JPH10508575A - アポトーシス誘導剤及び治療法における該誘導剤の適用 - Google Patents

アポトーシス誘導剤及び治療法における該誘導剤の適用

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アラン プレスコット,
ブットゲル,アンゲリカ
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バーバラ アン スプルース,
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Abstract

(57)【要約】 オピオイドペプチド前駆体遺伝子の生成物が関係するアポトーシス誘発または抑圧の経路を調節する薬剤が細胞および特に腫瘍細胞のアポトーシスの誘発物質として使用される。このような薬剤を用いた処理方法およびそれらを含有する製薬組成物を説明する。このような薬剤の例として、細胞外または細胞表面膜結合オピオイド様分子またはそのレセプターと相互作用する薬が挙げられる。該薬剤は細胞膜を透過する助けをするペプチドと結合され、作用薬がアポトーシスをもたらす部位であるその細胞核に内在化および蓄積を促進する。このような作用薬のスクリーニング方法およびアッセイは本発明の別の態様を形成する。さらに、白内障の手術の後の細胞再生を防ぐためにアポトーシスを誘発することによる水晶体の治療について説明する。

Description

【発明の詳細な説明】 アポトーシス誘導剤及び治療法における該誘導剤の適用 本発明は、いわゆるオピオイドペプチド前駆体遺伝子の生成物が、特に腫瘍細 胞又は水晶体細胞において細胞アポトーシス(apoptosis)を誘導するような方 法で関与する経路を調節する薬剤の使用、このような薬剤を使用する治療方法及 びこれら薬剤を含有する製薬組成物に関するものである。 アヘン誘導体モルヒネに結合する脳内レセプターは、バイオアッセイ系におけ る強力なオピエートアゴニスト活性を有する2つのペンタペプチドの単離(Hugh es等、1975年、Nature、258、577〜580)に先行して発見された(Pert及びSnyde r、1973年、Science 179,1011〜1014)。COOH−末端アミノ酸だけが異なっ ているペンタペプチドはそれらが脳に由来することを反映してMet-及びLeu-エ ンケファリンと命名された。これらの配列を含有するペプチドはオピエート又は オピオイドペプチドと称される。エンケファリンはエンケファリン-ニューロン 網の中枢神経系全体に広く分布しており、そしてまた末梢神経系、例えば自律神 経節にも存在している。非常に詳細なデータによって、例えば、痛覚の調節、気 分と挙動、学習及び記憶、多様な神経内分泌機能、免疫調節並びに心血管及び呼 吸機能における内因性オピオイドの広範囲な関与が示唆されている。 オピエートアルカロイドのナロルフィンはモルヒネの鎮痛効果に拮抗するがそ れ自体では鎮痛剤としても作用する点で二重の作用を有しているという観察から 、オピエート化合物と結合する幾つかのタイプのレセプターの存在が示唆された (Martin、1967年、Pharmacol.Rev.19、463〜521)。動物モデルにおける多数の オピエートに対する示差応答はミュー、カッパ及びシグマの3つのタイプのオピ エートレセプターを示唆した(Hartin等、1976年、J.Pharmacol.Exp.Ther.19 7 、517〜532)。ロード(Lord)と彼の同僚(1977年、Nature 267、495〜499)は バイオアッセイ系でモルヒネとエンケファリンの活性を比較した; これらの結果 は、エンケファリンが優先的に結合するデルタレセプターとモルヒネが優先的に 結合するミューレセプターの存在を示した。その後、合成類似体はオピオイドレ セプターを3つの主要タイプ − デルタ、カッパ及びミュー − に分けることを 支持し、そしてこれは依然として薬理学的分類として残っている。これら3つの 主要なレセプタータイプをコードする遺伝子は現在クローン化されている。3つ の主要なレセプタータイプの選択的アゴニストである原型的類似体にはDAMG O(Tyr-DAla-Gly-MePhe-Glyol)(ミュー); DPDPE(Tyr-DPen- Gly-Gly-Phe-DPen-OH)(デルタ); そしてカッパについてはU50,488が含 まれる。しかしながら、これら化合物の選択性は投与量依存性でありそしてこれ らは全て他のレセプタータイプと交差反応する可能性がある(Goldstein、1987年 、Trends Pharm.Sci.8、456〜459)。 クローン化したオピオイドレセプター遺伝子の配列決定によって異なるレセプ タータイプ間にかなりの程度のアミノ酸相同性があることが明らかになった(Men g等、1993年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90、9954〜9958; Thompson等、1993 年、Neuron 11,903〜913; Evans等、Science 1992年 258、1952〜1955; Kieffe r等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1992年 89、12048〜12052); これはオピオイ ドレセプターリガンドが、たとえ選択性であると言われるとしても、1つより多 いタイプと結合しがちであることを説明している。主要なレセプタータイプの配 列を免疫グロブリンのスーパーファミリーメンバーOBCAM(Schofield等、 EMBOJ 1989年 8、489〜495)のようなあまり関係のない分子と並べてみる と、精製OBCAM分子の報告されたオピオイド結合特性が支持され、そしてこ のレセプター分子や他の関連レセプター分子と結合する更なるオピオイドレセプ ターリガンドの可能性が示唆される。更に、更なるレセプターファミリー、特に ソマトスタチンレセプターはオピオイドレセプターと密接な相同性を共有し、そ してこれらの構造的類似性(これらの類似性は以下の図1に示される)に基づい てこれらもオピオイドレセプターリガンドと結合すると予期されよう。 天然及び合成リガンドの結合プロフィールの差異に基づいてオピオイドレセプ ターサブタイプも示唆されており、これらにはミュー1及びミュー2(Pasterna k及びWood 1986年、Life Sci.38、1889〜1898)並びにカッパ1及びカッパ2( Zukin等、1988年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85、4061〜4065)が含まれてい る。これまでにクローン化されたものに対して暫定的に割り当てたレセプターサ ブタイプにはカッパ1(上記したMeng等、1993年)及びミュー2(上記したThom pson等、1993年)が含まれる。同じ細胞系から独立してクローン化されたデルタ オピオイドレセプターは1つの領域における配列相違が見い出され、種々のデル タレセプターサブタイプが同じ細胞中に一緒に存在していることを示していると 思われる(Evans等、1992年; 上記のKieffer等、1992年)。薬理学的データに基づ いて、レセプターサブタイプの更なる分類並びにシグマ、イプシロン及びゼータ を含む更なる主要レセプタータイプも提案されている。 オピオイドレセプター遺伝子ファミリー全体がクローン化されそして入手でき る全ての薬理学的化合物に対して試験されるまで、各クローン化分子を推定上の 薬理学的対応物に割り当てることは暫定的なままでなければならないことは明白 である。そうなったときであっても、同じクローン化分子が、例えば多様な転写 後修飾又は他のオピオイドレセプター若しくは更には非オピオイドレセプターと ヘテロオリゴマーコンプレックスを形成することによって異なる薬理学的プロフ ィールを与え得る可能性が依然として残っている。オビオイドレセプターファミ リーのメンバーが更に多くクローン化されたときには、分類は幾らか修正される 必要があると思われる。上記したように、本出願の文脈では、現在受け入れられ ている分類を適用する。 主要なレセプタータイプの天然リガンドは一般に多くの合成類似体より選択性 が少ない; しかしながら、天然リガンドは結合優先性を示す。ペンタペプチドM et-及びLeu-エンケファリンはデルタレセプターと優先的に結合する。Leu-エ ンケファリン含有ペプチドのダイノルフィン(dynorphin)はカッパレセプタータ イプと優先的に結合する。ミューレセプターリガンドにはオピオイドペプチドβ −エンドルフィン、メトルファミド及び幾つかのダイノルフィン関連ペプチドが 含まれる。これら各レセプターに対する天然リガンドの全プロフィールは知られ ておらず、そして各オピオイド前駆体の代替生成物(以下参照)が種々のレセプ タータイプと結合するように思われる。オピエートアルカロイドのモルヒネは主 としてミューレセプターと結合するが、モルヒネの末梢投与はエンケファリンの 放出を誘導し、そしてエンケファリンは次にデルタレセプターと相互作用する(B ertolucci等、1992年、Soc.Neurosci.Abstr.1368)。 オピオイドペプチドははるかにより大きい前駆体分子からタンパク質分解酵素 開裂によって誘導される。3種のオピオイド前駆体遺伝子が存在している。プロ エンケファリンは「遊離」Met-及びLeu-エンケファリンを生じさせる。プロオ ピオメラノコルチンはMet-エンケファリン含有ペプチドのβ-エンドルフィンに 開裂され、そしてプロダイノルフィン(又はプロエンケファリンB)はLeu-エ ンケファリン含有ペプチドのダイノルフィンに開裂される。加えて、3種の前駆 体は全て多数の長いエンケファリンと非エンケファリン含有ペプチドに異なって 開裂される可能性を有しており、そしてこれらの機能は殆ど知られていない; し かしながら、場合によっては、長いエンケファリン含有ペプチドは強いオピエー ト活性を有していることが示されている。 伝統的な考え方はオピオイド前駆体、そして実際には全ての神経ペプチド前駆 体が生物学的に不活性であり、そしてそれらの唯一の運命は生物活性ペプチドに 開裂されそしてその後細胞から放出されることであると見ていた。しかしながら 、プロエンケファリンが多数の組織及び星状細胞を含む細胞タイプ中で遊離エン ケファリンペプチドとは殆ど関係なく存在しているという証拠が増えており(Mel ner等、1990年、EMBOJ 9、791〜796; Spruce等、1990年、EMBOJ 9、1787〜1795) 、そしてこれら細胞から非処理形態で放出される(Batter等、1991年、Brain Res .563、28〜32)。プロエンケファリンはリンパ球(Roth等、1989年、FASEBJ 3、2 401〜2407; Rosen等、1989年、J.Immunol.143,3703〜3707)、線維芽細胞(Ro sen等、1990年、Biochem.Biophys.Res.Comm.171、722〜728)及び生殖組織 (Garrett等、1990年、Hol.Endocrinol.4、108〜118; Kew等、1990年、Proc. Natl.Acad.Sci.USA 87、9143〜9147)中にも存在している。或る場合には、 処理酵素は非処理前駆体と一緒に放出されるという証拠があり、そしてこれは細 胞外開裂が生じ得ることを示唆している(Vilijn等、1989年、J.Neurochem.53 、1487〜1493)。たとえ生物学的活性が小さいペプチド生成物と細胞表面レセプ ターの結合によってシグナル化されるとしても、この活性の制御は前駆体によっ て媒介される可能性があり、そして非処理前駆体は自体の追加的な細胞内役割を 有している可能性もある。 プロエンケファリンが多くの非神経細胞タイプに存在するという発見によって 更に一般化された、即ち多分一層基本的な機能という問題が提起された。プロエ ンケファリン遺伝子は、上記した成熟細胞タイプ中での発現に加えて、発育中の 非神経組織並びに神経組織中でも一時的に発現される(Keshet等、1989年、EMBOJ 8、2917〜2923)。更なる研究は、オピオイドペプチド及びアルカロイドと細胞 増殖及び分化との間の考えられる関係に向けられている(Hauser等、1989年、J. Comp.Neurol.281、13〜22; Hauser、1992年、Dev.Res.70、291〜297)。生涯 を通して分裂し得る細胞タイプ中でのプロエンケファリンの発現保持(上記参照 )及びTヘルパー細胞の有糸分裂活性化によるプロエンケファリンのアップレギ ュレーション(Zurawski等、1986年、Science 232、772〜775)はプロエンケフ ァリン遺伝子の産生物と細胞の増殖状態又は分裂し易さの状態との間の関係を示 唆している。しかしながら、この関係は、プロエンケファリンが、例えば、てん かん発作後の有糸分裂後ニューロン中でも発現され、そして遺伝子の既知の転写 因子であるフォス(Fos)及びジュン(Jun)の誘導のすぐ後に続くので普遍的な ものではない(Sonnenberg等、1990年、Science 246、1622〜1625)。それ故、こ の場合には、プロエンケファリン遺伝子産生物は細胞内又はオートクラインスト レス応答分子として作用し得るということが考えられ、そしてこれは内因性オピ オイドがストレス応答分子である可能性を示唆している(Olson、1987年、Pepti des 8、1135〜1164)これまでのデータを拡張するものであろう。 ケル(Kerr)、ワイリー(Wyllie)及びクーリー(Currie)(1972年、Brit.J .Cancer 25、239〜257)は、有糸分裂による細胞産生の過程のバランスをとる 制御された細胞死の形態学的に明白な過程を記載するために用語「アポトーシス 」を造語した。このタイプの能動的な細胞消失は動物細胞集団の重要な調節因子 であると提案されており(上記のKerr等、1972年)、そして全ての細胞における固 有のプログラムであるとさえ思われる(Raff、1992年、Nature 356、397〜400)。 細胞産生制御と細胞消失制御との間の分子的関連は現在確立されている。c-myc 及びp53のような増殖制御において確立された調節的役割を有する分子もアポト ーシス的細胞死を介在する経路に関与している。好ましい「増殖環境」下で細胞 増殖を促進する分子、c-mycは、外因性の生存因子レベルが低いとき、代わりに 細胞死を促進する(Evan等、1992年、Cell 63,119〜125; Harrington等、1994年 、E MBOJ 13、3286〜3295)。ワイリーと彼の同僚(上記のKerr等、1972年)は、悪性 腫瘍の減少は自然発生的又は治療的に誘導されたアポトーシスによるものであろ うと提案した。エバン(Evan)(上記のHarrington等、1994年)は、c-mycの二 重作用によって、有糸分裂誘発経路とアポトーシス経路を結合することは腫瘍進 行に対する重要な保護手段であり、その結果外因性生存因子レベルが制限される ようになると細胞集団の過剰増殖がアポトーシスになる(apoptose)ことを示唆し ている。 p53遺伝子の両コピーを欠いた動物は腫瘍の確率が非常に高いので、腫瘍発育 に対する追加的な保護手段はp53によって提供される(Donehower等、1992年、Na ture 356、215〜221)。胸腺細胞におけるエトポシド(etoposide)及び照射誘導 アポトーシスにはp53が必要であることが示されている(Clarke等、Nature 362 、849〜852; Lowe等、1993年、Nature 362、847〜849)ので、これはp53をアポ トーシスへのDNA損傷依存性経路に関連させている。