JPH1053534A - α2プラスミンインヒビターの製造方法 - Google Patents

α2プラスミンインヒビターの製造方法

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JPH1053534A
JPH1053534A JP8227694A JP22769496A JPH1053534A JP H1053534 A JPH1053534 A JP H1053534A JP 8227694 A JP8227694 A JP 8227694A JP 22769496 A JP22769496 A JP 22769496A JP H1053534 A JPH1053534 A JP H1053534A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 α2プラスミンインヒビター(以下、α2PI
と称することがある)を簡便に大量生産し得る製造方法
及び夾雑ウイルスによる感染の危険性に対してより安全
なα2PI製剤の調製法を提供する。 【構成】 α2PI含有溶液を疎水性リガンドを有する
クロマトグラフィーに展開してα2PIを吸着させ、塩
濃度の増減によって高純度のα2PIを分離し、これを
回収する工程を含む。さらに、感染性夾雑ウイルスの加
熱不活化を目的として、好適な薬剤を添加し凍結乾燥し
た試料を例えば65℃96時間の凍結乾燥加熱工程に供
し、安全性の高いα2PI製剤を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、α2プラスミンイン
ヒビター(以下、α2PIと称することがある)の製造方
法に関する。より詳細には、α2PIを含有する血漿ま
たは血漿画分から、夾雑蛋白質含量が低減されたα2
Iを極めて簡便に大量生産し得る製造方法及びウイルス
感染の危険性に対してより安全性の高い製剤を提供する
ものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】α2
Iは諸井と青木により単離精製されたセリンプロテアー
ゼ阻害活性を有する分子量67,000の糖蛋白質で、
プラスミンを阻害することにより生理的な線溶の阻止因
子として働く(Moroi M and Aoki N, J.
Biol.Chem.,159,p.5956-5965(1
976))。先天的なα2PI欠損患者では、生体内でα2
PIが欠損すると血管損傷部位に生じた血栓の溶解作用
に対する抵抗性が失われ、損傷血管が修復前に血栓が溶
解し再出血することになる。後天的にも、重篤な肝臓疾
患やDIC(DisseminatedIntravascular Coagulation S
yndrome:播種性血管内凝固症候群)あるいは血栓溶解療
法に伴って、α2PIが低下し出血を起こし易くなる(出
血傾向)ことが知られている。このような出血に対して
α2PIを補充すると血栓症を誘発することなく効果的
に出血を防止できることが報告されており(Weitz
J.I. etal.,J.Clin.Invest.,91,
p.1343-1350(1993))、α2PI濃縮製剤の
臨床応用が期待されている。
【0003】従来のα2PIの精製法では実験室スケー
ルの調製には適していても非常に多くの精製ステップを
踏むため煩雑で且つかなりの時間を費やし、これを工業
スケールでの調製に応用するには再現性や収率等に関し
て多くの問題点を含んでいた。例えば、世界で最初にα
2PIの単離に成功した諸井、青木らが実施した方法
は、血漿からリジンセファロース、硫安分画、プラスミ
ノーゲンセファロース、最後にハイドロキシアパタイト
といった多くのクロマトグラフィーを組み合わせたもの
で非常に煩雑で時間のかかる方法であった(Moroi
M and Aoki N, J.Biol.Chem.,15
,p.5956-5965(1976))。さらに、上記の
クロマトグラフィーにDEAEセファデックス、コンカ
ナバリンA等のクロマトグラフィーあるいは分子ふるい
(ゲル濾過)クロマトグラフィーを組み合わせた方法も報
告されているが(Wiman B.,Methods in
Enzymology 80,p.395-407(198
1)、)なお同様の問題を含むものであった。上記以外に
も、α2PIに対するポリクローナル抗体またはモノク
ローナル抗体を使用したイムノアフィニティーを利用し
た精製法が報告されているが(Sumi Y et al.,
J.Biochem.,102,p.1033-1041(1
989))、これらイムノアフィニティー精製の欠点とし
