JPH106513A - インクジェット記録ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

インクジェット記録ヘッドおよびその製造方法

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JPH106513A
JPH106513A JP16343496A JP16343496A JPH106513A JP H106513 A JPH106513 A JP H106513A JP 16343496 A JP16343496 A JP 16343496A JP 16343496 A JP16343496 A JP 16343496A JP H106513 A JPH106513 A JP H106513A
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JP
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nozzle
jet recording
ink jet
recording head
ink
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JP16343496A
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English (en)
Inventor
Katsuhide Ogawa
克秀 小川
Naoshi Kotake
直志 小竹
Nobuo Kenmochi
伸夫 釼持
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノズルの周囲の撥水性を安定的に維持でき、
画質欠陥を低減したインクジェット記録装置、および、
そのインクジェット記録装置に用いられるインクジェッ
ト記録ヘッドの製造方法を提供する。 【解決手段】 ノズル部材1の表面側よりノズル2の周
囲にエキシマレーザ光を照射し、ノズル部材1の表面を
改質し、親水化を行なう。ノズル2の周囲のレーザ光照
射領域4では、エキシマレーザ光の照射により分子間の
結合が断ち切れた状態となる。この状態のノズル部材1
の表面に、撥水剤を塗布し、さらに硬化処理を行なう。
分子間の結合が断ち切れた状態のノズル部材と撥水剤が
容易に結び付き、密着力のある撥水膜5をノズル部材1
の表面に形成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクを吐出して
記録を行なうインクジェット記録装置、および、そのイ
ンクジェット記録装置に搭載されているインクジェット
記録ヘッドの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図7は、従来のインクジェット記録ヘッ
ドの一例を示すノズル部分の概略構成図であり、図7
(A)は平面図、図7(B)は断面図である。図中、1
はノズル部材、2はノズル、3は噴射素子、11は親水
領域、12はインクメニスカス、13はインク吐出方向
である。インクジェット記録ヘッドは、ノズル2を形成
したノズル部材1を有している。ノズル部材1に形成さ
れるノズル2は、先端が開口し、他端からインクが供給
される。インクメニスカス12が通常の状態に保たれて
いる時は、ノズル2の先端にインクが接し、インクとノ
ズル2の材料により決定される接触角と、インクの供給
機構によって発生する負圧によって、インクメニスカス
12が図示したようにノズル2の内方向に凹の状態が保
たれ、ノズル2の先端からインクが流れ出さないように
している。
【0003】ノズル2の途中には噴射素子3が設けられ
ており、インクをノズル2の開口から吐出させ、記録を
行なう。インクを吐出させる時は、例えば噴射素子3で
発生した気泡の圧力を用いることにより、インクメニス
カス12を破るようにしてインク滴がノズル2から押し
出される。それとともに、インクメニスカス12を形成
している均一な力をノズル2の先端より受けることにな
り、ノズル2の中心位置より、ノズル面に対して垂直方
向に向かってインク吐出方向13の方向に液滴が飛翔し
ていく。インク滴吐出後は、再びノズル2の先端にイン
クメニスカス12が通常の状態に形成され、次の吐出タ
イミングまで待機することになる。
