JPH10508831A - ビタミンb12/トランスコバラミンiiレセプターおよび結合部位に対する抗レセプターおよび増殖阻止剤 - Google Patents

ビタミンb12/トランスコバラミンiiレセプターおよび結合部位に対する抗レセプターおよび増殖阻止剤

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JPH10508831A JP8510437A JP51043796A JPH10508831A JP H10508831 A JPH10508831 A JP H10508831A JP 8510437 A JP8510437 A JP 8510437A JP 51043796 A JP51043796 A JP 51043796A JP H10508831 A JPH10508831 A JP H10508831A
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エイ. チャールズ ジュニア モーガン,
エドワード ブイ. クアドロス,
シェルドン ピー. ローゼンバーグ,
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レセプタージェン コーポレイション
ステート ユニバーシティ オブ ニューヨーク
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Abstract

(57)【要約】 ビタミンB12/トランスコバラミンIIレセプターおよび結合部位に対する抗レセプターおよび増殖阻止剤を開示する。抗レセプターまたは増殖阻止剤は、ビタミンB12/トランスコバラミンIIレセプターおよび結合部位を拮抗するか、または調節する。これにより、ビタミンB12の細胞枯渇をもたらす。その結果、細胞分裂を阻害するか、またはアポトーシスをもたらす。本発明の抗レセプターおよび増殖阻止剤は、タンパク質(例えば抗体および抗体誘導体)、ペプチド、および小さな有機分子を包含する。

Description

【発明の詳細な説明】 ビタミンB12/トランスコバラミンIIレセプターおよび結合部位に対する 抗レセプターおよび増殖阻止剤技術分野 本発明は、一般的に、ビタミンB12/トランスコバラミンIIレセプターまたは 結合部位に指向する抗レセプターまたは増殖阻止剤に関する。そして、さらに詳 細には、ビタミンB12/トランスコバラミンIIレセプターまたは結合部位を阻止 、すなわち、拮抗または調節することによりビタミンB12の細胞枯渇を生じ得る 薬剤に関する。それによって細胞分裂の阻害および/またはアポトーシスを生じ る。発明の背景 インビトロでの実験データ、前臨床動物モデル、および患者研究において示さ れているように、ビタミンB12は、正常細胞および新生物細胞の増殖における細 胞分裂ならびに細胞の代謝において必要とされる補酵素(co-enzyme)である。ビ タミンB12が不足すると、細胞分裂が中断した状態を生じ、そして最終的にはア ポトーシスを生じ得る。栄養素は、一般的に食事摂取物に由来し、そして輸送タ ンパク質に複合化され、全身に輸送される。輸送タンパク質とビタミンB12との 複合体は、複合体を内在化してビタミンを細胞内で遊離する細胞レセプターによ り認識される。全体のプロセスは、GUT 31:59,1991に総説されている。ビタミ ンB12は、食事から摂取される。唾液中の結合タンパク質(R結合体)および腸 内の結合タンパク質(内因性因子(intrinsic factor)(IF))は、酵素および胃に おける低pHの作用による内在性結合タンパク質からの遊離後、ビタミンB12と複 合化する。ビタミンB12は、腸の上皮細胞を通ってレセプター特異的様式でトラ ンスコバラミンII(TcII)に移される。次いで、ビタミンB12/トランスコバラ ミンII複合体は、全身に輸送され、そして分裂細胞上に存在するレセプターによ り認識され、内在化され、そしてコファクターとして特定の酵素によりビタミン B12が利用される細胞内で遊離される。 分裂組織、またはビタミンB12の内在化を担う細胞における高い親和性のレセ プターは、ビタミンB12と複合化したトランスコバラミンIIを認識する。ビタミ ンB12/TcIIレセプターは、ビタミンB12/TcII複合体のみを認識し、そして血清 輸送タンパク質またはビタミンの単独を認識しない。レセプターは、非増殖細胞 でダウンレギュレートされる;非増殖細胞にビタミンB12を供給する機構は、ほ とんど理解されていない。しかし、細胞分裂中では、代謝中よりも多くのビタミ ンB12が必要とされること、およびビタミンB12/TcIIレセプターが、細胞分裂 中の細胞のビタミンB12摂取のための唯一の高い親和性手段であることが知られ ている。分裂を刺激すると、細胞は、実際のDNA合成に先立つビタミンB12取り 込みを導くこのレセプターの一時的な発現が5〜10倍増加することを示す(J.L ab.Clin.Med.103:70,1984)。ビタミンB12レセプターレベルは、血清を含 まない化学的に規定された培地中で増殖させた同型培養における培養物上でトラ ンスコバラミンII(血清中に存在する)と複合化した57Co−ビタミンB12の結合 により測定され得る。レセプター媒介取り込みは、キャリアタンパク質の非存在 下では起こらない。 分裂細胞(分化することを誘導された)は、レセプター発現を失い、そしても はやビタミンB12を取り込まない。さらに重要なことに、ビタミンB12欠乏の白 血病細胞は、分裂を停止して死に至る(Acta Haemat.81:61,1989)。典型的 な実験において、白血病細胞培養物から3日間血清を除き、次いで血清(ビタミ ンB12の供給源)またはビタミンB12の非代謝性アナログのいずれかを補充して 、5日まで培養した。ビタミンB12を補充した細胞培養物は増殖を続け、一方、 活性な栄養素が欠乏した白血病細胞培養物は増殖を停止して死に至った。 これらの観察に基づいて、ビタミンB12の全身欠乏は、細胞の制御されない増 殖により特徴付けられるガンまたは他の疾患の処置において有用であり得ること を示唆している。さらに、細胞分裂におけるビタミンB12含有酵素が果たす重要 な役割のために、ビタミンB12の欠乏は、細胞複製を阻害する化学療法剤と組合 わせて使用し得ると考えられる。例えば、ビタミンB12枯渇をメトトレキセート と組合せた場合、2つの代謝物は共に、白血病細胞における葉酸レベルを枯渇さ せることにおいていずれか単独よりも効率的であった(FASEB J.4:1450,1990 ;Arch.Biochem.Biophys.270:729,1989;Leukemia Research 15:165,19 91)。葉酸は、DNAおよびタンパク質産生における前駆体である。典型的な実験 において、白血病細胞の培養物を、亜酸化窒素に数時間曝し、活性型の内在性ビ タミンB12を不活性型に変換した。次いで、同型(replica)培養物を、さらに処 理することなく放置するか、またはメトトレキセートでさらに処理した。細胞の 葉酸レベルを、3日後に測定した。組合せ(すなわち、メトトレキセートと不活 性型ビタミンB12の両方)で処理した細胞は、2つのアプローチのいずれか単独 で処理した細胞よりも細胞の葉酸レベルの著しい減少を示した。この組合せはま た、インビトロでより高い細胞死を生じる。このアプローチを動物モデルにおけ る高度に進行した白血病/リンパ腫の処置に適用した場合(Am.J.Haematol.3 4:128,1990;Anticancer Res.6:737,1986;Cancer Chemother.Pharmacol .17:114,1986;Br.J.Cancer 50:793,1984)、付加的または相乗的な抗腫 瘍作用が観測された。このことより、持続した軽減および治癒をもたらす。以下 の表1は、観測された付加的または相乗的な結果をまとめたものである: 上記の実験における重要な発見は、短期間(数時間から数日)のビタミンB12 の全身枯渇は、化学療法薬物(例えば、メトトレキセートおよび5-FU)とともに 相乗的に作用して腫瘍増殖を阻害し得、そして白血病/リンパ腫を有する動物を 処置し得る。相乗的な抗腫瘍活性にも関わらず、増殖している正常細胞の短期間 のビタミンB12枯渇に起因し得る毒性はなかった。この組合せの治療は、複数の 動物モデルにおいて実施された。患者での観察は、正常組織の著しい毒性を生じ るためには、長期間(数ヶ月から数年)のビタミンB12枯渇が必要とされること を示した。これらの場合においてさえ、その後のビタミンB12の注入により総体 的症状(symptomology)を容易に逆転させ得る(Br.J.Cancer 5:810,1989)。 この治療アプローチの見込みのために、種々の方法が、ビタミンB12の一時的 な枯渇を効率的にそして制御可能に実施するために研究されている。しかし、こ のような方法は、ビタミンB12の身体貯蔵のすべてに影響する。