JPH1053739A - インクジェット記録用インク - Google Patents

インクジェット記録用インク

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JPH1053739A
JPH1053739A JP21291796A JP21291796A JPH1053739A JP H1053739 A JPH1053739 A JP H1053739A JP 21291796 A JP21291796 A JP 21291796A JP 21291796 A JP21291796 A JP 21291796A JP H1053739 A JPH1053739 A JP H1053739A
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JP
Japan
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ink
water
weight
copolymer
stability
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JP21291796A
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English (en)
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Hideki Yanagi
秀樹 柳
Masukame Ishii
萬壽亀 石井
Tadashi Sakuma
正 佐久間
Shoichi Suzuki
祥一 鈴木
Shigemi Wakabayashi
繁美 若林
Yoshiaki Tsujii
善明 辻井
Kenji Aida
健二 會田
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プリンタヘッドの駆動条件に幅広く対応可能
で、インクの温度変化に対する吐出安定性に優れ、特に
高周波数駆動条件下での周波数応答性に優れたインクジ
ェット記録用インクを提供すること。 【解決手段】 色材、水溶性樹脂、界面活性剤、水溶性
溶剤及び水を主成分とする本発明のインクジェット記録
用インクは、ロスマイルス法に従い測定した5分後の泡
の安定性が5mm以上50mm以下であることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録用インクに関し、更に詳しくは、プリンタヘッドの駆
動条件に幅広く対応可能であり、吐出安定性が改善され
たインクジェット記録用インクに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
インクジェット記録用インクにおけるインクの泡の安定
性に関する技術としては、例えば特公平7−26049
号公報に記載のもの等が知られている。該公報には、高
周波数駆動条件下での周波数応答性及び吐出安定性の向
上を目的として、JIS K 3362による5分後の
泡の安定度が0mmとなるようにインクを調製すること
が記載されている。
【0003】しかしながら、上記公報に記載のインクで
は、高周波数駆動条件下で泡を安定に生成させる駆動範
囲が非常に狭いため、インクの温度変化等により駆動条
件が変化すると吐出自体が不安定になる傾向があり、未
だ満足のいくものとはいえなかった。
【0004】従って、本発明の目的は、プリンタヘッド
の駆動条件に幅広く対応可能なインクジェット記録用イ
ンクを提供することにある。また、本発明の目的は、イ
ンクの温度変化に対する吐出安定性が向上したインクジ
ェット記録用インクを提供することにある。更に、本発
明の目的は、特に高周波数駆動条件下での周波数応答性
に優れたインクジェット記録用インクを提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、上記公報記載のように泡の安定性を0mmとす
るよりも、特定の成分を組み合わせて配合し且つ泡の安
定性を特定の範囲内とした方が、プリンタヘッドの駆動
条件が改善され上記目的を達成し得るインクジェット記
録用インクが得られることを知見した。
【0006】本発明は、上記知見に基づきなされたもの
で、色材、水溶性樹脂、界面活性剤、水溶性溶剤及び水
を主成分とするインクジェット記録用インクにおいて、
ロスマイルス法に従い測定した5分後の泡の安定性が5
mm以上50mm以下であることを特徴とするインクジ
ェット記録用インクを提供することにより上記目的を達
成したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のインクジェット記録用イ
ンク(以下、単に「本発明のインク」ともいう)は、色
材、水溶性樹脂、界面活性剤、水溶性溶剤及び水を必須
成分として含み、泡の安定性を特定の範囲とすることを
特徴とするものである。
【0008】本発明のインクにおける特定の範囲の泡の
安定性とは、ロスマイルス法に従い測定した5分後の泡
の安定性が5mm以上50mm以下にあることである。
特公平7−26049号公報には、5分後の泡の安定度
が0mm以上のインクは、高周波駆動で記録を行って
も、長時間に亘る良好な記録は期待できないと記載され
ているが、本発明者らの詳細な検討の結果、泡の高さを
0mmとするよりも、むしろ上記範囲内とした方が、イ
ンクの温度変化等により駆動条件が変化しても吐出が安
定することが判明した。更に詳しくは、該泡の安定性が
5mm未満であると、インクを安定に吐出させるための
駆動範囲が狭く、吐出が不安定になりやすく、50mm
を超えると、泡切れが悪く、逆に高周波数駆動条件下で
吐出が不安定になる。該泡の安定性は10mm以上40
mm以下であることが好ましく、15mm以上30mm
以下であることが更に好ましい。尚、本明細書において
「ロスマイルス法」とは、JIS K 3362−19
78、6.5章に準じた方法であり、この規格は、一般
に家庭用合成洗剤の起泡試験法について規定したもので
あって、その概要は、試料200mlを所定の温度条件
のもとで900mmの高さから30秒間で水面上に落下
させたときに生じる泡の高さを判定するものである。本
発明においては、温度条件を25℃に設定したときのイ
ンクの液面における5分後の泡の安定性〔目測でならし
