JP2002316265A - アルミニウム系部材のアーク溶接方法 - Google Patents

アルミニウム系部材のアーク溶接方法

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JP2002316265A
JP2002316265A JP2001120843A JP2001120843A JP2002316265A JP 2002316265 A JP2002316265 A JP 2002316265A JP 2001120843 A JP2001120843 A JP 2001120843A JP 2001120843 A JP2001120843 A JP 2001120843A JP 2002316265 A JP2002316265 A JP 2002316265A
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gap
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aluminum
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JP2001120843A
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Satoru Yamasumi
覚 山角
Takahisa Iizuka
隆久 飯塚
Hideaki Mizuno
秀明 水野
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Kawasaki Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Kawasaki Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接線に沿って変化するギャップの大きさに
応じて、リアルタイムに極性比率等の溶接条件を変化さ
せることにより、溶接品質の向上を図ることが可能なア
ルミニウム系部材のアーク溶接方法を提供する。 【解決手段】 アルミニウム系材料からなる部材1、2
と消耗電極4との間に印加する溶接電圧の極性を、逆極
性と正極性とに交互に切り換えて溶接を行う。このと
き、溶接進行方向における溶接位置よりも先行した領域
を検出手段5を用いて検出することにより、領域内に存
在するギャップGのギャップG量を求め、このギャップ
G量が大きいときは、小さいときよりも正極性が占める
割合である極性比率γを大にするように制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ギャップが存在
するアルミニウム系部材のアーク溶接方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】車両、船舶等の輸送機器においては、軽
量化等の要請によってアルミニウム又はアルミニウム合
金(以下、アルミニウム系部材という)を利用した構造
物が広く使用されるようになっている。さらに近年で
は、上記構造物の多様化に伴い、板厚が薄いアルミニウ
ム系部材を溶接する要求も増加してきている。そして、
このようなアルミニウム系部材を溶接する方法の一つと
しては、アーク溶接の一種であるミグアーク溶接が多用
されている。
【0003】図11は、上記アルミニウム系部材のミグ
アーク溶接を説明するための模式図である。同図におけ
る21、22は、アルミニウム系材料からなる第1及び
第2部材であり、両部材21、22のそれぞれの一方端
部側が上下方向に重なるように配置されている。このと
き、上記第1部材21と第2部材22との間にはギャッ
プGが形成されているが、これは板金工程、プレス工程
あるいは組立工程などにおいて生じたものである。また
同図における23は、溶接トーチ24内のコンタクトチ
ップ(図示せず)を通過し、ワイヤ送給装置(図示せ
ず)によって各部材21、22に向けて送給される溶接
ワイヤである。そして図の点線は、上記溶接ワイヤ23
の狙い位置を示している。
【0004】上記溶接法としては、例えば、アルゴンガ
スをシールドガスとして用い、溶接ワイヤ23に溶接電
源(図示せず)の正極を接続し、第1部材21及び第2
部材22に溶接電源の負極を接続した逆極性において、
溶接ワイヤ23を図に示す方向に送給しながら、溶接ワ
イヤ23の先端部と部材21、22との間にアークを発
生させる。その後、上記逆極性アークと正極性アーク
(溶接ワイヤ23が負極、両部材21、22が正極とな
る)とを交互に繰り返しながら溶接ワイヤ23の先端側
を溶融し、上記部材21、22間のギャップGを埋める
ように溶接金属を供給することによって溶接するように
