JPH105954A - 連続鋳造鋳片の表面割れ防止方法 - Google Patents
連続鋳造鋳片の表面割れ防止方法Info
- Publication number
- JPH105954A JPH105954A JP16883496A JP16883496A JPH105954A JP H105954 A JPH105954 A JP H105954A JP 16883496 A JP16883496 A JP 16883496A JP 16883496 A JP16883496 A JP 16883496A JP H105954 A JPH105954 A JP H105954A
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- Heat Treatments In General, Especially Conveying And Cooling (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 鋳造速度が高い操業条件下でも、安定的に鋳
片の横割れを防止できる方法を提案する。 【解決手段】 垂直曲げ型連続鋳造機によって鋳造速度
が毎分1.5m以上で鋳造される中炭アルミキルド鋼鋳
片の二次冷却に際し、連続鋳造機垂直部領域における鋳
片両コーナー部の表面温度の最低値が600℃以下で且
つ連続鋳造機曲げ部領域における鋳片両コーナー部の表
面温度が700℃以下となるように冷却することを特徴
とする連続鋳造鋳片の表面割れ防止方法。
片の横割れを防止できる方法を提案する。 【解決手段】 垂直曲げ型連続鋳造機によって鋳造速度
が毎分1.5m以上で鋳造される中炭アルミキルド鋼鋳
片の二次冷却に際し、連続鋳造機垂直部領域における鋳
片両コーナー部の表面温度の最低値が600℃以下で且
つ連続鋳造機曲げ部領域における鋳片両コーナー部の表
面温度が700℃以下となるように冷却することを特徴
とする連続鋳造鋳片の表面割れ防止方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造における
鋳片の表面割れ疵発生防止の方法に関するものである。
鋳片の表面割れ疵発生防止の方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造により製造される鋳片には、縦
割れ、横割れなど種々の表面欠陥が発生する。特に鋳片
表層部の微細な横割れは、鋳肌では目視困難で且つ比較
的深いため極めて有害であり、鋳造工程でその発生を完
全に防止することが必要である。横割れは二次冷却条件
と密接に関係しており、垂直曲げ型連鋳機においては、
鋳片下面側コーナー部近傍に発生することが特徴であ
る。これらの横割れはγ低温領域からγ/α変態温度域
にかけての鋼の脆化、すなわち III領域脆化に起因する
割れであることが知られている。横割れを防止する方法
として例えば、荻林ら:鉄鋼協会鉄鋼基礎共同研究会
「連続鋳造における力学挙動」,1985,p184に
は、鋳片の鋳型直下において緩冷却を施し、脆化域を高
温側に回避することにより割れ発生防止が可能であるこ
とが述べられている。
割れ、横割れなど種々の表面欠陥が発生する。特に鋳片
表層部の微細な横割れは、鋳肌では目視困難で且つ比較
的深いため極めて有害であり、鋳造工程でその発生を完
全に防止することが必要である。横割れは二次冷却条件
と密接に関係しており、垂直曲げ型連鋳機においては、
鋳片下面側コーナー部近傍に発生することが特徴であ
る。これらの横割れはγ低温領域からγ/α変態温度域
にかけての鋼の脆化、すなわち III領域脆化に起因する
割れであることが知られている。横割れを防止する方法
として例えば、荻林ら:鉄鋼協会鉄鋼基礎共同研究会
「連続鋳造における力学挙動」,1985,p184に
は、鋳片の鋳型直下において緩冷却を施し、脆化域を高
温側に回避することにより割れ発生防止が可能であるこ
とが述べられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、鋳造速度が毎