ル(Lu)及びレーン(La ne)(Cell 1993年、75、765〜778)は照射された細胞でのアポトーシスの開始 に先行する転写的に活性のp53の誘導を示している。レーンは、p53が「ゲノム 保護体」として作用すると提案している。修正可能な損傷の修復はp53による増 殖抑制を誘導することによって促進され、一方、潜在的に腫瘍形成の突然変異を 含む修正不能な損傷を有する細胞はアポトーシスへのp53依存性経路によって消 される。オーレン(Oren)と彼の同僚(Yonish-Rouach等、Nature 1991年、352 、345〜347)はミエロイド白血病細胞中でトランスフェクションされたp53によ るアポトーシス誘導を示し、そしてこれはインターロイキン-6によって阻止され ることを示した。かくして、アポトーシスへのp53依存性経路も細胞外からの生 存シグナルで完成されると思われる。 ラフ(Raff)と彼の同僚(1992年、Nature 356、397〜400; Raff等、1993年、 Science 262、695〜699)は、哺乳動物細胞は全て、隣接細胞から連続的なシグ ナル化がないと不履行により死亡するようにプログラム化されているということ を提案した。証拠は、多様な外部刺激が生存を促進していることを示している。 これらには、離れて生じた可溶性内分泌因子(下垂体由来の副腎皮質刺激ホルモ ンによる副腎皮質細胞の生存を支持しているように; Wyllie等、1973年、J.Pat ho l.111、85〜94);種々のタイプの隣接細胞から生じるパラクリン因子(寡突起神 経膠細胞の生存を促進しているように; Barres等、1992年、Cell 70、31〜46); 又は同じタイプの隣接細胞から得られるオートクリン因子(水晶体細胞や軟骨細 胞で例示されるように; Ishizaki等、1993年、J.Cell.Biol.、121、899〜908; Ishizaki等、1994年、J.Cell.Biol.126、1069〜1077)が含まれる。細胞付 着分子によって(Bates等、1994年、J.Cell Biol.、125、403〜415)、細胞外マ トリックスと接触して(Meredith等、1993年、Mol.Biol.Cell 4、953〜961) 又はネクサク及びデスモソームによって(Ning及びHahn、1994年、J.Cell Phys iol.160、249〜254)送達されるような非拡散性シグナルも生存を促進すること が知られている。死亡プログラムを抑制するためには異なるタイプのシグナルの 組合せが必要であると思われる。 周囲環境からのシグナルによって抑制される細胞固有の死亡プログラムがある と、細胞は隣接細胞から離れたとき単一細胞として生き残れない。このことの進 化論的利点は、発育中に誤って配置された細胞は消されるということであろう; 更に、細胞は全て限られた量の生存シグナルを求めて競合しているので、最適の ものしか生き残れない(上記のRaff、1992年)。しかしながら、細胞が隣接細胞か らのシグナルの必要性を克服するのに役立つ生存的利点を獲得すると、細胞が生 存因子の供給を凌駕し始めるときでさえ過増殖細胞集団が拡張し続けるので腫瘍 進行に好都合であろう; 更に、転移性腫瘍細胞は異質環境下で寛容され、そして 消されないであろう(Raff、1992年)。単一細胞が通常の環境的傷害に関連した遺 伝子損傷の程度に応答してその自殺プログラムの活性化を妨げる生存的利点を獲 得すると、理論的には、このような獲得は潜在的に腫瘍形成突然変異の持続に好 都合なので、腫瘍形成事象を開始できるであろう。特に強力な遺伝子事象は環境 的遺伝子毒(genotoxin)に暴露された後の遺伝子損傷の程度を促進すること並 びに自殺応答を阻止することであろう。このような遺伝子候補又は経路は未だ確 認されていない; 本発明は候補経路に向けたものである。 生存自立性は理論的には多数の潜在的メカニズムによって、例えば: オートク リン生存因子(上記したような)の突然変異的活性化若しくは生存因子レセプタ ーによって: Bcl-2(以下参照)のような細胞内生存分子の調節解除によって; 又は、細胞−細胞の接触によって通常活性化される生存経路はこれらのシグナル から離された場合に獲得され得るであろう。固有の死亡プログラムを凌駕するこ とになると思われるこれらの方法のいずれにおいても生存経路の不適切な活性化 は、理論的には早期及び後期段階の腫瘍形成を促進し得るであろう。特に強力な 腫瘍形成経路は、遺伝子損傷を促進し且つ遺伝子損傷に寛容でありそして細胞が 細胞外生存シグナルの必要性を克服するのに役立つようなものであろう。本発明 はこのような「経路」、又はオピオイド様分子が関与する更にありそうな結合経 路に向けたものである。総合的には、このような経路は幾つかの腫瘍細胞タイプ では調節困難であり、そしてこれらのタイプの生存がこの経路に依存するように なることがデータから示されている; それ故、治療の機会が提供される。更に、 このような経路の不適当な活性化は腫瘍形成プロセスの多数の段階に関与してい る可能性があるので、大部分の腫瘍はこの経路に影響を与える突然変異を含んで いる可能性が強い。 アポトーシスの抑制が腫瘍形成に関連していることが同定された最初の遺伝子 はbcl-2遺伝子であった。bcl-2はろ胞性リンパ腫のt(14:18)染色体転座破壊点 に位置し(Bakshi等、1985年、Cell 41、899〜906)、増殖よりむしろ細胞生存を 促進する同定された最初の腫瘍遺伝子であった。Bリンパ球腫瘍は、リンパ球様 系でbcl-2を過剰発現する遺伝子変換動物で長期潜伏期後に発育し(Strasser等 、1993年、Oncogene 8、1〜9)そしてbcl-2はc-mycと協力してプレ-B細胞に永 遠性を賦与する(Vaux等、1988年、Nature 335、440〜442)。しかしながら、大部 分の腫瘍では、bcl-2は調節解除されていない。p53腫瘍サプレッサー遺伝子に おける「機能損失」突然変異は遺伝子損傷に対するアポトーシス的応答を抑制し 、そして通常ヒト癌で生じる(Hollstein等、1991年、Science 253、49〜53)*; しかしながら、ヒト腫瘍の約50%は正常なp53機能を有している。かくして、ヒ ト腫瘍でアポトーシスを不適切に抑制する更なる経路又は分子は依然として同定 されていない。 オピオイド様分子を含む経路が細胞死と生存間の平衡の調節に関与していると いう報告が発表されている;しかしながら、データは矛盾している。モルヒネは 発育中の鳥類の毛様神経節の生存を促進する(Meriney等、1985年、Science 228 、1451〜1453)。同じ系で内在性オピオイド経路の関与が確立されている(Merine y等、1991年、J.Neurosci.11、3705〜3717)。対照的に、モルヒネは発育中の 小脳の細胞生存を阻止し(Hauser等、1994年、Exp.Neurol.130、95〜105)そ して胸腺細胞のアポトーシスを誘導する(Fuchs及びPruett、1993年、J.Pharmac ol.Exp.Ther.266、417〜423)。 本発明は、オピオイド様分子が関与している経路がアポトーシスを促進するか 又は抑制することができるという証拠を提供し、そしてこれはモルヒネの明らか に反対の効果に対する考え得る説明であろう。更に完全に新規な所見は、死亡/ 生存平衡の調節がオピオイド前駆体分子の1つ、即ちプロエンケファリンによっ て少なくとも部分的に制御され、そしてこの分子が相互作用する1つ又はそれよ り多い経路が形質転換プロセス中に調節を解除するようになるということである 。これは、非腫瘍細胞と比較して、腫瘍のオピオイド様生存経路に対する依存性 を高め、そしてその結果治療の機会を提供する。腫瘍形成工程でオピオイド様経 路が広範に関与していることを示している生物学的データが現在得られている。 更に、治療剤及びそれらの最適活性の条件が確認されている。 以下で要約する一連の研究で、次のことが見い出された: 形質転換細胞では、プロエンケファリン及び/又はそのタンパク質分解生成物 は、a)外因性生存因子の欠乏によって、及びb)外因性生存因子が制限されて いないときには遺伝子毒性損傷及び/又はストレス後に、細胞生存を調節する細 胞外及び/又は細胞表面膜結合因子として作用する。これらの因子(単数又は複 数)が結合するレセプター(単数又は複数)は多分細胞表面に存在していると思 われるが、オピオイドレセプターファミリーの1つ又はそれより多いメンバーに 関係があるか又は多分それと同一である。 オピオイド様レセプタータイプ又はサブタイプは生存又は死亡を介在すること ができる;死亡を介在するレセプター(単数又は複数)は生存を介在するレセプ ターと結合していると思われる。これらのレセプターの天然リガンドは、天然リ ガンドがこれらの効果に似たサイトカインを含んでいる可能性があるが、オピオ イド前駆体遺伝子の生成物であるように思われる。 腫瘍細胞は、非形質転換細胞よりオピオイド様レセプター介在性生存の拮抗作 用及びオピオイド様レセプター介在性死亡の刺激に対して感受性である。細胞周 期停止を誘導するとこれらの操作に対する腫瘍細胞の感受性が高められる。(こ れらの操作に対する腫瘍細胞の感受性の上昇は細胞周期内での腫瘍細胞の同調に よって誘導される。) 細胞質のプロエンケファリン及び/又はそのタンパク質分解生成物はアポトー シスの一般的抑制剤として作用する。それ故、細胞質プロエンケファリンに拮抗 する薬剤は、適当な内在化剤と結合させた場合、非形質転換細胞並びに形質転換 細胞において、特に既知のアポトーシス誘導剤の致死未満の投与量と組み合わせ てアポトーシスの誘導に使用されるであろう。 細胞質プロエンケファリンを介して媒介されるアポトーシスの抑制は主として 非拡散性因子によって高細胞密度で活性化される。それ故、上記薬剤を、例えば インテグリンに対する中和抗体(例えば、抗体23C6- Bates等、J.Cell Biol.125 、403〜415)と組み合わせて使用して外因性生存シグナル発生を減少させて 低密度を刺激した場合、上記したプロエンケファリン又はその生成物の阻止が強 化されるであろう。 細胞核を標的としたプロエンケファリンはアポトーシス的死亡を誘導し、そし てこれはラージT抗原(large T antigen)の過剰発現によって阻止されそしてp5 3によって少なくとも部分的に媒介される。それ故、野生型p53機能を保持する 腫瘍は、核内でプロエンケファリン若しくはその誘導体のレベルを高める薬剤か 又は核プロエンケファリン若しくはその誘導体の機能に似ている薬剤によるアポ トーシス誘導用の特別の標的である。 これらの所見に従って、本発明は、オピオイド前駆体遺伝子の生成物が関与す る細胞の生物学的経路を細胞にアポトーシスを引き起こさせるような方法で修正 することを含む細胞内におけるアポトーシスを誘導する手段を提供する。経路の 修正は適当な薬剤を投与することによって適切に実施することができる。 特に、本発明は細胞内でのアポトーシス誘導に使用される薬剤を提供し、そし て該薬剤は: 1)プロエンケファリン又はそのタンパク質分解誘導体を中和できる薬剤; 2)核プロエンケファリン及び/又はその誘導体のレベルを高めるか又はこれら を活性化するか若しくはこれらに似た薬剤;或いは 3)デルタオピオイドレセプターに関係があるか若しくはこれと同一のレセプタ ー(単数又は複数)でアンタゴニストとして作用する薬剤、又はカッパオピオイ ドレセプターに関係があるか若しくはこれと同一のレセプター(単数又は複数) でアゴニストとして作用する薬剤、 を含む。 このような薬剤のサブセットはプロエンケファリン若しくはそのタンパク質分 解誘導体を中和できる薬剤であるか、或いはデルタオピオイドレセプターに関係 があるか若しくはこれと同一のレセプター(単数又は複数)でアンタゴニストと して作用する薬剤又はカッパオピオイドレセプターに関係があるか若しくはこれ と同一のレセプター(単数又は複数)でアゴニストとして作用する薬剤である。 上記(1)の場合には、該薬剤は細胞表面に投与することができ、そして該表 面で、細胞外及び/又は細胞表面膜結合プロエンケファリン又はそのタンパク質 分解誘導体の生存効果が中和されて細胞にアポトーシスを生じさせる。或いは、 プロエンケファリン又はそのタンパク質分解誘導体を中和できる薬剤を内在化ペ プチドや細胞質アンカーと結合させることができる。このような組合せ物は細胞 の細胞質中に残り、細胞質プロエンケファリン及び/又はそのタンパク質分解生 成物と拮抗しそしてその結果これらの分子のアポトーシス抑制剤効果を中和する 。 本明細書で使用するとき、表現「内在化ペプチド」は細胞表面膜を通過する分 子の輸送を促進することができるペプチドに関係している。適当な内在化ペプチ ドの例はWO91/18981に記載され、そして「ペネトラチン(PENETRATI N)」の商品名でアプリジーン(Appligene)から市販されているものである。 表現「細胞質アンカー」は、小胞体のような細胞質構造又は細胞膜に効果的に結 合し、そしてそれによってそれらが結合している分子が核内に又は実際には細胞 から移動するのを防ぐペプチドのような分子に関係している。このようなアンカ ーの例は疎水性のリーダー配列である。 上記(2)の場合には、該薬剤は上記したような内在化ペプチド又は認識され る核極在化シグナル(NLS)に結合させて核での該薬剤の濃度を確実に高める ことができる。 非形質転換細胞は形質転換細胞より、たとえ外因性生存因子が傷つけられる環 境下であっても上記した薬剤に対して感受性が低い。外因性生存因子は、例えば 、ウシ胎児血清を提供することによって組織培養物中で増殖させた細胞に供給さ れる;このような因子は、多少離れたところからin vivoで提供されそしてエン ドクリン態様で血液若しくはリンパ液を介してもしくは異なるタイプの隣接細胞 からパラクリン態様で輸送されるかのどちらかで提供されよう。対照的に、悪性 腫瘍細胞はこれらの薬剤の影響を受け易く、そしてこの感受性は、外因性生存因 子が制限されているか又は細胞が遺伝子毒若しくはストレス損傷を受けたときに は高くなる。アポトーシス的効果も、適当な薬剤による細胞周期停止を誘導した 後に本発明の薬剤を投与することによって高められる。 それ故、腫瘍細胞はオピオイド様分子及び/又はそれらのレセプターに依存す る経路(単数又は複数)でのそれらの生存に依拠する。(1つの説明は、生存を 促進するオピオイド様レセプターが腫瘍細胞中で本質的に活性であるので、オー トクリンか又は細胞内かのどちらかの代替的な平行生存経路が、不適当な生存シ グナルの細胞による認識を相殺するようにダウンレギュレートするということで あろう。)それ故、これらの薬剤は癌のような疾病の治療に特に有用であり、そ してこの適用は、上記薬剤を含有する製薬組成物と一緒になって本発明の更なる 特徴を形成する。 本発明の薬剤は、「正常な」成熟細胞タイプに対して殆ど又は全く効果を有さ ないで腫瘍細胞のアポトーシスを促進し、腫瘍退化に導くことができ、患者に対 して致死的でないという利点を有している。非増殖細胞集団と比較して増殖細胞 に与えるより大きい示差的効果も、遺伝子毒性剤及び/又は細胞周期停止(同調 化)剤を本発明の薬剤と組み合わせることによって明らかにされよう。 オピオイド様因子又はそれらの生存用レセプターに依存する他の細胞には眼の 水晶体内の細胞が含まれる。このような細胞内で、例えば、外科的白内障切除後 にアポトーシスを誘導することが有益な場合があり、白内障では移植組織の将来 の再増殖や混濁化を防ぐために残っている水晶体カプセル細胞を除去することが 望ましい。