JP5597793B2 - Ilt3結合分子およびその使用 - Google Patents

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Description

関連出願
本願は、2006年6月19日付で、「ILT3結合分子およびその使用」という発明の名称で出願された米国特許出願第11/471,397号の一部継続出願である。本願は、2006年6月19日付で、「ILT3結合分子およびその使用」という発明の名称で出願された米国仮特許出願第60/814,931号の優先権の便益を主張する。その内容全体を、本明細書中に引用により援用する。
イムノグロブリン様転写物(ILT)3は、イムノグロブリン・スーパーファミリーのメンバーである細胞表面分子である。ILT3は、単球、マクロファージおよび樹状細胞などの骨髄性の抗原提示細胞(APC)によって選択的に発現される。ILT3の細胞質領域は、推定上の免疫レセプターチロシンベースの抑制モチーフ(ITIMs)を含有している。ILT3の、APCにより発現された刺激性レセプターへの共ライゲーションの結果、[Ca2+]が増加したフラックスの平滑末端化と、これらのレセプターによってトリガーされたチロシンリン酸化が起こる。シグナル消去は、架橋時、ILT3によって補充されたSH2含有タンパク質チロシンホスファターゼ1を伴う。ILT3は、抗原の捕捉および提示においても機能することができる。それは架橋によって効率的に内面化し、そのリガンドを細胞内の区画に運び、そこで処理され、T細胞に提示される(Cellaら(1997) J.
Exp. Med. 185:1743-1751)。
したがって、ILT3は、APCの活性化をネガティブに調節することができ、抗原の取り込みに関してAPCによって使用され得る抑制受容体である。ILT3を介してのシグナリングを調整するのに有用な物質の開発は、免疫反応の調整に非常に有益なものとなるであろう。
本発明は、ILT3、例えば、ヒトILT3(hILT3)に、抗原提示細胞、例えば、単球、マクロファージや樹状細胞、例えば、単球由来樹状細胞上で、特異的に結合する結合分子を提供する。本発明の結合分子は、hILT3と、高いアフィニティーで結合し、インビトロで免疫細胞を下方調整すること、例えば、同種免疫反応、樹状細胞、例えば、単球由来樹状細胞(MDDC)による炎症性サイトカインの生成、DC、例えば、MDDCによる共刺激分子のアップレギュレーション、および/または、単球へのカルシウムの流入を下方調整することを特徴とする。さらに、結合分子は、樹状細胞、例えば、未成熟の樹状細胞での抑制受容体の発現をアップレギュレーションする。驚くべきことに、インビトロで免疫反応を下方調整する同じこれらの結合分子が、インビボでは、例えば、免疫反応を上方調整するなどの免疫賦活性を示す。
したがって、本発明のある局面は、配列番号:1のアミノ酸配列を含む結合分子を特徴とする。
別の局面においては、本発明は、配列番号2のアミノ酸配列を含む結合分子を特徴とする。
本発明のさらに別の局面は、配列番号:3、配列番号:4および配列番号:5からなる群から選択される、少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)アミノ酸配列を含む結合分子を特徴とする。ある態様において、結合分子は、配列番号:3、配列番号:4および配列番号:5からなる群から選択される、少なくとも2つの相補性決定領域(CDR)アミノ酸配列を含む。別の態様において、結合分子は、配列番号:3、配列番号:4および配列番号:5からなる群から選択される、少なくとも3つの相補性決定領域(CDR)アミノ酸配列を含む。
本発明の別の局面は、配列番号:6、配列番号:7および配列番号:8からなる群から選択される、少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)アミノ酸配列を含む結合分子を特徴とする。ある態様において、結合分子は、配列番号:6、配列番号:7および配列番号:8からなる群から選択される、少なくとも2つの相補性決定領域(CDR)アミノ酸配列を含む。別の態様において、結合分子は、配列番号:6、配列番号:7および配列番号:8からなる群から選択される、少なくとも3つの相補性決定領域(CDR)アミノ酸配列を含む。
本発明の別の局面は、配列番号:3〜8に示されたCDRを含む結合分子を特徴とする。
本発明のある局面は、配列番号:1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、さらに、配列番号:2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む結合分子を特徴とする。
本発明の別の局面は、ヒト単球由来樹状細胞(MDDC)上でILT−3に結合し、結合定数(Kd)が0.9×10−9以下である結合分子を特徴とする。
ある態様において、結合分子は、インビトロで免疫細胞の活性化を下方調整する。
別の態様において、結合分子は、インビボで免疫反応を上方調整する。
さらに別の態様において、結合分子の定常領域は、IgG1重鎖定常領域を含む。
ある態様において、結合分子は、樹状細胞上でヒトILT−3に結合する。
別の態様において、結合分子は、単球上でヒトILT−3に結合する。
さらに別の態様において、結合分子は、樹状細胞による炎症性サイトカインの生成をインビトロで下方調整する。
ある態様において、結合分子は、樹状細胞上での共刺激分子のアップレギュレーションをインビトロで下方調整する。
別の態様において、結合分子は、樹状細胞上での抑制受容体の発現をインビトロで上方調整する。
ある態様において、結合分子は、マウス抗体である。
別の態様において、結合分子は、モノクローナル抗体、またはその抗原結合フラグメントである。
さらに別の態様において、結合分子は、ヒト化抗体またはキメラ抗体である。
本発明の別の局面は、本発明の結合分子および薬学的に許容可能な担体を含む組成物を特徴とする。
ある態様において、組成物は、被験者における免疫反応を上方調整する、少なくとも1つの追加的治療薬をさらに含む。
本発明のある局面は、被験者からの細胞を、インビトロで免疫細胞の活性化を阻害する抗ILT3抗体に接触させることを含む、被験者において免疫反応を上方調整する方法を特徴とする。
本発明の別の局面は、被験者において移植の拒絶反応を下方調整する方法であって、被験者からの細胞を本発明の結合分子に接触させること、およびその細胞を移植と同時もしくは移植前に被験者に再度導入して、被験者におけるする移植の拒絶反応を下方調整することを含む方法を特徴とする。
本発明のさらに別の局面は、被験者における癌を治療する方法であって、細胞を本発明の結合分子に接触させて、被験者において癌を治療する方法を特徴とする。
ある態様において、癌の種類は、膵臓癌、メラノーマ、乳癌、肺癌、気管支癌、結直腸癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳もしくは中枢神経系の癌、末梢神経系の癌、食道癌、子宮頚癌、子宮もしくは子宮内膜の癌、口腔もしくは咽頭の癌、肝臓癌、腎臓癌、精巣癌、胆道癌、小腸もしくは盲腸の癌、唾液腺の癌、甲状腺の癌、副腎の癌、骨肉腫、軟骨肉腫、および血液組織の癌から選択される。
本発明のある局面は、配列番号:9のヌクレオチド配列を含む重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子を特徴とする。
本発明の別の局面は、配列番号:10のヌクレオチド配列を含む軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子を特徴とする。
本発明のさらに別の局面は、配列番号:11、配列番号:12および配列番号:13からなる群から選択される、少なくとも1つのCDRをコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子を特徴とする。ある態様において、単離された核酸分子は、少なくとも2つのCDRを含む。別の態様において、単離された核酸分子は、3つのCDRを含む。
本発明の別の局面は、配列番号:14、配列番号:15および配列番号:16からなる群から選択される、少なくとも1つのCDRをコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子を特徴とする。ある態様において、単離された核酸分子は、少なくとも2つのCDRを含む。別の態様において、単離された核酸分子は、3つのCDRを含む。
本発明のある局面は、配列番号:11〜16に示されたヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を特徴とする。
本発明のある局面は、本発明の核酸分子を含む組換え発現ベクターを特徴とする。ある態様において、本発明の結合分子をコードするヌクレオチド配列を持つ核酸分子を含む組換え発現ベクターを特徴とする。別の態様において、本発明は、本発明の組換え発現ベクターが組み込まれた宿主細胞を特徴とする。本発明の別の局面は、ヒトILT−3に結合する結合分子の生成方法であって、ヒトILT−3に結合する結合分子が細胞によって生成されるまで、本発明の宿主細胞を培地で培養することを含む方法を特徴とする。
図1は、9B11の存在下で分化した単球由来樹状細胞(MDDCs)が、フローサイトメトリーによれば、CD86、CD80、CD83およびHLA−DRなどの細胞表面共刺激性分子の発現が低いことを示すグラフである。 図2は、混合リンパ球反応においてMDDCsが同種間のT細胞反応を生成することができなかったことを示すグラフである。 図3は、9B11の存在下で培養されたMDDCsは、LPSによる刺激があったとき、IL−12、TNFαまたはIL−1αを生成することができないことを示すグラフである。 図4は、9B11とともにインキュベートした、新鮮に単離された血液樹状細胞は、サイトカイン(IL−6、IL−1β、TNFαおよびPGE)の混合液を用いて細胞を成熟させたとき、共刺激性の分子の発現を完全にアップレギュレートすることができなかったことを示すグラフである。 図5は、CD32中で免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を活性化することによって誘発される単球への9B11の追加が、Ca+2流入を阻害することを示す図である。
本発明は、ILT3、例えば、ヒトILT3(hILT3)に、抗原提示細胞、例えば、単球マクロファージや樹状細胞(DC)、例えば、単球由来樹状細胞(MDDC)上で、特異的に結合する結合分子を提供する。本発明の結合分子は、hILT3と高いアフィニティーで結合し、インビトロで免疫反応を下方調整すること、例えば、同種免疫反応;樹状細胞、例えば、単球由来樹状細胞(MDDC)による炎症性サイトカインの生成;DC、例えば、MDDCによる共刺激分子のアップレギュレーション;および/または単球へのカルシウムの流入を下方調整することを特徴とする。さらに、結合分子は、樹状細胞、例えば、未成熟の樹状細胞での抑制受容体の発現をアップレギュレーションする。驚くべきことに、インビトロで免疫反応を下方調整する同じこれらの結合分子が、インビボで免疫賦活性を示す。
本発明の様々な局面は、結合分子およびその薬学的組成物、ならびに結合分子をコードする核酸、そのような結合分子を作製するための組換え発現ベクターおよび宿主細胞に関連する。インビトロまたはインビボで、ヒトILT3を検出するため、またはヒトILT3活性を調整するために、本発明の結合分子を使用する方法も本発明に含まれる。
本発明を容易に理解することができるように、いくつかの用語をまず定義しておく。
I.定義
本明細書において用いられている用語「イムノグロブリン様転写物3」(本明細書においては「ILT3」もしくは「hILT3」と省略している。またCD85kとしても知られている)は、IL−10またはビタミンD3の存在下で分化した単球、マクロファージおよび樹状細胞、例えば、単球由来樹状細胞などの骨髄性の抗原提示細胞(APC)によって選択的に発現されるイムノグロブリン・スーパーファミリーのヒトメンバーである。ILT3タンパク質は、分子量が47kDまでと予測される447アミノ酸の膜貫通タンパク質である。ILT3タンパク質のアミノ末端部分は、23アミノ酸の疏水性シグナルペプチドで開始し、2つのC2タイプのイムノグロブリン・スーパーファミリードメインからなる細胞外領域が続いている。各ドメインは、互いに49および50残基分離れた2つの特徴的なシステインをもち、保存された残基(それぞれVal−x−Leu/Ile−x−CysおよびHis/Tyr−x−Gly−x−Tyr−x−Cys−Tyr/Phe。xはあらゆるアミノ酸である)に隣接している。ILT3の推定上の膜貫通ドメインは21アミノ酸からなり、167アミノ酸の長い細胞質の領域が続いている。それは1つのTyr−x−x−Valモチーフと、それに続く2つの、26アミノ酸残基分のスペースがあいたTyr−x−x−Leuモチーフを特徴とする。これらのTyr−x−x−Leu対およびそれらのスペースは、KIRs(ナチュラルキラー細胞Igレセプター)においてタンパク質チロシンホスファターゼSHP−1結合部位として同定されたTyr−x−x−Leuモチーフ(免疫受容体チロシンベースの抑制モチーフまたはITIMとも称される)が存在していたことを暗示するものである。
ILT3の細胞質領域における推定上の免疫受容体チロシンベースの抑制モチーフは、ILT3の抑制機能を示唆するものである。そのため、ILT3は、刺激性のレセプターに架橋したとき、抑制受容体として振舞う。
ヒト(hILT3)ILT3の核酸配列を配列番号:17に示し、アミノ酸配列を配列番号:18に示す。
本明細書において用いられている用語「結合分子」は、ILT3に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位を含有する分子を含む。「特異的に結合する」は、結合分子が非ILT3分子に対して基本的にバックグラウンド結合を示すことを意味する。しかしながら、ILT3に特異的に結合する単離された結合分子は、他の種からのILT3分子に対する交差反応性を示してもよい。
本発明の結合分子は、あらゆるアイソタイプイムノグロブリン重鎖(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)、またはイムノグロブリン分子のサブクラスを含むことができる。結合分子は、重鎖および軽鎖の双方を含んでもよい。本明細書において用いられている用語「結合分子」はまた、例えば、scFv分子を、ILT3との結合性という所望の活性を示す限り、抗体(全長抗体)、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、他重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、ヒト抗体、ヒト化抗体もしくはキメラ抗体、および抗体フラグメント、例えば、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、Fab発現ライブラリーによって生成されたフラグメント、上記のすべてのエピトープ結合フラグメント、および工学的に処理された形態の抗体を含んでもよい。
「抗原」は、結合分子が特異的に結合する実体(例えば、タンパク質様の実体またはペプチド)である。
「エピトープ」または「抗原決定基」と言う用語は、結合分子が特異的に結合する抗原上の部位を言う。エピトープは、タンパク質の三次折り畳みによって配列された連続的なアミノもしくは非連続的なアミノ酸から構成することができる。連続的なアミノから形成されたエピトープは、典型的に変性溶媒に曝露されたとき状態を維持するが、一方、三次折り畳みによって形成されたエピトープは、典型的に変性溶媒に曝露されたとき失われる。エピトープは、典型的に少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15のアミノ酸を独特の空間コンホーメーションに含む。エピトープの空間コンホーメーションを決定する方法には、例えば、X結晶構造解析および2次元核磁気共鳴がある。例えば、Epitope Mapping Protocols in
Methods in Molecular Biology、Vol. 66、G. E. Morris、Ed. (1996)を参照することができる。
同じエピトープを認識する結合分子は、抗原を標的とするために、ある抗体が別の抗体の結合をブロックすることができる能力を示す簡単なイムノアッセイ、例えば、競合結合アッセイにおいて同定することができる。競合結合は、試験される結合分子が、参照結合分子の、一般的な抗原、例えば、ILT3への特異的結合を阻害するアッセイにおいて決定することができる。例えば、固相直接もしくは間接ラジオイムノアッセイ(RIA);固相直接もしくは間接酵素イムノアッセイ(EIA)サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahli et al.、Methods in Enzymology 9:242 (1983));固相直接ビオチン−アビジンEIA(例えば、Kirkland et al.、J.
Immunol. 137:3614 (1986));固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(例えば、HarlowとLane、Antibodies:
A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press(1988));I−125標識を用いた固相直接標識RIA(例えば、Morel et al.、Mol. Immunol. 25(1):7 (1988)); 固相直接ビオチン−アビジンEIA(Cheung et al.、Virology 176:546(1990));および直接標識RIA(Moldenhauer et al.、Scand. J. Immunol. 32:77(1990))などといった、多種の競合結合アッセイが知られている。典型的にそのようなアッセイは、固体表面または、これらの未標識の試験結合分子および標識された参照結合分子のいずれかを担持する細胞に結合する精製された抗原を使用する。競合阻害は、固体表面または試験結合分子の存在下での細胞に結合した標識の量を測定することによって決定することができる。通常、試験結合分子は過剰に存在している。通常、競合する結合分子は、過剰に存在し、参照結合分子の一般的な抗原への特異的結合を、少なくとも、50〜55%、55〜60%、60〜65%、65〜70%、70〜75%以上阻害することになる。
エピトープは、免疫学的細胞、例えば、B細胞および/またはT細胞によっても認識することができる。エピトープの細胞認識は、抗原依存性の増殖を測定するインビトロのアッセイ、例えば、Hチミジン組み込み、サイトカイン分泌、抗体分泌、もしくは抗原依存性殺傷(細胞傷害性Tリンパ球アッセイ)による測定によって決定することができる。
本明細書において用いられる「モノクローナル結合分子」という用語は、ほぼ均質な結合分子の集団から得られる結合分子を意味する。モノクローナル結合分子は、単一の抗原部位に対して高度な特異性を示す。さらに、典型的に異なる決定基(エピトープ)に対する異なる結合分子を含むポリクローナル結合分子調製物とは対照的に、各モノクローナル結合分子は、抗原上の単一の決定基に向けられる。修飾因子「モノクローナル」は、ほぼ均質な結合分子の集団から得られるという結合分子の特徴を示しているが、結合分子を作製する方法は特定されない、と解釈されている。例えば、本発明で用いられるモノクローナル結合分子は、Kohler et al.、Nature 256:495 (1975)に最初に記載されたハイブリドーマ法で作製することができるし、あるいは、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号)で作製することもできる。「モノクローナル結合分子」は、また、例えば、Clackson et al.、Nature 352:624-628(1991) やMarks et al.、J. Mol Biol. 222:581-597(1991)に記載の技法を用いて、ファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。
用語「キメラ結合分子」は、異なる種に由来するアミノ酸配列を含む結合分子を意味する。キメラ結合分子は、例えば、遺伝子工学的技法によって、異なる種に属する結合分子遺伝子セグメントから構築することができる。
本明細書におけるモノクローナル結合分子は、特に、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来する、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する結合分子の対応する配列と同一または相同であり、一方、鎖の他の部分は、他の種に由来する、または他の抗体クラスもしくはサブクラスに属する他の種に由来する結合分子、ならびに所望の生物学的活性、例えば、ヒトILT3(hILT3)に対する結合性を示す限り、その結合分子のフラグメントと同一または相同である「キメラ」結合分子を含む(米国特許法第4,816,567号;およびMorrisonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855 (1984))。
軽鎖および重鎖はともに構造的および機能的ホモロジーに分類される。用語「定常」および「可変」は、機能的に用いられる。これに関連して、軽鎖(VL)および重鎖(VH)部分の可変ドメインは、抗原認識および特異性を決定することが理解されよう。逆に、軽鎖(CL)および重鎖(CH1、CH2もしくはCH3)の定常ドメインは、分泌、経胎盤性の移動、Fcレセプター結合、補体結合などの重要な生物学的特性を付与する。慣例では、定常領域ドメインの番号は、抗原結合部位または抗体のアミノ末端から離れるにしたがって大きくなる。N末端は可変領域、C末端は定常領域である。CH3およびCLドメインはそれぞれ、重鎖および軽鎖のカルボキシ末端を実際に含む。
結合分子との関連で用いられる「可変領域」は、分子に対する抗原結合を付与する結合分子のアミノ末端部分であり、定常領域ではない部分を意味する。この用語は、相補性決定領域およびフレームワーク領域を含む。この用語はまた、可変領域全体の結合機能の一部もしくは全体を維持する機能的フラグメントを含む。
本明細書において用いられるところの用語「超可変領域」は、配列において超可変であり、および/または構造的にループを形成する結合分子可変ドメインの領域を意味する。超可変領域は、「相補性決定領域」すなわち「CDR」からのアミノ酸残基を含む。
本明細書において用いられるところの用語「CDR」あるいは「相補性決定領域」は、重鎖および軽鎖ポリペプチドの双方の可変領域において認められる非連続的な抗原結合部位を意味する。これらの特定の領域については、Kabatら、J. Biol. Chem. 252、6609-6616 (1977)、およびKabatら、Sequences of protein of immunological
interest. (1991)に記載がある。そして、Chothiaら、J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987) およびMacCallumら、J. Mol. Biol. 262:732-745 (1996)により、互いに比較したときのアミノ酸残基のオーバーラッピングまたはサブセットであると定義されている。Kabatの定義が、本発明の結合分子のCDRを定義するのに好ましいが、他の結合分子のCDRの定義、または移植された結合分子もしくはその変形についての定義もこの語の定義に包含され、本明細書において用いられる。
本明細書において用いられるところの用語「フレームワーク領域」あるいは「FR」は、CDRによって分離されるフレームワークの各ドメインを意味する。したがって、可変領域フレームワークは、約100―120アミノ酸長であり、CDRの外部のアミノ酸のみを意味する。
非ヒト(例えば、ネズミ)結合分子の「ヒト化」形体は、キメラ抗体であり、非ヒト結合分子に由来する配列を最小限含有している。大半は、ヒト化結合分子は、超可変領域からの残基が、所望の特異性、アフィニティー、および能力をもつマウス、ラット、ウサギ、もしくは非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー結合分子)の超可変領域からの残基に置換されている、ヒト結合分子(アクセプター/レシピエント結合分子)である。いくつかの例においては、ヒト結合分子のFvフレームワーク領域(FR)残基が改変されている。例えば、置換もしくは逆突然変異された、対応する非ヒト残基に置き換わっている。さらに、ヒト化結合分子は、レシピエント結合分子もしくはドナー結合分子には見られない残基を含むことができる。これらの改変は一般的に、結合分子の性能をさらに改善するために行われる。一般的に、ヒト化結合分子は、ほぼ全ての、または少なくとも1つ、典型的には、2つの可変ドメインを含む。そこには、全ての、もしくはほぼ全ての超可変ループが非ヒト結合分子のそれに対応している。そして、全て、もしくはほぼ全てのFR領域は、ヒト結合分子配列のものである。ヒト化結合分子は、必要に応じて、少なくとも一部の結合分子定常領域(Fc)を含み、典型的には、ヒト結合分子のものを含む。さらに詳細については、Jonesら、Nature 321:522-525 (1986);
Riechmannら、Nature 332:323-329 (1988);および
Presta、Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)を参照することができる。
好ましくは、本発明のヒト化結合分子は、配列番号:3(GFAFSSYDMS(VH CDR1))、配列番号:4(TISSSGSYTYYPDSVKG(VH CDR2))、配列番号:5(LWGAMDY(VH CDR3))、配列番号:6(RASQGLTNDLH(VL CDR1))、配列番号:7(YASQSIS(VL CDR2))および配列番号:8(QQSNSWPFT(VL CDR3))から選択される少なくとも1つのCDRを含む。
本明細書で用いられているところの用語「工学的に処理した」または「組換えられた」結合分子は、組換え手段によって調製、発現、作出または単離された結合分子、例えば、宿主細胞中にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを用いて発現させた結合分子、組換え結合分子コンビナトリアルライブラリーから単離した結合分子、ヒト免疫グロブリン遺伝子を導入された動物(例えば、マウス)から単離した結合分子(例えば、Taylor、L.D. et al.(1992) Nucl. Acids Res. 20:6287-6295参照)、またはヒト結合分子遺伝子配列を他のDNA配列にスプライシングすることを含む他の手段によって調製、発現、作出または単離された結合分子を含む。しかしながら、いくつかの態様において、そのような組換えヒト結合分子は、インビトロで突然変異誘発(または、ヒトIg配列と遺伝子導入した動物を用いるときは、インビボ体細胞性突然変異誘発)を行い、それによって組換え結合分子のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VHおよびVL配列に由来し、それに関連するが、ヒト結合分子生殖系列レパートリーには天然にインビボで存在しない配列となる。
本明細書において用いられているところの用語「単離された結合分子」は、異なる抗原性の種をもつ他の結合分子から実質的にフリーの状態の結合分子を言う(例えば、ILT3に特異的に結合する単離された結合分子は、ILT3以外の抗原に特異的に結合する結合分子から実質的にフリーである)。さらに、単離された結合分子は、他の細胞性の物質および/または化学物質から実質的にフリーであってもよい。「単離された結合分子」は、その天然の環境に存在する成分から同定および分離および/または回収されたものである。その天然の環境の汚染物質は、例えば、結合分子の診断用もしくは治療用の使用と干渉するであろう物質を含み、また、酵素、ホルモンおよび他のタンパク質様の溶質もしくは非タンパク質様の溶質を含んでもよい。好ましい態様においては、結合分子を精製して、(1)Lowryの方法で測定した場合、95重量%を超える結合分子、最も好ましくは99重量%結合分子;(2)スピニングカップ配列決定装置を用いたところ、N末端または内部のアミノ酸配列の少なくとも15の残基を得るのに十分な程度、または(3)クーマシーブルーもしくは、好ましくは銀染色を用いた還元条件もしくは非還元条件下でのSDS−PAGEによる均質性にする。単離された結合分子は、結合分子の天然の環境の少なくとも1つの成分が存在しないので、組換え細胞中でin situ で結合分子を含む。しかしながら、通常、単離された結合分子は、少なくとも精製ステップによって調製される。
本明細書において用いられているところの用語「結合定数」「(kd)」は、「アフィニティー定数」とも称されるが、それは、2つの分子種の間の可逆的結合の程度の測定値であり、実際の結合アフィニティーならびに見かけの結合アフィニティーを含む。実際の結合アフィニティーは、M−1S−1中のKassocとS−1中のKdissocとの比を計算することによって決定され、それはユニット「M−1」をもつ。したがって、結合アフィニティーを付与または最適化することは、所望のレベルの結合アフィニティーを達成するようにこれらの成分のいずれかもしくは双方を変更することを含む。見かけのアフィニティーは、例えば、相互作用の結合力である。例えば、二価のヘテロマーの可変領域結合フラグメントは、 その結合価によって、変更もしくは最適化された結合アフィニティーを示す。結合アフィニティーは、例えば、BIAcoreシステムを用いた表面プラスモン共鳴の測定によって求めることができる。
本明細書において用いられているところの用語「核酸分子」は、DNA分子およびRNA分子を含む。核酸分子は、一本鎖または二本鎖である。好ましくは、二本鎖DNAである。
本明細書において用いられているところの用語「単離された核酸分子」は、ILT3に結合する結合分子をコードする核酸の意味においては、結合分子をコードするヌクレオチド配列が他の配列がヒトゲノムDNAの核酸に天然に隣接している他のヌクレオチド配列からフリーである核酸分子を意味する。これらの配列は、調節またはタンパク質の安定性にとって重要な5’または3’ヌクレオチド配列を任意に含むことができる。
本明細書において用いられているところの用語「ベクター」とは、連結された先の別の核酸を輸送できる核酸分子を言う。1つのタイプのベクターは、付加的なDNAセグメントをライゲーションできる環状の二本鎖DNAループを言う「プラスミド」である。別のタイプのベクターはウイルスベクターである。このベクターでは、付加的なDNAセグメントはウイルスゲノムにライゲーションできる。いくつかのベクターは、それらが導入された宿主細胞(例えば、バクテリア性複製起点をもつバクテリアベクターおよびエピソームの哺乳動物ベクター)において自律複製することができる。宿主細胞の導入時に、他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)を宿主細胞のゲノムに組み込むことができ、それによって宿主のゲノムとともに複製することができる。さらにいくつかのベクターは、それらが作用可能に結合した遺伝子の発現を指向することができる。そのようなベクターは、本明細書において「組換え発現ベクター」(単に「発現ベクター」)と呼ばれる。一般に、組換えDNA技法に用いられる発現ベクターは、プラスミドの形態であることが多い。プラスミドが最も一般的に用いられるベクターの形体であるので、本明細書においては「プラスミド」および「ベクター」は、互換可能に使用することができる。しかしながら、本発明は、そのような形体の他の形体の発現ベクター、例えば、同様の機能を発揮するウイルスベクター(例えば、複製欠陥レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)を含む。
本明細書において用いられる用語「組換え宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)は、組換え発現ベクターが導入された細胞を意味する。このような用語は、特定の被検細胞のみならず、そのような細胞の子孫を意味することも意図されている。突然変異や環境の影響によって後の世代において特定の変形が生じるかも知れず、そのような子孫は、実際、親細胞と同一ではないかもしれないが、それでもなお本明細書において用いられる用語「宿主細胞」の範囲に含むものとする。
本明細書において用いられる用語「T細胞」(つまりTリンパ球)は、哺乳類(たとえばヒトなど)に由来する胸腺細胞、未熟T細胞、および成熟T細胞などを含む、T細胞系統に属するすべての細胞を含む。好ましくは、T細胞は成熟T細胞であって、CD4またはCD8の両方ではなくいずれか、およびT細胞レセプターを発現する成熟T細胞である。本願明細書に記載の各種T細胞個体群は、サイトカインプロフィールおよびその機能に基づいて定義することができる。
本明細書において用いられる用語「プロフェッショナル抗原提示細胞」または「APC」は、細胞によって認識され得る形で抗原を提示する細胞である。抗原を「提示」することができる細胞には、B細胞、単球、マクロファージおよび樹状細胞が含まれる。
本明細書において用いられる用語「樹状細胞」または「DC」は、未処置のT細胞を活性化することができ、B細胞の成長および分化を刺激することができるAPCを含む。DCは、系列陰性細胞である。すなわち、それらはT細胞、B細胞、NK細胞および単球/マクロファージの表面マーカーを欠いているが、それらは種々の共刺激性の分子(例えば、CD86、CD80、CD83およびHLA−DR)、および/または接着分子を強く発現する。樹状細胞は、主な2つの細胞、すなわち「骨髄由来樹状細胞」(「MDDC」)および「形質球様細胞由来樹状細胞」(「PDDC」)に細分することができる。PDDCの増殖能力を限定することができるので、樹状細胞系列を区別するために、ILT3などの細胞表面マーカーを使用することができる。例えば、Santiago-Schwartz、F. (2004) Rheum. Dis. Clin. Noth Am. 30:115-134を参照することができる。その内容を本明細書において引用によって援用する。さらに、DCは、「未成熟DC」と「成熟DC」に分類することができる。未成熟DCは、抗原捕捉およびプロセシングに特化している。一方、成熟DCは、抗原を提示し、T細胞の刺激脳を増加させる。未成熟DCは、当該技術において認識されている技法を用いて、例えば、炎症性サイトカイン混合物の存在下で、成熟させることができる。
本明細書において用いられる用語「未処置のT細胞」は、同族の抗原にさらされていないため活性化されていない、もしくはメモリー細胞であるT細胞を含む。未処置のT細胞は、循環しておらず、ヒト未処置T細胞はCD45RA+である。もし未処置T細胞が抗原を認識し、抗原の量、投与経路および投与タイミングに依存するがそれに限定されないさらなるシグナルを認識すれば、それらは、T細胞の種々のサブセット、例えば、エフェクター細胞に増殖および分化するかもしれない。
本明細書において用いられる用語「メモリーT細胞」は、抗原に曝露された後、機能的に静止し、抗原の不存在下で長期間生存することができるリンパ球を含む。ヒトメモリーT細胞は、CD45RA−である。
本明細書において用いられる用語「エフェクターT細胞」または「T細胞」には、抗原を除去するように働く(例えば、その他の細胞の活性化を調節するサイトカインを産生することによって、または細胞毒性活性によって)T細胞が含まれる。「エフェクターT細胞」という用語には、Tヘルパー細胞(たとえばTh1およびTh2細胞)ならびに細胞毒性T細胞が含まれる。Th1細胞は、遅延型過感受性(DTH)反応およびマクロファージ活性化を媒介し、Th2細胞はB細胞に援助を提供し、アレルギー反応(例えば、ヒト免疫反応)において重要である(Mosmann and Coffman、1989、Annu.
