JPH1068441A - 防振支持装置 - Google Patents

防振支持装置

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Publication number
JPH1068441A
JPH1068441A JP8227098A JP22709896A JPH1068441A JP H1068441 A JPH1068441 A JP H1068441A JP 8227098 A JP8227098 A JP 8227098A JP 22709896 A JP22709896 A JP 22709896A JP H1068441 A JPH1068441 A JP H1068441A
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JP
Japan
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leaf spring
magnetic path
path member
fluid chamber
vibration
Prior art date
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Pending
Application number
JP8227098A
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English (en)
Inventor
Shigeki Sato
佐藤  茂樹
Takeshi Kimura
健 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Filing date
Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】出力低下や装置大型化等を避けつつ、さらに耐
久性を向上させる。 【解決手段】板バネ11を、磁路部材12が固定される
中央部11Aと、周縁部11Bと、これら中央部11A
及び周縁部11B間の中間部11Cとで構成さする。中
間部11Cには、磁路部材12から離れる方向に凸の凸
部11Dと、磁路部材12に近づく方向の凸の凹部11
Eとを形成し、凸部11D及び凹部11Eは中央部11
Aを包囲するように円形に連続させる。つまり、中間部
11Cは中央部11Aを中心に波紋が広がるような波形
に湾曲させる。磁路部材12の板バネ11側の面は、板
バネ11の中央部11Aの裏面側に当接してリベット1
1aにより固定される平坦な平坦部12Aと、その平坦
部12Aに角が形成されないように滑らかに連続し、平
坦部12Aから離れるに従って徐々に磁路部材12が薄
くなるように傾斜して磁路部材12外周部にまで至る斜
面部12Bとで構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば車両のエ
ンジン等のように振動を発する振動体を車体等の支持体
に防振しつつ支持する装置に関し、特に、振動体及び支
持体間に介在する支持弾性体によって流体室を画成し、
その流体室の隔壁の一部を形成する可動部材を電磁アク
チュエータの磁力によって変位させることにより前記流
体室の容積を変化させ、もって能動的な支持力を発生さ
せるようになっている防振支持装置において、出力低下
や装置大型化等を避けつつ、耐久性の向上を図ったもの
である。
【0002】
【従来の技術】一般に車両のパワーユニットを支持する
ために用いられる防振支持装置であるエンジンマウント
には、主として、アイドル振動やこもり音振動及び加速
時騒音振動等に対して良好な防振機能が発揮されること
が要求されるが、これら各種の振動のうち、20〜30
Hz程度の比較的大振幅の振動であるアイドル振動を低減
するためにエンジンマウントに要求される特性は、高動
バネ定数で且つ高減衰であるのに対し、80〜800Hz
程度の比較的小・中振幅の振動であるこもり音振動・加
速時騒音振動を低減するためにエンジンマウントに要求
される特性は、低動バネ定数で且つ低減衰である。従っ
て、通常の弾性体のみからなるエンジンマウントや従来
の流体封入式のエンジンマウントでは、全ての振動を防
振することは困難である。
【0003】そこで、例えば特開平3−24338号公
報に開示されるように、能動的な支持力を発生可能な流
体封入式の防振支持装置が従来から存在する。即ち、こ
の公報に記載された防振支持装置は、振動体及び支持体
間に介在する支持弾性体と、この支持弾性体によって画
成された流体室とを有し、その流体室には流体を封入す
る一方、流体室の容積を変動可能に可動板を弾性支持し
ている。そして、その可動板を、永久磁石及び電磁石か
らなる電磁アクチュエータによって適宜変位させて流体
室の容積を変動させ、支持弾性体を拡張方向に弾性変形
させて、防振支持装置に伝達される振動を相殺し得る制
御力を発生させていた。可動板は、外周部がハウジング
側に挟み込まれた円形の板バネによって弾性保持されて
おり、その板バネの支持力と永久磁石による磁力とが釣
り合う所定の中立位置まで電磁アクチュエータ側に引き
寄せられるから、電磁石が発生する磁力を適宜調整して
電磁アクチュエータ全体の磁力を適宜増減させれば、可
動板が変位して流体室の容積を変化させることができる
のである。
【0004】ここで、上記公報に開示された従来の防振
支持装置にあっては、図11(a)に示すように、板バ
ネSの周縁部をハウジングHに上下方向から挟み込んで
支持しているため、可動板が変位する振動低減制御時の
板バネSの応力σは、図11(b)に示すように、その
ハウジングHに挟み込まれた部分に集中してしまい、板
バネSのハウジングHに挟み込まれた部分に経時劣化が
生じ易く、板バネの耐久性が問題となることが判った。
