JPH1062727A - 細孔化コンタクトレンズおよびその製造法 - Google Patents

細孔化コンタクトレンズおよびその製造法

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JPH1062727A
JPH1062727A JP15069097A JP15069097A JPH1062727A JP H1062727 A JPH1062727 A JP H1062727A JP 15069097 A JP15069097 A JP 15069097A JP 15069097 A JP15069097 A JP 15069097A JP H1062727 A JPH1062727 A JP H1062727A
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JP
Japan
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contact lens
pores
lens
irradiation
ion beam
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JP15069097A
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English (en)
Inventor
Minoru Kumakura
稔 熊倉
Isao Kaetsu
勲 嘉悦
Mutsuhide Komaki
古牧睦英
Tsutomu Sakurai
勉 桜井
Ryuji Arai
新井隆二
Yasuji Seshima
瀬島保二
Takashi Ono
昂 大野
Toshiyuki Ito
伊藤敏行
Hideo Mitsuyama
光山秀男
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Seed Co Ltd
Japan Atomic Energy Agency
Original Assignee
Japan Atomic Energy Research Institute
Seed Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸素透過性を改善し、而も透明性を維持する
とともに長時間の連続装用を可能とした細菌、蛋白質な
どの付着し難いコンタクトレンズを提供する。併せてそ
の製法を簡易化して生産性を高める。 【解決手段】 多価の重イオンビームを照射してコンタ
クトレンズに微細な孔を多数形成する。形成されたコン
タクトレンズの平均孔径を50乃至1000オングスト
ロームとするとともに孔の密度を10乃至109 個/cm
とする。必要あれば、多価の重イオンビームの照射後酸
の存在下で超音波エッチングを施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、細孔化したコンタクト
レンズ及びその製造法に関し、更に詳しくは、多価の重
イオンビームを照射して、多数の細孔を形成したコンタ
クトレンズ及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】コンタクトレンズは、角膜に酸素を供給
する必要があるために、軟質コンタクトレンズでは、素
材としてヒドロキシエチルメタクリレートなどの親水性
単量体を用いて酸素透過性を高めており、硬質コンタク
トレンズでは、酸素透過性の良い疎水性材料を使用する
か、またはコンタクトレンズの大きさを小さくして、涙
液による酸素の供給が行なわれるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】含水させた状態で装用
する軟質コンタクトレンズは、コンタクトレンズ樹脂が
水で膨潤しているために、酸素の拡散も良好で、而も材
料が軟質で異和感が少ないため、長時間装用が可能で広
く普及しているが、引張り強度、引裂強度などの機械的
強度の点で問題があり、耐久性に限界がある。
【0004】また、素材が親水性材料で作製されている
ため、細菌、蛋白質などが付着し易く、そのために一定
期間毎に煮沸、殺菌などの処理をする必要がある。
【0005】硬質コンタクトレンズにおいては、最近、
酸素透過性の良いケイ素樹脂などを使用したコンタクト
レンズが市販されているが、角膜に充分な酸素を供給で
きるものでなかった。
【0006】現在の軟質及び硬質のコンタクトレンズの
酸素透過係数は、1〜10×10-11 cm3 cm/cm2 sec mmH
g 程度であるために、コンタクトレンズを長期間連続装
用することは不可能であり、通常、毎日または一定日数
毎に、コンタクトレンズを取り外し、眼科医の診断を受
けることが義務付けられているのが現状である。
【0007】コンタクトレンズの酸素透過性を改善する
ために、物理的にコンタクトレンズを多孔化しようとす
る試みが、放電、レーザー照射などにより行なわれてき
たが、従来の細孔化技術では、酸素分子などの気体分子
だけを通過させるオングストロームオーダーの微小な孔
を形成させることは困難であり、 500μm φ以上の大き
な孔となってしまうという問題があった。更に、従来法
により細孔化処理を行なうと、樹脂の透明性が失われ、
眼科用の光学材料としては適さなかった。
【0008】イオンビームを高分子樹脂膜に照射後、エ
ッチングを行なって細孔性膜を作り、これを分離膜とし
て応用する技術は知られているが、この分離膜の場合に
は、透明性が要求されないため、高温度の強アルカリ、
強酸を使用し、 180℃以上の高温度下でエッチングが行
なわれている。そのため、細孔性の膜は得られるが、そ
の膜は失透し、不透明なものとなった。眼科用のコンタ
クトレンズにおいては、透明性を失うことなく、而も所
定範囲の孔径及び孔密度で細孔を形成する必要がある。
即ち、孔の大きさは、酸素分子が通過する程度にする必
要があると共に、大きすぎると、涙液の中の蛋白質をは
じめ、種々の細菌が混入し、増殖することにより眼の病
気の原因になる。
【0009】本発明は、上記従来の酸素透過性コンタク
トレンズの欠点を解消するためになされたものであっ
て、酸素透過性を更に改良して長期間連続装用すること
を可能にすると共に、衛生上の取扱いの容易な、軟質及
び硬質コンタクトレンズを提供することを目的としてい
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するために研究を重ねた結果、成形加工後のコンタ
クトレンズに多価の重イオンビームを照射することによ
って、酸素透過性コンタクトレンズとして適度な孔径及
び孔密度のレンズを得ることができることを見出した。
【0011】より具体的には、本発明に係るコンタクト
レンズは、メチルメタクリレート重合体を主成分とする
硬質コンタクトレンズや、ヒドロキシアルキルメタクリ
レート重合体等の親水性樹脂を主成分とする軟質コンタ
クトレンズに対し、多価の重イオンビームを照射して、
これを細孔化したものであり、好ましくは、重イオンビ
ーム照射後に、塩素化酢酸の存在下で超音波エッチング
を行ない、透明性を維持したままで、コンタクトレンズ
を貫通する平均孔径50乃至1000オングストローム、孔密
度10乃至109 個/cm2 の細孔を多数形成したものであ
る。
【0012】本発明に用いる重イオンビームは、サイク
ロトロン、タンデム型イオン加速器などのイオン照射装
置から発生させるもので、重イオンとしては、プロトン
