JPH1059573A - 媒体搬送装置 - Google Patents
媒体搬送装置Info
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- JPH1059573A JPH1059573A JP21451096A JP21451096A JPH1059573A JP H1059573 A JPH1059573 A JP H1059573A JP 21451096 A JP21451096 A JP 21451096A JP 21451096 A JP21451096 A JP 21451096A JP H1059573 A JPH1059573 A JP H1059573A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 静電気力を利用した媒体搬送装置において、
スキューの発生を防止する。 【解決手段】 無端ベルト状に形成した移動子ベルト2
2を設け、この移動子ベルト22の内周面側に、無端ベ
ルト状に形成した固定子ベルト21を密着するように配
置する。
スキューの発生を防止する。 【解決手段】 無端ベルト状に形成した移動子ベルト2
2を設け、この移動子ベルト22の内周面側に、無端ベ
ルト状に形成した固定子ベルト21を密着するように配
置する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、プリン
タ、ファクシミリ、現金自動入出金装置等に組み込ま
れ、用紙や紙幣等の紙葉類や、キャッシュカードやプリ
ペイドカード等のカード類といった媒体を搬送する媒体
搬送装置に関するものである。
タ、ファクシミリ、現金自動入出金装置等に組み込ま
れ、用紙や紙幣等の紙葉類や、キャッシュカードやプリ
ペイドカード等のカード類といった媒体を搬送する媒体
搬送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、複写機、プリンタ、ファクシミ
リ、現金自動入出金装置等では、特開平5−27068
1号公報に開示されるように、回転型電磁モータ駆動の
ゴムローラを紙葉類等の媒体に圧接する搬送装置が使用
されていた。しかし、このような搬送装置では、モータ
自体の発熱や大消費電力が問題となり、電磁モータとゴ
ムローラを使用する構成上、小型化にも限界がある。ま
た、媒体の搬送に用いる力としてゴムローラと搬送媒体
間の摩擦力を利用しているため、ゴムの磨耗、紙粉の付
着等により、安定した搬送力を得るためにはゴムローラ
自体やゴムローラと媒体の圧接力を定期的に検査および
補修する必要があった。
リ、現金自動入出金装置等では、特開平5−27068
1号公報に開示されるように、回転型電磁モータ駆動の
ゴムローラを紙葉類等の媒体に圧接する搬送装置が使用
されていた。しかし、このような搬送装置では、モータ
自体の発熱や大消費電力が問題となり、電磁モータとゴ
ムローラを使用する構成上、小型化にも限界がある。ま
た、媒体の搬送に用いる力としてゴムローラと搬送媒体
間の摩擦力を利用しているため、ゴムの磨耗、紙粉の付
着等により、安定した搬送力を得るためにはゴムローラ
自体やゴムローラと媒体の圧接力を定期的に検査および
補修する必要があった。
【0003】これら問題を解決するため、特開平5−3
19602号公報や特開平6−56290号公報に開示
される静電気力を利用する搬送装置がある。このような
搬送装置は、帯状電極を有する固定子と、抵抗層を有す
る移動子から構成される。特開平5−319602号公
報では、移動子として搬送する紙を直接使用し、特開平
6−56290号公報では、高い抵抗値を有する移動子
の上に紙等の搬送物を載せる装置である。両者とも、固
定子の電極は3系統(3相)に分割されており、それが
等間隔で順に並んでいる。動作原理の概要は、特開平2
−285978号公報や、上述した特開平5−3196
02号公報および特開平6−56290号公報に開示さ
れているように、搬送直前に固定子電極の各相に特殊な
電圧の組み合わせを印加することにより、移動子の抵抗
層内に存在する正負の電荷を静電分極させる。以降、こ
の動作を初期分極行程と呼ぶ。移動子内で静電分極が十
分進んだところで、搬送用の電圧パターンの組み合わせ
を切り換えながら固定子電極の各相に印加すると、電荷
の反発と吸引によって移動子は搬送される。
19602号公報や特開平6−56290号公報に開示
される静電気力を利用する搬送装置がある。このような
搬送装置は、帯状電極を有する固定子と、抵抗層を有す
る移動子から構成される。特開平5−319602号公
報では、移動子として搬送する紙を直接使用し、特開平
6−56290号公報では、高い抵抗値を有する移動子
の上に紙等の搬送物を載せる装置である。両者とも、固
定子の電極は3系統(3相)に分割されており、それが
等間隔で順に並んでいる。動作原理の概要は、特開平2
−285978号公報や、上述した特開平5−3196
02号公報および特開平6−56290号公報に開示さ
れているように、搬送直前に固定子電極の各相に特殊な
電圧の組み合わせを印加することにより、移動子の抵抗
層内に存在する正負の電荷を静電分極させる。以降、こ
の動作を初期分極行程と呼ぶ。移動子内で静電分極が十
分進んだところで、搬送用の電圧パターンの組み合わせ
を切り換えながら固定子電極の各相に印加すると、電荷
の反発と吸引によって移動子は搬送される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】静電気力を利用した搬
送装置では、媒体や移動子が搬送開始位置に到達してか
ら搬送開始するまでに、初期分極行程が必要であるが、
初期分極行程において帯状電極に印加する電圧パターン
と、搬送時に帯状電極に印加する電圧パターンとは異な
るので、初期分極行程が終了するまでは搬送動作ができ
ない。また、この初期分極行程を不十分な短時間で終了
させると、媒体内で十分な分極状態にならず、分極した
電荷量も少ないため、結果的に搬送力を弱める。搬送力
が弱くなると、固定子との摩擦等の外乱要素により、ス
キューの発生やそれによる搬送停止等の重大な問題が発
生する。よって、初期分極時間を短縮することはできな
い。
送装置では、媒体や移動子が搬送開始位置に到達してか
ら搬送開始するまでに、初期分極行程が必要であるが、
初期分極行程において帯状電極に印加する電圧パターン
と、搬送時に帯状電極に印加する電圧パターンとは異な
るので、初期分極行程が終了するまでは搬送動作ができ
ない。また、この初期分極行程を不十分な短時間で終了
させると、媒体内で十分な分極状態にならず、分極した
電荷量も少ないため、結果的に搬送力を弱める。搬送力
が弱くなると、固定子との摩擦等の外乱要素により、ス
キューの発生やそれによる搬送停止等の重大な問題が発
生する。よって、初期分極時間を短縮することはできな
い。
【0005】静電気力を利用した搬送装置において、搬
送中に媒体や移動子にスキューが発生すると、その場で
媒体や移動子が停止してしまうことがあった。搬送停止
状態を復帰するためには、その場で初期分極行程を行
い、停止位置から再度搬送開始する必要がある。しか
し、この場合、以下に示すような問題がある。すなわ
ち、スキューによって搬送停止する度に初期分極行程を
行わなければならないが、上述したように、初期分極行
程には時間がかかり、その行程中は搬送動作ができない
ので、搬送時間が非常に長くなるという問題がある。
送中に媒体や移動子にスキューが発生すると、その場で
媒体や移動子が停止してしまうことがあった。搬送停止
状態を復帰するためには、その場で初期分極行程を行
い、停止位置から再度搬送開始する必要がある。しか
し、この場合、以下に示すような問題がある。すなわ
ち、スキューによって搬送停止する度に初期分極行程を
行わなければならないが、上述したように、初期分極行
程には時間がかかり、その行程中は搬送動作ができない
ので、搬送時間が非常に長くなるという問題がある。
【0006】また、スキューした状態で初期分極行程を
行うと、そのスキュー状態を維持して搬送されるため、
紙幣の真偽判別部やカードの磁気情報読み取り部等、誤
判定の要因にスキューが関与する部分では、新たにスキ
ュー補正機構が必要となるという問題がある。さらに、
スキュー補正機構を付加しない場合は、真偽判別部や磁
気情報読み取り部にスキュー対策を施さなければならな
いという問題がある。
行うと、そのスキュー状態を維持して搬送されるため、
紙幣の真偽判別部やカードの磁気情報読み取り部等、誤
判定の要因にスキューが関与する部分では、新たにスキ
ュー補正機構が必要となるという問題がある。さらに、
スキュー補正機構を付加しない場合は、真偽判別部や磁
気情報読み取り部にスキュー対策を施さなければならな
いという問題がある。
【0007】このように、スキュー発生による搬送停止
