JPH1064040A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH1064040A
JPH1064040A JP22416996A JP22416996A JPH1064040A JP H1064040 A JPH1064040 A JP H1064040A JP 22416996 A JP22416996 A JP 22416996A JP 22416996 A JP22416996 A JP 22416996A JP H1064040 A JPH1064040 A JP H1064040A
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JP
Japan
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magnetic
layer
binder
magnetic layer
polyurethane resin
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Application number
JP22416996A
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English (en)
Inventor
Masaki Suzuki
雅樹 鈴木
Hiroo Inami
博男 稲波
Hiroaki Takano
博昭 高野
Yuichiro Murayama
裕一郎 村山
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電磁変換特性と耐久性とが良好な磁気記録媒体
を提供することであり、微粒子磁性体、カーボンブラッ
ク、研磨剤の分散性を良好にし、高密度の記録再生に適
し、さらに走行耐久性を十分に満足することが出来る磁
気記録媒体を提供すること。 【解決手段】非磁性支持体上に強磁性粉末を結合剤中に
分散してなる磁性層を設けた磁気記録媒体または前記磁
性層と前記非磁性支持体の間に更に無機粉末と結合剤と
を含む下層塗布層を設けた磁気記録媒体において、前記
磁性層中の結合剤または前記下層塗布層中の結合剤の少
なくとも一つの結合剤が環状構造とエーテル基とを含む
ポリウレタン樹脂であり、少なくとも前記磁性層中には
該ポリウレタン樹脂を含み、かつ前記磁性層に含まれる
カーボンブラックの平均凝集体径が40〜300nmで
あり、前記磁性層に含まれる研磨剤の粒径が0.05〜
0.5μmであることを特徴とする磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体、特に
高密度で記録再生する磁気記録媒体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体は、録音用テープ、ビデオ
テープあるいはフロッピーディスクなどとして広く用い
られている。磁気記録媒体は、強磁性粉末が結合剤(バ
インダ)中に分散された磁性層を非磁性支持体上に積層
している。磁気記録媒体は、電磁変換特性、走行耐久性
および走行性能などの諸特性において高いレベルにある
ことが必要とされる。すなわち、音楽録音再生用のオー
ディオテープにおいては、より高度の原音再生能力が要
求されている。また、ビデオテープについては、原画再
生能力が優れているなど電磁変換特性が優れていること
が要求されている。
【0003】このような優れた電磁変換特性を有すると
同時に、磁気記録媒体は前述のように良好な走行耐久性
を持つことが要求されている。そして、良好な走行耐久
性を得るために、一般には研磨剤、カーボンブラック等
が磁性層中に添加されている。磁気記録媒体の磁性層に
おけるカーボンブラックの役割は、その投入により表面
電気抵抗を低減させ、空気中の塵埃がテープ表面へ付着
するのを防ぎ、ドロップアウト(D.O)の増加防止を
担ってきた。また、カーボンブラック粒子が表面の突起
を形成し、摩擦係数の低減の効果により走行耐久性を確
保してきた。しかしながら、磁気特性にとってカーボン
を添加することは、電磁変換特性を悪化させる要因であ
り、その使用量が限られている。つまり、表面電気抵抗
や耐久性には多量のカーボンブラック投入で目的を達成
できるが、電磁変換特性は悪化するので、あるバランス
量に調整をせざるを得ない。研磨剤は、特に耐久性、ヘ
ッド摩耗量の調整のために使用される。これも、投量を
多くすると、電磁変換特性が悪化し、ヘッド摩耗量が増
大しヘッドライフが短くなるので、使用量の調整が必要
がである。
【0004】磁性層にとってはカーボンや研磨剤の投入
量を極力少なくすべきである。そのためには、磁性体の
分散、研磨剤、カーボンブラックのフィラー分散が良いこと
が前提となり、高分散結合剤樹脂としてスルフォン酸基
含有の塩酢ビバインダーやポリウレタンバインダーが提
案されている。上記の内容については、特開昭62−2
02321や特開平4−195718、特開平4−74
312で、極性基を有する結合剤とカーボンブラック、
研磨剤を組み合わせた発明が出願され、公開になってい
る。
【0005】一方、商品化されている磁気記録媒体で
は、放送用ビデオテープが2インチテープから1インチ
テープへ、更に民生用の分野では、VHSを代表とする
1/2インチテープから8mmテープ、さらにデジタル
記録システムに1/4インチテープを使用したDVCシ
ステムが提案され、記録媒体の高密度化が進んでいる。
そのために使用される磁性体粒子も最近では長軸長0.
1μm以下の微粒子も提案されて来ている。具体的には
特開平7−22224にて長軸長が0.08μmの磁性
体が開示され、現在では容易に入手できるようになって
いる。また、研磨剤粒子の微粒子化も提案されてきてい
る。
【0006】前記の微粒子磁性体や研磨剤を用いた高密
度記録磁気媒体用の磁気塗料分散液を作成するには、非
常に困難な方向となっており、特開昭62−20232
1や特開平4−195718、特開平4−74312に
記載されているこれまでの結合剤では十分な記録密度を
達成するための分散が困難になってきている。このよう
な状況下では、カーボンブラックや研磨剤の粒径や使用
量について、電磁変換特性と耐久性をバランスさせ、最
適点を見つけることすらできなくなっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は電磁変換特性
と耐久性とが良好な磁気記録媒体を提供することであ
り、微粒子磁性体、カーボンブラック、研磨剤の分散性
を良好にし、高密度の記録再生に適し、さらに走行耐久
性を十分に満足することが出来る磁気記録媒体を提供す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の構成より
なる。 1)非磁性支持体上に強磁性粉末を結合剤中に分散して
なる磁性層を設けた磁気記録媒体または前記磁性層と前
記非磁性支持体の間に更に無機粉末と結合剤とを含む下
層塗布層を設けた磁気記録媒体において、前記磁性層中
の結合剤または前記下層塗布層中の結合剤の少なくとも
一つの結合剤が環状構造とエーテル基とを含むポリウレ
タン樹脂であり、少なくとも前記磁性層中には該ポリウ
レタン樹脂を含み、かつ前記磁性層に含まれるカーボン
ブラックの平均凝集体径が40〜300nmであり、前
記磁性層に含まれる研磨剤の粒径が0.05〜0.5μ
mであることを特徴とする磁気記録媒体。 2)前記ポリウレタン樹脂は、ジオールと有機ジイソシ
アネートを主要原料とした反応生成物であるポリウレタ
ン樹脂からなり、環状構造を有する短鎖ジオール単位を
ポリウレタン樹脂中に17〜40重量%含み、かつポリ
ウレタン樹脂全体に対して、エーテル基を1.0〜5.