それらは、食事 制限、高用量のビタミンB12アナログ(酵素阻害剤として作用する非代謝性競合 アンタゴニスト)および亜酸化窒素(ビタミンB12の不活性型への変換)を含む 。これらの異なる方法が、ビタミンB12を枯渇させるために、培養系および動物 において使用されている。最も効率的で、そして最も利用されている方法は、亜 酸化窒素(笑気ガス)の吸入である。動物は、典型的には、50%〜70%の亜酸化窒 素の雰囲気下で数時間から数日の期間保たれる。これによって、内在性ビタミン B12を不活性型に変換する。この方法論は、白血病/リンパ腫の治療用薬物と組 合せて用いられている。ビタミンB12枯渇のさらなる方法は、本質的に活性型を 希釈して除く、ビタミンB12の非代謝性アナログの注入を含む。この治療形態は 、分裂細胞に特異的ではなく、肝臓依存性の代謝プロセスに影響する。別のアプ ローチは、ビタミンB12の食事摂取の制限を含む。しかし、この方法は、非常に 長期間の食事制限を必要とし、そしてビタミンB12の肝臓貯蔵により相殺される 。これらの方法のすべては、特異性の問題で悩んでいる。なぜなら、それらは、 ビタミンB12依存性の増殖ならびに基礎代謝の両方に影響し、従って抗増殖性薬 学的産物を開発するために特に適しているわけではないからである。 従って、ビタミンB12の細胞枯渇をもたらし、そして選択的に分裂細胞に影響 する薬剤が、当該分野において必要とされている。本発明は、この必要を満たし 、そしてさらに関連する利点を提供する。発明の要旨 本発明は、ビタミンB12/トランスコバラミンII細胞表面レセプター(「B12 /TcIIレセプター」)またはB12/TcII複合体もしくはTcII上の結合部位(「結合 部位」(単数または複数))を阻止、すなわち、拮抗または調節する抗レセプター および増殖阻止剤を開示する。このような薬剤は、細胞表面レセプターまたは結 合部位を妨害することによりビタミンB12の細胞枯渇をもたらし、そして最終的 にアポトーシスをもたらし得る。 B12/TcIIレセプターまたは結合部位機能と拮抗する抗レセプターまたは増殖 阻止剤は、B12/TcIIレセプターまたは結合部位に競合的に結合し、それによっ てビタミンB12の細胞内取り込みを阻害する。あるいは、このようなアンタゴニ ストは、B12/TcIIレセプターによりB12/TcII複合体の認識を立体的に妨げ得る か、あるいはB12/TcIIレセプターまたは結合部位と十分近くで結合することに より結合部位を妨害し、ビタミンB12の細胞取り込みを妨げ得る。B12/TcIIレ セプターまたは結合部位を調節する本発明の抗レセプターまたは増殖阻止剤は、 B12/TCIIレセプターまたは結合部位に結合し得、そして一定期間レセプターの 除去または消去(clearing)をもたらし得、従ってビタミンB12の細胞取り込みを 妨害し得る。 本発明の抗レセプターまたは増殖阻止剤は、タンパク質(例えば、抗体および 抗体誘導体)、ペプチド、および小さな有機分子を含む。これらは、B12/TcII レセプターまたは結合部位を拮抗または調節し、そしてビタミンB12の細胞枯渇 をもたらし、それにより正常細胞または過増殖細胞の分裂を阻害し得る。 本発明の1つの実施態様において、TcII上のビタミンB12結合部位に指向する 増殖阻止剤を開示する(図4、タイプ1参照)。本実施態様の増殖阻止剤は、ビ タミンB12の取り込みに影響する。なぜなら、ビタミンB12は、TcIIに結合する ことなく有効量が細胞に入り得ないからである。 本発明の他の実施態様において、ホロTcII上のレセプター結合部位に指向する 増殖阻止剤を開示する(図4、タイプ2参照)。本実施態様の増殖阻止剤は、B12 /TcII複合体がB12/TcIIレセプターに結合することを阻害することによりビタ ミンB12の取り込みに影響する。 本発明の他の実施態様において、アポTcII上の結合部位(TcII上のビタミンB12 結合部位以外)に指向する増殖阻止剤を開示する(図4、タイプ1参照)。本 実施態様の増殖阻止剤は、B12/TcII複合体のB12/TcIIレセプターへの結合を 阻害し、および/またはビタミンB12とTcIIとの間の結合を阻害することにより ビタミンB12取り込みに影響する。 本発明の他の実施態様において、消去部位に指向する増殖阻止剤を開示する。 本実施態様の増殖阻止剤は、網状内皮細胞器官(例えば、肝臓および脾臓)にTc IIまたはB12/TcII複合体を再指向させ、それ故、循環レベルを下げ、そしてビ タミンB12の細胞取り込みを阻害する。 他の局面において、本発明は、抗レセプター剤または増殖阻止剤を温血動物( または生物学的調製物)に投与することによる温血動物(または生物学的調製物 )における細胞分裂を阻害する方法を開示する。ここで、薬剤は、レセプターま たは結合部位を拮抗または調節し、制御されない細胞増殖により特徴付けられる 新生物疾患および他の疾患の処置のためにビタミンB12の細胞取り込みを阻害す る。 さらに他の局面において、本発明は、抗レセプター剤または増殖阻止剤を温血 動物(または生物学的調製物)に投与することによる温血動物(または生物学的 調製物)におけるビタミンB12の細胞取り込みを阻害する方法を開示する。ここ で、薬剤は、レセプターまたは結合部位を拮抗または調節し得る。 本発明のこれらおよび他の局面は、以下の詳細な説明および添付した図面を参 照することで明らかになる。さらに、特定の手順および/または組成物をさらに 詳細に記載する種々の参考文献を示す。そして、それらは、その全体が本明細書 中で参考として援用される。図面の説明 図1は、抗体を誘導するために、レセプター用の固相の親和性吸着剤からなる 免疫原を用い、その後ハイブリドーマ生成ならびに結合アッセイと機能アッセイ の両方を用いるスクリーニングによる、レセプターに対するマウスモノクローナ ル抗体産生によるB12/TcIIレセプター抗体の開発を示す図である。 図2は、完全または完全に近いレセプター遮断に必要レベル(3本の分裂線に より示される)を超える血清濃度を維持するための、ビタミンB12抗レセプター 抗体の投与(2〜3日毎に注入)を示す。 図3は、ビタミンB12抗レセプター抗体によるビタミンB12/トランスコバラ ミンIIレセプター調節の評価を示す。100ng/mLの抗体を、百万個のRaji Burkitt リンパ腫細胞とともにインキュベートする。半分の細胞を4.0℃で保持し、そし て半分を洗浄後37℃に移す。30分〜2時間後、サンプルを、すべての細胞のフロ ーサイトメトリー(MFI=平均蛍光強度)により細胞に結合した残存マウスIgに ついて評価する。 図4は、本発明において利用される結合タイプのいくつかを示す。 図5は、ヒトTcIIを認識し、そしてビタミンB12の結合を阻害するモノクロー ナル抗体を同定するために用いたスクリーニングアッセイの結果を示す。 図6は、57Co標識ビタミンB12の取り込み阻害能についてのモノクローナル抗 体のスクリーニングを示す。 図7は、免疫沈降により評価された、ホロTcIIに対するモノクローナル抗体の 選択性を示す。 図8は、抗TcIIモノクローナル抗体についての2部位(two-site)ELISAアッセ イを示す。トランスコバラミンIIを、抗TcIIモノクローナル抗体との組合せでヒ ト血清中で検出した。ELISAプレートを10ug/mLのモノクローナル抗体でコートし 、50ulのヒト血清を、ブロックしたプレートに添加し、そしてビオチン化二次モ ノクローナル抗体を用いて、結合TcIIを検出した。 図9は、抗体3-11が、20ng/mLのホロTcIIの存在下で細胞増殖を効果的に阻止 することを示す棒グラフである。抗体5-18および1-9は、抗体ネガティブコント ロール群および無関係の抗体コントロールと比較した場合、増殖阻害において効 果的でない。 図10は、TcIIに対する抗体か抗増殖性であることを示すグラフてある。TcIIに 結合し、そしてビタミンB12取り込みを阻害し得る抗体を、短期間の増殖阻害( 3日以内の毒性)またはより長期間の増殖阻害について評価した。細胞培養物を 、12日までの間、増殖に最適なTcIIおよびビタミンB12のレベルで、ビタミンB12 を枯渇させ得る抗体2-2、3-11および4-7の存在下に置いた。B12および葉酸 の内在性貯蔵を枯渇させるために、処理した培養物を抗体とともに3〜4日毎に 新鮮な培地に移植した。 図11は、ヒトK562培養細胞におけるビタミンB12の細胞レベルの減少を導く3 個のモノクローナル抗体(2-2、4-7および3-11)を示すグラフである。 図12は、TcIIに対するマウスモノクローナル抗体がヒト細胞においてアポトー シスを誘導することを示す棒グラフである。いくつかのモノクローナル抗体を、 インビトロでK562細胞株の増殖を妨げる能力について評価した。細胞を、10μM B12、10μMメチルテトラヒドロ葉酸、および1%ヒト血清を有する葉酸枯渇RPM I培地中で15日間培養した。モノクローナル抗体を培養物に添加し、3連で計測 し、そして3日毎に生存性について評価し、そして1mlあたり0.2×106細胞に分 けた。 