は搬送の遅延をまねき、スキューによる搬送停止後、再
度搬送を開始できるようにするためには、スキュー補正
機構の追加や判別機能の強化等が必要で、コスト上昇を
招いてしまう。よって、静電気力を利用した媒体搬送装
置において、スキューの発生を防ぐことは、重大な課題
である。
は搬送の遅延をまねき、スキューによる搬送停止後、再
度搬送を開始できるようにするためには、スキュー補正
機構の追加や判別機能の強化等が必要で、コスト上昇を
招いてしまう。よって、静電気力を利用した媒体搬送装
置において、スキューの発生を防ぐことは、重大な課題
である。
【0008】
【課題を解決するために手段】上述した課題を解決する
ため、本発明は、絶縁体の基材に複数の帯状電極を平行
に並べて配列してなる固定子の搬送面上に、所定の抵抗
値を持った移動子を乗せ、この移動子の上の媒体を乗せ
て、前記帯状電極への印加電圧極性を決められたパター
ンで切り換えることにより、前記固定子と移動子との間
に発生する静電気力を利用して、帯状電極と直角をなす
方向に媒体を乗せた移動子を搬送する媒体搬送装置にお
いて、前記移動子は、無端ベルト状の移動子ベルトとし
て形成し、前記固定子は、帯状電極が前記移動子ベルト
の内周面全面にわたり所定の間隔で配置される形状とし
たことを特徴とする。
ため、本発明は、絶縁体の基材に複数の帯状電極を平行
に並べて配列してなる固定子の搬送面上に、所定の抵抗
値を持った移動子を乗せ、この移動子の上の媒体を乗せ
て、前記帯状電極への印加電圧極性を決められたパター
ンで切り換えることにより、前記固定子と移動子との間
に発生する静電気力を利用して、帯状電極と直角をなす
方向に媒体を乗せた移動子を搬送する媒体搬送装置にお
いて、前記移動子は、無端ベルト状の移動子ベルトとし
て形成し、前記固定子は、帯状電極が前記移動子ベルト
の内周面全面にわたり所定の間隔で配置される形状とし
たことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は本発明の媒体搬送装置の第
1の実施の形態を示す構成図、図2は図1で説明した第
1の実施の形態の媒体搬送装置の要部斜視図である。こ
の第1の実施の形態の媒体搬送装置は、板状の固定子1
と移動子2からなり、移動子2の上に媒体3を乗せて、
固定子1から移動子2に作用する搬送力によって、移動
子2と媒体3とを一緒に搬送する。
1の実施の形態を示す構成図、図2は図1で説明した第
1の実施の形態の媒体搬送装置の要部斜視図である。こ
の第1の実施の形態の媒体搬送装置は、板状の固定子1
と移動子2からなり、移動子2の上に媒体3を乗せて、
固定子1から移動子2に作用する搬送力によって、移動
子2と媒体3とを一緒に搬送する。
【0010】固定子1は、基材11上に複数の帯状電極
12を所定の間隔で平行に配置し、その上に絶縁コート
層13を配したものである。前記移動子2は、この帯状
電極12と直角をなす搬送方向に平行な方向の長さを縦
幅、帯状電極12と平行な方向の長さを横幅とすると、
縦幅を横幅で除した値(アスペクト比)を1以上とし
て、縦幅を横幅より長くしてある。以後、移動子2にお
いて、固定子1と接触する面を搬送面、その対面を非搬
送面と呼ぶ。
12を所定の間隔で平行に配置し、その上に絶縁コート
層13を配したものである。前記移動子2は、この帯状
電極12と直角をなす搬送方向に平行な方向の長さを縦
幅、帯状電極12と平行な方向の長さを横幅とすると、
縦幅を横幅で除した値(アスペクト比)を1以上とし
て、縦幅を横幅より長くしてある。以後、移動子2にお
いて、固定子1と接触する面を搬送面、その対面を非搬
送面と呼ぶ。
【0011】基材11は絶縁体であり、基板状、フィル
ム状等、形状や厚み等は自由に設計できる。本実施の形
態では、樹脂材料を使用することとする。帯状電極12
は、銅や金等の導電性材料ならばいずれも使用でき、基
材11上に印刷やエッチング等の公知の技術によって形
成することができる。また、絶縁耐圧向上と搬送面の平
滑化、および低摩擦化等を目的として、帯状電極12を
覆うように、基材11上を絶縁コーティングを行ってコ
ート層13を設けてある。なお、このコート層13は設
けなくてもよい。
ム状等、形状や厚み等は自由に設計できる。本実施の形
態では、樹脂材料を使用することとする。帯状電極12
は、銅や金等の導電性材料ならばいずれも使用でき、基
材11上に印刷やエッチング等の公知の技術によって形
成することができる。また、絶縁耐圧向上と搬送面の平
滑化、および低摩擦化等を目的として、帯状電極12を
覆うように、基材11上を絶縁コーティングを行ってコ
ート層13を設けてある。なお、このコート層13は設
けなくてもよい。
【0012】帯状電極12の幅や間隔は自由に設定でき
る。また、帯状電極12は3相に分離接続されており、
それぞれA相、B相、C相と呼び、A相に接続される帯
状電極は12A、B相に接続される帯状電極は12B、
C相に接続される帯状電極は12Cとして表示する。移
動子2は薄板状で、抵抗値が1012〜1015〔Ω/□〕
に調整してある。この調整方法は公知であり、例えば、
特開平6−56290号公報に開示されている技術等が
利用できる。
る。また、帯状電極12は3相に分離接続されており、
それぞれA相、B相、C相と呼び、A相に接続される帯
状電極は12A、B相に接続される帯状電極は12B、
C相に接続される帯状電極は12Cとして表示する。移
動子2は薄板状で、抵抗値が1012〜1015〔Ω/□〕
に調整してある。この調整方法は公知であり、例えば、
特開平6−56290号公報に開示されている技術等が
利用できる。
【0013】電源5は、帯状電極12に印加する電圧の
電圧源であり、正電圧と負電圧を駆動回路6に供給す
る。駆動回路6は、帯状電極12のA相、B相、C相の
各相に、それぞれ正電圧、負電圧、0〔V〕(接地電
位)を自由に切り換えて印加できるようになっており、
制御回路7からの制御信号によって、各相に印加する電
圧極性を変化させる。また、制御回路7からの信号によ
って、印加する電圧値を変更することもできる。
電圧源であり、正電圧と負電圧を駆動回路6に供給す
る。駆動回路6は、帯状電極12のA相、B相、C相の
各相に、それぞれ正電圧、負電圧、0〔V〕(接地電
位)を自由に切り換えて印加できるようになっており、
制御回路7からの制御信号によって、各相に印加する電
圧極性を変化させる。また、制御回路7からの信号によ
って、印加する電圧値を変更することもできる。
【0014】ここでは、各相に印加する電圧極性を、
〔A相極性,B相極性,C相極性〕として表すことにす
る。例えば、A相に正極性、B相に負極性、C相に負極
性の電圧を印加する場合は、〔P,N,N〕という表示
になる。なお、正極性はP,負極性はN,接地電位はG
と表す。以下に、動作を説明する。
〔A相極性,B相極性,C相極性〕として表すことにす
る。例えば、A相に正極性、B相に負極性、C相に負極
性の電圧を印加する場合は、〔P,N,N〕という表示
になる。なお、正極性はP,負極性はN,接地電位はG
と表す。以下に、動作を説明する。
【0015】移動子2内の電荷をあらかじめ決まったパ
ターンに分極させ、その分極電荷の極性と、帯状電極1
2に印加する電圧の極性との反発、吸引作用を利用す
る。ここでは、搬送する移動子2内の電荷を分極させる
行程を初期分極行程と呼ぶことにする。初期分極行程で
は、帯状電極12に印加する電圧極性によって、移動子
2内に様々な分極パターンを形成することができる。こ
の分極パターンに合わせて、搬送中に帯状電極12に印
加する電圧の切り換えパターンも変える必要がある。
ターンに分極させ、その分極電荷の極性と、帯状電極1
2に印加する電圧の極性との反発、吸引作用を利用す
る。ここでは、搬送する移動子2内の電荷を分極させる
行程を初期分極行程と呼ぶことにする。初期分極行程で
は、帯状電極12に印加する電圧極性によって、移動子
2内に様々な分極パターンを形成することができる。こ
の分極パターンに合わせて、搬送中に帯状電極12に印
加する電圧の切り換えパターンも変える必要がある。
【0016】図3は移動子の移動原理を示す説明図で、
例えば、制御回路7の制御により、帯状電極12の各相
に〔G,P,N〕を印加すると、電極内に充電された電
荷の鏡像力によって、図3(1)のように、帯状電極1
2と相対する移動子2に帯状電極12に印加した電圧の
極性と逆極性の電荷が蓄積する。この行程が初期分極行
程である。ここで、図3(2)のように、帯状電極12
に印加する電圧を〔N,N,P〕に切り換えると、帯状
電極12と移動子2との間で同極電荷には反発力が発生
し、異極電荷には吸引力が発生するため、帯状電極12
の電荷と移動子2内の電荷との間の反発,吸引作用によ
って、移動子2は固定子1から浮き上がった状態で図3
(3)に矢印で示す方向に移動子2およびその上に乗せ
た媒体3が移動を始める。
