JP5192530B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、ロードノイズの低減対策を施した空気入りタイヤに関するものである。
近年、空気入りタイヤには、操縦安定性や乗り心地性と共にタイヤに起因する騒音の低減が求められてきている。タイヤのロードノイズは、自動車が走行するとき路面の凹凸によりタイヤが加振された振動がタイヤホイールのリムからホイール並びに車軸を介して車体に伝達され、その振動により車体内の各部が共振することにより起こる騒音である。
ロードノイズの発生周波数は20Hz〜1kHzであり、主に60Hz〜400Hzで発生する周波数帯域の音圧レベルのピークとタイヤの振動特性との関係が知られている。
図8に車両の走行中に起こる車内音の音圧レベルと発生周波数との関係を表わすグラフである。図8に示すように、60Hz〜400Hzの周波数帯域では、矢印A、B、Cの3つの音圧レベルのピーク値がある。第一のピーク値(A)は80Hz〜100Hz付近の領域である。主として、タイヤとリムとが逆位相で振動するモードである。第二のピーク値(B)は250Hz付近の領域である。主として、タイヤの内部の1次の空洞共鳴が原因となっている。第三のピーク値(C)は、ピーク(280〜400Hz領域)はタイヤの断面2次の振動モードであって、トレッド部端部のショルダー部がトレッド部、サイドウォール部と逆位相で振動するモードである。
図9は断面2次の振動モードを説明する図である。1点鎖線がタイヤ断面の初期形状を示し、実線が振動モード時の断面形状を示す。この断面2次の振動モードは、タイヤサイド領域におけるタイヤ最大幅部をサイド節Sとして、また、トレッド部におけるタイヤ赤道線からトレッド幅の1/3だけ離れた部位をセンター節Cとする計4節(一対のサイド節と一対のセンター節)となり、トレッド中央部、トレッド部からサイドウォール部への遷移領域であるバットレス領域、およびビード部上方域がそれぞれ腹h1、h2となる振動モードである。
従来から、ロードノイズを低減させる手法が種々開示されている。特許文献1では、図7に示すように、ビードコア100およびビードフィラー101からなるビード部102とこれに隣接するカーカス層103の折り返し部との間にゴムシート105を配置することにより、第一のピーク値(A)を低減させる手法が開示されている。
特許文献2では、サイド部の内側面に、ビード部を主として補強するアラミド繊維からなる複数の補強コードをゴム引きして成るビード補強層を、少なくともタイヤ断面高さの1/2よりもビード部側領域に配置し、断面2次の振動モードの腹となるビード部上方域の振動を抑える手法が開示されている。
特許文献3および特許文献4には、ベルト層の両端部からそれぞれタイヤ最大幅位置に至る左右の領域におけるゴム質量を上げて、断面2次の振動モードの腹となる部分の質量を増加させ、振幅を小さくして、図8に示す第3のピーク値(C)を低減させる手法が開示されている。
特開2008−189019号公報 特開2008−49924号公報 特開2008−143305号公報 特開2001−191742号公報
しかし、各特許文献1〜4のいずれにおいても、ロードノイズの低減を主目的としているため、生産効率や成型工程での不良対策までも考慮した手法は採用されていない。
特許文献1では、ビードコアの角またはフィラーの端部で減衰ゴムシート端が重なる形態となるため、工程不良が発生しやすく、また、減衰ゴムシートをタイヤ幅方向内側のビードフィラー上部まで延伸すると、部材端との合致により、また、フィラー上部がタイヤの最大屈曲部近傍となることから、成形工程不良となり、この部分での耐久性に支障を来たすおそれがある。
特許文献2では、高剛性のビード補強層の端部をタイヤ最大幅付近に配置していることから、工程不良になり、特許文献1と同様に耐久性に支障を来たすおそれがある。
特許文献3、4では、断面2次の振動モードによるロードノイズの低減が可能であるが、図8に示す第一のピーク値領域の振動の低減対策は採られていない。従って、特許文献3,4のロードノイズ対策に特許文献1のロードノイズ対策を組み合わせようとした場合、生タイヤ成型時に異なる部材をカーカス層に貼着させなければならず、生産効率が悪くなるといった問題がある。
本発明は、上記に鑑み、低周波数領域から中周波数領域のロードノイズの低減を図り、かつ工程不良の発生を抑え、さらに、生産効率も向上し得る空気入りタイヤの提供を目的としている。
