【発明の詳細な説明】
1,3,3−(三置換)シクロヘキサ−1−エン二量体および関連化合物
発明の分野
本発明は新規1,3,3−(三置換)シクロヘキサ−1−エンおよび関連化合物
、これらの化合物を含有する医薬組成物、ならびにアレルギー性および炎症性疾
患の治療および腫瘍壊死因子(TNF)の産生の阻害におけるそれらの使用に関
する。
発明の背景
気管支喘息は、気道の可逆的狭窄および外的刺激に対する気道の反応亢進を特
徴とする複雑な多因性疾患である。
複数のメディエイタが喘息の発達に関与しているという事実により、喘息用の
新規治療剤の同定は困難となっている。かくして、一のメディエイタの作用を除
去することで、慢性喘息の3種すべての要因に対する実質的な効果は得られない
であろうと考えられる。「メディエイタ解決法」と別の方法が、この病気の病態
生理学に関与している細胞の活性を調節することである。
そのような方法の一つが、cAMP(アデノシン・サイクリック3',5'−モ
ノホスフェート)のレベルを上昇させることによるものである。サイクリックA
MPは広範囲のホルモン、神経伝達物質および薬剤に対する生物学的応答を媒介
する第二メッセンジャーであることが示されている[Krebs Endocrinology Proc
eedings of the 4th International Congress Excerpta Medica,17-29,1973]
。適当な作用物質が特異的細胞表面受容体に結合すると、アデニル酸シクラーゼ
が活性化され、それはMg+2−ATPをcAMPに速い速度で変換する。
サイクリックAMPは、外因性(アレルギー性)喘息の病態生理学に関連する
細胞の、全てではないとしても、大部分の活性を調節する。cAMPの増加は、
それ自体、以下:1)気道平滑筋の弛緩、2)肥満細胞メディエイタの放出の阻
害、3)好中球脱顆粒の抑制、4)好塩基球脱顆粒の阻害、および5)単球およ
びマクロファージ活性化の阻害を含む有益な効果をもたらすであろう。したがっ
て、アデニル酸シクラーゼを活性化するか、ホスホジエステラーゼを阻害する化
合物は、気道平滑筋の不適当な活性化および多種の炎症細胞を抑制するのに有効
である。cAMP不活化の主な細胞機構は、環状ヌクレオチドホスホジエステラ
ーゼ(PDE)と称される1またはそれ以上の一連のイソ酵素による3'−ホス
ホジエステル結合の加水分解にある。
独特な環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)イソ酵素であるPD
E IVが、気道平滑筋および炎症細胞におけるcAMP分解の原因であることが
明らかにされている[Torphy、「ホスホジエステラーゼ・アイソザイムズ:ポテ
ンシャル・ターゲッツ・フォア・ノベル・アンチアゼマティック・エージェンツ
」(“Phosphodiesterase Isozymes:Potential Targets for Novel Anti-asthma
tic Agents”in New Drugs for Asthma,Barnes,ed.IBC Technical Services L
td., 1989)]。研究は、この酵素の阻害が、気道平滑筋の弛緩をもたらすだけ
でなく、単球および好中球の活性化を阻害すると共に、肥大細胞、好塩基球およ
び好中球の脱顆粒を抑制することを指摘する。その上、PDE IV阻害剤の有益
な効果は、in vivoの場合のように、標的細胞のアデニル酸シクラーゼ活性が適
当なホルモンまたはオータコイドにより上昇した場合、著しく増強される。この
ようなPDE IV阻害剤は、プロスタグランジンE2およびプロスタサイクリン(
アデニル酸シクラーゼの活性化物質)のレベルが高い、喘息性肺において有効で
ある。このような化合物は、気管支喘息の薬物療法に対して独特な解決方法を提
供し、現在市販されている医薬よりも優れた著しい治療効果を有する。
本発明の化合物はまた、腫瘍壊死因子(TNF)、血清糖タンパク質の産生を
阻害する。過度または未調整のTNF産生は、多発性硬化症、自己免疫糖尿病お
よび全身エリテマトーデスなどの多数の自己免疫疾患に加えて、慢性関節リウマ
チ、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症、痛風性関節炎および他の関節炎;敗血症
、敗血性ショック、内毒素ショック、グラム陰性敗血症、毒性ショック症候群、
成人呼吸窮迫症候群、脳性マラリア、慢性肺炎、珪肺症、肺サルコイドーシス、
骨吸収疾患、再潅流傷害、対宿主性移植片反応、同種移植片拒絶反応、インフル
エ
ンザなどの感染症による発熱および筋肉痛、感染または悪性疾患に派生的なカヘ
キシー、ヒト後天性免疫不全症候群(AIDS)に派生的なカヘキシー、AID
S、ARC(AIDS関連症候群)、ケロイド形成、瘢痕組織形成、クローン病
、潰瘍性大腸炎、または熱病を含む多数の疾患の媒介または再燃に関連がある。
AIDSは、Tリンパ球のヒト免疫不全ウイルス(HIV)での感染の結果起
こる。少なくとも3種のHIV、すなわち、HIV−1、HIV−2およびHI
V−3が同定されている。HIV感染の結果、T細胞介在免疫が損なわれ、感染
個体は重度の日和見感染症および/または異常な腫瘍を発病する。HIVがTリ
ンパ球に侵入するにはTリンパ球の活性化が必要とされる。HIV−1またはH
IV−2などのウイルスは、T細胞の活性化後にTリンパ球に感染し、このよう
なウイルスタンパク質の発現および/または複製は、このようなT細胞活性化に
より媒介または維持される。活性化されたTリンパ球が一旦HIVに感染すると
、HIV遺伝子の発現および/またはHIV複製を可能にするためにTリンパ球
は活性化状態に維持され続けなければならない。
サイトカイン、特にTNFは、Tリンパ球活性化の維持にて役割を果たすこと
により活性化されたT細胞介在HIVタンパク質発現および/またはウイルス複
製に関連する。従って、HIVに感染した個体にて、サイトカイン、特にTNF
産生を阻害することによるようなサイトカイン活性の干渉は、T細胞活性化の維
持を制限する手助けをし、これにより、未感染細胞に対するHIV感染性の進行
を軽減し、HIV感染により誘起される免疫機能不全の進行の遅れまたは除去を
もたらす。単球、マクロファージ、および関連する細胞、例えば星細胞およびグ
