JPH1080477A - 血液処理用モジュール - Google Patents

血液処理用モジュール

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JPH1080477A
JPH1080477A JP23813596A JP23813596A JPH1080477A JP H1080477 A JPH1080477 A JP H1080477A JP 23813596 A JP23813596 A JP 23813596A JP 23813596 A JP23813596 A JP 23813596A JP H1080477 A JPH1080477 A JP H1080477A
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JP
Japan
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hollow fiber
processing module
blood processing
blood
less
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Application number
JP23813596A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Sugaya
博之 菅谷
Hidekazu Nakajima
秀和 中島
Toshiichi Tayama
敏一 田山
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高性能および/もしくは小型の血液処理用モジ
ュールを提供する。 【解決手段】親水性化された高分子から構成されてお
り、かつ平均内径が50μm以上180μm未満および
/もしくは平均膜厚が25μm以下である中空糸膜を用
いたことを特徴とする血液処理用モジュール

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な血液処理モジ
ュールに関する。高性能および/もしくは小型の血液処
理用モジュールとして、医療用分野などに用いられる。
【0002】
【従来の技術】血液透析療法は30年以上の歴史があ
り、初期にはセルロース平膜が用いられていた。しか
し、透析効率を向上させるために膜形状や膜素材の研究
がこれまで多くなされてきており、現在そのほとんど
は、中空糸型と呼ばれる中空糸膜を円筒状のハウジング
に充填し両端を樹脂で封止した血液処理モジュールが使
われている。
【0003】近年、この血液透析モジュールに対する性
能の要求はますます高まり多様化している。かつては血
液中の低分子尿毒素、水を除去し透析患者の生命を維持
することが重要であったのに対して、アルブミン分子量
近傍以下の高分子量領域の除去を行い、長期合併症に陥
る危険性の少ないようなモジュールが望まれている。こ
のため、膜の孔径が大きい高性能膜が開発されている。
一方、中空糸、血液モジュールのデザインを変えて、高
性能化させることも可能である。しかし、中空糸膜の内
径、厚み、長さに対する物質移動の理論計算では、細く
て、薄く、長い膜が良いことは明らかであるが(酒井清
孝、透析スタッフのための血液浄化の基礎、116〜1
34頁、1989年、株式会社アイピーシー)、血液を
処理するという特殊性から実用上の制約があり、細いも
ので内径180μm、長いもので25cm、薄いもので
10μmが限界とされている。
【0004】一方、透析効率を上げるために、病院で使
用する透析モジュールの膜面積は徐々に大きくなってき
ている。この膜面積の大きなモジュールは製造側から見
ればコストアップにつながるし、医師、技師、看護婦な
どの使用する側にとっては重くて使いにくい等の不満に
なる。また患者にとっては大型のモジュールに血液が流
れることにより恐怖心が強くなり、ストレスがたまると
言った障害が発生するとも言われている。このため、小
型高性能の血液処理モジュールが切望されている。
【0005】我々はこれらの要求を満たすために研究を
重ねたところ、抗血栓性を有する中空糸膜を用いること
で、内径の小さい中空糸膜からなる血液処理モジュール
を実用化できることを見いだし、さらにある範囲の膜
厚、中空糸長さ、モジュール形状を用いることにより、
高性能および/もしくは小型の血液処理モジュールを提