構成している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記アルミ
ニウム系部材21、22を重ね継手溶接する場合は、溶
接中の変形や溶接姿勢、両部材21、22間に形成され
るギャップG量等に応じて適正な溶接条件、すなわち、
溶接電流、溶接電圧、溶接速度、ウィービング条件等を
選択する必要がある。このため、近年ではレーザセンサ
を用いた溶接条件の自動補正制御が行われている。しか
しながら、比較的に板厚が薄いアルミニウム系部材2
1、22を重ね継手溶接する場合には、溶接部の過熱が
発生しやすくなるため、上記に示した溶接条件の最適化
だけでは上記ギャップG量の変動に対応できないという
問題がある。
【0006】そこで、上記問題を解決するためになされ
たものとしては、上記溶接電流、溶接電圧、溶接速度、
ウィービング条件に加えて、ギャップG量に応じた溶接
ワイヤ23の狙い位置を補正する方法(特開平7−80
643号公報)を挙げることができる。すなわちこの方
法によれば、溶接位置におけるギャップG量を検出しな
がら、溶接トーチ24の先端位置、すなわち溶接ワイヤ
23を上記ギャップGの中央側へシフトさせるようなオ
フセット補正を行うように制御している。しかしながら
この方法では、上記狙い位置オフセット量の変更と共
に、溶け込み深さも変化してしまうため、溶け込み不足
が生じたり、溶け込みが過大になって溶け落ちたりする
場合があるという問題が生じている。
【0007】この発明は上記従来の欠点を解決するため
になされたものであって、その目的は、溶接線に沿って
変化するギャップの大きさに応じて、リアルタイムに極
性比率等の溶接条件を変化させることにより、溶接品質
の向上を図ることが可能なアルミニウム系部材のアーク
溶接方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで請求項1のアルミ
ニウム系部材のアーク溶接方法は、アルミニウム系材料
からなる部材1、2と消耗電極4との間に印加する溶接
電圧の極性を、逆極性と正極性とに交互に切り換えて溶
接を行うアルミニウム系部材のアーク溶接方法におい
て、溶接進行方向における溶接位置よりも先行した領域
を検出手段5を用いて検出することにより、領域内に存
在するギャップGのギャップG量を求め、このギャップ
G量が大きいときは、小さいときよりも正極性が占める
割合である極性比率γを大にするように制御することを
特徴としている。
【0009】上記請求項1のアルミニウム系部材のアー
ク溶接方法によれば、ギャップG量が大きいときは、小
さいときよりも正極性が占める割合である極性比率γを
大にするように制御している。このように、溶接線に沿
って変化するギャップG量に応じてリアルタイムに極性
比率γを補正することにより、溶接部に加える熱量を調
整して溶け込み深さ、及び接合部表面に突出される溶融
金属の盛上り量を変えることができるため、溶け込み不
足や溶け落ち等の溶接欠陥を発生させることなく、高品
質な溶接が可能となる。
【0010】また請求項2のアルミニウム系部材のアー
ク溶接方法は、上記両部材1、2を上下方向に重ね合わ
せ配置し、両部材1、2間のギャップG量が大きいとき
は、小さいときよりも溶接狙い位置を上側部材1側にオ
フセットするように制御することを特徴としている。
【0011】上記請求項2のアルミニウム系部材のアー
ク溶接方法によれば、上記ギャップG量が大きいとき
は、小さいときよりも溶接狙い位置を上側部材1側にオ
フセットするように制御している。すなわち、上記溶接
狙い位置を上側部材1側又は下側部材2側のどちらにオ
フセットするかによって、接合部における溶け込み深さ
と溶融金属の盛上り量とを変化させることができる。こ
の結果、上記極性比率γ補正と溶接狙い位置補正との両
方を活用して、ビード形状を制御することが可能となる
ため、溶接品質を一段と向上することができる。
【0012】尚、上記請求項1及び請求項2のアルミニ
ウム系部材のアーク溶接方法を、溶接変形の大きなアル
ミニウム薄板に適用すれば、上記効果が一段と顕著に現
れる。また上記検出手段としては、レーザセンサを適用
するのが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、この発明のアルミニウム系
部材のアーク溶接方法の具体的な実施の形態について、
図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0014】図1は、この発明の第1実施形態であるア
ルミニウム系部材のアーク溶接方法のシステム構成を示
す概略図である。同図における1、2はアルミニウム系
材料からなる薄板状の第1及び第2部材であり、この両
