JPH1077422A - インクジェット記録材用樹脂組成物 - Google Patents

インクジェット記録材用樹脂組成物

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JPH1077422A
JPH1077422A JP8231730A JP23173096A JPH1077422A JP H1077422 A JPH1077422 A JP H1077422A JP 8231730 A JP8231730 A JP 8231730A JP 23173096 A JP23173096 A JP 23173096A JP H1077422 A JPH1077422 A JP H1077422A
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JP
Japan
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resin
polyalkylene oxide
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resin composition
ink
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Application number
JP8231730A
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English (en)
Inventor
Manabu Osada
学 長田
Shinichi Takemori
信一 竹森
Takahiro Imai
貴宏 今井
Hiroshi Miyamoto
洋志 宮本
Masaya Matsuda
賢哉 松田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特にインクの吸収速度が速く、しかも耐湿熱
性、耐水性、透明性に優れたインクジェット記録材を提
供すること。 【解決手段】 特定の架橋ポリアルキレンオキシド樹脂
とカチオン性重合体とを含有してなるインクジェット記
録材用樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性インクを用い
たインクジェット記録に用いられる記録材用樹脂組成物
に関する。さらに詳しくは、本発明は、インクの吸収能
力に優れ、記録画像が鮮明でかつ耐湿熱性、耐水性に優
れると共に、インク定着層の透明性に優れたインクジェ
ット記録材用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット方式プリンター記録形態
は、高速、低騒音、印刷コストが安い、機構が簡単で小
型軽量、マルチカラー化が容易、画像の大型化が容易、
現像定着が不要、記録パターンの融通性が大きい等、多
くの特徴を持ち、文字だけではなく画像の処理をも含ん
だハードコピーを得る方法として広く普及している。
【0003】一方、OHPシートやPOPシートの利用
が広がる中で、プリンターとしてOHPシートやPOP
シートにも印刷可能なものが必要になってきている。ま
た、インクジェット方式プリンターが広く普及するに従
って、多くの種類のプリンター用インクが上市されてお
り、マルチカラー化もインクの種類の増加に拍車をかけ
る結果となっている。
【0004】これらのOHPシートやPOPシートに要
求される品質としては、(1)各種インクのシートへの
定着が速やかで、かつ良好であり、印刷後インクの液だ
れなどが起こらないこと、(2)インク濃度が高く、発
色性に優れていること、(3)インク液滴がシート上で
必要以上に拡散せず、ドットの径が必要以上に大きくな
らないこと、(4)インク画像の耐湿熱性、耐水性に優
れていること、(5)OHPシートにおいてはインク定
着層の透明性に優れていること、(6)キズや指紋の跡
が付きにくいこと、等が挙げられ、これらの要求を満た
すため、各種の水性インクが開発され、また、これらの
インクに適した記録用シートが提案されている。
【0005】しかしながら、これらすべての項目を満足
する記録材はなく、特に、水性インクを使用した場合、
記録画像の耐水性に欠け、水がかかったり、また、高湿
下で保存するだけでもにじみが生じる欠点がある。例え
ば、特開昭60−171143号公報および特開昭59
−207277号公報には、水性インクを対象とした、
基材上にイオン性親水基を有する水溶性高分子または水
可溶性物質と多価アルコール可溶性物質を含有させてな