分1.5m以上である高速鋳造操業において、特に垂直
部領域での二次冷却の緩冷却を実施した場合、鋳片凝固
殻の強度が著しく低下し、ブレークアウトの発生率が増
加する。また非定常バルジングが激しくなり、鋳片の内
部割れの増加、鋳型湯面レベル変動量の増加にもつなが
る。従って高速鋳造操業における、垂直部での二次冷却
の緩冷却は難しい。
分1.5m以上である高速鋳造操業において、特に垂直
部領域での二次冷却の緩冷却を実施した場合、鋳片凝固
殻の強度が著しく低下し、ブレークアウトの発生率が増
加する。また非定常バルジングが激しくなり、鋳片の内
部割れの増加、鋳型湯面レベル変動量の増加にもつなが
る。従って高速鋳造操業における、垂直部での二次冷却
の緩冷却は難しい。
【0004】本発明の目的は、上記問題点にかんがみな
されたもので、鋳造速度が高い操業条件下でも、安定的
に鋳片の横割れを防止できる方法を提供するものであ
る。
されたもので、鋳造速度が高い操業条件下でも、安定的
に鋳片の横割れを防止できる方法を提供するものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、垂直曲げ型連
続鋳造機によって鋳造速度が毎分1.5m以上で鋳造さ
れる中炭鋼鋳片(例えば、0.1wt%≦[C]≦0.3
wt%、[Mn]≦1.3wt%)の二次冷却に際し、連続
鋳造機垂直部領域における鋳片両コーナー部の最低の表
面温度の最低値が600℃以下で且つ連続鋳造機曲げ部
領域における鋳片両コーナー部の表面温度が700℃以
下となるように冷却することを特徴とする連続鋳造鋳片
の表面割れ防止方法を要旨とするものである。
続鋳造機によって鋳造速度が毎分1.5m以上で鋳造さ
れる中炭鋼鋳片(例えば、0.1wt%≦[C]≦0.3
wt%、[Mn]≦1.3wt%)の二次冷却に際し、連続
鋳造機垂直部領域における鋳片両コーナー部の最低の表
面温度の最低値が600℃以下で且つ連続鋳造機曲げ部
領域における鋳片両コーナー部の表面温度が700℃以
下となるように冷却することを特徴とする連続鋳造鋳片
の表面割れ防止方法を要旨とするものである。
【0006】以下本発明の内容と経緯について説明す
る。鋳片コーナー部の表面温度の履歴は、図1に示すよ
うに、まず鋳片直下での短片スプレーの影響を受けて、
一旦急冷されその後復熱することが特徴である。そこで
発明者らは、実鋳片の温度履歴に対応させたグリーブル
試験を行い脆化挙動を調査するとともに、適正二次冷却
パターンについて検討した。
る。鋳片コーナー部の表面温度の履歴は、図1に示すよ
うに、まず鋳片直下での短片スプレーの影響を受けて、
一旦急冷されその後復熱することが特徴である。そこで
発明者らは、実鋳片の温度履歴に対応させたグリーブル
試験を行い脆化挙動を調査するとともに、適正二次冷却
パターンについて検討した。
【0007】まず、連鋳鋳片表層部から試料を切りだし
鋳片コーナー部を想定した種々の熱履歴、すなわち鋳型
直下での急冷−復熱に対応させて試料を一旦温度T1 ま
で冷却し、その後温度T2 まで再加熱した後、引張試験
を行い絞り値(以下R.A.という)を測定した。グリ
ーブル試験条件および熱履歴を図2に示す。試験温度で
の保定時間は曲げ部に対応させて30秒とした。これら
の試験から得られた、脆化に及ぼす熱履歴の影響(中炭
鋼)を図3に示す。また図4に、前掲の文献である鉄鋼
協会鉄鋼基礎共同研究会「連続鋳造における力学挙動」
のp187に示されている、Si−Mn系鋼([C]=
0.173wt%、[Mn]=1.40wt%)の脆化
に及ぼす熱履歴の影響についての結果を示す。
鋳片コーナー部を想定した種々の熱履歴、すなわち鋳型
直下での急冷−復熱に対応させて試料を一旦温度T1 ま
で冷却し、その後温度T2 まで再加熱した後、引張試験
を行い絞り値(以下R.A.という)を測定した。グリ
ーブル試験条件および熱履歴を図2に示す。試験温度で
の保定時間は曲げ部に対応させて30秒とした。これら
の試験から得られた、脆化に及ぼす熱履歴の影響(中炭
鋼)を図3に示す。また図4に、前掲の文献である鉄鋼