部材1、2の一方端部同士がその上下方向に重なるよう
に配置されている。このとき、上記第1部材1と第2部
材2との間にはギャップGが形成されているが、これは
板金工程、プレス工程あるいは組立工程などにおいて生
じたものである。また、3は図示しない溶接ロボットに
取着された溶接トーチであり、この溶接トーチ3から部
材1、2の溶接線上に向けて溶接ワイヤ4(消耗電極)
が送給されるように構成されている。また、5はCCD
カメラ(図示せず)等を備えたレーザセンサ(検出手
段)であり、上記溶接トーチ3よりも溶接進行方向にお
ける先行位置に配置されている。そして、上記レーザセ
ンサ5から出射されるレーザビーム6によって、溶接位
置よりも先行した領域を走査することにより、上記部材
1、2上の開先特徴点を検出するように構成している。
また上記レーザセンサ5からの出力信号はレーザセンサ
コントローラ7に入力され、ここで画像処理が行われる
と共に、上記各特徴点から検出領域内に存在する上記ギ
ャップGのギャップG量を算出することができるように
なっている。そして、これらのデータは、通信線を介し
てロボットコントローラ8に送信される。上記ロボット
コントローラ8では、入力されてきた各データをもとに
溶接線倣い計算処理、溶接速度補正、ウィービング制
御、狙い位置オフセット補正等が行われ、これらの結果
に基づいて溶接トーチ3の移動制御が行われるようにな
っている。またこの他、上記ロボットコントローラ8で
は、適切な溶接電流と溶接電圧とが求められて溶接電源
10に送信されると共に、上記ギャップG量をもとに補
正計算された極性比率γが、I/O信号としてDA変換
器9に外部出力され、ここでアナログ信号に変換された
後に溶接電源10に送信されるようになっている。そし
て上記各種信号をもとに溶接電源10から与えられた電
力によって、上記各部材1、2と溶接ワイヤ4との間に
アークを発生させ、両部材1、2の溶接を行うように構
成している。
【0015】図2は、上記レーザセンサ5を用いて検出
された各特徴点から、検出領域内に存在するギャップG
のギャップG量を求める方法を説明するための説明図で
あり、(a)はレーザセンサ5による両部材1、2の検
出領域を示した部分拡大断面図を、(b)はこのときC
CDカメラの画面上に写し出された軌跡の模式図を示し
ている。図2(a)において、Lは第1部材1の板厚
を、またGは両部材1、2間のギャップG長を示してお
り、1A、2Bは、それぞれ第1部材1、及び第2部材
2の表面上をレーザビーム6で検出した領域を示してい
る。一方図2(b)において、カメラ画面上に写し出さ
れた画像軌跡は、上記板厚Lが画像軌跡lに、またギャ
ップGが画像軌跡gに対応し、各部材1、2表面の検出
領域1A、2Bが画像軌跡1a、2bに対応している。
これより、具体的なギャップG量の算出方法の一例を述
べると、まず上記実際の板厚Lが既知である場合には、
画面上における板厚の画像軌跡lとギャップの画像軌跡
gとを求め、これらの比率計算を行うことにより実際の
ギャップG量を求めることができる。また、上記実際の
板厚Lが未値の場合であっても、上記レーザセンサ5と
CCDカメラと各部材1、2との位置関係が固定されて
いれば、適当なキャリブレーションによってギャップG
量を求めることが可能である。すなわち、例えば画面上
における画像軌跡が、実際の軌跡の長さよりも1/2倍
の大きさに写し出されるとわかっていれば、上記画像軌
跡gを求めてこの値を2倍すれば、実際のギャップG量
を算出することができる。
【0016】次に、上記各ギャップG量に応じた溶接電
源10の極性比率γ制御について説明するために、ここ
ではまず、極性比率γの変化に対する溶融状況の変化に
ついて述べる。図3(a)は極性比率γを変化させた場
合におけるそれぞれの溶融状況を示した概略図であり、
図3(b)は上記(a)に対応した各極性比率γにおけ
る溶接電流10の交流パルス波形を示したグラフであ
る。図3(a)において、11はアルミニウム系部材、
3は溶接トーチ、4は溶接ワイヤを示しており、この溶
接ワイヤ4の先端部とアルミニウム系部材11との間
に、逆極性アーク(アルミニウム系部材11が負極、溶
接ワイヤ4が正極)と正極性アーク(アルミニウム系部
材11を正極、溶接ワイヤ4を負極)とを交互に発生さ
せることにより溶接するように構成している。一方、図
3(b)に示すグラフには、縦軸に各極性における溶接
電流(I)を、また横軸に時間(T)をとっており、さ
らに図におけるTENは正極性アークを発生させる正極性
期間、TPは逆極性アークを発生させる逆極性期間、I
ENは正極性期間TEN時に通電される正極性電流、IP
Bはそれぞれ逆極性期間TP時に通電される逆極性ピー
ク電流と、逆極性ベース電流とを示している。ここで、
この実施形態における極性比率γとは、このグラフの1