供できることを見いだした。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高性
能および/もしくは小型の血液処理モジュールを提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために下記の構成を有する。
【0008】「(1)親水性化された高分子から構成さ
れており、かつ平均内径が50μm以上180μm未満
である中空糸膜を用いたことを特徴とする血液処理用モ
ジュール。
【0009】(2)親水性化された高分子から構成され
ており、かつ中空糸膜の平均膜厚が25μm以下である
ことを特徴とする血液処理用モジュール。」
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で言う血液処理用モジュー
ルの基本構造は特に限定しないが通常用いられている構
造のものであればよく、円筒状のプラスチックケースに
中空糸の束が挿入されており中空糸の両端部を樹脂で封
止し、中空糸内部には血液が、外部には透析液、生食、
濾過水が流れるようにそれぞれ入口、出口のポートが設
けられている構造のものが一般的である。
【0011】本発明で言う有効長や有効膜面積の「有
効」とは中空糸膜のうち、濾過や透析が起こり実際に半
透膜として機能している部分を示すものであり、中空糸
の両端部の樹脂で封止している部分は有効長や有効膜面
積には含まれない。従って有効長は封止樹脂間の長さで
あり、糸によって長さが異なる場合は平均値を用いる。
膜面積は中空糸の内側を基準として計算した値を用い
る。
【0012】中空糸内径とはこの有効部分にある中空糸
の内側の血液接触面の直径のことであり、平均値を代表
値とする。この血液接触面の断面形状は円であることが
好ましいが、扁平しているなどして円形でない場合は断
面積から直径に換算した値を用いる。この内径は小さい
方が透析効率が向上するが、小さすぎるとモジュール入
り口、出口の圧力差、いわゆる圧力損失が大きくなり実
際には使用できなくなったり、血液が凝固し中空糸が閉
塞してしまう。このために中空糸内径は50μm以上で
あることが必要であり、130μm以上であることが望
ましい。また、本発明の目的である、高性能化を達成す
るためには180μm未満であることが必要であり、1
70μm未満であることが好ましく、さらに160μm
未満であることが好ましい。
【0013】中空糸膜の平均膜厚とは中空糸膜の多孔質
部分の厚みであり、場所によって厚みが異なる場合は平
均値を用いる。膜圧は薄い方が物質透過性も良くなり、
小型化することができる。本発明の目的である、高性能
化小型モジュールを達成するためには25μm未満であ
ることが好ましい。
【0014】モジュール筒部の平均内径(D)とは円筒
状のケースの内径を示しており、場所によって径が異な
る場合は平均値を用いる。また、円形でない場合は断面
積から直径に換算した値を用いる。この内径が小さいと
同じ中空糸を同量充填した場合の充填密度が上がり、透
析物質移動抵抗が低下するため性能の向上には好ましい
が、充填密度があまり高いと透析液のモジュール入口、
出口間の圧力損失が大きくなったり、透析液が流れにく
い部分が発生するので好ましくない。このため、平均内
径(D)は中空糸充填密度が80%以下になるよう選択
することが好ましく、70%以下になるようにすること
はさらに好ましい。また、平均内径(D)があまり大き
いと逆に透析効率が低下するため、中空糸充填密度が4
0%以上になるよう選択することが好ましく、50%以
上になるようにすることはさらに好ましい。この、充填
密度は平均内径(D)から算出される断面積に対する中
空糸外径から算出される中空糸部分の断面積の総和の比
である。
【0015】中空糸の有効長(L)はモジュールの圧力
損失を少なくするために短い方がよく、20cm未満で
あることが好ましく、さらには18cm以下であること
が好ましい。。この短い有効長のモジュールは病院での
取り扱い、廃棄も容易であるという特徴もある。
【0016】中空糸の有効長(L)とモジュール筒部の
平均内径(D)の比(L/D)は小さい方が圧力損失を
少なくする上で好ましく、6.5未満であることが好ま
しく、さらに6未満である方が好ましい。また、あまり
小さすぎると封止樹脂部分を含む中空糸の実長さに対す
る封止樹脂間の長さの割合が大きくなりすぎ、製造コス