従って、この治療様式でアポトーシス誘導剤を使用することは以下で 一層詳細に説明するように本発明の更なる特徴を形成する。 プロエンケファリン又はそのタンパク質分解誘導体を中和する薬剤の例にはプ ロエンケファリン又はそのタンパク質分解誘導体に対する中和モノクローナル抗 体及び結合ドメインを含む上記抗体のフラグメント、並びに上記抗体及びフラグ メントの活性誘導体及び対立形質形態が含まれる。 抗プロエンケファリンモノクローナル抗体のサブセット、特にPE-1、PE-2 、PE-18及びPE-25の生成及び特徴決定に関する部分的な情報はJ.Biol.Che m.(1988年)263、36、19788〜19795、及び EMBOJ(1990年)9、6、1787〜1795 に記載されている。更なる11種の抗体(PE-13、PE-14、PE-15、PE-16、 PE-17、PE-19、PE-20、PE-21、PE-22、PE-23、PE-24)はEMBOJ 1 990年、9、1787に記載されているようにしてPE-18及びPE-25と同じ融合タン パク質に対して生じさせられている。明白な血清応答は、動物が12から18カ月ま での期間に亘って合計6から8回の注入を受けた後にしか得られなかったことが 分かった。これらの15種の抗体は幾つかのエピトープを認識し、そしてこれらの エピトープは、無作為的に発生させた配列を導入したファージライブラリーを使 用しそしてまた合成ペプチドも使用してマップ化されている。PE抗体によって 認識されるエピトープのコア配列及びこれらに向けられている抗体群が発表され ている(Bottger等、J.Mol.Biol.(1995年)247、932〜946)。ファージディス プレイデータは側部配列の影響も幾らか示しており、これによってより高いオー ダーのタンパク質構造がエピトープ認識に更に寄与していることが指摘される。 上記した抗体の代表的例を産生する5つのハイブリドーマ系統は1993年10月11 日にヨーロッパ動物細胞培養物収集所(ECACC、ウィルトシャー州サリスベ リーのPHLS Centre for Applied Microbiology and Research)に寄託された。 これらの系統、PE-1、PE-2、PE-13、PE-14及びPE-24は次の受理番号: 93101213、93101215、93101232、93101234及び93101254を有しており、そして 本発明の更なる1部分を形成する。 H鎖の抗プロエンケファリン免疫グロブリン遺伝子の可変ドメインも以下に記 載したようにしてクローン化された; これらの配列は図5に示す。実質的に図4 に記載されそして/又は図5に記載したような可変ドメインを含むエピトープの いずれかを認識するか又は図5に記載したものと実質的に相同性の抗体又は結合 抗体フラグメントは本発明の1部を形成する。任意の可変ドメインのH鎖成分は 抗体結合に対する特異性の多くに寄与する。適切に相同性の配列は少なくとも60 %、好ましくは少なくとも90%の相同性を有している。 上記した抗体は、治療法で使用されるので、組換えDNA技術を使用して「ヒ ト化(ヒューマナイズ)」することができる。詳細には、本発明に従って非ヒト 抗体のテール領域はヒト抗体のテール領域と交換することができる。一層完全に ヒト化するためには、当該技術分野で知られているように、非ヒト抗体のフレー ムワーク領域をヒトフレームワーク領域と交換することができる。これらの交換 方法は、組換え技術を使用してDNAレベルで実施することができる。このよう な方法は、ヒトタンパク質に特異的な抗体の特徴的な特徴を高める効果を有して おりそしてその結果有害な過敏性反応が生じる可能性を減少させる。 抗プロエンケファリン抗体の中和は細胞質プロエンケファリンを阻止するため にも使用され、そしてそれによって非形質転換細胞タイプ並びに形質転換細胞タ イプの範囲でアポトーシスを誘導するであろう; このような試みは、例えば、ア ポトーシス欠如から生じる自己免疫疾患の治療に有用であろう。細胞膜を横切る 移動を促進するために、抗体は、確実に細胞質内で保持されるように細胞質アン カー配列を有するか又は有していない「ペネトラチン」(登録商標)(アミノ酸 配列 R-Q-I-K-I-W-F-Q-N-R-R-M-K-W-K-K)のような内在化ペプ チドからなるキメラペプチドと結合させられるであろう。細胞内プロエンケファ リンが位置している小胞体膜上に薬剤をドッキングするのに適当な細胞質アンカ ーは疎水性リーダー「シグナル」配列であろう。小胞体内腔へ、そしてそこから 分泌経路への移動は通常コ・トランスレーション的に生起する。かくして、結合 したシグナルペプチド配列は薬剤を分泌経路に方向づけないように思われる。こ のような試みは他のアンタゴニスト剤にも使用することができよう。 アポトーシスを誘導するために使用される他の薬剤は、細胞核内でのプロエン ケファリン及び/又はそのタンパク質分解誘導体のレベルを高めるもの、或いは 核プロエンケファリン又はその誘導体を活性化するか又はそれに似た薬剤である 。このような薬剤の例には、プロエンケファリン及びそのタンパク質分解誘導体 並びにそれらの活性フラグメントが含まれる。 これらは、天然供給源から誘導されるか又は例えば組換えDNA技術を使用し て合成することができる。核プロエンケファリンに似ている薬剤にはオピオイド 類似体又は抗イディオタイプの抗体並びに他の擬似体(以下参照)が含まれる。 このような薬剤は「ペネトラチン」(登録商標)のような内在化ペプチドに結合 させて細胞膜を横切る移動及び核内での蓄積を促進することができる。核内で確 実にこの薬剤の濃度を高めるために、該薬剤をSV40ラージT抗原のNLSのよ うな確認された核極在化シグナル(NLS)と結合させることもできる。好ましく は、この薬剤は内在化ペプチドとNLSの両方からなるキメラと結合させられる 。 製薬的に活性の化合物の擬似体を設計することは「リード」化合物に基づいて 医薬品を開発する既知の手法である。これは、活性化合物の合成が困難であるか 又は高価である場合、又は特定の投与方法に適していない場合(例えばペプチド は消化管でプロテアーゼによって急速に分解されがちであるので、経口組成物用 の適当な活性薬剤ではない)に好ましいであろう。擬似体の設計、合成及び試験 は一般に、標的特性についての多数の分子の無作為的スクリーニングを避けるた めに使用される。 一定の標的特性を有する化合物から擬似体を設計する際に通常採用される幾つ かの段階がある。第一に、標的特性の決定で臨界的であり及び/又は重要である 化合物の特別の部分を決定する。ペプチドの場合には、これはペプチドのアミノ 酸残基を系統的に変えて、例えば各残基を順次置換して、実施することができる 。化合物の活性領域を構成するこれらの部分又は残基は「薬作用発生団(pharmac ophore)」として知られている。 薬作用発生団が一度発見されると、その構造は、その物理的特性、例えば立体 化学、結合、大きさ及び/又は電荷に従って、或る範囲の供給源から得られるデ ータ、例えば分光技術、X線回折データ及びNMRを使用してモデル化される。 コンピューター分析、類似性マップ作成(これは、原子間の結合よりむしろ薬作 用発生団の電荷及び/又は容量をモデル化する)及び他の技術をこのモデル化法 で使用することができる。 この手法の変法では、リガンド及びその結合パートナーの三次元構造がモデル 化される。これは、リガンド及び/又は結合パートナーが結合によってコンフォ メーションを変化させる場合に特に有用であり、モデルは擬似体の設計でこれを 考慮することができる。 次に、鋳型分子を選択し、この分子上で薬作用発生団に似た化学基をグラフト 化することができる。鋳型分子及びこれに対してグラフト化された化学基は好都 合なことに、リード化合物の生物学的活性を保持しながら、擬似体を容易に合成 でき、薬理学的に許容可能であると思われ、そしてin vivoで分解しないように 選択することができる。次に、この手法で見い出された1つ又は複数の擬似体を スクリーニングして、それらが標的特性を有しているかどうか、又はそれをどの 程度まで示しているかを見ることができる。次に、更なる最適化又は修正を実施 して、in vivo又は臨床試験用に1つ又はそれより多い最終擬似体に到達するこ とができる。 本発明の文脈で使用される追加的な薬剤は、現在の分類からデルタオピオイド レセプターアンタゴニスト又はカッパオピオイドレセプターアゴニストとして知 られているものである。本明細書で使用するとき、デルタオピオイドレセプター アンタゴニストである薬剤に対する言及には、古典的なオピオイドレセプタータ イプに対して試験したとき、デルタオピオイドレセプター(単数又は複数)の活 性に優先的に拮抗する薬剤、例えば4,8-メタノベンゾフロ[2,3-a]ピリド[4,3-b] カルバゾール-1,8a(9H)-ジオール,7-(シクロプロピルメチル)-5,6,7,8,14,14b- ヘキサヒドロ、或いは「ナルトリンドール」(Chemical abstract番号[111469- 81-9]C26H26N2O3・HCl)として知られているものが含まれる。対応して、 カッパオピオイドアゴニストである薬剤への言及すると、カッパオピオイドレセ プター(単数又は複数)の活性を優先的に刺激する化合物、例えば、「U50488 」として知られているトランス-3,4-ジクロロ-N-メチル-N-(2-[1-ピロリジニ ル]シクロヘキシル)ベンゼン-アセタミドがある。 上記したように、デルタ及びカッパオピオイドレセプター分子は、これら分子 に対する選択的リガンドの結合特性によって薬理学的に特定される。 古典的なデルタ及びカッパレセプターと結合するような他の薬剤は熟練者に明 白な適当な薬理学的試験で決定することができよう。 しかしながら、これらのレセプター又は関連レセプターの候補リガンドと思わ れる薬剤の生物学的条件、例えばオピオイドレセプターリガンドの完全なプロフ ィールの一層有意義な試験には以下に記載するバイオアッセイが使用されるであ ろう。これらは記載した方法で、生物学的終末点としてアポトーシス的死亡をモ ニターし、そして低血清、遺伝子毒性剤、細胞周期停止(同調化)剤又はストレ ス誘導剤の存在下で低細胞密度で実施されよう。 本発明は更に、細胞内でのアポトーシスを誘導する薬剤のアッセイ又は測定を 提供し、そしてこのアッセイは低血清の存在下及び任意に遺伝子毒性剤、細胞周 期(同調化)停止剤又はストレス誘導剤の存在下で低細胞密度の細胞に試験薬剤 を投与し、そして上記細胞のアポトーシス的死亡をモニターすることを含む。本 発明に従って、細胞のアポトーシスを誘導する薬剤を測定するための更なるアッ セイは、高血清及び、遺伝子毒性剤、細胞周期停止剤又はストレス誘導剤のうち 少なくとも1つの存在下で高細胞密度の細胞に試験薬剤を投与し、そして上記細 胞のアポトーシス的死亡をモニターすることを含む。 これらのアッセイを使用して同定される新規薬剤は、アポトーシス誘導でこれ らのアッセイを使用して同定された既知の試薬の使用と同様に、本発明の更なる 特徴を形成している。これらのアッセイは、慣用されている放射性薬剤又は化学 療法剤に対する癌細胞の耐性を克服し得る薬剤を同定する能力を有している。 本明細書で使用するとき、表現「細胞周期停止剤」は、細胞周期の特定の段階 で増殖停止を誘導する薬剤を言う。有糸分裂内での増殖停止の誘導は、有糸分裂 の段階特異的形状、例えば中期の形状で、凝縮した染色体を有する細胞数の増加 を観察することによってモニターすることができる; 他の細胞周期段階での増殖 停止は、例えば、DNA中へのブロモデオキシウリジン又は三重水素化チミジン の取り込みの減少によって又は例えば増殖細胞核抗原(PCNA)若しくはKi6 7のような増殖に関連した抗原マーカーの発現の減少によって評価することがで きる。有糸分裂内での抑制を誘導する薬剤の例にはメチル[5-(2-チエニルカル ボニル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル]カルバメート(ノコダゾールとして知 られている)及びタキソール(Taxus brevifoliaから)が含まれる。 本発明の薬剤は単独で或いは、互いに又は化学療法剤若しくは照射剤又は細胞 周期停止(同調化)剤と組み合わせて又はコンプレックスを形成させて使用する ことができる。アポトーシス的効果は、本発明の薬剤を通常は致死未満か又は通 常は死亡から守る条件下の投与量で照射剤若しくは化学療法剤の致死未満の投与 量と一緒に使用するとき、組織培養物中の細胞で見られる。同様な相乗効果はin vivoでの腫瘍細胞で予期され、そしてこれは本発明の薬剤を単独投与した場合 より腫瘍環境に依存性であるようには思われない。この方法も治療効果を達成す る可能性を有しており、患者に対する毒性は少ない。 デルタアゴニストは以下で記載する投与量及び適用様式に依存してアポトーシ ス的効果を救済するか又は強める役割を有しているように思われる。それ故、上 記アゴニストは本発明の薬剤と組み合わせるのに適する薬剤であるように思われ る。 所望の効果を生じさせるのに必要な種々の薬剤の投与量は使用される特定の薬 剤、状態の性質及び必要な効果の正確な性質に依存する。どの特定の場合にも適 当な投与量は医者によって決定されるであろう。 上記した薬剤は、治療法、例えば悪性腫瘍の治療に使用するとき、製薬的に許 容可能な担体又は賦形剤と組み合わせた組成物の形態で適切に適用される。この ような担体の例には水や生理食塩液のような液体及び固体担体が共に含まれる。 既知の処方及び方法に従って、本治療薬剤の種々の投与方法を使用することが できる。投与は全身又は標的化であることができ、そして後者は標的細胞への治 療薬剤の直接(例えば、局所的)適用を使用するか又は抗体若しくは細胞特異的 リガンドのような標的化系を使用する。標的化は多様な理由により望ましいと思 われる; 例えば、薬剤が許容できないほど毒性である場合、又はそうでなければ 投与量が多すぎる場合、又はそうでなければ標的細胞に入ることができない場合 。 これらの薬剤を直接投与する代わりに、例えばウイルスベクター中で、細胞内 に導入されたコード遺伝子からの発現によってこれら薬剤を標的細胞内で生成さ せることができよう(VDEPT技術の変法 − 以下参照)。治療すべき特定の細 胞にベクターを標的化することができるか、又はベクターは標的細胞によって多 かれ少なかれ選択的に切り換えられる調節要素を含有することができよう。 或いは、治療すべき細胞内で生成されるか又は該細胞に標的化される活性化薬 剤によって活性形態に変換させるため、薬剤を前駆体形態で投与することができ よう。このタイプの手法はときにはADEPT又はVDEPTとして知られてお り; 前者は細胞特異的抗体に抱合させて細胞に活性化剤を標的化することに係わ っており、一方後者は、ウイルスベクター内でコード化DNAから発現させてベ クター内で活性化剤、例えば酵素を生成させることに係わっている(例えば、E P-A-415731及びWO90/07936参照)。 上記で簡単に述べたように、本発明はまた眼の水晶体細胞におけるアポトーシ スの誘導及び白内障手術においてこれを適用することにも関係している。 白内障の眼の水晶体切除手術を受けるヒトにおいて、主要な合併症は取替えた 眼内水晶体の後面及び前面での細胞の再増殖及び分化である。 白内障は世界中の盲目の主要原因であり、第三世界で最も発生率が高い。加え て、白内障の発生率は老齢者でより多く、5%(52〜64歳)から18%(65〜74歳 )そして46%まで(75〜80歳、Kahn等、1977年、Am.J.Epidermiology、106、1 7〜27)増加している。