JPH106709A - ビード部耐久性に優れる空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

ビード部耐久性に優れる空気入りラジアルタイヤ

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JPH106709A
JPH106709A JP9079912A JP7991297A JPH106709A JP H106709 A JPH106709 A JP H106709A JP 9079912 A JP9079912 A JP 9079912A JP 7991297 A JP7991297 A JP 7991297A JP H106709 A JPH106709 A JP H106709A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビート部耐久性の向上を、特別な補強材や特
殊部材の使用を必要とせずに実現する。 【解決手段】 ビード部1、サイドウオール部2および
トレッド部3とからなり、ビード部の一方から他方へわ
たって延在するコードのラジアル配列プライより成るカ
ーカス4をボディ補強としてそなえ、カーカス4はその
うち少なくとも1プライを、ビード部1のビードコア6
をタイヤの内側から外側へ向け巻き上げたターン・アッ
プ構造とした空気入りラジアルタイヤにして、リム組み
をした無負荷状態にて標準内圧の5%の内圧を充てんし
た自立姿勢でのタイヤの放射方向断面におけるカーカス
パスラインが、プライの巻上げ端のリム径ラインRLから
の高さ(h) に対応する位置の近傍にてそのプライの巻上
げに向って迂曲する曲率変化域(v) を含んで標準内圧の
充てん下にカーカス4の変形によって、プライの巻上げ
端の近傍のビード部1に圧縮応力を生起する、カーカス
プロファイルに成るものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】空気入りラジアルタイヤのビ
ード部耐久性は、この種のタイヤのうちとくにトラッ
ク、バスなどの使途に供される、重荷重用空気入りラジ
アルタイヤにおいてとくに強く要請され、それと云うの
は、使用条件が厳しいだけでなく、トレッドゴムの摩滅
の度毎にそのリキャップ更生のための台タイヤとして再
三にわたるライフサイクルを全うするを要するからであ
る。
【0002】
【従来の技術】台タイヤとしての適否検査で検出される
この種のタイヤのビード部故障は、カーカスプライの巻
上げ端の近傍とくにタイヤの径方向外側で大きい引張り
歪を生じたことが主要因で、そこにゴム疲労、ひいては
セパレーションに至っているものが多い。
【0003】ビード部耐久性向上のためには、上記歪の
緩和を図り、またゴム疲労による亀裂の伸展を抑制する
ための補強材や特殊部材の付加による例としていたが、
このような付加は生産性を害し、またコストの増加や発
熱などの不利を伴う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に上掲のようにト
ラック、バスなどに用いる重荷重用空気入りラジアルタ
イヤは、一対のビード部及びサイドウオール部と両サイ
ドウオール部間にまたがるトレッド部とからなり、ビー
ド部の一方から他方へわたって延在するコードのラジア
ル配列プライよりなるカーカスをボディ補強としてそな
え、カーカスはそのうち少なくとも1プライを、ビード
部のビードコアをタイヤの内側から外側へ向け巻上げた
ターン・アップ構造とするのが基本をなし、このような
カーカスの巻上げ端が、ビード部耐久性を左右するとこ
ろ、そこに対して直接に講じられた従来の対策は、いわ
ば糊塗的であって実効にも乏しい。
【0005】そこで重車両用の使途、つまり再三にわた
る摩耗ライフのリキャップによる更新のための台タイヤ
として適合し得るようなビード部耐久性の向上を、特別
な補強材や特殊部材の使用を必要とせずして有利に実現
することができる、カーカスプロフィルについての研究
開発を進め、この発明に到達したものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】ビード部耐久性を支配す
るカーカスプライの巻上げ端は、カーカスに働くタイヤ
の充てん内圧によって引抜き方向の力を受けるとともに
タイヤのサイドウオール部からビード部にかけて曲げ力
も働くことから、巻上げ端に面しているゴムには大きい
引張り歪が作用することがビード部故障の原因であり、
従ってこの引張り歪を低減する圧縮応力を該ゴム中に導
入(この圧縮応力を生起することで引張り歪を低減する
効果を生じ従って実際には引張り応力が残る。)するこ
とに関する新しい観点に立脚してこの発明は以下の構成
を課題の解決手段とするものである。
【0007】一対のビード部及びサイドウオール部と、
両サイドウオール部間にまたがるトレッド部とからな
り、ビード部の一方から他方へわたって延在するコード
のラジアル配列プライより成るカーカスをボディ補強と
してそなえ、カーカスはそのうち少なくとも1プライ
を、ビード部のビードコアをタイヤの内側から外側へ向
け巻き上げたターン・アップ構造とした、空気入りラジ
アルタイヤにして、リム組みをした無負荷状態にて標準
内圧の5%の内圧を充てんした自立姿勢でのタイヤの放
射方向断面におけるカーカスパスラインが、プライの巻
上げ端のリム径ラインRLからの高さ(h) に対応する位置
の近傍にてそのプライの巻上げに向って迂曲する曲率変
化域(v) を含んで標準内圧の充てん下にカーカスの変形
によって、プライの巻上げ端の近傍のビード部に圧縮応
力を生起する、カーカスプロファイルに成ることを特徴
とする、ビード部高耐久性空気入りラジアルタイヤ。
【0008】ここにカーカスパスラインの曲率変化域
