【発明の詳細な説明】ペンタエリスリトールテトラエステルを含む組成物およびその製造方法
本発明は、ペンタエリスリトールのテトラエステルを含む新規な組成物および
このような組成物を製造する方法に関するものである。より詳しくは、本発明は
多くの製造上の利点を有する新規な製法によりペンタエリスリトールのテトラ(
3−アルキルプロピオネート)エステルの提供に関するものであり、またこの製
法は、その主たる部分であるテトラエステルが容易に回収、精製され得る新規な
組成物をも提供するものである。
通常、アルキルチオアルカノイックアシド等から誘導されるアルキルエステル
は、使用中のみならず、加工、押し出し成型、モールド成型に際しても熱および
酸化劣化を受けるポリマー樹脂等のような有機材料の安定剤として用いられるこ
とが知られている。このような一般的な有用性を有するエステルは、いままでに
種々の製法により得られていた。例えば、デクスター等の米国特許(Dexter et a
l.U.S.Patent No.3,758,549)は、基本的には、エステル交換法によるこれらのタ
イプの産物の製法を教示している。このような方法によれば、特にエステル交換
法が工場での生産スケールで行われた場合は、90重量%もしくはそれ以上のテ
トラエステルを有する生産物を得ることはしばしば困難であった。
ポリオレフィンの劣化に対する耐性を向上させる安定剤としては、メルカプト
カルボン酸の多官能エステルとアルファ−オレフィンを反応させることによって
も得ることができる。このタイプの安定剤およびそれらの製造方法は、カウダー
等の米国特許(Kauder et al.U.S.Patent No.4,080,364)に開示されている。この
タイプの付加反応による場合、このようにして得られた生成物が、一般に90重
量%、もしくはそれ以上のテトラエステルの成分を含むことは無いことが経験上
示されている。
中村等の米国特許(Nakamura,et al.U.S.Patent No.4,349,468)では、ポリオレ
フィン用の安定剤であるペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプ
ロピオネート)の製法が教示されている。この安定剤は、アゾニトリルもしくは
過酸化物の触媒の存在下、メルカプトプロピオン酸もしくはそのエステルと1−
ド
デセンのようなアルファオレフィンを加熱し、合成されたアルキルチオプロピオ
ン酸をペンタエリスリトールでエステル化する工程により生成される。得られる
生成物は、アルファオレフィン反応が不必要な異性体の副生成物を生成し、別に
精製工程を設けない場合ペンタエリスリトールエステルの品質はより低下するこ
とから、通常劣悪なものである。
チソルム等の米国特許(Chisholm,et al.U.S.Patent No.5,057,622)は、次のよ
うな工程により3−アルキルチオプロピオン酸のペンタエリスリトールテトラエ
ステルの提供を開示している。この製法は、まず、対応するアルキルメルカプタ
ンが、強アルカリ条件下でアクリル酸ナトリウムと化合され、酸性化した後、フ
リーな3−アルキルチオプロピオン酸を回収する一連の工程で行われる。次に、
酸は強酸触媒存在下でペンタエリスリトールでエステル化される。この全体的な
製造スキムは、量的関係で比較的非効率であり、副生成物からのテトラエステル
の回収は困難な場合がある。
さらに、チソルム等の米国特許(Chisholm,et al.U.S.Patent No.5,057,622)は
、上述したデクスター等の米国特許(Dexter et al.U.S.Patent No.3,758,549)、
カウダー等の米国特許(Kauder et al.U.S.Patent No.4,080,364)、および中村等
の米国特許(Nakamura,et al.U.S.Patent No.4,349,468)の方法を用いて3−ドデ
シルチオプロピオン酸のペンタエリスリトールテトラエステルを生成する試みは
、反応時間、触媒使用の効率、収量、望まれない副生成物の存在、および/また
は回収の容易性において不満足な結果が得られた点を明らかにしている。
したがって、ペンタエリスリトールの3−アルキルチオプロピオネートテトラ
エステルの効率的な製法およびある意味での高収率でテトラエステルを簡単に回
収する利益がある製法が必要とされている。
本発明は、各アルキル部分の炭素数が4から20であるペンタエリスリトール
テトラキス3−アルキルチオプロピオネートテトラエステルの製造方法であって
、ペンタエリスリトールと低分子量アルキル(好ましくはメチル)3−アルキル
