JPH1086003A - 多角形として形成された切削チップ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】金属工作物の穴表面の切削加工のための多角形
として形成されたチップにおいて、切りくずつまりを生
じたり、得られる穴表面を損傷することがない、十分に
短い切りくずを保証するチップを提供する。 【構成】チップ（１）の前面（３）及び側縁（７、９、
１１、１３、１５、１７）が共通の平面（Ｅ）にあっ
て、切りくず案内面（３１）が隅角部（１９、２１、２
３、２５、２７、２９）及び側縁（７、９、１１、１
３、１５、１７）から傾斜して、共通の平面（Ｅ）との
間に鋭角（α）に延び、切りくず案内縁（３３）が直線
状の側縁（７、９、１１、１３、１５、１７）に平行す
る直線部（３５、３７、３９、４１、４３、４５）を有
し、直線部が湾曲部（４７、４９、５１、５３、５５、
５７）に移行し、湾曲部が丸い隅角部（１９、２１、２
３、２５、２７、２９）の区域で同じ方向に湾曲するよ
うに構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、金属工作物の穴表
面を切削加工のための多角形として形成された切削チッ
プに関する。

【０００２】

【従来の技術】上述のタイプの切削チップは知られてい
る。該切削チップは、加工される穴に対して相対回転を
行う工具と組み合わせて使用される。即ち、加工される
工作物を固定工具に対して回転させるか、又は、固定し
た工作物の穴の中に回転する工具を挿入することで可能
である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】そして、穴の表面を加
工するときに、切削チップによって切りくずが削り取ら
れる。特に穴表面の仕上げ加工の場合は、切りくずの流
出が決定的に重要である。切りくずつまりを生じたり、
得られる穴表面を損傷することがないように、加工する
穴から切りくずを排出することが重要である。その場
合、あまりに長いらせん状の切りくずも、あまりに短い
切りくずも、支障をきたす。特に、ここで述べるような
丸い刃先を有する切削チップでは、短い切りくずを得る
ことが、はなはだ問題である。

【０００４】そこで、本発明は、前記点に鑑みてなされ
たもので、その目的とするところは、十分に短い切りく
ずを保証する冒頭に挙げたタイプの切削チップを提供す
ることにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記目的は、請求項１の
序言概念に基づく切削チップに、該請求項で示した特徴
を意味づけることにによって達成される。切削チップ
が、丸い隅角部の区域で隅角部と同方向に湾曲した切り
くず案内縁を有することによって、切りくず流出及び破
断挙動を最適に調節することができる。

【０００６】特に好適な切削チップの実施態様は、切り
くず案内縁の湾曲部の長さが丸い隅角部の長さより大き
く、このため切りくず案内縁が丸い隅角部の方向にいわ
ば突出すると共に、切りくず案内面がいわば短縮される
ことを特徴とすることである。この突出によって比較的
短い切りくずが実現されるから、得られる穴表面の損傷
が事実上なくなる。

【０００７】また、他の好適な切削チップの実施態様
は、切りくず案内縁の湾曲部と丸い隅角部の曲率中心
が、丸い隅角部の角二等分線と一致する仮想の直線上に
あることを特徴とすることである。これによって切りく
ず流出及び破断挙動を変更して、加工される工作物の材
料に適応させることが特に簡単である。その他の本発明
の実施態様は、その他の従属請求項に基づき明らかにさ
れる。

【０００８】

【発明の実施の形態】次に、図面に基づいて本発明の多
角形として形成されたチップの実施形態について詳述す
る。以下で述べる多角形として形成された切削チップ
は、穴の表面の切削加工、特に、仕上げ加工のために使
用される。この場合は、最適な切りくずの流れが、特に
重要である。長過ぎる切りくずは、切りくずつまりを生
じて穴の表面を破損し、短過ぎる切りくずは、加工され
た穴の内部に金属塵を生じ、これもまた得られる表面を
損傷するからである。

