JPH1060737A - 高弾性低収縮ポリエステル繊維 - Google Patents

高弾性低収縮ポリエステル繊維

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JPH1060737A
JPH1060737A JP21976396A JP21976396A JPH1060737A JP H1060737 A JPH1060737 A JP H1060737A JP 21976396 A JP21976396 A JP 21976396A JP 21976396 A JP21976396 A JP 21976396A JP H1060737 A JPH1060737 A JP H1060737A
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JP
Japan
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polyester
unit
polyester fiber
copolymer
shrinkage
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JP21976396A
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Mitsue Yoshimura
三枝 吉村
Seiji Ito
誠司 伊藤
Toshimasa Kuroda
俊正 黒田
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 弾性率および熱に対する寸法安定性が共に優
れ、しかも生産性が高いポリエステル繊維を提供する。 【解決手段】 (1)主たる構成単位がエチレンテレフ
タレート単位からなるポリエステル[A]および(2)
エチレンテレフタレート単位およびアリレート単位から
なり、アリレート単位を全構成単位当り10〜60モル
%含有するポリエステル共重合体[B]より実質的にな
り、該ポリエステル共重合体[B]を該ポリエステル
[A]に対して0.2〜5重量%含むポリエステル組成
物から形成された高弾性低収縮ポリエステル繊維であ
り、この繊維は、初期弾性率が150g/de以上であ
り且つ180℃での乾熱収縮率が4%以下である特徴を
有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、産業資材用、特に
ゴム補強用繊維に適した、熱に対する寸法安定性が優れ
ると同時に、高強度、高弾性率を有するポリエステル繊
維であって、その生産性が極めて高い繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルタイヤコードに代表される
ポリエステル高強力糸は、主にゴム補強繊維としての物
性バランスが優れており、且つ近年は原料コスト面でレ
ーヨン繊維に対して優位性を示し、産業資材用として広
く且つ大量に使用されている。しかし、高性能化への要
求の高まりとともに、高弾性率化および高熱環境下での
寸法安定性を同時に満たすポリエステル繊維が望まれて
いる。
【0003】そこで、寸法安定性を高める方法として、
紡糸速度の高速化により、分子配向度の高い未延伸糸を
引き取り、熱延伸を施す方法が特公昭63−528号公
報、特公昭63−529号公報に提案されている。ま
た、紡糸速度の高速化に伴い紡糸ドラフトゾーンで配向
結晶化させる方法が特開昭60−259620号公報、
特公平3−21647号公報に提案されている。しか
し、これらの方法で製造した繊維は、いずれも分子の非
晶部分の配向度が低く、寸法安定性は優れているが、強
度や弾性率は従来の産業資材用繊維より劣っており、ま
た、配向度の低い非晶部はゴム中で厳しい使用条件下で
ダメージを受けやすいという大きな欠点を有している。
【0004】このような分子配向度の高い未延伸糸の内
部構造を改良して、高弾性・高強力化する方法として
は、特に配向結晶化度の高い単糸外側への応力集中を抑
制する方法として、特開昭59−1714号公報、特開
平2−289115号公報には延伸時に繊維側面を局部
的に加熱する方法、特開昭62−97921号公報に
は、低分子量ポリエステルを鞘とする芯鞘構造を形成さ
せる方法や、紡糸筒内に水蒸気を送り単糸外側の加水分
解を促進させて芯鞘構造を形成する提案が特開平5−3
11513号公報に開示されている。また、特開平3−
137217号公報、特開平3−137218号公報お