チオプロピオネートとを、この反応用の有機スズ触媒の存在下、前記テトラエス
テルが生成する温度まで昇温した条件下での反応工程を有する製造方法を提供す
るものである。より詳しくは、ペンタエリスリトールは、1もしくはそれ以上の
低分
子アルキル3−アルキルチオプロピオネートエステルであって、この低分子アル
キル部分は炭素数が1から4でかつ分子の枝分かれが無く、またアルキル部分は
4から20の炭素数を有するものである。
本発明は、少なくとも約90重量%、より好ましくは少なくとも約95重量%
の1もしくはそれ以上の各アルキル部分の炭素数が4から20のペンタエリスリ
トールのテトラキス3ーアルキルチオプロピオネートテトラエステルと、1もし
くはそれ以上のペンタエリスリトールのトリス(3−アルキルチオプロピオネー
ト)エステルおよび低分子(C1からC4)アルキル3−アルキルチオプロピオネ
ート即ち、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル 3−アルキルチオプロ
ピオネートであって各アルキル部分の炭素数が4から20であるものとを有する
組成物を提供するものである。
本発明により生成されるテトラエステルは、例えばポリマー樹脂が使用中と同
様に加工、押し出し成型、モールド成型中に受ける熱劣化、酸化劣化に対する安
定剤として有用である。
本発明は、低分子アルキル3−アルキルチオプロピオネートを用いるが、この
「低分子アルキル」とは、好ましくは枝分かれの無いもので、−OHと置換する
場合は比較的揮発性のアルカノールであるアルキル鎖である。好ましい低分子ア
ルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルである。最も好
ましい低分子アルキル基としては、メチル基である。本発明の製法で用いられる
3−アルキルチオプロピオネートは、多くの製法の内のいかなる製法によって生
成されたものであってもよいが、好ましいものの一つとしては、下記に示された
製法である。
3−アルキルチオプロピオネートは、望まれる3−アルキルチオプロピオネー
トの他のいかなるものの回収を最小限とするためになされる直接付加反応法によ
り得ることができる。3−アルキルチオプロピオネート内のアルキル基の炭素鎖
の長さは、反応容器内に充填されるメルカプタンの炭素鎖によって選択される。
選択されたメルカプタンは、3−アルキルチオプロピネートを生成するためのメ
チルアタリレートと付加反応がなされる。メルカプタンは式RSHで示されるも
のであり、Rは炭素数が4から約20の炭素鎖長を有する。これに関する典型的
な反応物としては、n−ブチルメルカプタン、n−オタチルメルカプタン、n−
デシル
メルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等が含まれる。このメルカプタンとエ
ステル付加反応物とは、いずれかの成分が僅かに等モルレベルを越えることもあ
りえるが、通常等モルで充填される。
アクリレート反応物として特徴付けられるその他の付加反応物は、対応する低
分子アルキルアクリレートとして反応容器内に充填することもできる。ここで、
「低分子アルキル」は上記定義の通りである。これに関する好ましい反応物は、
メチルアクリレートである。付加反応は、強塩基条件下で行われる。いかなる強
塩基も触媒として用いることができ、少なくとも約pH11となるそれらの水溶
液で提供されてもよい。塩基の強さは、それらの1%水溶液が少なくとも約pH
13であるとして通常定義することができる。これに関する代表的な強塩基とし
ては、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液が挙げられる。しかしな
がら、この反応は溶媒が無い状態で行われることが好ましいことから、水酸化カ
リウムもしくはその他の強塩基の個体のペッレトが水溶液より好ましく用いられ
る。反応組成物にこの強塩基が適切な濃度で含有されていることは重要である。
その量は、付加反応のための触媒として機能するために適切な量とされる。例え
ば、反応組成物は、代表的には、反応容器内に充填されるアタリレートのモル数
に対し、少なくとも1から2モルパーセント含まれるべきである。付加反応が必
要程度進行した後、3−アルキルチオプロピオネートは、まず代表的には適当な
無機酸の水溶液で反応物の酸性化を行うことにより、反応組成物からの単離工程
が開始される。これにより水相および有機相が分離する。メルカプタン反応物の
炭素鎖長により必要であれば、両相は、アルキルチオプロピオネートの融解を維