(v) が、これと隣り合うより小さい曲率の隣接領域(w)
と滑かに連り、タイヤの内側に曲率中心を有するもので
あること、カーカスパスラインの曲率変化域(v) が、ビ
ードコアに対しより遠い隣接領域(w′) と変曲点を介し
て滑かに連るものであること、カーカスパスラインの曲
率変化域(v) が、リム径ライン(r) からのカーカスパス
ライン最大高さ(H) の8%に相当する垂直距離(g) を、
巻上げ端高さ(h) の上下にわたって隔てるパスライン区
域内で、そこにパスラインに沿って10mm以内の隔たり
(l)をおく2点(M),(N)間に位置するものであること、
カーカスパスライン上の点(M) 及び(N) における二つの
接線(m,m′) と(n,n′) との交角(θ)が5〜90°であ
ること、カーカスパスラインの曲率変化域(v) の、ビー
ドコアに対しより遠い隣接領域(w) が、カーカスパスラ
インの最大高さ(H) の24%に相当する放射方向距離(i)
をカーカスプライ巻き上げ端から距てるパスライン上の
点と、曲率変化域(v) の間のパスライン第2区域内に位
置するカーカスパスラインの最大高さ(H) の12%以上の
パスラインに沿った間隔をもつ2点S−T間で1/500
(mm-1) 以内の曲率になるものであること、カーカスパ
スラインの曲率変化域(v) の、ビードコアに対しより遠
い隣接領域(w′) が、カーカスパスラインの最大高さ
(H) の24%、より好ましくは12%に相当する垂直距離
(i), (j)を巻上げ端高さ(h) から距てるパスライン上の
点に至るパスライン第2区域内に位置する2点(P), (Q)
間で、タイヤの外側に曲率中心を有するものであるこ
と、カーカスパスラインの曲率変化域(v) に沿ってカー
カスの内面に配置した凸レンズ形断面のウエッジゴム
(9) を有すること、カーカスラインの曲率変化域(v) に
対応してカーカスの内周に沿うインナライナ(5) がゴム
厚肉部を有すること、およびインナライナ(5) のゴム厚
肉部がインナライナ全体の平均厚さに対し1.7 〜8倍よ
り好ましくは2〜4倍の厚みであることは、さらに有用
である。
【0009】この発明に従いカーカスプライの折返し部
そのものではなくしてコードのラジアル配列プライの一
方のビード部から他方のビード部にわたる、カーカスパ
スラインのトロイド状をなすカーカスプロファイルの特
異形状によって、カーカスプライの折返し端の近傍ゴム
に生じる引張り歪の低減を図ることの新規発想の下で
は、従来の強化対策に用いた補強材や特殊部材をビード
部故障の回避のために付加する必要はない。
【0010】尚、カーカス形状の測定に関し横積みなど
によるくせを除くために、正規内圧充てん後に約24時間
は放置し、より好ましくは、1時間程度60km/h空車時程
度の荷重下に走行させた後測定すべきである。
【0011】さて図1〜図6に、この発明による空気入
りラジアルタイヤのカーカスプロファイルを例示した。
各図において1はビード部、2はサイドウオール部、3
はトレッド部であり、4はカーカス、5はインナライ
ナ、6はビードコア、7はベルト、そして8はリムをあ
らわすが、各図ともタイヤの放射方向断面を左半ないし
はその要部について示し、ここでカーカス4は太実線に
より簡略図解し、またビードチェーファ、スティフナー
などの一般的ビード補強部材の図示は省略し、さらにイ
ンナライナ5については場合により一部を省略した。
【0012】カーカス4に用いるコードのラジアル配列
プライは、ビードコア6のまわりにタイヤの内側から外
側へ巻上げ、その巻上げ端のビードベースからの高さを
hで、またカーカス4のパスライン最大高さはHで、そ
れぞれあらわすものとして、図1および2の例では、巻
上げ端高さhの上下にわたって、最大高さHの8%に相
当する垂直距離gをへだてる第1のパスライン区域内
で、パスラインに沿って10mm以内の隔りlをおく2点
M,N間に、カーカスパスラインの曲率変化域vを位置
させるのであり、ここで点M及びNにおけるカーカス4
のパスラインの接線m−m′及びn−n′がリム径ライ
ンRLとなす角θM とθN との角度差は5〜90°であるこ
とがのぞましい。
【0013】曲率変化域vは、リム組みをした無負荷状
態にて標準内圧の5%の内圧を充てんした自立姿勢(図
2の実線参照)で図1,図2に示したようにプライの巻
上げに向って迂曲(タイヤの内面から見て凹む)する
が、図2にて破線で示す標準内圧の充てん下には、この
内圧に基くタイヤの膨満変形につれてカーカス4のパス
ラインが滑らかに連続するような変形をし、その結果プ
ライの巻上げ端の近傍のビード部1内に圧縮応力が生起
し引張歪を低減する。
【0014】この圧縮応力は、内圧充てん無負荷状態で
の引張り歪を低減するのでタイヤの走行時にビード部の
プライ巻上げ端における引張り歪の有効な低減がもたら
されて、ビード部故障が適切に回避されるわけである。
【0015】図3には曲率変化域vの、ビードコア6か
らより遠い隣接領域wについて、カーカスパスラインの
最大高さHの12〜24%に相当する垂直距離j,i(図1
参照)を隔てるパスライン上の点Kに至る間に、1/500
(mm-1) 以内の曲率を有するものとした場合を示す。こ
の例でもビート部1に圧縮応力を生起し、引張り歪を低
減するのは、図1,図2の場合と同様である。
【0016】次に図4〜図6ではやはり曲率変化域vの
ビートコア6からより遠い隣接領域w′が、カーカスパ
スラインの最大高さHの12%に相当する垂直距離j(図
1参照) を巻上げ端高さhから隔てる点に至るパスライ
ン第2区域内に位置する点P,Q間で、タイヤの外側に
曲率中心を有するものとした場合であって、やはり図
1,図2の場合と同様、ビード部1のプライ巻上げ端の
近傍に圧縮応力を生起し引張り歪を低減するのは図6に