白内障切除手術は、眼科入院の主要原因であり、そして 全体で6番目の最も一般的な大手術である(Bloemendal等、Biochemie des Anges (Hockwin O.,編集)Erike Verlag、Stuttgart(1985年)、82〜109)。白内障手 術は水晶体の完全切除か又はより一般的な水晶体被膜の開口、及び水晶体内容物 の除去に係わっている。これには、線維細胞(これが水晶体の大部分を形成する )の大部分及び前部上皮細胞の大部分が含まれる。これは水晶体被膜袋を空にし 、そしてその中に人工水晶体(又は眼内水晶体)を入れて患者の視力を矯正する ことができる。移植組織は被膜内に位置させるか又はループで虹彩上に支持し移 植組織を被膜袋内に保持することができる。 被膜外抽出(即ち、水晶体内容物を取り出して被膜袋を残す)後の最も一般的 な合併症は、眼内水晶体が適合しているかどうかに関係なく、移植組織の混濁化 である。これは移植組織の前面における細胞の増殖又は他の壊死組織片の存在か ら生じる。しかしながら、より一般的には、混濁化は後部被膜での細胞の増殖か ら生じる; 後発白内障として知られている。この再増殖は移植組織を被膜内に置 いた場合、全ての被膜外手術(40〜50%)と比較して、さほど一般的ではない( 症例の9〜18%)。後発白内障は、後部被膜の水晶体周辺から得られる残存上皮細 胞の派生物から生じると考えられる。これらの細胞は被膜にしわを生じさせ、そ して線維細胞にも分化して、エルシュニッヒ真珠体と呼ばれる細胞クランプが形 成される(Sveinsson、1993年、Acta Ophthamologica、71、95〜98)。いずれの場 合にも、結果は移植組織の混濁化であり、患者の明確な視覚がなくなる。これは 、第二の移植組織によって又はレーザー治療によって矯正することができ、後者 は通常更に合併症を生じさせる。 正常な水晶体の上皮細胞はプログラム化された細胞死又は発育早期中でのアポ トーシスを自然に経験する(Ishizaki等、1993年、J.Cell Biol.、121、899〜9 08)が、これは縫合線(成熟線維細胞が交わる点)上の中心上皮に限られている 。成人では、アポトーシス的上皮細胞は白内障患者を除いて非常に稀である(Li 等 m 1995年、J.Cell Biol.、130、169〜181)。実際、白内障患者は酸化的スト レスや紫外線のような一般的に遭遇する水晶体傷害に対する防御機構に欠陥があ るということが示唆されている。これらは上皮細胞のアポトーシスに導きそして 白内障を開始させることがある。水晶体細胞のアポトーシス的傾向を利用して眼 内水晶体移植組織から夾雑する上皮(及び他の)細胞を除去しそしてその結果混 濁化を防止することは有利であろう。 本発明の特別の実施態様では、白内障手術後の移植組織上での増殖や分化を防 ぐために、哺乳動物細胞のアポトーシス誘導剤が眼内水晶体の被覆物又は付加物 として使用される。この処置は、これによってこのタイプの移植組織で既に証明 されている細胞増殖に対する制限が強められるので、被膜内移植組織に対して特 に効果的である。しかしながら、これら及び他の移植組織の前面処置は移植組織 前面での線維芽細胞のような細胞の増殖を阻止するであろう。被膜内移植組織に 対するアポトーシス誘導因子は眼の残部には接近しそうにないので、網膜及び角 膜のような他の眼組織には影響を与えないであろう。実際、処置は生存上皮細胞 に遭遇すると思われる被膜の前縁及び後部 − これらは共に被膜袋で覆われた領 域である − のような領域に限定することができよう。 この処置形態で使用できる薬剤には次のものが含まれる: i)エトポシド、スタウロスポリン及びマイトマイシンCのようなDNA 損傷剤; ii)過酸化水素及びジアミドのような細胞に酸化的ストレスを生じさせる 薬剤; iii)イオノマイシン、カルシマイシン(A23187)及びタプシガルギン(t hapsigargin)のような細胞内カルシウムを高める薬剤; iv)TGFβのような細胞にアポトーシスを経験させる増殖因子; v)ガラクトース及びグルコースのような細胞内糖値を高める薬剤; vi)オピエートレセプターsを介して作用する薬剤、そして特にデルタオ ピオイドレセプターに関係があるか若しくはこれと同一のレセプター(単数又は 複数)でアンタゴニストとして作用する薬剤、又はナルトリンドール及びU5048 8のようなカッパオピオイドレセプターに関係があるか又はこれと同一のレセプ ター(単数又は複数)でアゴニストとして作用する薬剤; vii)メチルフルドニゾロンのようなグルココルチコイド; 及び viii)トキソール、コチニン、アフィジコリン、ノコダゾール、ビンブラス チンのような細胞分裂及び細胞周期からの進行を妨げる薬剤; viii)プロエンケファリン又はそのタンパク質分解誘導体を中和し得る薬剤 ;又は ix)核プロエンケファリン及び/又はその誘導体のレベルを高める薬剤、 又はこれらを活性化するか若しくはこれに似た薬剤。 これら薬剤の組合せ物は単独で使用したときより有効であると思われる。例え ば、組み合わせて使用されるナルトリンドールやU50488のような薬剤は致死未 満の投与量で水晶体細胞のアポトーシスを誘導することが示されている。実際、 このような組合せ物は水晶体細胞以外の細胞が遭遇する状況下で、例えば虹彩支 持移植組織に選択性を付与する。 これらの医薬品は他の非分化細胞を殺害するのに有効であり、一方、例えば網 膜に見られるような完全に分化した細胞には影響を与えないことが示されている 。水晶体から誘導される上皮細胞は非分化細胞であるので、これら細胞は後部被 膜に移る機会を得て線維細胞(エルシュニッヒ真珠体)に分化する前に殺される 。 上記したように、ラフ(1992年、Nature 356、397〜400; Raff等、1993年、Sc ience 262,695〜699)は、アポトーシスによる哺乳動物細胞の死亡を防ぐため にはこれら細胞は全て周囲細胞から得られる因子を必要とすると提案している。 モデル系として水晶体を使用して、彼は少なくともin vitroで水晶体上皮細胞が 生存するためにはこのような因子が必要であることを証明した。実際、これらの 細胞は個々の寿命を生きているので、これら細胞には高水準の生存因子が必要で あろう。 生存因子はオートクリン因子として周囲細胞から又はエンドクリン若しくはパ ラクリン因子として血清から誘導することができる(Ishizaki等、1993年、J.Ce ll Biol.121、899〜908)。しかしながら、多数の増殖因子を試験したにも拘わ らず、幾つかの因子は水晶体に対して作用しそして幾つかの因子は作用しないこ とが知られ、彼は水晶体細胞の生存に必要な因子(単数又は複数)を同定するこ とができなかった。 プロエンケファリンに対して生じさせた抗体を使用して、本発明者は以下の実 施例で説明するように水晶体細胞のアポトーシスを防ぐために必要な少なくとも 1つの因子を同定したと考えている。プロエンケファリンは、免疫蛍光顕微鏡検 査法及び免疫ブロット法で判定されるように、水晶体、特に無核線維細胞に非常 に豊富に存在する。かくして、上記したプロエンケファリン又はその誘導体に基 づくアポトーシス誘導剤が特に適当であると思われる。 それ故、本発明者が推定上のプロエンケファリンレセプター(ナルトリンドー ル及びU50488)と相互作用すると考えている2つの医薬品は培養物中の水晶体 上皮細胞でアポトーシスを誘導することが見い出されたが、それらの効果は例え ば、形質転換細胞系より顕著でない。他の薬剤、例えば、エトポシド、スタウロ スポリン、マイトマイシンC、過酸化水素は他の細胞タイプでアポトーシスを誘 導する。TGFβも培養物中の水晶体上皮細胞でアポトーシスを誘導する。継時 露出ビデオ顕微鏡法を使用すると、エトポシド、スタウロスポリン、マイトマイ シンC、ナルトリンドール及びU50488は水晶体上皮から誘導される多数の細胞 系でアポトーシスを誘導することが示されている。これらにはウサギ水晶体細胞 系( NN1003A、Reddan等、1986年)及びマウス水晶体細胞系αTN4(Nakamura等 、1989年)のような両細胞系並びにウシ水晶体から誘導された初期水晶体細胞が 含まれている。これらの化合物から誘導されたアポトーシスからの保護は、細胞 を高血清又は高細胞密度でインキュベーションすることによって可能であった。 水晶体細胞はこれら化合物に対して、多数の腫瘍由来の細胞系(例えば、HeLa 細胞)より耐性であったが、これら水晶体細胞はアポトーシス誘導化合物の組合 せ物によって容易に殺害された。 以下の説明において、添付図面を参照する。 図1はコンピュータにより作製された並列されたオピオイドレセプターとソマ トスタチンレセプターのヒドロパシープロットの比較である。 図2は過酸化水素およびスタウロスポリンで処理されたCHO細胞とCHO: :PE細胞を比較する位相差顕微鏡写真を示す。 図3はPEmAbの存在する場合(右側のパネル)と存在しない場合(左側の パネル)におけるMRC−5、HeLaおよびMDA468の細胞の蛍光顕微鏡写 真を示す。細胞は核の特徴を示すために核酸染料のヨウ化プロピジウム(PDI )で染色され、内因性プロエンケファリン(PE)染色を示すためにチャレンジ 抗体が洗い流された後でPEmAbで染色された。パネルDおよびFは致死以下 の影響を受けた細胞を示す。パネルG、HはmAb処理後に明らかにアポトーシ ス的なHeLa細胞を示す。 図4は抗プロエンケファリン免疫グロブリンH鎖可変ドメイン遺伝子によりコ ードされた部分アミノ酸配列を示す。 図5は抗プロエンケファリン抗体により認識されたエピトープが示されるプロ エンケファリンのアミノ酸配列を示す。 細菌に発現された組換え体のプロエンケファリンに対する一連のモノクローナ ル抗体を使用することに基づいた、一連の実験において、以下の事が注目された 。 (1)3T3の乏しいおよび3T3細胞が高密度に維持された血清中の細胞質プ ロエンケファリンのアップレギュレーション。 細胞質のプロエンケファリンは外因性の生存因子が欠乏すると3T3細胞中で 調節力が高められることが判明したが、これは内因性のプロエンケファリンが外 因性生存因子シグナルの減少を補うのかも知れないことを示唆している。さらに 、プロエンケファリンは主として核タンパク質として非形質転換Swiss3T 3細胞(Bottger ans Spruce,J.Cell Biol.1995 inpress)を増殖させる場合 に存在するが、それは細胞が成長して高密度に維持されると細胞質の調節力を増 大することも判明した。公開試料は、高密度の細胞は多くの理由によりアポトー シスに抵抗することを示している。発明者らは、高密度3T3細胞は酸化物損傷 によるアポトーシスに対する耐性が低密度3T3細胞より実質的に優れており、 その保護性は主として非拡散性シグナルに由来することを発見した。資料を集め てみると、高密度細胞は非拡散性因子により細胞の高密度で活性化された経路上 のプロエンケファリンの調節力増大または活性化により酸化物損傷から保護され ると思われる。次に、プロエンケファリンが細胞系のその遺伝子を過剰発現させ ることにより生存を促進したかどうかを調べるためにテストが行われた(以下の 具体例参照)。 (2)星状細胞中に存在するプロエンケファリン 出願人は蛍光抗体法によりプロエンケファリンが(血清に保持された)星状細 胞の細胞質中にin vivoおよびin vitroで存在することを示した(Spruce et al. ,1990 EMBO J 上記)。他の実験室でも、未処理のプロエンケファリンがエンケ ファリンペプチドに細胞外開裂を引き起こす処理酵素と共に星状細胞から放出さ れることを確認した(序論参照)。星状細胞は神経の損傷または病気に反応して 一生増殖するように準備されている細胞である。出願人は、これらの細胞は外因 性の生存因子からのシグナルを受けることと死ぬかまたは増殖するかどうかの決 定することを結び付けることから解放される必要があるかも知れないと推論した 。このおかげで、外因性の生存因子が限られている場合でさえも神経の損傷に反 応して増殖することができるのだろう。これは悪性に形質転換する傾向が増大す ることと関連していることが予測され、星状細胞が脳腫瘍を引き起こす最も一般 的な細胞のタイプであるので、事実その通りのようである。星状細胞中のプロエ ンケファリンの存在は、これらの細胞が成長環境とは無関係な増殖に対する正常 なアポトーシス保護手段を無視できる自律的な生存優位性を与えているのかもし れない。 (3)目の水晶体に存在するプロエンケファリン 既に説明したように、Raffは水晶体の細胞の生存は確認される必要がある オートクライン因子に依存することを提案した。蛍光抗体法およびイムノブロッ ティング法は、抗プロエンケファリン抗体を使用し、プロエンケファリンおよび /またはプロエンケファリン由来のペプチドが水晶体中に明らかに高濃度で存在 することを示した。これは、プロエンケファリンおよび/またはその生成物が外 因性の生存因子を供給が欠けている水晶体細胞を保護するためにオートクライン 生存因子として作用していることを示している。一定の割合のプロエンケファリ ンおよび/またはその高分子量開裂生成物は蛍光抗体法によると水晶体の内部の 細胞表面の膜に結合されているようである。水晶体からの膜画分をイムノブロッ ト解析により、一定の割合のプロエンケファリンは膜に結合されている可能性が 支持された。従って、プロエンケファリンおよび/またはその高分子量分裂生成 物は放出後細胞表面レセプターに結合しているようである。さもなければ、水晶 体にはほとんど細胞外空間がないので、プロエンケファリンは放出されないが、 膜に結合されたままになっていて、機能ドメインの細胞外暴露により細胞外に生 存作用を及ぼすかも知れない。さらに、抗プロエンケファリン抗体を使用する膜 画分のイムノブロット解析により、プロエンケファリンの複数の高分子量分裂生 成物の存在が示されると思われる。これはプロエンケファリンの分裂は膜結合エ ンドプロテアーゼの作用により発生する可能性を高める。 (4)プロエンケファリンは3T3細胞の自発的な形質転換が行われる間に密度 依存性シグナルから切り離される。 非形質転換3T3細胞を増殖する場合に、プロエンケファリンが主として核タ ンパク質として存在する(Bottger and Spruce 1995 J.Cell Biol in Press) 。もし3T3細胞が高密度になると、細胞質プロエンケファリンは正体をあらわ し て、その活性を表す。もし3T3細胞が低密度の血清中で高密度に維持されると 、自発的な形質転換が促進される。細胞が足場非依存性を獲得すると、細胞質プ ロエンケファリンの免疫染色はさらにアップレギュレートされる。明らかに形質 転換した状態に進行した細胞の場合、細胞質プロエンケファリンは低密度に成長 した細胞中で正体を現したままである。従って、プロエンケファリンは自発的な 形質転換中には密度依存性シグナルから切り離されてしまっている。 通常は、細胞がその外因性生存信号供給を上回ると、細胞の自殺が引き起こさ れる。プロエンケファリン依存性生存優位を獲得することにより、細胞は足場非 依存性になり、それによって減少した細胞・細胞接触性または細胞・基質生存性 シグナルまたはさらに少ない量の短い範囲の溶解性生存シグナルを受けると、細 胞の生存能力を増加させるかもしれないと考えられた。予測されることは、これ が腫瘍の発達に寄与しているのだろうということである。 (5)アポトーシス性細胞におけるin vivoおよびin vitroでのプロエンケファ リンの細胞質のアップレギュレーション。 アポトーシス(細胞消滅)のin vivoモデル(アンドロゲン欠乏げっし目動物 の前立腺およびコルチコステロイド処置された胸腺)において、アポトーシスの 典型的な特徴を有する細胞ではプロエンケファリンのアップレギュレートされる 。