図13は、正常な脾細胞がコバラミンの利用に感受性であること、および抗TcII モノクローナル抗体治療により恐らくコバラミン取り込みの阻害により、制御さ れない増殖を軽減し得ることを示すグラフである。 図14は、ヒトTcIIに対するウサギポリクローナル抗血清がヒトK562細胞の増殖 を阻害することを示すグラフである。細胞を、葉酸/B12を含まず、TcIIを枯渇 させたヒト血清を補充した培地中で培養した。100ngの組換えヒトホロTcIIを添 加した。増殖をMTTアッセイにより評価した。発明の詳細な説明 本発明は、ビタミンB12/トランスコバラミンII複合体(「B12/TCII複合体」 )およびTcII上の結合部位に対する増殖阻止剤、ならびにビタミンB12/トラン スコバラミンII細胞表面レセプター(B12/TcIIレセプター)に対する抗レセプ ター剤を開示する。本発明の文脈において、「増殖阻止剤」または「抗レセプタ ー剤」は、B12/TcIIレセプター、あるいはB12/TcII複合体またはTcII上の結合 部位を阻止する(すなわち、競合的アンタゴニストまたは調節剤として作用する )ことによってビタミンB12の細胞内枯渇を引き起こす。本発明の抗レセプター 剤および増殖阻止剤は、下記のように、TcII、B12/TcII複合体上の機能的また は機能的でない特定の結合部位およびB12/TcII細胞表面レセプターを認識 し、そして細胞によるビタミンB12の取り込みを阻害する。分裂細胞はより多量 のビタミンB12を必要とするため、このことは、細胞増殖の阻害を生じ、そして 特定の条件下においてはアポトーシスを生じ得る。 本発明の1つの局面では、抗レセプター剤および増殖阻止剤は、アンタゴニス トまたは調節剤であり得る。アンタゴニストはB12/TcIIレセプターまたは結合 部位に競合的に結合する(または立体的に妨害する)薬剤であり、それにより、 細胞のビタミンB12の取り込みを阻害する。調節剤は、B12/TcIIレセプターま たは結合部位に結合する薬剤であり、そして一定の期間(一般的に数時間)、B12 /TcIIレセプターまたはB12/TcII複合体の消去または除去を生じる。一旦調節 剤がもはや存在しなくなると、ビタミンB12のレベルは再び安定する。 別の局面では、本発明は、抗レセプター剤または増殖阻止剤の投与(例えば、 温血動物に抗レセプター抗体または増殖阻止抗体を投与すること、ここで、この 抗体はB12/TcIIレセプターまたは結合部位を競合的に拮抗するか、または調節 して、細胞のビタミンB12の取り込みを阻害する)により温血動物または生物学 的調製物中の細胞のビタミンB12を枯渇するための新規な方法に関する。B12/T cIIレセプターの発現が低いため(例えば、細胞当たり数千個)、および生物学 的応答を誘導する(例えば、細胞のビタミンB12の枯渇、そしておそらくアポト ーシスを引き起こす)機能的な抗体を産生する必要があるため、機能的な抗体を 誘導するための免疫処置方法(例えば、固相免疫原の使用と、レセプターのアフ ィニティ濃縮を組み合わせて、これらの弱い免疫原性および発現の少ない抗原に 対する応答を増強すること)を本明細書中に記載する。これらの抗レセプター抗 体の一部だけが、アンタゴニストとして、または細胞レセプターをまたは結合部 位を調節するために機能する。適切な抗体は、以下に例示されるようなバイオア ッセイまたは図1中のバイオアッセイにより同定され得る。 本発明の文脈において、用語「抗レセプター剤」または「増殖阻止剤」は、タ ンパク質、ペプチド、および小さな有機化合物のような化合物または組成物をい い、それは増殖阻止剤の場合、B12/TcII複合体またはTcIIの結合部位に、ある いは抗レセプター剤の場合は細胞表面のB12/TcIIレセプターに結合することに よって作用し、そしてビタミンB12の取り込みを阻害し、ビタミンB12の細胞内 枯渇を生じる。 用語「結合部位」は、TcIIまたはB12/TcII複合体上の機能的または機能的で ない結合部位をいい、それは、本発明の薬剤により結合された場合、閉塞を生じ 、閉塞するような形態の変化を引き起こすか、そうでなければ妨害する(すなわ ち、立体的に)か、あるいはTcIIまたはB12/TcII複合体上の機能的な結合部位 を調節して、ビタミンB12の取り込みを阻害する。本発明の文脈において、結合 部位はB12/TcIIレセプターをいうことは意図されない。 用語「TcII上のB12結合部位」は特に、TcIIとビタミンB12との間の結合を支 配するTcII上の結合部位をいう(図4、タイプ1)。この結合部位の増殖阻止剤 は、ビタミンB12の取り込みを阻害することによって、ビタミンB12の取り込み に影響を与える。 用語「ホロTcII上の結合部位」は特に、細胞表面B12/TcIIレセプターに複合 体を結合させるTcII/ビタミンB12複合体上の結合部位をいう(図4、タイプ2 )。この結合部位の増殖阻止剤は、B12/TcIIレセプターへの複合体の結合を阻 害することによって、ビタミンB12の取り込みに影響を与える。 用語「アポTcII上の結合部位」(図4、タイプ1)は特に、アポTcII(TcII上 のビタミンB12結合部位以外)(図4、タイプ1参照)上の結合部位をいう。こ のような結合部位は、例として、アポTcII上の細胞表面レセプター結合部位を含 む。この結合部位の増殖阻止剤は、B12/TcIIレセプターへのB12/TcII複合体の 結合を阻害することおよび/またはTcIIへのビタミンB12の結合を阻害すること によって、ビタミンB12の取り込みに影響を与える。 用語「消去部位(cleaning sites)」は、TcIIまたはB12/TcII複合体上の、増 殖阻止剤が結合し得る任意の結合部位をいう。この結合部位に対する増殖阻止剤 は、TcIIまたはB12/TcII複合体を肝臓または脾臓のような網状内皮細胞器官に 再誘導し得、従って、ビタミンB12の取り込みに影響を与える。 用語「B12/TcIIレセプター」は、B12/TcII複合体に対する細胞表面レセプタ ーをいう(図4、タイプ3)。このレセプターに対する抗レセプター剤は、細胞 内へのビタミンB12の取り込みを阻害することによって、ビタミンB12の取り込 みに影響を与える。 用語「生物学的調製物」は、エクスビボの任意の動物細胞または組織をいう。 適切な調製物は、例として、HepG2細胞、COS細胞、293細胞、K562細胞、およびA TT20細胞を含む。 用語「アポトーシス」は、細胞死をいう。用語「阻害すること」は、阻害され ると思われる特定の機能を果たす能力の低下または妨害をいう。例えば、ビタミ ンB12の取り込みに関して、この用語は一般的に、ビタミンB12の取り込みにお いて約50%より大きな低下を、そして好ましくは、ビタミンB12の取り込みにお いて約90%より大きな低下をいう。 本発明の1つの局面では、抗結合剤または増殖阻止剤は抗体である。本発明の 文脈において、用語「抗体」はモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体の 両方を含み、そしてさらに完全な分子、そのフラグメント、またはその機能的等 価物を含む。 本発明の抗レセプター抗体および増殖阻止抗体は、いくつかの機能的および特 異性のカテゴリーに分類され、そして異なる薬学的用途を有する。B12/TcIIレ セプターに対する適切な抗レセプター抗体は、以下の特性の1つまたはそれ以上 を有する抗体を含む、(1)結合するが、生物学的な応答を生成しない;(2) レセプター表面を架橋し、調節し、そして消去し、そして調節している抗体の濃 度が十分なレベルで患者の循環中に維持される場合、新規に合成された任意のレ セプターを、それが再発現される際に調節する(代表的にはIgM抗体が最も効果 的な調節剤である);そして(3)ビタミンB12の結合に対して競合的なアンタ ゴニストとして機能する。これらの各タイプの抗体は、最初のハイブリドーマ培 養を用いる1次スクリーニングで始まり、クローンの2次スクリーニング、そし て最後に、より労力を集中する、最終的な安定に分泌するクローンのアッセイに よる、一連のスクリーニングにおいて特異的結合または機能的アッセイによって 区別され得る(実施例1、2、8〜12および図1参照)。 適切な増殖阻止抗体は、結合部位に結合し、そうでなければ閉塞し得る任意の 抗体、あるいは結合部位に結合し、TcIIまたはB12/TcII複合体を循環から消去 し得る任意の抗体を含む。例えば、選ばれた結合部位に対する適切な増殖阻止抗 体は、当該分野において公知のいくつかの手段(Sambrookら、Antibodies: A La boratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1989に詳細に記載される機 能的結合アッセイの使用を含む)、あるいは以下の実施例のうちの任意の1つに よって選択され得る。簡単にいえば、抗体を、(57Co)ビタミンB12/TcIIの予備 形成された複合体とともにインキュベートし、次いで、適切なビタミンB12レセ プター保持細胞(例として、K562細胞(ATCC受託番号CCL-243)を含む)に曝す 。