JPH1085936A - 消耗電極式のアーク溶接方法及びアーク溶接装置 - Google Patents

消耗電極式のアーク溶接方法及びアーク溶接装置

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JPH1085936A
JPH1085936A JP8261444A JP26144496A JPH1085936A JP H1085936 A JPH1085936 A JP H1085936A JP 8261444 A JP8261444 A JP 8261444A JP 26144496 A JP26144496 A JP 26144496A JP H1085936 A JPH1085936 A JP H1085936A
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arc
consumable electrode
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和弘 池田
Takayuki Murata
隆行 村田
Hiroaki Kitatsuji
博明 北辻
Hideki Niyabu
秀喜 二薮
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 母材の厚板よりも大きい溶接ギャップ等に対
しても高速かつ安定な溶接が可能な消耗電極式のアーク
溶接方法及びアーク溶接装置を提供する。 【解決手段】 上下に延設された第1母材1と、第1母
材1の中途部に上端が位置し、これに沿わせるように配
置された第2母材2とを溶接する。両母材1の板厚は
2.8mmで、第2母材2上端面に対して反第1母材側
の斜め上方からアークを発生させる。レーザセンサ5で
検知した溶接ギャップGが所定値以上であれば、溶接ワ
イヤ3の先端を高速で旋回させて溶接を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、溶接ギャップが
存する母材の溶接を行う消耗電極式のアーク溶接方法及
びアーク溶接装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図7は、従来例の消耗電極式のアーク溶
接装置による溶接を説明するための模式図である。同図
において1は上下に延設された第1母材であり、また2
は、第1母材1の中途部に上端が位置し、第1母材に沿
わせるように配置された第2母材である。これら第1母
材1及び第2母材2は板厚tが約2.8mmの薄板で構
成されている。また第1母材1と第2母材2の上端部と
の間には溶接ギャップGが形成されているが、この溶接
ギャップGは、両母材1、2の板金工程あるいはプレス
工程において生ずることとなるものである。
【0003】また同図において33は、溶接トーチ(図
示せず)内のコンタクトチップ(図示せず)を通過し、
ワイヤ送給装置(図示せず)によって母材1、2に向け
て送給される溶接ワイヤである。そして図の矢印は、こ
の溶接ワイヤ33の狙い位置を示し、それは、第2母材
2の上端面の延長と第1母材1の表面とが交差する位置
である。
【0004】上記溶接においては、一般的には溶接ワイ
ヤ33に溶接電源(図示せず)の正極を接続し、第1母
材1及び第2母材2に上記溶接電源の負極を接続する。
そして溶接ワイヤ33を図に示す矢印の方向に送給しな
がら、この溶接ワイヤ33の先端部と母材1、2との間
にアークを発生させる。発生したアークによって溶接ワ
イヤ33の先端側を溶融し、これによって母材1、2間
に溶接金属を形成して溶接ギャップGを埋めるように溶
接を行う。そしてこのような方法により、2〜3mm程
度までの溶接ギャップGであれば、比較的安定して溶接
ができるようになっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように従来のア
ーク溶接装置及びアーク溶接方法によれば、約2〜3m
m程度までの溶接ギャップGについて比較的安定した溶
接が可能となっていた。ところが溶接の対象物によって