Rev. Immunol. 7、145-173; Paul and Seder、1994、Cell
76、241-251; Arthur and Mason、1986、J.
Exp. Med. 163、774-786; Paliard、et al.、1988、J. Immunol. 141、849-855; Finkelmanら、1988、J.
Immunol. 141、2335-2341)。
本明細書において用いられる用語「Tヘルパータイプ1反応」(Th1反応)は、IFN−γ、IL−2、TNFおよびリンホトキシン(LT)から選択される1以上のサイトカイン、ならびにTh2細胞ではなくTh1細胞によって優先的もしくは独占的に産生される他のサイトカインを産生することを特徴とする反応を言う。本明細書において用いられる用語「Tヘルパータイプ2反応」(Th2反応)は、IL−4、IL−5、IL−6およびIL−10から選択される1以上のサイトカインの産生によって特徴づけられる、Th2細胞(例えば、増強したIgG1および/またはIgE産生)によって提供される、効率的なB細胞の「援助」と関連するCD4+T細胞による反応を言う。
本明細書において用いられる用語「調節T細胞」または「Treg細胞」は、低レベルのIL−2、IL−4、IL−5およびIL−12を産生するT細胞を含む。調節T細胞は、エフェクターT細胞より低レベルであるとはいえ、TNFα、TGFβ、IFN−γおよびIL−10を産生する。TGFβは、調節T細胞によって産生される有力なサイトカインであり、そのサイトカインは、Th1もしくはTh2細胞によって産生されるもの未満もしくはそれと同等のレベル、例えば、Th1もしくはTh2細胞の未満のレベルで産生される。調節T細胞は、細胞のCD4+CD25+群に認めることができる(例えば、WaldmannとCobbold. 2001. Immunity. 14:399)。調節T細胞は、活性化シグナルとともに刺激されたTh1、Th2または未処置のT細胞の増殖およびサイトカイン産生を(例えば、抗原および抗原提示細胞、またはMHC、例えば、抗CD3抗体および抗CD28抗体の意味において抗原と類似したシグナルを用いて)積極的に抑制する。
本明細書において用いられる用語「免疫反応不顕性」または「耐性」は、レセプター媒介刺激の活性化についての屈折度が含まれる。そのような屈折度は、一般に、抗原特異的であって、寛容化抗原への曝露が停止した後にも持続する。例えば、耐性は、例えばIL−2などのサイトカイン産生の欠如によって特徴づけられる。耐性は、細胞が抗原に曝露され、最初のシグナル(T細胞レセプターまたはCD−3媒介性シグナル)を受け、第2のシグナル(共刺激シグナル)が存在しないときに、例えば、ILT3などの抑制受容体からの抑制シグナルの上方調整といった改変によって生じうる。このような条件下で、細胞を同じ抗原に再び曝露したとき(共刺激性のポリペプチドの存在下で曝露したときでさえ)、サイトカインを生成することができず、したがって、増殖することができない。例えば、耐性は、サイトカイン、例えば、IL−2の産生の欠如を特徴とする。または、混合リンパ球アッセイを使用することによって評価することができる。耐性は、自己抗原または外来抗原にも生じうる。
本明細書において用いられる用語「抑制性シグナル」は、抑制受容体(例えば、ILT3)を介して、例えば、DC、例えば、MDDCなどの免疫細胞上で伝達されるシグナルを言う。そのようなシグナルは、活性化レセプターを介して(例えば、TCR、CD3、BCRもしくはFcポリペプチドを介して)、シグナルをアンタゴナイズする。抑制受容体を介してシグナルを伝達した結果、インビトロで「免疫細胞活性を下方調整する」。例えば、第2のメッセンジャー生成の阻害;増殖の阻害;免疫細胞中のエフェクター機能の阻害、例えば、例えば、貪食作用の減少、抗体産生の減少、細胞傷害特性の減少、免疫細胞によるメディエーター作製の不良(例えば、サイトカイン(例えば、IL−2)および/もしくは、アレルギー反応のメディエーター);または耐性の発展が生じる。
ある態様において、免疫細胞活性の下方調整は、インビトロで同種免疫反応を下方調整する。本明細書において用いられている用語「同種免疫反応」は、抗原的に異なる細胞間に生じる免疫反応を意味する。同種免疫反応は、リンパ球、すなわち、休止しているリンパ球、すなわち、2つの個体から刺激されなかったリンパ球(刺激物質およびレスポンダー)すなわち、同種のリンパ球がともに培養され、その増殖反応(「混合リンパ球反応」)がH標識されたチミジン取り込みおよび/またはサイトカイン産生によって測定される、ある種のリンパ球増殖試験である「混合リンパ球培養または反応」(「MLC」または「MLR」)を用いて測定することができる。ある態様において、MLCは、一次MLC、すなわちレスポンダー細胞を、例えば、ガンマ照射によって不活化された、もしくはされなかった刺激物質と、例えば、3日間混合する。別の態様において、MLCは、2次MLC、レスポンダー細胞をまず、例えば、ガンマ照射によって不活化された、もしくはされなかった一次MLC中で培養する。次いで、生存可能細胞を回収し、ガンマ照射によって不活化された、もしくはされなかった新たな刺激物質によって再び刺激し、さらに、例えば、3、4、5、6、7日間培養する。
別の態様において、免疫細胞活性化の下方調整の結果、共刺激の分子の細胞上、例えば、樹状細胞上での発現を下方調整されるか、または、共刺激性の分子発現の増加が減衰される。さらに別の態様において、免疫細胞活性化の下方調整の結果、インビトロで細胞内カルシウム流入の下方調整が生じる。
ある態様において、MDDCの活性化状態がインビトロで下方調整される。ある態様において、MDDCは、例えば、0日目および3日目に添加されたGM−CSFおよびIL−4の存在下で培養された単球に由来する。ある態様において、MDDCは、例えば、0日目および3日目に添加された本発明の結合分子の存在下で培養された単球に由来する。別の態様において、成熟樹状細胞の活性化状態が下方調整される。ある態様において、成熟樹状細胞は、例えば、1日目に添加されたIL−6、IL−1ベータ、TNF−アルファの存在下で培養された血液樹状細胞に由来する。別の態様において、単球の活性化状態が下方調整される。
本明細書において用いられている用語「免疫反応の上方調整」は、T細胞媒介性および/またはB細胞媒介性の免疫反応のインビボでの増加を意味する。免疫反応の例としては、T細胞反応、例えば、サイトカイン産生および細胞傷害性を含む。さらに、免疫反応なる用語は、抗体産生(体液性反応)および生得の免疫系、例えば、マクロファージなどのサイトカイン反応性細胞の細胞活性化を含む。
本明細書において用いられている用語「調節する」は、刺激(例えば、特定の免疫反応または活性の増加、上方調整、もしくはアップレギュレーション)および阻害(例えば、特定の免疫反応または活性の減少、下方調整、もしくはダウンレギュレーション)を含む。
用語「治療する」は、治療的および予防的治療、または予防対策を含む。治療を必要とする対象には障害を既に有している対象、ならびにまだ障害を有していない対象が含まれる。
用語「障害」は、本発明の結合分子を用いた治療により恩恵を受けるであろうあらゆる状態を言う。これには、高すぎる、もしくは低すぎる免疫反応に関連した、慢性および急性の障害または疾患または病理的状態が含まれる。
本発明の種々の局面を以下のセクションにおいてさらに詳細に説明する。
II.ILT3結合分子
本発明は、単離されたILT3結合分子を提供する。本発明の結合分子の例としては、9B11抗体、またはその結合部分が含まれる。9B11抗体は、APC、例えば、単球、マクロファージ、MDDCなどの樹状細胞、例えば、ヒト細胞上でILT3と、高アフィニティーで結合した抗ILT3抗体である。本発明の結合分子は、hILT3と高いアフィニティーで結合し、インビトロで免疫反応を下方調整すること、例えば、同種免疫反応;樹状細胞、例えば、単球由来樹状細胞(MDDC)による炎症性サイトカインの生成;DC、例えば、MDDCによる共刺激分子のアップレギュレーション;および/または単球へのカルシウムの流入を下方調整することを特徴とする。さらに、結合分子は、樹状細胞、例えば、未成熟の樹状細胞での抑制受容体の発現をアップレギュレーションする。驚くべきことに、インビトロで免疫反応を下方調整する同じこれらの結合分子が、インビボで免疫賦活性を示す。例えば、結合分子は、例えば、DTH反応などの細胞性免疫反応といったインビボで免疫反応を刺激する。
ある実施態様において、本発明の結合分子のVHドメインは、配列番号:1に記載のアミノ酸配列を含む。
(MEFGLSLVFLVLILKGVQCEVKLVESGGDLVKPGGSLKLSCAASGFAFSSYDMSWVRQTPEKRLEWVATISSSGSYTYYPDSVKGRFTISRDNARNTLYLQMSSLRSEDTALYYCERLWGAMDYWGQGTLVTVSS)(9B11、リーダーを含むVHドメイン))。ここに記載の結合分子の配列のいくつかは、リーダー配列を含むが、本発明の結合分子は、リーダー配列を除外してもよい、任意であることがわかる。例えば、ある実施態様において、本発明の結合分子は、配列番号:1に示された成熟タンパク質のアミノ酸配列、例えば、配列番号:1のアミノ酸20−135を含む。
ある実施態様において、本発明の結合分子のVLドメインは、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含む。
(METDTILLWVLLLWVPGSTGDIVLTQSPATLSVTPGDSVSLSCRASQGLTNDLHWYQQKPHESPRLLIKYASQSISGIPSRFSGSGSGTDFTLTINSVETEDFGVFFCQQSNSWPFTFGAGTKLEIK)(9B11、リーダーを含むVLドメイン))。
ある実施態様において、本発明の結合分子のVHドメインは、配列番号:1のアミノ酸20−138を含む。
(EVKLVESGGDLVKPGGSLKLSCAASGFAFSSYDMSWVRQTPEKRLEWVATISSSGSYTYYPDSVKGRFTISRDNARNTLYLQMSSLRSEDTALYYCERLWGAMDYWGQGTLVTVSS)(9B11、リーダーを含まないVHドメイン))。
ある実施態様において、本発明の結合分子のVLドメインは、配列番号:2のアミノ酸残基21−127を含む。
(DIVLTQSPATLSVTPGDSVSLSCRASQGLTNDLHWYQQKPHESPRLLIKYASQSISGIPSRFSGSGSGTDFTLTINSVETEDFGVFFCQQSNSWPFTFGAGTKLEIK)(9B11、リーダーを含まないVLドメイン))。
本発明のある実施態様において、VL鎖は、リーダーおよび/またはシグナル配列、すなわち、配列番号2(配列番号:21)のアミノ酸残基1−20を含む。ある実施態様において、VH鎖は、リーダーおよび/またはシグナル配列、すなわち、配列番号1(配列番号:22)のアミノ酸残基1−19を含む。
ある実施態様において、本発明の結合分子は、配列番号:3に記載のCDRを含むVHドメインを含む(9B11、VH、CDR1)。
ある実施態様において、本発明の結合分子は、配列番号:4に記載のCDRを含むVHドメインを含む(9B11、VH、CDR2)。
ある実施態様において、本発明の結合分子は、配列番号:5に記載のCDRを含むVHドメインを含む(9B11、VH、CDR3)。
ある実施態様において、本発明の結合分子は、配列番号:6に記載のCDRを含むVLドメインを含む(9B11、VL、CDR1)。
ある実施態様において、本発明の結合分子は、配列番号:7に記載のCDRを含むVLドメインを含む(9B11、VL、CDR2)。
ある実施態様において、本発明の結合分子は、配列番号:8に記載のCDRを含むVLドメインを含む(9B11、VL、CDR3)。
本発明は又、上記アミノ酸配列をコードする核酸分子を含む。
ある実施態様において、本発明の結合分子のVHドメインは、配列番号:9に記載のヌクレオチド配列を含む(9B11、VHドメイン、リーダーを含む)。
ある実施態様において、本発明の結合分子のVHドメインは、配列番号:9のヌクレオチド58−405を含む(9B11、VHドメイン、リーダーを含まない)。
ある実施態様において、本発明の結合分子のVLドメインは、配列番号:10に記載のヌクレオチド配列を含む(9B11、VLドメイン、リーダーを含む)。
ある実施態様において、本発明の結合分子のVHドメインは、配列番号:10のヌクレオチド61−383を含む(9B11、VHドメイン、リーダーを含まない)。
ある実施態様において、本発明の結合分子は、その核酸配列が配列番号:11に示されたCDRを含むVHドメインを含む(9B11、VH、CDR1)。
ある実施態様において、本発明の結合分子は、その核酸配列が配列番号:12に示されたCDRを含むVHドメインを含む(9B11、VH、CDR2)。
ある実施態様において、本発明の結合分子は、その核酸配列が配列番号:13に示されたCDRを含むVHドメインを含む(9B11、VH、CDR3)。
ある実施態様において、本発明の結合分子は、その核酸配列が配列番号:14に示されたCDRを含むVLドメインを含む(9B11、VL、CDR1)。
ある実施態様において、本発明の結合分子は、その核酸配列が配列番号:15に示されたCDRを含むVLドメインを含む(9B11、VL、CDR2)。
ある実施態様において、本発明の結合分子は、その核酸配列が配列番号:16に示されたCDRを含むVLドメインを含む(9B11、VL、CDR3)。
ある実施態様において、本発明の結合分子のCLドメインは、配列番号:23に記載のアミノ酸配列を含む(ネズミIgG2a軽鎖定常領域)。
ある実施態様において、本発明の結合分子のCHドメインは、配列番号:24に記載のアミノ酸配列を含む(ネズミIgG2a重鎖定常領域)。
ある実施態様において、本発明の結合分子は、配列番号:25に記載のアミノ酸配列を含む(キメラ、9B11、VL/ヒト、CL、IgG1)。
ある実施態様において、本発明の結合分子は、配列番号:26に記載のアミノ酸配列を含む(キメラ、9B11、VH/ヒト、Gly−CH、IgG1)。
ある実施態様において、本発明の結合分子は、配列番号:27に記載のアミノ酸配列を含む(キメラ、9B11、VH/ヒト、Agly−CH、IgG1)。
ある実施態様において、本発明の結合分子は、配列番号:28に記載のアミノ酸配列を含む(ヒト化、9B11、VL)。
ある実施態様において、本発明の結合分子は、配列番号:29に記載のアミノ酸配列を含む(ヒト化、9B11、VH)。
ある実施態様において、本発明の結合分子のCLドメインは、配列番号:30に記載のアミノ酸配列を含む(ヒト、IgG1、Gly重鎖定常領域)。
ある実施態様において、本発明の結合分子のCHドメインは、配列番号:31に記載のアミノ酸配列を含む(ヒト、IgG1、Agly重鎖定常領域)。
ある実施態様において、本発明の結合分子のCLドメインは、配列番号:32に記載のアミノ酸配列を含む(ヒト、IgG1軽鎖定常領域)。
ある実施態様において、本発明の結合分子は、配列番号:33に記載のアミノ酸配列を含む(完全ヒト化、9B11、軽)。
ある実施態様において、本発明の結合分子は、配列番号:34に記載のアミノ酸配列を含む(完全ヒト化、9B11、重Gly)。
ある実施態様において、本発明の結合分子は、配列番号:35に記載のアミノ酸配列を含む(完全ヒト化、9B11、重Agly)。
ある実施態様において、本発明の結合分子は、配列番号:2に記載の9B11 VL領域のVLアミノ酸配列および配列番号:2に記載の9B11 VH領域のVHアミノ酸配列を含む。別の態様において、本発明の結合分子は、配列番号:23および24に記載のLCおよびHC配列をそれぞれ有している。
ADAAPTVSIFPPSSEQLTSGGASVVCFLNNFYPKDINVKWKIDGSERQNGVLNSWTDQDSKDSTYSMSSTLTLTKDEYERHNSYTCEATHKTSTSPIVKSFNRNE(配列番号:23);AKTTPPSVYPLAPGCGDTTGSSVTLGCLVKGYFPESVTVTWNSGSLSSSVHTFPALLQSGLYTMSSSVTVPSSTWPSQTVTCSVAHPASSTTVDKKLEPSGPISTINPCPPCKECKCPAPNLEGGPSVFIFPPNIKDVLMISLTPKVTCVVVDVSEDDPDVQISWFVNNVEVHTAQTQTHREDYNSTIRVVSTLPIQHQDWMSGKEFKCKVNNKDLPSPIERTISKIKGLVRAQVYILPPPAEQLSRKDVSLTCLVVGFNPGDISVEWTSNGHTEENYKDTAPVLDSDGSYFIYSKLNMKTSKWEKTDSFSCNVRHEGLKNYYLKKTISRSPGK(配列番号:24)。
本発明のある実施態様において、VL鎖は、リーダーおよび/またはシグナル配列、すなわち、配列番号2(配列番号:21)のアミノ酸残基1−20を含む。ある実施態様において、VH鎖は、リーダーおよび/またはシグナル配列、すなわち、配列番号1(配列番号:22)のアミノ酸残基1−19を含む。別の態様において、本発明の結合分子は、リーダーおよび/またはシグナル配列を含まない。
ある局面において、本発明は、9B11結合分子、ならびにhILT3と高いアフィニティーで結合し、インビトロで免疫反応を下方調整すること、例えば、同種免疫反応下方調整すること;単球由来樹状細胞(MDDC)などの樹状細胞による炎症性サイトカインの生成、DC、例えば、MDDCによる共刺激分子のアップレギュレーション、および/または単球へのカルシウムの流入を下方調整すること;樹状細胞、例えば未成熟樹状細胞上での抑制受容体の発現を上方調節することといった9B11と同等の特性を持つ他の結合分子に関する。したがって本発明の均等の結合分子は、例えば、細胞中にILT3を介して陰性シグナルを生成するか、または活性化レセプターを介して刺激性のシグナルの生成をインビトロでブロックするが、インビボでは免疫賦活性であり、例えば、それらはILT3を隔離または下方調整し、その活性化レセプターとの結合を阻害し、それによって免疫反応を下方調整する。
ある態様において、本発明は、配列番号:2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)と任意にリーダーを含む単離されたヒト結合分子、および配列番号:1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と任意にリーダーを含む単離されたヒト結合分子を提供する。
本発明のいくつかの実施態様において、本発明の結合分子は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgMまたはIgD定常領域などの重鎖定常領域を含む。さらに、結合分子は、カッパ軽鎖定常領域またはラムダ軽鎖定常領域といった軽鎖定常領域を含む。好ましくは、結合分子は、カッパ軽鎖定常領域を含む。
ある実施態様において、本発明の結合分子は、配列番号:23に記載の軽鎖定常領域を含む。ある実施態様において、本発明の結合分子は、配列番号:24に記載の重鎖定常領域を含む。ある実施態様において、本発明の結合分子は、配列番号:30に記載の重鎖定常領域を含む。ある実施態様において、本発明の結合分子は、配列番号:31に記載の重鎖定常領域を含む。ある実施態様において、本発明の結合分子は、配列番号:32に記載の軽鎖定常領域を含む。
別の態様において、本発明は、9B11−関連VL CDRドメインを持つ結合分子、例えば、配列番号:6、配列番号:7、および配列番号:8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む少なくとも1つのCDRドメインを持つ軽鎖可変領域(VL)を備えた結合分子を提供する。別の態様において、軽鎖可変領域(VL)は、配列番号:6、配列番号:7、および配列番号:8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む少なくとも2つのCDRドメインを持つ.さらに別の態様において、軽鎖可変領域(VL)は、配列番号:6、配列番号:7、および配列番号:8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDRドメインを持つ。
さらに別の態様において、本発明は、9B11−関連VH CDRドメインを持つ結合分子、例えば、配列番号:3、配列番号:4、および配列番号:5からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む少なくとも1つのCDRドメインを持つ重鎖可変領域(VH)を備えた結合分子を提供する。別の態様において、重鎖可変領域(VH)は、配列番号:3、配列番号:4、および配列番号:5からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む少なくとも2つのCDRドメインを持つ.さらに別の態様において、重鎖可変領域(VH)は、配列番号:3、配列番号:4、および配列番号:5からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDRドメインを持つ。
別の態様において、本発明の結合分子は、ネズミ抗ヒトILT3結合分子由来のCDRを少なくとも1つ、例えば、9B11結合分子を含む。本明細書において用いられている、指定されたタンパク質「に由来する」という用語は、そのポリペプチドの起源を意味する。ある実施態様において、特定の開始ポリペプチドに由来するポリペプチドまたはアミノ酸配列は、CDR配列またはそれに関連する配列である。別の態様において、特定の開始ポリペプチドに由来するポリペプチドまたはアミノ酸配列は、FR配列またはそれに関連する配列である。ある実施態様において、特定の開始ポリペプチドに由来するアミノ酸配列は、隣接していない。
例えば、ある実施態様において、1、2、3、4、5または6のCDRがネズミ9B11抗体に由来する。ある実施態様において、本発明の結合分子は、少なくとも1つの、ネズミ9B11抗体の重鎖または軽鎖CDRを含む。別の態様において、本発明の結合分子は、少なくとも2つの、ネズミ9B11抗体の重鎖または軽鎖CDRを含む。別の態様において、本発明の結合分子は、少なくとも3つの、ネズミ9B11抗体のCDRを含む。別の態様において、本発明の結合分子は、少なくとも4つの、ネズミ9B11抗体のCDRを含む。別の態様において、本発明の結合分子は、少なくとも5つの、ネズミ9B11抗体のCDRを含む。別の態様において、本発明の結合分子は、少なくとも6つの、ネズミ9B11抗体のCDRを含む。
本発明の結合分子を修飾して、それが由来する9B11分子のアミノ酸配列を変化させてもよいことが当業者にはわかるであろう。例えば、保存的置換を行うためにヌクレオチドまたはアミノ酸置換を行ってもよいし、「非必須」アミノ酸残基を変化させてもよい(例えば、CDRおよび/またはフレームワーク残基)、またILT3、例えば、ヒトILT3を結合する能力を維持させてもよい。
ある実施態様において、本発明の結合分子は、9B11抗体、またはその部分(少なくとも3−5アミノ酸、少なくとも5−10アミノ酸、少なくとも10−20アミノ酸、少なくとも20−30アミノ酸、もしくは少なくとも30−50アミノ酸からなる)に実質的に同一なポリペプチドまたはアミノ酸配列を持つか、または、そうでない場合は、開始配列の起源を有するものと当業者が認識できる程度の同一性を有する。
別の態様において、本発明の結合分子のVL領域は、9B11 VL領域のアミノ酸配列(その部分は、少なくとも3−5アミノ酸、少なくとも5−10アミノ酸、少なくとも10−20アミノ酸、少なくとも20−30アミノ酸、もしくは少なくとも30−50アミノ酸を持つ)に80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%のアミノ酸配列同一性を持つか、または、そうでない場合は、開始配列の起源を有するものと当業者が認識できる程度の同一性を有する。
別の態様において、本発明の結合分子のVH領域は、9B11 VH領域のアミノ酸配列(その部分は、少なくとも3−5アミノ酸、少なくとも5−10アミノ酸、少なくとも10−20アミノ酸、少なくとも20−30アミノ酸、もしくは少なくとも30−50アミノ酸を持つ)に80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%のアミノ酸配列同一性を持つか、または、そうでない場合は、開始配列の起源を有するものと当業者が認識できる程度の同一性を有する。
別の態様において、本発明の結合分子のCDRは、9B11 CDRのそれと約80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性、または、そうでない場合は、開始配列の起源を有するものと当業者が認識できる程度の同一性を有する。
別の態様において、特定の開始配列に由来するポリペプチドまたはアミノ酸配列は、約80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性、または、そうでない場合は、開始配列の起源を有するものと当業者が認識できる程度の同一性を有する。
ポリペプチドの天然でない異型例をコードする単離された核酸分子は、1以上のヌクレオチド置換、追加、または欠失を結合分子のヌクレオチド配列に導入することによって、1以上のアミノ酸の置換、追加、または欠失をコードされたタンパク質に導入する。部位指向性突然変異誘発およびPCR媒介性突然変異誘発などの標準的な技法によって突然変異を導入してもよい。ある態様において、1以上の非必須アミノ酸残基において、保存的アミノ酸置換を行う。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を持つアミノ酸残基と置き換わっているものである。類似の側鎖を持つアミノ酸残基は、当該技術分野において、定義されている。そしてそれには、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非電荷極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分枝側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。したがって、結合分子ポリペプチド中の非必須アミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸残基と置換されてもよい。別の態様において、アミノ酸のストリングを構造的に類似するストリングであって、側鎖ファミリーメンバーのオーダーおよび/または組成物において異なるストリング置き換えることができる。
別法として、別の態様において、突然変異を全てもしくは一部の結合分子コード配列にランダムに導入してもよい。
本発明の好ましい結合分子は、ヒトアミノ酸配列に由来するフレームワークおよび定常領域アミノ酸配列を含む。しかしながら、結合分子は、別の哺乳動物種に由来するフレームワークおよび/または定常領域配列を含むことができる。例えば、霊長類フレームワーク領域(例えば、非ヒト霊長類)を、重鎖部および/またはヒンジ部を対象とする結合分子に導入してもよい。ある態様において、1以上のネズミアミノ酸が、結合しているポリペプチドのフレームワーク領域に存在しているかもしれない。例えば、ヒトもしくは非ヒト霊長類フレームワークアミノ酸配列は、1以上のアミノ酸置換、および/または、対応するネズミアミノ酸残基が存在する逆突然変異を含んでもよい。本発明の好ましい結合分子は、開始9B11ネズミ抗体より免疫原生が低い。
本発明はまた、ILT3に特異的な、キメラおよび/またはヒト化結合分子(例えば、キメラおよび/またはヒト化イムノグロブリン)を特徴とする。キメラおよび/またはヒト化結合分子は、キメラまたはヒト化結合分子を構築するための開始物質を提供するマウスまたは他の非ヒト結合分子と同じ、もしくは類似の結合特異性およびアフィニティーを有する。