示すところから明らかである。
【0017】このようにカーカスパスラインに曲率変化
域vを設けるという手法を採用することにより、タイヤ
の構造、ビート部の部材等を新たに変更する必要なく、
従来のタイヤ構造使用部材をそのままとして、ビード耐
久力を向上させることができるのでタイヤの品質上もま
た生産性の面でのメリットは大きい。
【0018】上に述べた特異のカーカスプロファイルは
タイヤの成形加硫の際モールド内壁からタイヤ回転軸へ
うこう内側のカーカスプライまでのゴムゲージの分布を
制御することで得られる。ここに加硫時のいわゆる“ゴ
ム流れ”によるカーカスラインの変動、ばらつきを厳密
に抑制することが必要なとき、次の手法が有効である。
【0019】すなわち従来の成形加硫手法に従うタイヤ
にあってはビードコア相互間にわたるカーカスプライは
タイヤ内面に沿うように構成されているのに対しこの発
明に従い図7,図8及び図10に示すようにカーカス4の
タイヤ内面側に予め曲率変化域vに対応して断面凸レン
ズ状のウエッジゴム9を配置したり、また図11のように
局部的に厚さの異なる部分5′を形成したインナライナ
5を使用することができる。
【0020】またカーカスパスラインの曲率変化域vに
対応する位置にて加硫用ブラダーにブラダーの周上で連
続した突条を設けることによりカーカスのパスラインに
上記の曲率変化域vを得ることもできる。
【0021】これらのことによりこの発明に従うカーカ
スパスラインの生産上の変動、ばらつきを適切に抑制で
きるのである。
【0022】
【作用】この発明によれば、空気入りタイヤの標準内圧
の5%の内圧を充てんした自立姿勢で、その放射方向断
面におけるカーカスフロファイルが、タイヤ内面から見
て、凹部を呈するカーカスパスラインの曲率変化域vを
有している。この凹部はタイヤに正規内圧を充てんした
ときのカーカス及びこれに付随するゴムの変形をこの凹
部に集中的に生じさせることによりカーカス4の巻上げ
に面するビード部1のゴム中に生じる引張り歪を相殺的
に低減させ、従ってビード耐久性向上を達成する。ここ
に変形を集中させるにはカーカスパスラインが上記凹部
においてその他の部分に比べて著しく大きな曲率に成っ
ている必要があり、カーカスに沿った長さが10mm以下の
距りをおく2点M,Nでのカーカスパスラインの接線m
−m′,n−n′がリム径ラインRLに対してなす角度差
が5度以上である部分が存在していなければならない。
【0023】また凹部に集中させたタイヤの変形の効果
でプライ端に生ずる引張り歪を低減させるには、凹部と
プライ端部とが十分近接していなければならない。つま
り図1〜図6のように、リム径ラインrからとったプラ
イ端高さhよりカーカスラインの最大高さHの±8%の
範囲の高さ、h−gからh+gの高さにあるカーカスパ
スライン上に上述の凹部が存在していなければならな
い。
【0024】ところで上述の凹部の曲率が他の部分に比
べて十分に大きくても、これを広範囲にわたらせると、
タイヤに標準内圧を充てんしたときに期待するような変
形の集中が得られない。
【0025】従って凹部よりタイヤ回転軸の側ならびに
タイヤトレッドの側には、曲率の小さい部分が存在する
必要がある。しかしながらカーカスプライ近傍に配した
凹部よりタイヤ回転軸の側にはスティフナーやチェーフ
ァー等の補強部材が配置されているため剛性が大きく、
この位置でのカーカスプロファイルは空気充てんによる
タイヤの変形には大きな影響を受けない。従って図1,
図2のようにカーカスパスラインの凹部に近接し、これ
よりタイヤ踏面の側の部分においてカーカスラインの最
大高さHの12%以上の十分な長さにわたって、カーカス
パスラインの曲率半径が500 mm以上で、十分に曲率が小
さいようにすることがのぞましい。
【0026】また上述の曲率半径が小さい部分のかわり
にタイヤ内面から見てカーカスプライが凸部を形成する
部分を有していても、同様に空気充てんによるタイヤの
変形を凹部に集中させてカーカスプライ端部の歪を低減
させることにより、ビード部の耐久性を向上させること
ができる。
【0027】つまり、図4〜図6のように凹部よりタイ
ヤ放射方向外側であり、かつリム径ラインrよりとった
カーカスプライ端高さhよりタイヤ踏面の側にカーカス
ラインの最大高さHの24%、タイヤ回転軸の側にHの8
%の範囲の高さ、望ましくは踏面の側にHの12%、タイ
ヤ回転軸の側にHの8%の範囲の高さにて、タイヤ内面
から見てカーカスプライ4が凸部を形成していることも
効果的である。
【0028】上述のようなこの発明のカーカスパスライ
ンを、加硫時の“ゴム流れ”による生産上の変動、ばら
つきの抑制下に得るには図7,図8,図10のようにカー
カスプライより軸方向内側で凹部近傍にウエッジゴム9
を配置し、タイヤ内壁を滑らかに、もしくはタイヤ回転
軸内側より見て凸部状にすることが効果的である。
【0029】同様の目的で従来の手法ではほぼ均一の厚
さであるインナーライナー5の厚さを図11のように凹部
近傍で局部的に変化させることも推奨される。ケースラ
インの変動を十分に抑制するにはインナライナの平均厚
さの1.7 倍から8倍、望ましくは2倍から4倍の厚さを
凹部近傍に有することも一層のぞましい。
【0030】
【実施例】実施例1 さて図7にこの発明の実施例を示したようにナイロンチ
ェーファー2枚、ワイヤーチェーファー1枚を有するラ
グパターンタイヤ (サイズ11.00 R20)において、リム径
ラインrからのカーカスラインの最大高さH=233 mm、
プライ端高さh=66.5mmであり、カーカスパスライン上
で高さ72mm(h+0.024H) と65.5mm(h−0.004H) とに位置
する、長さ7mmをへだてた2点M,Nにおけるカーカス
パスラインの接線のリム径ラインRLに対する角度差が6.
