JP5372500B2 - Ilt3結合分子およびその使用 - Google Patents

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Description

関連出願
本願は、2005年10月4日付で、「ILT3結合分子およびその使用」という発明の名称で出願された米国仮特許出願第60/723340号、および2005年6月17日付で、「ILT3結合分子およびその使用」という発明の名称で出願された米国仮特許出願第60/691912号の優先権の便益を主張する。その内容全体を、本明細書中に引用により援用する。
イムノグロブリン様転写物(ILT)3は、イムノグロブリン・スーパーファミリーのメンバーである細胞表面分子である。ILT3は、単球、マクロファージおよび樹状細胞などの骨髄性の抗原提示細胞(APC)によって選択的に発現される。ILT3の細胞質領域は、推定上の免疫レセプターチロシンベースの抑制モチーフ(ITIMs)を含有している。ILT3の、APCにより発現された刺激性レセプターへの共ライゲーションの結果、[Ca2+]が増加したフラックスの平滑末端化と、これらのレセプターによってトリガーされたチロシンリン酸化が起こる。シグナル消去は、架橋時、ILT3によって補充されたSH2含有タンパク質チロシンホスファターゼ1を伴う。ILT3は、抗原の捕捉および提示においても機能することができる。それは架橋によって効率的に内面化し、そのリガンドを細胞内の区画に運び、そこで処理され、T細胞に提示される(Cella, et al. (1997)
J. Exp. Med. 185:1743-1751)。
したがって、ILT3は、APCの活性化をネガティブに調節することができ、抗原の取り込みに関してAPCによって使用され得る抑制受容体である。ILT3を介してのシグナリングを調整するのに有用な物質の開発は、免疫反応の調整に非常に有益なものとなるであろう。
本発明は、ILT3、例えば、ヒトILT3(hILT3)に、抗原提示細胞、例えば、単球、マクロファージや樹状細胞、例えば、単球由来樹状細胞上で、特異的に結合する結合分子を提供する。本発明の結合分子は、hILT3と、高いアフィニティーで結合し、インビトロで免疫細胞を下方調整すること、例えば、同種免疫反応、樹状細胞、例えば、単球由来樹状細胞(MDDC)による炎症性サイトカインの生成、DC、例えば、MDDCによる共刺激分子のアップレギュレーション、および/または、単球へのカルシウムの流入を下方調整することを特徴とする。さらに、結合分子は、樹状細胞、例えば、未成熟の樹状細胞での抑制受容体の発現をアップレギュレーションする。驚くべきことに、インビトロで免疫反応を下方調整する同じこれらの結合分子が、インビボでは、例えば、免疫反応を上方調整するなどの免疫賦活性を示す。
したがって、本発明のある局面は、配列番号1のアミノ酸配列を含む結合分子を特徴とする。
別の局面においては、本発明は、配列番号2のアミノ酸配列を含む結合分子を特徴とする。
本発明のさらに別の局面は、配列番号:3、配列番号:4および配列番号:5からなる群から選択される、少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)アミノ酸配列を含む結合分子を特徴とする。ある態様において、結合分子は、配列番号:3、配列番号:4および配列番号:5からなる群から選択される、少なくとも2つの相補性決定領域(CDR)アミノ酸配列を含む。別の態様において、結合分子は、配列番号:3、配列番号:4および配列番号:5からなる群から選択される、少なくとも3つの相補性決定領域(CDR)アミノ酸配列を含む。
本発明の別の局面は、配列番号:6、配列番号:7および配列番号:8からなる群から選択される、少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)アミノ酸配列を含む結合分子を特徴とする。ある態様において、結合分子は、配列番号:6、配列番号:7および配列番号:8からなる群から選択される、少なくとも2つの相補性決定領域(CDR)アミノ酸配列を含む。別の態様において、結合分子は、配列番号:6、配列番号:7および配列番号:8からなる群から選択される、少なくとも3つの相補性決定領域(CDR)アミノ酸配列を含む。
本発明の別の局面は、配列番号:3〜8に示されたCDRを含む結合分子を特徴とする。
本発明のある局面は、配列番号:1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、さらに、配列番号:2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む結合分子を特徴とする。
本発明の別の局面は、ヒト単球由来樹状細胞(MDDC)上でILT−3に結合し、結合定数(Kd)が0.9×10−9以下である結合分子を特徴とする。
ある態様において、結合分子は、インビトロで免疫細胞の活性化を下方調整する。
別の態様において、結合分子は、インビボで免疫反応を上方調整する。
さらに別の態様において、結合分子の定常領域は、IgG1重鎖定常領域を含む。
ある態様において、結合分子は、樹状細胞上でヒトILT−3に結合する。
別の態様において、結合分子は、単球上でヒトILT−3に結合する。
さらに別の態様において、結合分子は、樹状細胞による炎症性サイトカインの生成をインビトロで下方調整する。
ある態様において、結合分子は、樹状細胞上での共刺激分子のアップレギュレーションをインビトロで下方調整する。
別の態様において、結合分子は、樹状細胞上での抑制受容体の発現をインビトロで上方調整する。
ある態様において、結合分子は、マウス抗体である。
別の態様において、結合分子は、ヒト化抗体である。
さらに別の態様において、結合分子は、キメラ抗体である。
本発明の別の局面は、本発明の結合分子および薬学的に許容可能な担体を含む組成物を特徴とする。
ある態様において、組成物は、被験者における免疫反応を上方調整する、少なくとも1つの追加的治療薬をさらに含む。
本発明のある局面は、被験者からの細胞を、インビトロで免疫細胞の活性化を阻害する抗ILT3抗体に接触させることを含む、被験者において免疫反応を上方調整する方法を特徴とする。
本発明の別の局面は、被験者において移植の拒絶反応を下方調整する方法であって、被験者からの細胞を本発明の結合分子に接触させること、およびその細胞を移植と同時もしくは移植前に被験者に再度導入して、被験者におけるする移植の拒絶反応を下方調整することを含む方法を特徴とする。
本発明のさらに別の局面は、被験者における癌を治療する方法であって、細胞を本発明の結合分子に接触させて、被験者において癌を治療する方法を特徴とする。
ある態様において、癌の種類は、膵臓癌、メラノーマ、乳癌、肺癌、気管支癌、結直腸癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳もしくは中枢神経系の癌、末梢神経系の癌、食道癌、子宮頚癌、子宮もしくは子宮内膜の癌、口腔もしくは咽頭の癌、肝臓癌、腎臓癌、精巣癌、胆道癌、小腸もしくは盲腸の癌、唾液腺の癌、甲状腺の癌、副腎の癌、骨肉腫、軟骨肉腫、および血液組織の癌から選択される。
本発明のある局面は、配列番号:9のヌクレオチド配列を含む重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子を特徴とする。
本発明の別の局面は、配列番号:10のヌクレオチド配列を含む軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子を特徴とする。
本発明のさらに別の局面は、配列番号:11、配列番号:12および配列番号:13からなる群から選択される、少なくとも1つのCDRをコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子を特徴とする。ある態様において、単離された核酸分子は、少なくとも2つのCDRを含む。別の態様において、単離された核酸分子は、3つのCDRを含む。
本発明の別の局面は、配列番号:14、配列番号:15および配列番号:16からなる群から選択される、少なくとも1つのCDRをコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子を特徴とする。ある態様において、単離された核酸分子は、少なくとも2つのCDRを含む。別の態様において、単離された核酸分子は、3つのCDRを含む。
本発明のある局面は、配列番号:11〜16に示されたヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を特徴とする。
本発明のある局面は、本発明の核酸分子を含む組換え発現ベクターを特徴とする。ある態様において、本発明の結合分子をコードするヌクレオチド配列を持つ核酸分子を含む組換え発現ベクターを特徴とする。別の態様において、本発明は、本発明の組換え発現ベクターが組み込まれた宿主細胞を特徴とする。本発明の別の局面は、ヒトILT−3に結合する結合分子の生成方法であって、ヒトILT−3に結合する結合分子が細胞によって生成されるまで、本発明の宿主細胞を培地で培養することを含む方法を特徴とする。
本発明は、ILT3、例えば、ヒトILT3(hILT3)に、抗原提示細胞、例えば、単球マクロファージや樹状細胞(DC)、例えば、単球由来樹状細胞(MDDC)上で、特異的に結合する結合分子を提供する。本発明の結合分子は、hILT3と高いアフィニティーで結合し、インビトロで免疫反応を下方調整すること、例えば、同種免疫反応;樹状細胞、例えば、単球由来樹状細胞(MDDC)による炎症性サイトカインの生成;DC、例えば、MDDCによる共刺激分子のアップレギュレーション;および/または単球へのカルシウムの流入を下方調整することを特徴とする。さらに、結合分子は、樹状細胞、例えば、未成熟の樹状細胞での抑制受容体の発現をアップレギュレーションする。驚くべきことに、インビトロで免疫反応を下方調整する同じこれらの結合分子が、インビボで免疫賦活性を示す。
本発明の様々な局面は、結合分子およびその薬学的組成物に関連する。インビトロまたはインビボで、ヒトILT3を検出するため、またはヒトILT3活性を調整するために、本発明の結合分子を使用する方法も本発明に含まれる。
本発明を容易に理解することができるように、いくつかの用語をまず定義しておく。
I.定義
本明細書において用いられている用語「イムノグロブリン様転写物3」(本明細書においては「ILT3」もしくは「hILT3」と省略している。またCD85kとしても知られている)は、IL−10またはビタミンD3の存在下で分化した単球、マクロファージおよび樹状細胞、例えば、単球由来樹状細胞などの骨髄性の抗原提示細胞(APC)によって選択的に発現されるイムノグロブリン・スーパーファミリーのヒトメンバーである。ILT3タンパク質は、分子量が47kDまでと予測される447アミノ酸の膜貫通タンパク質である。ILT3タンパク質のアミノ末端部分は、23アミノ酸の疏水性シグナルペプチドで開始し、2つのC2タイプのイムノグロブリン・スーパーファミリードメインからなる細胞外領域が続いている。各ドメインは、互いに49および50残基分離れた2つの特徴的なシステインをもち、保存された残基(それぞれVal−x−Leu/Ile−x−CysおよびHis/Tyr−x−Gly−x−Tyr−x−Cys−Tyr/Phe。xはあらゆるアミノ酸である)に隣接している。ILT3の推定上の膜貫通ドメインは21アミノ酸からなり、167アミノ酸の長い細胞質の領域が続いている。それは1つのTyr−x−x−Valモチーフと、それに続く2つの、26アミノ酸残基分のスペースがあいたTyr−x−x−Leuモチーフを特徴とする。これらのTyr−x−x−Leu対およびそれらのスペースは、KIRs(ナチュラルキラー細胞Igレセプター)においてタンパク質チロシンホスファターゼSHP−1結合部位として同定されたTyr−x−x−Leuモチーフ(免疫受容体チロシンベースの抑制モチーフまたはITIMとも称される)が存在していたことを暗示するものである。
ILT3の細胞質領域における推定上の免疫受容体チロシンベースの抑制モチーフは、ILT3の抑制機能を示唆するものである。そのため、ILT3は、刺激性のレセプターに架橋したとき、抑制受容体として振舞う。
ヒト(hILT3)ILT3の核酸配列を配列番号:17に示し、アミノ酸配列を配列番号:18に示す。
本明細書において用いられている用語「結合分子」は、ILT3に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位を含有する分子を含む。「特異的に結合する」は、結合分子が非ILT3分子に対して基本的にバックグラウンド結合を示すことを意味する。しかしながら、ILT3に特異的に結合する単離された結合分子は、他の種からのILT3分子に対する交差反応性を示してもよい。
本発明の結合分子は、あらゆるアイソタイプイムノグロブリン重鎖(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)、またはイムノグロブリン分子のサブクラスを含むことができる。結合分子は、重鎖および軽鎖の双方を含んでもよい。本明細書において用いられている用語「結合分子」はまた、例えば、scFv分子を、ILT3との結合性という所望の活性を示す限り、抗体(全長抗体)、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、他重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、ヒト抗体、ヒト化抗体もしくはキメラ抗体、および抗体フラグメント、例えば、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、Fab発現ライブラリーによって生成されたフラグメント、上記のすべてのエピトープ結合フラグメント、および工学的に処理された形態の抗体を含んでもよい。
「抗原」は、結合分子が特異的に結合する実体(例えば、タンパク質様の実体またはペプチド)である。
「エピトープ」または「抗原決定基」と言う用語は、結合分子が特異的に結合する抗原上の部位を言う。エピトープは、タンパク質の三次折り畳みによって配列された連続的なアミノもしくは非連続的なアミノ酸から構成することができる。連続的なアミノから形成されたエピトープは、典型的に変性溶媒に曝露されたとき状態を維持するが、一方、三次折り畳みによって形成されたエピトープは、典型的に変性溶媒に曝露されたとき失われる。エピトープは、典型的に少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15のアミノ酸を独特の空間コンホーメーションに含む。エピトープの空間コンホーメーションを決定する方法には、例えば、X結晶構造解析および2次元核磁気共鳴がある。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66,
G. E. Morris, Ed. (1996)を参照することができる。
同じエピトープを認識する結合分子は、抗原を標的とするために、ある抗体が別の抗体の結合をブロックすることができる能力を示す簡単なイムノアッセイ、例えば、競合結合アッセイにおいて同定することができる。競合結合は、試験される結合分子が、参照結合分子の、一般的な抗原、例えば、ILT3への特異的結合を阻害するアッセイにおいて決定することができる。例えば、固相直接もしくは間接ラジオイムノアッセイ(RIA);固相直接もしくは間接酵素イムノアッセイ(EIA)サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahli et al., Methods in Enzymology 9:242 (1983));固相直接ビオチン−アビジンEIA(例えば、Kirkland et al., J. Immunol. 137:3614 (1986));固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(例えば、HarlowとLane、Antibodies:
A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press(1988));I−125標識を用いた固相直接標識RIA(例えば、Morel et al., Mol. Immunol. 25(1):7 (1988)); 固相直接ビオチン−アビジンEIA(Cheung et al., Virology 176:546(1990));および直接標識RIA(Moldenhauer et al., Scand. J. Immunol. 32:77(1990))などといった、多種の競合結合アッセイが知られている。典型的にそのようなアッセイは、固体表面または、これらの未標識の試験結合分子および標識された参照結合分子のいずれかを担持する細胞に結合する精製された抗原を使用する。競合阻害は、固体表面または試験結合分子の存在下での細胞に結合した標識の量を測定することによって決定することができる。通常、試験結合分子は過剰に存在している。通常、競合する結合分子は、過剰に存在し、参照結合分子の一般的な抗原への特異的結合を、少なくとも、50〜55%、55〜60%、60〜65%、65〜70%、70〜75%以上阻害することになる。
エピトープは、免疫学的細胞、例えば、B細胞および/またはT細胞によっても認識することができる。エピトープの細胞認識は、抗原依存性の増殖を測定するインビトロのアッセイ、例えば、Hチミジン組み込み、サイトカイン分泌、抗体分泌、もしくは抗原依存性殺傷(細胞傷害性Tリンパ球アッセイ)による測定によって決定することができる。
本明細書において用いられる「モノクローナル結合分子」という用語は、ほぼ均質な結合分子の集団から得られる結合分子を意味する。モノクローナル結合分子は、単一の抗原部位に対して高度な特異性を示す。さらに、典型的に異なる決定基(エピトープ)に対する異なる結合分子を含むポリクローナル結合分子調製物とは対照的に、各モノクローナル結合分子は、抗原上の単一の決定基に向けられる。修飾因子「モノクローナル」は、ほぼ均質な結合分子の集団から得られるという結合分子の特徴を示しているが、結合分子を作製する方法は特定されない、と解釈されている。例えば、本発明で用いられるモノクローナル結合分子は、Kohler, et al., Nature 256:495 (1975)に最初に記載されたハイブリドーマ法で作製することができるし、あるいは、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号)で作製することもできる。「モノクローナル結合分子」は、また、例えば、Clackson,
et al., Nature 352:624-628(1991) やMarks et al., J. Mol Biol. 222:581-597(1991)に記載の技法を用いて、ファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。
用語「キメラ結合分子」は、異なる種に由来するアミノ酸配列を含む結合分子を意味する。キメラ結合分子は、例えば、遺伝子工学的技法によって、異なる種に属する結合分子遺伝子セグメントから構築することができる。
本明細書におけるモノクローナル結合分子は、特に、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来する、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する結合分子の対応する配列と同一または相同であり、一方、鎖の他の部分は、他の種に由来する、または他の抗体クラスもしくはサブクラスに属する他の種に由来する結合分子、ならびに所望の生物学的活性、例えば、ヒトILT3(hILT3)に対する結合性を示す限り、その結合分子のフラグメントと同一または相同である「キメラ」結合分子を含む(米国特許法第4,816,567号;およびMorrison, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855 (1984))。
軽鎖および重鎖はともに構造的および機能的ホモロジーに分類される。用語「定常」および「可変」は、機能的に用いられる。これに関連して、軽鎖(VL)および重鎖(VH)部分の可変ドメインは、抗原認識および特異性を決定することが理解されよう。逆に、軽鎖(CL)および重鎖(CH1、CH2もしくはCH3)の定常ドメインは、分泌、経胎盤性の移動、Fcレセプター結合、補体結合などの重要な生物学的特性を付与する。慣例では、定常領域ドメインの番号は、抗原結合部位または抗体のアミノ末端から離れるにしたがって大きくなる。N末端は可変領域、C末端は定常領域である。CH3およびCLドメインはそれぞれ、重鎖および軽鎖のカルボキシ末端を実際に含む。
結合分子との関連で用いられる「可変領域」は、分子に対する抗原結合を付与する結合分子のアミノ末端部分であり、定常領域ではない部分を意味する。この用語は、相補性決定領域およびフレームワーク領域を含む。この用語はまた、可変領域全体の結合機能の一部もしくは全体を維持する機能的フラグメントを含む。
本明細書において用いられるところの用語「超可変領域」は、配列において超可変であり、および/または構造的にループを形成する結合分子可変ドメインの領域を意味する。超可変領域は、「相補性決定領域」すなわち「CDR」からのアミノ酸残基を含む。
本明細書において用いられるところの用語「CDR」あるいは「相補性決定領域」は、重鎖および軽鎖ポリペプチドの双方の可変領域において認められる非連続的な抗原結合部位を意味する。これらの特定の領域については、Kabat, et al., J. Biol. Chem. 252, 6609-6616 (1977)、およびKabat, et al., Sequences of protein