て、目的物質吸着後の溶出の際の好適な方法を見出し難
く、α2PIにダメージを与える可能性が否定できな
い。また、α2PIは血中に高濃度で存在するため、治
療薬として必要な量をイムノアフィニティーカラムで精
製しようとするとゲル容量の増大が予想され多大な困難
が生じることが危惧される。
【0004】また、本願発明のα2PIの原材料となる
ヒト血漿もしくは血漿画分については、例えば肝炎ウイ
ルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)等の血液を媒介と
して感染するウイルス混在の危険性は、スクリーニング
技術の進歩によりその可能性が激減したとは言え完全に
は否定できず、α2PI製剤のこれら夾雑ウイルスの不
活性化工程についても対策を構じる必要があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上述の
問題点に鑑みα2PIを分離取得する方法について鋭意
研究し種々の方法を検討した結果、血漿から得られたα
2PI含有画分の溶液を物質の疎水性の違いにより分離
する疎水クロマトグラフィーを用いてα2PIの精製を
試みたところ、高純度のα2PIを吸着溶出画分に良好
に分離することができる知見を得、これを基に新規な調
製方法をもたらす本願発明を完成するに至った。当該調
製方法を適用した場合、従来の方法に比べて極めて簡便
に且つ効率的にα2PIを工業的規模で調製することが
できる。さらに、製剤の感染性夾雑ウイルスの不活性化
を目的として、調製したα2PI溶液に各種熱安定化剤
を添加してこれを凍結乾燥し乾燥加熱処理を施した場
合、α2PIの性状に顕著な変化を生じることなくウイ
ルス不活化処理が可能であるとの知見を得、安全なα2
PI製剤を供し得る本願発明を達成した。
【0006】本願発明は、血漿もしくはα2PIを含有
する血漿画分からα2PIを分離調製する方法、及び感
染性夾雑ウイルスの不活化処理が施された安全なα2
I製剤を提供する方法に関する。本願発明の方法の主な
利点は、α2PIの血漿またはα2PIを含有する血漿画
分からの分離精製に適用し得る方法の簡便さである。本
願発明の出発原材料は、Cohnのエタノール分画法に
より得られる画分またはα2PIを含む濃縮物、中でも
コーンのエタノール分画のフラクションIの上清が好ま
しく、他の蛋白質が最初に分取されたこれらの画分の再
生物を包含する。以下の記述においては便宜上、フラク
ションIの上清を出発原材料例として例示して説明する
が、これは本願発明を限定するものではない。
【0007】本願発明においては、好ましい態様として
先ず前述のフラクションI中に含有されるプラスミノー
ゲンを除去する。この目的のために、例えば、フラクシ
ョンIの上清を必要とあらば適当な緩衝液に溶解し、プ
ラスミノーゲンに親和性を有するリジンをリガンドとす
るリジンセファロースカラムに通過させ、プラスミノー
ゲンを吸着・除去し、素通り画分としてα2PI含有溶
液を得る。かくして得られるプラスミノーゲン除去後溶
液に対して、プラスミノーゲンとα2PIとの親和性を
利用したアフィニティークロマトグラフィー(プラスミ
ノーゲンセファロースカラム)もしくはプラスミノーゲ
ンとα2PIの結合部位であるプラスミノーゲンのリジ
ンバインディングサイトI(LBSI)を調製し担体と結
合させたアフィニティークロマトグラフィー(LBSI
セファロースカラム)の工程を行なう。この際、平衡化
は25mMクエン酸バッファー(pH7.5)で行ない、
溶出にはそのバッファーに10mMのεアミノカプロン
酸を添加した緩衝液が好適な例となる。
【0008】前記溶出画分を用いて次の工程に進む。前
記溶出画分を、蛋白質の疎水性の違いにより分離する疎
水クロマトグラフィーに供する。疎水クロマトグラフィ
ーのリガンドとしてはブチル、オクチル、フェニル、エ
ーテル等の各種疎水基が使用可能であり、α2PIを含
有する前記溶出画分をリガンドと接触させる。この工程
では種々の条件を採用することができ、上記リガンドと
の接触はバッチ法または連続クロマト法で実施すること
ができる。最適な態様としては、前記疎水性リガンドを
結合した各種担体をクロマトグラフィーのカラムに充填
し、試料を通液後、吸着した所望のα2PIを溶出させ
る。なお、疎水性リガンドを結合した各種担体は、ブチ
ルトヨパール(東ソー社)、フェニルセファロース(ファ
ルマシア社)等の商品名で市販されており、これらを簡
便に利用することができる。
【0009】一般に、疎水性リガンド結合担体を0.5
〜3.0Mの塩化ナトリウムを含有するpH6.5〜8.