周期における正極性期間TENの時間比率を示しており、
具体的には、極性比率γ={TEN/(TEN+TP)}×
100%で表される。そして、グラフには上記極性比率
(EN比率)γを0%、25%、50%に変化させた場
合のパルス波形をそれぞれ示している。図3(a)
(b)に示すように、上記極性比率γが小さい場合に
は、アルミニウム系部材11への溶け込みが深く、表面
に突出される溶融金属12の盛上りは小さくなり、接合
部におけるビード形状は略偏平に形成される。これに対
して、極性比率γが大きい場合には、アルミニウム系部
材11への溶け込みが浅く、表面に突出される溶融金属
12の盛上りは大きくなり、接合部におけるビード形状
は略凸状に形成される。
【0017】以上のことより、各部材1、2間に生じる
ギャップGの大きさが、G1<G2<G3である場合にお
ける極性比率γの具体的な制御方法について、図4
(a)〜(c)に基づいて説明する。尚、図4における
矢印方向は溶接ワイヤ4を供給する方向を示しており、
ここでは、この溶接ワイヤ4の狙い位置は変化させない
ものとする。この実施形態においては、図4(b)に示
すギャップG2(このときの極性比率γ=10%)を基
準として、それよりもギャップGが小さい場合、すなわ
ちG=G1の場合には、極性比率γを小さくして(ここ
では、γ=3%)溶接を行うように制御している(図4
(a)参照)。このように極性比率γを小さくすると、
溶融金属12の表面への盛上りが小さい略偏平状のビー
ドが形成され、溶接部へ加わる熱量が増大して溶け込み
が深くなる。これによって溶け込み不足を防止すること
ができる。また逆に、図4(c)に示すようにギャップ
Gが大きい場合、すなわちG=G3の場合には、極性比
率γを大きくして(ここでは、γ=30%)溶接を行う
ように制御している。このように極性比率γを大きくす
ると溶融金属12の表面への盛上りが大きくなり、略凸
状に形成されたビードによりギャップGが埋められる。
これによって、過大なギャップによるビードの溶け落ち
を防止することが可能となる。
【0018】ここで、上記極性比率γ以外の溶接条件、
すなわち溶接電流、溶接電圧、溶接速度、ウイービング
周波数、及びウィービング幅、狙い位置オフセット量の
制御方法としては、上記ギャップGが大きくなるにつれ
て、上記溶接電流、溶接電圧、溶接速度、ウイービング
周波数を下げると共に、ウィービング幅を拡大するよう
に制御している。このとき、上記狙い位置オフセット量
は変化させないものとする。また、この実施形態におい
ては、上記極性比率γをはじめとする各溶接条件を、ギ
ャップG量に応じてリアルタイムに選択することができ
るように、各板厚ごとに図5に示すようなデータテーブ
ルが形成されており、これをもとに各種制御が行われる
ようになっている。
【0019】このように、上記アルミニウム系部材のア
ーク溶接方法によれば、溶接線に沿って変化するギャッ
プG量に応じてリアルタイムに極性比率γを補正するこ
とが可能となる。この結果、溶接部に加える熱量を調整
して溶け込み深さ、及び接合部表面に突出される溶融金
属12の盛上り量を変えることができるため、溶接変形
の大きな薄板状のアルミニウム系部材1、2を溶接する
場合であっても、溶け込み不足や溶け落ち等の溶接欠陥
を発生させることなく、高品質な溶接を行うことが可能
となる。
【0020】次に、この発明の第2実施形態であるアル
ミニウム系部材のアーク溶接方法について説明する。こ
の実施形態においては、上記極性比率γ制御に加えて、
溶接ワイヤ4の狙い位置オフセット量Sの制御も併せて
行う場合について述べる。そこで、ここではまず、各ギ
ャップG量に対する具体的な狙い位置オフセット量Sの
制御方法を図6に基づいて説明する。図6(a)〜
(c)は、上記ギャップGの大きさがG1<G2<G3
ある場合における狙い位置のオフセット制御方向を示し
た図である。ここでは、図6(b)に示すギャップ
2、及び狙い位置を基準として、それよりもギャップ
Gが小さい場合、すなわちG=G1の場合には、溶接ワ
イヤ4の狙い位置を図における右側、つまり下側に位置
する第2部材2側にオフセットして溶接を行うように制
御する(図6(a)参照)。すると、溶融金属中に占め
る第1部材1側の溶融量が減少するため、溶融金属12
の表面への盛上りが小さい略偏平状のビードが形成さ
れ、溶融金属12が第1部材1側の溶融分によって過度
に冷却されることがなくなるため溶け込みが深くなる。
これによって、溶け込み不足を防止することができる。
また逆に、図6(c)に示すように、ギャップGが大き
い場合、すなわちG=G3の場合には、溶接ワイヤ4の
狙い位置を図における左側、つまり上側に位置する第1
部材1側にオフセットして溶接を行うように制御する。