キメラ結合分子は、その軽鎖および重鎖遺伝子が、異なる種に属するイムノグロブリン遺伝子セグメントから、典型的には遺伝子工学的に構築されているものである。例えば、マウスモノクローナル結合分子からの遺伝子の可変(V)セグメントを、ヒト定常(C)セグメントに結合してもよい。例えば、IgG1またはIgG4。ヒトアイソタイプIgG1が好ましい。キメラ結合分子の例は、したがって、マウス結合分子からのVまたは抗原結合ドメイン、ならびにヒト結合分子からのCまたはエフェクタードメインからなるハイブリッドタンパク質である。
ある態様において、本発明は、9B11結合分子のヒト化可変領域、およびそのようなヒト化可変領域を含むポリペプチドに関する。ある態様において、本発明の結合分子は、少なくとも1つのヒト化9B11結合分子可変領域、例えば、軽鎖もしくは重鎖可変領域を含む。
用語「ヒト化結合分子」は、ヒト結合分子鎖に由来する可変領域フレームワーク残基を含む少なくとも1つの鎖を含む結合分子(アクセプターイムノグロブリンもしくは結合分子と言う)、マウス結合分子に由来する少なくとも1つの相補性決定領域(ドナーイムノグロブリンもしくは結合分子と言う)を意味する。ヒト化結合分子は、組換えDNA技法を用いて作製することができる。それは、以下の文献において記載されている。例えば、Hwang, W.Y.K., et al. (2005) Methods
36:35; Queen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, (1989),
86:10029-10033; Jones et al., Nature, (1986), 321:522-25; Riechmann et al., Nature, (1988), 332:323-27; Verhoeyen et al., Science, (1988), 239:1534-36; Orlandi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, (1989),
86:3833-37; 米国特許第5,225,539号;5,530,101号;5,585,089号;5,693,761号;5,693,762号;6,180,370号、Selick et al., PCT国際公開公報WO90/07861号、およびWinter, 米国特許第5,225,539号を参照されたい(それらの全てを全ての目的のために、引用によって援用する)。定常領域は、もし存在すれば、ヒトイムノグロブリンに由来することが好ましい。
ヒト化のために好ましい非ヒトドナー結合分子を選択すれば、例えば、発現したヒト抗体遺伝子の配列データベースから、いくつかのヒト結合分子の生殖細胞系列Ig配列もしくはコンセンサス配列から、適切なヒトアクセプター結合分子を取得することができる。
ある態様において、CDRホモロジーベースの方法を用いてヒト化を行う(例えば、Hwang, W.Y.K., et al. (2005)
Methods 36:35、その内容を本明細書に引用によって援用する)。この方法は通常、類似構造のマウスおよびヒトフレームワークよりむしろ類似構造のマウスおよびヒトCDRに基づいて、マウスCDRをヒト可変ドメインフレームワークへ置換することを含む。マウスCDRとヒトCDRの類似性は、通常、マウス結合分子と同じ正準CDR構造の条件をもつ、同じ鎖タイプ(軽鎖または重鎖)のヒト遺伝子を同定し、CDRペプチド骨格の3次元高次構造を維持することによって決定される。第2に、マウスと候補ヒトCDRの間の残基−残基ホモロジーに対するマッチング正準構造をもつ、それぞれの候補可変遺伝子を評価する。最後に、ヒト化結合分子、マウスCDRにまだ同一性を示さない選択されたヒト候補CDRのCDR残基をマウス配列に変換する。ある態様において、ヒトフレームワークの突然変異をヒト化結合分子に導入する。
ある態様において、ヒト生殖細胞系列配列を、ILT3結合分子CDRに対するCDRホモロジーについて評価する。例えば、ネズミ9B11抗体と、IMGTデータベース中に2−1−1正準構造をもつ全生殖細胞系列軽鎖カッパ鎖V遺伝子を9B11抗体配列と比較した。全1−3生殖細胞系列重鎖V遺伝子を9B11アミノ酸配列と比較するとき、同じことを重鎖についても行った。したがって、ある態様において、本発明の結合分子は、2−1−1正準構造をもつヒトカッパ鎖V領域フレームワークを含む。別の態様において、本発明の結合分子は、1−3正準構造を持つヒト重鎖V領域フレームワークを含む。
以下の潜在的ヒト軽鎖生殖細胞系列配列を同定した。それは、本発明の結合分子のフレームワーク領域を提供することができる。より具体的には、そのような分子は、9B11軽鎖CDRに同一性を有しないヒト軽鎖生殖系列CDRの残基をマウスCDRアミノ酸に変更してもよい足場を提供することができる。
IGKV1−17遺伝子には2つの対立遺伝子がある。IGKV1−17の対立遺伝子*01のIMGTアクセッションナンバーは、X72808である。そのアミノ酸配列は、
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKRLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCLQHNSYP(配列番号:36)である。
IGKV1−17の対立遺伝子*02のIMGTアクセッションナンバーは、D88255である。そのアミノ酸配列は、
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKRLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISNLQPEDFATYYCLQHNSYP(配列番号:37)である。
IGKV1−6遺伝子のIMGTアクセッションナンバーは、M64858である。そのアミノ酸配列は、
AIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCLQDYNYP(配列番号:38)である。
IGKV1−9遺伝子のIMGTアクセッションナンバーは、Z00013である。そのアミノ酸配列は、
DIQLTQSPSFLSASVGDRVTITCRASQGISSYLAWYQQKPGKAPKLLIYAASTLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCQQLNSYP(配列番号:39)である。
IGKV1−12遺伝子には2つの対立遺伝子がある。IGKV1−12の対立遺伝子*01のIMGTアクセッションナンバーは、V01577である。そのアミノ酸配列は、
DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCRASQGISSWLAWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQANSFP(配列番号:40)である。
IGKV1−12の対立遺伝子*02のIMGTアクセッションナンバーは、V01576である。そのアミノ酸配列は、
DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCRASQGISSWLAWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQANSFP(配列番号:41)である。
IGKV1D−16遺伝子には2つの対立遺伝子がある。IGKV1D−16の対立遺伝子*01のIMGTアクセッションナンバーは、K01323である。そのアミノ酸配列は、
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGISSWLAWYQQKPEKAPKSLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYNSYP(配列番号:42)である。
IGKV1D−16の対立遺伝子*02のIMGTアクセッションナンバーは、V00558である。そのアミノ酸配列は、
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRARQGISSWLAWYQQKPEKAPKSLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYNSYP(配列番号:43)である。
IGKV1−27遺伝子のIMGTアクセッションナンバーは、X63398である。そのアミノ酸配列は、
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGISNYLAWYQQKPGKVPKLLIYAASTLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCQKYNSAP(配列番号:44)である。
IGKV1−39遺伝子には2つの対立遺伝子がある。IGKV1−39の対立遺伝子*01のIMGTアクセッションナンバーは、X59315である。そのアミノ酸配列は、
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTP(配列番号:45)である。
IGKV1−39の対立遺伝子*02のIMGTアクセッションナンバーは、X59318である。そのアミノ酸配列は、
DIQMTQSPSFLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQCGYSTP(配列番号:46)である。
IGKV1D−43遺伝子のIMGTアクセッションナンバーは、X72817である。そのアミノ酸配列は、
AIRMTQSPFSLSASVGDRVTITCWASQGISSYLAWYQQKPAKAPKLFIYYASSLQSGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQQYYSTP(配列番号:47)である。
以下の潜在的ヒト重鎖生殖細胞系列配列を同定した。それは、本発明の結合分子のフレームワーク領域を提供することができる。より具体的には、そのような分子は、9B11軽鎖CDRに同一性を有しないヒト軽鎖生殖系列CDRの残基をマウスCDRアミノ酸に変更してもよい足場を提供することができる。
IGHV3−21遺伝子には2つの対立遺伝子がある。IGHV3−21の対立遺伝子*01のIMGTアクセッションナンバーは、AB019439である。そのアミノ酸配列は、
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSSYSMNWVRQAPGKGLEWVSSISSSSSYIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(配列番号:48)である。
IGHV3−21の対立遺伝子*02のIMGTアクセッションナンバーは、M99658である。そのアミノ酸配列は、
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSSYSMNWVRQAPGKGLEWVSSISSSSSYIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(配列番号:49)である。
IGHV3−11遺伝子には2つの対立遺伝子および擬似遺伝子がある。IGHV3−11の対立遺伝子*01のIMGTアクセッションナンバーは、M99652である。そのアミノ酸配列は、
QVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSDYYMSWIRQAPGKGLEWVSYISSSGSTIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(配列番号:50)である。
IGHV3−11の対立遺伝子*03のIMGTアクセッションナンバーは、X92287である。そのアミノ酸配列は、
QVQLLESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSDYYMSWIRQAPGKGLEWVSYISSSSSYTNYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(配列番号:51)である。
IGHV3−23遺伝子には3つの対立遺伝子がある。IGHV3−23の対立遺伝子*01のIMGTアクセッションナンバーは、M99660である。そのアミノ酸配列は、
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAK
(配列番号:52)である。
IGHV3−23の対立遺伝子*02のIMGTアクセッションナンバーは、J00236である。そのアミノ酸配列は、
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYGDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAK(配列番号:53)である。
IGHV3−23の対立遺伝子*03のIMGTアクセッションナンバーは、U29481である。そのアミノ酸配列は、
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSVIYSGGSSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAK(配列番号:54)である。
IGHV3−48遺伝子には3つの対立遺伝子がある。IGHV3−48の対立遺伝子*01のIMGTアクセッションナンバーは、M99675である。そのアミノ酸配列は、
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYSMNWVRQAPGKGLEWVSYISSSSSTIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(配列番号:55)である。
IGHV3−48の対立遺伝子*02のIMGTアクセッションナンバーは、AB019438である。そのアミノ酸配列は、
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYSMNWVRQAPGKGLEWVSYISSSSSTIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRDEDTAVYYCAR(配列番号:56)である。
IGHV3−48の対立遺伝子*03のIMGTアクセッションナンバーは、Z12358である。そのアミノ酸配列は、
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYEMNWVRQAPGKGLEWVSYISSSGSTIYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(配列番号:57)である。
IGHV3−64遺伝子には5つの対立遺伝子がある。IGHV3−64の対立遺伝子*01のIMGTアクセッションナンバーは、M99682である。そのアミノ酸配列は、
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMHWVRQAPGKGLEYVSAISSNGGSTYYANSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMGSLRAEDMAVYYCAR(配列番号:58)である。
IGHV3−64の対立遺伝子*02のIMGTアクセッションナンバーは、AB019437である。そのアミノ酸配列は、
EVQLVESGEGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMHWVRQAPGKGLEYVSAISSNGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMGSLRAEDMAVYYCAR(配列番号:59)である。
IGHV3−64の対立遺伝子*03のIMGTアクセッションナンバーは、M77298である。そのアミノ酸配列は、
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCSASGFTFSSYAMHWVRQAPGKGLEYVSAISSNGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYVQMSSLRAEDTAVYYCVK(配列番号:60)である。
IGHV3−64の対立遺伝子*04のIMGTアクセッションナンバーは、M77299である。そのアミノ酸配列は、
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCSASGFTFSSYAMHWVRQAPGKGLEYVSAISSNGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(配列番号:61)である。
IGHV3−64の対立遺伝子*05のIMGTアクセッションナンバーは、M77301である。そのアミノ酸配列は、
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCSASGFTFSSYAMHWVRQAPGKGLEYVSAISSNGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYVQMSSLRAEDTAVYYCVK(配列番号:62)である。
これらの各生殖細胞系列配列を用いて、1以上の9B11CDRを用いて、フレームワーク領域してもよい。
本明細書において用いられている「正準構造」は、それによって結合分子が抗原と接触する、異なるCDRによって作製される保護された超可変ループ高次構造である。正準構造クラスの新しい結合分子への割り当ては、公に利用可能なソフトウェアを用いて達成される。
別の態様において、マウスCDRのヒト可変ドメインフレームワークへの置換は、マウス可変ドメインフレームワークの正しい空間配置方向の維持に基づいて、CDRが由来する、マウス可変ドメインフレームワークと同じ高次構造を維持するであろうヒト可変ドメインフレームワークを同定することによって行われる。ある態様において、これは、そのフレームワーク配列がネズミ可変フレームワークドメインに対して高い配列同一性を示すヒト結合分子からのヒト可変ドメインを取得することによって達成される。Kettleborough et al., Protein
Engineering 4:773 (1991); Kolbinger et al., Protein Engineering
6:971 (1993) およびCarter et al., PCT国際公開WO92/22653号を参照されたい。
好ましくは、ヒトアクセプター結合分子は、正準を維持し、ドナー結合分子の残基と相互作用する。さらに、ヒトアクセプター結合分子は、好ましくは、CDRループの長さにおいてほぼ類似性を有している。Kettleborough et al., Protein
Engineering 4:773 (1991); Kolbinger et al., Protein Engineering
6:971 (1993) and
Carter et al., PCT国際公開WO92/22653を参照されたい。
別の態様において、適切なヒトアクセプター配列は、6C8結合分子のフレームワーク領域へのホモロジーに基づいて選択してもよい。例えば、6C8結合分子のアミノ酸配列は、他の公知の結合分子のアミノ酸配列と、例えば、FR領域と6C8アミノ酸配列の可変領域配列と、公知の結合分子の公に利用可能なデータベースとを比較することによって、そして、可変領域もしくはFR領域のアミノ酸と最も高いパーセント同一性、すなわち、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%の同一性を持つアミノ酸を選択することによって、比較することができる。ある態様において、配列番号:67に記載のフレームワーク配列を使用してもよい。
(EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFAFSSYDMSWVRQAPGKGLEWVSTISSSGSYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARLWGAMDYWGQGTLVTVSS(配列番号:63;(フレームワーク残基を太字で示している)))。別の態様において、配列番号:64に記載のフレームワーク配列を用いてもよい。
(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGLTNDLHWYQQKPGKAPKRLIYYASQSISGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCQQSNSWPFTFGQGTKLEIKR (配列番号:64;(フレームワーク残基を太字で示している)))。
ネズミドナーイムノグロブリンとヒトアクセプターイムノグロブリンの相補性決定領域を同定した後、次なるステップは、もしあれば、これらの成分からの残基を置換して、得られたヒト化結合分子の特性を最適化することである。一般に、ヒトアミノ酸残基のネズミとの置換は最低限にすべきである。なぜなら、ネズミ残基の導入によって、ヒトにおけるヒト抗マウス抗体(HAMA)反応を誘発する結合分子のリスクが上昇するからである。免疫応答を決定するための、当業で認識されている方法を行って、特定の患者もしくは治験中のHAMA反応をモニターすることができる。ヒト化結合分子を投与された患者に、前記治療の開始時、および治療期間中ずっと、免疫原生を付与することができる。例えば、当業者に公知の方法を用いて、患者から取得した血清サンプル中で、表面プラスモン共鳴技術(BIACORE)および/または固相ELISA分析によって、抗体をヒト化治療試薬に対する抗体を検出することによって、HAMA反応を測定する。
必要であれば、ヒトフレームワーク領域中の1以上の残基を、ネズミ抗体中の対応する位置にある残基に変更または置換し、ヒト化抗体の該抗原に対する結合アフィニティーを保存することができる。この変更は、ときに「逆突然変異」と言われることがある。CDR高次構造および/または抗原に対する結合におよぼす影響に基づいて、逆突然変異のためのヒト可変領域フレームワーク残基からの特定のアミノ酸を選択する。ネズミCDR領域をヒト可変フレームワーク領域 に置くことによって、高次構造的抑制をすることができる。それによって、特定のアミノ酸残基を置換して補正しない限り、結合アフィニティーの損失がきたされる。
ある態様において、逆突然変異のためのアミノ酸残基の選択は、部分的には、当業で認識されている技法を用いたコンピューターモデリングによって測定することができる。一般に、分子モデルは、イムノグロブリン鎖もしくはそのドメインのための解決された構造から開始して作製される。モデルとすべき鎖を比較して、解決されている3次元構造の鎖もしくはドメインを用いてアミノ酸配列類似性を調べ、最も類似性の高い鎖もしくはドメインを、分子モデル構築の開始点として選択する。少なくとも50%の配列同一性を持つ鎖もしくはドメインをモデリングのために選択する。好ましくは、少なくとも60%、70%、80%、90%の配列同一性を持つものをモデリングのために選択する。解決している開始構造を改変し、イムノグロブリン鎖中の実際のアミノ酸またはモデル化されたドメインとの間の相違を開始構造中に許容する。次いで改変された構造をイムノグロブリン複合体に回収する。最後に、エネルギー最小化によって、および全ての原子が互いに適切な距離をおいて存在することを確認することによって、モデルを精製する。結合長、角度は許容限界中にある。
置換のためのアミノ酸残基の選択は、部分的には、特定の位置のアミノ酸の特徴を調べることによって、または、特定のアミノ酸の置換もしくは突然変異誘発の経験的観察によって、決定することができる。例えば、アミノ酸が、ネズミ可変領域フレームワーク残基と選択されたヒト可変領域フレームワーク残基の間で相違するとき、ヒトフレームワークアミノ酸は、それが、合理的に以下の(1)〜(4)が期待されるとき、マウス結合分子からの等しいフレームワークアミノ酸と置換してもよい。(1)非共有結合的に抗原と直接的に結合する、(2)CDR領域に近接する、(3)そうでなければ、CDR領域と相互作用する(例えば、コンピューターモデリングによって測定したとき、CDR領域の約3〜6オングストローム内存在する)、または、(4)VL−VH干渉に関与する。
「非共有結合的に抗原と直接的に結合する」残基には、確立された化学的な力、例えば、水素結合、ファン・デル・ワールス力、疎水性の相互作用などによって、抗原上で直接的にアミノ酸と相互作用する可能性の高い、フレームワーク領域内の位置のアミノ酸が含まれる。
「CDR領域に近接する」残基としては、ヒト化イムノグロブリン鎖の一次配列中の1以上のCDR非常に隣接した位置、例えば、Kabatによって定義されるCDR、またはChothia (See e.g., Chothia and Lesk JMB 196:901 (1987))によって定義されるCDRに非常に隣接した位置におけるアミノ酸残基が挙げられる。これらのアミノ酸は、CDR中のアミノ酸と特に相互作用しやすく、アクセプターから選択される場合、ドナーCDRをゆがめ、アフィニティーを減少させるかもしれない。さらに、隣接したアミノ酸は、抗原と直接的に相互作用するかもしれない(Amit et al., Science, 233:747 (1986)、本明細書においは引用によって援用する)。また、これらのアミノ酸をドナーから選択することは、もともとの結合分子におけるアフィニティーを提供する抗原接触を維持するために望ましい。
「そうでなければ、CDR領域と相互作用する」残基としては、CDR領域に影響をおよぼすのに十分な空間配置となるようにした二次構造分析によって決定されるものが含まれる。ある態様において、「そうでなければ、CDR領域と相互作用する」残基は、ドナーイムノグロブリン(例えば、コンピューター生成モデル)の3次元モデルを分析することによって同定することができる。典型的にはオリジナルのドナー結合分子である3次元モデルは、CDR領域外部のアミノ酸がCDRに近接し、水素結合、ファン・デル・ワールス力、疎水性の相互作用などによって、CDR中のアミノ酸と相互作用する可能性が高いことを示している。アミノ酸の位置としては、アクセプターイムノグロブリンアミノ酸よりも、ドナーイムノグロブリンアミノ酸が選択されるかもしれない。この範囲のアミノ酸は通常、CDR内のいくつかのアトムについて、約3オングストローム内の側鎖原子を持つことになり、上記したもののような化学的な力によって、CDR原子と相互作用しうる原子を含有しなければならない。
水素結合を形成する原子の場合、この3オングストロームは、それらの核間で測定する。しかし、結合を形成しない元素の場合、この3オングストロームは、それらのファン・デル・ワールス表面間で測定する。したがって、後者の場合、核は、相互作用が可能であると考えられる原子について、約6オングストローム以内でなければならない(3オングストロームプラスファン・デル・ワールスの合計)。多くの場合、核は、4もしくは5乃至6オングストローム離れている。アミノ酸がCDRと相互作用するか否かを測定する際、重鎖CDRの最後の8アミノ酸をCDRの一部と考えないことが好ましい。なぜなら、構造の観点から、これらの8アミノ酸は、フレームワークとして振舞うからである。
CDR内のアミノ酸と相互作用しうるアミノ酸は、さらに別の方法で同定することができる。各フレームワークアミノ酸の溶媒受容表面積を、(1)未処理の結合分子中、および(2)CDRが除去された結合分子からなるa仮説の分子中、の2つの方法で計算する。これらの2つの数値の有意差が10平方オングストローム以上であることは、フレームワークアミノ酸の溶媒への接近が少なくとも部分的にCDRによってブロックされることを示している。したがって、アミノ酸は、CDRと接触している。アミノ酸の溶媒接触可能表面積は、結合分子の3次元モデルに基づいて、当該技術分野において公知のアルゴリズムを使用して計算される(例えば、Connolly, J. Appl. Cryst.
