JPH1068043A - 高速変形下における耐脆性破壊特性に優れた構造用耐火鋼材 - Google Patents

高速変形下における耐脆性破壊特性に優れた構造用耐火鋼材

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JPH1068043A
JPH1068043A JP13505397A JP13505397A JPH1068043A JP H1068043 A JPH1068043 A JP H1068043A JP 13505397 A JP13505397 A JP 13505397A JP 13505397 A JP13505397 A JP 13505397A JP H1068043 A JPH1068043 A JP H1068043A
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JP
Japan
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brittle fracture
steel material
under high
speed deformation
steel
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Nobuyuki Ishikawa
信行 石川
Yasuo Kobayashi
泰男 小林
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JFE Engineering Corp
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐火性能を維持しつつ、活断層タイプの大地震
等で生じる高速変形下においても、耐脆性破壊特性が優
れた構造用鋼を提供する。 【解決手段】重量比で、C:0.03〜0.20%、S
i:0.05〜2.0%、Mn:0.3〜2.0%、A
l:0.001〜0.1%、Mo:0.1〜0.7%を
含有し、S:0.005%未満、O:0.003%以下
に規制し、さらにNb:0.005〜0.2%、V:
0.01〜0.3%、Ti:0.003〜0.1の1種
または2種以上を含有する高速変形下における耐脆性破
壊特性に優れた構造用耐火鋼材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は火災などで高温状態
になることが懸念される建造物に使用する鋼材に係り、
特に地震等で生じる高速変形下においても優れた耐脆性
破壊特性が要求される建造物への利用に適した構造用耐
火鋼材に関する。
【0002】
【従来の技術】構造用鋼材は、通常常温で所定の強度を
有するように製造されているが,一般に温度の上昇にと
もない強度は低下し、特に従来の構造用鋼は500℃程
度の高温状態で顕著な強度低下を示すことが知られてい
る。そのため、火災などで高温状態になることが懸念さ
れる建造物、特に人間が居住する建築物では、高温状態
でも構造物が倒壊したり、著しく変形することがないよ
うにし、安全を確保するために、鋼材の温度が著しく高
くならないように耐火被覆が施されている。
【0003】しかし、耐火被覆による工法は建造物の建
築コストの上昇や、工期の長期化を招くため、鋼材その
ものに耐火性能を付与した構造用鋼材に対する要求され
ている。そのため、特開平2−77523号公報、特開
平2−163341号公報、特開平3−197420号
公報等には、Mo,V等の合金元素を添加することによ
り、高温でも強度特性が優れている構造用鋼が開示され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、1994年
1月のアメリカ・ノースリッジ地震や1995年1月の
阪神淡路大地震では多くの鉄骨構造物が甚大な被害を受
けたが、その特徴的な破壊形態として、柱−梁接合部や
スカラップ部等の形状不連続部からの脆性破壊があげら
れる。柱−梁接合部やスカラップ部等では通常、溶接施
工がなされており、溶接金属の止端部や未溶着部、また
は溶接欠陥等が応力集中源となり破壊の起点になりやす
い。また、ノースリッジ地震や阪神淡路大地震は活断層
タイプの地震で電源が近かったために、揺れの速度が非
常に速く、変形速度は歪速度で1〜10/秒にも達して
いたと考えられている。
【0005】鋼材が高速変形を受けた場合、通常の静的
な変形速度に比較し延性脆性遷移温度が上昇するといわ
れているが、ノースリッジ地震や阪神淡路大地震でみら
れた破壊は、柱−梁接合部やスカラップ部等の応力集中
部に高速の変形が加わったため、その部分の延性脆性遷
移温度が上昇し、常温でも脆性破壊を生じたためと考え
られる。
【0006】前述した様な耐火用鋼材においても、建築
物などの安全性が求められる建造物に利用される場合に
は、地震等の高速変形時に脆性破壊が生じないことが望
まれるが、前記特開平2−77523号公報、特開平2
−163341号公報、特開平3−197420号公報
等に開示された構造用耐火鋼材では、地震等の高速変形
時に脆性破壊に対しては何ら検討がなされていない。
【0007】本発明は上記した問題点を解決するために
成されたものであり、耐火性能を維持しつつ、活断層タ
イプの大地震等で生じる高速変形下においても、耐脆性
破壊特性が優れた構造用鋼を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは高速変形下