これは組織の部分の免疫組織化学分析において抗プロエンケファリン抗体を使 って発見された。そのアップレギュレーションはDNA損傷薬剤、紫外線照射に より、またはトランスフェクションされたc-myc遺伝子の導入によりアポトーシ スになるように誘発された組織培養の細胞において出願人が確認した。確定した アポトーシス性細胞におけるプロエンケファリンの調節力増大は、最終的な細胞 の自主的救助の試み、もしくは全体的な組織の回復を促進する周囲の致死以下の 損傷を受けた細胞の生存を促進するアポトーシス細胞の試みのいずれかを反映し ていると思われる。 (6)有糸分裂細胞および減数分裂細胞におけるプロエンケファリンのアップレ ギュレーション。 有糸分裂全過程での有糸分裂細胞において免疫染色するプロエンケファリンの 著しい拡散のアップレギュレーションが観察された。この染色は濃縮された染色 体から除外され、さらに分泌小胞のような性質を有することがよくある(未発表 のデータ)。出願人は、有糸分裂細胞のプロエンケファリンの調節力増大は、ア ポトーシス過程で二重の役割を果たす有糸分裂キナーゼが活性化される場合に、 細胞のサイクルの無防備な段階で生存因子の調節力増加を反映しているかも知れ ないと推論した。出願人および共同研究者らは減数分裂(精子形成)細胞の核お よび細胞質においてもプロエンケファリンの調節力が増大したことに気付いた。 (7)致死量以下のDNA損傷薬剤または紫外線照射を受けた細胞におけるプロ エンケファリンの細胞質アップレギュレーション。 プロエンケファリンの調節力がアポトーシス性細胞において増大するという発 見に続いて、この調節力増大がアポトーシスを誘発したDNA損傷および/また はストレスに派生的に起こるかどうかを決定するために調査が行われた。繊維芽 細胞(10%の牛の胎児の血清を含むDulbeccoの変性されたEagle培地 DMEM におい て培養した3T3細胞)は、紫外線照射またはDNA損傷薬剤エトポシドおよび ミトマイシンで処理したところ、初期に、アポトーシスの開始に先立ってプロエ ンケファリンの副核組織化に同時性変化を示している。アポトーシスの開始は非 同時性であるので、両者の間に関連はないと思われる。 この一連の実験からの最も素晴らしい観察は、致死以下の障害を受けた細胞に おけるプロエンケファリンの顕著で、一時的な細胞質のアップレギュレーション であった(核のアップレギュレーションも伴うときもあった)。この反応は紫外 線照射線量を低下させた場合または細胞密度を高めた場合に早く発生する。特に 、紫外線線量50ジュールm-2で処理され低密度で培養された細胞は7日くらい経 ってからこの反応を示す。さらに高い密度で培養された細胞はこの反応をずっと 早い時期に、だいたい1日くらいで示す。密度を上昇させ、紫外線線量を低下さ せ(25ジュールm-2)て処理された細胞は約12時間で細胞質の調節力増大を示す 。これは致死以下の障害を受けた細胞に「生存反応」をもたらすのかもしれない。 細胞は密度を高めると、必ずしもオピオイドのような因子ではないが、細胞内生 存反 応をシグナルで知らせる、分泌されたまたは非拡散性の生存因子の効果によりさ らに早く救助される。 融合性の(濃厚な)Swiss3T3細胞も薬剤エトポシドに曝されたが、濃 度50μMでDNAの損傷を引き起こした。以上の条件下で、アポトーシスの証拠 はないが、プロエンケファリンの初期における(約8時間で)細胞質および核の 調節力増大はめざましいものである。対照的に、10μg/mlのDNA損傷薬ミトマ イシンを融合性3T3細胞に投与すると、細胞の大部分は40時間以内にアポトー シスを引き起こす。確定したアポトーシスの細胞においてプロエンケファリンの 調節力増大は非常に遅く中位の程度である(他のアポトーシス系におけるプロエ ンケファリンの調節力増大と一致している)が、非アポトーシス系細胞には調節 力増大は見られない。出願人は、これは破減的な障害に面して救助の試みを成功 させるのに失敗したことを反映していると推論する。 致死以下の損傷を受けた細胞においてプロエンケファリンの細胞質調節力増大 の優れた特徴の一つは、それが小胞体に明らかに同時分布(co-distribution)さ れることであり、この細胞下の区切りのマーカーである”KDEL”モチーフに 対する抗体で同時免疫染色(co-immunostaining)することにより確認される。同 様の分布が、過酸化水素または熱ショックを受けた細胞にも見られた。この細胞 下の分布はbcl-2細胞内生存分子の場合と類似しており(Jacobson et al.,1993 Nature 361,365-369)、細胞内のプロエンケファリンがこのタンパク質と相互 作用している可能性が高い。この分布におけるプロエンケファリンの調節力増大 は細胞の密度が高いほど早く発生するが、これはオートクライン生存因子が細胞 内プロエンケファリンの調節力増大を誘導していることを示唆しており、これは 外因性生存信号による細胞内bcl-2の周知の調節力増大に匹敵する。致死以下の 損傷を受けた細胞のその後の分析によると、プロエンケファリンも分泌小胞様分 布状態に配置され、プロエンケファリンもそれ自体細胞外または細胞表面膜に結 合された生存因子であることを示唆している。 以上述べた観察により本発明の明確な記述が導き出されたのであり、その証拠 は以下に要約される: 1.プロエンケファリンはアポトーシスの細胞密度依存性抑制を媒介する経路に 関係する。 高密度の非形質転換3T3細胞のオキシダント損傷に対する耐性は低密度の細 胞より実質的に優れている。高密度細胞由来の調整された媒体は低密度細胞に保 護性を移すことはできない。従って、高い細胞密度でオキシダント損傷から保護 されるのは主として非拡散性の因子に由来するものであるが、超不安定ショート レンジ溶解性因子由来の追加の保護性も無視できない。3T3細胞が高密度に成 長すると、細胞形質のプロエンケファリンが正体を現すが、これはプロエンケフ ァリンの活性化を反映しているようである。プロエンケファリンの免疫染色は細 胞がほとんど致死的な酸化性のまたは遺伝子毒性の損傷を受ける場合に大幅に一 時的な調節力の増大をもたらすが、反応は高い細胞密度で促進され、生存の成果 を予測できる。要するに、これらのデータは、プロエンケファリン依存性アポト ーシス抑制は少なくとも一部は高い細胞密度で活性化された経路または非拡散性 因子により媒介されることを示している。このような経路の不適当な活性化が細 胞をその環境から切り離し、腫瘍形成へ寄与することが予測される。 2.過剰発現された細胞質プロエンケファリンは死のプログラムを遂行する最終 経路に近いアポトーシスのリプレッサーである。 プロエンケファリンが細胞をアポトーシスから守るかどうかを直接試験するた めに、プロエンケファリンが安定な遺伝子転写の後に過剰発現される2種類以上 の細胞系が研究された。これらの細胞系において、過剰発現されたプロエンケフ ァリンは例えば過酸化水素やキナーゼ阻害剤スタウロスポリンなどのオキシダン トにより誘発されるアポトーシスから細胞を保護する。これらの細胞において、 トランスフェクションされた遺伝子生成物が小胞体の部位に蓄積するが、一部は また分泌経路へと進む。対照細胞個体群に比べてトランスフェクションされた細 胞のアポトーシス抑制は多数のパラメータを使って確認された。プロエンケファ リン過剰発現細胞がアポトーシスから守られることは確認されている。 スタウロスポリン誘発のアポトーシスから保護されることが確認されたという ことは、プロエンケファリンはアポトーシスの一般的な抑制体(リプレッサー) であり、上流の遂行前の時点よりむしろ死のプログラムを実行する最終経路の近 くで作用することを示している。様々なタイプの細胞は、新しいタンパク質合成 阻害剤の効き目が及ばないスタウロスポリンで誘発されるアポトーシスを受け易 い。従って、スタウロスポリンは本来備わっている死のプログラムを実行し、全 ての細胞ではないとしてもほとんどの場合構造的に適所にある組織を構成しまた はそれと相互に作用する分子に作用している。 遺伝子毒性およびオキシダントで誘発されるアポトーシスから細胞を保護する プロエンケファリンは、環境の障害の結果として確認された遺伝子損傷に反応す る細胞の自殺を防ぐかもしれないことを示している。これは腫瘍形成の初期の段 階にプロエンケファリン依存性経路のあることを意味していると思われる。 全ての細胞は細胞外の生存信号を奪われると、誤って実行する本質的に備わっ ている死のプログラムを持っているようである。プロエンケファリンが細胞外生 存信号の必要を無視する細胞を助けるかどうかを試験するために、細胞質のプロ エンケファリンが安定して過剰発現された細胞を低密度で溶解性生存因子なしで 培養した。多くの細胞のタイプとは異なり、プロエンケファリン過剰発現細胞は これらの条件下で自己の生存を支えることができた。出願人は、プロエンケファ リン過剰発現細胞が生き残ることができるかどうかを試験するために、外因性信 号化分子を単一細胞として単離することにより完全に取り除き続けた。いくつか のプロエンケファリン過剰発現細胞が長期間にわたり生き続けている。これらの 結果から、プロエンケファリン依存性経路の過剰な活性化は細胞が外因性生存信 号化の必要性を無視するのを助け、従って腫瘍の進行と転移の拡大に寄与してい ることを示している。従って、この結果は、プロエンケファリンが3T3細胞の 自発的形質転換の間に密度依存性信号から切り離されることを示したデータから 得られた予測、すなわち、プロエンケファリンは腫瘍の発達に寄与するという予 測が確かなものであることを証明している。 かくて、アポトーシスを抑制するプロエンケファリン依存性経路の調節力の欠 如は腫瘍形成の初期および後期に密接な関係がある。 3.形質転換細胞において、プロエンケファリンおよび/またはその生成物は生 存と死の釣合を変える細胞外または細胞表面膜結合因子として作用する。 精製された抗プロエンケファリンモノクローナル抗体を細胞外投与すると、頚 部癌(HeLa)および胸部癌(MDA468)を含む培養された腫瘍細胞にアポトーシスを引 き起こす。しかし、例えばHRC-5などの非形質転換細胞は影響を受けない(図3 )。細胞が単一の時点で分析されるなら、アポトーシス細胞の数は最大7倍に増 加する。しかし、アポトーシスは短命な過程であるので、アポトーシスを引き起 こす合計の割合は有意となるようである。また、明らかにアポトーシスではない 細胞でさえも、抗体処理されたHRC-5細胞に見られない特徴であるいくらかの収 縮と図に示されるように適度の染色質濃縮を示す。さらに、抗プロエンケファリ ン抗体は有糸分裂進行を妨げるようなので、アポトーシスは細胞生成により妨害 されない。アポトーシス効果は細胞が外因性生存因子を奪われ(低濃度の牛の胎 児の血清の存在下で抗体で挑戦される)、低密度である場合に、最大となる。 以上の所見から、腫瘍細胞は非形質転換細胞よりも放出プロエンケファリンま たは細胞表面膜結合プロエンケファリンおよび/またはその生存用タンパク質分 解生成物に依存していることが明らかである。出願人は、形質転換過程において 多分遺伝の成り行きによりプロエンケファリン依存性生存経路が活性化され、細 胞が不適当な生存シグナルを感知したことを補おうとするあまり代わりの生存経 路または分子の調節力を低下させてしまったかもしれないと推論した。残りの可 能性は細胞外または細胞表面膜結合プロエンケファリンが細胞質のプロエンケフ ァリンに反対の効果を与え、生存より死を媒介することである。従って、細胞表 面レセプターに結合されたプロエンケファリンの抗体媒介架橋結合により、死を 媒介する経路が活性化されるかも知れない。 4.腫瘍細胞は、外因性生存シグナルが減少する場合、または細胞が遺伝毒性障 害、酸化性または他のストレスを受ける場合に、生存のためにデルタオピオイド 様レセプターにおけるシグナルに対する依存度を増大することを示す。 デルタオピオイドレセプター、ナルトリンドール(naltrindole)に優先的に 結合する合成アンタゴニストを細胞外に投与すると、低濃度の血清中で低密度で 培養された腫瘍細胞の100%までに1時間以内にアポトーシスを引き起こす。アポ ト ーシスは高密度で高血清ではさらにゆっくりした速度で進行する。その効果は低 濃度血清で高細胞密度では増大する。効果を達成するために必要とされる薬剤の 投与量はクローンされたデルタレセプター用薬剤の報告された阻害定数より実質 的に高い。これについて考えられる理由は、この化合物が化合するオピオイドレ セプターはデルタレセプター自体ではないが、それに関係があるかまたは未報告 の特殊型であることである。デルタレセプターは腫瘍細胞内で突然変異して、化 合物に対するレセプターの親和性を変化させる。その化合物に対する親和性を変 えることのできる別のレセプターと前記デルタレセプターとの異質オリゴマー合 成が行われる。デルタレセプターとそれに反対の作用をする別のレセプターとを 結合させるが、その場合にアンタゴニストの結合の動力学が重要であり、補うた めの救助を行うには充分な時間がない。 細胞がデルタレセプターアンタゴニスト”DPDPE”および”DSLET” およびナルトリンドールで処理すると、アポトーシスから保護されるかまたはア ポトーシスを促進するかのいずれかが見られる。促進または保護はデルタアンタ ゴニストの投与の量とタイミング次第で決定されるようである。アポトーシス効 果の促進は、他の方式で説明された、レセプターのインターナリゼーションによ りデルタレセプターアンタゴニストの逆説的アンタゴニスト効果と一致する。デ ルタアンタゴニストはそれ自体に対しまたはミューレセプターアンタゴニスト"D AMGO"だけ、またはナルトリンドールと組み合わせてもいずれも全く効果が見ら れない。 選択性の少ないオピオイドレセプターアンタゴニストナロクソン(naloxone) およびナルトレクソン(naltrexone)では、あるとしてもほとんどアポトーシス 効果はない(一過性の”ゼイオチック型(zeiotic-type)”の小水胞(ブレブ) だけである)。これらの薬剤はミューレセプターおよびカッパレセプターと比べ てデルタレセプターに対する親和性が低い。デルタまたはデルタ状のレセプター での拮抗性もカッパまたはカッパ様レセプターでの拮抗性により妨げられるかも しれない(以下参照)。 例えば、紫外線照射または薬剤エトポシドで遺伝毒性損傷および/またはスト レスを受けた細胞は、これらの処理がナルトリンドールと共に投与されると、高 濃度の血清の存在下でさえもDNAの損傷程度が大きくなることを示す。これは 、ナルトリンドールが細胞を遺伝毒性薬剤に敏感にさせることを示している。 従って、デルタまたは関連オピオイドレセプターの拮抗性は、デルタまたは関 連レセプターのアンタゴニストで部分的に防げるかまたは他の時は促進されるア ポトーシスを引き起こす。薬剤ナルトリンドールの活性を増大(最大に)するた めに必要な条件は、デルタオピオイドレセプターまたは関連レセプターが遺伝子 毒性障害に直面した際にまたは細胞の環境の外因性生存因子の量が最適以下であ る場合に細胞の生存を促進することを示している。 5.オピエート様分子はアポトーシス死を促進しオピエート様分子の潜在能力を 是正し自律的生存優位性を与える。 カッパオピオイドレセプターの合成アンタゴニストU50488を細胞外に投与する と、1時間以内に腫瘍細胞の100%までにアポトーシス死を引き起こす。また、低 濃度血清および低細胞密度で効果が(最大に)増大し、これはカッパ様レセプタ ー媒介の死の反応をデルタ様レセプター媒介の生存反応に結合したことを示唆し ている。これに対するさらに直接的な証拠は同時投与されると添加剤効果よりさ らに優れた相乗効果がナルトリンドールとU50488との間に見られることである。 