た泡の高さ(mm)〕(以下、単に「泡の安定性」とい
う場合はこれを指す)を測定した。
【0009】上述の通り、本発明のインクにおいては、
泡の安定性を特定の範囲内としているので、プリンタヘ
ッドの駆動条件が改善され、該駆動条件に幅広く対応可
能で、インクの温度変化に対する吐出安定性を向上させ
ることができ、特に高周波数駆動条件下での周波数応答
性を向上させることができる。
【0010】本発明のインクにおいて、その泡の安定性
を上記範囲内とするためには種々の界面活性剤を配合す
ることにより調整すればよい。尚、該界面活性剤につい
ては後述する。
【0011】また、本発明のインクは、その25℃にお
ける粘度を好ましくは0.3〜30cps、更に好まし
くは1〜10cpsとすることにより、泡の安定性を上
記範囲内とすることが容易となり、インクの吐出安定性
及び周波数応答性が向上すると共に吐出挙動が一層良好
となる。粘度を上記範囲内とするためには、例えば、本
発明のインク中の固形分を最適化したり、上記脂肪族一
価アルコールを所定量配合したり、或いは、上記色材と
して顔料を用い且つ上記水溶性樹脂として高分子分散剤
を用いる場合にはインクのpHを該高分子分散剤の吸着
層(顔料に吸着してできた層)の厚さが最適となるよう
な値に調整すればよい。
【0012】また、本発明のインクは、その25℃にお
ける表面張力を好ましくは30〜60dyne/cm、
更に好ましくは30〜50dyne/cmとすることに
より、泡の安定性を上記範囲内とすることが容易とな
り、インクの吐出安定性及び周波数応答性が向上すると
共に吐出挙動が一層良好となる。表面張力を上記範囲内
とするためには、上述のインクの泡の安定性の場合と同
様に、各種界面活性剤をインクに配合すればよい。
【0013】次に、本発明のインクにおける上記必須成
分について説明する。本発明のインクにおいて用いられ
る色材としては、特に制限はなく、各種顔料、染料を用
いることができる。これらの色材は、本発明のインク中
に0.3〜15重量%配合されることが好ましく、0.
5〜10重量%配合されることが更に好ましい。該色材
の配合量が0.3重量%に満たないと印字濃度が不十分
であり、15重量%を超えて使用しても印字濃度の大幅
な向上が図れないので、上記範囲内とすることが好まし
い。
【0014】上記顔料としては、従来公知の有機及び無
機顔料がすべて使用できる。例えば、アゾレーキ、不溶
性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ
顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔
料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサ
ジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、
キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レー
キ、酸性染料型レーキ、等の染料レーキや、ニトロ顔
料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等
の有機顔料、酸化チタン、酸化鉄系、カーボンブラック
系等の無機顔料が挙げられる。また、カラーインデック
スに記載されていない顔料であっても水相に分散可能な
ら、何れも使用できる。更に、上記顔料を界面活性剤や
高分子分散剤等で表面処理したものや、グラフトカーボ
ン等も勿論使用可能である。また、上記顔料は、インク
の保存安定性向上の点や、プリンタヘッドでのインクの
目詰まり防止性の点から、その平均粒径が0.05〜3
μmであることが好ましく、0.05〜1μmであるこ
とが更に好ましい。特に、インクの長期吐出安定性を向
上させる点から、上記顔料は、その粒径分布が、0.2
μm未満の粒径の粒子60〜98体積%、0.2μm以
上0.6μm未満の粒径の粒子0.5〜40体積%、及
び0.6μm以上の粒径の粒子5体積%以下であること
が好ましい。この場合には、上記顔料を1〜15重量%
配合することが好ましい。また、フェザリング(feathe
ring: 被記録部材に付着したインク液滴が尾を引く現
象)を防止し印字品質を向上させる点から、上記顔料と
して、揮発分が9〜25重量%であるカーボンブラック
を用いることが好ましい。尚、該揮発分は特開平3−2
10373号公報の第4頁左下欄に記載の方法により測
定された値である。更にカーボンブラックを用いる場合
には、その吸油量が好ましくは250〜800g/10
0g、特に好ましくは300〜700g/100gであ
るものを用いることも好ましい。また、上記色材として
顔料を用い、減法混色法によりカラー印刷を行う場合に
は、黒色、イエロー、マゼンタ、及びシアンそれぞれの
顔料を含有する4種類のインク(黒色インク、イエロー
インク、マゼンタインク、シアンインク)からなるイン
クセットを用いることが好ましい。この場合、黒色顔料
としてカーボンブラックを用い、イエロー顔料として
C.I.ピグメント・イエロー17及び83から選ばれ
る顔料を用い、マゼンタ顔料としてC.I.ピグメント
・レッド48:3、83及び122から選ばれる顔料を
用い、シアン顔料としてC.I.ピグメント・ブルー1
5:3を用いると、色再現性が向上するので好ましい。
【0015】一方、上記染料としては、分散染料、油性
染料、直接染料、酸性染料、塩基性染料等を特に制限な
く用いることができる。上記分散染料としては、以下に
限定されるものではないが、特に好ましい具体例として
は、C.I.ディスパーズイエロー5、42、54、6
4、79、82、83、93、99、100、119、
122、124、126、160、184:1、18
6、198、199、204、224及び237;C.
I.ディスパーズオレンジ13、29、31:1、3
3、49、54、55、66、73、118、119及
び163;C.I.ディスパーズレッド54、60、7
2、73、86、88、91、92、93、111、1
26、127、134、135、143、145、15
2、153、154、159、164、167:1、1
77、181、204、206、207、221、23
9、240、258、277、278、283、31
1、323、343、348、356及び362;C.