上記目的を達成するため、本発明では、左右一対のビード部間にカーカス層がトロイダル状に装架され、各ビード部に埋設されたビードコアの周りにカーカス層の端部が巻き上げられた空気入りタイヤであって、ベルト層下部からビード部下を通りビードフィラー内面側までを連続して覆う、JISA硬度50度〜80度のゴムシート層が設けられ、該ゴムシート層の内端位置が、タイヤ径方向でビードコアからビードフィラーの先端までの間であって、その他の部材端と異なる位置に設定され、前記ゴムシート層は、トレッド部とサイドウォール部との遷移領域であるバットレス領域付近のシート厚みが他の部位よりも厚く設定され、シート両端に向かうほど厚みが漸減するように形成されたことを特徴とする。
上記構成によると、JISA硬度が50度〜80度であるゴムシート層がビード部に介在されているので、タイヤからリムに至る固体伝播が低減され、その一次固有値領域(80Hz〜100Hz帯域付近)のロードノイズを低減することができる。
しかも、ゴムシート層は、ベルト下部からビード部下を通りビードフィラー内面側まで連続的に覆うので、ショルダー部がトレッド部、サイドウォール部と逆位相で振動することに起こるタイヤ断面の二次の振動モード(280〜400Hz、特に315Hz帯域付近)の振動を抑え、ロードノイズを抑制することができる。
ここで、ゴムシート端をビードフィラーの上端で止めると、ビードフィラー端の段差が大きくなり、最大屈曲部との距離が小さくなるので、工程不良の発生と耐久性に問題があり、また、ゴムシート端をビードフィラー端よりもタイヤ径方向で外側に上げ過ぎても耐久性やロードノイズ低減対策としての効果は少なく、逆に重量増しになる。
そこで、本発明では、ゴムシート層の内端位置が、タイヤ径方向でビードコアからビードフィラーの先端までの間であって、その他の部材端と異なる位置に設定している。これにより、ゴムシート端の段差を小さくすることができ、工程不良を低減することができる。
しかも、ゴムシート層の内端位置が、タイヤ径方向でビードコアからビードフィラーの先端までの間であるので、ビードフィラー端よりも上げ過ぎる場合に比べて軽量化が図れる。
さらに、ゴムシート層は、ベルト層下部からビード部下を通りビードフィラー内面側までを連続して覆う構成にしているので、一枚のゴムシート層により、固体伝播による一次固有値領域(80Hz〜100Hz帯域付近)のロードノイズと、タイヤ断面の二次振動モード(280〜400Hz帯域付近)のロードノイズの両方を共に抑えることができ、別々の部材により、各ロードノイズを低減する場合に比べてタイヤ成型時の生産効率も向上させることができる。
ここで、ゴムシート層は、タイヤ断面方向の断面二次領域(315Hz帯域付近)の振動を抑えるために、バットレス付近のシート厚みを厚くし、シート両端付近の厚みを薄く形成している。これにより、バットレス付近の振動が抑制され、断面二次振動モードが抑制されることになる。
なお、バットレス領域(Buttress)とは、トレッド部からサイドウォール部への遷移領域である。換言すると、バットレス領域とは、ベルト層の端部からトレッドゴム端までの領域をいい、この部分においてトレッドゴムとサイドウォール部とが重なり合うことになる。
また、断面二次の振動モードは、タイヤ単体の振動モードの分散により抑制することができるため、タイヤ単体においては、ゴムシート層をタイヤ幅方向で片側のみに配置する構成であってもよい。すなわち、ゴムシート層は、タイヤ幅方向の内側又は外側のいずれに配置してもよい。これにより、操縦安定性の向上と両側に配置する場合に比べて軽量化を図ることができる。
ただ、ゴムシート層を片側のみに配置する場合、車両装着時の外側に配置する方が良い。ゴムシート層を車両の左右方向で外側に配置した方がサイド部の剛性を高め、コーナリング性能の向上と直進安定性を維持することができる。
以上のとおり、本発明によると、ベルト下部からビード部下を通りビードフィラー内面側までを覆うゴムシート層の内端位置が、タイヤ径方向でビードコアからビードフィラーの先端までの間であって、その他の部材端と異なる位置に設定されているので、低周波数領域から中周波数領域のロードノイズを低減することができる。また、連続する一枚のゴムシートを使用しているので、生産効率を向上させることができる。さらに、ゴムシート端の配置を他の部材端と異なる位置に設定しているので、工程不良を低減することができる。また、バットレス付近のシート厚みを厚くし、シート両端付近の厚みを薄く形成しているので、バットレス付近の振動が抑制され、断面二次振動モードを抑制することができる。