高濃度(10%)牛胎児の血清はデルタアンタゴニスト誘発死よりカッパアゴニ スト誘発死から守る程度を大幅に高める。これは、血清中の外因性生存因子がカ ッパ様レセプター媒介の死の経路の調節力を低下させるが、これを救助するには 最大効果を上げるデルタ様生存レセプターにより連続的にシグナルを送ることを 必要とすることを示している。 U50488とDNA損傷薬エトポシドを同時投与すると、個々に投与した場合には 致死量以下である投与量でもアポトーシス性死を引き起こす。高濃度の血清は、 単独に投与された場合に薬剤ナルトリンドールより薬剤U50488の効果から細胞を 大幅に保護するが、高濃度血清中でU50488とエトポシドを組み合わせて投与する とアポトーシス死を引き起こすのに極めて有効である。従って、薬剤U50488とD NA損傷薬エトポシドなどを組み合わせることは腫瘍の”生存環境”とは無関係 である治療効果を与える潜在能力を有する。 細胞のサイクルを停止状態にする薬剤を使用する、別の組み合わせ治療方法( 細胞サイクル同期化方法)は、薬剤ノコダゾールで予め治療する効果により中期 の有糸分裂中に細胞のサイクルを停止させ、その後でU50488を使用する。細胞の 密度が高い場合でさえも、これらの2つの薬剤がこのように投与されると、著し いアポトーシス効果がみられる。 要するに、これらのデータは、カッパ様オピオイドレセプターは死を媒介し、 この経路はデルタ様オピオイドレセプター媒介生存経路に結合されることを示し ている。カッパ様レセプターの死の経路のアゴニスト活性は外因性生存因子の奪 取、遺伝子毒性損傷または細胞周期停止(同期化)に直面すると増大する。これ は潜在的に危険な自律性生存優位性を細胞に与える(デルタ様オピオイドレセプ ター)生存経路の活性化に反応して死の経路の調節力増大を補おうとすることを 反映しているかもしれない。 6.腫瘍細胞は抗プロエンケファリン抗体およびオピエート様レセプターリガン ドに対してさらに高い感受性を示す。 抗プロエンケファリン抗体、ナルトリンドールおよびU50488は全て非形質転換 細胞と比べて腫瘍に対するアポトーシス効果が高い。抗プロエンケファリン抗体 は(死亡する)MRC-5細胞(ヒト胎児性繊維芽細胞)に対する効果を示さず、例 えば3T3およびRat-1細胞などの不死化(非形質転換)繊維芽細胞に対してだ けこれらの細胞が予め血清欠乏を受けた場合に効果を示す。 ナルトリンドールおよびU50488は HeLa(頚部癌)、MDA468(胸部癌)、A431 (外陰部癌)、Hep(頭および首の偏平上皮癌)および以下の卵巣癌系、CH1、PX N94、SKOV-3、A2780の全てを含むこれまでに試験された全てに癌細胞系の培養組 織にアポトーシスを引き起こす。しかし、感受性が異なり、化合物の一方に好ん で反応するものもある。対照的に、両方の薬剤とも水晶体から単離された細胞の 第一培養組織などの非形質転換細胞に対する効果は弱い。さらに、増殖中は、組 織培養で分化されなかった筋肉細胞は両方の薬剤に感受性が高いが、分化した後 では両薬剤に対して耐性を有するようになる。 7.核を標的にしたプロエンケファリンの過剰発現はある種の細胞にアポトーシ ス死を引き起こす。 トランスフェクションされたプロエンケファリンは核酸が突然変異を起こして シグナルペプチド配列(PE△SS)を除去する場合、または正常なATG翻訳開始コ ドンが突然変異を起こし(PE ATC)、翻訳がコドン下流から強制される場合、核 を標的にすることができる(Bottger and Spruce 1995,J.Cell Biol.In Pres s)。COS細胞はプロエンケファリンの核過剰発現に耐性を有するが、3T3 細胞は耐性を持たない。これはCOS細胞にSV40ラージT抗原が過剰発現する ことによるものであり、そこでp53機能が不活性化されると思われる。核のプロ エンケファリンにより死が引き起こされるにはp53機能を必要とするかどうかを 試験するために、p53の温度感受性突然変異体の形を潜ませているC6げっし目動 物の繊維芽細胞が細胞質(PE+SS)または同じく核(PE△SSおよびPE ATC)を独 占的に標的とする生成物を暗号化しているプロエンケファリンcDNAで一時的 にトランスフェクションされた。37℃で、p53がその突然変異体であり、従って 不活性のコンホーメーション・トランスフェクションされた細胞がいくらか収縮 しているようであるが、生存能力がある。対照的に、32℃では、p53は野生型の コンホーメーション状態であり、非常に僅かなトランスフェクションされた細胞 が見られ、これらはアポトーシスの様子を示している。安定なC6/ts p53系も生 成されたが、核プロエンケファリンを過剰発現し、その内のいくつかではアポト ーシス性の細胞が37℃でも存在しており、32℃では増加している。これは37℃で 野生型p53機能を保持していることを反映しているかもしれない。37℃で明らか にアポトーシスを示していない細胞は、例えば小核などのDNA損傷の証拠を示 している。これらの実験から、過剰発現された核のプロエンケファリンはDNA 損傷依存性アポトーシスを引き起こすが、少なくとも一部p53にも依存している 。従って、正常なp53機能を保持する腫瘍は前駆アポトーシス剤の特別な標的で あり、この薬剤は核を標的とするトランスフェクションされたプロエンケファリ ンの過剰発現を刺激する。 下記の実施例により本発明を説明にする。 実施例1 過剰発現させた細胞質プロエンケファリンはオキシダント損傷およびスタウロ スポリンにより並びに外因性生存信号の妨害により誘発されるアポトーシスを抑 制する。 3T3細胞に致死量以下の酸化性または遺伝毒性損傷が施される実験は、プロ エンケファリンが活性化された経路で高い細胞密度においてアポトーシスの抑制 を少なくとも部分的に仲介することを示した。プロエンケファリンが細胞生存を 促進するかどうかを直接試験するために、トランスフェクションしたプロエンケ ファリンcDNAである安定な系統を試験した。これらの系統ではトランスフェ クションしたプロエンケファリンはもっぱら細胞質中に局在している。3T3細 胞は、安定なトランスフェクション工程に対して比較的耐性があるため、他の細 胞型が選択された。 メトトレキサート中での階的な増加によるジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子と の同時増幅によりプロエンケファリンを高水準で過剰発現するチャイニーズハム スター卵巣細胞(CHO::PE)を、非トランスフェクションCHO細胞と、 それらが過酸化水素およびスタウロスオリンを含む試薬により誘発されるアポト ーシスに耐える能力に関して比較した。細胞を2mM過酸化水素で処理し、そし て細胞生存を時間経過にわたり評価した。細胞生存率を反映するデヒドロゲナー ゼ活性の標識としてのテトラゾリウム染料MTT転換の集団細胞光度計検定、ア ポトーシスの核の特徴を表すための核酸染料ヨウ化プロピジウムで染色されたア ポトーシスの数値スコアを含む多数のパラメーターが使用された。CHO::P E細胞では、24時間の期間にわたるMTT転換における初期衰退があるが、こ れは、MTT転換が記録不能になるCHO細胞の中より実質的に少なく、CHO ::PE細胞は生存し続けるがCHO細胞の全集団は事実上死亡する。図2(上 部パネル)は過酸化水素(H22)の存在下または不存在下における48時間に わたるCHOおよびCHO::PEの位相差顕微鏡写真を示しており、48時間 でCHO細胞の大多数は死んでいるが、CHO::PE細胞は生存しておりそし てそれらの生存率は少なくとも7日間ずっと持続される。 CHO::PE細胞がアポトーシスの別の誘発剤であるスタウロスポリンに耐 える能力も試験した。スタウロスポリンは新たな蛋白質合成とは独立してアポト ーシスを誘発する蛋白質キナーゼ阻害剤であり、従ってそれは死滅プログラムを 実施する最終的な経路と関連して作用し、その分子は全ての細胞ではなくても大 部分は適切に構成されている。CHOおよびCHO::PE細胞を5μMスタウ ロスポリンに数日間露出させると、CHO細胞の全集団において死滅を誘発した が、CHO::PE細胞は生存しており、そして細胞過程であるスタウロスポリ ンの認識された効果が延長された。図2の下部パネルはスタウロスポリン(ST S)処理の前後3日間のCHOおよびCHO::PE細胞を示している。 これらの実験は、細胞質中のプロエンケファリンの過剰発現が全ての死滅経路 に共通な焦点に密着したアポトーシスを抑制し、従って広範囲のアポトーシス誘 発剤に対する耐性付与に有効であるらしいことを示している。プロエンケファリ ンが外因性生存信号を妨害される細胞を保護するかどうかを試験するために、C HO::PE細胞を低密度で低血清条件下で成長させ生存を見いだした。CHO ::PE細胞が外因性生存信号の完全な妨害に耐えるかどうかを試験するために 、細胞を信号用分子の不存在下でテラサキマイクロウェルの中で単細胞として単 離した。ラッフ(Raff)および同僚は、この方法で単細胞として単離されると正常 細胞型の大部分が1日以内に死滅することを示した。プロエンケファリン−過剰 発現細胞の大部分は1〜2日以内に死滅するが小数は6日間までの長い期間にわ たり生存することが見いだされた。これらの実験からの結論は、プロエンケファ リン過剰発現は死滅プログラムを完全に無効にするにはそれ自体では不十分であ るが、それにもかかわらず外因性信号用分子の妨害に抗して改良されることであ る。一部の単細胞中での延長された生存率は、死滅プログラムの抑制に寄与する 別の事象、または対になっている死滅経路の代償的な活性化により妨害されてい ないプロエンケファリンにより仲介された死滅の抑制を反映していることもある 。プロエンケファリン−依存性経路における不規則化が単細胞水準において生存 自律性を与えない場合、向上した生存率は外因性信号における減少に直面した時 にその隣接する細胞より競合的有利性を依然として与えるであろう。 従ってこれらの実験はプロエンケファリンが早期および後期段階における腫瘍 形成に寄与するという予測を支持している。 CHO::PE細胞における保護は、一致するが無関係の遺伝事象を反映する かもしれない場合には、プロエンケファリンが細胞質分布においても齧歯類の神 経膠腫(C6)細胞系統中で誘発性メタロチオネインプロモーター(C6::P E)の調節下で安定に過剰発現される他の細胞系列で試験された。電気穿孔法お よび薬品選択の同一方法を行ってもトランスフェクションされたプロエンケファ リン(C6neo)を発現しなかった対照細胞を、これらの工程が細胞のさらに 強力な集団を非特異的に選択したかもしれない場合に、比較剤として使用した。 C6::PR細胞は、C6neo細胞よりオキシダント−誘発性アポトーシスに 対して実質的に耐性が大きくそして保護は誘発剤であるカドミウムの存在下で増 加する。従って、細胞質プロエンケファリンの安定な過剰発現は種々の細胞型に おいてアポトーシスに対する特異的な保護を与える。 実施例2 抗−プロエンケファリンモノクローン抗体の細胞外投与が腫瘍細胞中でアポトー シスを誘発する。 3T3細胞の自発的形質転換中に、プロエンケファリンは密度−依存性信号か ら対の解除が解し開始され、そして細胞表面上でのその放出および/またはその 表現を示す分泌経路分布をとる。出願人はこれまでにプロエンケファリンが分泌 小胞内に結合された膜を少なくとも部分的に保有していることを示した(上記の Spruce et al.,1988)ため、それは細胞表面上で外的原因になるかもしれない が必ずしもエキソサイトーシスで放出されるものではない。さらに、眼の水晶体 からの証拠は、プロエンケファリンおよび/またはその生成物が結合された細胞 表面結合膜であることを示している。 細胞の外側または細胞膜表面上のプロエンケファリンを中和する効果を測定す るために、精製された抗−プロエンケファリンモノクローン抗体(PEmAbs )を自発的形質転換した3T3細胞に投与し、そして効果の無いことが観察され た。しかしながら、HeLa(頸癌)およびMDA468(胸部癌)を含む癌細 胞系統は、PEmAbsで処理された時にはアポトーシス性細胞数における増加 を示している。FPLC精製抗体を使用すると、生物学的活性は免疫グロブリン ピークと一致した。促進されたアポトーシス誘発が、低血清中でそして低細胞密 度において生ずる。例えば一定寿命のヒト繊維芽細胞(MRC−5細胞)の如き 形質転換されていない細胞ではPEmAbsの効果はほとんどないかまたは全く ないことがわかった。 6〜9μg/mlの範囲内の抗体濃度が典型的にはアポトーシス性HeLa細 胞数における3倍の増加を誘発した(約2%のアポトーシスの基礎水準から抗体 処理後の6%まで)。観察された最大効果はアポトーシス性細胞数における7倍 の増加である。アポトーシスは非常に短期の工程であるため、これらは最適な増 加であるが、所定時間の期間にわたるアポトーシス速度における全体的な増加は 実質的にそれより大きくなるであろう。 アポトーシス性細胞は、しばしば房状で観察された。図3G、Hは低血清中の 精製された抗−プロエンケファリン抗体を作用させたアポトーシス性HeLa細 胞の典型的な房を示している。パネルH(ヨウ化プロピジウム、PI、染色)は 全体的に断片化し、歪み、核濃縮性の核を示している。パネルGは抗−プロエン ケファリン抗体で染色した細胞(作用させた抗体を洗浄除去した後)を示してい る。 これらの実験は、プロエンケファリンがアポトーシス性細胞中で実質的に上方 調節(upregulate)され、そして一般的には縮合したクロマチンから排除されるこ とを示している。プロエンケファリン染色は標識された生物小胞生成も示す。抗 −プロエンケファリン抗体の作用後の非−アポトーシス性細胞の中でも、細胞の 一部に対する「救済」応答を反映していると考えられる細胞内プロエンケファリ ンの上方調節がある(図3D、F参照)。 プロエンケファリン分子上の異なるエピトープに向けられている抗体PE−1 3およびPE−15では生物学的効果が見られるため、その効果は多分プロエン ケファリンの抑制によるものでありそして交差−反応性蛋白質との抗体結合によ るものではなさそうである。このことは、生物学的効果がプロエンケファリンの 免疫枯渇によるものでありそしてプロエンケファリン上の受容体結合部位の遮蔽 によるものでないことも示唆している。 抗−プロエンケファリン抗体により認識されるエピトープを、図4に示されて いる不規則的に発生した配列を含むファージライブラリーを使用して地図作製し た。重鎖抗−プロエンケファリン免疫グロブリン遺伝子の可変領域をクローニン グし、そして15種の抗−プロエンケファリンハイブリドーマ系統からの重鎖可 変領域遺伝子によりコードされたアミノ酸配列が図5に示されている。 抗−プロエンケファリンエピトープのいずれかを認識する抗体、または、図5 に示されている可変領域を含む抗体は、本発明の一部を形成する。 イオン交換EPLCにより精製された抗体が真正の生物学的効果を有するとい う別の確認も得られており、そこでは有糸分裂並びにアポトーシス性細胞におけ る2〜3倍の増加がしばしば観察された。これらの観察は、有糸分裂への導入は あるが有糸分裂における増加はほとんど全てが前期および中期細胞における増加 からなされるため完全な分裂には失敗するかもしれないことを示している。全て の前期および中期細胞はサイクリンB1染色水準を増加させ、それはこれらが有 糸分裂への真正の導入であったことを示している。 有糸分裂進行の失敗を示唆する別の証拠は、アポトーシスおよび有糸分裂の両 者の特徴を同時に示すことがわかった細胞数における増加であり、それは一部の 細胞がアポトーシス性経路への導入によりそれらの有糸分裂を失敗させているこ とを示唆している。