JPH1060582A - 耐錆剥離性に優れた煙突・煙道用鋼 - Google Patents
耐錆剥離性に優れた煙突・煙道用鋼Info
- Publication number
- JPH1060582A JPH1060582A JP21643796A JP21643796A JPH1060582A JP H1060582 A JPH1060582 A JP H1060582A JP 21643796 A JP21643796 A JP 21643796A JP 21643796 A JP21643796 A JP 21643796A JP H1060582 A JPH1060582 A JP H1060582A
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- Japan
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- steel
- rust
- flue
- peeling resistance
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 火力発電所や各種ゴミ、産業廃棄物処理場の
煙突・煙道用材料として、起動時に生じる鋼板表面の錆
剥離が少ない安価な鋼を提供する。 【構成】 重量％で、Ｃ：０．０４〜０．１５％、Ｓ
ｉ：０．０５〜１．０％、Ｍｎ：０．２〜１．７％、Ｃ
ｒ：２〜６％、Ａｌ：０．０７％以下を含有し、且つＣ
ｕ：０．０５〜１．０％、Ｍｏ：０．０５〜１．０％の
うち少なくとも１種以上を含み、さらにＮｉ：０．５×
Ｃｕ％〜１．５×Ｃｕ％を含有し、残部実質的にＦｅ及
び不可避的不純物からなる耐錆剥離性に優れた煙突・煙
道用鋼。
煙突・煙道用材料として、起動時に生じる鋼板表面の錆
剥離が少ない安価な鋼を提供する。 【構成】 重量％で、Ｃ：０．０４〜０．１５％、Ｓ
ｉ：０．０５〜１．０％、Ｍｎ：０．２〜１．７％、Ｃ
ｒ：２〜６％、Ａｌ：０．０７％以下を含有し、且つＣ
ｕ：０．０５〜１．０％、Ｍｏ：０．０５〜１．０％の
うち少なくとも１種以上を含み、さらにＮｉ：０．５×
Ｃｕ％〜１．５×Ｃｕ％を含有し、残部実質的にＦｅ及
び不可避的不純物からなる耐錆剥離性に優れた煙突・煙
道用鋼。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】この発明は、火力発電所や各
種ゴミ、産業廃棄物処理場の煙突・煙道用材料として、
起動時に生じる鋼板表面の錆剥離が少ない安価な鋼に関
する。
種ゴミ、産業廃棄物処理場の煙突・煙道用材料として、
起動時に生じる鋼板表面の錆剥離が少ない安価な鋼に関
する。
【０００２】
【従来の技術】火力発電所等の燃焼排ガスはＣＯ2 、Ｎ
Ｏｘ、ＳＯｘ等の腐食性ガスを有するとともに、石炭、
ゴミ、産業廃棄物等を燃焼する場合や海浜地区のプラン
卜では多量のＣｌ- が排ガス中に存在するため、煙突・
煙道部では低温露点腐食や塩化物による腐食が生じる。
このため、従来は炭素鋼に耐酸ライニングを施したり、
ステンレス鋼が煙突・煙道用部材に用いられてきた。し
かし、近年、建設コスト削減の観点から煙突・煙道用材
料に炭素鋼あるいは低合金鋼を裸使用したいとの要求が
ある。
Ｏｘ、ＳＯｘ等の腐食性ガスを有するとともに、石炭、
ゴミ、産業廃棄物等を燃焼する場合や海浜地区のプラン
卜では多量のＣｌ- が排ガス中に存在するため、煙突・
煙道部では低温露点腐食や塩化物による腐食が生じる。
このため、従来は炭素鋼に耐酸ライニングを施したり、
ステンレス鋼が煙突・煙道用部材に用いられてきた。し
かし、近年、建設コスト削減の観点から煙突・煙道用材
料に炭素鋼あるいは低合金鋼を裸使用したいとの要求が
ある。
【０００３】上記目的で開発された鋼としては、例えば
特開平6-192789号公報に開示されたものが挙げあれ、ま
た、現在でも比較的穏やかな排ガス腐食環境下では炭素
鋼等が使用されている。しかし、煙突・煙道用材料に炭
素鋼や低合金鋼を用いた場合、完全に腐食を抑制するこ
とは不可能であり、錆が鋼板表面に形成する。プラント
起動時にはこの錆が剥離し、大気中へ放散されるという
問題が一部で発生している。したがって、錆の放散を防
止するため、プラント停止時に鋼板表面の錆を除去する
作業が定期的に必要となっている。
特開平6-192789号公報に開示されたものが挙げあれ、ま
た、現在でも比較的穏やかな排ガス腐食環境下では炭素
鋼等が使用されている。しかし、煙突・煙道用材料に炭
