安定して紡糸することが困難となることが
あり,好ましくない。
【0008】一方,鞘部は,芯部を構成するポリマーよ
りも溶剤に対する溶解性が大なるポリマーで構成し,製
糸工程,仮撚工程,撚糸工程,製織工程および製編工程
での糸道ガイド,ローラ,筬や編針の摩耗の軽減のため
に,実質的に無機粒子を含んでいないように構成する。
芯部の容積比率は,80〜90%の範囲にあることが必
要である。芯部の比率が80%未満であると,溶出させ
る鞘部のポリマーの比率が高くなり,コストが高くなる
ため好ましくない。また,芯部の比率が90%を超える
と,鞘部の厚みむらのために製糸時および後加工時にお
いて摩擦による芯部の露出を抑制することが困難とな
り,工業的に安定して生産することができなくなるので
好ましくない。
りも溶剤に対する溶解性が大なるポリマーで構成し,製
糸工程,仮撚工程,撚糸工程,製織工程および製編工程
での糸道ガイド,ローラ,筬や編針の摩耗の軽減のため
に,実質的に無機粒子を含んでいないように構成する。
芯部の容積比率は,80〜90%の範囲にあることが必
要である。芯部の比率が80%未満であると,溶出させ
る鞘部のポリマーの比率が高くなり,コストが高くなる
ため好ましくない。また,芯部の比率が90%を超える
と,鞘部の厚みむらのために製糸時および後加工時にお
いて摩擦による芯部の露出を抑制することが困難とな
り,工業的に安定して生産することができなくなるので
好ましくない。
【0009】複合の形態は,芯部と鞘部を実質的に同心
円状に配置させる必要がある。ここでいう実質的に同心
円状とは,芯部と鞘部が20%以上偏心していないこと
をいう。芯部が極端に偏ったり,表面に露出するような
ことがあると,本発明の目的とする効果が期待できな
い。鞘部の最も薄い部分の厚みの下限は,製糸時および
製織,製編時の摩擦によって生じる鞘部の摩耗による芯
部の露出を抑制するために,少なくとも0.2μm以上と
することが必要である。また上限は,溶剤による除去を
短時間で行うため,1.0μm以下とする必要性がある。
円状に配置させる必要がある。ここでいう実質的に同心
円状とは,芯部と鞘部が20%以上偏心していないこと
をいう。芯部が極端に偏ったり,表面に露出するような
ことがあると,本発明の目的とする効果が期待できな
い。鞘部の最も薄い部分の厚みの下限は,製糸時および
製織,製編時の摩擦によって生じる鞘部の摩耗による芯
部の露出を抑制するために,少なくとも0.2μm以上と
することが必要である。また上限は,溶剤による除去を
短時間で行うため,1.0μm以下とする必要性がある。
【0010】本発明において,芯部,鞘部に使用するポ
リマーの組合せは,同種,異種いずれでもよいが,芯
部,鞘部が仮撚等の糸加工時,製織,製編時,染色加工
時等における物理的,化学的作用により剥離を起こさな
いような組合せにすることが望ましい。また,鞘部のポ
リマーは,減量工程において鞘成分のみを完全に溶出除
去させるために,芯部のポリマーよりも溶剤に対する溶
解速度が5倍以上のものが好ましい。このような具体例
としては,芯成分がポリエチレンテレフタレート(以
下,PETと略称する。)の場合,鞘部のポリマーとし
て,スルホン酸金属塩を2.5モル%以上共重合したポリ
エチレンテレフタレートや,スルホン酸金属塩と比較的
高分子量のポリアルキレングリコールを所定量共重合し
たポリエチレンテレフタレート等を用いる組合せが挙げ
られる。
リマーの組合せは,同種,異種いずれでもよいが,芯
部,鞘部が仮撚等の糸加工時,製織,製編時,染色加工
時等における物理的,化学的作用により剥離を起こさな
いような組合せにすることが望ましい。また,鞘部のポ
リマーは,減量工程において鞘成分のみを完全に溶出除
去させるために,芯部のポリマーよりも溶剤に対する溶
解速度が5倍以上のものが好ましい。このような具体例
としては,芯成分がポリエチレンテレフタレート(以
下,PETと略称する。)の場合,鞘部のポリマーとし
て,スルホン酸金属塩を2.5モル%以上共重合したポリ
エチレンテレフタレートや,スルホン酸金属塩と比較的
高分子量のポリアルキレングリコールを所定量共重合し
たポリエチレンテレフタレート等を用いる組合せが挙げ
られる。
【0011】次に,本発明方法による無機粒子含有繊維
の製造方法について説明する。まず,芯成分としてPE
T,鞘成分としてスルホン酸金属塩を2.5モル%共重合
したPETを用いて,常法により芯鞘型に複合紡糸し,
延伸,熱処理して芯鞘複合繊維を得る。次いで,得られ
た芯鞘複合繊維に必要に応じて仮撚や撚糸等の加工を施
した後に製編織し,続いて,アルカリ等の溶剤で処理し
て鞘成分を溶解除去する。この処理の条件として,例え
ば,芯成分がポリエチレンテレフタレート,鞘成分がス
ルホン酸金属塩と比較的高分子量のポリアルキレングリ
コールを所定量共重合したポリエチレンテレフタレート
の組合せの場合,水酸化ナトリウム(NaOH)濃度0.
