JPH1077385A - 炭素材料結合用フェノール樹脂組成物及び炭素・樹脂複合材 - Google Patents

炭素材料結合用フェノール樹脂組成物及び炭素・樹脂複合材

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JPH1077385A
JPH1077385A JP23107796A JP23107796A JPH1077385A JP H1077385 A JPH1077385 A JP H1077385A JP 23107796 A JP23107796 A JP 23107796A JP 23107796 A JP23107796 A JP 23107796A JP H1077385 A JPH1077385 A JP H1077385A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭素材料との接着性が高いフェノール樹脂組
成物を提供し、機械的強度の高い炭素・樹脂複合材を得
ることができるようにする。 【解決手段】 液状のジメチレンエーテル型フェノール
樹脂と、液状の硬化促進剤とを配合して炭素材料結合用
フェノール樹脂組成物を調製する。ジメチレンエーテル
型フェノール樹脂は炭素材料に対する濡れ性が良好であ
って炭素材料との接着性が高く、機械的強度の高い炭素
・樹脂複合材を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素材料を結合さ
せるバインダーとして使用されるフェノール樹脂組成物
及び、炭素材料とこのフェノール樹脂組成物との複合材
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カーボンやグラファイトなどの炭素材料
は、耐火性、電磁波シールド性、滑性などに優れるため
に、これらの特性を活かした各種の用途に使用されてい
るが、炭素材料を単一で用いることは極めて少なく、殆
どは炭素材料と樹脂との複合材、例えば炭素材料と樹脂
の複合成形品として使用されている。このような炭素・
樹脂複合材では、樹脂は炭素材料を結合させるバインダ
ーとして作用するものであり、炭素・樹脂複合材の機械
的強度は炭素材料と樹脂との界面の接着性に大きく影響
される。
【0003】ここで、接着は、「同種または異種物質の
接触面が接着剤によって結合すること」(日経技術図書
社「接着応用技術」)と定義されるものであり、接着強
さは接着結合したものの破壊強度であって、接着剤と被
着材の間の界面の相互作用の強さや、被着材と接着剤自
身の凝集力などの力学的性質や、その他多くの因子が働
いている。そして一般に被着材は平滑表面であっても数
百Åの凹凸があり、接着剤の役割はまずこの凹凸のギャ
ップを埋め、かつ被着材の表面を完全に濡らし、表面の
極性基と接着剤自身が有する極性基の間で化学反応や水
素結合などの相互作用を強く働かせることである。この
ように接着剤は、液体として流動し、細かい間隙に
流れ込み、被着材を良く濡らし、最終的には固化し
て強靱な相を形成するものである必要がある。
【0004】従って、炭素材料と樹脂との複合材にあっ
ても、結合剤として使用される樹脂は〜の性能を有
することが必要であり、特に液状であり、且つ炭素材料
に対する濡れ性の良いものであることが必要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしカーボンやグラ
ファイトなどの炭素材料は表面の撥水性や撥油性が高い
ために、フェノール樹脂など樹脂は一般に炭素材料に対
する濡れ性が悪く、機械的強度の高い炭素・樹脂複合材
を得ることが難しい、という問題があった。本発明は上
記の点に鑑みてなされたものであり、炭素材料との接着
性が高いフェノール樹脂組成物を提供し、機械的強度の
高い炭素・樹脂複合材を得ることを目的とするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る炭素材料結
合用フェノール樹脂組成物は、液状のジメチレンエーテ
ル型フェノール樹脂と、液状の硬化促進剤とを配合して
成ることを特徴とするものである。また本発明に係る炭
素・樹脂複合材は、炭素材料が、液状のジメチレンエー
テル型フェノール樹脂と液状の硬化促進剤とを配合した
フェノール樹脂組成物の硬化物をバインダーとして結合
されていることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。ジメチレンエーテル型フェノール樹脂(ベンジリ
ックエーテル型フェノール樹脂)は、フェノール類とホ