リア細胞も、HIV感染の維持に関連する。T細胞などのこれらの細胞は、ウイ
ルス複製の標的であり、ウイルス複製のレベルは、細胞の活性化状態に依存する
。[Rosenbergら、ジ・イムノパソジェニシス・オブ・エイチアイブイ・インフ
ェクション、アドバンセス・イン・イムノロジー(The Immunopathogenesis of
HIV Infection,Advances in Immunology)、第57巻(1989)を参照のこと]。
TNFなどのモノカインは、単球および/またはマクロファージにおいてHIV
複製を活性化することが明らかにされており[Poliら、プロシーディングズ・オ
ブ・
ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシス(Proc.Natl.Acad.Sci.)87:782
-784(1990)を参照のこと]、従って、モノカイン産生または活性の阻害は、T
細胞に関して前記したように、HIV進行を制限する手助けとなる。
TNFはまた、サイトメガロウイルス(CMV)、インフルエンザウイルス、
アデノウイルスおよびヘルペスウイルスなどの他のウイルス感染症で、前記と同
様の理由から種々の役割に関連している。
TNFはまた、酵母および真菌感染症にも関連している。特にカンジダ・アル
ビカンス(Candida albicans)は、ヒト単球およびナチュラルキラー細胞にて、
in vitroにおけるTNF産生を誘発することが明らかにされている。[Riipiら、
インフェクション・アンド・イミュニティー(Infection and Immunity)、58(
9):2750-54(1990);およびJafariら、ジャーナル・オブ・インフェクシャス
・ディジージズ(Journal of Infectious Diseases)、164:389-95(1991)を
参照のこと。さらに、Wasanら、アンチミクロバイアル・アージェンツ・アンド
・ケモセラピー(Antimicrobial Agents and Chemotherapy)、35(10):2046-
48(1991);およびLukeら、ジャーナル・オブ・インフェクシャス・ディジージ
ズ、162:211-214(1990)を参照のこと]。
TNFの悪影響を制御する能力は、このような使用を必要とする哺乳動物にて
TNFを阻害する化合物を使用することで促進される。TNFを過度および/ま
たは未調整で産生することにより悪化または誘起されるTNF介在疾患の治療に
おいて有用な化合物に対する要求が依然としてある。
発明の要約
式(I)の化合物は、以下の構造式:
[式中、
R1は−(CR4R5)nC(O)O(CR4R5)mR6、−(CR4R5)nC(O)NR4(C
R4R5)mR6、−(CR4R5)nO(CR4R5)mR6または−(CR4R5)rR6(ここに
、アルキル部分は、置換されていないか、または1またはそれ以上のハロゲンで
置換されている)であり;
mは0ないし2であり;
nは0ないし4であり;
rは0ないし6であり;
R4およびR5は、独立して、水素またはC1-2アルキルであり;
R6は水素、メチル、ヒドロキシル、アリール、ハロ置換アリール、アリール
オキシC1-3アルキル、ハロ置換アリールオキシC1-3アルキル、インダニル、イ
ンデニル、C7-11ポリシクロアルキル、テトラヒドロフラニル、フラニル、テト
ラヒドロピラニル、ピラニル、テトラヒドロチエニル、チエニル、テトラヒドロ
チオピラニル、チオピラニル、C3-6シクロアルキルまたは1もしくは2個の不
飽和結合を含有するC4-6シクロアルキル(ここに、シクロアルキルまたは複素
環部分は置換されていないか、または1ないし3個のメチル基、1個のエチル基
または1個のヒドロキシル基で置換されている)であり;
ただし、
a)R6がヒドロキシルである場合、mは2であるか;または
b)R6がヒドロキシルである場合、rは2ないし6であるか;または
c)R6が2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロチオピラニル、2−
テトラヒドロフラニルまたは2−テトラヒドロチエニルである場合、mは1また
は2であるか;または
d)R6が2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロチオピラニル、2−
テトラヒドロフラニルまたは2−テトラヒドロチエニルである場合、rは1ない
し6であり;
e)nが1であり、mが0である場合、−(CR4R5)nO(CR4R5)mR6にお
けるR6はH以外の基であり;
XはYR2、フッ素、NR4R5またはホルミルアミンであり;
YはOまたはS(O)m'であり;
m'は0、1または2であり;
X2はOまたはNR8であり;
X3は水素またはXであり;
R2は置換されていないかまたは1もしくはそれ以上のハロゲンで置換されて
いる−CH3または−CH2CH3であり;
sは0ないし4であり;
Wは炭素数2〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニルまたは炭素数2〜6
のアルキニルであり;
ZはS(O)m'R9、OS(O)2R9、OR9、OC(O)NR7R7、OC(O)(O)q
R7、O(CR4R5)nOR9またはNR9R9であり;
qは0または1であり;
R7は水素またはR9であり;
R8は水素または置換されていないかもしくは1ないし3個のフッ素で置換さ
れているC1-4アルキルであるか、またはR8およびR10が−NR8R10である場
合、これらは窒素と一緒になって炭素原子のみか、または炭素原子とO、Nまた
はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子とからなる5ないし7員環を形
成し;
R9はC1-10アルキル、C2-10アルケニル、C3-7シクロアルキル、C4-6シク
ロアルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール
アルキル(その各々は置換されていないか、または1もしくはそれ以上のフッ素
原子で置換されている)であるか、またはNR9R9で表される2個のR9は、窒
素と一緒になって、炭素原子のみかまたは炭素原子とO、NまたはSから選択さ
れる少なくとも1個のヘテロ原子を含有してなる5ないし7員環を形成してもよ