of immunological interest. (1991)に記載がある。そして、Chothia, et al., J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987)
およびMacCallum, et al., J. Mol. Biol. 262:732-745 (1996)により、互いに比較したときのアミノ酸残基のオーバーラッピングまたはサブセットであると定義されている。Kabatの定義が、本発明の結合分子のCDRを定義するのに好ましいが、他の結合分子のCDRの定義、または移植された結合分子もしくはその変形についての定義もこの語の定義に包含され、本明細書において用いられる。
本明細書において用いられるところの用語「フレームワーク領域」あるいは「FR」は、CDRによって分離されるフレームワークの各ドメインを意味する。したがって、可変領域フレームワークは、約100―120アミノ酸長であり、CDRの外部のアミノ酸のみを意味する。
非ヒト(例えば、ネズミ)結合分子の「ヒト化」形体は、キメラ抗体であり、非ヒト結合分子に由来する配列を最小限含有している。大半は、ヒト化結合分子は、超可変領域からの残基が、所望の特異性、アフィニティー、および能力をもつマウス、ラット、ウサギ、もしくは非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー結合分子)の超可変領域からの残基に置換されている、ヒト結合分子(アクセプター/レシピエント結合分子)である。いくつかの例においては、ヒト結合分子のFvフレームワーク領域(FR)残基が改変されている。例えば、置換もしくは逆突然変異された、対応する非ヒト残基に置き換わっている。さらに、ヒト化結合分子は、レシピエント結合分子もしくはドナー結合分子には見られない残基を含むことができる。これらの改変は一般的に、結合分子の性能をさらに改善するために行われる。一般的に、ヒト化結合分子は、ほぼ全ての、または少なくとも1つ、典型的には、2つの可変ドメインを含む。そこには、全ての、もしくはほぼ全ての超可変ループが非ヒト結合分子のそれに対応している。そして、全て、もしくはほぼ全てのFR領域は、ヒト結合分子配列のものである。ヒト化結合分子は、必要に応じて、少なくとも一部の結合分子定常領域(Fc)を含み、典型的には、ヒト結合分子のものを含む。さらに詳細については、Jones, et al., Nature 321:522-525 (1986); Riechmann, et al., Nature 332:323-329 (1988);および Presta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)を参照することができる。
好ましくは、本発明の結合分子は、配列番号:3(GFAFSSYDMS(VH CDR1))、配列番号:4(TISSSGSYTYYPDSVKG(VH
CDR2))、配列番号:5(LWGAMDY(VH CDR3))、配列番号:6(RASQGLTNDLH(VL CDR1))、配列番号:7(YASQSIS(VL CDR2))および配列番号:8(QQSNSWPFT(VL
CDR3))から選択される少なくとも1つのCDRを含む。
本明細書で用いられているところの用語「工学的に処理した」または「組換えられた」結合分子は、組換え手段によって調製、発現、作出または単離された結合分子、例えば、宿主細胞中にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを用いて発現させた結合分子、組換え結合分子コンビナトリアルライブラリーから単離した結合分子、ヒト免疫グロブリン遺伝子を導入された動物(例えば、マウス)から単離した結合分子(例えば、Taylor, L.D., et al.(1992) Nucl. Acids Res. 20:6287-6295参照)、またはヒト結合分子遺伝子配列を他のDNA配列にスプライシングすることを含む他の手段によって調製、発現、作出または単離された結合分子を含む。しかしながら、いくつかの態様において、そのような組換えヒト結合分子は、インビトロで突然変異誘発(または、ヒトIg配列と遺伝子導入した動物を用いるときは、インビボ体細胞性突然変異誘発)を行い、それによって組換え結合分子のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VHおよびVL配列に由来し、それに関連するが、ヒト結合分子生殖系列レパートリーには天然にインビボで存在しない配列となる。
本明細書において用いられているところの用語「単離された結合分子」は、異なる抗原性の種をもつ他の結合分子から実質的にフリーの状態の結合分子を言う(例えば、ILT3に特異的に結合する単離された結合分子は、ILT3以外の抗原に特異的に結合する結合分子から実質的にフリーである)。さらに、単離された結合分子は、他の細胞性の物質および/または化学物質から実質的にフリーであってもよい。「単離された結合分子」は、その天然の環境に存在する成分から同定および分離および/または回収されたものである。その天然の環境の汚染物質は、例えば、結合分子の診断用もしくは治療用の使用と干渉するであろう物質を含み、また、酵素、ホルモンおよび他のタンパク質様の溶質もしくは非タンパク質様の溶質を含んでもよい。好ましい態様においては、結合分子を精製して、(1)Lowryの方法で測定した場合、95重量%を超える結合分子、最も好ましくは99重量%結合分子;(2)スピニングカップ配列決定装置を用いたところ、N末端または内部のアミノ酸配列の少なくとも15の残基を得るのに十分な程度、または(3)クーマシーブルーもしくは、好ましくは銀染色を用いた還元条件もしくは非還元条件下でのSDS−PAGEによる均質性にする。単離された結合分子は、結合分子の天然の環境の少なくとも1つの成分が存在しないので、組換え細胞中でin situ で結合分子を含む。しかしながら、通常、単離された結合分子は、少なくとも精製ステップによって調製される。
本明細書において用いられているところの用語「結合定数」「(kd)」は、「アフィニティー定数」とも称されるが、それは、2つの分子種の間の可逆的結合の程度の測定値であり、実際の結合アフィニティーならびに見かけの結合アフィニティーを含む。実際の結合アフィニティーは、M−1S−1中のKassocとS−1中のKdissocとの比を計算することによって決定され、それはユニット「M−1」をもつ。したがって、結合アフィニティーを付与または最適化することは、所望のレベルの結合アフィニティーを達成するようにこれらの成分のいずれかもしくは双方を変更することを含む。見かけのアフィニティーは、例えば、相互作用の結合力である。例えば、二価のヘテロマーの可変領域結合フラグメントは、
その結合価によって、変更もしくは最適化された結合アフィニティーを示す。結合アフィニティーは、例えば、BIAcoreシステムを用いた表面プラスモン共鳴の測定によって求めることができる。
本明細書において用いられているところの用語「核酸分子」は、DNA分子およびRNA分子を含む。核酸分子は、一本鎖または二本鎖である。好ましくは、二本鎖DNAである。
本明細書において用いられているところの用語「単離された核酸分子」は、ILT3に結合する結合分子をコードする核酸の意味においては、結合分子をコードするヌクレオチド配列が他の配列がヒトゲノムDNAの核酸に天然に隣接している他のヌクレオチド配列からフリーである核酸分子を意味する。これらの配列は、調節またはタンパク質の安定性にとって重要な5’または3’ヌクレオチド配列を任意に含むことができる。
本明細書において用いられているところの用語「ベクター」とは、連結された先の別の核酸を輸送できる核酸分子を言う。1つのタイプのベクターは、付加的なDNAセグメントをライゲーションできる環状の二本鎖DNAループを言う「プラスミド」である。別のタイプのベクターはウイルスベクターである。このベクターでは、付加的なDNAセグメントはウイルスゲノムにをライゲーションできる。いくつかのベクターは、それらが導入された宿主細胞(例えば、バクテリア性複製起点をもつバクテリアベクターおよびエピソームの哺乳動物ベクター)において自律複製することができる。宿主細胞の導入時に、他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)を宿主細胞のゲノムに組み込むことができ、それによって宿主のゲノムとともに複製することができる。さらにいくつかのベクターは、それらが作用可能に結合した遺伝子の発現を指向することができる。そのようなベクターは、本明細書において「組換え発現ベクター」(単に「発現ベクター」)と呼ばれる。一般に、組換えDNA技法に用いられる発現ベクターは、プラスミドの形態であることが多い。プラスミドが最も一般的に用いられるベクターの形体であるので、本明細書においては「プラスミド」および「ベクター」は、互換可能に使用することができる。しかしながら、本発明は、そのような形体の他の形体の発現ベクター、例えば、同様の機能を発揮するウイルスベクター(例えば、複製欠陥レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)を含む。
本明細書において用いられる用語「組換え宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)は、組換え発現ベクターが導入された細胞を意味する。このような用語は、特定の被検細胞のみならず、そのような細胞の子孫を意味することも意図されている。突然変異や環境の影響によって後の世代において特定の変形が生じるかも知れず、そのような子孫は、実際、親細胞と同一ではないかもしれないが、それでもなお本明細書において用いられる用語「宿主細胞」の範囲に含むものとする。
本明細書において用いられる用語「T細胞」(つまりTリンパ球)は、哺乳類(たとえばヒトなど)に由来する胸腺細胞、未熟T細胞、および成熟T細胞などを含む、T細胞系統に属するすべての細胞を含む。好ましくは、T細胞は成熟T細胞であって、CD4またはCD8の両方ではなくいずれか、およびT細胞レセプターを発現する成熟T細胞である。本願明細書に記載の各種T細胞個体群は、サイトカインプロフィールおよびその機能に基づいて定義することができる。
本明細書において用いられる用語「プロフェッショナル抗原提示細胞」または「APC」は、細胞によって認識され得る形で抗原を提示する細胞である。抗原を「提示」することができる細胞には、B細胞、単球、マクロファージおよび樹状細胞が含まれる。
本明細書において用いられる用語「樹状細胞」または「DC」は、未処置のT細胞を活性化することができ、B細胞の成長および分化を刺激することができるAPCを含む。DCは、系列陰性細胞である。すなわち、それらはT細胞、B細胞、NK細胞および単球/マクロファージの表面マーカーを欠いているが、それらは種々の共刺激性の分子(例えば、CD86、CD80、CD83およびHLA−DR)、および/または接着分子を強く発現する。樹状細胞は、主な2つの細胞、すなわち「骨髄由来樹状細胞」(「MDDC」)および「形質球様細胞由来樹状細胞」(「PDDC」)に細分することができる。PDDCの増殖能力を限定することができるので、樹状細胞系列を区別するために、ILT3などの細胞表面マーカーを使用することができる。例えば、Santiago-Schwartz, F. (2004) Rheum. Dis. Clin. Noth Am. 30:115-134を参照することができる。その内容を本明細書において引用によって援用する。さらに、DCは、「未成熟DC」と「成熟DC」に分類することができる。未成熟DCは、抗原捕捉およびプロセシングに特化している。一方、成熟DCは、抗原を提示し、T細胞の刺激脳を増加させる。未成熟DCは、当該技術において認識されている技法を用いて、例えば、炎症性サイトカイン混合物の存在下で、成熟させることができる。
本明細書において用いられる用語「未処置のT細胞」は、同族の抗原にさらされていないため活性化されていない、もしくはメモリー細胞であるT細胞を含む。未処置のT細胞は、循環しておらず、ヒト未処置T細胞はCD45RA+である。もし未処置T細胞が抗原を認識し、抗原の量、投与経路および投与タイミングに依存するがそれに限定されないさらなるシグナルを認識すれば、それらは、T細胞の種々のサブセット、例えば、エフェクター細胞に増殖および分化するかもしれない。
本明細書において用いられる用語「メモリーT細胞」は、抗原に曝露された後、機能的に静止し、抗原の不存在下で長期間生存することができるリンパ球を含む。ヒトメモリーT細胞は、CD45RA−である。
本明細書において用いられる用語「エフェクターT細胞」または「T細胞」には、抗原を除去するように働く(例えば、その他の細胞の活性化を調節するサイトカインを産生することによって、または細胞毒性活性によって)T細胞が含まれる。「エフェクターT細胞」という用語には、Tヘルパー細胞(たとえばTh1およびTh2細胞)ならびに細胞毒性T細胞が含まれる。Th1細胞は、遅延型過感受性(DTH)反応およびマクロファージ活性化を媒介し、Th2細胞はB細胞に援助を提供し、アレルギー反応(例えば、ヒト免疫反応)において重要である(Mosmann and Coffman, 1989, Annu. Rev. Immunol. 7, 145-173; Paul and
Seder, 1994, Cell 76, 241-251; Arthur and Mason, 1986, J. Exp. Med. 163,
774-786; Paliard, et al., 1988, J. Immunol. 141, 849-855; Finkelman, et al.,
1988, J. Immunol. 141, 2335-2341)。
本明細書において用いられる用語「Tヘルパータイプ1反応」(Th1反応)は、IFN−γ、IL−2、TNFおよびリンホトキシン(LT)から選択される1以上のサイトカイン、ならびにTh2細胞ではなくTh1細胞によって優先的もしくは独占的に産生される他のサイトカインを産生することを特徴とする反応を言う。本明細書において用いられる用語「Tヘルパータイプ2反応」(Th2反応)は、IL−4、IL−5、IL−6およびIL−10から選択される1以上のサイトカインの産生によって特徴づけられる、Th2細胞(例えば、増強したIgG1および/またはIgE産生)によって提供される、効率的なB細胞の「援助」と関連するCD4+T細胞による反応を言う。
本明細書において用いられる用語「調節T細胞」または「Treg細胞」は、低レベルのIL−2、IL−4、IL−5およびIL−12を産生するT細胞を含む。調節T細胞は、エフェクターT細胞より低レベルであるとはいえ、TNFα、TGFβ、IFN−γおよびIL−10を産生する。TGFβは、調節T細胞によって産生される有力なサイトカインであり、そのサイトカインは、Th1もしくはTh2細胞によって産生されるもの未満もしくはそれと同等のレベル、例えば、Th1もしくはTh2細胞の未満のレベルで産生される。調節T細胞は、細胞のCD4+CD25+群に認めることができる(例えば、WaldmannとCobbold. 2001. Immunity. 14:399)。調節T細胞は、活性化シグナルとともに刺激されたTh1、Th2または未処置のT細胞の増殖およびサイトカイン産生を(例えば、抗原および抗原提示細胞、またはMHC、例えば、抗CD3抗体および抗CD28抗体の意味において抗原と類似したシグナルを用いて)積極的に抑制する。
本明細書において用いられる用語「免疫反応不顕性」または「耐性」は、レセプター媒介刺激の活性化についての屈折度が含まれる。、そのような屈折度は、一般に、抗原特異的であって、寛容化抗原への曝露が停止した後にも持続する。例えば、耐性は、例えばIL−2などのサイトカイン産生の欠如によって特徴づけられる。耐性は、細胞が抗原に曝露され、最初のシグナル(T細胞レセプターまたはCD−3媒介性シグナル)を受け、第2のシグナル(共刺激シグナル)が存在しないときに、例えば、ILT3などの抑制受容体からの抑制シグナルの上方調整といった改変によって生じうる。このような条件下で、細胞を同じ抗原に再び曝露したとき(共刺激性のポリペプチドの存在下で曝露したときでさえ)、サイトカインを生成することができず、したがって、増殖することができない。例えば、耐性は、サイトカイン、例えば、IL−2の産生の欠如を特徴とする。または、混合リンパ球アッセイを使用することによって評価することができる。耐性は、自己抗原または外来抗原にも生じうる。
本明細書において用いられる用語「抑制性シグナル」は、抑制受容体(例えば、ILT3)を介して、例えば、DC、例えば、MDDCなどの免疫細胞上で伝達されるシグナルを言う。そのようなシグナルは、活性化レセプターを介して(例えば、TCR、CD3、BCRもしくはFcポリペプチドを介して)、シグナルをアンタゴナイズする。抑制受容体を介してシグナルを伝達した結果、インビトロで「免疫細胞活性を下方調整する」。例えば、第2のメッセンジャー生成の阻害;増殖の阻害;免疫細胞中のエフェクター機能の阻害、例えば、例えば、貪食作用の減少、抗体産生の減少、細胞傷害特性の減少、免疫細胞によるメディエーター作製の不良(例えば、サイトカイン(例えば、IL−2)および/もしくは、アレルギー反応のメディエーター);または耐性の発展が生じる。
ある態様において、免疫細胞活性の下方調整は、インビトロで同種免疫反応を下方調整する。本明細書において用いられている用語「同種免疫反応」は、抗原的に異なる細胞間に生じる免疫反応を意味する。同種免疫反応は、リンパ球、すなわち、休止しているリンパ球、すなわち、2つの個体から刺激されなかったリンパ球(刺激物質およびレスポンダー)すなわち、同種のリンパ球がともに培養され、その増殖反応(「混合リンパ球反応」)がH標識されたチミジン取り込みおよび/またはサイトカイン産生によって測定される、ある種のリンパ球増殖試験である「混合リンパ球培養」または「混合リンパ球反応」(「MLC」または「MLR」)を用いて測定することができる。ある態様において、MLCは、一次MLC、すなわちレスポンダー細胞を、例えば、ガンマ照射によって不活化された、もしくはされなかった刺激物質と、例えば、3日間混合する。別の態様において、MLCは、2次MLC、レスポンダー細胞をまず、例えば、ガンマ照射によって不活化された、もしくはされなかった一次MLC中で培養する。次いで、生存可能細胞を回収し、ガンマ照射によって不活化された、もしくはされなかった新たな刺激物質によって再び刺激し、さらに、例えば、3、4、5、6、7日間培養する。
別の態様において、免疫細胞活性化の下方調整の結果、共刺激の分子の細胞上、例えば、樹状細胞上での発現を下方調整されるか、または、共刺激性の分子発現の増加が減衰される。さらに別の態様において、免疫細胞活性化の下方調整の結果、インビトロで細胞内カルシウム流入の下方調整が生じる。
ある態様において、MDDCの活性化状態がインビトロで下方調整される。ある態様において、MDDCは、例えば、0日目および3日目に添加されたGM−CSFおよびIL−4の存在下で培養された単球に由来する。ある態様において、MDDCは、例えば、0日目および3日目に添加された本発明の結合分子の存在下で培養された単球に由来する。別の態様において、成熟樹状細胞の活性化状態が下方調整される。ある態様において、成熟樹状細胞は、例えば、1日目に添加されたIL−6、IL−1ベータ、TNF−アルファの存在下で培養された血液樹状細胞に由来する。別の態様において、単球の活性化状態が下方調整される。
本明細書において用いられている用語「免疫反応の上方調整」は、T細胞媒介性および/またはB細胞媒介性の免疫反応のインビボでの増加を意味する。免疫反応の例としては、T細胞反応、例えば、サイトカイン産生および細胞傷害性を含む。さらに、免疫反応なる用語は、抗体産生(体液性反応)および生得の免疫系、例えば、マクロファージなどのサイトカイン反応性細胞の細胞の活性化を含む。
本明細書において用いられている用語「調節する」は、刺激(例えば、特定の免疫反応または活性の増加、上方調整、もしくはアップレギュレーション)および阻害(例えば、特定の免疫反応または活性の減少、下方調整、もしくはダウンレギュレーション)を含む。
用語「治療する」は、治療的および予防的治療、または予防対策を含む。治療を必要とする対象には障害を既に有している対象、ならびにまだ障害を有していない対象が含まれる。
用語「障害」は、本発明の結合分子を用いた治療により恩恵を受けるであろうあらゆる状態を言う。これには、高すぎる、もしくは低すぎる免疫反応に関連した、慢性および急性の障害または疾患または病理的状態が含まれる。
本発明の種々の局面を以下のセクションにおいてさらに詳細に説明する。
II.ILT3結合分子
本発明は、単離されたILT3結合分子を提供する。本発明の結合分子の例としては、9B11抗体、またはその結合部分が含まれる。9B11抗体は、APC、例えば、単球、マクロファージ、MDDCなどの樹状細胞、例えば、ヒト細胞上でILT3と、高アフィニティーで結合した抗ILT3抗体である。本発明の結合分子は、hILT3と高いアフィニティーで結合し、インビトロで免疫反応を下方調整すること、例えば、同種免疫反応;樹状細胞、例えば、単球由来樹状細胞(MDDC)による炎症性サイトカインの生成;DC、例えば、MDDCによる共刺激分子のアップレギュレーション;および/または単球へのカルシウムの流入を下方調整することを特徴とする。さらに、結合分子は、樹状細胞、例えば、未成熟の樹状細胞での抑制受容体の発現をアップレギュレーションする。驚くべきことに、インビトロで免疫反応を下方調整する同じこれらの結合分子が、インビボで免疫賦活性を示す。例えば、結合分子は、例えば、DTH反応などの細胞性免疫反応といったインビボで免疫反応を刺激する。本発明の好ましい結合分子は、図8A〜8Dに示すVLおよびVH配列を有する。本発明の9B11VH領域のアミノ酸配列はまた、配列番号:1に示されており、9B11VL領域のアミノ酸配列はまた、配列番号:2に示されている。