ルムアルデヒド類とを、二価金属のナフテン酸塩、二価
金属のカルボン酸塩又は二価金属の水酸化物を反応触媒
として用い、100〜140℃の温度で反応させること
によって得られるフェノール樹脂の一種であり、液体、
半固形、固形のものを調製することができる。
【0008】ここで、上記のフェノール類は、フェノー
ル及びフェノールの誘導体を意味するものであり、例え
ばフェノールの他に、m−クレゾール、レゾルシノー
ル、3,5−キシレノールなどの3官能性のもの、ビス
フェノールA、ジヒドロキシジフェニルメタンなどの4
官能性のもの、o−クレゾール、p−クレゾール、p−
terブチルフェノール、p−フェニルフェノール、p
−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、2,4又
は2,6−キシレノールなどの2官能性のo−又はp−
置換のフェノール類などを挙げることができ、さらに塩
素又は臭素で置換されたハロゲン化フェノールなども使
用することができる。勿論、これらから1種を選択して
用いる他、複数種のものを混合して用いることもでき
る。
【0009】また上記のホルムアルデヒド類としては、
水溶液の形態であるホルマリンが最適であるが、パラホ
ルムアルデヒドやトリオキサン、テトラオキサンのよう
な形態のものを用いることもでき、その他ホルムアルデ
ヒドの一部をフルフラールやフルフリルアルコールに置
き換えて使用することも可能である。フェノール類とホ
ルムアルデヒド類との配合比率は、フェノール類とホル
ムアルデヒド類のモル比が1:1〜1:3.5の範囲に
なるように設定するのが好ましい。
【0010】さらに反応触媒の二価金属のナフテン酸と
しては、ナフテン酸鉛、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸マ
グネシウム、ナフテン酸カルシウム、ナフテン酸バリウ
ムなどを、二価のカルボン酸塩としては、酢酸亜鉛、酢
酸鉛、酢酸マグネシウム、酢酸バリウム、酢酸カルシウ
ムなどを、二価金属の水酸化物としては、水酸化マグネ
シウム、水酸化バリウムなどを挙げることができる。
【0011】このジメチレンエーテル型フェノール樹脂
は、一般的なレゾール型フェノール樹脂と比較して経時
変化が小さく、取り扱い易いが、硬化速度が遅いため
に、本発明では、加熱硬化させるにしても、常温硬化さ
せるにしても、硬化促進剤を添加して、硬化を促進させ
るようにしてある。硬化促進剤としては、常温硬化に
は、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、あるいはパラト
ルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスル
ホン酸などの有機酸を用いることができる。また加熱硬
化には、前記の酸の他に、アルカリ土類金属の酸化物や
水酸化物を用いることができ、さらにジメチルアミン、
トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ト
リブチルアミン、ジエチレントリアミン、ジシアンジア
ミドなどの脂肪族の第一級、第二級、第三級アミン、
N,N−ジメチルベンジルアミンなどの芳香環を有する
脂肪族アミン、アニリン、1,5−ナフタレンジアミン
などの芳香族アミン、ヘキサメチレンテトラミンなどの
潜在性触媒を用いることもできる。硬化促進剤の添加量
は、その種類や、硬化温度等の条件によって異なるが、
一般的には、ジメチレンエーテル型フェノール樹脂10
0重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲が好まし
い。
【0012】そしてジメチレンエーテル型フェノール樹
脂と硬化促進剤を配合することによって本発明に係る炭
素材料結合用のフェノール樹脂組成物を得ることができ
るものであるが、既述のように、炭素材料の結合剤とし
て用いる場合、樹脂組成物は液状である必要があり、本
発明ではジメチレンエーテル型フェノール樹脂及び硬化
促進剤はそれぞれ液状のものを用いるものである。
【0013】ジメチレンエーテル型フェノール樹脂を液
状に調製した場合にはそのまま用いることができるが、
半固形や固形のジメチレンエーテル型フェノール樹脂の
場合は溶剤に溶解して液状にして使用するものである。
また硬化促進剤は無機酸のように液状のものであればそ
のまま用いることができるが、固形のものは水やアルコ
ールなどの溶剤に分散したり溶解したりして液状にして
使用するものである。そして、液状のジメチレンエーテ
ル型フェノール樹脂と液状の硬化促進剤を配合すること