I.ディスパーズバイオレッド33;C.I.ディスパ
ーズブルー56、60、73、87、113、128、
143、148、154、158、165、165:
1、165:2、176、183、185、197、1
98、201、214、224、225、257、26
6、267、287、354、358、365及び36
8;並びにC.I.ディスパーズグリーン6:1及び9
等が挙げられる。上記油性染料としては、以下に限定さ
れるものではないが、特に好ましい具体例としては、例
えば、C.I.ソルベント・ブラック3、7、27、2
9及び34;C.I.ソルベント・イエロー14、1
6、19、29、56、82及び162;C.I.ソル
ベント・レッド1、3、8、18、24、27、43、
51、72、73、132及び218;C.I.ソルベ
ント・バイオレット3;C.I.ソルベント・ブルー
2、11及び70;C.I.ソルベント・グリーン3及
び7;並びにC.I.ソルベント・オレンジ2等が挙げ
られる。上記直接染料としては、以下に限定されるもの
ではないが、特に好ましい具体例としては、例えば、
C.I.ダイレクト・ブラック19などが挙げられる。
上記酸性染料としては、以下に限定されるものではない
が、特に好ましい具体例としては、例えば、C.I.ア
シッド・ブラック2及び52;C.I.アシッド・イエ
ロー23;C.I.アシッド・レッド51、87及び9
2;並びにC.I.アシッド・ブルー1、9及び74な
どが挙げられる。上記塩基性染料としては、以下に限定
されるものではないが、特に好ましい具体例としては、
例えば、C.I.ベーシック・イエロー2及び11;
C.I.ベーシック・レッド1及び13;C.I.ベー
シック・バイオレット1、3、7及び10;並びにC.
I.ベーシック・ブルー5、7、9及び26などが挙げ
られる。
【0016】本発明のインクにおいて用いられる水溶性
樹脂としては、水に溶解可能な高分子化合物であって、
本発明のインクの各種性能を向上させるものが用いられ
る。その具体例としては、インクの定着性を向上させる
定着用樹脂や、上記色材として顔料を用いた場合に該顔
料の分散性を向上させる高分子分散剤等が挙げられる。
これら定着用樹脂や高分子分散剤は、インクの配合や用
途等に応じて、何れか一種が用いられてもよく或いは両
者を併用してもよい。上記水溶性樹脂の配合量は、好ま
しくは0.1〜10重量%、更に好ましくは0.5〜7
重量%である。
【0017】上記水溶性樹脂の一つである上記定着用樹
脂としては、特に制限されるものではないが、例えば、
ポリアクリル酸、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合
体、スチレン−(無水)マレイン酸共重合体、ビニルナ
フタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マ
レイン酸共重合体、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリ
ン縮合物、アクリル−ウレタン共重合体、あるいはこれ
らの塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、
ポリ酢酸ビニル、ゼラチン、カゼイン等のタンパク質等
が挙げられる。特に、上記水不溶性色材として顔料を用
いる場合には、上記定着用樹脂として、アクリル−ウレ
タン共重合体やポリエチレンイミンを用いることが好ま
しい。上記アクリル−ウレタン共重合体は、エマルショ
ンの形態で用いられることが好ましい。特に、上記アク
リル−ウレタン共重合体として、アクリルーウレタンブ
ロック共重合体(アクリル鎖からなる主鎖の側鎖にウレ
タンがグラフトした共重合体)エマルションを用いるこ
とが好ましい。該エマルションにおけるアクリル−ウレ
タン共重合体の重量平均分子量は10000〜3000
00であることが好ましく、20000〜250000
であることが更に好ましい。上記アクリル−ウレタン共
重合体の配合量は、好ましくはアクリル−ウレタン共重
合体の固形分濃度として0.01〜10重量%、更に好
ましくは0.05〜5重量%とする。一方、上記ポリエ
チレンイミンとしては、重量平均分子量が800〜30
0000であるポリエチレンイミンを用いることが好ま
しく、特に、アクリル鎖からなる主鎖の側鎖にグラフト
されたポリエチレンイミン、水酸化処理されたポリエチ
レンイミン、及び両性イオン化されたポリエチレンイミ
ンのうちの一種又は二種以上を用いることが好ましく、
とりわけ水酸化処理されたポリエチレンイミンを用いる
ことが好ましい。該ポリエチレンイミンの配合量は、好
ましくは0.01〜10重量%、更に好ましくは0.0
5〜5重量%とする。
【0018】また上記水溶性樹脂の一つである上記高分
子分散剤としては、ゼラチン、カゼイン等のタンパク
質、アラビアゴム等の天然ゴム、サポニン等のグルコキ
シド、アルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロ
ース、ヒドロキシアルキルセルロース等のセルロース誘
導体、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分
子、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物
塩、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合物塩、スチレ
ン−マレイン酸共重合物塩、ビニルナフタレン−マレイ
ン酸共重合物塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン
縮合物のナトリウム塩、ポリリン酸等の陰イオン性高分
子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポ
リアルキレングリコール等の非イオン性高分子等を用い
ることができる。これらは単独で又は二種以上を組み合
わせて用いることができる。