5%,処理温度95℃の水溶液中に織編物を組成や目的
に合わせて処理時間を選定して浸漬させ,鞘成分の溶解
処理を行えばよい。また,織編組成についても,特に限
定されるわけではなく,織編物の一部もしくは全部を芯
鞘複合繊維で構成すればよい。
の製造方法について説明する。まず,芯成分としてPE
T,鞘成分としてスルホン酸金属塩を2.5モル%共重合
したPETを用いて,常法により芯鞘型に複合紡糸し,
延伸,熱処理して芯鞘複合繊維を得る。次いで,得られ
た芯鞘複合繊維に必要に応じて仮撚や撚糸等の加工を施
した後に製編織し,続いて,アルカリ等の溶剤で処理し
て鞘成分を溶解除去する。この処理の条件として,例え
ば,芯成分がポリエチレンテレフタレート,鞘成分がス
ルホン酸金属塩と比較的高分子量のポリアルキレングリ
コールを所定量共重合したポリエチレンテレフタレート
の組合せの場合,水酸化ナトリウム(NaOH)濃度0.
5%,処理温度95℃の水溶液中に織編物を組成や目的
に合わせて処理時間を選定して浸漬させ,鞘成分の溶解
処理を行えばよい。また,織編組成についても,特に限
定されるわけではなく,織編物の一部もしくは全部を芯
鞘複合繊維で構成すればよい。
【0012】本発明によって得られた減量処理後の繊維
布帛は,無機粒子により各種の機能を備えた衣料用品お
よび室内装飾品等に使用できる。例えば,酸化チタンを
含有するものは,ソフトでドレープ性を必要とする薄地
の高級な下着や裏地等の光遮蔽効果を強く望まれる分野
に適しており,また,炭化ジルコニウム等のセラミック
を含有するものは,蓄熱保温効果を有する防寒衣料等に
用いることができる。
布帛は,無機粒子により各種の機能を備えた衣料用品お
よび室内装飾品等に使用できる。例えば,酸化チタンを
含有するものは,ソフトでドレープ性を必要とする薄地
の高級な下着や裏地等の光遮蔽効果を強く望まれる分野
に適しており,また,炭化ジルコニウム等のセラミック
を含有するものは,蓄熱保温効果を有する防寒衣料等に
用いることができる。
【0013】
【実施例】以下,実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが,実施例中の特性値の測定は,次の方法で
行った。 (1)極限粘度 フェノールと四塩化エタンの等重量混合溶媒を用い,2
0℃で測定した。 (2)光遮蔽性 経糸に光遮蔽剤としての酸化チタンをまったく含まない
ポリエチレンテレフタレートからなる30デニール/6
フィラメントの糸を1インチ当たりで130本用い,緯
糸に40デニール/18フィラメントの各テスト糸を1
インチ当たり130本打ち込んだタフタの未染色糸の試
験布を作成し,試験布を4枚重ねて黒線を引いた紙の上
に置き,照度80ルックスの明るさの中で試験布上部か
らの黒線の見え具合を肉眼で相対的に次の5段階で判定
した。 ◎ 光遮蔽効果が著しくよい ○ 〃 よい △ 〃 やや悪い × 〃 悪い ×× 〃 著しく悪い なお,芯鞘型複合繊維を用いた場合は,濃度0.5%のN
aOH水溶液により処理温度95℃,処理時間30分の
条件でアルカリ減量し,鞘成分を完全に除去して水洗,
風乾後に上記の判定を行った。
に説明するが,実施例中の特性値の測定は,次の方法で
行った。 (1)極限粘度 フェノールと四塩化エタンの等重量混合溶媒を用い,2
0℃で測定した。 (2)光遮蔽性 経糸に光遮蔽剤としての酸化チタンをまったく含まない
ポリエチレンテレフタレートからなる30デニール/6
フィラメントの糸を1インチ当たりで130本用い,緯
糸に40デニール/18フィラメントの各テスト糸を1
インチ当たり130本打ち込んだタフタの未染色糸の試
験布を作成し,試験布を4枚重ねて黒線を引いた紙の上
に置き,照度80ルックスの明るさの中で試験布上部か
らの黒線の見え具合を肉眼で相対的に次の5段階で判定
した。 ◎ 光遮蔽効果が著しくよい ○ 〃 よい △ 〃 やや悪い × 〃 悪い ×× 〃 著しく悪い なお,芯鞘型複合繊維を用いた場合は,濃度0.5%のN
aOH水溶液により処理温度95℃,処理時間30分の
条件でアルカリ減量し,鞘成分を完全に除去して水洗,
風乾後に上記の判定を行った。
