JPH107931A - 表面処理したアルミニウム粉末、それを含有する不定形耐火物およびその成形体 - Google Patents

表面処理したアルミニウム粉末、それを含有する不定形耐火物およびその成形体

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JPH107931A
JPH107931A JP8165730A JP16573096A JPH107931A JP H107931 A JPH107931 A JP H107931A JP 8165730 A JP8165730 A JP 8165730A JP 16573096 A JP16573096 A JP 16573096A JP H107931 A JPH107931 A JP H107931A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】アルミニウム粉末の表面に耐アルカリ性被覆層
を形成させることにより、アルミニウム粉末を水系不定
形耐火物、特にキャスタブル耐火物に添加した場合に
も、施工後の養生時にその反応を抑制し得る技術を提供
することを主な目的とする。 【解決手段】1.表面にベーマイト層を形成したアルミ
ニウム粉末。 2.ベーマイト層の含有水分が粉末の全重量に対して0.
2重量%以上である上記項1記載のアルミニウム粉末。 3.ベーマイト層上に、粉末の全重量に対して0.005〜
0.5重量%の燐を含有する燐酸塩被覆層をさらに形成し
た上記項1または2に記載のアルミニウム粉末。 4.耐火物原料100重量部に対し、粒径2mm以下である上
記項1、2または3に記載のアルミニウム粉末0.5〜30
重量部を配合した不定形耐火物。 5.上記項4記載の不定形耐火物を鋳込み成形してなる
成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐火炉の内張り耐火物
添加用材料として好適なアルミニウム粉末およびアルミ
ニウム合金粉末、該粉末を含有する不定形耐火物ならび
にその成形体に関する。
【0002】なお、本明細書においては、特に必要でな
い限り、アルミニウムおよびアルミニウム合金の粉末を
単に「アルミニウム粉末」というものとする。
【0003】
【従来の技術】従来、高炉樋、樋カバー、溶銑鍋、混銑
車、混銑車受銑口、フリーボード、溶鋼取鍋、熱風炉、
均熱炉、加熱炉、電気炉、DH、RH、タンディッシュ、焼
却炉、ロータリーキルン、煙道炉などの耐火炉用耐火物
としては、定形耐火物、特に炭素含有定形耐火物が使用
されている。炭素含有定形耐火物には、強度および耐食
性の改善を目的として、耐火物配合中に金属粉末とし
て、例えばアルミニウム粉末およびアルミニウム−シリ
コン粉末、アルミニウム−マグネシウム粉末などのアル
ミニウム合金粉末が配合されていることは、既によく知
られているところである。
【0004】これらの金属粉末の配合による性能改善の
作用機構は、以下の通りであると考えられる。
【0005】1.使用中の高温雰囲気下で炭化Alの強化
組織を生成する; 2.金属粉末が高温雰囲気下で酸化されることにより、
マトリックスを緻密にする; 3.金属粉末が炭素より優先的に酸化され、炭素の酸化
防止剤として働く。
【0006】一方、耐火炉用耐火物としては、前記の定
形耐火物の他に、不定形耐火物、特にキャスタブル耐火
物も、広く使用されている。
【0007】このキャスタブル耐火物としては、一般に
粒度調整された耐火原料に対し、結合剤としてアルミナ
セメント、高アルミナセメントなどを配合したセメント
系キャスタブル材が主に使用され、またバインダーとし
て珪酸塩或いはリン酸塩を添加したものもある。このキ
ャスタブル耐火物配合物は、通常は粉末材料を施工現場
に搬入し、水を添加して混練し、搬送し、施工する。施
工後には、養生を行って施工体を硬化させた後、脱枠
し、加熱乾燥して使用される。
【0008】そこで、キャスタブル耐火物においても、
上記の炭素含有定形耐火物と同じ様にアルミニウム粉末
を併用することにより、定形耐火物の場合と同じ様な上
記1〜3の特性が得られるのではないかと考えられる。
【0009】しかしながら、現実にはキャスタブル耐火
物の場合には、このような特性は得られない。それは、
キャスタブル耐火物の場合には、ほとんど水を使用せず
にプレス成形をする定形耐火物と異なり、混練時に水を
使用するため、養生時に施工体中で耐火物組成中のセメ
ントおよび/または塩基性骨材からアルカリ性イオンが
溶出して、施工体中のpHが9以上になると、施工体が硬
化する以前に、アルミニウム粉末が激しく反応して、水
素ガスを発生するので、所期の目的を達成することはで
きないからである。
【0010】従って、例えば、特公昭59-33549号公報、
特公昭61-38154号公報などにみられるように、アルミニ