トが高くなってしまう。また、一般的にヘッダーと呼ば
れる血液入り口部の面積が大きくなることで、中空糸間
の流動ムラが大きくなってしまうために0.5以上であ
ることが好ましく、1以上であることがさらに好まし
く、3以上である方がより好ましい。
【0017】モジュール容積(V)と中空糸膜有効面積
(S)との比(V/S)は中空糸内径、膜厚、中空糸充
填率の組み合わせで決められるものであるが、この数値
が小さいものは小面積であっても高性能になるので好ま
い。また、小型であるために、製造、輸送コストを下げ
ることが可能であるし、医師、技師、看護婦などの使用
する側にとっては使いやすくなる。また患者も安心して
みることができるようになる。ただし、あまり小さいと
樹脂による中空糸端部の封止ができないなどの充填密度
が高いことによる弊害が起こるため、50ml/m2
上であることが必要であり、80ml/m2 、以上であ
ることが好ましく、さらに100ml/m2 以上である
ことが好ましい。またこの数値が大きいと無駄なスペー
スが発生し、性能が上がりにくくなる上にモジュールが
大きくなってしまうために140ml/m2 未満である
ことが必要であり、130ml/m2 未満である方が好
ましく、120ml/m2 未満である方がさらに好まし
い。
【0018】親水性化された高分子とは膜素材として用
いられる疎水性高分子を何らかの方法で親水性化した膜
のことであり、親水性の単量体と疎水性の単量体を共重
合させたものや、親水性の高分子と疎水性の高分子をブ
レンド製膜したものや、疎水性の高分子からなる膜の表
面に親水性ポリマーを結合、付着させたもの、疎水性の
高分子からなる膜の表面を化学処理、プラズマ処理した
ものなどがあげられるが親水性化されていればその方法
は特に限定しない。この親水性化された高分子で用いら
れる親水性成分は特に限定しないが、ポリエチレングリ
コールなどのポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピ
ロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチ
ルメタクリレートなどの親水性高分子は血小板付着を抑
制する効果が高いために好ましい。疎水性成分としては
メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、エチレ
ン、プロピレン等のオレフィン、アクリロニトリル、メ
タクリロニトリル等の炭素−炭素二重結合を有する付加
重合性化合物からなる重合体や、ポリスルホン、セルロ
ースなどの重合体を例示することができるが、膜素材と
して用いることができるものであれば特に限定されるも
のではない。
【0019】親水性化された高分子からなる膜を例示す
るとポリエチレンオキサイド−ポリアクリロニトリル共
重合体、ポリエチレンオキサイド−ポリメチルメタクリ
レート共重合体等のポリエチレンオキサイド共重合体か
らなる中空糸膜、ポリビニルピロリドン−ポリスルホン
ブレンド膜、ポリビニルピロリドン−ポリアミドブレン
ド膜、ポリビニルアルコールーポリエチレン共重合膜、
ポリエチレングリコールグラフトセルロース膜があげら
れる。この中でもポリエチレンオキサイド共重合体から
なる中空糸膜は抗血栓性を高くすることができ製造も容
易であるので好ましい。
【0020】膜の親水性化は血小板などの血液成分の付
着を抑制するために必要な処理であり、血小板の付着を
抑制するいわゆる抗血栓性膜であることが好ましい。こ
の抗血栓性は血液接触後の膜表面を電子顕微鏡で観察す
ることによって確認することができる。親水性化処理の
度合いは特に限定しないが、血小板付着量が単なる疎水
性の膜の状態に比べて1割以上少ないことが好ましい。
さらには2割以上少ないことが好ましい。
【0021】この親水性化の度合いは、親水性成分量が
同じであっても膜種によって異なるが、膜種間の比較は
ポリメチルメタクリレートを基準とした以下の方法によ
り評価することができる。中空糸膜を約22cmの長さ
に切断し30本束ねて透析液入口、出口ポートを設けた
ポリスチレン管に入れ、両端を樹脂で固定化し、樹脂が
固化した後に両端を切断し、ロート上のヘッダーを取り
付け、評価用の血液処理モジュールを作る。このモジュ
ールに多孔質膜を兎多血小板血漿(以下、PRPと略
記)を37℃で実際に使用する血液線速度で20分流
す。生理食塩水で洗浄した後グルタルアルデヒド生理食
