JPH1060480A - 液体洗浄剤組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 ウール、アクリル、ポリエステル等の各種繊
維からなる製品を洗浄した際に良好な収縮防止効果、浸
透性、風合い付与効果を示し、且つ保存安定性が良好な
液体洗浄剤組成物を提供する。 【解決手段】 一般式Ｉ、例えばシリコーン（１）^＊の
アミノ変性シリコーン誘導体(a) と、特定のＨＬＢを有
するアルコールエトキシレート型の非イオン界面活性剤
及びＨＬＢ値が小さくエチレンオキシド付加モル数分布
の幅の少ないアルコールエトキシレート型の非イオン界
面活性剤とを含む界面活性剤(b) とを含有する液体洗浄
剤組成物。 ＊シルコーン(1)は一般式Ｉ中の構造が以下の化合物で
ある。 Ｒ：CH₃ R¹：CH₃ Ａ：（イ）-(CH₂)₃-NH-CO-CH₂-O-(CH₂CH₂O)₅-C₁₂H₂₅及
び、 （ロ）−(CH₂)₃-NH₂の混合〔（イ）／（ロ）＝７／３
（モル比）〕 Ｂ：-(CH₂)₃-O-(CH₂CH₂O)₁₀-CH₃ Ｉ：300 ｍ：７ ｎ：４

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ウール、アクリ
ル、ポリエステル、或いはこれらの混紡繊維などからな
る各種繊維製品、例えば所謂おしゃれ着に対して、効果
的な洗浄ができ、更に、風合いと寸法安定性にも優れた
液体洗浄剤組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】衣料は
その素材の種類により洗濯方法だけでなく、使用する洗
剤の成分、組成及び溶媒が異なる。一般に衣料には洗濯
条件を表示するマークが縫製されており、溶剤を用いた
ドライ洗濯の指定（ドライマーク）並びに水系での洗濯
条件等が表示されている。例えば獣毛を素材とする衣
料、特にウール衣料等はその性質から一般にドライ指定
されているものが多い。ドライ洗濯は特別な溶剤及び機
器を使用するため一般家庭での洗濯は難しいものであ
り、専門のクリーニング店に依頼するしかなかった。し
かしながら、ドライマーク衣料の一部には中性洗剤を用
いた水系で洗濯可能な衣料もあり、繊維を傷めない仕上
がり感に優れた洗剤の開発により、家庭でも気兼ねなく
洗濯できるようになったことに加えて、繊維の加工処理
技術の発達により洗濯時の耐久性が向上し、更にはドラ
イマーク衣料用の洗濯モードを有する洗濯機の発売に至
り、家庭内でのドライマーク衣料の洗濯が以前よりまし
て容易になってきている。

【０００３】これらのドライマーク衣料を水系で洗濯す
る条件として、繊維を傷めずに且つ風合いを保つため
に、手洗いで洗濯するか、あるいは弱い機械力をかける
ことで洗濯することが好ましい。しかし、ウールなどの
衣料は水系の洗濯液に対して十分に濡れにくく、織物な
どの内部への浸透性もよくないため、洗浄性も不十分で
あり、この点の改良が強く要望されている。

【０００４】このようなドライマーク衣料用の洗剤を始
めとする軽質の洗剤には、ポリオキシエチレンアルキル
エーテル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル
塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩などが主洗浄基剤と
して広く用いられている。また、皮膚刺激性が少なく、
使用時の手の感触にも優れているということで、アルキ
ルグルコシドやアミンオキサイドを配合した技術が注目
されている（特公平５−75799 号、特開平４−11698
号、特開平３−188195号、特開昭57−96096 号、特開昭
57−105496号、特開昭57−205499号、特開昭62−215699
号、特開平１−247496号、特開平６−271457号、特開平
５−247492号）。特に、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテルなどのエーテル型の非イオン界面活性剤、ポリオ
キシエチレンアルキル硫酸エステル塩、アルキルグルコ
シドやアミンオキサイドの混合により、その目的の用途
の性能に適したものが見出されている。

【０００５】しかし、これらは台所用の洗浄剤やシャン
プー、pHがアルカリ性や酸性の液体の洗浄剤が主用途の
ものが多く、中性の軽質洗剤として、ドライマーク衣
料、特にウール衣料の濡れ性を十分改善し、洗浄性を高
めるための研究は未だ十分にはされていない。

