JPH1072652A - 高強度を有するTiAl基金属間化合物合金及びその製造方法 - Google Patents
高強度を有するTiAl基金属間化合物合金及びその製造方法Info
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- JPH1072652A JPH1072652A JP24665397A JP24665397A JPH1072652A JP H1072652 A JPH1072652 A JP H1072652A JP 24665397 A JP24665397 A JP 24665397A JP 24665397 A JP24665397 A JP 24665397A JP H1072652 A JPH1072652 A JP H1072652A
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Abstract
属間化合物の高強度を付与することを目的とする。 【解決手段】 超塑性発現のメカニズムである粒界β相
は、変態能向上化には有利であるが、実用的には水素脆
性、クリープ特性等に劣ると同時に、強度の低下をもた
らしている。本発明は、このβ相を超塑性変形加工によ
り成形品にまで仕上げた後、変態熱処理により消失さ
せ、強度の向上化を行うべく、その製造方法と成形品に
関するものである。具体的には、超塑性変態により加工
を施した成形品を1123〜1423Kにて変態熱処理
を施してβ相をγ+α2 相に変態させる。この処理によ
り、室温から1073Kまで700MPa 以上の強度が得
られる、成形加工品が製造可能となる。 【効果】 高強度を有するTiAl基金属間化合物の成
形品を提供。
Description
処理を利用して、高強度を有するTiAl基金属間化合
物合金及びその製造方法に関するもので、高比強度耐熱
構造部材への適用に利用される。
金属間化合物TiAlは、展延性に乏しいために加工が
難しい。TiAlの実用化のための最大の障害であるこ
の低加工性改善のための手法は、大別して加工プロセス
の応用と合金設計が挙げられる。低加工性とは主として
室温における延性の欠如を指し、TiAlは圧延、鍛造
といった従来行なわれている加工法を直接室温で適用す
ることはできない。
表されるニアー・ネット・シェイプ化から従来の圧延、
鍛造といった加工法も含む。これまでにCo基超合金
(S−816)を用いての高温シース圧延(1373
K,圧延速度:1.5m/min)による成型(特開昭61
−213361号公報)や、800℃以上、歪速度10
-2sec -1以下における恒温鍛造(特開昭63−1718
62号公報)等による加工形状付与化が報告されてい
る。こうした加工法の特徴は、TiAlの800℃以上
における延性能の発現を利用したものであり、TiAl
の機械的性質に及ぼす歪速度依存性と併用することによ
り、成型加工を可能にしている。但し充分な成型加工を
行なうための加工条件が、1273K以上の高温である
こと、更に歪速度をできるだけ低減化させなくてはなら
ないことから、大型設備の適用が必ずしも容易では無い
という欠点を有する。
温高圧処理による成型化が報告されている(特開昭63
−140049号公報)。この方法は上記加工プロセス
とは異なり、成型化と同時に様々な形への形状加工化が
可能であることを長所とする反面、問題点としてTiや
Alといった活性金属を用いることによる不純物混入が
不可避であるという点が指摘される。
の報告は、金属材料技術研究所によるMn添加(特開昭
61−41740号公報)、Ag添加(特開昭58−1
23847号公報)、そしてGeneral Elec
tric Corp.によるSi添加(米国特許:48
36983)、Ta添加(米国特許:484281
7)、Cr添加(米国特許:4842819)、B添加
(米国特許:4842820)が挙げられる。この中で
General Electric Corp.による
Si,Ta,Cr,Bの各合金系の成分範囲は、四点曲
げ試験による延性評価から決定しているが、いずれもチ
タンがアルミニウムと等量、あるいはアルミニウムより
も高くなっている。また、高温延性改善のために、0.
005〜0.2wt.%B添加(特開昭63−12563
4号公報)、あるいは0.02〜0.3wt.%Bと0.