るインク吸収層を設けた記録材が開示されているが、耐
水性については十分なものではない。特開昭56−58
869号公報には、耐水性の改善方法として水溶性高分
子を塗布した記録シートにインクジェット記録後、該水
溶性高分子を不溶化する方法等が開示されているが、実
用に耐えられるものではない。一方、架橋ポリアルキレ
ンオキシド樹脂を一成分として含む優れたインクジェッ
ト記録材用樹脂組成物や記録シートが見出されている
(特願平7−151459号、特開平8−67064
号)。しかしながら、インクの多様化と相まって、さら
にインクの吸収速度が速く、耐湿熱性、耐水性の高いも
のの開発が望まれている。
【0006】また、OHPシート等においては、この他
にインク定着層の透明性が重要な課題である。さらに、
インクジェット用の記録材料の製造方法については、現
在、主としてプラスチックシートにインク定着層をコー
ティングする方法が採用されているが、この場合、コー
ティング液の透明性、貯蔵安定性が良好なものが望まれ
ている。
【0007】本発明者らは、これらの課題を解決するも
のとして、すでに、架橋ポリアルキレンオキシド樹脂お
よび親水性樹脂を含むインクジェット記録材用樹脂組成
物を見出した(特願平7−342624号)。しかしな
がら、このものは、耐湿熱性、耐水性、インク定着層の
透明性の点で未だ改良の余地がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の諸課
題を解決するためになされたものであり、溶剤に溶解し
たのち、コーティングすることによりインクの定着速度
が速く、耐湿熱性、耐水性に優れると共に、インク定着
層の透明性に優れたインクジェット記録に最適な記録材
用樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記したイ
ンクジェット用記録材料における課題を解決することを
目的として鋭意研究した結果、架橋ポリアルキレンオキ
シド樹脂と、特定のカチオン性重合体とを併用すること
により、インクの吸収能力に優れ画像が鮮明でかつ耐湿
熱性、耐水性に優れると共に、インク定着層の透明性に
優れたインクジェット記録に最適な記録材用樹脂組成物
を提供できることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0010】すなわち、本発明は、架橋ポリアルキレン
オキシド樹脂30〜99重量%とカチオン性重合体1〜
70重量%とを含むことを特徴とするインクジェット記
録材用樹脂組成物を提供するものである。本発明におい
ては、架橋ポリアルキレンオキシド樹脂が有するインク
の吸収性能、記録画像の鮮明性、およびインク定着層の
透明性に優れた特性と、カチオン性重合体のアニオン部
とインク中のアニオンが容易に交換反応することにより
得られるインクとの親和性、定着性に優れた特性とが、
これらを併用しても、お互いの長所を失うことなく相乗
効果を発揮しているものと考えられる。
【0011】本発明によれば、インクの吸収能力に優
れ、画像が鮮明でかつ耐湿熱性、耐水性に優れると共
に、インク定着層の透明性に優れたインクジェット記録
に最適な記録材用樹脂組成物が提供できる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる架橋ポリアル
キレンオキシド樹脂としては、ポリアルキレンオキシド
とジオールとをイソシアネート化合物で反応させて得ら
れる、170℃、50kg/cm加重下での溶融粘度
が2000〜20万ポイズであり、吸水能(g純水/g
樹脂)が10〜45g/gの樹脂が好適に用いられる。
【0013】溶融粘度が2000ポイズ未満の場合、お
よび吸水能が45g/gを超える場合には、記録画像の
耐湿熱性、耐水性が低下するので好ましくない。また、
溶融粘度が20万ポイズを超える場合、および吸水能が
10g/g未満の場合には、溶媒に対する溶解度が低下
し、加工後の塗布表面状態が悪化する等の問題が生じる
ので好ましくない。
【0014】架橋ポリアルキレンオキシド樹脂の添加割
合は、本発明の樹脂組成物の全重量に対して、通常、3
0〜99重量%、好ましくは40〜95重量%である。
30重量%より少ないと初期印刷性が悪く、またインク
の乾燥に時間がかかり、99重量%を超えると耐湿熱
性、耐水性が低下するので好ましくない。
【0015】該架橋ポリアルキレンオキシド樹脂を構成
するポリアルキレンオキシドとしては、重量平均分子量
が500〜50万のものが好適に用いられ、例えば、ポ
リエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレ
ンオキシド/プロピレンオキシド共重合体、ポリブチレ
ンオキシドおよびこれらの混合物等を挙げることができ
る。特に、重量平均分子量2000〜10万のポリエチ
レンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキ
シド/プロピレンオキシド共重合体、またはこれらの混
合物が好適に用いられる。重量平均分子量が500未満
の場合、得られる架橋ポリアルキレンオキシド樹脂の吸
水能が高すぎ、また重量平均分子量が50万を超えると
溶媒に対する溶解度が低下するので好ましくない。
【0016】該ポリアルキレンオキシドと共に架橋ポリ
アルキレンオキシド樹脂を構成するジオールとしては、
同一分子内に水酸基(−OH)を2個有する有機化合
物、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,
3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−
ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、オクチレン
グリコール、グリセリルモノアセテート、グリセリルモ
ノブチレート、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナ
ンジオール、ビスフェノールA等を挙げることができ
る。好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、1,4-フ゛タンシ゛オール、1,6−ヘキサンジオール、1,9
−ノナンジオール等が用いられる。
【0017】上記のポリアルキレンオキシドとジオール
とを架橋するのに用いるイソシアネート化合物として
は、同一分子内にイソシアネート基を2個有する有機化
合物、例えば、キシリレンジイソシアネート(XD
I)、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(M
DI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,8−ジ
メチルベンゾール−2,4−ジイソシアネート、2,4−
トリレンジイソシアネート(TDI)、TDIの3量
体、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、トリメ
チロールプロパンなどのポリオールにその活性水素の数
に対応するモル数のジイソシアネートを反応させて得ら
れるウレタンイソシアネート化合物、ポリイソシアネー
トアダクト等を挙げることができる。好ましくは、4,
4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、
ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジ
イソシアネート(TDI)等が用いられる。
【0018】上記のポリアルキレンオキシド、ジオール
およびイソシアネート化合物の使用割合は、ポリアルキ
レンオキシドの末端水酸基とジオールの有する水酸基の
数の和と、イソシアネート化合物の有するイソシアネー
ト基の数の比(R値)(−NCO基/−OH基)が0.
5〜2.0となる範囲、好ましくは、0.8〜1.7とな
る範囲で選択される。R値が0.5未満の時は、架橋密
度が低くなり十分な溶媒吸収性を有する架橋ポリアルキ
レンオキシド樹脂が得られず、一方、R値が2.0を超
えると架橋密度が高くなると共に、溶融粘度が高くなり
成形の際の加工性が悪くなるため好ましくない。
【0019】ポリアルキレンオキシドのモル数は、その
重量を重量平均分子量で割ることにより求めることがで
きる。ジオールを添加する場合は、ポリアルキレンオキ
シドとイソシアネート化合物との架橋反応時に添加す
る。ジオールを添加することにより、得られる架橋ポリ
アルキレンオキシドの溶融粘度の低下を図ることがで
き、加工性が向上する。
【0020】上記イソシアネート化合物の使用量は、イ
ソシアネート化合物の種類および反応条件によっても異
なるが、一般に、ポリアルキレンオキシド100重量部
に対して、0.5〜80重量部、好ましくは、1〜50
重量部の範囲である。0.5重量部より少ない量では、
得られる架橋ポリアルキレンオキシド樹脂の架橋密度が
低くなって十分なフィルム強度が得られず、一方、80
重量部を超えて用いた場合、得られる架橋ポリアルキレ
ンオキシド樹脂の架橋密度が高くなりすぎて溶媒に対す
る溶解度が低下し、造膜性が低下するため好ましくな
い。