本発明に係る空気入りタイヤの概略を示す断面図である。 ゴムシート層の厚みの関係を示す断面図である。 ゴムシート層の内端位置とビードフィラーとの高さ関係を示す図である。 (a)(b)(c)はゴムシート層を含むタイヤの成型工程を示す図である。 タイヤ幅方向で片側にのみ配置したゴムシート層を車両外側に配置した状態を示す断面図である。 従来の空気入りタイヤのビード部の断面図である。 本発明の比較例1として示す、特許文献1の空気入りタイヤのビード部の断面図である。 実走車内音の音圧レベルと周波数との関係を示す図である。 断面二次振動モードを説明するための図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る空気入りタイヤの一例を示すタイヤ子午線半断面図である。この空気入りタイヤは、一対のビード部1と、ビード部1から各々タイヤ径方向外側に延びるサイドウォール部2と、サイドウォール部2間に設けられたトレッド部3とを備えている。
ビード部1は、トロイダル状に形成されたカーカス層4の両端を支持しタイヤをリム5に固定するためのものである。ビード部1は、リム5に嵌合可能な環状のビードコア6と、ビードコア6よりもタイヤ径方向で外側に配設された断面略三角形状をなすビードフィラー7とを備えている。
ビードコア6は、鋼線等のビードワイヤからなる収束体をゴム被覆して構成される。ビードフィラー7は、ビード部の剛性を高めるために硬質ゴムから構成される。ビード部1には、カーカス層4がリム5に直接触れないようにカーカス層4を保護するチェーファ(図示略)で外周部を保護する。
カーカス層4は、タイヤの骨格を形成するもので、トロイダル状に形成され、タイヤ内部の空気圧と荷重、衝撃に耐える機能を有する。カーカス層4はカーカスプライから構成される。カーカスプライは、有機繊維からなるカーカスコードをゴム引きして構成される。ラジアルタイヤの場合、カーカスコードがラジアル方向に平行に延びている。
カーカス層4の内側にはインナーライナー11が貼り付けられる。インナーライナー11は、チューブに相当するゴム層がタイヤ内側に貼り付けられたもので、タイヤ自体で釘などを踏むトラブルが発生した場合でも、急激な空気漏れを防ぐことができる。
カーカス層4の端部4aは、ビード部1の内側からソールを周回してビード部1の外側に向けて折り返され、ビード部1に係留される。カーカス層4の端部4aは、タイヤの耐久性を維持するため、他の部材端から外れた位置に配置される。
本例では、カーカス層4の端部4aが、ビードフィラー7の先端位置よりもタイヤ径方向で外側で、かつサイドウォール部2の最大屈曲部12よりもタイヤ径方向で内側に設定されている。カーカス層4の端部4aの位置は、この例に限らず最大屈曲部12よりもタイヤ径方向で外側に設定してもよい。
サイドウォール部2は、カーカス層4の外側に配置されたサイドウォールゴムから構成され、カーカス層4を保護している。このサイドウォール部2は、タイヤの走行中、最も屈曲が激しい部分である。後述するように、断面2次の振動モードでは、図9に示すように、タイヤの最大幅方向を節Sとして、バットレス領域21とビードフィラー7よりも上側部分が腹h1、h2となる振幅の大きな振動が発生し、ロードノイズの原因となっている。
そこで、本例では、この部位を含む連続するゴムシート層15を配設することで、ロードノイズ低減対策を採っている。ゴムシート層15の構成は後述する。
トレッド部3は、カーカス層4を保護すると共に摩耗や外傷を防ぐもので、トレッドゴム16とベルト層17とを備えている。
トレッドゴム16は、その表面にタイヤ周方向に沿って延びる主溝や主溝に交差して延びる横溝などが設けられ、所定のトレッドパターンが形成されている。
ベルト層17は、トレッドゴム16とカーカス層4との間にタイヤ周方向に張られた補強帯である。カーカス層4を強く締め付けてトレッド部3の剛性を高める役割をしている。本例のベルト層17は、内外に積層された2枚のベルトプライから構成されているが、積層枚数は特に限定されるものではない。
ロードノイズを低減するためのゴムシート層15は、ベルト層17の下部からビード部1下を通りビードフィラー7の内面側までを覆う。ゴムシート層15の介在によりタイヤからリム5に至る固体伝播が低減され、一次固有値領域(80Hz帯域付近)のロードノイズを低減することができる。他のゴム材との接着性などを考慮してJISA硬度が50度〜80度とされている。
ここで、JIS(Japanese Industrial Standards)A硬度とは、JIS K6253「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの物理試験方法」に準拠したスプリング式硬さ試験(A形)によるゴム硬さ(Hs)である。
