JPH10673A - 樹脂枠体付き板状体の製造方法 - Google Patents

樹脂枠体付き板状体の製造方法

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JPH10673A
JPH10673A JP8155753A JP15575396A JPH10673A JP H10673 A JPH10673 A JP H10673A JP 8155753 A JP8155753 A JP 8155753A JP 15575396 A JP15575396 A JP 15575396A JP H10673 A JPH10673 A JP H10673A
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宣行 玉井
Shoji Takeda
尚司 竹田
Takanobu Kondo
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Abstract

(57)【要約】 【課題】枠体の外観を良好にでき、外形寸法の精度の良
い枠体付き板状体を得ることができる。 【解決手段】成形ダイ14からの成形体16を圧着部材
20の空洞部21に進行させる。板状体22の周縁部が
圧着部材20の空洞部21に挿入するように板状体22
を移動させる。圧着部材20が板状体22の周縁部に沿
って相対移動するように板状体22を移動させ、板状体
22の周縁部に成形体16を一体化させる。そして、板
状体22の角部に一体化された枠体17Aが、圧着部材
20の空洞部出口21Bを通過した直後に、エアノズル
40から冷却エアを吹き出して枠体17Aを強制的に冷
却し硬化し、枠体17Aの経時的変形を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用ガラス窓や
建築用ガラス窓に適した樹脂枠体付き板状体の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】車両用、建築用の窓ガラスでは、ガラス
板、プラスチック板等の板状体とこの板状体を嵌め込ん
だ開口部との隙間に、装飾性またはシール性を高めるた
めに合成樹脂性のモール、ガスケット等の樹脂枠体を取
り付けることが通常行われている。
【0003】従来、この樹脂枠体の取り付けは、予め形
成された枠体を接着剤を介在させて板状体の周縁部に嵌
め込むことにより行われていた。しかし、これらの方法
では、人手に頼る部分が多いため工程の自動化が困難で
あり、また工程数も多くコスト高となるという問題があ
る。この問題を解決するため、板状体を配置した型内の
キャビティ空間に合成樹脂材料またはその原料を射出し
て、板状体の周縁部に合成樹脂枠体を一体成形する、い
わゆるエンキャプシュレーション法が提案されている
(特開昭57−158481号公報、特開昭58−73
681号公報参照)。
【0004】前記エンキャプシュレーション法は、金属
等の剛直な型内に板状体を挟み込み、板状体周縁部と型
内面とで構成されるキャビティ空間に合成樹脂材料又は
その原料を射出することから、成形時の人手が少なく、
製品の寸法精度が高い利点がある。その反面、板状体が
ガラス板の場合には、特にガラス板の反りや曲げ加工精
度不足により、型締め時にガラス板が非常に割れやすい
という問題がある。この型締め時のガラス板の割れを防
ぐために、型内のガラス板との接触面に弾性体を配した
り、スプリング等の手段を用いて一定圧でガラス板を押
すように工夫した型もあるが、ガラス板の割れの問題を
解決するには至っていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、特開平3−1
93643号公報には、ガラス板の周縁部に沿って樹脂
材料をダイにより所定の形状で押し出すことによって、
ガラス板の周縁部に樹脂枠体の成形体を形成し、この樹
脂枠体の形成体を硬化させ、ガラス板と樹脂枠体とを一
体化する方法が提案されている。
【0006】前記公報に開示された方法は、ガラス板に
直接樹脂材料を押し出すため、ダイの振動による振動が
成形時の形成体に伝わり、成形される枠体の表面に直接