0mmol/gを含む長鎖ジオール単位をポリウレタン
樹脂中に10〜50重量%含む結合剤であることを特徴
とする前記1)に記載の磁気記録媒体。 3)前記磁性層に使用される研磨剤は、結合剤と有機溶
媒を用いて、あらかじめ磁性塗料とは別に分散し、磁性
塗料の分散後もしくは分散前に磁性塗料中に前記研磨剤
の分散液を添加することを特徴とする前記1)または
2)記載の磁気記録媒体 4)磁性層に使用されるカーボンの平均一次粒子径が1
6〜250nmであることを特徴とする前記1)〜3)
の何れか1項に記載の磁気記録媒体 本発明者は、結合剤の中のポリウレタン樹脂に着目し、
強磁性粉末、カーボンブラック、研磨剤を含めた微粒子
粉体の分散性について検討した結果、環状構造とエーテ
ル基とを含むポリウレタン樹脂を用いたときに、電磁変
換特性と耐久性/信頼性が共に向上する結果を得た。こ
のことは、このポリウレタン樹脂が、環状構造の存在で
ガラス転移点Tgを上げることが出来、エーテル基の存
在による高慣性半径によって分散性が格段に優れている
から、耐久性/信頼性に寄与する高Tg磁性層の実現、電
磁変換特性を向上させる高い配向性/分散性が得られる
ことから達成できた。
【0009】このことは、この高Tgポリウレタン樹脂を
採用することで摩擦係数を低減させ、かつ耐久性を向上
させる目的で使用するカーボンブラックの量を少なくさ
せることが出来ること、使用する粒子サイズ幅が拡大す
ることができること等の効果を奏する。また、研磨剤の
分散においてはこのポリウレタン樹脂を使用すると、メ
カニズムは明らかになっていないが、表面の研磨剤個数
が多くなり、結果として使用量を低減できることが明ら
かになった。また、カーボンブラックの粒子径と電磁変
換特性/摩擦係数との関係においては、カーボンブラッ
クの粒子サイズが直接関係するのではなく、平均凝集体
径が関係していることが判明し、所定の平均凝集体径で
カーボンブラックを選定することが、研磨剤との最適な
組み合わせを実現できることが分かった。
【0010】上記ポリウレタン樹脂と特定の平均凝集体
径40〜300nmを有したカーボンブラックと特定の
粒径0.05〜0.5μmを有した研磨剤の組み合わせ
により、高密度記録を達成し、耐久性及び信頼性の高い
磁気記録媒体を提供することが出来る。
【0011】
【発明の実施の形態】
【0012】本発明に用いられるポリウレタン樹脂とし
ては、環状構造とエーテル基とを含むものであれば、特
に制限はない。本発明に使用されるポリウレタン樹脂と
しては、具体的には、ジオールと有機ジイソシアネート
を主要原料とした反応生成物であるポリウレタン樹脂か
らなり、環状構造を有する短鎖ジオール単位をポリウレ
タン樹脂中に17〜40重量%含み、かつポリウレタン
樹脂全体に対して、エーテル基を1.0〜5.0mmo
l/gを含む長鎖ジオール単位をポリウレタン樹脂中に
10〜50重量%含むことが好ましい。
【0013】環状構造を有する短鎖ジオールとしては、
ビスフェノールA、下記の式1で示される水素化ビスフ
ェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールPおよ
びこれらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加
物、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオ
ール等の芳香族、脂環族を有するジオールが好ましい。
【0014】
【化1】
【0015】さらに好ましくは、式1で示す水素化ビス
フェノールAおよびそのエチレンオキシド、プロピレン
オキシド付加物が挙げられる。ポリウレタン樹脂中の短
鎖ジオール単位の含有量は、17〜40重量%が好まし
く、さらに好ましくは20〜30重量%である。17重
量%未満では、得られる塗膜が軟らかくなりすぎ充分な
強度が得られず、スチル耐久性が低下する。また、40
重量%より大では、溶剤への溶解性が低下し、強磁性粉
末の分散性が低下しやすいので電磁変換特性が低下しや
すいとともに、磁性層の強度が小さくなる。
【0016】また、環状構造を有する短鎖ジオールは、
分子量が50〜500であることが好ましく、より好ま
しくは100〜300である。50未満では、磁性層が
もろくなり耐久性が低下する。また500より大である
と、磁性層のガラス転移温度Tgが低下し、軟らかくな
り耐久性が低下する。また、前記環状構造を有する短鎖
ジオールには、他のジオールを併用することができる。
具体的には、エチレングリコール、1,3−プロピレン
ジオール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブ
タンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘ
キサンジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール、
1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、
ジエチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオ
ール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等の脂肪
族ジオール、脂環族ジオール等、また、ビスフェノール
A、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロ
ピレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール、N−ジエ
タノールアミンのエチレンオキシドまたはプロピレンオ
キシド付加物等のジオールを挙げることができる。
【0017】これらのなかでも好ましくは、ビスフェノ
ールAまたは水素化ビスフェノールAのエチレンオキシ
ド付加物、プロピレンオキシド付加物であり、更に好ま
しくはビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物で
ある。これらを用いることによって、環状構造により高
強度、高Tgであって、高耐久性の塗布膜が得られる。
さらに分岐CH3 の導入により溶剤への溶解性に優れる
ため高分散性が得られる。
【0018】次に、該エーテル基を含む長鎖ジオール単
位の含有量は、ポリウレタン樹脂中10〜50重量%で
あることが好ましく、さらに好ましくは30〜40重量
%である。10重量%未満であると溶剤への溶解性が低
下するので分散性が低下する。また、50重量%より大
であると塗膜強度が低下するので耐久性が低下する。該
長鎖ジオール単位のエーテル基の含有量は、ポリウレタ
ン樹脂中に1.0〜5.0mmol/gであることが好
ましく、より好ましくは2.0〜4.0mmol/gで
ある。1mmol/g未満であると磁性体への吸着性が
低下し、分散性が低下する。一方、5.0mmol/g
以上であると、溶剤への溶解性が低下し、分散性が低下
する。
【0019】長鎖ジオールとしては具体的には、ビスフ
ェノールA、水素化ビスフェノールA、ビスフェノール
S、ビスフェノールPおよびこれらのポリエチレンオキ
シド、プロピレンオキシド付加物、ポリプロピレングリ
コール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレン
グリコールが好ましく、さらに好ましくは、水素化ビス