【0004】ノズル2の周囲は、エキシマレーザ光によ
り表面改質を行ない、親水化した親水領域11が形成さ
れている。この親水領域11によって、ノズル2のイン
ク吐出面の濡れ性を向上させ、噴射特性を安定させるこ
とができる。このような構成は、例えば、特開平6−3
44562号公報などに記載されている。
【0005】しかし、ノズル2の周囲を親水化するだけ
であると、インク吐出時に、ノズル部材1の表面につい
たインクによりノズルのインクメニスカスが破壊され、
インク吐出方向が変化してしまい、画質を劣化させる問
題が発生する。図8は、従来のインクジェット記録ヘッ
ドの一例におけるインク吐出方向不良の説明図である。
図中、14はインク、15はインク吐出方向である。例
えば、図8に示すように、ノズル2の周囲にインク14
が付着することがある。これは、ノズルからインクが飛
び出す時に微小なインク滴が飛び散ったり、被記録対象
物にインク滴が衝突した時にはじけた勢いでインクがは
ね返るなどによって、ノズル2の周囲に付着したもので
ある。
【0006】ノズル2の周囲にインクが付着すると、先
に述べたノズル2の先端で形成されているインクメニス
カス12の状態が変わり、一部のノズルの先端と一部の
ノズル周囲に付いたインクとの間でインクメニスカスを
形成することになり、インクが噴射される時にかかる力
のバランスがくずれ、結果として例えば図8のインク吐
出方向15へインク滴が飛翔することになる。このよう
なインク吐出方向の変化は、画質欠陥の原因となってし
まう。従って、ノズル周囲をレーザ光を照射して改質し
て親水化し、ノズル2の周囲を濡れやすくすることは、
上述のようにインクメニスカス12のバランスを崩すこ
とにつながるので、インク吐出方向が変化させることに
なる。
【0007】また、ノズルの周囲のインク滴の付着状態
は、各ノズルごとに異なることも考えられる。この場
合、インク吐出方向がノズルごと異なることになり、被
記録対象物に印字された各ドットの位置が、正常におか
れるべき位置と異なる位置に来ることから、画質欠陥と
なり問題となっていた。
【0008】このような問題を解決する手段として、ノ
ズル周囲の濡れ性を改善するために、ノズルの周囲にフ
ッ素系樹脂でできた撥水剤を塗布し、ノズル周囲を撥水
性とする技術も知られている。しかし、ノズルの周囲に
フッ素系の撥水剤を塗布するときの密着性が問題となっ
ている。インクジェット記録ヘッドのノズルが形成され
る部材は、例えば、PSF(ポリサルフォン)、PES
(ポリエーテルサルフォン)、PEN(ポリエチレンナ
フタレート)、PEI(ポリエーテルイミド)、PI
(ポリイミド)などの耐熱性高分子樹脂を材料に用いて
形成されている。高分子樹脂は、分子間が強い結合力で
結びついているものであり、フッ素系樹脂やシリコン系
樹脂などの撥水剤を表面に塗布し、その強い結合を断ち
切って結びつけることが容易に行なえなかった。従っ
て、撥水剤と部材とを強い結合力で結びつけ、インクジ
ェット記録ヘッドの使用期間において十分に膜を形成し
続ける密着力を得ることができなかった。
【0009】また、PSF(ポリサルフォン)、PES
(ポリエーテルサルフォン)、PEN(ポリエチレンナ
フタレート)、PEI(ポリエーテルイミド)を材料と
して用いてノズル部材を作成する時は、精密成型技術に
より作成されていた。
【0010】成型加工工程では、型から成型した成形部
材を取り出す時に離れやすくするため、離型剤などを用
いることがある。この離型剤がノズル部材のノズルが形
成される表面に付くことがあった。離型剤は、ノズルが
形成される表面に付くと、フッ素系の高分子樹脂やシリ
コン系樹脂をはじき、均一に塗布膜を形成することを妨
げる働きがある。そのため、離型剤を用いた時にはノズ
ル部材を洗浄する工程などを入れなければならず、ヘッ
ド作成工程のコストアップという問題があった。また、
高分子樹脂材料自体がもともとフッ素系高分子樹脂やシ
リコン系樹脂をはじく特性を持つものであり、均一に塗
布膜を形成することがさらに困難であった。
【0011】一方、インクジェット記録ヘッドでは、上
述のようにノズルからインクが飛び出す時に微小なイン
ク滴が飛び散ったり、被記録対象物にインク滴が衝突し
た時にはじけた勢いでインクがはね返るなどによって、
ノズルの周囲がインクで汚れる。このインクの汚れによ
って図8に示したようにインク吐出方向が変化して画質