ゴムシート層15の内端位置15aは、図3に示すように、タイヤ径方向でビードコア6からビードフィラー7の先端までの間、換言すれば、ビードフィラー7の中間位置に配置される。
すなわち、ビードフィラー7の高さをBFh、ゴムシート層15の内端部15aのビードフィラー7の底からの高さをTPhとすると、BFh>TPhとなる。具体的には、ゴムシート層15の内端15aが、ビードフィラー高さの30%〜60%の範囲内に設定されるのが好ましい。この範囲外になった場合、ゴムシート層の内端がビードフィラーの端部に近づくことになるからである。また、ゴムシート層15の内端位置15aは、その他の部材端とも異なる位置に設定されている。
これらの理由は以下の通りである。ゴムシート層15の端部をビードフィラー7の上端で止めると、ビードフィラーの先端において、カーカス層4に生じる段差が大きくなる。
しかも、ビードフィラー7の先端は、タイヤの最大屈曲部12に近いため、ゴムシート層15の端部とタイヤの最大屈曲部12との距離が小さくなり、工程不良の発生と耐久性に問題が生じる。さらに、ゴムシート層15の端部をビードフィラー7の先端よりもさらにタイヤ径方向で外側に上げ過ぎた場合、タイヤの耐久性やロードノイズ低減対策としての効果は小さく、逆にゴムシート層17の重量による重量増しが問題となる。
そこで、本例では、ゴムシート層15の内端位置をタイヤ径方向でビードコア6からビードフィラー7の先端までの間に設定した。ただ、ビードコア6とビードフィラー7との間には、タイヤの横剛性および前後剛性を高くするためにアラミド繊維等の織布からなるフリッパーが配設される場合がある。フリッパー等の他の部材が存在する場合は、ゴムシート層15の端部15aは、フリッパーの端部とも異なる位置に配置することが望ましい。
さらに、ゴムシート層15の端部は、タイヤ使用時の歪が大きいリムライン18の近傍からも外すのが好ましい。リムラインとは、リムのフランジ高さの1.18倍の位置に、リム組み時にタイヤとリムの軸心が適正に組み合わされたかどうかの目安となるタイヤ周方向に延びるラインである。
このように、ゴムシート層15の内端15aは、ビードフィラー7やその他の部材端と異なる位置に設定されているので、ゴムシート端の段差を小さくすることができ、工程不良を低減することができる。しかも、ゴムシート層15の内端位置が、タイヤ径方向でビードコア6からビードフィラー7の先端までの間であるので、ビードフィラー端よりも上げ過ぎる場合に比べて軽量化が図れる。
また、ゴムシート層15の外端15bは、トレッド部3のベルト層17の端部17aに配置される。このゴムシート層15をベルト層端部17aからビード部1の下側を通してビードフィラー7の中間位置まで配置すると、全体の質量が大きくなる。特に、断面2次の振動モードが、タイヤサイド領域におけるタイヤ最大幅12をサイド節Sとして、バットレス領域21を腹h1の一つとする振動モードであるので、バットレス領域21の質量を増加することにより振幅を抑え、中周波数領域(280Hz〜400Hz)のロードノイズを低減することができる。
ここで、バットレス領域(Buttress)とは、トレッド部3からサイドウォール部2への遷移領域である。換言すると、バットレス領域21とは、ベルト層17の端部17aからトレッドゴム端16aまでをいい、この部分においてトレッドゴム3とサイドウォール部2と重なり合うことになる。
本例においては、サイドウォール部2のクラウン側端部がトレッドゴム3とカーカス層4との間に挟まれる、いわゆるTOS構造(Tread Over Sidewall Construction)について説明しているが、これに限らず、トレッドゴム3の側面上にサイドウォール部2を重ねる、いわゆるSWOT構造(Sidewall Over Tread Construction)であっても本発明を適用することができる。
また、ゴムシート層15は、全域に亘って均一厚みであってもよいが、本例では、タイヤ断面方向の断面二次領域(315Hz帯域付近)の振動を効果的に抑えるために、バットレス領域21の付近のシート厚みを厚くし、シート両端付近15a、15bの厚みを薄く形成している。これにより、バットレス21付近の振動を抑制し、断面二次振動モードに起因する中周波数領域(280Hz〜400Hz)のロードノイズを低減している。