は、母材1、2の板厚が約2.8mmであるのに対し、
6〜7mm程度の大きな溶接ギャップGが生じることが
ある。このような大きな溶接ギャップGに対しては多量
の溶接金属を形成する必要があり、そのためには溶接電
流を大きくするか、あるいは溶接速度を遅くすることが
考えられる。しかしながらこのようにすると、母材1、
2に対するアーク入熱が大きくなって、第1母材1にバ
ーンスルーが生じたり、第2母材2の上端部が溶け落ち
易くなり、そのため両母材1、2間に安定したビードを
形成するのが困難になるという問題があった。
【0006】ところでこのような問題を解決するために
なされたものとして、特開昭56─80376号公報又
は特開昭56─80377号公報を挙げることができ
る。しかしながらこれら両公報記載のものは、短絡電流
による溶接ワイヤの溶断を数回に亘って繰り返した後に
定常アークによる溶接を行うというものであるため、第
2母材2の溶け落ちは防止できても溶接速度が遅くなっ
てしまうという問題があった。
【0007】この発明は、上記従来の欠点を解決するた
めになされたものであって、その目的は、母材の板厚よ
りも大きい溶接ギャップ等に対しても高速かつ安定な溶
接が可能な消耗電極式のアーク溶接方法及びアーク溶接
装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで請求項1の消耗電
極式のアーク溶接方法は、上下に延設された第1母材1
と、この第1母材1の中途部に上端が位置し、第1母材
1に沿わせるように配置された薄板の第2母材2とを溶
接する消耗電極式のアーク溶接方法において、上記第2
母材2の上端部に向けて反第1母材側の斜め上方からア
ークを発生させ、第2母材2を溶融させてこれを溶接金
属の一部とすると共に、上記第1母材1と第2母材2上
端部との間の溶接ギャップGを検知して、この溶接ギャ
ップGが所定値以上であるときは、アークを発生させる
溶接ワイヤ3の先端を旋回させることを特徴としてい
る。
【0009】請求項5の消耗電極式のアーク溶接装置
は、上下に延設された第1母材1と、この第1母材1の
中途部に上端が位置し、第1母材1に沿わせるように配
置された薄板の第2母材2とを溶接する消耗電極式のア
ーク溶接装置において、上記第2母材2の上端部に向け
て反第1母材側の斜め上方からアークを発生させ、第2
母材2を溶融させてこれを溶接金属の一部とするアーク
発生手段4、8と、上記第1母材1と第2母材2上端部
との間の溶接ギャップGを検知する検知手段5と、溶接
ワイヤ3の先端を旋回させ得る旋回手段9と、制御手段
7とを備え、この制御手段7は、上記溶接ギャップGが
所定値以上であるときは、溶接ワイヤ3の先端を旋回さ
せるよう上記旋回手段9を制御することを特徴としてい
る。
【0010】上記請求項1の消耗電極式のアーク溶接方
法又は請求項5の消耗電極式のアーク溶接装置では、第
2母材2の上端部に向けて反第1母材側斜め上方からア
ークを発生させると共に、所定値以上の溶接ギャップG
に対しては溶接ワイヤ3の先端を旋回させている。従っ
て旋回で生じた遠心力によって飛散した溶滴が第1母材
1に溶着することにより、第2母材2側からだけでなく
第1母材1側からも溶接金属が形成されることとなる。
そのため両母材1、2間に容易にブリッジを形成するこ
とができ、第2母材2の板厚よりも大きな溶接ギャップ
Gに対しても、高速かつ安定な溶接を行うことが可能と
なる。
【0011】また請求項2の消耗電極式のアーク溶接方
法は、溶接ギャップGが大きいほど、上記旋回の周波数
を高くすることを特徴としている。
【0012】請求項6の消耗電極式のアーク溶接装置
は、上記制御手段7は、溶接ギャップGが大きいほど上
記旋回の周波数が高くなるよう旋回手段9を制御するこ
とを特徴としている。
【0013】上記請求項2の消耗電極式のアーク溶接方
法又は請求項6の消耗電極式のアーク溶接装置では、溶
接ギャップGが大きいほど旋回周波数を高くして入熱を
より一層分散させるようにしているので、溶接ギャップ
