JPH1059818A - 有機色素−親水性樹脂複合体 - Google Patents

有機色素−親水性樹脂複合体

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JPH1059818A
JPH1059818A JP23842596A JP23842596A JPH1059818A JP H1059818 A JPH1059818 A JP H1059818A JP 23842596 A JP23842596 A JP 23842596A JP 23842596 A JP23842596 A JP 23842596A JP H1059818 A JPH1059818 A JP H1059818A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 電解質の存在下でも色浮きや凝集を起こさな
い粉体を提供する。 【課題の解決手段】 有機色素を親水性樹脂エマルジョ
ンとモノマーとを反応させながら被覆してなる複合体を
提供する。この複合体は優れた分散性を有し、電解質の
影響も受けにくい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、化粧料などの原料
として好適な、溶媒、取り分け、水への分散性の良い、
有機色素−親水性樹脂複合体に関する。
【0002】
【従来の技術】化粧料に於いて、有機色素類は、例えば
ネイルエナメルの様に溶媒中に分散して使用されること
が多い。有機色素類の内、有機顔料は表面が疎水性であ
る為、水などの溶媒系では分離することが多く、非水溶
媒系で使用されるのが常であった。又、水溶性色素を不
溶性塩とした、レーキ化有機色素は有機顔料ほどでは無
いがやはり、表面における疎水性の要素があるため、水
系溶媒では分離することが少なくなかった。又、ファン
デーション等の乳化系では、親水性溶媒と親油性溶媒の
一様分散系である為、これら有機色素の位置する部分は
極めて環境に左右されやすく、有機色素の極在化に起因
する色ムラが出ることが少なくなかった。この様な状況
のため、例えば、ネイルエナメルやリップカラーの様に
有機色素独特の華やかな色が必要な場合には、オイルゲ
ル系や非水溶媒系などの形態で使用せざるを得ず、又、
ファンデーション等の系では無機顔料のみで色出しをせ
ざるを得なかった。
【0003】その一方、ネイルエナメルに於いては、溶
媒と有機溶媒に可溶な被膜形成剤に起因する、爪の黄変
や損傷が問題にされるようになり、水系のネールエナメ
ルの開発が試みられるようになったが、有機色素の分散
性の向上が大きな課題となっている。
【0004】又、ファンデーション等の乳化系或いは水
系溶媒分散系に於いても、化粧仕上がりの観点から、有
機色素の持つ演色性が求められており、有機色素の分散
性の向上が大きな課題となっていた。即ち、有機色素を
均一に安定性良く水系溶媒或いは乳化系に分散する技術
が求められていた。
【0005】他方、有機色素と親水性樹脂エマルジョン
とを混合し、これにアクリル酸、メタアクリル酸及びそ
れらのアルキルエステルから選ばれる1種乃至は2種以
上を加え、重合開始剤を更に加えて重合させ、中和する
ことを特徴とする有機色素−親水性樹脂複合体の製造方
法は知られていなかったし、有機色素を親水性樹脂エマ
ルジョンとアクリル酸、メタアクリル酸及びそれらのア
ルキルエステルから選ばれる1種乃至は2種以上で重合
処理してなる、有機色素−親水性樹脂複合体が、優れた
水系溶媒分散性を有することは全く知られていなかっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこの様な状況
を踏まえて為されたものであり、有機色素を均一に安定
性良く水系溶媒或いは乳化系に分散する技術及び水系溶
媒に分散性の良い有機色素組成物を提供することを課題
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、この様な
状況に鑑みて、有機色素を均一に安定性良く水系溶媒或
いは乳化系に分散する技術を求めて鋭意研究を重ねた結
果、有機色素と親水性樹脂エマルジョンとを混合し、こ
れにアクリル酸、メタアクリル酸及びそれらのアルキル
エステルから選ばれる1種乃至は2種以上を加え、重合
開始剤を更に加えて重合させ、中和することにより、水
系溶媒に分散性の良い、有機色素−親水性樹脂複合体を
提供できることを見いだし、発明を完成させるに至っ
た。以下、本発明について、発明の実施の形態を中心に