欠陥を引き起こす場合があった。このような問題を回避
するため、通常、ノズルが形成されている表面をゴム部
材などによって清掃を行なっている。
【0012】従って、ノズルが形成されている表面上に
密着性の弱い撥水剤が塗布されていると、ノズルの周囲
に付着するインクをぬぐうワイピング動作を繰り返し行
なっている間に撥水剤が剥がれてしまう。撥水剤が剥が
れると、その部分だけがインクで濡れやすくなり、ノズ
ルの周囲の一部のみに発生するとインクメニスカスのバ
ランスが崩れることになり、インク吐出方向が変化し、
画質欠陥に結びつく原因ともなっていた。
【0013】図9は、従来のインクジェット記録ヘッド
の別の例を示すノズル部分の概略構成図である。図中、
7はワイパー部材、16は撥水膜である。図9では、上
述のように例えばゴム等のワイパー部材7によってノズ
ルの周囲に付着するインクをぬぐう様子を示している。
【0014】従来の撥水剤を塗布したインクジェット記
録ヘッドでは、図9に示すように、一定の厚さに塗布さ
れた撥水膜16が、ノズルが形成された表面より凸とな
っていた。撥水膜16が凸の状態であると、ワイピング
動作時に図中の矢線の方向にワイパー部材7を摺動させ
ると、撥水膜16のエッジとワイパー部材7のエッジが
引っかかり、撥水膜を剥離しやすくさせるという問題も
あった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事
情に鑑みてなされたもので、ノズルの周囲の撥水性を安
定的に維持でき、画質欠陥を低減したインクジェット記
録装置、および、そのインクジェット記録装置に用いら
れるインクジェット記録ヘッドの製造方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、インクを吐出して記録を行なうインクジェット記録
装置において、高分子樹脂材料によって成型されるとと
もにインクを吐出するためのノズルが形成されたインク
ジェット記録ヘッドを有し、該インクジェット記録ヘッ
ドの前記ノズルの近傍の領域は、粗面化手段により表面
のみ粗面化された親水領域が形成されてなり、該親水領
域に撥水剤が塗布されていることを特徴とするものであ
る。
【0017】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
のインクジェット記録装置において、前記親水領域に塗
布される撥水剤の表面は、前記インクジェット記録ヘッ
ドの前記ノズルが形成されている表面とフラットである
かまたは凹であることを特徴とするものである。
【0018】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
のインクジェット記録装置において、前記高分子樹脂材
料は耐熱性の樹脂であることを特徴とするものである。
【0019】請求項4に記載の発明は、請求項1に記載
のインクジェット記録装置において、前記粗面化手段と
してエキシマレーザ光を用いることを特徴とするもので
ある。
【0020】請求項5に記載の発明は、ノズルからイン
クを吐出して記録を行なうインクジェット記録ヘッドの
製造方法において、前記ノズルを形成後、該ノズルの近
傍の領域をエキシマレーザ光により表面のみ粗面化して
親水領域を形成し、該親水領域に撥水剤を塗布すること
を特徴とするものである。
【0021】請求項6に記載の発明は、ノズルからイン
クを吐出して記録を行なうインクジェット記録ヘッドの
製造方法において、前記ノズルが形成される近傍の領域
をエキシマレーザ光により表面のみ粗面化して親水領域
を形成し、該親水領域に撥水剤を塗布し、前記ノズルを
穿設することを特徴とするものである。
【0022】請求項7に記載の発明は、請求項5または
6に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法におい
て、前記親水領域は、インクジェット記録ヘッドの前記
ノズルが形成されている面よりも凹となるように加工さ
れ、前記撥水剤の塗布により該撥水剤の表面が前記面と
フラットまたは凹となることを特徴とするものである。
【0023】請求項8に記載の発明は、請求項5または
6に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法におい
て、前記ノズルの形成もエキシマレーザ光によって行な