2〜5.0wt.%Siを複合添加(特開昭63−125
634号公報)した報告がある。これまでのところ複合
添加による特許例はこの一件のみであるが、複数の特性
の改善をはかる上で、第4及び第5添加元素の検討も必
要になる。すなわちこれらの添加元素の効果は、延性能
改善に加え、耐酸化性の改善や耐クリープ特性の改善も
含めて、幅広い合金成分調整を行なう必要がある。延性
能の目安は室温引張伸び値が3.0%といわれている
が、どの添加元素の選択による成分設計法によっても未
だ達成されておらず、加工プロセスとの併用による微細
化等の組織制御を通した対応が不可欠と考えられる。
系と加工条件の選択によりTiAl基合金の組織制御を
行い、超塑性変形能を有した材料を設計すると同時に、
設計材料の超塑性変形能を利用して成形加工を施して最
終製品形状近くまで成形し、さらに相変態を利用した熱
処理によって高強度を持った製品を作製することであ
る。
を達成させるために多元系TiAl基金属間化合物合金
の基本力学特性、及び加工再結晶処理による組織制御材
の力学特性、そして本材料の力学特性に強く影響を及ぼ
す構成相の相安定性について、実験的且つ理論的解析を
進めた結果、以下のような課題解決手段を有効法として
見いだした。即ち、目標とする組織制御には、単なる加
工再結晶による組織微細化にとどまるのではなく、準安
定相と予想されるβ相を粒界に析出させることによりβ
+γ二相組織とし、導入歪の緩和を変形能に富むβ相に
になわせ、TiAlの持っている優れた強度を損なわ
ず、超塑性変形能を付加させることを第一段階とする。
そして第二段階として、強度特性、クリープ特性、水素
脆性、及び耐酸化特性を向上化させるために、この組織
制御超塑性変形材を相変態を利用して、γ+α2 二相組
織にする。そして、この一連のプロセスを組み込んだ加
工成形組織制御一貫プロセスを確立させることにより、
上記課題の解決手法とする。以下にその詳細について説
明する。この発明のTiAl基金属間化合物合金は、組
成が原子分率で下式により表記され、γ粒界に析出した
β相の体積分率が2〜25%であり、超塑性変形能を有
するβ+γTiAl基金属間化合物を変態熱処理して作
製された合金であって、室温〜1073Kの温度範囲で
400MPa 以上の強度を有するα2 +γ二相組織から成
る高強度を有する。 Tia Al100-a-b Crb 但し 1≦b≦5 47.5≦a≦52 2a+b≧100
成形品の一貫製造方法は、前記の様にして決定された成
分系に対し、合金の原料を溶製後、非酸化性雰囲気また
は5×10-3Torrより高真空雰囲気下で、1173K〜
固相線温度の温度にて、初期歪速度が5×10-5〜5×
10-1 sec-1、加工率60%以上の高温加工を施して、
γ粒界に析出したβ相の体積分率が2〜25%の粒界β
相を含む超塑性変形能を有するβ+γ二相合金とし、次
いで10K/minより速い冷却速度で最低873Kまで降
温した後、超塑性加工により製品成形体にまで加工し、
非酸化性雰囲気または5×10-5Torrより高真空中にて
1173K〜固相線温度の温度にて、2時間以上保持す
る変態熱処理を施し、室温〜1073Kの温度範囲で4
00MPa以上の強度を有するα2 +γ二相組織の加工成
形品を製造する高強度を有するTiAl基金属間化合物
成形品を一貫製造する。
において、粒界β相の析出は、前記第一段階の超塑性変
形能の付与のための絶対条件である。第三添加元素とし
てTiに対してβ安定化元素であるMo,V,Nb,F
e,Mnの6種を選択し、組織制御を施した結果、明瞭
な粒界析出相を観察できたのは、Crのみであったこと
から、第三添加元素としてCrを選ぶことにした。Cr
はβ相を析出させるために、Ti過剰側でAlと置換方
向に添加し、その添加量は1%(原子分率、以下同じ)
以上とする。1%未満では、粒界β相の量は超塑性変形
をおこさせるには十分とは言えず、5%を超えると、マ