での鋼材の破壊特性について鋭意研究を重ねた結果、以
下の知見を得るに至った。鋼材が塑性変形する場合、塑
性変形に要したエネルギーが熱エネルギーに変わるが、
高速変形下では熱伝導により熱が散逸する時間が少ない
ため、鋼材の温度が上昇する。そして、塑性変形量が多
いほどそれによる発熱も大きくなる。一般に温度が高い
ほど鋼材のシャルピー吸収エネルギーが高くなるととも
に、脆性破面率が低下するが、柱−梁接合部やスカラッ
プ部等の応力集中部が高速変形下でも十分に塑性変形す
れば、応力集中部の温度が上昇し、高速変形による延性
脆性遷移温度の上昇、つまり脆性破面率の上昇を抑制で
きることから、阪神淡路大地震等において見られたよう
な脆性破壊を防ぐことが可能となる。
【0009】しかし、鋼材の塑性変形能は、JIS・Z
2201に規定された平行部を有する引張試験片により
求まる絞り値や延びで評価されるのが一般的であるが、
柱−梁接合部やスカラップ部等で見られる溶接金属の止
端部や未溶着部、または溶接欠陥等の周辺は高い3軸応
力状態にあるため、このような応力集中部、すなわち高
い3軸応力状態での塑性変形能は、従来の平行部を有す
る引張試験片では正しく評価できない。そこで、高い3
軸応力状態での塑性変形能を評価する方法について検討
を重ねた結果、柱−梁接合部やスカラップ部等で見られ
る溶接金属の止端部や未溶着部、または溶接欠陥等の周
辺の応力集中状態に相当する応力集中係数を有する切欠
付試験片を用いて引張試験を行えば、その時の絞り値に
よって、応力集中部での塑性変形能を正しく評価できる
ことがわかった。
【0010】従来の建築用鋼材から採取した切欠底の曲
率半径が0.25mmの切欠付試験片(図1、応力集中
係数α=6.7)を用いて、引張試験を行ったときの脆
性破面率と温度の関係を図2に示す。評点間の平均歪速
度が0.001/秒(静的変形)と10/秒(地震時の
高速変形に対応)の2条件で行ったが、静的変形に比べ
高速変形の方が脆性破面率が高く、延性脆性破面遷移温
度が上昇していることが明らかであり、ノースリッジ地
震や阪神淡路大地震でみられたような、高速変形下での
破壊挙動が再現されていることがわかる。
【0011】しかし、同一の鋼材で切欠底半径が2.0
mmの切欠丸棒試験片(応力集中係数α=3.0)を用
いて同様の試験を行った結果を図3に示したが、静的変
形、高速変形ともにいずれの温度でも脆性破壊を生じて
いない。これは、切欠部の応力集中が十分でなく、柱−
梁接合部やスカラップ部等で見られるような応力状態を
再現できていないために、破壊の発生点が切欠底でな
く、試験片中心部になったためである。
【0012】図4は応力集中係数の異なる試験片で試験
温度:0℃、静的条件で引張試験を行ったときの脆性破
面率とそのときの破壊起点を示したものである。応力集
中係数が5以上の場合は全て切欠底から破壊が発生して
おり、脆性的破面が見られるのに対し、それ未満の応力
集中係数では試験片中心部からの破壊となっており、柱
−梁接合部やスカラップ部等の応力集中部からの破壊を
再現できていないことが明らかである。このように引張
試験に用いる切欠試験片は一定値以上の応力集中係数を
有することが必要である。
【0013】そして、上記の切欠付試験片を用いて静的
条件で引張試験を行った場合の絞り値が、一定値以上と
なる鋼材であれば、高速変形下においても十分に塑性変
形するため応力集中部の温度が上昇し、耐脆性破壊特性
を高めることが可能となるものである。
【0014】ここで、鋼の脆性破壊に対する抵抗につい
ては、従来JIS・Z2242に規定されたシャルピー
衝撃試験等によって評価されている。しかし、シャルピ
ー衝撃試験では変形速度による破壊挙動の違いを比較す
ることはできず、地震で見られるような高速変形による
脆性破面率の上昇に対する抵抗力、すなわち高速変形下
での耐脆性破壊特性を評価することは不可能である。
【0015】また鋼の塑性変形能、すなわち延性に対し
て硫化物系及び酸化物系介在物が悪影響を及ぼすことは
以前より知られており、通常、S及びOは材質が劣化し
ない程度まで低減されている。しかし、柱−梁接合部や
スカラップ部等で見られる溶接金属の止端部や未溶着
部、または溶接欠陥等の周辺は高い3軸応力状態にある
ため、通常の引張試験で評価されるような伸びや絞り値
が低下しない程度のS量またはO量であっても、硫化物
系及び酸化物系介在物がミクロボイドの発生起点とな
り、延性亀裂が進展しやすくなるため、十分な塑性変形
能が得られない場合がある。そのため、応力集中部での
塑性変形能を高めるためにはS量またはO量を厳しく制
限する必要がある。
【0016】すなわち本発明は上記した知見をもとにな
されたものであり、その要旨は (1)重量比で、C:0.03〜0.20%、Si:
0.05〜2.0%、Mn:0.3〜2.0%、Al:
0.001〜0.1%、Mo:0.1〜0.7%を含有
し、S:0.005%未満、O:0.003%以下に規
制し、さらにNb:0.005〜0.2%、V:0.0
1〜0.3%、Ti:0.003〜0.1の1種または
2種以上を含有することを特徴とする、高速変形下にお
ける耐脆性破壊特性に優れた構造用耐火鋼材。
【0017】(2)重量比で、C:0.03〜0.20
%、Si:0.05〜2.0%、Mn:0.3〜2.0
%、Al:0.001〜0.1%、Mo:0.1〜0.
