JPH10511662A - 1,4,4−(三置換)シクロヘキサン二量体および関連化合物 - Google Patents

1,4,4−(三置換)シクロヘキサン二量体および関連化合物

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JPH10511662A JP8520533A JP52053396A JPH10511662A JP H10511662 A JPH10511662 A JP H10511662A JP 8520533 A JP8520533 A JP 8520533A JP 52053396 A JP52053396 A JP 52053396A JP H10511662 A JPH10511662 A JP H10511662A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、アレルギー性および炎症性疾患の治療よび腫瘍壊死因子(TNF)の産生の阻害に有用な、ある種の1,4,4−(三置換)シクロヘキサン二量体および関連化合物に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 1,4,4−(三置換)シクロヘキサン二量体および関連化合物 発明の分野 本発明は新規1,4,4−(三置換)シクロヘキサンおよび関連化合物、これら の化合物を含有する医薬組成物、ならびにアレルギー性および炎症性疾患の治療 および腫瘍壊死因子(TNF)の産生の阻害におけるそれらの使用に関する。 発明の背景 気管支喘息は、気道の可逆的狭窄および外的刺激に対する気道の反応亢進を特 徴とする複雑な多因性疾患である。 複数のメディエイタが喘息の発達に関与しているという事実により、喘息用の 新規治療剤の同定は困難となっている。かくして、一のメディエイタの作用を除 去することで、慢性喘息の3種すべての要因に対する実質的な効果は得られない であろうと考えられる。「メディエイタ解決法」と別の方法が、この病気の病態 生理学に関与している細胞の活性を調節することである。 そのような方法の一つが、cAMP(アデノシン・サイクリック3',5'−モ ノホスフェート)のレベルを上昇させることによるものである。サイクリックA MPは広範囲のホルモン、神経伝達物質および薬剤に対する生物学的応答を媒介 する第二メッセンジャーであることが示されている[Krebs Endocrinology Proc eedings of the 4th International Congress Excerpta Medica,17-29,1973] 。適当な作用物質が特異的細胞表面受容体に結合すると、アデニル酸シクラーゼ が活性化され、それはMg+2−ATPをcAMPに速い速度で変換する。 サイクリックAMPは、外因性(アレルギー性)喘息の病態生理学に関連する 細胞の、全てではないとしても、大部分の活性を調節する。cAMPの増加は、 それ自体、以下:1)気道平滑筋の弛緩、2)肥満細胞メディエイタの放出の阻 害、3)好中球脱顆粒の抑制、4)好塩基球脱顆粒の阻害、および5)単球およ びマクロファージ活性化の阻害を含む有益な効果をもたらすであろう。したがっ て、アデニル酸シクラーゼを活性化するか、ホスホジエステラーゼを阻害する化 合物は、気道平滑筋の不適当な活性化および多種の炎症細胞を抑制するのに有効 である。cAMP不活化の主な細胞機構は、環状ヌクレオチドホスホジエステラ ーゼ(PDE)と称される1またはそれ以上の一連のイソ酵素による3'−ホス ホジエステル結合の加水分解にある。 独特な環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)イソ酵素であるPD E IVが、気道平滑筋および炎症細胞におけるcAMP分解の原因であることが 明らかにされている[Torphy、「ホスホジエステラーゼ・アイソザイムズ:ポテ ンシャル・ターゲッツ・フォア・ノベル・アンチアゼマティック・エージェンツ 」(“Phosphodiesterase Isozymes:Potential Targets for Novel Anti-asthma tic Agents”in New Drugs for Asthma,Barnes,ed.IBC Technical Services Ltd.,1989)]。研究は、この酵素の阻害が、気道平滑筋の弛緩をもたらすだけ でなく、単球および好中球の活性化を阻害すると共に、肥大細胞、好塩基球およ び好中球の脱顆粒を抑制することを指摘する。その上、PDE IV阻害剤の有益 な効果は、in vivoの場合のように、標的細胞のアデニル酸シクラーゼ活性が適 当なホルモンまたはオータコイドにより上昇した場合、著しく増強される。この ようなPDE IV阻害剤は、プロスタグランジンE2およびプロスタサイクリン( アデニル酸シクラーゼの活性化物質)のレベルが高い、喘息性肺において有効で ある。このような化合物は、気管支喘息の薬物療法に対して独特な解決方法を提 供し、現在市販されている医薬よりも優れた著しい治療効果を有する。 本発明の化合物はまた、腫瘍壊死因子(TNF)、血清糖タンパク質の産生を 阻害する。過度または未調整のTNF産生は、多発性硬化症、自己免疫糖尿病お よび全身エリテマトーデスなどの多数の自己免疫疾患に加えて、慢性関節リウマ チ、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症、痛風性関節炎および他の関節炎;敗血症 、敗血性ショック、内毒素ショック、グラム陰性敗血症、毒性ショック症候群、 成人呼吸窮迫症候群、脳性マラリア、慢性肺炎、珪肺症、肺サルコイドーシス、 骨吸収疾患、再潅流傷害、対宿主性移植片反応、同種移植片拒絶反応、インフル エンザなどの感染症による発熱および筋肉痛、感染または悪性疾患に派生的なカ ヘ キシー、ヒト後天性免疫不全症候群(AIDS)に派生的なカヘキシー、AID S、ARC(AIDS関連症候群)、ケロイド形成、瘢痕組織形成、クローン病 、潰瘍性大腸炎、または熱病を含む多数の疾患の媒介または再燃に関連がある。 AIDSは、Tリンパ球のヒト免疫不全ウイルス(HIV)での感染の結果起 こる。少なくとも3種のHIV、すなわち、HIV−1、HIV−2およびHI V−3が同定されている。HIV感染の結果、T細胞介在免疫が損なわれ、感染 個体は重度の日和見感染症および/または異常な腫瘍を発病する。HIVがTリ ンパ球に侵入するにはTリンパ球の活性化が必要とされる。HIV−1またはH IV−2などのウイルスは、T細胞の活性化後にTリンパ球に感染し、このよう なウイルスタンパク質の発現および/または複製は、このようなT細胞活性化に より媒介または維持される。活性化されたTリンパ球が一旦HIVに感染すると 、HIV遺伝子の発現および/またはHIV複製を可能にするためにTリンパ球 は活性化状態に維持され続けなければならない。 サイトカイン、特にTNFは、Tリンパ球活性化の維持にて役割を果たすこと により活性化されたT細胞介在HIVタンパク質発現および/またはウイルス複 製に関連する。従って、HIVに感染した個体にて、サイトカイン、特にTNF 産生を阻害することによるようなサイトカイン活性の干渉は、T細胞活性化の維 持を制限する手助けをし、これにより、未感染細胞に対するHIV感染性の進行 を軽減し、HIV感染により誘起される免疫機能不全の進行の遅れまたは除去を もたらす。