トリックス内にTiとCrを主成分とする析出相が出現
し、もはやCrは粒界β相の形成には分配されないため
である。前記TiAl基金属間化合物成形品の一貫製造
方法において、前記合金の原料を溶製後、非酸化性雰囲
気または5×10-5Torrより高真空雰囲気下で、117
3K〜固相線温度の温度にて、初期歪速度が5×10-5
〜5×10-1 sec-1、加工率60%以上の高温加工を施
して、γ粒界に析出したβ相の体積分率が2〜25%の
粒界β相を含む超塑性変形能を有するβ+γ二相合金と
し、次いで10K/minより速い冷却速度で最低873K
まで降温した後、超塑性加工により製品成形体にまで加
工し、加工装置内で連続して1173K〜固相線温度の
温度にて、2〜24時間保持する変態熱処理を施し、室
温〜1073Kの温度範囲で400MPa 以上の強度を有
するα2 +γ二相組織の加工成形品を製造する高強度を
有するTiAl基金属間化合物成形品を一貫製造するよ
うにしてもよい。上記TiAl基金属間化合物成形品の
製造方法において、高温加工処理によって粒界にβ相を
析出したγ相をマトリックスとし、若干のα2 相を含む
γ+β微細二相組織とさせる。ただしこのα2 相は加工
再結晶で形成されたβ相に相変態しきれなかった一部
で、本発明において何等意味をなすことはなく、体積分
率も数%以下とごく微量である。高温加工条件の決定に
は、初期の溶解鋳造後のγ+α2 二相組織を破壊してγ
相を再結晶化させなければならない。γ相の再結晶を引
き起こすに必要な加工温度及び加工度では、熱的に変態
あるいは高温加工前に既に熱処理によって形成された析
出β相が、十分変形に耐えることができ、最終的には再
結晶γ相が粒成長過程で変形を受けたβ相を障壁とし
て、γ相粒界にβ相の偏析した組織になったと考えられ
る。このようなメカニズムはこれまでの実験結果から提
言されたものであるが、この仮説に基づき、必要な高温
加工条件を検討する。まず温度であるが、Crを第三添
加元素にした場合、溶解熱処理の段階で既にβ相が、初
期ラメラー組織のα2 相に形成されることが発明者等に
よって明らかになり、β相の形成に熱的な加工再結晶が
必ずしも必要条件ではないことが示されたことから、加
工温度はγ相の再結晶に必要な1173K以上とした。
この温度より低い場合には、γ粒の再結晶が十分に起こ
らず、β相をγ粒界に晶出させることは困難である。ま
た均一組織を得るためには加工度を60%以上とした。
この加工度より低いと未再結晶領域が形成され、粒界β
相を含有したβ+γ二相組織に十分にできず、γマトリ
ックス内部にβ相を残存してしまい、超塑性変形能の付
与が困難であるためである。一方、初期歪速度について
は5×10-1 sec-1以上では、再結晶組織に加えて加工
変形組織が形成され、やはり粒界β相を得ることができ
ないためである。また初期歪速度が5×10-5 sec-1よ
りも遅い場合には、微細再結晶γ粒が粒成長を起こし、
微細粒超塑性の効果を著しく低減して本発明のような超
塑性の発現が不可能なためである。
または真空度を5×10-3Torrより高真空とした理由
は、酸化性雰囲気またはこの真空度よりも低い真空度の
場合、TiAl基金属間化合物合金が酸化し、諸特性を
劣化させるためである。また冷却速度を10K/minより
速くした理由は、第一段落では、粒界β相を有したγ相
を高温での加工熱処理で得たのちは、そのβ相を用いて
超塑性加工を施さなければならないが、もし10K/min
より遅い冷却速度で冷却した場合、β相の一部はα2 相
とγ相に変態して超塑性変形能を損なうためである。ま
た、第二段階では超塑性加工を施した材料(β+γ)を
変態熱処理によって、α2 相とγ相にすることにより強
度を上げるものだが、この変態熱処理は温度と時間が重
要で、冷却速度はβ相を消失させるという意味では大き
な問題はない。すなわち、プロセス上の経済性を加味し
た場合、いたずらに冷却速度を遅くする必要はなく、1