【0021】ポリアルキレンオキシドとジオールとをイ
ソシアネート化合物と反応させる方法としては、適当な
溶媒を用いた溶液状で反応させる方法が一般的である。
分散状で反応させる方法や、粉末状または固体状で両者
を均一に混合した後に所定の温度に加熱して反応させる
こともできるが、工業的実施の見地から各原料を溶融状
態で連続的に供給し多軸押出機中で混合、反応させる方
法が好ましい。
【0022】上記反応の反応温度は、通常50〜210
℃である。なお、この反応系にトリエチルアミン、トリ
エタノールアミン、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル
錫ジラウレート、スタナスオクトエート、トリエチレン
ジアミン等を少量添加することにより、反応を促進させ
ることもできる。
【0023】本発明で用いられるカチオン性重合体とし
ては、例えば、下記の一般式(1)で示されるメタクリ
レート構造単位を有するメタクリレート系共重合体、下
記の一般式(2)で示されるビニルベンゾイル構造単位
を有するビニルベンゾイル系共重合体、下記の一般式
(3)で示される側鎖にカチオン化マレイミドを含むオ
レフィン構造単位を有するマレイミド系共重合体等を挙
げることができる。これらは、単独で、あるいは2種以
上を混合して用いてもよい。
【0024】
【化1】
【0025】(式中、R1は炭素数2〜8のアルキレン
基、R2およびR3はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル
基、R4は炭素数2〜4のエポキシ基、Xはハロゲン原
子、CH3OSO3またはC25OSO3を示す。)
【0026】
【化2】
【0027】(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ炭
素数1〜12のアルキル基、Xはハロゲン原子、CH3
OSO3またはC25OSO3を示す。)
【0028】
【化3】
【0029】(式中、R1は炭素数2〜8のアルキレン
基、R2およびR3はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル
基、R4は炭素数2〜4のエポキシ基、R5は水素原子ま
たはメチル基を示す。Xはハロゲン原子、CH3OSO3
またはC25OSO3を示す。mは0または1を示
す。)
【0030】一般式(1)で示されるメタクリレート構
造単位を有するメタクリレート系共重合体の具体例とし
ては、例えば、「ポリマロン」(荒川化学(株)製)等
が挙げられる。一般式(2)で示されるビニルベンゾイ
ル構造単位を有するビニルベンゾイル系共重合体の具体
例としては、例えば、「サイダップス」(日本化学
(株)製)等が、また、一般式(3)で示されるマレイ
ミド系共重合体の具体例としては、例えば、「レオレッ
クス」(第一工業製薬(株)製)等が挙げられるが、こ
れらに限定されるものではない。
【0031】カチオン性重合体の添加割合は、通常1〜
70重量%、好ましくは5〜60重量%である。添加割
合が1重量%未満の場合には耐湿熱性、耐水性の向上効
果が少なく、一方、70重量%を超えて用いてもそれに
見合う効果が得られず、かえって造膜性や透明性が低下
するため好ましくない。
【0032】本発明の記録材用樹脂組成物は、アルコー
ル、アルコール/水、有機溶媒等の溶剤に溶解した後、
紙または透明プラスチックフィルムやセルロース誘導体
等の基材に塗布し、インク定着層とすることができる。
この際、架橋ポリアルキレンオキシド樹脂とカチオン性
重合体とを、それぞれ溶剤で溶解した後混合するか、両
者を押出機、ニーダー、ロールなどで混練りした後溶剤
に溶解してもよい。
【0033】上記の溶剤としては、メタノール、メタノ
ール/水、エタノール、エタノール/水、n−プロパノ
ール、n−プロパノール/水、イソプロパノール、イソ
プロパノール/水、トルエン、キシレン、エチレングリ
コールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエ
チルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケト
ン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセ
トニトリル、ジメチルホルムアミド等から単独もしくは
混合溶媒として適宜選択して使用すればよい。
【0034】上記の透明プラスチックフィルムとしては
ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエ
チレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/ア
クリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸共重
合体、エチレン/アクリル酸エステル/無水マレイン酸
共重合体、ナイロン樹脂、ポリ塩化ビニル等があり接着
性を改善するため、表面処理を施したものや透明性を改
善するため2軸延伸フィルム等が用いられる場合もあ
る。
【0035】上記のインク定着層の厚みは、通常、1〜
200μm、好ましくは5〜100μmがよい。1μm
より薄い場合にはインク吸収性が低下し、一方、200
μmより厚い場合にはそれに見合う効果が得られないば
かりか、フィルムの透光性が低下する場合があり、好ま
しくない。また、一般に使用されている定着剤、滲み防
止剤等の添加物を適宜配合することもできる。
【0036】また、さらに目的により、熱安定剤、酸化
防止剤、顔料、充填剤、例えば、超微粉シリカ、タル
ク、ゼオライト、アルミナ、酸化チタン等を少量添加で
きる。
【0037】
【実施例】以下に本発明を製造例、実施例および比較例
によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に
限定されるものではない。なお、下記の製造例で得られ
た架橋ポリアルキレンオキシド樹脂の試験、および実施
例で得られた記録材用樹脂組成物を用いた記録シートの
印字性能の評価については以下の方法で行った。
【0038】1.架橋ポリアルキレンオキシド樹脂の試
験項目およびその方法 (1)吸水能[g(純水)/g(樹脂)]: 純水20
0ml中に、架橋ポリアルキレンオキシド樹脂を1g添
加し、24時間撹拌後、200メッシュの金網にて濾過
し、濾過後のゲルの重量を吸水能とした。 (2)溶融粘度[ポイズ]: 170℃、50kg/c
2加重の条件下にて、ダイ1mmφ×1mmLオリフ
ィス(島津製作所製フローテスター CFT−500
C)で測定した。
【0039】2.記録シートの印字性能の評価項目およ
びその方法 (1)乾燥速度: エプソン社製プリンターMJ−80
0Cで評価パターン(5mmφ×12個、黒、マゼン
タ、シアン、イエロー)を印字後、10秒間隔で印刷面
にプッシュプルゲージにて6kgfの加圧下で濾紙をあ
てて、インクが滲まなくなるまでの時間を測定した。
【0040】(2)印刷性: エプソン社製プリンター
MJ−800Cで評価パターン(上記に同じ)を印字
後、各色の1ドットをマイクロスコープ(KEYENC
E社製)で200倍に拡大し、その直径(μm)ならび
に円形度係数をイメージアナライザーV10(東洋紡
製)にて測定した。この場合、直径が100μm以下で
あれば目視で画像に変化なく、100〜200μmであ
れば目視でやや画像が滲み、200μm以上になると目
視でもはっきりと画像が滲んでいるのが判別できる。
【0041】(3)耐湿熱性: エプソン社製プリンタ
ーMJ−800Cで評価パターン(上記に同じ)を印字
後、温度40℃、湿度90%の恒温恒湿器に入れ、1時
間後および24時間後に取り出してドットの直径(μ
m)ならびに円形度係数を上記と同様にして測定した。
上記と同様に、直径が100μm以下であれば目視で画
像に変化なく、100〜200μmであれば目視でやや
画像が滲み、200μm以上になると目視でもはっきり
と画像が滲んでいるのが判別できる。
【0042】(4)耐水性: エプソン社製プリンター
MJ−800Cで評価パターン(上記に同じ)を印字
後、5分間水に浸漬して色落ち状態を判定した。耐水性
の評価基準は以下の通りである ○: 色落ちなし △: 若干色落ちあり ×: 色落ち大
【0043】(5)透明性: 印字していない部分のヘ
イズ値を日本電色工業製ヘイズメーターNDH−300
Aにて測定した。
【0044】製造例1 十分に脱水した重量平均分子量20000のポリエチレ
ンオキシド100重量部、重量平均分子量1000のプ
ロピレンオキシド13.2重量部、1,4−ブタンジオー
ル1.97重量部およびトリエチレンジアミン0.2重量
部を、110℃に保温された撹拌機の付いた貯蔵タンク
Aに入れ、窒素ガス雰囲気下で均一な混合物とした。こ
れとは別に、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネー
トを50℃に保温された撹拌機の付いた貯蔵タンクBに
入れ、窒素ガス雰囲気下で貯蔵した。貯蔵タンクAの混
合物と貯蔵タンクBの4,4'−ジフェニルメタンジイソ
シアネートを定量ポンプで各々154.6g/分と12.