【0014】(3)摩耗性 図1に示したように,厚さ300μmの真鍮板1の上端
を,張力0.35±0.02g/d,走行速度135m/mi
n で糸条2を5分間走行させた後の真鍮板の摩耗の深さ
を顕微鏡で測定し,次の判定基準で評価した。 判定基準 摩耗の深さ(μm) ◎ 著しくよい 100未満 ○ よ い 100〜200 △ やや悪い 200〜300 × 悪 い 300〜500 ×× 著しく悪い 500以上
を,張力0.35±0.02g/d,走行速度135m/mi
n で糸条2を5分間走行させた後の真鍮板の摩耗の深さ
を顕微鏡で測定し,次の判定基準で評価した。 判定基準 摩耗の深さ(μm) ◎ 著しくよい 100未満 ○ よ い 100〜200 △ やや悪い 200〜300 × 悪 い 300〜500 ×× 著しく悪い 500以上
【0015】(4)鞘部の厚さ 常法により繊維をパラフィンで包埋し,ミクロトームで
約5μmの厚さに切断して包埋剤を除去したあと,光学
顕微鏡により1000倍の写真を撮影し,単糸の断面写
真の鞘部の最も薄い部分を測定し,10回行った測定の
平均値で示した。 (5)製糸性 紡糸工程における1時間当たりの糸切れ回数により,次
の判定基準で評価した。 判定基準 糸切れ回数(回/h) ○ よ い 1回以下 △ やや悪い 2〜5回 × 悪 い 6回以上
約5μmの厚さに切断して包埋剤を除去したあと,光学
顕微鏡により1000倍の写真を撮影し,単糸の断面写
真の鞘部の最も薄い部分を測定し,10回行った測定の
平均値で示した。 (5)製糸性 紡糸工程における1時間当たりの糸切れ回数により,次
の判定基準で評価した。 判定基準 糸切れ回数(回/h) ○ よ い 1回以下 △ やや悪い 2〜5回 × 悪 い 6回以上
【0016】実施例1,2,比較例1 芯部の繊維形成性ポリマーとして,最大粒径5.0μm
で,平均粒径1.0μm以下のものを64.5重量%含む酸
化チタンをそれぞれ表1に記載の量含有している極限粘
度0.65のポリエチレンテレフタレートを用い,鞘部に
5−ナトリウムスルホイソフタル酸2.5モル%と平均分
子量6000のポリエチレングリコールを12重量%共
重合した極限粘度0.73の共重合ポリエチレンテレフタ
レートを用い,芯部と鞘部の吐出量を容積比率85:1
5,紡糸速度1400m/min で芯鞘型に複合紡糸を行
い,未延伸糸条を捲き取った。次に,この未延伸糸条を
延伸速度900m/min ,ヒートプレート温度80℃で
延伸した後,130℃で熱処理して捲き取り,芯鞘型複
合繊維40デニール/18フィラメントを得た。
で,平均粒径1.0μm以下のものを64.5重量%含む酸
化チタンをそれぞれ表1に記載の量含有している極限粘
度0.65のポリエチレンテレフタレートを用い,鞘部に
5−ナトリウムスルホイソフタル酸2.5モル%と平均分
子量6000のポリエチレングリコールを12重量%共
重合した極限粘度0.73の共重合ポリエチレンテレフタ
レートを用い,芯部と鞘部の吐出量を容積比率85:1
5,紡糸速度1400m/min で芯鞘型に複合紡糸を行
い,未延伸糸条を捲き取った。次に,この未延伸糸条を
延伸速度900m/min ,ヒートプレート温度80℃で
延伸した後,130℃で熱処理して捲き取り,芯鞘型複
合繊維40デニール/18フィラメントを得た。
【0017】実施例3,4 芯鞘比率を80:20にし,酸化チタンの含有量を表1
に記載する量に変更した以外は,実施例1と同様に行っ
た。 実施例5,6 芯鞘比率を90:10にし,酸化チタンの含有量を表1
に記載する量に変更した以外は,実施例1と同様に行っ
た。
に記載する量に変更した以外は,実施例1と同様に行っ
た。 実施例5,6 芯鞘比率を90:10にし,酸化チタンの含有量を表1
に記載する量に変更した以外は,実施例1と同様に行っ
た。
【0018】比較例2〜4 芯鞘比率を95:5(比較例2,3)および70:30
(比較例4)にし,酸化チタンの含有量を表1に記載す
る量に変更した以外は,実施例1と同様に行った。
(比較例4)にし,酸化チタンの含有量を表1に記載す
る量に変更した以外は,実施例1と同様に行った。