ウム粉末は、現状では水を使用するキャスタブル耐火物
の場合には、加熱乾燥時の爆裂防止剤として使用されて
いるのみである。即ち、アルミニウム粉末をキャスタブ
ル耐火物に添加すれば養生時に水素ガスを発生すること
を利用して、施工体に脱気孔を形成せしめることによ
り、加熱乾燥時の施工体中の脱水を容易にして、施工体
中の内部蒸気圧を低下させ、施工体の爆裂を防止してい
る。この場合、アルミニウム粉末の添加量は、せいぜい
0.5重量%以下に限られるので、前述の1〜3の効果は
得られない。もし、アルミニウム粉末を多量にキャスタ
ブル耐火物配合物に添加する場合には、養生中の反応が
非常に激しくなり、施工体中に比較的大きな水素ガスに
よる脱気孔が多数形成されるとともに、しばしば施工体
が膨れたり亀裂を伴うので、かえって耐火材としての性
能が低下する。しかも、添加されたアルミニウム粉末
は、水和反応により性状が変化しているため、高温雰囲
気下での期待された特性を得ることができない。
【0011】このようなことから、不定形耐火物に多量
のアルミニウム粉末を添加することができるのは、特開
平6-305843号公報に開示されている様に、水を使用しな
いで樹脂を使用した非水系不定形耐火物に限られてい
た。すなわち、汎用の水系キャスタブル耐火物に多量の
アルミニウム粉末を添加するには、含水状態での高アル
カリ雰囲気下における水和反応の抑制を行うために、ア
ルミニウム粉末を改質することが必須である。
【0012】そこで、粉末表面の被覆を行うことによ
り、アルミニウム粉末の水和反応を抑制するために、種
々の提案がなされている。例えば、特開昭60-226461号
公報は、メチル水素ポリシロキサンを添加する方法を開
示している。しかしながら、単にメチル水素ポリシロキ
サンを添加するだけでアルミニウム粉末の表面と強固な
結合を形成する訳でもなく、ある程度の耐食性改善効果
は認められるものの、アルミナセメント含有組成物など
の強いアルカリ雰囲気では、改善の程度は、不十分であ
る。
【0013】特開昭61-141676号公報記載の発明では、
油性塗料、繊維素誘導体塗料、合成樹脂塗料などでアル
ミニウム粉末をコーティングする方法が試みられてい
る。あるいは、特開昭58-190876号公報には、炭素粒子
とアルミニウム粉末をフェノール樹脂などの熱硬化性合
成樹脂で被覆し、保護する方法が開示されている。特開
昭60-86080号公報には、アルミニウム粉末をタールピッ
チなどで被覆し、保護する方法が開示されており、特開
平5-43336号公報には、アルミニウム粉末をポリエチレ
ンワックスなどで被覆し、保護する方法が開示されてい
る。
【0014】しかしながら、これらの有機質コーティン
グ被膜は、凝集しない状態で金属粉末粒子を均一にかつ
完全に被覆することは実際には非常に難しく、特開昭58
-190876号公報記載の方法の様に、ニーダーミキサー中
などでの撹拌造粒という形態をとったとしてても、均一
性に欠ける。また、この不均一性をカバーする意味で、
有機質材料のコーティング被膜の場合、コーティング量
を多くせざるを得ない。
【0015】例えば、特開昭58-190876号公報では、被
覆される粒子粉末100重量部に対し、40重量部のコーテ
ィング量が必要としているし、特開昭61-141676号公報
では、0.5〜15重量部、好ましくは6重量部以上のコーテ
ィング量を必要としている。
【0016】この様に、過剰な有機質被膜を存在させる
場合には、耐火物が実際に使用される1000℃前後の高温
領域では、有機質が分解されたガス成分或いは酸化分解
されたガス成分を生じ、かえって耐火物の強度低下を招
く場合がある。また、多量のコーティング材の適用は、
純粋な金属粉末の添加量の相対的低下となり、金属粉末
添加の本来の目的である酸化防止、炭化Alの強化組織生
成などが達成し難くなる。無理に目的を達成しようとす
ると、採算性を無視して添加量を増やすことになるが、
コーティングが不完全であるために、いっそう膨れ、亀
裂などの弊害が大きくなる。
【0017】以上のことから、キャスタブル中のアルミ
ニウム粉末の表面に被覆を行って、高アルカリ雰囲気下
での水和反応を抑制するには、以下の条件をクリアーす
る必要がある: (1) キャスタブル中の水和反応を抑制するだけの表面
被覆が、アルミニウム粉末に十分になされていること、
(2) (1)に示す表面被覆の強度が十分であり、粉末耐火
物の搬入あるいは混練時に剥がれないだけの強度がある
こと、(3) 表面被覆した粉末が撥水性を帯びてしま
い、キャスタブル耐火物の混練時に著しく作業性を劣化
させないこと、(4) 表面被覆した粉末が耐火物の乾燥
時あるいは使用時に耐火物の組織を劣化させないこと、
(5) 表面被覆剤が、アルミニウムの特性を下げないこ
と、(6) 表面被覆が比較的安価に行えて、耐火物の添