反映され、枠体の外観不良を引き起こしてしまうという
欠点がある。一方、特開昭57−158479号公報に
は、樹脂枠体を押出し成形した直後に、ローラ等からな
る圧着治具によって樹脂枠体を板状体の周縁部に嵌め込
み圧着する方法が提案されている。この方法は、前記特
開平3−193643号公報に記載された方法に比べ
て、押出し機或いはガラス板の駆動による振動が枠体の
表面に反映されず外観不良も起こり難い。
【0007】しかし、前記特開昭57−158479号
公報記載の方法は、ローラ等の圧着治具によって枠体を
ガラス板に対して押し付けるため、出来上がる枠体付き
ガラス板の外周寸法は、ガラス板の寸法形状に倣うこと
になる。車両用ガラス板は、通常曲げ加工されたものが
多く、その曲げ成形時にガラス板の外周寸法にばらつき
が生じてしまうことがある。前述したエンキャプシュレ
ーション法であれば、この外周寸法のばらつきを吸収す
るように樹脂枠体を成形できるが、特開昭57−158
479号公報記載の方法では、上記の理由から、このよ
うなばらつきを吸収することが困難であった。
【0008】また、この特開昭57−158479号公
報記載の方法は、ローラによって圧着するために、枠体
がある程度固化した状態でガラス板に嵌め込む必要が生
じる。逆に、ある程度固化した状態では、枠体とガラス
板との接着力が弱くなってしまうため、枠体とガラス板
との間に別途接着剤を介在させたり、後加熱工程を加え
たりする必要がある。
【0009】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、従来技術の前記欠点を解決する新規な樹脂枠体
付き板状体の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決する為の手段】本発明は、前記目的を達成
する為に、枠体用樹脂材料を樹脂成形ダイから所定の形
状で押し出して枠体の成形体を成形し、該成形体を板状
体の周縁部の少なくとも片面に一体化させる樹脂枠体付
き板状体の製造方法に於いて、前記枠体の断面外形に略
一致する空洞部を有する圧着部材を前記樹脂成形ダイか
ら所定距離離れた位置に配し、前記樹脂成形ダイから押
し出された成形体を前記圧着部材の空洞部に進行させる
一方、前記空洞部に板状体の周縁部を挿入して、板状体
の周縁部に圧着部材が沿うように板状体に対して圧着部
材を相対移動させながら、前記成形体を板状体の周縁部
に一体化させると共に、板状体の角部に一体化された前
記成形体を、前記圧着部材の空洞部出口を通過した直後
に強制的に冷却することを特徴とする。
【0011】本発明によれば、圧着部材の空洞部に板状
体の周縁部を配置し、樹脂成形ダイから押し出された成
形体を圧着部材の空洞部に進行させると共に、板状体の
周縁部に沿うように板状体に対して圧着部材を相対移動
させながら成形体を板状体の周縁部に一体化させる。そ
して、板状体の角部に一体化された前記成形体を、前記
圧着部材の空洞部出口を通過した直後に強制的に冷却す
る。
【0012】板状体の特に角部に一体化された成形体
は、板状体の直線部に一体化された成形体と比較して、
熱収縮等のために、時間経過とともに成形体の外周部
(リップ部)に跳ね上がり変形や、リップ部に痩せ変
形、又は内側に皺が発生して外観不良となる場合があ
る。そこで、本発明では、前記成形体が変形する前に該
成形体を強制的に冷却し成形体を硬化することで、成形
体のリップ部の跳ね上がり変形や、リップ部の痩せ変
形、又は内側の皺発生を防止した。
【0013】このような成形体の冷却手段は、冷却エア
を吹き付けて成形体を間接冷却するエアノズルでも良い
し、成形体に押し当てられて成形体を直接冷却する冷却
部材でも良い。一方、前述したように前記成形体を強制
的に冷却することによって、成形体の変形を防止するこ
とができるが、その他に、前記圧着部材の空洞部出口を
通過した直後に前記成形体を強制的に加熱することによ
っても前記変形を防止することができる。即ち、成形体
を強制的に加熱することで、成形体が再成形されるから
である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下添付図面に従って本発明に係
る樹脂枠体付き板状体の製造方法の好ましい実施の形態