Gの大きさに従って安定かつ確実な溶接が可能となる。
【0014】さらに請求項3の消耗電極式のアーク溶接
方法は、上記旋回の周波数は、約30Hz〜120Hz
であることを特徴としている。
【0015】請求項7の消耗電極式のアーク溶接装置
は、上記旋回手段9は、約30Hz〜120Hzの周波
数で溶接ワイヤ3の先端を旋回させることを特徴として
いる。
【0016】上記請求項3の消耗電極式のアーク溶接方
法又は請求項7の消耗電極式のアーク溶接装置では、溶
接ワイヤ3の先端を高速で旋回させるので、高速かつ安
定な溶接を確実に行うことが可能となる。
【0017】請求項4の消耗電極式のアーク溶接方法
は、上記旋回の直径は、約2mm〜4mmであることを
特徴としている。
【0018】請求項8の消耗電極式のアーク溶接装置
は、上記旋回手段9は、約2mm〜4mmの直径で溶接
ワイヤ3の先端を旋回させることを特徴としている。
【0019】ここで旋回の直径とは、旋回する溶接ワイ
ヤ3の先端が描く軌跡の直径をいう。
【0020】上記請求項4の消耗電極式のアーク溶接方
法又は請求項8の消耗電極式のアーク溶接装置では、入
熱の分散を適切なものとして、高速かつ安定な溶接を一
段と確実に行うことが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】次にこの発明の消耗電極式のアー
ク溶接装置の具体的な実施の形態について、消耗電極式
のアーク溶接方法の実施の形態と共に図面を参照しつつ
詳細に説明する。
【0022】図3は、上記アーク溶接装置の概略システ
ム図である。同図において5はレーザセンサ(検知手
段)であり、溶接ギャップGの大きさや、溶接線の位置
等を検知するためのものである。そしてこのレーザセン
サ5の出力信号は、センサコントローラ6で増幅、加工
され、RS232Cの通信線を介してコントローラ(制
御手段)7に送信される。また同図に示す4は溶接トー
チであり、8は、溶接電源や溶接ワイヤ送給装置を備え
たアーク制御部8b及び上記溶接トーチ4の移動を行う
ロボットアーム8a等を備えた溶接制御部である。そし
てこの溶接制御部8と溶接トーチ4とでアーク発生手段
を構成し、溶接電源から与えられた電力により、溶接ト
ーチ4から溶接線上の母材に向けて送給される溶接ワイ
ヤ3と母材との間にアークを発生させるようになってい
る。
【0023】図2は、上記溶接トーチ4内に備えられた
旋回手段9を示す斜視図である。この旋回手段9は、回
転ギア13を取り付けた回転モータ11と、上記回転ギ
ア13と歯合する旋回用ギア12とを備え、この旋回用
ギア12の中心部に設けた自動調心ベアリング(図示せ
ず)に、支持部14に支持された給電ケーブル10を偏
心させて挿通することにより構成されている。そして上
記旋回手段9では、上記アーク制御部8bに備えられた
駆動回路を介して回転モータ11を駆動することによ
り、溶接ワイヤ3の先端が支持部14を支点として旋回
する。
【0024】図4は、上記アーク溶接装置の制御動作を
説明するブロック図である。レーザセンサ5からは母材
に向けてレーザ光が出射され、その反射光に基づく出力
信号がセンサコントローラ6に送られる。このセンサコ
ントローラ6では上述のように信号の増幅、加工等が行
われ、センサ座標系で計算した溶接位置、ギャップ幅等
をコントローラ7に送信する。そしてこのコントローラ
7は、マイクロコンピュータの機能を含む集積回路を用
いて構成されたものであって、受信した信号に対して座
標変換7aを行い、溶接ワイヤ3の狙い位置及び溶接ギ
ャップGの大きさを、ロボット座標系で把握する。そし
てこの結果を用いて適応制御テーブル7dから必要な制
御値を読み出し、アーク制御部8bの電流、電圧等を制
御する一方、ロボットアーム8aの軌跡修正7cを行
う。また同図における7bは、センサコントローラ6か
らコントローラ7への伝送に要する時間等を考慮し、適
切な軌跡修正7cを可能とするためのむだ時間処理であ
る。
【0025】次に上記のようなアーク溶接装置の動作に
ついて説明する。図5は、溶接母材と溶接ワイヤ3の狙
い位置とを説明する図である。溶接母材は上下に延設さ