0K/minより速ければ、その変態熱処理の目的は達成で
きるからである。さらに降温温度を873Kまでとした
理由は、冷却速度を遅くし、降温温度を低下させること
は、TTT図上でのラメラー組織を安定化させることと
同値であり、超塑性変形に必要なβ相をなるべく安定に
存在させておくためである。即ち、降温温度はなるべく
高温で設定し、その設定値を873Kとした。この温度
よりも低い場合ラメラー組織をより安定化させると同時
に引き続いて行う、変態熱処理に於いて再加熱の必要性
から、産業上の簡便性を確保したいがためである。
塑性変形能に優れた組織を同時に成形品にまで加工し、
第二段階では変態熱処理によってβ相を消失させる行程
である。この時の変態熱処理条件は、β相の相安定性か
ら1173K以上固相線温度以下の温度範囲において、
2時間から24時間の熱処理でよい。温度範囲をこの様
にした理由は、第一段階で形成されたβ相は熱的に準安
定状態にあり、この設定条件で容易にγ+α2 二相組織
に変態させることが可能だからである。一方1173K
よりも低い場合、変態に要する時間は長くなり、非経済
的であるためである。さらに変態熱処理によって形成さ
れたα2 相の体積分率は、初期粒界β相の体積分率に依
存する。粒界β相は、γの強度を損なうこと無しに超塑
性変形を起こさせるためには2%から25%必要であ
る。このβ相を上記変態熱処理で消失することによっ
て、形成されるα2 相は、初期β相の量と変態熱処理条
件によって必然的に5%以上40%以下となる。もし5
%以下であるとしたら、初期β相の量は2%よりも低い
か、変態熱処理条件をβ相消失以下の相変態を起こさせ
ることになる。即ち一部β相を残したことになり、強度
の向上が達成されないことと同位義である。またα2 相
が40%以上であるとしたら、初期β相の量は25%よ
りも高いか、変態熱処理が上記条件よりも長時間・高温
側にシフトしていることになる。このことは更なる高強
度化が望めない以上、何等実用上意味のあることではな
い。その理由は高強度化のメカニズムが粒界β相の相変
態によるものであって、決して他の因子は作用していな
いからである。即ち粒界β相の量が25%以内である限
り、相変態によって形成されるα2 相の体積分率は40
%を超えることが必然的にできなくなる。
いて試料をTi合金カプセルに挿入し、カプセル内部を
5×10-3Torrよりも高真空に脱気した理由は、引き続
いて行う各高温加工処理に於いて、大気雰囲気下でもで
きるように試料自体の酸化を防止する目的で、大気と接
しないようにするためである。
於いて試料をTi合金でシースした理由は、引き続いて
行う各高温加工に於いて、Ti合金のシースによって加
工組織制御を行うに必要な最低限の酸化防止が可能で、
産業上の利用に於いて簡便性が認められるからである。
ースにTi合金を使用した理由は、本材料との接触界面
での反応性が低いこと、及び加工温度に於ける強度比が
加工に適していることによる。即ち、試料とこれらカプ
セルあるいはケースとの両者に於ける強度比において、
試料強度が著しく高い場合、カプセルあるいはケースが
加工歪を担い、静水圧に近い状態での加圧ができず、最
悪の場合、試料組織制御前に破壊してしまう。またカプ
セルあるいはケース強度が試料強度よりも高い場合、加
工歪はカプセルあるいはケースの変形に費やされ、試料
への負荷が低減すると同時に、加工再結晶が進行しない
と同時に最悪の場合、カプセルあるいはケースが破壊し
てしまうからである。前記超塑性加工により製品成形体
にまで加工し、加工装置内で連続して変態熱処理を施す
ようにしてもよい。また、前記試料を挿入したTi合金
ケースの内部を5×10-3Torrよりも高真空で脱気後、
エレクトロンビーム溶接でTi合金ケースを密閉するよ
うにしてもよい。
属間化合物 1473K(1200℃)で60%加工度、初期歪速度
5×10-4s-1の恒温鍛造材 高純度Ti(99.9wt.%)、Al(99.99wt.