次いで、放射能標識抗体を検出する任意の適切な手段を用いて、取り込みを測 定する(実施例10参照)。 好ましい実施態様では、マウス抗体を生成し、そしてビタミンB12亜酸化窒素 変換および生物学的調製物内の腫瘍細胞の抗体媒介性枯渇の抗増殖効果(antipr oliferative effect)の比較により、スクリーニングし得る。マウス抗体の薬学 的適用は、患者における抗マウス抗グロブリン応答(すなわち、免疫原性)の可 能性により制限される。従って、マウス抗体はヒト-マウスキメラへのそれらの 変換のために遺伝的な操作を要する。マウス抗体をキメラに変換するための多く の方法が存在する。キメラにおいては、重鎖および軽鎖の定常領域をヒト型に置 換するか、またはCDR(相補性決定領域)以外の全てをそれらのヒト等価物に置 換する(Biochem.J.281:317,1992; Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:10029,1 989; Methods Enzymol.178:515,1989; Cancer Res.51:181,1991; Biotechni ques 7:360,1989; J.Immunol.143:3589,1989; Int.J.Cancer 44:424,198 9; Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:3833,1989)。 上記のキメラ抗体(それは代表的には全IgGである)は、多くの異なるアプロ ーチによって操作され得るが、マウス定常領域をヒト起源の領域に置き換えるこ とを本質的に要求する。あるいは、CDR(抗原と相互作用する特異的領域)が、 抗原を結合する部位から単離され得、次いでヒトの可変領域および定常領域のフ レームワーク内に接合され得る。この後者のタイプの抗体は、1つの定常領域の みが置き換えられているキメラ抗体よりも免疫原性が少ないはずである。より最 近には、抗グロブリンまたはHAMA応答を誘導するマウス抗体構造内の最も可能性 の高い残基を同定する努力が開始されている。本質的に、これらは溶媒と接触す る親水性の残基であり得、そして同定され得、抗体遺伝子の変異誘発により置換 され得る。 本発明の別の好ましい実施態様では、増殖阻止剤または抗レセプター剤の血清 半減期が特定の適用のために調整され得る。特定の適用について、いくつかの手 段(長い血清半減期を与える重鎖定常領域を選択することを含む)の内の任意の 1つを用いて血清半減期を増加させることは有益であり得る。特に、競合的アゴ ニストを用いる場合、親和性および標的細胞に曝露する長さは効力に対して非常 に重要であり得る。最適な細胞枯渇はB12/TcIIレセプターまたは結合部位を数 時間から数日間阻止することにより達成される。適切な抗体は、IgGを放射能標 識し、それを温血動物に注入し、一定期間にわたり血液サンプルを採取し、そし てIgGのレベルを確かめる工程を含むいくつかの手段の内の任意の1つによって 選択され得る。キメラIgG抗体は、この特性について個々に評価される必要があ る。より長い半減期を有する抗体は、レセプター拮抗または調節が延長された期 間維持されなければならない適用に最も適し得る(Biochem.J.281:317,1992; Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:10029,1989; Methods Enzymol.178:515,198 9; Cancer Res.51:181,1991; Biotechniques 7:360,1989; J.Immunol.143: 3589,1989; Int.J.Cancer 44:424,1989; Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:38 33,1989を参照のこと)。より長い血清半減期は、IgG4およびIgG2、ヒトIgM重 鎖を選択する工程、またはいくつかの手段の任意の1つを用いてこれらの最長の 半減期について複数のIgG重鎖アロタイプをスクリーニングする工程を含む、い くつかの手段の内の1つを用いて操作され得る。 完全には、ヒトモノクローナル抗体はまた、マウスハイブリドーマ生成におい て使用される特異的吸着剤を用いて、インビトロでの免疫処置手順によって作製 され得る(以下の実施例1および図1を参照)。さらに、インビトロでの免疫処 置およびヒト抗体生成のための種々の技術が存在する(J.Immunol.Methods 14 5:71; 1991; Hybridoma 9:81 1990; Proc.Nat.Acad.Sci.USA 85:3995,1988 ; Immunol.Lett.17:29,1988; BBRC 148:941,1987; Immunol.Lett.16:75, 1987; Tissue Antigens 30:25,1987)(また、米国特許第4,879,225号も参照の こと)。 本発明の別の局面では、フラグメント、ペプチド、有機分子および模倣物を含 む種々の抗体誘導体、ならびに親和性およびエフェクター機能に関して改変され た種々の抗体を生産するために、遺伝子操作技術が使用され得る。これらの種々 の抗体誘導体の全てが、B12/TcIIレセプターまたは結合部位に対する抗体から 生産され得る。本質的に、このような抗体は、その抗原と結合する部位の中に、 その標的と結合し、そして生物学的応答を誘導するために必要な情報を含んでい ると考えられ得る。この情報は、異なるサイズおよび異なる形態の分子の意味に 言い替えられ得、そして本明細書中で集合的に「抗体誘導体」という。好ましく は、マウス抗体が用いられる。 特定の適用について、組織へのよりよい浸透を提供するため、またはバックグ ラウンドの血液レベルを消去するために、血清半減期を短縮することが好都合で あり得る。このような適用は、化学療法薬または放射線からの骨髄の保護を含む 。この場合、抗体の生物学的半減期を調整して、化学療法薬または放射線の投与 と一致する時間に、短期の骨髄幹細胞の抗増殖阻止を誘導することが適切であり 得る。傷害性療法の処置の中止の後、増殖阻止剤または抗レセプター剤が体から 除去された場合、細胞増殖は回復する。 本発明のさらに別の局面では、表2で同定されたように、完全な抗体が種々の フラグメントの内の1つに操作される。遺伝子操作によって生産される最も一般 的な抗体フラグメントは、FabまたはFvフラグメントである。Fabフラグメントは 、完全なIgGの酵素的消化によって作製され得るが、これは、通常、産物の著し い損失および最終の抗体形態の不一致をもたらす。従って、遺伝的に操作された Fabは、より一致した産物であると考えられ、そして細菌発現系において1リッ トル当たりグラム単位の量で生産され得る。このような操作されたフラグメント の生産において重要な工程は、抗原結合に関与する抗体の領域(すなわち、CDR )を単離し、そしてヒトのフレームワークの前後の関係の中にそれらを配置する 工程である。本質的に、Fvは、Ch1ドメインおよびVhドメインがCDR領域とともに クローン化されないことを除いては、Fabと同様の様式で作製される。これは、 重鎖および軽鎖成分を連結するペプチドリンカーを必要とする、より小さなフラ グメントを生じさせる。さらに、特定の重鎖ドメインが、軽鎖ドメインが参加す ることなく標的抗原と結合し得ると考えられる。これは、かなり原始的な抗体お よび抗原結合特異性に限られるようである。最も小さい抗体フラグメントは、CD R 内の情報から派生するペプチドからなるが、標的構造への結合能を保持する。こ れらの抗体フラグメント(ならびにFabおよびFv)の親和性はクローニングで維 持されなければならないため、2価の抗体フラグメント、ならびに、変異誘発お よび選択が、より高い親和性バージョンを選択するために適用されたフラグメン トが作製され得る。好ましくは、標的への抗体の親和性は、約10-7〜10-10Mの範 囲であり、そしてなおさらに好ましくは、親和性は10-9Mより大きい。 本発明の別の実施態様では、抗レセプター剤または増殖阻止剤の親和性が、い くつかの手段の任意の1つを用いて増大される。標的構造に対する抗原結合部位 の高い親和性を保持することが、レセプターアンタゴニストにとって重要である 。なぜならば、その有効性はその結合親和性によって(半減期と組み合わせて) 決定されるからである。親和性を、天然抗体の2〜3倍(そして時には5倍まで )に増加させる多くの技術が開発されている。これらの技術には、例として、複 数の分子上の複数の結合部位を結合し得る5価の抗体を生産するためのセグメン トを連結することに加えて、IgMの定常領域上に抗体をクローニングすることが 含 まれる(表2参照)。 いくつかの状況では、補体活性化能力、あるいはエフェクター細胞と相互作用 する能力を促進するかまたは低下させるかのいずれかの、エフェクター機能の改 変が有益である。