塩水で固定する。一日後に純水で洗浄した後、凍結乾燥
する。この試料を白金−パラジウムで蒸着し膜表面に付
着した血小板を走査型電子顕微鏡で観察する。ここでの
PRPは、全血液に対し、1/10容量の3.8%クエ
ン酸ナトリウム溶液の入った注射器を用いて、兎頚動脈
から採血し、ついで、シリコン処理を施した試験管に直
ちに移し、800〜1000回転/分で8〜15分間遠
沈させることによって得られたものを用いる。血小板数
は20万個/μl以上に調整する。上記方法で、ポリメ
チルメタクリレート膜(東レ社製BK−P膜)を評価す
ると5×10-6個/cm2 以上付着する。本発明で言う
抗血栓性膜の度合いは特には限定しないもののこの血小
板付着評価で10-6個/cm2 以下であることが好まし
く、さらに5×10-5個/cm2 以下の付着量であるこ
とが好ましい。さらに、10-5個/cm2 以下の付着量
である膜は血小板の付着が非常に少ないために膜の劣
化、残血と呼ばれる血液閉塞をかなり低減できるので特
に好ましい。
【0022】以下、ポリアルキレンオキサイド単位と重
合性炭素−炭素二重結合とを同一分子内に有する単量体
を例に詳しく説明するが、本発明はこれらの物質、製造
法に限定されるものではない。
【0023】ポリアルキレンオキサイド単位と重合性炭
素−炭素二重結合とを同一分子内に有する単量体とは、
例えば下記一般式(1)
【化1】 (式中、nは5以上の整数、R1 はHまたはCH3 、R
2 は水酸基、C1 〜C4のアルコキシ基、およびOCH
φ2 (φはフェニル基)から選ばれ、R3 はアルキレン
を表す)で表されるアクリル酸、またはメタクリル酸エ
ステル類、あるいは一般式(2)
【化2】 (式中、nは5以上の整数、R1 はHまたはCH3 、R
2 は水酸基、C1 〜C4のアルコキシ基、およびOCH
φ2 (φはフェニル基)から選ばれ、R3 はアルキレン
を表す)で表されるビニル単量体が挙げられる。
【0024】これらの付加重合性化合物の製法は公知の
方法を用いることができ、その重合性炭素−炭素二重結
合により特別な装置、手法を用いなくても、容易に重合
でき、さらに他の単量体あるいはマクロモノマとの共重
合も可能であり、ポリアルキレンオキサイド単位を有す
る高分子組成物を効率よく、また再現性よく形成するこ
とができる。
【0025】ポリアルキレンオキサイド単位の効果をよ
り強く発現させるために、この単量体中のポリアルキレ
ンオキサイド単位の平均重合度は5以上が好ましく、さ
らに好ましくは15以上の平均重合度であることが好ま
しい。
【0026】この親水性の単量体は疎水性の単量体と共
重合して膜素材として用いることができる。疎水性単量
体は共重合可能なものならば何でもよく、たとえば、メ
タクリル酸エステル、アクリル酸エステル、エチレン、
プロピレン等のオレフィン、塩化ビニル、フッ化ビニル
等のハロゲン化ビニル、ギ酸ビニル、酢酸ビニル等のビ
ニルエステル、ビニルケトン、マレイミド、スチレン、
メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニト
リル、メタクリロニトリル、ビニルピロリドン、ビニル
アルコール、アクリルアミド等の炭素−炭素二重結合を
有する付加重合性化合物を例示することができる。メタ
クリル酸メチルなどのメタクリル酸エステルは透析膜と
して用いられており好ましい材料であるが、ポリアルキ
レンオキサイド単位を含む単量体と共重合させたものは
ゲル化し溶媒に不溶になったり、抗血栓性が低かったり
するため、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル
以外の上述の単量体を5重量%以上混合して3元以上の
共重合体とすることが好ましい。これ以外の組み合わせ
として、中空糸が製膜できる範囲で、架橋性単量体を加
えて緩やかな架橋ポリマを得ても良い。このような架橋
性単量体としては、特に限定されるものではないが分子
内に重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個以上含
む単量体、例えば、エチレングリコールジメタクリレー
ト、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチ
レングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、