本例では、バットレス領域21の最も厚い部分をH2、ベルト層17側の端部15bの厚みをH1、ビードフィラー7側端部15aの厚みをH3とすると、H2>H1>H3に設定している。例えば、H1=0.2mm〜0.4mm、H2=0.5mm〜1.0mm、H3=0.1mm〜0.3としている。これは、ビードフィラー7側は、他の部材との重なりによる段差を極力抑える必要があるので、ベルト端側よりも薄く設定し、また、バットレス領域21は、質量を極力増加して振動を抑えたいため厚く設定している。
この場合、極端な厚みの変更は、他の部材との接着性に問題が生じるおそれがあるため、最も分厚いバットレス領域21から両端に向かって漸減する構造を採用している。したがって、本例のゴムシート層15の断面形状は頂角が大きい三角形状に形成されている。
図4はゴムシート層15を含むタイヤの成型工程を示す図である。各符号は夫々の構成部材と符合している。図に示すように、円筒状の成型ドラム25にインナーライナー11を貼り付け、貼り付けたインナーライナー11の外側にカーカスプライ4を貼り付ける。
次に、カーカスプライ4の外側にゴムシート15を貼り付ける。この際、ゴムシート15の内端を、ビードフィラー7の中間位置で、かつ他の部材端と異なる位置になるように貼り付ける。
そして、ビードコア6とビードフィラー7を備えた一対のビード部1をカーカスプライ4の両端にセットし、カーカスプライ4の端部が各ビード部1を巻き上げるようにカーカスプライ4の両端を折り返す。図4(a)はカーカスプライの折り返し後の状態を示す。
カーカスプライ4を折り返した後に、その外側にサイドウォールゴム2を貼り付け、成型ドラム25と所定の距離をおいてトレッド部成型ドラム25を拡径した後、カーカスプライ4のクラウン部に相当する位置の外側にベルト層17及びトレッドゴム16を備えたトレッド部3を同心状に配置する。そして、図4(c)に示すように、成型ドラム25を軸方向に縮小させて成型ドラム25を半径方向に拡径させ、トロイダル状の生タイヤを成型する。
本例では、ゴムシート層15をカーカスプライ4の外側に配置した例を示した。つまり、ゴムシート層15をカーカスプライ4とビード部1との間に介在する構成を説明したが、これに限らず、カーカスプライ4の内側に配置する構成、つまり、インナーライナー11とカーカスプライ4の間にゴムシート15を介在させる構成であってもよい。
以上のとおり、JISA硬度が50度〜80度であるゴムシート層15がビード部1に介在されているので、タイヤからリム5に至る固体伝播が低減され、その一次固有値領域(80Hz〜100Hz帯域付近)のロードノイズを低減することができる。
しかも、ゴムシート層15は、ベルト層17の下部からビード部下を通りビードフィラー7の内面側まで連続的に覆うので、タイヤ断面二次の振動モード(280〜400Hz、特に315Hz帯域付近)の腹h1となるバットレス領域21の質量を増加させ、これにより、振幅を抑え、中周波数領域のロードノイズを抑制することができる。
また、ゴムシート層15の内端15aの位置が、タイヤ径方向でビードコア6からビードフィラー7の先端までの間であって、その他の部材端と異なる位置に設定しているので、ゴムシート端15aの段差を小さくすることができ、工程不良を低減することができる。
しかも、ゴムシート層15の内端15aの位置が、タイヤ径方向でビードコア6からビードフィラー7の先端までの間であるので、ビードフィラー端よりも上げ過ぎる場合に比べて軽量化が図れる。
さらに、ゴムシート層15は、ベルト層17の下部からビード部下を通りビードフィラー7の内面側までを連続して覆う構成にしているので、一枚のゴムシート層15により、固体伝播による一次固有値領域(80Hz〜100Hz帯域付近)のロードノイズと、タイヤ断面の二次振動モード(280〜400Hz帯域付近)のロードノイズの両方を共に抑えることができ、別々の部材により、各ロードノイズを低減する場合に比べてタイヤ成型時の生産効率も向上させることができる。
なお、ゴムシート層15は、タイヤ幅方向の両側に配置する態様のみならず、タイヤ幅方向で片側にのみ配置してもよい。これは、断面二次の振動モードはタイヤ単体の振動モードの分散により抑制することができるためである。したがって、タイヤ単体においては、ゴムシート層をタイヤ幅方向で片側のみに配置する構成であれば、タイヤ幅方向の内側又は外側のいずれに配置してもよい。これにより、ゴムシート層15を両側に配置する場合に比べて軽量化を図ることができる。
ただ、ゴムシート層15を片側のみに配置する場合、車両装着時の外側に配置する方が良い。図5はゴムシート層15を車両外側に配置した状態を示す断面図である。