持するのに十分な温度に維持される。分離が完了した後、集められた有機相は、
好ましくは未反応物を除去(必要であれば回収)するために吸引除去され、そし
てこれにより3−アルキルチオプロピオネート付加反応生成物が得られる。
生産されたもしくは得られた、低分子アルキル(好ましくはメチル)3−アル
キルチオプロピオネートは、必要なテトラエステルで製造されたペンタエリスリ
トールと反応に供される。3−アルキルチオプロピオネートとペンタエリスリト
ールとが、昇温条件下で反応に必要な有機スズの存在下、反応させた場合、この
反応が満足しうる比率、収量で進行することが見いだされた。ペンタエリスリ
トールの存在量に対して、化学量論的に過剰なエステル量を採用することが好ま
しい。通常、有機スズ触媒の量は、ペンタエリスリトールの存在量を基礎として
約5重量%までの範囲とすることができるが、より多量の触媒を用いてもよい。
有機スズ化合物に含まれる好ましい触媒としては、特に、モノアルキルチンハ
イドロオキサイド、モノアルキルチンクロライド、モノアルキルチンクロロハイ
ドロオキサイド、および/またはこれらの混合物が挙げられる。なお、ここでア
ルキル基の炭素数は1から8である。前述したいかなるものの混合物も有利に用
いることができる。特に好ましい触媒には、モノブチルチンタロライドおよびモ
ノブチルチンハドロオキサイドが含まれ、より好ましい触媒は、モノブチルチン
ハイドロオキサイドとモノブチルチンタロライドとを重量比で50:50の混合
物で、両触媒の総量がペンタエリスリトールの存在量を基礎として約1.5から
2.0重量%のものである。好ましくは、少なくとも一つの塩化有機スズ、より
好ましくは少なくとも一つのアルキルチンタロライドの化合物が触媒成分に存在
することである。
他の有用な触媒には、モノ(C1〜C8)アルキルチントリス(3−アルキルチ
オプロピオネート)およびジ(C1〜C8)アルキルチンビス(3−アルキルチオ
プロピオネート)と同様に、ジメチルチンビス−ネオデカノエイトのようなジ(
C1〜C8)アルキルチンビス−(C8〜C12)カルボキシレートが含まれる。後
述する好ましい実施例には、ジメチルチンビス−3−ラウリルチオプロピオネー
トおよびメチルチントリス−3−ラウリルチオプロピオネートが含まれる。
例えばメチルである低分子3−アルキルチオプロピオネート、ペンタエリスリ
トール、および触媒の反応は、無溶媒で行われる。必要であれば、少量であるが
有効量の溶媒を用いてもよいが、反応物に不活性であり、非常に高い沸点を有し
、そして比較的容易に反応により生成する組成物から除去できるものでなければ
ならない。
反応は、必要とされるテトラエステルの形成が可能となるのに有効な温度で行
われる。有効な反応温度は、代表的には150℃から250℃の範囲であり、よ
り代表的には175℃から225℃の範囲である。この分野における経験より理
解されるであろうように、反応中は、例えば温度の上昇に対して、温度の調整が
望まれるであろう。反応における十分な転換に必要とされる時間は、代表的には
2から
20時間の範囲内である。
このような温度条件で要求されるテトラエステル生成物の生成が、特に許容で
きる比率で重大な収量で達成できるという事実が確認された。これは従来技術の
教示からは全く予期されないものであり,エステル交換により必要なテトラエス
テルを生成することを示す米国特許第5,057,622号では成功しないもの
である。さらに、本発明の方法は、必要な生成物の単離前ですでに約70%を越
える収量の必要なテトラエステルの生成を達成した。
この反応は、比較的高減圧下で行うことも好ましい。これにより、反応時間が
短縮され、より完全な反応を提供することができる。約15mmHgの減圧は有
効であるが、約2mmHgのオーダーの高減圧が好ましい。
必要とされるテトラエステルを生成するエステル交換法の完了後、テトラエス
テルは、その後の回収工程により反応組成物より回収され、そしてこの分野で周
知の方法により精製されるであろう。例えば、触媒は濾過され、精製物は1もし
くはそれ以上の再結晶工程により精製される。
このエステル交換法は、有機相が有機溶媒で精製された溶媒である操作に従う
ことが好ましい。好ましくは、溶媒精製媒体が1もしくはそれ以上の有機溶媒で
、これが調製された特定のアルキルチオプロピオニックテトラエステルに特に良
く適合するものである。好ましい溶媒は、2−プロパノール(イソプロパノール
)である。他の適当な溶媒には、メタノール、エタノール、エチルアセテート、