0 °であり、このカーカスプライのタイヤ内面から見て
凹部を形成する部分に隣接してこの部分よりタイヤ踏面
の側のカーカスパスラインが長さ30mm(0.129H)にわたり
事実上直線状であり、一方カーカスプライとこれに隣接
するナイロンチェーファーとの間に幅20mm、最大厚さ2
mmであるレンズ状ゴムを配置したタイヤを試作し、ドラ
ム走行テストにおいてビード部耐久性を試験したとこ
ろ、従来方式の自然平衡形状カーカスプロファイルのタ
イヤに比べて走行距離が約16%増加した。
【0031】実施例2 図8のようにやはりナイロンチェーファー2枚、ワイヤ
ーチェーファー1枚を有するリブパターンタイヤ(サイ
ズ10.00R20)において、リム径ラインrからのカーカス
ラインの最大高さH=241 mm、プライ端高さh=67mmで
あり、カーカスパスライン上で高さ65.7mm(h−0.005H)
と59.2mm(h−0.032H) とに位置して長さ7.8 mmをへだて
た2点M,Nにおけるカーカスパスラインの接線のタイ
ヤ回転軸に対する角度の差が14°であり、このカーカス
プライのタイヤ内面から見て凹部を形成する部分に近接
してこの部分よりタイヤ踏面の側で高さ90mm(h+0.099
H)までのカーカスプライがタイヤ内面から見たときに凸
部を形成し一方インナライナのタイヤ軸方向内側に幅20
mm、最大厚さ2.7 mmである断面凸レンズ状のウエッジゴ
ムを有するタイヤを試作し、ドラム走行テストにおいて
ビード部耐久性を試験したところ、従来方式の自然平衡
形状のタイヤに比べて走行距離が約15%増加した。
【0032】実施例3 図9のようにナイロンチェーファー2枚、ワイヤーチェ
ーファー1枚を有するリブパターンタイヤ (サイズ10.0
0R20) において、リム径ラインrからのカーカスライン
の最大高さH=241 mm、プライ端高さh=67mmであり、
カーカスパスライン上で高さ68.3mm(h+0.005H) と62.8
mm(h−0.017H) とに位置する長さ6mmをへだてた2点
M,Nにおけるカーカスパスラインの接線のリム径ライ
ンrに対する角度の差が6°であり、このカーカスプラ
イのタイヤ内面から見て凹部を形成する部分に近接して
この部分よりタイヤ踏面の側で高さ95mm(h+0.116H) ま
でのカーカスプライがタイヤ内面から見たときに凸部を
形成しているタイヤを試作し、ドラム走行テストにおい
てビード部耐久性を試験したところ、従来方式の自然平
衡形状のタイヤに比べて走行距離が約18%増加した。
【0033】実施例4 図10のようにナイロンチェーファー2枚、ワイヤーチェ
ーファー1枚を有するブロックパターンタイヤ(サイズ
11/70R22.5)において、リム径ラインrからのカーカス
ラインの最大高さH=165.5 mm、プライ端高さh=34mm
であり、カーカスパスライン上で高さ46.3mm(h+0.074
H) と42.1mm(h+0.049H) とにある長さ5.2 mmをへだて
た2点M,Nにおけるカーカスパスラインの接線のリム
径ラインに対する角度の差が8.5 °であり、このカーカ
スプライのタイヤ内面から見て凹部を形成する部分に近
接してこの部分よりタイヤ踏面の側のカーカスパスライ
ンが長さ22mm(0.133H)にわたり事実上直線状であり、2
枚のチェーファーの間に幅20mm最大厚さ2.5 mmのレンズ
状補強ゴムを配置したタイヤを試作し、ドラム走行テス
トにおいてビード部耐久性を試験したところ、従来方式
の自然平衡形状のタイヤに比べて走行距離が約12%増加
した。
【0034】
【発明の効果】この発明によれば重荷重用ラジアルタイ
ヤの再三の更新による、再生ライフサイクルの伸長に必
要なビード部耐久性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に従うカーカスパスラインを例示した
タイヤ断面図である。
【図2】この発明に従うカーカスパスラインを例示した
タイヤ断面図である。
【図3】この発明に従うカーカスパスラインを例示した
タイヤ断面図である。
【図4】この発明に従うカーカスパスラインを例示した
タイヤ断面図である。
【図5】この発明に従うカーカスパスラインを例示した
タイヤ断面図である。
【図6】この発明に従うカーカスパスラインを例示した
タイヤ断面図である。
【図7】実施例のタイヤ断面図である。
【図8】実施例のタイヤ断面図である。
【図9】実施例のタイヤ断面図である。
【図10】実施例のタイヤ断面図である。
【図11】別の具体例のタイヤ断面図である。
【符号の説明】
1 ビード部 2 サイドウオール部 3 トレッド部 4 カーカス 5,5′ インナライナ 6 ビードコア 7 ベルト 8 リム
【手続補正書】
【提出日】平成9年4月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 ビード部耐久性に優れる空気入りラ
ジアルタイヤ
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、空気入りラジア
ルタイヤ、より詳細には特にトラック及びバス用などの
重荷重用タイヤに関し、特にビード部耐久性に優れる空
気入りラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】空気入りラジアルタイヤのビード部耐久
性は、この種のタイヤのうちとくにトラック及びバスな
どの使途に供される、重荷重用空気入りラジアルタイヤ
においてとくに強く要請され、それと云うのは、使用条
件が厳しいだけでなく、トレッドゴムの摩滅の度毎にそ
のリキャップ(更生)のための台タイヤとして再三にわ
たるライフサイクルを全うするを要するからである。
【0003】台タイヤとしての適否検査で検出されるこ
の種のタイヤのビード部故障は、カーカスプライの巻上
げ端の近傍、とくにタイヤの半径方向外側で大きい引張
り歪を生じたことが主要因で、そこにゴム疲労、ひいて
はセパレーションに至っているものが多い。
【0004】ビード部耐久性向上のためには、上記歪の
緩和を図り、またゴム疲労による亀裂の伸展を抑制する