より重い、ヘリウムイオン、リチウムイオン、ベリリウ
ムイオン、酸素イオン、鉄イオン、ヨウ素イオンなど多
数のイオンを挙げることができるが、コンタクトレンズ
を細孔化させるためには、好ましくは、リチウムイオン
より重いイオン種を用いる。
【0013】重イオンの電荷は、一般に1価のイオンが
主であるが、1価イオンから電子が多数取れた、5価、
7価などの高エネルギーの重イオンを生成することが可
能であり、本発明者らはこの多価の重イオンビームを用
いることによって、酸素透過性コンタクトレンズとして
最適の細孔を形成し得ることを見出した。
【0014】イオンの質量数は大きくなると、イオンの
飛程が制限されてくるので、コンタクトレンズの厚さに
よって選択する必要がある。コンタクトレンズの場合
は、一般に厚さが50μm 以上あるので、イオンの質量数
は、2乃至 100が使用可能であるが、好ましくは10乃至
80の範囲が適当である。
【0015】本発明で用いる重イオンのエネルギーは、
10M eV以上であれば使用可能であるが、コンタクトレ
ンズの厚さが厚くなると、イオンの貫通が難しくなる
で、50M eV以上のイオンエネルギーが好ましい。
【0016】イオン照射の密度は、コンタクトレンズに
形成する細孔の密度に関係するが、10乃至109 個/cm2
の範囲が適当で、貫通している 100オングストロームの
細孔が、10個/cm2 でも角膜への酸素の供給は充分であ
るが、コンタクトレンズの細孔を通しての蛋白質などの
角膜への供給となると、102 個/cm2 程度の細孔数が必
要となる。従って、イオン照射密度も102 乃至105 個/
cm2 が最適である。
【0017】上記の如く、大きな運動エネルギーをもっ
た多価の重イオンビームをコンタクトレンズに照射する
と、重イオンは、樹脂の化合結合を切断しながらレンズ
を貫通し、多数の微小細孔が、レンズ面に対して垂直方
向に形成される。この細孔は、謂わば粗削りの飛跡であ
って、これを更にエッチング処理することにより、酸素
のより透過し易い細孔となる。
【0018】重合体をイオンビーム照射後にエッチング
処理する技術は既に知られており、例えばポリカーボネ
ートに対してイオンビームを照射した後、5乃至6規定
の水酸化ナトリウムを用いて、50乃至60℃で10時間程度
エッチングし、細孔を形成する方法があるが、この場合
は、飛跡以外の部分も腐蝕され、重合体が失透してしま
うため、光学用材料には適用することができず、専ら分
離用材料として使用されている。
【0019】このように、透明性を失うような腐蝕を生
じさせないで、イオンビームの飛跡をエッチング処理す
ることは、高度の技術を要することであるが、本発明者
らは、多価の重イオンビームを照射したコンタクトレン
ズを塩素化酢酸の存在下で超音波エッチング処理するこ
とによって、酸素透過性の高い透明な細孔化コンタクト
レンズを得ることができることを見出した。
【0020】塩素化酢酸としては、モノクロル酢酸、ジ
クロル酢酸、トリクロル酢酸を用いることができ、中で
も反応効率の点でトリクロル酢酸が好ましい。塩素化酢
酸は、通常10乃至40重量%の濃度の水溶液として用い、
4乃至50℃の温度、好ましくは、10乃至30℃の室温程度
で超音波をかけながらエッチング処理を行なう。エッチ
ング時間は、対象とする樹脂、その他の条件によって異
なるが、周波数10乃至50KHz の超音波を用いて、通常
1乃至5時間程度である。なお、レンズを不透明にしな
い範囲で、塩素化酢酸の他に塩酸、硫酸、過塩素酸、フ
ッ素酸などの強酸を加えて、エッチング時間を短縮させ
ることもできる。
【0021】本発明は、硬質コンタクトレンズ、軟質コ
ンタクトレンズの何れにも適用することができ、硬質コ
ンタクトレンズとしては、代表的には、メチルメタクリ
レート重合体を主成分としたもの、メチルメタクリレー
トにシロキサニルメタクリレートやフッ素含有化合物を
添加して共重合したもの等を挙げることができる。
【0022】軟質コンタクトレンズは、親水性単量体を
原料にしたもので、単量体として、代表的には、多価ア
ルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステル
化合物、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒド
ロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアク
リレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエ
チレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコー
ルメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレ
ート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、メト
キシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポ
リエチレングリコールメタクリレート等のエステル化合
物、N‐ビニルピロリドン、または前記エステル化合物
とN‐ビニルピロリドンとの共重合体、或いは、これら
とメチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、
アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリル
アミド等の親水性単量体や、(シクロ)アルキルアクリ
レート、(シクロ)アルキルメタクリレート、アリルア
クリレート、アリルメタクリレート、ヘキサンジオール
アクリレート、ヘキサンジオールメタクリレート、ジエ
チレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコー
ルメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリ
レート、テトラエチレングリコールジメタクリレート等
の疎水性単量体との共重合体等が挙げられる。これらの
重合には架橋剤が用いられるのが通常であり、代表的架
橋剤としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコール
ジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレ
ート、トリエチレングリコールジメタクリレート、エチ
レングリコールジアクリレート、ジエチレングリコール
ジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレー
ト等を挙げることができる。
【0023】硬質コンタクトレンズまたは軟質コンタク
トレンズの何れもその重合法は限定されず、触媒重合、
放射線重合、その他の重合法により得られたものを対象
にすることができる。また、本発明における処理条件
は、樹脂の重合度によっても左右されない。
【0024】メチルメタクリレート重合体を主成分とす
る硬質コンタクトレンズ、またはヒドロキシアルキルメ
タクリレートを主成分とする軟質コンタクトレンズに本
発明方法を適用した場合、酸素透過性、レンズの透明性
の点で最も好適な条件としては、質量数2乃至 100(好
ましくは10乃至80)、10M eV(好ましくは50M eV)
以上のイオンエネルギーの多価の重イオンビームを、10
乃至109 個/cm2 (好ましくは102 乃至105 個/cm2
