JPH107458A - 圧電磁器材料 - Google Patents

圧電磁器材料

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JPH107458A
JPH107458A JP8185454A JP18545496A JPH107458A JP H107458 A JPH107458 A JP H107458A JP 8185454 A JP8185454 A JP 8185454A JP 18545496 A JP18545496 A JP 18545496A JP H107458 A JPH107458 A JP H107458A
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薫 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 PbOの蒸発を回避できる低温(1000℃
以下)で焼成可能であるとともに、製造コストを低減化
しうる圧電磁器材料を提供すること。 【解決手段】 組成がaPbTiO3+bPbZrO3
cPb(Mn1/3Nb2/3)O3 +dPb(Co1/3Nb
2/3)O3 +eCoO+fPbOで表され、主成分の比
が、a=22〜50mol%、b=18〜55mol
%、c=2〜40mol%、d=0〜54mol% (た
だし、a+b+c+d=100)であり、副成分とし
て、該主成分重量に対してe=0.1〜2.5wt%、f
=0〜8wt%として含有する圧電磁器材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、各種超音
波振動子、セラミックフィルター、圧電発音体、圧電ア
クチュエーター等の圧電磁器製造物に利用される圧電磁
器材料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、圧電磁器材料としては、PbTi
3やPbZrO3を主成分として含む圧電セラミック
(以下、PZT系圧電セラミックと略する)が汎用的に
用いられている。一般に、この種の圧電セラミックで
は、その製造に要する焼結温度が、二成分系では約12
60℃であり、さらに特性改善のために、複合ペロブス
カイト類を第三、第四成分として固溶させた多成分PZ
T系圧電セラミックでは、焼結温度が多少低下して、1
200℃近辺となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、PZT系圧
電セラミックの焼結過程において、PbOの蒸発が10
00℃近辺から急激に増加することが知られている。従
って、上記の焼結温度領域では、多量のPbOの蒸発が
起こるという問題がある。PbOが蒸発すると、焼結体
の組成ずれを引き起こし、特性のばらつきや劣化を招く
上、蒸発したPb成分は環境汚染の原因となる可能性が
ある。
【0004】そこで、PbOの蒸発を制御することは、
PZT系圧電セラミックの製造上、非常に有用なことと
なっており、このためには、焼結温度を1000℃以下
にすることが望ましい。焼結温度の低下は、省エネルギ
ーの点でも有益である。更に、一体焼成で製造される積
層型圧電素子の場合、焼結温度が低下できれば内部電極
の構成においてパラジウムを減らし、銀の比率を増大さ
せることが可能であり、製造コスト面で有利になると期
待される。このように、圧電磁器材料の焼結温度を低下
させることは、製造コスト面で長所を奏する他、省エネ
ルギーを具現化する点でも有益である。
【0005】上述した従来のPZT系圧電セラミックに
用いる圧電磁器材料の場合、一般に、焼成温度が通常1
200℃以上であるため、PbOの蒸発を回避したり、
あるいは製造コストを低減化させることが 困難になっ
ている。
【0006】本発明は、このような問題点を解決すべく
なされたもので、その技術的課題は、PbOの蒸発を回
避できる低温(1000℃以下)で焼成可能であるとと
もに、製造コストを低減化しうる圧電磁器材料を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、組成が
aPbTiO3+bPbZrO3+cPb(Mn1/3Nb
2/3)O3+dPb(Co1/3Nb2/3)O3+eCoO+
fPbOで表され、このうち主成分の比がa=22〜5
0mol%、b=18〜55mol%、c=2〜40m
ol%、d=0〜54mol%(ただし、a+b+c+
d=100)であり、副成分として、該主成分重量(主
成分を重量で100%としたとき)に対して、e=0.