れた第1母材1と、この第1母材1の中途部に上端が位
置し、第1母材1に沿わせるように配置された第2母材
2とから成り、両母材1、2間には約0〜7mm程度の
溶接ギャップGが形成されている。また両母材1、2は
共に板厚tが約2.8mmの薄板であり、その材質は圧
延鋼板である。このような溶接母材に対し、上記レーザ
センサ5で第2母材2の上端位置を検知すると、これに
基づいてコントローラ7がロボットアーム8aを制御す
る。そして溶接ワイヤ3の狙い位置を、上記第2母材2
の上端における反第1母材側のコーナを中心に、第1母
材1側への距離mが約1mmの上端面上の位置と、下方
への距離nが約1mmの反第1母材側面上の位置との間
に形成される領域内とする。そして上記溶接ワイヤ3
は、この狙い位置に対し、水平となす角度が約25〜5
0°のトーチ角度αをもって反第1母材側の斜め上方か
ら送給されるようにする。もっともこれらの狙い位置及
びトーチ角度の範囲は、この発明の効果を確実に得るこ
とができる範囲であって、これを逸脱したからといって
本発明の効果が全く得られなくなる訳ではない。
【0026】図6は、上記のようなアーク溶接装置によ
る溶接を説明する図である。図5を用いて説明したよう
に溶接ワイヤ3が送給されると、アークは第2母材2の
上端面に対して反第1母材側の斜め上方から発生するこ
とになる。するとこのアークによって第2母材2が溶融
し、その上端から所定高さL分が第1母材1側に流出し
て、これが溶接ワイヤ3の溶滴と共に溶接ギャップGを
第2母材2側から架橋する溶接金属となる。なおワイヤ
径としては1.2mmのものを用い、シールドガスとし
てはAr+15〜20%CO2 を用いるのが好ましい。
【0027】また溶接ギャップGが3.5mm以上にな
ると、上記旋回手段9を駆動して溶接を行う。つまり、
コントローラ7からの指令に基づいて溶接制御部8が旋
回手段9の回転モータ11を駆動し、これによって溶接
ワイヤ3の先端を旋回させるのである。その旋回の周波
数は、ここでは溶接ギャップGが3.5mmのときに約
60Hz、7mmのときに約100Hzとなるように、
溶接ギャップGの増大とともに溶接ワイヤ3先端の旋回
を高速にする。そしてこのとき旋回の直径、すなわち溶
接ワイヤ3の先端が描く軌跡の直径は、約2mmであ
る。
【0028】さらに溶接ギャップGが5.2mm以上に
なると、溶接ワイヤ3のウィービングをも加えて行う。
つまりロボットアーム8a等のトーチ移動機構を駆動す
ることにより、発生させたアークを溶接線と直交する方
向への振動成分を有するように揺動するのである。そし
てその振幅は溶接ギャップGの増大とともに大きくなる
ようにし、例えば溶接ギャップGが5.2mmのときに
約1.0mmの振幅、また溶接ギャップGが6〜7mm
のときには約1.5mmの振幅となるようにしている。
以上のような旋回とウィービングとを行ったときの溶接
ワイヤ3の先端の軌跡を、図1に模式的に示している。
またウィービングを行うとアークの移動に溶接線と直交
する成分が含まれるようになるため、その振幅に応じて
溶接速度を遅くするようにしている。
【0029】上記のように構成されたアーク溶接装置及
びこのアーク溶接装置を用いて行うアーク溶接方法で
は、第2母材2の上端部に向けてアークを発生させ、溶
融させた第2母材2を溶接金属の一部としている。従っ
て、従来よりもその量が増大した溶接金属を第2母材2
側から形成することができる。一方、溶接ギャップGが
3.5mm以上であるときは、溶接ワイヤ3の先端を旋
回させて溶接を行うようにしている。この旋回の直径は
約2mmであるため、溶接ワイヤ3の先端を旋回させて
もアーク圧力やアーク熱は主として第2母材2の上端側
に与えられることになり、第2母材2側からの溶接金属
の形成を大電流、高速度で行うことができる。そして上
記旋回の周波数は、約30Hz〜120Hzという高速
なものとしている。従って旋回で生じた遠心力によって
溶滴が第1母材1側に飛散して溶着し、この溶滴によっ
て第2母材2側からのみならず第1母材1側からも溶接