のイオン照射密度でコンタクトレンズに照射後、4乃至
50℃(好ましくは10乃至30℃)の温度、塩素化酢酸(好
ましくはトリクロル酢酸)の存在下で、(好ましくは10
乃至50MHz の)超音波エッチング処理する。
【0025】
【作用】上記本発明のコンタクトレンズは、酸素透過性
が極めて高く、長期間装用が可能であると共に、細孔径
がコントロールされているので、細菌、蛋白質等の汚れ
もつき難く、保守衛生上の取扱いも容易である。
【0026】また、上記本発明の方法によれば、細孔径
及び孔密度をコントロールして、酸素透過性が良好で而
も細菌、蛋白質等の汚れがつき難い適度の細孔を効率的
に形成することができる。特に、常温付近で塩素化酢酸
を用いた緩やかな化学的条件と、超音波を用いて加速し
た物理的条件とを組合せてエッチング処理を行なうこと
により、酸素透過性が極めて高く、而も処理前後で透明
性が実質的に変化しない優れたコンタクトレンズを提供
することが可能となる。
【0027】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明は、
これらの実施例に限定されるものではない。
【0028】実施例1 メチルメタクリレートの触媒重合によって得られた中心
部厚さ 140μm の硬質コンタクトレンズに対し、タンデ
ム型イオン加速器からの7価の酸素イオンビームを真空
中で7秒間照射した。イオンエネルギーは 120M eV
で、イオン照射密度は、3×105 個/cm2 であった。照
射後、コンタクトレンズを25重量%のトリクロル酢酸水
溶液の入った超音波発生装置(周波数;28KHz )に入
れ、1時間、15℃でエッチングを行なった。エッチング
したコンタクトレンズは水で良く洗浄した。これを乾燥
したコンタクトレンズは透明であり、透明度はイオン照
射前と変化はなかった。細孔化(孔径 100〜 500オング
ストローム)したコンタクトレンズの酸素透過係数を測
定した結果、16×10-8cm3 cm/cm2 sec mmHg であり、
イオン照射しない対照コンタクトレンズの値は0cm3 cm
/cm2 sec mmHg であった。
【0029】実施例2 メチルメタクリレートの触媒重合によって得られた中心
部厚さ 130μm の硬質コンタクトレンズに対し、タンデ
ム型イオン加速器からの2価の酸素イオンビームを真空
中で12秒間照射した。イオンエネルギーは 100M eV
で、イオン照射密度は8×107 個/cm2 であった。照射
後、実施例1の方法で20重量%ジクロル酢酸水溶液を用
い25℃で3時間超音波エッチングを行なった。エッチン
グしたコンタクトレンズは透明であり、透明度はイオン
照射前と変化はなかった。このレンズの酸素透過係数を
測定した結果、35×10-6cm3 cm/cm2 sec mmHg であっ
た。なお、イオン照射しない対照コンタクトレンズの値
は、0cm3 cm/cm2 sec mmHg であった。
【0030】実施例3 ヒドロキシエチルメタクリレート80重量%、ヒドロキシ
プロピルメタクリレート18重量%、エチレングリコール
ジメタクリレート2重量%から成る単量体組成物の触媒
重合によって得られた中心部厚さ 145μm の軟質コンタ
クトレンズに対し、タンデム型イオン加速器からの5価
の酸素イオンビームを真空中で8秒間照射した。イオン
エネルギーは 110M eVで、イオン照射密度は6×104
個/cm2であった。照射後、20重量%トリクロル酢酸を
使用して超音波エッチングを10℃で4時間行なった。エ
ッチングしたコンタクトレンズは、水中に16時間浸して
洗浄した。洗浄したものは透明であり、イオン照射前と
変化はなかった。このレンズの酸素透過係数を測定した
結果、24×10-8cm3 cm/cm2 sec mmHg であった。イオ
ン照射しない対照コンタクトレンズの値は、15×10-11
cm3 cm/cm2 sec mmHg であった。
【手続補正書】
【提出日】平成9年7月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、細孔化したコンタクト
レンズ及びその製造法に関し、更に詳しくは、多価の重
イオンビームを照射して、多数の細孔を形成したコンタ
クトレンズ及びその製造法に関する。
【従来の技術】コンタクトレンズは、角膜に酸素を供給
する必要があるために、軟質コンタクトレンズでは、素
材としてヒドロキシエチルメタクリレートなどの親水性
単量体を用いて酸素透過性を高めており、硬質コンタク
トレンズでは、酸素透過性の良い疎水性材料を使用する
か、或るいは、コンタクトレンズの大きさを小さくし
て、涙液による酸素の供給が行なわれ易いようにしてい
る。この他の手段として、レンズに孔を開けることによ
って、孔を通じてなされるポンピング作用により、涙液
の交換をスムーズにし、涙液に、溶解、拡散した酸素が
容易に角膜に補給されるようにした方法がある。この方
法では、通常レンズに対し、直径1mm以下の小さな孔を
開けるものであり、その実例として、特開昭49−53
451公報に開示の発明では、硬質レンズに穿孔し、涙
液の通過を良くして、角膜の細胞呼吸を妨げないように
するレンズを作るために、レーザー光線が用いられ、レ
ーザー光線を用いてレンズに穿孔することで、熟練を要
することなく、孔の出入口を滑らかに出来るものとされ
ている。また、特開昭49−75348公報に開示の発
明では、研磨の工程を必要としない孔を形成する為に、
炭酸ガスタイプのパルスレーザービームを用いた方法と
装置が開示され、この場合、孔の入口の径が0.15mm
で、出口の径が0.10mmのテーパー状の孔を持つもの
が例示されている。更に、特開昭58−29627公報
に開示の発明では、レンズに穿った孔の周囲にバリの生
じない多数の小孔を設ける上で、コンタクトレンズ装用
者の視力や体質に応じた小孔の径、数、穿孔模様を記憶
したコンピュータを用いて、レーザー光により穿孔する
方法が示されている。然しながら、これらの先行技術に
よって孔を開けたコンタクトレンズは、孔の位置、大き
さ、形状、個数等について、適性な条件が、個々の人に
より、まちまちであること、孔を開けることによるレン
ズ強度の低下、孔に蛋白質や眼脂などの汚れが詰まるこ
とに対する問題に亘ってまでは考慮されておらず、依然
として充分な解決がなされていないのが現状であった。
【発明が解決しようとする課題】含水させた状態で装用
する軟質コンタクトレンズは、コンタクトレンズ樹脂が
水で膨潤しているために、酸素の拡散も良好で、而も材
料が軟質で異和感が少ないため、長時間装用が可能で広
く普及しているが、引張り強度、引裂強度などの機械的
強度の点で問題があり、耐久性に限界がある。また、素
材が親水性材料で作製されているため、細菌、蛋白質な
どが付着し易く、そのために一定期間毎に煮沸、殺菌な
どの処理をする必要がある。硬質コンタクトレンズにお
いては、最近、酸素透過性の良いケイ素樹脂などを使用
したコンタクトレンズが市販されているが、角膜に充分
な酸素を供給できるものでなかった。現在の軟質及び硬
質のコンタクトレンズの酸素透過係数は、1〜10×10
-11 cm3 cm/cm2 sec mmHg 程度であるために、コンタ
クトレンズを長期間連続装用することは不可能であり、
通常、毎日または一定日数毎に、コンタクトレンズを取
り外し、眼科医の診断を受けることが義務付けられてい
るのが現状である。コンタクトレンズの酸素透過性を改
善するために、物理的にコンタクトレンズを多孔化しよ