【０００６】また、ウール製品などの縮みを防ぐ工夫と
して、アミノ変性シリコーンや特定のジアルキル型陽イ
オン界面活性剤と水溶性シリコーンの組み合わせやポリ
アミド柔軟剤や官能性ポリアルキレンオキシドポリオー
ルを利用した技術が開示されている（特開平３−207796
号、特開平３−207798号、特開平６−313193号、特開平
７−242897号、特開昭63−199294号、特開平７−145400
号）。しかし、ウール製品等は、全自動洗濯機の手洗い
コースを使用した洗濯や、ぬるま湯中での押し洗いが主
流であるため、これらの技術によってもウール製品の収
縮防止効果は不充分であり、このため更に収縮防止効果
を向上させた洗濯用洗剤に対する根強いニーズがある。

【０００７】更に、ウール、アクリル、ポリエステル、
或いはこれらの混紡繊維などからなる所謂おしゃれ着に
おいては、洗い上がりの柔軟性も重視されるが、上記の
ようにドライマーク衣料に要求される濡れ性や収縮防止
性を具備し、更に柔軟性をも付与できる配合組成は見出
されていない。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決すべく鋭意研究の結果、ある特定のアミノ変性シリ
コーン誘導体と、ある特定のＨＬＢ（親水性・親油性バ
ランス）のエーテル型の非イオン界面活性剤及びＨＬＢ
値が小さくエチレンオキシド付加モル数分布の幅の少な
い２種の高級アルコールエトキシレート型の非イオン界
面活性剤とを配合すると、ウール製、アクリル製、ポリ
エステル製などの衣料に対して、適度な洗浄力が得ら
れ、更に風合いと寸法安定性に優れた液体洗浄剤組成物
を見出し、本発明を完成するに至った。

【０００９】すなわち本発明は、(a) 下記一般式（Ｉ）
で表されるアミノ変性シリコーン誘導体0.05〜５重量％
並びに(b) 下記非イオン界面活性剤（ｉ）を95〜75重量
％、下記非イオン界面活性剤（ii）を５〜15重量％含有
する界面活性剤５〜70重量％を含有し、且つ(a) ：(b)
の重量比が(a) ：(b) ＝１：100 〜１：５であることを
特徴とする液体洗浄剤組成物を提供するものである。

【００１０】

【化３】

【００１１】（式中、 l ； 100〜600 であり、m ，n は l：m ＝100 ：１〜1
0：１、且つ m：n ＝１：10〜10：１となる数である。 R ；炭素数１〜４のアルキル基、ヒドロキシ基又はアル
コキシ基 R¹；炭素数１〜４のアルキル基であり、それぞれ異なっ
ていてもよい。 A ；下記（イ）で表される基又は（イ）及び（ロ）で表
される基であり、後者の場合、A 中の（ロ）の割合は50
モル％以下である。

【００１２】

【化４】

【００１３】a ；２〜６ R²；水素原子又は炭素数１〜４のアルキル基 p ；１〜６ q ；１〜20 r ；０〜20 R³；炭素数１〜18のアルキル基 B ；-(CH₂)_a-O-(C₂H₄O)_x-(C₃H₆O)_y-R⁴ 又はR¹ R⁴；炭素数１〜10のアルキル基 x ；１〜20 y ；０〜20 を示す。） ＜非イオン界面活性剤（ｉ）＞下記一般式（ｉ）で表さ
れる非イオン界面活性剤 R₁O(R₂O)_nR₃ （ｉ） （式中、R₁は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数８〜18のアル
キル基もしくはアルケニル基、又は総炭素数12〜22のア
ルキルフェニル基を示し、R₂は炭素数２〜４のアルキレ
ン基を示し、R₃は水素、メチル基又はエチル基である。
n は（ｉ）のＨＬＢ値が12〜15になるように付加したア
ルキレンオキシドの付加モル数である。） ＜非イオン界面活性剤（ii）＞下記一般式（ii）で表さ
れ、ＨＬＢ値が７〜10であり、且つn ＝０の化合物の含
量が４重量％以下で、最も含量の多い化合物の付加モル
ｎ_max が下記式（Ａ）を満足する非イオン界面活性剤を
前記界面活性剤系 100重量部に対して５〜15重量部を含
む。 R₄O(CH₂CH₂O)_nR₅ （ii） （式中、R₄は直鎖もしくは分岐鎖の平均炭素数８〜18の
アルキル基もしくはアルケニル基又は総炭素数12〜22の
アルキルフェニル基を示し、R₅は水素又はメチル基であ
る。n は（ii）のＨＬＢ値が７〜10になるように付加し
たエチレンオキシドの付加モル数である。）