によって調製される本発明に係る炭素材料結合用フェノ
ール樹脂組成物は、その粘度を10〜5000mPa・
s(測定温度25℃;以下同じ)の範囲に調整するのが
好ましい。粘度が5000mPa・sを超えて高くなる
と、炭素材料との濡れが不十分になるおそれがあり、逆
に粘度が10mPa・sを超えて小さくなると、炭素材
料と樹脂組成物とが分かれて均一性が悪くなるおそれが
ある。
【0014】一方、炭素材料としては、天然黒鉛、人造
黒鉛、カーボンブラック、コークス、木炭、籾殻炭など
の粉粒体を用いることができ、その他、炭素繊維などを
用いることもできる。勿論これらのみに限定されるもの
ではなく、炭素質ものであれは制限されることなく使用
することができる。そしてこの炭素材料と上記の炭素材
料結合用フェノール樹脂組成物との複合材を製造するに
あたっては、炭素材料の表面に炭素材料結合用フェノー
ル樹脂組成物を浸透させることによって炭素材料とこの
フェノール樹脂組成物とを混在させ、この状態でフェノ
ール樹脂組成物を硬化させることによって、炭素材料結
合用フェノール樹脂組成物の硬化物マトリックスをバイ
ンダーとして炭素材料を結合させて炭素・樹脂複合材を
得ることができるものである。
【0015】炭素材料の表面に炭素材料結合用フェノー
ル樹脂組成物を浸透させるにあたっては、炭素材料とこ
のフェノール樹脂組成物を混合したり、炭素材料にフェ
ノール樹脂組成物を含浸させたりして行なうことができ
るものである。そして、炭素材料に対する樹脂の濡れ性
は一般的に悪いが、この炭素材料結合用フェノール樹脂
組成物中のジメチレンエーテル型フェノール樹脂は炭素
材料に対する濡れ性が良好であり、機械的強度の高い炭
素・樹脂複合材を得ることができるものである。
【0016】この炭素・樹脂複合材は、炭素の優れた滑
性を利用して軸受け等として使用したり、炭素の優れた
耐熱性を利用して耐火材として利用してたり、炭素の優
れた電磁波シールド性を利用して電磁波シールド材とし
て使用したりすることができるものである。またこの炭
素・樹脂複合材は、単独で使用する他に、他のボード類
に積層したり複合したりして使用することもできるもの
である。
【0017】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。 (ジメチレンエーテル型フェノール樹脂Aの調製)攪拌
機と還流冷却器を備えた2リットルの四つ口フラスコ
に、フェノールを940g、37%ホルマリンを893
g、反応触媒として酢酸亜鉛を5g仕込み、これを混合
攪拌しつつ、60分を要して還流させ、そのまま5時間
反応させた。次いで内温が140℃になるまで常圧で脱
水を行ない、さらに100トールの減圧下で100℃ま
で脱液を行なった。得られたジメチレンエーテル型フェ
ノール樹脂Aの25℃における粘度は2.5Pa・s、
135℃で60分間熱処理した後の不揮発分は69重量
%、25℃におけるpHは5.3であった。
【0018】(ジメチレンエーテル型フェノール樹脂B
の調製)攪拌機と還流冷却器を備えた2リットルの四つ
口フラスコに、フェノールを940g、92%パラホル
ムアルデヒドを489g、反応触媒としてナフテン酸亜
鉛を20g仕込み、これを混合攪拌しつつ、60分を要
して還流させ、そのまま3時間反応させた。次いで内温
が140℃になるまで常圧で脱水を行ない、さらに10
0トールの減圧下で100℃まで脱液を行なった。得ら
れたジメチレンエーテル型フェノール樹脂Bの25℃に
おける粘度は1.8Pa・s、135℃で60分間熱処
理した後の不揮発分は67重量%、25℃におけるpH
は5.5であった。
【0019】(レゾルシノール・ホルムアルデヒド樹脂
Cの調製)攪拌機と還流冷却器を備えた2リットルの四
つ口フラスコに、レゾルシンを1000g、37%ホル
マリンを450g仕込み、約90分を要して還流させ、
そのまま60分反応させた。次いで濃度30重量%の苛
性ソーダ水溶液を加えてpHを8.5に調整した。得ら
れたレゾルシノール・ホルムアルデヒド樹脂Cの25℃
における粘度は0.35Pa・s、135℃で60分間
熱処理した後の不揮発分は65.7重量%であった。
【0020】(レゾール型フェノール樹脂Dの調製)攪
拌機と還流冷却器を備えた2リットルの四つ口フラスコ
に、フェノールを940g、37%ホルマリンを973
g、反応触媒として48重量%濃度の苛性ソーダ水溶液
を40g仕込み、約60分を要して80℃まで昇温さ
せ、そのまま3時間反応させた。次にこれにベンゼンス
ルホン酸を加えてpHを9.0に調整した。得られたレ
ゾール型フェノール樹脂Dの25℃における粘度は0.