加剤として有効であること。
【0018】しかしながら、これまではアルミニウムは
粉末であるが故に、粉末表面全体に耐アルカリ性被覆を
施すことは難しく、上記(1)の条件さえも、満足される
には至っていなかった。
【0019】セメントを含有する流し込み耐火物あるい
は塩基性流し込み耐火物では、混練水中にセメントおよ
び/または塩基性骨材が溶出して、アルカリ性水溶液と
なる。かかる環境では、アルミニウム粉末は、下記の反
応を示す。
【0020】 Al+3OH-+3H2O→Al(OH)6 3-+3/2H2 ・・・(1) 即ち、1gのAlが完全に反応した場合には、約1.4リット
ルの水素ガスが発生することになる。
【0021】実際にはアルカリ環境下でも、Alは最終的
に不動態化するので、添加したアルミニウム粉末が全部
反応してしまうことはないが、(1)式は、アルミニウ
ム粉末のごく一部が反応しても、施工体に水素ガス発生
に起因する深刻な膨れ、亀裂などを生じることを示して
いる。
【0022】このような金属粉末とアルカリ性水溶液の
反応を抑制する手段として、一般的には下記の様なこと
が考えられる。
【0023】(1) 環境条件の制御 即ち、流し込み耐火物の場合には、耐火物組成の検討に
より、水素イオン濃度(pH)を制御する。
【0024】(2) 金属粉末材料の選択 合金化により粉末表面を不動化することなどが考えられ
る。
【0025】(3) 表面処理 環境から遮断するために、金属粉末表面を耐食性物質で
おおってしまう。
【0026】(4) 電気化学的防食 外部電源もしくは目的とする金属より卑な金属との接続
により、不動態域と呼ばれる安定域へ移行させる。
【0027】しかしながら、上記(1)は、耐火物組成の
変更により、作業性、耐火物の物性などバランスが崩れ
るという難しさがある。
【0028】また(4)は、耐火物中へ添加された金属粉
末の防食を考える場合には、実施不可能である。
【0029】従って、(2)、(3)による保護が有効な手段
として考え得る。
【0030】実際に、前述の如く従来の金属粉末の耐食
性改良の試みは、(3)の表面処理の手段を中心に検討が
なされている。この場合、金属粉末の表面処理の手法と
しては、主に無機質の化成皮膜による方法、有機質主体
のコーティング皮膜による方法および添加剤による方法
に大別される。
【0031】前述の如く、従来技術が採用している有機
質主体のコーティングによる手法は、皮膜の均一性に欠
けるので、どうしても厚膜にならざるを得ないという欠
点を有しており、また添加剤による方法で改善に限界が
ある。
【0032】本発明者は、アルミニウム粉末とアルカリ
性水溶液の反応を抑制する検討を行い、この相反した問
題を解決するには無機質の化学皮膜が最適であるとの知
見を得た。
【0033】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アルミニウ
ム粉末の表面に何らかの耐アルカリ性被覆層を形成させ
ることにより、アルミニウム粉末を水系不定形耐火物、
特にキャスタブル耐火物に添加した場合にも、施工後の
養生時にその反応を抑制し得る技術を提供することを主
な目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】本発明者は、アルミニウ
ム粉末とアルカリ性水溶液との反応を抑制しつつ、しか
もアルミニウムによる耐火物の強度および耐食性の改善
という本来の効果を達成するという相反する課題を解決
すべく研究を重ねた結果、その目的を達成することに成
功した。
【0035】即ち、本発明は、下記の不定形耐火物用ア
ルミニウム粉末、それを含有する不定形耐火物およびそ
の成形体を提供する。
【0036】1.表面にベーマイト層を形成したアルミ
ニウム粉末。
【0037】2.ベーマイト層の含有水分が粉末の全重
量に対して0.2重量%以上である上記項1記載のアルミ
ニウム粉末。
【0038】3.ベーマイト層上に、粉末の全重量に対
して0.005〜0.5重量%の燐を含有する燐酸塩被覆層をさ
らに形成した上記項1または2に記載のアルミニウム粉
末。
【0039】4.耐火物原料100重量部に対し、粒径2mm
以下である請求項1、2または3に記載のアルミニウム
粉末0.5〜30重量部を配合した不定形耐火物。
【0040】5.上記項4記載の不定形耐火物を鋳込み
成形してなる成形体。
【0041】
【発明の実施の形態】本発明において、ベーマイト皮膜
層を形成したアルミニウム粉末の含有水分は、粉末の全
重量の0.2重量%(以下単に「%」とする)以上である
ことが好ましい。
【0042】ベーマイト皮膜とは、80℃以上の高温の純
水中でアルミニウムを水和処理して得られる皮膜であ
り、Al2O3・H2Oという組成を有する。
【0043】ベーマイト処理皮膜は、一般的に耐食性を