%)とCr(99.3wt.%)を溶解原料とし、プラズ
マ溶解によって約80mmφ×300mmの標記合金成分系
Cr添加TiAl基金属間化合物を溶製した。1373
K(1050℃)で96時間真空中にて均質化熱処理を
施した結果、結晶粒径80μmの等軸粒組織となった。
表1は均質化熱処理後の化学分析値である。このインゴ
ットから放電加工によって、35mmφ×42mmの円柱状
インゴットを切り出し、恒温鍛造を行った。鍛造は真空
雰囲気中にて、初期歪速度5×10-4s-1、試料温度1
473K(1200℃)で60%圧下した。図1に本試
料の恒温鍛造後の組織写真を示す。平均粒径18μmの
等軸微細結晶粒からなる組織と共に、結晶粒界に数μm
以下の厚みを有する粒界析出相が観察された。この粒界
相は後にβ相と同定された。鍛造後のインゴット材よ
り、ワイヤーカットにてゲージ部寸法11.5×3×2
mm3 の引張試験片を切り出し、真空雰囲気中にて歪速度
及び試験温度を変化させて引張試験を行った。各試料に
ついて試験温度、歪速度を一定にして試料破断まで試験
を行い、真応力−真歪線図を求めた。超塑性を示した結
果の一例として、1473K(1200℃)の試験温
度、5×10-4s-1の歪速度で約480%もの伸び値が
得られた。超塑性を示す試料は、ネッキングを示すこと
なくゲージ部が一様に変形しているのが観察され、粒界
β相が引張後延伸しているのが観察された。また応力の
歪速度依存性から算出される歪速度感受性指数(以下m
値)は、真応力0.1の値を用いると1273K(10
00℃)では0.31、1473K(1200℃)では
0.49という数字が得られた。これらの真応力−真歪
線図からm値を算出し温度依存性を示したのが表2であ
る。この表から1273K(1000℃)以上におい
て、m値は超塑性発現の指標である0.3を超えている
ことが明らかである。
の温度依存性を表3に示す。表3から1273K(10
00℃)以上において、伸び値が著しく向上することが
わかる。こうして得られたβ+γ二相組織をさらに、1
323Kにて12時間熱処理を施す。熱処理後の組織が
図2である。粒界β相の形態が不鮮明になったが、γ粒
の粗大化が起こっておらず、初期粒径の18μm前後で
あることがわかる。この熱処理を施した試料の1473
K(1200℃),5×10-4s-1の歪速度での引張試
験結果を表4に示す。この表から粒界β相の消失にとも
なう伸び値の低下と強度の増加が明らかである。また表
13に画像解析処理により求めた熱処理前後のα2 相及
びβ相の体積分率変化を示す。熱処理によってβ相が消
失し、α2 相が形成されるのがわかる。
属間化合物 1473K(1200℃)で60%加工度、初期歪速度
5×10-4s-1の恒温鍛造材 標記成分を実施例1と同様のプラズマ溶解法で溶製し、
同一熱処理を施した試料を、真空雰囲気中にて、初期歪
速度5×10-4s-1、試料温度1473K(1200
℃)で60%圧下の恒温鍛造を行った。表5はプラズマ
溶製熱処理後の成分分析値である。組織制御により平均
粒径約25μmの等軸微細組織が得られ、粒界には数μ
m以下の厚みを有する相が観察された。この粒界相は後
に実施例1同様にβ相と同定された。実施例1と同一方
法により高温引張試験を行い、真応力−真歪線図を求め
た。超塑性を示した結果の一例として、1473K(1
200℃),5×10-4s-1の歪速度で約470%以
上,1273K(1000℃),5×10-4s-1の歪速
度でやはり約470%以上の伸び値が得られた。超塑性
を示す試料は、ネッキングを示すことなくゲージ部が一
様に変形しているのが観察され、粒界相が引張後延伸し
ているのがみられた。また応力の歪速度依存性から算出
される歪速度感受性指数(以下m値)は、真応力0.1
の値を用いると1273K(1000℃)では0.3
3、1473K(1200℃)では0.46という数字
が得られた。これらの真応力−真歪線図からm値を算出