【0005】このような問題点を解決するために、本出
願人が先に提案した特開平8−159211号公報の図
6,同特開平8−109946号公報の図1,同特開平
8−14320号公報の図3に開示された板バネが有益
である。即ち、これら各図に開示された板バネSは、図
12(a)に示すように、その周縁部をハウジングHに
上下から挟み込んで支持するとともに、その支持部より
も径方向内側の部分を波形に湾曲させている。かかる構
成であれば、板バネSの波形に湾曲した部分に屈曲が生
じ易くなるから、図12(b)に示すように、板バネS
の支持部分の応力集中が緩和されて略板バネS全体に応
力分布が分散されるようになる。これにより、板バネの
特定に部分に経時劣化が生じ易いということがなくなる
から、板バネの耐久性にとって有利になるのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】確かに、本出願人が先
に提案した上記公報の各図に描かれるような板バネの形
状であれば、応力集中を緩和できるから、板バネの耐久
性を向上させることはできる。しかし、板バネに波形の
湾曲部を形成すると、その波形に湾曲した部分は上下に
突出することになるから、板バネの中央部に固定された
磁路部材と衝突して異音が発生する可能性が高くなって
しまう。そこで、磁路部材の周縁部を例えば本出願人が
先に提案した上記公報の各図に開示されるように切り欠
いて、板バネの波形に湾曲した部分と磁路部材との衝突
を避けることが考えられる。
【0007】しかしながら、上記特開平8−15921
1号公報の図6や同特開平8−109946号公報の図
1に開示されるように、磁路部材の中央部と外周部との
間に段差を設け、外周部よりも盛り上がった中央部を板
バネに固定するような構成では、確かに板バネの波形に
湾曲した部分と磁路部材との衝突を避けることはできる
が、磁路部材の外周部分が薄くなってしまうため、その
磁路部材内の磁路断面積が小さくなってしまい、磁束が
局所的に飽和して磁力特性が損なわれ、十分な制御力を
確保することにとって支障になるという不具合がある。
なお、このような不具合を避けるためには、磁路部材の
中央部を厚くすることにより、外周部を相対的に薄くし
て段差を形成して十分な磁路断面積を確保することが考
えられるが、これでは防振支持装置全体の高さが増加し
てしまうため、極力小さいことが望ましいエンジンマウ
ントとして適用する場合等には極めて不利な構造となっ
てしまう。
【0008】また、上記特開平8−14320号公報の
図3に開示されるように、磁路部材の外周部を斜めに切
り欠くような構成とすれば、磁路部材内の磁路断面積を
極端に小さくせずに済む。
【0009】そこで、本発明者等は、磁路部材の外周部
を斜めに切り欠いた構成の防振支持装置についてさらに
実験等を重ねたところ、次のような不具合が発見され
た。即ち、磁路部材の外周部を単に斜めに切り欠いた構
成では、磁路部材の板バネ側の面の中央部と斜面との間
に角が形成されてしまうため、磁路部材の変位に伴い、
その磁路部材の角部分の板バネへの食い込みが繰り返さ
れ、板バネに磨耗が生じて耐久性が低下してしまうので
ある。
【0010】本発明は、このような未解決の課題に着目
してなされたものであって、板バネの耐久性を、上述し
た各公報に開示されるような従来の防振支持装置よりも
さらに向上させることができる防振支持装置を提供する
ことを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明は、振動体及び支持体間に介在
する支持弾性体と、この支持弾性体によって画成された
流体室と、この流体室内に封入された流体と、前記流体
室の隔壁の一部を形成し且つその流体室の容積を変化さ
せる方向に変位可能な可動部材と、前記可動部材を前記
方向に変位させる力を発生する電磁アクチュエータと、
を備えた防振支持装置において、前記可動部材を、前記
振動体及び支持体のうち前記電磁アクチュエータが取り
付けられる側に周縁部が支持された板バネと、磁化可能
な材料からなり且つ前記板バネの中央部の前記電磁アク
チュエータと対向する側の面に固定された磁路部材と、
を含んで構成するとともに、前記板バネの周縁部と中央
部との間の中間部を前記方向へのバネ定数が小さくなる
ように波形に湾曲させ、前記磁路部材の前記板バネ側の
面を、前記板バネの中央部に当接し固定される平坦部
と、その平坦部に滑らかに連続し且つ平坦部から離れる
に従ってこの磁路部材が徐々に薄くなるように傾斜する
斜面部とで構成した。
【0012】また、請求項2に係る発明は、上記請求項
1に係る発明である防振支持装置において、前記板バネ
の中間部を、前記板バネの中央部を中心に波紋が広がる
ような波形に湾曲させた。
【0013】そして、請求項3に係る発明は、上記請求
項2に係る発明である防振支持装置において、前記板バ
ネの中間部のうち、前記磁路部材の前記斜面部を覆う部
分を、前記波形に湾曲させた。
【0014】さらに、請求項4に係る発明は、上記請求
項3に係る発明である防振支持装置において、前記波形
に湾曲させた部分のうち最も前記板バネの中央部に近い
部分を、前記板バネが前記磁路部材から離れる方向に湾
曲させた。
【0015】また、請求項5に係る発明は、上記請求項
4に係る発明である防振支持装置において、前記磁路部
材の平坦部から斜面部に移行する位置を境に、前記板バ
ネの中間部を波形に湾曲させた。
【0016】一方、請求項6に係る発明は、上記請求項
1〜5に係る発明である防振支持装置において、前記板
バネの周縁部を変位可能に支持した。そして、請求項7
に係る発明は、上記請求項1〜6に係る発明である防振
支持装置において、オリフィスを介して前記流体室に連
通する容積可変の副流体室を設けるとともに、前記流体
室,前記オリフィス及び前記副流体室内に流体を封入し
た。
【0017】ここで、請求項1に係る発明にあっては、