有することはよく知られているが、アルミニウム粉末に
これを適用した例はない。
【0044】なお、アルミニウム粉末を80℃以下の温度
で加温した場合にも、ベーマイト処理皮膜に類似した皮
膜が生成する。この場合の皮膜の組成は、Al2O3・H2O〜
Al2O3・3H2Oで表される1水和物〜3水和物であると推
測される。
【0045】本発明者は、種々研究を重ねた結果、アル
ミニウム粉末を脱イオン水中において40〜100℃で10分
間以上加温することにより、ベーマイトあるいはベーマ
イト類似の皮膜が生成すること、この皮膜は、アルミニ
ウム粉末に対し、キャスタブル耐火物中でも充分使用可
能な高度の耐アルカリ性を付与することを見出した。従
って、本発明において、「ベーマイト層」或いは「ベー
マイト皮膜層」とは、上記のベーマイトおよびベーマイ
ト類似の組成を有する皮膜層を意味する。
【0046】本発明でベーマイト処理に用いるアルミニ
ウム粉末としては、アルミニウムおよびその合金の粉末
が挙げられる。アルミニウムの純度は、特に限定される
ものではなく、通常99%程度以上のものが使用される
が、これ以下の純度のものでも差し支えない。アルミニ
ウム合金としては、成分的に特に限定されるものではな
いが、通常50%までのシリコンを含むアルミニウム−シ
リコン合金、50%までのマグネシウムを含むアルミニウ
ム−マグネシウム合金、50%までのマンガンを含むアル
ミニウム−マンガン合金、シリコン、マグネシウムおよ
びマンガンの2種以上を合計50%まで含むアルミニウム
合金などの粉末が、素材自身としても耐アルカリ性に優
れているので、特に好適である。上記の合金成分を50%
以上としても、カーボンの酸化防止効果の一層の改善は
認められず、また製造コストの面から、あまり意味が無
い。
【0047】これらのアルミニウム粉末は、不定形耐火
物に対して要求される性能に応じて、適宜単独でまたは
混合して、使用することができる。
【0048】これらアルミニウム粉末中の不純物あるい
は合金添加元素は、公知のプラズマ誘導発光分光分析法
により、測定することができる。
【0049】アルミニウム粉末の形状としては、粒状粉
またはフレーク状粉を使用することができる。その粒度
は、通常2mm以下であり、より好ましくは3μm〜0.5mm
程度である。
【0050】アルミニウム粉末の粒度が2mmを上回る場
合には、不定形耐火物中にアルミニウム粉末を微細かつ
均一に分散させることが困難となり、耐火物の耐酸化性
および強度の向上という目的を十分に達成することが難
しい。これに対し、粒度が3μm未満の場合には、粉塵に
よる作業時の危険性があり、また原料粉末製造時の経済
性からみても、不適当である。
【0051】ベーマイト処理を施したアルミニウム粉末
は、当然のことながら、処理前の粉末に比して、含有水
分量が増加する。
【0052】本発明者の研究によれば、通常アルミニウ
ム粉末は、0.02%程度の水分を含むが、ベーマイト処理
後の含有水分が、粉末全重量の0.2%以上であれば、耐
火物組成からのアルカリ水溶液に対して反応抑制効果が
認められ、この処理粉末を添加した耐火物においても、
含有炭素の酸化防止、耐火物の強度改善などの効果が認
められる。
【0053】ベーマイト処理時間を延長すれば、粉末の
水分含有量もそれに応じて増大するものの、水分含有量
が10%を越えると、処理時間を延長しても、水分含有量
は、それ以上あまり増大しない。
【0054】従って、本発明においては、アルミニウム
粉末のベーマイト層皮膜の含有水分を好ましくは粉末全
重量の0.2〜12%程度とする。
【0055】ベーマイト皮膜中の含有水分は、前述の如
く、Al2O3・H2O〜Al2O3・3H2Oという結晶水の形態で存
在しており、単に添加されたあるいは雰囲気中から取り
入れた吸着水とは、明確に区別することができる。
【0056】なお、本明細書でいう「含有水分」は、50
0℃の雰囲気で気化された水分を三菱化学工業株式会社
製の“カールフィッシャー滴定方式測定機 CA-05型”で
測定した。
【0057】ベーマイト処理において、処理を進めるに
従って、アルミニウム粉末表面に羽毛状の含水結晶組織
が次第に発達し、最終的には0.1〜1μm程度の緻密で微
細な含水結晶組織が一面に形成される。
【0058】ベーマイト処理用の水としては、通常脱イ
オン水を用いる。
【0059】ベーマイト処理に際しては、前述の様に、
アルミニウム粉末を40〜100℃で10分間以上処理するこ
とにより、その表面に皮膜が生成し、アルカリ溶液との
水和反応も抑制される。
【0060】処理温度は、50〜95℃の範囲とすることが
好ましい。温度が低すぎる場合には、皮膜の形成に長時
間を要するので、実用性に欠けるのに対し、温度が高す
ぎる場合には、水素ガスの発生反応が急速に進行するの
で、安全管理上の問題がある。 処理時間は、10分間〜