イソプロピルアセテート等のものが含まれる他の低分子量アルコール、および低
分子量エステルが含まれる。好ましい溶媒、もしくは混合物は、さらなる(work-
up)精製工程を改良し、必要であれば、それらの費用を最小とするであろう。
好ましい有機溶媒混合物の例としては、メタノールとイソプロパノールの混合
物が、ペンタエリスリトールと液体3−オクチルメルカプトプロピオン酸のテト
ラエステルのさらなる(work-up)精製には通常好ましい。この溶媒の混合物は、
このテトラエステルと不溶であり、いかなるトリエステル不純物および未反応オ
クチルメルカプトプロピオン酸に対する抽出溶媒としてよく働くことが見いださ
れた。代表的な2成分溶媒混合物は、約9:1から1:9の間の比率である。
この方法によれば、90重量%、より好ましくは95重量%もしくはそれ以上
の必要なペンタエリスリトールのテトラ(3−アルキルチオプロピオネート)エ
ステルを有する生成物が得られる。この組成物は、少量のトリエステル、すなわ
ちペンタエリスリトールのトリ(3−アルキルチオプロピオネート)エステル、
および少量の未反応低分子(例えばエチル)3−アルキルチオプロピオネートエ
ステルを含むであろう。反応の完了の程度によりそれ以上もしくはそれ以下の場
合も当然ありうるが、通常、トリエステル副生成物および未反応エステルの量は
、0.1重量%まで、もしくは1重量%までである。
ここで取り上げているタイプのエステルは、代表的にはポリマーの安定剤とし
て有用である。ペンタエリスリトールのテトラエステルは、独占販売されている
(proprietary)ポリマーやテレフタレート成分およびゴムタイプの成分を有する
ポリマー混合物クラスのための安定剤に有効である。独占販売されている(propr
ietary)ポリマーのこれらのタイプから押し出し成型された物品は、優れた対衝
撃特性を有しており、自動車のバンパー等に用いるのに好適である。ペンタエリ
スリトールの3−ドデシルチオプロピオネートテトラエステルは、本発明の方法
よりより複雑であると思われる方法により商業スケールで製造された類似のエス
テル安定剤と通常同様の能力があることが見いだされた。
本発明により調製された種々のテトラエステル安定剤は、異なる特性のポリマ
ーに特に有効である異なる物理的特性を有する。例えば、ドデシルメルカプタン
より生成されたエステルは、室温では固体であり、安定剤として使用した場合、
あまり悪臭がない。オクチルメルカプタンから生成されたエステルは、基本的に
は室温で液体であり、より大きな分子量を有するエステルよりワックス状でなく
、特に室温で液状の傾向のあるポリマーとは相溶性がある。デシルメルカプタン
から生成されたエステルは、代表的にはレインビットィーン(reinbetween)であ
り、過剰な揮発性なしに良い相溶性を示す。
本発明は、以下の本発明を説明する目的の実施例にさらに記載されているが、
本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
実施例1 A.メチル3−ラウリルチオプロピオネートの製造
1リットルの三つ首フラスコ内に、380gのラウリルメルカプタン(LM)
を投入した。冷却器と窒素パージをフラスコにセッティングした後、2.0gの
KOHが添加された。160gのメチルアタリレート(MA)を滴下ロートに充
填し、前記フラスコに取り付けた。フラスコ内容物を55℃まで加熱した。温度
を50℃から65℃の間に維持した状態で、90分以上の時間をかけてゆっくり
とMAを滴下した。さらに30分間撹拌後、内容物を分析した。追加のMA6g
を投入し、45分間撹拌した。分析後、生成物に、2.0gの濃硫酸、200g
の水を添加し、撹拌することにより洗浄された。沈降後、水相は傾けられ、生成
物は枝付きフラスコに移された。生成物は乾燥され、残余のMAは93℃、減圧
下で蒸気除去された。B.ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)の製 造
工程Aの生成物491.4g、モノペンタエリスリトール46.38g、モノ
ブチルチンハイドロオキサイド0.34g、およびモノブチルチンクロライド0
.34gを1リットルの枝付きフラスコ内に投入した。混合物は、1時間、17
5℃、減圧下で加熱され、そして温度は200℃に昇温され3時間加熱された。
生成物は分析され、次いで少量の固形物を除去するためワットマン(whatman)#
40フィルター紙およびセライト(Celite)フィルターエイドを用いて濾過された
。濾過された生成物477.0gとイソプロピルアルコール(IPA)477.