このような状況は、例として、抗体がTcIIをインキュベーショ ンから除去するために使用される場合を含む。抗レセプターアンタゴニストまた は増殖阻止アンタゴニストとして使用される完全抗体のエフェクター機能は、ア ンタゴニストの選択性を減少し得、そして傷害性についてより多くの可能性を提 供し得る。エフェクター機能の改変は、例として、Harelら、Cancer Res.50:63 11-5315,1990; Woodhouse,C.S.、およびA.C.Morgan,Jr.,Cancer Res.49:2 766-2772,1989に記載されたFcr媒介性結合のためのアッセイを含む、いくつか の技術の任意の1つにより測定され得る。 本発明の別の実施態様では、結合親和性を改良するために、1価のフラグメン トが2価または多価の構築物に操作される。単量体の抗体誘導体を2量体または 多量体形態への非共有結合を可能にするいくつかの翻訳後技術が、親和性を増強 するために用いられ得る(表2参照)。抗体フラグメントの多量体または2量体 の形態は、親和性またはエフェクター機能の観点から利点を与え得る。多量体ま たは2量体の分子はまた、表面からレセプターを調節するのにより効果的であり 得る(表2参照)。 以下により詳しく検討するように、小分子のレセプターアンタゴニストは、そ れらの低コスト、経口投与におけるそれらの有用性、および製造の容易さのため 、特定の医療適用のためにより有用であると考えられる。分子認識ユニット(「 MRU」)として知られる抗体由来のペプチド構造に加えて、ペプチド模倣媒介物 を用いて抗体から有機分子模倣物を作製するために、分子モデリング技術が用い られ得る(表2)。 B12/TcIIレセプターの単離およびクローニングは、競合剤としての可溶性レ セプターの作製を可能にする。しかし、このようなレセプター形態は、短い血清 半減期、および乏しい生体利用性を有し得る。これらのクローン化されたレセプ ターの半減期および生体利用性を増加するための1つの方法は、組換え技術によ ってこれらを免疫グロブリンの定常領域に付着させることである。これによって 、 より長い血清半減期およびレセプターアンタゴニストの活性において有用であり 得る潜在的エフェクター機能が提供される。レセプターと免疫グロブリンの重鎖 および軽鎖の定常領域遺伝子のこのような組合せは、免疫付着(immunoadhesion )と呼ばれる。 機能的な抗体のB12/TcIIレセプターへの結合部位中に存在する情報を用いて 、第1の結合部位を認識する第2の抗体を生成し得る(抗イディオタイプ抗体と 呼ばれる)。このような抗体は、第1の鏡像であり、それゆえ、レセプター自体 に対するアナログである。従って、免疫付着と類似の様式で用いられ得る。 上記の抗体誘導体の生成において重要な工程は、B12/TcIIレセプターへの抗 体の相補性決定領域(CDR)をコードする遺伝子の単離である。これは、多数の 技術の内の任意の1つにより達成され得る。例えば、1つの適切な技術は、マウ スの免疫処置、ハイブリドーマ形成、および適切な特異性のマウス抗体を単離す るための選択を含む。一旦マウス抗体が生産されると、それらのCDRが単離され 得、表2で同定される抗体誘導体の1つにおいて使用され得る。このような抗体 を誘導するために、実施例1に概説した免疫原戦略が用いられ得る。同様の免疫 原アプローチがインビトロの免疫処置スキームにおいて使用され得、ここでは、 B12/TcIIレセプターに特異的な抗体が誘導され得、次いでEBV感染、電気融合ま たはハイブリッド-ハイブリドーマ形成を通じて不死化され得る。あるいは、こ の遺伝子はPCR増幅により単離され得、次いで上記の抗体誘導体の1つにクロー ン化され得る。 ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子で遺伝子導入されたマウスを用いて生 成され得る。これは、ヒトIgG遺伝子をマウスの生殖細胞系に遺伝子的に挿入す ることによって達成される(N.Lonberg,First Annual Meeting on Commercial izing Human Monoclonal Antibodies,1992年12月17〜18日)。あるいは、重症 複合型免疫不全(SCID)マウスに、マウス中で増殖し、そして免疫処置に利用可 能なヒト白血球を移植する(Duchosalら、Nature 355:258-262,1992)。この場 合、B12/TcIIレセプターまたは結合部位に特異的な抗体が、(以下の実施例1 に記述のように)特異的な抗体の誘導頻度を増強する免疫原を用いてヒト白血球 の免疫処置後に単離され得る。あるいは、適切な特異性を有する抗体は、生殖細 胞系IgG遺伝子の組合せのライブラリーから生成され得る。このようなプロセス では、Fabフラグメントのライブラリーは、例えば、適切な特異性(免疫処置し ていないB細胞レパートリーと本質的に等価)を有する抗原への結合についてス クリーニングされる。同じライブラリーが、免疫処置されたレパートリーから作 製され得、従って、適切な抗体を同定する機会を増加し得る。さらに、この技術 を用いて適切な特異性および/または親和性の抗体を同定する確率は、以下の実 施例1に開示された技術に従って先行する免疫処置が行われる場合に増強される 。 ビタミンB12は、抗体が由来するB細胞における、抗体の任意の抗増殖作用を 克服するために用いられるはずである。簡単に述べれば、抗増殖作用は、TcIIの 全ての真核細胞供給源が、ビタミンB12およびレセプター結合の共通の機能によ るかなりのアミノ酸相同性を有するという事実の結果である。しかし、異なる種 のTcIIは免疫学的に区別され得る。ウサギにおけるポリクローナル抗体は、一般 に交差反応性であり、そしてヒトおよびマウスTcIIの両者を結合し得るが、ヒト TcIIに対して生成されたマウスモノクローナル抗体は、両者を結合し得ない。こ のことは、交差反応性であるハイブリドーマが誘導されないか、または誘導後、 増殖し得ないことを示す。 いかなる抗増殖作用も高用量のビタミンB12の投与(これは受動的拡散により TcIIなしで細胞に侵入し得る)によって克服され得る。当業者に公知の任意の適 切な形態のビタミンB12が、補充のために用いられ得る。簡単に述べれば、抗体 生産の間、B細胞がビタミンB12(好ましくは、血清タンパク質に非特異的に結 合し得るヒドロキシコバラミンの形態で)中で培養され得るか、または動物ビヒ クルに投与され得る。 本発明の別の局面では、増殖阻止剤または抗レセプター剤は、小さな有機化合 物またはペプチドである。抗体および抗体誘導体のレセプターアンタゴニストと しての有用性にもかかわらず、それらのコスト、免疫原性の可能性、あるいは正 所性(orthotopic)投与または経口投与のような特定形態の送達の必要性のため に、適切でない薬学的適用がある。これらの目的のために、小さな有機化合物ま たはペプチドはより適切であり得る。このようなペプチドはおよび化合物は、以 下の方法によって単離され得る:(1)細菌のペプチド発現ライブラリー、抗体 パラトープアナログまたは抗体Fab発現ライブラリーをスクリーニングして、ペ プチドまたは抗体の可変領域インヒビターを同定する(Gene 73:305,1988; Pro c.Nat.Acad.Sci.USA 87:6378,1990; BioChromatography 5:22,1990; Prot ein Engineering 3:641,1989);(2)抗体を「ファーマコフォア(pharmacop hore)」として用い有機分子アナログを作製する理論的なドラッグデザインプロ グラム(Biotechnology,1991年1月19日)、あるいは、結晶化ビタミンレセプタ ーを用いペプチドまたは有機物インヒビターを同定する従来のドラッグデザイン プログラム(Biochem.J.268:249,1990; Science 248:1544,1990);および (3)ビタミンB12取り込みの阻害について、微生物の発酵ブロス中に存在する ような有機分子ライブラリーをスクリーニングし、阻害化合物の生化学的性質を 同定し、そしてアナログを化学的に合成して、構造-機能相関関係を探求し、か つ潜在的インヒビターを同定する。 B12/TcIIレセプターまたは結合部位に対する小さな有機化合物およびペプチ ドレセプターアンタゴニストは、適切なアッセイを用いて同定され得る。1つの 実施態様では、このアッセイは、そのキャリアタンパク質であるトランスコバラ ミンIIと複合体を形成した放射能標識ビタミンB12の取り込みを追跡する工程を 含む(以下の実施例1および2参照)。競合的アンタゴニストとして作用する抗 体を用いる特異的結合アッセイを含む、他のアッセイもまた、有用であることが 証明され得る。これらの手段により、ヒトの使用に適したタンパク質または非タ ンパク質分子のレパートリーが生成され得、そして、細胞の増殖に改変を要求す る異なる薬学的適用のために、ビタミンB12取り込みおよび生体利用性を操作す るための最適の養生法(regimen)を規定するために用いられ得る。 