10時間の範囲とすればよい。5分間程度の短時間でもベ
ーマイト皮膜の生成が認められるが、生成皮膜は、緻密
或いは均一ではなく、防食皮膜としての効果は薄い。処
理時間が30分程度までの範囲では、処理時間とともに防
食性能は飛躍的に増大するが、それ以上の処理時間に対
しては防食性能の伸びは比較的緩やかである。従って、
処理時間は、10分間〜10時間程度の範囲内で、経済性、
作業性、要求される防食性能などの兼ね合いで決定され
る。
【0061】不定形耐火物に用いるアルミニウム粉末を
燐酸塩を含む溶液で処理すれば、耐アルカリ性効果があ
ることは、すでに知られているが、リン酸塩単独ではそ
の処理効果は充分でない。本発明者は、ベーマイト処理
を施したアルミニウム粉末の表面にさらに燐酸塩溶液処
理による被覆を生成させることにより、2つの処理層に
よる相乗的効果が得られることをも、見出した。
【0062】燐酸塩としては、燐酸のアルカリ金属塩、
アルカリ土類金属塩などが挙げられ、より好ましくもの
は、NH4H2PO4および(NH4)2HPO4である。
【0063】燐酸塩処理を行う場合には、燐酸塩処理皮
膜層中の燐の含有量は、粉末全重量の0.005〜0.5%程度
である。燐酸塩処理被覆中の燐の量が0.005%未満では
処理による効果の改善が認められないのに対し、0.5%
を超える場合には、燐酸塩処理中にアルミニウム粒子の
腐食が急速に進んで、不定形耐火物の耐食性および強度
を低下させる。
【0064】なお、本明細書でいう粉末の「燐含有量」
は、プラズマ誘導発光分光分析法により測定した。
【0065】本発明による表面処理を行ったアルミニウ
ム粉末は、耐火物原料100重量部に対し、0.5〜30重量部
程度添加することが好ましい。この添加量が少なすぎる
場合には、耐火物の耐酸化性および強度の向上という効
果が十分に発揮されないのに対し、過剰となる場合に
は、鋳込み不能となる。
【0066】本発明において使用する耐火物原料として
は、(1)酸化物を含む原料として、珪石、珪砂、電融
シリカ、含水無定形シリカ、無水無定形シリカなどのシ
リカ質;ムライト、ボーキサイト、バン土頁岩、シリマ
ナイト、カイヤナイト、焼結アルミナ、電融アルミナ、
仮焼アルミナなどのアルミナ質;ロー石、シャモット、
陶石、粘土、カオリン、ベントナイトなどのアルミナ−
シリカ質;ジルコン、ジルコニアなどのジルコニア質;
電融マグネシア、海水マグネシア、合成マグネシア、天
然マグネシア、アルミナ−マグネシアスピネル、酸化カ
ルシウムなどの塩基性質;スピネル、酸化クロム、クロ
ム鉄鉱などのクロム質など、(2)炭化物として、炭化
珪素、炭化アルミニウム、炭化ジルコニウムなど、
(3)窒化物として、窒化ジルコニウム、窒化珪素、窒
化珪素鉄、窒化硼素、窒化アルミニウムなど、(4)カ
ーボンを含む原料として、コークス、鱗状黒鉛、鱗片状
黒鉛、土状黒鉛などの天然黒鉛、人造黒鉛、仮焼無煙
炭、ピッチ粉、カーボンブラック、石炭粉、カーボンレ
ンガおよび電極屑などの炭素質;(5)その他として、
炭化硼素などの硼化物;珪素、フェロシリコンなどの珪
化物;アルミナセメントなどの公知のバインダーなどの
全ての耐火原料からなる群より選択することができ、必
要に応じて、これらの1種を単独で使用し或いは2種以
上を併用することができる。
【0067】本発明による不定形耐火物においては、バ
インダーの配合量は、通常耐火物材料の合計100重量部
中の0〜30部程度である。
【0068】本発明の不定形耐火物を流し込み材として
使用する場合には、通常の流し込み材に使用する分散剤
を使用することができる。この様な分散剤としては、特
に限定されるものではないが、アルカリ金属リン酸塩、
アルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属フミン酸塩、
ポリカルボン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリ
ウム、芳香族スルホン酸ナトリウム、アルカリ金属珪酸
塩、アルカリ金属炭酸塩、リグニンスルホン酸ナトリウ
ム、無水マレイン−イソブチレン共重合物のナトリウム
塩およびアンモニウム塩などが例示される。これらの分
散剤は、1種または2種以上を選択して使用できる。こ
れら分散剤の使用量は、慣用の使用範囲であり、例え
ば、耐火物原料重量を基準として、0.005〜1重量部程度
である。
【0069】本発明の不定形耐火物は、更にこの種の不
定形耐火物の添加物として公知の各種金属ファイバー、
その他の無機ファイバー類(例えば、炭素繊維、SiC繊
維)などを併用しても良い。さらに、その他にガラス
粉、金属粉、金属粒などの酸化防止剤、通常モルタルの
添加物として既に知られている増粘剤、作業性付与剤な
ど、例えばCMCやMCなどを添加しても良い。また、凝結