0のベースバッファー中で平衡化する。次に、疎水性リ
ガンド結合担体を担体1容量に対して溶液約5〜500
容量の割合で、α2PIを含む前記溶液と接触させ、担
体に吸着させる。通液後、疎水性リガンド結合担体を前
記ベースバッファーで洗浄する。この際の洗浄溶液の量
は一般に疎水性リガンド結合担体の容量当り約3〜10
容量である。α2PIは、ベースバッファー中の塩化ナ
トリウム濃度を減少させたグラジエント溶出、場合によ
ってはステップワイズ法を用いた溶出によって好適に分
取される。
【0010】α2PIを含有する溶液の前記疎水性リガ
ンド結合担体からの溶出に引続き、さらに、例えばDE
AEセファデックス、QAEセファデックス等のアニオ
ン交換媒体(陰イオン交換樹脂)との接触によって免疫グ
ロブリンGが主体である夾雑蛋白質を除去する工程を実
施することが推奨される。例えば、QセファロースFF
(ファルマシア社)カラムを使用した場合、塩化ナトリウ
ムの濃度を増加させたグラジエント溶出、場合によって
はステップワイズ法を用いた溶出によって、樹脂に吸着
していたα2PIのみを好適に分離することができる。
上述の、従来にない簡便な方法によりα2PIの夾雑蛋
白との分離が可能となり最終的に90%以上の純度のα
2PIを得ることができる。
【0011】α2PI濃縮物は、治療、診断または他の
用途のために製薬学的調合剤に処方することができる。
静脈内投与のための調合剤に対しては、組成物を、通
常、生理学的に適合し得る物質例えば塩化ナトリウム、
グリシン等を含み且つ生理学的条件に適合し得る緩衝さ
れたpHを有する水溶液中に溶解する。また、長期安定
性の確保の観点から、最終的剤型として凍結乾燥製剤の
形態を採ることも考慮され得る。なお、静脈内に投与さ
れる組成物のガイドラインは政府の規則、例えば「生物
学的製剤基準」によって確立されている。
【0012】α2PI濃縮製剤は、肝炎ウイルス、HI
V等の夾雑ウイルス非感染性であることが要求される。
この点においては、該製剤は夾雑ウイルス感染の危険性
を減ずるために、例えば、低温加熱処理殺菌により、即
ちα2PI濃縮製剤を夾雑ウイルス非感染性にするのに
十分な時間と温度に、例えば24時間またはそれ以上、
好適には96時間以上の期間、60℃またはそれ以上の
温度で加熱することによって処理することができる。こ
の熱処理期間中のα2PIを安定化するために、各種熱
安定化剤、例えば、ヒトアルブミン、クエン酸イオン
源、炭水化物及びアミノ酸等が単独であるいは組み合わ
されて添加され混在させられる。該加熱処理はα2PI
含有溶液に対してまたはα2PI含有溶液を凍結乾燥処
理したものの何れにに対しても施すことができるが、そ
の効果の観点から、凍結乾燥製剤に対する処理が好まし
い態様である。
【0013】かくして、本願発明により、血漿もしくは
α2PIを含有する血漿画分から工業的スケールでα2
Iを簡便に分離調製する方法、並びに感染性夾雑ウイル
スの不活化処理が施された安全なα2PI製剤を提供す
ることが可能となった。以下に、調製例及び実施例を挙
げて本願発明を具体的に説明するが、本願発明は何等こ
れらに限定されるものではない。
【0014】
【実施例】実施例の記述に先立ち、本願発明において実
施されたα2PI量の検定方法について概説する。プラ
スミンに対する発色基質を用いることによりα2PIの
プラスミン阻害能力を評価した。プラスミンによるペプ
チドS-2251(H-Val-Leu-Lys-pNA)の
加水分解は405nmの吸収を増加させる。この増加を室
温において連続的に測定し単位時間当りの加水分解量を
算出する。α2PIの有無における吸収の直線的変化を
時間と共に比較する。次いで、プラスミンおよびα2
Iが1:1の化学量論的に反応する事実とプラスミンの
既知量に基づき、阻害剤としてのα2PIの量を評価し
た(Wiman B, Method in Enzymology, 80,p.395-407)。
【0015】調製例 1 (コーンのフラクションI上清からの調製)血漿プールか
らコーンの分画法に従いフラクションIを調製し、その
上清からα2PIを精製した。先ず、そのフラクション
Iの上清を25mMクエン酸バッファー(pH7.5)で
平衡化したリジンセファロースカラムに通液し、素通り
させてプラスミノーゲンを吸着・除去した。次に、その
素通り画分に対してプラスミノーゲンとα2PIとの親
和性を利用したアフィニティクロマトグラフィー(LB
SIセファロースカラム)の工程を行なった。平衡化は
25mMクエン酸バッファー(pH7.5)で行ない、溶
出にはそのバッファーに10mMのεアミノカプロン酸
を添加したものを用いた。かくして得られたα2PI含
有溶液を次の疎水クロマトグラフィーの工程に供した。
【0016】実施例 1 コーンのフラクションIをリジンセファロース及びLB
SIセファロースを用いて精製を行なった後のα2PI
溶液(調製例1で得られた溶液)に、終濃度2.5Mの塩
化ナトリウムを添加して通液サンプルとし、ブチルトヨ
パール(東ソー社)を用いた疎水クロマトグラフィーを実
施した。ベースバッファーは0.05Mトリス/2.5M
塩化ナトリウムバッファー(pH7.5)とし、当該緩衝
液で平衡化したブチルトヨパールゲルに前記サンプルを
通液し、前記ベースバッファーで充分に洗浄した。その
後、0.05Mトリス/1.5M塩化ナトリウムバッファ
ー(pH7.5)で吸着成分の溶出を行ない、さらに、0.