本発明の1つの局面では、増殖阻止剤はTcII上のB12結合部位に向けられる( 図4、タイプ1)。増殖阻止剤は、ビタミンB12とTcIIとの間の結合を阻害する 、TcII上のB12結合部位に結合することによってビタミンB12取り込みを阻害す る。このことは、ビタミンB12がTcIIに結合することなく有効量で細胞に侵入し 得ないため、ビタミンB12の取り込みに影響を与える。適切な増殖阻止剤が、上 記および実施例8〜12に記載の技術を用いて選択される。このような抗体は、例 として、2-2、3-11、および4-7を含む(図5、6および7参照)。 本発明の別の局面では、増殖阻止剤がホロTcII上のレセプター結合部位に向け られている。この部位に結合した増殖阻止剤は、複合体が細胞表面レセプターに 結合することを阻害することによって、ビタミンB12の取り込みに影響を与える 。適切な増殖阻止剤が、上記および実施例8〜12に詳細に記載されるように選択 される。このような抗体は、例として、2-2、3-11、および4-7を含む。 本発明の別の局面では、増殖阻止剤はアポTcII上の結合部位に向けられている 。この部位に結合した増殖阻止剤は、B12/TcII複合体がB12/TcIIレセプターを 結合することを阻害すること、および/またはTcIIとビタミンB12との間の結合 を阻害することによって、ビタミンB12の取り込みに影響を与える。適切な増殖 阻止剤が、上記および実施例8〜12に詳細に記載されるように選択される。この ような抗体は、例として、1-18、5-19、および7-4を含む(図5)。 本発明の別の局面では、増殖阻止剤は、増殖阻止剤が結合し得る、TcIIまたは B12/TcII複合体上の任意の結合部位に向けられている。この部位に結合した増 殖阻止剤は、肝臓および脾臓のような網内皮細胞器官にTcIIまたはB12/TcII複 合体を再誘導し得、それゆえビタミンB12の取り込みに影響を与える。B12/TcI I複合体の肝臓への滞留は、2つの働きを提供する:第1に、末梢組織、循環性 細胞およびその中に見出される腫瘍性疾患からの利用可能なビタミンB12の除去 、そして第2に、エンドサイトーシスに続くリソゾーム放出後の肝機能のための ビタミンB12の供給。 増殖阻止抗体のこの局面では、それらのFc領域が網内皮細胞要素との相互作用 のために最適である。これは、所定の抗体の特性、または再操作によって達成さ れた特性のいずれかであり得る。これは、再操作された抗体に対するIgM、IgG1 、またはIgG3イソタイプの選択、またはRES除去を増強するための化学的改変を 含む。例えば後者の場合、アシアロ糖タンパク質レセプターに対するリガンドの 抗体への結合である。このような増殖阻止剤は、肝臓に注入された物質の90%を 除去し得る。 増殖阻止剤を単離する特に好ましい方法では、例えば、実施例8に記載のよう な手段を含む、いくつかの適切な手段の任意の1つによって生産される組換えヒ トTcIIが、上記のいくつかの技術の内の任意の1つを用いて抗体を誘導するため に用いられる。次いで、例として、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)を含む、 いくつかの適切な技術の内の任意の1つを用いて、ハイブリドーマをスクリーニ ングし、組換えヒトTcIIを認識するハイブリドーマを同定する。次いで、TcIIを 認識する抗体(増殖阻止剤)を、例として、ラジオイムノアッセイ(RIA)を含 む、いくつかの技術の内の任意の1つを用いて、上記の結合部位の1つの存在に ついて試験する。増殖阻止剤は、実施例11に記載のような免疫沈降技術を含む、 いくつかの技術の内の任意の1つを用いて、ホロTcIIまたはアポTcIIのいずれか に対する特異性について評価され得る。増殖阻止剤は、例として、実施例10に記 載のような細胞取り込みアッセイを含む、いくつかの適切な技術の内の任意の1 つを用いて、生物学的調製物中のビタミンB12の取り込みを阻害するそれらの能 力について試験され得る。適切に選択された増殖阻止剤は、次いて、ELISAサン ドイッチアッセイおよび実施例12〜14に記載のアッセイを含む、いくつかの適切 な技術の内の任意の1つを用いて、精製され得る。好ましくは、適切な増殖阻止 剤は約10-7〜10-10の範囲の親和性を有し、そしてさらにより好ましくは、この 薬剤は10-9より高い親和性を有する。 本発明の別の局面では、抗レセプター剤は、B12/TcIIレセプターに向けられ る。これらの薬剤はB12/TcIIレセプター自体に結合し、そしてTcIIまたはB12/ TcII複合体との接触を阻害する。上記の増殖阻止剤はCDRを認識するので、これ らは抗レセプター剤と比較して固有の利点を有している。B12/TcIIレセプター は細胞表面に極度に低いレベルで発現される。結果として、レセプターに対する 抗体は、未だ得られておらず、そしてそのレセプターは、精製、配列決定または クローン化されていない。 本発明のさらに別の局面では、抗レセプター剤または増殖阻止剤は抗体であり 、そして生物学的調製物または温血動物のいずれかを処置するために投与される 。本発明の1つの処置の局面では、本発明の抗体に基づく産物が用いられる様式 は、抗レセプター剤または増殖阻止剤の作用機構およびそれらの血清半減期に依 存する。1つの実施態様では、抗レセプター抗体または増殖阻止抗体は、代表的 な質量作用の様式でB12/TcII複合体の結合のアンタゴニストとして作用する。 患者の投与のための目標は、規定された期間(代表的には1〜7日間)、ビタミ ンB12 の標的細胞への取り込みを50%以上、そしてより好ましくは90%以上または全 て阻止するに十分なレベルで抗体の血清濃度を達成し、かつ維持することである 。阻止の持続期間は、標的細胞および誘導される生物学的応答(すなわち、細胞 死または細胞分裂の停止)によって測定される。 ビタミンB12取り込みの阻害の程度は、多数の手段の内の任意の1つによって 測定され得る。標的細胞が容易に接近できる細胞(例えば、リンパ球または骨髄 または生物学的調製物)である場合、抗体投与後の様々な期間で、患者由来のサ ンプルを、残存のビタミンB12取り込みについて評価し得る。あるいは、フロー サイトメトリーを用いて、患者のサンプルを、FITC結合抗レセプター抗体または 増殖阻止抗体との結合について評価し得る。患者のサンプルを得ることが困難な 場合は(固形の腫瘍の処置の場合のように)、レセプター阻止の間接的な評価を 、特異的イムノアッセイ(例えば、ビタミンB12レセプター抗体の循環レベルを 測定するための個々の特異的抗イディオタイプ抗グロブリンの使用、または下記 のような他のアッセイの使用)を用いて血清の抗体レベルを測定し、そしてイン ビトロでのレセプター阻止を維持するために必要な抗体の量を調べることによっ て行い得る。 抗レセプター抗体または増殖阻止抗体の量ならびに投与時機はまた、インビト ロの試験、次いでインビボの研究を用いて決定され得る。主として、用いられる 方法は、図2に示されるような、血清濃度の測定を含む。例えば、1〜500mgの 用量範囲で投与される抗体は、固相のレセプター供給源(例えば、K562白血病細 胞の界面活性剤抽出物由来の糖タンパク質単離物)に結合しているビオチン化抗 レセプター抗体を用いる固相の競合ELISAによって血清中で定量される。非標識 抗体が、標準曲線を作成するための競合剤として用いられる。図2に示すように 、IgG抗体の免疫複合体の血清半減期は24時間であり、最大の阻止のために必要 な濃度より高い血清濃度を維持するために、約36〜48時間毎に投薬する必要があ る(3分割の線によって示される)。抗レセプター抗体の固有の血清半減期が長 いほど、必要な投与は少ない。従って、半減期が数日間のIgM抗体の免疫複合体 は、特定の状況下においてより有利であり得る。例として、TcIIの血漿濃度は、 30pg/mlまたは全身で96μgであり、約10%のホロTcIIが存在する。定常状態の合 成で は、24時間毎にB12/TcII複合体の80μgが置換される。結合部位に対して10倍の 抗体および48時間の半減期を仮定すれば、その時温血動物は、48時間当たり2mg を必要とするのみである(Am.J.Physio.256:296-303,1989)。 ビタミンB12レセプターの調節または「キャッピング(capping)」をし得る薬 剤は、競合的アンタゴニストと同様の様式で使用され得る。しかし、レセプター または結合部位の調節のパラメーターに関する知識が治療法を最適化するために 必要である。調節、キャッピング、パッチング、クラスター化、または固定化は 、細胞表面抗原、レセプター、または結合部位と抗体との相互作用の結果であり 得る。これらの用語は、表面からの抗原の完全な消去から、膜内の抗原の移動度 の阻害までの、応答の範囲を描写する。どのような型の相互作用が起きた場合も 、抗体の結合は、抗原の性質に依存して、機能の欠失を生じるか、または生物学 的応答を誘発し得る。