調整剤、消泡剤などを添加しても良い。
【0070】さらに、本発明の不定形耐火物には、必要
可縮量に応じて、動物性天然繊維、植物性天然繊維、ビ
スコースなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊
維、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリウリタン系、
ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリ
デン系、ポリフロールエチレン系、ポリアクリル系、PV
A系などの合成繊維などの熱間で消失する有機繊維を添
加することもできる。これらの有機繊維の配合量は、耐
火物原料重量を基準として、0.001〜1重量部程度であ
る。
【0071】本発明による表面処理したアルミニウム粉
末は、不定形耐火物への添加物として以外にも、多くの
分野で有用な材料である。表面に化学的に不活性なベー
マイト層を有しているので、樹脂合成用の反応速度を調
整された触媒用原料として使用できる。また、電気絶縁
性を有しているので、電気粘性流体、すなわち、電場を
かけたときに固形化する様な組成でのクラッチ用配合金
属粉として使用できる。さらに、熱伝導性を保持し、か
つ電気絶縁性を有しているので、これを樹脂に練り込む
ことにより、電池外層用材料として利用することもでき
る。
【0072】
【作用・効果】本発明によれば、表面に無機質の緻密な
ベーマイト層薄膜を有するアルミニウム粉末を不定形耐
火物へ添加するので、耐火物の養生中のアルカリ成分に
よるガス発生が抑止されるのみならず、乾燥・焼成時の
高温においても、有機質のコーティング皮膜とは違っ
て、耐火物の亀裂などの不具合は生じない。
【0073】また、アルミニウム粉末は、均一な薄膜に
よる被覆層を有しているので、粒子の凝集を生じること
はない。
【0074】その結果、含炭素不定形耐火物にこの処理
粉末を添加することにより、炭素の酸化防止剤としての
顕著な効果および強化組織の生成という効果が得られ
る。
【0075】
【実施例】以下に本発明による製造参考例1で得られた
アルミニウム粉末の製造条件と結果とを表1および表2
に示し、比較参考例1で得られたアルミニウム粉末の製
造条件と結果を表3に示す。
【0076】アルミニウム粉末中の不純物あるいは合金
添加元素は、プラズマ誘導発光分析法により測定した。
【0077】製造参考例1 サンプルA:1リットルビーカー中に脱イオン水500gを
採取し、これにアルミニウム粉末A(商標AC-1003 東洋
アルミニウム株式会社製;純度99.3%以上、粒度150μ
m未満)100gを投入し、90℃で4時間撹拌しつつ保持し
て、ベーマイト処理した。処理後の液を真空吸引濾過し
た後、得られた湿潤状態のアルミニウム粉末をイソプロ
ピルアルコール100gで洗浄し、乾燥状態になるまで真空
吸引濾過した。このようにして得られた粉末表面を走査
電子顕微鏡で観察すると、0.1〜1μm程度の緻密で微細
な含水結晶組織が全面に形成されていた。また、この粉
末をFT-IRで観察すると、3400cm-1に-OH基に由来する吸
収が、800〜600cm-1にAlO6−八面体の骨格振動が、1080
cm-1にAlO-H変角振動がそれぞれ認められ、ベーマイト
皮膜の典型的吸収パターンが得られた。
【0078】サンプルB:アルミニウム粉末Aに代えて
アルミニウム粉末B(Al-30Si合金粉末 東洋アルミニウ
ム株式会社製;粒度350μm未満)を用いる以外はサン
プルAの製造と同様にして、ベーマイト処理粉末を得
た。
【0079】サンプルC:アルミニウム粉末B100gを1
リットルビーカーに採取し、サンプルBと同様にベーマ
イト処理した後、燐酸水素2アンモニウム10gを250gの
脱イオン水に溶解した溶液を入れ、25℃で3時間処理し
た後、真空吸引濾過し、得られた湿潤状態の粉末をイソ
プロピルアルコール30gで洗浄した。洗浄した粉末を真
空吸引濾過した後、100℃で乾燥することにより、ベー
マイト処理と燐酸塩処理とを施したアルミニウム粉末を
得た。
【0080】サンプルD:アルミニウム粉末B100gを用
いて、処理温度を60℃、処理時間を8時間とする以外は
サンプルBの製造と同様にして、ベーマイト処理アルミ
ニウム粉末を得た。
【0081】サンプルE:アルミニウム粉末B100gを用
いて、処理温度を80℃、処理時間を1時間とする以外は
サンプルBの製造と同様にしてベーマイト処理アルミニ
ウム粉末を得た後、サンプルCの製造と同様にして燐酸
塩で2次処理をした。
【0082】サンプルF:アルミニウム粉末B100gを用
いて、処理温度を100℃、処理時間を3時間とする以外
はサンプルBの製造と同様にしてベーマイト処理アルミ
ニウム粉末を得た後、サンプルCの製造と同様にして燐
酸塩で2次処理をした。