05Mトリスバッファー(pH7.5)によって溶出し
た。なお、ゲルの再生は6Mの尿素を用いて行なった。
今回のクロマトパターンと各ピークのSDS-PAGE
のパターンを図1及び図2に示した。図中、画分Aは素
通り画分、画分Bは1.5M塩化ナトリウム含有溶液溶
出画分、画分Cは塩化ナトリウム非含有溶液溶出画分及
び画分Dはゲル再生用溶液溶出画分である。SDS-P
AGEの成績から、素通り画分にはIgGが、1.5M
塩化ナトリウム画分にはα2PIが、塩化ナトリウム非
含有画分には分解を受けたフィブリノーゲンが主として
存在することが確認された。また、段階的溶出(ステッ
プワイズ)ではなく、2.5〜0M塩化ナトリウムグラジ
エント溶出で展開しても、同様のクロマトパターンが得
られた。
【0017】実施例 2 (QセファロースFFを用いたα2PIの精製)実施例1
の疎水クロマトゲルを用いたクロマトグラフィーにより
得られたα2PI溶液を50mMトリス/75mM塩化ナ
トリウムバッファー(pH8.0)で透析し、同バッファ
ーで平衡化したQセファロースFFカラム(ファルマシ
ア社)に通液した。充分洗浄した後、50mMトリス/1
50mM塩化ナトリウムバッファー(pH8.0)で、所
望のα2PIを溶出した。かくして得られたα2PI標品
のSDS-PAGEの成績を図3に示す。また、10L
のコーンのフラクションI上清からLBSIセファロー
スでのアフィニティークロマトグラフィー(ステップ
1)、ブチルトヨパールを用いた疎水クロマトグラフィ
ー(ステップ2)、及びQセファロースFFでの陰イオン
交換クロマトグラフィー(ステップ3)の各々のクロマト
グラフィーによりα2PIを精製した際の成績を表1に
まとめる。
【0018】
【表1】
【0019】本願発明の好適な実施態様である前述のス
テップ1からステップ3の各工程を実施することによ
り、不純物を殆ど含まない(図3参照のこと)α2PIを
30%以上の収率で得ることができた。
【0020】実施例 3 (フェニルセファロースを用いたα2PIの精製)ブチル
トヨパールの代わりにフェニルセファロース(ファルマ
シア社)を用いて精製を試みた。平衡化には50mMト
リス/2M塩化ナトリウムバッファー(pH7.5)を用
い、α2PIを含む溶液に終濃度2Mの塩化ナトリウム
を添加してカラムに通液した。溶出は2〜0M塩化ナト
リウムグラジエントにより行なった。その結果は、実施
例1のブチルトヨパールを用いた場合と同様の溶出パタ
ーンを示した。溶出部分に非常に非活性の高い部分が分
離回収され、分離にはブチルトヨパールのみでなくその
他の疎水性のゲルが使用可能であることが示された。
【0021】実施例 4 (凍結乾燥加熱によるウイルス不活化効果)実施例2で得
られたα2PI溶液を蛋白質濃度が1%になるように限
外濾過で濃縮した。20mMクエン酸ナトリウム/0.1
M塩化ナトリウム/2.5%グリシンバッファー(pH7.