うとする試みが、前述の特開昭49−53451公報、
特開昭49−75348公報及び特開昭58−2962
7公報等に見られるように、放電、レーザー照射等によ
り行なわれてはきたが、これらは、レンズに対して、単
に、0.1〜1mm程度の小孔を開けたというに止どま
り、必ずしも充分な酸素の供給がなされるといったもの
ではなかった。つまり、従来のこの種細孔化技術では、
酸素分子などの気体分子だけを通過させるオングストロ
ームオーダーの微小な孔を形成させることは困難であ
り、結果的には、 500μm φ以上の大きな孔となってし
まうという問題があった。また、在来技術のような放電
穿孔とか、レーザー照射による穿孔技術では、レンズ材
質が、こうした技術処理によって熱的な変化を受け、穿
孔によって除去された断片が、レンズ構成体に付着して
残るなどの欠陥を避け得なかった。更に、こうした従来
法により細孔化処理を行なうと、レンズを構成している
樹脂素材の透明性が失われ、眼科用の光学材料として
は適さないものとなった。他方、イオンビームを高分子
樹脂膜に照射後、エッチングを行なって細孔性膜を作
り、これを分離膜として応用する技術は知られている
が、この分離膜の場合には、透明性が要求されないた
め、高温度の強アルカリ、強酸を使用し、 180℃以上の
高温度下でエッチングが行なわれている。そのため、細
孔性の膜は得られるが、その膜は失透し、不透明なもの
となった。眼科用のコンタクトレンズにあっては、透明
性を失うことなく、而も所定範囲の孔径及び孔密度で細
孔を形成する必要がある。即ち、孔の大きさは、酸素分
子が通過する程度にする必要があると共に、大きすぎる
と、涙液の中の蛋白質をはじめ、種々の細菌が混入し、
増殖することにより眼の病気の原因になる。本発明は、
上記従来の酸素透過性コンタクトレンズの欠点を解消す
るためになされたものであって、酸素透過性を更に改良
して長期間連続装用することを可能にすると共に、衛生
上の取扱いの容易な、軟質及び硬質コンタクトレンズを
提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するために研究を重ねた結果、成形加工後のコンタ
クトレンズに多価の重イオンビームを照射することによ
って、酸素透過性コンタクトレンズとして適度な孔径及
び孔密度のレンズを得ることができることを見出した。
より具体的には、本発明に係るコンタクトレンズは、メ
チルメタクリレート重合体を主成分とする硬質コンタク
トレンズや、ヒドロキシアルキルメタクリレート重合体
等の親水性樹脂を主成分とする軟質コンタクトレンズに
対し、多価の重イオンビームを照射して、これを細孔化
したものであり、好ましくは、重イオンビーム照射後
に、塩素化酢酸の存在下で超音波エッチングを行ない、
透明性を維持したままで、コンタクトレンズを貫通する
平均孔径50乃至1000オングストローム、孔密度10乃至10
9 個/cm2 の細孔を多数形成したものである。本発明に
用いる重イオンビームは、サイクロトロン、タンデム型
イオン加速器などのイオン照射装置から発生させるもの
で、重イオンとしては、プロトンより重い、ヘリウムイ
オン、リチウムイオン、ベリリウムイオン、酸素イオ
ン、鉄イオン、ヨウ素イオンなど多数のイオンを挙げる
ことができるが、コンタクトレンズを細孔化させるため
には、好ましくは、リチウムイオンより重いイオン種を
用いる。重イオンの電荷は、一般に1価のイオンが主で
あるが、1価イオンから電子が多数取れた、5価、7価
などの高エネルギーの重イオンを生成することが可能で
あり、本発明者らはこの多価の重イオンビームを用いる
ことによって、酸素透過性コンタクトレンズとして最適
の細孔を形成し得ることを見出した。イオンの質量数は
大きくなると、イオンの飛程が制限されてくるので、コ
ンタクトレンズの厚さによって選択する必要がある。コ
ンタクトレンズの場合は、一般に厚さが50μm 以上ある
ので、イオンの質量数は、2乃至 100が使用可能である
が、好ましくは10乃至80の範囲が適当である。本発明で
用いる重イオンのエネルギーは、10M eV以上であれば
使用可能であるが、コンタクトレンズの厚さが厚くなる
と、イオンの貫通が難しくなるで、50M eV以上のイオ
ンエネルギーが好ましい。イオン照射の密度は、コンタ
クトレンズに形成する細孔の密度に関係するが、10乃至
109 個/cm2 の範囲が適当で、貫通している 100オング
ストロームの細孔が、10個/cm2 でも角膜への酸素の供
給は充分であるが、コンタクトレンズの細孔を通しての
蛋白質などの角膜への供給となると、102 個/cm2 程度
の細孔数が必要となる。従って、イオン照射密度も102
乃至105 個/cm2 が最適である。上記の如く、大きな運
動エネルギーをもった多価の重イオンビームをコンタク
トレンズに照射すると、重イオンは、樹脂の化合結合を
切断しながらレンズを貫通し、多数の微小細孔が、レン
ズ面に対して垂直方向に形成される。この細孔は、謂わ
ば粗削りの飛跡であって、これを更にエッチング処理す
ることにより、酸素のより透過し易い細孔となる。重合
体をイオンビーム照射後にエッチング処理する技術は既
に知られており、例えばポリカーボネートに対してイオ
ンビームを照射した後、5乃至6規定の水酸化ナトリウ
ムを用いて、50乃至60℃で10時間程度エッチングし、細
孔を形成する方法があるが、この場合は、飛跡以外の部
分も腐蝕され、重合体が失透してしまうため、光学用材
料には適用することができず、専ら分離用材料として使
用されている。このように、透明性を失うような腐蝕を
生じさせないで、イオンビームの飛跡をエッチング処理
することは、高度の技術を要することであるが、本発明
者らは、多価の重イオンビームを照射したコンタクトレ
ンズを塩素化酢酸の存在下で超音波エッチング処理する
ことによって、酸素透過性の高い透明な細孔化コンタク
トレンズを得ることができることを見出した。塩素化酢
酸としては、モノクロル酢酸、ジクロル酢酸、トリクロ
ル酢酸を用いることができ、中でも反応効率の点でトリ
クロル酢酸が好ましい。塩素化酢酸は、通常10乃至40重
量%の濃度の水溶液として用い、4乃至50℃の温度、好
ましくは、10乃至30℃の室温程度で超音波をかけながら
エッチング処理を行なう。エッチング時間は、対象とす
る樹脂、その他の条件によって異なるが、周波数10乃至
50KHz の超音波を用いて、通常1乃至5時間程度であ
る。なお、レンズを不透明にしない範囲で、塩素化酢酸
の他に塩酸、硫酸、過塩素酸、フッ素酸などの強酸を加
えて、エッチング時間を短縮させることもできる。本発
明は、硬質コンタクトレンズ、軟質コンタクトレンズの
何れにも適用することができ、硬質コンタクトレンズと
しては、代表的には、メチルメタクリレート重合体を主
成分としたもの、メチルメタクリレートにシロキサニル
メタクリレートやフッ素含有化合物を添加して共重合し
たもの等を挙げることができる。軟質コンタクトレンズ
は、親水性単量体を原料にしたもので、単量体として、
代表的には、多価アルコールとアクリル酸またはメタク
リル酸とのエステル化合物、例えば、ヒドロキシエチル
アクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒド
ロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタ
クリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポ
リエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレング
リコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメ
タクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリ
レート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレー
ト等のエステル化合物、N‐ビニルピロリドン、または
前記エステル化合物とN‐ビニルピロリドンとの共重合
体、或いは、これらとメチルメタクリレート、アクリル
酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、ジメチルアクリルアミド等の親水性単量体や、(シ
クロ)アルキルアクリレート、(シクロ)アルキルメタ
クリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレー
ト、ヘキサンジオールアクリレート、ヘキサンジオール
メタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレー
ト、ジエチレングリコールメタクリレート、テトラエチ
レングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコ
ールジメタクリレート等の疎水性単量体との共重合体等
が挙げられる。これらの重合には架橋剤が用いられるの
が通常であり、代表的架橋剤としては、ジビニルベンゼ
ン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレン
グリコールジメタクリレート、トリエチレングリコール
ジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレー
ト、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレ
ングリコールジアクリレート等を挙げることができる。
硬質コンタクトレンズまたは軟質コンタクトレンズの何
れもその重合法は限定されず、触媒重合、放射線重合、
その他の重合法により得られたものを対象にすることが
できる。また、本発明における処理条件は、樹脂の重合
度によっても左右されない。メチルメタクリレート重合
体を主成分とする硬質コンタクトレンズ、またはヒドロ
キシアルキルメタクリレートを主成分とする軟質コンタ
クトレンズに本発明方法を適用した場合、酸素透過性、
レンズの透明性の点で最も好適な条件としては、質量数
2乃至 100(好ましくは10乃至80)、10M eV(好まし
くは50M eV)以上のイオンエネルギーの多価の重イオ
ンビームを、10乃至109 個/cm2 (好ましくは102 乃至
105 個/cm2 )のイオン照射密度でコンタクトレンズに
照射後、4乃至50℃(好ましくは10乃至30℃)の温度、
塩素化酢酸(好ましくはトリクロル酢酸)の存在下で、
(好ましくは10乃至50MHz の)超音波エッチング処理
する。
【作用】上記本発明のコンタクトレンズは、酸素透過性
が極めて高く、長期間装用が可能であると共に、細孔径
がコントロールされているので、細菌、蛋白質等の汚れ
もつき難く、保守衛生上の取扱いも容易である。また、
上記本発明の方法によれば、細孔径及び孔密度をコント
ロールして、酸素透過性が良好で而も細菌、蛋白質等の
汚れがつき難い適度の細孔を効率的に形成することがで
きる。特に、常温付近で塩素化酢酸を用いた緩やかな化
学的条件と、超音波を用いて加速した物理的条件とを組
合せてエッチング処理を行なうことにより、酸素透過性
が極めて高く、而も処理前後で透明性が実質的に変化し
ない優れたコンタクトレンズを提供することが可能とな
る。
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明は、
これらの実施例に限定されるものではない。 実施例1 メチルメタクリレートの触媒重合によって得られた中心
部厚さ 140μm の硬質コンタクトレンズに対し、タンデ
ム型イオン加速器からの7価の酸素イオンビームを真空
中で7秒間照射した。イオンエネルギーは 120M eV
で、イオン照射密度は、3×105 個/cm2 であった。照
射後、コンタクトレンズを25重量%のトリクロル酢酸水
溶液の入った超音波発生装置(周波数;28KHz )に入
れ、1時間、15℃でエッチングを行なった。エッチング
したコンタクトレンズは水で良く洗浄した。これを乾燥
したコンタクトレンズは透明であり、透明度はイオン照
射前と変化はなかった。細孔化(孔径 100〜 500オング
ストローム)したコンタクトレンズの酸素透過係数を測
定した結果、16×10-8cm3 cm/cm2 sec mmHg であり、
イオン照射しない対照コンタクトレンズの値は0cm3 cm
/cm2 sec mmHg であった。 実施例2 メチルメタクリレートの触媒重合によって得られた中心
部厚さ 130μm の硬質コンタクトレンズに対し、タンデ
ム型イオン加速器からの2価の酸素イオンビームを真空
中で12秒間照射した。イオンエネルギーは 100M eV
で、イオン照射密度は8×107 個/cm2 であった。照射
後、実施例1の方法で20重量%ジクロル酢酸水溶液を用
い25℃で3時間超音波エッチングを行なった。エッチン
グしたコンタクトレンズは透明であり、透明度はイオン
照射前と変化はなかった。このレンズの酸素透過係数を
測定した結果、35×10-6cm3 cm/cm2 sec mmHg であっ
た。なお、イオン照射しない対照コンタクトレンズの値
は、0cm3 cm/cm2 sec mmHg であった。 実施例3 ヒドロキシエチルメタクリレート80重量%、ヒドロキシ
プロピルメタクリレート18重量%、エチレングリコール
ジメタクリレート2重量%から成る単量体組成物の触媒
重合によって得られた中心部厚さ 145μm の軟質コンタ
クトレンズに対し、タンデム型イオン加速器からの5価
の酸素イオンビームを真空中で8秒間照射した。イオン
エネルギーは 110M eVで、イオン照射密度は6×104
個/cm2であった。照射後、20重量%トリクロル酢酸を
使用して超音波エッチングを10℃で4時間行なった。エ
ッチングしたコンタクトレンズは、水中に16時間浸して
洗浄した。洗浄したものは透明であり、イオン照射前と
変化はなかった。このレンズの酸素透過係数を測定した
結果、24×10-8cm3 cm/cm2 sec mmHg であった。イオ
ン照射しない対照コンタクトレンズの値は、15×10-11
cm3 cm/cm2 sec mmHg であった。
【発明の効果】以上、実施例によって具体的に述べ、且
つ固有の作用として前述した通り、本発明のコンタクト
レンズでは、細孔の孔径がレーザービーム等による穿孔
手段に比して極く小さくすることができるばかりでな
く、それによって高い酸素の透過性をもち、細孔化した
結果が細菌や蛋白質等による汚れの付着し難いものとな
って、それらの残留も殆んどなく、長期間の装用を可能
とした優れたコンタクトレンズとすることができる。ま
た、その為の細孔化コンタクトレンズの製造法として
は、レーザービーム照射の場合のような危険性を排除し
て、特段の技術的困難さを伴なわず、作業性を向上して
現実の生産に寄与することが多大となる。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年7月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、細孔化したコンタクト