フェノールA及びこれらのエチレンオキシド、プロピレ
ンオキシド付加物であり、とくに下記の式2で示される
化合物が好ましい。
【0020】
【化2】
【0021】また、nおよびmの値は、3〜24であ
り、好ましくは3〜20であり、より好ましくは4〜1
5である。n、mが3よりも小さいとウレタン結合濃度
が高くなり、溶剤への溶解性が低下したり、塗膜が脆く
なりやすく、さらに分散性、耐久性が低下する。n、m
が24よりも大きくなると塗膜が軟らかくなり、スチル
耐久性が低下する。
【0022】また、長鎖ジオールにおいて、Rは、以下
の、が好ましく、
【0023】
【化3】
【0024】のものがより好ましい。本発明は、ポリ
ウレタン樹脂が環状構造を有するので、塗膜強度が高
く、耐久性に優れ、プロピレンの分岐CH3 を有するの
で、溶剤への溶解性に富み分散性に優れる。また、式2
の長鎖ジオールにおいて、Xは、水素、またはメチル基
が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0025】長鎖ジオールの重量平均分子量(Mw)
は、500〜5000であり、5000以上では塗膜強
度が低下し、軟らかくなるので耐久性が低下する。ポリ
ウレタン樹脂中のOH基の含有量は、1分子あたり3個
〜20個であることが好ましく、より好ましくは1分子
あたり4個〜5個である。1分子あたり3個未満である
とイソシアネート硬化剤との反応性が低下するために、
塗膜強度が低下し、耐久性が低下しやすい。また、20
個より大であると溶剤への溶解性が低下し、分散性が低
下しやすい。
【0026】ポリウレタン樹脂中のOH基の含有量を調
整するために用いる化合物としては、OH基が3官能以
上の化合物を用いることができる。具体的には、トリメ
チロールエタン、トリメチロールプロパン、無水トリメ
リット酸、グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサ
ントリオール等が挙げられ、従来技術として説明した特
公平6−64726号に記載のポリエステルポリオール
原料として用いられる2塩基酸と前記化合物をグリコー
ル成分として得られる3官能以上OH基をもつ分岐ポリ
エステル、ポリエーテルエステルが挙げられる。好まし
くは、3官能のものが好ましく、4官能以上になると反
応過程においてゲル化しやすい。
【0027】本発明のポリウレタン樹脂は、分子中に−
SO3 M、−OSO3 M、−COOM、−PO3
M′、−OPO3 MM′、−NRR′、−N+ RR′
R″COO - (ここで、MおよびM′は、各々独立に水
素、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウ
ム塩であり、R、R′およびR″は各々独立に炭素数1
〜12のアルキル基を示す)から選ばれた少なくとも1
種の極性基を含むことが好ましく、とくに好ましくは、
−SO3 M、−OSO3 Mである。これらの極性基の量
は好ましくは、1×10-5〜2×10-4eq/gであ
り、特に好ましくは5×10-5〜1×10-4eq/gで
ある。1×10-5eq/gより少ないと強磁性粉末への
吸着が不充分となるために分散性が低下し、2×10-4
eq/gより多くなると溶剤への溶解性が低下するので
分散性が低下する。
【0028】また、本発明のポリウレタン樹脂の数平均
分子量(Mn)は5000〜100,000が好まし
く、さらに好ましくは10,000〜50,000であ
り、特に好ましくは20,000〜40,000であ
り、5000未満では、磁性層の強度が低下し、耐久性
が低下する。また、100,000より大では溶剤への
溶解性が低下し、分散性が低下する。
【0029】本発明のポリウレタン樹脂のガラス転移温
度Tgは、0〜200℃であり、好ましくは、30〜1
50℃であり、さらに好ましくは、30〜130℃であ
る。0℃未満のものは高温での磁性層の強度が低下する
ので耐久性、保存性が低下する。また、200℃より大
のものはカレンダー成形性が低下し、電磁変換特性が低
下する。
【0030】本発明の結合剤を磁性層に用いる場合に
は、本発明のポリウレタン樹脂に塩化ビニル系の合成樹
脂を併用しても良い。併用することができる塩化ビニル
系樹脂の重合度は200〜600が好ましく、250〜
450が特に好ましい。塩化ビニル系樹脂はビニル系モ
ノマー、例えば酢酸ビニル、ビニルアルコール、塩化ビ
ニリデン、アクリロニトリルなどを共重合させたもので
もよい。また、ニトロセルロース樹脂などのセルロース
誘導体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポ
リビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹
脂等を併用しても良く、これらは、単独でも組み合わせ
でも使用することができる。
【0031】他の合成樹脂を併用する場合には、磁性層
に含まれるポリウレタン樹脂は、結合剤中に10〜10
0重量%未満を含有されていることが好ましく、さらに
好ましくは20〜100重量%未満の量である。10重
量%以下では溶媒への溶解性が低下し、分散性が低下す
る。
【0032】また塩化ビニル系樹脂は、結合剤中に10
〜80重量%含有されていることが好ましく、さらに好
ましくは20〜70重量%の量である。特に好ましくは
30〜60重量%の量である。
【0033】また、本発明は本発明のポリウレタン樹脂
のウレタン結合を形成する成分として、あるいは更にポ
リウレタン樹脂または他の併用される樹脂同士を架橋さ
せる硬化剤としてポリイソシアネート化合物、好ましく
は有機ジイソシアネートを使用することができる。
【0034】有機ジイソシアネート化合物の例として
は、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリ
レンジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシア
ネート、キシレン−1,3−ジイソシアネート、4,
4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジ
フェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェ
ニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジフェ
ニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’
−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレ
ンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネー
ト、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレ
ン−1,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ
ジフェニル−4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ジ
イソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジ
イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添化
トリレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジ
イソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等を挙げる
ことができる。
【0035】磁性層、下層塗布層(以下、「下層」とも
いう)等の塗布層中に含まれるポリイソシアネート化合
物は結合剤(樹脂成分と硬化剤との合計)中に5〜50
重量%の範囲で含有されていることが好ましく、さらに
好ましくは10〜40重量%の範囲である。
【0036】また、電子線照射による硬化処理を行う場
合には、ウレタンアクリレート等のような反応性二重結
合を有する化合物を使用することができる。結合剤の重
量は、強磁性粉末100重量部に対して、通常15〜4
0重量部の範囲内にあることが好ましく、さらに好まし
くは20〜30重量部である。また、後述するように下
層塗布層を設けた場合の結合剤は、非磁性粉末あるいは
軟磁性粉末に対し通常、5〜35重量部である。
【0037】本発明の磁気記録媒体の形状は、基本的に
は任意であり、テープ、ディスク、シート、カード等が
挙げられる。本発明の磁気記録媒体の層構成は、基本的
には磁性層または磁性層と下層塗布層を支持体上に有す
るものであり、粒径0.05〜0.5μmの研磨剤及び
平均凝集体径40〜300nmのカーボンブラックおよ
びポリウレタン樹脂を少なくとも磁性層に含む構成であ
れば、あらゆる構成のものが採用され得る。例えば、磁
性層単層、磁性層重層、磁性層と非記録層との重層等が
例示される。ここで、磁性層とは磁気により記録再生可
能な強磁性粉末を含有する層を指し、非記録層とは実質
的に強磁性粉末を含まない層で非磁性層または軟磁性層
を指し、通常、非磁性粉末あるいは軟磁性粉末を含む。
【0038】層構成における各層の厚味は、例えば、以
下の通りである。 磁性層単層では通常、0.2〜5μm、好ましくは
0.5〜3μmである。 重層構成は以下の通りである。上層は下層上に設け
られる磁性層となる。 a 上層:磁性層、下層:磁性層の場合 上層は通常、0.2〜2μm、好ましくは0.2〜1.
5μmであり、下層は0.8〜3μmである。
【0039】b 上層:磁性層、下層:非磁性層の場合 上層は通常、0.05〜1μm、好ましくは0.1〜
0.5μmであり、下層は0.8〜3μmである。 c 上層:磁性層、下層:軟磁性層の場合 上層は通常、0.05〜1μm、好ましくは0.1〜
0.5μmであり、下層は0.8〜3μmである。
【0040】本発明の磁気記録媒体が多層構成の場合、
本発明のポリウレタン樹脂は、前記特定の研磨剤および
カーボンブラックと共に少なくとも磁性層に含有させる
ことが必要であるが、ポリウレタン樹脂は磁性層以外の
層にも含有させることが好ましい。尚、粒径0.05〜
0.5μmの研磨剤及び平均凝集体径40〜300nm
のカーボンブラックを磁性層以外の層にも、本発明に使
用するポリウレタン樹脂と共にまたはそのポリウレタン
樹脂を含むことなく含有させることもできる。
【0041】本発明に使用されるカーボンブラックは、
特定の平均凝集体径を有するものである。ここで、平均
凝集体径とは、カーボンブラック複数個(2個以上)が
凝集した凝集体の平均径をいい、遠心沈降法で求められ
る値を指すが、その測定法の具体的条件は後述の実施例
に記載の通りである。本発明において、カーボンブラッ
クの平均凝集体径は、40〜300nmであり、好まし
くは80〜250nmであり、更に好ましくは80〜2
00nmである。
【0042】また、カーボンブラックの平均一次粒子径
は、16〜250nmの範囲が好ましく、特に40〜1
00nmの範囲が好ましい。ここで、平均一次粒子径と
は、単独のカーボンブラック粒子1個の平均粒子径を指
す。本発明の磁性層中のカーボンブラックの量は、磁性
層中の強磁性粉末100重量部に対して0.3〜6重量
部、好ましくは0.5〜3重量部用いられる。
【0043】このようなカーボンブラックとしては、ゴ
ム用ファーネスブラック、ゴム用サーマルブラック、カ
ラー用カーボンブラック、アセチレンブラック等を用い
ることができる。カーボンブラックの比表面積は通常、
10〜400m2 /g、好ましくは20〜300m2
g、ジブチルフタレート(DBP)吸油量は10〜40
0ml/100g、好ましくは50〜150ml/10
0gである。カ−ボンブラックのpHは2〜10、含水
率は0.1〜3.0%、タップ密度は0.1〜1.0g
/mlが好ましい。本発明に用いられるカ−ボンブラッ
クの具体的な例としてはキャボット社製、BLACKP
EARLS 2000、1300、1000、900、
800,700、VULCAN XC−72、旭カーボ
ン社製、#80、#60、#55、#50、#35、三
菱化成工業社製、#2400B,#2300B,#90
0、#1000、#30、#40、#10B、コロンビ
アンカ−ボン社製、CONDUCTEX SC、RAV
EN 150、50、40、15などが挙げられる。カ
ーボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂で
グラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト
化したものを使用してもかまわない。また、カーボンブ
ラックを磁性塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分
散してもかまわない。これらのカーボンブラックは単
独、または組み合わせて使用することができる。カーボ
ンブラックは磁性層の帯電防止、摩擦係数低減、遮光性
付与、膜強度向上などの働きがあり、これらは用いるカ
ーボンブラックにより異なる。従って、本発明に使用さ
れるこれらのカーボンブラックは上層磁性層、下層塗布
層でその種類、量、組合せを変え、粒子サイズ、吸油
量、伝導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに目的
に応じて使い分けることはもちろん可能である。本発明
の磁性層で使用できるカーボンブラックは例えば「カー
ボンブラック便覧」カーボンブラック協会編を参考にす
ることができる。
【0044】本発明の磁性層に含有される研磨剤は、粒
径が0.05〜0.5μmであり、好ましくは0.1〜
0.4μmで、特に好ましくは0.1〜0.3μmであ
る。ここで、粒径とは一次粒子の平均粒径を意味する。
通常、一次粒子の平均粒径は測定する研磨剤の電子顕微
鏡写真から100〜300個の粒径を測定し平均値を求
められる。
【0045】このような研磨剤は、強磁性粉末100重
量部に対し、1〜30重量部、好ましくは2〜20重量
部磁性層に含有される。研磨剤としては、従来公知のも
のが使用できるが、好ましくはα−アルミナ等モース硬
度6以上のものが挙げられる。タップ密度は、0.3〜
2g/cc、含水率は0.1〜5%、pHは、2〜1
1、比表面積は1〜30m2 /gが各々好ましい。
【0046】磁性層に使用される強磁性粉末は、強磁性
酸化鉄、コバルト含有強磁性酸化鉄、バリウムフェライ
ト粉末又は強磁性金属粉末等である。強磁性粉末はS
BET (BET比表面積)が40〜80m2 /g、好まし
くは50〜70m2 /gである。結晶子サイズは12〜
25nm、好ましくは13〜22nmであり、特に好ま
しくは14〜20nmである。長軸長は0.05〜0.