ある局面において、本発明は、9B11結合分子、ならびにhILT3と高いアフィニティーで結合し、インビトロで免疫反応を下方調整すること、例えば、同種免疫反応下方調整すること;単球由来樹状細胞(MDDC)などの樹状細胞による炎症性サイトカインの生成、DC、例えば、MDDCによる共刺激分子のアップレギュレーション、および/または単球へのカルシウムの流入を下方調整すること;樹状細胞、例えば未成熟樹状細胞上での抑制受容体の発現を上方調節することといった9B11と同等の特性を持つ他の結合分子に関する。したがって本発明の均等の結合分子は、例えば、細胞中にILT3を介して陰性シグナルを生成するか、または活性化レセプターを介して刺激性のシグナルの生成をインビトロでブロックするが、インビボでは免疫賦活性であり、例えば、それらはILT3を隔離または下方調整し、その活性化レセプターとの結合を阻害し、それによって免疫反応を下方調整する。
ある態様において、本発明は、配列番号:2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)と配列番号:1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を有するヒト結合分子を提供する。本明細書に記載の結合分子の配列のいくつかは、リーダー配列を含むが、本発明の結合分子は、リーダー配列を排除することもでき、それは任意であることが理解されよう。例えば、ある態様において、本発明の結合分子は、配列番号:1に示された成熟タンパク質のアミノ酸配列、例えば、配列番号:1のアミノ酸20〜135を含む。
本発明のいくつかの態様において、本発明の結合分子は、重鎖定常領域、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgMまたはIgD定常領域を含む。ある態様において、重鎖定常領域は、グリコシレーション部位、例えば、配列番号:28のアミノ酸位置180のアスパラギンを含む。別の態様において、重鎖定常領域は、グリコシレーション部位、例えば、配列番号:29のアミノ酸位置180のアラニンを含まない。ある態様において、重鎖定常領域は、配列番号:28に記載のアミノ酸配列を含む。別の態様において、重鎖定常領域は、配列番号:29に記載のアミノ酸配列を含む。
さらに、結合分子は、軽鎖定常領域、カッパ軽鎖定常領域またはラムダ軽鎖定常領域を含むことができる。好ましくは、結合分子はカッパ軽鎖定常領域を含む。
ある態様において、本発明の結合分子のCLドメインは、配列番号:23に記載のアミノ酸配列を含む(ネズミIgG2a軽鎖定常領域)を含む。
ある態様において、本発明の結合分子のCHドメインは、配列番号:24に記載のアミノ酸配列を含む(ネズミIgG2a重鎖定常領域)を含む。
本発明のある態様において、VL鎖は、リーダーおよび/またはシグナル配列、例えば、配列番号:2のアミノ酸残基1−20を含む。ある態様において、VH鎖は、リーダーおよび/またはシグナル配列、例えば、配列番号:1のアミノ酸残基1−19を含む。別の態様において、本発明の結合分子は、リーダーおよび/またはシグナル配列を含まない。
ある態様において、本発明の結合分子は、配列番号:28に記載の重鎖定常領域を含む。ある態様において、本発明の結合分子は、配列番号:29に記載の重鎖定常領域を含む。ある態様において、本発明の結合分子は、配列番号:30に記載の軽鎖定常領域を含む。
別の態様において、本発明は、9B11に関連するVLのCDRドメインを持つ結合分子、例えば、配列番号:6、配列番号:7および配列番号:8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む少なくとも1つのCDRドメインを持つ軽鎖可変領域(VL)を有する結合分子を提供する。別の態様において、軽鎖可変領域(VL)は、配列番号:6、配列番号:7および配列番号:8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、少なくとも2つのCDRドメインを有する。さらに別の態様において、軽鎖可変領域(VL)は、配列番号:6、配列番号:7および配列番号:8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDRドメインを有する。
さらに別の態様において、本発明は、9B11に関連するVHのCDRドメインを持つ結合分子、例えば、配列番号:3、配列番号:4および配列番号:5からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む少なくとも1つのCDRドメインを持つ重鎖可変領域(VH)を有する結合分子を提供する。別の態様において、重鎖可変領域(VH)は、配列番号:63、配列番号:4および配列番号:5からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、少なくとも2つのCDRドメインを有する。さらに別の態様において、重鎖可変領域(VH)は、配列番号:3、配列番号:4および配列番号:5からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDRドメインを有する。
本発明の結合分子は、別の機能的分子(例えば、別のペプチドまたはタンパク質)に誘導体化または結合することができる。したがって、本発明の結合分子は、誘導体化した、そうでなければ、改変された形態の免疫接着分子を含む、本明細書に記載の抗ILT3結合分子を含む。例えば、本発明の結合分子は、結合分子と別の分子(例えば、ストレプトアビジンコア領域またはポリヒスチジンタグ)との結合を媒介することができる1以上の他の分子部分、例えば、他の結合分子(例えば、二重特異性抗体または二抗体(diabody))、検出可能な物質、細胞傷害性物質、薬学的物質、および/またはタンパク質もしくはペプチドに機能的に結合(科学的結合、遺伝子融合、その他)することができる。
1つのタイプの誘導体化された結合分子は、2以上の結合分子(同じタイプもしくは異なるタイプ、例えば、二重特異性抗体を作製する)を架橋することによって作製することができる。好適な架橋は、適切なスペーサーによって分離された2つの明確に反応する基を有する(例えば、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)を持つヘテロ二機能性のもの、またはホモヘテロ二機能性のもの(例えば、ジスクシンイミジルスベリン酸塩)がある。そのようなリンカーは、Pierce Chemical Company, Rockford, ILから入手可能である。
本発明の結合分子が誘導体化されるのに用いる有用な検出可能な物質には、蛍光化合物がある。蛍光性の検出可能な物質の例としては、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、5−ジメチルアミン−1−ナフタレンスルホニルクロリド、フィコエリトリンなどが挙げられる。結合分子は、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼなどの検出可能な酵素で誘導体化してもよい。結合分子を検出可能な酵素で誘導体化する際、それは検出可能な反応生成物を作製するために酵素が使用する追加的試薬を添加することによって検出される。例えば、検出可能な試薬である西洋ワサビペルオキシダーゼが存在する場合、過酸化水素およびジアミノベンジン鉛を追加することで、検出可能となる。結合分子は、ビオチンで誘導体化し、アビジンまたはストレプトアビジン結合を介した間接的測定によって検出することができる。
III.結合分子の作製
本発明は、ILT3、例えば、ヒトILT3対する特異性を有する結合分子を特徴とする。そのような結合分子は、本発明の種々の治療用組成物を調剤するために使用することができ、好ましくは、ヒト化もしくはキメラ結合分子の作製のための相補性決定領域を提供する(以下に詳細示す)。非ヒト結合分子、例えば、モノクローナル結合分子は、例えば、モノクローナル抗体(例えば、ネズミ、モルモット、霊長類、ウサギもしくはラット)を、例えば、hILT3をコードする核酸分子を用いて動物を免疫化することによって作製することができる。例えば、ILT3に結合する抗体は、hILT3またはその一部で動物を免疫化することによって、またはヒトILT3をコードする遺伝子を発現ベクターに置くことによって、およびベクターで動物を免疫することによって作製することができる。ILT3もしくはILT3の免疫フラグメントもしくはILT3の抗イディオタイプの結合分子を含む長いポリペプチドを用いることもできる(例えば、Harlow & Lane、上掲、全ての目的のために引用によって援用する)。そのようなイムノゲンは、ペプチド合成または組換え発現によって天然のソースから取得することができる。そのイムノゲンは、下記に示すように、任意に担体タンパク質に融合させて、またはそうでなければ複合させて適用することができる。必要に応じて、イムノゲンは、アジュバントとともに適用することができる。「アジュバント」なる用語は、細胞レベルもしくは体液レベルで、免疫反応を増大させる、刺激する、活性化する、増強する、または上方調整する化合物を意味する。古典的な物質(フロイントアジュバント、BCG、コリネバクテリウム-パルヴムなど)は細菌性抗原を含有しており、アジュバントは、リンパ球補充、B細胞および/またはT細胞の刺激、およびマクロファージの刺激を含むいくつかのメカニズムによって免疫反応を増強させることができる。いくつかのタイプのアジュバントは、下記のようにして使用することができる。別のアジュバントの例としては、Hunter’s Titermax、GerbuアジュバントおよびRibi’sアジュバントが挙げられる。
ポリクローナル結合分子、例えば、ポリクローナル抗体の作製には、一般的にウサギまたはモルモットが使用される。ポリクローナル結合分子(例えば、受動的保護のため)は、例えば、以下のようにして調製することができる。動物を100μgのILT3およびアジュバントを用いて免疫し、4〜5ヶ月目に安楽死させる。血液を採取し、IgGを他の血液成分から分離する。イムノゲンに特異性を示す結合分子は、アフィニティークロマトグラフィーによって精製してもよい。平均約0.5〜1.0mgのイムノゲン特異的結合分子を動物ごとに取得し、合計60〜120mgとする。
モノクローナル結合分子を作製するために、マウスが一般的に使用される。フラグメントもしくは長い形体のILT3をマウスに注射し、ハイブリドーマを調製し、ILT3に特異的に結合する結合分子のハイブリドーマをスクリーニングすることによって、フラグメントに対してモノクローナルを作製することができる。必要に応じて、特異的領域もしくは所望のILT3のフラグメントに結合するために、ILT3の他の非オーバーラッピングフラグメントに結合することなく、結合分子をスクリーニングする。後者のスクリーニングは、結合分子をILT3ペプチドの欠失突然変異の集合物への結合を判定することによって、および、どの欠失突然変異が結合分子に結合するかを判定することによって、達成することができる。結合は、例えば、ウエスタンブロットまたはELISAによって評価することができる。結合分子に対する特異的結合を示す最小フラグメントは、結合分子のエピトープを規定する。あるいは、エピトープの特異性は、試験結合分子および参照結合分子がILT3に結合に関して競合的である競合アッセイによって評価することができる。もし試験結合分子および参照結合分子が競合的であれば、それらは同じエピトープ(または十分に近位のエピトープ)に、1つの結合分子が他との結合を阻害するように、結合する。このような結合分子の好ましいアイソタイプは、マウスアイソタイプIgG2aまたは他の種の同等のアイソタイプである。マウスアイソタイプIgG2aは、ヒトアイソタイプIgG1の均等物である。
本発明はまた、ILT3に特異性を示すキメラおよび/またはヒト化結合分子(すなわち、キメラおよび/またはヒト化イムノグロブリン)を特徴とする。キメラおよび/またはヒト化結合分子は、キメラまたはヒト化結合分子の構築のための開始物質を提供するマウスまたは他の非ヒト結合分子と、同じまたは類似の結合特異性およびアフィニティーを有している。
キメラ結合分子は、その軽鎖および重鎖遺伝子が典型的には遺伝子工学によって、異なる種に属するイムノグロブリン遺伝子セグメントから構築されているものである。例えば、マウスモノクローナル結合分子からの遺伝子の可変(V)セグメントをIgG1およびIgG4などのヒト定常(C)セグメントに結合してもよい。ヒトアイソタイプIgG1が好ましい。典型的なキメラ結合分子は、したがって、マウス結合分子からのVもしくは抗原結合ドメインと、ヒト結合分子からのCもしくはエフェクタードメインからなるハイブリッドタンパク質である。
「ヒト化結合分子」なる用語は、実質的にヒト結合分子鎖からの可変領域フレームワーク残基(アクセプターイムノグロブリンもしくは結合分子と呼ぶ)と、実質的にマウス結合分子からの少なくとも1つの相補性決定領域(ドナーイムノグロブリンもしくは結合分子と呼ぶ)とを含む、少なくとも1つの鎖を含む結合分子を意味する。Queen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:10029-10033 (1989)、米国特許第5,530,101号、第5,585,089号、第5,693,761号、第5,693,762号、Selick et al.、PCT国際公開公報WO90/07861号およびWinter、米国特許第5,225,539号を参照することができる(あらゆる目的のためにこれらの全体を引用によって援用する)。もし存在すれば、定常領域は、実質的に、または全体的にヒト免疫グロブリンに由来する。
もしヒト可変ドメインフレームワークが、そのCDRが由来するマウス可変フレームワークと同じもしくは類似のコンホーメーションを採用すれば、マウスCDRをヒト可変ドメインフレームワークへ置換した結果、正しい空間オリエンテーションが維持される可能性が高い。そのフレームワーク配列がそのCDRが由来するネズミ可変フレームワークドメインと高度の配列同一性を示すヒト結合分子からのヒト可変ドメインを取得することによって達成される。重鎖および軽鎖可変フレームワーク領域は、同じまたは異なるヒト結合分子配列に由来することができる。ヒト結合分子配列は、天然に存在する結合分子の配列とすることができるし、またはいくつかのヒト結合分子のコンセンサス配列とすることもできる。Kettleborough et al., Protein Engineering 4:773 (1991); Kolbinger et al., Protein Engineering
6:971 (1993)およびCarter et al.、PCT国際公開公報WO92/22653号を参照することができる。
ネズミドナーイムノグロブリンおよび適切なヒトアクセプターイムノグロブリンの相補性決定領域を同定したら、次のステップは、もしあれば、これらのコンポーネントのうちのどの残基を、得られたヒト化結合分子の特性を最適化するために、置換すべきかを決定することである。一般的に、ヒトアミノ酸残基のネズミによる置換は最小限にとどめることが好ましい。なぜなら、ネズミ残基を導入することで、結合分子がヒトにおいてヒト抗マウス抗体(HAMA)反応を誘発するリスクが高まるからである。免疫反応を測定する技術的に認識されている方法を用いて、特定の患者における、または臨床治験中において、HAMA反応をモニターすることができる。ヒト化結合分子を投与された患者に対して、前記治療の開始および治療中ずっと、免疫原性評価を行うことができる。HAMA反応は、例えば、表面プラスモン共鳴技法(BIACORE)および/または固相ELISA分析を含む当該技術分野において公知の方法を用いて、患者からの血清サンプル中のヒト化治療試薬に対する抗体を検出することによって、測定することができる。
ヒト可変領域フレームワーク残基からのいくつかのアミノ酸を選択して、CDRコンホーメーションおよび/または抗原への結合に対する可能な影響に基づいて置換を行う。ネズミCDR領域とヒト可変フレームワーク領域の不自然な配置によって、不自然なコンホーメーションの抑制がもたらされる。それは、アミノ酸残基の置換によって補正されなければ、結合アフィニティーの損失につながる。
置換のためのアミノ酸残基の選択は、部分的には、コンピューターモデリングによって決定することができる。一般的に、分子モデルの作製は、イムノグロブリン鎖の解明されている構造から開始して行われる。アミノ酸配列の類似性を調べるためにモデルにすべき鎖を、解明されている3次元構造の鎖またはドメインと比較して、最も高い類似性を示す鎖またはドメインを分子モデル構築の開始時に選択する。少なくとも50%の配列同一性を持つ鎖またはドメインをモデリングのために選択する。また、好ましくは、少なくとも60%、70%、80%、90%の配列同一性をモデリングのために選択する。解明されている開始構造を変更して、モデリングするイムノグロブリン鎖またはドメイン中、開始構造中の実際のアミノ酸どうしを相違させることができる。次いで、改変された構造を集めて複合イムノグロブリンとする。最後に、そのモデルをエネルギー最小化、および全ての原子が互いに適切な距離をあけて存在していること、結合の長さおよび角度が化学的に許容可能な限度内にあることを確認することによって改善する。
置換のためのアミノ酸残基の選択は、部分的に、特定の位置のアミノ酸の特性の試験、または置換の効果についての実験的観察、または特定のアミノ酸の突然変異誘発によっても決定することができる。例えば、アミノ酸は、ネズミ可変領域フレームワーク残基と選択されたヒト可変領域フレームワーク残基の間で異なり、ヒトフレームワークアミノ酸は通常、アミノ酸が:(1)抗原に直接的に非共有的に結合する、(2)CDR領域に隣接する、(3)そうでなければ、CDR領域と相互作用する(例えば、コンピューター・モデリングによる判定によれば、約3〜6オングストロームのCDR領域内にある)、または(4)VL−VHインターフェイスに関与する、ことが合理的に期待されるとき、マウス結合分子からの等価のフレームワークアミノ酸によって置換されるはずである。
「抗原に直接的に非共有的に結合する」残基は、確立された化学的力、例えば、水素結合、ファンデルワールス力、疎水性の相互作用などによって抗原上で直接的にアミノ酸と相互作用する可能性の高いフレームワーク領域中の位置にアミノ酸を含む。
CDR領域およびフレームワーク領域は、Kabat et al.やChothia et al.,の上掲文献に定義されている。Kabat et al. 上掲文献によって定義されているフレームワーク残基は、Chothia et al., 上掲文献に定義されている構造的ループ残基を構成するとき、マウス結合分子中に存在するアミノ酸は、ヒト化結合分子へ置換するために選択することができる。「CDR領域に隣接する」残基としては、ヒト化イムノグロブリン鎖の一次配列中の1以上のCDRに直接的に隣接する位置のアミノ酸残基、例えば、Kabatによって定義されたCDRに直接的に隣接する位置のアミノ酸残基、またはChothiaによって定義されたCDRに直接的に隣接する位置のアミノ酸残基がある(例えば、Chothia and Lesk JMB 196:901(1987)を参照することができる)。これらのアミノ酸は、アクセプターから選択されれば、特にCDR内のアミノ酸と相互作用し、ドナーCDRを変形させ、アフィニティーを減少させる。さらに、隣接するアミノ酸は、抗原と直接的に相互作用することもできる(Amit et al., Science, 233:747(1986)、これを引用によって援用する)。また、これらのアミノ酸をドナーから選択することは、オリジナルの結合分子中のアフィニティーを提供する全ての抗原接点を維持することが望ましいかもしれない。
「そうでなければ、CDR領域と相互作用する」残基は、CDR領域に影響を及ぼすのに十分な空間配向中にあることが、二次構造分析によって判定されたものを含む。ある態様において、「そうでなければ、CDR領域と相互作用する」残基は、ドナーイムノグロブリンの3次元モデル(例えば、コンピューター生成モデル)を分析することによって同定される。典型的にオリジナルのドナー結合分子の3次元モデルは、CDR外部の特定のアミノ酸がCDRに隣接していること、および化学的力、例えば、水素結合、ファンデルワールス力、疎水性の相互作用などによってCDR中のアミノ酸と相互作用する可能性の高いことを示す。それらのアミノ酸位置において、アクセプターイムノグロブリンアミノ酸よりむしろドナーイムノグロブリンアミノ酸を選択してもよい。この基準によるアミノ酸は一般的に、CDR内のある3オングストローム内の原子の側鎖原子を有するであろう。そして、例えば、上記したような確立された化学的力によってCDR原子と相互作用することができるであろう原子を含有しなければならない。
水素結合を形成することができる原子の場合、3オングストロームは、核間で測定される。しがし、結合を形成しない原子の場合、3オングストロームは、ファンデルワールス表面間で測定される。したがって、後者の場合、相互作用することが可能な原子について、核は、6オングストローム(3オングストロームプラスファンデルワールス半径の合計)内になければならない。多くの場合、核は、4または5〜6オングストローム離れている。アミノ酸がCDRと相互作用するかどうかを測定する際、CDRの一部としての重鎖CDR2の最後の8アミノ酸を考慮しないことが好ましい。なぜなら、構造の観点から、これらの8アミノ酸は、フレームワークとしての機能以上の機能を果たすからである。.