単球、マクロファージ、および関連する細胞、例えば星細胞およびグ リア細胞も、HIV感染の維持に関連する。T細胞などのこれらの細胞は、ウイ ルス複製の標的であり、ウイルス複製のレベルは、細胞の活性化状態に依存する 。[Rosenbergら、ジ・イムノパソジェニシス・オブ・エイチアイブイ・インフ ェクション、アドバンセス・イン・イムノロジー(The Immunopathogenesis of HIV Infection,Advances in Immunology)、第57巻(1989)を参照のこと]。 TNFなどのモノカインは、単球および/またはマクロファージにおいてHIV 複製を活性化することが明らかにされており[Poliら、プロシーディングズ・オ ブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシス(Proc.Natl.Acad.Sci.)87 :782 -784(1990)を参照のこと]、従って、モノカイン産生または活性の阻害は、T 細胞に関して前記したように、HIV進行を制限する手助けとなる。 TNFはまた、サイトメガロウイルス(CMV)、インフルエンザウイルス、 アデノウイルスおよびヘルペスウイルスなどの他のウイルス感染症で、前記と同 様の理由から種々の役割に関連している。 TNFはまた、酵母および真菌感染症にも関連している。特にカンジダ・アル ビカンス(Candida albicans)は、ヒト単球およびナチュラルキラー細胞にて、 in vitroにおけるTNF産生を誘発することが明らかにされている。[Riipiら 、インフェクション・アンド・イミュニティー(Infection and Immunity)、58 (9):2750-54(1990);およびJafariら、ジャーナル・オブ・インフェクシャ ス・ディジージズ(Journal of Infectious Diseases)、164:389-95(1991) を参照のこと。さらに、Wasanら、アンチミクロバイアル・アージェンツ・アン ド・ケモセラピー(Antimicrobial Agents and Chemotherapy)、35(10):204 6-48(1991);およびLukeら、ジャーナル・オブ・インフェクシャス・ディジー ジズ、162:211-214(1990)を参照のこと]。 TNFの悪影響を制御する能力は、このような使用を必要とする哺乳動物にて TNFを阻害する化合物を使用することで促進される。TNFを過度および/ま たは未調整で産生することにより悪化または誘起されるTNF介在疾患の治療に おいて有用な化合物に対する要求が依然としてある。 発明の要約 本発明の化合物は、式(I): [式中、 R1は、独立して、−(CR45)nC(O)O(CR45)m6、−(CR45)nC( O)NR4(CR45)m6、−(CR45)nO(CR45)m6または-(CR45)r 6(ここに、アルキル部分は、置換されていないか、または1またはそれ以上 のフッ素で置換されている)から選択され; mは0ないし2であり; nは0ないし4であり; rは0ないし6であり; R4およびR5は、独立して、水素またはC1-2アルキルから選択され; R6は、独立して、水素、メチル、ヒドロキシル、アリール、ハロ置換アリー ル、アリールオキシC1-3アルキル、ハロ置換アリールオキシC1-3アルキル、イ ンダニル、インデニル、C7-11ポリシクロアルキル、テトラヒドロフラニル、フ ラニル、テトラヒドロピラニル、ピラニル、テトラヒドロチエニル、チエニル、 テトラヒドロチオピラニル、チオピラニル、C3-6シクロアルキルまたは1もし くは2個の不飽和結合を含有するC4-6シクロアルキル(ここに、シクロアルキ ルまたは複素環部分は置換されていないか、または1ないし3個のメチル基、1 個のエチル基または1個のヒドロキシル基で置換されている)から選択される; ただし、 a)R6がヒドロキシルである場合、mは2であるか;または b)R6がヒドロキシルである場合、rは2ないし6であるか;または c)R6が2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロチオピラニル、2− テトラヒドロフラニルまたは2−テトラヒドロチエニルである場合、mは1また は2であるか;または d)R6が2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロチオピラニル、2− テトラヒドロフラニルまたは2−テトラヒドロチエニルである場合、rは1ない し6であり; e)nが1であり、mが0である場合、−(CR45)nO(CR45)m6にお けるR6はH以外の基であり; Xは、独立して、YR2、フッ素、NR45またはホルミルアミンから選択さ れ; Yは、独立して、OまたはS(O)m'から選択され; m'は0、1または2であり; X2は、独立して、OまたはNR8から選択され; X3は、独立して、水素またはXから選択され; R2は、独立して、所望により1またはそれ以上のフッ素で置換されていても よい−CH3または−CH2CH3からなる群より選択され; sは0ないし4であり; Wは炭素数2〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニルまたは炭素数2〜6 のアルキニルであり; Zは、独立して、CR88OR14、CR88OR15、CR88SR14、CR8 8SR15、CR88S(O)m'R7、CR88NR1014、CR88NR10S(O)2 NR1014、CR88NR10S(O)27、CR88NR10C(Y')R14、CR8 8NR10C(O)OR7、CR88NR10C(Y')NR1014、CR88NR10C( NCN)NR1014、CR88NR10C(CR4NO2)NR1014、CR88NR1 0 C(NCN)SR9、CR88NR10C(CR4NO2)SR9、CR88C(O)OR1 4 、CR88C(Y')NR1014、CR88C(NR10)NR1014、CR88CN 、CR88(テトラゾリル)、CR88(イミダゾリル)、CR8 8(イミダゾリジニル)、CR88(ピラゾリル)、CR88(チアゾリル) 、CR88(チアゾリジニル)、CR88(オキサゾリル)、CR88(オキサ ゾリジニル)、CR88(トリアゾリル)、CR88(イソキサゾリル)、CR88(オキサジアゾリル)、CR88(チアジアゾリル)、CR88(モルホリ ニル)、CR88(ピペリジニル)、CR88(ピペラジニル)、CR88(ピ ロリル)、CR88C(NOR8)R14、CR88C(NORI4)R8、CR88NR10 C(NR10)SR9、CR88NR10C(NR10)NR1014、CR88NR10C( O)C(O)NR1014またはCR88NR10C(O)C(O)OR14であり; X5はH、R9、OR8、CN、C(O)R8、C(O)OR8、C(O)NR88また はNR88であり; X4は、独立して、H、R9、OR8、CN、C(O)R8、C(O)OR8、C(O) NR88またはNR88であり; Y'は、独立して、OまたはSから選択され; R7は−(CR45)q12またはC1-6アルキル(ここに、R12またはC1-6アル キル基は、置換されていないか、あるいは置換されていないかまたは1ないし3 