例えば、制御回路7の制御により、帯状電極12の各相
に〔G,P,N〕を印加すると、電極内に充電された電
荷の鏡像力によって、図3(1)のように、帯状電極1
2と相対する移動子2に帯状電極12に印加した電圧の
極性と逆極性の電荷が蓄積する。この行程が初期分極行
程である。ここで、図3(2)のように、帯状電極12
に印加する電圧を〔N,N,P〕に切り換えると、帯状
電極12と移動子2との間で同極電荷には反発力が発生
し、異極電荷には吸引力が発生するため、帯状電極12
の電荷と移動子2内の電荷との間の反発,吸引作用によ
って、移動子2は固定子1から浮き上がった状態で図3
(3)に矢印で示す方向に移動子2およびその上に乗せ
た媒体3が移動を始める。
【0017】図3(4)に示すように、移動子2が電極
1ピッチ分移動すると、搬送方向の力が弱まって固定子
1と移動子2との間の吸引力が大きくなり、同時に固定
子1と移動子2との摩擦力が著しく上昇するため、移動
子2は停止する。上述したように、移動子2が電極1ピ
ッチ分移動した後、印加電圧のパターンを〔P,N,
N〕とすると、移動子2は矢印方向に1ピッチ移動し、
次に〔N,P,N〕と印加すると更に1ピッチ移動す
る。以下、これまでの〔N,N,P〕,〔P,N,
N〕,〔N,P,N〕を順次繰り返して印加することに
より、移動子2を矢印方向に1ピッチずつ移動させるこ
とができる。
1ピッチ分移動すると、搬送方向の力が弱まって固定子
1と移動子2との間の吸引力が大きくなり、同時に固定
子1と移動子2との摩擦力が著しく上昇するため、移動
子2は停止する。上述したように、移動子2が電極1ピ
ッチ分移動した後、印加電圧のパターンを〔P,N,
N〕とすると、移動子2は矢印方向に1ピッチ移動し、
次に〔N,P,N〕と印加すると更に1ピッチ移動す
る。以下、これまでの〔N,N,P〕,〔P,N,
N〕,〔N,P,N〕を順次繰り返して印加することに
より、移動子2を矢印方向に1ピッチずつ移動させるこ
とができる。
【0018】初期分極後に、帯状電極12に印加する移
動子駆動用の電圧パターンの切り換え周波数を駆動周波
数と呼ぶことにすると、この駆動周波数を変化させるこ
とによって移動子2の移動速度を制御することができ、
駆動周波数を上げると移動子2の移動速度が向上する。
図4は媒体搬送装置の上面図であり、初期分極行程によ
って移動子2の内部では分極が発生し、図4(A)に示
すように、帯状電極12に印加した電圧と逆極性の電荷
が蓄積する。そこで、図4(B)に示すように、移動子
2を搬送するための電圧極性パターンを帯状電極12に
印加する。この時、移動子2内部で最も先頭に位置する
正の分極電荷に着目すると、この電荷は、真下に位置す
る帯状電極12Cからは分極電荷と同極性のために反発
力を受け、1ピッチ先の帯状電極12Aからは分極電荷
と異極性なので吸引力を受ける。この吸引力や反発力を
クーロン力と呼ぶが、これにより、移動子2は1ピッチ
移動して帯状電極12A上に先端の分極電荷が到達した
ところで吸引力が最大となるため、移動子2は固定子1
に吸着して停止する。この作用を順次繰り返すことが、
搬送原理である。
動子駆動用の電圧パターンの切り換え周波数を駆動周波
数と呼ぶことにすると、この駆動周波数を変化させるこ
とによって移動子2の移動速度を制御することができ、
駆動周波数を上げると移動子2の移動速度が向上する。
図4は媒体搬送装置の上面図であり、初期分極行程によ
って移動子2の内部では分極が発生し、図4(A)に示
すように、帯状電極12に印加した電圧と逆極性の電荷
が蓄積する。そこで、図4(B)に示すように、移動子
2を搬送するための電圧極性パターンを帯状電極12に
印加する。この時、移動子2内部で最も先頭に位置する
正の分極電荷に着目すると、この電荷は、真下に位置す
る帯状電極12Cからは分極電荷と同極性のために反発
力を受け、1ピッチ先の帯状電極12Aからは分極電荷
と異極性なので吸引力を受ける。この吸引力や反発力を
クーロン力と呼ぶが、これにより、移動子2は1ピッチ
移動して帯状電極12A上に先端の分極電荷が到達した
ところで吸引力が最大となるため、移動子2は固定子1
に吸着して停止する。この作用を順次繰り返すことが、
搬送原理である。
【0019】実際の搬送では、このクーロン力が全て搬
送力になるのではなく、このクーロン力から移動子2と
固定子1との接触面である搬送面で発生する摩擦や、空
気抵抗等の外乱的な要因を差し引いた力が搬送力とな
る。よって、移動子2内の分極電荷量の不均一、搬送面
における接触状態の差異による摩擦力の不均一等、様々
な不均一要因によって、移動子2の微小部分に働く搬送
力は不均一となる。
送力になるのではなく、このクーロン力から移動子2と
固定子1との接触面である搬送面で発生する摩擦や、空
気抵抗等の外乱的な要因を差し引いた力が搬送力とな
る。よって、移動子2内の分極電荷量の不均一、搬送面
における接触状態の差異による摩擦力の不均一等、様々
な不均一要因によって、移動子2の微小部分に働く搬送
力は不均一となる。
【0020】図5は移動子に働く搬送力の詳細を示す説
明図で、移動子2に働く搬送力が不均一な場合、例えば
移動子2の先端部分に着目し、図5に示すように搬送方
向の左右端部で搬送力が異なり、左端での搬送力FL と
右端での搬送力FR との間にFL >FR の関係があった
とする。左端OL と右端OR との距離をaとすると、右
端OR を回転中心として、(1)式に示されるトルクT
なる時計回りの回転力(以後、モーメントと呼ぶ)が発
生することになる。
明図で、移動子2に働く搬送力が不均一な場合、例えば
移動子2の先端部分に着目し、図5に示すように搬送方
向の左右端部で搬送力が異なり、左端での搬送力FL と
右端での搬送力FR との間にFL >FR の関係があった
とする。左端OL と右端OR との距離をaとすると、右
端OR を回転中心として、(1)式に示されるトルクT
なる時計回りの回転力(以後、モーメントと呼ぶ)が発
生することになる。
【0021】
【数1】T=(FL −FR )×a・・・(1) このモーメントにより、移動子2にはスキューが発生す
る。ただし、このスキューは、帯状電極12に印加する
電圧極性パターンの切り換え周波数である駆動周波数が
十分遅い場合、また、搬送力が非常に大きい場合には問
題にならない。
る。ただし、このスキューは、帯状電極12に印加する
電圧極性パターンの切り換え周波数である駆動周波数が
十分遅い場合、また、搬送力が非常に大きい場合には問
題にならない。
【0022】スキューの発生は、移動子2の左右端が1
ピッチ移動する時間の変化を意味する。移動子2に図5
で説明したように搬送力が働いている場合、移動子2の
左端OL は、右端OR よりも速く1ピッチ移動して帯状
電極12Aに到達する。左端OL が帯状電極12Aに到
達すると、その部分では吸着が発生して搬送力がなくな
るが、帯状電極12Aに到達していない右端OR では搬
送力が発生し続ける。
ピッチ移動する時間の変化を意味する。移動子2に図5
で説明したように搬送力が働いている場合、移動子2の
左端OL は、右端OR よりも速く1ピッチ移動して帯状
電極12Aに到達する。左端OL が帯状電極12Aに到
達すると、その部分では吸着が発生して搬送力がなくな
るが、帯状電極12Aに到達していない右端OR では搬
送力が発生し続ける。
【0023】図6はスキューが発生した移動子に働くモ
ーメントの詳細を示す説明図で、帯状電極12Aに到達
している左端OL では吸着が発生して搬送力がなくなる
が、帯状電極12Aに到達していない右端OR では搬送
力が発生し続けるので、今度は、左端OL を回転中心に
して、反時計回りのモーメントが発生するため、スキュ
ーが補正されて行く。この時、駆動周波数が十分遅い
と、右端OR が帯状電極12Aに到達した後で、帯状電
極12に印加する電圧パターンが変化するので、上述し
たスキューの発生は搬送特性に影響しない。搬送力が非
常に大きい場合も同様で、左右端が帯状電極12Aに到
達する時間に差はあるが、到達の遅い右端でさえ、極め
て短時間で移動するため、スキューは問題とならない。
ーメントの詳細を示す説明図で、帯状電極12Aに到達
している左端OL では吸着が発生して搬送力がなくなる
が、帯状電極12Aに到達していない右端OR では搬送
力が発生し続けるので、今度は、左端OL を回転中心に
して、反時計回りのモーメントが発生するため、スキュ
ーが補正されて行く。この時、駆動周波数が十分遅い
と、右端OR が帯状電極12Aに到達した後で、帯状電
極12に印加する電圧パターンが変化するので、上述し
たスキューの発生は搬送特性に影響しない。搬送力が非
常に大きい場合も同様で、左右端が帯状電極12Aに到
達する時間に差はあるが、到達の遅い右端でさえ、極め
て短時間で移動するため、スキューは問題とならない。
【0024】しかし、駆動周波数は移動子2の搬送速度