レンズ及びその製造法に関し、更に詳しくは、多価の重
イオンビームを照射して、多数の細孔を形成したコンタ
クトレンズ及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】コンタクトレンズは、角膜に酸素を供給
する必要があるために、軟質コンタクトレンズでは、素
材としてヒドロキシエチルメタクリレートなどの親水性
単量体を用いて酸素透過性を高めており、硬質コンタク
トレンズでは、酸素透過性の良い疎水性材料を使用する
か、或いは、コンタクトレンズの大きさを小さくして、
涙液による酸素の供給が行なわれ易いようにしている。
この他の手段として、レンズに孔を開けることによっ
て、孔を通じてなされるポンピング作用により、涙液の
交換をスムーズにし、涙液に、溶解、拡散した酸素が容
易に角膜に補給されるようにした方法がある。この方法
では、通常レンズに対し、直径1mm以下の小さな孔を開
けるものであり、その実例として、特開昭49−534
51公報に開示の発明では、硬質レンズに穿孔し、涙液
の通過を良くして、角膜の細胞呼吸を妨げないようにす
るレンズを作るために、レーザー光線が用いられ、レー
ザー光線を用いてレンズに穿孔することで、熟練を要す
ることなく、孔の出入口を滑らかに出来るものとされて
いる。また、特開昭49−75348公報に開示の発明
では、研磨の工程を必要としない孔を形成する為に、炭
酸ガスタイプのパルスレーザービームを用いた方法と装
置が開示され、この場合、孔の入口の径が0.15mm
で、出口の径が0.10mmのテーパー状の孔を持つもの
が例示されている。更に、特開昭58−29627公報
に開示の発明では、レンズに穿った孔の周囲にバリの生
じない多数の小孔を設ける上で、コンタクトレンズ装用
者の視力や体質に応じた小孔の径、数、穿孔模様を記憶
したコンピュータを用いて、レーザー光により穿孔する
方法が示されている。然しながら、これらの先行技術に
よって孔を開けたコンタクトレンズは、孔の位置、大き
さ、形状、個数等について、適性な条件が、個々の人に
より、まちまちであること、孔を開けることによるレン
ズ強度の低下、孔に蛋白質や眼脂などの汚れが詰まるこ
とに対する問題に亘ってまでは考慮されておらず、依然
として充分な解決がなされていないのが現状であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】含水させた状態で装用
する軟質コンタクトレンズは、コンタクトレンズ樹脂が
水で膨潤しているために、酸素の拡散も良好で、而も材
料が軟質で異和感が少ないため、長時間装用が可能で広
く普及しているが、引張り強度、引裂強度などの機械的
強度の点で問題があり、耐久性に限界がある。
【0004】また、素材が親水性材料で作製されている
ため、細菌、蛋白質などが付着し易く、そのために一定
期間毎に煮沸、殺菌などの処理をする必要がある。
【0005】硬質コンタクトレンズにおいては、最近、
酸素透過性の良いケイ素樹脂などを使用したコンタクト
レンズが市販されているが、角膜に充分な酸素を供給で
きるものでなかった。
【0006】現在の軟質及び硬質のコンタクトレンズの
酸素透過係数は、1〜10×10-11 cm3 cm/cm2 sec mmH
g 程度であるために、コンタクトレンズを長期間連続装
用することは不可能であり、通常、毎日または一定日数
毎に、コンタクトレンズを取り外し、眼科医の診断を受
けることが義務付けられているのが現状である。
【0007】コンタクトレンズの酸素透過性を改善する
ために、物理的にコンタクトレンズを多孔化しようとす
る試みが、前述の特開昭49−53451公報、特開昭
49−75348公報及び特開昭58−29627公報
等に見られるように、放電、レーザー照射等により行な
われてはきたが、これらは、レンズに対して、単に、
0.1〜1mm程度の小孔を開けたというに止どまり、必
ずしも充分な酸素の供給がなされるといったものではな
かった。つまり、従来のこの種細孔化技術では、酸素分
子などの気体分子だけを通過させるオングストロームオ
ーダーの微小な孔を形成させることは困難であり、結果
的には、 500μm φ以上の大きな孔となってしまうとい
う問題があった。また、在来技術のような放電穿孔と
か、レーザー照射による穿孔技術では、レンズ材質が、
こうした技術処理によって熱的な変化を受け、穿孔によ
って除去された断片が、レンズ構成体に付着して残るな
どの欠陥を避け得なかった。更に、こうした従来法によ
り細孔化処理を行なうと、レンズを構成している樹脂
の透明性が失われ、眼科用の光学材料としては適さ
いものとなった。
【0008】他方、イオンビームを高分子樹脂膜に照射
後、エッチングを行なって細孔性膜を作り、これを分離
膜として応用する技術は知られているが、この分離膜の
場合には、透明性が要求されないため、高温度の強アル
カリ、強酸を使用し、 180℃以上の高温度下でエッチン
グが行なわれているのが実情である。そのため、細孔性
の膜は得られるが、その膜は失透し、不透明なものとな
ていた。眼科用のコンタクトレンズにあっては、透明
性を失うことは致命的な問題であり、従って透明性を失
なわずに、而も所定範囲の孔径及び孔密度で細孔を形成
する必要がある。即ち、孔の大きさは、酸素分子が通過
する程度にする必要があると共に、大きすぎると、涙液
の中の蛋白質をはじめ、種々の細菌が混入し、増殖する
ことにより眼の病気の原因になる。
【0009】本発明は、上記従来の酸素透過性コンタク
トレンズのこれら諸欠点を解消するためになされたもの
であって、酸素透過性を更に改良して長期間連続装用す
ることを可能にすると共に、衛生上の見地から取扱いの
容易な、軟質及び硬質コンタクトレンズを提供すること
を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するために研究を重ねた結果、成形加工後のコンタ
クトレンズに多価の重イオンビームを照射することによ
って、酸素透過性コンタクトレンズとして適度な孔径及
び孔密度のレンズを得ることができることを見出した。
【0011】より具体的には、本発明に係るコンタクト
レンズは、メチルメタクリレート重合体を主成分とする
硬質コンタクトレンズや、ヒドロキシアルキルメタクリ
レート重合体等の親水性樹脂を主成分とする軟質コンタ
クトレンズに対し、多価の重イオンビームを照射して、
これを細孔化したものであり、好ましくは、重イオンビ
ーム照射後に、塩素化酢酸の存在下で超音波エッチング
を行ない、透明性を維持したままで、コンタクトレンズ
を貫通する平均孔径50乃至1000オングストローム、孔密
度10乃至109 個/cm2 の細孔を多数形成したものであ
る。
【0012】本発明に用いる重イオンビームは、サイク
ロトロン、タンデム型イオン加速器などのイオン照射装
置から発生させるもので、重イオンとしては、プロトン
より重い、ヘリウムイオン、リチウムイオン、ベリリウ
ムイオン、酸素イオン、鉄イオン、ヨウ素イオンなど多
数のイオンを挙げることができるが、コンタクトレンズ
を細孔化させるためには、好ましくは、リチウムイオン
より重いイオン種を用いる。
【0013】重イオンの電荷は、一般に1価のイオンが
主であるが、1価イオンから電子が多数取れた、5価、
7価などの高エネルギーの重イオンを生成することが可
能であり、本発明者らはこの多価の重イオンビームを用