磁路部材を弾性支持する板バネに、磁路部材の変位方向
へのバネ定数が小さくなるように波形に湾曲した部分を
形成しているため、図12を伴って説明したように、板
バネの応力集中を緩和することができる。また、磁路部
材の板バネ側の面を、中央側の平坦部と、その外側の斜
面部とで構成しているため、板バネの波形に湾曲した部
分と磁路部材との衝突を避けることができ、しかも、磁
路部材内の磁路断面積を極端に小さくせずに済む。
【0018】そして、磁路部材の平坦部と斜面部とを滑
らかに接続しているから、それら中央部と斜面部との間
に角が形成されない。このため、磁路部材が変位しても
板バネに食い込みが生じることもない。
【0019】請求項2に係る発明にあっては、板バネ中
間部の磁路部材変位方向へのバネ定数を、確実に小さく
できる。請求項3に係る発明にあっては、磁路部材の斜
面部と板バネとの間のスペースに、その板バネの波形に
湾曲した部分が位置することになるから、特に磁路部材
の変位方向のスペースを有効に活用でき、防振支持装置
の小型化にとって有利になる。
【0020】請求項4に係る発明にあっては、板バネの
波形に湾曲した部分の最も内側の部分は、先ず磁路部材
から離れる方向に湾曲しているから、板バネの波形に湾
曲した部分と磁路部材との衝突をより確実に避けること
ができる。特に、請求項5に係る発明のように、磁路部
材の平坦部と斜面部との境目から、板バネの波形に湾曲
した部分を立ち上げるようにすれば、板バネの応力をよ
り均等に分散することができる。
【0021】請求項6に係る発明にあっては、磁路部材
の変位に伴い、板バネ周縁部の支持位置が変化するか
ら、応力集中をさらに緩和できる。請求項7に係る発明
にあっては、オリフィスを介して流体室と副流体室との
間を連通させているため、そのオリフィスを介して流体
室及び副流体室間で流体の往来が可能な周波数の振動に
対しては、受動的な支持力を発生する流体封入式の防振
支持装置として機能させることができる。そこで、例え
ばオリフィス内の流体を質量とし、支持弾性体の拡張方
向バネ及び副流体室を形成する隔壁をバネとした流体共
振系の減衰が最大となる周波数を、特定周波数に一致又
は略一致させれば、その特定周波数近傍の振動に対して
は、高減衰特性の防振支持装置として機能させることが
できる。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、板バネの応力集中を緩
和することができ、板バネの波形に湾曲した部分と磁路
部材との衝突を避けることができ、磁路部材内の磁路断
面積を極端に小さくせずに済み、しかも磁路部材が変位
しても板バネに食い込みが生じることもないから、出力
低下や装置大型化等の不具合を招くことなく、板バネの
耐久性を向上できるという効果がある。
【0023】特に、請求項3に係る発明であれば、装置
の大型化を避けるためにさらに有利な構造である。ま
た、請求項4に係る発明であれば、異音発生等をより確
実に防止できる。請求項5に係る発明であれば、板バネ
の応力をより均等に分散することができるから、その耐
久性の向上にとってさらに有利である。
【0024】請求項6に係る発明であっても、板バネ周
縁部への応力集中をさらに緩和できるから、その耐久性
の向上にとってさらに有利である。請求項7に係る発明
であれば、受動的な支持力を発生する通常の流体封入式
の防振支持装置としても機能させることができるから、
種々の振動に対して良好な防振効果を発揮することもで
きる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1乃至図3は本発明の第1の実
施の形態の構成を示す図であって、この実施の形態は、
本発明に係る防振支持装置を、エンジンから車体に伝達
される振動を能動的に低減する所謂アクティブエンジン
マウントに適用したものである。なお、図1はエンジン
マウント1の全体構成を示す断面図、図2はこのエンジ
ンマウント1を実際に搭載した状態を示す全体構成図で
ある。
【0026】先ず、構成を説明すると、エンジンマウン
ト1は、振動体としてのエンジン30への取付け用のボ
ルト2aを上部に一体に備え且つ内部が空洞で下部が開
口したキャップ2を有し、このキャップ2の下部外面に
は、軸が上下方向を向く内筒3の上端部がかしめ止めさ
れている。
【0027】この内筒3の内側には、キャップ2及び内
筒3内部の空間を上下に二分するように、キャップ2及
び内筒3のかしめ止め部分に一緒に挟み込まれてダイア
フラム4が配設されている。ダイアフラム4の上側の空
間は、キャップ2の側面に孔を開けることにより大気圧
に通じている。
【0028】さらに、内筒3の内側にはオリフィス構成
体5が配設されている。なお、本実施の形態では、内筒
3内面及びオリフィス構成体5間には、薄膜状の弾性体
(ダイアフラム4の外周部を延長させたものでもよい)
が介在している。
【0029】このオリフィス構成体5は、内筒3の内部
空間に整合して略円柱形に形成されていて、その上面に
は円形の凹部5aが形成されている。そして、その凹部
5aと、内筒3下方の空間との間が、オリフィス5bを
介して連通するようになっている。オリフィス5bは、
例えば、オリフィス構成体5の外周面に沿って螺旋状に
延びる溝と、その溝の一端部を凹部5aに連通させる流
路と、その溝の他端部を内筒3下方の空間に連通させる
流路とで構成される。
【0030】一方、内筒3の外周面には、内周面側が若
干上方に盛り上がった肉厚円筒状の支持弾性体6の内周
面が加硫接着されていて、その支持弾性体6の外周面
は、上端側が拡径した外筒7の内周面上部に加硫接着さ
れている。
【0031】そして、外筒7の下端側は、電磁アクチュ
エータ10の上部に強固に固定されている。具体的に
は、電磁アクチュエータ10は、円筒形の鉄製のヨーク
10Aと、このヨーク10Aの中央部に軸を上下に向け