に影響し、駆動周波数が遅いということは、搬送速度が
遅いことと同義である。図6に示す状態において、駆動
周波数が高いと、右端OR が帯状電極12Aに到達する
前に、帯状電極12に印加する電圧パターンが変化する
ので、搬送が不可能になってしまう。よって、高速搬送
が有用な部分への適用するためには、スキューが発生し
たなら、一度搬送を停止し、スキューを補正した後か、
スキューした状態のまま再度初期分極行程を行った後、
再度搬送を開始するという行程をとらなければならな
い。また、移動子2の条件だけでなく、その上に乗せる
媒体3の重量等の条件によっても、駆動周波数の最大値
が変化するため、媒体3の状態を逐一監視しなければな
らず、実用的ではない。
に影響し、駆動周波数が遅いということは、搬送速度が
遅いことと同義である。図6に示す状態において、駆動
周波数が高いと、右端OR が帯状電極12Aに到達する
前に、帯状電極12に印加する電圧パターンが変化する
ので、搬送が不可能になってしまう。よって、高速搬送
が有用な部分への適用するためには、スキューが発生し
たなら、一度搬送を停止し、スキューを補正した後か、
スキューした状態のまま再度初期分極行程を行った後、
再度搬送を開始するという行程をとらなければならな
い。また、移動子2の条件だけでなく、その上に乗せる
媒体3の重量等の条件によっても、駆動周波数の最大値
が変化するため、媒体3の状態を逐一監視しなければな
らず、実用的ではない。
【0025】同様に、大きな搬送力を得るためには、帯
状電極12に印加する電圧を大きくする必要があり、高
電圧電源回路、高耐圧駆動回路、装置絶縁の強化等、安
全性の低下と製作コストの増加をまねくため好ましくな
い。以下に、本発明の第1の実施の形態の搬送装置にお
いて、スキューを防止する機構について詳細する。
状電極12に印加する電圧を大きくする必要があり、高
電圧電源回路、高耐圧駆動回路、装置絶縁の強化等、安
全性の低下と製作コストの増加をまねくため好ましくな
い。以下に、本発明の第1の実施の形態の搬送装置にお
いて、スキューを防止する機構について詳細する。
【0026】スキューの発生は、上述したように、移動
子2の搬送面内に発生するモーメントが要因となる。よ
って、この発生モーメントを低減することによって、ス
キューの量を減少させることができる。図7は移動子の
搬送方向と搬送力不均一の関係を示す説明図で、搬送力
の不均一は、帯状電極12と平行な方向(H方向と呼
ぶ)と、それと直角に交わる方向(搬送方向と平行な方
向:V方向と呼ぶ)に分けて考えることができる。
子2の搬送面内に発生するモーメントが要因となる。よ
って、この発生モーメントを低減することによって、ス
キューの量を減少させることができる。図7は移動子の
搬送方向と搬送力不均一の関係を示す説明図で、搬送力
の不均一は、帯状電極12と平行な方向(H方向と呼
ぶ)と、それと直角に交わる方向(搬送方向と平行な方
向:V方向と呼ぶ)に分けて考えることができる。
【0027】H方向の搬送力不均一性がスキューに与え
る影響は図5および図6で説明した通りであり、搬送力
最大位置から回転中心位置までの距離が重要となり、そ
の最大値は、搬送方向に向かった時の移動子2の左右端
長さaとなる。よって、移動子2の左右端長さaを短く
するほど、発生するモーメントは小さくなり、スキュー
の発生量が減少する。
る影響は図5および図6で説明した通りであり、搬送力
最大位置から回転中心位置までの距離が重要となり、そ
の最大値は、搬送方向に向かった時の移動子2の左右端
長さaとなる。よって、移動子2の左右端長さaを短く
するほど、発生するモーメントは小さくなり、スキュー
の発生量が減少する。
【0028】V方向の搬送力不均一性は、モーメントの
発生とは無関係である。V方向は搬送方向と平行であ
り、静電気による搬送力は移動子2が剛体と見なせる程
度に小さいため、H方向の搬送力が均一であれば、スキ
ューの要因であるモーメントは発生しない。よって、移
動子2が自由に設計できる場合は、移動子2のH方向の
長さを可能な限り短くすることにより、スキューの発生
量を低減でき、スキューが原因となる搬送停止の発生を
防ぐことができる。また、移動子2の形状が限定されて
いる場合は、V方向長さとH方向長さの比(V方向長さ
/H方向長さ:アスペクト比と呼ぶ)が大きくなるよう
に移動子2の配置方向を決定すると、同様な効果により
スキューによる搬送停止を防止できる。
発生とは無関係である。V方向は搬送方向と平行であ
り、静電気による搬送力は移動子2が剛体と見なせる程
度に小さいため、H方向の搬送力が均一であれば、スキ
ューの要因であるモーメントは発生しない。よって、移
動子2が自由に設計できる場合は、移動子2のH方向の
長さを可能な限り短くすることにより、スキューの発生
量を低減でき、スキューが原因となる搬送停止の発生を
防ぐことができる。また、移動子2の形状が限定されて
いる場合は、V方向長さとH方向長さの比(V方向長さ
/H方向長さ:アスペクト比と呼ぶ)が大きくなるよう
に移動子2の配置方向を決定すると、同様な効果により
スキューによる搬送停止を防止できる。
【0029】図8は移動子のアスペクト比と設置方向の
関係を示す説明図で、移動子2の形状が同じであるな
ら、図8(A)に示すようなアスペクト比が小さくなる
ような配置よりも、図8(B)に示すようなアスペクト
比が大きくなるような配置の方がよい。ここまでは、移
動子2を用いる搬送装置について、移動子2の配置また
は製作条件をアスペクト比の観点から述べてきたが、こ
の条件が重要になる部分は、搬送力が発生するものに対
してである。よって、移動子2を用いる装置では、該移
動子2に搬送力が発生するため、この移動子2の配置、
あるいは製作条件に対して上述したアスペクト比条件を
適用する必要がある。そして、この移動子2の上に乗せ
て搬送する媒体3には、この条件を適用する必要はな
い。
関係を示す説明図で、移動子2の形状が同じであるな
ら、図8(A)に示すようなアスペクト比が小さくなる
ような配置よりも、図8(B)に示すようなアスペクト
比が大きくなるような配置の方がよい。ここまでは、移
動子2を用いる搬送装置について、移動子2の配置また
は製作条件をアスペクト比の観点から述べてきたが、こ
の条件が重要になる部分は、搬送力が発生するものに対
してである。よって、移動子2を用いる装置では、該移
動子2に搬送力が発生するため、この移動子2の配置、
あるいは製作条件に対して上述したアスペクト比条件を
適用する必要がある。そして、この移動子2の上に乗せ
て搬送する媒体3には、この条件を適用する必要はな
い。
【0030】これに対して、固定子1の上に直接媒体3
を乗せ、この媒体3に搬送力を発生させる搬送装置で
は、媒体に搬送力が発生するため、媒体投入時に上述し
たアスペクト比条件を適用する必要がある。すなわち、
アスペクト比が大きくなる方向で媒体3を固定子1の上
に投入する。例えば、長方形の媒体であるなら、長手方
向が搬送方向と平行となるように固定子1上に投入す
る。
を乗せ、この媒体3に搬送力を発生させる搬送装置で
は、媒体に搬送力が発生するため、媒体投入時に上述し
たアスペクト比条件を適用する必要がある。すなわち、
アスペクト比が大きくなる方向で媒体3を固定子1の上
に投入する。例えば、長方形の媒体であるなら、長手方
向が搬送方向と平行となるように固定子1上に投入す
る。
【0031】表1は、アスペクト比が1未満の移動子
と、アスペクト比が1以上の移動子について、搬送速度
と搬送特性を測定した結果である。
と、アスペクト比が1以上の移動子について、搬送速度
と搬送特性を測定した結果である。
【0032】
【表1】
【0033】表1中の印は搬送中にスキューによる搬送
停止が発生しなかったことを示し、△印はスキューによ
る搬送停止がしばしば発生したことを示し、×印はスキ
ューによる搬送停止が毎回発生したことを示す。このよ
うに、アスペクト比が1未満(V方向長さ<H方向長
さ)の移動子では、搬送速度の上昇に伴って、搬送特性
が著しく悪化している。
停止が発生しなかったことを示し、△印はスキューによ
る搬送停止がしばしば発生したことを示し、×印はスキ
ューによる搬送停止が毎回発生したことを示す。このよ
うに、アスペクト比が1未満(V方向長さ<H方向長
さ)の移動子では、搬送速度の上昇に伴って、搬送特性
が著しく悪化している。
【0034】これに対して、アスペクト比が1以上(V
方向長さ≧H方向長さ)の移動子では、搬送速度によら
ず、スキューの発生しない安定した搬送特性が得られて
いる。以上説明したように、本発明の第1の実施の形態
では、移動子の形状や配置する方向を考慮し、帯状電極
と平行な辺の長さを可能な限り短くすることにより、印
加電圧の上昇による安全性の低下や製造コストの増加が
なく、さらに、搬送速度の低下による搬送時間の遅延な