金属が形成されることになる。そのため溶接ギャップG
が大きい場合にも両母材1、2間を確実にブリッジさせ
ることができる。しかも直接にアークを第1母材1に向
けて発生させるのではないから、溶接電流を大きくして
も第1母材1の溶け落ちという不具合を生じることがな
い。
【0030】また上記旋回の周波数は、溶接ギャップG
が大きいほど高くなるようにしている。旋回の周波数を
高くすると溶接ワイヤ3の先端に生じる溶滴に作用する
遠心力が大きくなるため、溶接ワイヤ3の溶融速度は増
加し、また第1母材1への溶滴の飛散量も多くなる。従
って溶接線に従って変化する溶接ギャップGの大きさに
対応して、確実なビードの形成が可能となる。さらに溶
接ギャップGが5.2mm以上になるとウィービングを
行っている。従ってビード幅を増加させても安定した溶
接ができる。そして検知した溶接ギャップGの幅に応じ
てウィービングの振幅を増減させている。そのためレー
ザセンサ5によって検出した溶接ギャップGの大きさに
応じて安定した溶接をすることができる。またウィービ
ングと回転アークとを併用することにより、アーク力の
見かけ上の低下等によって高速限界のハンピングが発生
しにくくなり、溶接速度の高速化を図ることができる。
【0031】また上記アーク溶接装置では、溶接ワイヤ
3の先端を旋回させる旋回手段9は図2に示すような簡
素な構造としている。従ってこの旋回手段9が装置の大
きなコストアップを招く一因となることはない。
【0032】以上にこの発明の具体的な実施の形態につ
いて説明したが、この発明は上記形態に限定されるもの
ではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施するこ
とができる。上記では溶接ギャップGが大きい場合に溶
接ワイヤ3の旋回とウィービングとを併用したが、溶接
ギャップGが3.5mm以上で上記旋回のみを行うよう
にしてもよいし、旋回を開始する溶接ギャップGの大き
さは3.5mmに限らず、溶接条件等に対応して種々に
選択することができる。特に、2mm程度の比較的小さ
な溶接ギャップGに対して上記溶接ワイヤ3の旋回を行
うことにより、上述のようにアーク力の見かけ上の低下
等によってハンピングが発生しにくくなるので、溶接速
度の顕著な高速化を図ることができる。また旋回の周波
数や直径も、この発明の範囲内で種々に変更することが
できる。さらに旋回手段9の構造も図2に示すものには
限らず、例えば給電ケーブル10内に溶接ワイヤ3を偏
心させて挿通し、モータ11によって給電ケーブル10
を回転させて行うような構造としてもよい。
【0033】
【発明の効果】上記請求項1の消耗電極式のアーク溶接
方法又は請求項5の消耗電極式のアーク溶接装置では、
第2母材の上端部に向けて反第1母材側斜め上方からア
ークを発生させると共に、所定値以上の溶接ギャップに
対しては溶接ワイヤの先端を旋回させている。従って、
旋回で生じた遠心力によって飛散した溶滴が第1母材に
溶着することにより、第2母材側からだけでなく第1母
材側からも溶接金属が形成されることとなる。そのため
両母材間に容易にブリッジを形成することができ、第2
母材の板厚よりも大きな溶接ギャップに対しても、高速
かつ安定な溶接を行うことが可能となる。
【0034】上記請求項2の消耗電極式のアーク溶接方
法又は請求項6の消耗電極式のアーク溶接装置では、溶
接ギャップが大きいほど旋回周波数を高くして入熱をよ
り一層分散させるようにしているので、溶接ギャップの
大きさに従って安定かつ確実な溶接が可能となる。
【0035】上記請求項3の消耗電極式のアーク溶接方
法又は請求項7の消耗電極式のアーク溶接装置では、溶
接ワイヤの先端を高速で旋回させるので、高速かつ安定
な溶接を確実に行うことが可能となる。
【0036】上記請求項4の消耗電極式のアーク溶接方
法又は請求項8の消耗電極式のアーク溶接装置では、入
熱の分散を適切なものとして、高速かつ安定な溶接を一
段と確実に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のアーク溶接方法及びアーク溶接装置