【0019】特に上記高分子分散剤として、(メタ)ア
クリル酸誘導体の共重合体を用いると、色材として顔料
を用いた場合に該顔料の分散性が一層向上し、インクの
長期間保存安定性が向上するので好ましい。該(メタ)
アクリル酸誘導体の共重合体は、アクリル酸若しくはメ
タアクリル酸又はその誘導体のみが共重合成分として用
いられているものであってもよく、或いはアクリル酸若
しくはメタアクリル酸又はその誘導体と、重合性を有す
る単量体とが共重合成分として用いられているものであ
ってもよい。(メタ)アクリル酸の誘導体としては、そ
のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム
塩若しくはアミン塩及びエステル、並びに二重結合炭素
に結合する水素原子が各種官能基(例えばカルボキシル
基やカルボキシアルキル基)で置換された化合物(例え
ば、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸及びフマル
酸)等が挙げられる。特に、立体障害性を発現し得る程
度の鎖長の側鎖を上記共重合体に導入し得る(メタ)ア
クリル酸の誘導体が好ましい。
【0020】(メタ)アクリル酸誘導体の共重合体とし
て特に好ましく用いられるものは、下記一般式(A)で
表される単量体(a)と、下記一般式(B)で表される
単量体(b)とを重合して得られる共重合体〔以下、こ
の共重合体を「共重合体(I)」という〕である。
【0021】
【化2】
【0022】上記共重合体(I)について詳述すると、
上記一般式(A)において、R1 及びR2 は、上述の通
り水素原子又は低級アルキル基(好ましくはC1〜C
3)を示し、同一でも異なってもよい。特に、R1 及び
2 が両方とも水素原子であるか又はR1 が水素原子で
2 がメチル基であることが好ましい。m1 は、0〜2
の整数を示し、好ましくは0又は1である。AOは、炭
素数2〜3のオキシアルキレン基(即ち、オキシエチレ
ン基又はオキシプロピレン基)を示し、好ましくはオキ
シエチレン基である。nは1〜300の整数を示し、好
ましくは2〜150の整数であり、更に好ましくは4〜
130の整数である。nが0であると分散安定性を十分
発揮できず、nが300を超えるとインクの粘度が上昇
し、インク吐出挙動に悪影響を及ぼすことがある。Xは
水素原子又は低級アルキル基(好ましくはC1〜C5)
を示し、好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基で
ある。
【0023】上記一般式(A)で表される化合物として
好ましいものの具体例としては、メトキシポリエチレン
グリコール、メトキシポリエチレンポリプロピレングリ
コール、エトキシポリエチレングリコール、エトキシポ
リエチレンポリプロピレングリコール、プロポキシポリ
エチレングリコール、プロポキシポリエチレンポリプロ
ピレングリコール等の片末端アルキル封鎖ポリアルキレ
ングリコールとアクリル酸、メタクリル酸又は脂肪酸の
脱水素(酸化)反応物とのエステル化物や、アクリル
酸、メタクリル酸又は脂肪酸の脱水素(酸化)反応物へ
のエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物が挙げ
られる。上記一般式(A)で表される化合物において、
エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの双方を付加
させる場合には、ランダム付加、ブロック付加、交互付
加等のいずれでも用いることができる。この場合、エチ
レンオキシドとプロピレンオキシドとの付加モル比(前
者:後者)は、10:90〜90:10であることが望
ましく、10:90〜60:40であることが更に望ま
しい。
【0024】上記一般式(B)で表される化合物として
は、不飽和モノカルボン酸及びその塩並びに不飽和ジカ
ルボン酸及びその塩が挙げられる。具体的には、アクリ
ル酸、メタクリル酸及びクロトン酸並びにこれらの金属
塩や、不飽和ジカルボン酸系単量体であるマレイン酸、
イタコン酸、シトラコン酸及びフマル酸並びにこれらの
アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩
及びアミン塩並びにこれらの酸無水物である無水マレイ
ン酸、無水イタコン酸及び無水シトラコン酸が挙げられ
る。
【0025】上記共重合体(I)においては、上記単量
体(a)及び(b)のモル比〔単量体(a)/単量体
(b)〕が0.1/100〜100/100であること
が好ましく、1/100〜70/100であることが更
に好ましい。該単量体(a)の比率がこれよりも小さい
と分散保存安定性が損なわれ、該単量体(a)の比率が
これよりも大きいと水に対する溶解性が低下して分散性
が低下する虞れがある。即ち、該単量体(a)及び
(b)のモル比をかかる範囲内とすることにより、分散
性に優れかつ分散保存安定性に優れた高分子分散剤とな
るので好ましい。
【0026】上記共重合体(I)においては、その高分
子分散剤としての機能を損なわない範囲内で他の共重合
可能な単量体を共重合成分として更に用いてもよい。該
単量体としては、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)
アクリルアミド、スチレン、スチレンスルホン酸等が挙
げられる。
【0027】上記単量体(a)及び(b)の共重合様式
は、ランダム共重合、ブロック共重合、交互共重合、グ
ラフト共重合の共重合様式をとることができ、得られる
共重合体(I)の高分子分散剤としての機能を損なわな
い限り特に制限されない。
【0028】上記共重合体(I)は、高分子量になると
増粘して取り扱い性に劣ること及びインクにした時にイ
ンクの粘度が上昇しインクの性能を低下させるという虞
れがあることからその重量平均分子量が5000〜20
万であることが好ましく、5000〜7万であることが
更に好ましい。
【0029】特に、上記共重合体(I)の中でも、分散
性及び分散物の保存安定性の点から、1分子当たりオキ