しに、移動子のスキューを防止でき、スキューに起因す
る移動子の搬送停止を防ぐことができるので、スキュー
による搬送停止の度に初期分極行程を行わずに済むた
め、最短の搬送時間で効率よく搬送を終了することがで
きる。
方向長さ≧H方向長さ)の移動子では、搬送速度によら
ず、スキューの発生しない安定した搬送特性が得られて
いる。以上説明したように、本発明の第1の実施の形態
では、移動子の形状や配置する方向を考慮し、帯状電極
と平行な辺の長さを可能な限り短くすることにより、印
加電圧の上昇による安全性の低下や製造コストの増加が
なく、さらに、搬送速度の低下による搬送時間の遅延な
しに、移動子のスキューを防止でき、スキューに起因す
る移動子の搬送停止を防ぐことができるので、スキュー
による搬送停止の度に初期分極行程を行わずに済むた
め、最短の搬送時間で効率よく搬送を終了することがで
きる。
【0035】また、搬送速度によらずスキュー自体が殆
ど発生しないため、搬送速度を自由に選択して、効率よ
く搬送することができるとともに、スキューが悪影響を
及ぼす部分でも特別なスキュー補正機構やスキューを考
慮した装置構成を付加する必要がなく、製造コストの増
加や装置体積の肥大を防ぐことができる。なお、この第
1の実施の形態では、基板状の直線搬送装置を例に取っ
て説明したが、使用する固定子はフィルム状のフレキシ
ブル基板で製作することも可能なので、湾曲部を有する
曲線搬送路を構成することもできる。
ど発生しないため、搬送速度を自由に選択して、効率よ
く搬送することができるとともに、スキューが悪影響を
及ぼす部分でも特別なスキュー補正機構やスキューを考
慮した装置構成を付加する必要がなく、製造コストの増
加や装置体積の肥大を防ぐことができる。なお、この第
1の実施の形態では、基板状の直線搬送装置を例に取っ
て説明したが、使用する固定子はフィルム状のフレキシ
ブル基板で製作することも可能なので、湾曲部を有する
曲線搬送路を構成することもできる。
【0036】また、第1の実施の形態では、移動子とし
て、シート状材料を積層したものを用いたが、内部に固
定子と同様な電極を有し、その電極に電圧を印加するこ
とにより、初期分極状態を実現する移動子を用いた搬送
装置においても同様な効果を得ることができる。さら
に、第1の実施の形態では、移動子に搬送力を発生さ
せ、その上に媒体を乗せて移動子と一緒に搬送する搬送
装置について説明したが、搬送対象の媒体の抵抗値が十
分高い場合は、移動子を除き、固定子上に直接媒体を乗
せ、媒体内に分極電荷を構成することで、媒体に直接搬
送力を発生させることができる。このように移動子を持
たない搬送装置においても、媒体のアスペクト比を考慮
することにより、同様な効果を得ることができる。
て、シート状材料を積層したものを用いたが、内部に固
定子と同様な電極を有し、その電極に電圧を印加するこ
とにより、初期分極状態を実現する移動子を用いた搬送
装置においても同様な効果を得ることができる。さら
に、第1の実施の形態では、移動子に搬送力を発生さ
せ、その上に媒体を乗せて移動子と一緒に搬送する搬送
装置について説明したが、搬送対象の媒体の抵抗値が十
分高い場合は、移動子を除き、固定子上に直接媒体を乗
せ、媒体内に分極電荷を構成することで、媒体に直接搬
送力を発生させることができる。このように移動子を持
たない搬送装置においても、媒体のアスペクト比を考慮
することにより、同様な効果を得ることができる。
【0037】図9は本発明の媒体搬送装置の第2の実施
の形態を示す構成図、図10は第2の実施の形態の媒体
搬送装置の要部斜視図である。この第2の実施の形態の
媒体搬送装置は、無端ベルト状の固定子ベルト21と、
この固定子ベルト21の外側に密着して設けられる無端
ベルト状の移動子ベルト22からなり、媒体3は移動子
ベルト22の上に乗って搬送される。以後、移動子ベル
ト22において、固定子ベルト21と接触する面を搬送
面、その対面を非搬送面と呼ぶ。
の形態を示す構成図、図10は第2の実施の形態の媒体
搬送装置の要部斜視図である。この第2の実施の形態の
媒体搬送装置は、無端ベルト状の固定子ベルト21と、
この固定子ベルト21の外側に密着して設けられる無端
ベルト状の移動子ベルト22からなり、媒体3は移動子
ベルト22の上に乗って搬送される。以後、移動子ベル
ト22において、固定子ベルト21と接触する面を搬送
面、その対面を非搬送面と呼ぶ。
【0038】固定子ベルト21は、基材31上に複数の
帯状電極12を所定の間隔で平行に配置し、その上に絶
縁コート層33を配したものである。基材31は絶縁体
であり、無端ベルト状に形成する必要があるが、ポリイ
ミド等のフィルム状材料は無端ベルト状での形成が可能
であり、通常の市販品として入手可能である。フィルム
を含む板状材料から無端ベルトを形成する方法を以下に
説明する。図11は無端ベルト形成方法の一例を示す説
明図で、図11(A)に示すように、相対する端面を突
き合わせて接合することにより、無端ベルトを形成する
ことができる。また、端部を重ねて接合する場合は、図
11(B)に示すように、移動子ベルト22の回転方向
にならう様に重ねると、移動子ベルト22の回転に支障
をきたしにくいため好ましい。なお、本実施の形態で
は、基材31として、樹脂系材料を使用するものとす
る。
帯状電極12を所定の間隔で平行に配置し、その上に絶
縁コート層33を配したものである。基材31は絶縁体
であり、無端ベルト状に形成する必要があるが、ポリイ
ミド等のフィルム状材料は無端ベルト状での形成が可能
であり、通常の市販品として入手可能である。フィルム
を含む板状材料から無端ベルトを形成する方法を以下に
説明する。図11は無端ベルト形成方法の一例を示す説
明図で、図11(A)に示すように、相対する端面を突
き合わせて接合することにより、無端ベルトを形成する
ことができる。また、端部を重ねて接合する場合は、図
11(B)に示すように、移動子ベルト22の回転方向
にならう様に重ねると、移動子ベルト22の回転に支障
をきたしにくいため好ましい。なお、本実施の形態で
は、基材31として、樹脂系材料を使用するものとす
る。
【0039】帯状電極12は、銅や金等の導電性材料な
らばいずれも使用でき、基材31上に印刷やエッチング
等の公知の技術によって形成することができる。また、
絶縁耐圧向上と搬送面の平滑化、および低摩擦化等を目
的として、帯状電極12を覆うように、基材31上を絶
縁コーティングを行ってコート層33を設けてある。な
お、このコート層33は設けなくてもよい。
らばいずれも使用でき、基材31上に印刷やエッチング
等の公知の技術によって形成することができる。また、
絶縁耐圧向上と搬送面の平滑化、および低摩擦化等を目
的として、帯状電極12を覆うように、基材31上を絶
縁コーティングを行ってコート層33を設けてある。な
お、このコート層33は設けなくてもよい。
【0040】帯状電極12の幅や間隔は自由に設定でき
る。また、帯状電極12は3相に分離接続されており、
それぞれA相、B相、C相と呼び、A相に接続される帯
状電極は12A、B相に接続される帯状電極は12B、
C相に接続される帯状電極は12Cとして表示する。な
お、帯状電極12は3相に分離接続されるので、3の倍
数の本数を必要とする。
る。また、帯状電極12は3相に分離接続されており、
それぞれA相、B相、C相と呼び、A相に接続される帯
状電極は12A、B相に接続される帯状電極は12B、
C相に接続される帯状電極は12Cとして表示する。な
お、帯状電極12は3相に分離接続されるので、3の倍
数の本数を必要とする。
【0041】移動子ベルト22は薄板状で、抵抗値が1
012〜1015〔Ω/□〕に調整してある。この調整方法
は公知であり、例えば、特開平6−56290号公報に
開示されている技術等が利用できる。無端ベルト状への
形成は、基材31の場合と同様に、無端ベルト状に加工
された市販品の購入や、薄板の相対する端面を突き合わ
せて接合する等の方法で対応できる。また、薄板材の端
部を重ねて接合して無端ベルト状とする場合は、図11
(B)に示すように、重ねた端面が最外周で搬送方向を
向くように接合すると、移動子ベルト22の回転に支障
をきたしにくいので好ましい。
012〜1015〔Ω/□〕に調整してある。この調整方法
は公知であり、例えば、特開平6−56290号公報に
開示されている技術等が利用できる。無端ベルト状への
形成は、基材31の場合と同様に、無端ベルト状に加工
された市販品の購入や、薄板の相対する端面を突き合わ
せて接合する等の方法で対応できる。また、薄板材の端
部を重ねて接合して無端ベルト状とする場合は、図11
(B)に示すように、重ねた端面が最外周で搬送方向を
向くように接合すると、移動子ベルト22の回転に支障
をきたしにくいので好ましい。
【0042】電源5は、帯状電極12に印加する電圧の
電圧源であり、正電圧と負電圧を駆動回路6に供給す