の実施形態における溶接ワイヤ先端の軌跡の一例を示す
図である。
【図2】上記アーク溶接装置の旋回手段を示す斜視図で
ある。
【図3】上記アーク溶接装置の概略システム図である。
【図4】上記アーク溶接装置の制御動作を説明するブロ
ック図である。
【図5】上記アーク溶接方法及びアーク溶接装置におけ
る溶接方法の一例を説明する模式図である。
【図6】上記溶接方法を説明する模式図である。
【図7】従来例の溶接方法を説明する模式図である。
【符号の説明】
1 第1母材 2 第2母材 3 溶接ワイヤ 4 溶接トーチ 5 レーザセンサ 7 コントローラ 8 溶接駆動部 9 旋回手段 G 溶接ギャップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北辻 博明 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 (72)発明者 二薮 秀喜 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下に延設された第1母材(1)と、こ
    の第1母材(1)の中途部に上端が位置し、第1母材
    (1)に沿わせるように配置された薄板の第2母材
    (2)とを溶接する消耗電極式のアーク溶接方法におい
    て、上記第2母材(2)の上端部に向けて反第1母材側
    の斜め上方からアークを発生させ、第2母材2を溶融さ
    せてこれを溶接金属の一部とすると共に、上記第1母材
    (1)と第2母材(2)上端部との間の溶接ギャップ
    (G)を検知して、この溶接ギャップ(G)が所定値以
    上であるときは、アークを発生させる溶接ワイヤ(3)
    の先端を旋回させることを特徴とする消耗電極式のアー
    ク溶接方法。
  2. 【請求項2】 溶接ギャップ(G)が大きいほど、上記
    旋回の周波数を高くすることを特徴とする請求項1の消
    耗電極式のアーク溶接方法。
  3. 【請求項3】 上記旋回の周波数は、約30Hz〜12
    0Hzであることを特徴とする請求項1又は請求項2の
    消耗電極式のアーク溶接方法。
  4. 【請求項4】 上記旋回の直径は、約2mm〜4mmで
    あることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかの
    消耗電極式のアーク溶接方法。
  5. 【請求項5】 上下に延設された第1母材と、この第1
    母材の中途部に上端が位置し、第1母材に沿わせるよう
    に配置された薄板の第2母材とを溶接する消耗電極式の
    アーク溶接装置において、上記第2母材の上端部に向け
    て反第1母材側の斜め上方からアークを発生させ、第2
    母材を溶融させてこれを溶接金属の一部とするアーク発
    生手段と、上記第1母材と第2母材上端部との間の溶接
    ギャップを検知する検知手段と、溶接ワイヤの先端を旋
    回させ得る旋回手段と、制御手段とを備え、この制御手
    段は、上記溶接ギャップが所定値以上であるときは、溶
    接ワイヤの先端を旋回させるよう上記旋回手段を制御す
    ることを特徴とする消耗電極式のアーク溶接装置。
  6. 【請求項6】 上記制御手段は、溶接ギャップが大きい
    ほど上記旋回の周波数が高くなるよう旋回手段を制御す
    ることを特徴とする請求項5の消耗電極式のアーク溶接
    装置。
  7. 【請求項7】 上記旋回手段は、約30Hz〜120H
    zの周波数で溶接ワイヤの先端を旋回させることを特徴
    とする請求項5又は請求項6の消耗電極式のアーク溶接
    装置。
  8. 【請求項8】 上記旋回手段は、約2mm〜4mmの直
    径で溶接ワイヤの先端を旋回させることを特徴とする請
    求項5〜請求項7のいずれかの消耗電極式のアーク溶接
    装置。
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