JPH10511557A - 血管内皮細胞増殖因子の変種、それらの使用およびそれらの生産法 - Google Patents

血管内皮細胞増殖因子の変種、それらの使用およびそれらの生産法

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JPH10511557A JP9510447A JP51044797A JPH10511557A JP H10511557 A JPH10511557 A JP H10511557A JP 9510447 A JP9510447 A JP 9510447A JP 51044797 A JP51044797 A JP 51044797A JP H10511557 A JPH10511557 A JP H10511557A
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Abstract

(57)【要約】 本発明はKDRおよびFLT−1とおのおの略記されるキナーゼドメイン領域およびFMS様チロシン−キナーゼ領域との結合特性に関して選択的な物質を提供する脈管内皮増殖因子(VEGF)変異体の製造を含む。KDR受容体およびFLT受容体の各々にはVEGF化合物のドメイン内にある対応するドメインが結合する。本発明の変異体はこれら2種の結合領域を規定し、また、各ドメインとの結合を阻害する変化を導入するように修飾する。この様式によってVEGF分子の最終的な生物学的特性が選択的に修飾される。

Description

【発明の詳細な説明】 血管内皮細胞増殖因子の変種、それらの使用およびそれらの生産法関連出願の相互参照 本願は、出願番号08/567,200(1995年12月5日出願)および(仮)特許出願番 号60/002,827(1995年8月25日出願)の35 USC 120/121に基づく継続出願であり 、これらに対して優先権を主張する。 本願は、米国特許5,332,671となった米国特許出願番号389,722(1989年8月4日 出願;代理人整理番号586P2)およびその親出願(米国出願番号369,424(1989年 6月21日出願)および351,117(1989年5月12日出願))に関係する主題を含む。発明の分野 本発明は、血管内皮細胞増殖因子(以下、VEGFという場合もある)の特定の変 種、それら変種を製造する方法、およびそれら変種を利用して親化合物VEGFとは 異なる治療および薬理特性を有する医薬活性物質を生産するための方法、組成物 および検定法に関する。具体的には、上記変種を使用する検定法を用いることに より、VEGFに対して作用薬または拮抗薬特性を持つ新規物質を発見することがで きる。発明の背景 VEGFは、形態学的に詳しく特徴づけられた顆粒細胞集団である濾胞または濾胞 -星(folliculo-stellate)細胞(FC)中で生産される天然物質である。FCは分 泌細胞間で細胞質過程を伝達する星細胞である。 数年前に、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)と呼ばれるヘパリン結合性内皮増殖 因子が、ウシ下垂体の濾胞または濾胞-星細胞で馴化された培地から同定され、 精製された。Ferraraら,Biophys .Res.Comm. 161,851(1989)を参照のこと。 血管内皮細胞増殖因子を天然の供給源から単離精製して、それらを治療に使用 することもできるが、FCにおけるこのタンパク質の濃度は比較的低く、手間と費 用の両面でコストが高くなるので、商業的には役に立たないことがわかった。そ こで、VEGFを組換えDNA技術によってクローン化し発現させる努力がさらに企て られた。その研究の態様は上述の特許出願に記載されており、またこの研究は科 学文献Laboratory Investigation 72,615(1995)とそこに引用されている文献に も報告されている。 これらの出願には、SDS-PAGEで測定した場合に非還元条件下で約45,000ダルト ン、還元条件下で約23,000ダルトンの分子量を持つ血管内皮細胞増殖因子をコー ドする配列を含む単離された核酸配列が記述されている。そのDNA配列とアミノ 酸配列は共に、本願の一部をなす図面に記載されている(下記参照)。 上述の特許出願に記述されているように調製したVEGFは、過剰な組識増殖を伴 わずに血管内皮細胞に選択的に作用することが重要な病気(例えば糖尿病性潰瘍 や、皮下創傷などの外傷によって起こる血管損傷)の処置に有用である。VEGFは 血管(動脈および静脈)内皮細胞増殖因子であり、損傷を受けた細胞を修復(脈 管形成vasculogenesisと呼ばれる過程)し、新しい血管の形成を刺激(血管新生 angiogenesisと呼ばれる過程)する。 選択的スプライシングの結果、VEGFは種々の細胞で多様なホモ二量体型(単量 体あたり121、165、189および206アミノ酸)として発現する。VEGF121はヘパリ ンに結合しない可溶性の有糸分裂促進物質であり、長い型のVEGFほど高い親和性 (アフィニティー)でヘパリンに結合する。ヘパリン結合型のVEGFはプラスミン によってそのカルボキシ末端が切断されて、拡散型のVEGFを放出することができ る。プラスミン切断後に同定されるこのカルボキシ末端ペプチドのアミノ酸配列 はArg110-Ala111である。アミノ末端「コア」タンパク質(ホモ二量体として単 離されるVEGF(1-110))は、中和モノクローナル抗体(4.6.1と2E3)ならびにFLT -1、KDRおよびFLKレセプターの可溶型を、無傷のVEGF165ホモ二量体と同等の親 和性で結合する。 上述のように、VEGFはそれぞれKDR(キナーゼドメイン領域)レセプターとFLT -1(FMS様チロシンキナーゼ)レセプターに結合する原因となる2つのドメインを 含有する。これらのレセプターは内皮(血管)細胞上にのみ存在する。外傷など により細胞が酸素欠乏状態になると、それらの細胞内でVEGF生産が増大し、それ らがそれぞれのレセプターに結合することにより、最終的な生物学的効果のシグ ナルとなる。次に、このシグナルは血管透過性を増大させ、細胞が分裂、拡張し て新しい血管経路を形成する(脈管形成および血管新生)。したがってVEGFとそ の誘導体は、上述の特許出願に記述されているように、心筋梗塞後の血管の修復 や、演鐸しうるその他の用途に利用できるだろう。 本発明は、KDRレセプターとFLTレセプターに対する結合の原因となる領域また はドメインを同定しようとする研究に基づいている。同定後の目標は、それらの ドメインに突然変異を導入して、KDR結合ドメインとFLT結合ドメインのそれぞれ について結合能が増大または減少した変種を製造することであった。 この研究のもう1つの目的は、結合性KDRドメインと結合性FLTドメインのそれ ぞれについて選択的な活性を持つVEGF変種を製造することであった。脈管形成と 血管新生の原因となるドメインの結合能を増大させることができれば、より強力 な治療用物質を生産できるだろうと考えた。逆に、突然変異の誘発によって活性 が減少した(したがって抗脈管形成性および抗血管新生性の)VEGF変種を製造す ることができれば、それらの変種を腫瘍の治療に使用することにより、腫瘍を飢 餓状態にして退行させることができるだろう。 さらなる目的として、これらの変種を検定系に使用することにより、上述のよ うな適応症の治療に使用するための小分子作用薬および拮抗薬を発見することも できるだろう。 本発明の主題はそのような研究の成果である。レセプター結合に寄与するVEGF の主なドメインは近接してはいるが、別々の部位に位置することがわかった。こ のことは、レセプター選択的な変種の開発を可能にした。KDRレセプターは主に 、VEGFの82位のアルギニン(ArgまたはR)、84位のリジン(LysまたはK)および 86位のヒスチジン(HisまたはH)を含む推定ループ上の部位によってVEGFを結合 することがわかった。FLT-1レセプターは主に、63位のアスパラギン酸(Aspまた はD)、64位のグルタミン酸(GluまたはE)および67位のグルタミン酸(Gluまた はE)を含む推定ループ上の部位によってVEGFを結合することがわかった。次に 、概してこれらのドメインに対して突然変異誘発を行い、本発明の変種を得た。 こ のような突然変異誘発には、当技術分野で広く熟知されている手法に従って、特 異的方法と無作為的方法の両方を使用した。 VEGFはその標的レセプターを二量化または会合させることによって機能にする ので、拮抗薬はそのKDR結合部位の1つでのみ、結合を破壊しなければならない。 この方法では、無傷の結合部位が残るので、このホルモンはレセプターを結合す ることができるが、KDRを活性化することはできない。このような1対1複合体(1 つのKDRレセプターを伴う突然変異型VEGFの複合体)は機能的に不活性で、内因 性VEGFがKDRと相互作用するのを妨ぐ。VEGFは2回対称を持つホモ二量体であるか ら、ある部位での結合を破壊する各突然変異は、必然的にもう1つの部位での結 合を同等に破壊するだろう。したがって、拮抗薬を創出するには、突然変異を1 つの部位にのみ限定する方法を開発する必要がある。これは理論的には、ヘテロ 二量体を作るか、VEGFホモ二量体を一本鎖分子にすることによって達成できる。 したがって、一本鎖VEGF分子を作成することにより、拮抗薬が作られる。2つ のサブユニットが1つの分子に融合されるので、第2サブユニットに相当する残基 の指定番号は変化する。発明の概要 本発明の目的は、上に概論したように、キナーゼドメイン領域(KDR)および/ またはFMS様チロシンキナーゼ領域(FLT-1)中に突然変異を持ち、天然のVEGFと 比べて該領域における結合特性が変化している血管内皮細胞増殖因子(VEGF)変 種の供給によって達成される。 好ましい態様として、そのような突然変異誘発を、VEGFのほぼ78位から95位ま での間にあるアミノ酸によって区切られる領域内で行なう。 もう1つの態様として、そのような突然変異誘発を、VEGFのほぼ60位から70位 までの間にあるアミノ酸によって区切られる領域内で行なう。 もう1つの態様として、そのような突然変異誘発を該領域の両方で行なう。 特に好ましい態様として、突然変異誘発を、少なくともVEGFの82位、84位およ び86位および/またはVEGFの63位、64位および67位で行なう。 もう1つの特に好ましい態様として、82位、84位および86位に次のような突然 変異が導入されたVEGF変種を製造する:R82A、K84AおよびH86Aおよび/またはD63 A、E64AおよびE67A。これらの記号はそれぞれの位置に施された変異(例えば82 位のアルギニン(R)コドンを突然変異させて、その位置をアラニン(A)にした こと)を表わす。 別の態様として、本発明は上述の種々の変種をコードするDNA配列、DNAの形質 転換により形質転換宿主細胞中で該DNA配列を発現させることができる複製可能 な発現ベクター、ならびにそれらのベクターで形質転換された微生物および細胞 培養に関する。 さらなる態様として本発明は、根底にある疾患状態を治療するために脈管形成 または血管新生が望まれる適応症の処置に有用な組成物であって、医薬的に許容 できる担体と混合された治療有効量の本発明VEGF変種を含む組成物に関する。 さらなる態様として本発明は、腫瘍を抑止する場合のように抗脈管形成または 抗血管新生が望まれる適応症を治療するための組成物であって、医薬的に許容で きる担体と混合された治療有効量の本発明変種を含む組成物に関する。 具体的に述べると、本発明に従って概してアミノ酸78〜95(より具体的には82 〜86)の領域にわたる位置に導入された突然変異は、FLTレセプターには正常に 結合するが、KDRレセプターについては有意に減少した結合特性を持つ変種を与 える。本発明に従って概してアミノ酸60〜70(より具体的には63〜67)の領域に わたる位置に導入された突然変異は、KDRレセプターには本質的に正常に結合す るが、FLTレセプターについては有意に減少した結合を示す変種を与える。 VEGFのKDRおよび/またはFLT結合ドメインの発見およびその突然変異誘発とい う本発明の基本的前提をさらに詳しく述べると、本発明は、そこから派生する関 連態様のすべて(それら変種を調製するための組換えDNA物質と組換えDNA法、そ れら変種を医薬的に加工された形態に調合するための物質と情報、ならびにそれ ら変種を使ってKDRおよび/またはFLTレセプターに関して作用薬または拮抗薬特 性を持つ候補物質をスクリーニングするための検定法を含む)に向けられる。 これに関連する本発明のさらなる側面は、VEGFのキナーゼドメインレセプター 結合部位の機能マッピングと結晶構造の分析によって得た発見に基づく。総合的 な機能分析により、VEGFがその分子の反対側の末端に位置する2つの対称的な結 合部位を用いてKDRレセプターと結合することがわかった。各部位は、VEGFホモ 二量体の両サブユニットから提示される残基よりなる2つの結合用「ホットスポ ット」によって構成される。これらの結合決定基のうち最も重要な2つは、トラ ンスフォーミング増殖因子β2(TGF-β)と血小板由来増殖因子(PDGF)にも保存 されている主要ホットスポット内の短い3本鎖βシート上に位置する。2種類のレ セプター遮断抗体の結合エピトープの機能分析により、KDR結合ホットスポット のそれぞれに近い結合決定基が明らかになった。 β5-β6ループ中の84位にグリコシル化基を導入すると、KDRに対する結合が遮 断されることが明らかになった(下記参照)。VEGFの単量体内の主な特徴は、い わゆるシスチンノット(cystine knot)モチーフである。このモチーフは他の増 殖因子にも認められ、Cys57とCys102の間およびCys61とCys104の間のジスルフィ ド橋ならびにそれを横切る第3のジスルフィド結合(Cys26からCys68へ)によっ て生じる8残基環からなる。シスチンノットからは、中央4本鎖βシート(β1、 β3、β5およびβ6と呼ぶ)が伸びている。他のシスチンノット増殖因子と同様 に、β1鎖とβ3鎖の間およびβ5鎖とβ6鎖の間には多数の水素結合が形成されて いる。β3鎖とβ5鎖の間には1つの水素結合しか存在せず、この4本鎖シートを極 めて変則的なものにしている。β1鎖とβ3鎖の間の連結部分は、1回転のαヘリ ックスと短いβ鎖α2およびβ2を含有する。この鎖はβ5の最後およびβ6の最初 と共に、その分子のシスチンノットとは反対の末端に短い三本鎖βシートを形成 する。このシート、α2ヘリックス、β1-β3ループ領域およびb5-b6ループ領域 の残基は、他の単量体のN-末端ヘリックスに由来する残基と共に、小さな疎水性 コアを形成する。これはおそらく、両側から溶媒が接近できる4本鎖中央シート をさらに安定化しているのだろう。VEGF二量体では、二回軸が上記シートに対し て垂直であるため、並んでいる2つの4本鎖シートは逆平行になる。 この発見に基づき、残基84のほぼ25オングストローム内に認められる全ての溶 媒露出側鎖を覆う50個の単一アラニン突然変異体を調製した。この領域は一次配 列が著しく不連続(図23)で、分子の両面にα1およびβ2ヘリックス、β2、β5 (C末端側の半分)、β6(N-末端側の半分)およびβ7鎖、ならびにα1-β1ル ープ、α2-β2ループおよびβ3-β4ループから提示される残基を含有する。 これらの単一突然変異体のうちいくつかは、KDRに対する結合を破壊した。し たがって、これらの突然変異体は抗脈管形成/抗血管新生が治療的に有用な適応 症(例えば腫瘍、血管網膜症、慢性関節リウマチの治療など)に治療的用途を持 つだろう。KDR結合にとって最も重要な側鎖は、Ile46、Ile83およびGlu64である ことがわかった。これより重要性の低いもう1つの側鎖は、Phe17、Gln79およびI le43残基からなることがわかった。これらの発見によれば、VEGFは、β2鎖(Ile 43)、β5鎖(Gln79、Ile83)およびβ1-β2ループ(Ile43)ならびにN末端ヘリ ックス(Phe17)とβ3-β4ループ(G1u64)によって規定される2つの機能的に類 似した対称的なKDR結合部位を持つ。したがって、例えばPhe17、Ile46、Ile83、 Glu64における突然変異は、一方のサブユニットがC51R/I46A/I83Aであり、他方 のサブユニットがC60R/F17A/E64AであるVEGFヘテロ二量体を作るだろう。これは 結合部位の一方に対するKDRの結合を減じ、かつ、残りの部位での結合を損なわ ないので、KDRレセプターの拮抗薬になる。 したがってこの側面では、本発明は、アミノ酸Ile46、Gln79およびIle83およ び/またはIle43、Phe17およびGlu64によって規定されるキナーゼドメインレセプ ター(KDR)領域中に少なくとも1つのアミノ酸修飾を含有する血管内皮細胞増殖 因子(VEGF)変種からなり、かつ、KDRに対する結合親和性が機能的に減少して いるポリペプチドに向けられる。 より具体的には、本発明のこの側面は、上に明記した位置のそれぞれにおける アミノ酸修飾を規定する。ここに該修飾は個別に、累積的に、または集合的に、 野生型VEGF中の当該位置に存在するもの以外のアミノ酸への突然変異からなる。 具体的には、それら他のアミノ酸は、野生型分子の与えられた部位にあるアミノ 酸とは異なる性質を持つアミノ酸のグループから選択されるだろう(すなわち、 酸性残基、疎水性残基、芳香族残基または極性残基による塩基性残基の置換など )。本明細書では、この範囲を各野生型アミノ酸のアラニンへの改変によって説 明する。 当然ながら、本発明のこの側面は、それら修飾ポリペプチドの関連する態様、 例えばそれを含む医薬組成物、それらを利用する処置法、それらをコードするDN Aを含む組換え態様、それらDNAを含む発現ベクターと感染宿主培養、および上記 組換え態様の調製に関係する全ての方法を包含する。図面の簡単な説明 図1は、165アミノ酸を持つVEGFのアミノ酸配列とDNA配列の両方を表わす。こ のタンパク質の予想アミノ酸をDNA配列の下に示し、そのタンパク質配列のN末端 の最初の残基から番号を付けてある。負のアミノ酸番号は推定リーダーシグナル 配列またはプレタンパク質を表わし、正の番号は推定成熟タンパク質を表わす。 図2は、VEGF165の種々のドメインを表わし、プラスミン切断部位が示されてい る。レセプター結合ドメインはアミノ酸1から110までにわたる領域内に位置する 。 図3は、KDRレセプターとFLTレセプターに対する独立した別個のレセプター結 合部位を表わしている。これらの部位はそれぞれ、概してアミノ酸78〜90(図3 では「A」と表記)およびアミノ酸60〜70(「B」と表記)にわたる領域内に位置 する。 図4は、KDRレセプター結合がVEGFの1〜110二量体によって媒介されることを示 している。 図5は、VEGFにおける本明細書記載の荷電残基-アラニンスキャン(charged-to -Alaninescan)突然変異を示す。 