よび特開平3−137219号公報には、プラズマ延伸
法、特開平5−148712号公報には放電部分での延
伸法など、種々の特殊な延伸法を用いる方法が提案され
ている。しかし、これらの方法はいずれも装置的な面や
生産性の面から観て、コスト高であり工業的規模の生産
には適していない。
【0005】一方、高強度・高弾性率繊維として既に多
くの液晶性を示すポリアリレートが開発されているが、
いずれも原料が高価であり、工業的に安価に、安定的に
製造され、供給されるには至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した現
状に着目し、ポリエステル繊維の高強度・高弾性および
熱に対する寸法安定性を改善し、従来技術では欠如して
いた実用性、経済性の課題を解決し、しかも高弾性率と
低収縮率とを兼ね備えたポリエステル繊維を工業的に安
定して生産性よく提供することを目的とするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、前記本
発明の目的は、(1)主たる構成単位がエチレンテレフ
タレート単位からなるポリエステル[A]および(2)
エチレンテレフタレート単位およびアリレート単位から
なり、アリレート単位を全構成単位当り10〜60モル
%含有するポリエステル共重合体[B]より実質的にな
り、該ポリエステル共重合体[B]を該ポリエステル
[A]に対して0.2〜5重量%含むポリエステル組成
物から形成された高弾性低収縮ポリエステル繊維により
達成される。また、本発明によれば、前記ポリエステル
組成物より形成された、初期弾性率が150g/de以
上であり且つ180℃での乾熱収縮率が4%以下である
高弾性低収縮ポリエステル繊維が提供される。以下、本
発明の高弾性低収縮ポリエステル繊維について、さらに
詳細に説明する。
【0008】本発明におけるポリエステル[A]は実質
的にポリエチレンテレフタレート(PET)からなるも
のであり、PET本来の性質を損なわない範囲において
共重合成分を含有していてもよい。具体的には、全構成
単位の80モル%以上、好ましくは90モル%以上がエ
チレンテレフタレート単位であるものがポリエステル
[A]として使用される。このポリエステル[A]は、
o−クロロフェノール溶液中、35℃にて測定した固有
粘度が0.8以上、好ましくは0.9〜1.4、特に好ま
しくは0.9〜1.3の範囲のものが有利である。
【0009】そして、固有粘度が0.8より低い場合
は、低収縮化は容易であるが、産業資材用繊維としての
強度や弾性率が低くなり目的を達し得ない。また、この
ポリエステル[A]中には、安定剤、耐光剤、難燃剤、
艶消剤などの通常使用される添加剤を含んでいてもよ
い。
【0010】なお、衣料用PETと比べて本発明のPE
Tの粘度の高いことに関しては、後述するが、エチレン
テレフタレート単位とオキシベンゾエートに代表される
アリレート単位からなるポリエステル共重合体[B]が
著しい減粘効果を発揮するため、急激な伸長粘度や配向
結晶化がなく、安定な紡糸性達成し、本発明の目的とす
る繊維を支障なく得ることができる。
【0011】本発明の特徴は、前記ポリエステル[A]
にアリレート単位を有するポリエステル共重合体[B]
を添加して溶融紡糸することにある。該共重合体の減粘
効果とは、ポリエステル[A]と相溶性があり、繊維中
での分散性に優れ、分子鎖のからみつきを適度にほぐし
て流動を促進し、低張力での製糸を可能とし、非晶部の
不均一な配向に起因する収縮率の増加や強度の低下を抑
制することである。
【0012】また、このポリエステル共重合体[B]
は、溶融時には液晶性を示さず、紡糸張力下で液晶性を
発現し、繊維の高弾性化や低収縮性をもたらすものであ
る。溶融時に液晶性を示すポリマーの場合は、概してポ
リエステル[A]より融点が高く口金孔内せん断化およ
び紡糸張力化で直ちに配向結晶化してしまい、ポリエス
テル[A]の伸長変形能を奪うために極めて紡糸性が悪
く、ポリエステル[A]部分の配向は著しく抑制されて
いるにもかかわらず、すでに配向結晶化しているポリエ
ステル共重合体[B]のために効果的な延伸は不可能で
あり、仮に延伸できたとしても弾性率、寸法安定性とも
に本発明の目的を満足するものとならない。加えて、こ
のポリエステル共重合体[B]は、ポリエステル[A]
とエステル交換反応を起こさず、適度な結晶化を促進す
るために、ポリエステル[A]の結晶構造を阻害するこ
とがなく、強度や重合度にも影響を与えるものではな