個のフッ素で置換されているメチルまたはエチルで1回またはそれ以上置換され ている)、−F、−Br、−Cl、−NO2、−NR1011、−C(O)R8、−C O28、−O(CH2)q8、−CN、−C(O)NR1011、−O(CH2)qC(O) NR1011、−O(CH2)4C(O)R9、−NR10C(O)NR1011、−NR10C( O)R11、−NR10C(O)OR9、−NR10C(O)R13、−C(NR10)NR1011 、−C(NCN)NR1011、−C(NCN)SR9、−NR10C(NCN)SR9、− NR10C(NCN)NR1011、-NR10S(O)29、−S(O)m'R9、-NR10C( O)C(O)NR1011、−NR10C(O)C(O)R10またはR13であり; qは0、1または2であり; R12は、独立して、R13、C3-7シクロアルキル、(2−、3−または4−ピ リジル)、ピリミジル、ピラゾリル、(1−または2−イミダゾリル)、ビロリ ル、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、フラニル、(2−または3− チエニル)、キノリニル、ナフチルまたはフェニルであり; R8は、独立して、水素またはR9から選択され; R9は、独立して、所望により1ないし3個のフッ素で置換されていてもよい C1-4アルキルから選択され; R10は、独立して、OR8またはR11から選択され; R11は水素または所望により1ないし3個のフッ素で置換されていてもよいC1-4 アルキルから選択されるか、またはR10およびR11が−NR1011である場 合、これらは窒素と一緒になって炭素または炭素とO、NまたはSから選択され る少なくとも1個の別のヘテロ原子とからなる5ないし7員環を形成し; R13は、独立して、オキサゾリジニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリ ル、トリアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、チアゾリ ジニル、イソキサゾリル、オキサジアゾリルまたはチアジアゾリルから選択され 、これら複素環式環は、各々、炭素原子を介して連結し;および R14は水素またはR7であるか;またはR8およびR14がNR814のような場 合、これらは窒素と一緒になって、炭素または炭素とO、NまたはSから選択さ れる1またはそれ以上のさらなるヘテロ原子を含有してなる5ないし7員環を形 成し; R15はC(O)R14、C(O)NR414、S(O)27またはS(O)2NR414で ある] で示される化合物またはその医薬上許容される塩である。 本発明はまた、式(I)の化合物と、医薬上許容される担体または希釈剤とか らなる医薬組成物に関する。 本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物におけるPDE IVの酵素活性(または触 媒活性)の媒介または阻害法であって、以下に示すように、有効量の式(I)の 化合物を、これを必要とする哺乳動物に投与することからなる方法に関する。 本発明はさらに、ヒトを含む哺乳動物に有効量の式(I)の化合物を投与する ことからなる、アレルギー性および炎症性疾患の治療法を提供する。 本発明はまた、有効量の式(I)の化合物を、これを必要とするヒトを含む哺 乳動物に投与することからなる、喘息の治療法も提供する。 本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物におけるTNF産生の阻害法であって、か かる治療を必要とする哺乳動物に有効なTNF阻害量の式(I)の化合物を投与 することからなる方法に関する。この方法は、その治療に敏感に反応するある種 のTNF介在疾患の状態の予防的治療または予防に用いられる。 本発明はまた、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染したヒトの治療法であ って、このようなヒトにTNF阻害に有効な量の式(I)の化合物を投与するこ とからなる方法に関する。 式(I)の化合物は、別のウイルス感染症の治療において有用であり、このよ うなウイルスはTNFによるアップレギュレーションに対して感受性であるかま たはin vivoにてTNF産生を惹起する。 加えて、式(I)の化合物はまた、酵母および真菌感染症の治療においても有 用であり、このような酵母および真菌はTNFによるアップレギュレーションに 対して感受性であるかまたはin vivoでTNF産生を惹起する。 発明の詳細な記載 本発明はまたこれを必要とする哺乳動物においてPDE IVの酵素活性(また は触媒活性)を媒介または阻害する方法およびこれを必要とする哺乳動物におい てTNF産生を阻害する方法であって、前記哺乳動物に有効量の式(I)の化合 物を投与することからなる方法に関する。 ホスホジェステラーゼIV阻害剤は、喘息、慢性気管支炎、アトピー性皮膚炎、 蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、春季カタル、好酸球性肉芽腫 、乾癬、慢性関節リウマチ、敗血性ショック、漬瘍性大腸炎、クローン病、心筋 または脳の再潅流損傷、慢性糸球体腎炎、内毒素ショックおよび成人呼吸窮迫症 候群を含む、種々のアレルギー性および炎症性疾患の治療において有用である。 加えて、PDE IV阻害剤は尿崩症ならびに鬱病および多梗塞痴呆等の中枢神経 系障害の治療においても有用である。 本発明の治療に関連するウイルスは、感染の結果としてTNFを産生するもの であるか、または式(I)のTNF阻害剤により、直接または間接的に複製が減 少する等、阻害に対して感受性のものである。このようなウイルスは、HIV− 1、HIV−2およびHIV−3、サイトメガロウイルス(CMV)、インフル エンザ、アデノウイルスおよびヘルペス種のウイルス、例えば、限定されるもの ではないが、帯状ヘルペスおよび単純ヘルペスを包含するが、これらに限定され ない。 本発明は、さらに詳しくは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に罹患した哺乳 動物の治療法であって、このような哺乳動物に有効なTNF抑制量の式(I)の 化合物を投与することからなる方法に関する。 本発明の化合物は、TNF産生の抑制を必要とするヒト以外の動物の獣医学的 処置に関連しても用いられる。動物における治療的または予防的処置を受けるT NF介在疾患は、前記のような症状、特にウイルス性感染症を包含する。このよ うなウイルスの例は、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)または例えばウマ感染性 貧血ウイルス、ヤギ関節炎ウイルス、ビスナウイルス、マエディウイルスおよび 他のレンチウイルスなどを含むレトロウイルス感染症を包含するが、これに限定 されない。 本発明の化合物はまた、酵母および真菌が、TNFによるアップレギュレーシ ョンに対して感受性であるか、またはin vivoにおけるTNF産生を惹起する場 合、かかる酵母および真菌感染症の治療においても有用である。治療に関して好 ましい病状は、真菌性髄膜炎である。加えて、式(I)の化合物は、全身性酵母 および真菌感染症について用いる他の医薬と組み合せて投与してもよい。