詳細に説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】
(1)本発明で用いる親水性樹脂エマルジョン 本発明で持ちいる親水性樹脂エマルジョンとしては、親
水性基を有し水に一様に分散又は可溶化するものであれ
ば特段の限定無く用いることが出来、この様な樹脂エマ
ルジョンとしては、ビニルアルコール、アクリル酸、メ
タアクリル酸等を構成モノマーに有する、重合体又は共
重合体が例示できる。この様な親水性樹脂エマルジョン
を例示すれば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル
酸、ポリメタアクリル酸、アクリル酸−ビニルアルコー
ルコポリマー、メタアクリル酸−ビニルアルコールコポ
リマー、アクリル酸−メタアクリル酸コポリマー及び/
又はこれらのエステルが挙げられる。これらはただ一種
を用いても、二種以上を組み合わせて用いても良い。更
にこれ以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、ス
チレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、アクリロニ
トリルをコポリマーの成分として含有することが出来
る。コポリマーに於いて、ビニルアルコール、アクリル
酸、メタアクリル酸の構成割合は5重量%以上が好まし
く、より好ましくは10重量%以上であり、更に好まし
くは15重量%以上である。以下に、樹脂エマルジョン
の作成例を示す。
【0009】<参考例> 親水性樹脂エマルジョンの作成 攪拌機、還流冷却機、滴下ロート、温度計、窒素導入管
を装着した反応器にイソプロピルアルコール50重量部
を秤込み、窒素ガスを吹き込み溶存酸素を除去した。滴
下ロートより、イソプロピルアルコール30重量部、ス
チレン15重量部、α−メチルスチレン57重量部、ア
クリル酸28重量部及びアゾビスイソブチロニトリル
0.2重量部を、攪拌下80℃まで昇温した反応器に滴
下した。モノマー滴下終了後2時間80℃で攪拌し、ア
ゾビスイソブチロニトリル0.2重量部をイソプロピル
アルコール10重量部に溶解させた液を滴下した。3時
間80℃で攪拌を続けた後、アゾビスイソブチロニトリ
ル0.1重量部をイソプロピルアルコール10重量部で
溶解させた液を滴下し、更に5時間80℃で攪拌を続け
た。反応終了後、反応液を室温に戻し、95%アンモニ
ア水を加えて中和し、水300重量部を加え、減圧濃縮
し固形分30%の親水性樹脂エマルジョン1を得た。
【0010】<参考例> 親水性樹脂エマルジョンの作成 攪拌機、還流冷却機、滴下ロート、温度計、窒素導入管
を装着した反応器にイソプロピルアルコール50重量部
を秤込み、窒素ガスを吹き込み溶存酸素を除去した。滴
下ロートより、イソプロピルアルコール30重量部、ビ
ニルアルコール15重量部、ビニルアルコールイソブチ
ルエーテル57重量部、アクリル酸28重量部及びアゾ
ビスイソブチロニトリル0.2重量部を、攪拌下80℃
まで昇温した反応器に滴下した。モノマー滴下終了後2
時間80℃で攪拌し、アゾビスイソブチロニトリル0.
2重量部をイソプロピルアルコール10重量部に溶解さ
せた液を滴下した。3時間80℃で攪拌を続けた後、ア
ゾビスイソブチロニトリル0.1重量部をイソプロピル
アルコール10重量部で溶解させた液を滴下し、更に5
時間80℃で攪拌を続けた。反応終了後、反応液を室温
に戻し、95%アンモニア水を加えて中和し、水300
重量部を加え、減圧濃縮し固形分30%の親水性樹脂エ
マルジョン2を得た。
【0011】(2)本発明で用いる有機色素 本発明で用いることの出来る有機色素は、一般的に用い
られているものであって、水に不溶性乃至は難溶性であ
れば特段の限定を受けずに用いることが出来る。これら
の色素で取り分け好ましいものは、法定色素であり、そ
の中でも赤色226号、赤色201号、赤色106号の
レーキ化物、黄色404号のレーキ化物、黄色4号のレ
ーキ化物が好ましい。レーキ化物としては、アルミニウ
ムレーキが好ましい。これらは何れも市販されている。
【0012】(3)本発明の有機色素−親水性樹脂複合
体 本発明の有機色素−親水性樹脂複合体は、有機色素と親
水性樹脂エマルジョンとを混合し、これにアクリル酸、
メタアクリル酸及びそれらのアルキルエステルから選ば
れる1種乃至は2種以上を加え、重合開始剤を更に加え
て重合させ、中和することにより得ることが出来る。こ
こで、重合開始剤は、一般的に乳化重合で用いられるも
のであれば特段の限定無く用いることが出来、この様な