すると、溶接ワイヤ4により供給した溶融金属分に加え
て、第1部材1側の溶融分も溶融金属12として加算さ
れるため、上記溶融金属12の表面への盛上りが大きく
なり、略凸状に形成されたビードによりギャップGが埋
められる。これによって、過大なギャップGによるビー
ドの溶け落ちを防止することが可能となる。
【0021】ところで、上記極性比率γと狙い位置オフ
セット量Sとの両方の制御を行う場合は、それぞれが同
様の効果を有するため、図7(a)(b)のグラフに示
すように上記極性比率γを主体とする場合は、狙い位置
オフセット量Sの変更を小さな変更にとどめるように構
成し、上記狙い位置オフセット量Sを主体とする場合
は、図8(a)(b)のグラフに示すように、極性比率
γの変更を小さな変更にとどめるように構成している。
ここで、上記極性比率γ及び狙い位置オフセット量Sを
含む各溶接条件の基本的な制御方法としては、上記ギャ
ップGが大きくなるにつれて、上記溶接電流、及び溶接
電圧、溶接速度、ウイービング周波数を下げる一方、ウ
ィービング幅を拡大し、極性比率γを大きくすると共
に、狙い位置オフセット量Sを中央よりも右側(第1部
材1側)に配置するように構成している。
【0022】以上のように、上記アルミニウム系部材の
アーク溶接方法によれば、上記溶接狙い位置を第1部材
1側にオフセットすれば、ビード形状を略凸状に形成す
ることが可能となり、第2部材2側にオフセットすれ
ば、ビード形状を略偏平状に形成することが可能とな
る。そしてさらに、上記極性比率γ補正による溶接部へ
の入熱量制御も併せて行うように構成することによっ
て、上記極性比率γ補正と、溶接狙い位置補正との両方
を活用してビード形状を制御することができるため、溶
接品質を一段と向上することができる。
【0023】以上にこの発明のアルミニウム系部材のア
ーク溶接方法の具体的な実施の形態について説明した
が、この発明は上記実施の形態に限定されるものではな
く、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可
能である。例えば、上記各実施形態においては、ギャッ
プG量のみの変化を考慮して溶接条件を変えるように制
御したが、図9(a)に示すように、板厚の異なる部材
1、2間の接合を行う場合は、上記ギャップG量に加え
てウィービング動作に同期した極性比率γ変更を行うよ
うに構成することも可能である。すなわち、ウィービン
グ動作に同期して、薄い板厚側では極性比率γを大にし
て溶け込み量を浅くし、表面への盛上りを大きくするよ
うに制御する一方、厚めの板厚側では極性比率γを小に
して溶け込み量を深くし、表面への盛上りを小さくする
ように制御することも可能である。また、図9(b)に
示すように、傾斜している部材1、2同士を接合するよ
うな場合は、上記傾斜角度θを予め入力しておいてもよ
いし、上記ギャップG量の検出に加えて傾斜角度θもリ
アルタイムに検出し、これらのデータをもとに各溶接条
件を制御するように構成することも可能である。さら
に、上記極性比率γや狙い位置オフセット量S等の各溶
接条件の制御に加えて、溶接トーチ3の前進及び後退角
度も考慮して、ビード形状等を制御するように構成する
ことも可能である。
【0024】また、上記実施形態においては、アルミニ
ウム系の薄板を溶接するように構成したが、薄板以外の
形状を有するものに上記溶接方法を適用することも可能
である。さらに、上記実施形態では、板厚毎に図5に示
すようなデータテーブルを形成し、これに基づいてリア
ルタイムに溶接条件を変更するように構成したが、上記
データテーブルの代わりに、変換関数を利用するように
構成してもよい。また上記実施の形態においては、ロボ
ットコントローラ8内で求めた極性比率γを、I/O信
号としてDA変換器9に外部出力した後に溶接電源10
に送信するように構成したが、図10(a)に示すよう
に、上記ロボットコントローラ8内にDA変換処理機能
を持たせることにより、I/O信号を介さずに極性比率
γ制御を行うように構成することも可能であるし、図1
0(b)に示すように、上記レーザセンサコントローラ
7内に、上記溶接電源10を直接制御する機能、すなわ
ち溶接電流及び電圧制御、極性比率γ制御、DA変換処
理等の機能を持たせるように構成することも可能であ
る。さらに、上記実施形態においては、上下方向に重ね
合わせ配置した部材1、2同士の接合を行う場合につい
て述べたが、突合せ配置した部材同士を接合する場合
に、上記溶接方法を適用することも可能である。
【0025】
【発明の効果】請求項1のアルミニウム系部材のアーク
溶接方法によれば、溶接線に沿って変化するギャップ量
に応じてリアルタイムに極性比率を補正することによ
り、溶接部に加える熱量を調整して溶け込み深さ、及び