シアルキレン基を好ましくは1〜300個、更に好まし
くは2〜150個、一層好ましくは4〜130個導入し
たポリアルキレングリコールモノエステル系単量体〔特
に、(メタ)アクリル酸のポリアルキレングリコールエ
ステル又はアルコキシポリアルキレングリコールエステ
ル〕と(メタ)アクリル酸系単量体とを重合して得られ
る共重合体を用いることが望ましい。
【0030】上記共重合体(I)の調製方法は、該共重
合体(I)の高分子分散剤としての機能を損なわない限
り特に制限されず、従来公知の調製方法が用いられる。
調製方法の具体例としては、特開平7−223852号
公報の第4欄42行〜第5欄11行に記載の方法等が挙
げられる。
【0031】上記高分子分散剤として(メタ)アクリル
酸誘導体の共重合体、特に上記共重合体(I)を用いる
ことにより、上記色材として顔料を用いた場合にその分
散性が特に向上する理由は定かではないが、下記の通り
であると推察される。即ち、上記共重合体(I)はイン
ク中において、その分子中における電荷を有する部位
(例えばカルボニル部位)が顔料表面に吸着すると共に
側鎖のポリオキシアルキレン基が外方を向いた状態で該
顔料の表面を取り囲んでいる。該ポリオキシアルキレン
基は鎖長が長く立体障害性が高いので、顔料同士の凝集
が該ポリオキシアルキレン基によって阻害される。その
結果、顔料の分散性や保存安定性が向上すると考えられ
る。上記ポリオキシアルキレン基による立体障害性は、
インクのpHが高い場合に特に顕著に発現するので、色
材として顔料を用いる場合には、後述するように本発明
のインクのpHを高い領域に設定することが好ましい。
【0032】上記高分子分散剤の配合量は、好ましくは
0.05〜10重量%、更に好ましくは0.1〜8重量
%、一層好ましくは0.5〜5重量%とする。該高分子
分散剤の配合量が0.05重量%に満たないと顔料を十
分に安定させるだけの配合量に達していないので保存安
定性に欠けることがあり、10重量%を超えると分散性
や保存安定性がそれ以上向上しないばかりかインクの粘
度を上昇させてしまうことがある。
【0033】本発明のインクにおいて用いられる界面活
性剤は、泡の安定性を上記範囲内とするために用いられ
るものである。また、上記水溶性樹脂として高分子分散
剤を用いた場合に、分散性向上剤としての機能も有す
る。該界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、ノニ
オン界面活性剤、両性界面活性剤等の各種界面活性剤を
用いることができる。該界面活性剤は全体として、イン
クの泡の安定性が上記範囲内となるような配合量で用い
られ、好ましくは本発明のインク中に0.01〜10重
量%配合され、更に好ましくは0.05〜5重量%配合
される。
【0034】上記アニオン界面活性剤としては、アルキ
ルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン
酸塩、アルカン又はオレフィンスルホン酸塩、アルキル
硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル又はアル
キルアリールエーテル硫酸エステル塩、アルキルリン酸
塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、エー
テルカルボキシレート、アルキルスルホコハク酸エステ
ル塩、α−スルホ脂肪酸エステル、及び脂肪酸塩よりな
る群から選ばれる界面活性剤や、高級脂肪酸とアミノ酸
の縮合物、ナフテン酸塩等を用いることができる。好ま
しく用いられるアニオン界面活性剤は、アルキルベンゼ
ンスルホン酸塩(とりわけ直鎖アルキルのもの)、アル
カン又はオレフィンスルホン酸塩(とりわけ第2級アル
カンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩)、ア
ルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル又
はアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩(とりわけ
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル
塩)、アルキルリン酸塩(とりわけモノアルキルのも
の)、エーテルカルボキシレート、アルキルスルホコハ
ク酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル、及び脂肪酸塩より
なる群から選ばれる界面活性剤であり、特に好ましく
は、アルキルベンゼンスルホン酸塩(とりわけ直鎖アル
キルのもの)、ポリオキシエチレンアルキル又はアルキ
ルアリールエーテル硫酸エステル塩(とりわけポリオキ
シエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩)、及びア
ルキル硫酸エステル塩である。これらは単独で又は二種
以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】上記ノニオン界面活性剤としては、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンア
ルキルアリールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオ
キシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン
脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル及
びアルキル(ポリ)グリコキシドよりなる群から選ばれ
る界面活性剤等を用いることができる。好ましく用いら
れるノニオン界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル及びポリオキシエチレンアルキルアリールエ
ーテルより選ばれる界面活性剤等である。これらは単独