1〜2.5wt%、f=0〜8wt% として添加された
圧電磁器材料が得られる。
【0008】
【実施例】以下に、実施例を挙げ、本発明の圧電磁器材
料について、図面を参照して詳細に説明する。
【0009】最初に、本発明の圧電磁器材料の概要、並
びにその具現に至る背景を簡単に説明する。この圧電磁
器材料は、組成がaPbTiO3+bPbZrO3+cP
b(Mn1/3Nb2/3)O3+dPb(Co1/3Nb2/3
3+eCoO+fPbOで表されるとともに、a=2
2〜50mol%、b=18〜55mol%、c=2〜
40mol%、d=0〜54mol% (ただし、a+
b+c+d=100)である主成分と、この主成分重量
(主成分を重量で100%としたとき)に対して、e=
0.1〜2.5wt%、f=0〜8wt%である副成分と
を含むものである。このような組成により、PbOの蒸
発を回避可能な低温(1000℃以下)で焼成可能とな
る。
【0010】一般に、PbTiO3及びPbZrO3の固
溶体に、AサイトにPbを有する複合ペロブスカイト類
を第三成分として固溶させる場合、この比率が多いほど
焼結温度は低下する。しかしながら、これらの含有率が
高くなるに従って、強誘電性を有する組成範囲では、キ
ュリー温度が低下することが多い。
【0011】多成分のPZT系圧電セラミックは、Pb
TiO3−PbZrO3に複合ペロブスカイト類を一種も
しくは複数種固溶させることにより、二成分系では得ら
れなかった誘電特性、圧電特性の改善がなされて、実用
に供されている。又、PbTiO3 −PbZrO3−Pb
(Mn1/3Nb2/3)O3系圧電セラミックは、Pb(M
1/3Nb2/3)O3を固溶させることで、数百〜数千の
機械的品質係数、及び高い誘電特性、圧電特性が得られ
ているが、実用的な組成範囲は、Pb(Mn1/ 3Nb2/3
3の比率が40mol%以下となる。これは、この値
を越えると、キュリー温度が200℃以下となり、誘電
特性及び圧電特性における温度安定性が低下するためで
ある。
【0012】本発明では、PbTiO3−PbZrO3
Pb(Mn1/3Nb2/3)O3系に、さらに第四の複合ペ
ロブスカイト類として、強誘電性であるPb(Co1/3
Nb 2/ 3)O3を固溶させることで、比較的機械的品質係
数が高く、かつ1000℃以下の低温で焼結できる組成
を見い出している。
【0013】しかしながら、PbTiO3−PbZrO3
−Pb(Mn1/3Nb2/3)O3−Pb(Co1/3
2/3)O3の組成のみでは、焼結体に巨大ボイドが生じ
易く、実用面で問題があることが明らかとなった。そこ
で、一定量のCoOを添加することで、巨大ボイドの発
生が著しく抑制され、実用的な誘電圧電特性を有する組
成となることが判明した。又、CoOは、Pb(Co
1/3Nb2/3)O3の存在しない条件下でも、単独で焼結
温度の低下を可能にすることが明らかとなった。さら
に、CoOに加えてPbOを添加すると、焼結温度を一
層低下させ得ることが確認された。
【0014】以下は、本発明の圧電磁器材料をその製造
工程を含めて具体的な実施例(比較例を含む)に基づい
て説明する。
【0015】最初に、主成分及び副成分の原料として、
PbO、TiO2、ZrO2、MnCO3、Nb25、C
oOをそれぞれ表1に示す各試料の組成となるように調
整し、これらの原料紛をジルコニアボールとともにアク
リルポット中に入れ、20時間湿式混合した。
【0016】
【表1】
【0017】次に、これらの混合粉を脱水乾燥後、アル
ミナこう鉢中で800℃の条件下で2時間予焼を行って
から、各予焼粉をアクリルポット中ジルコニアボールに
て15時間湿式粉砕した。
【0018】引き続き、蒸発乾燥して得られた予焼粉砕
粉にバインダを混合して加圧し、φ15×3mm厚に成
形した。この成形体を750〜1050℃で2時間焼成
し、各焼結体を1mmの厚さに加工した後、両面に銀ペ
ーストを塗布して450℃で焼き付けて電極を形成する
ことにより、表1に示すような、それぞれ組成の異なる
試料とした。
【0019】そこで、このようにして得られた各試料を
100℃、4kV/mm、15分で分極処理をし、比誘
電率εr、電気機械結合係数Kp、機械的品質係数Qm
を測定した。測定結果は、各試料の組成と共に表1に示
す。なお、表1において、T.S.は、焼結温度を表し、
焼結体密度ρが7.5g/cm3以上となるのに必要な最
低の焼結温度を用いた。図1に、代表的な4つの試料の
焼結温度と焼結体密度の関係について代表的な例を示
す。又、Tcはキュリー温度である。
【0020】本発明において、圧電磁器材料に関してそ
の組成範囲を限定する理由として、εr<400、Kp
<25、Qm<500、Tc<200℃の場合、実用性
に乏しいため、本発明から除外する必要がある。従っ
て、表1の結果より、 PbTiO3量aが22mol%未満では、Tcが低
い値となるため、好ましくない(試料No.11参