【００１４】

【数２】

【００１５】＜(a) 成分＞本発明で(a) 成分として使用
するアミノ変性シリコーン誘導体は、従来洗剤中で使用
されている前記公報（特開昭60−215099号、特開平３−
207796号、特開平３−207798号）記載のシリコーン化合
物とはその構造及び作用効果に関して異なるものであ
る。

【００１６】本発明において、かかる(a) 成分は組成物
中に0.05〜５重量％、好ましくは0.1 〜３重量％配合さ
れる。(a) 成分の配合量が0.05重量％未満であると、ウ
ール製品に対する十分なフェルト収縮防止効果や、アク
リル製品、ポリエステル製品に対する十分な風合い向上
効果が得られない。また５重量％を超える配合は効果的
に変わらなく、価格を上げるだけであり好ましくない
し、液体洗剤の保存安定性を損なう。

【００１７】＜(b) 成分＞本発明では(b) 成分として下
記非イオン界面活性剤（ｉ）、（ii）の二種の非イオン
界面活性剤を含有する界面活性剤（以下、界面活性剤系
ということもある）が使用される。

【００１８】本発明組成物の界面活性剤系における(b)
成分としては、次の一般式（ｉ） R₁O(R₂O)_nR₃ （ｉ） （式中、R₁は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数８〜18のアル
キル基もしくはアルケニル基、又は総炭素数12〜22のア
ルキルフェニル基を示し、R₂は炭素数２〜４のアルキレ
ン基を示し、R₃は水素、メチル基又はエチル基である。
n は（ｉ）のＨＬＢ値が12〜15になるように付加したア
ルキレンオキシドの付加モル数である。）で表される非
イオン界面活性剤が用いられる。

【００１９】かかる非イオン界面活性剤（ｉ）のＨＬＢ
値は12〜15であるが、ＨＬＢ値が15より大きくなると、
布への洗浄水の浸透速度が低下し、濡れが悪くなると共
に洗浄力も低下する。またＨＬＢ値が12よりも小さくな
ると洗浄力が低下する。また、風合いについてもＨＬＢ
が12〜15の範囲にある非イオン界面活性剤が最も風合い
が良くなる。なお、本発明において、ＨＬＢ値はグリフ
ィン（Griffin)が提案した算出法（森山登著、”分散と
凝集の化学”、第13頁、産業図書出版、1995年）により
算出した。かかる非イオン界面活性剤においては、アル
キレンオキシドの分布は常法のアルカリ触媒を用いて得
られるものか又は２種の混合で広くした方が好ましい。

【００２０】本発明においては、更に下記の（ii）式で
表わされる低ＨＬＢ値で、ナローレンジのオキシエチレ
ン鎖を持っているエーテル型の非イオン界面活性剤を、
界面活性剤系中に５〜15重量％配合することにより、洗
浄力を保持したままで、ウールなどの獣毛を素材とした
衣料への浸透速度を著しく向上させ、更には、風合いを
向上させることを見出した。 R₄O(CH₂CH₂O)_nR₅ （ii） （式中、R₄は直鎖もしくは分岐鎖の平均炭素数８〜18の
アルキル基もしくはアルケニル基又は総炭素数12〜22の
アルキルフェニル基を示し、R₅は水素又はメチル基であ
る。n は（ii）のＨＬＢ値が７〜10になるように付加し
たエチレンオキシドの付加モル数である。） 一般式（ii）で表される非イオン界面活性剤は、ＨＬＢ
値が７〜10、好ましくは 7.5〜9.5 であり、且つn ＝０
の化合物（未反応アルコール）の含量が４重量％以下、
好ましくは２％以下であることが必要である。また、最
も含量の多い化合物の付加モル数ｎ_max が下記式（Ａ）
を満足するものである。

【００２１】

【数３】

【００２２】好ましくは付加モル数ｎ_max は上記式
（Ａ）で70％以上である。

【００２３】このような非常にオキシエチレン鎖の分布
がシャープな非イオン界面活性剤を配合することによ
り、本洗浄剤組成物の衣類への吸着速度や量が増大し、
ウールなどの衣料への洗浄液の浸透速度、濡れ性が向上
し、更には風合いが向上するものと思われる。