しかしながら、有糸分裂特徴がなくアポトーシス性特徴を有 する多くの細胞もあり、それは有糸分裂への導入が他の細胞サイクル段階で起き つつあることも示唆している。 細胞外投与された抗−プロエンケファリン抗体の観察されたアポトーシス効果 は、細胞外または細胞表面の生存因子としてのプロエンケファリンまたはその高 分子量分解生成物の作用と一致する。新たに確立した形質転換細胞と比較した確 立した腫瘍細胞の、生存に関するこれらの分子に対するより大きな依存性は、形 質転換工程中のプロエンケファリン−依存性生存経路の活性化が、細胞による作 用で実際に他の生存分子または経路の下方調節(downregulate)を生じて維持され ている不適切な生存信号を補っている。 実施例3 デルタおよびカッパオピオイド受容体またはそれらに関連した受容体を結合する 合成試薬がアポトーシスを誘発する。 抗−プロエンケファリン抗体のアポトーシス効果に関する一つの説明は、プロ エンケファリンおよび/またはその蛋白質分解生成物が細胞生存を促進する受容 体のところで配位子として作用し、競合拮抗薬によるそのような受容体の抑制が その結果としてアポトーシスを促進させると推測されるとのことである。プロエ ンケファリンおよび/またはその生成物が既知のオピオイド受容体型と関連する かまたはそれらと同じ受容体と結合することは可能である。エンケファリンペプ チド類はデルタオピオイド受容体用の天然配位子であるため、受容体と選択的に 結合する拮抗薬であるナルトリンドールの効果を研究した。 オピアート拮抗薬ナルトリンドールによるアポトーシスの誘発 1)細胞密度の効果 HeLa細胞を10%牛胎児血清(FCS)(細胞接着を改良するため)を含 有する培地の中で低密度(cm2当たり約0.5×104)および高密度(cm2当 たり約5×104)で板培養し、18〜24時間後に細胞を洗浄して付着してい る牛胎児血清を除去し、次に0.1%(低)牛胎児血清(FCS)の存在下で、 10-4M〜10-9Mの範囲の濃度の薬品を作用させた。細胞に低密度および低血 清で投与された10-4Mのナルトリンドールは1〜2時間以内に細胞の100% でアポトーシスを誘発する。それより高い細胞密度では、それより緩慢なアポト ーシス状態への導入があるため、全ての細胞集団がアポトーシスになるには約2 4時間を要する。アポトーシスは(短期の)生物小胞生成、その後の細胞収縮お よび「球状化」を示す経時的な映像作成により、核濃縮性の断片化された核を示 す固定化細胞のヨウ化プロピジウム染色により、最終的には典型的な超構造的(u ltrastructual)特徴により確認される。HeLa細胞におけるこれらの結果は、 多数回にわたり再現された。 アポトーシスが比較的緩慢であるかまたは全細胞集団に影響しないような条件 下では、ナルトリンドールによる作用後に細胞内プロエンケファリンの上方調節 がみられる(図3の一番下の右手パネル)。これは、オピオイド−様受容体拮抗 作用に特異的なフィードバック上方調節またはプロエンケファリンが他の致死量 以下の損傷に対して応答するのと同じ方法での致死量以下に損傷された細胞中の 非特異的な救済作用を反映しているかもしれない。 2)低薬用量における繰り返し投与の効果 「急な」薬用量応答があるため短期間では10-5Mにおけるナルトリンドール の効果はほとんど観察されないが、この薬用量を毎日繰り返すと、ヨウ化プロピ ジウム染料では大部分の細胞中でDNA損傷があり、そして比較的多量のアポト ーシスの証拠もある。このことは、細胞が低薬用量でそれら自身を「救済」する ことを示唆している。 3)デルタ受容体作用薬でのアポトーシスからの保護または促進 10-4Mのナルトリンドールは低血清中で10-4Mのデルタ受容体作用薬であ るDPDPEまたはDSLETと一緒にHeLa細胞に投与されると比較的少な いアポトーシスを誘発する。しかしながら、細胞をナルトリンドールの投与の1 時間前に10-4MのDPDPEで予備−処理すると、ナルトリンドールを単独で 用いて通常見られるアポトーシス効果が強調される。DPDPEでの予備−処理 の期間が長くなると可変的な効果を有する。この応答は受容体インターナリゼー ション(internalization)による逆説拮抗作用を引き起こす高薬用量におけるデ ルタ作用薬と一致するであろう。デルタ作用薬だけ、または、ミュー作用薬DA MGOの単独もしくは組み合わせを用いては効果が見られない。 4)血清−関連シトキン類でのアポトーシスからの保護 ナルトリンドールを高(10%)FCSの存在下で加えると、アポトーシス効 果は低血清中より実質的に低くなる。このことは、牛胎児血清中に存在する生存 シトキン類が、1)同じ受容体(類)で作用薬として作用し、2)共通の細胞内 生存経路を異なる受容体(類)の信号化により上方調節し、3)対になっている 死滅経路を下方調節する(以下参照)ことを示唆している。抗−アポトーシス効 果を有する牛胎児血清中に存在するシトキン類にはPDGF、IGF−I、IG F−II、およびインシュリンが包含される(前記の Harrington et al.1994 EM BOJ)。 5)高分子合成の抑制がナルトリンドールのアポトーシス効果を促進する シクロヘキシミドおよびナルトリンドールの同時投与は、細胞をアポトーシス から救済するのに失敗し、そのことはナルトリンドールによるアポトーシスの誘 発が新たな蛋白質合成に依存しないことを示している。シクロヘキシミドは単独 でHeLa細胞中のアポトーシスを誘発し、それはこれらの細胞内の死滅経路分 子の組織的発現およびそれらの生存に関する短い半減期の分子に対するそれらの 依存性と一致する。 6)高血清中の遺伝毒性損傷に対する感度 細胞が集密的である時および高血清中では10-4Mのナルトリンドールの効果 はほとんどない。しかしながら、細胞が致死量以下の薬用量の紫外線照射(例え ばm2当たり10ジュール)をさらに受けるとこれらの条件下でこの薬用量にお いてある効果が見られる。紫外線だけの時より多量のDNA損傷が見られ(プロ ピジウム染色時の核断片化)、さらに断片化されなかった核はクロマチン縮合の 証拠を示し、それはcdc2−関連キナーゼの不適切な活性化と一致するであろ う。この場合、ナルトリンドールの活性は高血清の存在下で見られ、それは外因 性生存因子が非限定的である時でも遺伝毒性損傷に対するオピオイド−様受容体 −仲介保護が起きることを示唆している。 HeLa細胞が低密度でありそして低血清中である時でさえ10-9M〜10-3 Mの薬用量における非−選択的オピオイド受容体拮抗薬であるナロキソンおよび ナルトレキソンの効果はほとんど見られない。10-3Mのナルトレキソンは一時 的な生物小胞生成を誘発し、それが細胞を回復するように見え、10-3Mのナロ キソンではDNA損傷の幾らかの証拠があるが、アポトーシスの明白な証拠はな い。 上記の実験において生物学的効果を得るために必要なナルトリンドールの薬用 量はナノモル範囲のCOS細胞(Yasuda et al.,1993 Proc.Natl.Acad.Sci .USA 90,6736-6740)中で発現されるクローン化されたデルタ受容体用の薬品 の 抑制定数より実質的に高い。しかしながら、これらの製薬学的値は細胞膜上の結 合部位に関する試薬と他の配位子との間の競合を反映しており、そして生物学的 終点を表すものではない。アポトーシス効果を得るために必要なナルトリンドー ルの比較的高い薬用量に関して考えられる一つの理由は、それがデルタ受容体と 関連しているが同一ではない受容体と結合することである。別の可能性というよ りむしろ追加となるかもしれない他の可能性は、デルタ−様受容体−仲介生存経 路が死滅に仲介する反対の経路と生物学的に対をなすことである。これは細胞が 細胞に対して自律性生存利点を与えうる生存経路の上方調節を妨害するという試 みであってもよく、それは上記の理由のために危険であろう。逆に、細胞が対に なった死滅経路の下方調節による生存経路の抑制を補うこともできる。この場合 には、試薬の結合の動力学が重要となる可能性がある。そこで、内因性配位子の 急速置換を達成するためには高薬用量の薬品が必要となるかもしれず、デルタ− 様受容体−仲介生存経路の機構作用は対になっている死滅経路の補充的下方調節 を妨害するのに十分に速くなくてはならない。それは生存を促進する受容体が不 均質二量体複合体中で死滅を促進させる受容体と物理的に対になっていることで もある。そのような複合化は受容体のその配位子に対する親和性に影響を与える 可能性がある。 他のオピオイド−様受容体型が、生存よりむしろ死滅を促進させる可能性が出 願人により得られた幾つかの予備的データに対する一つの説明であり、すなわち 一部の細胞系中で発現されたプロエンケファリンは生存よりむしろ死滅を促進さ せるようである。プロエンケファリンの種々の分解が種々のオピオイド受容体と 結合するかもしれない生成物を生成する可能性を有しているが(Weber et al.1 983 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80,7362-7366)、主としてMet−およびL eu−エンケファリンがデルタ作用薬である。同じオピオイド受容体遺伝子から のRNAを異なる方法でスプライシングして死滅または生存を促進する生成物を 生成することも可能である。bcl−2−関連遺伝子であるbcl−xからの一 次転写物を異なる方法でスプライシングして死滅または生存を促進する生成物を 生成することができる(Boise et al.,1993 Cell 74,597-608)ので、このた めの幾つかの前例がある。同一の一次翻訳生成物を異なる方法で修飾または複合 化 することもできる。従って、異なる受容体型または同じ受容体型でも死滅または 生存を促進することができる。 実施例4 オピアート作用薬U50488でのアポトーシスの誘発 HeLa細胞を、オピアート受容体型の1種に好適な範囲の作用薬で試験した 。10-4M〜10-9Mの薬用量範囲では、デルタ作用薬DPDPEまたはDSL ETのアポトーシス効果は見られず、同じ薬用量範囲でミュー作用薬DAMGO のアポトーシス効果もない。対照的に、カッパ受容体作用薬U50,488は顕 著なアポトーシス効果を有する。 1)細胞密度および血清濃度の効果 HeLa細胞に低密度および低血清で投与された10-3MのU50488は、 細胞の100%で10〜15分以内にアポトーシスを誘発し、10-4Mでは、ア ポトーシスは全集団において1時間以内に誘発される。生物小胞生成、経時記録 に関するほとんどの証拠、および固定化された細胞のヨウ化プロピジウムに対す る核断片化を含むアポトーシスの典型的な特徴が見られる。ナルトリンドールに より誘発されたアポトーシスとは異なる幾つかの微妙な差、例えば、より長引く 生物小胞生成およびより多い核断片化の証拠がある。ナルトリンドールでは、高 細胞密度における細胞集団のアポトーシスの極めて緩慢な導入があり、そして一 部の細胞は拡大することがわかった。高血清は、HeLa細胞をナルトリンドー ルの効果より大量にU50488の効果から保護することがわかった。 ナルトリンドールのように、10-3MのU50488は、低血清中で低密度で も毎日の補充でさらに長い時間にわたり投与されない限りほとんど効果を有して おらず、これらの条件下ではDNA損傷の証拠もある。 2)ナルトリンドールとU50488との間の相乗作用 両者とも10-4MのU50488およびナルトリンドールが細胞に低密度で同 時投与されると、1時間でなく10分以内に全ての細胞においてアポトーシス効 果が見られる。薬品が10-5Mで同時投与されると、多分それよりたくさんのD NA損傷が見られるが、アポトーシスにおける明白な増加はなく、それは急な薬 用量応答が維持されていることを示している。ナルトリンドールがこれら二種の 試薬と同時投与されると追加的効果はない。これらの結果は、オピオイド−様受 容体により仲介される死滅および生存経路が対になっていることを示唆している 。 3)致死量以下の薬用量の遺伝毒性試薬およびU50488で同時処理された細 胞中でアポトーシスが誘発される。 HeLa細胞に高密度で高血清の存在下で投与された10-4MのU50488 は1〜2時間の時間にわたりアポトーシス効果を有していなかった。この薬用量 のU50488が、密集細胞に対して同じ薬用量で同じ期間にわたりそれ自身で は無効である50または100μM(注:マイクロモル)のエトポシドと同時投 与されると、多くの細胞中でアポトーシスが今回は誘発された。薬品組み合わせ のアポトーシス効果は経時的な映像作成により確認された。そこで、血清および 高細胞密度のU50488のアポトーシス効果に対する保護作用は致死量以下の 薬用量の遺伝毒性試薬の同時投与により減じられる。 4)細胞周期同調によるU50488のアポトーシス効果の促進 100ng/mlのノコダゾールでの24時間にわたる予備−処理により中期 に止められているHeLa細胞に対する10-4MのU50488の投与が細胞集 団のほぼ100%において5分間以内にアポトーシスを誘発し、この効果は細胞 が高密度である時でも見られる。そこで、U50488およびナルトリンドール の治療効果も、腫瘍細胞の増殖中の副集団内で止められている細胞周期の誘発後 のそれらの投与により促進されるであろう。 実施例5 抗体および合成試薬が腫瘍細胞中のアポトーシスを誘発する。 ナルトリンドールおよびU50488が試験した全ての癌細胞系統においてア ポトーシスを誘発した。これらにはHeLa(頸癌)、MDA468(胸部癌) 、A431(子宮癌)、Hep−2(頭部および首の鱗状癌)、および次の卵巣 癌系統−CH1、SKOV−3、PXN94、A2780が包含される。全ての 場合、単独で投与されると細胞に対する薬品の効果は低密度で低血清中で最大で ある。しかしながら、異なる感度が存在しており、そしてナルトリンドールがU 50488より有効である場合も逆の場合もある。 一般的には、上記の癌系統はHeLa細胞と少なくとも同様にそして時にはそ れより良好に応答する。例えば、卵巣系統CH1は、両者の薬品に対してHeL a細胞より実質的に感度が大きいようである。10-4Mの薬用量でU50488 がCH1細胞に低密度でそして低血清中で投与される時には、アポトーシスは全 集団中で5〜10分間以内に誘発され、10-5MのU50488もHeLa細胞 では証明されていない明らかなアポトーシス効果を有する。10-5MのU504 88が100μM(注:マイクロモル)のエトポシドと共にCH1細胞に高血清 中で投与される時には、アポトーシスは全集団中で5〜10分間以内に誘発され る。100μM(注:マイクロモル)のエトポシドはそれ自身で膜の皺生成およ び中程度の生物小胞生成を1〜2時間の期間にわたってのみ誘発した。そこで、 外因性生存因子が非限定性である時でも致死量以下の薬用量のU50488およ びエトポシドが同時投与される時には致死効果を有する。従って、U50488 のそれ自身に対する生体内効果は腫瘍環境に依存するようであるが、これは遺伝 毒性試薬と同時投与される場合には生じないようである。 ナルトリンドールおよびU50488を、生体内での正常細胞に対するそれら の可能な毒性を推定するために、培養中の非腫瘍細胞に対しても試験した。後期 継代数におけるMRC−5細胞(非−不死化性のヒト胚繊維芽細胞)はU504 88またはナルトリンドールを用いる作用でアポトーシスを受けなかったが、全 ての核の中でクロマチン縮合および/またはDNA損傷の証拠を示した。対照的 に、増殖中の分化されていない齧歯類の筋芽細胞(C2C12)は両者の化合物 でアポトーシスを容易に受けた。