について詳説する。図1は、本発明の樹脂枠体付き板状
体の製造方法が適用された装置の斜視図である。同図に
示す樹脂枠体付き板状体の製造装置10は、押出し機1
2の先端に取り付けられた成形ダイ14により枠体用樹
脂材料を押し出して所定の形状の枠体の成形体16を成
形する。成形体16は、引取機18のチャック19(図
6参照)によって引き取られたのち、引取機18によっ
て圧着部材20に向けて進行されて圧着部材20の空洞
部21(図4、図5参照)に挿通される。
【0015】板状体22は駆動ロボット24によって吸
着保持されている。この駆動ロボット24を駆動させ、
板状体22の周縁部を空洞部21に挿入し、圧着部材2
0が板状体22の周縁部に沿って相対移動するように板
状体22を移動させることによって、圧着部材20の空
洞部21を通過した成形体16と板状体22とを一体化
させる。
【0016】成形体16が圧着部材20の空洞部21を
通過する際に、成形体16が十分に固化していないと圧
着部材20によって成形体16の表面(即ち、空洞部2
1の内壁との接触部)に外観不良が生じる虞がある。そ
こで、成形体16の表層部は、圧着部材20への到達時
に表面あれや形状変化が生じないように、固化している
ことが好ましい。
【0017】そのために、押し出される成形体16の温
度や粘度等に応じて、成形ダイ14と圧着部材20との
距離等を調節することが望ましい。一方、成形体16の
板状体22との接合部が固化してしまうと、成形体16
と板状体22との接着力を十分に得られない。従って、
成形体16の表層部のみ固化し、成形体16の板状体2
2との接合部が固化していないことが好ましい。そこ
で、成形体16の押し出し後、成形体16が圧着部材2
2に到達する前に、成形体16の表層部を急冷すること
が好ましい。
【0018】具体的には、枠体用樹脂材料が熱可塑性樹
脂の場合には、成形体16の表面に冷風を吹き付けるこ
とや液体を噴霧することによって、成形体16の表層部
のみを固化させることができる。そのうちで、短時間で
成形体16の表層部を冷却できる点に鑑みて、液体窒素
等を噴霧することが好ましい。これらの吹き付け手段
は、成形ダイ14と圧着部材20との間に配しても、圧
着部材20の入口部に備え付けてもよく、圧着部材20
によって成形体16の外観が不良にならない程度に成形
体16の表面を冷却できるものであれば良い。
【0019】このようにして、成形体16の表面を成形
体16の板状体22との接合部に比べて低い温度にする
ことによって、板状体22と一体化された成形体16
(枠体17)の外観を損なわずに、且つ成形体16と板
状体22との接着力を十分に得ることができる。樹脂材
料が熱可塑性樹脂、特にポリ塩化ビニル樹脂の場合、押
出し機12の温度は140〜190°C程度であるが、
成形体16の表面温度をこの温度から130°C以下、
特に90°C以下まで冷却することによって生産性よく
樹脂枠体付き板状体を製造することができる。
【0020】また、成形体16と板状体22との接着力
を更に向上させるためには、成形体16と板状体22と
を一体化させる前に、あらかじめ板状体22の周縁部を
プライマ処理しておくことが好ましい。図2は、このプ
ライマ処理を示す概略断面図である。図示の如く、板状
体22の圧着部材20に対する相対移動の向きに関し
て、圧着部材20よりも上流側の適宜の位置にプライマ
塗布装置26を配することによって板状体22の移動に
ともない、成形体16を一体化させるべき板状体22の
周縁部にプライマ28を一対のローラ30、30によっ
て塗布することができる。尚、図中矢印は圧着部材20
に対する板状体22の相対移動の向きである。
【0021】図3は、圧着部材20周辺の斜視図であ
り、図4は圧着部材20周辺の縦断面図、図5は図4に
おける5−5線上からみた断面図である。図4、図5に
おいて圧着部材20の空洞部21は、断面が枠体17の
断面形状に略一致している。そして、圧着部材20と板
状体22との相対移動によって、空洞部21の入口部2
1Aに挿入された板状体22の周縁部の全周又は一部
に、成形体16が一体化される。
【0022】本実施の形態では、押し出された成形体1
6の断面形状として、板状体22の咬み込み部(板状体