し温度依存性を表2に併せて示す。この表から1273
K(1000℃)以上において、m値は超塑性発現の指
標である0.3を超えていることが明らかである。
の温度依存性を表3に併せて示す。表3から1273K
(1000℃)以上において、伸び値が著しく向上する
ことがわかる。こうして得られたβ+γ二相組織をさら
に、1323Kにて12時間熱処理を施す。粒界β相の
形態が不鮮明になったが、γ粒の粗大化が起こっておら
ず、初期粒径の25μm前後であった。この熱処理を施
した試料の1473K(1200℃)、5×10-4s-1
の歪速度での引張試験結果を表4に示す。この表から粒
界β相の消失に伴う伸び値の低下と強度の増加が明らか
になった。また表13に画像解析処理により求めた熱処
理前後のα2 相及びβ相の体積分率変化を示す。熱処理
によってβ相が消失し、α2 相が形成されるのがわか
る。
化合物 1473K(1200℃)で60%加工度、初期歪速度
5×10-4s-1の恒温鍛造材 標記成分を実施例1と同様のプラズマ溶解法で溶製し、
同一熱処理を施した試料を、真空雰囲気中にて、初期歪
速度5×10-4s-1、試料温度1473K(1200
℃)で60%圧下の恒温鍛造を行った。図3に本試料の
恒温鍛造後の組織写真を示す。平均粒径25μmの等軸
微細結晶粒からなる組織が観察されたが、実施例に観察
されたような粒界相はみられなかった。表6はプラズマ
溶製熱処理後の成分分析値である。実施例1と同一方法
により高温引張試験を行い、真応力−真歪線図を求め
た。実施例で超塑性伸びの得られた試験条件の1473
K(1200℃),5×10-4s-1の歪速度で約170
%の伸び値が得られた。引張試験片は、ネッキングを示
していた。また応力の歪速度依存性から算出される歪速
度感受性指数(以下m値)は、真応力0.1の値を用い
ると1473K(1200℃)では0.20という値が
得られた。これらの真応力−真歪線図からm値を算出し
その温度依存性を表2に併せて示す。この表から本試料
は超塑性を示さないことが明らかになった。
の温度依存性を表3に実施例1と併せて示す。この表か
ら高温に於いても実施例でみられたような塑性伸びが得
られていないことが明らかである。こうして得られた組
織をさらに1323Kにて12時間熱処理を施す。熱処
理後の組織が図4である。熱処理によってγ粒の粗大化
が起こっていることがわかる。この熱処理を施した試料
の1473K(1200℃),5×10-4s-1の歪速度
での引張試験結果を表4に示す。この表からγ粒の粗大
化に伴う伸び値の低下と強度の低下が明らかである。ま
た表9に画像解析処理により求めた熱処理前後のα2 相
及びβ相の体積分率変化を示す。α2 相は熱処理に依存
しないで存在し、β相の体積分率はごく微量であること
がわかる。
間化合物 1473K(1200℃)で60%加工度、初期歪速度
5×10-4s-1の恒温鍛造材 標記成分を実施例1と同様のプラズマ溶解法で溶製し、
同一熱処理を施した試料を、真空雰囲気中にて、初期歪
速度5×10-4s-1、試料温度1473K(1200
℃)で60%圧下の恒温鍛造を行った。約32μmの等
軸微細粒組織が得られた。表7はプラズマ溶製熱処理後
の成分分析値である。実施例1と同一方法により高温引
張試験を行い、真応力−真歪線図を求めた。実施例で超
塑性伸びの得られた試験条件の1473K(1200
℃),5×10-4s-1の歪速度で約120%の伸び値が
得られ、引張試験片はネッキングを示していた。また応
力の歪速度依存性から算出される歪速度感受性指数(以
下m値)は、真応力0.1の値を用いると1473K
(1200℃)では0.20という値が得られた。これ
らの真応力−真歪線図からm値を算出しその温度依存性
を表2に併せて示す。この表から本試料は超塑性を示さ
ないことが明らかになった。
の温度依存性を表3に実施例1と併せて示す。この表3
から高温に於いても実施例でみられたような塑性伸びが
得られていないことが明らかである。こうして得られた