素鋼や低合金鋼を用いた場合、完全に腐食を抑制するこ
とは不可能であり、錆が鋼板表面に形成する。プラント
起動時にはこの錆が剥離し、大気中へ放散されるという
問題が一部で発生している。したがって、錆の放散を防
止するため、プラント停止時に鋼板表面の錆を除去する
作業が定期的に必要となっている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】この発明は上記のよう
な従来技術における問題点を解決するためになされたも
ので、Ｃｒ、Ｃｕ、Ｍｏ等の合金元素量を規定すること
により、排ガス腐食環境下で耐剥離性に優れた錆が形成
される鋼を安価に得ることを目的とする。
な従来技術における問題点を解決するためになされたも
ので、Ｃｒ、Ｃｕ、Ｍｏ等の合金元素量を規定すること
により、排ガス腐食環境下で耐剥離性に優れた錆が形成
される鋼を安価に得ることを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、発明者らは各種低合金耐食鋼に対して排ガス環境を
模擬した腐食試験を行い、形成した錆の均一性と耐剥離
性を評価した結果、Ｃｒ、Ｃｕ、Ｍｏ等を一定量以上添
加した鋼では錆の耐剥離性が著しく向上することを見出
し、本発明を完成するに至った。
め、発明者らは各種低合金耐食鋼に対して排ガス環境を
模擬した腐食試験を行い、形成した錆の均一性と耐剥離
性を評価した結果、Ｃｒ、Ｃｕ、Ｍｏ等を一定量以上添
加した鋼では錆の耐剥離性が著しく向上することを見出
し、本発明を完成するに至った。
【０００６】すなわち、本発明は、重量％で、Ｃ：０．
０４〜０．１５％、Ｓｉ：０．０５〜１．０％、Ｍｎ：
０．２〜１．７％、Ｃｒ：２〜６％、Ａｌ：０．０７％
以下を含有し、且つＣｕ：０．０５〜１．０％、Ｍｏ：
０．０５〜１．０％のうち少なくとも１種以上を含み、
さらにＮｉ：０．５×Ｃｕ％〜１．５×Ｃｕ％を含有
し、残部実質的にＦｅ及び不可避的不純物からなる耐錆
剥離性に優れた煙突・煙道用鋼である。
０４〜０．１５％、Ｓｉ：０．０５〜１．０％、Ｍｎ：
０．２〜１．７％、Ｃｒ：２〜６％、Ａｌ：０．０７％
以下を含有し、且つＣｕ：０．０５〜１．０％、Ｍｏ：
０．０５〜１．０％のうち少なくとも１種以上を含み、
さらにＮｉ：０．５×Ｃｕ％〜１．５×Ｃｕ％を含有
し、残部実質的にＦｅ及び不可避的不純物からなる耐錆
剥離性に優れた煙突・煙道用鋼である。
【０００７】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の鋼の成分限定
理由を述べる。Ｃは、鋼の強度・靭性を確保するため、
０．０４％以上含有する必要があるが、０．１５％を超
えて含有すると溶接性が著しく劣化する。したがって、
Ｃ含有量は０．０４〜０．１５％とする。
理由を述べる。Ｃは、鋼の強度・靭性を確保するため、
０．０４％以上含有する必要があるが、０．１５％を超
えて含有すると溶接性が著しく劣化する。したがって、
Ｃ含有量は０．０４〜０．１５％とする。
【０００８】Ｓｉは、脱酸剤として０．０５％以上の含
有が必要であるが、多量の添加は溶接性や延靭性を低下
させるため、その上限は１．０％とする。Ｍｎは、強度
・靭性向上に不可欠な元素であり、その下限は０．２％
である。しかし、多量に添加すると焼入性が著しく上昇
し、溶接時の割れ感受性が高くなるため、上限を１．７
％とする。
有が必要であるが、多量の添加は溶接性や延靭性を低下
させるため、その上限は１．０％とする。Ｍｎは、強度
・靭性向上に不可欠な元素であり、その下限は０．２％
である。しかし、多量に添加すると焼入性が著しく上昇
し、溶接時の割れ感受性が高くなるため、上限を１．７
％とする。
【０００９】Ｃｒは、ＣＯ2 を主体とする排ガス腐食環
境下で耐剥離性に優れた錆を形成するために必要な元素
であり、少なくとも２％は必要である。しかし、６％を
超えて添加しても耐錆剥離性に及ぼす効果は飽和し、ま
た、靭性、溶接性を劣化させる。したがって、Ｃｒ含有
量は２〜６％とする。
境下で耐剥離性に優れた錆を形成するために必要な元素
であり、少なくとも２％は必要である。しかし、６％を
超えて添加しても耐錆剥離性に及ぼす効果は飽和し、ま
た、靭性、溶接性を劣化させる。したがって、Ｃｒ含有
量は２〜６％とする。
【００１０】Ａｌは、脱酸作用を有する元素であるがＳ
ｉでも代替できるので下限値は規定しない。ただし、多
量の添加は清浄性を低下させ、溶接部の靭性を低下させ
るため、その上限は０．０７％とする。
ｉでも代替できるので下限値は規定しない。ただし、多