6Pa・s、135℃で60分間熱処理した後の不揮発
分は66重量%であった。
【0021】上記のようにして得られた各樹脂A,B,
C,Dについて、黒鉛ボードに対する接触角を測定し
た。この黒鉛ボードに対する接触角の測定は、日本黒鉛
社製の薄片化黒鉛「EXP−P」をバインダーレスで5
0kgf/cm2 の成形圧で加圧して黒鉛ボードを作製
し、この黒鉛ボードの上に樹脂A,B,C,Dをのせ、
エルマ社製の常温用接触角測定器「G−1型」を用いて
接触角を計測することによって行なった。結果を表1に
示す。
【0022】
【表1】
【0023】表1にみられるように、黒鉛ボードに対す
るジメチレンエーテル型フェノール樹脂の接触角は小さ
く、炭素材料に対するジメチレンエーテル型フェノール
樹脂の濡れ性が良好であることが確認される。 (硬化促進剤Eの調製)パラトルエンスルホン酸を水に
溶解させ、30重量%濃度に調整して液状の硬化促進剤
Eを調製した。
【0024】(硬化剤Fの調製)三井東圧化学社製の9
2%パラホルムアルデヒドを粒径74μm以下になるよ
うに粉砕して、硬化剤Fを調製した。 (実施例1)ジメチレンエーテル型フェノール樹脂Aと
硬化促進剤Eとを表2の配合量で配合して混合し、フェ
ノール樹脂組成物を調製した。
【0025】(実施例2)ジメチレンエーテル型フェノ
ール樹脂Bと硬化促進剤Eとを表2の配合量で配合して
混合し、フェノール樹脂組成物を調製した。 (比較例1)レゾルシノール・ホルムアルデヒド樹脂C
と硬化剤Fとを表2の配合量で配合して混合し、フェノ
ール樹脂組成物を調製した。
【0026】(比較例2)レゾール型フェノール樹脂D
と硬化促進剤Eとを表2の配合量で配合して混合し、フ
ェノール樹脂組成物を調製した。上記のようにして得た
実施例1〜2、比較例1〜2のフェノール樹脂組成物に
ついて、25℃における粘度及び、黒鉛ボードに対する
接触角を測定した。結果を表2に示す。また実施例1〜
2、比較例1〜2のフェノール樹脂組成物についてそれ
ぞれ、ゲル化時間を測定した。ゲル化時間の測定は、容
量100ミリリットルのカップに表2に示す温度に調整
した樹脂を10g入れると共に表2の配合割合で硬化促
進剤あるいは硬化剤を入れ、良く混合した後の、ゲル化
に至る時間を計測することによって行なった。結果を表
2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】表2にみられるように、ジメチレンエーテ
ル型フェノール樹脂の実施例1,2のものは、ゲル化時
間が長く、しかも温度依存性も小さく、保存安定性が良
好であって取り扱い易い樹脂であることが確認される。
次に、東レ社製の炭素繊維「トレカ糸」(タイプT40
0、フィラメント数6000本、引張強度420kgf
/mm2 、引張弾性率24.0×103 kgf/m
2 )の束を長さ2cmに切取った。そして、容量10
0ミリリットルのカップに実施例1〜2、比較例1〜2
で使用する樹脂A,B,C,Dを50g入れ、この上に
上記の切り取った炭素繊維の束を乗せ、カップの底面に
達するまでの時間を25℃の雰囲気下で測定し、炭素繊
維への樹脂の浸透性を評価した。結果を表3に示す。
【0029】
【表3】
【0030】表3にみられるように、実施例1,2のジ
メチレンエーテル型フェノール樹脂は炭素繊維に対する
濡れが良く、炭素繊維への浸透性が極めて高いことが確
認される。次に、上記の炭素繊維「トレカ糸」の束に実
施例1〜2、比較例1〜2のフェノール樹脂組成物をそ
れぞれ、炭素繊維と樹脂硬化物との体積比が60:40