真菌感 染症について選択される医薬は、ポリマイシンBなどのポリミキシンと称される 化合物種、クロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾールおよびケトコナゾー ルなどのイミダゾールと称される化合物種;フルコナゾールおよびイトラナゾー ルなどのトリアゾールと称される化合物種;アンホテリシン、特にアンホテリシ ンBおよびリポソーム性アンホテリシンBと称される化合物種を包含するが、こ れに限定されない。 式(I)の化合物はまた、抗真菌剤、抗菌剤または抗ウイルス剤での治療を必 要とする哺乳動物に有効量の式(I)の化合物を投与することによって、その毒 性を阻害および/または軽減するために用いられる。好ましくは、式(I)の化 合物はアンホテリシン種の化合物、特にアンホテリシンBの毒性を阻害または軽 減するために投与される。 本明細書において用いる「C1-3アルキル」、「C1-4アルキル」、「C1-6ア ルキル」または「アルキル」基なる語は、1ないし10個の直鎖または分枝鎖の 両方の基を包含することを意味し、特に鎖長を限定しない限り、メチル、エチル 、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert −などを包含するが、これに限定されない。 「アルケニル」は、鎖長が限定されない限り、1ないし6個の炭素長の直鎖ま たは分枝鎖の両方を意味し、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−プ ロピニルまたは3−メチル−2−プロペニルを包含するが、これに限定されない 。 「シクロアルキル」または「シクロアルキルアルキル」なる語は、シクロプロ ピル、シクロプロピルメチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルなどの3な いし7個の炭素原子の基を意味する。 「アリール」または「アラルキル」は、特記しない限り、フェニル、ベンジル 、フェネチルまたはナフチルなどの6ないし10個の炭素原子の芳香族環または 環系を意味する。好ましくは、アリールは単環、すなわち、フェニルである。ア ルキル鎖は炭素数1ないし4の直鎖または分枝鎖基の両方を包含することを意図 とする。 「ヘテロアリール」は1個またはそれ以上のヘテロ原子を含有する芳香族環系 、例えば、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、ピリジル、ピリミジル 、ピラゾリル、ピロリル、フラニルまたはチエニルを意味する。 「ハロ」はすべてのハロゲン、すなわち、クロロ、フルオロ、ブロモまたはヨ ードを意味する。 「IL−1の産生の阻害」または「TNFの産生の阻害」は: a)単球またはマクロファージを含む(これに限定されない)全細胞による、 in vivoでのIL−1の放出を阻害することによる、ヒトにおける、in vivoでの それぞれのIL−1またはTNFの過剰レベルを正常レベル以下に減少させるこ と; b)ヒトにおける、in vivoでのそれぞれのIL−1またはTNFレベルの翻 訳または転写レベルを正常レベル以下にダウンレギュレーションすること; または c)翻訳後の事象としてのIL−1またはTNFレベルの直接合成を抑制する ことでダウンレギュレーションすること を意味する。 「TNF介在疾患または病状」なる語は、TNFが、TNFそれ自体を産生す るか、または限定されるものではないが、IL−1またはIL−6などの他のサ イトカインの放出を誘起するかのいずれかによって作用する、いずれの病状をも 意味する。したがって、例えば、IL−1が主要素であり、その産生および作用 がTNFに対する応答として惹起または分泌される病状は、TNFを介在する症 状と考えられる。TNF−β(また、リンホトキシンとして知られている)は、 TNF−α(カヘクチンとしても知られている)と構造的に近似しており、それ ぞれが同様な生物学的応答を誘発し、同一の細胞受容体に結合するので、TNF −αおよびTNF−βは共に本発明の化合物により阻害される。従って、本明細 書において、特記しないかぎり、それらを包括的に「TNF」という。好ましく は、TNF−αが阻害される。 「サイトカイン」は、細胞の機能に影響し、免疫、炎症または造血応答におい て細胞間の相互作用を調節する分子である、いずれの分泌ポリペプチドをも意味 する。サイトカインは、どの細胞が産生するかにかかわらず、モノカインおよび リンホカインを包含するが、これに限定されない。 HIVに感染したヒトの治療において用いるために本発明により阻害されるサ イトカインは、(a)T細胞活性化および/または活性化T細胞介在HIV遺伝 子発現および/または複製の開始および/または維持、および/または(b)カ ヘキシーまたは筋肉衰退などのサイトカイン介在疾患に伴ういずれの問題にも関 連するサイトカインでなければならない。好ましくは、このサイトカインはTN F−αである。 式(I)のすべての化合物は、TNF産生の阻害を必要とするヒトを含めた哺 乳動物において、好ましくは、マクロファージ、単球またはマクロファージと単 球によるTNFの産生を阻害する方法において有用である。式(I)のすべての 化合物は、PDE IVの酵素または触媒活性の阻害または媒介法、およびこれに より媒介される症状の治療において有用である。 好ましい化合物は以下のとおりである: 以下の好ましい化合物は、多かれ少くなかれ、好ましい対称分子で記載されて いるが、前記および後記の本明細書に記載の置換基は、各々、独立して本明細書 における各定義に基づいて変えることができる。例えば、R1は、式(I)に記 載の具体例と同一分子の範囲内にあるシクロペンチル基およびCF3基であって もよい。同様に、他の基も、各々およびすべての基で、本発明の所定の例示の範 囲内で、独立して選択され、あるいは同一であってもよい。 R1が1またはそれ以上のハロゲンで置換されたアルキルである場合、ハロゲ ンは好ましくはフッ素および塩素であり、より好ましくは1またはそれ以上のフ ッ素で置換されたC1-4アルキルである。好ましいハロ置換アルキル鎖長は、1 または2個の炭素であり、最も好ましいのは−CF3、−CH2F、−CHF2、 −CF2CHF2、−CH2CF3および−CH2CHF2である。本発明の化合物で の好ましいR1置換基は、CH2−シクロプロピル、CH25-6シクロアルキル、 非置換またはOHで置換されたC4-6シクロアルキル、C7-11ポリシクロアルキ ル、(3−または4−シクロペンテニル)、フェニル、テトラヒドロフラン−3 −イル、所望により1またはそれ以上のフッ素で置換されていてもよいベンジル もしくはC1-2アルキル、−(CH2)1-3C(O)O(CH2)0-2CH3、−(CH2)1-3 O(CH2)0-2CH3および−(CH2)2-4OHである。 R1基が(CR45)を含有する場合、R4およびR5基は、独立して、水素また はアルキルである。これは、(CR45)nまたは(CR45)mのような個々のメチ レン単位が分枝することを可能とし、メチレン繰り返し単位が、各々、互いに独 立し、例えば、nが2である(CR45)nは、例えば−CH2CH(CH3)−であ りうる。メチレン繰り返し単位または分枝状炭化水素の個々の水素原子は、置換 されていなくても、または互いに独立してフッ素で置換されていてもよく、例え ば、前記した好ましいR1置換を得ることができる。 