図6は、KDR結合が主としてR82、K84、H86によって媒介されることを示してい る。IC50は、解離定数に関係する50%阻害濃度を表わす。 図7は、FLT結合が主としてD63、E64、E67によって媒介されることを示してい る。 図8は、82位における余分なグリコシル化がKDR結合を遮断することを示してい る。 図9は、82〜86部位における突然変異がKDR結合を遮断すること(A)と、63〜6 7部位における突然変異がFLT結合を遮断すること(B)を示している。 図10は、複数の突然変異がKDRに対して共同作用的効果を持つことを示してい る。K84Aは強力な単一アラニン置換である。 図11は、減少したKDRレセプター結合性を持つVEGF突然変異体が弱い内皮細胞 有糸分裂促進物質であることを示している。 図12は、VEGFの分子模型のカラー写真であり、KDR結合部位(青色)とFLT結合 部位(赤色)の位置を示している。 図13は、プラスミドpSDVF165の種々の要素とその構造を表わす。 図14は、pRK5の種々の要素とその構造を表わす。 図15は、種々の本発明産物の製造に対応する突然変異を含むDNAを保持する最 終発現ベクターを調製する際に従った構築法の概略図である。 図16は、種々のVEGF変種のKDR-IgG結合レベルを表わす。 図17は、種々のVEGF変種のFLT-1-IgG結合レベルを表わす。 図18は、種々のVEGF変種のA461-IgG結合レベルを表わす。 図19は、モノクローナル型およびポリクローナル型ELISAによるVEGF突然変異 体の定量を示す。VEGFまたはVEGF突然変異体によるならし細胞培地の一部を2種 類のELISAを用いる免疫検定法で分析した。ポリクローナル抗VEGF抗体をモノク ローナル抗体(Mab 5F8,VEGFのカルボキシ末端ドメインに特異的)と組み合わ せて、VEGFのレセプター結合ドメイン(1〜110領域)中の突然変異によって影響 されないサンドイッチ型免疫検定法を得た。別法として、Mab 5F8とA4.6.1によ る二重モノクローナル型ELISAを用いて、VEGF突然変異体を定量した。各突然変 異体につき複数のトランスフェクション(2〜10回)の免疫検定結果を平均し、 図19で比較した。 図20は、VEGF突然変異体のSDS-PAGE免疫ブロットを示す。約10〜20ngのVEGFま たはVEGF突然変異体を含む一過性トランスフェクション上清(293細胞から得た もの)を非還元型SDS-PAGEで分析した。そのゲルを転写し、「実験法」の項に記 述するように2E3、4D7、A4.6.1、5C3および5F8の5種類からなるネズミモノクロ ーナル抗ヒトVEGF165抗体群を用いて、ブロットした。その免疫ブロットを5日間 露光した。 図21は、内皮細胞増殖検定におけるVEGF突然変異体の活性を示す。VEGF突然変 異体を293細胞培養中で発現させ、そのならし細胞培地を用いてウシ副腎皮質毛 細管内皮細胞の有糸分裂生起を刺激した。平均残基番号は突然変異の位置を示す 。値は、内皮細胞増殖を半最大値に刺激するのに必要な濃度(EC50)として表わ されている。VEGFのアラニン突然変異体を●で表わし、潜在的追加グリコシル化 (potential extra-glycosylated)VEGF突然変異体を■で表わす。これらの実験 は3つ1組で行なった。 図22は、種々のVEGF変種の2E3-IgG結合レベルを表わす。 図23は、構造に基づく配列調節による、VEGFの単量体とPDGF-BBおよびTGF-β との比較を表わす。3.5オングストロームの距離区分を用いて構造をVEGFに重ね 合せた。TGF-βについては分子の各半分を別々に重ね合せた。VEGFの二次構造要 素に印を付けてある。 図24は、ヒトVEGFの残基1〜109をコードするcDNAのPCR増幅によって作成した ファージミドベクターpB2105を表わす。このPCR増幅には、増幅後にNsi I/XbaI 制限断片としてファージミドベクターphGHam-g3(Lowmanら,J .Mol.Biol.234 ,564(1993))に連結させうるプライマーを用いた。またこれによって、VEGF残 基109(黒色の棒)の直後にアンバーコドンを導入し、そのDNAを残基249から406 までを含む遺伝子IIIのC末端側の半分(白い棒)に融合した。大腸菌のサプレッ サー株(Stratagene,XL1-blue)におけるファージ生産により、VEGF-gIII融合 タンパク質と遊離VEGF 1-109タンパク質の両方を発現させた。このファージミド がKDR-IgGを強固に結合できることから、各型のサブユニットからなる活性なVEG Fヘテロ二量体がファージ表面に展示されていることが示された。B図は、これら VEGF 1-109展示ファージミドおよび2種類のN末端欠失突然変異体VEGF8-109およ びVEGF11-109のKDR-IgG結合親和性を、ファージELISAで決定したことを示してい る。この測定により、それぞれ4.6nM、4.1nMおよび4.4nMのEC50値が得られた。 ファージミド結合については、対応する遊離のVEGFと比べて約100倍弱い親和性 が観測された(下記表7参照)。これは、部分的に、二価KDR-IgG融合タンパク 質に対する遊離ホルモンの結合中に存在する結合活性(アビディティー)成分を 遮断する遺伝子III融合に帰することができるだろう。方法−ファージELISA:競 争 KDR-IgGの連続希釈液と亜飽和濃度(subsaturating concentration)のファージ ミドを、KDR-IgG被覆マイクロタイタープレート(Nunc,Maxisorp)に加えた。 平衡後、そのプレートに結合したファージミドを抗ファージMAb西洋ワサビペル オキシダーゼ複合体(Pharmacia)で染色し、検定した。親和性(EC50)は、半 最大ファージミド結合をもたらす競争レセプターの濃度として計算した。発明の詳細な説明 A. 定義 本明細書において「血管内皮細胞増殖因子」または「VEGF」とは、米国特許5, 332,671に定義される哺乳類増殖因子をいい、図1のヒトアミノ酸配列を含む。天 然VEGFの生物活性は、血管内皮細胞の選択的増殖を促進する能力を持つがウシ角 膜内皮細胞、水晶体上皮細胞、副腎脂質細胞、BHK-21繊維芽細胞またはケラチン 生成細胞の増殖を促進することはできないその類縁体または変種、もしくは対応 する天然VEGFの少なくとも1つのエピトープに対して生じた抗体と免疫学的に交 差反応する免疫エピトープを持つその類縁体または変種のいずれにも共通する。 「トランスフェクション」とは、何らかのコード配列が実際に発現されるか否 かにかかわらず、宿主細胞による発現ベクターの取り込みをいう。当業者には、 例えばcaPO4やエレクトロレーションなど、数多くのトランスフェクション法が 知られている。トランスフェクションの成功は、一般に、そのベクターの作用の 何らかの兆候がその宿主細胞内で起こるときに認識される。 「形質転換」とは、DNAを、ある生物にそのDNAが染色体外要素としてまたは染 色体成分として複製できるように導入することをいう。形質転換は、使用する宿 主細胞に応じて、その細胞に適した一般的技術を用いて行われる。Cohen,S.N.Proc .Natl.Acad.Sci.(USA) 69,2110(1972)やMandelら,J .Mol.Biol. 53 ,154(1970)に記述されているような塩化カルシウムを用いるカルシウム処理は 、原核生物または堅固な細胞壁境界を持つ他の細胞に広く使用されている。その ような細胞壁を持たない哺乳類細胞には、Graham,Fおよびvan der Eb,A.,Vir ology52,456-457(1978)のリン酸カルシウム沈澱法が好ましい。哺乳類細胞宿 主系形質転換の一般的側面については、Axelが米国特許第4,399,216号(1983年8 月16日発行)に記述している。酵母への形質転換は、通常、Van Solingen,P.ら ,J .Bact.130,946(1977)とHsiao,C.L.ら,Proc .Natl.Acad.Sci.(USA) 76 ,3829(1979)の方法に従って行われる。ただし、DNAを細胞に導入する他の方 法、例えば核注入やプロトプラスト融合などによる方法なども使用できる。 「部位特異的突然変異誘発法」は、当技術分野で広く知られる技術であり、突 然変異させようとする一本鎖ファージDNAに対して相補的(限定されたミスマッ チ部分を除く)な合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いて行われる。簡単に 述べると、合成オリゴヌクレオチドをプライマーとして、ファージに相補的な鎖 の合成を行い、得られた二本鎖DNAをファージ維持宿主細菌に形質転換する。形 質転換した細菌の培養を上層寒天に撒き、ファージを保持する単一の細胞からプ ラークを形成させる。理論的には、新しいプラークの50%が突然変異型を一本鎖 として持つファージを含有し、50%が元の配列を持つだろう。それらのプラーク を、キナーゼ処理した合成プライマーと、正確な対合のハイブリッド形成が可能 であり、かつ、元の鎖とのミスマッチによってハイブリッド形成が妨害されうる ような温度でハイブリッド形成させる。次に、そのプローブとハイブリッド形成 するプラークを選択し、培養して、そのDNAを回収する。 「機能的に連結した(operably liked)」とは、構成要素の通常の機能が行わ れうるような並置をいう。したがって、制御配列に機能的に連結したコード配列 とは、そのコード配列がそれら配列の制御下に発現できるような、また連結され たDNA配列が連続的であるような(分泌リーダーの場合は連続的かつ解読相が一 致するような)配置をいう。例えば、プレ配列または分泌リーダーの遺伝子は、 それがあるポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現されるので あれば、そのポリペプチドのDNAに機能的に連結している。プロモーターまたは エンハンサーは、それがあるコード配列の転写に影響を与えるのであれば、その コード配列に機能的に連結している。また、リボソーム結合部位は、それが翻訳 を促進するような位置にあるのであれば、コード配列に機能的に連結している。 連結は都合の良い制限部位での連結(ライゲーション)によって達成される。そ のような部位が存在しない場合は、慣例に従って合成オリゴヌクレオチドアダプ ターまたはリンカーを使用する。 「制御配列」とは、特定の宿主生物中で機能的に連結したコード配列の発現に 必要なDNA配列をいう。原核生物に適した制御配列には、例えばプロモーター、 任意にオペレーター配列、リボソーム結合部位、あるいは他のまだよくわかって いない配列が含まれる。真核細胞はプロモーター、ポリアデニル化シグナルおよ びエンハンサーを利用することがわかっている。 「発現系」とは、所望のコード配列と制御配列を含むDNA配列であって、その コード配列と制御配列が、それらの配列で形質転換された宿主がコードされてい るそのタンパク質を生産することができるような機能的関係にあるものをいう。 形質転換を達成するために、発現系をベクターに含めることができるが、関連す るDNAが続いて宿主染色体に組込まれてもよい。 本明細書において「細胞」「細胞系」および「細胞培養」という用語は相互交 換可能に使用され、これらはいずれも子孫を包含する。したがって「形質転換体 」または「形質転換細胞」という用語は、最初の対象細胞とそこから派生する培 養を、その継代数にかかわらず包含する。また、すべての子孫は、意図的な突然 変異または偶然の突然変異により、そのDNAの内容が正確には同一でない場合も あると解される。元の形質転換細胞中で選択の対象としたものと同じ機能を持つ 突然変異体子孫が含まれる。明確な指定を意図する場合は、その文脈から明らか になるだろう。 「プラスミド」は、小文字pとその前後に添えた大文字および/または数字に よって指定される。本明細書に記載の出発プラスミドは市販されているか、公け に無制限に入手できるか、もしくはそれらの入手可能なプラスミドから公表され た方法に従って構築することができる。また、他の等価なプラスミドも当技術分 野で知られており、それらは通常の当業者には明らかだろう。 DNAの「消化」とは、そのDNAの特定の位置でのみ作用する酵素によるDNAの触 媒的切断をいう。そのような酵素は制限酵素と呼ばれており、それぞれの制限酵 素が特異性を示す部位は制限部位と呼ばれる。本明細書で使用される種々の制限 酵素は市販されており、それらの反応条件、補因子その他の必要条件は、その酵 素の供給者によって確立されたものを使用する。制限酵素は通常、その制限酵素 を最初に得た起源の微生物を表わす大文字とそれに続く他の文字、さらにその酵 素を指定する数字からなる略号によって指定される。一般的には、約1mgのファ ージミドまたはDNA断片を約1〜2単位の酵素と共に約20mlの緩衝液中で使用する 。特定の制限酵素に適した緩衝液と基質量は、その製造者によって指定される。 通常は、37℃で約1時間の保温を使用するが、これは供給者の指示に従って変更 することができる。保温後、フェノールとクロロホルムを用いる抽出によってタ ンパク質を除去し、消化された核酸をエタノール沈澱によって水相から回収する 。まれに、制限酵素による消化の後、その末端5'リン酸基を細菌アルカリ性ホス ファターゼで加水分解することにより、DNA断片の2つの制限切断末端が「環化」 または閉環を形成してその制限部位への別のDNA断片の挿入を妨害するのを防止 することもある。特に明記しない限り、プラスミドの消化後に5'末端脱リン酸化 を行なわない。脱リン酸化の方法と試薬は従来通りである(T.Maniatisら,198 2,Molecular Cloning: A Laboratory Manual(ニューヨーク:コールドプスリ ングハーバー研究所,1982)133-134ページ)。 与えられたDNA断片の制限消化物からの「回収」または「単離」とは、その消 化物のポリアクリルアミドまたはアガロースゲルにおける電気泳動による分離、 既知の分子量を持つマーカーDNA断片と移動度を比較することによる目的断片の 同定、所望の断片を含有するゲル切片の切り出し、およびDNAとゲルの分離を意 味する。この手法は広く知られている。例えば、R.Lawnら,Nucleic Acids Res .9 ,6103-6114(1981)やD.Goeddelら,Nucleic Acids Res8,4057(1980)を参 照のこと。 「サザン分析」は、消化物またはDNA含有組成物中のDNA配列の存在を、既知の 標識したオリゴヌクレオチドまたはDNA断片へのハイブリッド形成によって確認 する方法である。本明細書では、特に断わらない限り、サザン分析とはE.South ern,J .Mol.Biol. 98,503-517(1975)の方法による1%アガロースでの消化物の 分離、変性およびニトロセルロースへの転写、ならびにT.Maniatisら,Cell 15 ,687-701(1978)に記述されているようなハイブリッダイゼーションを意味す るものとする。 「連結(ライゲーション)」とは、2つの二本鎖核酸断片間にリン酸ジエステ ル結合を形成する過程をいう(T.Maniatisら,1982,前掲,146頁)。特に断わ らない限り、連結は、ほぼ等量の連結しようとするDNA断片0.5mgあたり10単位の T4 DNAリガーゼ(「リガーゼ」)を用いて、既知の緩衝液と条件で行なうことが できる。 形質転換体からのDNAの「調製」とは、微生物培養からプラスミドDNAを単離す ることを意味する。特に断わらない限り、Maniatisら,1982,前掲,90頁のアル カリ/SDS法を使用することができる。 「オリゴヌクレオチド」は、既知の方法(例えばEP特許公開番号266,032(198 8年5月4日公開)に記載されているような固相法を用いるリン酸トリエステル法 、ホスファイト法またはホスホルアミダイト法、もしくはFroehlerら,Nucl .Ac ids Res. 14,5399-5407[1986]に記載されているようなデオキシヌクレオシドH- ホスホネート中間体による方法など)によって化学的に合成される短い一本鎖ま たは二本鎖ポリデオキシヌクレオチドである。これらは合成に続いてポリアクリ ルアミドゲルで精製される。 「KDR」という略号は、VEGF分子のキナーゼドメイン領域を表わす。キナーゼ ドメイン領域レセプターに結合することがわかっているのは、この領域である。 「FLT-1」という略号は、対応するFLT-1レセプターに結合することがわかって いるFMS様チロシンキナーゼ結合ドメインを表わす。これらのレセプターは内皮 細胞の表面に存在する。 「KDRに対する機能的に減少した結合親和性」という用語において、「機能的 に」という用語は、総合的に変化した生物学的効果を表わす。すなわちこれは、 「KDRに対する機能的に減少した結合親和性」を示す本明細書記載の修飾ポリペ プチドが、減少した結合に関係する用途(例えばヘテロ二本鎖または一本鎖分子 の場合における抗脈管形成/抗血管新生など)、すなわち拮抗薬機能を持つよう に、野生型VEGFと比べてVEGF機能の生物学的結果に影響を及ぼすKDRに対する結 合親和性の減少を意図する。 B. 一般的方法論 1. グリコシル化 VEGFアミノ酸配列変種は、N結合を介してグリコシル化される可能性を持ち、 しかも天然分子では通常はグリコシル化されていないアミノ酸配列を少なくとも 1つは持ちうる。 変種中にN結合型グリコシル化部位を導入するには、アスパラギン-X-セリンま たはアスパラギン-X-スレオニンという式(ここにアスパラギンは受容部位であ り、Xは20種類の遺伝的にコードされるアミノ酸のいずれか(ただしグリコシル 化を妨害するプロリンを除く)を表わす)で示されるトリペプチド配列が必要で ある。D.K.StruckおよびW.J.Lennarz,The Biochemistry of Glycoproteins a nd Proteoglycans (W.J.Lennarz編,Plenum Press,1980)の35頁、R.D.Marshal l,Biochem .Soc.Symp.40,17(1974)およびWinzler,R.J.,Hormonal Protei ns and Peptides (Li,C.I.編,Academic Press,ニューヨーク,1973)の1〜15 頁を参照のこと。本明細書に記載のアミノ酸配列変種は、適当な部位にあるアミ ノ酸を適当なアミノ酸で置換してグリコシル化を果たすことにより、修飾される 。 O結合型グリコシル化を使用する場合、動物細胞中では、N-アセチルガラクト サミン、ガラクトースまたはキシロースと、数種類のヒドロキシアミノ酸のいず れか(最も一般的にはセリンまたはスレオニンであるが、その分子の適当な領域 に5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリジン残基がある場合もある)の間 で0-グリコシド結合が起こる。 