ための補強材や特殊部材の付加によるを例としていた
が、このような付加は生産性を害し、またコストの増加
や発熱などの不利を伴う。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般に上掲のようにト
ラック及びバスなどに用いる重荷重用空気入りラジアル
タイヤは、一対のビード部及び一対のサイドウオール部
と、両サイドウオール部間にまたがるトレッド部とから
なり、これら各部をビード部内に埋設したビードコア相
互間にわたって補強する1プライ以上のラジアル配列コ
ードプライより成るカーカスを備え、カーカスは少なく
とも1プライがビードコアの周りにタイヤの内側から外
側へ向け巻上げたターン・アップ構造とするのが基本を
なし、このようなカーカスの巻上げ端が、ビード部耐久
性を左右するところ、そこに対して直接に講じられた従
来の対策は、いわば糊塗的であって実効にも乏しい。
【0006】従ってこの発明の請求項1〜8に記載した
発明は、重車両用の使途、つまり再三にわたる摩耗ライ
フのリキャップによる更新のための台タイヤとして適合
し得るようなビード部耐久性の向上を、特別な補強材や
特殊部材の使用を必要とせずして有利に実現することが
できる、ビード部耐久性に優れる空気入りラジアルタイ
ヤの提供を目的とする。
【0007】ここに、ビード部耐久性を支配するカーカ
スプライの巻上げ端は、カーカスに働くタイヤの充てん
内圧によって引抜き方向の力を受けるとともに、タイヤ
のサイドウオール部からビード部にかけて曲げ力も働く
ことから、巻上げ端に面しているゴムには大きい引張り
歪が作用することがビード部故障の原因であり、従って
この引張り歪を低減する圧縮応力を該ゴム中に導入(こ
の圧縮応力を生起することで引張り歪を低減する効果を
生じ、従って実際には引張り応力が残る。)することに
関する新しい観点に立脚して上記目的を達成するもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわちこの発明の請求
項1に記載した発明は、一対のビード部及び一対のサイ
ドウォール部と、両サイドウォール部間にまたがるトレ
ッド部とからなり、これら各部をビード部内に埋設した
ビードコア相互間にわたって補強するラジアル配列コー
ドプライより成るカーカスを備え、カーカスは少なくと
も1プライがビードコアの周りにタイヤ内側から外側へ
向け巻上げたターン・アップ構造から成る空気入りラジ
アルタイヤにおいて、リムに組付けたタイヤに標準内圧
の5%の微圧を充てんしたタイヤ及びリム組立体の荷重
無負荷状態におけるタイヤの放射方向断面におけるカー
カスパスライン上の、リム径ラインRLから測ったプラ
イ巻上げ端の高さhに相当する高さ位置の近傍における
カーカス内面側に配置した凸レンズ状断面形状のウエッ
ジゴムを備え、このウエッジゴムの配置により、上記微
圧充てん下の上記組立体におけるタイヤの上記断面での
カーカスパスラインが、プライ巻上げ端部に向かい局部
で凸状に迂曲する曲率変化域vを有し、該曲率変化域v
はそれを挟む両側隣接領域のカーカスパスラインに対し
タイヤ内面から見て局所凹部を形成して成り、上記タイ
ヤ及びリム組立体に対する標準内圧充てん下で、曲率変
化域vに集中する曲げ変形によりプライ巻上げ端部近傍
のゴムに圧縮応力を生起させるカーカスパスラインを有
することを特徴とするビード部耐久性に優れる空気入り
ラジアルタイヤである。
【0009】ここにタイヤの放射方向断面とは、タイヤ
の回転軸線を含む平面による断面であり、またカーカス
パスラインとは、カーカスプライの厚み中央を連ねる曲
線を指し、略してカーカスラインともいう。またリム径
ラインRLとは、タイヤの適用リムのリム径の呼び寸法
ではなく、リム径の実際寸法位置を通るタイヤ回転軸線
と平行な直線を指す。
【0010】請求項1に記載した発明を実施するに際し
て、請求項2に記載した発明のように、カーカスパスラ
インの曲率変化域vが、これと隣り合い曲率変化域vの
曲率より小さな曲率の曲線からなる隣接領域wと滑らか
に連なり、該隣接領域wの曲線はタイヤの内側に曲率中
心を有すること、又は請求項3に記載した発明のよう
に、カーカスパスラインの曲率変化域vが、ビードコア
に対し曲率変化域vより遠く位置してタイヤの外側に曲
率中心を有する曲線からなる隣接領域w′と変曲点を介
して滑らかに連なることが実際上有効である。
【0011】また好適な曲率変化域vの配置位置と長さ
とに関しては、請求項4に記載した発明のように、カー
カスパスラインの曲率変化域vが、リム径ラインRLか
らのカーカスパスライン最大高さHの8%に相当する垂
直距離gを、巻上げ端高さhの上下にわたって隔てるパ
スライン区域内に位置し、曲率変化域vは該区域内のパ
スラインに沿って10mm以下の隔たりlをおく2点
M、N間にわたり延びるのが適合する。
【0012】また上記2点M、Nそれぞれを通る各接線
の傾斜角度相互間には好適な関係が存在することが分か
り、そこで請求項5に記載した発明のように、カーカス
パスライン上の点M及び点Nそれぞれにおける接線
(m,m′)と接線(n,n′)との交角θが5〜90
°の範囲内にあるようにカーカスパスラインを設定する
のが有用である。
【0013】またこの発明の目的達成の上で先に述べた
隣接領域wのうちタイヤ半径方向外側の隣接領域wの曲
率は成るべく小さく設定するのが有効であることから、
請求項6に記載した発明のように、カーカスパスライン
の曲率変化域vに連なる隣接領域wのうちビードコアに
対しより遠く位置する隣接領域wが、カーカスパスライ
ンの最大高さHの12〜24%に相当する垂直距離j〜
iをカーカスプライ巻上げ端の高さhから隔てるパスラ
イン上の点kに至る間に、1/500(mm-1)以内の
曲率をとる領域を有し、該領域のパスライン長さがカー
カスパスライン最大高さHの12%以上であるものとす
る。
【0014】さらに上記とは別の隣接領域w′に関して
も、最適配置位置を特定することが有利であり、そこで
請求項7に記載した発明のように、ビードコアに対し曲
率変化域vより遠く位置する隣接領域w′を、カーカス
パスラインの最大高さHの24%に相当する垂直距離i