て巻き付けられた励磁コイル10Bと、ヨーク10Aの
励磁コイル10Bに包囲された部分の上面に極を上下に
向けて固定された永久磁石10Cと、から構成されてい
て、ヨーク10Aの上端面外周部に形成されたフランジ
部10aに、外筒7下端部がかしめ止めにより固定され
ている。ヨーク10Aの下端面は、取付ボルト9によっ
て、車体36に弾性支持される支持体としてのメンバ3
5に固定されている。
【0032】また、外筒7とヨーク10Aのフランジ部
10aとのかしめ止め部分には、円形の金属製の板バネ
11の周縁部が挟み込まれていて、その板バネ11の中
央部の電磁アクチュエータ10側には、磁化可能な材料
(例えば、鉄)からなる円形の磁路部材12が固定され
ている。なお、磁路部材12は、その底面が電磁アクチ
ュエータ10に近接するような厚みに形成されている。
【0033】板バネ11及び磁路部材12の形状をさら
に詳述すると、図3に拡大図示するように、板バネ11
は、下面側に磁路部材12が固定される平坦な中央部1
1Aと、外筒7下端部及びヨーク10Aのかしめ止め部
に挟み込まれる平坦な周縁部11Bと、これら中央部1
1A及び周縁部11B間の中間部11Cと、で構成され
ていて、中間部11Cは波形に湾曲している。かかる波
形に湾曲した中間部11Cは、磁路部材12から離れる
方向に凸の凸部11Dと、磁路部材12に近づく方向の
凸の凹部11Eと、を有していて、これら凸部11D及
び凹部11Eは、中央部11Aを包囲するように円形に
連続している。つまり、中間部11Cは、中央部11A
を中心に波紋が広がるような波形に湾曲している。ま
た、中間部11Cの凸部11D及び凹部11Eは、凸部
11Dの方が中央部11Aの近傍に位置している。
【0034】一方、磁路部材12は、上述したように円
形の金属板であるが、その板バネ11側の面は、板バネ
11の中央部11Aの裏面側に当接してリベット11a
により固定される平坦な平坦部12Aと、その平坦部1
2Aに角が形成されないように滑らかに連続し、平坦部
12Aから離れるに従って徐々に磁路部材12が薄くな
るように傾斜して磁路部材12外周部にまで至る斜面部
12Bと、で構成されている。なお、斜面部12Bは、
曲率半径の大きい凸曲面となっている。
【0035】そして、板バネ11の中間部のうち、特に
磁路部材12の斜面部12Bを覆う部分に、凸部11D
及び凹部11Eを形成している。また、内側に位置する
凸部11Dの中央部11A側の屈曲開始位置を、磁路部
材12の中央部12Aと斜面部12Bとの境に位置させ
ている。つまり、凸部11Dは、磁路部材12の中央部
12Aから斜面部12Bに移行する位置を境に、磁路部
材12から離れる方向に屈曲を開始するような形状とな
っている。
【0036】ここで、本実施の形態では、支持弾性体6
の下面及び板バネ11の上面によって画成された部分に
流体室15が形成され、ダイアフラム4及び凹部5aに
よって画成された部分に副流体室16が形成されてい
て、これら流体室15及び副流体室16間が、オリフィ
ス構成体5に形成されたオリフィス5bを介して連通し
ている。なお、これら流体室15,副流体室16及びオ
リフィス5b内には、油等の流体が封入されている。
【0037】かかるオリフィス5bの流路形状等で決ま
る流体マウントとしての特性は、走行中のエンジンシェ
イク発生時、つまり5〜15Hzで能動型エンジンマウン
ト1が加振された場合に高動バネ定数、高減衰力を示す
ように調整されている。
【0038】そして、電磁アクチュエータ10の励磁コ
イル10Bは、コントローラ20から図示しないハーネ
スを通じて供給される電流である駆動信号yに応じて所
定の電磁力を発生するようになっている。コントローラ
20は、マイクロコンピュータ,必要なインタフェース
回路,A/D変換器,D/A変換器,アンプ等を含んで
構成され、エンジンシェイクよりも高周波の振動である
アイドル振動やこもり音振動・加速時振動がメンバ35
に入力されている場合には、その振動を低減できる能動
的な支持力が能動型エンジンマウント1に発生するよう
に、能動型エンジンマウント1に対する駆動信号yを生
成し出力するようになっている。
【0039】アイドル振動やこもり音振動は、例えばレ
シプロ4気筒エンジンの場合、エンジン回転2次成分の
エンジン振動がメンバ35に伝達されることが主な原因
であるから、そのエンジン回転2次成分に同期して駆動
信号yを生成し出力すれば、車体側振動の低減が可能と
なる。そこで、本実施の形態では、エンジン30のクラ
ンク軸の回転に同期した(例えば、レシプロ4気筒エン
ジンの場合には、クランク軸が180度回転する度に一
つの)インパルス信号を生成し基準信号xとして出力す
るパルス信号生成器21を設けていて、その基準信号x
が、エンジン30における振動の発生状態を表す信号と
してコントローラ20に供給されるようになっている。
【0040】一方、メンバ35には、エンジンマウント
1の取り付け位置に近接して、メンバ35の振動状況を
加速度の形で検出し残留振動信号eとして出力する加速
度センサ22が固定されていて、その残留振動信号e
が、干渉後における振動を表す信号としてコントローラ
20に供給されるようになっている。
【0041】そして、コントローラ20は、供給される
残留振動信号e及び基準信号xに基づき、適応アルゴリ
ズムの一つである同期式Filtered−X LMS
アルゴリズムを実行することにより、能動型エンジンマ
ウント1に対する駆動信号yを演算し、その駆動信号y
を能動型エンジンマウント1に出力するようになってい
る。
【0042】具体的には、コントローラ20は、フィル
タ係数Wi (i=0,1,2,…,I−1:Iはタップ
数)可変の適応ディジタルフィルタWを有していて、最
新の基準信号xが入力された時点から所定のサンプリン
グ・クロックの間隔で、その適応ディジタルフィルタW