【０００９】チップの隅角部の数は、結局決定的ではな
い。従って、以下で説明する六角形及び四角形チップの
他に、例えば、八角形チップも実現することができる。
三角形チップも可能である。図１は、６個の隅角部を有
する切削チップ１の第１の実施形態の平面図を示す。図
は、切削面とも呼ばれるチップ１の前面３を示す。前面
に切りくずみぞ５を穿設することができる。これに保持
装置、例えばストラップが係合し、切削チップ１を、適
当な工具の本体に確実に固定する。この場合、切りくず
みぞ５は、六角形チップの夫々対向する隅角部の方向に
放射状に形成されている。

【００１０】切削チップ１は、６個の直線状の側縁７、
９、１１、１３、１５を有する。該側縁は、丸い隅角部
１９、２１、２３、２５、２７に接線をなして延びてい
る。隅角部は、円弧形に湾曲することが好ましい。側縁
及び隅角部は、すべて共通の平面Ｅにある。平面Ｅは、
チップ１の前面３がある平面と一致する。チップ１の仮
想の中心Ｍの方向に見て側縁７ないし１７及び隅角部１
９ないし２９の内側に、一巡する切りくず案内面３１が
続いている。切りくず案内面３１の内側は、連続する切
りくず案内縁３３によって画定され、切りくず案内縁３
３は、直線部３５、３７、３９、４１、４３、４５及び
湾曲部４７、４９、５１、５３、５５からなっている。

【００１１】図１の平面図で明らかなように、側縁及び
切りくず案内縁３３の直線部の区域では、切りくず案内
面３１の幅又はチップ１の外側境界縁と切りくず案内縁
との間隔が、湾曲した隅角部及び切りくず案内縁３３の
湾曲部の区域より大きい。切りくず案内縁３３の湾曲部
は、丸い隅角部の方向にいわば突出している。即ち、切
りくず案内縁３３の直線部は、接線をなして切りくず案
内縁の湾曲部に移行するのではない。

【００１２】図２は、切削チップ１の隅角部、例えば、
直線状の側縁７及び９が接線をなして接続する丸い隅角
部１９の拡大図を示している。切りくず案内縁３３の湾
曲部４７は、湾曲した隅角部１９から間隔をおいて形成
されている。この場合、図１と同じく、２つの区域が同
じ方向に湾曲し、チップ１の中心Ｍから外側に凸曲して
いることが明らかである。

【００１３】切りくず案内縁３３は、前面３から切りく
ず案内面３１に垂直に下がってはいない。ここで平行す
る線で切りくず案内縁３３を表すことによって、このこ
とを示す。ここに示す実施形態は、丸い隅角部１９の曲
率半径ｒ１が、湾曲部４７の曲率半径ｒ２に等しいこと
を特徴としている。特に、図２の拡大図で明らかなよう
に、丸い隅角部１９の長さは、湾曲部４７の長さより著
しく小さい。丸い隅角部１９は、隣接する直線状の側縁
７及び９に接線をなして移行するが、切りくず案内縁３
３の直線部４３、４５から湾曲部４７への移行部には、
それぞれ段差５９及び６１があることも明らかである。
この段差は、湾曲部４７が直線部４３及び４５に対し
て、丸い隅角部１９寄りに外側へ凸曲することによって
形成される。こうして切りくず案内面３１の異なる幅が
生じる。

【００１４】直線状の側縁７及び９とこれに平行する直
線部４３及び４５の間には、間隔ｄ１があるが、直線状
の側縁７及び９と湾曲部４７の間では、それが距離ｄ２
に縮小する。丸い隅角部１９の角二等分線Ｗと一致する
仮想の直線上にある丸い隅角部１９の曲率中心Ｋ１及び
湾曲部４７の曲率中心Ｋ２の区域では、隅角部１９と当
該の湾曲部４７の間の間隔が直線状の側縁及び当該の直
線部の区域と等しい。即ちここでは間隔がやはりｄ１で
ある。