になるように浸漬させて含浸し、130℃、10kgf
/cm2 、120分の条件でプレス成形することによっ
て、炭素・樹脂複合材を作製した。
【0031】この炭素・樹脂複合材について、JIS
K 7074「炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験方
法」に準拠して曲げ性能を測定した。またこの炭素・樹
脂複合材中の空洞率を測定するため、走査電子顕微鏡
(日立製作所製「S−2150」)により破断面を観察
した。結果を表4に示す。
【0032】
【表4】
【0033】表4にみられるように、炭素に対する濡れ
性が良好なジメチレンエーテル型フェノール樹脂を含有
する組成物をバインダーとする実施例1,2のものは、
炭素・樹脂複合材の物理的強度が高く、空洞が発生しな
いことが確認される。 (実施例3)ジメチレンエーテル型フェノール樹脂Aと
硬化促進剤Eとを表5の配合量で配合して混合し、フェ
ノール樹脂組成物を調製した。一方、上記の炭素繊維
「トレカ糸」の束を6mmに切断した後、空気中、50
0℃で60分間焼成することによって、束中の集束剤を
焼き飛ばして除去した。そしてこの集束剤を除去した炭
素繊維とフェノール樹脂組成物を、炭素繊維と樹脂硬化
物との重量比が60:40になるように配合し、ヘンシ
ェルミキサーを用いて10分間混練した後、この混練物
をバットに広げて室内で2日間養生し、成形材料を調製
した。
【0034】次に、この成形材料を151mm×131
mmの縦・横寸法で開口するキャビティを有する金型に
入れ、160℃、200kgf/cm2 、20分間の条
件で加熱加圧成形し、さらに200℃で8時間ポストキ
ュアすることによって、151mm×131mm×厚み
5mm、密度1.45g/cm3 の炭素・樹脂複合材を
得た。
【0035】また、この炭素・樹脂複合材を耐熱箱に入
れ、コークスで被覆した後、電気炉に入れて、4℃/分
の等速昇温で1200℃まで昇温させると共に1200
℃の温度を3時間保持した後、室温まで降温させること
によって、炭素・樹脂複合材を焼成した焼成材を得た。 (比較例3)レゾルシノール・ホルムアルデヒド樹脂C
と硬化剤Fとを表5の配合量で配合して混合し、フェノ
ール樹脂組成物を調製した。そして実施例3と同様にし
て集束剤を除去した炭素繊維とフェノール樹脂組成物
を、炭素繊維と樹脂硬化物との重量比が60:40にな
るように配合し、ヘンシェルミキサーを用いて5分間混
合し、これを払い出し、この払い出し直後の成形材料を
実施例3と同様にして加熱加圧成形し、実施例3と同じ
寸法、同じ密度の炭素・樹脂複合材を得た。また実施例
3と同様に焼成して焼成材を得た。
【0036】実施例3及び比較例3で得た炭素・樹脂複
合材及びその焼成材について、外観を観察し、またJI
S K 6911「熱硬化性プラスチック一般試験法」
に準拠して成形収縮率を測定し、焼成収縮率を焼成収縮
率(%)=(焼成前の寸法−焼成後の寸法)/(焼成前
の寸法)×100の式から計算してもとめた。またJI
S K 7074「炭素繊維強化プラスチックの曲げ試
験方法」に準拠して曲げ強さ、曲げ弾性率を測定した。
結果を表5に示す。
【0037】
【表5】
【0038】表5にみられるように、炭素に対する濡れ
性が良好なジメチレンエーテル型フェノール樹脂を含有
する組成物をバインダーとする実施例3のものは、炭素
・樹脂複合材の収縮率が小さく、物理的強度が高いこと
が確認される。 (実施例4)反応容器に、平均粒径が5μmの鱗片状黒
鉛を1100重量部、フェノールを770重量部、37