0gは、2リッターフラスコに投入された。混合物は、50℃に加熱され、そし
て撹拌と共に冷却および結晶化がなされた。混合物は、27℃に冷却され、そし
て結晶は集められ、IPA20mlで洗浄された。結晶および母液は分析された
。342gの「湿った」結晶および313gのIPAは、洗浄された2リッター
フラスコに投入された。この混合物は、57℃に加熱された。撹拌され、冷却お
よび結晶化がなされた。27℃まで冷却された後、結晶は集められ、20mlの
IPAで洗浄された。結晶および母液は分析された。
そして、IPAは95℃減圧下で加熱により二つの母液より除去された。二つ
の母液は混合され、分析された。500mlの枝付きフラスコに174.8gの
母液と6.89gのペンタエリスリトールとが投入された。母液には触媒が含ま
れていることから、触媒は添加されなかった。混合物は、減圧下200℃まで加
熱され、2時間加熱処理された。ダークグレイの生成物が得られ、分析された。
そしてワットマン(whatman)#40フィルター紙およびセライト(Celite)フィル
ターエイドを用いて濾過された。濾過後の生成物は、薄い黄色であった。
濾過された生成物146.9gとIPA146.9gとがビーカーに投入され
、これらは46℃に加熱された。溶液は、撹拌しながら27℃に冷却された。結
晶が形成され、濾過され、20mlのIPAで洗浄された。結晶と母液は分析さ
れた。
91.9gの「湿った」結晶と92.3gのIPAがビーカーに投入された。
混合物は54℃に加熱され、そしてその後撹拌と共に27℃に冷却された。結晶
は、濾過され、20mlのIPAで二度洗浄された。結晶の存在割合が大きかっ
たため、迫加の洗浄が行われた。結晶と母液は分析された。
種々の反応生成物の分析結果およびメチル3−ラウリルチオプロピオネート(
ML)、ペンタエリスリトールトリス(3−ラウリルチオプロピオネート)(Tr
is)、および求められるテトラエステル分画の重量%を以下の表1に示す。
二次結晶および母液結晶を基礎とした収量は84.4%であった。
ペンタエリスリトールを基礎とした収量は96.6%であった(再工程結晶お
よび既知のロス分を含む。)。
実施例2
ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)の製造
のためのエステル交換反応は、好ましい触媒量を評価するために二つの異なる触
媒の量を変更させて行われた。反応は、205℃、6時間行われ、最後の2時間
のみ緩い減圧下で行われた。ペンタエリスリトールに対するメチルエステルのモ
ル比は、5:1であった。クルードな反応混合物は、黒色の少量の固形分を除去
するため濾過され、等重量のIPAから2度再結晶された。表2に示す結果から
明らかなように、触媒の種類および濃度は、両者とも収量を決定する重要な要因
である。
したがって、触媒の濃度は、好ましくは少なくとも1000ppm(総反応物
量を基礎)であり、より好ましくは少なくとも1500ppmである。
本発明の方法は、過去の例よりもはるかに区別しうる数多くの利点を有する。
テトラエステルを生成する反応は、触媒無しで行われ、したがって費用がかから
ず、追加の材料を取り扱う手間、触媒の使用により負担が加わる溶媒を取り除く
手間が回避される。さらに、水の必要性が最小限であるといえることから、水に
よる不純物を同様に最小限とすることができる。再結晶の溶媒を除去することは
容易である。テトラエステルは、より低い酸の量を有する。製法で用いられる(
工程の流れ)母液は、最小限の精製の必要性と副生成物のさらなる反応のおそれ
無しに再利用することができる。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
// C08K 5/57 C08K 5/57
(72)発明者 ペブラー・リチャード
アメリカ合衆国 ニュージャージー州
07675 ウッドクリフ ヘザー ヒル レ
ーン 56
(72)発明者 ミネオ・ガレット
アメリカ合衆国 ルイジアナ州 70072
マーレロ アスフォデル ドライブ 46
(72)発明者 クレイン・マーク
アメリカ合衆国 ルイジアナ州 70058
ハーベイ サウザン オークス ドライブ
1920
(72)発明者 デノウ・ミハエル
アメリカ合衆国 ルイジアナ州 70003
メタイリエ ノース デンガル ロード
1017