【００２４】本発明では、(b) 成分の界面活性剤系が、
非イオン界面活性剤（ｉ）を95〜75重量％及び非イオン
界面活性剤（ii）を５〜15重量％含有することが必要で
あり、非イオン界面活性剤（ｉ）が75重量％未満では、
洗浄力が低下し、非イオン界面活性剤（ii）が15重量％
を超えるとアクリル製品の風合いを損なうこととなる。
また、非イオン界面活性剤（ｉ）が95重量％を超える
と、特にウール製品に対する洗浄液の浸透速度が遅くな
り、結果として洗浄力が低下し、更には非イオン界面活
性剤（ii）が５重量％以下となることから、ウール製品
の風合いが低下する。

【００２５】(b) 成分に含まれる界面活性剤のうち、非
イオン界面活性剤（ｉ）、（ii）以外の成分としては、
以下のものが挙げられる。

【００２６】本発明組成物の界面活性剤系における非イ
オン界面活性剤（ｉ）、（ii）以外の成分としては、ア
ニオン界面活性剤が用いられる。具体的には、アルキル
ベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩(SAS) 、
オレフィンスルホン酸塩などの-SO₃ ^- 基を親水基とした
アニオン界面活性剤、一級、二級の高級アルコールの硫
酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの
硫酸エステル塩など及び石鹸、ポリオキシエチレンアル
キルエーテルのカルボキシメチル化物の塩などの-OSO₃ ^-
基や-COO^- 基を親水基とした界面活性剤がその代表例で
ある。特に、炭素数８〜18のアルコールにエチレンオキ
サイドを平均１〜６モル付加させたものの硫酸エステル
塩が好ましい。上記のアニオン界面活性剤の対イオンと
しては、Naイオン、K イオン、アンモニウムイオンが適
しているが、Mgイオンもその中に含まれる。

【００２７】また、界面活性剤における非イオン性界面
活性剤（ｉ）、（ii）以外の(b) 成分としては、下記一
般式(iii) R₆(OR₇)_xG_y (iii) （式中、R₆は直鎖又は分岐鎖の炭素数８〜18のアルキル
基、アルケニル基、アルキルフェニル基を示し、R₇は炭
素数２〜４のアルキレン基を示し、G は炭素数５〜６の
還元糖に由来する残基であり、x はその平均値が０〜５
となる数を示し、y はその平均値が1.0〜2.0となる数を
示す。）で表されるアルキルグリコシド及び／又は下記
一般式（iv）

【００２８】

【化５】

【００２９】（式中、R₈は直鎖又は分岐鎖の炭素数８〜
18のアルキル基又はアルケニル基を示し、R₉とR₁₀はメ
チル基又はエチル基を示す。）で表わされるアミンオキ
シドが用いられる。

【００３０】本発明において、(b) 成分の界面活性剤系
の組成物中の配合量は５〜70％、好ましくは10〜40％で
ある。

【００３１】また、本発明において、(a) 成分と(b) 成
分の比率（重量比）は、(a) ：(b)＝１：100 〜１：
５、好ましくは、１：50〜１：10である。(a) 成分に対
する(b) 成分の比率が100 を超えると (a)成分による風
合いや寸法安定性の効果が充分でなくなる。また(a) 成
分に対する(b) 成分の比率が５未満であると、液体洗浄
剤組成物としての保存安定性が低下してしまう。

【００３２】

【発明の実施の形態】本発明の液体洗浄剤組成物は、上
記(a) 成分及び(b) 成分を含有し、更に水を主媒体とし
た液体洗浄剤として適している。水分は30〜90重量％、
好ましくは45〜80重量％である。この範囲内において本
発明の液体洗浄剤組成物は安定な組成である。

【００３３】また、上記(a) 成分、(b) 成分及び水の他
に、任意成分としてこの種の液体洗浄剤組成物に配合で
きるビルダー等の公知の成分を配合することができる。

【００３４】ビルダーは固体粒子汚れを衣料から洗濯浴
中へ分散させる作用とその粒子が衣料へ再付着（再汚
染）するのを防ぐ作用があり、本発明で配合することが
望ましいが、本発明の液体洗浄剤組成物には、ビルダー
として特定分子量のオリゴマーを配合することにより、
洗浄力がさらに向上する。