R1がC7-11のポリシクロアルキルである場合、例としては、ビシクロ[2.2 .1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチ ル、トリシクロ[5.2.1.02'6]デシル等が挙げられ、別の例は、サッカマノ (Saccamano)ら、WO87/06576(1987年11月5日公開)に記載 されている。 Wは、好ましくは、炭素数3ないし5のアルキル、アルケニルまたはアルキニ ルであり、アルケニルまたはアルキニルである場合、1または2個の二重または 三重結合が存在する。 Zは、好ましくは、CR88OR14、CR88OR15、CR88SR14、CR88SR15、CR88S(O)m'R7、CR88NR1014、CR88NS(O)2N R1014、CR88NS(O)27、CR88NR10C(O)R14、CR88NR10 C(O)OR7、CR88NR10C(O)NR1014、CR88NR10C(NCN)N R1014、CR88NR10C(CR4NO2)NR1014、CR88NR10C(NC N)SR9、CR88NR10C(CR4NO2)SR9、CR88C(O)OR14、CR8 8C(O)NR1014、CR88C(NR10)NR1014、CR88CN、CR88 (オキサジアゾリル)、CR88(チアジアゾリル)、CR88C(NOR8)R14 、CR88C(NOR14)R8、CR88NR10C(NR10)SR9、CR88NR10 C(NR10)NR1014、CR88NR10C(O)C(O)NR1014またはCR8 8NR10C(O)C(O)OR14であり;最も好ましくは、ZのR8基がHであり、 ZのR14基がR4である化合物である。 X4は、好ましくは、H、OH、OCH3、CN、C(O)R8、C(O)OH、C( O)OCH3、C(O)NH2、CON(CH3)2、NH2またはN(CH3)2である。最 も好ましいX4基はH、OH、CN、C(O)OH、C(O)NH2またはNH2であ る。 好ましいX基は、XがYR2、Yが酸素のものである。好ましいX2基は酸素で ある。好ましいX3基は水素である。好ましいR2基は、可能ならば、置換されて いないかあるいは1またはそれ以上のハロゲンで置換されているC1-2アルキル である。ハロゲン原子は、好ましくは、フッ素および塩素、より好ましくはフッ 素である。より好ましいR2基は、R2がメチル、またはフルオロ置換アルキル、 特にC1-2アルキル、例えば−CF3、−CHF2または−CH2CHF2基のもの である。CHF2およびCH3基が最も好ましい。 好ましいR7基は、所望により置換されていてもよい-(CH2)1-2(シクロプロ ピル)、−(CH20-2(シクロブチル)、非置換またはOHで置換された−( CH20-2(シクロペンチル)、−(CH20-2(シクロヘキシル)、−(CH2 )0-2(2−、3−または4−ピリジル)、(CH2)1-2(2−イミダゾリル)、(CH2 )2(4−モルホリニル)、(CH2)2(4−ピペラジニル)、(CH2)1-2(2−チエニ ル)、(CH2)1-2(4−チアゾリル)および(CH2)0-2フェニルを包含する。 −NR1011部のR10およびR11が、それらが結合している窒素と一緒になっ て、O、NまたはSから選択される少なくとも1個のさらなるヘテロ原子を含有 してなる5ないし7員環を形成する場合、好ましい環は、1−イミダゾリル、2 −(R8)−1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、3−(R8)−1−ピラゾリル、1 −トリアゾリル、2−トリアゾリル、5−(R8)−1−トリアゾリル、5−(R8) −2−トリアゾリル、5−(R8)−1−テトラゾリル、5−(R8)−2−テトラゾ リル、1−テトラゾリル、2−テトラゾリル、モルホリニル、ピペラジニル、4 −(R8)−1−ピペラジニルまたはピロリル環を包含するが、これに限定されな い。 −NR1014部のR10およびR14が、それらが結合している窒素と一緒になっ て、O、NまたはSから選択される少なくとも1個のさらなるヘテロ原子を含有 してなる5ないし7員環を形成する場合、好ましい環は、1−イミダゾリル、1 −ピラゾリル、1−トリアゾリル、2−トリアゾリル、1−テトラゾリル、2− テトラゾリル、モルホリニル、ピペラジニルまたはピロリルを包含するが、これ に限定されない。各環は、可能であるならば、利用できる窒素または炭素上でさ らに式(I)について前記されているR7基で置換されていてもよい。このよう な炭素置換の例として、2−(R7)−1−イミダゾリル、4−(R7)−1−イ ミダゾリル、5−(R7)−1−イミダゾリル、3−(R7)−1−ピラゾリル、4 −(R7)−1−ピラゾリル、5−(R7)−1−ピラゾリル、4−(R7)−2 ートリアゾリル、5−(R7)−2−トリアゾリル、4−(R7)−1−トリアゾ リル、5−(R7)−1−トリアゾリル、5−(R7)−1−テトラゾリルおよび 5−(R7)−2−テトラゾリルが挙げられるが、これに限定されない。R7によ る利用可能な窒素置換は、1−(R7)−2−テトラゾリル、2−(R7)−1− テトラゾリル、4−(R7)−1−テトラゾリル、4−(R7)−1−ピペラジニ ルを包含するが、これに限定されない。できるならば、環はR7で1またはそれ 以上の回数置換することもできる。 複素環式環を含有する−NR1014についての好ましい基は、5−(R14)−1 −テトラゾリル、2−(R14)−1−イミダゾリル、5−(R14)−2−テトラゾリ ルまたは4−(R14)−1−ピペラジニルである。 R13についての好ましい環は、(2−、4−または5−イミダゾリル)、(3− 、4−または5−ピラゾリル)、(4−または5−トリアゾリル[1,2,3])、( 3−または5−トリアゾリル[1,2,4])、(5−テトラゾリル)、(2−、4− または5−オキサゾリル)、(3−、4−または5−イソキサゾリル)、(3−また は5−オキサジアゾリル[1,2,4])、(2−オキサジアゾリル[1,3,4]) 、(2−チアジアゾリル[1,3,4])、(2−、4−または5−チアゾリル)、( 2−、4−または5−オキサゾリジニル)、(2−、4−または5−チアゾリジニ ル)または(2−、4−または5−イミダゾリジニル)を包含する。 R7基が、置換されていないか、またはイミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾ リル、テトラゾリルまたはチアゾリルなどの複素環式環で置換されている場合、 複素環式環それ自体は、所望により、1−(R8)−2−イミダゾリル、1−(R8) −4−イミダゾリル、1−(R8)−5−イミダゾリル、1−(R8)−3−ピラゾリ ル、1−(R8)−4−ピラゾリル、1−(R8)−5−ピラゾリル、1−(R8)−4 ートリアゾリルまたは1−(R8)−5−トリアゾリルなど、可能な窒素または炭 素原子上でR8により置換されていてもよい。可能ならば、環は1回またはそれ 以上R8により置換されていてもよい。 R1が−CH2−シクロプロピル、−CH25-6シクロアルキル、非置換または ヒドロキシル基で置換された−C4-6シクロアルキル、テトラヒドロフラン−3 −イル、(3−または4−シクロペンテニル)、所望により1またはそれ以上のフ ッ素で置換されているベンジルまたはC1-2アルキルおよび−(CH2)2-4OHで あり;R2がメチルまたはフッ素置換アルキルであり;Wが炭素数2または4の アルキニルである式(I)の化合物が好ましい。 