協会鉄鋼基礎共同研究会「連続鋳造における力学挙動」
のp187に示されている、Si−Mn系鋼([C]=
0.173wt%、[Mn]=1.40wt%)の脆化
に及ぼす熱履歴の影響についての結果を示す。
【0008】上記の文献のp187に述べられているよ
うに、割れに対するR.A.の限界値を60%とし、6
0%以下の脆化域に着目すればSi−Mn系鋼と比較し
て中炭鋼では脆化域が狭くなっていることがわかる。特
に中炭鋼の場合、T1 、T2とも低い領域で、延性が良
好なR.A.>60%の領域が存在する。一般に、
T1 、T2 がAr3 変態温度(すなわちγ/α変態が完
了する温度)以下になるとγ/α変態により組織が微細
化され、延性が高くなる傾向があるが特に中炭鋼の場
合、Si−Mn系鋼と比べてMn濃度が低いためにAr
3 変態温度が高く、低温側での延性が高くなる。
うに、割れに対するR.A.の限界値を60%とし、6
0%以下の脆化域に着目すればSi−Mn系鋼と比較し
て中炭鋼では脆化域が狭くなっていることがわかる。特
に中炭鋼の場合、T1 、T2とも低い領域で、延性が良
好なR.A.>60%の領域が存在する。一般に、
T1 、T2 がAr3 変態温度(すなわちγ/α変態が完
了する温度)以下になるとγ/α変態により組織が微細
化され、延性が高くなる傾向があるが特に中炭鋼の場
合、Si−Mn系鋼と比べてMn濃度が低いためにAr
3 変態温度が高く、低温側での延性が高くなる。
【0009】以上のようの中炭鋼の特徴は、垂直部領域
での二次冷却の強化による、割れ発生の防止が可能であ
ることを示唆する。つまり、垂直部での強冷却が必要な
高速鋳造操業においても、図3において、T1 <600
℃、T2 <700℃以下となるような二次冷却を施せ
ば、R.A.>60%の非脆化領域に入ることを知見
し、本発明を完成させるに至った。
での二次冷却の強化による、割れ発生の防止が可能であ
ることを示唆する。つまり、垂直部での強冷却が必要な
高速鋳造操業においても、図3において、T1 <600
℃、T2 <700℃以下となるような二次冷却を施せ
ば、R.A.>60%の非脆化領域に入ることを知見
し、本発明を完成させるに至った。
【0010】なお一般に、鋳片表面温度の幅方向分布は
図5に示すようになっており、コーナー部は幅中央に比
べ150℃〜200℃低く、コーナー部を離れた幅方向
中央寄りの位置でγ/α変態温度域に入るものの、一方
鋳片に加わる歪みの幅方向分布は、図5に示すようにな
っており、幅方向中央部はコーナー部に比べ歪みの大き
さは1/5であるため、幅方向中央寄りの位置での割れ
発生の心配はない。
図5に示すようになっており、コーナー部は幅中央に比
べ150℃〜200℃低く、コーナー部を離れた幅方向
中央寄りの位置でγ/α変態温度域に入るものの、一方
鋳片に加わる歪みの幅方向分布は、図5に示すようにな
っており、幅方向中央部はコーナー部に比べ歪みの大き
さは1/5であるため、幅方向中央寄りの位置での割れ
発生の心配はない。
【0011】
【発明の実施の形態】図6に、実連鋳機で鋳造速度が毎
分2.0mの条件下で垂直部領域の鋳片コーナー部最低
温度(グリーブル試験においてT1 に相当)、曲げ部領
域の鋳片コーナー部温度(グリーブル試験においてT2
に相当)と、実鋳片のコーナー部横割れ発生指数との関
係を調査した結果を示す(鋼の成分組成は表1を参照の
こと)。これよりR.A.>60%の非脆化領域では割
れは皆無であり、高速鋳造操業において割れが回避でき
ていることがわかる。
分2.0mの条件下で垂直部領域の鋳片コーナー部最低
温度(グリーブル試験においてT1 に相当)、曲げ部領
域の鋳片コーナー部温度(グリーブル試験においてT2
に相当)と、実鋳片のコーナー部横割れ発生指数との関
係を調査した結果を示す(鋼の成分組成は表1を参照の
こと)。これよりR.A.>60%の非脆化領域では割
れは皆無であり、高速鋳造操業において割れが回避でき
ていることがわかる。
【0012】
【表1】
【0013】
【発明の効果】以上の本発明に従う表面割れ防止方法に
より、高速鋳造操業において表面割れを防止でき、高品