22との接合部)32が開口側を先細りとした形状とし
ている。本実施の形態のように板状体22の両縁面に成
形体16を一体化させる場合、押し出された成形体16
の断面形状を上記の形状とすることによって、板状体2
2と成形体16との接着を強固にできるので好ましい。
この際、咬み込み部32の開口を板状体22の厚みより
も拡げる口開き用の一対のガイド板34、34を、圧着
部材20の上流側で板状体22が前記咬み込み部32に
侵入してくる位置に設置することにより、成形体16が
板状体22を円滑に咬み込むことができる。
【0023】圧着部材20と板状体22との相対移動
は、圧着部材20が板状体22の周縁部に沿って圧着部
材20と板状体22とが相対移動するように、駆動ロボ
ット24に予め動きを教示させておくことによって、正
確に位置制御された相対移動を実現できる。板状体22
が車両の窓に用いられる板状体の場合、枠体付き板状体
は車両の窓開口部に嵌め込まれる。この際、枠体付き板
状体の窓開口部への納まり具合は、枠体付き板状体の枠
体部分の外周(リップ)位置に左右される。このため、
枠体の板状体への咬み込み部が板状体の端面まで至って
いると、枠体付き板状体の枠体部分のリップ位置は板状
体の外形寸法に依存することになる。この板状体の外形
寸法に予め設定された寸法に対して誤差がある場合に
は、窓開口部での枠体付き板状体の納まりに不具合が生
じることがある。
【0024】そこで、図5に示すように、予め設定され
た所定寸法の板状体22の端面と成形体16の板状体2
2への咬み込み部32との間に空隙36が形成されるよ
うに、板状体22の動きを駆動ロボット24に教示させ
ておくことによって、板状体22自身の外形寸法誤差を
吸収することができる。すなわち、板状体22の外形寸
法が所定の寸法(設計寸法)より大きい場合には、上記
の空隙36が小さくなるか無くなり、逆の場合には空隙
36が大きくなるだけで、枠体付き板状体の外形寸法自
身は、常に窓開口部に納まりよい所定の寸法となる。こ
のことは、枠体付き板状体の量産時に特に有効である。
【0025】この点についてさらに詳細に述べる。従来
の成形された枠体をローラ等により板状体に押し付ける
場合には、枠体付き板状体の外形寸法は、完全に板状体
自身の外形寸法に倣うことになる。このため、上記のよ
うに板状体22に外形寸法誤差がある場合には、その誤
差が枠体付き板状体の外形寸法に反映されてしまう。一
方、あらかじめ板状体22の設計寸法を駆動ロボット2
4(の制御装置)に教示させておき、更に、設計寸法を
もとに板状体22の本来あるべき板状体22の周縁部の
位置を把握させ、この本来あるべき板状体22の周縁部
の位置が常に圧着部材20に対して所定の位置に移動す
るように、板状体22の周縁部を圧着部材20に対して
相対移動させることにより、板状体22によって成形体
16の板状体22への咬み込みの度合いが各々異なるこ
とはあっても、成形体16が一体化された後の枠体付き
板状体の外形寸法は常に所定の寸法に維持される。
【0026】ところで、図1に示すように圧着部材20
の後流側下方にはエアノズル40が配置される。このエ
アノズル40は、その吹出口41を上方に向けて取り付
けられると共に、圧着部材20の空洞部出口部21Bを
通過した直後の成形体16(枠体17)に向けて冷却エ
アを吹き付けることができる位置に設けられる。なお、
本例ではエアノズル40を圧着部材20の下方に配置し
ているが、逆にエアノズル40を圧着部材20の上方に
配置して、さらには上下両方に配置してもよい。
【0027】前記エアノズル40に冷却エアを供給する
図示しないポンプは、板状体22に一体化された枠体1
7のうち、板状体22の角部に一体化された枠体17A
が前記エアノズル40の下方を通過する時にのみ駆動さ
れるように制御されている。これにより、前記枠体17
Aのみが、エアノズル40から吹き出される冷却エアに
よって強制的に冷却される。この冷却エアの温度は、前
記枠体17Aを硬化させる温度、例えば−10°C〜8
0°Cの温度が好ましい。
【0028】次に、本発明の実施の形態に係る樹脂枠体
付き板状体の製造方法の一例を図6を用いて説明する。
先ず、押出し機12の成形ダイ14から枠体用樹脂材料