重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過酸化ベン
ゾイル、過硫酸カリウム等が例示できる。又、有機色素
と親水性樹脂エマルジョンの好ましい割合は、1:10
00〜1:10であり、より好ましくは1:500〜
1:20であり、更に好ましくは1:250〜1:30
である。これらを上記の如く反応性モノマーを反応させ
ながら水性溶媒中コーティングするのが最も好ましい本
発明の有機色素−樹脂複合体の製造方法である。水性溶
媒の量としては、粘度が出てコーティングが阻害されな
い量であれば良く、例えば、親水性樹脂エマルジョンに
対して1〜10倍量が好ましい。この量は親水性樹脂エ
マルジョンの種類により異なるので、試行錯誤で決定す
るのが望ましい。かくして得られた有機色素−親水性樹
脂複合体は水性溶媒に対して分散性が優れる上、通常の
乳化重合体や有機色素と異なり界面活性剤を用いずに水
性溶媒に分散させることが可能である。従って、この有
機色素−親水性樹脂複合体は、水性ネイルエナメル、フ
ァンデーション、マスカラ、アイライナー、水性リップ
カラー等に好適に使用できる。
【0013】
【実施例】以下に実施例を示して、本発明について詳細
に説明するが、本発明がこれら実施例にのみ限定を受け
ないことは言うまでもない。
【0014】<実施例1>赤色226号0.1gと上記
参考例の親水性樹脂エマルジョン1を50gとを遊星ボ
ールミルで200r.p.m.4時間処理し、水30重
量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル2重量
部加え、窒素置換し、攪拌しながら2−エチルヘキシル
アクリレートを50重量部滴下し、75℃に昇温し、過
硫酸アンモニウム0.5重量部を水10重量部に溶かし
て滴下し、70〜75℃で2時間攪拌を続けた。過硫酸
アンモニウム0.2重量部を水10重量部に溶かして加
え、2時間攪拌し反応を止めて中和し、有機色素−樹脂
エマルジョン複合体組成物1を得た。このものは40℃
で1週間放置しても色浮きも沈降もしなかった。対照と
して、同じ赤色226号0.5重量部を水50重量部と
親水性樹脂エマルジョン1を30重量部とジエチレング
リコールモノブチルエーテル2重量部とを遊星ボールミ
ルで処理したものは、40℃で1週間放置すると、色浮
きが著しかった。これより本発明の有機色素−樹脂エマ
ルジョン複合体は分散性に優れることが判る。
【0015】<実施例2>赤色226号0.1gと上記
参考例の親水性樹脂エマルジョン2を50gとを遊星ボ
ールミルで200r.p.m.4時間処理し、水30重
量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル2重量
部加え、窒素置換し、攪拌しながら2−エチルヘキシル
アクリレートを50重量部滴下し、75℃に昇温し、過
硫酸アンモニウム0.5重量部を水10重量部に溶かし
て滴下し、70〜75℃で2時間攪拌を続けた。過硫酸
アンモニウム0.2重量部を水10重量部に溶かして加
え、2時間攪拌し反応を止めて中和し、有機色素−樹脂
エマルジョン複合体組成物2を得た。このものは40℃
で1週間放置しても色浮きも沈降もしなかった。対照と
して、同じ赤色226号0.5重量部を水50重量部と
親水性樹脂エマルジョン2を30重量部とジエチレング
リコールモノブチルエーテル2重量部とを遊星ボールミ
ルで処理したものは、40℃で1週間放置すると、色浮
きが著しかった。これより本発明の有機色素−樹脂エマ
ルジョン複合体は分散性に優れることが判る。
【0016】<実施例3>実施例1と同様に赤色201
号を処理し、有機色素−親水性樹脂複合体組成物3を得
た。このものは40℃で1週間放置しても色浮きも沈降
もしなかった。対照として、同じ赤色201号0.5重
量部を水50重量部と親水性樹脂エマルジョン1を30
重量部とジエチレングリコールモノブチルエーテル2重
量部とを遊星ボールミルで処理したものは、40℃で1
週間放置すると、色浮きが著しかった。これより本発明
の有機色素−樹脂エマルジョン複合体は分散性に優れる
ことが判る。
【0017】<実施例4>実施例1と同様に赤色106
号アルミニウムレーキを処理し、有機色素−親水性樹脂
複合体組成物4を得た。このものは40℃で1週間放置
しても色浮きも沈降もしなかった。対照として、同じ赤
色106号アルミニウムレーキ0.5重量部を水50重
量部と親水性樹脂エマルジョン1を30重量部とジエチ
レングリコールモノブチルエーテル2重量部とを遊星ボ