25μmであり、好ましくは0.07〜0.2μmであ
り、特に好ましくは0.08〜0.15μmである。強
磁性粉末のpHは7以上が好ましい。強磁性金属粉末と
してはFe、Ni、Fe−Co、Fe−Ni、Co−N
i、Co−Ni−Fe等の単体または合金が挙げられ、
金属成分の20重量%以下の範囲内で、アルミニウム、
ケイ素、硫黄、スカンジウム、チタン、バナジウム、ク
ロム、マンガン、銅、亜鉛、イットリウム、モリブデ
ン、ロジウム、パラジウム、金、錫、アンチモン、ホウ
素、バリウム、タンタル、タングステン、レニウム、
銀、鉛、リン、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネ
オジム、テルル、ビスマスを含む合金を挙げることがで
きる。また、強磁性金属粉末が少量の水、水酸化物また
は酸化物を含むものなどであってもよい。これらの強磁
性粉末の製法は既に公知であり、本発明で用いる強磁性
粉末についても公知の方法に従って製造することができ
る。
【0047】強磁性粉末の形状に特に制限はないが、通
常は針状、粒状、サイコロ状、米粒状および板状のもの
などが使用される。とくに針状の強磁性粉末を使用する
ことが好ましい。
【0048】本発明においては、上記の樹脂成分、硬化
剤および強磁性粉末、研磨剤、カーボンブラックを、通
常、磁性塗料の調製の際に使用されているメチルエチル
ケトン、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル等
の溶剤と共に混練分散して磁性層用塗料とする。混練分
散は通常の方法に従って行うことができる。磁性層用塗
料は、上記成分以外に、脂肪酸、脂肪酸エステル、シリ
コーンオイル等の潤滑剤、分散剤など通常使用されてい
る添加剤あるいは充填剤を含むものであってもよい。
【0049】本発明においては、磁性層に使用される研
磨剤は、結合剤と有機溶媒を用いて、あらかじめ磁性塗
料とは別に分散し、磁性塗料の分散後もしくは分散前に
磁性塗料中に前記研磨剤の分散液を添加することが、分
散性を更に良好にするために好ましい。ここで、磁性塗
料とは、少なくとも強磁性粉末を含む塗料であって、研
磨剤を含まないものを指す。
【0050】次に本発明が多層構成の場合における下層
非磁性層または下層磁性層について説明する。本発明の
下層に用いられる無機粉末は、磁性粉末、非磁性粉末を
問わない。例えば非磁性粉末の場合、金属酸化物、金属
炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫
化物、等の無機化合物、非磁性金属から選択することが
できる。無機化合物としては例えば酸化チタン(TiO
2 、TiO)、α化率90〜100%のα−アルミナ、
β−アルミナ、γ−アルミナ、α−酸化鉄、酸化クロ
ム、酸化亜鉛、酸化すず、酸化タングステン、酸化バナ
ジウム、炭化ケイ素、酸化セリウム、コランダム、窒化
珪素、チタンカーバイト、二酸化珪素、酸化マグネシウ
ム、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、
硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、ゲ
ーサイト、水酸化アルミニウムなどが単独または組合せ
で使用される。特に好ましいのは二酸化チタン、酸化亜
鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、更に好ましいのは二
酸化チタンである。非磁性金属としては、Cu、Ti、
Zn、Al等が挙げられる。これら非磁性粉末の平均粒
径は0.005〜2μmが好ましいが、必要に応じて平
均粒径の異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非
磁性粉末でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせる
こともできる。とりわけ好ましいのは非磁性粉末の平均
粒径は0.01μm〜0.2μmである。非磁性粉末の
pHは6〜9の間が特に好ましい。非磁性粉末の比表面
積は1〜100m2 /g、好ましくは5〜50m2
g、更に好ましくは7〜40m2 /gである。非磁性粉
末の結晶子サイズは0.01μm〜2μmが好ましい。
DBPを用いた吸油量は5〜100ml/100g、好
ましくは10〜80ml/100g、更に好ましくは2
0〜60ml/100gである。比重は1〜12、好ま
しくは3〜6である。形状は針状、球状、多面体状、板
状のいずれでも良い。
【0051】軟磁性粉末としては、粒状Fe、Ni、粒
状マグネタイト、Fe−Si、Fe−Al、Fe−N
i、Fe−Co、Fe−Co−Ni、Fe−Al−Co
(センダスト)合金、Mn−Znフェライト、Ni−Z
nフェライト、Mg−Znフェライト、Mg−Mnフェ
ライト、その他、近角聡信著(「強磁性体の物理(下)
磁気特性と応用」(裳華房、1984年)、368〜3
76頁)に記載されているもの等が挙げられる。
【0052】これらの非磁性粉末、軟磁性粉末の表面に
はAl2O3 、SiO2、TiO2、ZrO2,SnO2,Sb2O3 ,ZnO で表
面処理することが好ましい。特に分散性に好ましいのは
Al2O 3 、SiO2、TiO2、ZrO2であるが、更に好ましいのは
Al2O3 、SiO2、ZrO2である。これらは組み合わせて使用
しても良いし、単独で用いることもできる。また、目的
に応じて共沈させた表面処理層を用いても良いし、先ず
アルミナで処理した後にその表層をシリカで処理する方
法、またはその逆の方法を採ることもできる。また、表
面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、
均質で密である方が一般には好ましい。
【0053】下層にカ−ボンブラックを混合させて公知
の効果である表面電気抵抗Rsを下げることができると
ともに、所望のマイクロビッカース硬度を得る事ができ
る。このためにはゴム用ファーネスブラック、ゴム用サ
ーマルブラック、カラー用カーボンブラック、アセチレ
ンブラック等を用いることができる。カーボンブラック
の比表面積は100〜500m2 /g、好ましくは15
0〜400m2 /g、DBP吸油量は20〜400ml
/100g、好ましくは30〜200ml/100gで
ある。カ−ボンブラックの平均粒径は5nm〜80n
m、好ましく10〜50nm、さらに好ましくは10〜