を押し出し、押し出された所定形状の枠体の成形体16
を引取機18のチャック19で握持する。そして、引取
機18によって圧着部材20の空洞部21に成形体16
を進行させると共に、吹き付け機44から冷風を吹き付
けて成形体16の表層部を固化させて、成形体16を図
6(a)で示すように圧着部材20の空洞部21に挿入
する。この時、駆動ロボット24は図6(b)に示すよ
うに板状体22を吸着保持して待機位置に板状体22を
待機させておく。
【0029】次いで、駆動ロボット24を駆動させ、板
状体22の周縁部が圧着部材20の空洞部21に挿入す
るように板状体22を移動させる。この時、引き出され
た成形体16の余分な部分をカッタ46で切断しておく
ことが好ましい。
【0030】こうして、圧着部材20が板状体22の周
縁部に沿って相対移動するように、板状体22を移動さ
せ、板状体22の周縁部に成形体16を一体化させる。
そして、板状体22の角部に一体化された枠体17A
が、前記圧着部材20の空洞部出口21Bを通過した直
後に、エアノズル40から冷却エアを吹き出して前記枠
体17Aを強制的に冷却し硬化させる。
【0031】この場所の枠体17Aは、板状体22の直
線部に一体化された枠体17と比較して、時間経過とと
もに枠体17Aのリップ部17Bに跳ね上がり変形や、
リップ部17Bに痩せ変形、又は内側17Cに皺が発生
して外観不良となる場合がある。そこで、本実施の形態
では、前記枠体17Aが変形する前に、該枠体17Aを
強制的に冷却し硬化させることで、枠体17Aのリップ
部17Bの跳ね上がり変形や、リップ部17Bの痩せ変
形、又は内側17Cの皺発生を防止する。これにより、
本実施の形態では、外観の良い樹脂枠体付き板状体を提
供することができる。尚、エアノズル40は、前記枠体
17Aがエアノズル40の上方を通過する時のみ冷却エ
アが吹き出されるように制御され、その以外の部分、す
なわち枠体17の直線部では冷却エアが吹き出されない
ように制御されている。
【0032】このようにして板状体22の周縁部に枠体
17一体化させたのち、最後にカッタ46によって成形
体16を圧着部材20の上流側で切断する。これによ
り、図6(c)に示すように成形ダイ14から連続して
送られてくる成形体16と、一体化された枠体17とが
切り離される。こうして、1枚の板状体22の周縁に枠
体17を一体化できる。さらに、引取機18によって成
形体16を進行させることによって、次の板状体22に
成形体16を一体化させる工程に移ることができる。
【0033】引取機として、上記のようなもののほか、
図8に示す構成の引取機を用いることが好ましい。すな
わち、圧着部材20の成形ダイ14と反対側の位置に、
図示のような一対のローラ51、52を有する引取機5
4を配置する。さらにこの引取機54の後段にカッター
56を設けることによって、装置の上方に図6のような
レールをそなえる必要がなく装置全体をコンパクトにで
きる。なお、成形体16に板状体22の周縁部が咬み込
んでいるときは、成形体16は板状体22の圧着部材2
0に対する相対移動によって板状体22と一体になりな
がら移動するため、引取機54による引張りは不要であ
る。そのため、図8のローラの上側ローラ51または下
側ローラ52の少なくとも一方を成形体16から離間さ
せることが好ましい。
【0034】本実施の形態では、板状体22を移動させ
て板状体22の周縁部に対して圧着部材20を相対移動
させているが、逆に圧着部材20自身を移動させても、
さらには両者の動きを調整して両者を動かすこともでき
る。板状体22の周縁部に沿うように、板状体22と圧
着部材20とが相対移動さえすれば良いからである。圧
着部材20が移動する場合は、成形ダイ14或いは引取
機18も移動させる必要性が生じるため、板状体22の
みを移動させる方が好ましい。
【0035】板状体22と圧着部材20との相対移動速
度に特に制限はなく、常に一定の速度で良いし、例えば
板状体22の角部で速度を増加させたり、逆に減少させ
たりすることもできる。好ましくは、エアノズル40か
らの冷却エアで角部の枠体17Aを冷却するため、前記
速度は角部がエアノズル40の上方を通過する際に減少