いることによって、酸素透過性コンタクトレンズとして
最適の細孔を形成し得ることを見出した。
【0014】イオンの質量数は大きくなると、イオンの
飛程が制限されてくるので、コンタクトレンズの厚さに
よって選択する必要がある。コンタクトレンズの場合
は、一般に厚さが50μm 以上あるので、イオンの質量数
は、2乃至 100が使用可能であるが、好ましくは10乃至
80の範囲が適当である。
【0015】本発明で用いる重イオンのエネルギーは、
10M eV以上であれば使用可能であるが、コンタクトレ
ンズの厚さが厚くなると、イオンの貫通が難しくなる
で、50M eV以上のイオンエネルギーが好ましい。
【0016】イオン照射の密度は、コンタクトレンズに
形成する細孔の密度に関係するが、10乃至109 個/cm2
の範囲が適当で、貫通している 100オングストロームの
細孔が、10個/cm2 でも角膜への酸素の供給は充分であ
るが、コンタクトレンズの細孔を通しての蛋白質などの
角膜への供給となると、102 個/cm2 程度の細孔数が必
要となる。従って、イオン照射密度も102 乃至105 個/
cm2 が最適である。
【0017】上記の如く、大きな運動エネルギーをもっ
た多価の重イオンビームをコンタクトレンズに照射する
と、重イオンは、樹脂の化合結合を切断しながらレンズ
を貫通し、多数の微小細孔が、レンズ面に対して垂直方
向に形成される。この細孔は、謂わば粗削りの飛跡であ
って、これを更にエッチング処理することにより、酸素
のより透過し易い細孔となる。
【0018】重合体をイオンビーム照射後にエッチング
処理する技術は既に知られており、例えばポリカーボネ
ートに対してイオンビームを照射した後、5乃至6規定
の水酸化ナトリウムを用いて、50乃至60℃で10時間程度
エッチングし、細孔を形成する方法があるが、この場合
は、飛跡以外の部分も腐蝕され、重合体が失透してしま
うため、光学用材料には適用することができず、専ら分
離用材料として使用されている。
【0019】このように、透明性を失うような腐蝕を生
じさせないで、イオンビームの飛跡をエッチング処理す
ることは、高度の技術を要することであるが、本発明者
らは、多価の重イオンビームを照射したコンタクトレン
ズを塩素化酢酸の存在下で超音波エッチング処理するこ
とによって、酸素透過性の高い透明な細孔化コンタクト
レンズを得ることができることを見出した。
【0020】塩素化酢酸としては、モノクロル酢酸、ジ
クロル酢酸、トリクロル酢酸を用いることができ、中で
も反応効率の点でトリクロル酢酸が好ましい。塩素化酢
酸は、通常10乃至40重量%の濃度の水溶液として用い、
4乃至50℃の温度、好ましくは、10乃至30℃の室温程度
で超音波をかけながらエッチング処理を行なう。エッチ
ング時間は、対象とする樹脂、その他の条件によって異
なるが、周波数10乃至50KHz の超音波を用いて、通常
1乃至5時間程度である。なお、レンズを不透明にしな
い範囲で、塩素化酢酸の他に塩酸、硫酸、過塩素酸、フ
ッ素酸などの強酸を加えて、エッチング時間を短縮させ
ることもできる。
【0021】本発明は、硬質コンタクトレンズ、軟質コ
ンタクトレンズの何れにも適用することができ、硬質コ
ンタクトレンズとしては、代表的には、メチルメタクリ
レート重合体を主成分としたもの、メチルメタクリレー
トにシロキサニルメタクリレートやフッ素含有化合物を
添加して共重合したもの等を挙げることができる。
【0022】軟質コンタクトレンズは、親水性単量体を
原料にしたもので、単量体として、代表的には、多価ア
ルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステル
化合物、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒド
ロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアク
リレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエ
チレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコー
ルメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレ
ート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、メト
キシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポ
リエチレングリコールメタクリレート等のエステル化合
物、N‐ビニルピロリドン、または前記エステル化合物
とN‐ビニルピロリドンとの共重合体、或いは、これら
とメチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、
アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリル
アミド等の親水性単量体や、(シクロ)アルキルアクリ
レート、(シクロ)アルキルメタクリレート、アリルア
クリレート、アリルメタクリレート、ヘキサンジオール
アクリレート、ヘキサンジオールメタクリレート、ジエ
チレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコー
ルメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリ
レート、テトラエチレングリコールジメタクリレート等
の疎水性単量体との共重合体等が挙げられる。これらの
重合には架橋剤が用いられるのが通常であり、代表的架
橋剤としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコール
ジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレ
ート、トリエチレングリコールジメタクリレート、エチ
レングリコールジアクリレート、ジエチレングリコール
ジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレー
ト等を挙げることができる。
【0023】硬質コンタクトレンズまたは軟質コンタク
トレンズの何れもその重合法は限定されず、触媒重合、
放射線重合、その他の重合法により得られたものを対象
にすることができる。また、本発明における処理条件
は、樹脂の重合度によっても左右されない。
【0024】メチルメタクリレート重合体を主成分とす
る硬質コンタクトレンズ、またはヒドロキシアルキルメ
タクリレートを主成分とする軟質コンタクトレンズに本
発明方法を適用した場合、酸素透過性、レンズの透明性
の点で最も好適な条件としては、質量数2乃至 100(好
ましくは10乃至80)、10M eV(好ましくは50M eV)
以上のイオンエネルギーの多価の重イオンビームを、10
乃至109 個/cm2 (好ましくは102 乃至105 個/cm2
のイオン照射密度でコンタクトレンズに照射後、4乃至
50℃(好ましくは10乃至30℃)の温度、塩素化酢酸(好
ましくはトリクロル酢酸)の存在下で、(好ましくは10
乃至50MHz の)超音波エッチング処理する。
【0025】
【作用】上記本発明のコンタクトレンズは、酸素透過性
が極めて高く、長期間装用が可能であると共に、細孔径
がコントロールされているので、細菌、蛋白質等の汚れ
もつき難く、保守衛生上の取扱いも容易である。