1g/分の速度で110〜140℃に設定した2軸押出
機に連続的に供給し、押出機中で混合、反応を行い押出
機出口からストランドを出し、ペレタイザーによりペレ
ット化して架橋ポリアルキレンオキシド樹脂を得た。
【0045】このようにして得た架橋ポリアルキレンオ
キシド樹脂の吸水能は20g/gであり、溶融粘度(1
70℃×50kg/cm2)は20000ポイズであっ
た。これを、n−プロピルアルコール/水(70/30
重量比)に固形分10重量%になるように溶解し、架橋
ポリアルキレンオキシド樹脂を含有するn−プロピルア
ルコール/水溶液を得た。
【0046】製造例2 十分に脱水した重量平均分子量20000のポリエチレ
ンオキシド100重量部、重量平均分子量3000のエ
チレンオキシド/プロピレンオキシド(=80/20)
共重合体100重量部、1,4−ブタンジオール4.14
重量部、トリエチレンジアミン0.1重量部を70℃に
保温された撹拌機の付いた貯蔵タンクAに入れ、窒素ガ
ス雰囲気下で均一な混合物とした。これとは別に、4,
4'−ジフェニルメタンジイソシアネートを50℃に保
温された撹拌機の付いた貯蔵タンクBに入れ、窒素ガス
雰囲気下で貯蔵した。貯蔵タンクAの混合物と貯蔵タン
クBの4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートを定
量ポンプで各々250g/分と17.4g/分の速度で
140〜170℃に設定した2軸押出機に連続的に供給
し、押出機中で混合、反応を行い押出機出口からストラ
ンドを出し、ペレタイザーによりペレット化して架橋ポ
リアルキレンオキシド樹脂を得た。
【0047】このようにして得た架橋ポリアルキレンオ
キシド樹脂の吸水能は10g/gであり、溶融粘度(1
70℃×50kg/cm2)は3000ポイズであっ
た。これを、イソプロピルアルコール/水(80/20
重量比)に固形分10重量%になるように溶解し、架橋
ポリアルキレンオキシド樹脂を含有するイソプロピルア
ルコール/水溶液を得た。
【0048】実施例1 製造例1で得られた架橋ポリアルキレンオキシド樹脂含
有n−プロピルアルコール/水溶液とカチオン性重合体
[商品名:ポリマロン360(20重量%水溶液)、荒
川化学(株)製]とを、固形分比で80/20となるよ
うに混合した後、PETフィルム(厚み75μm)にバ
ーコーターを用いて塗布し、乾燥処理(パーフェクトオ
ーブン、110℃×5分)して、インク定着層の厚みが
10μmのフィルムを得、前記の性能評価を行った。
【0049】実施例2 カチオン性重合体[商品名:サイダップスP−8CM、
日本化学(株)製]をメタノールに10重量%になるよ
うに溶解した。製造例1で得られた架橋ポリアルキレン
オキシド樹脂含有n−プロピルアルコール/水溶液と前
記カチオン性重合体溶液とを、固形分比で50/50と
なるように混合した後、PETフィルム(厚み75μ
m)にバーコーターを用いて塗布し、乾燥処理(パーフ
ェクトオーブン、110℃×5分)して、インク定着層
の厚みが20μmのフィルムを得、前記の性能評価を行
った。
【0050】実施例3 製造例2で得られた架橋ポリアルキレンオキシド樹脂含
有イソプロピルアルコール/水溶液とカチオン性重合体
[商品名:ポリマロン360(20重量%水溶液)、荒
川化学(株)製]とを、固形分比で95/5となるよう
に混合した後、PETフィルム(厚み75μm)にバー
コーターを用いて塗布し、乾燥処理(パーフェクトオー
ブン、110℃×5分)して、インク定着層の厚みが3
0μmのフィルムを得、前記の性能評価を行った。
【0051】実施例4 カチオン性重合体[商品名:レオレックスAS−17
0、第一工業製薬(株)製]をメタノール/水(90/
10重量比)に5重量%になるように溶解した。製造例
2で得られた架橋ポリアルキレンオキシド樹脂含有イソ
プロピルアルコール/水溶液と前記カチオン性重合体溶
液とを、固形分比で70/30となるように混合した
後、白PETフィルム(厚み75μm)にバーコーター
を用いて塗布し、乾燥処理(パーフェクトオーブン、1
10℃×5分)して、インク定着層の厚みが25μmの
フィルムを得、前記の性能評価を行った。
【0052】実施例5 カチオン性重合体[商品名:レオレックスAS−17
0、第一工業製薬(株)製]とカチオン性重合体[商品
名:サイダップスP−8CM、日本化学(株)製](配
合比50/50)をメタノール/水(70/30重量
比)に5重量%になるように溶解した。製造例2で得ら