い。さらに、このポリエステル共重合体[B]の一定量
を添加することにより、延伸性が良好となり、高速延伸
に十分対応でき、生産性の向上が望める。
【0013】本発明のポリエステル共重合体[B]は、
エチレンテレフタレート単位とアリレート単位から実質
的になる共重合体であり、全構成単位当り10〜60モ
ル%がアリレート単位を有する共重合体である。従っ
て、この共重合体は、エチレンテレフタレート単位が9
0〜40モル%含有されることになる。
【0014】アリレート単位とは、通常ポリアリレート
として知られた成分の構成単位であればよく、オキシ芳
香族カルボン酸成分および/または芳香族ジカルボン酸
成分および/または芳香族ジオール成分よりなる単位で
ある。このアリレート単位を形成しうる芳香族オキシカ
ルボン酸成分としては、ヒドロキシ安息香酸、2,6−
ヒドロキシナフトエ酸など、またはそれらの低級アルキ
ル、低級アルコキシまたはハロゲン置換体などが挙げら
れる。重合性、コスト面において、パラヒドロキシ安息
香酸単位を含有することが好ましい。また、芳香族ジオ
ール成分および芳香族ジカルボン酸成分として、ハイド
ロキノン、レゾルシン、ジオキシフェノール、2,6−
ナフタレンジオール、イソフタル酸、ジフェニルカルボ
ン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエ
ーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン
酸、ジフェニルエタンジカルボン酸など、またはこれら
の低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン置換体を芳
香族単位として含有しても良い。
【0015】さらに、このポリエステル共重合体[B]
中のエチレンテレフタレート単位を構成するのは、テレ
フタル酸とエチレングリコールであるが、それ以外に少
割合(10モル%以下)のイソフタル酸、ジフェニルカ
ルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテ
ルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジ
フェニルエタンジカルボン酸など、またはこれらの低級
アルキル、低級アルコキシまたはハロゲン置換体などを
芳香族ジカルボン酸単位として含有しても良く、脂肪族
ジオールとしてブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ルなどを含有していても良い。
【0016】本発明のポリエステル共重合体[B]中の
アリレート単位は、10〜60モル%であることが重要
であり、好ましくは15〜50モル%の範囲である。1
0モル%未満であれば、ポリエステル[A]の減粘効果
は顕著ではなく、本発明の効果を得るには不十分であ
り、60モル%を越える場合には、ポリエステル[A]
との相溶性が悪くなり、しかも液晶性が強く発揮される
ため、ポリエステル[A]の配向結晶化を妨げ、延伸が
難しく収縮率は著しく大きくなってしまう。
【0017】また、本発明におけるポリエステル共重合
体[B]の粘度は、フェノールと1,1,2,2−テトラ
クロロエタンの重量比が1:1である混合溶媒を用いて
35℃測定した固有粘度が0.2〜0.4までの範囲が好
ましい。固有粘度が0.2未満の場合は重合度が低いた
めに、該共重合体自身の配向結晶性が劣り、低収縮性や
高弾性化への寄与が小さくなるばかりか、熱安定性が不
足するとともに低分子成分特有の高温使用時の繊維表面
への移行が問題となる。また、0.4を越える場合、共
重合体は高分子量化し、液晶性が顕著になり、減粘効果
が失われる。また実際には、高分子量化に長時間の固相
重合を必要とするため、部分的にオキシ芳香族カルボン
酸単位のブロック性の極端に高い部分がゲル化物として
発生しやすく曳糸性を損なうこととなる。従ってポリエ
ステル共重合体[B]固有粘度は0.25〜0.35の範
囲が望ましい。
【0018】このようなポリエステル共重合体[B]を
調整する方法は、とくに限定されるものではなく、例え
ば、ポリエチレンテレフタレート(PET)をアセトキ
シ安息香酸と混合し、ついで加温し溶融してアシドリシ
ス反応を行い、さらに減圧して、重合反応を促進させる
特公昭56−18016号公報に記載の方法など従来公
知の種々の方法を適宜採用することができる。
【0019】前記ポリエステル共重合体[B]は、ポリ
エステル[A]に対して0.2〜5重量%、好ましくは