【0026】また、上記本発明の方法によれば、細孔径
及び孔密度をコントロールして、酸素透過性が良好で而
も細菌、蛋白質等の汚れがつき難い適度の細孔を効率的
に形成することができる。特に、常温付近で塩素化酢酸
を用いた緩やかな化学的条件と、超音波を用いて加速し
た物理的条件とを組合せてエッチング処理を行なうこと
により、酸素透過性が極めて高く、而も処理前後で透明
性が実質的に変化しない優れたコンタクトレンズを提供
することが可能となる。
【0027】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明は、
これらの実施例に限定されるものではない。
【0028】実施例1 メチルメタクリレートの触媒重合によって得られた中心
部厚さ 140μm の硬質コンタクトレンズに対し、タンデ
ム型イオン加速器からの7価の酸素イオンビームを真空
中で7秒間照射した。イオンエネルギーは 120M eV
で、イオン照射密度は、3×105 個/cm2 であった。照
射後、コンタクトレンズを25重量%のトリクロル酢酸水
溶液の入った超音波発生装置(周波数;28KHz )に入
れ、1時間、15℃でエッチングを行なった。エッチング
したコンタクトレンズは水で良く洗浄した。これを乾燥
したコンタクトレンズは透明であり、透明度はイオン照
射前と変化はなかった。細孔化(孔径 100〜 500オング
ストローム)したコンタクトレンズの酸素透過係数を測
定した結果、16×10-8cm3 cm/cm2 sec mmHg であり、
イオン照射しない対照コンタクトレンズの値は0cm3 cm
/cm2 sec mmHg であった。
【0029】実施例2 メチルメタクリレートの触媒重合によって得られた中心
部厚さ 130μm の硬質コンタクトレンズに対し、タンデ
ム型イオン加速器からの2価の酸素イオンビームを真空
中で12秒間照射した。イオンエネルギーは 100M eV
で、イオン照射密度は8×107 個/cm2 であった。照射
後、実施例1の方法で20重量%ジクロル酢酸水溶液を用
い25℃で3時間超音波エッチングを行なった。エッチン
グしたコンタクトレンズは透明であり、透明度はイオン
照射前と変化はなかった。このレンズの酸素透過係数を
測定した結果、35×10-6cm3 cm/cm2 sec mmHg であっ
た。なお、イオン照射しない対照コンタクトレンズの値
は、0cm3 cm/cm2 sec mmHg であった。
【0030】実施例3 ヒドロキシエチルメタクリレート80重量%、ヒドロキシ
プロピルメタクリレート18重量%、エチレングリコール
ジメタクリレート2重量%から成る単量体組成物の触媒
重合によって得られた中心部厚さ 145μm の軟質コンタ
クトレンズに対し、タンデム型イオン加速器からの5価
の酸素イオンビームを真空中で8秒間照射した。イオン
エネルギーは 110M eVで、イオン照射密度は6×104
個/cm2であった。照射後、20重量%トリクロル酢酸を
使用して超音波エッチングを10℃で4時間行なった。エ
ッチングしたコンタクトレンズは、水中に16時間浸して
洗浄した。洗浄したものは透明であり、イオン照射前と
変化はなかった。このレンズの酸素透過係数を測定した
結果、24×10-8cm3 cm/cm2 sec mmHg であった。イオ
ン照射しない対照コンタクトレンズの値は、15×10-11
cm3 cm/cm2 sec mmHg であった。
【0031】
【発明の効果】以上、実施例によって具体的に述べ、且
つ固有の作用として前述した通り、本発明のコンタクト
レンズでは、細孔の孔径がレーザービーム等による穿孔
手段に比して極く小さくすることができるばかりでな
く、それによって高い酸素の透過性をもち、細孔化した
結果が細菌や蛋白質等による汚れの付着し難いものとな
って、それらの残留も殆んどなく、長期間の装用を可能
とした優れたコンタクトレンズとすることができる。ま
た、その為の細孔化コンタクトレンズの製造法として
は、レーザービーム照射の場合のような危険性を排除し
て、特段の技術的困難さを伴なわず、作業性を向上して
現実の生産に寄与することが多大となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桜井 勉 茨城県東海村村松798−4 (72)発明者 新井隆二 東京都豊島区池袋1−29 (72)発明者 瀬島保二 東京都調布市仙川町2−7−22 (72)発明者 大野 昂 東京都大田区東嶺町5−2 (72)発明者 伊藤敏行 埼玉県大宮市北袋町1−299 (72)発明者 光山秀男 埼玉県大宮市三橋2−248

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多価の重イオンビームを照射によって多
    数の細孔を形成されていることを特徴とする細孔化コン
    タクトレンズ。
  2. 【請求項2】 多価の重イオンビームの照射によって多
    数の細孔が形成されており、その細孔の平均孔径が50乃
    至1000オングストローム、孔密度が10乃至109個/cm2
    である細孔化コンタクトレンズ。
  3. 【請求項3】 多価の重イオンビームの照射によって多
    数の細孔が形成されていることを特徴とするメチルメタ
    クリレート重合体を主成分とする硬質の細孔化コンタク
    トレンズ。
  4. 【請求項4】 多価の重イオンビームの照射によって多
    数の細孔が形成されており、その細孔の平均孔径が50乃
    至1000オングストローム、孔密度が10乃至109個/cm2
    であるメチルメタクリレート重合体を主成分とする細孔
    化硬質コンタクトレンズ。
  5. 【請求項5】 多価の重イオンビームを照射によって多
    数の細孔が形成されていることを特徴とするヒドロキシ
    アルキルメタクリレート重合体を主成分とする軟質の細
    孔化コンタクトレンズ。
  6. 【請求項6】 多価の重イオンビームの照射によって多
    数の細孔が形成されており、その細孔の平均孔径が50乃
    至1000オングストローム、孔密度が10乃至109個/cm2
    であるヒドロキシアルキルメタクリレート重合体を主成
    分とする軟質の細孔化コンタクトレンズ。
  7. 【請求項7】 コンタクトレンズに、多価の重イオンビ
    ームを照射後、酸の存在下で超音波エッチング処理を施
    して多数の細孔を形成せしめることを特徴とする細孔化
    コンタクトレンズの製造法。
  8. 【請求項8】 コンタクトレンズに、質量数2乃至100
    、10MeV 以上のエネルギーの多価の重イオンビーム
    を、10乃至109 個/cm2 のイオン照射密度で照射後に、
    酸の存在下で超音波エッチング処理を施して多数の細孔
    を形成せしめることを特徴とする細孔化コンタクトレン
    ズの製造法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102759806A (zh) * 2011-04-28 2012-10-31 星欧光学股份有限公司 具有孔隙的高透氧隐形眼镜及其制造方法
KR101203131B1 (ko) * 2010-07-26 2012-11-20 (주)지오메디칼 다공성 콘택트렌즈 제조방법 및 그 제조방법에 의하여 제조된 다공성 콘택트렌즈

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