【００３５】かかるオリゴマーは、平均分子量が 500〜
100000、好ましくは1000〜10000 で一部が塩の形でもよ
いポリカルボン酸型オリゴマー（以下、単にオリゴマー
という）であり、マレイン酸と炭素数１〜８のオレフィ
ン、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メタクリ
ルスルホン酸などの共重合可能なモノマーとの共重合オ
リゴマーの塩、又は／及び、アクリル酸、メタクリル
酸、マレイン酸などの単一オリゴマーの塩である。特
に、下記の（Ｖ）式で表されるオリゴマー又は／及び下
記の（VI）式で表されるオリゴマーが、本発明の洗浄剤
用組成物と併用した場合に、優れた性能を示すことが見
出された。

【００３６】

【化６】

【００３７】（式中、Z は炭素数１〜８のオレフィン、
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メタクリルス
ルホン酸などの（無水）マレイン酸、又はマレイン酸塩
と共重合可能なモノマーと（無水）マレイン酸とのコポ
リマーの塩、m はコポリマーの分子量が数百〜10万を示
すような値である。M はNa、K 、NH₄ 、H である。）

【００３８】

【化７】

【００３９】（式中、P は単独重合可能なモノマーであ
り、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸などがその
例である。l はホモポリマーの分子量が数百〜10万を示
すような値である。ホモポリマーはNa、K 、NH₄ 塩とな
っている。） （Ｖ）式のオリゴマー及び／又は（VI）式のオリゴマー
の配合量は洗剤組成物の界面活性剤(b) 100 重量部に対
し、 0.1〜10重量部、好ましくは 0.1〜５重量部であ
る。これらのオリゴマーの中でポリアクリル酸塩（Na、
K 、NH₄)が特に優れている。オリゴマーの平均分子量は
500〜30000 、特に1000〜10000 が適している。平均分
子量が 30000を越えると液体安定性が低下する。 500未
満であると、十分な効果の向上が見られない。

【００４０】なお、オリゴマーの平均分子量はポリエチ
レングリコールを標準とし、ＧＰＣによりサイズ分別さ
れた溶液を光散乱強度及び屈折率差にて測定することに
より分子量分布を求め、それから重量平均分子量として
計算することによって得られたものである。

【００４１】また、更に任意成分として、従来より洗剤
に配合することが知られている成分を配合することがで
きる。このような任意成分として、ポリアクリル酸、ポ
リエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース等
の再汚染防止剤；ポリビニルピロリドン等の色移り防止
剤；クエン酸、ジグリコール酸、リン酸又はその塩等の
金属捕捉剤；アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属珪酸塩
若しくはアルカノールアミン等のアルカリ剤（その他ｐ
Ｈ調節剤としても使用できる）；プロテアーゼ、セルラ
ーゼ、アミラーゼ、リパーゼ等の酵素；塩化カルシウ
ム、ギ酸、ホウ酸等の酵素安定化剤；エタノール等の低
級アルコール；ベンゼンスルホン酸塩、ｐ−トルエンス
ルホン酸等の低級アルキルベンゼンスルホン酸塩；プロ
ピレングリコール，ポリプロピレングリコール等のグリ
コール類；安息香酸塩、尿素等の可溶化剤；ブチルヒド
ロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸塩等
の酸化防止剤；その他蛍光染料、青味付剤、香料、抗菌
剤が挙げられる。

【００４２】なお、通常に洗濯機を使用して洗浄する時
の本発明の洗浄剤組成物の濃度は、0.067〜0.167 重量
％が好ましく、特に洗濯液中の界面活性剤濃度が0.02〜
0.06重量％になるように添加することが好ましい。ま
た、手洗い及びしばらく浸け置きにした後に通常の洗濯
を行ってもよく、その場合の洗剤濃度は通常洗濯時より
も濃いものでも良く、具体的には通常の洗濯時の 1.5〜
３倍の濃度であってもよい。

【００４３】また、本発明の液体洗浄剤組成物は、ウー
ルなどのアルカリや酸性に弱い衣料を対象としているの
で、ｐＨ６〜８の中性の液体洗浄剤組成物であることが
好ましい。

【００４４】

【実施例】以下実施例にて本発明を説明するが、本発明
はこれらの実施例に限定されるものではない。

【００４５】実施例１ 表１〜２に示す液体洗剤を調製した。なお、液体洗剤の
pHは水酸化ナトリウム、塩酸を用いて、 pH7.0に調整し
た。得られた液体洗剤を用いて下記の評価を行った。そ
の結果を表１〜２に示す。