く;
R10はOR8またはR8である;
ただし、
f)OC(O)(O)qR7において、qが1の場合、R7は水素以外の基である]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩である。
本発明の別の一連の化合物は、式(II):
[式中、
R1は−(CR4R5)nC(O)O(CR4R5)mR6、−(CR4R5)nC(O)NR4(C
R4R5)mR6、−(CR4R5)nO(CR4R5)mR6または−(CR4R5)rR6(ここに
、アルキル部分は、置換されていないか、または1またはそれ以上のハロゲ
ンで置換されている)であり;
mは0ないし2であり;
nは0ないし4であり;
rは0ないし6であり;
R4およびR5は、独立して、水素またはC1-2アルキルであり;
R6は水素、メチル、ヒドロキシル、アリール、ハロ置換アリール、アリール
オキシC1-3アルキル、ハロ置換アリールオキシC1-3アルキル、インダニル、イ
ンデニル、C7-11ポリシクロアルキル、テトラヒドロフラニル、フラニル、テト
ラヒドロピラニル、ピラニル、テトラヒドロチエニル、チエニル、テトラヒドロ
チオピラニル、チオピラニル、C3-6シクロアルキルまたは1もしくは2個の不
飽和結合を含有するC4-6シクロアルキル(ここに、シクロアルキルまたは複素
環部分は置換されていないか、または1ないし3個のメチル基、1個のエチル基
または1個のヒドロキシル基で置換されている)である;
ただし、
a)R6がヒドロキシルである場合、mは2であるか;または
b)R6がヒドロキシルである場合、rは2ないし6であるか;または
c)R6が2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロチオピラニル、2−
テトラヒドロフラニルまたは2−テトラヒドロチエニルである場合、mは1また
は2であるか;または
d)R6が2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロチオピラニル、2−
テトラヒドロフラニルまたは2−テトラヒドロチエニルである場合、rは1ない
し6であり;
e)nが1であり、mが0である場合、−(CR4R5)nO(CR4R5)mR6にお
けるR6はH以外の基であり;
XはYR2、フッ素、NR4R5またはホルミルアミンであり;
YはOまたはS(O)m'であり;
m'は0、1または2であり;
X2はOまたはNR8であり;
X3は水素またはXであり;
R2は置換されていないかまたは1もしくはそれ以上のハロゲンで置換されて
いる−CH3または−CH2CH3であり;
sは0ないし4であり;
Wは炭素数2〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニルまたは炭素数2〜6
のアルキニルであり;
ZはNHR14、S(O)m'R9、OS(O)2R9、OR9、OC(O)NR7R7、OC
(O)(O)qR7、O(CR4R5)nOR9またはNR9R9であり;
Z'はC(Y')R14、C(O)OR14、C(Y')NR10R14、C(NR10)NR10R1 4
、CN、C(NOR8)R14、C(NOR14)R8、C(NR8)NR10R14、C(NR1 4
)NR8R8、C(NCN)NR10R14、C(NCN)SR11、(2−、4−または5
−イミダゾリル)、(3−、4−または5−ピラゾリル)、(4−または5−ト
リアゾリル[1,2,3])、(3−または5−トリアゾリル[1,2,4])、(5−
テトラゾリル)、(2−、4−または5−オキサゾリル)、(3−、4−または
5−イソキサゾリル)、(3−または5−オキサジアゾリル[1,2,4])、(2−
オキサジアゾリル[1,3,4])、(2−チアジアゾリル[1,3,4])、(2
−、4−または5−チアゾリル)、(2−、4−または5−オキサゾリジニル)
、(2−、4−または5−チアゾリジニル)または(2−、4−または5−イミ
ダゾリジニル)であり、ここに複素環系はすべて、1回またはそれ以上の回数、
R14により置換されていてもよい;
Y'はOまたはSであり;
qは0または1であり;
R7は水素またはR9であり;
R8は水素または置換されていないかもしくは1ないし3個のフッ素で置換さ
れているC1-4アルキルであるか、またはR8およびR10が−NR8R10である場
合、これらは窒素と一緒になって炭素原子のみか、または炭素原子とO、Nまた
はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子とからなる5ないし7員環を形
成し;
R9はC1-10アルキル、C2-10アルケニル、C3-7シクロアルキル、C4-6シク
ロアルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール
アルキル(その各々は置換されていないか、または1もしくはそれ以上のフッ素
原子で置換されている)であるか、またはNR9R9で表される2個のR9基は、
窒素と一緒になって、炭素原子のみかまたは炭素原子とO、NまたはSから選択
される少なくとも1個のヘテロ原子を含有してなる5ないし7員環を形成しても
よく;
R10はOR8またはR8であり;
R11は置換されていないかまたは1ないし3個のフッ素で置換されているC1- 4
アルキルであり;
R12はR13、C3-7シクロアルキル、(2−、3−または4−ピリジル)、ピ
リミジル、ピラゾリル、(1−または2−イミダゾリル)、ピロリル、ピペラジ
ニル、ピペリジニル、モルホリニル、フラニル、(2−または3−チエニル)、
キノリニル、ナフチルまたはフェニルであり;
R13はオキサゾリジニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、トリアゾ
リル、テトラゾリル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、チアゾリジニル、イソ
キサゾリル、オキサジアゾリルまたはチアジアゾリルであり、これら複素環式環
は、各々、炭素原子を介して連結し、それぞれ、置換されていないか、または1
もしくは2個のC1-2アルキル基で置換されていてもよく;
R14は水素またはR15であるか;またはR10およびR14がNR10R14のような