CDR中のアミノ酸と相互作用することが可能なアミノ酸は、別の方法によっても決定することができる。各フレームワークアミノ酸の、解明されている可能な表面積は、2つの方法で計算される:(1)未処理の結合分子中、および(2)CDRが除去された結合分子からなる仮定の分子中。約10平方オングストローム以上の数の間の有意さは、フレームワークアミノ酸の溶媒への接触が少なくとも部分的にCDRによってブロックされることを示す。したがって、アミノ酸は、CDRと接触する。アミノ酸の溶媒接触可能表面積は、当業で公知のアルゴリズムを用いて、結合分子の3次元モデルに基づいて計算される(例えば、Connolly, J. Appl. Cryst. 16:548 (1983) and Lee and Richards, J. Mol. Biol. 55:379 (1971)、双方を引用によって援用する)。フレームワークアミノ酸はまた、場合によっては、CDRと接触する別のフレームワークアミノ酸のコンホーメーションに影響を及ぼすことによって、CDRと間接的に相互作用する。
フレームワーク中のいくつかの位置のアミノ酸は、多くの結合分子のCDRと相互作用することができることが知られている(Chothia and Lesk、上掲文献、Chothia et al. 、上掲文献、およびTramontano et al., J. Mol. Biol. 215:175 (1990)、その全てを引用によって援用する)。特に、軽鎖の2、28、64および71の位置のアミノ酸ならびに重鎖の26−30、71および94の位置のアミノ酸(ナンバリングは、Kabatによる)は、多くの結合分子のCDRと相互作用することができることが知られている。軽鎖の35の位置のアミノ酸ならびに重鎖の93および103の位置のアミノ酸もCDRと相互作用する可能性がある。これらすべての番号づけされた位置において、ヒト化イムノグロブリンに存在するアクセプターアミノ酸より、むしろドナーアミノ酸(それらが異なる場合)が好ましい。一方、CDR領域と相互作用することができるいくつかの残基、例えば、軽鎖の最初の5アミノ酸は、ときにヒト化結合分子のアフィニティーの損失なく、アクセプターイムノグロブリンから選択される。
「VL−VHインターフェイスに関与する」残基、または「パッキング残基」は、例えば、NovotnyとHaber, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82:4592-66 (1985) またはChothia et al、上掲文献に定義されているように、VLとVHの間の界面にそれらの残基を含む。一般的に、普通でないパッキング残基は、もしそれらがヒトフレームワーク中の物と異なる場合、ヒト化結合分子中に存在するはずである。
一般に、上記基準を満たす1以上のアミノ酸が置換される。ある態様においては、上記基準を満たす全てもしくは大半のアミノ酸が置換される。場合によっては、特定のアミノ酸が上記基準を満たすかどうかについては、若干の曖昧さが存在し、別の変形イムノグロブリンが生成される。その1つは、そのような特定の置換を有しており、他は、有していない。そのようにして作製された別の変形イムノグロブリンは、本明細書に記載のアッセイのいくつかにおいて試験され、好ましいイムノグロブリンが選択される。
通常、ヒト化結合分子のCDR領域は、ドナー結合分子の対応するCDR領域と実質的に同一である。いつも好ましいとは限らないが、得られるヒト化結合分子の結合アフィニティーに評価し得る影響を及ぼすことなく1以上のCDR残基の保存的なアミノ酸置換を行うことができることがある。保存的な置換は、gly、ala;val、ile、leu;asp、glu;asn、gln;ser、thr;lys、arg;およびphe、tyrなどの意図された組み合わせである。
置換のさらなる候補は、その場所におけるヒト免疫グロブリンにとって一般的でない、もしくは「まれな」アクセプターヒトフレームワークアミノ酸である。これらのアミノ酸は、マウスドナー結合分子の等しい位置、またはより典型的なヒト免疫グロブリンの等しい位置からのアミノ酸と置換することができる。例えば、アクセプターイムノグロブリンのヒトフレームワーク領域のアミノ酸がその位置においてまれであり、ドナーイムノグロブリンの対応するアミノ酸がヒト免疫グロブリン配列のその位置において一般的であるとき;または、アクセプターイムノグロブリンのアミノ酸がその位置においてまれであり、ドナーイムノグロブリンの対応するアミノ酸も、他の配列に関連して同様にまれであるとき、置換が望ましいかもしれない。これらの基準は、ヒトフレームワークの変則的なアミノ酸が結合分子構造を確実に混乱させないようにするのを助ける。さらに、ヒト結合分子に典型的に起こるように普通でないヒトアクセプターアミノ酸をドナー結合分子からのアミノ酸と置換することによって、ヒト化結合分子の免疫原性を弱め得るものである。
本明細書において用いられている用語「まれな」は、配列の代表的なサンプルの約20%未満の位置、但し、通常約10%未満の配列に発生するアミノ酸を意味する。そして本明細書において用いられている用語「普通の」は、配列の代表的なサンプルの約25%より多く、但し、通常約50%を超える配列に発生するアミノ酸を意味する。例えば、全てのヒト軽鎖および重鎖可変領域の配列は、それぞれ、特に互いに同種であり、特定の基準となる位置に同じアミノ酸をもつ配列の「サブグループ」に分類される(Kabat et al.、上掲文献)。ヒトアクセプター配列中のアミノ酸が、ヒト配列中の「まれ」であるか「普通」であるかの決定は、同じサブグループ中のをアクセプター配列と考えることが好ましい場合が多い。
さらなる置換候補は、Chothia et al.、上掲文献によって提案されている別の定義によれば、CDR領域の一部として同定されるアクセプターヒトフレームワークアミノ酸である。さらなる置換候補は、AbMおよび/または接触定義の条件下CDR領域の一部として同定されるアクセプターヒトフレームワークアミノ酸である。特に、可変重鎖のCDR1は、残基26−32を除くものとして定義されている。
置換のさらなる候補は、まれな、もしくは通常のドナーフレームワーク残基に対応するアクセプターフレームワーク残基である。まれな、もしくは通常のドナーフレームワーク残基は、その位置においてネズミ結合分子として、(本明細書に記載の)まれな、もしくは通常のものである。ネズミ結合分子について、サブグループは、Kabatにしたがって決定することができ、コンセンサスとは異なると同定できる。これらのドナー特異的相違は、活性を高めるネズミ配列において体細胞性突然変異を示す。結合に影響を及ぼすことが予測される通常の残基は維持し、一方、結合にとって重要でないと予測される残基は置換することができる。
置換のさらなる候補は、アクセプターフレームワーク領域の存在する非生殖系列の残基である。例えば、アクセプター結合分子鎖(すなわち、ドナー結合分子鎖と有意な配列同一性を共有するヒト結合分子鎖)が生殖系列結合分子鎖(同様に、ドナー鎖と有意な配列同一性を共有している)に対して配置されている。アクセプター鎖フレームワークと生殖系列鎖フレームワークとの間にマッチングしない残基は、対応する生殖系列配列からの残基と置換することができる。
上記の特異的なアミノ酸置換以外に、ヒト化結合分子フレームワーク領域は、それらが由来するヒト結合分子のフレームワーク領域と、一般的にほぼ同一、より一般的に同一である。もちろん、フレームワーク領域のアミノ酸の多くは、結合分子の特異性またはアフィニティーに直接的な寄与を殆どしないか、または全くしない。したがって、フレームワーク残基の多くの個別の保存的な置換は、得られたヒト化結合分子の特異性またはアフィニティーの測定可能な変化がないので許容される。したがって、ある態様において、ヒト化結合分子の可変フレームワーク領域は、ヒト可変フレームワーク領域配列もしくはその配列のコンセンサスと、少なくとも85%の配列同一性を共有している。別の態様において、ヒト化結合分子の可変フレームワーク領域は、ヒト可変フレームワーク領域配列もしくはその配列のコンセンサスと、少なくとも90%、好ましくは95%、より好ましくは96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を共有している。しかしながら、一般に、そのような置換は望ましくない。
該ヒト化結合分子は、好ましくは、少なくともl0、10、10もしくはl010−1の抗原に特異的な結合アフィニティーを示す。通常、ヒト化結合分子の抗原に対する結合アフィニティーの上限は、ドナー結合分子の3、4もしくは5のファクター以内である。しばしば、結合アフィニティーの下限もまた、ドナー結合分子の3、4もしくは5のファクター以内である。別法として、結合アフィニティーは、置換基をもたないヒト化結合分子(例えば、ドナーCDRおよびアクセプターFRをもつが、FR置換基をもたない結合分子)の結合アフィニティーと比較することができる。そのような例においては、最適化された結合分子(置換を有する)は、好ましくは、未置換の結合分子のそれより、少なくとも、2倍、3倍、もしくは4倍大きい。比較のために、例えば、BIACORE(すなわち、未標識の試薬を用いた表面プラスモン共鳴)または競合結合アッセイを用いて、種々の結合分子の活性を測定することができる。
ヒト化結合分子のCDRおよびフレームワーク成分を概念的に選択した後、そのような結合分子を作製するために種々の方法が利用可能である。コードの縮重により、種々の核酸配列が各結合分子アミノ酸配列をコードする。所望の核酸配列は、デ・ノボ固相DNA合成によって、または、所望のポリヌクレオチドの早期に調整されたPCR突然変異誘発によって調製することができる。
オリゴヌクレオチド媒介性の突然変異誘発は、標的ポリペプチドDNAの置換、欠失、および挿入による変形を誘発する好ましい方法である。Adelman et al., DNA 2:183 (1983)を参照することができる。簡単に述べれば、標的ポリペプチドDNAは、一本鎖DNAテンプレートに対する所望の突然変異をコードするオリゴヌクレオチドである。ハイブリダイゼーション後、DNAポリメラーゼを用いて、オリゴヌクレオチドプライマーを含み、標的ポリペプチドDNAの選択された変形をコードする鋳型の第2相補鎖全体を合成する。
上掲文献に記載のようにして作製した結合分子の可変セグメント(例えば、キメラ、ヒト化またはヒト結合分子の重鎖および軽鎖可変領域)は、典型的に少なくともイムノグロブリン定常領域(Fc)の一部、典型的にはヒト免疫グロブリンと結合している。ヒト定常領域DNA配列は、公知の手順に従って、ヒト細胞、好ましくは不死化B細胞から単離することができる(Kabat et al.、上掲文献、およびLiu et al.、PCT国際公開公報WO87/02671号)(このそれぞれを、全ての目的のためにその内容全体を、引用によって本明細書に援用する)。通常、結合分子は、軽鎖定常領域および重鎖定常領域の双方を含有するであろう。重鎖定常領域は通常、CH1、ヒンジ、CH2、CH3、およびCH4領域を含む。本明細書に記載の結合分子は、IgM、IgG、IgD、IgA、およびIgEを含むあらゆる種類の定常領域、ならびにIgGl、IgG2、IgG3、およびIgG4を含むあらゆるアイソタイプを含む。定常領域の選択は、結合分子依存性の相補および/または細胞媒介性の傷害性が望ましいかどうかに部分的に依存する。例えば、IgG1およびIgG3は補完的な活性を持つが、アイソタイプIgG2およびIgG4はもたない。結合分子(例えば、ヒト化結合分子)が細胞傷害性活性を示す場合、定常ドメインは通常、固定定常ドメインを保管し、そのクラスは典型的にIgG1である。そのような細胞傷害性活性が望ましくない場合、定常ドメインは、例えば、IgG2クラスのものである。アイソタイプの選択は、脳への移動に影響を及ぼし得る。抗体のヒトアイソタイプIgG1が好ましい。軽鎖定常領域は、ラムダまたはカッパであることができる。ヒト化結合分子は、1つより多くのクラスまたはアイソタイプからの配列を含むかもしれない。結合分子は、Fab、Fab’F(ab’)2、およびFvといった分離した重鎖および軽鎖として、2つの軽鎖と2つの重鎖をもつ四量体として、または重鎖および軽鎖可変ドメインがスペーサーを介して結合している一本鎖結合分子として発現させることができる。
IV.結合分子の発現
本発明の結合分子は、イムノグロブリン軽鎖および重鎖遺伝子を宿主細胞中に組換え発現させることによって調製することができる。結合分子を組換え的に発現させるために、宿主細胞を、結合分子のイムノグロブリン軽鎖および重鎖をコードするDNAフラグメントを持つ1以上の組換え発現ベクターでトランスフェクトし、軽鎖および重鎖が宿主細胞中で発現する、好ましくは、宿主細胞が培養される培地中に分泌されるようにする。培地から結合分子を除去することができる。標準的な組換えDNA方法を用いて、抗体重鎖および軽鎖遺伝子を得て、これらの遺伝子を組換え発現ベクターに導入し、該ベクターを宿主細胞中に導入する。Sambrook, Fritsch and Maniatis (eds), Molecular Cloning; A Laboratory Manual, Second Edition, Cold
Spring Harbor, N.Y., (1989),
Ausubel, F.M. et al. (eds.)
Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates, (1989) and in U.S. Patent No. 4,816,397 by
Boss et al.に記載されているように行う。
本発明の結合分子を発現させるために、全長軽鎖および重鎖をコードするDNAを、遺伝子が転写および翻訳調節配列に作用可能に結合するように発現ベクターに挿入する。この文脈で、「作用可能に結合する」は、ベクター内の転写および翻訳調節配列の結合分子遺伝子が、結合分子遺伝子の転写および翻訳を調節するという意図された機能を果たすように、ベクターにライゲーションすることを意味することが意図されている。発現ベクターおよび発現調節配列を、用いられる発現宿主細胞と適合性を有するように選択する。結合分子軽鎖遺伝子および結合分子重鎖遺伝子は、別個のベクターに挿入することができる。より典型的には、双方の遺伝子を同一のベクターに挿入することができる。結合分子遺伝子は、標準的な方法(例えば、結合分子遺伝子フラグメントおよびベクターの相補制限部位のライゲーション、または制限部位が存在しない場合は、平滑末端ライゲーション)によって発現ベクターに挿入することができる。結合分子軽鎖または重鎖配列の挿入の前に、発現ベクターはすでに結合分子定常領域配列を保有していてもよい。例えば、VHおよびVL配列を全長結合分子遺伝子へ変換するための1つのアプローチは、それらを、重鎖定常および軽鎖定常領域をそれぞれ既にコードし、その結果VHセグメントが作用可能に、VLセグメント内のCHセグメントに結合し、VLセグメントが、ベクター内のCLセグメントに作用可能に結合している、発現ベクターに挿入することである。追加的に、または別法として、組換え発現ベクターは、結合分子鎖の宿主細胞からの分泌を容易にするシグナルペプチドをコードすることができる。結合分子鎖遺伝子は、シグナルペプチドがインフレームで結合分子鎖遺伝子のアミノ末端に結合するようにベクターにクローニングすることができる。シグナルペプチドの例としては、イムノグロブリンシグナルペプチドもしくは非相同シグナルペプチド(すなわち、非イムノグロブリンタンパク質からのシグナルペプチド)がある。
結合分子鎖遺伝子に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞の結合分子鎖遺伝子の発現をコントロールする調節配列を有している。用語「調節配列」は、プロモーター、エンハンサー、および結合分子遺伝子鎖の転写または翻訳をコントロールする他の発現コントロールエレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことが意図されている。そのような調節配列は、例えば、Goeddel; Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic
Press, San Diego, CA (1990)に記載されている。調節配列の選択を含めて発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質発現レベルなどの要因に依存するかもしれないことを当業者は理解するであろう。哺乳動物宿主細胞の発現にとっての好ましい調節配列としては、哺乳動物細胞において高レベルのタンパク質発現を導く、サイトメガロウィルス(CMV)由来のプロモーターおよび/またはエンハンサー(CMVプロモーター/エンハンサー)、シミアンウイルス40(SV40)(SV40プロモーター/エンハンサー)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))およびポリオーマなどのウイルスエレメントが含まれる。ウイルス性の調節エレメントおよびその配列についてのさらなる説明については、例えば、米国特許第5,168,062号(Stinski)、米国特許第4,510,245号(Bell et al.)および米国特許第4,968,615号(Schaffner et al.)を参照することができる。
結合分子鎖遺伝子および調節配列に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞中のベクターの複製を調節する配列(例えば、複製開始点)などの追加的配列および選択可能マーカー遺伝子を有していてもよい。選択可能マーカー遺伝子は、ベクターを挿入した宿主細胞の選択を容易にする(例えば、米国特許第4,399,216号、第4,634,665号、第5,179,017(全てAxel et al.))。例えば、典型的に選択可能なマーカー遺伝子は、G418、ハイグロマイシンまたはメトトレキサートといった薬剤に対する耐性を、ベクターを挿入した宿主細胞に付与する。好ましい選択可能マーカー遺伝子としては、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子(dhfr宿主細胞において、メトトレキサート選択/増幅に用いる)およびネオ遺伝子(G418の選択に用いる)がある。
軽鎖および重鎖を発現させるために、 結合分子軽鎖および重鎖をコードする発現ベクターを、標準的な技法によって宿主細胞中にトランスフェクトする。様々な形態の用語「トランスフェクション」は、通常外因性DNAを原核生物または真核生物の宿主細胞に導入するために用いられる広い範囲の技法、例えば、エレクトロポレーション、カルシウム−リン酸塩沈澱法、DEAE−デキストラントランスフェクションなどを含むことが意図されている。原核生物または真核生物の宿主細胞において本発明の結合分子を発現させることができる。真核生物細胞において、最も好ましくは哺乳動物宿主細胞において、結合分子を発現させることができることが好ましい。そのような真核生物細胞、特に哺乳動物宿主細胞は、原核生物の細胞より、適切に折り畳まれ、免疫学的に活性のある結合分子を集め、分泌する可能性が高いからである。
一般的に、発現ベクターは、選択マーカー(例えば、アンピシリン抵抗性、ハイグロマイシン抵抗性、テトラサイクリン抵抗性、もしくはネオマイシン抵抗性)を含有し、所望DNA配列を用いて形質転換された細胞の検出を可能にしている(例えば、Itakura et al.、米国特許第4,704,362号を参照することができる)。
大腸菌(E. coli)は、本発明のポリヌクレオチド(例えば、DNA配列)をクローニングするのに特に有用な原核生物宿主の1つである。その他の使用に適した微生物宿主としては、バシラス−サチリスなどの桿菌類、および他のエンテロバクテリアセエ、例えば、サルモネラ、セラチアおよび種々のシュードモナス種がある。これらの原核生物宿主においても、典型的に、宿主細胞と適合性を示す発現コントロール配列(例えば、複製開始点)を含むであろう発現ベクターを作製することができる。さらに、ラクトースプロモーター系列、トリプトファン(trp)プロモーター系列、ベータラクタマーゼプロモーター系列、またはファージラムダからのプロモーター系列といった多くの種類の公知のプロモーターが存在するであろう。プロモーターは、典型的に、任意にオペレーター配列とともに発現をコントロールし、転写および翻訳を開始させるリボソーム結合部位配列などを持つ。
酵母など他の微生物も、発現に有用である。サッカロミセス属は、必要に応じて、発現コントロール配列(例えば、プロモーター)、複製開始点、終止配列などをもつを持つ好適なベクターをもつ好ましい酵母宿主である。典型的なプロモーターは、3−ホスホグリセリン酸キナーゼおよび他の糖分解酵素を含む。誘導可能な酵母プロモーターは、とりわけ、アルコールデヒドロゲナーゼからのプロモーター、イソチトクロームC、およびマルトースおよびガラクトースの使用に関与する酵素を含む。
微生物に加えて、哺乳動物組織細胞を用いて本発明のポリペプチド(結合分子をコードするポリヌクレオチド)を発現させてもよい。Winnacker, From Genes to Clones, VCH Publishers, N.Y., N.Y. (1987)を参照することができる。実際のところ、真核生物細胞が好ましい。なぜなら、異種タンパク質を分泌することができる多くの好適な宿主細胞系列(例えば、未処理の結合分子)が当該技術において開発されているからである。そしてそれには、CHO細胞系列、種々のCos細胞系列、HeLa細胞、好ましくは、骨髄腫細胞系列、または形質転換されたB細胞もしくはハイブリドーマが含まれる。好ましくは、該細胞は、非ヒトである。これらの細胞の発現ベクターは、複製開始点、プロモーター、およびエンハンサーなどの発現コントロール配列(Queen et al., Immunol. Rev. 89:49 (1986))、ならびに必要なプロセシング情報部位、例えば、リボソーム結合部位、RNAスプライシング部位、ポリアデニル化部位、および転写終止配列を含むことができる。好ましい発現コントロール配列は、イムノグロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス、サイトメガロウィルスなどに由来するプロモーターである。Co et al., J. Immunol. 148:1149 (1992)を参照することができる。
別法として、結合分子コード配列は、トランスジェニック動物のゲノムに組み込むため、およびそれに続いてトランスジェニック動物乳汁の配列中で発現させるためにトランスジーンに組み込むことができる(例えば、Deboer et al.、米国特許第5,741,957号、Rosen、米国特許第5,304,489号、およびMeade et al.、米国特許第5,849,992号)。好適なトランスジーンは、軽鎖および/または重鎖を、カゼインまたはベータラクトグロブリンなど、乳腺特異性遺伝子からのプロモーターおよびエンハンサーと作用可能に結合することができるコード配列を含む。
本発明の組換え結合分子を発現させるための好ましい哺乳動物宿主細胞としては、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO細胞)(Urlaub and Chasin, (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220に記載のdhfr−CHO細胞を含む。例えば、R.J. KaufmanとP.A. Sharp(1982)Mol. Biol. 159:601-621に記載のDHFR選択可能マーカーとともに用いられる)、NS0骨髄腫細胞、COS細胞およびSP2細胞がある。結合分子遺伝子をコードする組換え発現ベクターを哺乳動物宿主細胞に導入する際、結合分子は、一定期間宿主細胞を培養して、宿主細胞中で結合分子を発現させることによって、あるいは、より好ましくは、結合分子を、宿主細胞が成長する培養液中に分泌させることによって作製することができる。結合分子は、標準的なタンパク質精製法によって培養液から回収することができる。
当該のポリヌクレオチド配列を含有するベクター(例えば、結合分子コード配列および発現コントロール配列)を、細胞宿主の種類に応じて異なる公知の方法によって宿主細胞に移す。例えば、原核生物細胞の場合、塩化カルシウムトランスフェクションが一般的に用いられる。一方、他の細胞宿主の場合、リン酸カルシウム処理、エレクトロポレーション、リポフェクション、遺伝子銃もしくはウイルスベースのトランスフェクションを用いることができる(一般的には、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Press, 2nd ed., 1989を参照することができる)(内容の全体を引用によって援用する)。哺乳動物細胞を形質転換するための他の方法としては、ポリブレン、原形質融合、リポソーム、エレクトロポレーションおよびマイクロインジェクション(例えば、一般的にSambrook et al.、上掲文献を参照することができる)。トランスジェニック動物の作製には、トランスジーンを受精した卵母細胞にマイクロインジェクションにより注入することができる、または、胚性幹細胞のゲノムに組み込むことができる、また、そのような細胞の核を除核卵母細胞に移すことができる。
重鎖および軽鎖を別個の発現ベクター上にクローニングする場合、ベクターを同時にトランスフェクトして、未処理の結合分子の発現および回収を行う。一旦発現すれば、本発明の全結合分子、それらのダイマー、個別の軽鎖および重鎖、または他のイムノグロブリンの形体を、硫安塩析、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、HPLC精製、ゲル電気泳動などといった標準的な手順にしたがって精製することができる(一般的に、Scopes, Protein Purification (Springer-Verlag,
N.Y.,(1982)を参照することができる)。少なくとも約90〜95%、98〜99%以上の均質性をもつ、最も好ましくは、薬学的用途の実質的に純度の高い結合分子が好ましい。
宿主細胞を用いて、FabフラグメントもしくはscFv分子などの未処理の結合分子の諸部分を作製することもできる。上記手順の変形例が本発明の範囲に包含されることが理解できるであろう。例えば、本発明の結合分子の軽鎖または重鎖(但し、双方ではない)をコードするDNAもつ宿主細胞をトランスフェクトすることが望ましいかもしれない。組換えDNA技術を用いて、ILT3に結合するために必要な軽鎖および重鎖のいずれか、または双方をコードするDNAの一部もしくは全部を除去することもできる。そのような切断されたDNA分子から発現した分子も本発明の結合分子に包含される。さらに、二官能結合分子は、本発明の結合分子の1つの重鎖および1つの軽鎖ならびに他の重鎖および軽鎖がILT3以外の抗原に特異的であるように、本発明の結合分子を第2の結合分子に、標準的な架橋法によって架橋結合することによって、作製することもできる。
これまでに述べたことに鑑み、本発明の別の局面は、本発明の結合分子の組換え発現に用いることができる核酸、ベクター、および宿主細胞組成物に関する。9B11軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を図6および配列番号:10に示す。VLのCDR1ドメインはヌクレオチド130−162を含み、CDR2ドメインは、配列番号:10ヌクレオチド208−228を含み、そしてCDR3ドメインは、配列番号:10のヌクレオチド325−351を含む。9B11重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を図6および配列番号:9に示す。VHのCDR1ドメインは、配列番号:9のヌクレオチド133−162を含み、CDR2ドメインは配列番号:9のヌクレオチド205−255を含み、CDR3ドメインは配列番号:9のヌクレオチド352−372を含む。9B11に関連する結合分子をコードするヌクレオチド配列は、9B11のVLおよびVHコードするヌクレオチド配列から、遺伝子コードおよび標準的な分子生物学的技法を用いて導くことができる。
ある態様において、本発明は、9B11関連CDRドメインをコードする、例えば、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7および配列番号:8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、単離された核酸を提供する。
さらに別の態様において、本発明は、配列番号:2のアミノ酸を含む結合分子の軽鎖可変領域をコードする単離された核酸を提供する。しかし、遺伝子コードの縮重によって、他のヌクレオチド配列が配列番号:2のアミノ酸配列をコードし得ることを当業者は理解するであろう。核酸は、LCVRのみをコードするか、または、LCVRに作用可能に結合した結合分子軽鎖定常領域をもコードすることができる。ある態様において、この核酸は、組換え発現ベクター内に存在する。
さらに別の態様において、本発明は、配列番号:1のアミノ酸を含む結合分子重鎖可変領域をコードする単離された核酸を提供する。しかし、遺伝子コードの縮重によって、他のヌクレオチド配列が配列番号:1のアミノ酸配列をコードし得ることを当業者は理解するであろう。核酸は、VHのみをコードするか、または、VHに作用可能に結合した結合分子重鎖定常領域をもコードすることができる。例えば、該核酸は、IgG1またはIgG2定常領域を含むことができる。ある態様において、この核酸は、組換え発現ベクター内に存在する。
本発明はまた、結合分子重鎖および/または結合分子軽鎖をコードする組換え発現ベクターを提供する。例えば、ある態様において、本発明は、以下をコードする組換え発現ベクターを提供する。
a)配列番号:2のアミノ酸配列を含む可変領域を持つ結合分子軽鎖;および
b)配列番号:1のアミノ酸配列を含む可変領域を持つ結合分子重鎖。
本発明は、1以上の本発明の組換え発現ベクターが組み込まれた宿主細胞を提供する。好ましくは、宿主細胞は哺乳動物宿主細胞である。
さらに、本発明は、本発明の組換え結合分子を、本発明の宿主細胞を、本発明の組換え結合分子が合成されるまで好適な培養液中で培養することによって合成する方法を提供する。該方法は、培養液から組換え結合分子を単離する方法をさらに含むことができる。
V.本発明の結合分子の使用
ILT3への結合能を考慮すれば、本発明の結合分子は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)もしくは組織免疫組織化学方法などの従来のイムノアッセイを用いてILT3を検出するために用いることができる(例えば、血清や血漿などの生体サンプルにおいて)。本発明は、本発明の結合分子に生体サンプルを接触させること、およびhILT3に結合した結合分子または結合していない結合分子を検出し、それによって、生体サンプル中のhILT3を検出することを含む生体サンプル中のhILT3を検出する方法を提供する。結合分子は、結合したまたは未結合の結合分子の検出を容易にするために、検出可能な物質で直接的または間接的に標識することができる。好適な検出可能な物質としては、酵素、補欠分子団、蛍光物質、発光性物質および放射性物質が挙げられる。好適な酵素の例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが含まれる。好適な補欠分子団の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが含まれる。蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド、またはフィコエリトリンが含まれる。発光性物質の例としては、ルミノールがある。また、好適な放射性物質の例としては、125I、131I、35SまたはHが含まれる。
結合分子の標識化の別の例として、生体液中で、検出可能な物質で標識されたILT3標準および標識されていないhILT3結合分子を用いた競合イムノアッセイにおいてhILT3を試験することができる。本アッセイにおいて、生体サンプル、標識されたILT3標準および抗hILT3結合分子を組み合わせ、未結合の結合分子に結合した標識されたILT3標準の量を測定する。生体サンプル中のhILT3の量は、抗hILT3結合分子に結合した標識されたILT3標準の量に逆比例する。
本発明の抗ILT3の結合分子を作製して、ヒト以外の種からのILT3を検出することができる。特に、霊長類(例えば、チンパンジー、ヒヒ、マーモセット、カニクイザルおよびアカゲザル)からのILT3を検出することができる。
インビトロおよびインビボで免疫反応を下方調整する方法
添付の実施例に記載のように、本発明の結合分子は、免疫抑制組成物としてインビトロで使用して、免疫細胞活性化、例えば、細胞による同種免疫反応(例えば、MLC)を阻害することができる。ある態様において、細胞をインビトロでILT−3結合分子を用いて、例えば、1、2、3、4、5、6、7日間処理し、例えば、それらを被験体に注入する前に、活性化の状態を減少させることができる。
したがって、ある態様において、本発明は、調整する方法、免疫細胞活性化、例えば同種免疫反応をインビトロで下方調整する方法を提供する。別の態様において、本発明は、インビボで免疫細胞活性化を下方調整する、インビトロでILT−3結合分子を用いて処理し細胞を被験体に導入することを含む方法を提供する。同種免疫反応の調整は、技術的に認識されている技法によって、例えば、結合分子がT細胞の増殖活性(例えば、混合リンパ球反応において)を調節する可能性を測定することによって、アッセイすることができる。
本発明の結合分子は、炎症性サイトカイン、例えば、IL12p40、IL12p70およびTNFαの、DC、例えばMDDCによるインビトロでの、例えば、被験体に導入する前における産生を下方調整するために用いることもできる。DCによる炎症性サイトカイン産生の下方調整は、例えば、ELISAによってアッセイすることができる。
別の態様において、本発明の結合分子は、共刺激性分子、例えば、CD86、CD80、CD83およびHLA−DRの、DC、例えばMDDCによるインビトロでの、例えば、被験体に導入する前におけるアップレギュレーションを下方調整するために用いることもできる。共刺激性分子のDCによるアップレギュレーションの下方調整は、例えば、FACs分析によってもアッセイすることができる。
さらに別の態様において、本発明の結合分子は、例えば、被験体に導入する前の、インビトロでの単球へのカルシウム流入を下方調整するために用いることもできる。単球へのカルシウム流入は、例えば、FACs分析、またはカルシウムキレート化発光吸光度測定法によって測定することができる。例えば、Rabin, et al. (1999)
J Immunol. 162: 3840- 3850, Youn,
B. S., et al. (1998) Blood
91:3118、およびYoun, B.S., et al. (1997) J. Immunol. 159:5201を参照することができる。これらの引例のそれぞれの内容を引用によって本明細書に援用する。
ある態様において、本発明の結合分子は、抑制受容体の細胞上、例えば、樹状細胞、例えば、未成熟樹状細胞上での発現をアップレギュレートするために用いることもできる。その発現が本発明の結合分子によってアップレギュレートされる抑制受容体の例としては、限定されないが、CD200R、CD40LおよびIDO(インドールアミン)が挙げられる。
別の局面において、本発明は、被験体において望ましくない免疫細胞活性化に関連する疾患もしくは状態を予防する方法に関する。該方法は、ILT−3結合物質を用いてインビトロで細胞を処理すること、およびそれらを適合性のある被験体に組み込むこと、またはそれらを再び同じ被験体に組み込むことを含む。ここで述べている物質を用いた治療によって恩恵を受けるであろう疾患のリスクのある被験体、または方法を、例えば、当業で公知の診断的アッセイまたは予後的アッセイのいずれか、またはその組み合わせによって、確認することができる。予防的な物質の投与を、望ましい反応に関連する症状、または望ましいとはいえない症状が顕在化する前に行うことができる。