をカーカスプライ巻上げ端高さhから隔てるパスライン
上の点に至るパスライン第2区域内に位置する2点P、
Q間に設けること、より好ましくは請求項8に記載した
発明のように、ビードコアに対し曲率変化域vより遠く
位置する隣接領域w′を、カーカスパスラインの最大高
さHの12%に相当する垂直距離jをカーカスプライ巻
上げ端高さhから隔てるパスライン上の点に至るパスラ
イン第2区域内に位置する2点P、Q間に設けるもので
ある。
【0015】この発明に従いカーカスプライの折返し部
そのものではなくしてコードのラジアル配列プライの一
方のビード部から他方のビード部にわたる、カーカスパ
スラインのトロイド状をなすカーカスプロファイルの特
異形状によって、カーカスプライの折返し端の近傍ゴム
に生じる引張り歪の低減を図ることの新規発想の下で
は、従来の強化対策に用いた補強材や特殊部材をビード
部故障の回避のために付加する必要はない。
【0016】尚、カーカス形状の測定に関し横積みなど
によるくせを除くために、正規内圧充てん後に約24時間
は放置し、より好ましくは、1時間程度60km/h空車時程
度の荷重下に走行させた後測定すべきである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態の一
例を図1〜図9に基づき説明する。図1〜図9に、リム
に組付けたタイヤに標準内圧の5%の微圧を充てんした
タイヤ及びリム組立体の荷重無負荷状態における、この
発明による空気入りラジアルタイヤのカーカスプロファ
イルを例示した。
【0018】各図において1はビード部、2はサイドウ
オール部、3はトレッド部であり、4はカーカス、5は
インナライナ、6はビードコア、7はベルト、8はリ
ム、そして9は凸レンズ状断面形状のウエッジゴムをあ
らわす。各図ともタイヤの放射方向断面を左半ないしは
その要部について示し、ここでカーカス4は太実線によ
り簡略図解し、またビードチェーファ、スティフナーな
どの一般的ビード補強部材の図示は省略し、さらにイン
ナライナ5については場合により一部を省略した。
【0019】カーカス4に用いるコードのラジアル配列
プライは、ビードコア6のまわりにタイヤの内側から外
側へ巻上げ、その巻上げ端のビードベース、ここではリ
ム径ラインRLから測った高さをhで、またカーカス4
のパスライン最大高さはHで、それぞれあらわすものと
し、図1〜図4を合わせ参照して巻上げ端の高さhに相
当するカーカス4のパスライン上の高さ位置傍における
カーカス4の内面側にウエッジゴム9を配置するものと
する。
【0020】このウエッジゴム9の配置により、図1及
び図5の例では、巻上げ端高さhの上下にわたって、最
大高さHの8%に相当する垂直距離gをへだてる第1の
パスライン区域内で、パスラインに沿って10mm以内の隔
りlをおく2点M,N間に、カーカスパスラインの曲率
変化域vを形成させるのであり、ここで点M及びNにお
けるカーカス4のパスラインの接線m−m′及びn−
n′がリム径ラインRLとなす角θM とθN との角度差は
5〜90°であることがのぞましい。
【0021】曲率変化域vは、タイヤ及びリム組立体に
標準内圧の5%の微圧を充てんした荷重無負荷状態の自
立姿勢タイヤ(図5の実線参照)で図1,図5に示した
ようにプライの巻上げ端に向って局部で凸状に迂曲(タ
イヤの内面から見て凹む)する曲線であり、図5にて破
線で示す標準内圧の充てん下では、この内圧に基くタイ
ヤの膨満変形は曲率変化域vに曲げ変形を集中させてカ
ーカス4のパスラインが滑らかに連続するような変形を
し、その結果プライの巻上げ端の近傍のビード部1内の
ゴムに圧縮応力が生起し引張歪を低減する。
【0022】この圧縮応力は、内圧充てん荷重無負荷状
態での引張り歪を低減するのでタイヤの走行時にビード
部のプライ巻上げ端における引張り歪の有効な低減がも
たらされて、ビード部故障が適切に回避されるわけであ
る。
【0023】図6には曲率変化域vの、ビードコア6か
らより遠い隣接領域wについて、カーカスパスラインの
最大高さHの12〜24%に相当する垂直距離j,i(図1
参照)をカーカスプライ巻上げ端の高さhから隔てるパ
スライン上の点Kに至る間に、1/500(mm-1) 以内の曲率
を有するものとした場合を示し、この曲率は曲率変化域
vの曲率より小さくし、曲率変化域vと滑らかに連な
る。この例でもビート部1に圧縮応力を生起し、引張り
歪を低減するのは、図1,図5の場合と同様である。
【0024】次に図7〜図9ではやはり曲率変化域vの
ビートコア6からより遠い隣接領域w′が、カーカスパ
スラインの最大高さHの12%に相当する垂直距離j(図
1参照) を巻上げ端高さhから隔てる点に至るパスライ
ン第2区域内に位置する点P,Q間で、タイヤの外側に
曲率中心を有するものとし、曲率変化域Vと変曲点を介
して滑らかに連なる場合であって、やはり図1,図5の
場合と同様、ビード部1のプライ巻上げ端の近傍に圧縮
応力を生起し引張り歪を低減するのは図9に示すところ
から明らかである。
【0025】このようにカーカスパスラインに曲率変化
域vを設けるという手法を採用することにより、タイヤ
の構造、ビート部の部材等を新たに変更する必要なく、
従来のタイヤ構造使用部材をそのままとして、ビード部
耐久性を向上させることができるのでタイヤの品質上も
また生産性の面でのメリットは大きい。
【0026】上に述べた特異のカーカスプロファイルを
得るには、断面形状が凸レンズ状をなすウエッジゴム9
を配置するのが最も確実、有効であるが、その他にタイ
ヤの成形加硫の際モールド内壁からタイヤ回転軸方向内
側のカーカスプライまでのゴムゲージの分布を制御する
ことでも可能である。その手段として加硫時のいわゆる
“ゴム流れ”によるカーカスラインの変動、ばらつきを
成るべく抑制する上で次の手法が有効である。
【0027】すなわち従来の成形加硫手法に従うタイヤ
にあっては、ビードコア相互間にわたるカーカスプライ
はタイヤ内面に沿うように構成されているのに対し、図
11のように局部的に厚さの異なる部分5′を形成したイ
ンナライナ5を使用したり、またカーカスパスラインの