%ホルマリンを1328重量部、反応触媒としてヘキサ
メチレンテトラミンを80重量部仕込み、これを混合攪
拌しつつ60分を要して、90℃まで昇温し、そのまま
3時間反応を維持した。このように反応させることによ
って、黒鉛とフェノール樹脂とからなる黒色顆粒状物が
生成された。そして冷却後にこの黒色顆粒状物を濾別す
ることによって、熱硬化性の黒鉛・フェノール樹脂顆粒
体を得た。
【0039】この黒鉛・フェノール樹脂顆粒体を151
mm×131mmの縦・横寸法で開口するキャビティを
有する金型(予め160℃に加熱)に入れ、160℃、
50kgf/cm2 、20分間の条件で加熱加圧成形す
ることによって、151mm×131mm×厚み10m
m、密度1.6g/cm3 の黒鉛ボードを得た。次に、
実施例3で調製した成形材料をこの黒鉛ボードの上に厚
みが1mmになるように流し、160℃、50kgf/
cm2 、10分間の条件で加熱加圧成形することによっ
て、黒鉛ボードに炭素・樹脂複合材を積層した複合ボー
ドを作製した。
【0040】(比較例4)実施例3の成形材料の代わり
に、比較例3で得た払い出し直後の成形材料を用いるよ
うにした他は、実施例4と同様にして黒鉛ボードに炭素
・樹脂複合材を積層した複合ボードを作製した。上記の
ようにして作製した実施例4及び比較例4の複合ボード
について、さらに黒鉛ボードについて、外観を観察し、
またJIS K 6911「熱硬化性プラスチック一般
試験法」に準拠して曲げ強さ、曲げ弾性率、シャルピー
衝撃強さを測定した。結果を表6に示す。
【0041】
【表6】
【0042】表6にみられるように、炭素に対する濡れ
性が良好なジメチレンエーテル型フェノール樹脂を含有
する組成物をバインダーとする実施例4のものは、物理
的強度が高いことが確認される。
【0043】
【発明の効果】上記のように本発明に係る炭素材料結合
用フェノール樹脂組成物は、液状のジメチレンエーテル
型フェノール樹脂と、液状の硬化促進剤とを配合して成
ることを特徴とするものであり、ジメチレンエーテル型
フェノール樹脂は炭素材料に対する濡れ性が良好であっ
て、炭素材料との高い接着性を得ることができるもので
ある。
【0044】また本発明に係る炭素・樹脂複合材は、炭
素材料が、液状のジメチレンエーテル型フェノール樹脂
と液状の硬化促進剤とを配合したフェノール樹脂組成物
の硬化物をバインダーとして結合されていることを特徴
とするものであり、ジメチレンエーテル型フェノール樹
脂は炭素材料に対する濡れ性が良好であって炭素材料と
の接着性が高く、機械的強度の高い炭素・樹脂複合材を
得ることができるものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液状のジメチレンエーテル型フェノール
    樹脂と、液状の硬化促進剤とを配合して成ることを特徴
    とする炭素材料結合用フェノール樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 炭素材料が、液状のジメチレンエーテル
    型フェノール樹脂と液状の硬化促進剤とを配合したフェ
    ノール樹脂組成物の硬化物をバインダーとして結合され
    ていることを特徴とする炭素・樹脂複合材。
JP23107796A 1996-08-30 1996-08-30 炭素・樹脂複合材 Expired - Lifetime JP3583872B2 (ja)

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