場合、これらは窒素と一緒になって、炭素原子のみまたは炭素原子とO、Nまた
はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有してなる5ないし7員環
を形成し;
R15は−(CR4R5)tR12またはC1-6アルキル(ここに、R12またはC1-6ア
ルキル基は、置換されていないか、あるいは置換されていないかまたは1ないし
3個のフッ素で置換されているメチルまたはエチルで1回またはそれ以上置換さ
れている)、−F、−Br、−Cl、−NO2、−Si(R4)2、−NR8R10、−C(
O)R8、−C(O)OR8、−O(CH2)qR8、−CN、−C(O)NR8R10、
−O(CH2)qC(O)NR8R10、−O(CH2)qC(O)R8、−NR10C(O)NR8
R10、−NR10C(O)R8、−NR10C(O)OR9、−NR10C(O)R13、−C(
NR10)NR8R10、−C(NCN)NR8R10、−C(NCN)SR11、−NR10C(
NCN)SR11、−NR10C(NCN)NR10R8、-NR10S(O)2R9、−S(O)m
'R11、−NR10C(O)C(O)NR8R10、−NR10C(O)C(O)R10またはR13
であり;
tは0、1または2である;
ただし、
f)OC(O)(O)qR7において、qが1の場合、R7は水素以外の基である]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩である。
本発明はまた、本発明の化合物と、医薬上許容される担体または希釈剤とから
なる医薬組成物に関する。
本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物におけるPDE IVの酵素活性(または触
媒活性)の媒介または阻害法であって、以下に示すように、有効量の本発明の化
合物を、これを必要とする哺乳動物に投与することからなる方法に関する。
本発明はさらに、ヒトを含む哺乳動物に有効量の本発明の化合物を投与するこ
とからなる、アレルギー性および炎症性疾患の治療法を提供する。
本発明はまた、有効量の本発明の化合物を、これを必要とするヒトを含む哺乳
動物に投与することからなる、喘息の治療法も提供する。
本発明はまた、ヒトを含む哺乳動物におけるTNF産生の阻害法であって、か
かる治療を必要とする哺乳動物に有効なTNF阻害量の本発明の化合物を投与す
ることからなる方法に関する。この方法は、その治療に敏感に反応するある種の
TNF介在疾患の状態の予防的治療または予防に用いられる。
本発明はまた、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染したヒトの治療法であ
って、このようなヒトにTNF阻害に有効な量の本発明の化合物を投与すること
からなる方法に関する。
本発明の化合物は、別のウイルス感染症の治療において有用であり、このよう
なウイルスはTNFによるアップレギュレーションに対して感受性であるかまた
はin vivoにてTNF産生を惹起する。
加えて、本発明の化合物はまた、酵母および真菌感染症の治療においても有用
であり、このような酵母および真菌はTNFによるアップレギュレーションに対
して感受性であるかまたはin vivoでTNF産生を惹起する。
発明の詳細な記載
本発明はまたこれを必要とする哺乳動物においてPDE IVの酵素活性(また
は触媒活性)を媒介または阻害する方法およびこれを必要とする哺乳動物におい
てTNF産生を阻害する方法であって、前記哺乳動物に有効量の本発明の化合物
を投与することからなる方法に関する。
ホスホジエステラーゼIV阻害剤は、喘息、慢性気管支炎、アトピー性皮膚炎、
蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、春季カタル、好酸球性肉芽腫
、乾癬、慢性関節リウマチ、敗血性ショック、潰瘍性大腸炎、クローン病、心筋
または脳の再潅流損傷、慢性糸球体腎炎、内毒素ショックおよび成人呼吸窮迫症
候群を含む、種々のアレルギー性および炎症性疾患の治療において有用である。
加えて、PDE IV阻害剤は尿崩症ならびに鬱病および多梗塞痴呆等の中枢神経
系障害の治療においても有用である。
本発明の治療に関連するウイルスは、感染の結果としてTNFを産生するもの
であるか、または本発明のTNF阻害剤により、直接または間接的に複製が減少
する等、阻害に対して感受性のものである。このようなウイルスは、HIV−1
、HIV−2およびHIV−3、サイトメガロウイルス(CMV)、インフルエン
ザ、アデノウイルスおよびヘルペス種のウイルス、例えば、限定されるものでは
ないが、帯状ヘルペスおよび単純ヘルペスを包含するが、これらに限定されない
。
本発明は、さらに詳しくは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に罹患した哺乳
動物の治療法であって、このような哺乳動物に有効なTNF抑制量の本発明の化
合物を投与することからなる方法に関する。
本発明の化合物は、TNF産生の抑制を必要とするヒト以外の動物の獣医学的
処置に関連しても用いられる。動物における治療的または予防的処置を受けるT
NF介在疾患は、前記のような症状、特にウイルス性感染症を包含する。このよ
うなウイルスの例は、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)または例えばウマ感染性
貧血ウイルス、ヤギ関節炎ウイルス、ビスナウイルス、マエディウイルスおよび
他のレンチウイルスなどを含むレトロウイルス感染症を包含するが、これに限定
されない。
本発明の化合物はまた、酵母および真菌が、TNFによるアップレギュレーシ
ョンに対して感受性であるか、またはin vivoにおけるTNF産生を惹起する場
合、かかる酵母および真菌感染症の治療においても有用である。治療に関して好
ましい病状は、真菌性髄膜炎である。加えて、本発明の化合物は、全身性酵母お
よび真菌感染症について用いる他の医薬と組み合せて投与してもよい。真菌感染
症について選択される医薬は、ポリマイシンBなどのポリミキシンと称される化
合物種、クロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾールおよびケトコナゾール
などのイミダゾールと称される化合物種;フルコナゾールおよびイトラナゾール
などのトリアゾールと称される化合物種;アンホテリシン、特にアンホテリシン
Bおよびリポソーム性アンホテリシンBと称される化合物種を包含するが、これ
に限定されない。
本発明の化合物はまた、抗真菌剤、抗菌剤または抗ウイルス剤での治療を必要
とする哺乳動物に有効量の本発明の化合物を投与することによって、その毒性を
阻害および/または軽減するために用いられる。好ましくは、本発明の化合物は
アンホテリシン種の化合物、特にアンホテリシンBの毒性を阻害または軽減する
ために投与される。
本明細書において用いる「C1-3アルキル」、「C1-4アルキル」、「C1-6ア
ルキル」または「アルキル」基なる語は、1ないし10個の直鎖または分枝鎖の
両方の基を包含することを意味し、特に鎖長を限定しない限り、メチル、エチル
、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert
−などを包含するが、これに限定されない。
「アルケニル」は、鎖長が限定されない限り、1ないし6個の炭素長の直鎖ま
たは分枝鎖の両方を意味し、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−プ
ロピニルまたは3−メチル−2−プロペニルを包含するが、これに限定されない
。
「シクロアルキル」または「シクロアルキルアルキル」なる語は、シクロプロ
ピル、シクロプロピルメチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルなどの3な
いし7個の炭素原子の基を意味する。
「アリール」または「アラルキル」は、特記しない限り、フェニル、ベンジル
、フェネチルまたはナフチルなどの6ないし10個の炭素原子の芳香族環または
環系を意味する。好ましくは、アリールは単環、すなわち、フェニルである。ア
ルキル鎖は炭素数1ないし4の直鎖または分枝鎖基の両方を包含することを意図
とする。
「ヘテロアリール」は1個またはそれ以上のヘテロ原子を含有する芳香族環系
、例えば、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、ピリジル、ピリミジル
、ピラゾリル、ピロリル、フラニルまたはチエニルを意味する。
「ハロ」はすべてのハロゲン、すなわち、クロロ、フルオロ、ブロモまたはヨ
ードを意味する。
「IL−1の産生の阻害」または「TNFの産生の阻害」は:
a)単球またはマクロファージを含む(これに限定されない)全細胞による、
in vivoでのIL−1の放出を阻害することによる、ヒトにおける、in vivoでの
それぞれのIL−1またはTNFの過剰レベルを正常レベル以下に減少させるこ
と;
b)ヒトにおける、in vivoでのそれぞれのIL−1またはTNFレベルの翻
訳または転写レベルを正常レベル以下にダウンレギュレーションすること;
または
c)翻訳後の事象としてのIL−1またはTNFレベルの直接合成を抑制する
ことでダウンレギュレーションすること
を意味する。
「TNF介在疾患または病状」なる語は、TNFが、TNFそれ自体を産生す
るか、または限定されるものではないが、IL−1またはIL−6などの他のサ
イトカインの放出を誘起するかのいずれかによって作用する、いずれの病状をも
意味する。したがって、例えば、IL−1が主要素であり、その産生および作用
がTNFに対する応答として惹起または分泌される病状は、TNFを介在する症
状と考えられる。TNF−β(また、リンホトキシンとして知られている)は、
TNF−α(カヘクチンとしても知られている)と構造的に近似しており、それ
ぞれが同様な生物学的応答を誘発し、同一の細胞受容体に結合するので、TNF
−αおよびTNF−βは共に本発明の化合物により阻害される。従って、本明細
書において、特記しないかぎり、それらを包括的に「TNF」という。好ましく
は、TNF−αが阻害される。
「サイトカイン」は、細胞の機能に影響し、免疫、炎症または造血応答におい
て細胞間の相互作用を調節する分子である、いずれの分泌ポリペプチドをも意味
する。サイトカインは、どの細胞が産生するかにかかわらず、モノカインおよび
リンホカインを包含するが、これに限定されない。
HIVに感染したヒトの治療において用いるために本発明により阻害されるサ
イトカインは、(a)T細胞活性化および/または活性化T細胞介在HIV遺伝
子発現および/または複製の開始および/または維持、および/または(b)カ
ヘキシーまたは筋肉衰退などのサイトカイン介在疾患に伴ういずれの問題にも関
連するサイトカインでなければならない。好ましくは、このサイトカインはTN
F−αである。
式(I)のすべての化合物は、TNF産生の阻害を必要とするヒトを含めた哺
乳動物において、好ましくは、マクロファージ、単球またはマクロファージと単
球によるTNFの産生を阻害する方法において有用である。式(I)のすべての
化合物は、PDE IVの酵素または触媒活性の阻害または媒介法、およびこれに
より媒介される症状の治療において有用である。
本発明の化合物の医薬上許容される塩もまた、それらが調製できる場合、本発
明に包含されるものである。これらの塩は、その医薬用途への適用において許容
できるものである。その塩は親化合物の生物学的活性を保持し、疾患の治療にお
ける適用および使用において有害または有毒な作用を有しないことを意味する。
好ましい化合物は以下のとおりである[独立して、式(I)または(II)に適
用する]:
R1が1またはそれ以上のハロゲンで置換されたアルキルである場合、ハロゲ
ンは好ましくはフッ素および塩素であり、より好ましくは1またはそれ以上のフ
ッ素で置換されたC1-4アルキルである。好ましいハロ置換アルキル鎖長は、1
または2個の炭素であり、最も好ましいのは−CF3、−CH2F、−CHF2、
−CF2CHF2、−CH2CF3および−CH2CHF2である。本発明の化合物で
の好ましいR1置換基は、CH2−シクロプロピル、CH2C5-6シクロアルキル、
非置換またはOHで置換されたC4-6シクロアルキル、C7-11ポリシクロアルキ
ル、(3−または4−シクロペンテニル)、フェニル、テトラヒドロフラン−3
−イル、置換されていないかまたは1またはそれ以上のフッ素で置換されている