量の添加は清浄性を低下させ、溶接部の靭性を低下させ
るため、その上限は０．０７％とする。
【００１１】Ｃｕ及びＭｏは、塩化物を含有した排ガス
腐食環境下での耐食性を向上させ、耐剥離性に優れた錆
の形成に寄与するため、少なくともいずれかを添加する
必要がある。しかし、その含有量が０．０５％未満では
前記の効果が得られず、また、１．０％を超えて添加し
ても耐食性への効果は飽和し、鋼の延靭性を低下させ
る。したがって、Ｃｕ、Ｍｏ含有量は０．０５〜１．０
％とする。
腐食環境下での耐食性を向上させ、耐剥離性に優れた錆
の形成に寄与するため、少なくともいずれかを添加する
必要がある。しかし、その含有量が０．０５％未満では
前記の効果が得られず、また、１．０％を超えて添加し
ても耐食性への効果は飽和し、鋼の延靭性を低下させ
る。したがって、Ｃｕ、Ｍｏ含有量は０．０５〜１．０
％とする。
【００１２】Ｎｉは、Ｃｕを添加した鋼において、その
熱間加工時の割れを防止するため、少なくともＣｕ含有
量の半分の添加が必要である。しかし、Ｃｕ含有量の
１．５倍を超えて含有させても割れ防止の効果は飽和
し、高価になるためその上限はＣｕ量の１．５倍とす
る。
熱間加工時の割れを防止するため、少なくともＣｕ含有
量の半分の添加が必要である。しかし、Ｃｕ含有量の
１．５倍を超えて含有させても割れ防止の効果は飽和
し、高価になるためその上限はＣｕ量の１．５倍とす
る。
【００１３】
【実施例】以下に本発明によるものの具体的な実施例を
説明する。 〔実施例１〕表１に示す化学成分を有する本発明鋼Ａ〜
Ｃ及び比較鋼Ｄ〜Ｈからクーポン試験片を採取し、この
試験片に対して燃焼排ガスを模擬した浸漬試験を行い、
試験後の錆の均一性を目視により評価した。浸漬試験は
模擬排ガス（体積％で、ＣＯ2 ：１０％、ＮＯｘ：５０
ｐｐｍ、Ｏ2 ：３％、Ｎ2 ：残）を飽和させた８０℃の
０．３％ＮａＣｌ水溶液中で５０時間実施した。
説明する。 〔実施例１〕表１に示す化学成分を有する本発明鋼Ａ〜
Ｃ及び比較鋼Ｄ〜Ｈからクーポン試験片を採取し、この
試験片に対して燃焼排ガスを模擬した浸漬試験を行い、
試験後の錆の均一性を目視により評価した。浸漬試験は
模擬排ガス（体積％で、ＣＯ2 ：１０％、ＮＯｘ：５０
ｐｐｍ、Ｏ2 ：３％、Ｎ2 ：残）を飽和させた８０℃の
０．３％ＮａＣｌ水溶液中で５０時間実施した。
【００１４】発明鋼及び比較鋼の錆の均一性とＣｒ含有
量との関係を図１に示す。この図１によれば、Ｃｕ、Ｍ
ｏのいずれか１種以上を含有した鋼ではＣｒ含有量が２
％以上になると錆が著しく均一になり、含有量の増加に
ともないより向上することがわかる。しかし、Ｃｒ量が
６％を超えるとその効果は飽和することが理解される。
また、Ｃｕ、Ｍｏ無添加鋼ではＣｒ量が６％であっても
錆は不均一であることがわかる。 〔実施例２〕同じく表１に示す本発明鋼Ａ〜Ｃ及び比較
鋼Ｄ〜Ｇから平板引張試験片を採取し、この試験片に対
して実プラントの起動停止を模擬した排ガス中での乾湿
繰り返し腐食試験を行った。さらに、腐食試験後のサン
プルに対して繰り返し引張圧縮試験を行い、プラント起
動停止時の熱応力による耐錆剥離性を加速評価した。腐
食試験は模擬排ガス（体積％で、ＣＯ2 ：１０％、ＮＯ
ｘ：５０ｐｐｍ、ＳＯｘ：５０ｐｐｍ、Ｏ2 ：３％、Ｎ
2 ：残、露点：５８℃）を流した熱サイクル炉中で９０
サイクル実施し、試験開始直前とその後３０サイクル毎
に０．３％ＮａＣｌ水溶液をサンプルに噴霧した。図２
にはその熱サイクルパターンを示す。発明鋼及び比較鋼
の耐錆剥離性を表２に示す。この表２によれば、本発明
鋼はいずれも排ガス腐食環境下での耐錆剥離性に優れる
ことが理解される。
量との関係を図１に示す。この図１によれば、Ｃｕ、Ｍ
ｏのいずれか１種以上を含有した鋼ではＣｒ含有量が２
％以上になると錆が著しく均一になり、含有量の増加に
ともないより向上することがわかる。しかし、Ｃｒ量が
６％を超えるとその効果は飽和することが理解される。
また、Ｃｕ、Ｍｏ無添加鋼ではＣｒ量が６％であっても
錆は不均一であることがわかる。 〔実施例２〕同じく表１に示す本発明鋼Ａ〜Ｃ及び比較
鋼Ｄ〜Ｇから平板引張試験片を採取し、この試験片に対
して実プラントの起動停止を模擬した排ガス中での乾湿
繰り返し腐食試験を行った。さらに、腐食試験後のサン
プルに対して繰り返し引張圧縮試験を行い、プラント起
動停止時の熱応力による耐錆剥離性を加速評価した。腐
食試験は模擬排ガス（体積％で、ＣＯ2 ：１０％、ＮＯ
ｘ：５０ｐｐｍ、ＳＯｘ：５０ｐｐｍ、Ｏ2 ：３％、Ｎ