る。駆動回路6は、帯状電極12のA相、B相、C相の
各相に、それぞれ正電圧、負電圧、0〔V〕(接地電
位)を自由に切り換えて印加できるようになっており、
制御回路37からの制御信号によって、各相に印加する
電圧極性を変化させる。また、制御回路37からの信号
によって、印加する電圧値を変更することもできる。
電圧源であり、正電圧と負電圧を駆動回路6に供給す
る。駆動回路6は、帯状電極12のA相、B相、C相の
各相に、それぞれ正電圧、負電圧、0〔V〕(接地電
位)を自由に切り換えて印加できるようになっており、
制御回路37からの制御信号によって、各相に印加する
電圧極性を変化させる。また、制御回路37からの信号
によって、印加する電圧値を変更することもできる。
【0043】ここでは、各相に印加する電圧極性を、
〔A相極性,B相極性,C相極性〕として表すことにす
る。例えば、A相に正極性、B相に負極性、C相に負極
性の電圧を印加する場合は、〔P,N,N〕という表示
になる。なお、正極性はP,負極性はN,接地電位はG
と表す。以下に、動作を説明する。
〔A相極性,B相極性,C相極性〕として表すことにす
る。例えば、A相に正極性、B相に負極性、C相に負極
性の電圧を印加する場合は、〔P,N,N〕という表示
になる。なお、正極性はP,負極性はN,接地電位はG
と表す。以下に、動作を説明する。
【0044】移動子ベルト22内の電荷をあらかじめ決
まったパターンに分極させ、その分極電荷の極性と、帯
状電極12に印加する電圧の極性との反発、吸引作用を
利用する。ここでは、搬送する移動子ベルト22内の電
荷を分極させる行程を初期分極行程と呼ぶことにする。
初期分極行程では、帯状電極12に印加する電圧極性に
よって、移動子ベルト22内に様々な分極パターンを形
成することができる。この分極パターンに合わせて、搬
送中に帯状電極12に印加する電圧の切り換えパターン
も変える必要がある。
まったパターンに分極させ、その分極電荷の極性と、帯
状電極12に印加する電圧の極性との反発、吸引作用を
利用する。ここでは、搬送する移動子ベルト22内の電
荷を分極させる行程を初期分極行程と呼ぶことにする。
初期分極行程では、帯状電極12に印加する電圧極性に
よって、移動子ベルト22内に様々な分極パターンを形
成することができる。この分極パターンに合わせて、搬
送中に帯状電極12に印加する電圧の切り換えパターン
も変える必要がある。
【0045】図12は移動子ベルトの移動原理を示す説
明図で、移動子ベルト22の一部分に着目すると、例え
ば、制御回路37の制御により、帯状電極12の各相に
〔G,P,N〕を印加すると、電極内に充電された電荷
の鏡像力によって、図12(1)のように、帯状電極1
2と相対する移動子ベルト22に帯状電極12に印加し
た電圧の極性と逆極性の電荷が蓄積する。この行程が初
期分極行程である。ここで、図12(2)のように、帯
状電極12に印加する電圧を〔N,N,P〕に切り換え
ると、帯状電極12と移動子ベルト22との間で同極電
荷には反発力が発生し、異極電荷には吸引力が発生する
ため、帯状電極12の電荷と移動子ベルト22内の電荷
との間の反発,吸引作用によって、図12(3)に矢印
で示す方向に移動子ベルト22が移動を始める。
明図で、移動子ベルト22の一部分に着目すると、例え
ば、制御回路37の制御により、帯状電極12の各相に
〔G,P,N〕を印加すると、電極内に充電された電荷
の鏡像力によって、図12(1)のように、帯状電極1
2と相対する移動子ベルト22に帯状電極12に印加し
た電圧の極性と逆極性の電荷が蓄積する。この行程が初
期分極行程である。ここで、図12(2)のように、帯
状電極12に印加する電圧を〔N,N,P〕に切り換え
ると、帯状電極12と移動子ベルト22との間で同極電
荷には反発力が発生し、異極電荷には吸引力が発生する
ため、帯状電極12の電荷と移動子ベルト22内の電荷
との間の反発,吸引作用によって、図12(3)に矢印
で示す方向に移動子ベルト22が移動を始める。
【0046】図12(4)に示すように、移動子ベルト
22が電極1ピッチ分移動すると、搬送方向の力が弱ま
って固定子ベルト21と移動子ベルト22との間の吸引
力が大きくなり、同時に固定子ベルト21と移動子ベル
ト22との摩擦力が著しく上昇するため、移動子ベルト
22は停止する。上述したように、移動子ベルト22が
電極1ピッチ分移動した後、印加電圧のパターンを
〔P,N,N〕とすると、移動子ベルト22は矢印方向
に1ピッチ移動し、次に〔N,P,N〕と印加すると更
に1ピッチ移動する。以下、これまでの〔N,N,
P〕,〔P,N,N〕,〔N,P,N〕を順次繰り返し
て印加することにより、移動子ベルト22を矢印方向に
1ピッチずつ移動させることができる。
22が電極1ピッチ分移動すると、搬送方向の力が弱ま
って固定子ベルト21と移動子ベルト22との間の吸引
力が大きくなり、同時に固定子ベルト21と移動子ベル
ト22との摩擦力が著しく上昇するため、移動子ベルト
22は停止する。上述したように、移動子ベルト22が
電極1ピッチ分移動した後、印加電圧のパターンを
〔P,N,N〕とすると、移動子ベルト22は矢印方向
に1ピッチ移動し、次に〔N,P,N〕と印加すると更
に1ピッチ移動する。以下、これまでの〔N,N,
P〕,〔P,N,N〕,〔N,P,N〕を順次繰り返し
て印加することにより、移動子ベルト22を矢印方向に
1ピッチずつ移動させることができる。
【0047】ここで、移動子ベルト22は無端ベルト状
なので、結果として、移動子ベルト22は固定子ベルト
21の外周で回転することになる。初期分極後に、帯状
電極12に印加する移動子ベルト駆動用の電圧パターン
の切り換え周波数を駆動周波数と呼ぶことにすると、こ
の駆動周波数を変化させることによって移動子ベルト2
2の移動速度を制御することができ、駆動周波数を上げ
ると移動子ベルト22の移動速度が向上する。
なので、結果として、移動子ベルト22は固定子ベルト
21の外周で回転することになる。初期分極後に、帯状
電極12に印加する移動子ベルト駆動用の電圧パターン
の切り換え周波数を駆動周波数と呼ぶことにすると、こ
の駆動周波数を変化させることによって移動子ベルト2
2の移動速度を制御することができ、駆動周波数を上げ
ると移動子ベルト22の移動速度が向上する。
【0048】図13は媒体の搬送原理を示す説明図で、
図12で説明したように移動子ベルト22の移動を開始
した後、図13(1)に示すようにこの移動中の移動子
ベルト22上に媒体3を投入すると、移動子ベルト22
内の分極電荷による吸引力や、移動子ベルト表面と媒体
表面との摩擦によって、図13(2)に示すように、投
入された媒体3は、移動子ベルト22上で滑ることなく
該移動子ベルト22と共に搬送される。そのため、上述
した駆動周波数を制御することにより、媒体3の搬送速
度も制御することができる。
図12で説明したように移動子ベルト22の移動を開始
した後、図13(1)に示すようにこの移動中の移動子
ベルト22上に媒体3を投入すると、移動子ベルト22
内の分極電荷による吸引力や、移動子ベルト表面と媒体
表面との摩擦によって、図13(2)に示すように、投
入された媒体3は、移動子ベルト22上で滑ることなく
該移動子ベルト22と共に搬送される。そのため、上述
した駆動周波数を制御することにより、媒体3の搬送速
度も制御することができる。
【0049】図4における説明と同様に、本発明の第2
の実施の形態でも、移動子ベルト22内の分極電荷と帯
状電極12に印加する電圧とのクーロン力によって移動
子ベルト22が1ピッチずつ移動する。無端ベルト状の
移動子ベルト22がスキューするためには、移動子ベル
ト22の周長が物理的に延びなければならないが、上述
したクーロン力は移動子ベルト2が剛体と見なせるほど
小さいため、移動子ベルト22が変形することはない。
よって、移動子ベルト22を無端ベルト状に構成するこ
とにより、移動子ベルト22のスキューは全く発生しな
い。これにより、スキューが要因となる移動子ベルト2
2の搬送停止が発生することはない。図6で説明したよ
うに、スキューが発生すると、搬送を続けることができ
ないので、一度搬送を停止して、初期分極行程を再度行
った後、搬送を再開するという行程が必要であったが、
第2の実施の形態では、スキューが発生しないので、ス
キューが起因となる搬送停止が発生せず、よって、従
来、移動子や媒体が搬送停止する度に行っていた初期分
極行程は、第2の実施の形態の搬送装置の場合、搬送開
始時の1回だけでよい。
の実施の形態でも、移動子ベルト22内の分極電荷と帯
状電極12に印加する電圧とのクーロン力によって移動
子ベルト22が1ピッチずつ移動する。無端ベルト状の
移動子ベルト22がスキューするためには、移動子ベル
ト22の周長が物理的に延びなければならないが、上述
したクーロン力は移動子ベルト2が剛体と見なせるほど