16:548 (1983)、ならびにLee
とRichards, J. Mol. Biol. 55:379 (1971)、この両方を本明細書において引用によって援用する)。フレームワークアミノ酸はまた、別のフレームワークアミノ酸の高次構造に影響を及ぼし、ひいてはCDRと接触することによって、間接的にCDRと相互作用する場合もある。
フレームワーク中のいくつかの位置におけるアミノ酸は、多くの結合分子でCDRと相互作用することが可能であることが知られている(ChothiaとLesk, 上掲文献、Chothia
et al.,上掲文献、およびTramontano et al., J. Mol.
Biol. 215:175 (1990)、この全てを本明細書において、引用によって援用する)。明らかに、軽鎖の2、48および71位置および重鎖の26〜30、71および94位置のアミノ酸は、多くの結合分子でCDRと相互作用することが可能であることが知られている。軽鎖の35位置のアミノ酸および重鎖の93および103のアミノ酸もCDRと相互作用する可能性が高い。これらすべての、番号付けされた位置において、(アクセプターアミノ酸とドナーアミノ酸が異なる場合)アクセプターアミノ酸よりむしろドナーアミノ酸が、ヒト化イムノグロブリンとして選択されることが好ましい。一方、CDR領域と相互作用する特定の残基、例えば、軽鎖の第1の5アミノ酸は、時として、アクセプターイムノグロブリンから、ヒト化結合分子におけるアフィニティーの損失なしに選択される。
「VL−VH干渉に関与する」残基、または「充填残基」としては、例えば、NovotnyとHaber (Proc.
Natl. Acad. Sci. USA, 82:4592-66 (1985))またはChothia et al, 上掲文献の定義によれば、VLとVH間の界面の残基を含む。通常、異常な充填残基は、それらがヒトフレームワークと異なる場合、ヒト化結合分子に位置されるべきである。
通常、上記評価基準を満たす1以上のアミノ酸が置換される。いくつかの態様において、上記評価基準を満たす全て、もしくは大半のアミノ酸が置換される。場合によっては、特定のアミノ酸が上記評価基準を満たすか否かについて、なんらかの曖昧さがあり、代わりに異型結合分子が作製される。その1つは、他のそれにはない特定の置換をもつ。そのようにして作製された別の異型結合分子は、その所望の活性および選択された好ましい結合分子に関して、本明細書に記載のあらゆるアッセイにおいて試験することができる。
通常、ヒト化結合分子のCDR領域は、ほぼ同一であり、より一般的には、ドナー結合分子の対応するCDR領域と同一である。いつも好ましいわけではないが、ときに、得られたヒト化結合分子の結合アフィニティーに感知されるほどの影響を及ぼすことなく、CDR残基の1以上の保存的アミノ酸置換を行うことができる。保存的置換とは、GlyとAla;Val、IleとLeu;AspとGlu;AsnとGln;SerとThr;LysとArgおよびPheとTyrなどの組み合わせを意味する。
置換のためのさらなる候補は、その位置のヒトイムノグロブリンとしては普通でない、もしくは「珍しい」アクセプターヒトフレームワークアミノ酸である。これらのアミノ酸は、マウスドナー結合分子の同じ位置からのアミノ酸、または、より典型的にはヒトイムノグロブリンの同じ位置からのアミノ酸で置換することができる。例えば、アクセプターイムノグロブリンのヒトフレームワーク領域のアミノ酸がその位置にとって珍しいとき、また、ドナーイムノグロブリンの対応するアミノ酸が、ヒトイムノグロブリン配列のその位置にとって一般的であるとき、あるいは、アクセプターイムノグロブリンのアミノ酸がその位置にとって珍しいとき、また、ドナーイムノグロブリンの対応するアミノ酸が他のヒト配列にとって珍しいとき、置換が望ましいかもしれない。これらの評価基準は、ヒトフレームワークにおいて典型的でないアミノ酸が 結合分子構造を確実に分裂させる助けをする。さらに、一般的でないヒトアクセプターアミノ酸とヒト結合分子にとって典型的となるドナー結合分子からのアミノ酸とを置換することによって、ヒト化結合分子の免疫原性は小さくなる。
本明細書で用いられている用語「稀な」は、その位置でのそのアミノ酸の発生が、配列の約20%未満で、より一般的には約10%未満であることを意味する。本明細書で用いられている用語「一般的な」は、そのアミノ酸の発生が、代表的なサンプルにおける配列の約25%を超える、より一般的には約50%を超えることを意味する。例えば、全てのヒト軽鎖および重鎖可変領域配列を、それぞれ、特に相同的であり、いくつかの重要な位置におけるアミノ酸が同じである配列の「サブグループ」に分ける(Kabat et al., 上掲文献)。ヒト配列において、ヒトアクセプター配列のアミノ酸が「珍しい」か「一般的」かを決定する際、同じサブグループにおける人配列のみをアクセプター配列として検討することが好ましいことが多い。
置換のためのさらなる候補は、別に定義された(Chothia et al.,上掲文献)CDR領域の一部と同定されるであろうアクセプターヒトフレームワークアミノ酸である。置換のためのさらなる候補は、AbMおよび/または接触定義のものとでCDR領域の一部と同定されるであろうアクセプターヒトフレームワークアミノ酸である。特に、可変重鎖のCDR1は、残基26−32を含むとされる。
置換のためのさらなる候補は、珍しいまたは普通でないドナーフレームワーク残基に対応するアクセプターフレームワーク残基である。珍しいまたは普通でないドナーフレームワーク残基とは、(本明細書に定義されているように)その位置におけるネズミ結合分子にとって珍しいまたは普通でないものを言う。ネズミ結合分子にとって、サブグループは、Kabatにしたがって決定することができる。そして、残基位置は、コンセンサスとは異なるものとして同定される。これらのドナー特異的相違は、活性を高めるネズミ配列における体細胞突然変異を示唆するものであるかもしれない。結合に影響を及ぼすことが予測される普通でない残基が維持される。一方、結合にとって重要でないことが予測される残基を置換することができる。
置換のためのさらなる候補は、アクセプターフレームワーク領域に発生する非生殖細胞系列の残基である。例えば、アクセプター結合分子鎖(すなわち、重要な配列を共有するヒト結合分子鎖がドナー結合分子鎖と一致する)を、生殖細胞系列結合分子鎖に配列させ(同じく、共有の重要な配列がドナー鎖と一致する)、アクセプター鎖フレームワークと生殖細胞系列鎖フレームワークとの間にマッチングしない残基を生殖細胞系列配列からの対応する残基と置換することができる。
上記した特異的アミノ酸置換の他に、ヒト化結合分子のフレームワーク領域は、それらが由来するヒト結合分子のフレームワーク領域と一般的にほぼ同一であり、より一般的には同一である。もちろんフレームワーク領域におけるアミノ酸の多くは、特異性または結合分子のアフィニティーに対してあまり寄与しない、もしくは直接的な寄与をしない。したがって、フレームワーク残基の多くの個別の保存的置換は、得られたヒト化結合分子の特異性またはアフィニティーの感知可能なほどの変化を起こすことなく、耐性がある。したがって、ある態様において、ヒト化結合分子可変フレームワーク領域は、少なくともヒト可変フレームワーク領域配列またはそのような配列のコンセンサスに少なくとも85%の配列同一性を持つ。別の態様において、ヒト化結合分子の可変フレームワーク領域は、ヒト可変フレームワーク領域配列またはそのような配列のコンセンサスに少なくとも90%、好ましくは95%、より好ましくは96%、97%、98%または99%の配列同一性を示す。しかしながら、通常、そのような置換は望ましくない。
ある態様において、本発明の結合分子はさらに、アミノ酸残基が界面充填残基であるとき、少なくとも1つのヒトアミノ酸残基の、対応するマウスアミノ酸残基に対する逆突然変異を含む。「界面充填残基」は、例えば、NovotnyとHaber, Proc. Natl. Acad. Sci. USA,
82:4592-66 (1985)に定義されているように、VLとVHの間の界面にそれらの残基を含む。
ある態様において、本発明の結合分子はさらに、アミノ酸残基が正準残基であるとき、少なくとも1つのヒトアミノ酸残基の、対応するマウスアミノ酸残基に対する逆突然変異を含む。「正準残基」は、正準もしくは構造的クラス内において、CDR高次構造にとって重要であることが知られている保存されたフレームワーク残基である(Tramontano et al., J. Mol.
Biol. 215:175 (1990)、それらの全てを全ての目的のために、引用によって援用する)。正準残基は、軽鎖の2、25、27B、28、29、30、33、48、51、52、64、71、90、94および95、重鎖の24、26、27、29、34、54、55、71および94の残基を含む。さらなる残基(例えば、CDR構造決定残基)は、Martin とThorton (1996) J. Mol. Biol. 263:800の方法に従って同定することができる。
ある態様において、本発明の結合分子はさらに、アミノ酸残基がCDRと相互作用することが可能な位置にある場合、ヒトアミノ酸残基の対応するマウスアミノ酸残基に対する少なくとも1つの逆突然変異を含む。特に、軽鎖の2、48、64および71ならびに重鎖の26〜30、71および94の位置のアミノ酸(番号付けは、Kabatにしたがっている)は、多くの抗体においてCDRと相互作用できることが知られている。軽鎖の位置35のアミノ酸ならびに重鎖の位置93および103のアミノ酸も同様にCDRと相互作用する可能性がある。
CLUSTAL W分析に基づいて、ヒトフレームワークのいくつかのアミノ酸残基を、例えば、9B11軽鎖からの対応するアミノ酸残基を用いて、潜在的な置換のために同定した。これらには、位置3、4、9、10、13、14、15、18、20、21、22、41、42、43、45、46、49、58、70、76、78、79、80、84、85、86、87、および100が含まれる。
ある態様において、本発明の結合分子可変軽鎖フレームワークはさらに、ヒトアミノ酸残基のQ3V(すなわち、ネズミCDRおよびヒトFR領域を含むCDR移植抗体の位置1のQがVに突然変異することを表す。これは、9B11抗体の対応するアミノ酸残基である(リーダーなし))、Q3L、Q3I、M4L、M4V、M4I、S9A、S9G、S9V、S9L、S9I、S10T、S10Y、A13V、A13L、A13I、S14T、S14Y、VP15、R18S、R18T、R18Y、T20S、T20Y、I21L、I21V、T22S、T22Y、G41H、G41C、K42E、K42D、A43S、A43T、A43Y、K45R、R46L、R46I、R46V、Y49K、Y49R、V58I、V58L、E70D、S76N、S76Q、L78V、L78I、Q79E、Q79D、P80T、P80S、P80Y、A84G、A84A、T85L、T85I、Y86F、Y86W、Y86V、Y86L、Y86I、Y87F、Y87W、Y87V、Y87L、Y87I、Q100A、Q100P、およびQ100Gからなる群から選択される対応するマウスアミノ酸残基への少なくとも1つの置換を含む。
CLUSTAL W分析に基づいて、ヒトフレームワークのいくつかのアミノ酸残基を、例えば、9B11重鎖からの対応するアミノ酸残基を用いて、潜在的な置換のために同定した。これらには、3、10、19、40、42、44、49、76、78、84、88、93、および97が含まれる。
ある態様において、本発明の結合分子可変重鎖フレームワークはさらに、ヒトアミノ酸残基のQ3K(すなわち、ネズミCDRおよびヒトFR領域を含むCDR移植抗体の位置3のQがKに突然変異することを表す。これは、9B11抗体の対応するアミノ酸残基である)、Q3H、Q3R、G10D、G10E、R19K、R19H、A40T、A40Y、A40S、G42E、G42D、G44R、G44K、S49A、S49G、S49V、S49L、S49I、K76R、K76H、S78T、S78Y、N84S、N84T、N84Y、A88S、A88T、A88Y、V93L、V93I、V93A、V93G、A97E、およびA97Dからなる群から選択される対応するマウスアミノ酸残基への少なくとも1つの置換を含む。
ヒト化結合分子は、好ましくは、少なくともl0、10、10またはl010−1の抗原に対する特異的結合アフィニティーを示す。通常、抗原に対するヒト化結合分子の結合アフィニティーの上限は、ドナーイムノグロブリンのそれの3、4または5倍以内である。しばしば、結合アフィニティーの下限もまた、ドナーイムノグロブリンのそれの3、4または5倍以内である。別法として、結合アフィニティーを(例えば、ドナーCDRおよびアクセプターFRをもつが、FR置換を持たない結合分子)をもたないヒト化結合分子のそれと比較することができる。そのような例において、最適化された結合分子(置換を有する)は、置換されていない結合分子と比較して、好ましくは、少なくとも2〜3倍大きい、または3〜4倍大きい。比較のために、例えば、BIACORE(すなわち、非標識試薬を用いた表面プラスモン共鳴)または競合的結合アッセイによって、種々の結合分子の活性を決定することができる。
ヒト化結合分子のCDRおよびフレームワーク成分を概念的に選択すれば、そのような結合分子を作製するための種々の方法が適用可能である。コードの縮重により、種々の核酸配列は、それぞれの結合分子のアミノ酸配列をコードするであろう。所望の核酸配列を、早期に作製された所望のポリヌクレオチドの異型のde novo 固相DNA合成もまたはPCR突然変異誘発によって作製することができる。
オリゴヌクレオチド媒介性の突然変異誘発は、標的ポリペプチドDNAの異型の置換、欠失、挿入を調製するための好ましい方法である。Adelman et al. (DNA 2:183 (1983))を参照されたい。簡単に述べれば、標的ポリペプチドDNAは、所望の突然変異をコードするオリゴヌクレオチドを、一本鎖DNA鋳型にハイブリダイズすることによって改変することができる。ハイブリダイゼーション後、DNAポリメラーゼを用いて、全体的な第2のオリゴヌクレオチドプライマーを組み込み、選択された改変を標的ポリペプチドDNAにコードする鋳型の相補鎖を合成する。
上掲文献に記載のようにして作製した結合分子の可変セグメント(例えば、キメラ、ヒト化もしくはヒト結合分子の重鎖および軽鎖可変領域)は、典型的には、少なくとも一部のイムノグロブリン定常領域(Fc)に、典型的には、ヒトイムノグロブリンのそれに結合する。ヒト定常領域DNA配列は、公知の方法に従って、種々のヒト細胞、好ましくは不死化B細胞から単離することができる(Kabat et al.上掲文献、およびLiu et al.PCT国際公開公報W087/02671号)(それらの全てを全ての目的のために、引用によって援用する)。通常、結合分子は、軽鎖および重鎖定常領域の双方を含有する。重鎖定常領域は、通常CH1、ヒンジ、CH2、CH3およびCH4領域を含む。本明細書に記載の結合分子は、全てのタイプの定常領域を有する抗体(IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgE)、ならびにあらゆるアイソタイプ(IgGl、IgG2、IgG3およびIgG4)を含む。定常領域の選択は、部分的には、または結合分子依存性補体および/または細胞媒介性毒性が望ましいかどうかにしたがって成される。例えば、アイソタイプIgG1およびIgG3は、補体活性を持ち、アイソタイプIgG2およびIgG4はもたない。結合分子(例えば、ヒト化結合分子)が細胞傷害性活性を示すことが望ましいとき、定常ドメインは通常、定常ドメインを固定する補体であり、そのクラスは典型的にはIgG1である。そのような細胞傷害性活性が望ましくない場合、定常ドメインは、例えば、IgG2クラスであるかもしれない。アイソタイプの選択は、抗体の脳への継代培養にも影響を及ぼす。ヒトアイソタイプIgG1が好ましい。軽鎖定常領域は、ラムダもしくはカッパとすることができる。ヒト化結合分子は、1以上のクラスもしくはアイソタイプからの配列を含んでもよい。結合分子は、2つの軽鎖および2つの重鎖を含有する四量体として、分離した重鎖、軽鎖として、Fab、Fab’F(ab’)2およびFvとして、もしくは重鎖および軽鎖可変ドメインがスペーサーを介して結合している一本鎖結合分子として、発現させることができる。
III.結合分子の作製
本発明は、ILT3、例えば、ヒトILT3に特異性を有する結合分子に関する。そのような結合分子は、本発明の種々の治療的組成物の作製に用いることができ、好ましくは、ヒト化もしくはキメラ結合分子(以下に詳細に示す)の作製のための相補性決定領域を提供する。非ヒトモノクローナル結合分子、例えば、ネズミ、モルモット、霊長類、ウサギ、もしくはラットの作製は、例えば、ILT3もしくはILT3をコードする核酸分子を持つ動物を免疫することによって達成することができる。例えば、9B11結合分子は、ヒトILT3をコードする遺伝子を発現ベクターに入れ、動物を免疫することによって作製することができる。ILT3もしくはILT3の免疫原性フラグメントもしくは抗イディオタイプのILT3の結合分子を含むより長いポリペプチドを用いることもできる(例えば、Harlow & Lane, 上掲文献、全ての目的のために引用によって援用する)。そのようなイムノゲンは、ペプチド合成もしくは組換え発現によって、天然のソースから取得することができる。以下に述べるように、任意に該イムノゲンを、投与、融合、そうでなければ、キャリアタンパク質と複合体形成することができる。任意に該イムノゲンをアジュバントとともに投与することができる。用語「アジュバント」は、抗原と組み合わせて投与されたとき、抗原に対する免疫応答を高めるが、単独で投与されたとき、抗原に対する免疫応答を発生させない化合物を言う。アジュバントは、リンパ球補充、B細胞および/またはT細胞の刺激、ならびにマクロファージの刺激を含めたいくつかのメカニズムによって免疫応答を増強させる。いくつかのタイプのアジュバントは、以下に述べるようにして用いることができる。実験動物を免疫するためには、完全フロイントアジュバントを用い、その後不完全アジュバントを用いることが好ましい。
ポリクローナル結合分子を作製するために、典型的にウサギまたはモルモットを使用することができる。ポリクローナル結合分子の調製例、例えば、継代保護は、以下のようにして行うことができる。動物を、100μgのGITRおよびアジュバントで免疫し、4〜5ヶ月目に安楽死させる。血液を回収し、IgGを他の血液成分から分離する。イムノゲンに特異的な結合分子は、アフィニティークロマトグラフィーによって部分的に精製してもよい。動物1匹あたり平均約0.5〜1.0mgのイムノゲン特異性結合分子を取得し、合計60〜120mg取得する。
モノクローナル結合分子を作製するために、典型的にマウスを使用することができる。フラグメントまたはより長い形態のILT3をマウスに注射し、ハイブリドーマを調製し、ILT3に特異的に結合する結合分子のためのハイブリドーマをスクリーニングすることによって、フラグメントに対するモノクローナルを作製することができる。任意に、他の非オーバーラップのILT3のフラグメントに結合させずに、特異的領域もしくは所望のILT3のフラグメントに結合させるために、結合分子をスクリーニングした。後者スクリーニングは、結合分子の、ILT3ペプチドの欠失突然変異の集合物に対する結合を決定することによって、どの欠失突然変異が結合分子に結合するかを決定することによって、達成することができる。結合は、例えば、ウェスタンブロットまたはELISAによって調べることができる。結合分子への特異的結合を示す最小フラグメントが、結合分子のエピトープを定義する。あるいは、エピトープ特異性が、試験結合分子もしくは参照結合分子がILT3に対する結合に競合する競合アッセイによって決定することができる。もし、試験結合分子もしくは参照結合分子が競合すれば、それらは同じエピトープ(もしくは十分に遠位にあるエピトープ)に結合し、その結果、結合分子の結合どうしが互いに干渉する。そのような結合分子のための好ましいアイソタイプは、マウスアイソタイプIgG2aもしくは他の種の等価アイソタイプである。マウスアイソタイプIgG2aは、ヒトアイソタイプIgG1の等価である。
別の態様において、結合分子をコードするDNAは、従来の方法によって容易に単離して配列してもよい(例えば、ネズミ結合分子重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いた方法など)。単離され、サブクローニングされたハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの好ましいソースとして働く。単離してすぐ、DNAを発現ベクターに入れ、次いでそれを原核生物もしくは真核生物の宿主細胞、例えば、大腸菌(E.coli)細胞、類人猿COS細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)細胞、または、イムノグロブリンを作製しない骨髄腫細胞にトランスフェクトする。より詳細には、単離されたDNA(以下に述べるように合成的でもよい)を用いて、Newman et al., 米国特許第5,658,570号(1995年1月25日出願、本明細書において引用によって援用する)に記載のように、結合分子の製造のための、定常および可変領域配列へクローンニングを行う。基本的に、これは、選択された細胞からのRNAの抽出、cDNAの変換、Ig特異性プライマーを用いたPCRによる増幅を必然的に伴う。この目的にとって好適なプライマーについても米国特許第5,658,570号に記載がある。所望の抗体を発現する形質転換された細胞を、比較的大量に作製し、臨床および市販用の結合分子を提供することができるかもしれない。
当業者は、結合分子をコードするDNAまたはそのフラグメント(例えば、抗原結合部位)は、例えば、pdファージもしくはFdファージミド技法を用いた抗体ファージライブラリーに由来するかもしれないことを理解するであろう。その方法の例が、例えば、欧州特許第368684B1号;米国特許第5,969,108号、Hoogenboom,
H.R. とChames. 2000. Immunol.
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315:1063に記載されている。そのそれぞれを本明細書においては引用によって援用する。いくつかの出版物(例えば、Marks et
al. Bio/Technology 10:779-783 (1992))は、大きなファージライブラリーを構築するための方法として、高アフィニティーヒト結合分子の鎖シャフリングによる作製、ならびにコンビナトリアル感染およびインビボ 組換えについて記載している。別の態様において、リボソーム性の表示を行って、バクテリオファージを表示プラットフォームに置き換える(例えば、Hanes et
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97:10701; Daugherty et al.