哺乳動物によって生産されたタンパク質のグリコシル化様式は、The Plasma P roteins: Structure ,Function and Genetic Control ,F.W.Putnam編,第2版, 第4巻(Academic Press,ニューヨーク,1984)の271〜315頁に詳述されており 、その開示はすべて参考文献として本明細書の一部を構成する。この章では、ア スパラギン結合型オリゴ糖が、複合構造、高マンノース構造およびハイブリッド 構造と呼ばれる少なくとも3つのグループへの細別を含めて議論されており、ま たO-グリコシド結合したオリゴ糖についても議論されている。 タンパク質に対するグリコシドの化学的および/または酵素的カップリングは 、例えばAplinおよびWristonがCRC Crit .Rev.Biochem.(1981)の259〜306頁 (その内容は参考文献として本明細書の一部を構成する)に記述しているような 種々の活性基を用いて行なうことができる。化学的カップリング技術の利点は、 それらが比較的簡単で、天然のO-結合型およびN-結合型グリコシル化に必要な複 雑な酵素機構を必要としないということである。使用するカップリング法によっ て、(a)アルギニンまたはヒスチジン、(b)グルタミン酸やアスパラギン酸な どの遊離カルボキシル基、(c)システインなどの遊離スルフヒドリル基、(d) セリン、スレオニンまたはヒドロキシプロリンなどの遊離ヒドロキシル基、(e )フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンなどの芳香族残基、あるい は(f)グルタミンのアミド基に糖を結合させることができる。これらの方法はP CT WO 87/05330(1987年9月11日公開)により詳しく記述されており、その開示 は参考文献として本明細書の一部を構成する。 酵母によって生産されたタンパク質のグリコシル化様式は、TannerおよびLehl e,Biochim .Biophys.Acta906(1),81-99(1987)とKukuruzinskaら,Annu .Re v.Biochem.56,915-944(1987)に詳述されており、それらの開示は参考文献と して本明細書の一部を構成する。 2. アミノ酸配列変種 a. 付加的な突然変異 本明細書に記載のVEGF変種を簡略化して呼ぶ場合、番号は推定成熟VEGFのアミ ノ酸配列に沿ってアミノ酸残基/位置を表わすことを注記しておく。アミノ酸の 指定には、アミノ酸の一文字アルファベット、すなわち、 を使用する。 本発明は、2つのレセプター結合ドメイン[1)約78〜95のアミノ酸の領域、お よび2)ほぼ60位から70位までの位置にあるアミノ酸の領域]内にあるアミノ酸 配列に修飾を持つVEGFの変種に関する。これらの変種は、対応するレセプターの 各結合部位に関して選択的な活性を持つ。 上記2つのレセプター結合部位変異に関して本発明の思想から逸脱することな く、VEGF分子中の他の位置で一定の他の変種を作成できることは理解されるだろ う。したがって、78から95までおよび60から70までのドメインに関して変種の全 般的な特性に影響を及ぼさない興味深い特性を与えるべく、この分子の他のすべ ての部分に点変異変異または他のより広範な変異を作ることができる。 これらの付加的な変種は、当技術分野で一般的によく知られる手段によって作 成することができる。 例えば、いくつかのアミノ酸残基に共有結合修飾を施すことができる。 システイニル残基は、最も一般的には、クロロ酢酸やクロロアセタミドなどの a-ハロ酢酸類(および対応するアミン)と反応して、カルボキシメチルまたはカ ルボキシアミドメチル誘導体を与える。システイニル残基は、ブロモトリフルオ ロアセトン、a-ブロモ-b-(5-イミドゾイル)ピロピオン酸、リン酸クロロアセチ ル、N-アルキルマレイミド、3-ニトロ-2-ピリジルジスルフィド、メチル2-ピリ ジルジスルフィド、p-クロロメルクリベンゾエート、2-クロロメルクリ-4-ニト ロフェノール、またはクロロ-7-ニトロベンゾ-2-オキソ-1,3-ジアゾールとの反 応によっても誘導体化される。 ジエチルピロカーボネートはヒスチジル側鎖に対して比較的特異的であるので 、ヒスチジル残基はpH5.5〜7.0におけるこの試薬との反応によって誘導体化され る。p-ブロモフェナシルブロミドも有用であり、その反応はpH6.0の0.1Mカコジ ル酸 ナトリウム中で行なうことが好ましい。 リジニル残基とアミノ末端残基は無水コハク酸その他のカルボン酸無水物と反 応させる。これらの試薬による誘導体化は、リジニル残基の電荷を反転させると いう効果を持つ。a-アミノ含有残基の誘導体化に適した他の試薬には、ピコリン イミド酸メチルのようなイミドエステル;ピリドキサルリン酸;ピリドキサル; クロロボロヒドリド;トリニトロベンゼンスルホン酸;O-メチルイソ尿素;2,4- ペンタンジオン;およびグリオキシレートを用いるトランスアミナーゼ触媒反応 がある。 アルギニル残基は、1種類または数種類の従来試薬(例えばフェニルグリオキ サール、2,3-ブタンジオン、1,2-シクロヘキサンジオン、ニンヒドリンなどがあ る)との反応によって修飾される。グアニジン官能基のpKaは高いので、アルギ ニン残基を誘導体化するには、その反応をアルカリ条件下で行なう必要がある。 また、これらの試薬はアルギニンε-アミノ基の他にリジンの基とも反応しうる 。 チロシル残基の特異的修飾自体は、特に芳香族ジアゾニウム化合物またはテト ラニトロメタンとの反応によってチロシル残基に光学標識を導入するために、詳 細に研究されている。最も一般的には、N-アセチルイミジゾールとテトラニトロ メタンを使って、それぞれO-アセチルチロシル種と3-ニトロ誘導体を得る。放射 免疫検定法で使用される標識タンパク質を調製するには、チロシル残基を125Iま たは131Iを用いてヨウ素化する。この場合、上述のクロラミンT法が好適である 。 カルボキシル側鎖基(アスパルチルまたはグルタミル)は、1-シクロヘキシル -3-(2-モルホリニル-(4-エチル)カルボジイミドや1-エチル-3-(4-アゾニア-4,4- ジメチルペンチル)カルボジイミドなどのカルボジイミド(R'-N-C-N-R')との反 応によって、選択的に修飾される。また、アスパルチル残基とグルタミル残基は アンモニウムイオンとの反応により、アスパラギニル残基およびグルタミニル残 基に変換される。 二価性試薬による誘導体化は、抗VEGF抗体の精製法に使用される水不溶性支持 基盤(マトリックス)または水不溶性支持表面にVEGFを架橋するのに有用である 。一般的に使用される架橋剤には、例えば1,1-ビス(ジアゾアセチル)-2-フェ ニル エタン、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、例えば4- アジドサリチル酸とのエステル、3,3'-ジチオビス(スクシンイミジルピロピオ ネート)などのジスクシンイミジルエステルを含むホモ二価性イミドエステル、 ビス-N-マレイミド-1,8-オクタンなどの二価性マレイミドがある。メチル-3-[(p -アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミデートなどの誘導体化試薬は、光の存在 下に架橋を形成することができる光活性化可能な中間体を与える。別法として、 臭化シアン活性化炭水化物のような反応性の水不溶性基盤と、米国特許第3,969, 287号、同第3,691,016号、同第4,195,128号、同第4,247,642号、同第4,229,537 号および同第4,330,440号に記載の反応性基質を使用して、タンパク質を固定化 する。 グルタミニル残基とアスパラギニル残基はしばしば対応するグルタミル残基お よびアスパルチル残基に脱アミド化される。別法として、これらの残基を温和な 酸性条件下に脱アミド化する。これら残基のいずれの形態も本発明の範囲に包含 される。 その他の修飾には、プロリンとリジンのヒドロキシル化、セリルまたはスレオ ニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニンおよびヒスチジン側 鎖のa-アミノ基のメチル化(T.E.Creighton,Proteins: Structure and Molecu lar Properties ,W.H.Freeman & Co.,サンフランシスコ,79-86頁[1983])、N 末端アミンのアセチル化、さらに場合によっては、C末端カルボキシル基のアミ ド化がある。 b. DNA突然変異 VEGFのアミノ酸配列変種は、DNAの突然変異によって調製することもできる。 そのような変種には、例えば、図1に示すアミノ酸配列内の残基の欠失、挿入ま たは置換がある。最終構築物が所望の活性を持つ限り、欠失、挿入および置換を 任意に組み合せて施すことにより、最終構築物を得ることもできる。明らかに、 変種をコードするDNAに施される突然変異は、その配列を読み枠外に置いてはな らず、また二次mRNA構造を形成しうる相補領域を生み出さないことが好ましい( EP 75,444A参照)。 遺伝子レベルでは、これらの変種は通常、VEGFをコードするDNA中のヌクレオ チドの部位特異的突然変異によって変種をコードするDNAを作成し、次にそのDNA を組換え細胞培養中で発現させることによって調製される。変種は通常、天然に 存在する類縁体と定性的に同じ生物活性を示す。 アミノ酸配列変種を導入する部位は予め決定されるが、突然変異そのものを決 定しておく必要はない。例えば、与えられた部位における突然変異の効果を最適 化するために、標的コドンまたは標的領域で無作為突然変異誘発を行い、発現し たVEGF変種を所望の活性の最適な組み合わせについてスクリーニングすることが できる。既知の配列を持つDNA中の予定の部位に置換突然変異を作成する部位特 異的突然変異誘発法などの技術は、よく知られている。 本発明のVEGF変種の調製は、前もって調製した変種または非変種型タンパク質 をコードするDNAの部位特異的突然変異誘発によって行なうことが好ましい。部 位特異的突然変異誘発法によれば、所望の突然変異のDNA配列と、横切られる欠 失接合部の両側に安定な二本鎖を形成しうるサイズと配列とを持つプライマー配 列を与えるに足る数の隣接ヌクレオチドとをコードする、特定のオリゴヌクレオ チド配列を使用することにより、VEGF変種を生産することができる。通常、20〜 25ヌクレオチド長で、変化させる配列の接合部の両側に約5〜10残基を持つプラ イマーが好ましい。Adelmanら,DNA 2,183(1983)(その開示は参考文献とし て本明細書の一部を構成する)などの刊行物によって示されるように、一般に、 部位特異的突然変異誘発技術は当技術分野でよく知られている。 一般的に、部位特異的突然変異誘発技術が、一本鎖型と二本鎖型の両方で存在 するファージベクターを使用することは理解されるだろう。部位特異的突然変異 誘発法に有用な典型的ベクターには、例えばMessingら,Third Cleveland Sympo sium on Macromolecules and Recombinant DNA ,A.Walton編,Elsevier,アム ステルダム(1981)(その開示は参考文献として本明細書の一部を構成する)に 開示されているようなM13ファージなどのベクターが含まれる。これらのファー ジは市販されており、それらの使用法は一般に当業者にはよく知られている。別 法として、一本鎖ファージ複製起点を含有するプラスミドベクター(Veiraら,M eth .Enzymol.153,3[1987])を使用して、一本鎖DNAを得ることもできる。 一般に、ここでの部位特異的突然変異誘発は、まず関連するタンパク質をコー ドするDNA配列をその配列内に含む一本鎖ベクターを得ることによって行われる 。所望の変異配列を保持するオリゴヌクレオチドプライマーは、通常、合成的に 、例えばCreaら,Proc .Natl.Acad.Sci.(USA)75,5765(1978)の方法によっ て調製される。次に、そのプライマーを一本鎖タンパク質配列含有ベクターとア ニールさせ、大腸菌ポリメラーゼIクレノウ断片のようなDNA重合酵素にさらして 、突然変異保持鎖の合成を完了する。したがって、一方の鎖が元の非突然変異配 列をコードし、もう1つの鎖が所望の突然変異を保持するヘテロ二本鎖が形成さ れる。次に、このヘテロ二本鎖ベクターを用いて、JM101細胞のような適当な細 胞を形質転換し、突然変異した配列を持つ組換えベクターを含むクローンを選択 する。 そのようなクローンを選択した後、突然変異したタンパク質領域を取り出し、 タンパク質生産に適したベクター(一般的には、適当な宿主の形質転換に使用し うるタイプの発現ベクター)に入れる。 c. 突然変異のタイプ アミノ酸配列欠失は、通常、約1〜30残基、より好ましくは1〜10残基の範囲で あり、一般的には連続的である。 アミノ酸配列挿入には、1残基から本質的に任意の長さのポリペプチドまでの アミノ末端融合および/またはカルボキシル末端融合、ならびに1または複数のア ミノ酸残基の配列内挿入がある。配列内挿入(すなわち成熟VEGF配列内の挿入) は一般的には約1〜10残基、より好ましくは1〜5残基の範囲にわたりうる。末端 挿入の例には、成熟VEGFの組換え宿主からの分泌を促進するために行なう、宿主 細胞と同種もしくは異種のシグナル配列のVEGF分子のN末端への融合がある。 変種の第3のグループは、VEGF分子中のアミノ酸残基が少なくとも1つ(好まし くは1つだけ)除去され、そこに異なる残基が挿入されているものである。VEGF 分子の特徴を細かく調節したい場合は、このような置換を次の表1に従って行な うことが好ましい。 機能的または免疫学的性質の本質的な変化は、表Iのよりも保存性の低い置換 を選択することによって、すなわち(a)置換領域のポリペプチド骨格の構造( 例えばシートまたはらせんコンフォメーション)、(b)標的部位における分子 の電荷または疎水性、または(c)側鎖の嵩高さ、を維持する効果がより有意に 異なる残基を選択することによって行われる。VEGFの特徴に最も大きな変化をも たらすと一般的に予想される置換は、(a)グリシンおよび/またはプロリン(P )を別のアミノ酸で置換するか、これらの残基を欠失または挿入したもの、(b )親水性残基(例えばセリルまたはスレオニル)で(を)疎水性残基(例えばロ イシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリルまたはアラニルを(で)置換 したもの、(c)システイン残基で(を)他の任意の残基を(で)置換したもの 、(d)電気陽性側鎖を持つ残基(例えばリジル、アルギニルまたはヒスチジル )で(を)負電荷を持つ残基(例えばグルタミルまたはアスパルチル)を(で) 置換したもの、(e)電気陰性側鎖を持つ残基で(を)正電荷を持つ残基を(で )置換したもの、または(f)嵩高い側鎖を持つ残基(例えばフェニルアラニン )で(を)そのような側鎖を持たない残基(例えばグリシン)を(で)置換した ものであろう。 ほとんどの欠失と挿入、そして特に置換は、VEGF分子の特徴に著しい変化をも たらさないと予想される。しかし、置換、欠失または挿入の正確な効果を前もっ て予測することが困難な場合、その効果を一般的なスクリーニング検定法で評価 することは、当業者には理解されるだろう。例えば、変種は通例、天然のVEGFコ ード核酸の部位特異的突然変異誘発、その変種核酸の組換え細胞培養における発 現、および任意に、例えばウサギポリクローナル抗VEGFカラムへの免疫アフィニ ティー吸着(残存する免疫エピトープの少なくとも1つにそれを結合させること により変種を吸収するため)などによるその細胞培養からの精製によって作成さ れる。 VEGFは二量体に会合する傾向があるので、一方のサブユニットまたは両方のサ ブユニットが変種であるヘテロ二量体およびホモ二量体を提供することも本発明 の範囲に包含される。両方のサブユニットが変種である場合、アミノ酸配列中の 変化は各サブユニット鎖について同じであってもよいし、異なってもよい。ヘテ ロ二量体は、両方のサブユニットをコードするDNAで宿主細胞を同時形質転換し 、必要であれば所望のヘテロ二量体を精製するか、もしくは各サブユニットを別 個に合成し、それらサブユニットを(例えば、尿素、グアニジン塩酸塩などのカ オトロピック試薬による処理で)解離し、解離したサブユニットを混合した後、 カオトロピック試薬を透析除去してサブユニットを再会合させることにより、容 易に製造できる。 いわゆるグリコスキャン(glyco-scan)突然変異体も、本明細書でいう突然変 異体の範囲に含まれる。この態様では、NXS/Tという配列によって同定されるい わゆるグリコシル化部位の知識を利用する(ここにNはアミノ酸アスパラギンを 表わし、Xはプロリンを除く任意のアミノ酸を表わし、3番目の位置はアミノ酸セ リンまたはスレオニンのいずれが占めてもよい)。したがって、適宜そのような グリコシル化部位を導入して、その位置にグリコシル化部分を持つ種を作成する ことができる。また、突然変異によって現存するグリコシル化部位を除去して、 その部位でグリコシル化されない種を作ることもできる。本発明の基本的前提に 従っていわゆるKDRおよび/またはFLT-1ドメイン内に導入される、本発明に包含 される他の突然変異と同様に、この場合も、最終産物が上記2つの結合ドメイン の一方または両方に導入された突然変異の性質と総合的に異ならない限り、同分 子の全範囲でこれらのドメイン外にある他の位置に、グリコシル化部位を導入で きることは理解されるだろう。 次に、細胞溶解物または精製VEGF変種の活性を、所望の特徴に適したスクリー ニング検定法でスクリーニングする。例えば、VEGF分子の免疫学的特徴(例えば 与えられた抗体に対する親和性など)の変化は、競争型免疫検定法で測定される 。候補突然変異体による血管内皮細胞増殖の促進または抑制の変化は、適当な検 定法で測定される。酸化還元安定性や熱安定性、疎水性、タンパク質分解に対す る感受性、担体との会合傾向、多量体への会合傾向などといったタンパク質特性 の 変化は、通常の当業者によく知られる方法で検定される。 3. 組換え発現 望ましいVEGF分子は、組換え法を含む任意の技術で調製することができる。ま た本明細書において、単離されたDNAとは、3'-および/または5'-隣接領域を伴う もしくは伴わない化学合成されたDNA、cDNA、染色体DNAまたは染色体外DNAを意 味するものと解される。本明細書に記載の望ましいVEGFは、組換え細胞培養での 合成によって作成されることが好ましい。 そのような合成には、まず、VEGFをコードする核酸の確保が必要である。