で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】上記両性界面活性剤としては、アミノ酸型
化合物、ベタイン型化合物等を用いることができる。
【0037】特に、上記界面活性剤の中でも、上記アニ
オン界面活性剤が好ましく用いられ、とりわけ、スルホ
ン酸塩を用いるか、又はアルキルベンゼンスルホン酸塩
及び/又はアルキルエーテル硫酸エステル塩を用いるこ
とが一層好ましい。該アニオン界面活性剤を用いること
により、泡の安定性を上記範囲内とすることが極めて容
易となり、また、上記水溶性樹脂として高分子分散剤を
用い且つ上記色材として顔料を用いた場合に、該高分子
分散剤の顔料に対する濡れ性がよくなるので好ましい。
【0038】また、上記界面活性剤としてアニオン界面
活性剤と共にノニオン界面活性剤を併用する場合、両者
の配合量をそれぞれ0.01〜5重量%(特に0.01
〜3重量%、とりわけ0.05〜2重量%)とし、且つ
両者の配合比を該アニオン界面活性剤:該ノニオン界面
活性剤=100:1〜1:100(特に90:1〜1:
70、とりわけ70:1〜1:50)の重量比となるよ
うに用いることが、印刷像の印字濃度、及び長期間保存
下での分散安定性の向上の点から好ましい。
【0039】また、上記界面活性剤としてアニオン界面
活性剤を用いる場合には、上記高分子分散剤と該アニオ
ン界面活性剤とは、両者の配合比が該高分子分散剤:該
アニオン界面活性剤=1:2〜30:1の重量比で用い
られることが好ましい。該高分子分散剤の配合量が上記
範囲を超えて多くなると、色材として顔料を用いた場合
に該高分子分散剤の該顔料に対する濡れ性が不足し、分
散性が低下することがある。一方、該アニオン界面活性
剤の配合量が上記範囲を超えて多くなると、インクの泡
立ち性が増大し取り扱い性に劣ることがある。両者の配
合比は、該高分子分散剤:該アニオン界面活性剤=1:
1〜15:1であることが更に好ましく、1:1〜1
0:1であることが一層好ましい。
【0040】本発明のインクにおいて用いられる水溶性
溶剤は、湿潤剤ないし保湿剤としての機能を有するもの
であればその種類に特に制限は無く、例えばエチレング
リコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ル及びポリエチレングリコール等のグリコール類;グリ
セリン;ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエ
チレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコ
ールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、
メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカル
ビトール、エチルカルビトールアセテート、ジエチルカ
ルビトール、トリエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、及び
プロピレングリコールモノメチルエーテル等の多価アル
コールのエーテル類、アセテート類;チオジグリコー
ル;N−メチル−2−ピロリドン;1,3−ジメチルイ
ミダゾリジノン;トリエタノールアミン;ホルムアミ
ド;ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物類、ジメチ
ルスルホキシドの一種又は二種以上を使用することがで
きる。これらの水溶性溶剤は、本発明のインク中に0.
1〜30重量%配合されることが好ましく、0.1〜1
5重量%配合されることが更に好ましい。
【0041】本発明のインクにおいて水(望ましくはイ
オン交換水)は媒体として用いられるものであり、70
〜98重量%配合されることが好ましく、85〜95重
量%配合されることが更に好ましい。
【0042】上述の必須成分に加えて、本発明のインク
には必要に応じて以下に述べるような各種成分を配合す
ることもできる。
【0043】本発明のインクにおいては、インクの記録
紙への浸透性の向上と裏抜け(記録紙への裏側へのイン
クのしみ出し)防止とのバランスを図るために、ポリプ
ロピレングリコールを配合することが好ましい。ポリプ
ロピレングリコールは、その分子量が400〜3000
であることが好ましく、400〜2000であることが
更に好ましい。ポリプロピレングリコールは、本発明の
インク中に0.01〜3重量%配合されることが好まし
く、0.01〜1重量%配合されることが更に好まし
い。
【0044】また、インクの乾燥性を向上させるため
に、本発明のインクに脂肪族一価アルコールを配合する
ことが好ましい。該脂肪族一価アルコールとしては、エ
チルアルコール、1−プロピルアルコール、及び2−プ
ロピルアルコールのうちの一種又は二種以上を用いるこ
とが好ましく、1−プロピルアルコールを用いることが
特に好ましい。該脂肪族一価アルコールは、本発明のイ
ンク中に好ましくは0.01〜10重量%配合され、更
に好ましくは0.1〜8重量%配合される。特に、該脂
肪族一価アルコールの配合量を、上記水溶性樹脂の配合
量との関係において、両者の配合比が該水溶性樹脂:該
脂肪族一価アルコール=1:10〜1:1となるように
調整することにより、インクの乾燥性が一層向上する。
【0045】更に、本発明のインクにおいては、間欠吐
出性を向上させるために、分子量が400〜3500
(特に、400〜2000)であるポリエチレングリコ
ールジサルフェート塩を配合することもできる。該ポリ
エチレングリコールジサルフェート塩は、本発明のイン
ク中に0.01〜3重量%配合されることが好ましく、
0.01〜1重量%配合されることが更に好ましい。
【0046】同様に、間欠吐出性を向上させるために、
本発明のインクに糖類を配合することもできる。該糖類
としては、D−グルコース、フルクトース、マルトース
及びサッカロースのうちの一種又は二種以上を用いるこ
とが好ましく、サッカロースを用いることが特に好まし