曲率変化域vに対応する位置にて加硫用ブラダーにブラ
ダーの周上で連続した突条を設けることによりカーカス
のパスラインに上記の曲率変化域vを得ることもできる
(図10参照)。
【0028】これらのことによりこの発明に従うカーカ
スパスラインの生産上の変動、ばらつきを適切に抑制で
きるのである。
【0029】この発明によれば、リムに組付けたタイヤ
に標準内圧の5%の微圧を充てんしたタイヤ及びリム組
立体の荷重無負荷状態におけるタイヤの放射方向断面に
おけるカーカスフロファイルが、ウエッジゴム9の配置
により、タイヤ内面から見て、局所凹部を呈するカーカ
スパスラインの曲率変化域vを有している。この局所凹
部はタイヤに標準内圧を充てんしたときのカーカス及び
これに付随するゴムの曲げ変形をこの局所凹部に集中的
に生じさせることにより、大きな圧縮応力を生起させて
カーカス4の巻上げに面するビード部1のゴム中に生じ
る引張り歪を相殺的に低減させ、従ってビード部耐久性
向上を達成する。
【0030】ここに曲げ変形を集中させるにはカーカス
パスラインが上記局所凹部においてその他の部分に比べ
て著しく大きな曲率に成っている必要があり、カーカス
に沿った長さが10mm以内の隔りをおく2点M,Nでのカ
ーカスパスラインの接線m−m′,n−n′がリム径ラ
インRLに対してなす角度差が5度以上である部分が存在
していなければならない。
【0031】また局所凹部に集中させたタイヤの曲げ変
形の効果でプライ端に生ずる引張り歪を低減させるに
は、局所凹部とプライ端部とが十分近接していなければ
ならない。つまり図1に示すように、リム径ラインRL
から測ったプライ端高さhよりカーカスラインの最大高
さHの±8%の範囲の高さ、すなわちh−gからh+g
の高さにあるカーカスパスライン上に上述の局所凹部が
存在していなければならない。
【0032】ところで上述の局所凹部の曲率が他の部分
に比べて十分に大きくても、これを広範囲にわたらせる
と、タイヤに標準内圧を充てんしたときに期待するよう
な曲げ変形の集中が得られない。
【0033】従って局所凹部よりタイヤ回転軸の側並び
にタイヤトレッドの側には、曲率の小さい部分が存在す
る必要がある。しかしながらカーカスプライの巻上げ端
近傍に配した局所凹部よりタイヤ回転軸の側にはスティ
フナーやチェーファー等の補強部材が配置されているた
め剛性が大きく、この位置でのカーカスプロファイルは
標準内圧充てんによるタイヤの曲げ変形には大きな影響
を受けない。従って図1,図5のようにカーカスパスラ
インの局所凹部に近接し、これよりタイヤ踏面の側の部
分においてカーカスラインの最大高さHの12〜24%の十
分な長さにわたって、カーカスパスラインの曲率半径が
500 mm以上で、十分に曲率が小さいようにすることがの
ぞましい。
【0034】また上述の曲率半径が小さい部分のかわり
にタイヤ内面から見てカーカスプライが凸部を形成する
部分を有していても、同様に標準内圧充てんによるタイ
ヤの曲げ変形を局所凹部に集中させてカーカスプライ端
部の歪を低減させることにより、ビード部の耐久性を向
上させることができる。
【0035】つまり、図7〜図9のように局所凹部より
タイヤ放射方向外側であり、かつリム径ラインRLより
測ったカーカスプライ端高さhよりタイヤ踏面の側にカ
ーカスラインの最大高さHの24%、タイヤ回転軸の側に
Hの8%の範囲の高さ、望ましくは踏面の側にHの12
%、タイヤ回転軸の側にHの8%の範囲の高さにて、タ
イヤ内面から見てカーカスプライ4が凸部を形成してい
ることも効果的である。
【0036】上述のようなこの発明のカーカスパスライ
ンを、加硫時の“ゴム流れ”による生産上の変動、ばら
つきの抑制下に得るには図2,図3,図4のようにカー
カスプライより軸方向内側で局所凹部近傍にウエッジゴ
ム9を配置し、タイヤ内壁を滑らかに、もしくはタイヤ
回転軸内側より見て凸部状にすることが最適である。
【0037】同様の目的で従来の手法ではほぼ均一の厚
さであるインナーライナー5の厚さを図11に符号5′で
示すように局所凹部近傍で局部的に変化させることも推
奨される。ケースラインの変動を十分に抑制するにはイ
ンナライナの平均厚さの1.7倍から8倍、望ましくは2
倍から4倍の厚さを局所凹部近傍に有することも一層の
ぞましい。
【0038】
【実施例】実施例1 さて図2にこの発明の実施例を示したようにナイロンチ
ェーファー2枚、ワイヤーチェーファー1枚を有するラ
グパターンタイヤ (サイズ10.00 R20)において、リム径
ラインRLからのカーカスラインの最大高さH=233 m
m、プライ端高さh=66.5mmであり、カーカスパスライ
ン上で高さ72mm(h+0.024H) と65.5mm(h−0.004H) とに
位置する、長さ7mmをへだてた2点M,Nにおけるカー
カスパスラインの接線のリム径ラインRLに対する角度差
が6.0 °であり、このカーカスプライのタイヤ内面から
見て凹部を形成する部分に隣接してこの部分よりタイヤ
踏面の側のカーカスパスラインが長さ30mm(0.129H)にわ
たり事実上直線状であり、一方カーカスプライとこれに
隣接するナイロンチェーファーとの間に幅20mm、最大厚
さ2mmである断面凸レンズ状ウエッジゴム9を配置した
タイヤを試作し、ドラム走行テストにおいてビード部耐
久性を試験したところ、従来方式の自然平衡形状カーカ
スプロファイルのタイヤに比べて走行距離が約16%増加
した。
【0039】実施例2 図3のようにやはりナイロンチェーファー2枚、ワイヤ
ーチェーファー1枚を有するリブパターンタイヤ(サイ
ズ10.00R20)において、リム径ラインRLからのカーカ
スラインの最大高さH=241 mm、プライ端高さh=67mm
であり、カーカスパスライン上で高さ65.7mm(h−0.005
H) と59.2mm(h−0.032H) とに位置して長さ7.8 mmをへ
だてた2点M,Nにおけるカーカスパスラインの接線の
タイヤ回転軸に対する角度の差が14°であり、このカー
カスプライのタイヤ内面から見て凹部を形成する部分に
近接してこの部分よりタイヤ踏面の側で高さ90mm(h+0.