い、前記親水領域の形成は、前記ノズルの形成時よりも
マスク開口を広くし、小エネルギで加工を行なうことを
特徴とするものである。
【0024】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のインクジェット
記録ヘッドの製造方法およびその製造方法で作成された
インクジェット記録装置の第1の実施の形態を示す概略
説明図である。図中、図7と同様の部分には同じ符号を
付して説明を省略する。4はレーザ光照射領域、5は撥
水膜、6はレンズである。なお、図1では、インクジェ
ット記録装置に用いられているインクジェット記録ヘッ
ドのノズル2の先端部付近の部分のみを示しており、図
1(A)〜(C)において左側にノズル2の先端の開口
を含む面の平面図を示し、右側に1本のノズル2の断面
図を示した。
【0025】インクジェット記録ヘッドにおいて、ノズ
ル2を形成するノズル部材1は、材料として高分子樹脂
を用いている。具体的には、例えば、PSF(ポリサル
フォン)、PES(ポリエーテルサルフォン)、PEN
(ポリエチレンナフタレート)、PEI(ポリエーテル
イミド)、PI(ポリイミド)などの耐熱性高分子樹脂
を用いることができる。ノズル部材1は、このような高
分子樹脂を用いて、成型加工等によって作成することが
できる。
【0026】ノズル部材1には、ノズル2となるノズル
穴を穿設する。ノズル穴の加工は、エキシマレーザ光を
照射することにより行なうことができる。図1では、ノ
ズル部材1にノズル穴がすでに加工済である状態から示
している。なお、各ノズル2は、それぞれが対応する噴
射素子3と対をなすように組み合わされ、インクジェッ
ト記録ヘッドを形成している。
【0027】まず図1(A)に示すように、組み合わさ
れたインクジェット記録ヘッドのノズル部材1の被記録
紙などと対向するノズル部材1の表面側よりエキシマレ
ーザ光を照射し、ノズルの周囲のノズル部材1の表面を
改質し、親水化を行なう。この時の照射エネルギーは、
ノズル穴の加工時の照射エネルギーより小さなエネルギ
ーを照射し、レーザ加工機の光路中に用いられるマスク
に開けられた開口は、ノズル穴加工時に用いたマスクの
開口をより大きくしたものを用い、レーザ光が広い面積
に照射されるようにする。
【0028】図1に示した例では、円状に加工されたノ
ズル2の位置に対応して、ノズル2よりも広い範囲に円
状にレーザ光が照射されるように位置合わせしたマスク
を用い、レンズ6でレーザ光を絞って加工を行なってい
る。ノズル2が列状に複数並んでいる構成や、ノズルと
ノズルの間隔が細かい構成などの場合には、エキシマレ
ーザ光がノズル全体に照射されるようなマスクを用いて
も、同様の効果が得られることとなる。
【0029】図1(B)に示すレーザ光照射領域4は、
図1(A)に示した工程でレーザ光を照射し、親水化し
た領域である。一般にノズル部材1として上述のような
耐熱性高分子樹脂を用いた場合、それらの耐熱性高分子
樹脂の分子間は強い結合力に結びついている。しかし、
このレーザ光照射領域4では、エキシマレーザ光の照射
により分子間の結合が断ち切れた状態となる。この状態
のノズル部材1の表面に、撥水剤を塗布し、更に、撥水
剤ごとに決められている所定の硬化条件に従って撥水膜
硬化処理を行なう。撥水剤としては、例えば、フッ素系
樹脂またはシリコン系樹脂等を用いることができる。こ
のような撥水剤の塗布および硬化処理を行なうと、分子
間の結合が断ち切れた状態のノズル部材と撥水剤が容易
に結び付き、密着力のある撥水膜をノズル部材1の表面
に形成することができる。
【0030】ここで、撥水剤の塗布工程は、例えば、窒
素ガスなどをノズル穴より一定の圧力で噴出しながら液
体上の撥水剤に浸潰する方法や、窒素ガスなどをノズル
穴より一定の圧力で噴出しながら撥水剤を十分に浸した
スポンジ材やフェルト材にノズル部材1の表面を押しつ
ける方法や、撥水剤を塗布する領域に対応させて撥水剤
を一旦ゴム部材に印刷し、窒素ガスなどをノズル穴より
一定の圧力で噴出したヘッドに転写する方法など、種々
の方法を用いて行なうことができる。また、撥水剤の硬
化工程としては、例えば、室温硬化法、紫外線硬化法ま
たは熱硬化法など、一般に知られた方法を用いて行なう
ことができる。
【0031】このようにして、図1(C)に示すよう
に、ノズル部材1の表面のノズル2の周囲に撥水膜5が