2000 J. Immunol. Methods 243:211)。そのような処置は、単離およびそれに続くモノクローナル結合分子のクローニングのための伝統的なハイブリドーマ技法にとって変わるものである。
本発明のさらに別の態様は、ヒトまたは実質的にヒト結合分子を、内因性イムノグロブリンを産生することができないトランスジェニック動物(例えば、マウス)で生成することを含む(例えば、米国特許第6,075,181号、第5,939,598号、第5,591,669号、第5,589,369号を参照されたい。それぞれ本明細書において引用によって援用する)。例えば、キメラおよび生殖細胞系列突然変異マウスにおける抗体重鎖結合領域のホモ接合性の欠失の結果、内因性の抗体産生の完全な阻害を引き起こすことが記載されている。ヒトイムノグロブリン遺伝子アレイを、そのような生殖細胞系列突然変異マウスへ転移した結果、抗原誘発後すぐに、ヒト結合分子が作製されるであろう。SCIDマウスを用いてヒト結合分子を作製するための別の好ましい手段が、米国特許第5,811,524号に開示されている。それを本発明において引用によって援用する。これらのヒト結合分子に関連する遺伝物質を、本明細書に記載のように単離し、操作してもよいことが理解できるであろう。
組換え結合分子を生成するための、さらに別の非常に効率的な手段が、Newman, Biotechnology, 10: 1455-1460 (1992)に開示されている。具体的には、この技術によって、サル可変ドメインおよびヒト定常配列を含有する霊長類結合分子を作製することができる。この引例の全体を本明細書において引用によって援用する。さらにこの技法は、米国特許第5,658,570号、第5,693,780号、第5,756,096号に開示されている。そのそれぞれを引用によって本明細書に引用する。
別の態様において、リンパ球をマイクロマニピュレーションによって選択し、可変遺伝子を単離することができる。例えば、末梢血単核細胞を、免疫した哺乳動物から単離し、で約7日間培養することができる。該培養物をスクリーニングして、スクリーニング評価基準を満たす特異的IgGを選別することができる。細胞は、陽性のウェルから単離することができる。個別のIg産生B細胞は、FACSによって、または、それらを補体で媒介された溶血プラークアッセイ中で、単離することができる。Ig産生B細胞を、試験管内でマイクロマニピュレーションし、VHおよびVL遺伝子は、例えば、RT−PCRを用いて増幅することができる。VHおよびVL遺伝子は、抗体発現ベクターにクローニングすることができ、細胞中(例えば、真核生物細胞または原核生物細胞)にトランスフェクトして、発現させることができる。
さらに、本発明ポリペプチドを産生させるために有用な遺伝子配列は、いくつかの異なるソースから取得することができる。例えば、上で広範囲において説明したように、種々のヒト抗体遺伝子は、公にアクセス可能な寄託機関の形態のものを利用可能である。抗体および抗体がコードする遺伝子の多くの配列が公開されている。そして好適な抗体遺伝子をこれらの配列から、当業で認識されている技術を用いて化学的に合成することができる。本発明のこの局面に適合するオリゴヌクレオチド合成技術は、当業者に公知であり、いくつかの市販されている自動合成装置を用いて行うことができる。さらに、本明細書において示したいくつかのタイプの重鎖および軽鎖をコードするDNA配列は、市販のDNA合成の業者のサービスを介して取得することができる。その後、前記あらゆる方法を用いて取得した遺伝子物質を、改変または合成して、本発明のポリペプチドを取得することができる。
別法として、抗体産生細胞系列を選択し、当業者に公知の方法を用いて培養することができる。そのような技法については、種々の実験室マニュアルや主要な出版物に記載がある。この局面において、以下に述べるように本発明において使用するのに適した技法については、Current Protocols in Immunology, Coligan
et al., Eds., Green Publishing Associates and Wiley-Interscience, John Wiley
and Sons, New York (1991) に記載がある。その内容全体を補足も含めて、本明細書に引用によって援用する。
よく知られているように、RNAは、グアニジニウムイソチオシアネート抽出や、遠心分離もしくはクロマトグラフィーによる析出法などの標準的な方法によって、オリジナルのハイブリドーマ細胞または、他の形質転換された細胞から単離することができる。望ましければ、mRNAは、オリゴdTセルロース上のクロマトグラフィーなどの標準的な方法によって、全RNAから単離することができる。好適な技術は、当該技術において公知である。
ある態様において、結合分子の軽鎖および重鎖をコードするcDNAは、公知の方法にしたがって、逆トランスクリプターゼおよびDNAポリメラーゼを用いて、同時に、あるいは別個に作製することができる。公開されている重鎖および軽鎖DNAおよびアミノ酸配列に基づいて、コンセンサス定常領域プライマーまたはより特異的なプライマーによってPCRを開始することができる。上記したように、結合分子軽鎖および重鎖をコードするCNAクローンを単離するためにPCRを使用することもできる。この場合、ライブラリーを、コンセンサスプライマーまたはより大きなホモログプローブ、例えば、マウス定常領域プローブによってスクリーニングしてもよい。
DNA、典型的には、プラスミドDNAは、公知の方法を用いて細胞から単離してもよい。詳細を示した、標準的な公知の方法、例えば、組換えDNA技法に関連する上記引用文献中に示した方法にしたがって、制限マッピングおよび配列決定してもよい。もちろん、DNAは、単離プロセスまたは続く分析中のあらゆるポイントにおいて、本発明にしたがって合成してもよい。
ある態様において、本発明の結合分子は、抗原の抗原結合フラグメントを含む、または、それによって構成される。用語「抗原−結合フラグメント」は、抗原に結合する、または、抗原が結合(すなわち、特異的結合)をする、未処理の抗体(すなわち、それらが由来する未処理の抗体)に競合するイムノグロブリンまたは抗体のポリペプチドフラグメントを表す。本明細書において用いられている用語、抗体分子の「フラグメント」は、抗体の抗原−結合フラグメント、例えば、抗体軽鎖(VL)、抗体重鎖(VH)、一本鎖抗体(scFv)、F(ab’)2フラグメント、Fabフラグメント、Fdフラグメント、Fvフラグメント、および単一ドメイン抗体フラグメント(DAb)を意味する。フラグメントは、例えば、未処理もしくは完全な抗体または抗体鎖の化学的もしくは酵素的処理を介して、または組換え手段によって、取得することができる。
ある態様において、本発明の結合分子は、工学的処理が施された、または改変された抗体である。工学的に処理された形態の抗体の例としては、例えば、ミニボディー(ミニボディー(Minibodies))、ジアボディー(diabodies)、CH3分子に融合されたジアボディー(diabodies)、四価の抗体、イントラジアボディー(intradiabodies)(例えば、Jendreyko et al. 2003. J. Biol. Chem. 278:47813)、二重特異性抗体、融合タンパク質(例えば、抗体サイトカイン融合タンパク質)、または二重特異性抗体が挙げられる。他のイムノグロブリン(Ig)および特定の変形例を、例えば、米国特許第4,745,055号;欧州特許第256,654号;Faulkner et al., Nature 298:286
(1982); 欧州特許第120,694号;欧州特許第125,023号;Morrison, J. Immun. 123:793 (1979); Kohler et
al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:2197 (1980); Raso et al., Cancer Res. 41:2073 (1981); Morrison et
al., Ann. Rev.
Immunol. 2:239 (1984); Morrison, Science 229:1202 (1985);
Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851 (1984);欧州特許第255,694号;欧州特許第266,663号;ならびにPCT国際公開公報WO88/03559に記載されている。再配列されたイムノグロブリン鎖も公知である。例えば、米国特許第4,444,878;PCT国際公開公報WO88/03565;および欧州特許第68,763号および、そこに引用されている引例を参照されたい。
ある態様において、本発明の改変された抗体は、ミニボディーである。ミニボディーは、それぞれScFv分子(1以上の抗原結合部位を含む単一ポリペプチド、例えば、柔軟なリンカーによってVHドメインイン結合したVLドメインが結合ペプチドを介してCH3ドメインに融合している)をもつ2つのポリペプチド鎖からなる二量体分子である。
ScFv分子は、VH−リンカー−VL配向定位、またはVL−リンカー−VH配向定位中に構築することができる。
抗原結合部位を構成するVLドメインとVHドメインとを結合する柔軟なヒンジは、約10乃至約50のアミノ酸残基から構成されることが好ましい。この目的のための結合ペプチドの例としては、(Gly4Ser)3(配列番号:20) (Huston
et al. . 1988. Proc. Natl. Acad.
Sci. USA 85:5879)がある。他の結合ペプチドは、当該技術分野において公知である。
一本鎖抗体を作製する方法は、当該技術分野において公知である。例えば、Ho et al. 1989. Gene 77:51; Bird et al. 1988 Science 242:423; Pantoliano et
al. 1991. Biochemistry 30:10117; Milenic et al. 1991. Cancer Research 51:6363;
Takkinen et al. 1991. Protein
Engineering 4: 837を参照されたい。
ミニボディーは、ScFv成分および結合ペプチド−CH3成分を当該技術において記載されている方法を用いて構築することによって、作製することができる(例えば、米国特許第5,837,821号またはPCT国際公開公報WO94/09817A1)。これらの成分は、分離したプラスミドから制限フラグメントとして単離し、ライゲーションし、適切なベクターに再度クローニングすることができる。適切なアセンブリーは、制限消化およびDNA配列分析によって確認することができる。
ジアボディーは、scFv分子に類似しているが、通常、V−ドメイン間を結合し、同じポリペプチド鎖上のVLドメインおよびVHドメインが相互作用しないようにする、短い(10未満、好ましくは1〜5)のアミノ酸残基リンカーを有する。かわりに、一方のポリペプチド鎖のVLドメインおよびVHドメインは、第2のポリペプチド鎖上のVHドメインおよびVLドメイン(それぞれ)と相互作用する(PCT国際公開公報WO02/02781)。ある態様において、本発明の結合分子は、少なくとも1つの重鎖部分に融合したジアボディーである。別の好ましい態様において、本発明の結合分子は、CH3ドメインに融合したジアボディーである。
他の形態の改変された抗体も、本発明の範囲に包含される(例えば、PCT国際公開公報WO02/02781A1;5,959,083;6,476,198B1;米国特許第2002/0103345A1号;PCT国際公開公報00/06605; Byrn et al. 1990. Nature. 344:667-70; ChamowとAshkenazi. 1996. Trends Biotechnol. 14:52)。
ある態様において、本発明の結合分子は、イムノグロブリン定常領域を含む。定常領域がいくつかのエフェクター機能を媒介することは、当該技術分野において公知である。例えば、補体のC1成分の結合分子への結合が補体系を活性化する。補体の活性化は、オプソニン処理、細胞病原体の溶解において重要である。補体の活性化はまた、炎症性の反応を刺激する。また、それは、自己免疫過敏症にも関与するかもしれない。さらに別の結合分子は、Fc領域を介して細胞に結合する。結合分子Fc領域上のFcレセプター部位は、細胞上のFcレセプター(FcR)に結合する。異なるクラスの結合分子に特異的ないくつかのFcレセプター、例えば、IgG(ガンマレセプター)、IgE(イプシロンレセプター)、IgA(アルファレセプター)およびIgM(ミューレセプター)が存在する。結合分子のFcレセプターへの細胞表面上での結合によって、結合分子をコーティングした粒子の貪食および破壊、免疫複合体の分解、結合分子をコーティングした標的細胞のキラー細胞による溶解(抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性、もしくはADCCと呼ばれる)、炎症性の仲介物質の放出、経胎盤伝達およびイムノグロブリン産生のコントロールといった、いくつかの重要かつ多様な生物学的反応を引き起こす。
ある態様において、エフェクター機能は、標的細胞を枯渇させることができないと考えられているIgG4結合分子の定常領域を使用することによって、または、Fc変形例を作製することによって、削除もしくは減少させることができる。エフェクター機能にとって重要なFc領域内の残基は、公知の技術(例えば、米国特許第5,585,097号)によって突然変異させることができる。例えば、定常領域ドメインの欠失もしくは不活化(点突然変異または別の手段による)は、循環する改変された結合分子のFcレセプター結合を減少させ、それによって腫瘍の局在化を増加させる。その他の場合においては、それは、本発明と一致する定常領域改変によって、補体結合を和らげ、それによって、複合化したサイトトキシンの血清半減期および非特異的結合を減少させる。定常領域の他の変形例は、抗原特異性または結合分子の柔軟性の増加によって、局在化を増強させるジスルフィド結合または、オリゴ糖部分改変をするために用いることができる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載のように改変された結合分子は、容易に理解することができるかもしれない、もしくはできないかもしれない、いくつかのサブセットの効果を発揮しうることを理解するであろう。しかしながら、得られた生理学的プロファイル、バイオアベイラビリティおよび他の生化学的作用(例えば、腫瘍の局在化、生体内分布および血清半減期)を容易に、免疫学的方法によって、過度な実験をすることなく、測定および定量化することができる。
ある態様において、本発明の結合分子は、別の機能的分子に誘導体化または結合することができる(例えば、別のペプチドもしくはタンパク質)。したがって、本発明の結合分子は、誘導体化された、そうでなければ改変された形態の、本明細書に記載の抗ILT3結合分子(イムノアドヘシン分子)を含む。例えば、本発明の結合分子は、機能的に、異常の他の分子部分、例えば、結合分子と他の分子(例えば、ストレプトアビジンコア領域もしくはポリヒスチジンタグ)の結合を媒介することができる、他の結合分子(例えば、二重特異性抗体もしくはジアボディー)、または、検出可能な作用物質、細胞傷害性物質、薬学的物質、および/または、タンパク質もしくはペプチドに結合(化学的結合、遺伝的融合、非共有結合もしくはその他)することができる。
誘導体化された結合分子の1つのタイプは、2以上の結合分子(例えば、二重特異性抗体を作製するための同一タイプ、もしくは異なるタイプ)を架橋することによって作製することができる好適なクロスリンカーとしては、適切なスペーサー(例えば、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミド)によって分離された2つのはっきりした反応グループをもつヘテロ二機能性、またはホモ二機能性(例えば、ジスクシンイミジルスベリン酸塩)をもつものが挙げられる。そのようなリンカーは、Pierce Chemical Company,
Rockford, ILから入手可能である。
それによって本発明の結合分子が誘導体化されうる有用な検出可能な物質は、蛍光化合物を含む。検出可能な蛍光物質の例としては、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、5−ジメチルアミン−1−ナフタレンスルホニルクロリド、フィコエリトリンなどが挙げられる。結合分子はまた、アルカリ性ホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ, グルコースオキシダーゼなどの検出可能な酵素によって誘導体化されうる。結合分子が、検出可能な酵素によって誘導体化される場合、それは、検出可能な反応産物を作製するために酵素を使用するさらなる試薬を添加することによって検出される。例えば、検出可能な物質、西洋ワサビペルオキシダーゼが存在する場合、過酸化水素およびジアミノベンジジンの添加によって、検出可能な着色された反応物が導かれる。結合分子はまた、ビオチンによって誘導体化することもでき、アビジンもしくはアビジン結合の間接的な測定によって測定することもできる。
IV.結合分子の発現
本発明の結合分子は、イムノグロブリン軽鎖および重鎖遺伝子の宿主細胞中での組換え発現によって調製することができる。結合分子を組換え的に発現させるために、宿主細胞を、結合分子のイムノグロブリン軽鎖および重鎖をコードして、軽鎖および重鎖を宿主細胞中で発現させるDNAフラグメントをもつ1以上の組換え発現ベクターでトランスフェクトする。好ましくは、宿主細胞を培養している培地であって、そこから結合分子を除去することができる培地中に分泌させる。標準的な組換えDNA方法を用いて、抗体重鎖および軽鎖遺伝子を取得し、これらの遺伝子を組換え発現ベクターに組み込み、該ベクターを宿主細胞中に導入する。Sambrook, Fritsch and Maniatis (eds),
Molecular Cloning; A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor,
N.Y., (1989),
Ausubel, F.M. et al. (eds.) Current Protocols in Molecular Biology,
Greene Publishing Associates, (1989) and in 米国特許第. 4,816,397 by Boss, et al.に記載されているように行う。
本発明の結合分子を発現させるために、部分的もしくは全長軽鎖および重鎖をコードするDNAを発現ベクターに挿入して、その遺伝子が転写および翻訳調節配列に作用可能に連結するようにしてもよい。この文脈において、「作用可能に連結する」とは、結合分子遺伝子がベクターにライゲーションして、ベクター内の転写および翻訳調節配列が、結合分子遺伝子の転写および翻訳を調節するという、それらの意図された機能を発揮するようにすることを意味する。ある態様において、発現ベクターおよび発現調節配列は、用いられる発現宿主細胞と両立するように選択される。結合分子軽鎖遺伝子および結合分子重鎖遺伝子を、分離したベクターに挿入する。または、典型的には双方の遺伝子を同じ発現ベクターに挿入する。結合分子遺伝子を標準的な方法(例えば、結合分子遺伝子フラグメントおよびベクター上の相補的な制限部位のライゲーション、または、もし制限部位が存在しなければ、平滑末端ライゲーション)によって発現ベクターに挿入してもよい。結合分子の軽鎖または重鎖配列の挿入前に、発現ベクターは、結合分子定常領域配列を有してもよい。例えば、VHおよびVL配列を全長結合分子遺伝子に変換する1つのアプローチは、それらを、重鎖定常領域および軽鎖定常領域を既にコードしている発現ベクターにそれぞれ挿入して、VHセグメントをベクター内のCHセグメントに作用可能に連結し、VLセグメントをベクター内のCLセグメントに作用可能に連結することである。さらに、または別法として、組換え発現ベクターは、結合分子鎖の宿主細胞からの分泌を容易にするシグナルペプチドをコードすることができる。結合分子鎖遺伝子を該ベクターにクローンニングし、シグナルペプチドがインフレームでが結合分子鎖遺伝子のアミノ末端に結合するようにしてもよい。シグナルペプチドは、イムノグロブリンシグナルペプチドであってもよいし、または、異種のシグナルペプチド(すなわち、非イムノグロブリンタンパク質からのシグナルペプチド)であってもよい。
結合分子鎖遺伝子に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞中の結合分子鎖の発現を調節する調節配列を保有する。用語「調節配列」は、結合分子鎖遺伝子の転写または翻訳を調節するプロモーター、エンハンサーおよび他の発現調節エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含む。そのような調節配列は、例えば、Goeddel; Gene Expression
Technology: Methods in Enzymology
185, Academic Press, San Diego, CA (1990)に記載されている。当業者は、調節配列の選択を含めた発現ベクターのデザインが、形質転換されるべき宿主細胞、所望のタンパク質の発現レベルなどの因子によって決定されることを理解するであろう。哺乳動物宿主細胞の発現のための好ましい調節配列としては、哺乳動物細胞において高いレベルのタンパク質発現を導くウイルスエレメント、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)(例えば、CMVプロモーター/エンハンサー)、サルウイルス40(SV40)(例えば、SV40プロモーター/エンハンサー)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルスメジャーレートプロモーター(AdMLP))、およびポリオーマ由来のプロモーターおよび/またはエンハンサーが挙げられる。ウイルス調節エレメントについてのさらなる詳細、およびその配列については、例えば、米国特許第5,168,062号(Stinskiによる)、米国特許第4,510,245号(Bell et al.による)および米国特許第4,968,615号(Schaffner, et al.による)を参照されたい。
結合分子鎖遺伝子および調節配列に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、さらなる配列、例えば、宿主細胞(例えば、複製のオリジン)および選択可能なマーカー遺伝子中のベクターの複製を調節する配列を保有してもよい。該選択可能なマーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞の選択を容易にする(例えば、米国特許第4,399,216号、第4,634,665号および第5,179,017(全てAxel et al.)を参照されたい)。例えば、典型的に、該選択可能なマーカー遺伝子は、G418、ハイグロマイシンもしくはメトトレキサートなどの薬剤に対する耐性をベクターが導入された宿主細胞に付与する。好ましい選択可能なマーカー遺伝子としては、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子(dhfr−宿主細胞に用いられる。メトトレキサート選択/増幅をもつ)や、ネオ遺伝子(G418選択)などがある。
軽鎖および重鎖を発現させるために、結合分子重鎖および軽鎖をコードする発現ベクターを標準的な方法によって宿主細胞にトランスフェクトする。種々の形態の用語「トランスフェクション」は、外因性DNAを原核生物もしくは真核生物宿主細胞に導入する際に一般的に使用される広範囲の技法、例えば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE−デキストラントランスフェクションなどを包含することが意図されている。本発明の結合分子を、原核生物または真核生物宿主細胞のいずれかにおいて発現させることができ、結合分子の真核生物細胞での発現、最も好ましくは哺乳動物宿主細胞での発現が最も好ましい。なぜなら、そのような真核生物細胞、特に哺乳動物細胞は、原核生物細胞よりも集合しやすく、適切に折り曲げられた、免疫学的に活性のある結合分子に分泌する可能性があるからである。
一般的に、発現ベクターは、選択マーカー(例えば、アンピシリン耐性、ハイグロマイシン耐性、テトラサイクリン耐性、もしくはネオマイシン耐性)を含有して、所望のDNA配列を用いて形質転換した細胞を検出すること可能とする(例えば、Itakura et al., 米国特許第4,704,362号)。
大腸菌(E.coli)は、本発明のポリヌクレオチド(例えば、DNA配列)をクローニングするために特に有用な1つの原核生物宿主である。使用するのに好適な他の微生物宿主としては、バシラス−サチリスなどの桿菌類、および他のエンテロバクテリアセエ、例えば、サルモネラ、セラチア、および種々のシュードモナス種が挙げられる。これらの原核生物宿主中に、発現ベクターを作製することもできる。それは、典型的には、宿主細胞(例えば、複製のオリジン)と適合性のある発現制御配列を含む。さらに、ラクトースプロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系、ベータ−ラクタマーゼプロモーター系、またはファージラムダからのプロモーター系などの、あらゆる数の種々の公知のプロモーターが存在するであろう。該プロモーターは典型的に、オペレーター配列を任意に用いて発現を制御する。そしてそれは、転写および翻訳を開始し、完成させるためのリボソーム結合部位配列などを有する。
酵母菌などの他の微生物も発現にとって有用である。サッカロミセスは、必要であれば、発現制御配列(例えば、プロモーター)、複製のオリジン、終止配列などをもつ好適なベクターをもつ好ましい酵母菌宿主である。典型的なプロモーターとしては、3−ホスホグリセリン酸キナーゼおよび他の糖分解酵素が挙げられる。誘導性の酵母菌プロモーターは、とりわけ、アルコールデヒドロゲナーゼからのプロモーター、イソチトクロームC、およびマルトースおよびガラクトースの利用に関与する酵素を含む。
微生物の他に、哺乳動物組織細胞の培養もまた、本発明のポリペプチド(例えば、結合分子をコードするポリヌクレオチド)を発現および産生させるために使用してもよい。Winnacker, From Genes to
Clones, VCH Publishers, N.Y., N.Y. (1987)を参照されたい。真核生物細胞が実際には好ましい。なぜなら、異種のタンパク質(例えば、未処理の結合分子)を分泌することが可能な、多くの好適な宿主細胞系列が当該技術分野において開発されており、CHO細胞系列、種々のCos細胞系列、HeLa細胞、骨髄腫細胞系列、または形質転換されたB細胞もしくはハイブリドーマなどがあるからである。好ましくは、該細胞は、非ヒト細胞である。これらの細胞のための発現ベクターは、複製のオリジン、プロモーターおよびエンハンサーなどの発現制御配列、および、リボソーム結合部位、RNAスプライシング部位、ポリアデニル化部位、および転写終始配列といった必要なプロセシング情報部位を含むことができる(Queen et al., Immunol. Rev.