40nmである。カ−ボンブラックのpHは2〜10、
含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/
ml、が好ましい。本発明に用いられるカ−ボンブラック
の具体的な例としてはキャボット社製、BLACKPE
ARLS 2000、1300、1000、900、8
00,880,700、VULCAN XC−72、三
菱化学社製、#3050B,3150B,3250B、
#3750B、#3950B、#950、#650B,
#970B、#850B、MA−600、コロンビアン
カ−ボン社製、CONDUCTEX SC、RAVEN
8800,8000,7000,5750,5250,3500,2100,2000,1800,150
0,1255,1250 、アクゾー社製ケッチェンブラックECな
どが挙げられる。
【0054】本発明の下層にはまた、無機粉末として磁
性粉末を用いることもできる。磁性粉末としては、γ−
Fe2 3 、Co変性γ−Fe2 3 、α−Feを主成
分とする合金、CrO2 等が用いられる。下層の磁性体
は、目的に応じて選定することができ、本発明の効果は
磁性体の種類には依存しない。ただし、目的に応じて、
上下層で性能を変化させることは公知の通りである。例
えば、長波長記録特性を向上させるためには、下層磁性
層のHcは上層磁性層のそれより低く設定することが望
ましく、また、下層磁性層のBrを上層磁性層のそれよ
り高くする事が有効である。それ以外にも、公知の重層
構成を採る事による利点を付与させることができる。
【0055】下層磁性層または下層非磁性層のバインダ
ー、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は
磁性層のそれが適用できる。特に、バインダー量、種
類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に
関する公知技術が適用できる。以上の材料により調製し
た磁性塗料を非磁性支持体上に塗布して磁性層を形成す
る。
【0056】本発明に用いることのできる非磁性支持体
としては二軸延伸を行ったポリエチレンナフタレート、
ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド、ポリベンズ
オキシダゾール等の公知のものが使用できる。好ましく
はポリエチレンナフタレート、芳香族ポリアミドであ
る。これらの非磁性支持体はあらかじめコロナ放電、プ
ラズマ処理、易接着処理、熱処理、などを行っても良
い。また本発明に用いることのできる非磁性支持体は中
心線平均表面粗さがカットオフ値0.25mmにおいて
0.1〜20nm、好ましくは1〜10nmの範囲とい
う優れた平滑性を有する表面であることが好ましい。ま
た、これらの非磁性支持体は中心線平均表面粗さが小さ
いだけでなく1μ以上の粗大突起がないことがこのまし
い。
【0057】本発明の磁気記録媒体の製造方法は例え
ば、走行下にある非磁性支持体の表面に塗布液を好まし
くは塗布層の乾燥後の層厚が0.05〜5μmの範囲
内、より好ましくは0.07〜3μmになるように塗布
する。ここで複数の磁性塗料もしくは非磁性塗料を逐次
あるいは同時に重層塗布してもよい。上記磁性塗料を塗
布する塗布機としては、エアードクターコート、ブレー
ドコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコ
ート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコ
ート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、
キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピン
コート等が利用できる。
【0058】これらについては例えば株式会社総合技術
センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年
5月31日)を参考にできる。
【0059】本発明を二層以上の構成の磁気記録媒体に
適用する場合、塗布する装置、方法の例として以下のも
のを提案できる。 (1)磁性塗料の塗布で一般的に適用されるグラビア、
ロール、ブレード、エクストルージョン等の塗布装置に
より、まず下層を塗布し、下層が未乾燥の状態のうちに
特公平1−46186号公報、特開昭60−23817
9号公報、特開平2−265672号公報等に開示され
ているような支持体加圧型エクストルージョン塗布装置
により、上層を塗布する。 (2)特開昭63−88080号公報、特開平2−17
971号公報、特開平2−265672号公報に開示さ
れているような塗布液通液スリットを2個有する一つの
塗布ヘッドにより上下層をほぼ同時に塗布する。 (3)特開平2−174965号公報に開示されている
ようなバックアップロール付きのエクストルージョン塗
布装置により、上下層をほぼ同時に塗布する。
【0060】本発明で用いる非磁性支持体の磁性塗料が
塗布されていない面にバックコート層(バッキング層)
が設けられていてもよい。バックコート層は、非磁性支
持体の磁性塗料が塗布されていない面に、研磨材、帯電
防止剤などの粒状成分と結合剤とを有機溶剤に分散した
バックコート層形成塗料を塗布して設けられた層であ
る。粒状成分として各種の無機顔料やカーボンブラック
を使用することができ、また結合剤としてはニトロセル
ロース、フェノキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレ
タン等の樹脂を単独またはこれらを混合して使用するこ
とができる。
【0061】なお、非磁性支持体の磁性塗料およびバッ
クコート層形成塗料の塗布面に接着剤層が設けられいて
もよい。
【0062】塗布された磁性塗料の塗布層は、磁性塗料
の塗布層中に含まれる強磁性粉末を磁場配向処理を施し
た後に乾燥される。このようにして乾燥された後、塗布
層に表面平滑化処理を施す。表面平滑化処理には、たと
えばスーパーカレンダーロールなどが利用される。表面
平滑化処理を行うことにより、乾燥時の溶剤の除去によ
って生じた空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率
が向上するので、電磁変換特性の高い磁気記録媒体を得
ることができる。
【0063】カレンダー処理ロールとしてはエポキシ、
ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性
プラスチックロールを使用する。また金属ロールで処理
することもできる。
【0064】本発明の磁気記録媒体は、表面の中心線平
均粗さが、カットオフ値0.25mmにおいて0.1〜
4nm、好ましくは1〜3nmの範囲という極めて優れ
た平滑性を有する表面であることが好ましい。その方法
として、例えば上述したように特定の結合剤を選んで形
成した磁性層を上記カレンダー処理を施すことにより行
われる。カレンダー処理条件としては、カレンダーロー
ルの温度を60〜100℃の範囲、好ましくは70〜1
00℃の範囲、特に好ましくは80〜100℃の範囲で
あり、圧力は100〜500Kg/cmの範囲であり、
好ましくは200〜450Kg/cmの範囲であり、特
に好ましくは300〜400Kg/cmの範囲の条件で
作動させることによって行われることが好ましい。
【0065】得られた磁気記録媒体は、裁断機などを使
用して所望の大きさに裁断して使用することができる。
【0066】本発明のポリウレタン樹脂は、芳香族や脂
環族などの環状構造を含む短鎖ジオールを多く含むので
従来のポリウレタン樹脂に比べて、高強度、高Tgが得
られる。特に高温環境での繰り返し走行などに優れる。
また、短鎖ジオール含量が多いので実質的にポリウレタ
ン樹脂中のウレタン結合濃度が増加するので、更に高強
度、高Tgが得られる。
【0067】また、従来のポリウレタン樹脂では環状構
造やウレタン結合濃度が増加すると溶剤への溶解性が低
下し、分散性が低下するが本発明のポリウレタンは溶剤
への溶解性にも優れている利点がある。これは、本発明
のポリウレタン樹脂には親水性のエ−テル基が所定量含
まれているので溶剤への溶解性を低下させずにポリウレ
タンの磁性体への吸着がしやすくなるため、かつ磁性体
やその他の粉体表面に芳香族有機酸化合物を有するので
更に分散性が向上したと考えられる。
【0068】また、適度な延伸性も付与できるので磁性
層が脆くならないので繰り返し走行性も低下しない利点
もある。さらには、短鎖ジオールに環状構造を持つので
ウレタン結合近傍に立体障害性が付与されるので分子間
でのウレタン結合同志の会合がしにくくなるためにウレ
タン結合濃度が高くても溶解性が低下しない利点を持
つ。
【0069】分子末端で分岐したOH基を更に含有する
と末端以外のOH基に比べて、運動性が高く、磁性体へ
の吸着がしやすくなるために、更に分散性が向上する作
用をもつと考えられる。また、一般的に用いられている
イソシアネート系硬化剤との反応性も向上するので、よ
り高度な耐久性が得られた。
【0070】以下に、本発明の実施例を示し、本発明を
さらに詳細に説明する。
【0071】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を説明するが、
本発明はこれに限定されるものではない。実施例中、
「部」との表示は「重量部」を表す。 下層塗布層(非磁性):塗布処方a 非磁性粉体 αFe2O3 ヘマタイト 80部 長軸長 0.15μm BET 法による比表面積 52m2 /g pH 9 タップ密度 0.8 表面処理剤 Al2O3 、SiO2 カーボンブラック 20部 平均一次粒子径 16nm DBP吸油量 80ml/100g pH 8.0 BET法による比表面積 250m2 /g 揮発分 1.5% 塩化ビニル系共重合体 12部 日本ゼオン製MR−104 ポリウレタン樹脂 表2に記載 5部 α−Al2 3 (平均粒径0.2μm) 1部 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 100部 シクロヘキサノン 50部 トルエン 50部 下層塗布層(非磁性):塗布処方b 非磁性粉末 TiO2 酸化チタン 80部 平均粒子径 0.02μm BET 法による比表面積 70m2 /g pH 7 タップ密度 0.8 表面処理剤 Al2O3 、SiO2 カーボンブラック 20部 平均一次粒子径 16mμ DBP吸油量 80ml/100g pH 8.0 BET法による比表面積 250m2 /g 揮発分 1.5% 塩化ビニル系共重合体 12部 日本ゼオン製MR−104 ポリウレタン樹脂 表2記載 5部 α−Al2 3 (平均粒径0.2μm) 1部 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 100部 シクロヘキサノン 50部 トルエン 50部 磁性塗料(磁性層): 強磁性金属微粉末 表1記載 100部 ポリウレタン樹脂 表2記載 12部 α−Al2 3 ペースト 表3記載 表5〜11記載 カ−ボンブラック(カーボンとも記す)表4記載 表5〜11記載 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 5部 メチルエチルケトン 90部 シクロヘキサノン 30部 トルエン 60部
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】実施例1〜15、比較例1〜8 上記の塗料のそれぞれについて、各成分をオープンニ−
ダで混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。得
られた下層分散液にポリイソシアネ−ト(日本ポリウレ
タン(株)製コロネートL)を下層塗布層の塗布液には
5部、磁性塗料にも5部加え、さらにそれぞれにメチル
エチルケトン、シクロヘキサノン混合溶媒40部を加
え,1μmの平均孔径を有するフィルタ- を用いて濾過し、
下層塗布層、磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調製し
た。
【0077】得られた非磁性塗料を乾燥後の厚さが、
1.2μmの厚さとなるように、さらにその直後にその
上に磁性塗料を乾燥後の厚さが表5〜10記載の厚さと
なるように、厚さ5.5μm で磁性層塗布面の中心線表
面粗さが0.002μmのポリエチレンナフタレート支
持体上に同時重層塗布をおこない、両層がまだ湿潤状態
にあるうちに4000Gの磁力をもつコバルト磁石と1
500Gの磁力をもつソレノイドにより配向させ乾燥
後、金属ロ−ルのみから構成される7段のカレンダで温
度90℃にて分速200m/min.で処理を行い、その後、
厚み0.5μmのバック層を塗布した。8mmの幅にスリ