接合部表面に突出される溶融金属の盛上り量を変えるこ
とができるため、溶け込み不足や溶け落ち等の溶接欠陥
を発生させることなく、高品質な溶接が可能となる。
【0026】請求項2のアルミニウム系部材のアーク溶
接方法によれば、上記溶接狙い位置を上側部材側又は下
側部材側のどちらにオフセットするかによって、接合部
における溶け込み深さと溶融金属の盛上り量とを変化さ
せることができる。この結果、上記極性比率補正と溶接
狙い位置補正との両方を活用して、ビード形状を制御す
ることが可能となるため、溶接品質を一段と向上するこ
とができる。
【0027】尚、上記請求項1及び請求項2のアルミニ
ウム系部材のアーク溶接方法を、溶接変形の大きなアル
ミニウム薄板に適用すれば、上記効果が一段と顕著に現
れる。また上記検出手段としては、レーザセンサを適用
するのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態であるアルミニウム系
部材のアーク溶接方法のシステム構成を示す概略図であ
る。
【図2】レーザセンサを用いて検出されたギャップのギ
ャップ量を求める方法を説明するための説明図であり、
(a)はレーザセンサによる両部材の検出領域を示した
部分拡大断面図を、(b)はこのときCCDカメラの画
面上に写し出された軌跡の模式図を示している。
【図3】各極性比率に対する溶融状況を示した説明図で
あり、(a)は各極性比率に対する溶融状況の変化を示
した概略図を、(b)は上記各極性比率における溶接電
流の交流パルス波形を示したグラフを示している。
【図4】上記ギャップG量に対する極性比率の具体的な
制御方法を示す概略図である。
【図5】各種溶接条件を示したデータテーブルである。
【図6】ギャップGの大きさに対する狙い位置オフセッ
ト量の具体的な制御方法を示す概略図である。
【図7】ギャップGの大きさに応じて極性比率を主体的
に変更する場合のグラフを示しており、(a)はギャッ
プ量に対する極性比率を、(b)はギャップ量に対する
狙い位置オフセット量を示している。
【図8】ギャップGの大きさに応じて狙い位置オフセッ
ト量を主体的に変更する場合のグラフを示しており、
(a)はギャップ量に対する極性比率を、(b)はギャ
ップ量に対する狙い位置オフセット量を示している。
【図9】各種部材間の接合方法を説明するための概略説
明図であり、(a)は板厚の異なる部材間の接合を、
(b)は傾斜した部材間の接合を示している。
【図10】各種システム構成を示す概略図であり、
(a)はロボット内部にDA変換器を内蔵した場合を、
(b)はレーザセンサコントローラにより溶接電源を直
接制御するように構成した場合を示している。
【図11】従来におけるアルミニウム系部材のミグアー
ク溶接を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 アルミニウム系部材(第1部材) 2 アルミニウム系部材(第2部材) 3 溶接トーチ 4 消耗電極(溶接ワイヤ) 5 検出手段(レーザセンサ) 6 レーザビーム 7 レーザセンサコントローラ 8 ロボットコントローラ 10 溶接電源 12 溶融金属 G ギャップ S 狙い位置オフセット量 γ 極性比率
フロントページの続き (72)発明者 水野 秀明 千葉県野田市二ツ塚118番 川崎重工業株 式会社野田工場内 Fターム(参考) 4E001 AA03 BB06 CB01 DE04 4E081 AA15 BA08 BB04 CA07 DA06 DA49

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム系材料からなる部材(1)
    (2)と消耗電極(4)との間に印加する溶接電圧の極
    性を、逆極性と正極性とに交互に切り換えて溶接を行う
    アルミニウム系部材のアーク溶接方法において、溶接進
    行方向における溶接位置よりも先行した領域を検出手段
    (5)を用いて検出することにより、領域内に存在する
    ギャップ(G)のギャップ(G)量を求め、このギャッ
    プ(G)量が大きいときは、小さいときよりも正極性が
    占める割合である極性比率(γ)を大にするように制御
    することを特徴とするアルミニウム系部材のアーク溶接
    方法。
  2. 【請求項2】 上記両部材(1)(2)を上下方向に重
    ね合わせ配置し、両部材(1)(2)間のギャップ
    (G)量が大きいときは、小さいときよりも溶接狙い位
    置を上側部材(1)側にオフセットするように制御する
    ことを特徴とする請求項1のアルミニウム系部材のアー
    ク溶接方法。
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