ベンジルもしくはC1-2アルキル、−(CH2)1-3C(O)O(CH2)0-2CH3、−(
CH2)1-3O(CH2)0-2CH3および−(CH2)2-4OHである。
R1基が(CR4R5)を含有する場合、R4およびR5基は、独立して、水素また
はアルキルである。これは、(CR4R5)nまたは(CR4R5)mのような個々のメチ
レン単位が分枝することを可能とし、メチレン繰り返し単位が、各々、互いに独
立し、例えば、nが2である(CR4R5)nは、例えば−CH2CH(CH3)−であ
りうる。メチレン繰り返し単位または分枝状炭化水素の個々の水素原子は、置換
されていなくても、または互いに独立してフッ素で置換されていてもよく、例え
ば、前記した好ましいR1置換を得ることができる。
R1がC7-11のポリシクロアルキルである場合、例としては、ビシクロ[2.2
.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチ
ル、トリシクロ[5.2.1.02'6]デシル等が挙げられ、別の例は、サッカマノ
(Saccamano)ら、WO87/06576(1987年11月5日公開)に記載
されている。
Wは、好ましくは、炭素数2ないし4のアルキル、アルケニルまたはアルキニ
ルであり、アルケニルまたはアルキニルである場合、1または2個の二重または
三重結合が存在する。最も好ましくはWは1,3−ブタジイニルである。
Zは、好ましくは、OR9、O(S)2R9およびNR9R9である。OR9、O(S)2
R9が最も好ましい。
好ましいZ'はCOOR14である。
本発明に関して好ましいX基は、XがYR2、Yが酸素のものである。本発明
に関して好ましいX2基はX2が酸素であるものである。本発明に関して好ましい
X3基は、X3が水素であるものである。好ましいR2基は、可能ならば、置換さ
れていないかあるいは1またはそれ以上のハロゲンで置換されているC1-2アル
キルである。ハロゲン原子は、好ましくは、フッ素および塩素、より好ましくは
フッ素である。より好ましいR2基は、R2がメチル、またはフルオロ置換アルキ
ル、特にC1-2アルキル、例えば−CF3、−CHF2または−CH2CHF2基の
ものである。CHF2およびCH3基が最も好ましい。
好ましいR15基は、非置換または置換の-(CH2)1-2(シクロプロピル)、−(
CH2)0-2(シクロブチル)、非置換またはOHで置換された−(CH2)0-2(シ
クロペンチル)、−(CH2)0-2(シクロヘキシル)、−(CH2)0-2(2−、3−
または4−ピリジル)、(CH2)1-2(2−イミダゾリル)、(CH2)2(4−モルホリ
ニル)、(CH2)2(4−ピペラジニル)、(CH2)1-2(2−チエニル)、(CH2)1-2(
4−チアゾリル)および(CH2)0-2フェニルを包含する。
−NR8R10部のR8およびR10が、NR9R9部のR9が、それらが結合してい
る窒素と一緒になって、炭素または炭素とO、NまたはSから選択される少なく
とも1個のヘテロ原子を含有してなる5ないし7員環を形成する場合、好ましい
環は、1−イミダゾリル、2−(R8)−1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、3
−(R8)−1−ピラゾリル、1−トリアゾリル、2−トリアゾリル、5−(R8)−
1−トリアゾリル、5−(R8)−2−トリアゾリル、5−(R8)−1−テトラゾリ
ル、5−(R8)−2−テトラゾリル、1−テトラゾリル、2−テトラゾリル、モ
ルホリニル、ピペラジニル、4−(R8)−1−ピペラジニルまたはピロリル環を
包含するが、これに限定されない。
複素環式環を含有する−NR8R14についての好ましい基は、5−(R14)−1
−テトラゾリル、2−(R14)−1−イミダゾリル、5−(R14)−2−テトラゾリ
ル、4−(R14)−1−ピペラジニルまたは4−(R15)−1−ピペラジニルである
。
R13についての好ましい環は、(2−、4−または5−イミダゾリル)、(3−
、
4−または5−ピラゾリル)、(4−または5−トリアゾリル[1,2,3])、(3
−または5−トリアゾリル[1,2,4])、(5−テトラゾリル)、(2−、4−ま
たは5−オキサゾリル)、(3−、4−または5−イソキサゾリル)、(3−または
5−オキサジアゾリル[1,2,4])、(2−オキサジアゾリル[1,3,4])、(
2−チアジアゾリル[1,3,4])、(2−、4−または5−チアゾリル)、(2−
、4−または5−オキサゾリジニル)、(2−、4−または5−チアゾリジニル)
または(2−、4−または5−イミダゾリジニル)を包含する。
R1が−CH2−シクロプロピル、シクロペンチル、3−ヒドロキシシクロペン
チル、メチルまたはCF2Hであり;XがYR2であり;Yが酸素であり;X2が
酸素であり;X3が水素であり;R2がCF2Hまたはメチルであり;Wが1,3−
ブタジイニルである化合物が最も好ましい。
化合物として、例えば:
1,4−ビス−{[3−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル
)シクロヘキサ−1−エン−1−イルトリフルオロメチルスルホナト]−3−イ
ル}ブタ−1,3−ジイン、および
1,4−ビス−{[3−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル
)−1−メトキシシクロヘキサ−1−エン]−3−イル}ブタ−1,3−ジイン
が挙げられる。
本発明の化合物のうちいくつかはラセミ体および光学活性な形態の両方で存在
してもよく;またいくつかは個々の物理的および生物学的性質を有する個々のジ
アステレオマー形態で存在してもよいと考えられる。これらの化合物はすべて本
発明の範囲内にあると考えられる。
医薬上許容される塩は標準的方法で調製される。適当な溶媒中に溶解させた親
化合物を、塩基の酸付加塩の場合には過剰の有機または無機酸で処理し、また分
子が例えばCOOHを有する場合には過剰の有機または無機塩基で処理する。
本発明の医薬組成物は、医薬担体または希釈剤と、一定量の式(I)の化合物
とからなる。該化合物は、生理学的応答を起こす量で存在するか、または意図す
る治療を行うために使用者が2またはそれ以上の単位を摂取する必要があるよう
なより少ない量で存在しうる。これらの組成物は、固体、液体または気体の形態