7%を含有し、S:0.005%未満、O:0.003
%以下に規制し、さらにNb:0.005〜0.2%、
V:0.01〜0.3%、Ti:0.003〜0.1の
1種または2種以上を含有する鋼であって、応力集中係
数が5以上となる切欠を有する試験片を用いた引張試験
において、静的載荷条件で30%以上の絞り値を有する
ことを特徴とする、高速変形下における耐脆性破壊特性
に優れた構造用耐火鋼材。
【0018】(3)重量比で、さらに、Cu:0.02
〜1.5%、Ni:0.02〜1.5%、Cr:0.0
2〜1.5%、Zr:0.003〜0.3%、B:0.
0005〜0.005%の1種または2種以上を含有す
ることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の高
速変形下における耐脆性破壊特性に優れた構造用耐火鋼
材である。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に本発明における各構成要件
の限定理由を説明する。 C:0.03〜0.20% Cは鋼材の強度を確保するために必要な元素であるが、
0.03%未満では強度が不足し、0.20%を越えて
添加すると溶接性を損ねるので、その含有量を0.03
〜0.20%とした。
【0020】Si:0.05〜2.0% Siは鋼材の強度を高めるとともに製鋼過程における脱
酸剤として必要であるが、0.05%未満ではその効果
が不十分であり、2.0%を越えて添加すると溶接部の
靭性を劣化させるので、その含有量を0.05〜2.0
%とした。
【0021】Mn:0.3〜2.0% Mnは鋼材の強度を高めるために添加されるが、0.3
%未満では強度が不足し、2.0%を越えて添加すると
中心偏析が多くなり板厚中央の靭性が劣化するため、そ
の含有量を0.3〜2.0%とした。
【0022】Al:0.001〜0.1% Alは脱酸剤として必要であるが、0.001%未満で
は脱酸が不十分であり、0.1%を越えて添加されると
連鋳スラブの表面疵の原因となるため、その含有量を
0.001〜0.1%とした。
【0023】Mo:0.1〜0.7% Moは焼入性の向上、析出硬化等により鋼の強度を向上
させる有効な元素であり、特に中・高温強度に対して有
効である。しかし、0.1%未満では十分な効果が得ら
れず、0.7%を越えて添加すると溶接性が低下するだ
けでなく、コスト的にも不利になるため、その含有量を
0.1〜0.7%とした。
【0024】S:0.005%未満 Sは硫化物系介在物を生成する元素であるが、柱−梁接
合部やスカラップ部等の応力集中部のような高い3軸応
力状態では、硫化物系介在物がミクロボイドの発生起点
となり、延性亀裂発生進展を助長するため、応力集中部
での塑性変形能が著しく低下する。しかし、0.005
%未満では問題ないので、その含有量を0.005%未
満とした。
【0025】O:0.003%以下 Oは酸化物系介在物となって鋼中に存在するが、酸化物
系介在物と同様にミクロボイドの発生起点となり、延性
亀裂発生進展を助長するため、応力集中部での塑性変形
能が著しく低下する。しかし、0.003%以下では問
題ないので、その含有量の上限を0.003%とした。
【0026】Nb:0.005〜0.2% Nbは常温強度に有効なだけでなく、中・高温強度の上
昇に対して最も有効な元素である。しかし、その添加量
が0.005%未満では必要な中・高温強度が得られ
ず、0.2%を越えて添加すると溶接性が劣化するた
め、その含有量を0.005〜0.2%とした。
【0027】V:0.01〜0.3% VはNbと同様に常温強度に有効なだけでなく、中・高
温強度の上昇に対して最も有効な元素である。しかし、
その添加量が0.01%未満では必要な中・高温強度が
得られず、0.3%を越えて添加すると溶接性が劣化す
るため、その含有量を0.005〜0.2%とした。
【0028】Ti:0.003〜0.1% TiもNb,Vと同様に常温強度に有効なだけでなく、
中・高温強度の上昇に対して最も行こうな元素である。
しかし、その添加量が0.003%未満では必要な中・
高温強度が得られず、0.1%を越えて添加すると溶接