メチレンビスアクリルアミド等が好ましく用いられる。
【0027】共重合体中のポリアルキレンオキサイド単
量体の含有量は、耐汚染性を発現するために、平均10
重量%以上であることが好ましく、さらには20重量%
以上であることが好ましい。
【0028】本発明の共重合体の合成法は特に限定する
ものではなく、通常のラジカル開始剤、例えばアゾビス
イソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリ
ル、ベンゾイルパーオキサイド等を用いて溶媒中で共重
合する方法は、簡便であり、好んで用いられる。
【0029】中空糸膜は共重合体単独もしくはメタクリ
ル酸エステル重合体もしくはアクリル酸エステル重合体
などの重合体を混合して成膜することにより得られる。
中空糸膜は内側に中空部分を形成させるための液体もし
くは気体を、外側に重合体を溶媒に溶かした紡糸原液を
流すことができる多重スリットを用い、これらの液体、
気体を凝固浴に吐出する事により得られる。内側に注入
される液体としては、たとえば、該紡糸原液の溶媒およ
び水や(多価)アルコールなどの凝固剤あるいはこれら
の混合物、あるいは該共重合体やそれとの混合物の非溶
媒であるような疎水性の液体、たとえば、n−オクタ
ン、流動パラフィンなどの脂肪族炭化水素、ミリスチン
酸イソプロピルの様な脂肪酸エステルなども使用でき
る。親水性の凝固剤を使用した場合には凝固剤に親和性
の高い親水性ポリマ成分が膜内表面に移動し、凝固す
る。また、吐出糸状が空中での温度変化によってゲル化
したり、凝固によって速やかに強固な構造を形成する場
合には、自己吸引や圧入によって、窒素ガスや空気など
の不活性気体を用いることができる。このような気体注
入法は工程上からも非常に有利な方法である。温度変化
によってゲル化をおこすような原液系の場合には、乾式
部分において冷風を吹き付け、ゲル化を促進させること
ができる。中空糸の膜厚は紡糸原液の吐出量により、内
径は注入液体もしくは気体の量によりコントロールする
方法が一般的である。
【0030】凝固浴は通常、水や(多価)アルコールな
どの凝固剤、または紡糸原液を構成している溶媒との混
合物からなる。凝固浴の組成はその凝固性によって、紡
糸安定性や中空繊維の膜構造に大きく影響する。
【0031】得られた中空糸は、必要な長さに切断し、
必要本数を束ねた後、血液処理用モジュールの筒部分と
なるプラスチックケースに入れる。その後両端に仮のキ
ャップをし、中空糸両端部に樹脂を入る。このとき遠心
機でモジュールを回転させながらキャップもしくは透析
液用のポートから樹脂を入れる方法は樹脂が均一に充填
されるために好ましい方法である。樹脂が固化した後両
端を切断し、中空糸が樹脂で閉塞している部分をカッタ
ーで取り除き、ヘッダーと呼ばれる血液入り口、出口ポ
ートを取り付けて血液処理モジュールを得る。
【0032】このような、血液処理用モジュールは、高
性能および/もしくは小型の血液処理用モジュールとし
て、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、血漿分離に用
いることができる。また、家庭透析、携帯用人工腎臓、
埋め込み型人工腎臓用モジュールとしても有用である。
【0033】以下、実施例によってさらに詳しく説明す
るが、本発明はこれらの実施例により限定されるもので
はない。
【0034】
【実施例】
実施例1、比較例1 メトキシポリエチレングリコールメタクリレート“M9
00G”(エチレンオキサイド部分の平均重合度90、
重量平均分子量4060、新中村化学工業(株)製、以
下M900Gと略記)375重量部、メチルメタクリレ
ート(以下MMAと略記)375重量部、酢酸ビニル
(以下VAcと略記)3500重量部とメタノール50
重量部を溶解させた後2,2’−アゾビス−2,4−ジ
メチルバレロニトリル(以下ADVNと略記)5重量部
を加えて、窒素雰囲気下の攪拌式容器内で60℃、8時
間重合させた後、M900G375重量部、MMA37
5重量部を追加しさらに5時間の重合を行った。重合液
を冷却し、40リットルの水にポリマ分を沈殿させた。
沈殿後の含水ポリマは未反応の単量体を取り除くために
40リットルの水で洗浄し、これを8回繰り返した後に
30℃で48時間真空状態で乾燥させて、親水性成分含
有共重合体1600部を得た。
【0035】この親水性成分含有共重合体の組成は、N