【0019】得られた本発明および比較用の各繊維につ
いて,摩耗性,最も薄い鞘部の厚さを測定,評価した
後,光遮蔽性の欄に示すごとく,各繊維を用いてそれぞ
れの布帛を形成後,減量処理を行い,続いて,光遮蔽性
を測定した。これらの結果を表1にまとめて示す。
いて,摩耗性,最も薄い鞘部の厚さを測定,評価した
後,光遮蔽性の欄に示すごとく,各繊維を用いてそれぞ
れの布帛を形成後,減量処理を行い,続いて,光遮蔽性
を測定した。これらの結果を表1にまとめて示す。
【0020】
【表1】
【0021】表1から分かるように,実施例1〜6で得
られた複合繊維は,製糸性が良好であり,摩耗性も小さ
く,減量処理後の布帛についても十分な光遮蔽性を有し
ていた。一方,芯鞘比率を95:5とした比較例2,3
では,鞘部の厚さが約0.1μmで,部分的に露出してし
まい,摩耗性の大きいものであった。また,酸化チタン
含有量0.8重量%のポリマーを使用した比較例1では,
摩耗性は小さいが,チタン含有量が少ないため,布帛の
光遮蔽性が不十分であった。比較例4は,鞘部のポリマ
ーが完全に溶解されず,一部が残った。
られた複合繊維は,製糸性が良好であり,摩耗性も小さ
く,減量処理後の布帛についても十分な光遮蔽性を有し
ていた。一方,芯鞘比率を95:5とした比較例2,3
では,鞘部の厚さが約0.1μmで,部分的に露出してし
まい,摩耗性の大きいものであった。また,酸化チタン
含有量0.8重量%のポリマーを使用した比較例1では,
摩耗性は小さいが,チタン含有量が少ないため,布帛の
光遮蔽性が不十分であった。比較例4は,鞘部のポリマ
ーが完全に溶解されず,一部が残った。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば,無機粒子による製糸工
程,仮撚工程,撚糸工程,製織および製編工程等での繊
維との接触による糸道ガイド,ローラ,筬および編針等
の摩耗を軽減しつつ,無機粒子含有繊維よりなる布帛を
製造す得ることができる。
程,仮撚工程,撚糸工程,製織および製編工程等での繊
維との接触による糸道ガイド,ローラ,筬および編針等
の摩耗を軽減しつつ,無機粒子含有繊維よりなる布帛を
製造す得ることができる。
【図1】摩耗性測定法を説明するための概念図である。
1 真鍮板 2 糸 条
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D06M 11/38 D06M 5/02 B
Claims (1)
- 【請求項1】 無機粒子を含有するポリマーからなる繊
維を製造するに際して,芯部と鞘部を実質的に同心円状
に配置し,無機粒子を1.0重量%以上含有する芯部の容
積比率を80〜90%とし,かつ鞘部を形成するポリマ
ーは,実質的に無機粒子を含まず,芯部を形成するポリ
マーより溶剤に対する溶解性が大なるポリマーで構成し
て,鞘部の最も薄い部分の厚みが0.2〜1.0μmである
芯鞘複合繊維を製造し,この芯鞘複合繊維を用いて製編
織した後,鞘成分のみを溶解除去することを特徴とする
無機粒子含有繊維布帛の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8257727A JPH1088428A (ja) | 1996-09-05 | 1996-09-05 | 無機粒子含有繊維布帛の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8257727A JPH1088428A (ja) | 1996-09-05 | 1996-09-05 | 無機粒子含有繊維布帛の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1088428A true JPH1088428A (ja) | 1998-04-07 |
Family
ID=17310263