VEGF 分子をコードするDNAは、ウシ下垂体濾胞細胞から、(a)それらの細胞からcDNAラ イブラリーを調製し、(b)VEGFまたはその断片(100塩基対長まで、またはそれ以 上)をコードする標識DNAを用いてハイブリッド形成分析を行って、相同な配列 を含有するライブラリー中のクローンを検出し、(c)そのクローンを制限酵素分 析と核酸配列決定で分析して完全長クローンを同定することにより、得ることが できる。低ストリンジェンシー条件下でVEGFコードDNAにハイブリッド形成する ことができるDNAは、VEGFをコードするDNAの同定に役立つ。高および低ストリン ジェンシー条件については下に定義する。完全長クローンがcDNAライブラリー中 に存在しない場合は、本明細書に初めて開示される核酸配列情報を用いて種々の クローンから適当な断片を回収し、それらのクローンに共通する制限部位で連結 してVEGFをコードする完全長クローンを組み立てることができる。別法として、 ゲノムライブラリーから所望のDNAを得る。ウシVEGFをコードするDNAの最終的に 決定された配列を図2に示す。ヒト白血病細胞系を詳査することによって最終的 に決定されたヒトVEGFをコードするDNAの配列を図10に示す。 このDNAをライブラリーから同定し、単離したら、それをさらなるクローニン グまたは発現のために複製可能なベクターに連結する。 組換え発現系の一例として、VEGFをコードするDNAを含む発現ベクターを用い る形質転換により、VEGFコード遺伝子を哺乳類細胞中で発現させる。培養培地中 または宿主細胞の周辺腔中にVEGF(すなわち分泌分子)が得られるようなプロセ シングを行ないうる宿主細胞を形質転換することが好ましい。 a. 有用な宿主細胞とベクター 本明細書に開示するベクターと方法は、広範囲にわたる原核生物および真核性 物を宿主細胞とする使用に適している。 通常、DNA配列の最初のクローニングと本発明で有用なベクターの構築には、 当然ながら、原核生物が好ましい。例えば、大腸菌K12 MM294株(ATCC番号31,44 6)は特に有用である。使用しうるその他の微生物株には、大腸菌Bや大腸菌X177 6(ATCC番号31,537)のような大腸菌株がある。これらの例はもちろん限定では なく例示である。 原核生物は発現にも使用できる。上述の株に加えて、大腸菌W3110(F-、ラム ダー、原栄様株、ATCC番号27,325)、K5772(ATCC番号53,635)およびSR101、枯 草菌などのバチルス属、ネズミチフス菌や霊菌(セラチア=マルセサンス)など といったその他の腸内細菌、および種々のシュードモナス種も使用できる。 一般にこれらの宿主には、その宿主細胞と適合する種に由来するレプリコンと 制御配列を含有するプラスミドベクターが使用される。これらのベクターは通常 、複製部位と、形質転換された細胞の表現型による選択を可能にする標識配列と を保持する。例えば、大腸菌は通例、大腸菌種に由来するベクターpBR322を用い て形質転換される(例えばBolivaraら,Gene 2,95[1977]を参照)。pBR322はア ンピシリン耐性遺伝子とテトラサイクリン耐性遺伝子を含有するので、簡単な形 質転換細胞同定手段を与える。pBR322プラスミドや他の微生物プラスミドまたは ファージは、その微生物がそれ自身のタンパク質の発現に使用しうるプロモータ ーをも含有するか、もしくはそれを含有するように修飾されなければならない。 組換えDNA構築に最も一般的に使用されるプロモーターには、b-ラクタマーゼ (ペニシリナーゼ)およびラクトースプロモーター系(Changら,Nature375, 615[1978];Itakuraら,Science198,1056[1977]; Goeddelら,Nature281, 544[1979])と、トリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddelら,Nucleic A cids Res.8,4057[1980]; EPO出願公開番号0036,776)がある。最も一般的に 使用されるプロモーターはこれらであるが、他の微生物プロモーターも発見され 、使用されている。また、それらのヌクレオチド配列に関する詳細は公表され ているので、当業者はそれらをプラスミドベクターと機能的に連結することがで きる(例えばSiebenlistら,Cell20,269[1980]を参照のこと)。 原核宿主細胞に加えて、酵母などの真核微生物も使用できる。一般的なパン酵 母サッカロミセス・セレビシェは、なかでも最も広く使用されている真核微生物 である(ただし、他にもいくつかの株が一般的に使用されている)。サッカロミ セスでの発現には、例えばプラスミドYRp7などがよく使用される(Stinchcombら ,Nature 282,39[1979]; Kingsmanら,Gene 7,141[1979]; Tschemperら,Gene 10,157[1980])。このプラスミドは既にtrp1遺伝子を含有しており、それがト リプトファン中で生育できない酵母の突然変異株、例えばATCC番号44,076やPEP4 -1(Jones,Genetics 85,12[1977])に選択マーカーを与える。酵母宿主細胞ゲ ノムの特徴としてtrp1障害が存在すると、トリプトファン不在下での生育によっ て形質転換を検出する効果的な環境が得られる。 酵母ベクター中の好適な促進配列には、3-ホスホグリセリン酸キナーゼ(Hitz emanら,J .Biol.Chem. 255,2073[1980])その他の解糖系酵素(Hessら,J .A dv.Enzyme Reg. 7,149[1968]; Hollandら,Biochemistry 17,4900[1978])、 例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキ ナーゼ、ピルビン酸脱炭酸酵素、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン 酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオ ースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼおよびグルコキナーゼ などのプロモーターがある。また、好適な発現プラスミドを構築するには、これ らの遺伝子に付随する終結配列を、その発現ベクター中の発現させようとする配 列の3'側に連結することにより、mRNAのポリアデニル化と終結に備える。生育条 件によって転写を制御できるという利点をも持つその他のプロモーターは、アル コールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロームC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝 に関係する分解酵素、上述のグリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ、お よびマルトースとガラクトースの資化に寄与する酵素のプロモーター領域である 。酵母適合性のプロモーター、複製起点および終結配列を含有するプラスミドベ クターはいずれも好適である。 微生物に加えて、多細胞生物に由来する細胞の培養も宿主として使用できる。 原則的には、脊椎動物培養であるか無脊椎動物培養であるかにかかわらず、それ らの細胞はいずれも使用できる。しかし、最大の関心は脊椎動物細胞にあり、培 養された脊椎動物細胞(組織培養)の増殖は近年、日常的な操作になっている[Tissue Culture ,Academic Press,KruseおよびPatterson編(1973)]。それら有 用な宿主細胞系の例はVERO細胞、HeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO )細胞系、W138、BHK、COS-7、293およびMDCK細胞系である。これらの細胞用の 発現ベクターは通常(必要であれば)複製起点、発現させる遺伝子の前に位置す るプロモーターを、必要なリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデ ニル化部位および転写終結配列と共に含む。 哺乳類細胞で使用する場合、発現ベクター上の制御機能はウイルス物質から得 られることが多い。例えば一般的に使用されるプロモーターは、ポリオーマ、ア デノウイルス2、そして最も多くの場合シミアンウイルス40(SV40)に由来する 。SV40ウイルスの初期および後期プロモーターは、共にSV40ウイルス複製起点を も含む断片としてウイルスから容易に得られるので、特に有用である[Fiersら ,Nature273,113(1978)]。より小さいSV40断片やより大きいSV40断片も、Hin dIII部位からウイルス複製起点中のBglI部位に向かって伸びる約250bp配列が 含まれている限り使用できる。さらに、目的の遺伝子配列に通常付随するプロモ ーターまたは制御配列が宿主細胞系に適合するのであれば、それらを使用するこ ともでき、またそうすることがしばしば望ましい。 複製起点は、SV40その他のウイルス(例えばポリオーマ、アデノ、VSV、BPV) 供給源から得られるような外来の起点を含むようにベクターを構築することによ って、あるいは宿主細胞染色体複製機構によって提供されうる。 細胞培養によって十分な量のタンパク質が生産されるが、二次コード配列を用 いて改良すると、さらに生産レベルが向上する。二次コード配列の一つはジヒド ロ葉酸レダクターゼ(DHFR)からなる。これはメトトレキセート(MTX)などの 外部から制御されるパラメーターによる影響を受けるので、メトトレキセート濃 度の制御によって発現を制御することが可能になる。 VEGFとDHFRタンパク質の両方をコードするDNA配列を含む本発明のベクターに よるトランスフェクションに好ましい宿主細胞を選択する際には、使用するDHFR タンパク質のタイプに従って宿主を選択することが妥当である。野生型DHFRタン パク質を使用する場合は、DHFR欠損性の宿主細胞を選択して、そのDHFRコード配 列をヒポキサンチン、グリシンおよびチミジンを欠く選択培地中で成功したトラ ンスフェクションのマーカーとして使用できるようにすることが好ましい。この 場合、適当な宿主細胞は、UrlaubおよびChasin,Proc .Natl.Acad.Sci.(USA)77,4216(1980)に記述されているように調製、増殖されるDHFR活性欠乏性チャ イニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系である。 これに対し、MTXに対する結合親和性が低いDHFRタンパク質を制御配列として 使用する場合は、DHFR欠損細胞を使用する必要はない。この突然変異型DHFRはメ トトレキセートに対して耐性を示すので、宿主細胞自体がメトトレキセート感受 性であれば、MTX含有培地を選択手段として使用することができる。MTXを吸収で きる真核細胞のほとんどはメトトレキセート感受性であると思われる。そのよう な有用な細胞系の一つはCHO細胞系CHO-K1(ATCC番号CCL61)である。 b. 使用できる代表的方法論 所望のコード配列と制御配列を含有する好適なベクターの構築には、一般的な 連結技術を使用する。単離されたプラスミドまたはDNA断片を切断し、加工処理 し、望ましい形態に再連結することにより、必要なプラスミドを調製する。 平滑末端が必要な場合は、10単位のポリメラーゼI(クレノー)を用いて15℃ で15分間処理し、フェノール-クロロホルム抽出し、エタノール沈澱すればよい 。 切断した断片のサィズ分離は、Goeddelら,Nucleic Acids Res. 8,4057(1980 )に記載の6%ポリアクリルアミドゲルを用いて行なうことができる。 構築したプラスミド中の正しい配列を確認するための分析には、通例、連結混 合物を用いて大腸菌K12 294株(ATCC31,446)その他の適当な大腸菌株を形質転 換し、成功した形質転換体を適宜アンピシリンまたはテトラサイクリン耐性によ って選択する。それらの形質転換体からプラスミドを調製し、制限マッピングお よび/またはMessingら,Nucleic Acids Res. 9,309(1981)の方法もしくはMaxam ら,Methods of Enzymology 65,499(1980)の方法によるDNA配列決定によって分 析する。 そのDNAを哺乳類細胞宿主に導入し、適当なトランスフェクタントを培地中で 選択した後、約20,000-500,000nM濃度のメトトレキセート(DHFR活性の競争的阻 害剤)の存在下に宿主細胞培養を生育することにより、DHFRタンパク質コード配 列の増幅を行なう。当然、有効濃度範囲はDHFR遺伝子の性質と宿主の特徴に強く 依存する。普遍的な上限と下限を明確にできないことは明らかである。DHFRを阻 害する他の葉酸類縁体やその他の化合物も適当な濃度で使用できるだろう。しか し、MTX自体は便利で、容易に入手でき、効果的である。 使用しうる他の技術については、実施例の直前の項に記述する。 4. 有用性と製剤 本明細書記載のVEGF分子は、血管内皮に関係するいくつかの治療用途を持つ。 これらの用途には、外傷を取り巻く血管内皮細胞の増殖をVEGFが迅速に促進する ことが立証されていることから考えて、血管網に対する外傷の処置が含まれる。 そのように処置できる外傷の例には、血管の裂傷、切開および貫通を含む外科的 切開、特に心臓創傷を伴うものや、糖尿病性潰瘍、血友病性潰瘍、静脈瘤潰瘍な どの血管内皮に関係する表面潰瘍が含まれるが、これらに限るわけではない。VE GFの選択的有糸分裂促進特性に基づいて改善しうる他の生理学的状態もここに含 まれる。 上述の外傷的適応症には、治療すべき特定の障害、個々の患者の状態、VEGFの 送達部位、投与法その他、実施者の知る因子を考慮して、よい医療に合致する方 法でVEGF分子を製剤化し、投与する。したがって、本明細書においてVEGFの「治 療有効量」とは、処置される状態の緩和または治癒、もしくはその悪化の予防ま たは軽減に有効な量であり、具体的には、血管内皮の増殖を生体内で促進するに 足る量である。 天然VEGFに対して生じた抗体と免疫学的に交差反応するVEGFアミノ酸配列変種 および誘導体は、VEGFの免疫検定において標品として、また標識した場合は競争 試薬として有用である。 VEGFは、望ましい純度を持つVEGFを生理学的に許容できる担体、賦形剤または 安定化剤と混合することにより、貯蔵または投与のために調剤される。このよう な物質は使用する用量および濃度で受容者に対して非毒性である。VEGFが水溶性 である場合は、リン酸塩や他の有機酸塩などの緩衝液(好ましくはpH約7〜8)中 に製剤化することができる。VEGF変種が水に部分的にしか溶解しない場合は、そ れをTween、PluronicsまたはPEG(例えばTween 80)などの非イオン界面活性剤 と0.04〜0.05%(w/v)の量で調合してその溶解性を増大させることにより、マイ クロエマルジョンとして調製することができる。 任意に、抗酸化剤(例えばアスコルビン酸);低分子量(約10残基未満の)ポ リペプチド(例えばポリアルギニンまたはトリペプチド);血清アルブミン、ゼ ラチン、免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性 ポリマー;グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸またはアルギニンなどのア ミノ酸;セルロースまたはその誘導体、グルコース、マンノースまたはデキスト リンを含む単糖類、二糖類その他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニト ールやソルビトールなどの糖アルコールなどといった他の成分を加えてもよい。 治療的投与に使用されるVEGFは滅菌状態でなければならない。滅菌状態は滅菌 濾過膜(例えば0.2ミクロン膜)による濾過で容易に達成される。VEGFは通常、 凍結乾燥型で保存されるか、熱的変性と酸化的変性に対して高度に安定な場合は 水溶液として保存されるだろう。VEGF調製物のpHは通例、約6〜8であろう。ただ し、より高いもしくはより低いpH値が適当である場合もありうる。上述の賦形剤 、担体または安定化剤のいくつかを使用することにより、VEGFの塩が生成するこ とは理解されるだろう。 VEGFを非経口的に使用する場合は、一般的には、VEGFを含有する治療組成物を 滅菌注入口を持つ容器(例えば静脈内用溶液バッグや皮下注射針で突き刺せる栓 が付いたバイアル)に入れる。 一般に、その障害が許す場合は、VEGFを部位特異的送達用に製剤化し、投与す べきである。これは創傷や潰瘍の場合に便利である。 徐放性製剤も調製することができ、これにはマイクロカプセル粒子と移植可能 物の形成が含まれる。徐放性VEGF組成物を調製するには、VEGFを生物分解性の基 盤またはマイクロカプセルに封入することが好ましい。この目的に適した素材は ポリラクチドであるが、ポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸(EP 133,988A)のような 他のポリ-(a-ヒドロキシカルボン酸)ポリマーも使用できる。他の生物分解性ポ リマーには、ポリ(ラクトン)、ポリ(アセタール)、ポリ(オルトエステル)または ポリ(オルトカーボネート)がある。ここでまず考慮しなければならないことは、 その担体そのものまたはその分解産物が標的組識内で非毒性であることと、その 状態をさらに悪化させないことである。これは、標的とする障害の動物モデル( そのようなモデルが利用できない場合は正常な動物)における日常的なスクリー ニングによって決定することができる。このような動物モデルは、数多くの科学 刊行物に詳述されている。 徐放性組成物の例については、米国特許第3,773,919号、EP 58,481A、米国特 許第3,887,699号、EP 158,277A、カナダ特許第1176565号、U.Sidmanら,Biopol ymers 22,547[1983]、およびR.Langerら,Chem .Tech. 12,98[1982]を参照の こと。 局所的に投与する場合は、VEGFを担体および/またはアジュバントなどの他の 成分と混合することが好ましい。そのような他の成分の性質については、それら が医薬的に許容でき、意図する投与に有効でなければならないこと、およびその 組成物中の活性成分の活性を分解できないこと以外の制限はない。好適な賦形剤 の例には、精製コラーゲンを含むまたは含むない軟膏、クリーム、ゲルまたは懸 濁剤がある。これらの組成物は、好ましくは液状または半液状で、経皮用のパッ チ、プラスターおよび包帯に染み込ませることもできる。 ゲル製剤を得るには、液体組成物中に調合したVEGFを有効量の水溶性多糖また は合成ポリマー(ポリエチレングリコールなど)と混合して、局所投与に適した 粘度のゲルを形成させればよい。