2 ：残、露点：５８℃）を流した熱サイクル炉中で９０
サイクル実施し、試験開始直前とその後３０サイクル毎
に０．３％ＮａＣｌ水溶液をサンプルに噴霧した。図２
にはその熱サイクルパターンを示す。発明鋼及び比較鋼
の耐錆剥離性を表２に示す。この表２によれば、本発明
鋼はいずれも排ガス腐食環境下での耐錆剥離性に優れる
ことが理解される。
【００１５】
【表１】
【００１６】
【表２】
【００１７】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、排ガ
ス腐食環境下で耐剥離性に優れた錆が形成される鋼が得
られる。したがって、火力発電所や各種ゴミ、産業廃棄
物処理場の煙突・煙道用材料として、錆除去作業を大幅
に軽減できる安価な鋼を提供することが可能となる。
ス腐食環境下で耐剥離性に優れた錆が形成される鋼が得
られる。したがって、火力発電所や各種ゴミ、産業廃棄
物処理場の煙突・煙道用材料として、錆除去作業を大幅
に軽減できる安価な鋼を提供することが可能となる。
【図１】本発明の実施例１による鋼の錆の均一性とＣｒ
含有量との関係を示す図。
含有量との関係を示す図。
【図２】実施例２による乾湿繰り返し腐食試験の熱サイ
クルパターンを示す図。
クルパターンを示す図。
Claims (1)
- 【請求項１】 重量％で、Ｃ：０．０４〜０．１５％、
Ｓｉ：０．０５〜１．０％、Ｍｎ：０．２〜１．７％、
Ｃｒ：２〜６％、Ａｌ：０．０７％以下を含有し、且つ
Ｃｕ：０．０５〜１．０％、Ｍｏ：０．０５〜１．０％
のうち少なくとも１種以上を含み、さらにＮｉ：０．５
×Ｃｕ％〜１．５×Ｃｕ％を含有し、残部実質的にＦｅ
及び不可避的不純物からなる耐錆剥離性に優れた煙突・
煙道用鋼。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP21643796A JPH1060582A (ja) | 1996-08-16 | 1996-08-16 | 耐錆剥離性に優れた煙突・煙道用鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP21643796A JPH1060582A (ja) | 1996-08-16 | 1996-08-16 | 耐錆剥離性に優れた煙突・煙道用鋼 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1060582A true JPH1060582A (ja) | 1998-03-03 |
Family
ID=16688538
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP21643796A Pending JPH1060582A (ja) | 1996-08-16 | 1996-08-16 | 耐錆剥離性に優れた煙突・煙道用鋼 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH1060582A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US9436096B2 (en) | 2005-12-30 | 2016-09-06 | Asml Netherlands B.V. | Lithographic apparatus and device manufacturing method |
| KR102093132B1 (ko) * | 2018-10-10 | 2020-03-25 | 울산과학기술원 | 유동가속부식 저항 합금강 및 이의 제조방법 |
-
1996
- 1996-08-16 JP JP21643796A patent/JPH1060582A/ja active Pending
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US9436096B2 (en) | 2005-12-30 | 2016-09-06 | Asml Netherlands B.V. | Lithographic apparatus and device manufacturing method |
| KR102093132B1 (ko) * | 2018-10-10 | 2020-03-25 | 울산과학기술원 | 유동가속부식 저항 합금강 및 이의 제조방법 |
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