ILT3のAPC、例えば、単球、マクロファージ、MDDCなどのDC上での活性を下方調整することによって恩恵を受ける疾患および病理学的状態としては、組織、皮膚、よび臓器移植の状態、または移植片対宿主病(GVHD)が含まれる。例えば、免疫細胞活性化を遮断すると、移植組織において組織破壊が減少する。典型的には、組織移植においては、移植物質を免疫細胞による異物として認識して拒絶が始まり、移植物質を破壊する免疫拒絶が起こる。インビトロで抗ILT3結合分子を用いて処理した細胞は、単独または免疫細胞活性化を下方調整する他の物質と組み合わせて(例えば、ホルモン療法、免疫療法、例えば、免疫抑制療法、抗生物質およびイムノグロブリン)、移植前または移植時に投与され、移植物質の免疫細胞活性化を減少させる。通常、患者と同じ種の起源または種の反応性(結合分子の場合)の物質を投与することが好ましい。他のポリペプチド共刺激性の機能を遮断することが望ましいかもしれない。例えば、B7−1、B7−2またはB7−1およびB7−2の機能を、これらの抗原の活性を有するペプチドの組み合わせの溶解性の形体を投与し、これらの抗原に対する抗体を遮断する、もしくは小分子(別々に、または単一の組成物と一緒に)を、移植前または移植時に遮断することによって、遮断することが望ましいかもしれない。本発明の下方調整方法と組み合わせて用いることができる他の下方調整用の物質の例としては、例えば、CTLA4、可溶形態のCTLA4を介して抑制性シグナルを伝達する物質、CTLA4を介した抑制性シグナルを活性化する抗体、免疫細胞マーカーもしくは可溶形体の他のレセプターリガンド対に対するブロッキング抗体(例えば、CD40とCD40リガンドの間の相互作用を破壊する物質(例えば、抗CD40リガンド抗体))、サイトカインに対する抗体、または免疫抑制性薬物が含まれる。
さらに、ILT3の調整、および/または共刺激性のシグナルの阻害、および/または、他の抑制受容体のアップレギュレーションもまた、免疫細胞を反応不顕性にし、それによって、被験体において耐性を誘発するのに十分かもしれない。ILT3を調整することによって長期の耐性を誘発することによって、これらのブロッキング試薬を反復投与しなくてもよくなる。
したがって、本発明の方法は、本発明の結合分子を用いて、免疫反応を下方調整するようにして被験体を治療するために用いることができる。好ましくは、被験体はヒト被験体である。あるいは、被験体は、本発明の結合分子が交差反応するILT3を発現する哺乳動物とすることもできる。
インビボで免疫反応を上方調整する方法
添付の実施例に記載しているように、本発明の結合分子は、免疫賦活性の組成物、例えば、単独でもしくはワクチンの一部として使用して、B細胞および/またはT細胞の活性化、例えば、患者におけるTh1またはTh2細胞の活性化を促進することができる。すなわち、本発明の結合分子は、当該抗原と組み合わせて用いられるアジュバントとして機能し、当該の抗原に対するインビボでの免疫反応を高めることができる。例えば、当該の抗原に対する抗体または細胞免疫反応を刺激するために(例えば、ワクチン接種の目的)、抗原および本発明の結合分子を同時に投与することができる(例えば、同じ組成物もしくは別個の組成物として同時投与する。または免疫反応を高めるべく連続して投与する)。当該抗原と結合分子は、単一の薬学的組成物または別個の組成物に製剤することができる。好ましい態様において、当該抗原と結合分子は同時に被験体に投与する。別法として、ある状況においては、最初に抗原を投与し、次いで結合分子を投与することが望ましいかもしれないし、逆が望ましいかもしれない(例えば、天然にTh1反応を誘発する抗原の場合、最初に単独で抗原を投与してTh1反応を刺激し、次いで結合分子を単独で、もしくは抗原の追加免疫とともに投与し、免疫反応をTh2反応にすることが有益かもしれない)。好ましい態様において、本発明のILT3結合分子を準備段階、すなわち、最初の抗原の投与時に、抗原とともに、例えば、−3、−2、−1、0、+1、+2、+3日目に投与する。本発明のILT3結合分子の特に好ましい投与日は、−1日目である。
ある態様において、ILT−3結合分子は、関連する抗原とともに投与される。関連する抗原とは、免疫反応が望ましい抗原である。例えば、抗原が由来する感染物質への曝露から被験体を保護することが可能なものである。別の態様において、本発明は、抗原を投与する必要なく免疫反応を高めるための、本発明ILT−3の結合分子の投与に関連する。
関連する抗原の例としては、該抗原に対する免疫反応が、抗原によって引き起こされる疾患を予防または治療する機能をもつ、感染物質に由来するものが挙げられる。そのような抗原としては、限定されないが、ウイルス性、細菌性、真菌性、もしくは寄生虫性タンパク質や他のあらゆるタンパク質類、グリコプロテイン、リポタンパク質、糖脂質などが含まれる。関連する抗原はまた、腫瘍を持つリスクのある被験者、もしくは、腫瘍があると診断された被験者に対して有益なものを含む。該被験者は、好ましくは哺乳動物であり、最も好ましくはヒトである。
典型的な抗原は、以下のように分類することができる。すなわち、タンパク質抗原、例えば、セルロプラスミンおよび血清アルブミンなど;細菌性抗原、例えば、タイコ酸、鞭毛抗原、莢膜多糖体、および細胞外細菌性生成物やトキシンなど;グリコプロテインおよび糖脂質;ウイルス類、例えば、動物、植物および細菌性ウイルスなど;複合体化した、および合成抗原、例えば、タンパク質ハプテン接合体、正常組織と比較したとき、腫瘍によって優先的に発現される分子;合成ポリペプチド;ならびに、リボ核酸およびデオキシリボ核酸などの核酸。本明細書において用いられている用語「感染物質」は、宿主細胞に免疫反応を誘発するあらゆる抗原を含む。有用であると考えられているウイルス性抗原の例としては、限定されないが、インフルエンザウイルスの核タンパク質(NP)や、HIVのGagタンパク質が挙げられる。他の異種性の抗原としては、限定されないが、HIV−Envタンパク質もしくはその部分gp120やgp41、HIV−Nefタンパク質、およびHIV−Polタンパク質、逆転写酵素、およびプロテアーゼなどが挙げられる。さらに、他のウイルス抗原、例えば、エボラウイルス(EBOV)抗原、例えば、EBOV−NPもしくはグリコプロテイン(GP)、全長もしくは分子のムチン領域にGP欠失をもつもの(Yang Z-Y, et al. (2000) Nat Med 6:886-9, 2000)、小痘疹抗原、A型、B型、もしくはC型肝炎ウイルス、ヒトライノウイルス、例えば、タイプ2もしくはタイプ14、単純疱疹ウイルス、ポリオウイルスタイプ2もしくはタイプ3、足突起病ウイルス(FMDV)、狂犬病ウイルス、ロタウイルス、インフルエンザウイルス、コクサッキーウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、例えば、タイプ16パピローマウイルス、そのE7タンパク質、E7タンパク質を含有するフラグメント、もしくはそのエピトープ;ならびに、サル免疫不全ウイルス(SIV)を用いることができる。関連する抗原は、ウイルス起源の抗原に限られるわけではない。寄生虫性の抗原、例えば、マラリア抗原が含まれる。同様に、真菌性抗原、細菌性抗原、および腫瘍抗原も含まれる。細菌起源の抗原の例としては、百日咳菌(例えば、P69タンパク質、および糸状赤血球凝集素(FHA)抗原)、ビブリオコレラ、バシラス−アンスラシス、および、例えば、熱不安定性トキシンBサブユニット(LT−B)大腸菌、K88抗原大腸菌、および腸内毒素原性大腸菌などの大腸菌抗原が挙げられる。抗原の他の例としては、マンソン住血吸虫P28グルタチオンS−トランスフェラーゼ抗原(P28抗原)および吸虫の抗原、マイコプラズマ、線虫、条虫、クラミジア−トラコマチス、およびマラリア属またはバベシア属の原虫などのマラリア原虫、例えば、熱帯熱マラリア原虫、および前記抗原からのイムノゲンエピトープをコードするペプチドが挙げられる。
本明細書において用いられている用語「腫瘍関連抗原」は、宿主生物の腫瘍成長または転移に影響を及ぼす抗原を意味する。腫瘍関連抗原は、腫瘍成長によって発現される抗原であることができる。または、それは、非腫瘍細胞によって発現された抗原であってもよいが、そのように発現された場合は、腫瘍細胞の成長または転移を促進する。腫瘍抗原の種類および腫瘍関連抗原は、あらゆる公知のまたは、これまで知られていない腫瘍抗原であり、限定されないが、白血病のbcr/abl抗原、子宮頚癌に関連する発癌性ウイルスのHPVE6およびE7抗原、メラノーマの、またはそれに関連するMAGE1およびMZ2−E抗原、および乳癌に関連するMVC−1およびHER−2抗原が挙げられる。
本発明の組成物を投与することによって治療または予防することができるかもしれない感染、疾患、または障害は、宿主が免疫反応することによって、感染、疾患、または障害を予防する機能を果たすあらゆる感染、疾患、または障害を含む。本発明の組成物によって治療または予防され得る疾患、障害、または感染は、限定されないが、真菌、寄生虫、ウイルス、もしくは細菌によって引き起こされる、またはそれに関連するあらゆる感染、疾患、または障害、バイオテロリズム、リステリア症、エボラウイルス、SARS、小痘、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎に用いられる種々の抗原に関連する疾患、障害または感染、ヒトライノウイルスによって引き起こされる疾患および障害、HIVおよびAIDS、ヘルペス、ポリオ、足突起病、狂犬病、ロタウイルス、インフルエンザ、コクサッキーウイルス、ヒトパピローマウイルス、SIV、マラリア、癌などによって引き起こされる疾患または障害、および腫瘍、ならびに、百日咳菌、ビブリオコレラ、バシラス−アンスラシス、大腸菌、吸虫、マイコプラズマ、回虫、条虫、クラミジア−トラコマチス、およびマラリア原虫による感染によって引き起こされる、もしくはそれに関連する疾患または障害が挙げられる。
腫瘍細胞に対する免疫反応
調節T細胞は、自己免疫疾患および癌に対する免疫反応を抑制することによって、免疫学的自己耐性(忍容性)において重要な役割を果たす。したがって、ある態様において、免疫反応を上方調整することは、癌における免疫反応を高めるのに有用であろう。したがって、本発明の結合分子を悪性の疾患の治療に用いて、腫瘍の成長または転移を阻害することができる。結合分子は、全身投与もしくは局所投与によって腫瘍部位に投与することができる。
ある態様において、ILT3機能の調整は、腫瘍免疫の誘発において有用かもしれない。ILT3結合分子は、腫瘍(例えば、サルコーマ、メラノーマ、リンパ腫、白血病、神経芽細胞腫、癌腫)のある患者に対して投与して、該患者において腫瘍特異性の耐性(忍容性)を克服することができる。
本明細書において用いられている用語「腫瘍疾患」は、悪性腫瘍の成長、または良性の過剰増殖および増殖性細胞によって特徴付けられる疾患の状態を特徴とする。用語「新生物」の通常の医学的意味は、正常の成長コントロールに対する反応性を損失した結果、起こる「新細胞の成長」、例えば、新生物の細胞成長を意味する。
本明細書において用いられている用語「過剰増殖」、「増殖性」、「悪性の」および「新生物の」は、互換可能に用いられており、異常な状態または急速な増殖もしくは新生物を特徴とする状態の細胞を意味する。これらの用語は、組織病理学的なタイプもしくは侵襲度合いに関係なく、あらゆるタイプの過剰増殖成長、増殖性成長、癌性成長もしくは発癌性のプロセス、転移性組織、または、悪性に変換された細胞、組織、もしくは臓器を含むことが意図される。「過形成」は、異常に高速で成長する細胞を意味する。しかしながら、異常な細胞成長速度を行う細胞を一般的に意味するという状況からわかるように、用語、新生物および過形成は互換可能に用いることができる。新生物および過形成は、「腫瘍」を含む。そしてこの腫瘍は、良性、前悪性、または悪性のいずれであってもよい。
用語「新生物」、「過形成」および「腫瘍」は、一般に、制御することができない、異常な細胞の成長を特徴とする100を超える疾患の一般名称である「癌」と呼ばれることが多い。癌の例としては、限定されないが、乳癌、結腸癌、非小細胞肺癌、頭部および頚部の癌、結直腸癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、腎臓癌、メラノーマ、および消化器系(例えば、膵臓および胃)の癌、ならびに骨原性肉腫が挙げられる。
ある態様において、癌は、膵臓癌、メラノーマ、乳癌、肺癌、気管支癌、結直腸癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳もしくは中枢神経系の癌、末梢神経系の癌、食道癌、子宮頚癌、子宮もしくは子宮内膜の癌、口腔もしくは咽頭の癌、肝臓癌、腎臓癌、精巣癌、胆道癌、小腸もしくは盲腸の癌、唾液腺の癌、甲状腺の癌、副腎の癌、骨肉腫、軟骨肉腫、および血液組織の癌からなる群から選択される。
感染物質に対する免疫反応
免疫反応に対するアップレギュレーションは、存在する免疫反応を高める形態であってもよいし、または最初の免疫反応を誘発する形態であってもよい。例えば、ILT3を調整することによって免疫反応を高めることは、ウイルス感染の症例において有用かもしれない。抗ILT3結合分子は、免疫反応を高める作用をするので、それらは、より迅速で完全な、病原性物質、例えば、バクテリアやウイルスの除去が有効である場合に治療的に有用である。
本明細書において用いられている用語「ウイルス感染」は、生物による感染が含まれ、その生物の例としては、限定されないが、HIV(例えば、HIV−1およびHIV−2)、ヒトヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス(特に、ヒト)、ロタウイルス、エプスタイン−バーウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、B型肝炎ウイルス、A型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスおよびE型肝炎ウイルスといった肝炎ウイルス、パラミキソウイルス:呼吸系発疹ウイルス、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス(例えば、HPV6、11、16、18など)、フラビウイルス(例えば、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、だに媒介性脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス)、またはインフルエンザウイルスが挙げられる。
本明細書において用いられている用語「細菌感染」は、グラム陰性菌およびグラム陽性菌を含む、種々の細菌生物による感染を意味する。その例としては、限定されないが、ナイセリア・ゴノレエ、ナイセリア・メニンギチジスを含むナイセリア種、ストレプトコッカス・ニューモニエ、ストレプトコッカス・ピオゲネス、ストレプトコッカス・アガラクティエ、トレプトコッカス・ミュータンスを含むトレプトコッカス種;ヘモフィルス・インフルエンゼタイプB、非型ヘモフィルス・インフルエンゼ、ヘモフィルス・インフルエンゼ・デュクレイを含むヘモフィルス種;ブランハメラカタラーリスとしても知られているモラクセラカタラーリスを含むモラクセラ種;ボルデテラ・ペルツッシス、ボルデテラ・パラペルツッシスおよびボルデテラ・ブロンキセプチカを含むボルデテラ種;マイコバクテリウム・ツベルクローシス、マイコバクテリウム・ボビス、マイコバクテリウム・レプレ、マイコバクテリウム・アビウム、パラ結核菌、マイコバクテリウム・スメグマチスを含むマイコバクテリウム種;レジオネラ・ニューモフィラを含むレジオネラ種;エンテロトキシン性大腸菌、腸管出血性大腸菌、腸管病原性大腸菌を含む大腸菌;ビブリオコレラを含むコレラ種;ゾンネ菌、志賀赤痢菌、フレクスナー赤痢菌を含む赤痢菌種;エルシニア・エンテロコリチカ、エルシニア・ペスティス、エルシニア・シュードツベルクローシスを含むエルシニア種;カンピロバクター・ジェジュニ、カンピロバクター・コリを含むカンピロバクタ種;チフス菌、パラチフス菌、サルモネラ・コレレスイス、サルモネラエンテリティディスを含むサルモネラ種;リステリア・モノサイトゲネスを含むリステリア種;ヘリコバクターピロリを含むヘリコバクター種;シュードモナス・アエルギノーザを含むシュードモナス種;スタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・エピデルミディスを含むスタフィロコッカス種;エンテロコッカス・フェカーリス、エンテロコッカス・フェシウムを含むエンテロコッカス種;破傷風菌、ボツリヌス菌C型、クロストリジウム-ディフィシレを含むクロストリジウム種;炭疽菌を含むバチルス種;ジフテリア菌を含むコリネバクテリウム種;ライム病菌、ボレリア・グラインゲリ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・アンデルソニ(B. andersonii)、ボレリア・ヘルムシーを含むボレリア種;エーリキア・エクイ(E. equi)およびヒト顆粒球を含むエーリキア種;リケッチア-リケッチイを含むリケッチア種;クラミジア・トラコマチス、クラミジア肺炎、オウム病クラミジアを含むクラミジア種;レプトスピラ・インタロガンスを含むレプトスピラ種;梅毒トレポネーマ、トレポネーマ-デンティコラ、トレポネーマ-ビオディセンテリエを含むトレポネーマ種が含まれる。好ましいバクテリアは、限定されないが、リステリア、マイコバクテリア、マイコバクテリア(例えば、ツベルクローシス)、炭素菌、サルモネラおよびリステリアモノサイトゲネス(monocytogenes)が含まれる。
別の態様において、T細胞を患者から除去し、任意にシグナルを活性化しながら(例えば、抗原プラスAPC、もしくはポリクローナル抗体)、インビトロで抗ILT3結合分子に接触させ、患者に再び導入することができる。
抗ILT3結合分子はまた、種々の病原菌に対するワクチンにおいて予防的に使用することもできる。病原体に対する免疫、例えば、ウイルスは、ILT3結合分子(上記)を一緒に用いて、ウイルス性タンパク質でワクチン駐車して導入することができるであろう。別法として、病原性の抗原とILT3結合分子の双方をコードする発現ベクター、例えば、ウイルスタンパク質をコードする核酸およびILT3結合分子をコードする核酸を発現するように工学処理されたワクチンウイルス発現ベクターをワクチン接種に用いることができる。有用かもしれないワクチン用の病原菌としては、例えば、B型肝炎、C型肝炎、エプスタイン−バールウイルス、サイトメガロウィルス、HIV−1、HIV−2、結核、マラリア、および住血吸虫病などがある。
本発明はさらに、診断薬または治療薬と組み合わせた結合分子を含む。結合分子は、診断的に使用することができる。例えば、臨床試験処置の一環として、腫瘍の発達または進行をモニターして、例えば、所望の治療レジメンの有効性を判断するために使用することができる。検出は、抗体を検出可能な物質に結合させることによって容易にすることができる。検出可能な物質の例としては、種々の酵素、補欠分子団、蛍光物質、発光物質、生物ルミネセンス物質、放射性物質、種々の陽電子放出トモグラフィーを用いた陽電子放出金属、および非放射性の常磁性金属イオンなどが挙げられる。検出可能な物質は、当業で公知の技術を用いて、直接的または中間物質(例えば、当業で公知のリンカーなど)を介して間接的に結合分子に結合または接合することができる。例えば、米国特許第4,741,900号は本発明の診断薬として使用される結合分子に結合し得る金属イオンについて記載しエチル。好適な酵素の例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼがある。好適な補欠分子団としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンの複合体がある。好適な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンが挙げられる。発光性の物質の例としては、ルミノールがある。生物ルミネセンスの例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、アエクオリンがある。放射性物質の例としては、I125、I131、I111またはIn99Tcがある。
さらに、結合分子は、サイトトキシン、例えば、細胞増殖抑制剤もしくは細胞破壊薬などの治療的部分、治療薬、または放射性金属イオン、例えば、アルファエミッター(例えば、213Bi)に結合せることもできる。サイトトキシンもしくは細胞毒物は、細胞に有害なあらゆる物質を含む。例としては、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、ならびにそれらのアナログ類またはホモログ類が含まれる。治療薬としては、限定されないが、アンチメタボライト(例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロールエサミン、チオテパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(carnustine)(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC,およびシス−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリノン(例えば、ダウノルビシン(旧称、ダウノマイシン)および抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(旧称、アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシンおよびアントラマイシン(AMC))、および抗有糸分裂物質(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)が含まれる。
本発明は、さらに本発明の結合分子を、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒト患者に、開示されている疾患、障害、または状態を治療、検出、および/または予防するために投与することを含む、結合分子をベースとした治療に関する。本発明の治療的薬物は、限定されないが、本発明の結合分子(本明細書に記載のように、そのアナログおよび誘導体を含む)および本明細書に記載の抗イディオタイプ結合分子を含む。本発明の結合分子は、限定されないが、本明細書に記載の疾患、障害、または状態のいずれか1つ(例えば、本発明の結合分子は、当業で公知の、もしくは本明細書に記載の薬学的に許容可能な組成物とともに提供してもよい)を含む、ILT3の異常活性に関連する疾患、障害、または状態を診断、阻害、または予防するために使用することもできる。
本発明の結合分子はまた、他のモノクローナルもしくはキメラ結合分子、または、リンフォカインもしくは造血性成長因子(例えば、IL−2、IL−3およびIL−7)、例えば、結合分子と相互作用するエフェクター細胞の数もしくは活性を増加させる働きをするものと組み合わせて用いることが有利かもしれない。
本発明の結合分子は、単独で投与してもよいし、または他の治療(例えば、放射線治療、化学療法、ホルモン療法、免疫療法、ならびに、抗腫瘍薬、抗生物質およびイムノグロブリン)と併用して投与してもよい。生成物(結合分子の場合)の投与は、一般的にその種そのものまたは患者と同じ反応性であることが好ましい。そのため、好ましい態様において、ヒト結合分子、誘導体、アナログ、または核酸は、治療または予防のためにヒト患者に投与される。
本発明の結合分子は、ヒト被験者に治療目的で投与することができる。さらに、本発明の結合分子は、結合分子が交差反応するILT3を発現する非ヒト哺乳動物(例えば、霊長類)に獣医学的目的で投与することができるし、または、ヒト疾患の動物モデルに投与することができる。後者に関しては、そのような動物モデルは、本発明の結合分子の治療効果(例えば、投与量や投与クールの時間)を評価するのに有用かもしれない。