MRの分析によって測定したところ、PMMA、VA
c、M900G比は38、25、37重量%であった。
【0036】共重合体10重量部と、MMA100%を
DMSO中で重合したポリスチレン換算のGPC法によ
る重量平均分子量が70万のシンジオタクチックPMM
A73重量部と重量平均分子量が60万のアイソタクチ
ックPMMA17重量部、ジメチルスルホキシド570
重量部とを混合し、110℃で8時間撹拌し紡糸原液を
調製した。
【0037】得られた紡糸原液を99℃に保温された外
径/内径=2.0/1.8mmφの環状スリット型中空
口金から、1.1g/minの割合で、空気中に吐出し
た。同時に中空内部には窒素ガスを注入した。乾式部分
の長さは60mm、凝固浴には30℃の水を用いた。水
洗後、75℃、73%のグリセリン水溶液で5%の弛緩
熱処理を行って30m/minでサンプリングした。該
中空糸膜の内径/膜厚は170/20μmであった。
【0038】得られた中空糸膜の抗血栓性を兎多血小板
血漿で評価したところポリメチルメタクリレート膜(東
レ社製BK−P膜)が約7×10-6個/cm2 以上付着
していたのに対して、7×10-4個/cm2 であった。
【0039】この中空糸膜を22cmの長さに切断し1
5768本束ねて内径35mmφ、透析液入口、出口ポ
ートを設けたポリスチレン管に入れ、両端を樹脂で固定
化し、ヘッダーを取り付け、有効長さ19cm、有効膜
面積1.6m2 の血液処理モジュールを作成した。この
モジュールL/Dは5.4、V/Sは114である。透
水性は54ml/hr・mmHg・m2 であった。得ら
れたモジュールを東レ社製モジュール(製品名、フィル
トライザーBK1.6U、以下BK1.6Uと略す)に
比較して性能評価を行った。血液流速200ml/mi
nの条件にてビーグル犬を用いて血液灌流実験を行った
ところ、モジュール入口、出口の圧力差はBK1.6U
の1.5倍であり、BK1.6Uには約1割の血液が閉
塞している残血糸があったが、本発明のモジュールは2
0本程度と少なかった。また、血液側にビタミンB12
を溶解させた生理食塩水を用い流速200ml/min
で、透析液側には流量500ml/minで血液に対し
て向流で生理食塩水を流してビタミンB12の透過性能
を調べたところクリアランスはBK1.6Uが101m
l/minであったのに対し115ml/minであっ
た。
【0040】比較例2 実施例と同じ紡糸原液を99℃に保温された外径/内径
=2.0/1.8mmφの環状スリット型中空口金か
ら、1.2g/minの割合で、空気中に吐出した。同
時に中空内部には窒素ガスを注入した。乾式部分の長さ
は60mm、凝固浴には30℃の水を用いた。水洗後、
75℃、73%のグリセリン水溶液で5%の弛緩熱処理
を行って30m/minでサンプリングした。該中空糸
膜の内径/膜厚は200/30μmであった。
【0041】この中空糸膜を22cmの長さに切断し1
3403本束ねて内径40mmφのポリスチレン管に入
れ、実施例1と同様の方法で有効長さ19cm、有効膜
面積1.6m2 の血液処理モジュールを作成した。透水
性は54ml/hr・mmHg・m2 であった。
【0042】実施例と同様にビタミンB12の透過性能
を調べたところクリアランスは100ml/minであ
り、BK−1.6Uとほぼ同じであり、この素材の中空
糸膜だけでの性能向上はなかった。
【0043】
【発明の効果】このような、血液処理用モジュールは、
高性能および/もしくは小型の血液処理用モジュールと
して、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、血漿分離に
用いることができる。また、家庭透析、携帯用人工腎
臓、埋め込み型人工腎臓用モジュールとしても有用であ
る。

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】親水性化された高分子から構成されてお
    り、かつ平均内径が50μm以上、180μm未満であ
    る中空糸膜を用いたことを特徴とする血液処理用モジュ
    ール。
  2. 【請求項2】該中空糸膜の平均膜厚が5μm以上、25
    μm未満であることを特徴とする請求項1記載の血液処
    理用モジュール。
  3. 【請求項3】中空糸の有効長(L)が20cm未満であ
    ることを特徴とする請求項1または2記載の血液処理用