形成される。このとき、形成された撥水膜5はノズル部
材1の高分子樹脂と結合しており、従来のように容易に
剥離せず、撥水膜5の効果を持続させ、安定したインク
の吐出を実現でき、画質欠陥を低減して良好な記録画像
を得ることができるようになる。
【0032】また、レーザ光の照射されたエネルギーを
制御することにより、照射領域は周囲のノズル部材1の
表面よりも凹ませることもできる。図2は、本発明の実
施の一形態におけるワイピング動作時の一例の説明図で
ある。図2に示すように、レーザ光の照射によって凹部
を形成し、その凹部に撥水膜5を形成することで、撥水
膜5の表面はノズル部材1の表面と略同じか、ノズル部
材1の表面よりも凹むようにすることができる。このよ
うに形成することによって、ワイパー部材7でノズル部
材1の表面をこすっても、撥水膜5のエッジとワイパー
部材7のエッジが引っかかることがなくなり、ワイパー
部材7による撥水膜5の剥離を防止できる。
【0033】上述のようにして作成されたインクジェッ
ト記録ヘッドについて、塗布された撥水膜5の密着性を
調べるため、撥水膜5が形成されたノズル部材1の表面
をワイパー部材7で繰り返しこすり、定期的に表面の接
触角を測る試験と、定期的に印字を行ない、その印字方
向性を劣化の評価を行なった。
【0034】図3は、本発明の第1の実施の形態におい
て作成されたインクジェット記録ヘッドと従来のインク
ジェット記録ヘッドにおけるワイピング回数とノズル部
材1の表面の接触角の関係を示したグラフである。図
中、実線は第1の実施の形態におけるインクジェット記
録ヘッドの試験結果を示し、破線は従来の塗布方法によ
り撥水膜を形成したインクジェット記録ヘッドの試験結
果を示している。図3に示すように、本発明のインクジ
ェット記録ヘッドでは、従来の塗布方法により撥水膜が
形成されたインクジェット記録ヘッドと比較して、ワイ
ピングを繰り返してもノズル部材1の表面の接触角が低
下することなく、撥水膜として十分な接触角を維持し続
けた。
【0035】図4は、本発明の第1の実施の形態におい
て作成されたインクジェット記録ヘッドと従来のインク
ジェット記録ヘッドにおけるワイピング回数と印字方向
性の関係を示したグラフである。図中、実線は第1の実
施の形態におけるインクジェット記録ヘッドの評価結果
を示し、破線は従来の塗布方法により撥水膜を形成した
インクジェット記録ヘッドの評価結果を示している。印
字方向性は、印字されたドットの本来印字されるべき位
置からのズレ量を測定し、複数のノズルの平均ばらつき
量を算出したものを特性値とした。図4に示すように、
従来の塗布方法により撥水膜が形成されたインクジェッ
ト記録ヘッドにより印字されたサンプルの方向性のばら
つきの劣化状態と比較し、本発明のインクジェット記録
ヘッドにより印字されたサンプルの方向性のばらつきの
劣化は遅れて発生している。この結果は図3に示したワ
イピング回数と接触角の関係とほぼ同様の結果となっ
た。
【0036】図5、図6は、本発明のインクジェット記
録ヘッドの製造方法およびその製造方法で作成されたイ
ンクジェット記録装置の第2の実施の形態を示す概略説
明図である。図中の符号は図1と同様である。この実施
の形態では、ノズル穴の加工前に撥水膜の形成を行なう
例を示している。
【0037】上述の第1の実施の形態と同様に、ノズル
部材1の材料として高分子樹脂を用い、精密に成型加工
して作成する。高分子樹脂としては、上述の第1の実施
の形態と同様、例えば、PSF(ポリサルフォン)、P
ES(ポリエーテルサルフォン)、PEN(ポリエチレ
ンナフタレート)、PI(ポリイミド)などを用いるこ
とができる。
【0038】図5(A)において、組み合わされた時に
インクジェット記録ヘッドのノズル部材1の被記録紙な
どと対面することになる表面側よりエキシマレーザ光を
照射し、ノズル部材1の表面を改質し、親水化を行な
う。この時の照射エネルギーは後工程で行なわれるノズ
ル穴の加工時の照射エネルギーより小さなエネルギーで
あり、レーザ加工機の光路中に用いられるマスクに開け
られた開口はノズル穴の加工時に用いたマスクの開口を
より大きくしたものを用い、レーザ光が広い面積に照射
されるようにする。ここでは、後工程で円状に加工され
るノズル位置に対応するように位置が合わされ、例え
ば、円状にレーザ光が照射されるように開口が開けられ