として形成しうる。あるいはこれら3種の形態のうちの一つを投与時、例えば固
体をエアロゾル手段でデリバーする場合、または液体をスプレーまたはエアロゾ
ルでデリバーする場合のように別の形態に変換してもよい。
組成物および医薬担体または希釈剤の性質は、もちろん、例えば、非経口、局
所、経口または吸入によるか意図する投与経路に依存するであろう。
局所投与の場合、医薬組成物は、皮膚、眼、耳または鼻への適用に適したクリ
ーム、軟膏、リニメント、ローション、ペースト、エアロゾルおよび滴剤の形態
である。
非経口投与の場合、医薬組成物は、アンプルなどの滅菌注射液あるいは水性ま
たは非水性液体懸濁液の形態である。
経口投与の場合、医薬組成物は、錠剤、カプセル、散剤、ペレット、トローチ
、ロゼンジ、シロップ、液体またはエマルジョンの形態である。
医薬組成物を溶液または懸濁液の形態で用いる場合、適当な医薬担体または希
釈剤の例は、例えば、水性系の場合、水;非水性系の場合、エタノール、グリセ
リン、プロピレングリコール、トウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油
、流動パラフィンおよびその水との混合物;固体系の場合、ラクトース、カオリ
ンおよびマンニトール;エアロゾル系の場合、ジクロロジフルオロメタン、クロ
ロトリフルオロエタンおよび圧縮二酸化炭素を包含する。また、医薬担体または
希釈剤に加えて、本発明の組成物は、他の成分、例えば安定化剤、酸化防止剤、
保存料、滑沢剤、沈殿防止剤、粘度調整剤などを含んでもよい;ただし、添加成
分は本発明の組成物の治療作用に致命的影響を及ぼさないものとする。
このように記載されている医薬製剤は、薬剤師の通常の技術に従って、適宜、
所望の最終製品にされる。
これらの組成物中、担体または希釈剤の量は変わるが、好ましくは活性成分の
懸濁液または溶液の大部分である。希釈剤が固体である場合、これは固体活性成
分より少ないか、または同量、あるいはより多い量で存在しうる。
通常、式(I)の化合物は、非毒性量の、ロイコトリエンが要因である疾患の
徴候を阻害するのに十分な量を含有してなる組成物にて対象に投与される。局所
処方剤は、約0.01ないし5.0重量%の活性成分を含み、必要に応じて患部に
予防または治療剤として塗布する。経口、または他の摂取または注射処方として
用いる場合、組成物の投与量は、各投与について50mgないし1000mgの
範囲の活性成分から選択される。簡便のために、等用量を1日に1ないし5回投
与し、日用量を約50mgないし約5000mgから選択する。
これらの化合物を本発明に従って投与した場合、許容できない毒物学的作用は
考えられない。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。これら実施例は本発明
を説明するにすぎず、本発明を制限するものと解釈すべきではない。請求の範囲
において本発明者らの保持する事項に言及する。
調製法
原文記載による合成スキーム
式(I)の化合物(ここに、Wは1,3−ブタジインであり、AおよびBが式
(I)に関して定義されているZであるか、またはZに変換可能な基である)は
、例えば、EglingtonおよびGalbraithの方法(J.Chem.Soc.,1959,889)
にあるように、酢酸銅のような適当な金属塩を用い、DMFまたはピリジンある
いはピリジン/メタノール/水のような組み合わせ中、式1−スキーム1の分子
を、式2−スキーム1の分子とカップリングさせ、式3−スキーム1の化合物を
得ることからなる、本明細書に開示の方法により製造できる。
別法として、式(I)の化合物(ここに、WおよびZは式(I)に関して定義
されているWおよびZであるか、またはWもしくはZに変換可能な基である)は
、同時係属中の米国特許出願08/130346(1993年10月1日出願)
およびPCT出願PCT/US94/10817に記載の合成方法により、例え
ば、化合物1−スキーム2のような対応するケトンより調製できる;このような
ケトン出発物質の合成は、同時係属の米国特許出願08/130215およびP
CT出願PCT/US94/10815(1994年9月23日出願)に記載さ
れている。
式(II)の化合物(ここに、Wは1,3−ブタジインであり、ZおよびZ'は式
(II)に関して定義されているZおよびZ'またはZまたはZ'に変換可能な基で
ある)は、例えば、EglingtonおよびGalbraithの方法(J.Chem.Soc.,1959
,889)にあるように、酢酸銅のような適当な金属塩を用い、DMFまたはピリ
ジンあるいはピリジン/メタノール/水のような組み合わせ中、式1−スキーム
3の分子を、式2−スキーム3の分子とカップリングさせ、式3−スキーム3の
化合物を得ることからなる、本明細書に開示の方法により製造できる。
別法として、式(II)の化合物(ここに、W、ZおよびZ'は式(II)に関し
て定義されているW、ZおよびZ'であるか、またはW、ZもしくはZ'に変換可
能な基である)は、同時係属中の米国特許出願08/130346(1993年
10月1日出願)およびPCT出願PCT/US94/10817に記載の合成
方法により、例えば、化合物1−スキーム4のような対応するケトンより調製で
きる;このようなケトン出発物質の合成は、同時係属の米国特許出願08/13
0215およびPCT出願PCT/US94/10815(1994年9月23
日出願)に記載されている。
式(I)および(II)の残りの化合物の製造は、前記した方法および以下の実
施例に類似する方法により行うことができる。
式(Ia)、(Ib)および(II)の化合物が個々の物理および生物学的特性
を有する個々のジアステレオマーの形態にて存在してもよく;かかる異性体が標
準的クロマトグラフィー法により分離できることは明らかであろう。
合成例
実施例1 1,4−ビス−{[3−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル) シクロヘキサ−1−エン−1−イルトリフルオロメチルスルホナト]−3−イル }ブタ−1,3−ジインの調製
0℃、アルゴン雰囲気下、ジイソプロピルアミン(1.95ml、13.9ミリ
モル)のテトラヒドロフラン(12ml)中溶液に、n−ブチルリチウム(2.