抗体によって結合された場合、調節を受けることが証明さ れている種々の抗原、レセプター、および結合部位が存在するが、抗原の数と調 節される能力との間にはほとんど関係はないようである(Acta Haemotol.73:19 6,1985)。抗原を架橋し、そして調節を引き起こすためには2価(または多価 )が必要であるので、このような作用をする能力は、抗原の密度および分布、な らびに抗体によって連結(span)される距離(例えば、IgMはIgGよりも長い距離 を連結し得る)により支配される。さらに、補助的な抗原、抗体、または細胞も また、調節を増強し得る。例えば、レセプターの調節は、補体の存在によって、 T細胞上のCD-4にはHIV gp120タンパク質によって、そしてT細胞上のCD-5調節 には単球によって増強される(J.Immunol.133:2270,1984; Science 245:1380 ,1989; J.Immunol.144:239,1990)。 調節に必須なのは、抗体によって認識される標的抗原上のエピトープである( J.Immunol.137:2286,1986)。B細胞上の細胞表面IgD免疫グロブリンの場合 、抗体は、結合する細胞表面IgD分子の部分に従って調節する(J.Immunol.139 :2873,1987)。一旦調節されると、抗原またはレセプターはいくつかの運命を 有し得る:細胞表面上での固定化またはクラスター化、内在化および分解または 分散(shedding)。調節の程度は、同じ抗体、抗原および標的細胞集団でさえも 著しく異なり得る(Acta Haematol.76:119,1986)。どの運命でも、生物学 的応答は調節によって抑制され得るかまたは誘発され得、そして抗原またはレセ プターの再発現と一致して、24〜72時間の期間、再確立され得ない。 選択性もまた、調節によって達成され得る。細胞のほとんどの型は、線維芽細 胞(J.Cell.Sci.98:191,1991)、脂肪細胞(Int.J.Immunopharmacol.6:1 93,1984)、膵臓の小島細胞(Diabetologia 24:117,1983)、精子(Exp.Cell Res.144:275,1983)、腎糸球体上皮(J.Immunol.135:2409,1985)、およ び腫瘍細胞(Int.J.Cancer 448:1095,1989)について記載されたように、抗 体によって調節され得る。しかし、調節は、リンパ系細胞において最も容易に達 成される。組織の配置に依存して、このようなリンパ球は調節に対して多少感受 性であり得る。例えば、モルモットT細胞上のOKT-3様の抗原に対する抗体は、 胸腺を除く全てのリンパ系組織に存在する場合、調節に対して感受性であった( J.Immunol.138:2500,1987)。CD-5抗原またはヒトT細胞は、抗体の用量を制 御することによって、リンパ節中でT細胞の調節をすることなく、末梢細胞上で 調節され得る。末梢細胞に対する調節用量のT101(抗CD-5)を注入し、次いで、 リンパ節T細胞に選択的に送達されるT101次の第2の注入をすることによって、 逆もまた達成され得る(J.Immunol.133:1641,1984; N.Eng.J.Med.315:67 3,1986)。調節は抗体のみに制限されない;小さな化合物およびペプチドもま た、レセプターの再分布を引き起こし得る(J.Biol.Chem.167:3530,1992) 。 疾患のプロセスそれ自体、またはその症状が、ビタミンB12レセプターまたは 結合部位アンタゴニストのような抗増殖剤の使用によって停止、または改善され 得る段階は、多くの非腫瘍性疾患プロセスに共通する。これらの共通に認識され る段階は、疾患の原因となる免疫細胞が抗原特異的または非特異的な手段によっ て活性化(turn on)される感作相または誘導相、次いで免疫細胞が数において 拡大する増殖相、そして最後に増殖した免疫細胞が直接的または間接的に組織損 傷を引き起こす症候相(symptomatic phase)を含む。このため、抗増殖化学療 法薬は、一般にガン以外の多くの疾患の処置に用いられるが、それらの付随する 毒性による生命を脅かす状況のために使用が制限される。本発明の抗増殖剤(化 学療法薬の直接的な毒性をほとんど有さない)のような抗増殖剤は、より広範に 用いられ得る。より詳細には、本発明の抗レセプター剤または増殖阻止剤は、原 形質膜プロセス(例えば、イオン輸送)に危害を加えない。さらに、抗増殖活性 は、ビタミンB12の投与によって可逆的である。さらに、本発明の薬剤は、原形 質膜のレベルで作用し、挿入または架橋による、核およびDNAのレベルでの作用 (多くの化学療法薬の作用のような)はしないので、変異誘発性、催奇形性、ま たは発ガン性であり得ない。 抗レセプター剤または増殖阻止剤は、一時的なTcII欠乏の状態を生成するため に使用される。この一時的な欠乏は、細胞レセプター上へのB12/TcII複合体の 取り込みの阻害、細胞のビタミンB12枯渇を生じ、そして最終的に腫瘍細胞の死 を生じ得る。腫瘍性疾患の型または腫瘍の重さに依存して、一時的な欠乏の持続 期間は1〜6週間まで最適に変化させ得る(実施例4参照)。TcIIは迅速に合成 される。従って、抗体処置の停止は、正常のB12/TcIIレベルの再設立を生じる 。あるいは、患者はビタミンB12または葉酸で処置され得、抗体処置の効果を逆 転させ得る。 本発明の化合物についての薬学的適用の理解には、このような治療により標的 される細胞型の知識を必要とする。この目的に対して、種々の薬学的適用を下記 の表3に開示する。 増殖している活性化T細胞は、クローン病の慢性炎症からより急性の臓器移植 片拒絶におよぶ広範で多様な疾患を引き起こし得る。これらの全ての疾患におい て、T細胞は、中心的な病原性の役割またはより補助的な役割を作用し得る。抗 増殖の化学療法薬物は、総体的症状を低減させ、そしてある場合においては、長 期間の緩和に導く。同様に、増殖線維芽細胞および上皮細胞は、細胞の過剰増殖 によって特徴づけられる疾患を生じさせ得る。抗レセプターおよび増殖阻止剤は 、これらの疾患において、既存の化学療法養生法と置き換えられて使用され得る か、またはそれと組み合わせて使用され得る。これらの疾患における抗増殖抗レ セプターおよび増殖阻止剤の使用の1つの重要な局面は、積極的にまたは不適当 な時機でこの薬剤を適用しても、正常な治癒(癒着、瘢痕(scarring))または 細胞再生(乾癬)プロセスも阻害しないことである。このように、低用量の抗レ セプターまたは増殖阻止剤が治癒の間使用され得、そして一旦治癒が完了すると 、より高用量が使用され得る。あるいは、抗レセプターまたは増殖阻止剤はその 後の治癒が完了するまでは全く投与され得ない。この薬剤は、ビタミンB12枯渇 (下記に詳述する)による以前の処置により殺傷されなかったあらゆる過増殖性 または新生物細胞の増殖を阻止するために、補助的な環境(adjuvant setting) で長い期間(すなわち、数カ月間)、患者に投与され得る。 前述のように、抗レセプターまたは増殖阻止剤は、新生物細胞からビタミンB12 を欠乏させるために使用され得る。既に示したように、十分な欠乏は、白血病 およびリンパ腫のような迅速に増殖するリンパ腫の新生物のアポトーシスを導く 。さらに、この栄養素の細胞利用性を減少させるための短期間の処置は、既存の 化学療法剤と組み合わされて、驚くほど治療効力を改善する。 固形腫瘍については、ビタミンB12枯渇は、細胞性塞栓および分化ならびにア ポトーシスを誘導し得る。従って、抗レセプターまたは増殖阻止剤は、ホルモン 応答性固形腫瘍における分化を誘導するために使用され得る。分化した表現型を 発現する細胞の数の増加は、ホルモンレセプターの発現の増加に言い換えられる べきである。腫瘍(例えば、乳ガンおよび虚脱(prostrate)ガン)のホルモン レセプター状態は、ホルモン療法に対するその応答に直接相関する。従って、抗 レセプターまたは増殖阻止剤は、レセプター陽性腫瘍細胞の数を増加させるため に、またはその後のホルモン療法の効力を増強するためにレセプター密度を増加 させるために使用され得る。 抗レセプターまたは増殖阻止剤は、複製する正常細胞および新生物細胞の両方 に影響し得る。しかし、骨髄前駆体は、異なる感受性および応答を示す。従って 、抗レセプターまたは増殖阻止剤は、骨髄前駆体の感受性を調節して、化学療法 剤 の毒性効果に対するその抵抗性を増強させるために使用され得る。このような化 学療法薬物は、主に複製細胞に作用し、非複製細胞は極めて感受性が低い。抗体 は、送達が、正常器官および固形腫瘍に対してより高度に入りやすい骨髄により 迅速に達成されるので、この適用に十分に適する。さらに、抗レセプターまたは 増殖阻止抗体は、レセプターまたは結合部位を調節する能力を有し、上皮組織に 対してリンパ球に異なって影響し得る。毒性薬物に対する前駆体の感受性を低減 することで、骨髄保存(reserve)を増加し、そしてコロニー刺激因子に対する この後の応答を増強させ、そしてより高用量の化学療法を可能にするか、または 再構築に対する間隔を減少させる。