のフィルタ係数Wを順番に駆動信号yとして出力する一
方、基準信号x及び残留振動信号eに基づいて適応ディ
ジタルフィルタWのフィルタ係数Wi を適宜更新する処
理を実行するようになっている。
【0043】適応ディジタルフィルタWの更新式は、F
iltered−X LMSアルゴリズムに従った下記
の(1)式のようになる。 Wi (n+1)=Wi (n)−μRT e(n) ……(1) ここで、(n),(n+1)が付く項はサンプリング時
刻n,n+1における値であることを表し、μは収束係
数である。また、更新用基準信号RT は、理論的には、
基準信号xを、能動型エンジンマウント1の電磁アクチ
ュエータ10及び加速度センサ22間の伝達関数Cを有
限インパルス応答型フィルタでモデル化した伝達関数フ
ィルタC^でフィルタ処理した値であるが、基準信号x
の大きさは“1”であるから、伝達関数フィルタC^の
インパルス応答を基準信号xに同期して次々と生成した
場合のそれらインパルス応答波形のサンプリング時刻n
における和に一致する。
【0044】また、理論的には、基準信号xを適応ディ
ジタルフィルタWでフィルタ処理して駆動信号yを生成
するのであるが、基準信号xの大きさが“1”であるた
め、フィルタ係数Wi を順番に駆動信号yとして出力し
ても、フィルタ処理の結果を駆動信号yとしたのと同じ
結果になる。
【0045】これらコントローラ20における演算は実
際にはマイクロプロセッサ内で実行されるものである
が、その機能構成としては、基準信号xが入力された時
点から適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数Wi
駆動信号yとして順次出力する駆動信号出力部と、基準
信号xと伝達関数フィルタC^とを畳み込んで更新用基
準信号RT を演算する更新用基準信号演算部と、更新用
基準信号RT と残留振動信号eとに基づいて上記(1)
式に従って適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数
i を更新するフィルタ係数更新部とを有する。
【0046】次に、本実施の形態の動作を説明する。即
ち、エンジンシェイク発生時には、オリフィス5aの流
路形状等を適宜選定している結果、この能動型エンジン
マウント1は高動バネ定数,高減衰力の支持装置として
機能するため、エンジン30側で発生したエンジンシェ
イクが能動型エンジンマウント1によって減衰され、メ
ンバ35側の振動レベルが低減する。なお、エンジンシ
ェイクに対しては、特に可動板12を積極的に変位させ
る必要はない。
【0047】一方、オリフィス5a内の流体がスティッ
ク状態となり流体室15及び副流体室16間での流体の
移動が不可能になるアイドル振動周波数以上の周波数の
振動が入力された場合には、コントローラ20は、所定
の演算処理を実行し、電磁アクチュエータ10に駆動信
号yを出力し、能動型エンジンマウント1に振動を低減
し得る能動的な支持力を発生させる。
【0048】つまり、コントローラ20から能動型エン
ジンマウント1の電磁アクチュエータ10に対しては、
基準信号xが入力された時点から、サンプリング・クロ
ックの間隔で、適応ディジタルフィルタWのフィルタ係
数Wi が順番に駆動信号yとして供給される。
【0049】この結果、励磁コイル10Bに駆動信号y
に応じた磁力が発生するが、磁路部材12には、既に永
久磁石10Cによる一定の磁力が付与されているから、
その励磁コイル10Bによる磁力は永久磁石10Cの磁
力を強める又は弱めるように作用すると考えることがで
きる。つまり、励磁コイル10Bに駆動信号yが供給さ
れていない状態では、磁路部材12は、板バネ11によ
る支持力と、永久磁石10Cの磁力との釣り合った中立
の位置に変位することになる。そして、この中立の状態
で励磁コイル10Bに駆動信号yが供給されると、その
駆動信号yによって励磁コイル10Bに発生する磁力が
永久磁石10Cの磁力と逆方向であれば、磁路部材12
は電磁アクチュエータ10とのクリアランスが増大する
方向に変位する。逆に、励磁コイル10Bに発生する磁
力が永久磁石10Cの磁力と同じ方向であれば、磁路部
材12は電磁アクチュエータ10とのクリアランスが減
少する方向に変位する。
【0050】このように磁路部材12は正逆両方向に変
位可能であり、磁路部材12が変位すれば主流体室15
の容積が変化し、その容積変化によって支持弾性体6の
拡張バネが変形するから、この能動型エンジンマウント
1に正逆両方向の能動的な支持力が発生するのである。
【0051】そして、駆動信号yとなる適応ディジタル
フィルタWの各フィルタ係数Wi は、同期式Filte
red−X LMSアルゴリズムに従った上記(1)式
によって逐次更新されるため、ある程度の時間が経過し
て適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wi が最
適値に収束した後は、駆動信号yが能動型エンジンマウ
ント1に供給されることによって、エンジン30から能
動型エンジンマウント1を介してメンバ35側に伝達さ
れるアイドル振動やこもり音振動が低減されるようにな
るのである。
【0052】さらに、本実施の形態では、板バネ11及
び磁路部材12の形状を図3に拡大図示したように形成
しているため、下記のような利点がある。先ず、板バネ
11の中間部11Cを波形に湾曲させているため、中間
部11Cのバネ定数、特に磁路部材12の変位方向であ
る上下方向へのバネ定数が低くなっているため、かかる
中間部11Cにも、磁路部材12の上下変位に伴って屈
曲が生じ易くなっている。この結果、図12(a),
(b)を伴って説明したように、板バネ11の応力集中
が緩和されるから、その耐久性向上にとって有利であ
る。
【0053】また、磁路部材12の上面側に平坦部12