使用できる多糖には、例えば、アルキルセルロ ース、ヒドロキシアルキルセルロースおよびアルキルヒドロキシアルキルセルロ ース(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセル ロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロ ースなど)を含むエーテル化セルロース誘導体などのセルロース誘導体;澱粉と 分別澱粉(fractionated starch);寒天;アルギン酸とアルギナート;アラビ アゴム;プルラン;アガロース;カラギーナン;デキストラン;デキストリン; フルクタン;イヌリン;マンナン;キシラン;アラビナン;キトサン;グリコー ゲン;グルカン;合成生体高分子;キサンタンゴム、グアーゴム、ローカストビ ーンゴム、アラビアゴム、トラガカントゴム、カラヤゴムなどのゴム;およびそ れらの誘導体と混合物がある。ここで好ましいゲル化剤は、生物系に対して不活 性、非毒性であり、調製が簡単で、流動性が高すぎたり粘度が高すぎたりせず、 その中に保持されたVEGFを不安定化しないものである。 上記多糖はエーテル化セルロース誘導体であることが好ましく、十分に明確な 精製されたUSPに挙げられているもの(例えばメチルセルロースや、ヒドロキシ プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル セルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース誘導体)がより好ましい。ここ で最も好ましいものはメチルセルロースである。 ゲル化に有用なポリエチレングリコールは、一般に、適当な粘度を持つように 混合された低分子量および高分子量ポリエチレングリコールの混合物である。例 えば、分子量400〜600のポリエチレングリコールと分子量1500のものとの混合物 は、ペーストが得られるように適当な比率で混合すると、この目的に有効である 。 多糖類とポリエチレングリコールに適用される「水溶性」という用語は、コロ イド溶液と分散液を包含するものとする。一般に、セルロース誘導体の溶解性は エーテル基の置換の程度によって決定され、ここで有用な安定化誘導体は、その 誘導体を水溶性にするに足る量のエーテル基をセルロース鎖の1無水グルコース 単位あたりに持つべきである。一般的には1無水グルコース単位あたり0.35エー テル基以上のエーテル置換度であればよい。またセルロース誘導体は、Li、Na、 KまたはCs塩などのアルカリ金属塩の形態であってもよい。 ゲル中にメチルセルロースを使用する場合は、それがゲルの約2〜5%(より好 ましくは約3%)を占めることが好ましく、VEGFはゲル1mlあたり約300〜1000mgの 量で存在することが好ましい。 使用すべき用量は上述の因子に依存する。一般的な案として、VEGFを製剤化し 、約0.1ng/cc以上、かつ、効きめはあるが不当に毒性でない最大用量までのVEGF レベルを組織内に樹立できる投与量で、標的部位または組識に送達する。この組 織内濃度は、可能であれば連続的注入、徐放性剤、局所適用または実験的に決定 した頻度での注射によって維持されるべきである。 VEGF療法と他の新規治療法または従来の治療法(例えばaFGF、bFGF、PDGF、IG F、NGF、蛋白同化ステロイド、EGFまたはTGF-a)とを組み合わせて、VEGFを含む 増殖因子すべての細胞増殖促進修復活性を増大させることも本発明の範囲に包含 される。このような補助処置剤そのものが本発明の組成物に含まれる必要はない が、それらの薬剤がタンパク質性である場合は、それが便利だろう。そのような 混合物はVEGFを単独で使用する場合と同じ方法と目的で好適に投与される。この ような二次増殖因子に対するVEGFの有効なモル比は通例、1:0.1〜10で、約等モ ル量であることが好ましい。 5. 医薬組成物 本発明の化合物は、医薬的に有用な組成物を製造するための既知の方法に従っ て、本発明のVEGF変種を医薬的に許容できる担体賦形剤と混合することにより、 製剤化することができる。好ましい担体賦形剤とそれらの製剤は、ヒト血清アル ブミンなどの他のヒトタンパク質を含めて、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences ,16版,1980,Mack Publishing Co.,Osloら編(その開示は参考文献 とし本明細書の一部を構成する)などに記述されている。本明細書に記載のVEGF 変種は心血管に疾患または障害を持つ対象に非経口的に、あるいは有効な形態で 血流にそれを確実に送達する他の方法によって投与することができる。 本発明の実施に使用される本発明のVEGF変種の臨床的投与にとりわけ適した組 成物には、例えば滅菌水溶液、または凍結乾燥タンパク質などの滅菌された水和 可能な粉末がある。一般に製剤は、さらに適当量の医薬的に許容できる塩を、一 般的にはその製剤を等張性にするに足る量で含むことが望ましい。アルギニン塩 基やリン酸などのpH調節剤も通例、適当なpH(一般的には5.5〜7.5)を維持する に足る量で含まれる。さらに、貯蔵寿命や水性製剤の安定性を改善するために、 グリコールなどの薬剤をさらに含むことも望ましいだろう。この方法で、変種t- PA製剤は非経口投与、特に静脈内投与に適した薬剤となる。 本発明の医薬組成物の用量と望ましい薬物濃度は、意図するその用途によって 変化するだろう。例えば、深静脈血栓や末梢血管疾患の処置には、一般に「ボー ラス」投与を行い、その後の投与で、好ましくは約3μg/ml程度のほぼ一定の血 中レベルを維持することが好ましい。 しかし、一般に注入法が利用できず、また根底にある疾患(例えば塞栓症、梗 塞)が一般に重篤であるため、緊急医療施設に関係する用途では、静脈内ボーラ スのように多少大きい初期投与量を与えることが一般に望ましいだろう。 本発明の化合物に関して言及した種々の治療適応症には、治療すべき特定の障 害、個々の患者の状態、送達部位、投与法その他、各分野の実施者が知る因子を 考慮して、よい医療に合致する方法でVEGF分子を製剤化し、投与する。 したがって、本明細書において本発明VEGF分子の「治療有効量」とは、処置さ れる状態の緩和または治癒、もしくはその悪化の予防または軽減に有効な量であ り、具体的には、血管内皮の増殖を生体内で促進するに足る量である。一般的に は、処置される治療適応症の標的であるところの組識中で、約0.1ng/cm3以上、 かつ、効きはあるが不当に毒性でない最大用量までの本発明VEGF突然変異体レベ ルを樹立できる投与量を使用する。本発明化合物の治療適応症のいくつかには、 組織内投与を選択できると考えられる。 以下の実施例は、単に、現在わかっている本発明の最良の実施形態を例示する ために過ぎず、本発明がこれら実施例の詳細に限定されると見なすべきではない 。 実施例1 材料−Muta-geneファージミド・インビトロ突然変異誘発キット、ネズミIgGに 特異的な西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギIgG、染色済低範囲MW標品およびT rans-Blot Transfer Medium(純粋なニトロセルロース膜)はBioRad Laboratori es(カリフォルニア州リッチモンド)から購入した。QiagenプラスミドTip100キ ットとSequenaseバージョン2.0は、それぞれQiagen(カリフォルニア州チャッッ ワ ース)およびUnited States Biochemical(オハイオ州クリーブランド)から入 手した。SDSゲル(4-20%勾配ポリアクリルアミド)と切断済ブロッティング紙は 、Integrated Separations Systems(マサチューセッツ州ネーティック)から入 手した。SDS試料緩衝液(5倍濃度)と種々の制限酵素はNew England Biolabs( マサチューセッツ州ベバリー)から入手した。O-フェニレンジアミン、クエン酸 リン酸緩衝液、ドデシル硫酸ナトリウムおよびH2O2基質錠剤はSigma(ミズーリ 州セントルイス)から購入した。BufferEZEフォーミュラ1(転写緩衝液)とX-OM at AR X線フィルムはEastman Kodak Co.(ニューヨーク州ロチェスター)から入 手した。MaxosorbおよびImmunlon-1マイクロタイタープレートはそれぞれNunc( デンマーク・カンストルップ)とDynatech(バージニア州シャンティイ)から購 入した。細胞培養プレート(12ウェル)と培養培地(ウシ血清入り)は、それぞ れCostar(マサチューセッツ州ケンブリッジ)とGibco(ニューヨーク州グラン ドアイランド)から入手した。ポリエチレン-20-ソルビタンモノラウレート(Tw een-20)は、Fisher Biotech(ニュージャージー州フェアローン)から入手した 。G25セファデックスカラム(PD-10)と125I標識プロテインAはそれぞれPharmac ia(ニュージャージー州ピスカタウェイ)とAmersham(イリノイ州アーリントン ハイツ)から入手した。ウシ血清アルブミン(BSA)とウサギIgG抗ヒトIgG(Fc 特異的)は、それぞれCappel(ノースカロライナ州ダーラム)とCalbiochem(カ リフォルニア州ラジョラ)から購入した。プラスミドベクター(pRK5)、コンピ テント大腸菌細胞(DH5aとCJ236)、合成オリゴヌクレオチド、細胞培養培地、 精製されたCHO由来のVEGF165、VEGF165に対するモノクローナル抗体(Mate A4.6 .1、2E3、4D7、SC3およびSF8)とポリクローナル抗体は、Genentech,Inc.(カ リフォルニア州サウスサンフランシスコ)で調製された。FLT-1、flkIおよびKDR レセプター-IgGキメラの構築、発現および精製は、Parkら,J .Biol.Chem. 269 ,25646-25654(1994)に記述されている通りとした。 部位特異的突然変異誘発とVEGF変種の発現−部位特異的突然変異誘発は、Proc .Natl.Acad.Sci. 82,488-492(1985)とKunkelら,Methods Enzymol. 154,36 7-382(1987)の方法に従い、Muta-Geneファージミド・インビトロ突然変異誘発キ ッ トを用いて行なった。VEGF165イソ型のcDNAを含有するプラスミドベクターpRK5 を突然変異誘発と一過性発現に使用した。pRK5ベクターは改良型pUC118ベクター であり、CMVエンハンサーおよびプロモーターを含有する[Nakamayeら,Nucleic Acids Res. 14,9679-9698(1986)およびVieiraら,Methods Enzymol. 155,3-1 1(1987)]。突然変異したDNAはQiagen Plasmid Midi Kit Tip 100を用いて精製 し、突然変異の配列をSequenase Version 2.0キットを用いて確認した。突然変 異DNAを、Sambrookら,Molecular Cloning: A Laboratory Manual part I,C5.2 8-5.31(Cold Spring Harbor Laboratory Press,ニューヨーク州コールドスプ リングハーバー(1989))に記述されているような制限酵素消化によって分析し た。 ヒト胚腎臓「293細胞」の一過性トランスフェクションは、過去に記述された ような改良リン酸カルシウム沈澱法を用いて6ウェルプレート中で行なった[Jor danら,Bio/Technology(原稿準備中)(1994);Chenら,Mol .Cell Biol. 7,27 45-2752(1987); Gormanら,DNA and Protein Engineering Techniques 2,3-10( 1990); Grahamら,Virology 52,456-467(1973)]。簡単に述べると、約1.2×106 細胞を、15μgの沈降DNAの存在下に37℃で終夜培養した。細胞培養上清を無血 清培地で置換し、細胞単層を37℃で72時間培養した。ならし培地(3ml)を収集 し、遠心分離し、等分して、使用するまで−70℃で保存した。 VEGF165 変種のELISAによる定量−過去に記述された放射免疫測定法[Aie1loら ,N .Engl.J.Med. 331,1480-1487(1994)]を、以下の手法によるVEGF突然変 異体の定量に適合させた。96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルを、50 mM炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.6)中、3μg/ml濃度の抗VEGF165ポリクローナル 抗体溶液100μlを用いて、4℃で終夜コーティングした。上清を捨て、ウェルを0 .03%Tween 80を含むPBSで4回洗浄した。そのプレートを検定緩衝液(PBS中、0.5 %BSA,0.03%Tween 80,0.01%チメロサール)中、周囲温度で1時間(300μl/ウェ ル)遮断した後、ウェルを洗浄した。希釈した試料(100μl)とVEGF165標品(0 .1〜10ng/ml)を各ウェルに加え、穏やかに攪拌しながら周囲温度で1時間保温し た。上清を捨て、ウェルを洗浄した。抗VEGFネズミモノクローナル抗体5F8溶液 (1μg/mlで100μl)を加え、そのマイクロタイタープレートを穏やかに攪拌し ながら周囲温度で1時間保温した。上清を捨てた後、プレートを洗浄し、直ちに 、ネズミIgGに特異的な西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギIgGの1:25000希釈 液(100μl)を各ウェルに加えた。そのプレートを穏やかに攪拌しながら周囲温 度で1時間保温した後、上清を捨て、ウェルを洗浄し、50mMクエン酸リン酸緩衝 液pH5(100μl)中のオルトフェニレンジアミン(0-04%)、H2O2(0.012%)を加 えて呈色させ、周囲温度暗所で10分間保温した。50μlの4.5N H2SO4を各ウェル に加えることにより反応を停止し、492nmの吸光度をマイクロプレートリーダー (SLT Labs)で測定した。VEGF165変種の濃度は、非線型回帰分析を用いた標準 曲線の内挿法によって定量した。比較のために、二重モノクローナル形式を用い る第2のELISAを開発した。 この検定法は、マイクロタイタープレートのコーティングに中和モノクローナル 抗体(Mab A4.6.1)を使用する点以外は、上述のELISAに似ている[Kimら,Grow th Factor 7,53-64(1992)]。 VEGF 突然変異体の免疫ブロッティング−VEGFまたはVEGF突然変異体(約10ng) を含むならし細胞培地(16μl)を5×SDS試料緩衝液(4μl)に加え、90℃で3分 間加熱してからSDSポリアクリルアミド(4-20%アクリルアミド)ゲルに載せた。 染色済MW標品(10μl)をそのSDSゲルの外側のレーンに載せた。ゲルを4℃、25m Aで90分間泳動した。0.1%SDSを含むBufferEZEが入ったBio-Radタンクブロッター 中、25℃、250mAで90分間、ゲルをニトロセルロース紙に転写した。ニトロセル ロースは使用する前に、0.1%SDSを含む転写緩衝液で10分間湿らせた。転写した 免疫ブロットを、PBS中、4℃で、1.0%BSAと0.1%Tween20(遮断緩衝液)で終夜遮 断した。5種類のネズミ抗VEGF Mab(A.4.6.1、5C3、5F8、4D7および2E3)を含有 する溶液を、各2μg/mlのMabを用いて遮断緩衝液中に調製し、一次抗体として使 用した。その一次抗体溶液を上記免疫ブロットと共に穏やかに攪拌しながら25℃ で4時間保温した後、25℃の遮断緩衝液中10分間の洗浄を3回行なった。125I標識 プロテインAを遮断緩衝液で104cpm/ml(最終濃度)に希釈し、上記免疫ブロット と共に穏やかに攪拌しながら25℃で60分間保温した。免疫ブロットを25℃の遮断 緩衝液中で10分間、3回洗浄した後、ろ紙上で乾燥し、2枚の増幅スクリーンと共 にKodak X-Omatフィルム上に−70℃で3日間おいた。 125I 標識VEGF165の調製−CHO由来のVEGF165の放射線標識は、クロラミンT触媒 ヨウ素化法の改良法を用いて行なった[Hunterら,Nature 194,495-496(1962)] 。典型的な反応では、10μlの1M Tris-HCl,0.01%Tween 20(pH7.5)を、ふた付 反応容器中の5μlのヨウ素125(0.5ミリキュリー、0.24nmol)に加えた。この反 応液に、10μlのCHO由来VEGFI65(10μg、0.26nmol)を加えた。0.1Mリン酸ナト リウムpH7.4中の1mg/mlクロラミンT 10μlを加えることにより、ヨウ素化を開始 した。60秒後、0.1Mリン酸ナトリウムpH7.5中のメタ重亜硫酸ナトリウム(20μl 、1mg/ml)の添加によって、ヨウ素化を停止した。各添加後に反応溶液をボルテ ックスにかけた。この反応混合物を、PBS中の0.5%BSA、0.01%Tween 20で予備平 衡 させたPD-10カラム(G25セファデックス)にかけた。フラクションを集め、ガン マシンチレーションカウンター(LKBモデル1277)で放射活性をカウントした。 通例、ヨウ素化VEGFの比放射活性は26±2.5μCi/μgで、これはVEGF165二量体2 分子につき125I1つに相当する。 VEGF165 レセプター結合検定−この検定は96ウェル・イムノプレート(Immulon -1)で行なった。各ウェルを、50mM炭酸ナトリウム緩衝液pH9.6中の10μg/mlウ サギIgG抗ヒトIgG(Fc特異的)で、4℃で終夜コーティングした。上清を捨てた 後、ウェルを洗浄緩衝液(PBS中0.01%Tween 80)で3回洗浄した。そのプレート を検定緩衝液(PBS中0.5%BSA、0.03%Tween 80、0.01%チメロサール)中で1時間 遮断した(300μl/ウェル)。上清を捨て、ウェルを洗浄した。様々な濃度のVEG F165突然変異体を含むならし細胞培地(100μl)、VEGFレセプターIgGキメラタ ンパク質、FLT-1 IgG、flk-1 IgGまたはKDR-IgG(最終濃度3〜15ng/ml、50μl) とマイクロチューブ(micronic tube)中で混合した125I放射標識VEGF165(50μ l中に約5×103cpm)を用いて混合物を調製した。 この溶液の一部(100μl)をコーティング済のマイクロタイタープレートに加え、 穏やかに攪拌しながら周囲温度で4時間保温した。上清を捨て、プレートを洗浄 し、各マイクロタイターウェルをガンマシンチグラフィー(LKBモデル1277)で カウントした。