本発明は、さらに本発明の結合分子を、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒト患者に、開示されている疾患、障害、または状態を治療、検出、および/または予防するために投与することを含む、結合分子をベースとした治療に関する。本発明の治療的薬物は、限定されないが、本発明の結合分子(本明細書に記載のように、そのアナログおよび誘導体を含む)および本明細書に記載の抗イディオタイプ結合分子を含む。本発明の結合分子は、限定されないが、本明細書に記載の疾患、障害、または状態のいずれか1つ(例えば、本発明の結合分子は、当業で公知の、もしくは本明細書に記載の薬学的に許容可能な組成物とともに提供してもよい)を含む、ILT3の異常活性に関連する疾患、障害、または状態を診断、阻害、または予防するために使用することもできる。
VI.薬学的組成物
本発明の結合分子は、被験体に投与するのに好適な薬学的組成物に組み込むことができる。薬学的組成物は、典型的に、本発明の結合分子と、薬学的に許容可能な担体とを含む。本明細書において用いられる用語「薬学的に許容可能な担体」には、薬剤投与に適合性あるあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗カビ剤、等張剤および吸収遅延剤等が含まれる。このような媒質および薬剤の、薬学的に活性な物質のための使用は当業で公知である。従来の媒質または薬剤が当該活性化合物にとって不適合でない限り、当該組成物中のその使用が考慮される。補助的な活性化合物も、本組成物中に組み込むことができる。
本発明の薬学的組成物は、それに意図された投与経路に適合性あるように調合される。投与経路の例には、非経口、例えば静脈内、皮内、皮下、経口(例えば吸入)、経皮(局所)、経粘膜および直腸投与がある。非経口、皮内、または皮下適用に用いられる溶液または懸濁液には、以下の成分を含めることができる:無菌の希釈剤、例えば、注射用の水、生理食塩水溶液、非揮発性の油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒;抗菌剤、例えばベンジルアルコール又はメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸;緩衝剤、例えば酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩、及び塩化ナトリウム又はデキストロースなどの張性を調節するための薬剤。pHは、塩酸又は水酸化ナトリウムなどの酸又は塩基で調節することができる。非経口用の製剤は、ガラス製又はプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ又は多人数用バイアルに封入することができる。
注射用用途に適した薬学的組成物には、無菌の水溶液(水溶性の場合)または分散液や、無菌の注射用溶液または分散液の即時調製用の無菌粉末がある。静脈内投与の場合、適した担体には、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(登録商標)(BASF, Parsippany, NJ)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)がある。いずれの場合も、組成物は無菌でなければならず、また注射筒への注入が容易な程度に流動性でなければならない。またそれは製造および保管条件下で安定でなければならず、細菌およびカビなどの微生物の汚染作用から保護されていなければならない。当該の担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール等)、およびこれらの適した混合物などを含有する溶媒または分散媒であってよい。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを用いたり、分散液の場合には必要な粒子の大きさを維持したり、そして界面活性剤を使用するなどにより、維持できる。微生物の活性は、種々の抗菌座および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどを用いて、阻止することができる。多くの場合、例えば、糖類、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、および塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物中に含めることが好ましい。注射用組成物の吸収を長引かせるには、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなど、吸収を遅らせる薬剤を組成物中に含めることにより、可能である。
無菌の注射用溶液は、必要量の活性化合物を適した溶媒に、必要に応じて上に列挙した成分の1つまたは組み合わせと一緒に加えた後、濾過滅菌を行うことにより、調製できる。分散液は一般的には、塩基性の分散媒と、上に列挙したものの中で必要な他の成分とを含有する無菌の賦形剤に当該活性化合物を取り入れることで、調製されている。無菌の注射用溶液の調製用の無菌粉末の場合、好適な調製法は真空乾燥および凍結乾燥であり、その結果、活性成分および付加的な所望の成分の粉末が、予め殺菌濾過されたその溶液から生じる。
経口用組成物は、一般に、不活性の希釈剤または食用の担体を含む。これらをゼラチン・カプセルに封入することも、または圧縮して錠剤にすることも可能である。経口による治療的投与の目的のためには、活性化合物を賦形剤と一緒に導入することができ、錠剤、トローチ、またはカプセルの形で用いることができる。経口用組成物は、さらに、口内洗浄剤として用いるために流動性の担体を用いて調製でき、この場合、当該の流動性の担体中の化合物は経口により用いられ、さっと口に入れ、喀出されるかまたは飲み込まれる。薬学的に適合性ある結合剤、および/または、アジュバント材料を組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸剤、カプセル、トローチ等には以下の成分、または同様の性質の化合物のうちのいずれかを含めることができる:微結晶セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチンなどの結合剤;でんぷんまたはラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、Primogel、またはコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはSterotesなどの潤滑剤;コロイド状二酸化珪素などの推進剤;ショ糖またはサッカリンなどの甘味料;またはペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジ着香料などの着香料。
吸入による投与の場合、本化合物を、例えば二酸化炭素などのガスなど、適した推進剤を含有する加圧式の容器またはディスペンサ、あるいはネブライザからのエーロゾル噴霧の形で送達する。
全身投与は、経粘膜または経皮手段によってもよい。経粘膜または経皮投与の場合、透過させようとする障壁に適した浸透剤を調合物中に用いる。このような浸透剤は当業で広く公知であり、その中には、例えば、経粘膜投与の場合、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体がある。経粘膜投与は、鼻孔用スプレーまたは座薬を用いて行うことができる。経皮投与の場合、当該の活性化合物を軟膏、軟膏剤、ゲル、またはクリームに当業で広く公知のように調合する。
さらに本化合物を座薬(例えば、ココアバターおよび他のグリセリドなどの従来の座薬用基材と一緒に)または直腸送達用の停留浣腸剤の形で調製することもできる。
ある実施態様では、本発明の結合分子を、インプラントおよびマイクロ封入送達系を含め、制御放出調合物などとして、身体から化合物が急速に失われないように保護する担体と一緒に調製する。酢酸エチレンビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生分解性で生体適合性のあるポリマーを用いることができる。このような調合物の調製法は、当業者には明白なはずである。さらに当該の材料はアルザ・コーポレーションおよびノヴァ・ファーマシューティカルズ社から市販のものを入手できる。リポソーム懸濁液も、薬学的に許容可能な担体として用いることができる。これらは、例えば米国特許第4,522,811号に解説された通りに、当業者に公知の方法に従って調製することができる。
投与の容易さおよび投薬量の均一性のためには、経口用または非経口用組成物を単位剤形で調合することが特に有利である。ここで用いる単位剤形とは、治療しようとする対象にとって単位型の投薬量として調整された物理的に別個の単位を言う。各単位は、必要な薬品用担体との関連から所望の治療効果を生ずるよう計算された所定量の活性化合物を含有する。本発明の単位剤形の詳細は、活性化合物の固有の特徴、および、達成しようとする特定の治療効果、およびこのような活性化合物を、個体の治療に向けて配合する技術に内在する限界、によって決定され、またこれらに直接依存する。
このような化合物の毒性および治療上の効験は、例えばLD50(集団の50%にとって致命的な用量)およびED50(集団の50%において治療上有効な用量)を判定するためなど、細胞培養または実験動物における標準的薬学的手法により決定することができる。毒性および治療上の効果の間の用量比が治療指数であり、それは比LD50/ED50で表すことができる。大きな治療指数を示す化合物が好ましい。毒性の副作用を示す化合物を用いることもできるが、非罹患細胞への潜在的損傷を抑え、ひいては副作用を減らすためには、罹患組織の部位にこのような化合物を標的決定する送達系をデザインするように注意が必要である。
細胞培養アッセイおよび動物実験で得たデータを、ヒトで用いる投薬量範囲を処方する際に用いることができる。このような化合物の投薬量は、好ましくは、毒性が少ないか、または全くないような、ED50を含む血中濃度範囲内であるとよい。投薬量は、用いる投薬量および用いる投与経路に応じてこの範囲内で様々であろう。本発明の方法において用いられるいずれの化合物でも、治療上の有効量はまず細胞培養アッセイから推定することができる。細胞培養で判定された通りのIC50(即ち、症状の半分−最大の阻害を達成する検査化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するために動物モデルで用量を調合することができる。このような情報は、ヒトで有用な用量をより精確に決定するために用いることができる。血漿中レベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィで測定することができる。
本薬学的組成物は、容器、パック、またはディスペンサー内に、投与に関する指示と一緒に含めることができる。
VII.本発明の結合分子の投与
本発明の結合分子は、インビボでの薬剤投与に適した生物学的適合形で対象に投与される。「インビボ投与に適した生物学的適合形」とは、いずれかの毒性効果よりも当該作用薬の治療的効果の方が大きいような、投与される作用薬の形であることを意味する。
本発明の治療用組成物の治療上の有効量の投与とは、所望の結果を達成するために必要な投薬量および期間で有効な量であると定義しておく。例えば、作用薬の治療上有効量は、個体の疾患の状態、年齢、性別、および体重といった因子や、当該個体で所望の応答を惹起する上での結合分子の能力に応じて変わるであろう。投薬養生法は、最適な治療的応答が得られるように調節することができる。例えば、複数に分割した用量を毎日投与することも、あるいは、治療の状態の緊急度を指標として用量を比率的に減らすこともできる。
本発明の薬学的組成物は、「治療的に有効な量」または「予防的に有効な量」の本発明の結合分子を含む。「治療的に有効な量」は、投与時および必要な期間において、所望の治療的効果を達成するために、有効な量を意味する。結合分子の治療的に有効な量は、個体の疾患の状態、年齢、性別、および体重といった因子や、当該個体で所望の応答を惹起する上での作用薬の能力に応じて様々であろう。治療的に有効な量はまた、治療的に有効な効果が結合分子の毒性作用もしくは有害作用よりも勝る場合の量である。「予防的に有効な量」は、投与時および必要な期間において、所望の予防的効果を達成するために、有効な量を意味する。典型的に、予防的投与は、被験体において、疾患が発症する前、もしくは疾患の早期の段階で適用されるので、予防的に有効な量は、治療的に有効な量よりも少ない。
投薬養生法は、最適な所望の反応(例えば、治療的もしくは予防的反応)を提供するために調整することができる。例えば、単回ボラスを投与してもよいし、複数回に分けて経時的に投与してもよいし、または、治療状況の緊急度によって指示に比例して、投与量を減少もしくは増加させてもよい。投与量の適用および均一化を容易にするために、投与単位の組成物を調剤することが特に有利である。本明細書において用いられている投与単位の剤形とは、治療されるべき哺乳動物被験体の単一の投与量として好適な、物理的に分散した単位を意味する。各ユニットは、所望の治療効果を発生させるために計算された所定量の活性化合物を、必要な薬学的担体と組み合わせて含有する。本発明の投与単位剤形の詳細を記載する。それは、直接的に(a)活性化合物の独自の特性および特定の治療的もしくは予防的効果、ならびに(b)そのような化合物を、個体の治療感受性について化合物化する技術に固有の限定に依存している。
限定されない範囲の例として、本発明の結合分子の治療的もしくは予防的に有効な量は、0.1〜20mg/kg、より好ましくは、1.0〜10mg/kgである。投与量の値は、軽減すべき状態の種類および重篤度に応じて変えてもよいことがわかる。あらゆる特定の被験体にとって、特定の投薬養生法は、個体の必要性および投与もしくは該組成物の投与を監督する人の専門的判断にしたがって、経時的に変えるべきである。そして、本明細書に記載の投与量の範囲は、単なる例であり、請求項に記載された組成物の範囲またはプラクティスを制限することを意図するものではない。
当該結合分子は、注射(皮下、静脈内等)、経口投与、吸入、経皮投与、または直腸投与などの便利な方法で投与することができる。投与経路に応じ、当該化合物を失活させかねない酵素、酸および他の天然条件の作用から当該化合物を保護する物質で被覆することができる。例えば、非経口投与以外により本作用薬を投与するには、本作用薬を、その失活から保護する物質で被覆または同時投与することが好ましいであろう。
本発明の結合分子は、当業で公知の種々の方法によって投与することができるが、多くの治療的適用においては、好ましい投与経路/様式は、静脈内注射または注入である。当業者によって認識されているように、投与経路/様式は所望の結果に応じて変化する。いくつかの態様において、該活性化合物は、インプラントおよびマイクロ封入送達系を含め、制御放出調合物などとして、身体から化合物が急速に失われないように保護する担体と一緒に調製する。酢酸エチレンビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生分解性で生体適合性のあるポリマーを用いることができる。このような調合物の調製法の多くは、特許されており、または一般的に当業者に公知である。例えば、SustainedとControlled Release Drug Delivery
Systems, J.R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978を参照することができる。
いくつかの態様において、本発明の結合分子は、 例えば、不活性の希釈剤もしくは吸収可能な食用の担体とともに経口投与することができる。該化合物(および、望ましければ他の成分)をゼラチン硬カプセルもしくは軟カプセル剤に含有させてもよいし、錠剤に圧縮させてよいし、被験者の食事に直接組み込んでもよい。経口投与様には、該化合物は、賦形剤とともに組み込まれ、接種可能な錠剤、頬側錠剤、トローチ、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、カシェ剤などの剤形で製剤される。本発明の化合物を非経口投与以外の方法で投与するためには、化合物を、その活性を阻害する物質でコーティングする、または同時投与することが必要かもしれない。
結合分子を、酵素阻害剤と一緒に、またはリポソームなどの適した担体に入れて同時投与することができる。薬学的に許容可能な希釈剤には、生理食塩水および水性の緩衝液がある。アジュバントは、その最も広い意味で用いられ、あらゆる免疫阻害化合物を含む。ここで考察されるアジュバントには、レゾルシノール、ポリオキシエチレンオレイルエーテルおよびn−ヘキサデシルポリエチレンエーテルなどの非イオン性界面活性剤がある。酵素阻害剤には、膵臓トリプシン阻害剤、ジイソプロピルフルオロホスフェート(DEEP)およびトラジロールがある。リポソームには、水中油中乳濁液、ならびに従来のリポソームがある
(Sterna et al.(1984) J. Neuroimmunol. 7:27)。
さらに活性化合物を非経口または腹腔内投与してもよい。分散液をグリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびこれらの混合物に入れたり、油脂類に入れて調製することもできる。普通の保管および使用条件下では、これらの製剤は、微生物の成長を防ぐ保存剤を含有していてもよい。
該活性化合物が、上記のように、好適に保護される場合、該結合分子は、例えば、不活性の希釈剤もしくは吸収可能な食用の担体とともに経口投与することができる。
補充の活性化合物は、組成物に組み込むこともできる。いくつかの態様において、本発明の結合分子は、1以上の追加的治療薬を用いて製剤することができ、および/または、ILT3活性が損傷した障害を治療するのに有用な1以上の追加的治療薬と同時投与することができる。例えば、本発明の抗ILT3結合分子は、他の標的に結合する1以上の追加的結合分子、例えば、他のサイトカインもしくは細胞表面分子に結合する結合分子とともに、同時に製剤することができる、および/または同時投与することができる。そのような組み合わせ治療は、低用量の追加的治療薬を用いることができ、したがって、可能な毒性もしくは種々の単一治療に関連する合併症を避けることができるので有利である。
ある態様において、本発明の物質は、抗体である。本明細書において定義しているように、治療的に有効な量(すなわち、効果的投与量)の抗体は、約0.001〜30.0mg/kg体重、好ましくは、約0.01〜25.0mg/kg体重、より好ましくは0.1〜20mg/kg体重であり、さらに好ましくは、約1.0〜10mg/kg、2〜9mg/kg、3〜8mg/kg、4〜7mg/kg、または5〜6mg/kg体重である。当業者は、被験者を効果的に治療するために必要とされる用量にいくつの要因が影響を及ぼすかもしれないことを理解するであろう。その要因としては、例えば、限定されないが、疾患もしくは障害の重篤度、従前の治療、一般的な健康状態、および/または被験者の年齢、および存在するその他の疾患などがある。さらに、被験者を治療的に有効な量の抗体を用いて治療することは、単一の治療、または、好ましくは一連の治療を含むことができる。好ましい例においては、被験者は、約0.1〜20mg/kg体重の範囲の抗体を用いて、週1回約1〜10週間、好ましくは、2〜8週間、より好ましくは約3〜7週間、さらに好ましくは約4、5または6週間投与することによって治療することができる。治療に用いられる抗体の有効な範囲は、特定のクールの治療において増減してもよいことがわかるであろう。投与量の変化は、診断アッセイの結果から得てもよい。
以下の実施例により本発明をさらに解説するが、以下の実施例を限定的なものと捉えられてはならない。本出願全体を通じて引用された全参考文献、特許および公開済み特許出願の内容や図面を、引用をもってここに援用することとする。
実施例
実施例1:9B11の単離および精製
ILT3をコードする遺伝子をクローニングし、それを用いてマウスを免疫し、抗ILT3モノクローナル抗体を作製した。9B11抗体は、IgG1抗体である。
9B11抗体を下記のようにして精製した:
1.20mlのタンパク質G(Pharmacia HR 10/30)を5CVのdPBSで洗浄した
2.1L(ラン1)または2L(ラン2)のmILT3上清を載せた。
3.10CVのdPBSで洗浄した
4.100mMのクエン酸塩、pH2.8を用いて、直接的に1Mのトリス(20〜25%v:v)に溶出させた。
5.100mMのクエン酸塩、pH2.8、0.3MのNaClを用いて剥離した。
9B11抗体は、カニクイザルおよびヒヒの単球と交差反応を示した。
実施例2:インビトロで9B11処理した樹状細胞は、共刺激性分子の細胞表面での発現が低い
MDDCをIL−10または抗ILT3mAbs(5A1、9B11もしくは9G3)の存在下で誘発した。未成熟樹状細胞および成熟樹状細胞を対照として用いた。さらに、MDDCも陰性対照であるTRX1の存在下で誘発した。得られた結果を図1に示す。これは、フローサイトメトリーによる測定によれば、9B11の存在下で分化したMDDCにおいて、CD86、CD80、CD83およびHLA−DRなどの共刺激性分子の発現が低いことがわかる。
上記したように、9B11の存在下で分化した細胞は、共刺激性分子の細胞表面発現パターンが減少することがわかった。したがって、これらの細胞は、混合リンパ球反応においてT細胞の同種間反応を起こさない可能性が高い。図2に示すように、9B11の存在下で分化したMDDCでは、混合リンパ球反応においてアネルギー性のT細胞刺激が起こる。2×10のT細胞に対して500個または1000個ずつのDCを添加した。Hチミジンの添加前、細胞を3日間刺激した。
さらに、9B11の存在下で誘発されたMDDCは、LPSを用いて刺激を行った場合、IL−12、TNF−αまたはIL−αを生成できない。0日目および3日目に単球をGM−CSFおよびIL−4で処理した。0日目および3日目にIL−10またはILT3(9B11;10μg/ml)を添加した。5日目に、細胞を洗浄し、LPS(5μg/ml)を成熟培養物に添加した。LPSを添加した48時間後に上清液を回収した。サイトカインをELISAによって測定した(Pierce Endogen)。2つの異なる単球ドナー(ドナー#26およびドナー#5を用いた)(図3)。
9B11を用いてインキュベートした新鮮に単離された血液樹状細胞は、サイトカイン(IL−6、IL−1ベータ、TNF−アルファおよびPGE)の混合物を用いて該細胞を成熟させたとき、刺激性の分子の発現を完全にアップレギュレートすることが可能であった。成熟混合物を添加する24時間前に、新鮮に単離された血液樹状細胞を9B11とともにインキュベートした。該細胞を48時間表現型化し、その後9B11による処理によって共刺激性の分子の発現が減少するかどうかを判定した。図4に示すように、9B11によって単球を処理した結果、CD86およびHLA−DRの双方の発現を減少させた。
9B11はまた、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)、CD32を活性化することによって誘発される単球へのCa+2流入を阻害する。抗CD32を用いて単球を処理した後、ヤギ抗マウスIgG、IgMによって架橋すると、有意なCa+2流入が起こるであろう。しかしながら、CD32の添加および架橋の前に9B11によるインキュベーションを行った結果、これらの単球によるCa+2流入が減少した。アイソタイプ対照(マウスIgGl)ではCa+2流入の阻害が少なかったことから、これは、ILT3抗体に特異的なものであった(図5)。
Rabin, et al.(J Immunol.