A及び斜面部12Bを形成し、その斜面部12B上に、
中間部11Cの凸部11D及び凹部11Eを位置させて
いるため、特に磁路部材12側に盛り上がった凹部11
Eと磁路部材12との衝突を避けることができる。つま
り、凹部11Eと磁路部材12との衝突を避けるために
は、斜面部12Bを形成しなくても、凹部11Eを磁路
部材12の外周部よりもさらに外側に位置させればよい
のであるが、これでは、磁路部材12の大きさをそのま
まにするのであればエンジンマウント1の幅方向の寸法
が増大してしまうし、エンジンマウント1の幅方向寸法
をそのままにするのであれば磁路部材12の径方向寸法
が小さくなって電磁アクチュエータ10との整合が採れ
なくなってしまう。
【0054】さらに、磁路部材12から離れる側に盛り
上がっている凸部11Dを中央部11A寄りに位置さ
せ、それよりも外側に凹部11Eを形成しているから、
凹部11Eは、磁路部材12のより薄くなった部分に対
向することになり、その凹部11Eと磁路部材12との
衝突をより確実に防止できる。つまり、図4に示すよう
に、中間部11Cの中央部11A側の位置を磁路部材1
2に近づく方向に湾曲させることにより、凹部11Eを
凸部11Dよりも中央部11A側に位置させてしまう
と、磁路部材12側に盛り上がった凹部11Eが斜面部
12Bの比較的厚い部分に対向することとなって、磁路
部材12の多少の変位でも凹部11Eが磁路部材12に
衝突し、異音発生の原因となってしまうのである。
【0055】凹部11Eと磁路部材12との衝突を避け
るためには、例えば、図5(a)に示すように、中央部
12Aの外側に段差を形成することにより磁路部材12
の周辺部分を薄くすることも考えられるが、これでは、
磁路部材12内の特に段差下側の断面積が小さくなって
その部分の磁気抵抗が大きくなってしまい、電磁アクチ
ュエータ10で発生し磁路部材12内を流れる磁束が局
所的に飽和して、磁気特性が低下してしまい十分な支持
力が発生しなくなる。
【0056】これに対し、本実施の形態の構成であれ
ば、図5(b)に示すように、平坦部12A及び斜面部
12B間に段差を付けていないため、磁気回路12内の
磁気抵抗を小さいままにできるから、電磁アクチュエー
タ10が発する磁束の飽和を有効に回避できるという利
点もある。
【0057】なお、中央部12Aの外側に段差を形成す
る構成であっても、図6(a)に示すように、磁路部材
12の厚さ自体を十分に大きくすれば、磁束の局所的な
飽和を回避することはできるが、本実施の形態の構成で
ある図6(b)と比較すれば明らかなように、磁路部材
12の特に中央部12Aが大きく上側に突出することに
なって、それだけエンジンマウント1の高さ寸法が大き
くなってしまう不具合がある。
【0058】このように、本実施の形態における磁路部
材12の形状であれば、エンジンマウント1の高さ方向
への寸法増大を招くことなく、電磁アクチュエータ10
が発する磁束の飽和を有効に回避できるのである。
【0059】また、磁路部材12の中央部12Aと斜面
部12Bとを、角が出来ないように滑らかに接続してい
るから、磁路部材12が上下方向に変位するのに伴っ
て、板バネ11の中間部11Cの中央部11A寄りの部
分が、磁路部材12上面と接触・非接触を繰り返すよう
になっても、板バネ11に磁路部材12が食い込んでこ
れが磨耗するようなことがない。そして、これによって
も、板バネ11の耐久性向上が図られる。
【0060】さらに、本実施の形態では、板バネ11の
中間部11Cの波形に湾曲した部分を、磁路部材12の
中央部12Aから斜面部12Bに移行する位置を境に形
成しているため、その波形に湾曲した部分を、可能な範
囲で最も径方向内側に配することができる。すると、板
バネ11の波形に湾曲した部分と周縁部11Bとの間
を、板バネ11の径方向寸法が一定という条件下で最大
限に広くできるが、図12に示したように、板バネ11
の波形に湾曲した部分と周縁部11Bとの間に応力が略
均一に分布するようになることから、各部分の応力をよ
り小さくして板バネ11の耐久性をさらに向上させるこ
とができるのである。
【0061】ここで、本実施の形態にあっては、板バネ
11及び磁路部材12によって可動部材が構成される。
図7は、本発明の第2の実施の形態を示す図であって、
エンジンマウント1の構成を示す断面図である。なお、
上記第1の実施の形態と同等の部材,部位には同じ符号
を付し、その重複する説明は省略する。
【0062】即ち、本実施の形態のエンジンマウント1
は、上下方向に軸を向けた円筒形のケース40を有して
いて、そのケース40の上端部が外筒7の上端部に上側
からかしめ止めされ、そのケース40の下端部がヨーク
部10Aの下端面に底板41と共にかしめ止めされてい
る。そして、底板41を下向きに貫通する取付ボルト4
2を介して、このエンジンマウント1は図示しないメン
バ側に固定される。
【0063】また、外筒7は、その軸方向中央部に径方
向内側に凹んだ小径部7Aを有していて、その小径部7
Aの外側に位置するように、ケース40内面には薄膜弾
性体43がリング状の空洞44を形成するように固定さ
れている。空洞44は、ケース40側面に形成された図
示しない貫通孔を介して大気圧に通じている。
【0064】一方、小径部7Aの内側には、流体室15
内側に張り出すように、断面コ字形のリング状のオリフ
ィス構成体45が固定されていて、そのオリフィス構成
体45内面と外筒7内面との間がオリフィス45aとな
っている。ただし、本実施の形態では、オリフィス構成
体45と外筒7との間には、支持弾性体6に連続する薄
膜弾性体6aが介在している。
【0065】オリフィス45aは、オリフィス構成体4
5の周方向の任意の位置に形成された図示しない貫通孔
を介して流体室15に通じるとともに、そのオリフィス
構成体45の貫通孔から周方向に例えば180度ずれて