性が劣化するため、その含有量を0.005〜0.2%
とした。
【0029】本発明では上記の合金元素のほかに、鋼材
の強度・靭性を高めるためにCu,Ni,Cr,Zr,
Bの1種または2種以上を含有してもよいが、以下にそ
の成分の限定理由を述べる。
【0030】Cu:0.02〜1.5% Cuは強度・靭性の向上に有効であるとともに、耐候性
を向上する元素である。しかし、0.02%未満ではそ
の効果が得られず、1.5%を越えて添加すると熱間加
工性が低下するだけでなく、表面疵が発生しやすくなる
ので、その含有量を0.02〜1.5%とした。
【0031】Ni:0.02〜1.5% Niは靭性の向上に極めて有効な元素であるが、その添
加量が0.02%未満では効果が得られず、また非常に
高価な元素であることから1.5%を越えて添加すると
コスト的に不利になるため、その含有量を0.02〜
1.5%とした。
【0032】Cr:0.02〜1.5% Crは強度向上に有効な元素であるが、その添加量が
0.02%未満では効果が得られず、1.5%を越えて
添加すると溶接性が低下するので、その含有量を0.0
2〜1.5%とした。
【0033】Zr:0.003〜0.3% Zrは、炭窒化物を形成し、結晶粒微細化に有効な元素
である。しかし、0.003%未満ではその効果が得ら
れず、また、0.3%を越えて添加しても効果が飽和す
るとともにコスト上昇になるので、その含有量を0.0
03〜0.3%とした。
【0034】B:0.0005〜0.005% Bは、微量添加で常温強度上昇に有効な元素である。し
かし、0.0005%未満ではその効果が得られず、
0.005%を越えて添加しても焼入れ性向上効果は小
さくなるとともに溶接性を劣化させることから、その含
有量を0.0005〜0.005%とした。
【0035】そして、本発明の構造用耐火鋼材は、さら
に応力集中係数が5以上となる切欠を有する試験片を用
いた引張試験において、静的載荷条件下で30%以上の
絞り値を有する。
【0036】応力集中係数が5以上となる切欠を有する
試験片を用いるのは、応力集中係数が5未満の切欠を有
する試験片あるいは切欠のない試験片では、高速変形下
(歪速度で0.1/秒以上)での耐脆性破壊特性を評価
することは不可能であるためである。また、静的載荷条
件下で引張試験を行ったときの絞り値が30%以上と限
定した理由は、切欠引張試験での絞り値が30%未満で
は応力集中部の塑性変形能が不足しているため、地震な
どにより生じる高速変形下において、柱−梁接合部やス
カラップ部等で見られる応力集中部の温度上昇が小さ
く、延性脆性遷移温度が上昇、すなわち脆性破面率が増
加することにより、脆性破壊を生じやすくなる恐れがあ
るためである。なお、切欠引張試験片は応力集中係数が
5以上であれば任意の形状のものを使用することができ
る。また,応力集中係数αはNeuberの算出式に基
づいて以下の式で求めるものとする。 α=1+2(a/ρ)1/2 a:切欠の深さ,ρ:切欠
先端の曲率半径
【0037】
【発明の実施例】以下に、本発明の実施例について説明
する。表1に示した成分の鋼を用いて、種々のプロセス
により板厚25mmの鋼板を製造した。製造プロセス
は、製造圧延まま、制御圧延及び載加熱焼入焼戻しであ
る。表2にこれらの鋼板の常温及び600℃での引張特
性を示した。ここで、引張試験片は板厚1/4位置で、
圧延方向に平行な方向から採取した。
【0038】本発明鋼であるA〜Mは600℃において
も高い降伏応力を有しており、耐火特性に優れているこ
とが明らかである。一方、N,O,PはMoまたはN
b,V,Tiの添加量が不足しているため、600℃に
おいては降伏応力が著しく低下している。また、Q〜T
はSまたはOが本発明の範囲から外れているが、Moま
たはNb,V,Tiが添加されているため高温でも十分
な特性が得られている。
【0039】次に、A〜M及びQ〜Tの鋼板を用いて、
板厚1/4位置、圧延方向に平行な方向から、図1に示
したような切欠底の曲率半径:0.15mm〜2.0m
m(応力集中係数:8.3〜3.0)の切欠を有する試
験片を採取した。そして、評点間の平均歪速度で0.0
01/秒の静的引張試験、及び平均歪速度10/秒の高