(1999)162:3840-3850)に記載のようにして、フローサイトメトリーを用いて細胞内カルシウム流入を調べた。簡単に述べれば、単球由来の樹状細胞(2×10)をHBSS−HEPES(10mMのHEPES、Ca++、Mg++、および1%胎児性ウシ血清を添加したHBSS)に添加した。インド−1(Indo-1)およびプロイロニック界面活性剤(pleuronic detergent)(Molecular Probes, Eugene, OR)を当初濃度5μMおよび300μMで、それぞれ添加した。細胞懸濁液を30℃で45分間、穏やかに撹拌しながらインキュベートした。細胞をHBSS−HEPESで2回洗浄し、抗CD1aで染色し、再度洗浄した。CD1a樹状細胞のカルシウム流入を、アルゴンレーザーを備えたFACSVantageフローサイトメーター(Becton Dickinson)を用いて調べたところ、488nMであった。クリプトンレーザーでは、360nMであった。Indo−1蛍光光度を、390/20nMおよび530/20nMで分析し、境界およびフリーカルシウムをそれぞれ求めた。刺激前、細胞懸濁液を、37℃で3分間加温した。CD1a細胞集団を分離し、ベースライン蛍光比率を30秒間集めた。その後細胞をfMLP(10−5M)、T−20ペプチド(10−5M)またはF−ペプチド(10−5M)を用いて刺激し、その後fMLP(10−8M)で刺激した。カルシウム流入が基本レベルになるまで回収を続けた。Indo−1蛍光性の変化を、境界対細胞内のフリーカルシウムの比率で表した。刺激時のCD1a細胞集団全体をスキャッタグラフに示す。データ分析は、Flowjoソフトウェアを用いて行った(Tree Star, San Carlos,
CA)。
実施例3:インビトロで9B11を用いて処理した樹状細胞は、細胞表面抑制受容体の高い発現を示した
9B11は、抑制受容体、例えば、細胞に陰性阻害を生成するレセプターの発現を上方調整するもわかった。磁性ビーズ分離技術を用いて単球を単離した。該単球を、9B11、GM−CSFおよびIL4を用いて1日おきに処理した。5日目、これらの細胞の一部をIL1b、IL6、TNFαおよびPGE2を用いて成熟させた。細胞をさらに7日間インキュベートし、次いで、未成熟の樹状細胞(iDC)(IL1b、IL6、TNFαおよびPGE2を用いて処理していない細胞)および成熟した樹状細胞(mDC)からRNAを調製した。該RNAを用いてQPCRのcDNAを生成した。そのデータをハウスキーピング遺伝子18sRNAと関連付けて表す。マウスIgG1をアイソタイプ対照として用いた。双方の抗体を10μg/mlの濃度で用いた。
結果によれば、ILT3結合分子の存在下で樹状細胞に発育するように単球を培養することによって、いくつかの阻害分子がアップレギュレートすることがわかる。IDO(インドールアミン)は、細胞で処理したILT3結合分子中で非常に過剰発現した。この分子は、耐性の発生と関連している。トレロジェン性の樹状細胞はまた、CD200Rを発現し、インビボでトレロジェン性を示すことがわかっている。アイソタイプ対照と比較して、CD200RおよびCD40Lは、ILT3結合分子で処理した細胞で上昇した。9B11処理によってFCGRIIbおよびFCGRIIaの発現が上昇したが、サンプルの全てにおいて、FCGRIIbとFCGRIIaの発現は等しかった。成熟DC上の同じレセプターの発現がアイソタイプ対照と違いがなかったことから、この効果は未成熟DCに特異的なものである。
実施例4:9B11のインビボでの特性
準備段階、例えば、マイコバクテリウム−ツベルクローシスを抗原として用いるワクチン接種プロトコルの−1、0および+1日目に、アカゲマカクを9B11で免疫した。+18日目に抗原を用いて、続く攻撃を行った結果、皮膚のDTH反応の悪化が認められた。これらの結果は、存在するアジュバントと比較して低い罹患率で、結合9B11が免疫反応を高める(例えば、感染および悪性の場合)のに有用なアジュバントとして機能するということを示すものである。
実施例5:キメラ抗ILT3結合分子の調製
9B11軽鎖可変領域を、従来の分子生物学的手法を用いてヒト軽鎖定常領域に移植した。IgG1軽鎖定常領域を用いた。完全なキメラ軽鎖GITR結合分子のアミノ酸配列を以下に示す:
DIVLTQSPATLSVTPGDSVSLSCRASQGLTNDLHWYQQKPHESPRLLIKYASQSISGIPSRFSGSGSGTDFTLTINSVETEDFGVFFCQQSNSWPFTFGAGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号:25)
9B11重鎖可変領域も、従来の分子生物学的手法を用いてヒト重鎖定常領域に移植した。IgG1重鎖定常領域を用いた。完全なキメラ重鎖ILT3結合分子のアミノ酸配列を以下に示す「Gly」とも称する):
EVKLVESGGDLVKPGGSLKLSCAASGFAFSSYDMSWVRQTPEKRLEWVATISSSGSYTYYPDSVKGRFTISRDNARNTLYLQMSSLRSEDTALYYCERLWGAMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号:26)。
アミノ酸配列NX(S/T)は、結合分子の作製に影響を及ぼし得るグリコシレーション部位の推定上のコンセンサス配列であり、9B11重鎖のIgG1定常領域は配列NSTを有しているので、第2のバージョンの重鎖定常領域を、配列番号:27のアミノ酸残基296(太字かつ下線を施してある部分)においてグルタミンとアスパラギンが保存的に置換されるように作製した。それに応じて、第2のヒト定常領域を9B11重鎖可変領域に移植した。完全なキメラ重鎖ILT3結合分子のアミノ酸配列を以下に示す(「Agly」とも称する):
EVKLVESGGDLVKPGGSLKLSCAASGFAFSSYDMSWVRQTPEKRLEWVATISSSGSYTYYPDSVKGRFTISRDNARNTLYLQMSSLRSEDTALYYCERLWGAMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号:27)。
均等物
当業者であれば、ルーチンの実験以上のことをすることなく、ここに解説した本発明の具体的な実施の形態の均等物を数多く、認識し、または確認できることであろう。そのような均等物は以下の請求の範囲の包含するところと、意図されている。
図1は、9B11の存在下で分化した単球由来樹状細胞(MDDCs)が、フローサイトメトリーによれば、CD86、CD80、CD83およびHLA−DRなどの細胞表面共刺激性分子の発現が低いことを示すグラフである。 図2は、混合リンパ球反応においてMDDCsが同種間のT細胞反応を生成することができなかったことを示すグラフである。 図3は、9B11の存在下で培養されたMDDCsは、LPSによる刺激があったとき、IL−12、TNFαまたはIL−1αを生成することができないことを示すグラフである。 図4は、9B11とともにインキュベートした、新鮮に単離された血液樹状細胞は、サイトカイン(IL−6、IL−1β、TNFαおよびPGE)の混合液を用いて細胞を成熟させたとき、共刺激性の分子の発現を完全にアップレギュレートすることができなかったことを示すグラフである。 図5は、CD32中で免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を活性化することによって誘発される単球への9B11の追加が、Ca+2流入を阻害することを示す図である。

Claims (30)

  1. ヒトILT−3に結合する、単離された抗体またはその抗原結合フラグメントであって、配列番号:1に示されたアミノ酸20〜135を含む重鎖可変領域を含み、配列番号:2に示されたアミノ酸21〜127を含む軽鎖可変領域をさらに含む、抗体またはその抗原結合フラグメント。
  2. ヒトILT−3に結合する、単離された抗体またはその抗原結合フラグメントであって、配列番号:1に示されたアミノ酸20〜135のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、配列番号:2に示されたアミノ酸21〜127のアミノ酸配列をさらに含み、
    前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、(i)インビトロで免疫細胞の活性化を下方調整する、または(ii)インビボで免疫反応を上方調整する、抗体またはその抗原結合フラグメント。
  3. ヒトILT−3に結合する、単離された抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
    配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域(VH)相補性決定領域1(VH CDR1);
    配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域(VH)相補性決定領域2(VH CDR2);
    配列番号:5に示されたアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域(VH)相補性決定領域3(VH CDR3);
    配列番号:6に示されたアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域1(VL CDR1);
    配列番号:7に示されたアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域2(VL CDR2);および
    配列番号:8に示されたアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域3(VL CDR3)を含む、単離された抗体またはその抗原結合フラグメント。
  4. ヒトILT−3に結合する、単離された抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
    (i)配列番号:26に示されたアミノ酸配列および配列番号:25に示されたアミノ酸配列、または、
    (ii)配列番号:27に示されたアミノ酸配列および配列番号:25に示されたアミノ酸配列を含む、単離された抗体またはその抗原結合フラグメント。
  5. 重鎖定常領域をさらに含む、請求項1乃至のいずれか1項に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  6. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、
    (i)樹状細胞による炎症性サイトカインの生成をインビトロで下方調整する、
    (ii)樹状細胞上での共刺激分子のアップレギュレーションをインビトロで下方調整する、または、
    (iii)樹状細胞上での抑制受容体の発現をインビトロで上方調整する、
    請求項1乃至5のいずれか1項に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  7. 前記抗体は、マウス抗体である、請求項3または5に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  8. 前記抗体は、キメラ抗体またはヒト化抗体である、請求項3または5に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  9. 前記重鎖定常領域は、配列番号:28および29のいずれか1つに示されたアミノ酸配列を含む、請求項に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  10. Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、およびscFvフラグメントからなる群から選択される抗原結合フラグメントである、請求項1乃至のいずれか1項に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  11. 前記重鎖定常領域は、IgG1重鎖定常領域である、請求項に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  12. 前記重鎖定常領域は、ヒト重鎖定常領域である、請求項に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  13. 少なくとも1つの可変領域は、ヒトフレームワーク残基を含む、請求項3、5、9、11および12のいずれか1項に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  14. 1以上の前記ヒトフレームワークアミノ酸残基は、対応するマウスアミノ酸残基に突然変異している、請求項13に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  15. 前記抗体または抗原結合フラグメントは、一本鎖抗体またはそのフラグメントである、請求項1または3に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  16. 軽鎖定常領域を更に含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  17. 前記軽鎖定常領域は、ヒト軽鎖定常領域である、請求項16に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  18. 前記軽鎖定常領域は、ラムダ鎖である、請求項16に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  19. 前記軽鎖定常領域は、カッパ鎖である、請求項16に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  20. 請求項1乃至19のいずれか1項に記載の前記単離された抗体または抗原結合フラグメント、および薬学的に許容可能な担体を含む、組成物。
  21. 被験者における免疫反応を上方調整する方法であって、前記抗体または抗原結合フラグメントを、それを必要とする被検者に投与することを含む方法に使用するための、請求項1乃至19のいずれか1項に記載の抗ILT3抗体またはその抗原結合フラグメント。
  22. 被検者からの抗原提示細胞をインビトロで、前記抗体または抗原結合フラグメントと接触させること、および、被験者における移植の拒絶反応が下方調整されるように、前記抗原提示細胞を、移植と同時もしくは移植前に被験者に再度導入することを含む、被験者における移植の拒絶反応を下方調整する方法に使用するための、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の、抗体または抗原結合フラグメント。
  23. 被験者の癌が治療されるように、抗体または抗原結合フラグメントを被検者に投与することを含む、前記被験者において癌を治療する方法に使用するための、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の、抗体または抗原結合フラグメント。
  24. 癌は、膵臓癌、メラノーマ、乳癌、肺癌、気管支癌、結直腸癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳もしくは中枢神経系の癌、末梢神経系の癌、食道癌、子宮頚癌、子宮もしくは子宮内膜の癌、口腔もしくは咽頭の癌、肝臓癌、腎臓癌、精巣癌、胆道癌、小腸もしくは盲腸の癌、唾液腺の癌、甲状腺の癌、副腎の癌、骨肉腫、軟骨肉腫、および血液組織の癌から選択される、請求項23に記載の使用のための、抗体またはその抗原結合フラグメント。
  25. ヒトILT−3に結合する、抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする単離された核酸分子であって、
    配列番号:11に示された、重鎖可変領域(VH)相補性決定領域1(VH CDR1)をコードするヌクレオチド配列;
    配列番号:12に示された、重鎖可変領域(VH)相補性決定領域2(VH CDR2)をコードするヌクレオチド配列;
    配列番号:13に示された、重鎖可変領域(VH)相補性決定領域3(VH CDR3)をコードするヌクレオチド配列;
    配列番号:14に示された、軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域1(VL CDR1)をコードするヌクレオチド配列;
    配列番号:15に示された、軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域2(VL CDR2)をコードするヌクレオチド配列;および
    配列番号:16に示された、軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域3(VL CDR3)をコードするヌクレオチド配列
    を含む、核酸分子。
  26. 請求項25に記載の単離された核酸分子であって、配列番号:9に示された、重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列と、配列番号:10に示された、軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列とを含む、核酸分子
  27. 請求項25または26に記載の核酸分子を含む、組換え発現ベクター。
  28. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントをコードするヌクレオチド配列を持つ1以上のヌクレオチド分子を含む、組換え発現ベクター。
  29. 請求項28に記載の組換え発現ベクターが組み込まれた、単離された宿主細胞。
  30. ヒトILT−3に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントの生成方法であって、ヒトILT−3に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントが細胞によって生成されるまで、請求項29に記載の宿主細胞を培地で培養することを含む方法。
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