上記構成によると、ゴムシート層15を外側に配置した方がサイド部の剛性を高めることができ、コーナリング性の向上と直進安定性を向上させることができる。
以下、供試タイヤのロードノイズ低減効果並びに生産効率、成型工程不良の評価試験およびその評価結果を下記する。
供試タイヤは245/40R18である。すなわち、タイヤ幅245mm、扁平率(%)=H(断面高さ)/W(断面幅)が40%、ラジアル構造(R)でタイヤ内径(リム径)が18インチである。
従来例のタイヤは、図6に示すように、ビード部とカーカス層との間にゴムシート層を全く介在させない構造のタイヤである。なお、図6において、図7に示す構成部材と同一の部材には同一符号を付した。
比較例1のタイヤは、図7に示すように、ビード部とカーカス層との間にゴムシートを介在させた構造のタイヤである。
比較例2のタイヤは、比較例1と同様に、ビード部とカーカス層との間にゴムシートを介在させると共に、特許文献4に示すように、バットレス領域に質量のあるゴムを配置したタイヤである。
実施例1のタイヤは、均一な厚みのゴムシート層を配置した例を示すタイヤである。
実施例2のタイヤは、図2に示すバットレス領域が分厚いゴムシート層を配置した例を示すタイヤである。
実施例3のタイヤは、図5に示すように車両外側にゴムシート層を配置した例を示すタイヤである。
供試タイヤのロードノイズ測定試験は、荒れた路面を時速60km/hで走行したときの運転席耳位置の音圧を計測し、1/3オクターブバンドでの低周波数領域(具体的には80Hz帯)と中周波数領域(具体的には315Hz帯)の音圧を計測し、エネルギー量の比を指数化したものである。従来例の評価を100として指数で示し、数値が大きいほど音圧レベルが低いことを示す。
操縦安定性は、テスト車両を速度100km/nでの実車走行により、運転者が乾燥路にて、操縦安定性のフィーリング評価を行ない、その評価ポイントを指数で評価したもので、比較例1の評価を100として指数で示し、数値が大きいほど操縦安定性が良好であることを示す。
成型工程不良は、工程不良発生率が高いものを△、発生率の低いものを○で表わしたものである。生産効率は、成型工程を成型トータル時間で換算し、生産効率の良いものを○、悪いものを△で表わしたものである。
Figure 0005192530
表1に示すように、実施例1〜3は、従来例、比較例1,2に比べて、低周波数領域、中周波数領域のいずれのロードノイズも低減することができ、さらに、操縦安定性が増すばかりか、工程不良発生率も低減でき、生産効率も向上することができる。特に、実施例2では、バットレス領域の質量が増大しているので、中周波数領域におけるロードノイズの低減効果が大きく、操縦安定性も良好となっている。
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 カーカス層
5 リム
6 ビードコア
7 ビードフィラー
11 インナーライナー
12 最大屈曲部
15 ゴムシート層
15a ゴムシート層の内端
15b ゴムシート層の外端
16 トレッドゴム
16a トレッドゴム端部
17 ベルト層
17a ベルト層の端部
18 リムライン
21 バットレス領域
25 成型ドラム

Claims (3)

  1. 左右一対のビード部間にカーカス層がトロイダル状に装架され、各ビード部に埋設されたビードコアの周りにカーカス層の端部が巻き上げられた空気入りタイヤであって、
    ベルト層下部からビード部下を通りビードフィラー内面側までを連続して覆う、JISA硬度50度〜80度のゴムシート層が設けられ、該ゴムシート層の内端位置が、タイヤ径方向でビードコアからビードフィラーの先端までの間であって、その他の部材端と異なる位置に設定され、
    前記ゴムシート層は、トレッド部とサイドウォール部との遷移領域であるバットレス領域付近のシート厚みが他の部位よりも厚く設定され、シート両端に向かうほど厚みが漸減するように形成されたことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記ゴムシート層は、タイヤ単体においてタイヤ幅方向で片側のみに配置されたことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 請求項2に記載の空気入りタイヤを装着した車両であって、前記ゴムシート層が車両装着時に外側に配置されたことを特徴とする車両。
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