099H) までのカーカスプライがタイヤ内面から見たとき
に凸部を形成し一方インナライナのタイヤ軸方向内側に
幅20mm、最大厚さ2.7 mmである断面凸レンズ状のウエッ
ジゴム9を有するタイヤを試作し、ドラム走行テストに
おいてビード部耐久性を試験したところ、従来方式の自
然平衡形状のタイヤに比べて走行距離が約15%増加し
た。
【0040】実施例3 図10のようにナイロンチェーファー2枚、ワイヤーチェ
ーファー1枚を有するリブパターンタイヤ (サイズ10.0
0R20) において、リム径ラインRLからのカーカスライ
ンの最大高さH=241 mm、プライ端高さh=67mmであ
り、カーカスパスライン上で高さ68.3mm(h+0.005H) と
62.8mm(h−0.017H) とに位置する長さ6mmをへだてた2
点M,Nにおけるカーカスパスラインの接線のリム径ラ
インrに対する角度の差が6°であり、このカーカスプ
ライのタイヤ内面から見て局所凹部を形成する部分に近
接してこの部分よりタイヤ踏面の側で高さ95mm(h+0.11
6H)までのカーカスプライがタイヤ内面から見たときに
凸部を形成しているタイヤを試作し、ドラム走行テスト
においてビード部耐久性を試験したところ、従来方式の
自然平衡形状のタイヤに比べて走行距離が約18%増加し
た。
【0041】実施例4 図4のようにナイロンチェーファー2枚、ワイヤーチェ
ーファー1枚を有するブロックパターンタイヤ(サイズ
11/70R22.5)において、リム径ラインRLからのカーカ
スラインの最大高さH=165.5 mm、プライ端高さh=34
mmであり、カーカスパスライン上で高さ46.3mm(h+0.07
4H) と42.1mm(h+0.049H) とにある長さ5.2 mmをへだて
た2点M,Nにおけるカーカスパスラインの接線のリム
径ラインに対する角度の差が8.5 °であり、このカーカ
スプライのタイヤ内面から見て凹部を形成する部分に近
接してこの部分よりタイヤ踏面の側のカーカスパスライ
ンが長さ22mm(0.133H)にわたり事実上直線状であり、2
枚のチェーファーの間に幅20mm最大厚さ2.5 mmの断面凸
レンズ状のウエッジゴム9を配置したタイヤを試作し、
ドラム走行テストにおいてビード部耐久性を試験したと
ころ、従来方式の自然平衡形状のタイヤに比べて走行距
離が約12%増加した。
【0042】
【発明の効果】この発明の請求項1〜8に記載した発明
によれば、重荷重用ラジアルタイヤの再三の更新によ
る、再生ライフサイクルの伸長に必要な優れたビード部
耐久性を発揮する空気入りラジアルタイヤを提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に従うカーカスパスラインを例示した
タイヤ断面図である。
【図2】この発明に従うウエッジゴムとカーカスパスラ
インとを例示したタイヤ断面図である。
【図3】この発明に従うウエッジゴムとカーカスパスラ
インとを例示したタイヤ断面図である。
【図4】この発明に従うウエッジゴムとカーカスパスラ
インとを例示したタイヤ断面図である。
【図5】この発明に従うカーカスパスラインを例示した
タイヤ断面図である。
【図6】この発明に従うカーカスパスラインを例示した
タイヤ断面図である。
【図7】この発明に従うカーカスパスラインを例示した
タイヤ断面図である。
【図8】この発明に従うカーカスパスラインを例示した
タイヤ断面図である。
【図9】この発明に従うカーカスパスラインを例示した
タイヤ断面図である。
【図10】実施例のタイヤ断面図である。
【図11】別の具体例のタイヤ断面図である。
【符号の説明】 1 ビード部 2 サイドウオール部 3 トレッド部 4 カーカス 5,5′ インナライナ 6 ビードコア 7 ベルト 8 リム 9 ウエッジゴム
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図6】
【図3】
【図4】
【図5】
【図8】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対のビード部及びサイドウオール部
    と、両サイドウオール部間にまたがるトレッド部とから
    なり、ビード部の一方から他方へわたって延在するコー
    ドのラジアル配列プライより成るカーカスをボディ補強
    としてそなえ、カーカスはそのうち少なくとも1プライ
    を、ビード部のビードコアをタイヤの内側から外側へ向
    け巻き上げたターン・アップ構造とした、空気入りラジ
    アルタイヤにして、 リム組みをした無負荷状態にて標準内圧の5%の内圧を
    充てんした自立姿勢でのタイヤの放射方向断面における
    カーカスパスラインが、プライの巻上げ端のリム径ライ
    ンRLからの高さ(h) に対応する位置の近傍にてそのプラ
    イの巻上げに向って迂曲する曲率変化域(v) を含んで標
    準内圧の充てん下にカーカスの変形によって、プライの
    巻上げ端の近傍のビード部に圧縮応力を生起する、カー
    カスプロファイルに成ることを特徴とする、ビード部高
    耐久性空気入りラジアルタイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006256472A (ja) * 2005-03-17 2006-09-28 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ
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