0.3〜4重量%の割合で配合される。ポリエステル共
重合体[B]の割合が0.2重量%未満の場合は、配合
する効果が認められず、一方、5重量%を超えると紡糸
条件が安定せず、延伸にも支障が起こり、ポリエステル
の結晶化にも影響が起こるようになる。
【0020】本発明のポリエステル繊維に製造方法とし
ては、まず、ポリエステル共重合体を添加したポリエス
テル[A]を紡糸温度290〜310℃で溶融紡糸し、
紡出糸状を加熱筒を設置し、口金下方5〜30cmの範
囲の雰囲気温度を250〜350℃とした領域を通過さ
せた後、冷却することが望ましい。紡糸温度および雰囲
気温度がこの範囲より低い場合は、初期応力が高くな
り、高速巻き取りが困難となり、延伸糸はいわゆる弱糸
状態であり、一方、この範囲より高いと、冷却が不十分
で紡糸張力が安定せず、わずかではあるが、熱劣化も認
められる。冷却は10℃から30℃の冷却風を40m/
分以上の速度で40cm以上の長さにわたって吹き付け
る方法で行うことが望ましい。
【0021】引き取り速度は1200m/分〜4000
m/分とすることが望ましい。引き取り速度がこの範囲
より低いと、紡糸応力が低く、配向結晶化が不十分であ
るので、寸法安定性が悪くなり、この範囲より高いとス
キンコア状態が形成され延伸倍率の低下をもたらし、強
度は低下する。
【0022】引き取った糸条は、紡糸に連続して延伸お
よび熱処理を行う。熱延伸は、2段以上の多段で行うこ
とが好ましい。加熱は加熱ローラ、加熱蒸気、ヒートプ
レート、ヒートボックスなど適宜使用することができ
る。延伸は、延伸糸の破断伸度が、10〜20%となる
ように行うことが必要である。破断伸度が10%未満の
場合は、タフネスの低下、収縮率の増加、延伸性の悪化
をもたらす。一方、20%を越える場合は、延伸が不十
分で、強度、弾性率ともに本発明を満足するものではな
い。
【0023】また、もう一つの延伸方法は、一亘紡糸工
程で巻き取った未延伸糸を用いて、別工程で2段以上の
多段延伸を行う方法である。この際も適宜加熱手段を用
いることができる。詳しくは、1段目の延伸倍率は1.
05〜1.20倍、加熱温度50〜70℃として延伸を
行い、続いて90℃の加熱ローラを用いて破断伸度が1
0〜20%となるよう延伸した後、弛緩熱処理を行うも
のである。
【0024】かくして本発明によるポリエステル繊維
は、高い弾性と優れた寸法安定性を有しており、初期弾
性率が150g/de以上、殊に160〜200g/d
eであり、しかも180℃での乾熱収縮率が4%以下で
あるという優れた特性を有している。従って、本発明の
ポリエステル繊維は、産業資材用繊維として、殊にゴム
補強用繊維として有利に利用できる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。 参考例1 ポリエチレンテレフタレート(固有粘度=0.64)と
パラアセトキシ安息香酸をエチレンテレフタレート単位
とオキシベンゾエート単位のモル比が70:30となる
ように仕込み、100℃、0.5mmHgの減圧下で1
5時間乾燥した。系内を窒素で常圧に戻し、窒素気流下
で270℃まで昇温し、酢酸亜鉛をエチレンテレフタレ
ート単位とオキシベンゾエート単位の合計量に対して
0.05モル%添加し、30分放置後攪拌を開始し、1
時間アシドリシス反応を行った。その後、280℃に昇
温しながら、0.1mmHgまで減圧にし、4時間ほど
溶融粘度の上昇がなくなるまで重合し、ポリエステル共
重合体[B−1]を得た。固有粘度は0.31、融点は
214℃であった。
【0026】実施例1 固有粘度が、1.0のポリエチレンテレフタレート(P
ET)に対し、参考例1にて重合したポリエステル共重
合体[B−1]を表1に示す添加量で添加し、混合した
ものをエクストルーダー型溶融紡糸機に供給し、直径
0.5mmの吐出孔を500個有する紡糸口金を用い
て、紡糸温度305℃で紡出し、口金直下に設置した長
さ15cm、温度325℃の加熱筒を通過した後、長さ
40cmの横吹き型冷却装置より、風速50m/分、温
度18℃の冷却風を糸条に吹き付けて冷却した。冷却さ
れた糸条を70℃の加熱引き取りローラで表1に示した
引き取り速度で引き取り、引き取りローラと140℃の
第1延伸ローラとの間で1.5倍に延伸し、次いで、第
1延伸ローラと200℃の第2延伸ローラとの間で表1
に示した全延伸倍率となるように延伸し、第2ローラと
230℃の熱処理ローラとの間で0.97倍の弛緩熱処
理を行った後、巻き取り、1500de/500fのポ