照)。又、50mol%を越えると、Kpが低い値とな
るため、好ましくない(試料No.14参照)。 PbZrO3量bが18mol%未満では、Kpが低
下するため、好ましくない(試料No.7参照)。又、
55mol%を越えると、εrが低い値となるため、好
ましくない(試料No.10参照)。 Pb(Mn1/3Nb2/3)O3量cが2mol%未満で
は、Qmが低下するため、好ましくない(試料No.1
参照)。又、40mol%を越えると、Kp、Tcが低
い値となるため、好ましくない(試料No.4参照)。 Pb(Co1/3Nb2/3)O3量dが54mol%を越
えると、Tcが低い値となるため、好ましくない(試料
No.6参照)。 CoO量eが主成分全重量に対して0.1wt%未満
では、焼結体に巨大ボイドが生じて組織が不均質となる
ため、好ましくない(試料No.15参照)。又、2.5
wt%を越えても、同様に組織が不均質となるため、や
はり好ましくない(試料No.18参照)。 PbO量fが8wt%を越えると、巨大ボイドが生じ
るため好ましくない(試料No.21参照)。
【0021】上記の理由により、本発明の求める特性を
有し、かつ、低温で焼結が可能な圧電磁器材料として、
aPbTiO3+bPbZrO3+cPb(Mn1/3Nb
2/3)O3 +dPb(Co1/3Nb2/3)O3 +eCoO
+fPbOの組成において、aが22〜55mol%、
b=18〜55mol%、c=2〜40mol%、d=
0〜54mol%(ただし、a+b+c+d=100)
の範囲からなる主成分に、副成分として、主成分重量に
対してeを0.1〜2.5wt%、fを0〜8wt%の範
囲で添加された材料に限定した。又、表1の試料No.
22からわかるように、Pb(Co1/3Nb2/3)O3の存
在しない条件でも、CoOは単独で焼結温度の低下に効
果があることが明らかである。次に、試料No.23か
らわかるように、試料No.22の組成に対して、さら
に、PbOを添加することによって、焼結温度をより低
下させ得ることがわかる。
【0022】
【発明の効果】以上に述べた通り、本発明によれば、主
成分及び副成分としてのPbTiO3、PbZrO3、P
b(Mn1/3Nb2/3)O3、Pb(Co1/3Nb2/3
3、CoO、PbOを所定範囲で用いることにより、
PbOの蒸発を回避できる1000℃以下の低温で焼成
可能とし、εr400以上、Kp25以上、Qm500
以上、Tc200℃以上の優れた特性を有する圧電磁器
材料を少ないエネルギーで安価に製造することが可能と
なり、工業的に有益となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における代表的な試料の焼結温
度と焼結密度の関係を示す図。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成がaPbTiO3+bPbZrO3
    cPb(Mn1/3Nb2/3)O3+dPb(Co1/3Nb
    2/3)O3+eCoO+fPbOで表され、このうち主成
    分の比が、a=22〜50mol%、b=18〜55m
    ol%、c=2〜40mol%、d=0〜54mol%
    (ただし、a+b+c+d=100)であり、副成分と
    して、該主成分重量に対してe=0.1〜2.5wt%、
    f=0〜8wt%として含有することを特徴とする圧電
    磁器材料。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040049383A (ko) * 2002-12-05 2004-06-12 주식회사 스마텍 압전 세라믹 조성물
US7305743B2 (en) 2003-11-28 2007-12-11 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Method of producing piezoelectric ceramic device
US7323073B2 (en) 2002-06-05 2008-01-29 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Piezoelectric porcelain composition, laminated piezoelectric device therefrom and process for producing the same

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KR20040049383A (ko) * 2002-12-05 2004-06-12 주식회사 스마텍 압전 세라믹 조성물
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