小さいため、移動子ベルト22が変形することはない。
よって、移動子ベルト22を無端ベルト状に構成するこ
とにより、移動子ベルト22のスキューは全く発生しな
い。これにより、スキューが要因となる移動子ベルト2
2の搬送停止が発生することはない。図6で説明したよ
うに、スキューが発生すると、搬送を続けることができ
ないので、一度搬送を停止して、初期分極行程を再度行
った後、搬送を再開するという行程が必要であったが、
第2の実施の形態では、スキューが発生しないので、ス
キューが起因となる搬送停止が発生せず、よって、従
来、移動子や媒体が搬送停止する度に行っていた初期分
極行程は、第2の実施の形態の搬送装置の場合、搬送開
始時の1回だけでよい。
【0050】さらに、第2の実施の形態では、制御回路
37により、媒体投入開始以前にあらかじめ初期分極を
行っておき、その後、媒体の投入の有無によらず、常に
移動子ベルト22を搬送状態にしておくことにより、媒
体投入毎に初期分極行程を行う必要が無くなる。すなわ
ち、移動子ベルト22は無端ベルト状であるので、連続
して搬送状態を保つことが可能であり、搬送状態の移動
子ベルト22上に媒体3を投入すれば、移動子ベルト2
2内の分極電荷による吸引力や、移動子ベルト22表面
と媒体3表面との摩擦によって、投入された媒体3は移
動子ベルト22上で滑ることなく搬送される。そして、
搬送力が発生するのは移動子ベルト22であるので、個
々の媒体3に対しては初期分極行程を行う必要はなく、
搬送状態の移動子ベルト22に対して任意のタイミング
で媒体3を連続して投入できるものである。よって、媒
体の搬送枚数に関係なく、媒体投入から搬送終了までが
最短時間で行え、時間的損失はまったくない。第2の実
施の形態では、媒体搬送に静電気力を利用しており、か
つ、基材31やコート層33に絶縁材料を使用している
ため、搬送時に消費される電流量は非常に少なく、移動
子ベルト22を常に稼働していても、消費電力は極僅か
である。消費電力をさらに減少させるためには、従来と
同様に、媒体3が投入される毎に初期分極を行い、搬送
終了と同時に移動子ベルト22を停止させればよい。こ
の場合も、移動子ベルト22のスキューによる搬送停止
が発生しないという効果は得られるものであり、初期分
極行程は個々の媒体3の搬送開始時のみ行えばよく、ス
キューに起因する搬送停止時の度に初期分極行程を行う
ことはないので、搬送時間を短縮することはできるもの
である。
37により、媒体投入開始以前にあらかじめ初期分極を
行っておき、その後、媒体の投入の有無によらず、常に
移動子ベルト22を搬送状態にしておくことにより、媒
体投入毎に初期分極行程を行う必要が無くなる。すなわ
ち、移動子ベルト22は無端ベルト状であるので、連続
して搬送状態を保つことが可能であり、搬送状態の移動
子ベルト22上に媒体3を投入すれば、移動子ベルト2
2内の分極電荷による吸引力や、移動子ベルト22表面
と媒体3表面との摩擦によって、投入された媒体3は移
動子ベルト22上で滑ることなく搬送される。そして、
搬送力が発生するのは移動子ベルト22であるので、個
々の媒体3に対しては初期分極行程を行う必要はなく、
搬送状態の移動子ベルト22に対して任意のタイミング
で媒体3を連続して投入できるものである。よって、媒
体の搬送枚数に関係なく、媒体投入から搬送終了までが
最短時間で行え、時間的損失はまったくない。第2の実
施の形態では、媒体搬送に静電気力を利用しており、か
つ、基材31やコート層33に絶縁材料を使用している
ため、搬送時に消費される電流量は非常に少なく、移動
子ベルト22を常に稼働していても、消費電力は極僅か
である。消費電力をさらに減少させるためには、従来と
同様に、媒体3が投入される毎に初期分極を行い、搬送
終了と同時に移動子ベルト22を停止させればよい。こ
の場合も、移動子ベルト22のスキューによる搬送停止
が発生しないという効果は得られるものであり、初期分
極行程は個々の媒体3の搬送開始時のみ行えばよく、ス
キューに起因する搬送停止時の度に初期分極行程を行う
ことはないので、搬送時間を短縮することはできるもの
である。
【0051】図14は媒体を3枚投入した場合の搬送完
了までにかかる時間の比較を示すグラフであり、図14
(A)は第2の実施の形態の搬送装置の場合、図14
(B)は従来の搬送装置の場合を示す。なお、搬送時の
速度は両者とも同一とする。従来は、複数枚の媒体を搬
送する場合、各媒体に対して初期分極、搬送、搬送停止
の行程を順次繰り返す必要があり、かつ、上記行程は、
複数の媒体に対して同時に行うことはできないので、処
理に時間がかかっていた。
了までにかかる時間の比較を示すグラフであり、図14
(A)は第2の実施の形態の搬送装置の場合、図14
(B)は従来の搬送装置の場合を示す。なお、搬送時の
速度は両者とも同一とする。従来は、複数枚の媒体を搬
送する場合、各媒体に対して初期分極、搬送、搬送停止
の行程を順次繰り返す必要があり、かつ、上記行程は、
複数の媒体に対して同時に行うことはできないので、処
理に時間がかかっていた。
【0052】これに対して、第2の実施の形態では、一
度初期分極を行えば、複数枚の媒体を連続して搬送可能
であるので、極めて短時間の間に媒体を目的位置まで搬
送することができる。以上説明したように、本発明の第
2の実施の形態では、移動子ベルト22を無端ベルト状
に形成することで、移動子ベルト22のスキューを防止
することができ、その結果、スキューによる搬送停止状
態が回避できるため、常に安定して効率よく媒体を搬送
することができる。
度初期分極を行えば、複数枚の媒体を連続して搬送可能
であるので、極めて短時間の間に媒体を目的位置まで搬
送することができる。以上説明したように、本発明の第
2の実施の形態では、移動子ベルト22を無端ベルト状
に形成することで、移動子ベルト22のスキューを防止
することができ、その結果、スキューによる搬送停止状
態が回避できるため、常に安定して効率よく媒体を搬送
することができる。
【0053】また、媒体投入開始以前に移動子ベルト2
2を初期分極させ、移動子ベルト22を搬送状態で稼働
させておくことにより、以後、移動子ベルト22を停止
させるまで初期分極行程を行う必要がなく、その結果、
媒体の投入数や投入の時間的な間隔によらず、投入から
目標位置到達まで、常に最短の搬送時間で媒体3を搬送
することができる。
2を初期分極させ、移動子ベルト22を搬送状態で稼働
させておくことにより、以後、移動子ベルト22を停止
させるまで初期分極行程を行う必要がなく、その結果、
媒体の投入数や投入の時間的な間隔によらず、投入から
目標位置到達まで、常に最短の搬送時間で媒体3を搬送
することができる。
【0054】なお、第2の実施の形態では、固定子ベル
ト21および移動子ベルト22を小判型の楕円管状に配
置した例にとって説明したが、固定子ベルトの内周面の
形状は搬送に無関係なため、任意の形状で固定できる。
図15は固定子ベルトの固定構造の一例を示す説明図
で、例えば、この図15(A)に示すように、固定子ベ
ルト21を三角形状で固定して搬送経路を構成する場
合、三角形の各頂点に合わせて固定部材34を設けるこ
とで、固定子ベルト21および移動子ベルト22を所定
の形状とすることができる。また、図9および図10の
ように小判型とする場合、2個の固定部材を設けること
で可能である。
ト21および移動子ベルト22を小判型の楕円管状に配
置した例にとって説明したが、固定子ベルトの内周面の
形状は搬送に無関係なため、任意の形状で固定できる。
図15は固定子ベルトの固定構造の一例を示す説明図
で、例えば、この図15(A)に示すように、固定子ベ
ルト21を三角形状で固定して搬送経路を構成する場
合、三角形の各頂点に合わせて固定部材34を設けるこ
とで、固定子ベルト21および移動子ベルト22を所定
の形状とすることができる。また、図9および図10の
ように小判型とする場合、2個の固定部材を設けること
で可能である。
【0055】さらに、固定子ベルト21を所定の形状で
固定するため、例えば、図15(B)に示すように、断
面形状が小判型の固定部材35を形成し、この固定部材
35の表面に固定子ベルト21を貼り付けることとして
もよい。この場合、固定子ベルト21は無端状でなくて
もよく、帯状電極12が所定の間隔で配置されるよう
に、複数の固定子を並べて貼り付けるようにしてもよ
い。
固定するため、例えば、図15(B)に示すように、断
面形状が小判型の固定部材35を形成し、この固定部材
35の表面に固定子ベルト21を貼り付けることとして
もよい。この場合、固定子ベルト21は無端状でなくて
もよく、帯状電極12が所定の間隔で配置されるよう
に、複数の固定子を並べて貼り付けるようにしてもよ
い。
【0056】上述したように、固定子ベルト21を固定
部材34や固定部材35で固定することで、任意の搬送