薄膜弾性体6a及び外筒7に形成された図示しない貫通
孔を介して、小径部7A外面及び薄膜弾性体43間に画
成される副流体室16に通じている。そして、本実施の
形態では、オリフィス45aの流路形状等で決まる流体
マウントとしての特性を、走行中のエンジンシェイク発
生時、つまり5〜15Hzで能動型エンジンマウント1が
加振された場合に高動バネ定数、高減衰力を示すように
調整している。
【0066】また、外筒7下端面とヨーク部10A上面
との間には、隙間調整リング46が介在していて、支持
弾性体6側のエンジン荷重が、外筒7から隙間調整リン
グ46を通じてヨーク10Aに入力されるようになって
いる。そして、ヨーク10A下面と底板41との間に
は、荷重センサ47が配設されていて、この荷重センサ
47の検出結果が、コントローラ20に残留振動信号e
として供給されるようになっている。即ち、ヨーク10
Aに入力されたエンジン30側の荷重の一部は、底板4
1の周縁部を通じてその底板41に入力され、そこから
メンバ35側に伝達されるが、ヨーク10Aに入力され
たエンジン30側の荷重の他の一部は、荷重センサ47
を通じて底板41に入力され、そこからメンバ35側に
伝達されるから、荷重センサ47の検出値は、このエン
ジンマウント1を通じた振動を表すことになる。よっ
て、荷重センサ47の出力を残留振動信号eとすれば、
上記第1の実施の形態と同様の振動低減制御が実行でき
る。
【0067】そして、隙間調整リング46は、上側リン
グ46A及び下側リング46Bの二つに分割されてい
て、それら上側リング46A及び下側リング46B間
に、板バネ11の周縁部11Bが挟み込まれて固定され
ている。なお、上側リング46Bの板バネ11側の面に
は、シールリング46Cが埋め込まれている。また、板
バネ11の中央部11Aの下面側には、板バネ11の上
面側から差し込まれるネジ11bによって磁路部材12
が固定されている。板バネ11及び磁路部材12の詳細
な形状等は、上記第1の実施の形態と同様である。
【0068】このような構成であっても、板バネ11及
び磁路部材12の形状等を上記第1の実施の形態と同様
にしているため、上記第1の実施の形態と同様の作用効
果を得ることができる。また、副流体室16を外筒7の
外側に形成しているため、副流体室16やオリフィス構
成体5を流体室15の上側に配置した上記第1の実施の
形態の構成に比べて、エンジンマウント1の高さ寸法を
低くできるという利点もある。
【0069】さらに、オリフィス構成体45を、流体室
15の略上下方向中央部にて径方向内側に出っ張る形状
としているため、その流体室15内が、オリフィス構成
体45を境に上下に二分された構造となっている。する
と、そのオリフィス構成体45の内径部分の空間をオリ
フィス45bと考えれば、オリフィス構成体45を境に
形成された二つの流体室が、オリフィス45bを介して
連通させた構造が得られている。そこで、オリフィス4
5b内の流体を質量とし、支持弾性体6の拡張方向バネ
及び板バネ11をバネとした流体共振系を考え、その流
体共振系の共振周波数を適宜チューニングすれば、さら
に種々の振動周波数に対して良好な防振効果を発揮でき
るエンジンマウント1とすることができる。
【0070】図8は、本発明の第3の実施の形態を示す
図であって、エンジンマウント1の構成を示す断面図で
ある。なお、上記第1,第2の実施の形態と同等の部
材,部位には同じ符号を付し、その重複する説明は省略
する。
【0071】即ち、本実施の形態のエンジンマウント1
は、上記第2の実施の形態と略同等の構成であって、異
なるのは、隙間調整リング46内に設けていたシールリ
ング46Cを省略するとともに、上側リング46A及び
下側リング46B間に挟み込まれる板バネ11の周縁部
11Bを、径方向に変位可能としている。なお、周縁部
11Bに大きなエンジン荷重が加わると、周縁部11B
の変位は不可能になるから、例えば、周縁部11Bに径
方向に伸びる多数のスリットを形成し、それらスリット
内に上側リング46A及び下側リング46B間で荷重を
伝達する間座を介在させて、周縁部11Bに大きな荷重
が加わらないようにする。
【0072】なお、周縁部11Bの変位が可能になる
と、流体室15内の流体が周縁部11Bの外側を回り込
んで板バネ11の可能にも入り込んでしまうから、流体
の漏れを防止するために、本実施の形態では、板バネ1
1の外周面と下側リング46Bの内周面との間に、バネ
定数の低いリング状の弾性体50を介在させている。
【0073】このような構成であっても、上記第1,第
2の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、本実施の形態の構成であれば、磁路部材12の上
下変位に伴い、板バネ11の周縁部11Bが半径方向に
変位するから、応力が集中する部位自体が僅かではある
が状況毎に異なって、板バネ11の応力集中をさらに緩
和してその耐久性をより向上させることができるのであ
る。
【0074】なお、上記各実施の形態では、板バネ11
の中間部11Cを、中央部11A側から、凸部11Dと
凹部11Eとが順に並ぶように波形に湾曲させている
が、波形の形状はこれに限定されるものではない。例え
ば、図9(a)に示すように、中央部11A側から凸
部,凹部,凸部,凹部が並ぶ形状であってもよいし、図
9(b)に示すように、中央部11A側から凹部,凸
部,凸部,凹部が並ぶ形状であってもよいし、図9
(c)に示すように、中央部11A側から凸部,凹部,
凹部,凸部が並ぶ形状であってもよいし、図9(d)に
示すように、中央部11A側から凹部,凸部,凹部,凸
部が並ぶ形状であってもよいし、図9(e)に示すよう
に、中央部11A側から凹部,凸部が並ぶ形状であって
もよい。
【0075】また、上記各実施の形態では、磁路部材1
2の斜面部12Bを曲率半径の大きな略平面に近い凸曲