R1が−CH2−シクロプロピル、シクロペンチル、3−ヒドロキシシクロペン チル、メチルまたはCF2Hであり;XがYR2であり;Yが酸素であり;X2が 酸素であり;X3が水素であり;X4が水素であり;R2がCF2Hまたはメチルで あり;Wが1,3−ブタジイニルであり;ZにおけるR8基がHであり;およびZ のR14基がR4である化合物が最も好ましい。 その具体的な化合物は: 1,4−ビス−{[c−4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェ ニル)−r−1−ヒドロキシメチルシクロヘキサン]−4−イル}ブタ−1,3 −ジイン、および 1,4−ビス−{[c−4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェ ニル)−r−1−アミノメチルシクロヘキサン]−4−イル}ブタ−1,3−ジ インである。 本発明の化合物の医薬上許容される塩もまた、それらが調製できる場合、本発 明に包含されるものである。これらの塩は、その医薬用途への適用において許容 できるものである。その塩は親化合物の生物学的活性を保持し、疾患の治療にお ける適用および使用において有害または有毒な作用を有しないことを意味する。 医薬上許容される塩は標準的方法で調製される。適当な溶媒中に溶解させた親 化合物を、塩基の酸付加塩の場合には過剰の有機または無機酸で処理し、また分 子が例えばCOOHを有する場合には過剰の有機または無機塩基で処理する。 本発明の医薬組成物は、医薬担体または希釈剤と、一定量の式(I)の化合物 とからなる。該化合物は、生理学的応答を起こす量で存在するか、または意図す る治療を行うために使用者が2またはそれ以上の単位を摂取する必要があるよう なより少ない量で存在しうる。これらの組成物は、固体、液体または気体の形態 として形成しうる。あるいはこれら3種の形態のうちの一つを投与時、例えば固 体をエアロゾル手段でデリバーする場合、または液体をスプレーまたはエアロゾ ルでデリバーする場合のように別の形態に変換してもよい。 組成物および医薬担体または希釈剤の性質は、もちろん、例えば、非経口、局 所、経口または吸入によるか意図する投与経路に依存するであろう。 局所投与の場合、医薬組成物は、皮膚、眼、耳または鼻への適用に適したクリ ーム、軟膏、リニメント、ローション、ペースト、エアロゾルおよび滴剤の形態 である。 非経口投与の場合、医薬組成物は、アンプルなどの滅菌注射液あるいは水性ま たは非水性液体懸濁液の形態である。 経口投与の場合、医薬組成物は、錠剤、カプセル、散剤、ペレット、トローチ 、ロゼンジ、シロップ、液体またはエマルジョンの形態である。 医薬組成物を溶液または懸濁液の形態で用いる場合、適当な医薬担体または希 釈剤の例は、例えば、水性系の場合、水;非水性系の場合、エタノール、グリセ リン、プロピレングリコール、トウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油 、流動パラフィンおよびその水との混合物;固体系の場合、ラクトース、カオリ ンおよびマンニトール;エアロゾル系の場合、ジクロロジフルオロメタン、クロ ロトリフルオロエタンおよび圧縮二酸化炭素を包含する。また、医薬担体または 希釈剤に加えて、本発明の組成物は、他の成分、例えば安定化剤、酸化防止剤、 保存料、滑沢剤、沈殿防止剤、粘度調整剤などを含んでもよい;ただし、添加成 分は本発明の組成物の治療作用に致命的影響を及ぼさないものとする。 このように記載されている医薬製剤は、薬剤師の通常の技術に従って、適宜、 所望の最終製品にされる。 これらの組成物中、担体または希釈剤の量は変わるが、好ましくは活性成分の 懸濁液または溶液の大部分である。希釈剤が固体である場合、これは固体活性成 分より少ないか、または同量、あるいはより多い量で存在しうる。 通常、式(I)の化合物は、非毒性量の、ロイコトリエンが要因である疾患の 徴候を阻害するのに十分な量を含有してなる組成物にて対象に投与される。局所 処方剤は、約0.01ないし5.0重量%の活性成分を含み、必要に応じて患部に 予防または治療剤として塗布する。経口、または他の摂取または注射処方として 用いる場合、組成物の投与量は、各投与について50mgないし1000mgの 範囲の活性成分から選択される。簡便のために、等用量を1日に1ないし5回投 与し、日用量を約50mgないし約5000mgから選択する。 これらの化合物を本発明に従って投与した場合、許容できない毒物学的作用は 考えられない。 以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。これら実施例は本発明 を説明するにすぎず、本発明を制限するものと解釈すべきではない。請求の範囲 において本発明者らの保持する事項に言及する。 調製法 原文記載による合成スキーム 式(I)の化合物(ここに、Wは1,3−ブタジインであり、AおよびBが式 (I)に関して定義されているZであるか、またはZに変換可能な基であり、X4 は式(I)に関して定義されているX4であるか、またはX4に変換可能な基で ある)は、例えば、EglingtonおよびGalbraithの方法(J.Chem.Soc.,1959 ,889)にあるように、酢酸銅のような適当な金属塩を用い、DMFまたはピリ ジンあるいはピリジン/メタノール/水のような組み合わせなどの適当な溶媒中 、式1−スキーム1の分子を、式2−スキーム1の分子とカップリングさせ、式3−スキーム1 の化合物を得ることからなる。 式(I)の化合物(Wは1,3−ブタジインであり、Zは式(I)に関して定 義されているZまたはZに変換可能な基であり、X4は式(I)に関して定義さ れているX4またはX4に変換可能な基である)の、式(I)の化合物(Wは完全 に飽和した炭化水素鎖(すなわち、n−ブチル)である)への還元は、Tedesch iの方法(J.Org.Chem.,1962,27,2398)に従って、例えばパラジウム金属 を、またはJutzの方法(Ber.,1958,91,1867)またはSuzukiおよびKurosa waの方法(Chem.Lett.,1980,1177)に従って、例えば酸化白金を用いて行う ことができる。式(I)の化合物(Wは1,3−ブタジインであり、Zは式(I )に関して定義されているZまたはZに変換可能な基であり、X4は式(I)に 関して定義されているX4またはX4に変換可能な基である)を還元し、Wが1, 3−ブタジエンである式(I)の化合物を得るのは、例えば、ZweifelおよびP olstonのホウ水素化−プロトノリシス法(J.Am.Chem.Soc.,1970,92,4068 )または、例えばZweifelらのヒドロアルミニウム化−プロトノリシス法(Syn thesis,1977,52)を用いて達成できる。 別法として、式(I)の化合物(ここに、W、X4およびZは式(I)に関し て定義されているW、X4およびZであるか、またはW、X4またはZに変換可能 な基である)は、同時係属の米国特許出願07/862112、07/9687 60およびPCT出願PCT/US93/01988に記載の合成方法により、 例えば、化合物1−スキーム2のような対応するケトンより調製できる。