経路を得ることが可能となる。なお、移動子ベルト21
を搬送するクーロン力は、固定部材34および固定部材
35が剛体と見なせるほど小さいので、固定部材34,
35が変形することはない。よって、固定部材34ある
いは固定部材35で固定子ベルト21を固定しても、移
動子ベルト22がスキューすることはない。
部材34や固定部材35で固定することで、任意の搬送
経路を得ることが可能となる。なお、移動子ベルト21
を搬送するクーロン力は、固定部材34および固定部材
35が剛体と見なせるほど小さいので、固定部材34,
35が変形することはない。よって、固定部材34ある
いは固定部材35で固定子ベルト21を固定しても、移
動子ベルト22がスキューすることはない。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、移動子
を無端ベルト状の移動子ベルトとして形成し、固定子
は、帯状電極が前記移動子ベルトの内周面全面にわたり
所定の間隔で配置される形状としたので、移動子ベルト
はスキューすることがなく、スキューに起因する搬送停
止が回避できるため、常に安定して短時間で媒体を搬送
することができる。
を無端ベルト状の移動子ベルトとして形成し、固定子
は、帯状電極が前記移動子ベルトの内周面全面にわたり
所定の間隔で配置される形状としたので、移動子ベルト
はスキューすることがなく、スキューに起因する搬送停
止が回避できるため、常に安定して短時間で媒体を搬送
することができる。
【0058】また、移動子を無端ベルト状とすること
で、一度初期分極行程を行った後、常時移動子ベルトを
搬送状態とすれば、媒体を移動子ベルト上に投入すれば
直ぐその媒体を搬送することが可能となり、複数枚の媒
体を連続して搬送する場合でも、個々の媒体毎に初期分
極行程を行うことなく最短の時間で搬送を行うことがで
きる。
で、一度初期分極行程を行った後、常時移動子ベルトを
搬送状態とすれば、媒体を移動子ベルト上に投入すれば
直ぐその媒体を搬送することが可能となり、複数枚の媒
体を連続して搬送する場合でも、個々の媒体毎に初期分
極行程を行うことなく最短の時間で搬送を行うことがで
きる。
【図1】本発明の媒体搬送装置の第1の実施の形態を示
す構成図
す構成図
【図2】第1の実施の形態の媒体搬送装置の要部斜視図
【図3】移動子の移動原理を示す説明図
【図4】媒体搬送装置の上面図
【図5】移動子に働く搬送力の詳細を示す説明図
【図6】スキューが発生した移動子に働くモーメントの
詳細を示す説明図
詳細を示す説明図
【図7】移動子の搬送方向と搬送力不均一の関係を示す
説明図
説明図
【図8】移動子のアスペクト比と設置方向の関係を示す
説明図
説明図
【図9】本発明の媒体搬送装置の第2の実施の形態を示
す構成図
す構成図
【図10】第2の実施の形態の媒体搬送装置の要部斜視
図
図
【図11】無端ベルト形成方法の一例を示す説明図
【図12】移動子ベルトの移動原理を示す説明図
【図13】媒体の搬送原理を示す説明図
【図14】搬送完了までにかかる時間の比較を示すグラ
フ
フ
【図15】固定子ベルトの固定構造の一例を示す説明図
1 固定子 2 移動子 3 媒体 12 帯状電極 21 固定子ベルト 22 移動子ベルト 37 制御回路
Claims (5)
- 【請求項1】 絶縁体の基材に複数の帯状電極を平行に
並べて配列してなる固定子の搬送面上に、所定の抵抗値
を持った移動子を乗せ、この移動子の上の媒体を乗せ
て、前記帯状電極への印加電圧極性を決められたパター
ンで切り換えることにより、前記固定子と移動子との間
に発生する静電気力を利用して、帯状電極と直角をなす
方向に媒体を乗せた移動子を搬送する媒体搬送装置にお
いて、 前記移動子は、無端ベルト状の移動子ベルトとして形成
し、 前記固定子は、帯状電極が前記移動子ベルトの内周面全
面にわたり所定の間隔で配置される形状としたことを特
徴とする媒体搬送装置。 - 【請求項2】 請求項1記載の媒体搬送装置において、 前記固定子を、所定の形状で固定する固定部材を設け、
この固定された固定子に密着させて前記移動子ベルトを
配置したことを特徴とする媒体搬送装置。 - 【請求項3】 請求項1または2記載の媒体搬送装置に
おいて、 前記帯状電極に移動子ベルトを初期分極させる電圧パタ
ーンを印加して初期分極行程を行った後、常時帯状電極
に移動子ベルト搬送用の電圧パターンを印加して、移動
子ベルトを稼働し続ける制御手段を備えたことを特徴と
する媒体搬送装置。 - 【請求項4】 絶縁体の基材に複数の帯状電極を平行に
並べて配列してなる固定子の搬送面上に、所定の抵抗値
を持った移動子を乗せ、この移動子の上の媒体を乗せ
て、前記帯状電極への印加電圧極性を決められたパター
ンで切り換えることにより、前記固定子と移動子との間
に発生する静電気力を利用して、帯状電極と直角をなす
方向に媒体を乗せた移動子を搬送する媒体搬送装置にお
いて、 前記移動子は、帯状電極と直角をなす搬送方向に平行な
方向の長さを、帯状電極と平行な方向の長さより長くし
たことを特徴とする媒体搬送装置。 - 【請求項5】 絶縁体の基材に複数の帯状電極を平行に
並べて配列してなる固定子の搬送面上に、搬送対象の媒
体を直接乗せて、前記帯状電極への印加電圧極性を決め
られたパターンで切り換えることにより、前記固定子と
媒体との間に発生する静電気力を利用して、帯状電極と
直角をなす方向に媒体を搬送する媒体搬送装置におい
て、 前記媒体は、その長手方向が帯状電極と直角をなす方向
と平行となるように固定子上に乗せることを特徴とする
媒体搬送装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21451096A JPH1059573A (ja) | 1996-08-14 | 1996-08-14 | 媒体搬送装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21451096A JPH1059573A (ja) | 1996-08-14 | 1996-08-14 | 媒体搬送装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1059573A true JPH1059573A (ja) | 1998-03-03 |
Family
ID=16656921
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21451096A Pending JPH1059573A (ja) | 1996-08-14 | 1996-08-14 | 媒体搬送装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1059573A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004067424A1 (en) * | 2003-01-28 | 2004-08-12 | Ricoh Company, Ltd. | Sheet conveyance apparatus and image forming apparatus |
JP2008037606A (ja) * | 2006-08-08 | 2008-02-21 | Canon Inc | シート搬送装置、画像形成装置及び画像読取装置 |
JP2011129664A (ja) * | 2009-12-17 | 2011-06-30 | Dainippon Printing Co Ltd | 太陽光発電システム |
-
1996
- 1996-08-14 JP JP21451096A patent/JPH1059573A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004067424A1 (en) * | 2003-01-28 | 2004-08-12 | Ricoh Company, Ltd. | Sheet conveyance apparatus and image forming apparatus |
US7591458B2 (en) | 2003-01-28 | 2009-09-22 | Ricoh Company, Ltd. | Sheet conveyance apparatus and image forming apparatus |
JP2008037606A (ja) * | 2006-08-08 | 2008-02-21 | Canon Inc | シート搬送装置、画像形成装置及び画像読取装置 |
JP2011129664A (ja) * | 2009-12-17 | 2011-06-30 | Dainippon Printing Co Ltd | 太陽光発電システム |
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