FLT-1、Flk-1またはKDRレセプターに対する非標識VEGF165(また はVEGF165突然変異体)と125I放射標識VEGF165の競争的結合をプロットし、4変 数フィッティングプログラム(Kaleidagraph,Adelbeck Software)を用いて分 析した。各VEGF突然変異体について、50%阻害を達成するのに必要な濃度(IC50 )から見かけ上の解離定数を見積もった。 内皮血管細胞増殖に関する検定−過去に記述されているようにウシ副腎皮質内 皮(ACE)細胞を標的細胞として使用することにより、VEGF変種の有糸分裂促進 活性を測定した[Ferraraら,Biochem .Biophys.Res.Comm. 161,851-859(198 9)]。簡単に述べると、12ウェルプレートに細胞をまばらに(7000細胞/ウェル )接種し、10%ウシ血清、2mMグルタミンおよび抗生物質を補足したダルベッコ改 良イーグル培地中で格夜培養した。翌日、その培地を交換し、培養培地で100ng/ ml 〜10pg/mlの濃度に希釈したVEGFまたはVEGF突然変異体を、接種した細胞上に正 副1対づつ重層した。37℃で5日間培養した後、細胞をトリプシンで解離し、Coul terカウンターを用いて定量した。 VEGFcDNA の単離 ウシ下垂体濾胞細胞[Ferraraら,Meth .Enzymol. (前掲)とFerraraら,Am .J.Physiol. (前掲)に記述されているようにして得た]から全RNAを抽出し[ Ullrichら,Science 196,1313-1317(1977)]、そのポリアデニル化mRNA画分を オリゴ(dT)-セルロースクロマトグラフィーによって単離した。Avivら,Proc .N at l.Acad.Sci.USA 69,1408-1412(1971)。dT12-18またはランダムヘキサマー dN6でプライミングすることにより、cDNAを調製した[Wickensら,J .Biol.Che m. 253,2483-2495(1978)]。AmershamのcDNAキットを用いて二本鎖cDNAを合成 し、非対象EcoRIリンカー[Norrisら,Gene 7,355-362(1979)]を用いてEkoRI メチラーゼ処理の必要を避けた点以外は既述のようにして[Huynhら,DNA Cloni ng Techniques ,A Practical Approach ,Glover編(IRL,オックスフォード,19 85)]、得られたcDNAをEcoRIで切断した1gt10にサブクリーニングした。 その組換えファージを大腸菌C600Hfl[Huynhら,前掲]に接種し、ニトロセル ロースフィルター上に複製をとった。Bentonら,Science 196,180-182(1977)。 これらのレプリカを、32Pで標識した[Taylorら,Biochim .Biophys.Acta442 ,324-330(1976)]配列:5'-CCTATGGCTGAAGGCGGCCAGAAGCCTCACGAAGTGGTGAAGTTCA TGGACGTGTATCA-3'の合成オリゴヌクレオチドプローブと、20%ホルムアミド、5× SSC、50mMリン酸ナトリウムpH6.8、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハルト 溶液および50mg/mlサケ精子DNA中、42℃でハイブリッド形成させ、2×SSC、0.1% SDS中42℃で洗浄した。 I.vegf.6と名づけた1つの陽性クローンを同定した。32Pで標識したこのクロー ンをプローブとして、オリゴdTでプライミングしたヒト胎盤cDNAライブラリーを スクリーニングし、陽性クローンを観察した。ヒト下垂体cDNAライブラリーを同 じ標識クローンでスクリーニングしたところ、陽性クローンは検出されなかった 。 pRK5ベクターにサブクローニングした後、クローンI.vegf.6の完全なヌクレオ チド配列をジデオキシオリゴヌクレオチド連鎖終結法[Sangerら,Proc .Natl. Acad.Sci.USA 74,5463-5467(1977)]で決定した。配列を、シグナル配列含む そのアミノ酸配列と共に得た。 哺乳類細胞におけるVEGFコード遺伝子の発現 最終発現ベクターpRK5.vegf.6を、I.vegf.6とpRK5から構築した。pRK5とpRK5. vegf.6の構築について以下に詳述する。 A .pRK5の構築 A.1 .pF8CISの構築 出発プラスミドpF8CISの最初の三要素構築を以下に説明する。 1) 最終ベクターのアンピシリン耐性マーカーと複製起点は、プラスミドpML (Lusky,M.およびBotchen,M.,Nature293,79[1981])の変種である出発プ ラスミドpUC13pMLから得た。pUC13pMLは、pUC13(Vieira,J.およびMessing,J. ,Gene19,259(1981))のポリリンカーをpMLのEcoRIおよびHindIII部位に移植 することによって構築した。もう1つの出発プラスミドpUC8-CMVは、CMVエンハン サー、プロモーターおよびスプライス供与配列の供給源である。pUC8-CMVは、CM Vエンハンサー、プロモーターおよびスプライス供与配列の約800ヌクレオチドを pUC8の平滑末端化したPstIおよびSphI部位に挿入することによって構築した。Vi eira,J.およびMessing,J.,前掲。合成BamHI-HindIIIリンカー(New England Biolabsから市販されている)をBamHI付着末端に連結してHindIII部位を作成し た。この連結の後、HindIII-HincII消化を行なった。この消化により、CMVエン ハンサー、プロモーターおよびスプライス供与部位を含有する約800bpの断片が 得られた。ゲル単離の後、この800bp断片をpUC13pMLの2900bp断片に連結した。p F8CISの構築に必要な断片は、上記中間体プラスミドをSalIとHindIIIで消化する ことによって得た。この3123bp断片は、pUC13pML由来の複製起点、アンピシリン 耐性マーカーと、エンハンサー、プロモーターおよびスプライス供与部位を含む CMVの制御配列とを含有する。 2) Ig可変領域イントロンおよびスプライス受容配列を合成オリゴマーを用い て構築した。次に示すIgGイントロンおよびスプライス受容部位の配列(Bothwel lら,Nature290,65-67[1981])を持つ99マーと30マーを化学合成した: DNAポリメラーゼI(クレノー断片)で合成断片を補充し、二本鎖断片を作成し た。Wartell,R.M.およびW.S.Reznikoff,Gene9,307(1980)。次に、PstIとH in dIIIの二重消化を行なった。この合成リンカーをpUC13(VeiraおよびMessing ,前掲)のPstIおよびHindIII部位にクローニングした。上記合成オリゴヌクレ オチドを含有するクローン、標識pUCIg.10を、PstIで消化した。この断片に、Ps t I-ClaIリンカーを使用してClaI部位を加えた。HindIIIによる消化の後、Ig可変 領域スプライス受容部位とIgイントロンの一部を含む118bp断片をゲル単離した 。 3) この構築法の第3部分では、肝炎表面抗原3'末端をSV40の初期領域のポリ アデニル化部位と転写終結部位で置換した。SV40配列を含有するベクターpUC.SV 40を、VieiraおよびMessing(前掲)に記載のpUC8のBamHI部位に挿入した。次に 、pUC.SV40をEcoRIとHpaIで消化した。SV40ポリアデニル化配列を含む143bp断片 を、この消化物からゲル単離した。pSVE.8c1D(欧州特許公開番号160,457)の消 化後、さらに二つの断片をゲル単離した。EcoRIとCla1消化によって生成した4.8 kb断片は、SV40-DHFR転写単位、pMLの複製起点およびアンピシリン耐性マーカー を含有する。ClaIとHpaIによる消化で生成する7.5kb断片は、因子VIIIのcDNAを 含有する。3要素連結により、pSVE.8c24Dを得た。この中間体プラスミドをClaI とSa1Iで消化して、因子VIIIのcDNAとSV40ポリA部位およびそれに続くSV40 DHFR 転写単位を含有する9611bp断片を得た。 pF8CISを得るための最終的な3要素連結には、a)複製起点、アンピシリン耐性 マーカー、CMVエンハンサー、プロモーターおよびスプライス供与部位を含む312 3bpのSalI-HindIII断片、b)Igイントロンおよびスプライス受容部位を含む118b pのHindIII-ClaI断片、およびc)因子VIIIのcDNA、SV40ポリアデニル化部位およ びSV40 DHFR転写単位を含む9611bpのClaI-SalI断片を用いた。 A.2 .pCIS2.8c28Dの構築 pCIS2.8c28Dは、因子VIIIの73kdサブユニットに結合した因子VIIIの90kdサブ ユニットからなる。この90kdはアミノ酸1〜740、73kdサブユニットはアミノ酸16 90〜2332を含む。この構築物は、次に挙げる断片の3要素連結によって調製した :a)pF8CISの12617bp ClaI-SstII断片(dam-株から単離し、BAP処理したもの) 、b)pF8CISの216bp SstII-PstI断片、およびc)キナーゼ処理した短いPstI-Cla I合成オリゴヌクレオチド。 図4は、融合することよってpCIS2.8c28Dを与える、因子VIIIの5'および3'-DNA 領域を含有するpSVEFVIII(欧州特許公開番号160,457)の416bp BamHI-PstI断片 と408bp BamHI-HindIIIのサブクローニングをも示している。 図5は、pCIS2.8c28Dの融合領域を構築するために用いた3要素連結を示す。2つ の異なる断片AとBを同じpUC118 BamHI-PstI BAPベクターにクローニングした。A 断片はpUC408BHの408bp BamHI-HindIII断片であり、B断片はHindIII-PstIオリゴ ヌクレオチドである。このオリゴヌクレオチドは、連結中の重合を防止するため のキナーゼ処理を行なわずに使用した。 ベクター中にA断片とB断片を連結した後、予想される接合部の配列を、そのヌ クレオチドを含む領域のDNA配列決定によって確認した。 得られたプラスミドpCIS2.8c28Dは、4要素連結によって構築した。融合プラス ミドをBamHIとPstIで切断し、443bp断片を単離した。4要素連結の残りの3断片は 、1)pSVEFVIII(欧州特許公開番号160,457)の1944bp ClaI-BamHI、2)pSVEFVI IIの2202bp BamHI-XbaI断片をさらにPstIで部分的消化し、1786bp PstI-XbaI断 片を単離したもの、および3)pCIS2.8c24Dの5828bp XbaI-ClaI BAP断片である。 pCIS2.8c28Dの正確な融合接合領域中に生じる変異の翻訳されたDNA配列を決定し た。これは相関する。 A.3 .pRK5の構築 pRK5を構築する際の出発プラスミドはpCIS2.8c28Dとした。第1節から第6節ま での塩基番号はpCIS2.8c28Dを指し、CMVプロモーターの前にあるEcoRI部位の最 初のTを塩基1とする。サイトメガロウイルスの初期プロモーターとイントロンお よびSV40起点とポリAシグナルを別々のプラスミドにのせた。 1. サイトメガロウイルスプロモーターを、pCIS2.8c28Dから得たEcoRI断片( 9999-1201)として、上記pUC118のEcoRI部位にクローニングした。12個のコロニ ーを拾い、pUC118から調製した一本鎖DNAが1201のEcoRI部位から9999のEcoRI部 位までの配列決定を可能にするような配向をスクリーニングした。このクローン をpCMVE/Pと名づけた。 2. 部位特異的突然変異誘発法によってSP6(Green,MRら,Cell 32,681-694 [1983])プロモーターを挿入するために、pCMVE/Pから一本鎖DNAを調製した。SP 6プロモーターの-69から+5までの配列を含有する合成110マー(Nucleic Acids R es.12,7041[1984]参照)を、CMVE/P配列に対応するオリゴマーの両側の18bp 断片と共に使用した。突然変異誘発を一般的な技術で行い、標識110マーを用い て、高および低ストリンジェンシーでスクリーニングした。6つの候補クローン を選択し、配列決定した。陽性クローンを同定し、pCMVE/PSP6と名づけた。 3. 例えばSP6 RNAポリメラーゼを加え、適当なサイズのRNAを調べることによ ってSP6プロモーターを調べたところ、活性であることがわかった。 4. pCMVE/P(第1段階)とpCMVE/PSP6(第2段階)中のpUC118のClaI部位(91 2)からSmaI部位までの位置を包含するように、Cla-NotI-Smaアダプターを合成し た。このアダプターをpUC118のClaI-SmaI部位に連結し、正しいクローンをスク リーニングした。このリンカーを両方配列決定し、クローンをpCMVE/PSP6-Lおよ びpCMVE/P-Lと名づけた。 5. pCMVE/PSP6-LをSmaI(リンカー/pUC118接合部にある)とHindIII(pUC118 中)で切断した。下記pSVORAADRI 11のHpaI(5573)-HindIII(6136)断片をpCM VE/PSP6-LのSmaI-HindIIIに挿入した。この連結物をスクリーニングし、クロー ンを単離して、pCMVE/PSP6-L-SVORAADRIと名づけた。 a) SV40起点とポリAシグナルをpCIS2.8c28DからXmnI(5475)-HindIII(6136 )断片として単離し、pUC119(VieiraおよびMessing,前掲に記載)のHindIII部 位 からSmaI部位までにクローニングした。このクローンをpSVORAAと名づけた。 b) EcoRIによる部分消化とクレノーによる充填により、5716のEcoRI部位を除 去した。充填後の自己連結によって得たコロニーをスクリーニングし、正しいク ローンを単離して、pSVORAADRI 11と名づけた。EcoRI部位の欠失を配列決定で調 べたところ、正しいことがわかった。 c) pSVORAADRI 11のHpaI(5573)-HindIII(6136)断片を単離し、pCMVE/PSP6 -L(上記4参照)に挿入した。 6. pCMVE/PSP6-L-SVOrAADRI(第5段階)を9999のEcoRIで切断し、平滑末端 化し、自己連結させた。EcoRI部位を持たないクローンを同定し、pRKと名づけた 。 7. pRKをSmaIとBamHIで切断した。これをクレノーで充填し、再連結した。コ ロニーをスクリーニングした。陽性クローンを同定し、pRKDBam/Sma3と名づけた 。 8. pRKDBam/Sma3のHindIII部位を、コンバーターを用いてHpaI部位に変換し た。(コンバーターとは、ある制限部位を他の制限部位に変えるために使用され るDNAの断片をいう。この場合は、一端がHindIII付着末端に相補的で、他端がHp a Iの認識部位を持つ。)陽性クローンを同定し、pRKDBam/Sma,HIII-HapI 1と名 づけた。 9. pRKBam/Sma,HIII-HpaI 1をPstIとNotIで切断し、そこにEcoRI-HindIIIお よびHindIII-EcoRIリンカーを連結した。各リンカーについてクローンを発見し た。しかし、沢山のHpaIコンバーターが入り過ぎていることもわかった(2以上 のコンバーターはPvuII部位を生む)。したがって、これらのクローンをHpaIで 切断し、自己連結させる必要があった。 10. RI-HIIIクローン3とHIII-RIクローン5をHpaIで切断し、希釈し、自己連 結させた。陽性体を同定した。そのRI-HIIIクローンをpRK5と名づけた。 B. pRK5.vegf.6の構築 クローンI.vegf.6をEcoRIで処理し、そのEcoRI挿入物を単離し、EcoRIによるp RK5の消化とその大断片の単離によって得たpRK5のベクター断片に連結した。こ れら断片の2要素連結により、発現ベクターpRK5.vegf.6を得て、VEGFコード配列 がプロモーターに対して正しい向きにあるものをスクリーニングした。 基本pRK5ベクターの構築に関するさらなる詳細は、1994年7月26日に発行され た米国特許5,332,671から得ることができる。 実施例2 次の実施例では、本発明が包含する種々の突然変異体を調製するために一般に 使用される方法論を詳述する。基本的な発現ベクターは次のように調製した。 VEGF165のcDNAを含有するベクターSDVF165を得た。これを本願の図13に記載す る。VEGF165のcDNAを、Hind IIIとEco RIによる制限消化によってSDVF165から単 離した。この単離された挿入物を、pRK5プラスミド中にEco RI部位とHind III部 位が存在することを利用して(本願図14に記載の構築物を参照のこと)、pRK5 プラスミドに連結した。得られたプラスミドをコンピテントCJ236大腸菌細胞に 形質転換して、部位特異的突然変異用の鋳型を作成した。次に、これに対応する 突然変異部位を含むオリゴヌクレオチドを調製し(下記参照)、Bio-Rad Muta-G ene突然変異誘発キットを用いて、試験管内部位特異的突然変異誘発操作を既知 の手法に従って行なった。配列決定によって突然変異部位が最終発現ベクターに 組込まれたこと確認した後、一過性発現のために、得られたベクターを293ヒト 腎臓細胞にトランスフェクションした。このような発現ベクターの構築を一般的 に図解した図15を参照のこと。 最終突然変異産物を作成するために、以下のオリゴヌクレオチドを調製した。 表2にそれらの情報を記載する。 こうして前記表2の左列に示したオリゴヌクレオチドによる挿入体を製造し、 「突然変異」と題する左列の下に示した表示に従ってVEGF分子の対応する突 然変異体を製造した。化合物の命名は慣例的命名法に従ったものである。そこで 最初の化合物についてはその突然変異体は「E5A」と記する。これはVEGF 分子で第5位のグルタミン酸(E)が第5位にアラニン(A)を挿入するように 突然変異したことを意味する。 前記に従って、以下の突然変異もVEGF分子に挿入した。 このようなVEGF分子における部位特異的突然変異の効果を次の表4および 表5に示す。 残基番号中央値 太字の配列はVEGFのグリコシル化が変る可能性のある突然変異を示す。 残基番号中央値 太字の配列はVEGFのグリコシル化が変る可能性のある突然変異を示す。 残基番号中央値 太字の配列はVEGFのグリコシル化が変る可能性のある突然変異を示す。 表4および表5に前記したデータは、表6に示すpM−半最大阻止濃度および pM−半最大有効濃度として表してもよい。 