ットし、表5〜11記載の各種8mmビデオテ−プを製
造し、下記により評価し、その結果を表5〜11に示し
た。
【0078】尚、実施例11及び比較例6は、磁性層の
みの単層とした他は、実施例1と同様の条件でビデオテ
ープを作成した。 評価方法 <電磁変換特性> 「記録波長0.488μの出力」レファレンスは富士写
真フィルム社製レファレンスMEテ−プで、外当て式ド
ラムテスタを用いて、相対速度10.2m/secで出
力を測定した。用いたヘッドはFe系ヘッドでBsが
1.5Tである。なお、最適記録電流は富士写真フィル
ム社製レファレンスMEテープと同一の電流で記録再生
した。記録波長0.488μmの出力は高いほど好まし
い。
【0079】<走行耐久性>テープを23℃70%RH
雰囲気で富士写真フイルム社製Hi-8 8mmビデオデッ
キFUJIX8を10台で1分長1000回走行させ
た。その間、出力低下を測定し、また走行後の1μ−6
dBのD.O増加分を評価した。通常50個/分以下が
望ましい。 <カーボン平均凝集体径の測定>カーボンの平均凝集体
径は、次の条件で遠心沈降法で求めた。
【0080】 装置:島津製作所製「SA−CA4L」 試料分散:カーボンブラック 20mg ノニオン活性剤5%水溶液 50ml (日本油脂製NS220 ポリオキシエチレンノニルフェニルエー テル) 上記材料を混合し、超音波で20分間分散し測定した。 <ヘッド磨耗測定法>富士写真フイルム社製Hi-8 8m
mビデオデッキFUJIX8の各ヘッドのシリンダーか
らの突出量を走行前に測定し、30h走行後の突出量を
測定し、走行前後の突出量からヘッド磨耗量を算出し
た。0.5μm以下が望ましい。 <摩擦係数>8mm幅テープ環境23度70%下におい
て、5mmφSUS303棒に180度ラップし荷重2
0g、摺動速度14mm/sで測定した。手動抵抗を測
定し動摩擦係数を求めた。0.3以下が望ましい。
【0081】
【表5】
【0082】表5は、実施例1〜2及び比較例1〜2の
結果を示したもので、研磨剤およびカーボンブラックが
本発明の範囲であっても、ポリウレタン樹脂が本発明の
ものでないと各々の特性が劣ることが分かる。
【0083】
【表6】
【0084】表6は、実施例3〜4及び比較例3〜4の
結果を示したもので、比較例4に示されるようにポリウ
レタン樹脂およびカーボンブラックが本発明の範囲でも
研磨剤が本発明の範囲でないと、特に出力及びD.Oに
劣ることが分かる。
【0085】
【表7】
【0086】
【表8】
【0087】表7及び8は、実施例5〜10及び比較例
5の結果を示したもので、比較例5に示されるようにポ
リウレタン樹脂および研磨剤が本発明の範囲でもカーボ
ンブラックが本発明の範囲でないと、特に出力に劣るこ
とが分かる。実施例9、実施例10は下層処方を変更し
たものである。
【0088】
【表9】
【0089】表9は、実施例11及び比較例6の結果を
示したもので、ポリウレタン樹脂が本発明の範囲でない
ものを用いた比較例6は、特に出力に劣ることが分か
る。
【0090】
【表10】
【0091】表10は、実施例12〜13及び比較例7
〜8の結果を示したもので、実施例12〜13は実施例
1〜2において、磁性体を変更したもので、比較例7〜
8は比較例1〜2において、磁性体を変更したものであ
り、磁気特性に応じて各々出力が低下しているが、その
程度はポリウレタン樹脂が本発明のものでない比較例の
方が大きいことが分かる。また、DOも比較例の方が劣
る。
【0092】
【表11】
【0093】表11は、実施例14〜15を示したもの
で、上層のみ本発明のポリウレタン樹脂を使用し、下層
は本発明以外のポリウレタン樹脂Bを使用した。
【0094】
【発明の効果】本発明は、磁性層に特定構造のポリウレ
タン樹脂と特定の平均凝集体径を有したカーボンブラッ
クおよび特定の粒径を有した研磨剤とを含有させること
により、電磁変換特性および走行耐久性が共に優れた磁
気記録媒体を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村山 裕一郎 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富 士写真フイルム株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に強磁性粉末を結合剤中
    に分散してなる磁性層を設けた磁気記録媒体または前記
    磁性層と前記非磁性支持体の間に更に無機粉末と結合剤
    とを含む下層塗布層を設けた磁気記録媒体において、前
    記磁性層中の結合剤または前記下層塗布層中の結合剤の
    少なくとも一つの結合剤が環状構造とエーテル基とを含
    むポリウレタン樹脂であり、少なくとも前記磁性層中に
    は該ポリウレタン樹脂を含み、かつ前記磁性層に含まれ
    るカーボンブラックの平均凝集体径が40〜300nm
    であり、前記磁性層に含まれる研磨剤の粒径が0.05
    〜0.5μmであることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記ポリウレタン樹脂は、ジオールと有
    機ジイソシアネートを主要原料とした反応生成物である
    ポリウレタン樹脂からなり、環状構造を有する短鎖ジオ
    ール単位をポリウレタン樹脂中に17〜40重量%含
    み、かつポリウレタン樹脂全体に対して、エーテル基を
    1.0〜5.0mmol/gを含む長鎖ジオール単位を
    ポリウレタン樹脂中に10〜50重量%含む結合剤であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記磁性層に使用される研磨剤は、結合
    剤と有機溶媒を用いて、あらかじめ磁性塗料とは別に分
    散し、磁性塗料の分散後もしくは分散前に磁性塗料中に
    前記研磨剤の分散液を添加することを特徴とする請求項
    1または2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 磁性層に使用されるカーボンの平均一次
    粒子径が16〜250nmであることを特徴とする請求
    項1〜3の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
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