い。該糖類は、本発明のインク中に好ましくは0.1〜
5重量%配合され、更に好ましくは0.1〜3重量%配
合される。特に、該糖類の配合量を、上記水溶性樹脂の
配合量との関係において、両者の配合比が該水溶性樹
脂:該糖類=20:1〜1:3となるように調整するこ
とにより、間欠吐出性が一層向上する。
【0047】また同様に、間欠吐出性を向上させるため
に、本発明のインクにN−メチル−2−ピロリドンや
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の窒素含有
複素環化合物を配合することもできる。該窒素含有複素
環化合物は、本発明のインク中に好ましくは0.01〜
10重量%配合され、更に好ましくは0.1〜5重量%
配合される。
【0048】更に同様に、間欠吐出性を向上させるため
に、本発明のインクに非プロトン性極性溶媒を配合する
こともできる。該非プロトン性極性溶媒としては、ジメ
チルスルホキシド、及びスルホランのうちの一種又は二
種以上を用いることが好ましい。該非プロトン性極性溶
媒は、本発明のインク中に好ましくは0.01〜10重
量%配合され、更に好ましくは0.1〜5重量%配合さ
れる。
【0049】間欠吐出性を向上させ得るこれらポリエチ
レングリコールジサルフェート塩、糖類、窒素含有複素
環化合物、及び非プロトン性極性溶媒は、特に、平均粒
径が0.05〜3μmの顔料と併用することにより間欠
吐出性が更に一層向上する。
【0050】また、本発明のインクにおいては、更に必
要に応じてシリコーン系化合物等の消泡剤、クロロメチ
ルフェノール系化合物等の防黴剤、EDTA等のキレー
ト剤、亜硫酸塩等の酸素吸収剤等を配合することもでき
る。
【0051】本発明のインクは、特に、色材として顔料
を用いた場合に、プリンターヘッドの先端部においてイ
ンクが乾燥により目詰まりを起こしたり、印刷の際の熱
エネルギーにより焦げつくことを防止するために、比熱
が4.00J/gK超〜4.15J/gKで且つ熱伝導
率が0.1×10-3〜50×10-3W/(cm・de
g)であることが好ましい。この場合には、上記顔料を
2〜5重量%配合し、且つ上記水溶性樹脂を0.5〜6
重量%配合することが好ましい。インクの比熱及び熱伝
導率を上記範囲内とするためには、媒体としての水(望
ましくはイオン交換水)や上記水溶性溶剤の配合量を適
宜調整すればよい。
【0052】本発明のインクは、印刷像の印字濃度、特
に黒色の印字濃度を向上させ得る点から、そのpHが
9.5〜13.0であることが好ましく、10.0〜1
2.0であることが更に好ましい。pHを上記範囲内と
するためには、本発明のインクにpH調整剤、例えばア
ミノアルコールを配合すればよい。該アミノアルコール
としては、モノエタノールアミン、(例えば2−アミノ
エタノール)、トリアミノエタノール等を用いることが
好ましい。
【0053】また、本発明のインクにおいては、色材と
して水不溶性色材(顔料、油性染料、分散染料等)を用
いた場合に、特にプラスチック(とりわけOHP用シー
ト)、金属及び布等の被記録部材に対する定着性を向上
させるため、超遠心分離操作(50,000G、4時
間)により該水不溶性色材及びその表面に吸着している
水溶性樹脂分を沈降させた後のインクの上澄み液中の水
溶性樹脂成分が2〜7重量%となるような配合とするこ
とが好ましい。
【0054】本発明のインクを調製する方法に特に制限
はなく、従来公知の装置、例えばボールミル、サンドミ
ル、アトライター、バスケットミル、ロールミル等を使
用して調製することができる。本発明のインクの調製に
際しては、粗大粒子を除去することが好ましい。例え
ば、上述の各成分を配合して得られたインクを、遠心分
離機で遠心分離(2500G、20分間)することによ
って、好ましくは2μm以上、更に好ましくは1μm以
上の粒子を除去する。これによって、目詰まりのないイ
ンクが得られるので好ましい。
【0055】本発明のインクは、プリンターヘッドに配
設された発熱抵抗素子のヒーター等による熱エネルギー
を用いて記録を行う熱ジェット記録方式のプリンター、
及びプリンターヘッドに配設された圧電素子を用いて記
録を行う圧電素子記録方式のプリンターの何れを用いて
印刷した場合にも優れた効果を発揮する。
【0056】
【実施例】以下、実施例をもって本発明の有効性を例示
する。しかしながら、本発明の範囲はかかる実施例に制
限されるものではない。尚、以下の例中、「部」は特に
断らない限りそれぞれ重量部を表す。
【0057】〔実施例1〕 ・カーボンブラック 15部 ・高分子分散剤 3部 ・ラウリル硫酸ナトリウム 3部 ・ジエチレングリコール 6部 ・モノエタノールアミン 1部 ・水 残部(72部) 上記成分をサンドミルで4時間分散し分散液Aとした。
次いで、分散液A及び下記成分を下記の配合比となるよ
うにディゾルバーで希釈した。 ・分散液A 33部 ・ジエチレングリコール 6部 ・水 残部(61部) 上記成分を配合後、遠心分離機で遠心分離(2500
G、20分間)し、粗大粒子を除去してインクを得た。
このインクについて、ロスマイルス法(JISK 33
62)に従い、5分後の泡の安定性を測定し、また吐出
安定性及び周波数応答性を下記〔評価基準〕に従って評
価した。その結果を表1及び表2に示す。尚、上記高分
子分散剤は、メタクリル酸のメトキシポリエチレングリ
コール(EO付加数:120個/分子)エステルとメタ
クリル酸ナトリウムとの共重合体である〔単量体のモル
比(前者/後者)=30/70〕。
【0058】〔評価基準〕吐出安定性 プリンターヘッドに発熱抵抗素子のヒーターが配設され
た熱ジェットプリンター(キャノン製 BJ−10 L
ite)、及びプリンターヘッドに圧電素子が配設され
たインクジェットプリンター(エプソン製 MJ−11
00C)を用いて、PPC用再生紙(A4)にベタパタ
ーン(20cm×20cm)を20枚連続印字させた時
の印字品質を調べ、下記の基準で評価した。評価基準 20枚の連続印字において、カスレ無・・・・・○ 20枚の連続印字において、カスレ発生・・・・×