ールミルで処理したものは、40℃で1週間放置する
と、色浮きが著しかった。これより本発明の有機色素−
樹脂エマルジョン複合体は分散性に優れることが判る。
【0018】<実施例5>実施例1と同様に黄色404
号アルミニウムレーキを処理し、有機色素−親水性樹脂
複合体組成物5を得た。このものは40℃で1週間放置
しても色浮きも沈降もしなかった。対照として、同じ黄
色404号アルミニウムレーキ0.5重量部を水50重
量部と親水性樹脂エマルジョン1を30重量部とジエチ
レングリコールモノブチルエーテル2重量部とを遊星ボ
ールミルで処理したものは、40℃で1週間放置する
と、色浮きが著しかった。これより本発明の有機色素−
樹脂エマルジョン複合体は分散性に優れることが判る。
【0019】<実施例6>実施例1と同様に黄色4号ア
ルミニウムレーキを処理し、有機色素−親水性樹脂複合
体組成物6を得た。このものは40℃で1週間放置して
も色浮きも沈降もしなかった。対照として、同じ黄色4
号アルミニウムレーキ0.5重量部を水50重量部と親
水性樹脂エマルジョン1を30重量部とジエチレングリ
コールモノブチルエーテル2重量部とを遊星ボールミル
で処理したものは、40℃で1週間放置すると、色浮き
が著しかった。これより本発明の有機色素−樹脂エマル
ジョン複合体は分散性に優れることが判る。
【0020】<実施例7>実施例1〜6の有機色素−親
水性樹脂複合体1〜6にそれぞれ塩化ナトリウム1%を
加え、1ヶ月40℃に放置したが何れも分離を見なかっ
た。電解質を含む溶媒中でも本発明の有機色素−親水性
樹脂複合体は優れた分散性を示すことがわかる。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、有機色素を均一に安定
性良く水系溶媒或いは乳化系に分散する技術及び水系溶
媒に分散性の良い有機色素組成物を提供することができ
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機色素を親水性樹脂エマルジョンとア
    クリル酸、メタアクリル酸及びそれらのアルキルエステ
    ルから選ばれる1種乃至は2種以上で重合処理してな
    る、有機色素−親水性樹脂複合体。
  2. 【請求項2】 親水性樹脂エマルジョンの樹脂の構成モ
    ノマーが、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エ
    ステル、メタアクリル酸エステル、ビニルアルコール、
    ビニルアルコールアルキルエーテル、ビニルアルコール
    カルボン酸エステル、スチレン、α−メチルスチレンか
    ら選ばれる1種乃至は2種以上である、請求項1記載の
    有機色素−親水性樹脂複合体。
  3. 【請求項3】 有機色素が、赤色226号、赤色201
    号、赤色106号のレーキ化物、黄色404号のレーキ
    化物、黄色4号のレーキ化物から選ばれる、一種乃至は
    2種以上である、請求項1又は2に記載の有機顔料−親
    水性樹脂複合体。
  4. 【請求項4】 有機色素と親水性樹脂エマルジョンとを
    混合し、これにアクリル酸、メタアクリル酸及びそれら
    のアルキルエステルから選ばれる1種乃至は2種以上を
    加え、重合開始剤を更に加えて重合させ、中和すること
    を特徴とする、請求項1〜3何れか一項に記載の有機顔
    料−親水性樹脂複合体の製造法。
  5. 【請求項5】 有機色素と親水性樹脂エマルジョンとを
    混合し、これにアクリル酸、メタアクリル酸及びそれら
    のアルキルエステルから選ばれる1種乃至は2種以上を
    加え、重合開始剤を更に加えて重合させ、中和し得られ
    る、有機色素−親水性樹脂複合体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007186569A (ja) * 2006-01-12 2007-07-26 Dainippon Ink & Chem Inc 水性顔料分散体、水性インク及び水性顔料分散体の製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007186569A (ja) * 2006-01-12 2007-07-26 Dainippon Ink & Chem Inc 水性顔料分散体、水性インク及び水性顔料分散体の製造方法

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