このよ うなケトン出発物質の合成は、同時係属の米国特許出願07/862083、0 7/968753およびPCT/US93/02325に記載されている。 式(I)の化合物のZおよびX4基の性質に応じて、そのZおよびX4基は、同 時係属の米国特許出願07/862112、07/968760およびPCT出 願(PCT/US93/01988)に記載されている方法にあるように、式( I)の化合物を得るために、本明細書に記載のカップリングおよび/または還元 工程の間、保護し、つづいて脱保護を必要とするかもしれない;このような保護 基は当業者に周知である(Greene,T.およびWuts,P.G.M.,Protecting Groups in Organic Synthesis,2nd Ed., John Wiley and Sons,New York(1991)を参照のこと)。 式(I)の残りの化合物の製造は、前記した方法および以下の実施例に類似す る方法により行うことができる。 式(I)の化合物が個々の物理および生物学的特性を有する個々のジアステレ オマーの形態にて存在してもよく;かかる異性体が標準的クロマトグラフィー法 により分離できることは明らかであろう。 実験例 実施例1 1,4−ビス−{[c−4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニ ル)−r−1−ヒドロキシメチルシクロヘキサン]−4−イル}ブタ−1,3− ジインの調製 1,4−ビス−{[メチルc−4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキ シフェニル)−r−1−シクロヘキサン カルボキシレート]−4−イル}ブタ −1,3−ジイン(0.35g、0.52ミリモル、本願と同日に出願した、P5 0297で特定される同時係属の出願に記載の操作により製造)のメタノール( 0.025ml)およびホウ水素化リチウム(0.04g、1.56ミリモル)を 含むテトラヒドロフラン(3.0ml)中懸濁液を、アルゴン雰囲気下、室温で 一夜撹拌する。反応混合物を塩化メチレンと酸性水の間に分配し、乾燥(硫酸マ グネシウム)し、蒸発させる。フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製 し、生成物を得る。 実施例2 1,4−ビス−{[c−4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニ ル)−r−1−アミノメチルシクロヘキサン]−4−イル}ブタ−1,3−ジイ ンの調製 アルゴン雰囲気下、1,4−ビス−{[c−4−(3−シクロペンチルオキシ −4−メトキシフェニル)−r−1−ヒドロキシメチルシクロヘキサン]−4− イル}ブタ−1,3−ジイン(0.11g、0.16ミリモル)のテトラヒドロフ ラン(2ml)中溶液を、トリフェニルホスフィン(0.08g、0.32ミリモ ル)、フタルイミド(0.04g、0.32ミリモル)で処理し、ジエチルアゾジ カルボキシレート(0.06ml、0.32ミリモル)を滴下する。反応フラスコ をホイールで覆い、混合物を室温で30時間撹拌する。溶媒を蒸発させ、残渣を フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、生成物のフタルイミドを得、そ れをアルゴン雰囲気下でエタノール(5ml)に溶かし、ヒドラジン水和物(0 .16ml、0.3ミリモル)と一緒に3日間撹拌する。沈殿物を濾過で除去し、 濾液をシリカカラムに加え、生成物を溶出する。 実用例 実施例A ヒト単球によるin vitro TNF産生に対する式(I)の化合物の阻害効果 ヒト単球によるin vitro TNF産生に対する式(I)の化合物の阻害効果は 、バッジャー(Badger)ら、EPO公開出願番号0411754A2(1991 年2月6日)およびハンナ(Hanna)、WO90/15534(1990年12 月27日)に記載されている方法により測定できる。 実施例B 内毒素ショックの2種の実験モデルを用いて、式(I)の化合物についてのin vivo TNF活性を測定した。これらの実験モデルにおいて用いたプロトコル方 法は、バッジャー(Badger)ら、EPO公開出願番号0411754A2(19 91年2月6日)およびハンナ(Hanna)、WO90/15534(1990年 12月27日)に記載されている。 本発明の実施例1の化合物は内毒素の注入により誘起されるTNFの血清レベ ルの低下において正のin vivo応答を示した。 実施例C PDEイソ酵素の単離 本発明の化合物のホスホジエステラーゼ阻害活性および選択性は、5種の異な るPDEイソ酵素を用いて決定できる。異なるイソ酵素の供給源として用いられ る組織は以下のとおりである:1)PDE Ib、ブタ大動脈;2)PDE I c、モルモット心臓;3)PDE III、モルモット心臓;4)PDE IV、ヒト 単球;および5)PDEV(「Ia」とも称される)、イヌ気管。PDE Ia 、Ib、IcおよびIIIを標準的クロマトグラフィー技術を用いて一部精製する [トーフィー(Torphy)およびシースリンスキー(Cieslinski)、モレキュラ・ ファーマコロジー(Mol.Pharmacol.)、37:206-214、1990]。PDE IVをアニ オン交換と、つづいてヘパリン−セファロースクロマトグラフィーを連続的に使 用し、速度論的同一について精製する[トーフィー(Torphy)ら、ジャーナル・ オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、267:1798-1804、1992 ]。 ホスホジエステラーゼ活性を、トーフィー(Torphy)およびシースリンスキー (Cieslinski)の方法[モレキュラ・ファーマコロジー(Mol.Pharmacol.)、37 :206-214、1990]に記載されているように分析する。式(I)に関して本明細 書に記載した実施例の化合物ではナノモルないしμMの範囲の正のIC50が測定 されている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 217/74 C07C 217/74 (72)発明者 カーピンスキー,ジョゼフ・エム アメリカ合衆国19464ペンシルベニア州 ポッツタウン、ノース・シャーロット・ス トリート 308番