【００４６】（１）浸透性評価 〔試験片の作成〕ウールジャージニット布を 2.0cm×2.
0cm に切断し、それをウール試験片として用いた。 〔硬水の調製〕浸透性のテスト用の水は全て以下の水を
用いた。塩化カルシウム（２水塩） 105mgを秤取し、蒸
留水に溶かして硬水1000mlとする。この硬水を多量つく
り、以下のテストに供した。

【００４７】〔評価用洗剤溶液の調製〕表１〜２の本発
明品及び比較品の液体洗剤組成物をそれぞれ 1.333ｇ秤
取し、上記の硬水に溶かし、1000mlの溶液を調製した。
これらの評価用洗剤水溶液を直径10.5cm、高さ約14.5cm
の１リットルビーカーに入れて評価した。溶液の温度は
20℃にコントロールした。 〔評価法〕上記のウール試験片を評価用洗剤液表面に水
平に静かに置き、水に接した瞬間から、ウール試験片が
水面から離れて水中に入るまでの時間を測定し、その時
間を浸透時間とした。測定は５回行い、その平均値を採
用した。 （評価基準） ○：浸透時間60秒未満（浸透性が良い） △：浸透時間60秒以上 100秒未満（浸透性がやや悪い） ×：浸透時間 100秒以上（浸透性が悪い）。

【００４８】（２）洗浄力の評価 表１〜２に示す液体洗浄剤用組成物の洗浄力を下記の方
法によって評価した。 〔人工汚染布の作成〕次のＡ〜Ｅの汚垢成分を用いて、
人工汚垢液を調製した。 （汚垢成分）Ａ成分、Ｂ成分、Ｃ成分、Ｄ成分、Ｅ成分
の合計が 100％になるようにＢ成分の量を調節した。な
お、それぞれの％は最終汚垢成分中の割合である。 ・Ａ成分：ラウリン酸0.44％、ミリスチン酸3.15％、ペ
ンタデカン酸2.35％、パルミチン酸6.31％、ヘプタデカ
ン酸0.44％、ステアリン酸1.60％、オレイン酸7.91％、
トリオレイン13.33 ％、パルミチン酸ｎ−ヘキサデシル
2.22％、スクアレン6.66％の混合物 ・Ｂ成分：前記の硬水 ・Ｃ成分：卵白レシチン液晶物1.98％〔蒸留水80mlにア
ルギニン塩酸塩 11.37ｇ、ヒスチジン4.20ｇ、セリン2.
44ｇを溶解し、濃塩酸でpHを 5.0に調整した後、この溶
液と卵白レシチンをミキサーで充分に混ぜ合わせて、卵
白レシチン液晶物を得たもの。〕 ・Ｄ成分：鹿沼赤土8.11％〔鹿沼赤玉土を 105℃で５時
間乾燥し、アトライターで粉砕後、 150メッシュ通過品
を泥として使用した。〕 ・Ｅ成分：カーボンブラック 0.025％ （人工汚垢液の調製）Ａ成分を全て混ぜ合わせ、80℃で
加熱しながら、均一な溶液となるまで混合し、次にＣ成
分を70℃に加熱しながら加え、攪拌溶解し、更にＥ成分
を加え、攪拌して均一に分散させた。更に、70℃に加熱
したＢ成分とＤ成分を加え、ホモミキサー（特殊機化工
業（株）製、型式Ｍ２−2.5)を用いて70℃で充分混合
し、均一になったところで人工汚垢液とした。 （人工汚染布の作成）人工汚垢液の布への付着は特開平
７−270395号に示されているグラビア式汚染機を使用し
た。作成条件はグラビアロールのセル容量58cm³/m²、塗
布速度1.0m／min 、乾燥温度 100℃、乾燥時間１分で行
った。布はウールモスリン布を使用した。

【００４９】〔洗浄条件及び評価方法〕評価用洗剤水溶
液１リットルに５cm×５cmの人工汚染布を５枚入れ、タ
ーゴトメーターにて 50rpmで次の条件で洗浄した。 （洗浄条件） 洗浄時間 10分 洗剤濃度 0.133 重量％ 水の硬度 ４°ＤＨ 水温 20℃ すすぎ 水道水にて５分間 * 洗浄力は汚染前の原布及び洗浄前後の汚染布の 550
nmにおける反射率を分光色差計（日本電色製Model Z-30
0A) にて測定し次式によって洗浄率（％）を求めた。表
１〜２には５枚の測定平均値を示した。