させるのが良い。この場合、速度の増加や減少にあわせ
て、材料の押し出し量を変化させることは好ましい。
【0036】本発明に用いられる板状体22としては、
単板のガラス板のほか、合わせガラスやガラス板に透明
合成樹脂フイルムが積層された積層ガラス、複層ガラス
等、車両や建築用の窓として用いられるものが、その用
途等に応じて適宜選択され用いられる。さらに、これら
ガラス板が曲げ加工、強化処理、機能コーティング処理
等施されたものであっても良い。また、ガラス板の他に
も、いわゆる有機ガラスと呼ばれている有機透明樹脂板
や、これとガラス板との積層体等にも採用できる。
【0037】本発明における枠体用樹脂材料としては、
加熱溶融させて使用する熱可塑性樹脂材料や、熱硬化性
あるいは湿気硬化性樹脂材料等、押し出し成形に用いら
れる材料が例示される。熱可塑性樹脂材料としては例え
ばPVC、塩化ビニルとエチレンの共重合体やスチレン
系、オレフィン系樹脂が例示できる。また、熱硬化性樹
脂や湿気硬化性樹脂の材料としては、ウレタン樹脂材料
やシリコン樹脂材料が例示できる。他に、成形ダイから
押し出して、賦形した後に加熱して成形体とするゾル状
塩化ビニル等が用いられる。
【0038】以上のうちで、押し出された成形体16が
表層部のみ固化し、板状体22との接合部が接着性に優
れたものとするためには、熱可塑性樹脂材料を選択する
ことが好ましい。湿気硬化性樹脂材料や熱硬化性樹脂材
料も、表面のみに水分や熱を与えることによって、押し
出された成形体16の表層部のみを固化させることはで
きるが、固化の程度の制御が困難である。一方、熱可塑
性樹脂材料は、冷却または単に放熱することによって、
温度の低い部分だけ固化するため、上記のように成形体
16の表面のみを変形や表面あれの生じない程度に容易
に固化させることができる。
【0039】枠体17の形状は、その用途等に応じて適
宜決定される。従って、板状体22の片面のみ、片面と
端面、又は板状体22の周縁部を覆うように板状体22
の両縁面に、夫々の用途等に応じて成形体16が一体化
される。このうち、本発明の製法が最もその効果を発揮
できるのが、板状体22の両縁面に成形体16を一体化
させる場合である。これによって、本発明は、枠体17
の外観を良好にできると共に、枠体付き板状体22の外
形寸法を精度良く制御できるという、従来技術にない優
れた効果を有する。
【0040】本実施の形態では、板状体22の角部に一
体化された枠体17Aを、エアノズル40からの冷却エ
アによって強制的に冷却することにより、この枠体17
Aの経時的変形を防止したが、これに限られるものでは
ない。例えば、図7に示すように加熱ブロック50を、
圧着部材20の空洞部出口21Bを通過した直後の枠体
17Aに押し当てて枠体17Aを加熱しても良い。即
ち、前記枠体17Aを加熱ブロック50の熱によって再
成形することにより、枠体17Aのリップ部17Bの跳
ね上がり変形や、リップ部17Bの痩せ変形、又は内側
17Cの皺発生を防止することができる。
【0041】前記加熱ブロック50の上面は、前記枠体
17Aの外形形状に合うように形成されている。また、
加熱ブロック50は、前記枠体17Aの下部と当接され
る上位置と、枠体17Aから退避する下位置との範囲で
駆動装置により昇降移動可能に設けられている。前記駆
動装置は、前記枠体17Aが圧着部材20の空洞部出口
21Bを通過した直後に前記加熱ブロック50を上昇さ
せて枠体17Aに当接させ、また、枠体17Aが通過し
た後に加熱ブロック50を下位置に下降させるように駆
動制御されている。
【0042】前記加熱ブロック50に代えて、この加熱
ブロック50と同形状の冷却ブロックを用いても良い。
即ち、冷却ブロックを前記枠体17Aに当接させて枠体
17Aを硬化させることにより、枠体17Aの前記変形
を防止する。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る樹脂枠
体付き板状体の製造方法によれば、板状体と枠体の成形
体とを成形体の押し出し後に圧着部材を用いて一体化さ
せるため、板状体や圧着部材の移動による振動があって
も、枠体の外観不良を防止できる。
【0044】また、本発明では板状体の角部に一体化さ