【0059】周波数応答性 得られたインクをインクカートリッジに充填した後、以
下のプリンターを用い、A4の記録紙1枚に縦線、横
線、罫線を印刷して、正確に印字できれば「○」とし、
できなければ「×」として評価した。 ・熱エネルギー式インクジェットプリンター BJ−10V Select(3000Hz) BJ−10V Lite (4000Hz) BJC−600J (6120Hz) (以上、キャノン製インクジェットプリンター) ・圧電式インクジェットプリンター MJ−500 (5400Hz) MJ−700V2C(7200Hz) (以上、エプソン製インクジェットプリンター)
【0060】〔実施例2〕 ・C.I.ディスパース・レッド72 5部 ・定着用樹脂(ポリビニルアルコール) 2部 ・イソプロピルアルコール 3部 ・ジエチレングリコール 7部 ・ラウリル硫酸ナトリウム 1部 ・水 残部(82部) 上記の成分を配合後、実施例1と同様に粗大粒子を除去
してインクを得た。このインクの泡の安定性を実施例1
と同様に測定し、また吐出安定性及び周波数応答性を実
施例1と同様に評価した。その結果を表1及び表2に示
す。
【0061】〔実施例3〕実施例2におけるC.I.デ
ィスパース・レッド72に代えてC.I.ソルベント・
ブラック3を用いた以外は実施例2と同様にしてインク
を得た。このインクの泡の安定性を実施例1と同様に測
定し、また吐出安定性及び周波数応答性を実施例1と同
様に評価した。その結果を表1及び表2に示す。
【0062】〔比較例1〕実施例1における高分子分散
剤を用いず、またラウリル硫酸ナトリウムの配合量を
0.005部とする以外は実施例1と同様にしてインク
を得た。このインクの泡の安定性を実施例1と同様に測
定し、また吐出安定性及び周波数応答性を実施例1と同
様に評価した。その結果を表1及び表2に示す。
【0063】〔比較例2〕実施例1における高分子分散
剤を用いず、またラウリル硫酸ナトリウムの配合量を1
2部とする以外は実施例1と同様にしてインクを得た。
このインクの泡の安定性を実施例1と同様に測定し、ま
た吐出安定性及び周波数応答性を実施例1と同様に評価
した。その結果を表1及び表2に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】表1及び表2に示す結果から明らかなよう
に、特定の成分を組み合わせて配合し且つ泡の安定性を
特定の範囲内とした本発明のインク(実施例1〜3)を
用いると、比較例のインクに比して、インクの温度変化
に対する吐出安定性及び周波数応答性が向上しているこ
とが分かる。
【0067】
【発明の効果】本発明によれば、プリンタヘッドの駆動
条件に幅広く対応可能なインクジェット記録用インクが
得られる。また、本発明によれば、インクの温度変化に
対する吐出安定性が向上したインクジェット記録用イン
クが得られる。更に、本発明によれば、特に高周波数駆
動条件下での周波数応答性に優れたインクジェット記録
用インクが得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 祥一 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内 (72)発明者 若林 繁美 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内 (72)発明者 辻井 善明 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内 (72)発明者 會田 健二 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 色材、水溶性樹脂、界面活性剤、水溶性
    溶剤及び水を主成分とするインクジェット記録用インク
    において、ロスマイルス法に従い測定した5分後の泡の
    安定性が5mm以上50mm以下であることを特徴とす
    るインクジェット記録用インク。
  2. 【請求項2】 25℃における表面張力が30〜60d
    yne/cmであり、粘度が0.3〜30cpsであ
    る、請求項1記載のインクジェット記録用インク。
  3. 【請求項3】 上記界面活性剤がアニオン界面活性剤で
    ある、請求項1又は2記載のインクジェット記録用イン
    ク。
  4. 【請求項4】 上記水溶性樹脂が、高分子分散剤及び/
    又は定着用樹脂からなる、請求項1〜3の何れかに記載
    のインクジェット記録用インク。
  5. 【請求項5】 上記高分子分散剤が、(メタ)アクリル
    酸誘導体の共重合体である、請求項4記載のインクジェ
    ット記録用インク。
  6. 【請求項6】 上記高分子分散剤が、下記一般式(A)
    で表される単量体(a)と、下記一般式(B)で表され
    る単量体(b)とを重合して得られる共重合体である、
    請求項5記載のインクジェット記録用インク。 【化1】
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7708910B2 (en) * 2000-10-13 2010-05-04 Ulvac, Inc. Ink for ink jet printing and method for preparing the same
WO2010109867A1 (ja) 2009-03-27 2010-09-30 日本化薬株式会社 インク組成物及び染色されたポリアミド系繊維の製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7708910B2 (en) * 2000-10-13 2010-05-04 Ulvac, Inc. Ink for ink jet printing and method for preparing the same
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