【００５０】

【数４】

【００５１】（３）風合いの評価 処理方法 全自動洗濯機（松下電機産業株式会社製；ＮＡ−Ｆ６０
Ｋ２型）を用いて、市販セーター〔UNITED COLORS OF B
ENETTON 社（イタリア）製、婦人用Ｌサイズ、毛100
％、品番1002D1022 〕１枚を入れ、手洗いコースで洗濯
を行った。洗剤濃度は 0.133重量％とし、水温20℃、硬
度４°ＤＨの水を使用した。洗濯終了後は、平干しによ
り乾燥を行った。以上の処理を５回繰り返した。また、
市販アクリルセーター（アクリル70％、ウール30％、婦
人用Ｍサイズ）、市販ポリエステルブラウス（ポリエス
テル 100％、婦人用フリーサイズ）についても同様であ
り、１枚を１浴に入れ上記に準じて処理した。

【００５２】評価方法 上記方法で処理したセーターを20℃、65％Ｒｈの恒温恒
湿室にて24時間放置した。これらのセーターについて、
肌ざわりについて官能評価を行った。官能評価は市販の
軽質液体洗剤アクロン（登録商標）と比較して下記の判
定基準に従い５名のパネラーの平均点として評価した。 非常に優れている ＋２点 良好 ＋１点 同等 ０点 劣っている −１点 明らかに劣っている −２点。

【００５３】（４）寸法安定性の評価 処理方法 市販セーター（毛 100％） 風合い評価と同様に処理を５回繰り返し行う。 評価方法 洗濯前のセーターを20℃、65％RHで12時間以上調湿した
後、袖丈、肩幅、身幅、総丈、裾幅を測定し、この長さ
を原長とする。処理後、セーターを20℃、65％RHの恒温
恒湿室に24時間放置した。洗濯前に測定した時と同じ区
間（袖丈、肩幅、身幅、総丈、裾幅）を測定する。

【００５４】

【数５】

【００５５】５カ所の収縮率の平均値を求め、その値を
全体の収縮値の代表値とした。

【００５６】（５）保存安定性評価 表１〜２に示す成分を回分法により混合し、ｐＨ7.0 の
液体洗剤を調整した。得られた各液体洗剤について、下
記のような保存安定性の評価を行った。 ＜保存安定性＞試料をスクリュー管（直径４cm、高さ10
cm）に入れ、50℃、40℃、室温、５℃、−５℃でそれぞ
れ保存し、それぞれの保存20日後の固結、分離、沈澱の
有無を肉眼により判定し、以下の評価を行った。 ○：均一透明な液体であった。 ×：不透明な液体、又は固結、分離もしくは沈澱を生じ
た。

【００５７】

【表１】

【００５８】

【表２】

【００５９】（注）比較品１５はＥＳ(14)〔アルキル(C
₁₂) エーテル硫酸エステルNa、エチレンオキサイド平均
付加モル数４〕を10重量％含有し、また比較品16はＬＡ
Ｓ(15)〔アルキル(C₁₂〜C₁₃)) ベンゼンスルホン酸Na〕
を10重量％含有する。なお、比較品15、16における (b)
／(a) 重量比は、(b) 成分にＥＳ(14)又はＬＡＳ(15)を
含めて算出したものである。 * シリコーン(1) は一般式（Ｉ）中の構造が以下の化合
物である。 R ：CH₃ R¹：CH₃ A ：（イ）-(CH₂)₃-NH-CO-CH₂-O-(CH₂CH₂O)₅-C₁₂H₂₅ 及
び、 （ロ）-(CH₂)₃-NH₂ の混合〔（イ）／（ロ）＝７／３
（モル比）〕 B ：-(CH₂)₃-O-(CH₂CH₂O)₁₀-CH₃ l ：300 m ：7 n ：4 * シリコーン(2) は一般式（Ｉ）中の構造が以下の化合
物である。 R ：CH₃ R¹：CH₃ A ：-(CH₂)₃-NH-CO-CH₂-O-(CH₂CH₂O)₅-C₁₂H₂₅ B ：-CH₃ l ：300 m ：7 n ：4 * シリコーン(3) は一般式（Ｉ）中の構造が以下の化合
物である。 R ：CH₃ R¹：CH₃ A ：（イ）-(CH₂)₃-NH-CO-CH₂-O-(CH₂CH₂O)₅-C₁₂H₂₅ 及
び、 （ニ）-(CH₂)₃-NH-CO-CH₂-O-(CH₂CH₂O)₅-C₁₄H
₂₉ 〔（イ）／（ニ）＝７／３（モル比）〕 B ：-(CH₂)₃-O-(CH₂CH₂O)₁₀-CH₃ l ：200 m ：14 n ：8