れた成形体を、圧着部材の空洞部出口を通過した直後に
強制的に冷却又は加熱したので、成形体の外周部の跳ね
上がり変形や外周部の痩せ変形、又は内側の皺発生を防
止することができる。これにより、本発明では、品質の
良い樹脂枠体付き板状体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る樹脂枠体付き板状体
の製造装置の全体斜視図
【図2】プライマ処理装置の一例を示す概略断面図
【図3】圧着部材周辺の拡大斜視図
【図4】圧着部材の縦断面図
【図5】図4における5−5線上からみた圧着部材の断
面図
【図6】本発明の実施の形態に係る樹脂枠体付き板状体
の製造装置の動作説明図
【図7】成形体加熱用の加熱ブロックの実施の形態を示
す断面図
【図8】引取機の実施例を示す斜視図
【符号の説明】
12…押出し機 14…成形ダイ 16…成形体 17…枠体 17A…板状体の角部に一体化された枠体 20…圧着部材 22…板状体 24…駆動ロボット 34…ガイド板 40…エアノズル 50…加熱ブロック

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】枠体用樹脂材料を樹脂成形ダイから所定の
    形状で押し出して枠体の成形体を成形し、該成形体を板
    状体の周縁部の少なくとも片面に一体化させる樹脂枠体
    付き板状体の製造方法に於いて、 前記枠体の断面外形に略一致する空洞部を有する圧着部
    材を前記樹脂成形ダイから所定距離離れた位置に配し、
    前記樹脂成形ダイから押し出された成形体を前記圧着部
    材の空洞部に進行させる一方、前記空洞部に板状体の周
    縁部を挿入して、板状体の周縁部に圧着部材が沿うよう
    に板状体に対して圧着部材を相対移動させながら、前記
    成形体を板状体の周縁部に一体化させると共に、板状体
    の角部に一体化された前記成形体を、前記圧着部材の空
    洞部出口を通過した直後に強制的に冷却することを特徴
    とする樹脂枠体付き板状体の製造方法。
  2. 【請求項2】前記板状体の角部に一体化された前記成形
    体に冷却エアを吹き付けて、該角部の成形体を強制的に
    冷却することを特徴とする請求項1記載の樹脂枠体付き
    板状体の製造方法。
  3. 【請求項3】前記板状体の角部に一体化された前記成形
    体に冷却部材を押し当てて、該角部の成形体を強制的に
    冷却することを特徴とする請求項1記載の樹脂枠体付き
    板状体の製造方法。
  4. 【請求項4】枠体用樹脂材料を樹脂成形ダイから所定の
    形状で押し出して枠体の成形体を成形し、該成形体を板
    状体の周縁部の少なくとも片面に一体化させる樹脂枠体
    付き板状体の製造方法に於いて、 前記枠体の断面外形に略一致する空洞部を有する圧着部
    材を前記樹脂成形ダイから所定距離離れた位置に配し、
    前記樹脂成形ダイから押し出された成形体を前記圧着部
    材の空洞部に進行させる一方、前記空洞部に板状体の周
    縁部を挿入して、板状体の周縁部に圧着部材が沿うよう
    に板状体に対して圧着部材を相対移動させながら、前記
    成形体を板状体の周縁部に一体化させると共に、板状体
    の角部に一体化された前記成形体を、前記圧着部材の空
    洞部出口を通過した直後に強制的に加熱することを特徴
    とする樹脂枠体付き板状体の製造方法。
  5. 【請求項5】前記板状体の角部に一体化された前記成形
    体に加熱部材を押し当てて、該角部の成形体を強制的に
    加熱することを特徴とする請求項4記載の樹脂枠体付き
    板状体の製造方法。
  6. 【請求項6】前記板状体を駆動ロボットに保持させて、
    該駆動ロボットにあらかじめ板状体の移動軌跡を記憶さ
    せておき、該記憶させた軌跡に倣って板状体を移動させ
    て、圧着部材が板状体の周縁部に沿うように圧着部材と
    板状体とを相対移動させることを特徴とする請求項1〜
    5のいずれかに記載の樹脂枠付き板状体の製造方法。
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