    モジュール。
  4. 【請求項4】モジュール有効部分の中空糸充填率が40
    %以上、80%未満であることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれかに記載の血液処理用モジュール。
  5. 【請求項5】中空糸の有効長(L)とモジュール筒部の
    平均内径(D)の比(L/D)が0.5以上、6.5未
    満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記
    載の血液処理用モジュール。
  6. 【請求項6】モジュール容積(V)と中空糸膜有効面積
    (S)との比(V/S)が50ml/m2 以上、150
    ml/m2 未満であることを特徴とする請求項1〜6の
    いずれかに記載の血液処理用モジュール。
  7. 【請求項7】該親水性化された高分子から構成されてい
    る中空糸膜が抗血栓性膜であることを特徴とする請求項
    1〜6のいずれかに記載の血液処理用モジュール。
  8. 【請求項8】該親水性化された高分子の親水性成分が、
    ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポ
    リビニルアルコールおよびポリヒドロキシエチルメタク
    リレートから選ばれる少なくとも1つの親水性高分子か
    らなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載
    の血液処理用モジュール。
  9. 【請求項9】該親水性化された高分子の親水性成分がポ
    リアルキレンオキサイド単位と重合性炭素−炭素二重結
    合とを同一分子内に有する親水性単量体と疎水性単量体
    から合成された共重合体からなることを特徴とする請求
    項1〜8のいずれかに記載の血液処理用モジュール。
  10. 【請求項10】親水性化された高分子から構成されてお
    り、かつ中空糸膜の平均膜厚が5μm以上、25μm未
    満であることを特徴とする血液処理用モジュール。
  11. 【請求項11】該中空糸膜の平均内径が50μm以上、
    180μm未満であることを特徴とする請求項10記載
    の血液処理用モジュール。
  12. 【請求項12】中空糸の有効長(L)が20cm未満で
    あることを特徴とする請求項10または11記載の血液
    処理用モジュール。
  13. 【請求項13】モジュール有効部分の中空糸充填率が4
    0%以上、70%未満であることを特徴とする請求項1
    0〜12のいずれかに記載の血液処理用モジュール。
  14. 【請求項14】中空糸の有効長(L)とモジュール筒部
    の平均内径(D)の比(L/D)が0.5以上、6.5
    未満であることを特徴とする請求項10〜13のいずれ
    かに記載の血液処理用モジュール。
  15. 【請求項15】モジュール容積(V)と中空糸膜有効面
    積(S)との比(V/S)が50ml/m2 以上、14
    0ml/m2 未満であることを特徴とする請求項10〜
    14のいずれかに記載の血液処理用モジュール。
  16. 【請求項16】該親水性化された高分子から構成されて
    いる中空糸膜が抗血栓性膜であることを特徴とする請求
    項10〜15のいずれかに記載の血液処理用モジュー
    ル。
  17. 【請求項17】該親水性化された高分子の親水性成分
    が、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリド
    ン、ポリビニルアルコールおよびポリヒドロキシエチル
    メタクリレートから選ばれる少なくとも1つの親水性高
    分子からなることを特徴とする請求項10〜16のいず
    れかに記載の血液処理用モジュール。
  18. 【請求項18】該親水性化された高分子の親水性成分が
    ポリアルキレンオキサイド単位と重合性炭素−炭素二重
    結合とを同一分子内に有する親水性単量体と疎水性単量
    体から合成された共重合体からなることを特徴とする請
    求項10〜17のいずれかに記載の血液処理用モジュー
    ル。
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