【0083】サンプルG:アルミニウム粉末B100gを用
いて、燐酸塩処理に使用する脱イオン水を500g、燐酸水
素2アンモニウムを5g、イソプロピルアルコールを50g
とする以外はサンプルCの製造と同様にしてベーマイト
処理と燐酸塩処理とを施したアルミニウム粉末を得た。
【0084】サンプルH:アルミニウム粉末B100gを用
いて、燐酸塩処理に使用する脱イオン水を250g、燐酸水
素2アンモニウムを20g、処理温度30℃で処理時間を4
時間とする以外はサンプルCの製造と同様にしてベーマ
イト処理と燐酸塩処理とを施したアルミニウム粉末を得
た。
【0085】サンプルI:アルミニウム粉末B100gを用
いて、燐酸塩処理に使用する燐酸水素2アンモニウムを
0.1gとし、処理時間を30分間とする以外はサンプルCの
製造と同様にしてベーマイト処理と燐酸塩処理とを施し
たアルミニウム粉末を得た。
【0086】サンプルJ:アルミニウム粉末B100gを用
いて、ベーマイト処理の処理時間を4時間とする以外は
サンプルFの製造と同様にしてベーマイト処理と燐酸塩
処理とを施したアルミニウム粉末を得た。
【0087】サンプルK:アルミニウム粉末B100gを用
いて、ベーマイト処理の処理時間を15分間と短くする以
外は製造参考例1のサンプルBと同様に処理して、ベー
マイト処理粉末を得た。
【0088】サンプルL:アルミニウム粉末A100gを1
リットルビーカーに採取し、製造参考例1のサンプルA
と同様にしてベーマイト処理し、次いで燐酸2水素アン
モニウム10gを250gの脱イオン水に溶解した溶液に入
れ、25℃で3時間処理した後、真空吸引濾過し、得られ
た湿潤状態の粉末をイソプロピルアルコール30gで洗浄
した。次いで、洗浄した粉末を真空吸引濾過した後、10
0℃で乾燥することにより、ベーマイト処理と燐酸塩処
理とを施したアルミニウム粉末を得た。
【0089】比較参考例1 サンプルM:無処理のアルミニウム粉末A サンプルN:無処理のアルミニウム粉末B サンプルO:アルミニウム粉末B100gを用いて、ベーマ
イト処理の時間を5分間と短くする以外は製造参考例1
のサンプルAと同様に処理して、ベーマイト処理を施し
た粉末を得た。
【0090】サンプルP:アルミニウム粉末B100gを用
いて、処理温度を25℃、処理時間を15時間とする以外は
製造参考例1のサンプルAと同様に処理して、ベーマイ
ト処理を施した粉末を得た。
【0091】サンプルQ:アルミニウム粉末A100gに対
し、ノボラック型フェノール樹脂100gを使用して、噴霧
乾燥法により樹脂を被覆した粉末を得た。
【0092】サンプルR:アルミニウム粉末B100gを用
いて、燐酸水素2アンモニウムを40gとする以外は製造
参考例1のサンプルHと同様に処理して、ベーマイト処
理と燐酸塩処理した粉末を得た。
【0093】サンプルS:2mmを超えるアルミニウム粒
(純度99.3%)を用いる以外は製造参考例1のサンプル
Aと同様に処理して、ベーマイト処理アルミニウム粒を
得た。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】
【表3】
【0097】表1〜3における配合成分量を示す数値の
単位は、全て「g」である。
【0098】実施例1〜14および比較例1〜10 製造参考例1で得られた本発明によるアルミニウム粉末
を使用するキャスタブル耐火物の組成および特性を表
4、5および6に示し、比較参考例1で得られたアルミ
ニウム粉末を使用するキャスタブル耐火物の組成および
特性を表7および8に示す。
【0099】アルミニウム粉末の耐アルカリ性を調べる
ために、アルミナセメントをバインダーとするキャスタ
ブル耐火物配合物について、耐火物原料を最密充填が得
られるように、粒度を3mmを超える粗粒、3〜1mmの中粒
および1mm未満の微粒に調整し、それぞれのキャスタブ
ル耐火物配合物に水を添加して混練した。
【0100】本願発明の不定形耐火物のテストは、以下
の方法により行った。
【0101】*テスト1:φ50mm×100mmの形状に振動
鋳込みを行い、20℃の恒温室にて保持し、デシケーター
およびメスシリンダーを用いて、72時間後までに発生し
た水素ガス発生蓄積量を水上置換により測定した。反応
速度が速くて72時間以前に反応が終了し、平衡状態に至
ったものは、平衡に達した時間とその時点での水素ガス
発生蓄積量を示す。
【0102】*テスト2:テスト1と同一の添加水分で
混練後、φ50mm×100mmの金枠に振動鋳込みを行い、20
℃の恒温室にて24時間養生を行って、硬化後の膨れおよ
び亀裂の状態を観察した。膨れ部分の高さを測定し、鋳
込み直後の高さに対し、vol%で表示する。
【0103】*テスト3:テスト1と同一の添加水分で
混練後、混練物のフロー値をJISR2512に準じて測定し
た。この値が140〜150mmであれば、JISR2553で示される