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.式(I): [式中、 R1は、独立して、−(CR45)nC(O)O(CR45)m6、−(CR45)nC( O)NR4(CR45)m6、−(CR45)nO(CR45)m6または-(CR45)r 6(ここに、アルキル部分は、置換されていないか、または1またはそれ以上 のフッ素で置換されている)から選択され; mは0ないし2であり; nは0ないし4であり; rは0ないし6であり; R4およびR5は、独立して、水素またはC1-2アルキルから選択され; R6は、独立して、水素、メチル、ヒドロキシル、アリール、ハロ置換アリー ル、アリールオキシC1-3アルキル、ハロ置換アリールオキシC1-3アルキル、イ ンダニル、インデニル、C7-11ポリシクロアルキル、テトラヒドロフラニル、フ ラニル、テトラヒドロピラニル、ピラニル、テトラヒドロチエニル、チエニル、 テトラヒドロチオピラニル、チオピラニル、C3-6シクロアルキルまたは1もし くは2個の不飽和結合を含有するC4-6シクロアルキル(ここに、シクロアルキ ルまたは複素環部分は置換されていないか、または1ないし3個のメチル基、1 個のエチル基または1個のヒドロキシル基で置換されている)から選択される; ただし、 a)R6がヒドロキシルである場合、mは2であるか;または b)R6がヒドロキシルである場合、rは2ないし6であるか;または c)R6が2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロチオピラニル、2− テトラヒドロフラニルまたは2−テトラヒドロチエニルである場合、mは1また は2であるか;または d)R6が2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロチオピラニル、2− テトラヒドロフラニルまたは2−テトラヒドロチエニルである場合、rは1ない し6であり; e)nが1であり、mが0である場合、−(CR45)nO(CR45)m6にお けるR6はH以外の基であり; Xは、独立して、YR2、フッ素、NR45またはホルミルアミンから選択さ れ; Yは、独立して、OまたはS(O)m'から選択され; m'は0、1または2であり; X2は、独立して、OまたはNR8から選択され; X3は、独立して、水素またはXから選択され; R2は、独立して、所望により1またはそれ以上のフッ素で置換されていても よい−CH3または−CH2CH3からなる群より選択され; sは0ないし4であり; Wは炭素数2〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニルまたは炭素数2〜6 のアルキニルであり; Zは、独立して、CR88OR14、CR88OR15、CR88SR14、CR8 8SR15、CR88S(O)m'R7、CR88NR1014、CR88NR10S(O)2 NR1014、CR88NR10S(O)27、CR88NR10C(Y')R14、CR8 8NR10C(O)OR7、CR88NR10C(Y')NR1014、CR88NR10C( NCN)NR1014、CR88NR10C(CR4NO2)NR1014、CR8 8NR10C(NCN)SR9、CR88NR10C(CR4NO2)SR9、CR88C( O)OR14、CR88C(Y')NR1014、CR88C(NR10)NR1014、CR88CN、CR88(テトラゾリル)、CR88(イミダゾリル)、CR88( イミダゾリジニル)、CR88(ピラゾリル)、CR88(チアゾリル)、CR88(チアゾリジニル)、CR88(オキサゾリル)、CR88(オキサゾリジ ニル)、CR88(トリアゾリル)、CR88(イソキサゾリル)、CR88( オキサジアゾリル)、CR88(チアジアゾリル)、CR88(モルホリニル) 、CR88(ピペリジニル)、CR88(ピペラジニル)、CR88(ピロリル )、CR88C(NOR8)R14、CR88C(NOR14)R8、CR88NR10C (NR10)SR9、CR88NR10C(NR10)NR1014、CR88NR10C(O) C(O)NR1014またはCR88NR10C(O)C(O)OR14であり; X5はH、R9、OR8、CN、C(O)R8、C(O)OR8、C(O)NR88また はNR88であり; X4は、独立して、H、R9、OR8、CN、C(O)R8、C(O)OR8、C(O) NR88またはNR88であり; Y'は、独立して、OまたはSから選択され; R7は−(CR45)q12またはC1-6アルキル(ここに、R12またはC1-6アル キル基は、置換されていないか、あるいは置換されていないかまたは1ないし3 個のフッ素で置換されているメチルまたはエチルで1回またはそれ以上置換され ている)、−F、−Br、−Cl、−NO2、−NR1011、−C(O)R8、−C O28、−O(CH2)q8、−CN、−C(O)NR1011、−O(CH2)qC(O) NR1011、−O(CH2)qC(O)R9、−NR10C(O)NR1011、−NR10C( O)R11、−NR10C(O)OR9、−NR10C(O)R13、−C(NR10)NR1011 、−C(NCN)NR1011、−C(NCN)SR9、−NR10C(NCN)SR9、− NR10C(NCN)NR1011、−NR10S(O)29、−S(O)m'R9、-NR10C (O)C(O)NR1011、−NR10C(O)C(O)R10またはR13であり; qは0、1または2であり; R12は、独立して、R13、C3-7シクロアルキル、(2−、3−または4−ピ リジル)、ピリミジル、ピラゾリル、(1−または2−イミダゾリル)、ピロリ ル、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、フラニル、(2−または3− チエニル)、キノリニル、ナフチルまたはフェニルから選択され; R8は、独立して、水素またはR9から選択され; R9は、独立して、所望により1ないし3個のフッ素で置換されていてもよい C1-4アルキルから選択され; R10は、独立して、OR8またはR11から選択され; R11は水素または所望により1ないし3個のフッ素で置換されていてもよいC1-4 アルキルから選択されるか、またはR10およびR11が−NR1011である場 合、これらは窒素と一緒になって炭素または炭素とO、NまたはSから選択され る少なくとも1個の別のヘテロ原子とからなる5ないし7員環を形成し; R13は、独立して、オキサゾリジニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリ ル、トリアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、チアゾリ ジニル、イソキサゾリル、オキサジアゾリルまたはチアジアゾリルから選択され 、これら複素環式環は、各々、炭素原子を介して連結し;および R14は水素またはR7であるか;またはR8およびR14がNR814のような場 合、これらは窒素と一緒になって、炭素または炭素とO、NまたはSから選択さ れる1またはそれ以上のさらなるヘテロ原子を含有してなる5ないし7員環を形 成し; R15はC(O)R14、C(O)NR414、S(O)27またはS(O)2NR414で ある] で示される化合物またはその医薬上許容される塩。 2.R1が−CH2−シクロプロピル、シクロペンチル、3−ヒドロキシシクロ ペンチル、メチルまたはCF2Hであり;XがYR2であり;Yが酸素であり;X2 が酸素であり;X3が水素であり;X4が水素であり;R2がCF2Hまたはメチ ルであり;Wが1,3−ブタジイニルであり;ZにおけるR8基が水素であり、Z のR14基がR4である請求項1記載の化合物。 3.1,4−ビス−{[c−4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ フェニル)−r−1−アミノメチルシクロヘキサン]−4−イル}ブタ−1,3 −ジインである請求項2記載の化合物。 4.請求項1の式(I)の化合物と、医薬上許容される賦形剤とを含有してな る医薬組成物。
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