C2C12細胞を生体内で誘発して分化するこ とができる。これらの条件下でC2C12細胞は徐々にさらに分化するにつれて 、経時的記録により確認される両者の薬品に対する耐性が増加した。そこで、U 50488およびナルトリンドールは増殖中の分化されていない細胞集団におい てはアポトーシスを誘発するが、分化された細胞集団では誘発しないことがわか った。 そこで、腫瘍細胞は、非−増殖中の分化された細胞より、ナルトリンドールお よびU50488の両者に対して実質的に敏感性であるようである。 実施例6 細胞核中のプロエンケファリンの過剰発現が少なくとも部分的にp53−依存性 であるアポトーシス性死滅を誘発する。 我々は、プロエンケファリンが、増殖中の胚繊維芽細胞および筋芽細胞中の核 の中に存在しており、そして成長停止および分化信号に寄与することを示してい の除去(PE△SS)または下流コドンからの翻訳開始を強制するための正常A TG開始コドンからATCへの変更(PE ATC)は、トランスフェクション されたプロエンケファリンの生成物を核に向けるのに十分である。従って、プロ エンケファリンの分泌経路への到達妨害は分子に対して少なくとも部分的な核破 壊を与えるのに十分なものである(Bottger and Spruce 1995 J.Cell.Biol.,13 0,1251-1262)。プロエンケファリン遺伝子は、交互の転写開始および信号ペプ チド配列をコードするエキソンを除去するその一次転写の交互のスプライシング の両者を受けることができ、従ってこれは信号ペプチドを欠いている一次翻訳生 成物の製造用の生体内での前例を与えるものである。 突然変異されたプロエンケファリンcDNA類で一時的にトランスフェクショ ンされたCOS細胞は、プロエンケファリンの核過剰発現に耐性があり、トラン スフェクションされた遺伝子生成物の核局在化は、ここで及びその後のp53エ ピトープ標識を使用する実験で確認された。対照的に、3T3細胞が同じ構成物 で一時的にトランスフェクションされる時には、アポトーシス性であるような非 常にわずかな生存トランスフェクション細胞があるのに対して、細胞質および分 泌経路(PE+SS)に目標が向けられたプロエンケファリンを過剰発現する細 胞は生存する。 p53は、正常では3T3中で機能するがCOS細胞中ではSV40大T抗原 により不活性化されるため、我々は温度敏感性P53突然変異(C6/tsp5 3)を庇護するC6齧歯類の繊維芽細胞中のプロエンケファリンの核過剰発現の 効果を調査した。核並びに細胞質を標的とするプロエンケファリンで一時的にト ランスフェクションされたC6/細胞は実質的に減少した生存率を示し、そして p53が野生型構造をとる温度である32℃におけるアポトーシス外観を有する 。しかしながら、37℃ではアポトーシス性外観を有していないそれより多くの 細胞が生存している。細胞質従って分泌経路に目標が向けられているPE+SS で一次的にトランスフェクションされた細胞は両方の温度で生存している。 プロエンケファリンの核過剰発現により誘発された死滅の明らかなp53依存 性を確認するために、核または細胞質および分泌経路に目標が向けられたプロエ ンケファリンを過剰発現する安定なC6/tsp53系統を生成した。核に目標 が向けられた高水準のプロエンケファリンを過剰発現する系統は37℃において 幾らかのアポトーシスを示したが、反応性p53に対する細胞の温度が32℃に 下がるとアポトーシスは実質的に増加する。それ故、プロエンケファリンの核過 剰発現により誘発される死滅は少なくとも部分的にp53依存性である。37℃ で明白にアポトーシス性ではない細胞は、例えばヨウ化プロピジウム染色で微小 核の如きDNA損傷の証拠を示すため、我々は核プロエンケファリン−仲介死滅 はDNA損傷の結果であるという結論を出し、それがp53に対する依存性を説 明している。 全てのヒトの腫瘍の約50%を占める正常なp50機能を有する腫瘍は、従っ て、核プロエンケファリン−依存性機構によるアポトーシスの誘発用の特定標的 である。 核プロエンケファリンは遺伝損傷を誘発するため、核中のプロエンケファリン 不規則化が環境損傷の結果として遺伝損傷を促進するが、細胞質プロエンケファ リンは、この損傷に対する自滅応答を抑制し、これら二つの経路における不適切 な活性化は従って、両者とも発癌性突然変異の発生維持となる傾向があるが、こ れは核プロエンケファリンの前−アポトーシス効果により均衡が保たれていなけ ればならない。プロエンケファリンのDNA損傷促進および前−アポトーシス効 果が分離可能な機能であるなら、細胞質プロエンケファリンにより仲介される自 滅からの保護と一緒になった核プロエンケファリンによる遺伝損傷の促進が腫瘍 形成過程における可能な早期事象である。 実施例7 眼の水晶体からの細胞に対するオピアート−様受容体配位子の効果 眼の水晶体から誘導された細胞に対するナルトリンドールおよびU50488 の効果を試験した。この試験は、これらの細胞がそれらの生存に関してプロエン ケファリンに依存していることを確認した。水晶体から誘導された一次培養物お よび連続的な系統は両者の化合物でのアポトーシスの誘発を示したが、経時的記 録により監視されているアポトーシスへの導入時期は、HeLa細胞と比べてゆ っくりであった。そこでは、10-4Mのナルトリンドールは牛の水晶体からの低 血清中での低継代数培養物に対するアポトーシス効果を示すのに約18〜24時 間を要する。水晶体細胞は、一般的にはナルトリンドールに対するより、U50 488に対する方が耐性が大きい。高血清は両者の化合物に対して保護を与え、 それは外因性生存因子に対する受容体が自己分泌因子に対する生体内でのそれら の依存性にもかかわらず水晶体細胞中で維持されることを示している。生体内の 水晶体は血液またはリンパ球供給がないため、例えば腫瘍治療において薬品が全 身投与されると、水晶体細胞に対するそれらの化合物の活性が問題を起こさない であろう。さらに、局部的に投与されるこれらの化合物によるアポトーシスの誘 発は、外科的な白内障の除去後に例えば上記のように治療的に有用である可能性 もあり、そこでは残っている水晶体被膜細胞が将来の再成長および移植片の不透 明化を防止することが望ましい。 実施例8 眼の水晶体からの細胞に対する他のアポトーシス−誘発剤または該誘発剤の組み 合わせの効果 兎の水晶体細胞系統NN1003Aの細胞は血清の不存在下で10-4MのU5 0488に呈された時には24時間以内にアポトーシスにより死滅した。組み合 わされた10-4MのU50488および10-4Mのナルトリンドールで処理され た同じ細胞は1時間以内に死滅した。10-4Mのナルトリンドールで処理された 主な牛の水晶体の上皮細胞は20時間以内に死滅したが、10-4MのU5048 8および10-4Mのエトポシドの組み合わせで処理された同じ細胞は24時間以 内に死滅した。兎の細胞系統および主要な牛の細胞の両者は、血清飢餓、エトポ シド、ナルトリンドールおよびU50488に対する応答における免疫蛍光顕微 鏡により判定される細胞内プロエンケファリン水準を増加させる。ナルトリンド ール、U50488および血清飢餓の全てが2時間以内に細胞質プロエンケファ リンにおける同様な増加を生じたが、エトポシドは同一水準の染色を与えるのに 24時間を要した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07K 14/665 A61K 37/24 AED 16/18 ADU C12N 15/02 ABL G01N 33/577 C12N 15/00 C (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG), AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,M K,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO ,RU,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM, TT,UA,UG,US,UZ,VN (72)発明者 プレスコット, アラン イギリス国 KY15 7PY フィフェ キングズケトル バンクトン パーク 13 (72)発明者 ブットゲル,アンゲリカ イギリス国 DD6 8JJ ニューポー ト−オン−テイ ブリッジ ストリート 6 (72)発明者 デューウォー, デボラー アン イギリス国 DD1 7RR ダンディー ノース ストリート 22

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 細胞にアポトーシスを引き起こすように、オピオイドペプチド前駆体遺伝 子の産物が関与する細胞の生化学的経路を調節することができる薬剤を含む、細 胞におけるアポトーシスを誘導することに用いられる薬剤。 2. 前記薬剤がプロエンケファリンまたはそのタンパク質分解誘導体を中和す る薬剤、または核プロエンケファリンおよび/またはその誘導体のレベルを増加 するもしくは核プロエンケファリンおよび/またはその誘導体を活性化または模 倣する薬剤、またはデルタオピオイドレセプターと関係があるまたは同一である レセプターにアンタゴニストとして作用する薬剤、またはカッパオピオイドレセ プターと関係するまたは同一であるレセプターにアゴニストとして作用する薬剤 である、請求項1記載の薬剤。 3. プロエンケファリンまたはそのタンパク質分解誘導体を中和する薬剤、ま たは核プロエンケファリンおよび/またはその誘導体のレベルを増加するまたは 核プロエンケファリンおよび/またはその誘導体を活性化または模倣する薬剤の いずれかを含み、さらに内在化ペプチドを含有する、請求項2記載の薬剤。 4. プロエンケファリンまたはそのタンパク質分解誘導体を中和することがで きる薬剤を含み、さらに細胞質アンカーを含有する、請求項3記載の薬剤。 5. プロエンケファリンまたはそのタンパク質分解誘導体を中和する薬剤を含 み、プロエンケファリンまたはそのタンパク質分解誘導体に対する中和モノクロ ーナル抗体、または前記抗体の結合断片;または前記抗体または断片の中和誘導 体またはその対立形態を含有する、請求項2ないし4のいずれか1項記載の薬剤 。 6. 前記モノクローナル抗体がプロエンケファリンのエピトープを認識し、そ のコア配列が図4に示されており、実質的に図5に示されるようなアミノ酸配列 またはその同族体であるアミノ酸配列を有する可変性ドメインを備える、請求項 5記載の薬剤。 7. 前記モノクローナル抗体が ECACC 93101213、93101215、93101232、93101 234および93101254からなる群から選択されるハイブリドーマ細胞系から得られ る、請求項6記載の薬剤。 8. 核プロエンケファリンおよび/またはその誘導体のレベルを増し、核局在 化シグナルに結合される薬剤から成る、請求項1ないし3のいずれか1項記載の 薬剤。 9. デルタオピオイドレセプターにアンタゴニストとして作用する、4,8-メタ ノベンゾフロ[2,3-a]ピリド[4,3-b]カルバゾール-1,8a(9H)-ジオール、7-(シク ロプロピルメチル)-5,6,7,8,14,14b-ヘキサヒドロ、または類似化合物等の薬剤 を含む、請求項1または2記載の薬剤。 10. カッパオピオイドレセプターのアゴニストとして作用する、トランス-3 ,4-ジクロロ-N-メチル-N-(2-[1-ピロリジニル]シクロヘキシル)ベンゼン-アセト アミド等の薬剤を含む、請求項2記載の薬剤。 11. ECACC 93101213、93101215、93101232、93101234および93101254からな る群から選択されるハイブリドーマ細胞系。 12. PE-1,PE-2,PE-13,PE-14およびPE-24と表示され、それぞれが受託番 号:ECACC 93101213、93101215、93101232、93101234および93101254の細胞系か ら得られるモノクローナル抗体。 13. 薬学的に使用できる担体または賦形剤と組み合わせて、請求項1ないし 10のいずれか一項に記載の薬剤を含む製薬組成物。 14. 細胞にアポトーシスを引き起こす際に使用される薬剤の調製における請 求項1ないし10のいずれか一項に記載の試薬の使用。 15. 前記細胞に請求項1ないし10のいずれか1項に記載の薬剤を投与する ことを含む、細胞にアポトーシスを引き起こす方法。 16. 癌の治療に使用する、請求項15記載の方法。 17. 前記薬剤が遺伝子毒性剤および/または細胞周期停止剤またはデルタオ ピオイドレセプターアゴニストと組み合わせて同時にまたは連続的に投与される 、請求項16記載の方法。 18. 哺乳類の細胞にアポトーシスを引き起こす薬剤の有効量を、白内障手術 の後に残存している水晶体細胞に適用することを含む、水晶体移植物上における 細胞の成長を妨げる方法。 19. 前記薬剤が白内障手術の後の眼内レンズまたはレンズ移植片の前面に被 膜としてまたは添加剤として適用される、請求項18記載の方法。 20.前記薬剤が下記: i)DNA損傷薬剤(エトポシド、スタウロスポリンおよびミトマイシンCなど) ; ii)細胞に酸化ストレスを引き起こす薬剤(過酸化水素およびジアミドなど); iii)細胞内カルシウムを増加させる薬剤(イオノマイシン、カルシマイシン(A23 187)およびサプシガルギン(thapsigargin)など); iv)細胞にアポトーシスを引き起こす成長因子(TGFβなど); v)ガラクトースおよびグルコースなどの細胞内糖濃度を高める薬剤; vi)オピエートレセプターを介して作用する薬剤および特にデルタオピオイドレ セプターと関係があるまたは同一であるレセプターでアンタゴニストとして作用 する薬剤、またはカッパオピオイドレセプターと関係があるまたは同一であるレ セプターでアゴニストとして作用するナルトリンドールおよびU50488などの薬剤 ; vii)グルココルチコイド(メチルフルドニゾロン);および viii)細胞周期における細胞分裂および細胞進化を妨げる薬剤(トクソール、コ チニン、アフィジコリン、ノコダゾール、ビンブラスチンなど); viii)プロエンケファリンまたはそのタンパク質分解誘導体を中和する薬剤;ま たは ix)核プロエンケファリンおよび/またはその誘導体のレベルを増加する、また はそれらを活性化または模倣する薬剤; の内の1種類以上から選択される、請求項18または19の方法。 21. 低濃度血清の存在下で低細胞密度の条件下で細胞に試験薬剤を投与し、 アポトーシス性の細胞死を観察することを含む、細胞にアポトーシスを引き起こ す薬剤を決定するためのアッセイ。 22. 試験薬剤が遺伝子毒性剤、細胞周期停止剤(同期化)またはストレス誘 発剤の内の少なくとも1種の存在下で投与される、請求項21記載のアッセイ。 23. 高濃度血清および遺伝子毒性剤、細胞周期停止剤(同期化)、またはス トレス誘発剤の内の少なくとも1種の存在下で高細胞密度で細胞に試験薬剤を投 与し、かつ前記細胞のアポトーシス性死を観察することを含む、細胞にアポトー シスを引き起こす薬剤を決定するためのアッセイ。 24. 請求項21または23のいずれか1項記載のアッセイを用いて同定され た薬剤を含む、癌の治療に使用する薬剤。 25. 別のこのような薬剤または化学療法剤または照射剤または細胞周期停止 (同期化)剤と複合される、請求項1ないし10のいずれか1項記載の薬剤。 26. 抗インテグリン抗体23C6などの非拡散性因子により媒介される細胞外の 生存シグナルを減少させる薬剤と組み合わせる、請求項1ないし10のいずれか 1項記載の薬剤。
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