たマスクを用いて行なわれる。ノズルが列状に複数並べ
られたり、ノズルとノズルの間隔が細かくなる場合に
は、エキシマレーザ光がノズル全体に照射されるような
マスクを用いても、同様の効果が得られる。
【0039】図5(A)におけるエキシマレーザ光の照
射によって、図5(B)に示すレーザ光照射領域4で
は、ノズル部材1を構成する高分子樹脂の分子間の結合
が断ち切れた状態となっている。この状態のノズル部材
1の表面に撥水剤を塗布する撥水剤塗布工程と、撥水剤
ごとに条件が設定されている所定の硬化条件に従って撥
水剤の硬化工程を行なう。これらの工程によって、ノズ
ル部材と撥水剤が容易に結びつき、強力な密着力のある
撥水膜5をノズル部材1の表面に形成することができ
る。この状態を図5(C)に示している。なお、撥水剤
としては、上述の第1の実施の形態と同様に、例えば、
フッ素系樹脂またはシリコン系樹脂等を用いることがで
きる。また、撥水剤の塗布工程および硬化工程について
も、上述の第1の実施の形態と同様の手法によって行な
うことができる。
【0040】ノズル部材1に撥水膜5を形成後、図6
(A)に示すようにノズル部材1の裏側よりエキシマレ
ーザ光を照射し、ノズル部材1とその表面に塗布された
撥水膜5を除去することによりノズル穴の加工を行な
う。
【0041】その後、図6(B)に示すように、ノズル
2が形成されたノズル部材1と各ノズルに対応するよう
に基板上に作成された噴射素子3とを組み合せ、インク
ジェット記録ヘッドが作成される。
【0042】この第2の実施の形態においても、図5
(A)におけるエキシマレーザ光の照射エネルギーを制
御することにより、レーザ光照射領域4を周囲のノズル
部材1の表面よりも凹ませることもできる。これにより
撥水膜5を形成した際に、その撥水膜5の表面を周囲の
ノズル部材1の表面と略同じか、あるいはノズル部材1
の表面よりも凹ませることができる。これにより図6
(B)に示したように完成したインクジェット記録ヘッ
ドは、上述の第1の実施例と同様に、図2に示すように
ワイピング動作時に撥水膜5のエッジにワイパー部材7
のエッジが引っかかることがなくなり、撥水膜5の剥離
を防止できる。
【0043】この第2の実施の形態で示した工程によっ
て作成されたインクジェット記録ヘッドについて、上述
の第1の実施の形態と同様、撥水剤が塗布されたノズル
部材1の表面をワイパー部材で繰り返しこすり、定期的
に表面の接触角を測る試験と、定期的に印字を行ない、
その印字方向性の劣化についての評価を行なった。その
結果、上述の第1の実施の形態と同様の結果を示し、ノ
ズル部材1の表面の接触角が低下することなく撥水膜と
して十分な接触角を維持しつづけた。また、印字方向性
についても接触角と同様の結果を示した。
【0044】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、ノズルの周囲はエキシマレーザ光照射により
一旦表面が改質され、撥水剤が濡れやすくした状態で撥
水剤を塗布することで、ノズル部材を撥水剤との密着性
を上昇させている。これによって、ノズル部材の表面の
インクの除去を目的として繰り返し行なわれるワイピン
グ動作によっても撥水剤が剥離することがなく、ノズル
の周囲は常に撥水性に富み、ノズルの周囲へのインク付
着を妨ぎ、インクメニスカスを常にバランスよくノズル
に形成し、吐出時のインク滴の吐出方向を一定に保つた
め、良好な画質を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方
法およびその製造方法で作成されたインクジェット記録
装置の第1の実施の形態を示す概略説明図である。
【図2】 本発明の実施の一形態におけるワイピング動
作時の一例の説明図である。
【図3】 本発明の第1の実施の形態において作成され
たインクジェット記録ヘッドと従来のインクジェット記
録ヘッドにおけるワイピング回数とノズル部材の表面の
接触角の関係を示したグラフである。
【図4】 本発明の第1の実施の形態において作成され
たインクジェット記録ヘッドと従来のインクジェット記
録ヘッドにおけるワイピング回数と印字方向性の関係を
示したグラフである。
【図5】 本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方
法およびその製造方法で作成されたインクジェット記録