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8257727A Pending JPH1088428A (ja) | 1996-09-05 | 1996-09-05 | 無機粒子含有繊維布帛の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1088428A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004101870A3 (en) * | 2003-05-14 | 2005-04-07 | Shikibo Ltd | Laser-markable fibers or fiber products |
WO2024180638A1 (ja) * | 2023-02-27 | 2024-09-06 | Kbセーレン株式会社 | 近赤外線遮蔽繊維及びその製造方法、繊維用マスターバッチ、混紡糸、衣料品並びに生活雑貨 |
-
1996
- 1996-09-05 JP JP8257727A patent/JPH1088428A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004101870A3 (en) * | 2003-05-14 | 2005-04-07 | Shikibo Ltd | Laser-markable fibers or fiber products |
WO2024180638A1 (ja) * | 2023-02-27 | 2024-09-06 | Kbセーレン株式会社 | 近赤外線遮蔽繊維及びその製造方法、繊維用マスターバッチ、混紡糸、衣料品並びに生活雑貨 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2009150022A (ja) | 芯鞘複合繊維およびその繊維布帛 | |
JPH0931781A (ja) | 中空状撚糸とその製造方法及び布帛 | |
JPS6037203B2 (ja) | 吸水性人造繊維の製造法 | |
JPH1088428A (ja) | 無機粒子含有繊維布帛の製造方法 | |
JPS6317926B2 (ja) | ||
JP5336615B2 (ja) | スクリーン紗用モノフィラメント | |
KR102717854B1 (ko) | 폴리아미드계 혼섬사 및 이를 통해 구현된 비침방지성 통풍원단 | |
EP4092185A1 (en) | Fibrillated regenerated cellulose fiber, and fabric using same | |
JP2006161263A (ja) | ポリエステル芯鞘複合繊維およびその布帛 | |
JP2007039846A (ja) | 扁平ポリエステル繊維 | |
JPH1136172A (ja) | 紡績工程性の改良方法及び繊維構造体の製造方法と紡績糸 | |
JP5642981B2 (ja) | オーガンジー用ポリエステルモノフィラメントの製造方法 | |
KR100426589B1 (ko) | 탄성회복율이 우수한 해도형 복합섬유 | |
JPH1150335A (ja) | ポリエステル繊維とその製造方法 | |
JP2000136440A (ja) | 潜在捲縮発現性ポリエステル繊維および製造方法 | |
JP3515508B2 (ja) | ポリエステル撚糸を含む濃淡織編物 | |
JP2019026991A (ja) | 黒原着ポリエステル繊維 | |
JPH09268435A (ja) | 難透性繊維化用複合繊維 | |
JP7117710B2 (ja) | 芯鞘型ポリエステル複合繊維、芯鞘型ポリエステル複合繊維の仮撚糸、織編物、および芯鞘型ポリエステル複合繊維の製造方法 | |
JP3489919B2 (ja) | ポリエステル系繊維 | |
JPH07229030A (ja) | ポリエステルシック・アンド・シンヤーンおよび該ヤーンからなるカスリ調織編物 | |
JP2003227040A (ja) | ポリエステル系芯鞘複合仮撚加工糸 | |
JP4071533B2 (ja) | 着古し外観を有する縫製品 | |
JP2023149539A (ja) | ポリエステル系繊維およびその製造方法 | |
JPH07145514A (ja) | ポリエステル系3成分複合繊維 |