89:49 (1986))。好ましい発現制御配列は、イムノグロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス、サイトメガロウイルスなどに由来するプロモーターである。Co et al., J. Immunol. 148:1149
(1992)を参照されたい。
あるいは、結合分子コード配列は、トランスジェニック動物のゲノムに導入し、次いでトランスジェニック動物の乳において発現させるためのトランスジーンに組み込むことができる(例えば、Deboer et al., 米国特許第5,741,957号;Rosen、米国特許第5,304,489号、およびMeade et al., 米国特許第5,849,992号)。好適なトランスジーンは、乳腺特異的遺伝子、例えば、カゼインまたはベータラクトグロブリンからのプロモーターやエンハンサーとの作用可能な連結におけるリガンドおよび/または重鎖のためのコード配列を含む。
本発明の組換え結合分子を発現させるための好ましい哺乳動物宿主細胞としては、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)(UrlaubとChasin, (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA
77:4216-4220に記載されているdhfr−CHO細胞を含む。R.J. Kaufman and P.A. Sharp (1982)
Mol. Biol. 159:601-621に記載されているようにDHFR選択可能マーカーとともに用いられる)、NS0骨髄腫細胞、COS細胞およびSP2細胞が挙げられる。結合分子遺伝子をコードする組換え発現ベクターを哺乳動物宿主細胞に導入したとき、宿主細胞中の結合分子の発現、より好ましくは、宿主細胞が成長する培養培地への結合分子の分泌を可能にするのに十分な時間の間、宿主細胞を培養することによって、結合分子を作製する。結合分子は、標準的な精製方法を用いて培養培地から回収することができる。
当該ポリヌクレオチド配列(例えば、結合分子重鎖および軽鎖コード配列および発現制御配列)を含有するベクターを、細胞宿主のタイプにしたがって、公知の方法で宿主細胞に移入する。例えば、原核生物細胞には、通常塩酸カルシウムトランスフェクションが用いられ、一方、他の細胞宿主には、リン酸カルシウム処理、エレクトロポレーション、リポフェンブフェン、微粒子銃またはウイルスベースのトランスフェクションを使用することができる(一般的に、Sambrook et al., Molecular
Cloning: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Press, 2nd
ed., 1989参照)(その全体を全ての目的のために引用によって援用する)。哺乳動物細胞を形質転換するために用いられる他の方法としては、ポリブレン、プロトプラスト融合、リポソーム、エレクトロポレーションおよびマイクロインジェクション(一般的に、Sambrook et al., 上掲文献参照)。トランスジェニック動物を作製するために、トランスジーンを受精卵にマイクロインジェクションすることができる。または、胚性幹細胞のゲノムに組み込み、そのような細胞の核を摘出された卵子に移植することがある。
重鎖および軽鎖を別個の発現ベクターにクローニングし、該ベクターをコトランスフェクトし、発現させ、未反応のイムノグロブリンを回収する。一旦、発現すれば、全結合分子、それらの二量体、個別の軽鎖および重鎖、もしくは本発明の他のイムノグロブリン形態を、硫酸アンモニュウム沈殿法、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、HPLC精製、ゲル電気泳動法などを含む当該技術分野における標準的な処置にしたがって精製する(一般的に、Scopes, Protein Purification (Springer-Verlag, N.Y., (1982))。少なくとも約90〜95%の相同性を示す、本質的に純粋な結合分子が好ましい。医薬品として使用するためには、相同性が98〜99%の相同性が最も好ましい。
宿主細胞を用いて、FabフラグメントまたはscFv分子などといった未反応の結合分子部分を作製することもできる。上記処置に対する変形も本発明に包含されることが理解されよう。例えば、本発明の結合分子の軽鎖または重鎖(両方ではない)をコードするDNAを有する宿主細胞をトランスフェクトすることが望ましいかもしれない。組換えDNA技術を用いて、一部もしくは全ての、ILT3に結合するために必要な軽鎖および重鎖のいずれかもしくは双方をコードするDNAを除去することもできる。そのような切断されたDNA分子から発現された分子も、本発明の結合分子の範囲に含まれる。さらに、二官能性結合分子を作製してもよい。そこでは、1つの重鎖および1つの軽鎖が本発明の結合分子となり、他の重鎖および軽鎖が本発明の結合分子を第2の結合分子に標準的な架橋方法によって架橋されることによって、ILT3以外の抗原に特異性をもつ。
上述に鑑み、本発明の別の局面は、本発明の結合分子の組換え発現に用いることができる核酸、ベクター、および宿主細胞組成物に関する。9B11軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を配列番号10に示す。VLのCDR1ドメインは、配列番号:10のヌクレオチド130〜162を含み、CDR2ドメインは、配列番号:10のヌクレオチド208〜228を含み、CDR3ドメインは、配列番号:10のヌクレオチド325〜351を含む。9B11重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を配列番号9に示す。VHのCDR1ドメインは、配列番号:9のヌクレオチド133〜162を含み、CDR2ドメインは、配列番号:9のヌクレオチド205〜255を含み、CDR3ドメインは、配列番号:9のヌクレオチド352〜372を含む。9B11関連結合分子をコードするヌクレオチド配列は、ゲノムコードや標準的な分子生物学的手法を用いて、9B11VLおよびVHをコードするヌクレオチド配列から導出され得ることを当業者は理解するであろう。
ある態様において、本発明は、9B11CDRを含む、例えば、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、および配列番号:8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、単離された核酸分子を提供する。
さらに別の態様において、本発明は、配列番号:2のアミノ酸配列からなる結合分子軽鎖可変領域をコードする単離された核酸を提供する。もっとも、遺伝子コードの縮重によって、他のヌクレオチド配列が配列番号:2のアミノ酸配列をコードしうることを当業者は理解するであろう。核酸は、VLのみ、またはVLに作用可能に連結した結合分子軽鎖定常領域をコードすることができる。ある態様において、この核酸は、組換え発現ベクター中に存在する。
さらに別の態様において、本発明は、配列番号:1のアミノ酸配列からなる結合分子重鎖可変領域をコードする単離された核酸を提供する。もっとも、遺伝子コードの縮重によって、他のヌクレオチド配列が配列番号:1のアミノ酸配列をコードしうることを当業者は理解するであろう。核酸は、VHのみ、またはVHに作用可能に連結した結合分子軽鎖定常領域をコードすることもできる。例えば、該核酸は、IgG1もしくはIgG2定常領域を含むことができる。ある態様において、この核酸は、組換え発現ベクター中に存在する。
本発明はまた、結合分子重鎖および/または結合分子軽鎖をコードする、組換え発現ベクターを提供する。例えば、ある態様において、本発明は、組換え発現ベクターを提供する。それは、以下をコードする。
a)配列番号2のアミノ酸配列を含む可変領域を有する結合分子軽鎖;および
b)配列番号1のアミノ酸配列を含む可変領域を有する結合分子重鎖。
別の態様において、本発明は、組換え発現ベクターを提供する。それは、以下をコードする。
a)配列番号28のアミノ酸配列を含む可変領域を有する結合分子軽鎖;および
b)配列番号29のアミノ酸配列を含む可変領域を有する結合分子重鎖。
別の態様において、本発明は、組換え発現ベクターを提供する。それは、以下をコードする。
a)配列番号25のアミノ酸配列を含む可変領域を有する結合分子軽鎖;および
b)配列番号26のアミノ酸配列を含む可変領域を有する結合分子重鎖。
さらに別の態様において、本発明は、組換え発現ベクターを提供する。それは、以下をコードする。
a)配列番号25のアミノ酸配列を含む可変領域を有する結合分子軽鎖;および
b)配列番号27のアミノ酸配列を含む可変領域を有する結合分子重鎖。
さらに別の態様において、本発明は、組換え発現ベクターを提供する。それは、以下をコードする。
a)配列番号33のアミノ酸配列を含む可変領域を有する結合分子軽鎖;および
b)配列番号34のアミノ酸配列を含む可変領域を有する結合分子重鎖。
さらに別の態様において、本発明は、組換え発現ベクターを提供する。それは、以下をコードする。
a)配列番号33のアミノ酸配列を含む可変領域を有する結合分子軽鎖;および
b)配列番号35のアミノ酸配列を含む可変領域を有する結合分子重鎖。
本発明は、本発明の1以上の組換え発現ベクターが導入された宿主細胞を提供する。このましくは、該宿主細胞は、哺乳動物宿主細胞である。
さらに、本発明は、本発明の宿主細胞を好適な培養培地において、本発明の組換え結合分子が合成されるまで培養することによって、本発明の組換え結合分子を合成する方法を提供する。該方法はさらに当該培養培地から組換え結合分子を単離することを含む。
V.本発明の結合分子の使用
ILT3に対して結合する能力があれば、本発明の結合分子は、ILT3(例えば、血清もしくは血漿などの生物学的サンプル中)を、従来のイムノアッセイ、例えば、酵素結合抗体免疫アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)もしくは組織免疫組織化学的手法を用いて検出するために用いることができる。本発明は、生物学的サンプル中のhILT3を検出するための方法であって、生物学的サンプルを本発明の結合分子に接触させ、およびhILT3に結合した結合分子または未結合の結合分子のいずれかを検出し、それによって、生物学的サンプル中のhILT3を検出することを含む方法を提供する。該結合分子は、検出可能な物質を用いて、直接的または間接的に標識し、結合した結合分子または未結合の結合分子の検出を容易にすることができる。好適な検出可能な物質としては、種々の酵素、補欠分子団、蛍光物質、発光性物質、および放射性物質が挙げられる。好適な酵素の例には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが含まれる。好適な補欠分子団の例には、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが含まれ、好適な蛍光物質の例には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドもしくはフィコエリトリンが含まれ、発光性物質の例にはルミノールが含まれる;好適な放射性物質の例には、125I、131I、35SもしくはHが含まれる。
結合分子の標識に替えて、hILT3は、検出可能な物質や未標識抗hILT3結合分子で標識されたILT3標準を用いた競合イムノアッセイによって生物学的液体中でアッセイすることができる。このアッセイにおいて、生物学的サンプル、標識されたILT3標準、および抗hILT3結合分子を組み合わせ、未標識の結合分子に結合した標識されたILT3標準の量を測定する。生物学的サンプル中のhILT3の量は、抗hILT3結合分子に結合した標識されたILT3標準の量に反比例する。
本発明の抗ILT3結合分子はまた、ヒト以外の種のILT3、特に、霊長類(例えば、チンパンジー、ヒヒ、マーモセット、カニクイザルおよびアカゲザル)からのILT3を検出するために用いることもできる。
インビトロおよびインビボで免疫反応を下方調整する方法
添付の実施例に記載のように、本発明の結合分子は、免疫抑制組成物としてインビトロで使用して、免疫細胞活性化、例えば、細胞による同種免疫反応(例えば、MLC)を阻害することができる。ある態様において、細胞をインビトロでILT−3結合分子を用いて、例えば、1、2、3、4、5、6、7日間処理し、例えば、それらを被験体に注入する前に、活性化の状態を減少させることができる。
したがって、ある態様において、本発明は、調整する方法、免疫細胞活性化、例えば同種免疫反応をインビトロで下方調整する方法を提供する。別の態様において、本発明は、インビボで免疫細胞活性化を下方調整する、インビトロでILT−3結合分子を用いて処理し細胞を被験体に導入することを含む方法を提供する。同種免疫反応の調整は、技術的に認識されている技法によって、例えば、結合分子がT細胞の増殖活性(例えば、混合リンパ球反応において)を調節する可能性を測定することによって、アッセイすることができる。
本発明の結合分子は、炎症性サイトカイン、例えば、IL12p40、IL12p70およびTNFαの、DC、例えばMDDCによるインビトロでの、例えば、被験体に導入する前における産生を下方調整するために用いることもできる。DCによる炎症性サイトカイン産生の下方調整は、例えば、ELISAによってアッセイすることができる。
別の態様において、本発明の結合分子は、共刺激性分子、例えば、CD86、CD80、CD83およびHLA−DRの、DC、例えばMDDCによるインビトロでの、例えば、被験体に導入する前におけるアップレギュレーションを下方調整するために用いることもできる。共刺激性分子のDCによるアップレギュレーションの下方調整は、例えば、FACs分析によってもアッセイすることができる。
さらに別の態様において、本発明の結合分子は、例えば、被験体に導入する前の、インビトロでの単球へのカルシウム流入を下方調整するために用いることもできる。単球へのカルシウム流入は、例えば、FACs分析、またはカルシウムキレート化発光吸光度測定法によって測定することができる。例えば、Rabin, et al. (1999) J
Immunol. 162: 3840- 3850, Youn, B.
S., et al. (1998)
Blood 91:3118、およびYoun, B.S., et al. (1997) J.
Immunol. 159:5201を参照することができる。これらの引例のそれぞれの内容を引用によって本明細書に援用する。
ある態様において、本発明の結合分子は、抑制受容体の細胞上、例えば、樹状細胞、例えば、未成熟樹状細胞上での発現をアップレギュレートするために用いることもできる。その発現が本発明の結合分子によってアップレギュレートされる抑制受容体の例としては、限定されないが、CD200R、CD40LおよびIDO(インドールアミン)が挙げられる。
別の局面において、本発明は、被験体において望ましくない免疫細胞活性化に関連する疾患もしくは状態を予防する方法に関する。該方法は、ILT−3結合物質を用いてインビトロで細胞を処理すること、およびそれらを適合性のある被験体に組み込むこと、またはそれらを再び同じ被験体に組み込むことを含む。ここで述べている物質を用いた治療によって恩恵を受けるであろう疾患のリスクのある被験体、または方法を、例えば、当業で公知の診断的アッセイまたは予後的アッセイのいずれか、またはその組み合わせによって、確認することができる。予防的な物質の投与を、望ましい反応に関連する症状、または望ましいとはいえない症状が顕在化する前に行うことができる。
ILT3のAPC、例えば、単球、マクロファージ、MDDCなどのDC上での活性を下方調整することによって恩恵を受ける疾患および病理学的状態としては、組織、皮膚、よび臓器移植の状態、または移植片対宿主病(GVHD)が含まれる。例えば、免疫細胞活性化を遮断すると、移植組織において組織破壊が減少する。典型的には、組織移植においては、移植物質を免疫細胞による異物として認識して拒絶が始まり、移植物質を破壊する免疫拒絶が起こる。インビトロで抗ILT3結合分子を用いて処理した細胞は、単独または免疫細胞活性化を下方調整する他の物質と組み合わせて(例えば、ホルモン療法、免疫療法、例えば、免疫抑制療法、抗生物質およびイムノグロブリン)、移植前または移植時に投与され、移植物質の免疫細胞活性化を減少させる。通常、患者と同じ種の起源または種の反応性(結合分子の場合)の物質を投与することが好ましい。他のポリペプチド共刺激性の機能を遮断することが望ましいかもしれない。例えば、B7−1、B7−2またはB7−1およびB7−2の機能を、これらの抗原の活性を有するペプチドの組み合わせの溶解性の形体を投与し、これらの抗原に対する抗体を遮断する、もしくは小分子(別々に、または単一の組成物と一緒に)を、移植前または移植時に遮断することによって、遮断することが望ましいかもしれない。本発明の下方調整方法と組み合わせて用いることができる他の下方調整用の物質の例としては、例えば、CTLA4、可溶形態のCTLA4を介して抑制性シグナルを伝達する物質、CTLA4を介した抑制性シグナルを活性化する抗体、免疫細胞マーカーもしくは可溶形体の他のレセプターリガンド対に対するブロッキング抗体(例えば、CD40とCD40リガンドの間の相互作用を破壊する物質(例えば、抗CD40リガンド抗体))、サイトカインに対する抗体、または免疫抑制性薬物が含まれる。
さらに、ILT3の調整、および/または共刺激性のシグナルの阻害、および/または、他の抑制受容体のアップレギュレーションもまた、免疫細胞を反応不顕性にし、それによって、被験体において耐性を誘発するのに十分かもしれない。ILT3を調整することによって長期の耐性を誘発することによって、これらのブロッキング試薬を反復投与しなくてもよくなる。
したがって、本発明の方法は、本発明の結合分子を用いて、免疫反応を下方調整するようにして被験体を治療するために用いることができる。好ましくは、被験体はヒト被験体である。あるいは、被験体は、本発明の結合分子が交差反応するILT3を発現する哺乳動物とすることもできる。
インビボで免疫反応を上方調整する方法
添付の実施例に記載しているように、本発明の結合分子は、免疫賦活性の組成物、例えば、単独でもしくはワクチンの一部として使用して、B細胞および/またはT細胞の活性化、例えば、患者におけるTh1またはTh2細胞の活性化を促進することができる。すなわち、本発明の結合分子は、当該抗原と組み合わせて用いられるアジュバントとして機能し、当該の抗原に対するインビボでの免疫反応を高めることができる。例えば、当該の抗原に対する抗体または細胞免疫反応を刺激するために(例えば、ワクチン接種の目的)、抗原および本発明の結合分子を同時に投与することができる(例えば、同じ組成物もしくは別個の組成物として同時投与する。または免疫反応を高めるべく連続して投与する)。当該抗原と結合分子は、単一の薬学的組成物または別個の組成物に製剤することができる。好ましい態様において、当該抗原と結合分子は同時に被験体に投与する。別法として、ある状況においては、最初に抗原を投与し、次いで結合分子を投与することが望ましいかもしれないし、逆が望ましいかもしれない(例えば、天然にTh1反応を誘発する抗原の場合、最初に単独で抗原を投与してTh1反応を刺激し、次いで結合分子を単独で、もしくは抗原の追加免疫とともに投与し、免疫反応をTh2反応にすることが有益かもしれない)。好ましい態様において、本発明のILT3結合分子を準備段階、すなわち、最初の抗原の投与時に、抗原とともに、例えば、−3、−2、−1、0、+1、+2、+3日目に投与する。本発明のILT3結合分子の特に好ましい投与日は、−1日目である。
ある態様において、ILT−3結合分子は、関連する抗原とともに投与される。関連する抗原とは、免疫反応が望ましい抗原である。例えば、抗原が由来する感染物質への曝露から被験体を保護することが可能なものである。別の態様において、本発明は、抗原を投与する必要なく免疫反応を高めるための、本発明ILT−3の結合分子の投与に関連する。
関連する抗原の例としては、該抗原に対する免疫反応が、抗原によって引き起こされる疾患を予防または治療する機能をもつ、感染物質に由来するものが挙げられる。そのような抗原としては、限定されないが、ウイルス性、細菌性、真菌性、もしくは寄生虫性タンパク質や他のあらゆるタンパク質類、グリコプロテイン、リポタンパク質、糖脂質などが含まれる。関連する抗原はまた、腫瘍を持つリスクのある被験者、もしくは、腫瘍があると診断された被験者に対して有益なものを含む。該被験者は、好ましくは哺乳動物であり、最も好ましくはヒトである。
典型的な抗原は、以下のように分類することができる。すなわち、タンパク質抗原、例えば、セルロプラスミンおよび血清アルブミンなど;細菌性抗原、例えば、タイコ酸、鞭毛抗原、莢膜多糖体、および細胞外細菌性生成物やトキシンなど;グリコプロテインおよび糖脂質;ウイルス類、例えば、動物、植物および細菌性ウイルスなど;複合体化した、および合成抗原、例えば、タンパク質ハプテン接合体、正常組織と比較したとき、腫瘍によって優先的に発現される分子;合成ポリペプチド;ならびに、リボ核酸およびデオキシリボ核酸などの核酸。本明細書において用いられている用語「感染物質」は、宿主細胞に免疫反応を誘発するあらゆる抗原を含む。有用であると考えられているウイルス性抗原の例としては、限定されないが、インフルエンザウイルスの核タンパク質(NP)や、HIVのGagタンパク質が挙げられる。他の異種性の抗原としては、限定されないが、HIV−Envタンパク質もしくはその部分gp120やgp41、HIV−Nefタンパク質、およびHIV−Polタンパク質、逆転写酵素、およびプロテアーゼなどが挙げられる。さらに、他のウイルス抗原、例えば、エボラウイルス(EBOV)抗原、例えば、EBOV−NPもしくはグリコプロテイン(GP)、全長もしくは分子のムチン領域にGP欠失をもつもの(Yang Z-Y, et al. (2000) Nat
Med 6:886-9, 2000)、小痘疹抗原、A型、B型、もしくはC型肝炎ウイルス、ヒトライノウイルス、例えば、タイプ2もしくはタイプ14、単純疱疹ウイルス、ポリオウイルスタイプ2もしくはタイプ3、足突起病ウイルス(FMDV)、狂犬病ウイルス、ロタウイルス、インフルエンザウイルス、コクサッキーウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、例えば、タイプ16パピローマウイルス、そのE7タンパク質、E7タンパク質を含有するフラグメント、もしくはそのエピトープ;ならびに、サル免疫不全ウイルス(SIV)を用いることができる。関連する抗原は、ウイルス起源の抗原に限られるわけではない。寄生虫性の抗原、例えば、マラリア抗原が含まれる。同様に、真菌性抗原、細菌性抗原、および腫瘍抗原も含まれる。細菌起源の抗原の例としては、百日咳菌(例えば、P69タンパク質、および糸状赤血球凝集素(FHA)抗原)、ビブリオコレラ、バシラス−アンスラシス、および、例えば、熱不安定性トキシンBサブユニット(LT−B)大腸菌、K88抗原大腸菌、および腸内毒素原性大腸菌などの大腸菌抗原が挙げられる。抗原の他の例としては、マンソン住血吸虫P28グルタチオンS−トランスフェラーゼ抗原(P28抗原)および吸虫の抗原、マイコプラズマ、線虫、条虫、クラミジア−トラコマチス、およびマラリア属またはバベシア属の原虫などのマラリア原虫、例えば、熱帯熱マラリア原虫、および前記抗原からのイムノゲンエピトープをコードするペプチドが挙げられる。
本明細書において用いられている用語「腫瘍関連抗原」は、宿主生物の腫瘍成長または転移に影響を及ぼす抗原を意味する。腫瘍関連抗原は、腫瘍成長によって発現される抗原であることができる。または、それは、非腫瘍細胞によって発現された抗原であってもよいが、そのように発現された場合は、腫瘍細胞の成長または転移を促進する。腫瘍抗原の種類および腫瘍関連抗原は、あらゆる公知のまたは、これまで知られていない腫瘍抗原であり、限定されないが、白血病のbcr/abl抗原、子宮頚癌に関連する発癌性ウイルスのHPVE6およびE7抗原、メラノーマの、またはそれに関連するMAGE1およびMZ2−E抗原、および乳癌に関連するMVC−1およびHER−2抗原が挙げられる。
本発明の組成物を投与することによって治療または予防することができるかもしれない感染、疾患、または障害は、宿主が免疫反応することによって、感染、疾患、または障害を予防する機能を果たすあらゆる感染、疾患、または障害を含む。本発明の組成物によって治療または予防され得る疾患、障害、または感染は、限定されないが、真菌、寄生虫、ウイルス、もしくは細菌によって引き起こされる、またはそれに関連するあらゆる感染、疾患、または障害、バイオテロリズム、リステリア症、エボラウイルス、SARS、小痘、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎に用いられる種々の抗原に関連する疾患、障害または感染、ヒトライノウイルスによって引き起こされる疾患および障害、HIVおよびAIDS、ヘルペス、ポリオ、足突起病、狂犬病、ロタウイルス、インフルエンザ、コクサッキーウイルス、ヒトパピローマウイルス、SIV、マラリア、癌などによって引き起こされる疾患または障害、および腫瘍、ならびに、百日咳菌、ビブリオコレラ、バシラス−アンスラシス、大腸菌、吸虫、マイコプラズマ、回虫、条虫、クラミジア−トラコマチス、およびマラリア原虫による感染によって引き起こされる、もしくはそれに関連する疾患または障害が挙げられる。
腫瘍細胞に対する免疫反応
調節T細胞は、自己免疫疾患および癌に対する免疫反応を抑制することによって、免疫学的自己耐性(忍容性)において重要な役割を果たす。したがって、ある態様において、免疫反応を上方調整することは、癌における免疫反応を高めるのに有用であろう。したがって、本発明の結合分子を悪性の疾患の治療に用いて、腫瘍の成長または転移を阻害することができる。結合分子は、全身投与もしくは局所投与によって腫瘍部位に投与することができる。
ある態様において、ILT3機能の調整は、腫瘍免疫の誘発において有用かもしれない。ILT3結合分子は、腫瘍(例えば、サルコーマ、メラノーマ、リンパ腫、白血病、神経芽細胞腫、癌腫)のある患者に対して投与して、該患者において腫瘍特異性の耐性(忍容性)を克服することができる。
本明細書において用いられている用語「腫瘍疾患」は、悪性腫瘍の成長、または良性の過剰増殖および増殖性細胞によって特徴付けられる疾患の状態を特徴とする。用語「新生物」の通常の医学的意味は、正常の成長コントロールに対する反応性を損失した結果、起こる「新細胞の成長」、例えば、新生物の細胞成長を意味する。
本明細書において用いられている用語「過剰増殖」、「増殖性」、「悪性の」および「新生物の」は、互換可能に用いられており、異常な状態または急速な増殖もしくは新生物を特徴とする状態の細胞を意味する。これらの用語は、組織病理学的なタイプもしくは侵襲度合いに関係なく、あらゆるタイプの過剰増殖成長、増殖性成長、癌性成長もしくは発癌性のプロセス、転移性組織、または、悪性に変換された細胞、組織、もしくは臓器を含むことが意図される。「過形成」は、異常に高速で成長する細胞を意味する。しかしながら、異常な細胞成長速度を行う細胞を一般的に意味するという状況からわかるように、用語、新生物および過形成は互換可能に用いることができる。新生物および過形成は、「腫瘍」を含む。そしてこの腫瘍は、良性、前悪性、または悪性のいずれであってもよい。
用語「新生物」、「過形成」および「腫瘍」は、一般に、制御することができない、異常な細胞の成長を特徴とする100を超える疾患の一般名称である「癌」と呼ばれることが多い。癌の例としては、限定されないが、乳癌、結腸癌、非小細胞肺癌、頭部および頚部の癌、結直腸癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、腎臓癌、メラノーマ、および消化器系(例えば、膵臓および胃)の癌、ならびに骨原性肉腫が挙げられる。
ある態様において、癌は、膵臓癌、メラノーマ、乳癌、肺癌、気管支癌、結直腸癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳もしくは中枢神経系の癌、末梢神経系の癌、食道癌、子宮頚癌、子宮もしくは子宮内膜の癌、口腔もしくは咽頭の癌、肝臓癌、腎臓癌、精巣癌、胆道癌、小腸もしくは盲腸の癌、唾液腺の癌、甲状腺の癌、副腎の癌、骨肉腫、軟骨肉腫、および血液組織の癌からなる群から選択される。
感染物質に対する免疫反応
免疫反応に対するアップレギュレーションは、存在する免疫反応を高める形態であってもよいし、または最初の免疫反応を誘発する形態であってもよい。例えば、ILT3を調整することによって免疫反応を高めることは、ウイルス感染の症例において有用かもしれない。抗ILT3結合分子は、免疫反応を高める作用をするので、それらは、より迅速で完全な、病原性物質、例えば、バクテリアやウイルスの除去が有効である場合に治療的に有用である。