リエステル繊維を得た。なお、No.1およびNo.2が
本発明の実施例であり、No.3〜No.8は比較例であ
る。
【0027】
【表1】
【0028】No.1およびNo.2は、共重合体[B−
1]を添加していないNo.4に比べ延伸性が向上し、
初期弾性率、乾熱収縮率ともに本発明の目的を満足する
ものである。一方、共重合体[B−1]の添加率が多い
No.3では、寸法安定性は良好であるが、No.4に対
し延伸倍率が減少し、弾性率が低下しており、ポリエチ
レンテレフタレートの結晶化になんらかの悪影響を与え
ていることが考えられる。No.5は引き取り速度が遅
いために、配向結晶化が不十分で、乾熱収縮率が大き
い。No.6は引き取り速度が高いために、延伸倍率が
低く、強度、初期弾性率ともに低い。また、No.7
は、延伸しすぎのため、初期弾性率および強度は高いも
のの、乾熱収縮率が高くなった。一方、No.8は、破
断伸度が20%を越えるような低延伸倍率で延伸してい
るために弾性率が低いものとなった。
【0029】実施例2 参考例1と同様の方法を用いて重合したエチレンテレフ
タレート単位とオキシベンゾエート単位のモル比が3
0:70で、固有粘度が0.25、融点が241℃のポ
リエステル共重合体[B−2]およびエチレンテレフタ
レート単位とブチレンテレフタレート単位と2−ヒドロ
キシ−6−ナフトエ酸単位のモル比が、30:30:4
0で、固有粘度0.32、融点が237℃のポリエステ
ル共重合体[B−3]をそれぞれ固有粘度1.0のポリ
エチレンテレフタレートに表2に示す添加量で添加し、
混合したものをエクストルーダー型溶融紡糸機に供給
し、直径0.5mmの吐出孔を500個有する紡糸口金
を用いて、紡糸温度305℃で紡出し、口金直下に設置
した長さ15cm、温度325℃の加熱筒を通過した
後、長さ40cmの横吹き型冷却装置より、風速50m
/分、温度18℃の冷却風を糸条に吹き付けたのち巻き
取った。該未延伸糸を、延伸工程に供給し、1段目の延
伸倍率は1.05〜1.20倍、加熱温度を50〜70℃
とし、続いて90℃の加熱ローラを用いて破断伸度が1
0〜20%となるよう延伸した後、220℃で弛緩熱処
理を行い、1500de/500fの延伸糸を得た。得
られた結果を表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】No.9は、ポリエステル共重合体[B−
1]がオキシベンゾエート単位の割合が高いことからポ
リエチレンテレフタレートとの相溶性が悪く、溶融状態
ですでに液晶性を示すため、ポリエチレンテレフタレー
トの配向結晶化を著しく妨げる。従って延伸倍率が低
く、効果的な延伸を行うことができない。一方、No.
10は、ブチレンテレフタレートと2−ヒドロキシ−6
−ナフトエ酸単位を含むポリエステル共重合体[B−
3]により、延伸性向上し、初期弾性率、乾熱収縮率と
もに本発明を満足するものであった。
【0032】
【発明の効果】かくして本発明によれば、高い弾性率を
有し且つ熱に対する寸法安定性が優れたポリエステル繊
維が提供される。しかもこの繊維は、生産性が高く、工
業的に有利である。特に、本発明の繊維は、産業資材
用、とりわけゴム補強用繊維として好適である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)主たる構成単位がエチレンテレフ
    タレート単位からなるポリエステル[A]および(2)
    エチレンテレフタレート単位およびアリレート単位から
    なり、アリレート単位を全構成単位当り10〜60モル
    %含有するポリエステル共重合体[B]より実質的にな
    り、該ポリエステル共重合体[B]を該ポリエステル
    [A]に対して0.2〜5重量%含むポリエステル組成
    物から形成された高弾性低収縮ポリエステル繊維。
  2. 【請求項2】 初期弾性率が150g/de以上であり
    且つ180℃での乾熱収縮率が4%以下である請求項1
    記載の高弾性低収縮ポリエステル繊維。
  3. 【請求項3】 該ポリエステル共重合体[B]は、0.
    2〜0.4の固有粘度を有する請求項1または2記載の
    高弾性低収縮ポリエステル繊維。
JP21976396A 1996-08-21 1996-08-21 高弾性低収縮ポリエステル繊維 Withdrawn JPH1060737A (ja)

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