速引張試験を行い、引張強度、絞り値及び脆性破面率を
測定した。そして、高速変形による脆性破面率の変化量
より、耐脆性破壊特性を評価した。なお、試験温度は全
て0℃で行った。
【0040】これらの結果を表3にまとめて示した。本
発明鋼であるA〜Mは応力集中係数が5以上の場合、い
ずれも静的引張試験での絞り値が30%以上であり、高
速引張試験においては脆性破面率が変化しないか、また
は低下していることから、本発明鋼は高速変形下での耐
脆性破壊特性に優れていることが明らかである。また、
A,B,C,D鋼において本発明範囲よりも小さい応力
集中係数の試験片で試験を行った場合は、絞り値は高く
なるが試験片中央部からの延性破壊となり、脆性破面率
の変化を評価できない。一方、比較鋼であるQ〜Tはい
ずれも成分が本発明範囲から外れており、静的引張試験
での絞り値も本発明の範囲より小さいため、高速引張試
験では脆性破面率が大幅に増加している。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【発明の効果】以上に示したように、本発明によれば耐
火特性が優れていると同時に、高速変形下においても応
力集中部の脆性破面率が増加する現象が起きず、耐脆性
破壊特性に優れた鋼材を提供することが可能であり、地
震などで高速変形を受けるような建造物の利用に適して
いるといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で使用した応力集中係数が6.7の環状
切欠を有する切欠丸棒試験片の形状を示す図。
【図2】切欠丸棒試験片(応力集中係数α=6.7)を
用いた引張試験での脆性破面率と温度の関係の例を示し
た図。
【図3】切欠丸棒試験片(応力集中係数α=3.0)を
用いた引張試験での脆性破面率と温度の関係の例を示し
た図。
【図4】応力集中係数の異なる試験片で試験温度:0
℃、静的条件で引張試験を行ったときの脆性破面率とそ
のときの破壊起点を示す図。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比で、C:0.03〜0.20%、
    Si:0.05〜2.0%、Mn:0.3〜2.0%、
    Al:0.001〜0.1%、Mo:0.1〜0.7%
    を含有し、S:0.005%未満、O:0.003%以
    下に規制し、さらにNb:0.005〜0.2%、V:
    0.01〜0.3%、Ti:0.003〜0.1の1種
    または2種以上を含有することを特徴とする、高速変形
    下における耐脆性破壊特性に優れた構造用耐火鋼材。
  2. 【請求項2】 重量比で、C:0.03〜0.20%、
    Si:0.05〜2.0%、Mn:0.3〜2.0%、
    Al:0.001〜0.1%、Mo:0.1〜0.7%
    を含有し、S:0.005%未満、O:0.003%以
    下に規制し、さらにNb:0.005〜0.2%、V:
    0.01〜0.3%、Ti:0.003〜0.1の1種
    または2種以上を含有する鋼であって、応力集中係数が
    5以上となる切欠を有する試験片を用いた引張試験にお
    いて、静的載荷条件で30%以上の絞り値を有すること
    を特徴とする、高速変形下における耐脆性破壊特性に優
    れた構造用耐火鋼材。
  3. 【請求項3】 重量比で、さらに、Cu:0.02〜
    1.5%、Ni:0.02〜1.5%、Cr:0.02
    〜1.5%、Zr:0.003〜0.3%、B:0.0
    005〜0.005%の1種または2種以上を含有する
    ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の高速
    変形下における耐脆性破壊特性に優れた構造用耐火鋼
    材。
JP13505397A 1996-06-19 1997-05-26 高速変形下における耐脆性破壊特性に優れた構造用耐火鋼材 Pending JPH1068043A (ja)

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