組織をさらに1323Kにて12時間熱処理を施す。熱
処理によってγ粒の粗大化が起こっていた。この熱処理
を施した試料の1473K(1200℃),5×10-4
s-1の歪速度での引張試験結果を表4に示す。この表か
らγ粒の粗大化に伴う伸び値の低下と強度の低下が明ら
かである。また表9に画像解析処理により求めた熱処理
前後のα2 相及びβ相の体積分率変化を示す。α2 相は
熱処理に依存しないで存在し、β相の体積分率はごく微
量であることがわかる。
5×10-4s-1の恒温鍛造材 標記成分を実施例1と同様のプラズマ溶解法で溶製し、
同一熱処理を施した試料を、真空雰囲気中にて、初期歪
速度5×10-4s-1、試料温度1473K(1200)
℃で60%圧下の恒温鍛造を行った。約26μmの等軸
微細粒組織が得られた。表8はプラズマ溶製熱処理後の
成分分析値である。実施例1と同一方法により高温引張
試験を行い、真応力−真歪線図を求めた。実施例で超塑
性伸びの得られた試験条件の1473K(1200
℃),5×10-4s-1の歪速度で約120%の伸び値が
得られ、引張試験片はネッキングを示していた。また応
力の歪速度依存性から算出される歪速度感受性指数(以
下m値)は、真応力0.1の値を用いると1473K
(1200℃)は0.20という値が得られた。これら
の真応力−真歪線図からm値を算出しその温度依存性を
表2に併せて示す。この表から本試料は超塑性を示さな
いことが明らかになった。
の温度依存性を表3に実施例1と併せて示す。この表3
から高温に於いても実施例でみられたような塑性伸びが
得られていないことが明らかである。こうして得られた
組織をさらに1323Kにて12時間熱処理を施す。熱
処理によってγ粒の粗大化が起こっていた。この熱処理
を施した試料の1473K、5×10-4s-1の歪速度で
の引張試験結果を表4に示す。この表からγ粒の粗大化
に伴う伸び値の低下と強度の低下が明らかである。また
表9に画像解析処理により求めた熱処理前後のα2 相及
びβ相の体積分率変化を示す。α2 相は熱処理に依存し
ないで存在し、β相の体積分率はごく微量であることが
わかる。
るが、以下に成分系に関するその他の比較例及び変態熱
処理の際の雰囲気、温度、時間、冷却速度に関する実施
例、比較例を表10に示す。また表10中には全ての実
施例、比較例の変態熱処理後の1073Kでの引張強度
も併せて掲載する。
高い強度および伸びの優れた材料特性を示している。こ
れに対して、比較例では、強度または伸びのいずれかの
みが高く、構造材料として不適当である。
は、高い超塑性変形能を有し、更に高比強度、耐熱性を
備えている。
鍛造後の金属組織写真。
金属組織写真。
Claims (9)
- 【請求項1】 組成が原子分率で下式により表記され、
γ粒界に析出したβ相の体積分率が2〜25%であり、
超塑性変形能を有するβ+γTiAl基金属間化合物を
変態熱処理して作製された合金であって、室温〜107
3Kの温度範囲で400MPa 以上の強度を有するα2 +
γ二相組織から成る高強度を有するTiAl基金属間化
合物合金。 Tia Al100-a-b Crb 但し 1≦b≦5 47.5≦a≦52 2a+b≧100 - 【請求項2】 α2 相の体積分率が5〜40%である請
求項1記載のTiAl基金属間化合物合金。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載の合金の原料を
溶製後、非酸化性雰囲気または5×10-3Torrより高真
空雰囲気下で、1173K〜固相線温度の温度にて、初
期歪速度が5×10-5〜5×10-1 sec-1、加工率60
%以上の高温加工を施して、γ粒界に析出したβ相の体
積分率が2〜25%の粒界β相を含む超塑性変形能を有
するβ+γ二相合金とし、次いで10K/minより速い冷
却速度で最低873Kまで降温した後、超塑性加工によ
り製品成形体にまで加工し、非酸化性雰囲気または5×