【００１５】ここに示す実施形態では、チップブレーカ
の役割をする切りくず案内縁３３又は湾曲部４７が、当
該丸い隅角部１９に与えられているのと同じ曲率半径ｒ
２を有することでである。このようにして切りくず案内
縁３３は凸曲又は湾曲したチップブレーカ突起を隅角部
に形成し、この区域では切りくず案内面３１の幅が一定
でない。この幅は、曲率中心Ｋ２から湾曲部４７の段差
５９及び６１にかけて減少する。

【００１６】図１及び２に示す実施形態では、曲率中心
が角二等分線Ｗの上にある。しかし曲率中心を角二等分
線に対して食い違いに配列することも可能である。例え
ば、図２で曲率中心Ｋ２を左へずらせば、孔壁の加工の
時に発生する切りくずが工具送り方向前方へ流出する。
右へ変位させれば、切りくずが逆方向後方へ脱出する。
このようにして切りくず案内縁の経過によって切りくず
破断挙動だけでなく、切りくず流出挙動も影響される。

【００１７】丸い隅角部１９に基づいて説明した条件
は、チップ１のすべての隅角部で同じであるから、この
チップをリバーシブル・チップとして使用することがで
きる。場合によっては異なる材料に関連して使用するこ
とができるように、単一のリバーシブル・チップに異な
る形状の隅角部を設けることももちろん可能である。い
ずれにしても決定的なのは、切りくず案内縁３３が隅角
部に湾曲部４７ないし５７からなる突起を有し、その区
域で切りくず案内面３１が狭まることである。

【００１８】図１及び２の略図でわかるように、チップ
１の形状は、角二等分線Ｗに関して対称である。図３
は、チップ１の隅角部１９の断面図を示している。角二
等分線Ｗに沿ったチップ１（７）の断面図で改めてはっ
きりわかるように、側縁と隅角部が形成するチップ１の
外周線、それと共に主及び副切れ刃も共通の平面Ｅにあ
り、チップ１の前面３もこの平面に配設されている。

【００１９】切りくず案内面３１は、刃先又は丸い隅角
部１９からチップ１の中心Ｍの方向へ、平面Ｅに対して
鋭角αで傾斜する。鋭角αは８°ないし１８°、好まし
くは１１°ないし１３°の範囲であり、特に約１２°で
ある。切りくず案内面３１の内側は、この場合斜め下が
りの切りくず案内縁３３又は湾曲部４７によって画定さ
れる。この場合、切りくず案内縁３３は、切りくず案内
面３１に鈍角に形成される。このようにして、切りくず
案内縁３１は、平面Ｅに対して切りくず案内面３１の方
向に傾斜する。

【００２０】穴表面の加工で発生する切りくずは、側縁
又はチップ１の主及び副切れ刃をなす隅角部から切りく
ず案内面３１へ行き、切りくず案内縁３３に衝突する。
そこで切りくずは反転され、破断される。切りくず案内
縁３３の湾曲部によって特に良好な破断挙動が生じるか
ら、長いらせんや短い切りくず破断片を回避することが
でき、加工した穴の最適な表面性状が生まれる。

【００２１】チップ１の切れ刃又は側縁及び隅角部が、
切りくず案内面３１と周囲の逃げ面６３との交線からな
ることが図３で明らかである。公知のチップの場合のよ
うに逃げ面６３は、平面Ｅに対して９０°よりやや小さ
い角をなすから、いわゆる逃げ角が生じる。図４は、チ
ップ１’の別の実施形態の丸い隅角部１９’だけを示
し、隅角部１９’は、この場合、互いに９０°の角をな
す２つの側縁７’及び９’が接線をなして隅角部１９’
に延びることによって形成される。この場合も、やはり
切りくず案内縁３３が側縁及び隅角部に対して間隔をお
いて延びており、側縁に平行する２つの直線部４３’及
び４５’を具備し、その間にある湾曲部４７’を有す
る。特徴的なのは、図１及び２に基づいて説明したよう
に、この場合も湾曲部４７’が丸い隅角部１９’の方へ
突出するいわば突出部を形成するから、図２に基づいて
説明したように、そこに切りくず案内縁３１’の細幅の
区域が生じる。