位かつ高生産性の連続鋳造操業を実施することができ
る。
より、高速鋳造操業において表面割れを防止でき、高品
位かつ高生産性の連続鋳造操業を実施することができ
る。
【図1】鋳片コーナー部の温度推移を示す図である。
【図2】グリーブル試験条件を示す図である。
【図3】中炭鋼における脆化に及ぼす熱履歴の影響を示
す図である。
す図である。
【図4】荻林ら:鉄鋼協会鉄鋼基礎共同研究会「連続鋳
造における力学挙動」,1985,p187に示されて
いる、Si−Mn系鋼における脆化に及ぼす熱履歴の影
響を示す図である。
造における力学挙動」,1985,p187に示されて
いる、Si−Mn系鋼における脆化に及ぼす熱履歴の影
響を示す図である。
【図5】鋳片幅方向表面温度分布、歪み分布の一例を示
す図である。
す図である。
【図6】鋳造速度が毎分2.0mの条件下での連鋳機垂
直部領域における鋳片コーナー部表面温度の最低値、曲
げ部領域における鋳片コーナー部表面温度と実鋳片コー
ナー部横割れ発生指数との関係を示す図である。
直部領域における鋳片コーナー部表面温度の最低値、曲
げ部領域における鋳片コーナー部表面温度と実鋳片コー
ナー部横割れ発生指数との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中島 潤二 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内 (72)発明者 大谷 康彦 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内
Claims (1)
- 【請求項1】 垂直曲げ型連続鋳造機によって鋳造速度
が毎分1.5m以上で鋳造される、中炭鋼鋳片の二次冷
却に際し、連続鋳造機垂直部領域における鋳片両コーナ
ー部の表面温度の最低値が600℃以下で且つ連続鋳造
機曲げ部領域における鋳片両コーナー部の表面温度が7
00℃以下となるように冷却することを特徴とする連続
鋳造鋳片の表面割れ防止方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16883496A JPH105954A (ja) | 1996-06-28 | 1996-06-28 | 連続鋳造鋳片の表面割れ防止方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16883496A JPH105954A (ja) | 1996-06-28 | 1996-06-28 | 連続鋳造鋳片の表面割れ防止方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH105954A true JPH105954A (ja) | 1998-01-13 |
Family
ID=15875393
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16883496A Pending JPH105954A (ja) | 1996-06-28 | 1996-06-28 | 連続鋳造鋳片の表面割れ防止方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH105954A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006289438A (ja) * | 2005-04-11 | 2006-10-26 | Kobe Steel Ltd | 鋼材の製造方法 |
-
1996
- 1996-06-28 JP JP16883496A patent/JPH105954A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006289438A (ja) * | 2005-04-11 | 2006-10-26 | Kobe Steel Ltd | 鋼材の製造方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20030715 |