装置の第2の実施の形態を示す概略説明図である。
【図6】 本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方
法およびその製造方法で作成されたインクジェット記録
装置の第2の実施の形態を示す概略説明図(続き)であ
る。
【図7】 従来のインクジェット記録ヘッドの一例を示
すノズル部分の概略構成図である。
【図8】 従来のインクジェット記録ヘッドの一例にお
けるインク吐出方向不良の説明図である。
【図9】 従来のインクジェット記録ヘッドの別の例を
示すノズル部分の概略構成図である。
【符号の説明】
1…ノズル部材、2…ノズル、3…噴射素子、4…レー
ザ光照射領域、5…撥水膜、6…レンズ、7…ワイパー
部材。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを吐出して記録を行なうインクジ
    ェット記録装置において、高分子樹脂材料によって成型
    されるとともにインクを吐出するためのノズルが形成さ
    れたインクジェット記録ヘッドを有し、該インクジェッ
    ト記録ヘッドの前記ノズルの近傍の領域は、粗面化手段
    により表面のみ粗面化された親水領域が形成されてな
    り、該親水領域に撥水剤が塗布されていることを特徴と
    するインクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 前記親水領域に塗布される撥水剤の表面
    は、前記インクジェット記録ヘッドの前記ノズルが形成
    されている表面とフラットであるかまたは凹であること
    を特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装
    置。
  3. 【請求項3】 前記高分子樹脂材料は耐熱性の樹脂であ
    ることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記
    録装置。
  4. 【請求項4】 前記粗面化手段としてエキシマレーザ光
    を用いることを特徴とする請求項1に記載のインクジェ
    ット記録装置。
  5. 【請求項5】 ノズルからインクを吐出して記録を行な
    うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、前記
    ノズルを形成後、該ノズルの近傍の領域をエキシマレー
    ザ光により表面のみ粗面化して親水領域を形成し、該親
    水領域に撥水剤を塗布することを特徴とするインクジェ
    ット記録ヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 ノズルからインクを吐出して記録を行な
    うインクジェット記録ヘッドの製造方法において、前記
    ノズルが形成される近傍の領域をエキシマレーザ光によ
    り表面のみ粗面化して親水領域を形成し、該親水領域に
    撥水剤を塗布し、前記ノズルを穿設することを特徴とす
    るインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記親水領域は、インクジェット記録ヘ
    ッドの前記ノズルが形成されている面よりも凹となるよ
    うに加工され、前記撥水剤の塗布により該撥水剤の表面
    が前記面とフラットまたは凹となることを特徴とする請
    求項5または6に記載のインクジェット記録ヘッドの製
    造方法。
  8. 【請求項8】 前記ノズルの形成もエキシマレーザ光に
    よって行ない、前記親水領域の形成は、前記ノズルの形
    成時よりもマスク開口を広くし、小エネルギで加工を行
    なうことを特徴とする請求項5または6に記載のインク
    ジェット記録ヘッドの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006051808A (ja) * 2004-07-15 2006-02-23 Ricoh Co Ltd インクジェットヘッドのノズル部材、撥インク膜形成方法、インクジェットヘッド、カートリッジ、およびインクジェット記録装置

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