当技術分野における熟練者は本明細書中に記載する数種の突然変異体の製法に 関して前記した詳細に従い、前記にさらに詳述したような本発明の一般的パラメ ータに従えば、VEGF分子に対するさらに別の突然変異体を製造できることが 理解されよう。多数の変異体について注目すべき生物学的活性データを図16か ら図18までに提供する。VEGF、PLGF、およびPDGF配列の比較 −プラスミンはカルボキシ末端 のヘパリン結合領域(111〜165)の切断を触媒してVEGF110二量体を 放出し、これが内皮細胞増殖検定およびマイルス透過性検定における生物活性を 示す[Houckなど、J.Biol.Chem.、267巻:26031〜2 6037頁(1992年)]。それ自体で、われわれはVEGF受容体結合領域 (すなわち1〜110)の配列を同族体蛋白質PLGF、PDGFa、およびP DGFbの配列と比較した。このファミリーの蛋白質が共有するシステイン8個 に関してこれらの配列を揃えた。システイン6個は鎖内ジスルフィドを形成し、 システイン2個はPDGFbとの相同性に従えばモノマー間の鎖間共有結合であ る[Haniuなど、Biochemistry、32巻:2431〜2437 頁(1993年);Potgensなど、J.Biol.Chem.、269巻 :32879〜32885頁(1994年)]。VEGFおよびPLGFの配列 に挿入されている短いギャップ2個がPDGFb二量体の結晶構造[Oefne rなど、EMBO・J.、11巻:3921〜3926頁(1992年)]によ れば外側ループの頂点に存在する。VEGF110はPLGF、PDGFaおよび PDGFbと各々47%、15%、および19%の配列同一性および63%、2 4%、および28%の類似性を共有する[Georgeなど、Meth.Enz ymol.、183巻:333〜351頁(1990年)]。これら増殖因子の 間の配列類似性および相違を観察してもVEGF受容体結合を媒介する特異的エ ピトープに関する情報は殆ど得られなかった。VEGFの機能に関する地図作成 を部位特異的突然変異誘発によって行った。荷電基からアラニンへのクラスター的スキャンニング突然変異誘発 −部位特異的 突然変異誘発によって、VEGF165の突然変異体30種を構築した。ここでは 隣接する荷電アミノ酸(Arg、Lys、His、Asp、およびGlu)1個 から4個の間の基をアラニンで置換した(表6)。ヒト293腎臓細胞にこれら の突然変異体をコードするプラスミドDNAを一過性に遺伝子移入して、調整細 胞培地中のVEGFの量をVEGF特異的免疫化学検定法2種を使用して定量し た。図19ではポリクローナル/モノクローナルELISAの結果を二重モノク ローナル検定のものと比較した。ポリ−/モノクローナル検定では親和性精製し たポリクローナル抗体は多重なエピトープと反応したが、一方、モノクローナル 抗体5F8はVEGFのカルボキシ末端にあるヘパリン結合領域(111〜16 5)の決定基に特異的であった。これと対照的に二重モノクローナルELISA に中和モノクローナル抗体および非中和モノクローナル抗体を利用した(おのお のMAb・A4.6.1およびMAb・5F8)。免疫化学的検出法2種の利用 が調整細胞培地中での突然変異体VEGF濃度の正確な測定に役立った。殆どの VEGF突然変異体について免疫化学的分析2種の結果は調整培地におけるVE GF抗原0.2から2μg/mLの範囲の一過性発現水準について良好な一致を 示した。VEGF突然変異体は殆どすべてが競合的な遺伝子移入について変動性 のある収率で発現されたが、R56AのVEGF突然変異体は例外であった。変 異体の再構築および多数の遺伝子移入の試みにも拘らずR56A突然変異体では 免疫陽性蛋白質が検出されなかった。アルギニンがVEGF、PLGFおよびP DGFにある56位に厳密に保存され、このアミノ酸が構造的完全さおよび/ま たは在来型蛋白質折畳みに重要な役割を果たすことが示唆されているいることは 注目に値する。82から86までの領域における突然変異体は二重モノクローナ ルELISAではポリ−/モノクローナル検定法で得られた結果と較べて、明ら かに一貫して低い定量値を示し、中和モノクローナル抗体A4.6.1が認識す るエピトープにはVEGFにあるこの決定基を含むことを示した。この単一アミ ノ酸置換体R82AはMab・A4.6.1との間の免疫化学的反応性が殆ど完 全に喪失したVEGFの突然変異体を与える(図19)。さらにその上、VEG F突然変異体H90A、E93AはMab・A4.6.1と反応性に部分的喪失 を示した。これらのデータは中和モノクローナル抗体のエピトープがアミノ酸8 2から93までを含むVEGFの領域に局在することを示唆する。VEGF突然変異体の非還元性SDS−PAGE分析 -VEGFまたはVEGF 突然変異体約10から20ngまでを含む一過性遺伝子移入上清液(293細胞 から)の代表的な検体を非還元性SDS−PAGEによって分析した。前記の通 りゲルを転写し、マウスモノクローナル抗ヒトVEGF165抗体5種の組合せを 使用してブロットした。免疫ブロットのオートラジオグラフィーは野生型および 突然変異型のVEGFについて45kDaに主なバンドを示した。この免疫陽性 蛋白質バンドはCHO細胞から誘導した精製二量体VEGF165と共移動した。 VEGF突然変異体のいくつかおよび293細胞由来の野生型のVEGFでは約 70kDaに別の小さなベンドが現れた(しかし、CHO細胞から誘導したVE GFにはない)。SDS−PAGEが示すアラニンスキャンニングVEGF突然 変異体は全て見掛けの分子量は293細胞またはCHO細胞に由来する野生型の VEGF165で観察されたものと等価であった。VEGFのプラスミン切断で観 察されているような低分子量種[Houckなど、J.Biol.Chem.、 267巻:26031〜26037頁(1992年)およびKeytなど「血管 細胞の生物学に関する第VIII回国際シンポジウム(The・VIIIth・ International.Symposium・on・the・Biolo gy・of・Vascular・Cells)」、ハイデルベルグ、ドイツ、4 8頁(1994年)]を与える筈のVEGF分解型は示されなかった。R82、K84、およびH86が本質的に媒介するKDR受容体へのVEGFの 結合 −ヘパリンの不在または存在下における125I標識VEGF165の競合的置換 反応によって溶解性KDR−IgGとのVEGF突然変異体の結合を評価した。 突然変異体のリストを表6に示す。特異的アミノ酸置換に加え、この表には突然 変異の位置を残基番号中央値で記載する。所与の突然変異体についてのこの番号 は変更された位置の平均を示す。KDR−IgGとの結合実験における荷電基を アラニンにスキャンニング突然変異したVEGFの27種についての結果を突然 変異の位置に対しプロットして図6に示す。293細胞およびCHO細胞に発現 する野生型のVEGF165はKDR結合における125I標識VEGF165の置換に 関しては等価であった。293細胞またはCHO細胞に由来するVEGF165に ついては、半最大阻止に到達するに必要な濃度(IC50)はおのおの31pMお よび29pM(各n=8反復)であった。野生型のVEGFのIC50値はヘパリ ンの不在と15μg/mL存在については有意な相違がなかった。 多数の突然変異体蛋白質が野生型のVEGFに匹敵する結合を示した。実際、 アラニンスキャンニング突然変異体25種の中で19種ではKDRへの結合は野 生型VEGFの結合と類似していた。野生型の表現型を有する突然変異体につい ての平均IC50は29±18(n=19)であった。しかしながら、結合への最 も顕著な効果がR28A、K84A、H86AのVEGF突然変異体で観察され た。これらはKDR受容体に対する親和性がヘパリン不在下では野生型VEGF よりも1000倍もの低下を示した(図6)。興味深いことに、ヘパリン存在下 にはこの三重変異体の結合は野生型VEGFの結合と比較して10倍しか低下し なかった。これらの結果はKDRへのVEGFの結合が1〜110二量体にある ヘパリン非依存性部位と111〜165ドメインにおけるヘパリン依存性結合部 位の2部位における相互作用の関数であることに合致する。ヘパリン不在下には KDRへのVEGF165の結合は全て1〜110領域によって媒介される。ヘパ リンがないと、82、84および86における突然変異はVEGFのKDRへの 結合を著しく低下させる。各残基の相対的な寄与を評価するためにVEGFのア ミノ酸単一置換突然変異体を構築した。単一突然変異体R82A、K84Kおよ びH86Aはヘパリン不在下にはKDR結合に関してさらに中庸な低下を示すこ とが見出された(図10)。R82AのVEGFは野生型のKDR結合を示した が、一方、K84KのVEGFおよびH86AのVEGFでは野生型VEGFの 結合と比較しておのおの約5.5倍および2倍低下した。単一アラニン置換突然 変異体は全てヘパリン存在下には正常な結合親和性を有していた。一方、VEG Fの84位は三重アラニン突然変異体で最も支配的で、82、84および86位 における突然変異の組合せはKDR受容体との相互作用に対して明らかに相乗的 な効果を示した。 主たるKDR結合決定基に加え、従たる部位が63から67の領域に観察され た。ヘパリン存在および不在のいずれでも三重突然変異体D63A、E64A、 E67AのVEGFはKDRとの結合が3倍低下した。この領域におけるアミノ 酸単一突然変異体は異なる特性を示した。D63AのVEGFおよびE67Aの VEGFではKDRとの野生型様の結合が観察された。対照的にE64AのVE GFではヘパリンの不在および存在下での結合は各々8倍および3倍低下した。 R82A、K84A、H86のVEGFで観察された主たる効果と比べると中庸 であるけれども、荷電アミノ酸の単一アラニン置換での最強な効果はE64Aの VEGFおよびK84のVEGFに観察された。FLT−1受容体へのVEGFの結合はD63、E64、およびE67との相互 作用を含む −KDR結合について観察したように、VEGFのアラニンスキャン ニング突然変異体は殆どが野生型のVEGFと類似の親和性でFLT−1と結合 した(図7)。KDRと比較して野生型のVEGFまたは多数の突然変異体のF LT−1への結合に及ぼすヘパリンの効果は少ないと思われ、野生型−表現型の FLT−1との結合を示した。野生型のVEGFのIC50値はヘパリン不在およ び存在下におのおの22±8および15±8pM(n=13)であった。アラニ ンスキャンニングVEGF突然変異体の分析はFLT−1との相互作用にKDR 結合決定基と共局在している2個所の部位を示した。主なFLT−1結合部位が VEGFの63から67領域を包含することがD63A、E64A、E67Aの VEGFとの親和性についてヘパリン不在下における約30倍の低下によって示 された。これはVEGFの63〜67領域における突然変異がKDR結合に及ぼ す中庸に過ぎない効果を示したKDRでの結果とは対照的である。ヘパリン存在 下にはD63A、E64A、E67AのVEGFのFLT−1との結合は野生型 のVEGFに比較して約20倍低下した。主たるKDR相互作用の部位(82〜 86領域)はFLT−1結合には僅かな効果しか示さなかった。R82A、K8 4A、H86AのVEGFはヘパリンの存在または不在下にはFLT−1への結 合は僅かに低下した。カルボキシ末端にある別の突然変異部位はFLT−1結合 への僅かな効果と関連している。VEGFの82から86領域に局在するKDR 相互作用を媒介する主たる部位でFLT−1結合は中庸な効果しか示さなかった ことは注目に値する。対照的に、FLT−1結合に対する主たる部位はVEGF の63〜67領域に局在していた。ここはKDR結合には僅かな効果を示した。 主たるおよび従たる受容体結合部位の相対的な役割はKDRに対するものと比べ てFLT−1に対するものは逆であった。受容体結合に及ぼすグリコシル化の効果 −われわれはVEGFのグリコシル化部 位を変えてアラニンスキャンニング突然変異誘発で観察された結果の確認、拡張 を試みた。最初に75位にある推測上のN−結合グリコシル化部位1個の役割を VEGFについて評価した。VEGFの非グリコシル化型を構築し、293細胞 で発現させ、SDS−PAGEおよび免疫ブロティングによって可視化した(図 20)。この突然変異体N75AのVEGFは75位のグリコシル化欠失と合致 する低い分子量を有し、推測によればこの結果は293細胞に発現された野生型 のVEGFが確かにこの部位にN−結合炭水化物を有することを確認する。ヘパ リン存在または不在下におけるN75AのVEGFの結合はKDRおよびFLT −1の両溶解性受容体について野生型のVEGFとは区別できなかった。野生型 蛋白質ではAsn75にあるN−結合炭水化物がVEGFの受容体結合を媒介する について一定の役割を果たしているとは思われない。 可能なネオグリコシル化部位をVEGFの新規な部位3個所に挿入して受容体 結合の推測上の部位またはその近傍における炭水化物基付加の効果を観察した。 表面の接近可能な部位はPDGFb二量体の結晶構造[Oefnerなど、Th e・EMBO・J.、11巻:3921〜3926頁(1992年)]に基づい て予測される外側のループまたはターンが最適であると考えられた。荷電基のア ラニンへのスキャンニング突然変異誘発によってこの領域には受容体結合決定基 が確認されていないので、この部位の一つ(42〜44領域)を対照として選択 した。E42N、E44SのVEGFにおけるネオグリコシル化の部位はSDS −PAGE免疫ブロットに観察される分子量増加によって示されるように明らか にグリコシル化されている(図20)。42位のN−結合炭水化物基はIC50値 おのおの15pMおよび13pMが証明するようにKDRまたはFLT−1受容 体への結合を阻害しなかった。82位にあるグリコシル化の可能な部位はKDR結合の著しい低下をもたらす − KDR結合部位におけるVEGFの突然変異は82位に新規で潜在的なN−結合 グリコシル化部位を導入した。RIK(82〜84)NLSのVEGFを構築し て293細胞中で発現させ、SDS−PAGE免疫ブロッティングによって評価 した(図20)。Asn82における追加的グリコシル化の程度はRIK(82〜 84)NLSのVEGFについての免疫ブロティングではE42N、E44Sの VEGFで観察された電気泳動易動度の変化と比較して明確ではなかった。RI K(82〜84)NLSの突然変異は見掛けの分子量に殆ど影響しなかったが、 KDR結合への効果は非常に明白であった。ヘパリン不在下にはRIK(82〜 84)NLSのVEGFはKDR結合検定で標識VEGFの部分的な置換えを示 したに過ぎない(図9A)。RIK(82〜84)NLSのVEGFについて半 最大阻止濃度は野生型のVEGFで観察されるものよりも10000倍大きいと 推測された。ヘパリン不在下には可溶性KDRに対して殆ど親和性を示さないこ の突然変異体はヘパリン存在下には高濃度ではあったがVEGFの完全な置換が 可能であった。KDRに対するRIK(82〜84)NLSのVEGFの相対的 親和性は15μg/mLのヘパリンがあると野生型VEGFの値と比べて50倍 低下した。この推測上の付加的グリコシル化突然変異がFLT−1に対して正常 な親和性を示す突然変異体を与えた(図9B)ことは注目に値する。ヘパリンの 存在および不在下にRIK(82〜84)NLSのVEGFおよび野生型のVE GFは類似のFLT−1結合親和性を示した。82から86の領域での突然変異 (R82A、K84A、H86AおよびRIK(82〜84)NLS)はKDR との著しく低下した相互作用およびFLT−1との正常な結合を与える。それ自 体として、RIK(82〜84)NLSのVEGFは極めてFLT−1選択的な VEGFの変異体である。64位での追加的グリコシル化部位突然変異体はFLT−1の結合を低下するが KDRの結合は低下しない −FLT−1結合を媒介することが証明されている領 域(63〜67)にネオグリコシル化部位を導入するVEGF突然変異体を設計 した。E64N、L66SのVEGFを構築し、293細胞で発現させ、グリコ シル化を証明するため免疫ブロティングで評価した。SDS−PAGEでE64 N、L66SのVEGFは増加した見掛けの分子量を有する薄いバンドとして観 察された(図20)。結合実験の結果、ヘパリン不在下にはE64N、L66S のVEGFはFLT−1への結合が40倍低下することが示された(図9B)。 82〜86領域でのKDR特異的突然変異で観察された結果とは対照的に、推測 上の追加的グリコシル化突然変異体(E64N、L66SのVEGF)はVEG Fの三重突然変異体(D63A、E64A、E67A)と類似のFLT−1結合 親和性を示した。対応する三重突然変異体と同様にして、E64N、L66Sの VEGFはFLT−1との結合にヘパリンの存在、不在に依存する変化を殆ど示 さなかった(IC50:おのおの650pM対980pM)。FLT−1特異的な 効果を有する突然変異体はKDR受容体には中庸に低下した結合を示した。D6 3A、E64A、E67AのVEGFおよびE64N、L66SのVEGFの可 溶性KDRとの相対的結合は各々約3倍および6倍低下した。VEGFの63〜 67領域における突然変異はこれら突然変異体がKDRには野生型のVEGFと 類似の結合をするが、FLT−1への結合が低下するようなKDR選択性を与え る。KDR受容体結合の低下したVEGF突然変異体は弱い内皮細胞有糸分裂促進剤 −VEGFおよびVEGFの突然変異体の有糸分裂活性をウシ副腎毛細血管内皮 細胞を使用して測定した。293細胞またはCHO細胞に由来する野生型のVE GFはおのおの28±10pM(n=6)および16±8pM(n=9)の半最 大増殖を誘導した。模擬遺伝子移入した293細胞から得られた調整細胞培地は 内皮細胞の増殖を誘導しなかった。殆どのVEGF突然変異体の半最大有効濃度 (EC50)は野生型のVEGFで観察される値に類似していた(図21)。内皮 細胞増殖に与える最も著しい効果は82〜86領域での突然変異で観察された。 R82A、K84A、H86AのVEGFのEC50は520±150pM(n= 4)に増加し、この突然変異体の有糸分裂促進力価は野生型のVEGFの5%に まで低下した。この観察を確認し、拡張するためにネオグリコシル化部位突然変 異体もその相対的有糸分裂促進性力価について評価した。RIK(82〜84) NLSのVEGFによる増殖の誘導は試験した最高濃度でも野生型VEGF程度 の増殖が見られないまでに低下した(図11)。RIK(82〜84)NLSの VEGFの力価を定量的に評価するために、われわれは最大VEGF誘導刺激の 20%に達するに必要な突然変異体の濃度を比較した。野生型のVEGFおよび RIK(82〜84)NLSのVEGFのEC20値の差(おのおの4pMおよび 230pM)はKDR結合特異的領域にネオグリコシル化部位を有する突然変異 体では力価が60倍低下することを示した。内皮細胞増殖へのこれら突然変異体 の効果はKDR結合のデータと合致する。