5M溶液を5.8ml、14.15ミリモル)を加え、得られた溶液を25分間撹
拌し、ついで−78℃に冷却する。これに、1,4−ビス−{[3−(3−シク
ロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)シクロヘキサ−1−オン]−3−イ
ル}ブタ−1,3−ジイン(2.07g、3.32ミリモル、同日に出願した、P
50286で特定される同時係属の米国特許出願に記載の方法により調製)のテ
トラヒドロフラン(9ml)中溶液を加える。得られた混合物を−78℃で2時
間撹拌し、その時点でN−フェニルトリフルオロメチルスルホンイミド(4.9
8g、13.9ミリモル)を加える。混合物を室温までゆっくりと加温させ、5
時間経過した後、該混合物を水中に注ぎ、塩化メチレンで抽出する。有機抽出液
を乾燥(炭酸カリウム)し、減圧下で濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラ
フィーにより精製する。
実施例2 1,4−ビス−{[3−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル) −1−メトキシシクロヘキサ−1−エン]−3−イル}ブタ−1,3−ジインの 調製
0℃、アルゴン雰囲気下、1,4−ビス−{[3−(3−シクロペンチルオキ
シ−4−メトキシフェニル)シクロヘキサ−1−オン]−3−イル}ブタ−1,
3−ジイン(0.3g、0.48ミリモル)のジメチルホルムアミド(3ml)中
溶液に、カリウムt−ブトキシド(0.11g、0.96ミリモル)を、0.5時
間後に硫酸ジメチル(0.09ml、0.96ミリモル)を加える。5分後、塩化
アンモニウムを加え、混合物をエーテルで3回抽出し、有機抽出液を水で3回、
ブラインで1回洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、蒸発させる。フラッシュ
クロマトグラフィーに付して精製し、標記化合物を得る。
実用例
実施例A
ヒト単球によるin vitro TNF産生に対する本発明の化合物の阻害効果
ヒト単球によるin vitro TNF産生に対する本発明の化合物の阻害効果は、
バッジャー(Badger)ら、EPO公開出願番号0411754A2(1991年
2月6日)およびハンナ(Hanna)、WO90/15534(1990年12月
27日)に記載されている方法により測定できる。
実施例B
内毒素ショックの2種の実験モデルを用いて、式(I)の化合物についてのin
vivo TNF活性を測定した。これらの実験モデルにおいて用いたプロトコル方
法は、バッジャー(Badger)ら、EPO公開出願番号0411754A2(19
91年2月6日)およびハンナ(Hanna)、WO90/15534(1990年
12月27日)に記載されている。
本発明の実施例1の化合物は内毒素の注入により誘起されるTNFの血清レベ
ルの低下において正のin vivo応答を示した。
実施例C
PDEイソ酵素の単離
本発明の化合物のホスホジエステラーゼ阻害活性および選択性は、5種の異な
るPDEイソ酵素を用いて決定できる。異なるイソ酵素の供給源として用いられ
る組織は以下のとおりである:1)PDE Ib、ブタ大動脈;2)PDE Ic
、モルモット心臓;3)PDE III、モルモット心臓;4)PDE IV、ヒト単
球;および5)PDE V(「Ia」とも称される)、イヌ気管。PDE Ia、
Ib、IcおよびIIIを標準的クロマトグラフィー技術を用いて一部精製する[
トーフィー(Torphy)およびシースリンスキー(Cieslinski)、モレキュラ・フ
ァーマコロジー(Mol.Pharmacol.)、37:206-214、1990]。PDE IVをアニオ
ン交換と、つづいてヘパリン−セファロースクロマトグラフィーを連続的に使用
し、速度論的同一について精製する[トーフィー(Torphy)ら、ジャーナル・オ
ブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、267:1798-1804、1992]
。
ホスホジエステラーゼ活性を、トーフィー(Torphy)およびシースリンスキー
(Cieslinski)の方法[モレキュラ・ファーマコロジー(Mol.Pharmacol.)、37
:206-214、1990]に記載されているように分析する。本明細書に記載した実施
例の化合物についてナノモルないしμMの範囲の正のIC50が測定されている。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C07C 309/66 C07C 309/66
(72)発明者 カーピンスキー,ジョゼフ・エム
アメリカ合衆国19464ペンシルベニア州
ポッツタウン、ノース・シャーロット・ス
トリート 308番