面としているが、斜面図12Bの形状はこれに限定され
るものではなく、例えば、図10(a)に示すように、
磁路部材12の平坦部12Aと外周面12Cとを結ぶ大
きな曲率半径の凸曲面で斜面部12Bを形成してもよい
し、或いは、図10(b)に示すように、磁路部材12
の裏面側に至るまで凸曲面が連続するような斜面部12
Bとしてもよい。
【0076】そして、上記各実施の形態では、本発明に
係る防振支持装置を、エンジン30を支持するエンジン
マウント1に適用した場合を示しているが、本発明に係
る防振支持装置の適用対象はエンジンマウント1に限定
されるものではなく、例えば振動を伴う工作機械の防振
支持装置等であってもよい。
【0077】また、上記各実施の形態では、電磁アクチ
ュエータ10をメンバ35側に取り付けているため、板
バネ11の周縁部11Bはメンバ35側としてのヨーク
部10A等に支持させているが、電磁アクチュエータ1
0をエンジン30側に取り付ける構造のエンジンマウン
ト1の場合には、板バネ11の周縁部11Bはエンジン
30側となる例えばキャップ2に支持させることにな
る。
【0078】さらに、上記各実施の形態では、オリフィ
ス5a等によって得られる流体共振をも利用して防振効
果を得るようにしているが、かかる流体共振による防振
効果が不要な場合には、オリフィス構成体5aやダイア
フラム4等は設けなくてもよい。
【0079】そして、上記各実施の形態では、駆動信号
yを同期式Filtered−XLMSアルゴリズムに
従って生成しているが、適用可能なアルゴリズムはこれ
に限定されるものではなく、例えば、通常のFilte
red−X LMSアルゴリズムであってもよいし、周
波数領域のLMSアルゴリズムであってもよい。そし
て、系の特性が安定しているのであれば、LMSアルゴ
リズム等の適応アルゴリズムを用いることなく、係数固
定のディジタルフィルタ或いはアナログフィルタによっ
て駆動信号yを生成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるエンジンマ
ウントの断面図である。
【図2】エンジンマウントの配設状態を示す全体構成図
である。
【図3】図1の要部拡大図である。
【図4】比較例を示す断面図である。
【図5】実施の形態の有利な点を説明する断面図であ
る。
【図6】実施の形態の有利な点を説明する断面図であ
る。
【図7】第2の実施の形態におけるエンジンマウントの
断面図である。
【図8】第3の実施の形態におけるエンジンマウントの
断面図である。
【図9】板バネの他の例を示す断面図である。
【図10】磁路部材の他の例を示す断面図である。
【図11】平らな板バネの不具合を説明する図である。
【図12】板バネを波形に湾曲させた場合の利点を説明
する図である。
【符号の説明】
1 エンジンマウント(防振支持装置) 5a オリフィス 6 支持弾性体 10 電磁アクチュエータ 11 板バネ 11A 中央部 11B 周縁部 11C 中間部 11D 凸部 11E 凹部 12 磁路部材 12A 平坦部 12B 斜面部 15 流体室 16 副流体室 20 コントローラ 30 エンジン(振動体) 35 メンバ(支持体)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動体及び支持体間に介在する支持弾性
    体と、この支持弾性体によって画成された流体室と、こ
    の流体室内に封入された流体と、前記流体室の隔壁の一
    部を形成し且つその流体室の容積を変化させる方向に変
    位可能な可動部材と、前記可動部材を前記方向に変位さ
    せる力を発生する電磁アクチュエータと、を備えた防振
    支持装置において、 前記可動部材を、前記振動体及び支持体のうち前記電磁
    アクチュエータが取り付けられる側に周縁部が支持され
    た板バネと、磁化可能な材料からなり且つ前記板バネの
    中央部の前記電磁アクチュエータと対向する側の面に固
    定された磁路部材と、を含んで構成するとともに、前記
    板バネの周縁部と中央部との間の中間部を前記方向への
    バネ定数が小さくなるように波形に湾曲させ、前記磁路
    部材の前記板バネ側の面を、前記板バネの中央部に当接
    し固定される平坦部と、その平坦部に滑らかに連続し且
    つ平坦部から離れるに従ってこの磁路部材が徐々に薄く
    なるように傾斜する斜面部とで構成したことを特徴とす
    る防振支持装置。
  2. 【請求項2】 前記板バネの中間部を、前記板バネの中
    央部を中心に波紋が広がるような波形に湾曲させた請求
    項1記載の防振支持装置。
  3. 【請求項3】 前記板バネの中間部のうち、前記磁路部
    材の前記斜面部を覆う部分を、前記波形に湾曲させた請
    求項2記載の防振支持装置。
  4. 【請求項4】 前記波形に湾曲させた部分のうち最も前
    記板バネの中央部に近い部分を、前記板バネが前記磁路
    部材から離れる方向に湾曲させた請求項3記載の防振支
    持装置。
  5. 【請求項5】 前記磁路部材の平坦部から斜面部に移行
    する位置を境に、前記板バネの中間部を波形に湾曲させ
    た請求項4記載の防振支持装置。
  6. 【請求項6】 前記板バネの周縁部を変位可能に支持し
    た請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の防振支持装
    置。
  7. 【請求項7】 オリフィスを介して前記流体室に連通す
    る容積可変の副流体室を設けるとともに、前記流体室,
    前記オリフィス及び前記副流体室内に流体を封入した請
    求項1乃至請求項6のいずれかに記載の防振支持装置。
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