標準軟度状態であり、充分鋳込み可能な状態であること
を示す。
【0104】ここで、添加水分と流動性が施工時の作業
性の目安となり、見掛気孔率が施工体の緻密さの目安に
なる。
【0105】*乾燥体サンプル:混練後、40mm×40mm×
160mmの大きさに振動鋳込みを行い、20℃の恒温室にて2
4時間養生を行い、脱枠し、110℃で24時間の乾燥を行っ
て作成した。
【0106】また、耐酸化性は、乾燥体サンプルと同様
にしてφ50mm×100mmのサンプルを作成し、1000℃で3
時間焼成後にサンプル中央部を切断し、脱炭した層の厚
さ(mm)を測定した。この値が小さい程、耐酸化性が良
好であることを示す。
【0107】なお、実施例および比較例における物性値
は、次の方法で測定した。
【0108】 かさ比重、見掛気孔率・・・・JIS R2205-74 圧縮強さ ・・・・JIS R2206-77 曲げ強さ ・・・・JIS R2213-78 また、アルミニウム粉末は、純アルミニウム換算で配合
した。
【0109】
【表4】
【0110】
【表5】
【0111】
【表6】
【0112】
【表7】
【0113】
【表8】
【0114】実施例1〜8は、本発明によるアルミニウ
ム粉末サンプルA〜Hを10重量部添加した場合の結果を
示す。また、実施例9〜14は、本発明によるアルミニ
ウム粉末サンプルC、I、J、KまたはLを表4に示す
割合で添加した場合の結果を示す。
【0115】テスト1〜3の結果をみると、水素ガス発
生による膨れはほとんどなく、添加時の作業性も低下し
なかった。
【0116】得られた施工体は、乾燥後の気孔率の低下
もなく、緻密な組織を有しており、焼成後には強度の著
しい向上が確認された。また、耐酸化性も良好であっ
た。
【0117】これに対し、比較例1〜6では、アルミニ
ウム粉末の表面処理が十分でないため、鋳込み養生時に
施工体からガスが多量に発生し、それに伴い施工体に膨
れが生じた。また、得られた施工体では、乾燥後の気孔
率が増大し、焼成後も強度が向上しなかった。耐酸化性
も不良であった。
【0118】比較例7では、アルミニウム粉末を用いな
かったため、乾燥後の施工体はそれほど気孔率は増加し
ていないが、焼成後の強度は向上せず、耐酸化性も不良
であった。
【0119】比較例8は、アルミニウム粉末の粒度が粗
く比表面積が小さすぎるため、所望の添加効果、すなわ
ち耐酸化性および強度の向上がなく、アルミニウム粉末
を添加しない比較例7と大差がない。
【0120】比較例9は、アルミニウム粉末の添加量が
0.4重量部と少ないため、比較例8と同様に十分な効果
が得られなかった。
【0121】比較例10は、アルミニウム粉末の添加量
が多すぎて粒度構成が劣化したためと推測されるが、鋳
込み不能の状態となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 合田 広治 福岡県北九州市八幡西区東浜町1番1号 黒崎窯業株式会社技術研究所内 (72)発明者 新居崎 徹 大阪府大阪市中央区久太郎町三丁目6番8 号 東洋アルミニウム株式会社内 (72)発明者 安部 正明 大阪府大阪市中央区久太郎町三丁目6番8 号 東洋アルミニウム株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面にベーマイト層を形成したアルミニウ
    ム粉末。
  2. 【請求項2】ベーマイト層の含有水分が粉末の全重量に
    対して0.2重量%以上である請求項1記載のアルミニウ
    ム粉末。
  3. 【請求項3】ベーマイト層上に、粉末の全重量に対して
    0.005〜0.5重量%の燐を含有する燐酸塩被覆層をさらに
    形成した請求項1または2に記載のアルミニウム粉末。
  4. 【請求項4】耐火物原料100重量部に対し、粒径2mm以下
    である請求項1、2または3に記載のアルミニウム粉末
    0.5〜30重量部を配合した不定形耐火物。
  5. 【請求項5】請求項4記載の不定形耐火物を鋳込み成形
    してなる成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007064899A (ja) * 2005-09-02 2007-03-15 Hitachi Zosen Corp 使用済核燃料容器の処理方法
JP2014073603A (ja) * 2012-10-03 2014-04-24 Hitachi Zosen Corp 耐火物の製造方法および耐火物
JP2019142727A (ja) * 2018-02-16 2019-08-29 品川リフラクトリーズ株式会社 高炉樋用キャスタブル耐火物

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