【００２２】図４によれば、丸い隅角部１９’及び湾曲
部４７’がやはり同方向に湾曲しており、円弧線に従う
ことが好ましい。隅角部と湾曲部の曲率半径が等しい実
施態様が特に効果的であることが証明された。しかし、
特に八角形のチップ構造で異なる曲率半径を設けること
も可能である。決定的なのは、切りくず案内縁がチップ
の隅角部の区域に凸曲した突起を形成することである。
この場合、凸曲とは、切りくず案内縁の湾曲部が、隅角
部に対して、少なくとも区域的に細幅の切りくず案内面
区域が生じるように延びていることをいう。丸い隅角部
が３個しかないチップの実施態様にも同じことが当ては
まる。

【００２３】隅角部と当該湾曲部の曲率半径をこのよう
に互いに整合させてある。０，２ｍｍないし０，６ｍ
ｍ、好ましくは０，３ｍｍないし０，５ｍｍの範囲の曲
率半径を選定することが可能である。例えば０，４ｍｍ
の曲率半径が特に効果的であることが証明された。チッ
プの別の実施形態では、好ましくは０，６ｍｍないし
１，２ｍｍ、特に０，７ｍｍなしい０，９ｍｍの曲率半
径が効果的であることが証明された。特に好適なのは、
曲率半径が０，８ｍｍ、間隔ｄ１（図２を参照）が０，
５ｍｍの実施態様である。しかし、０，３ｍｍないし
０，７ｍｍ、好ましくは０，４ｍｍないし０，６ｍｍの
範囲の間隔ｄ１を選定することが可能である。

【００２４】

【発明の効果】本発明の多角形として形成された切削チ
ップは、隅角部と湾曲部の曲率半径を変えることによっ
て、丸い隅角部の区域の切りくず案内縁３３の突起を多
かれ少なかれ鮮明にすることができる。この区域で凸曲
する切りくず案内縁によって、切りくずの最適な流れが
生じるように切りくず流出及び破断挙動を調整すること
ができる。こうして得られる穴の表面は無傷である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の切削チップの第一の実施形態の平面図
である。

【図２】図１の切削チップの隅角部の拡大図である。

【図３】図２に示した切削チップの隅角部の断面図であ
る。

【図４】本発明の切削チップの第二の実施例の隅角部の
部分平面図である。

【符号の説明】

１ 切削チップ ３ 前面 ７ 側縁 ９ 側縁 １１ 側縁 １３ 側縁 １５ 側縁 １７ 側縁 １９ 隅角部 ２１ 隅角部 ２３ 隅角部 ２５ 隅角部 ２７ 隅角部 ２９ 隅角部 ３１ 切りくず案内面 ３３ 切りくず案内縁 ３５ 直線部 ３７ 直線部 ３９ 直線部 ４１ 直線部 ４３ 直線部 ４５ 直線部 ４７ 直線部 ４９ 直線部 ５１ 直線部 ５３ 直線部 ５５ 直線部 ５７ 直線部 Ｅ 共通の平面