本明細書において用いられている用語「ウイルス感染」は、生物による感染が含まれ、その生物の例としては、限定されないが、HIV(例えば、HIV−1およびHIV−2)、ヒトヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス(特に、ヒト)、ロタウイルス、エプスタイン−バーウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、B型肝炎ウイルス、A型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスおよびE型肝炎ウイルスといった肝炎ウイルス、パラミキソウイルス:呼吸系発疹ウイルス、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス(例えば、HPV6、11、16、18など)、フラビウイルス(例えば、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス)、またはインフルエンザウイルスが挙げられる。
本明細書において用いられている用語「細菌感染」は、グラム陰性菌およびグラム陽性菌を含む、種々の細菌生物による感染を意味する。その例としては、限定されないが、ナイセリア・ゴノレエ、ナイセリア・メニンギチジスを含むナイセリア種、ストレプトコッカス・ニューモニエ、ストレプトコッカス・ピオゲネス、ストレプトコッカス・アガラクティエ、トレプトコッカス・ミュータンスを含むトレプトコッカス種;ヘモフィルス・インフルエンゼタイプB、非型ヘモフィルス・インフルエンゼ、ヘモフィルス・インフルエンゼ・デュクレイを含むヘモフィルス種;ブランハメラカタラーリスとしても知られているモラクセラカタラーリスを含むモラクセラ種;ボルデテラ・ペルツッシス、ボルデテラ・パラペルツッシスおよびボルデテラ・ブロンキセプチカを含むボルデテラ種;マイコバクテリウム・ツベルクローシス、マイコバクテリウム・ボビス、マイコバクテリウム・レプレ、マイコバクテリウム・アビウム、パラ結核菌、マイコバクテリウム・スメグマチスを含むマイコバクテリウム種;レジオネラ・ニューモフィラを含むレジオネラ種;エンテロトキシン性大腸菌、腸管出血性大腸菌、腸管病原性大腸菌を含む大腸菌;ビブリオコレラを含むコレラ種;ゾンネ菌、志賀赤痢菌、フレクスナー赤痢菌を含む赤痢菌種;エルシニア・エンテロコリチカ、エルシニア・ペスティス、エルシニア・シュードツベルクローシスを含むエルシニア種;カンピロバクター・ジェジュニ、カンピロバクター・コリを含むカンピロバクタ種;チフス菌、パラチフス菌、サルモネラ・コレレスイス、サルモネラエンテリティディスを含むサルモネラ種;リステリア・モノサイトゲネスを含むリステリア種;ヘリコバクターピロリを含むヘリコバクター種;シュードモナス・アエルギノーザを含むシュードモナス種;スタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・エピデルミディスを含むスタフィロコッカス種;エンテロコッカス・フェカーリス、エンテロコッカス・フェシウムを含むエンテロコッカス種;破傷風菌、ボツリヌス菌C型、クロストリジウム-ディフィシレを含むクロストリジウム種;炭疽菌を含むバチルス種;ジフテリア菌を含むコリネバクテリウム種;ライム病菌、ボレリア・グラインゲリ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・アンデルソニ(B. andersonii)、ボレリア・ヘルムシーを含むボレリア種;エーリキア・エクイ(E. equi)およびヒト顆粒球を含むエーリキア種;リケッチア-リケッチイを含むリケッチア種;クラミジア・トラコマチス、クラミジア肺炎、オウム病クラミジアを含むクラミジア種;レプトスピラ・インタロガンスを含むレプトスピラ種;梅毒トレポネーマ、トレポネーマ-デンティコラ、トレポネーマ-ビオディセンテリエを含むトレポネーマ種が含まれる。好ましいバクテリアは、限定されないが、リステリア、マイコバクテリア、マイコバクテリア(例えば、ツベルクローシス)、炭素菌、サルモネラおよびリステリアモノサイトゲネス(monocytogenes)が含まれる。
別の態様において、T細胞を患者から除去し、任意にシグナルを活性化しながら(例えば、抗原プラスAPC、もしくはポリクローナル抗体)、インビトロで抗ILT3結合分子に接触させ、患者に再び導入することができる。
抗ILT3結合分子はまた、種々の病原菌に対するワクチンにおいて予防的に使用することもできる。病原体に対する免疫、例えば、ウイルスは、ILT3結合分子(上記)を一緒に用いて、ウイルス性タンパク質でワクチン駐車して導入することができるであろう。別法として、病原性の抗原とILT3結合分子の双方をコードする発現ベクター、例えば、ウイルスタンパク質をコードする核酸およびILT3結合分子をコードする核酸を発現するように工学処理されたワクチンウイルス発現ベクターをワクチン接種に用いることができる。有用かもしれないワクチン用の病原菌としては、例えば、B型肝炎、C型肝炎、エプスタイン−バールウイルス、サイトメガロウィルス、HIV−1、HIV−2、結核、マラリア、および住血吸虫病などがある。
本発明はさらに、診断薬または治療薬と組み合わせた結合分子を含む。結合分子は、診断的に使用することができる。例えば、臨床試験処置の一環として、腫瘍の発達または進行をモニターして、例えば、所望の治療レジメンの有効性を判断するために使用することができる。検出は、抗体を検出可能な物質に結合させることによって容易にすることができる。検出可能な物質の例としては、種々の酵素、補欠分子団、蛍光物質、発光物質、生物ルミネセンス物質、放射性物質、種々の陽電子放出トモグラフィーを用いた陽電子放出金属、および非放射性の常磁性金属イオンなどが挙げられる。検出可能な物質は、当業で公知の技術を用いて、直接的または中間物質(例えば、当業で公知のリンカーなど)を介して間接的に結合分子に結合または接合することができる。例えば、米国特許第4,741,900号は本発明の診断薬として使用される結合分子に結合し得る金属イオンについて記載しエチル。好適な酵素の例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼがある。好適な補欠分子団としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンの複合体がある。好適な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンが挙げられる。発光性の物質の例としては、ルミノールがある。生物ルミネセンスの例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、アエクオリンがある。放射性物質の例としては、I125、I131、I111またはIn99Tcがある。
さらに、結合分子は、サイトトキシン、例えば、細胞増殖抑制剤もしくは細胞破壊薬などの治療的部分、治療薬、または放射性金属イオン、例えば、アルファエミッター(例えば、213Bi)に結合せることもできる。サイトトキシンもしくは細胞毒物は、細胞に有害なあらゆる物質を含む。例としては、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、ならびにそれらのアナログ類またはホモログ類が含まれる。治療薬としては、限定されないが、アンチメタボライト(例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロールエサミン、チオテパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(carnustine)(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC,およびシス−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリノン(例えば、ダウノルビシン(旧称、ダウノマイシン)および抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(旧称、アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシンおよびアントラマイシン(AMC))、および抗有糸分裂物質(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)が含まれる。
本発明は、さらに本発明の結合分子を、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒト患者に、開示されている疾患、障害、または状態を治療、検出、および/または予防するために投与することを含む、結合分子をベースとした治療に関する。本発明の治療的薬物は、限定されないが、本発明の結合分子(本明細書に記載のように、そのアナログおよび誘導体を含む)および本明細書に記載の抗イディオタイプ結合分子を含む。本発明の結合分子は、限定されないが、本明細書に記載の疾患、障害、または状態のいずれか1つ(例えば、本発明の結合分子は、当業で公知の、もしくは本明細書に記載の薬学的に許容可能な組成物とともに提供してもよい)を含む、ILT3の異常活性に関連する疾患、障害、または状態を診断、阻害、または予防するために使用することもできる。
本発明の結合分子はまた、他のモノクローナルもしくはキメラ結合分子、または、リンフォカインもしくは造血性成長因子(例えば、IL−2、IL−3およびIL−7)、例えば、結合分子と相互作用するエフェクター細胞の数もしくは活性を増加させる働きをするものと組み合わせて用いることが有利かもしれない。
本発明の結合分子は、単独で投与してもよいし、または他の治療、例えば、免疫抑制剤による治療もしくは活性化された免疫細胞の標的(例えば、癌細胞もしくは病原菌)の増殖を制御するように設計された治療を組み合わせてもよい。治療法の例としては、例えば、放射線治療、化学療法、ホルモン療法、免疫療法、ならびに、抗腫瘍薬、抗生物質およびイムノグロブリンがあげられる。一般的に、生成物(結合分子の場合)の投与は、その種そのものまたは患者と同じ反応性であることが好ましい。そのため、好ましい態様において、ヒト結合分子、誘導体、アナログ、または核酸は、治療または予防のためにヒト患者に投与される。
本発明の結合分子は、ヒト被験者に治療目的で投与することができる。さらに、本発明の結合分子は、結合分子が交差反応するILT3を発現する非ヒト哺乳動物(例えば、霊長類)に獣医学的目的で投与することができるし、または、ヒト疾患の動物モデルに投与することができる。後者に関しては、そのような動物モデルは、本発明の結合分子の治療効果(例えば、投与量や投与クールの時間)を評価するのに有用かもしれない。
本発明は、さらに本発明の結合分子を、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒト患者に、開示されている疾患、障害、または状態を治療、検出、および/または予防するために投与することを含む、結合分子をベースとした治療に関する。本発明の治療的薬物は、限定されないが、本発明の結合分子(本明細書に記載のように、そのアナログおよび誘導体を含む)および本明細書に記載の抗イディオタイプ結合分子を含む。本発明の結合分子は、限定されないが、本明細書に記載の疾患、障害、または状態のいずれか1つ(例えば、本発明の結合分子は、当業で公知の、もしくは本明細書に記載の薬学的に許容可能な組成物とともに提供してもよい)を含む、ILT3の異常活性に関連する疾患、障害、または状態を診断、阻害、または予防するために使用することもできる。
VI.薬学的組成物
本発明の結合分子は、被験体に投与するのに好適な薬学的組成物に組み込むことができる。薬学的組成物は、典型的に、本発明の結合分子と、薬学的に許容可能な担体とを含む。本明細書において用いられる用語「薬学的に許容可能な担体」には、薬剤投与に適合性あるあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗カビ剤、等張剤および吸収遅延剤等が含まれる。このような媒質および薬剤の、薬学的に活性な物質のための使用は当業で公知である。従来の媒質または薬剤が当該活性化合物にとって不適合でない限り、当該組成物中のその使用が考慮される。補助的な活性化合物も、本組成物中に組み込むことができる。
本発明の薬学的組成物は、それに意図された投与経路に適合性あるように調合される。投与経路の例には、非経口、例えば静脈内、皮内、皮下、経口(例えば吸入)、経皮(局所)、経粘膜および直腸投与がある。非経口、皮内、または皮下適用に用いられる溶液または懸濁液には、以下の成分を含めることができる:無菌の希釈剤、例えば、注射用の水、生理食塩水溶液、非揮発性の油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒;抗菌剤、例えばベンジルアルコール又はメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸;緩衝剤、例えば酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩、及び塩化ナトリウム又はデキストロースなどの張性を調節するための薬剤。pHは、塩酸又は水酸化ナトリウムなどの酸又は塩基で調節することができる。非経口用の製剤は、ガラス製又はプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ又は多人数用バイアルに封入することができる。
注射用用途に適した薬学的組成物には、無菌の水溶液(水溶性の場合)または分散液や、無菌の注射用溶液または分散液の即時調製用の無菌粉末がある。静脈内投与の場合、適した担体には、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(登録商標)(BASF, Parsippany, NJ)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)がある。いずれの場合も、組成物は無菌でなければならず、また注射筒への注入が容易な程度に流動性でなければならない。またそれは製造および保管条件下で安定でなければならず、細菌およびカビなどの微生物の汚染作用から保護されていなければならない。当該の担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール等)、およびこれらの適した混合物などを含有する溶媒または分散媒であってよい。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを用いたり、分散液の場合には必要な粒子の大きさを維持したり、そして界面活性剤を使用するなどにより、維持できる。微生物の活性は、種々の抗菌座および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどを用いて、阻止することができる。多くの場合、例えば、糖類、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、および塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物中に含めることが好ましい。注射用組成物の吸収を長引かせるには、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなど、吸収を遅らせる薬剤を組成物中に含めることにより、可能である。
無菌の注射用溶液は、必要量の活性化合物を適した溶媒に、必要に応じて上に列挙した成分の1つまたは組み合わせと一緒に加えた後、濾過滅菌を行うことにより、調製できる。分散液は一般的には、塩基性の分散媒と、上に列挙したものの中で必要な他の成分とを含有する無菌の賦形剤に当該活性化合物を取り入れることで、調製されている。無菌の注射用溶液の調製用の無菌粉末の場合、好適な調製法は真空乾燥および凍結乾燥であり、その結果、活性成分および付加的な所望の成分の粉末が、予め殺菌濾過されたその溶液から生じる。
経口用組成物は、一般に、不活性の希釈剤または食用の担体を含む。これらをゼラチン・カプセルに封入することも、または圧縮して錠剤にすることも可能である。経口による治療的投与の目的のためには、活性化合物を賦形剤と一緒に導入することができ、錠剤、トローチ、またはカプセルの形で用いることができる。経口用組成物は、さらに、口内洗浄剤として用いるために流動性の担体を用いて調製でき、この場合、当該の流動性の担体中の化合物は経口により用いられ、さっと口に入れ、喀出されるかまたは飲み込まれる。薬学的に適合性ある結合剤、および/または、アジュバント材料を組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸剤、カプセル、トローチ等には以下の成分、または同様の性質の化合物のうちのいずれかを含めることができる:微結晶セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチンなどの結合剤;でんぷんまたはラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、Primogel、またはコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはSterotesなどの潤滑剤;コロイド状二酸化珪素などの推進剤;ショ糖またはサッカリンなどの甘味料;またはペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジ着香料などの着香料。
吸入による投与の場合、本化合物を、例えば二酸化炭素などのガスなど、適した推進剤を含有する加圧式の容器またはディスペンサー、あるいはネブライザーからのエーロゾル噴霧の形で送達する。
全身投与は、経粘膜または経皮手段によってもよい。経粘膜または経皮投与の場合、透過させようとする障壁に適した浸透剤を調合物中に用いる。このような浸透剤は当業で広く公知であり、その中には、例えば、経粘膜投与の場合、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体がある。経粘膜投与は、鼻孔用スプレーまたは座薬を用いて行うことができる。経皮投与の場合、当該の活性化合物を軟膏、軟膏剤、ゲル、またはクリームに当業で広く公知のように調合する。
さらに本化合物を座薬(例えば、ココアバターおよび他のグリセリドなどの従来の座薬用基材と一緒に)または直腸送達用の停留浣腸剤の形で調製することもできる。
ある実施態様では、本発明の結合分子を、インプラントおよびマイクロ封入送達系を含め、制御放出調合物などとして、身体から化合物が急速に失われないように保護する担体と一緒に調製する。酢酸エチレンビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生分解性で生体適合性のあるポリマーを用いることができる。このような調合物の調製法は、当業者には明白なはずである。さらに当該の材料はアルザ・コーポレーションおよびノヴァ・ファーマシューティカルズ社から市販のものを入手できる。リポソーム懸濁液も、薬学的に許容可能な担体として用いることができる。これらは、例えば米国特許第4,522,811号に解説された通りに、当業者に公知の方法に従って調製することができる。
投与の容易さおよび投薬量の均一性のためには、経口用または非経口用組成物を単位剤形で調合することが特に有利である。ここで用いる単位剤形とは、治療しようとする対象にとって単位型の投薬量として調整された物理的に別個の単位を言う。各単位は、必要な薬品用担体との関連から所望の治療効果を生ずるよう計算された所定量の活性化合物を含有する。本発明の単位剤形の詳細は、活性化合物の固有の特徴、および、達成しようとする特定の治療効果、およびこのような活性化合物を、個体の治療に向けて配合する技術に内在する限界、によって決定され、またこれらに直接依存する。
このような化合物の毒性および治療上の効験は、例えばLD50(集団の50%にとって致命的な用量)およびED50(集団の50%において治療上有効な用量)を判定するためなど、細胞培養または実験動物における標準的薬学的手法により決定することができる。毒性および治療上の効果の間の用量比が治療指数であり、それは比LD50/ED50で表すことができる。大きな治療指数を示す化合物が好ましい。毒性の副作用を示す化合物を用いることもできるが、非罹患細胞への潜在的損傷を抑え、ひいては副作用を減らすためには、罹患組織の部位にこのような化合物を標的決定する送達系をデザインするように注意が必要である。
細胞培養アッセイおよび動物実験で得たデータを、ヒトで用いる投薬量範囲を処方する際に用いることができる。このような化合物の投薬量は、好ましくは、毒性が少ないか、または全くないような、ED50を含む血中濃度範囲内であるとよい。投薬量は、用いる投薬量および用いる投与経路に応じてこの範囲内で様々であろう。本発明の方法において用いられるいずれの化合物でも、治療上の有効量はまず細胞培養アッセイから推定することができる。細胞培養で判定された通りのIC50(即ち、症状の半分−最大の阻害を達成する検査化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するために動物モデルで用量を調合することができる。このような情報は、ヒトで有用な用量をより精確に決定するために用いることができる。血漿中レベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーで測定することができる。
本薬学的組成物は、容器、パック、またはディスペンサー内に、投与に関する指示と一緒に含めることができる。
VII.本発明の結合分子の投与
本発明の結合分子は、インビボでの薬剤投与に適した生物学的適合形で対象に投与される。「インビボ投与に適した生物学的適合形」とは、いずれかの毒性効果よりも当該作用薬の治療的効果の方が大きいような、投与される作用薬の形であることを意味する。
本発明の治療用組成物の治療上の有効量の投与とは、所望の結果を達成するために必要な投薬量および期間で有効な量であると定義しておく。例えば、作用薬の治療上有効量は、個体の疾患の状態、年齢、性別、および体重といった因子や、当該個体で所望の応答を惹起する上での結合分子の能力に応じて変わるであろう。投薬養生法は、最適な治療的応答が得られるように調節することができる。例えば、複数に分割した用量を毎日投与することも、あるいは、治療の状態の緊急度を指標として用量を比率的に減らすこともできる。
本発明の薬学的組成物は、「治療的に有効な量」または「予防的に有効な量」の本発明の結合分子を含む。「治療的に有効な量」は、投与時および必要な期間において、所望の治療的効果を達成するために、有効な量を意味する。結合分子の治療的に有効な量は、個体の疾患の状態、年齢、性別、および体重といった因子や、当該個体で所望の応答を惹起する上での作用薬の能力に応じて様々であろう。治療的に有効な量はまた、治療的に有効な効果が結合分子の毒性作用もしくは有害作用よりも勝る場合の量である。「予防的に有効な量」は、投与時および必要な期間において、所望の予防的効果を達成するために、有効な量を意味する。典型的に、予防的投与は、被験体において、疾患が発症する前、もしくは疾患の早期の段階で適用されるので、予防的に有効な量は、治療的に有効な量よりも少ない。
投薬養生法は、最適な所望の反応(例えば、治療的もしくは予防的反応)を提供するために調整することができる。例えば、単回ボラスを投与してもよいし、複数回に分けて経時的に投与してもよいし、または、治療状況の緊急度によって指示に比例して、投与量を減少もしくは増加させてもよい。投与量の適用および均一化を容易にするために、投与単位の組成物を調剤することが特に有利である。本明細書において用いられている投与単位の剤形とは、治療されるべき哺乳動物被験体の単一の投与量として好適な、物理的に分散した単位を意味する。各ユニットは、所望の治療効果を発生させるために計算された所定量の活性化合物を、必要な薬学的担体と組み合わせて含有する。本発明の投与単位剤形の詳細を記載する。それは、直接的に(a)活性化合物の独自の特性および特定の治療的もしくは予防的効果、ならびに(b)そのような化合物を、個体の治療感受性について化合物化する技術に固有の限定に依存している。
本発明の結合分子の治療的もしくは予防的有効な量の限定されない例の範囲は、例えば、約0.1〜25mg/kg、約1.0〜10mg/kg、約0.5〜2.5mg/kg、約5〜25mg/kg、約1〜400mg/kgである。なお、用量の値は、改善しようとする病状のタイプおよび重篤度によって変化する。さらに、あらゆる特定の被験体について、具体的な用量を、個体の必要性、および当該組成物の投与および投与の監督を行う当業者の専門的判断に基づいて、時間をかけて調整すべきであること、また、ここに示した投与量の範囲は、単なる例に過ぎず、請求の範囲で述べた組成物の範囲またはプラクティスを限定することを意図するものではないことが理解されるであろう。本発明の結合分子の治療的もしくは予防的有効な量の、さらなる限定されない例の範囲は、被験体の体重あたり、約0.0001〜100mg/kg、および約0.01〜5mg/kg(例えば、0.02mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、0.75mg/kg、1mg/kg、2mg/kgなど)である。例えば、投与量は、1mg/kg体重もしくは10mg/kg体重、または1−10mg/kgの範囲とすることができる。好ましくは、少なくとも1mg/kgである。上記範囲の投与量中間値も本発明の範囲内であることが意図される。
被験体にそのような用量で、毎日、1日おき、週1回、または経験的分析によって決定された他のあらゆるスケジュールにしたがって、投与することができる。治療は、複数の投与を長期間、例えば、少なくとも6ヶ月にわたって行うことを必要とする。さらに別の例の治療計画は、2週間に1回、または3〜6ヶ月に1回投与することを必要とする。投与の例としては、連続して毎日、1〜10mg/kgまたは15mg/kg、隔日に30mg/kgまたは週1回60mg/kgの投与が挙げられる。
本発明の結合分子は、多数回投与することができる。単回投与間の間隔は、例えば、毎日、週1回、月1回、または年1回、がある。間隔は、患者における結合分子の血液濃度を測定することによって指示されるように不規則とすることもできる。
本発明の結合分子は、任意に、治療を必要とする障害または状態を治療するのに有効な量(例えば、予防的もしくは治療的)の他の物質と組み合わせて投与することができる。好ましい追加的物質は、当業で認識されており、特定の障害のために標準的に投与される。
該結合分子は、注射(皮下、静脈内等)、経口投与、吸入、経皮投与、または直腸投与などの便利な方法で投与することができる。投与経路に応じ、当該化合物を失活させかねない酵素、酸および他の天然条件の作用から当該化合物を保護する物質で被覆することができる。例えば、非経口投与以外により本作用薬を投与するには、本作用薬を、その失活から保護する物質で被覆または同時投与することが好ましいであろう。
本発明の結合分子を、当業で公知の種々の方法で投与することができが、多くの治療的投与について、好ましい投与経路/投与形態は、静脈注射または注入である。当業者が理解しているように、該投与経路/投与形態は、所望の結果によって変わるであろう。いくつかの態様においては、活性化合物は、当該化合物が急速に放出するのを防ぐであろう担体とともに調製されるかもしれない。例えば、徐放性製剤である。これには、インプラント、経皮パッチ、およびマイクロ封入送達系がある。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸など、生分解性で生体適合性あるポリマーを用いることができる。このような製剤の調製方法は、多く特許となっており、当業者に全般に公知である。例えば、Sustained and Controlled
Release Drug Delivery Systems, J.R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978を参照されたい。
いくつかの態様において、本発明の結合分子は、例えば、不活性の希釈剤および食用の担体とともに、経口投与される。該化合物(および必要であれば、他の成分)は、ゼラチン硬カプセルもしくは軟カプセルに封入することも、または圧縮して錠剤にすることもできる。または被験者の食事に直接と組み込むこともできる。経口による治療的投与の場合、該化合物を添加物と一緒に取り入れ、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウエハース、などの形で用いることができる。非経口投与以外で本発明の化合物を投与するためには、該化合物をコーティングすること、または該化合物とその不活化を防ぐための物質とを同時投与することが必要かもしれない。
結合分子を、酵素阻害剤と一緒に投与することも、あるいはリポソームなどの適した担体に入れて投与することもできる。薬学的に許容される希釈剤には、生理食塩水および水性の緩衝剤水溶液がある。アジュバントはその最も広い意味で用いられており、その中には、インターフェロンなど、いずれかの免疫刺激性化合物が含まれる。ここで考慮されるアジュバントには、レゾルシノール、ポリオキシエチレンオレイルエーテルおよびn−ヘキサデシルポリエチレンエーテルなどの非イオン性界面活性剤が含まれる。酵素阻害剤には、膵臓トリプシン阻害剤、ジイソプロピルフルオロホスフェート(DEEP)およびトラジロールがある。リポソームには、水中油中水乳濁液や、従来のリポソームがある (Sterna
et al. (1984) J.