5)で透析後、α2PIを種々の濃度で凍結乾燥し、その
後感染性夾雑ウイルス不活化を目的とする65℃96時
間もしくは144時間の加熱処理を行なった。成績を表
2に示す。
【0022】
【表2】
【0023】本願発明のα2PI製剤は、65℃96時
間の条件での加熱処理後においても95%以上のα2
I活性を保持しており失活の程度はごく僅かであった。
また、HPLC等の分析から加熱処理前後でα2PIの
性状には顕著な差は認められなかった。
【0024】同時にHCV(C型肝炎ウイルス)のモデル
ウイルスであるBVDV(牛ウイルス性下痢症ウイルス)
の培養液を、前出の凍結乾燥前の組成のα2PI溶液に
1/10容量スパイク後、凍結乾燥して65℃144時
間までの加熱を行なった。経時的にバイアルを抜取り、
溶解して該溶液を段階希釈しこれらを感受性細胞である
例えばBT細胞に接種してプラーク形成に基づく50%
感染終末点(TCID50)法によってウイルス不活化を評
価した。結果を表3に示す。
【0025】
【表3】 N.D.は検出限界以下を意味する
【0026】HCVのモデルウイルスであるBVDV
は、凍結乾燥から24時間以上の加熱工程全体で10
5(TCID50/ml)以上の不活化が達成されることが確認さ
れ、本願発明の調製方法によって調製されたα2PI標
品はC型肝炎ウイルス等夾雑ウイルスに対する安全性が
高いことが結論される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 血漿画分を出発原料とし、LBSIセファロ
ースカラムにより部分精製したα2PI含有溶液を、疎
水クロマトグラフィー(ブチルトヨパールカラム)に通液
した場合のクロマトグラムを示す図である。
【図2】 α2PI含有溶液を疎水クロマトグラフィー
(ブチルトヨパールカラム)に通液して得られる各種ピー
クのSDS-PAGEによる解析結果を示す電気泳動図
(図面代用写真)である。
【図3】 α2PI含有溶液を疎水クロマトグラフィー
(ブチルトヨパールカラム)に通液して得られるα2PI
含有溶出画分を、さらに陰イオン交換クロマトグラフィ
ー(QセファロースFFカラム)に通液して得られた画分
のSDS-PAGEによる解析結果を示す電気泳動図(図
面代用写真)である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 α2プラスミンインヒビター(以下、α2
    PIと称することがある)を含有する溶液を疎水性のリ
    ガンドを有する担体に展開し、α2PIをゲルに吸着・
    溶出させ分離回収することを特徴とするα2PIの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 α2PIを含有する血漿蛋白溶液に終濃
    度0.5〜3.0Mの塩化ナトリウムを添加し、疎水性の
    リガンドを有する担体に展開し吸着させ、次に塩化ナト
    リウム濃度を徐々にもしくはステップワイズで低下させ
    ることによりα2PIを回収する工程を含む請求項1記
    載のα2PIの製造方法。
  3. 【請求項3】 α2PIを含有する血漿蛋白溶液が、コ
    ーンのエタノール分画法のフラクションIの上清をリジ
    ンセファロースを担体とするクロマトグラフィーに通液
    しプラスミノーゲンを除去したもの、または、さらにプ
    ラスミノーゲンとの結合を利用したアフィニティクロマ
    トグラフィーにより精製したものである請求項1または
    請求項2記載のα2PIの製造方法。
  4. 【請求項4】 分離精製後のα2PIを含有する溶液
    に、熱安定化剤を添加し調製した該溶液を凍結乾燥後、
    感染性夾雑ウイルスの不活化を目的とする凍結乾燥加熱
    工程をさらに含む請求項1〜請求項3のいずれかに記載
    のα2PIの製造方法。
  5. 【請求項5】 熱安定化剤が、ヒトアルブミン、クエン
    酸イオン源、炭水化物及びアミノ酸より選択される請求
    項4記載のα2PIの製造方法。
  6. 【請求項6】 凍結乾燥加熱工程が、60℃またはそれ
    以上の温度で、24時間またはそれ以上の期間加熱する
    条件で実施される請求項4記載のα2PIの製造方法。
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JP2007523883A (ja) * 2003-08-12 2007-08-23 オクタファルマ アクチェン ゲゼルシャフト α1−アンチトリプシン溶液の製造方法
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