れた架橋ポリアルキレンオキシド樹脂含有イソプロピル
アルコール/水溶液と前記カチオン性重合体溶液とを、
固形分比で90/10となるように混合した後、上質紙
(110g/m2)にバーコーターを用いて塗布し、乾
燥処理(パーフェクトオーブン、110℃×5分)し
て、インク定着層の厚みが30μmのシートを得、前記
の性能評価を行った。
【0053】比較例1 実施例1においてカチオン性重合体を用いない以外は実
施例1と同様にしてフィルムを得、前記の性能評価を行
った。
【0054】比較例2 実施例1において架橋ポリアルキレンオキシド樹脂含有
n−プロピルアルコール/水溶液とカチオン性重合体
[商品名:ポリマロン360(20重量%水溶液)、荒
川化学(株)製]との固形分比を99.5/0.5にする
以外は実施例1と同様にしてフィルムを得、前記の性能
評価を行った。
【0055】比較例3 実施例1において架橋ポリアルキレンオキシド樹脂含有
n−プロピルアルコール/水溶液とカチオン性重合体
[商品名:ポリマロン360(20重量%水溶液)、荒
川化学(株)製]との固形分比を20/80にする以外
は実施例1と同様にしてフィルムを得、前記の性能評価
を行った。これら実施例および比較例の性能評価をまと
めて表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】表1から明らかなように、本発明のインク
ジェット記録材用樹脂組成物は、乾燥速度が速く、印刷
性においては初期のドット径が小さく、耐湿熱性におい
てはドット径の拡大が見られず、耐水性においては色落
ちしない。したがって、各試験後であっても画像の変化
が見られず、印刷性、耐湿熱性、耐水性に優れている。
また、インク定着層の透明性に優れており、高い透明性
を有するフィルムが得られる。
【0058】
【発明の効果】本発明のインクジェット記録材用樹脂組
成物により、加工性が良好で、特にインクの吸収速度が
速く、耐湿熱性、耐水性、透明性に優れたインクジェッ
ト用の最適な記録材が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 33/10 C08L 33/10 71/02 71/02 79/08 79/08 D21H 19/16 D21H 1/34 C (72)発明者 宮本 洋志 兵庫県姫路市飾磨区入船町1番地 住友精 化株式会社第2研究所内 (72)発明者 松田 賢哉 兵庫県姫路市飾磨区入船町1番地 住友精 化株式会社第2研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 架橋ポリアルキレンオキシド樹脂30〜
    99重量%とカチオン性重合体1〜70重量%とを含む
    ことを特徴とするインクジェット記録材用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 架橋ポリアルキレンオキシド樹脂が、ポ
    リアルキレンオキシドとジオールとをイソシアネート化
    合物で架橋させた樹脂であり、その170℃、50kg
    /cm2加重下での溶融粘度が2000〜20万ポイズ
    であって、吸水能(g純水/g樹脂)が10〜45g/
    gである請求項1記載のインクジェット記録材用樹脂組
    成物。
  3. 【請求項3】 ポリアルキレンオキシドが、重量平均分
    子量500〜50万のポリエチレンオキシド、ポリプロ
    ピレンオキシド、エチレンオキシド/プロピレンオキシ
    ド共重合体、およびこれらの混合物からなる群より選ば
    れた少なくとも1種である請求項1記載のインクジェッ
    ト記録材用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 カチオン性重合体が、メタクリレート系
    共重合体である請求項1記載のインクジェット記録材用
    樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 カチオン性重合体が、ビニルベンゾイル
    系共重合体である請求項1記載のインクジェット記録材
    用樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 カチオン性重合体が、マレイミド系共重
    合体である請求項1記載のインクジェット記録材用樹脂
    組成物。
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