Neuroimmunol. 7:27)。
該活性化合物を非経口投与しても、または腹腔内投与してもよい。分散液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびこれらの混合物中や、油中に調製することもできる。通常の保管および使用条件下では、これらの製剤に、微生物の成長を防ぐ保存剤を含めてもよい。
活性化合物が上述したように適宜保護されていれば、本作用薬を、例えば不活性の希釈剤または同和可能な食用の担体と一緒に経口投与することができる。
補助活性化合物を組成物に組み込むこともできる。いくつかの対応において、本発明の結合分子は、1以上の追加治療薬と同時に製剤されおよび/または同時に投与される。例えば、本発明の抗ILT3結合分子は、他の標的と結合する1以上のさらに別の抗体、例えば、他のサイトカインと結合する抗体、または、細胞表面分子と結合する抗体と同時に製剤されおよび/または同時に投与される。そのような併用療法は、投与された治療薬の投与量を有利に減少させるかもしれず、可能な毒性または種々の単独治療との併用を避ける。
本発明はさらに、診断薬もしくは治療薬と組み合わせた結合分子を包含する。結合分子は、例えば、所与の治療計画の有効性を決定するための臨床試験処置の一環として、例えば、腫瘍の発症もしくは進行を診断的にモニターするために使用することができる。検出は、抗体を検出可能な物質と結合することによって容易に行うことができる。検出可能な物質の例には、種々の酵素、補欠分子団、蛍光物質、発光性物質、生物発光物質、放射性物質、種々のポジトロン放出断層撮影を利用したポジトロン放出金属、および非放射性常磁性金属イオンが挙げられる。該検出可能な物質は、結合分子に直接的結合もしくは接合してもよいし、中間物質(例えば、当業で公知のリンカーなど)を介して間接的に結合もしくは接合してもよい。例えば、本発明において診断に使用するための結合分子に接合され得る金属イオンについては、米国特許第 4,741,900号を参照されたい。好適な酵素の例には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが含まれる。好適な補欠分子団の例には、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが含まれ、好適な蛍光物質の例には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドもしくはフィコエリトリンが含まれ、発光性物質の例にはルミノールが含まれ、好適な生物発光物質の例には、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、アエクオリンが含まれ、好適な放射性物質の例には、I125、I131、I111、In99Tcが含まれる。
さらに、結合分子は、サイトトキシン、例えば、細胞静止もしくは細胞破壊性の物質、治療薬、放射性金属イオン、例えば、アルファエミッター(例えば、213Bi)、生物学的トキシン、プロドラッグ、ペプチド、タンパク質、酵素、ウイルス、脂質、生物反応変性剤、医薬物質、免疫学的に活性のあるリガンド(例えば、リンフォカインもしくは他の抗体)、などの治療的部分に接合してもよい。別の態様において、本発明の結合分子は、腫瘍の血管新生を減少させる分子に接合することができる。他の態様においては、開示された組成物は、薬物もしくはプロドラッグに結合した本発明の結合分子を含んでもよい。本発明のさらに別の態様は、特異的な生物毒素もしくはそれらの細胞傷害性フラグメント、例えば、リシン、シュードモナスエキソトキシンもしくはジフテリアトキシンに接合した本発明の結合分子の使用を含む。使用すべき結合分子のいずれが接合されており、接合されていないかの選択は、癌の種類、調整治療の使用(例えば、化学療法もしくは体外放射線療法)および患者の状態によって変わる。当業者は、ここに記載の教示に鑑み、そのような選択を容易に行うことができると理解されよう。
サイトトキシンまたは細胞傷害性物質は、細胞にとって有害なあらゆる物質を含む。例としては、パクリタキセル、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン(dihydroxy anthracin dione)、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド類、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、ならびにそのアナログもしくはホモログがある。治療薬としては、限定されないが、アンチメタボライト(例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン(fluorouracil decarbazine)、アルキル化剤(例えば、クロルエタミン、チオテパクロランブシル(thioepa chlorambucil)、メルファラン、カルスチン(carnustine)(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロトスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシス-ジクロロジアンミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(旧称:ダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(たとえば、ダクチノマイシン(旧称:アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシンおよびアントラマイシン(AMC))、ならびに抗分裂剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)が挙げられる。
本発明をさらに以下の実施例で説明することとするが、以下の実施例を限定的なものと捉えられてはならない。本出願全体を通じて引用された全参考文献、特許および公開済み特許出願の内容や、図面および添付物を、引用をもってここに援用することとする。
9B11の単離および精製
ILT3をコードする遺伝子をクローニングし、それを用いてマウスを免疫し、抗ILT3モノクローナル抗体を作製した。9B11抗体は、IgG1抗体である。
9B11抗体を下記のようにして精製した:
1.20mlのタンパク質G(Pharmacia HR 10/30)を5CVのdPBSで洗浄した。
2.1L(ラン1)または2L(ラン2)のマウス抗ヒトILT3上清を載せた。
3.10CVのdPBSで洗浄した。
4.100mMのクエン酸塩、pH2.8を用いて、直接的に1Mのトリス(20〜25%v:v)に溶出させた。
5.100mMのクエン酸塩、pH2.8、0.3MのNaClを用いて剥離した。
9B11抗体は、カニクイザルおよびヒヒの単球と交差反応を示した。
インビトロで9B11処理した樹状細胞は、共刺激性分子の細胞表面での発現が低い
MDDCをIL−10または抗ILT3mAbs(5A1、9B11もしくは9G3)の存在下で誘発した。未成熟樹状細胞および成熟樹状細胞を対照として用いた。さらに、MDDCも陰性対照であるTRX1の存在下で誘発した。得られた結果を図1に示す。これは、フローサイトメトリーによる測定によれば、9B11の存在下で分化したMDDCにおいて、CD86、CD80、CD83およびHLA−DRなどの共刺激性分子の発現が低いことがわかる。
上記したように、9B11の存在下で分化した細胞は、共刺激性分子の細胞表面発現パターンが減少することがわかった。したがって、これらの細胞は、混合リンパ球反応においてT細胞の同種間反応を起こさない可能性が高い。図2に示すように、9B11の存在下で分化したMDDCでは、混合リンパ球反応においてアネルギー性のT細胞刺激が起こる。2×10のT細胞に対して500個または1000個ずつのDCを添加した。Hチミジンの添加前、細胞を3日間刺激した。
さらに、9B11の存在下で誘発されたMDDCは、LPSを用いて刺激を行った場合、IL−12、TNF−αまたはIL−αを生成できない。0日目および3日目に単球をGM−CSFおよびIL−4で処理した。0日目および3日目にIL−10またはILT3(9B11;10μg/ml)を添加した。5日目に、細胞を洗浄し、LPS(5μg/ml)を成熟培養物に添加した。LPSを添加した48時間後に上清液を回収した。サイトカインをELISAによって測定した(Pierce Endogen)。2つの異なる単球ドナー(ドナー#26およびドナー#5を用いた)(図3)。
9B11を用いてインキュベートした新鮮に単離された血液樹状細胞は、サイトカイン(IL−6、IL−1ベータ、TNF−アルファおよびPGE)の混合物を用いて該細胞を成熟させたとき、刺激性の分子の発現を完全にアップレギュレートすることが可能であった。成熟混合物を添加する24時間前に、新鮮に単離された血液樹状細胞を9B11とともにインキュベートした。該細胞を48時間表現型化し、その後9B11による処理によって共刺激性の分子の発現が減少するかどうかを判定した。図4に示すように、9B11によって単球を処理した結果、CD86およびHLA−DRの双方の発現を減少させた。
9B11はまた、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)、CD32を活性化することによって誘発される単球へのCa+2流入を阻害する。抗CD32を用いて単球を処理した後、ヤギ抗マウスIgG、IgMによって架橋すると、有意なCa+2流入が起こるであろう。しかしながら、CD32の添加および架橋の前に9B11によるインキュベーションを行った結果、これらの単球によるCa+2流入が減少した。アイソタイプ対照(マウスIgGl)ではCa+2流入の阻害が少なかったことから、これは、ILT3抗体に特異的なものであった(図5)。
Rabin,
et al.(J Immunol. (1999)162:3840-3850)に記載のようにして、フローサイトメトリーを用いて細胞内カルシウム流入を調べた。簡単に述べれば、単球由来の樹状細胞(2×10)をHBSS−HEPES(10mMのHEPES、Ca++、Mg++、および1%胎児性ウシ血清を添加したHBSS)に添加した。インド−1(Indo-1)およびプロイロニック界面活性剤(pleuronic detergent)(Molecular Probes, Eugene, OR)を当初濃度5μMおよび300μMで、それぞれ添加した。細胞懸濁液を30℃で45分間、穏やかに撹拌しながらインキュベートした。細胞をHBSS−HEPESで2回洗浄し、抗CD1aで染色し、再度洗浄した。CD1a樹状細胞のカルシウム流入を、アルゴンレーザーを備えたFACSVantageフローサイトメーター(Becton Dickinson)を用いて調べたところ、488nMであった。クリプトンレーザーでは、360nMであった。Indo−1蛍光光度を、390/20nMおよび530/20nMで分析し、境界およびフリーカルシウムをそれぞれ求めた。刺激前、細胞懸濁液を、37℃で3分間加温した。CD1a細胞集団を分離し、ベースライン蛍光比率を30秒間集めた。その後細胞をfMLP(10−5M)、T−20ペプチド(10−5M)またはF−ペプチド(10−5M)を用いて刺激し、その後fMLP(10−8M)で刺激した。カルシウム流入が基本レベルになるまで回収を続けた。Indo−1蛍光性の変化を、境界対細胞内のフリーカルシウムの比率で表した。刺激時のCD1a細胞集団全体をスキャッタグラフに示す。データ分析は、Flowjoソフトウェアを用いて行った(Tree Star, San Carlos, CA)。
インビトロで9B11を用いて処理した樹状細胞は、細胞表面抑制受容体の高い発現を示した
9B11は、抑制受容体、例えば、細胞に陰性阻害を生成するレセプターの発現を上方調整するもわかった。磁性ビーズ分離技術を用いて単球を単離した。該単球を、9B11、GM−CSFおよびIL4を用いて1日おきに処理した。5日目、これらの細胞の一部をIL1b、IL6、TNFαおよびPGE2を用いて成熟させた。細胞をさらに7日間インキュベートし、次いで、未成熟の樹状細胞(iDC)(IL1b、IL6、TNFαおよびPGE2を用いて処理していない細胞)および成熟した樹状細胞(mDC)からRNAを調製した。該RNAを用いてQPCRのcDNAを生成した。そのデータをハウスキーピング遺伝子18sRNAと関連付けて表す。マウスIgG1をアイソタイプ対照として用いた。双方の抗体を10μg/mlの濃度で用いた。
結果によれば、ILT3結合分子の存在下で樹状細胞に発育するように単球を培養することによって、いくつかの阻害分子がアップレギュレートすることがわかる。IDO(インドールアミン)は、細胞で処理したILT3結合分子中で非常に過剰発現した。この分子は、耐性の発生と関連している。トレロジェン性の樹状細胞はまた、CD200Rを発現し、インビボでトレロジェン性を示すことがわかっている。アイソタイプ対照と比較して、CD200RおよびCD40Lは、ILT3結合分子で処理した細胞で上昇した。9B11処理によってFCGRIIbおよびFCGRIIaの発現が上昇したが、サンプルの全てにおいて、FCGRIIbとFCGRIIaの発現は等しかった。成熟DC上の同じレセプターの発現がアイソタイプ対照と違いがなかったことから、この効果は未成熟DCに特異的なものである。
9B11のインビボでの特性
準備段階、例えば、マイコバクテリウム−ツベルクローシスを抗原として用いるワクチン接種プロトコルの−1、0および+1日目に、アカゲマカクを9B11で免疫した。+18日目に抗原を用いて、続く攻撃を行った結果、皮膚のDTH反応の悪化が認められた。これらの結果は、存在するアジュバントと比較して低い罹患率で、結合9B11が免疫反応を高める(例えば、感染および悪性の場合)のに有用なアジュバントとして機能するということを示すものである。
キメラ抗ILT3結合分子の調製
9B11軽鎖可変領域を、従来の分子生物学的手法を用いてヒト軽鎖定常領域に移植した。IgG1軽鎖定常領域を用いた。完全なキメラ軽鎖GITR結合分子のアミノ酸配列を以下に示す:
DIVLTQSPATLSVTPGDSVSLSCRASQGLTNDLHWYQQKPHESPRLLIKYASQSISGIPSRFSGSGSGTDFTLTINSVETEDFGVFFCQQSNSWPFTFGAGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号:25)
9B11重鎖可変領域も、従来の分子生物学的手法を用いてヒト重鎖定常領域に移植した。IgG1重鎖定常領域を用いた。完全なキメラ重鎖ILT3結合分子のアミノ酸配列を以下に示す「Gly」とも称する):
EVKLVESGGDLVKPGGSLKLSCAASGFAFSSYDMSWVRQTPEKRLEWVATISSSGSYTYYPDSVKGRFTISRDNARNTLYLQMSSLRSEDTALYYCERLWGAMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号:26)。
アミノ酸配列NX(S/T)は、結合分子の作製に影響を及ぼし得るグリコシレーション部位の推定上のコンセンサス配列であり、9B11重鎖のIgG1定常領域は配列NSTを有しているので、第2のバージョンの重鎖定常領域を、配列番号:27のアミノ酸残基296(太字かつ下線を施してある部分)においてグルタミンとアスパラギンが保存的に置換されるように作製した。それに応じて、第2のヒト定常領域を9B11重鎖可変領域に移植した。完全なキメラ重鎖ILT3結合分子のアミノ酸配列を以下に示す(「Agly」とも称する):
EVKLVESGGDLVKPGGSLKLSCAASGFAFSSYDMSWVRQTPEKRLEWVATISSSGSYTYYPDSVKGRFTISRDNARNTLYLQMSSLRSEDTALYYCERLWGAMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号:27)。
9B11抗GITR結合分子のヒト化形態の調製
Hwang et al. (2005)
Methods (36)
35-42に記載されているCDRホモロジーベースの方法を用いて9B11をヒト化した。重鎖および軽鎖アミノ酸配列を、公開されている利用可能なデータベースを用いてブラストした。その結果によれば、9B11は、3−1重鎖正準構造および2−1−1軽鎖正準構造を持つことが示された。これにより、IMGTデータベース中の2−1−1正準構造を持つ全ての生殖細胞系列κ鎖V遺伝子を9B11抗体配列と比較した。同じことを重鎖についても行い、そこでは、全ての3−1生殖細胞系列重鎖V遺伝子を9B11アミノ酸配列と比較した。CDR配列のみを比較し、フレームワークは、CDRにおいてどの生殖細胞系列配列が最も多くのマッチングを示すかに基づいて選択した(下のアライメントを参照されたい)。
軽鎖として、1−17*01配列は、15のマッチングをCDRに有するものを選択した。CDR3は、ロイシンとトレオニンで終わっている。Jk4J遺伝子セグメント配列を用いた。Jκ3遺伝子セグメント配列はより多くのマッチングを有している。しかしながら、Jκ2遺伝子配列(GQGTKLEIKR)(配列番号:19)を使用してもよい。
2−1−1正準構造を持つ軽鎖V遺伝子
Figure 0005597793
IMGTデータベース中の2−1−1正準構造を持つ全ての生殖細胞系列軽鎖カッパ鎖V遺伝子を9B11抗体配列と比較した。同じことを重鎖についても行い、そこでは、全ての3−1生殖細胞系列重鎖V遺伝子を9B11アミノ酸配列と比較した。
この方法を用いて、軽鎖の1つのバージョンを作製した。
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGLTNDLHWYQQKPGKAPKRLIYYASQSISGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCQQSNSWPFTFGQGTKLEIK(配列番号:28)(CDRをイタリック体で示している)。
多くの重鎖生殖系列配列は、9B11抗体に対して16のマッチングを有している。しかしながら、3−21*01は、CDR2の開始点のSが、キメラ配列のTに最も類似しているために選択した(保存的アミノ酸置換)。さらに、3−21*01のフレームワークは、CARで終わっている。これに対して、16のマッチングを有する他の重鎖生殖系列においては、CAKまたはCARIである。
重鎖のJ遺伝子セグメントとして、最も高いマッチングを示していたJH4を選択する。その後アミノ酸配列を逆翻訳し、所望のヌクレオチド配列に対応するプライマーをIDT(Coralville, IA)から取得する。
1−3正準構造重鎖V遺伝子
Figure 0005597793
この方法を用いて、重鎖の1つのバージョンを作製した。
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFAFSSYDMSWVRQAPGKGLEWVSTISSSGSYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARLWGAMDYWGQGTLVTVSS(配列番号:53)
9B11軽鎖可変領域および1−17*01生殖細胞系列の軽鎖配列のCLUSTAL W(1.82)マルチプル配列アライメント(ギャップペナルティー10をもつBlosumスコアリングマトリックスを用いる)も行った。その結果を下記表に示す。
Figure 0005597793
ヒト化9B11軽鎖の9B11フレームワーク残基に対応するアミノ酸残基を用いた潜在的置換を行うために、CLUSTAL W分析に基づいて、ヒトフレームワーク中のいくつかのアミノ酸残基を同定した。具体的には、位置3のQ、位置4のM、位置9のS、位置10のS、位置13のA、位置14のS、位置15のV、位置18のR、位置20のT、位置21のI位置22のT、位置41のG、位置42のK、位置43のA、位置45のK、位置46のR、位置49のY、位置58のV、位置70のE、位置76のS、位置78のL、位置79のQ、位置80のP、位置84のA、位置85のT、位置86のY、位置87のY、および位置100のQ。
同様に、9B11重鎖可変領域および3−21*01アミノ酸配列を持つ生殖細胞系列重鎖タンパク質のCLUSTAL W(1.82)マルチプル配列アライメント(ギャップペナルティー10をもつBlosumスコアリングマトリックスを用いる)も行った。その結果を下に示す。
Figure 0005597793
ヒト化9B11重鎖の9B11フレームワーク残基に対応するアミノ酸残基を用いた潜在的置換を行うために、CLUSTAL W分析に基づいて、ヒトフレームワーク中のいくつかのアミノ酸残基を同定した。
具体的には、位置3のQ、位置10のG、位置19のR、位置40のA、位置42のG、位置44のG、位置49のS、位置76のK、位置78のS、位置84のN、位置88のA、位置93のV、および/または位置97のA。
上記に基づいて、2つのヒト化全長9B11結合分子を、以下のヒト化重鎖および軽鎖の組み合わせを用いて作製することができる。
全長バージョン1(HuN9B11−Gly)−ヒト化(Hu)9B11軽鎖(L)/ヒト化重鎖、Nをもつ定常領域を含む(「Gly」)。
全長バージョン2(HuN9B11−Agly)−ヒト化(Hu)9B11軽鎖(L)/ヒト化重鎖、Aをもつ定常領域を含む(「Agly」)。
全長結合分子を作製するために用いられたグリコシル化されたIgG1重鎖定常領域のアミノ酸配列を以下に示す。
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号:30)。
全長結合分子を作製するために用いられたグリコシル化されたIgG1重鎖定常領域のアミノ酸配列を以下に示す。
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号:31)。
全長結合分子を作製するために用いられたグリコシル化されたIgG1軽鎖定常領域のアミノ酸配列を以下に示す。
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号:32)。
ヒト化9B11軽鎖の完全なアミノ酸配列を以下に示す。
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGLTNDLHWYQQKPGKAPKRLIYYASQSISGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCQQSNSWPFTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号:33)。
配列番号:21に記載のリーダー配列を任意に含んでもよい。
ヒト化9B11重鎖可変領域Hu9B11−GlyおよびHu9B11−Aglyの完全アミノ酸配列を下記に示す。
Hu9B11−Gly
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFAFSSYDMSWVRQAPGKGLEWVSTISSSGSYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARLWGAMDYWGQGTLVTVSS
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号:34);および
Hu9B11−Agly
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFAFSSYDMSWVRQAPGKGLEWVSTISSSGSYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARLWGAMDYWGQGTLVTVSS
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号:35)。
配列番号:22に記載のリーダー配列を任意に含んでもよい。
均等物
当業者は、ルーチンの実験以上のことをすることなく、本明細書に記載した本発明の具体的な実施形態に対する多くの均等物を認識、または確認することができるであろう。そのような均等物は、添付の請求項に包含されることが意図されている。

Claims (27)

  1. 配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)相補性決定領域1(VH CDR1);
    配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)相補性決定領域2(VH CDR2);
    配列番号:5に示されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)相補性決定領域3(VH CDR3);
    配列番号:6に示されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域1(VL CDR1);
    配列番号:7に示されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域2(VL CDR2);
    配列番号:8に示されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域3(VL CDR3);および
    各重鎖フレームワーク領域が、配列番号:48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、および63からなる群から選択される重鎖可変領域配列中の対応するヒト重鎖フレームワークアミノ酸配列のアミノ酸配列に少なくとも95%の同一性を有し、各軽鎖フレームワーク領域が、配列番号:36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47および64からなる群から選択される軽鎖可変領域配列中の軽鎖フレームワークアミノ酸配列のアミノ酸配列に少なくとも95%の同一性を有する、ヒト重鎖フレームワーク領域、またはヒト軽鎖フレームワーク領域、を含むILT3に特異的に結合する、単離された抗体、またはその抗原結合フラグメント。
  2. 配列番号:3に示されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)相補性決定領域1(VH CDR1);
    配列番号:4に示されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)相補性決定領域2(VH CDR2);
    配列番号:5に示されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)相補性決定領域3(VH CDR3);
    配列番号:6に示されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域1(VL CDR1);
    配列番号:7に示されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域2(VL CDR2);
    配列番号:8に示されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域3(VL CDR3);および
    各重鎖フレームワーク領域が、配列番号:48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、および63からなる群から選択される重鎖可変領域配列中の対応するヒト重鎖フレームワークアミノ酸配列のアミノ酸配列に少なくとも95%の同一性を有し、各軽鎖フレームワーク領域が、配列番号:36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47および64からなる群から選択される軽鎖可変領域配列中の軽鎖フレームワークアミノ酸配列のアミノ酸配列に少なくとも95%の同一性を有する、ヒト重鎖フレームワーク領域、またはヒト軽鎖フレームワーク領域、を含むILT3に特異的に結合する、単離された抗体、またはその抗原結合フラグメント、または、
    前記1以上のヒトフレームワーク残基に対応するネズミ9B11抗体の配列番号:1に示されたアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、又は配列番号:2に示されたアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域中のフレームワーク残基に逆突然変異した1以上のヒトフレームワークアミノ酸残基を有する、前記抗体または抗原結合フラグメント。
  3. (a)配列番号:28のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み、配列番号:29のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を更に含み;または、
    (b)配列番号:33のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、配列番号:34のアミノ酸配列を含む重鎖を更に含み;または、
    (c)配列番号:33のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、配列番号:35のアミノ酸配列を含む重鎖を更に含む、
    ILT3に特異的に結合する、単離された抗体、またはその抗原結合フラグメント。
  4. 前記抗体またはフラグメントは、(a)乃至(c)のいずれかを含み、1以上のヒトフレームワーク残基に対応するネズミ9B11抗体の配列番号:1に示されたアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、又は配列番号:2に示されたアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域中のフレームワーク残基に逆突然変異した1以上のヒトフレームワークアミノ酸残基を持つ、請求項3に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
  5. 前記ヒト重鎖フレームワーク領域は、配列番号:63中のフレームワーク領域であり、前記ヒト軽鎖フレームワーク領域は、配列番号:64中のフレームワーク領域である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  6. 前記1以上のヒトフレームワーク残基に対応するネズミ9B11抗体の配列番号:1に示されたアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、又は配列番号:2に示されたアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域中のフレームワーク残基に逆突然変異している前記1以上のヒトフレームワークアミノ酸残基は、配列番号:28のアミノ酸残基番号3、4、9、10、13、14、15、18、20、21、22、41、42、43、45、46、49、58、70、76、78、79、80、84、85、86、87、および100から選択される、請求項1、2および4のいずれか1項に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  7. 前記1以上のヒトフレームワーク残基に対応するネズミ9B11抗体の配列番号:1に示されたアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、又は配列番号:2に示されたアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域中のフレームワーク残基に逆突然変異している前記1以上のヒトフレームワークアミノ酸残基は、配列番号:29のアミノ酸残基番号3、10、19、40、42、44、49、76、78、84、88、93、および97から選択される、請求項1、2および4のいずれか1項に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  8. IgG1重鎖定常領域をさらに含む、請求項1又は2に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  9. 前記IgG1重鎖定常領域が:
    (a)配列番号:30のアミノ酸配列、または
    (b)配列番号:31のアミノ酸配列
    を含む、請求項8に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  10. 軽鎖定常領域をさらに含む、請求項1又は2に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  11. 前記軽鎖定常領域は、配列番号:32のアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  12. Fab、F(ab’)2フラグメントおよびscFvからなる群から選択される抗原結合フラグメントである、請求項1又は2に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  13. 前記抗体またはフラグメントは、ヒト単球由来樹状細胞(MDDC)上でILT3に結合し、結合定数が10−1以下である、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  14. 前記抗体またはフラグメントは、
    (a)インビトロで免疫反応をダウンレギュレートし、
    (b)樹状細胞上での共刺激分子のアップレギュレーションをインビトロで下方調整し、または、
    (c)樹状細胞上での抑制受容体の発現をインビトロで上方調整する、
    請求項1乃至13のいずれか1項に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  15. 前記抗体またはフラグメントは、モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  16. 請求項1乃至15のいずれか1項に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント、および薬学的に許容可能な担体を含む、組成物。
  17. 被験者における免疫反応を上方調整する、少なくとも1つの追加的治療薬をさらに含む、請求項16に記載の組成物。
  18. 被験者における免疫反応を上方調整する方法において使用するための単離された抗体または抗原結合フラグメントであって、該方法は、該抗体または該フラグメントを被験者に投与することを含む、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  19. 被験者において移植の拒絶反応を下方調整するための方法において使用される単離された抗体または抗原結合フラグメントであって、該方法は、被験者からの抗原提示細胞を、該抗体または抗原結合フラグメントにインビトロで接触させること、および移植と同時もしくは移植の前に抗原提示細胞を被験者に再度導入することによって、被検者における移植の拒絶反応を下方調整する、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  20. 被験者における癌の治療に使用するための単離された抗体、またはその抗原結合フラグメントであって、抗体またはフラグメントを、それを必要とする被験者に投与することを含む、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメント。
  21. 前記癌は、膵臓癌、メラノーマ、乳癌、肺癌、気管支癌、結直腸癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳もしくは中枢神経系の癌、末梢神経系の癌、食道癌、子宮頚癌、子宮もしくは子宮内膜の癌、口腔もしくは咽頭の癌、肝臓癌、腎臓癌、精巣癌、胆道癌、小腸もしくは盲腸の癌、唾液腺の癌、甲状腺の癌、副腎の癌、骨肉腫、軟骨肉腫、および血液組織の癌からなる群から選択される、請求項20に記載の使用のための単離された抗体、またはその抗原結合フラグメント。
  22. (a)配列番号:29のアミノ酸配列を含む抗体重鎖またはそのフラグメント、及び
    (b)配列番号:28のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖またはそのフラグメント、をコードするヌクレオチド配列を含
    前記抗体重鎖及び前記抗体軽鎖を含む抗体又はそのフラグメントがILT3に特異的に結合する、少なくとも一つの単離された核酸分子。
  23. 前記抗体重鎖は、配列番号:34または配列番号:35のアミノ酸配列を含み、前記抗体軽鎖は、配列番号:33のアミノ酸配列を含む、請求項22に記載の少なくとも一つの核酸分子。
  24. 請求項22または23に記載の少なくとも一つの核酸分子を含む、発現ベクター。
  25. (a)配列番号:29のアミノ酸配列を含む抗体重鎖またはそのフラグメントをコードするヌクレオチド配列、および
    (b)配列番号:28のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖またはそのフラグメントをコードするヌクレオチド配列
    を含む一つ以上の発現ベクターを含み、
    前記抗体重鎖及び前記抗体軽鎖を含む抗体又はそのフラグメントがILT3に特異的に結合する、組換え宿主細胞。
  26. 前記抗体重鎖は、配列番号:34または配列番号:35のアミノ酸配列を含み、前記抗体軽鎖は、配列番号:33のアミノ酸配列を含む、請求項25に記載の組換え宿主細胞。
  27. ILT3に特異的に結合する、抗体またはその抗原結合フラグメントを作製するための方法であって、前記方法は、抗体またはフラグメントが細胞によって作製されるまで請求項25または26の宿主細胞を培養することを含む方法。
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