【００６０】

【数６】

【００６１】* ＰＡ(11)：ポリアクリル酸Na塩（Mw3,00
0 ） * ＰＭ(12)：ペンテン／マレイン酸(50／50モル比)コポ
リマーのNa塩(Mw7,000) * ＤＭ(13)：ジイソブチレン／マレイン酸（50／50モル
比) コポリマーのNa塩（Mw7,000)

【００６２】

【数７】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｃ１１Ｄ 1:722 3:37 3:20）

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 (a) 下記一般式（Ｉ）で表されるアミノ
   変性シリコーン誘導体0.05〜５重量％並びに(b) 下記非
   イオン界面活性剤（ｉ）を95〜75重量％、下記非イオン
   界面活性剤（ii）を５〜15重量％含有する界面活性剤５
   〜70重量％を含有し、且つ(a) ：(b) の重量比が(a) ：
   (b) ＝１：100 〜１：５であることを特徴とする液体洗
   浄剤組成物。 【化１】 （式中、 l ； 100〜600 であり、m ，n は l：m ＝100 ：１〜1
   0：１、且つ m：n ＝１：10〜10：１となる数である。 R ；炭素数１〜４のアルキル基、ヒドロキシ基又はアル
   コキシ基 R¹；炭素数１〜４のアルキル基であり、それぞれ異なっ
   ていてもよい。 A ；下記（イ）で表される基又は（イ）及び（ロ）で表
   される基であり、後者の場合、A 中の（ロ）の割合は50
   モル％以下である。 【化２】 a ；２〜６ R²；水素原子又は炭素数１〜４のアルキル基 p ；１〜６ q ；１〜20 r ；０〜20 R³；炭素数１〜18のアルキル基 B ；-(CH₂)_a-O-(C₂H₄O)_x-(C₃H₆O)_y-R⁴ 又はR¹ R⁴；炭素数１〜10のアルキル基 x ；１〜20 y ；０〜20 を示す。） ＜非イオン界面活性剤（ｉ）＞下記一般式（ｉ）で表さ
   れる非イオン界面活性剤 R₁O(R₂O)_nR₃ （ｉ） （式中、R₁は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数８〜18のアル
   キル基もしくはアルケニル基、又は総炭素数12〜22のア
   ルキルフェニル基を示し、R₂は炭素数２〜４のアルキレ
   ン基を示し、R₃は水素、メチル基又はエチル基である。
   n は（ｉ）のＨＬＢ値が12〜15になるように付加したア
   ルキレンオキシドの付加モル数である。） ＜非イオン界面活性剤（ii）＞下記一般式（ii）で表さ
   れ、ＨＬＢ値が７〜10であり、且つn ＝０の化合物の含
   量が４重量％以下で、最も含量の多い化合物の付加モル
   ｎ_max が下記式（Ａ）を満足する非イオン界面活性剤 R₄O(CH₂CH₂O)_nR₅ （ii） （式中、R₄は直鎖もしくは分岐鎖の平均炭素数８〜18の
   アルキル基もしくはアルケニル基又は総炭素数12〜22の
   アルキルフェニル基を示し、R₅は水素又はメチル基であ
   る。n は（ii）のＨＬＢ値が７〜10になるように付加し
   たエチレンオキシドの付加モル数である。） 【数１】
2. 【請求項２】 前記界面活性剤(b) 100 重量部に対し、
   平均分子量が 500〜100000で一部が塩の形でもよいポリ
   カルボン酸型オリゴマーを 0.1〜10重量部配合してなる
   請求項１記載の液体洗浄剤組成物。
3. 【請求項３】 水を主媒体として含有し、pHが６〜８で
   ある請求項１又は２記載の液体洗浄剤組成物。