10-5Torrより高真空中にて1173K〜固相線温度の
温度にて、2時間以上保持する変態熱処理を施し、室温
〜1073Kの温度範囲で400MPa 以上の強度を有す
るα2 +γ二相組織の加工成形品を製造する高強度を有
するTiAl基金属間化合物成形品の一貫製造方法。 - 【請求項4】 前記高温加工が恒温鍛造であり、試料を
Ti合金ケースに挿入し、恒温鍛造を大気中で行う請求
項3記載のTiAl基金属間化合物成形品の一貫製造方
法。 - 【請求項5】 前記試料を挿入したTi合金ケースの内
部を5×10-3Torrよりも高真空で脱気後、エレクトロ
ンビーム溶接でTi合金ケースを密閉して恒温鍛造を行
う請求項4記載のTiAl基金属間化合物成形品の一貫
製造方法。 - 【請求項6】 前記高温加工が圧延であり、試料をTi
合金ケースに挿入し、圧延を大気中で行う請求項3記載
のTiAl基金属間化合物成形品の一貫製造方法。 - 【請求項7】 前記試料を挿入したTi合金ケースの内
部を5×10-3Torrよりも高真空で脱気後、エレクトロ
ンビーム溶接でTi合金ケースを密閉して圧延する請求
項6記載のTiAl基金属間化合物成形品の一貫製造方
法。 - 【請求項8】 前記高温加工が熱間押出しであり、試料
をTi合金ケースに挿入し、熱間押出しを大気中で行う
請求項3記載のTiAl基金属間化合物成形品の一貫製
造方法。 - 【請求項9】 前記試料を挿入したTi合金ケースの内
部を5×10-3Torrよりも高真空で脱気後、エレクトロ
ンビーム溶接でTi合金ケースを密閉して熱間押出しを
行う請求項8記載のTiAl基金属間化合物成形品の一
貫製造方法。
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---|---|---|---|
JP24665397A JP3328557B2 (ja) | 1997-09-11 | 1997-09-11 | 高強度を有するTiAl基金属間化合物合金及びその製造方法 |
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JPH1072652A true JPH1072652A (ja) | 1998-03-17 |
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Family
ID=17151627
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JP24665397A Expired - Lifetime JP3328557B2 (ja) | 1997-09-11 | 1997-09-11 | 高強度を有するTiAl基金属間化合物合金及びその製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3328557B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004303593A (ja) * | 2003-03-31 | 2004-10-28 | Mitsubishi Materials Corp | リチウム二次電池用負極材料及びその製造方法 |
JP2007131949A (ja) * | 2005-11-09 | 2007-05-31 | United Technol Corp <Utc> | 鋳放しのγ‐TiAl合金プリフォームおよびγ‐TiAl薄板の製造方法 |
CN111975003A (zh) * | 2020-08-14 | 2020-11-24 | 西北工业大学 | 一种钛铝合金全片层组织的调控方法 |
-
1997
- 1997-09-11 JP JP24665397A patent/JP3328557B2/ja not_active Expired - Lifetime
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