R82A、K84A、H86AのVE GFおよびRIK(82〜84)NLSのVEGFの可溶性KDRに対する親和 性(ヘパリン存在下)は野生型のVEGFで観察されるものと比較しておのおの 10倍および50倍低下した。内皮細胞は試験管内で表面およびマトリックスに 関連する硫酸ヘパリンを発現する[Barzuなど、Biochim.Biop hys.Acta、845巻:196〜203頁(1985年)]ので、ヘパリ ン存在下にVEGFまたはVEGF突然変異体への内皮細胞の有糸分裂促進作用 を可溶性VEGF受容体に対するこれら蛋白質の結合データと比較することは意 義がある。総合するとアラニンスキャンニングおよび追加的グリコシル化による VEGFの突然変異的分析から内皮細胞上のKDR受容体への結合はVEGFで 観察される誘導を開始する現象であることの強力な証拠が提供される。FLT−1受容体結合が低下したVEGF突然変異体は完全な活性を示す内皮細 胞有糸分裂促進剤 −VEGFの63〜67領域におけるアラニンスキャンニング 置換はKDRとの正常な結合およびFLT−1との低下した結合を示した(図6 および図9)。三重および単一アラニン突然変異体(D63A、E64A、E6 7AのVEGF、D63AのVEGF、E64AのVEGFおよびE67AのV EGF)を内皮細胞増殖の誘導について評価した。これら突然変異体はすべて野 生型VEGFのものと同様な有糸分裂促進力価を示した(図21および11)。 推測上の追加的グリコシル化部位を63〜67領域に有する突然変異体、E64 N、L66SのVEGFも内皮細胞に正常な活性を示した(図21)。これらの データはVEGFのFLT−1欠失突然変異体が野生型VEGFと類似の内皮細 胞増殖を誘導するとの観察を補強する。さらにその上、これらデータは内皮細胞 上のFLT−1受容体とのVEGFの結合は有糸分裂および増殖には関連がない ことを示唆する。この突然変異分析でKDR受容体またはFLT−1受容体に対 して相対的に選択的なVEGF変異体を確認した。本報告のデータはKDRおよ びFLT−1に対する決定基がおのおのプラスまたはマイナスに帯電したVEG Fの領域を主に含むようなVEGF:受容体相互作用に静電的成分があることを 示唆する。 これら突然変異体のKDR結合活性を迅速に検索するために、ファージELI SA法(Liなど、Science、270巻:1657頁(1995年))を 用いた。VEGF1〜109のホモダイマーはフィラメント状ファージミド粒子 の表面に単一コピーのフォーマットを示した(図24a)。これらファージミド 粒子は高い親和性(EC50=4nM、図24b)でKDRの二量体型(KDR− IgG)と結合した。 アラニン突然変異体50種についてのファージELISAでKDRとの結合を 3倍またはそれ以上破壊する突然変異9種を確認した(下記表8)。これら突然 変異体各々に対応する可溶性蛋白質プラスそれらに近い数種を大腸菌中で発現さ せ、再折畳みをし、精製し、さらに詳細な分析を行った。KDR−IgGから放 射性ヨウ素化したVEGF1〜165を置換する各突然変異体の性能を測定する ことによって直接的結合親和性を測定した(表7)。結合のために最も重要な側 鎖はループα2−β2からのIle46、ループβ5−β6からのIle83、 およびループβ3−β4からのGlu64であって、これらをアラニンに突然変 異すると親和性をおのおの1600倍、830倍および760倍低下させた。効 果が相加的であると仮定すると、これらの残基3個を組合せれば全ディスラプシ ョンはアラニン突然変異全体に観察される結合自由エネルギーの〜60%に当た る。次に重要な残基3個はPhe17(ヘリックスα1から)、Gln79(ス トランドβ5から)およびIle43(ループα2−β2から)であって、ディ スラプションは結合自由エネルギーの〜35%に当たる。 VEGFホモ二量体の構造上に各モノマーの結合決定基6個の地図を作成する とそれらは2個の対称的な結合表面を形成し、その1個は分子の各極に位置して いる。これらの各表面には6個の結合決定基が2個の近隣パッチまたは「ホット スポット」にクラスターしており、分子の同じ表面に露出している。両方のホッ トスポットは結合親和性には殆ど影響のないアラニンに突然変異することができ る側鎖によって取囲まれており、突然変異分析が完璧であったことを示唆する。 注目すべきはこれらのホットスポットは極めて局在的であるけれども、各々は両 ホモダイマーのサブユニットに寄与する側鎖から構成されている。最大のホット スポットは3個の最も重要な残基と重要性が少ないもの:Ile43、Ile4 6、およびIle83クラスターに加えて別のサブユニットにあるGlu64’ から構成されている。小さいホットスポットは各サブユニットからの中庸に重要 な残基1個(Phe17’およびGln79)を含む。これら6個の側鎖は溶媒 が極めて接近し易い(表7)。最も重要な残基3個は最も接近し易い側鎖の中に あり(31Å2から114Å2までの露出面積を有する)、次の3個は幾分接近し 難い(20Å2から69Å2を有する)。全体として大きいホットスポットは側鎖 β−炭素を越える原子について約300Å2の面積が露出し、一方小さいホット スポットは約70Å2が露出している。これらVEGFにおける機能的に重要で 側鎖の接近し易い全面積(〜370Å2)はhGH(〜400Å2)とhGH受容 体(〜450Å2)の間の相互作用に重要な機能を果たす側鎖の接近し易い部分 の面積に近い。 最近の生物物理学的および細胞生物学実験はKDRの2分子が1個のVEGF 二量体と結合する直接的な証拠を提供した。VEGFホモダイマー構造上のホッ トスポットのクラスター形成はKDR二量体化が各極にある受容体と結合するこ とによって達成されることを強く示唆する。それ故、VEGFは各々一方のモノ マーのβ2(Ile46)、ストランドβ5(Gln79、Ile83)および ループβ1−β2(Ile43)、および他方のモノマーのN−末端ヘリックス (Phe17)およびループβ3−β4(Glu64)によって規定される同一 で対称的なKDR結合部位2個を有する。中和抗体エピトープの地図作成 二受容体ブロッキングの抗VEGF抗体(MAb3.2E3.1.1およびM AbA4.6.1)が機能する機構を研究するために抗体結合部位を精査した。 ファージELISAを用いてVEGFのこれら抗体のアラニン突然変異体50種 との結合を測定した(表8)。この分析で、アラニンに変換された時に親和性が 10倍またはそれ以上の破壊を起こす不連続な残基の小さなクラスター(MAb 3.2E3.1.1について4個およびMAbA4.6.1について5個)が明 らかになった。MAb・A4.6.1との結合を最も破壊する突然変異体はスト ランドβ2からのF47A、ストランドβ5上のM81A、ループβ5−β6上 のG88AおよびQ89A、およびストランドβ6上のM94Aであった。これ らの中でPhe47は構造に殆ど完全に埋没しており、おそらく他の隣接する決 定基を混乱させることで結合を間接的に破壊する。MAb・3.2E3.1.1 との結合を破壊する突然変異体はヘリックスα1上のM18A、Y21Aおよび Q22Aであり、また、後続ループ上のY25Aであった。これらの抗体の結合 決定基はクラスターを形成し、VEGF構造上のKDR結合部位とは異なる特異 的な部位に配置されている。MAb・A4.6.1のエピトープは大きいKDR ホットスポットにすぐ隣接して存在し、MAb・3.2E3.1.1のエピトー プは小さいKDRホットスポットの隣に存在する。そこでこれら抗体は同じ結合 決定基との直接的競合によって受容体結合を遮断するのではなく、KDRエピト ープの一部のみを遮断する立体的効果で遮断する。KDR結合部位とは異なり、 抗体のエピトープは二量体の界面を越えていないことは注目に値する。 VEGF受容体の結合部位は高親和性KDR結合に重要な疎水性残基多数を含 む。この結合部位内にあるかなりの疎水性成分(Phe17、Ile43、Il e46およびIle83)はヒト成長ホルモンとその受容体の結合の場合および 組織因子と第VIIa因子の結合の場合に証明された蛋白質−蛋白質相互作用で の疎水性接触の重要性に符合する。 KDRおよびモノクローナル抗体2種での機能分析は単一アラニン突然変異体 の構造が野生型から著しくは乱されていないことに強い支持を与える。例えば、 KDRとの結合を最も破壊する三アラニン突然変異体(I46A、I83Aおよ びE46A)は両抗体に野生型に近い親和性で結合する(表8)。同様に両抗体 で最も破壊する突然変異体は他の抗体またはKDRとの結合に影響を与えない。 しかし、両抗体およびKDRは確かに互いに近似的に結合し、アラニン突然変異 体の立体配座は野生型VEGFとは著しい相違がないことを証明する部分的証拠 を提供する。 これらのVEGFに関する研究で機能的KDR結合部位がホモダイマーにおけ る両サブユニットが提供する結合決定基から構成されていることが証明された。 オリゴマーのリガンドがサブユニットに重なり合うリガンド−受容体の接触はT NF−R55受容体の3分子と結合する三量体の腫瘍壊死因子−β(TNF)な らびに高親和性受容体の細胞外ドメインの2分子と結合する二量体インターフェ ロン−γのX線構造に見られる。接触は必ずしも強力な相互作用を暗示するもの ではないが、この事実はこれらの場合には機能的なエピトープがサブユニットの 界面を越えて存在するかもしれないことを示唆する。受容体にオリゴマー化する オリゴマーホルモンが一般的にサブユニットが重なり合う結合様式を使用するも のであるかどうかは未解決の問題である。 VEGF1〜109について測定したKd絶対値は33pMであった。RIA のダイナミックレンジが広いので、放射免疫検定(RIA)で測定した親和性の 破壊はファージELISAのものよりも明らかに大きかった。これはRIAで測 定できる突然変異体ホルモンの濃度が高いこと、ならびにファージと融合したV EGFはRIA中で遊離でいる時よりもKDRとの結合が弱いことに起因する。 方法:結合親和性は放射性ヨウ素標識VEGF1〜165の非放射性突然変異体 または野生型VEGF1〜109の順次希釈によるKDR−IgGからの置換を 測定するRIAによって定量した。0.1%トゥイーン20添加燐酸緩衝食塩水 (PBS)を結合緩衝液とした。結合標識はマイクロタイタープレートのウェル 中で平衡結合溶液を固定化抗IgGと20分間インキュベーションすることによ って捕捉した。各突然変異体蛋白質は大腸菌(27C7)の発酵物または振盪フ ラスコ培養液から図27に記載するファージミドベクターを捕捉して精製した。 細 胞ペーストを1mM−EDTA添加20mM−トリス(pH8)に再懸濁し、M icrofluidizer(Microfluidics社、ニュートン、M A)で2回処理して、細胞を破壊処理した。低速遠心分離(4200rcf、1 0分間)を2回続けて屈折体を優先的にペレット化した。屈折体を20mM−ト リス(pH8)、7.5M−尿素および2mM−ジチオスレイトールに60分間 溶解した。変性蛋白質溶液を遠心分離して透明化し、20mM−トリス(pH8 )、1mM−システインHClおよび5mM−EDTAで10倍に希釈し、16 時間25℃で再折畳みした。この再折畳みした粗製の材料を1M−NH4SO4に 入れ、phenyl−650M(TosoHass社、フィラデルフィア、PA )疎水性相互作用カラムに負荷し、勾配分画した。VEGF含有画分を次に20 mM−トリス(pH8)に対して透析し、アミコン濾過で濃縮し、モノQカラム (Pharmacia社)で分画した。VEGF含有画分を次にPBSに対して 透析し、濃縮し、適量に分けて−20℃で貯蔵した。 この表はアラニンに突然変異させた残基、アラニン突然変異で除去されるよう に算出したβ−炭素を越える露出表面の接近可能面積、および突然変異体EC50 値/野生型EC50値として算出した相対的EC50値を示す。1またはそれ以上の 相対的親和性値はその突然変異体について結合親和性の低下を示す。KDRまた は2種のMAbのいずれかに対するEC50に3倍またはそれ以上の低下を起こす 変異体には黒丸を付した。ファージELISAが測定可能なシグナルを発生する には蛋白質標的と結合する突然変異体ファージミドが多量に必要なので、非結合 (NB)は正確には数値化できないが、結合親和性低下が大きなと解釈してもよ いであろう。非結合に観察される典型的な結合親和性喪失は100倍以上の範囲 にあるが、発現の相違のためにかなり変化するであろう。あとがき 前記の記載は本発明を実施するために採用できる特異的な方法を詳記したもの である。このように独特な方法を詳記したので、当技術分野の熟練者は本発明の 結果を使用して同じ情報に到達するための別の信頼できる方法を工夫する手段を 十分に知ることとなったであろう。しかしながら前に詳細を記載したが、それは 範囲全体を限定するものと理解すべきではなく、本発明の範囲は付記する請求項 の適法な構成のみによって決定すべきである。本明細書中に引用する文献はすべ て参考のために明示的に記載したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 08/691,791 (32)優先日 1996年8月2日 (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,H U,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ ,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG, MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM ,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN (72)発明者 フェラーラ,ナポレオン アメリカ合衆国94123カリフォルニア州 サン・フランシスコ、スコット・ストリー ト・ナンバー306、3835番 (72)発明者 カニンガム・ブライアン・シー アメリカ合衆国94402カリフォルニア州 サン・マテオ、ヒルクレスト・ロード410 番 (72)発明者 ウエルズ,ジェイムズ・エイ アメリカ合衆国94010カリフォルニア州 バーリンゲーム、コロンブス・アベニュー 1341番 (72)発明者 リ,ビン アメリカ合衆国94044カリフォルニア州 フォスター・シティ、シェル・ブールバー ド・ナンバー11、1057番

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.キナーゼドメイン結合領域(KDR)および/またはFMS−様チロシ ンキナーゼ結合領域(FLT−1)において突然変異を含んでいる脈管内皮細胞 増殖因子(VEGF)変異体をコードする配列を含む分離された核酸配列。 2.その変異体がアミノ酸約60から70までを含むFLT−1領域におけ る突然変異を含む請求項1のDNA配列。 3.その変異体がアミノ酸約78から95までを含むKDR領域における突 然変異を含む請求項1のDNA配列。 4.アミノ酸63、64、および67が修飾され、および/またはアミノ酸 82、84および86が修飾されている請求項1のDNA配列。 5.次の修飾: D63A、E64A、E67A、および/またはR82A、K84A、H86A を有する脈管内皮細胞増殖因子変異体をコードする請求項1のDNA配列。 6.各受容体に関する各領域の結合特性を修飾するようなキナーゼドメイン 領域(KDR)および/またはFMS様チロジンキナーゼ領域(FLT−1)に おける修飾を含む脈管内皮細胞増殖因子変異体を含むポリペプチド。 7.その変異体がアミノ酸60から70までを含む領域にアミノ酸の変化を 含む請求項6のポリペプチド。 8.その変異体がアミノ酸78から95までを含む領域にアミノ酸の変化を 含む請求項6のポリペプチド。 9.アミノ酸63、64および67が修飾されており、および/またはアミ ノ酸82、84および86が修飾されている請求項6のポリペプチド。 10.次の修飾: D63A、E64A、E67A、および/またはR82A、K84A、H86A を有する請求項6のポリペプチド。 11.さらにその他の点では本質的生物学的特性に影響のないアミノ酸修飾を 含む請求項6のポリペプチド。 12.形質転換された宿主細胞において請求項1のDNA配列を発現すること のできる複製可能な発現ベクター。 13.請求項12のベクターで形質転換された宿主細胞。 14.チャイニーズハムスター卵巣細胞である請求項13の宿主細胞。 15.請求項6のVEGF変異体を医薬的に許容される担体とともに含む組成 物。 16.請求項15の組成物を投与することを含む処置方法。 17.候補化合物を請求項6のポリペプチドと接触させて、その候補化合物が 有するそのポリペプチドのKDRおよび/またはFLT−1受容体への結合特性 に対する影響を測定することを含む、KDRおよび/またはFLT受容体の結合 に関して作動性または拮抗性を有する候補を確認するための検定法。 18.キナーゼドメイン受容体(KDR)領域にアミノ酸Ile46、Gln 79およびIle83および/またはIle43、Phe17およびGlu64 によって規定されるアミノ酸修飾を少なくとも1個含有する脈管内皮細胞増殖因 子(VEGF)変異体を含むポリペプチドであって、そのポリペプチドがKDR に対する結合親和性の機能的減少を示すもの。 19.各アミノ酸位置がおのおの修飾されている請求項18のポリペプチド。 20.そのアミノ酸位置の1個またはそれ以上が修飾されている請求項18の ポリペプチド。 21.その修飾がアラニンでの置換によるものである請求項18、19、また は20のいずれか1項のポリペプチド。 22.Ile46、Ile83、Glu64が修飾されている請求項18のポ リペプチド。 23.その修飾がアラニンでの置換によるものである請求項22のポリペプチ ド。 24.Phe17、Gln79、Ile43が修飾されている請求項18のポ リペプチド。 25.その修飾がアラニンでの置換によるものである請求項24のポリペプチ ド。 26.Ile46、Gln79、Ile83、Ile43が修飾されている請 求項18のポリペプチド。 27.その修飾がアラニンでの置換によるものである請求項26のポリペプチ ド。 28.Phe17、Glu64が修飾されている請求項18のポリペプチド。 29.Ile46、Gln79、Ile83、Ile43、Phe17、Gl u64が修飾されている請求項18のポリペプチド。 30.Phe17、Ile46、Ile83、Glu64が修飾されている請 求項18のポリペプチド。 31.Ile43、Ile46、Ile83、Glu64が修飾されている請 求項18のポリペプチド。 32.その修飾がアラニンでの置換によるものである請求項26、28、29 、30、または31のポリペプチド。
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