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】共通の平面にあって丸い隅角部に接線をな
   して移行する直線状の側縁を有し、隅角部及び側縁の区
   域が主及び副切れ刃として使用され、かつ側縁に対して
   間隔をおいて配設され、刃先から出るすくい面を画定
   し、チップブレーカの役割をする切りくず案内縁を有す
   る、金属工作物の穴表面の切削加工のための多角形とし
   て形成された切削チップにおいて、 切削チップ（１）の前面（３）と側縁（７、９、１１、
   １３、１５、１７）が共通の平面（Ｅ）にあり、切りく
   ず案内面（３１）が隅角部（１９、２１、２３、２５、
   ２７、２９）及び側縁（７、９、１１、１３、１５、１
   ７）から傾斜して、共通の平面（Ｅ）との間に鋭角
   （α）で延び、切りくず案内縁（３３）が直線状の側縁
   （７、９、１１、１３、１５、１７）に平行する直線部
   （３５、３７、３９、４１、４３、４５）を有し、該直
   線部が湾曲部（４７、４９、５１、５３、５５、５７）
   に延び、該湾曲部が丸い隅角部（１９、２１、２３、２
   ５、２７、２９）の区域で同じ方向に湾曲するように形
   成されていることを特徴とする切削チップ。
2. 【請求項２】切りくず案内縁（３３）の湾曲部（４７、
   ４９、５１、５３、５５、５７）が、少なくとも部分的
   に円弧形に形成されており、円弧形に形成された当該丸
   い隅角部と同じ曲率半径を有することを特徴とする請求
   項１に記載の切削チップ。
3. 【請求項３】切りくず案内縁（３３）の湾曲部（４７、
   ４９、５１、５３、５５、５７）の長さが、当該丸い隅
   角部（１９、２１、２３、２５、２７、２９）の長さよ
   り大きく、側縁と切りくず案内縁の間隔が、湾曲部（４
   ７、４９、５１、５３、５５、５７）の始端及び中央部
   でだけ、直線状の側縁（７、９、１１、１３、１５、１
   ７）とこれに平行する切りくず案内縁（３３）の直線部
   （３５、３７、３９、４１、４３、４５）との間隔に等
   しいことを特徴とする請求項１又は２に記載の切削チッ
   プ。
4. 【請求項４】丸い隅角部の曲率中心（Ｋ１）と切りくず
   案内縁の当該の湾曲部の曲率中心（Ｋ２）が、丸い隅角
   部の角二等分線（Ｗ）と一致する仮想の直線上（２）に
   あることを特徴とする請求項１ないし３のいずれか一項
   に記載の切削チップ。
5. 【請求項５】鋭角（α）が、８°ないし１８°、好まし
   くは１１°ないし１３°の範囲内であり、特に約１２°
   であることを特徴とする請求項１ないし４のいずれか一
   項に記載の切削チップ。
6. 【請求項６】丸い隅角部（１９、２１、２３、２５、２
   ７、２９）の半径（ｒ１）及び切りくず案内縁（３３）
   の湾曲部（４７、４９、５１、５３、５５、５７）の半
   径（ｒ２）が、０，２ｍｍないし０，６ｍｍ、好ましく
   は０，３ｍｍないし０，５ｍｍ、特に約０，４ｍｍであ
   ることを特徴とする請求項１ないし５のいずれか一項に
   記載の切削チップ。
7. 【請求項７】丸い隅角部の半径（ｒ１）及び切りくず案
   内縁の湾曲部の半径（ｒ２）が、０，６ｍｍないし１，
   ２ｍｍ、好ましくは０，７ｍｍないし０，９ｍｍ特に
   ０，８ｍｍであることを特徴とする請求項１ないし５の
   いずれか一項に記載の切削チップ。
8. 【請求項８】側縁と切りくず案内縁の間隔（ｄ１）が、
   ０，３ｍｍないし０，７ｍｍ、好ましくは０，４ｍｍな
   いし０，６ｍｍ、特に約０，５ｍｍであることを特徴と
   する請求項１ないし７のいずれか一項に記載の切削チッ
   プ。
9. 【請求項９】切削チップが、六角形に形成されているこ
   とを特徴とする請求項１ないし８のいずれか一項に記載
   の切削チップ。
10. 【請求項１０】切削チップが、四角形に形成されている
    ことを特徴とする請求項１ないし９のいずれか一項に記
    載の切削チップ。