ガンのためのビタミンB12レセプター療法の 自然な結果として、骨髄前駆体に対するこのようなポジティブ効果はまた、5-F Uおよびメトトレキセート以外の化学療法薬物の治療指針を改良し得るさらなる 機構であることが認識されるべきである。 多様な自己免疫疾患、宿主対移植片疾患、異所性アレルギー、および臓器移植 において、患者が自己または同種抗原に感作される初めの「誘導」期の後に、B 細胞またはT細胞の禁止クローンまたは非統制クローンが拡大する「増殖」期が 続く。誘導に続いて、抗増殖の化学療法剤を用いる処置が、禁止クローンの拡大 を阻害し得、疾患の進行を阻害し得、そして寛容の安定な状態を回復し得ること が以前から知られている。同種抗原感作T細胞の増殖を制御する抗体OKT-3は、 急性同種移植片拒絶の管理のために承認されてきた。本発明の抗レセプターまた は増殖阻止抗体は、極めて毒性な化学療法薬物またはOKT-3のような高度な免疫 原性抗体に対して置き換わり得、そしてこれらに関連する欠点を伴わないで寛容 の類似の状態を達成し得る。 炎症は、これらの薬剤が既に臨床治験に利用されている適用である。主に強調 されることは、補給または炎症細胞の損傷部位の血管上皮への結合を阻害するこ とによって炎症の初期の発症を阻害することである。炎症部位での細胞の増殖は 、急性および慢性の両方の炎症の病状および組織破壊に寄与することが十分に認 識されている。この目的のために、抗増殖の化学療法薬物は、炎症の後遺症を阻 害するために、広範に使用されている。 メトトレキセートは、慢性リウマチ関節炎に関連する症状を処置するために一 般的に使用される薬物の1つである。この薬物は、疾患の進行に関連する局在化 した(例えば、滑膜)および全身化した炎症の両方を低減するために作用する。 メトトレキセートは、白血病の治療においてビタミンB12枯渇と相乗的に作用す る。それゆえ、ビタミンB12アンタゴニストは、メトトレキセートと組み合わさ れて慢性リウマチ関節炎における効力を増強する。他のメトトレキセート適用は 、慢性心疾患および大腸炎に関連する破壊的炎症炎を処置することを包含する。 腹部に対する手術、放射線、または化学療法は、組織癒着の発生により、しば しば複雑化される。これらにより、かなりの臨床問題が存在する。なぜなら、癒 着が腸閉塞を導き、そして外科的介入を必要とするからである。腹膜癒着は、腹 部の内側を覆う腹膜の細胞の増殖の結果として生じる。このような増殖を妨げる 非毒性の手段により、ホメオスタシス制御機構に対してこれらの正常細胞を回復 させ、それにより癒着形成の阻害を導き得る。良性の増殖およびその後の瘢痕の 類似のプロセスは、網膜手術の合併症である。抗体レセプターアンタゴニストの 小分子アナログの直接点滴注入は、このような無能な合併症を防止し得る。 本発明の増殖阻止剤または抗レセプター剤は、インビトロでの実験およびその 後のインビボでの研究により決定され得る治療有効用量で投与される。増殖阻止 剤または抗レセプター剤の治療有効用量および投与の時機は、当該分野で公知の 任意の手段によって決定され、この手段は血清濃度の測定を包含する。例えば、 1〜500mgの用量範囲で投与される抗体は、固相結合部位供給源(例えば、精製 された血清、TcIIまたは組換えTcII)に結合するビオチン化増殖阻止剤を用いて 、固相、競合ELISAにより血清中で定量される。未標識の抗体を競合剤として使 用して標準曲線を作製し、一方血清アリコート中の増殖阻止剤を定量する。図2 に示すように、代表的な免疫複合体であるIgG抗体の血清半減期は24時間であり 、最大の阻止に要求される濃度(3つの分岐線により示される)を超える血清濃 度を維持するために、ほぼ36〜48時間毎の投薬を必要とする。増殖阻止剤または 抗レセプター剤の本来の血清半減期が長くなるほど、投与の必要は少なくなる。 従って、数日の半減期を有する免疫複合体IgM抗体は、特定の情況下でより有利 である。 本発明の文脈内で使用される用語「処置」は、被験体における症状を低減また は軽減すること、悪化または進行に由来する症状を防止すること、原因となる薬 剤の阻害または排除、あるいは感染および障害を免れている被験体においてこれ らを防止することをいう。従って、例えば、感染の処置は、感染因子の破壊、そ の成長または成熟の阻害または妨害、その病理学的効果の中和などを包含する。 疾患は異常を引き起こすかまたはそれをより重篤にする異常を部分的にまたは全 体的に取り除くことによって「処置」される。不均衡な状態の疾患は、疾患を引 き起こすかまたは疾患をより重篤にする不均衡を部分的にまたは全体的に取り除 くことによって「処置」される。 薬学的キャリアまたは希釈剤との混合剤中に増殖阻止剤または抗レセプター剤 を含む薬学的組成物は、従来の薬学的合成技術に従って調製され得る。キャリア は、投与(例えば、静脈内、経口局所、エアゾール、坐薬、非経口、または脊髄 注射)のために所望される調製の形態に依存する広範で多様な形態をとり得る。 以下の実施例は、特定の抗レセプター剤および増殖阻止剤の作製および使用を 説明するために設計される。実施例で使用する抗レセプター剤の型は、ヒトまた はキメラ抗体であり、AIDS関連リンパ種(ARL)、特にAIDS患者において生じる ガンの積極的な形態の処置、ならびに他の医学的適用に適用される。小分子およ びペプチドアナログはまた、ガンの処置に使用され得るが、他の薬学的適用にお いてより最適に使用される。以下の実施例は、例示として提供されるが、限定と して提供されない。 実施例 実施例1 ビタミンB12レセプターに対する機能的モノクローナル抗体の 同定および特徴づけ ハイブリドーマを、図1に示すように免疫したマウス由来のマウス脾臓細胞と NS-1のようなHGPRTミエローマ細胞とのPEG介在性融合により作製する。免疫原と して、Cohn精製血清タンパク質中に存在するトランスコバラミンIIを共有結合的 に固定化(CnBr Sepharose)し、そしてこれを用いて少量の可溶化レセプターを 吸着する。次いで、この複合体を、マウスを免疫するために使用する。融合の4 〜6週間後、ハイブリドーマ上清を、Cohn画分由来のトランスコバラミンとの複 合体化57Co-ビタミンB12を用いる改変された放射能標識アッセイを用いて、化 学的に規定される培地中で培養されたK562白血病細胞のビタミンB12取り込みの 阻害についての機能的アッセイでスクリーニングする。マイクロタイタープレー トにおける一次スクリーニングの結果を以下の表4に説明し、そして阻害されて いないコントロール(A1ウェル)の比(fraction)として表す。ウェルH12は 、陽性コントロール(最大阻害)として作用し、そして競合剤としてトランスコ バラミンIIに複合体化された未標識ビタミンB12の供給源として血清を利用する 。 この一次スクリーニングにおいて同定されたハイブリドーマ(A5、C2、D2、お よびF10)を胸腺フィーダー細胞を用いて限界希釈によりクローン化する。4〜 6週間後、最初のウェルに由来のクローン(連続して番号をつけることにより同 定する)を機能的アッセイで再スクリーニングして親の特徴的な活性を保持する クローンを同定する。さらに、他のアッセイを、白血病細胞または有糸分裂が刺 激された正常なリンパ球に対する、癌腫細胞おけるビタミンB12取り込みの阻害 によりクローンの特異性を特徴づけるために行う。特異性の評価結果を以下の表 5に示す。 これらの結果に基づくと、抗体D2/20が、リンパ腫の処置のさらなる評価のた めに選択される。この抗体は、10ナノグラム/mLの低い抗体レベルでさえも、ビ タミンB12取り込みを強く阻害し得る(示さず)。さらに、この抗体は、リンパ 様細胞においてビタミンB12の取り込みを阻害するが、上皮起源のリンパ様細胞 においては阻害しないようであり、結腸上皮における複製陰窩細胞に対する毒性 の低減に潜在的に有用であることを特徴とする。他の評価において、この抗体は 、有糸分裂が刺激されたマウス脾臓細胞においてビタミンB12の取り込みを阻害 しなかった。このことは、ヒトレセプターに対するこの抗体の特異性を示してい る。 実施例2 ビタミンB12抗レセプター抗体単独および化学療法剤との 組み合わせでの細胞殺傷能力のインビトロ評価 ある濃度範囲の抗体D2/20を、化学療法剤とともに、および化学療法剤なしの マイクロタイタープレートにおいて、3日間、Raji Burkittリンパ腫細胞と共に インキュベートする。細胞生存率をテトラゾリウム色素の還元により測定する。 生存細胞だけが、色素を不溶性の有色産物に代謝する。次いで、この産物を可溶 化し、そして分光光度計により読み取る。このアッセイの結果を以下の表6に示 す。 これらの結果に基づくと、ビタミンB12レセプターに対する抗体は、おそらく はビタミンB12の欠乏により、リンパ腫細胞の細胞死を誘導し得る。さらに、メ トトレキセートと組み合わせた場合、この組み合わせは、2つの薬剤のいずれの 単独の場合よりもかなり大きな活性であるので、相乗的であると考えられる。こ の結果は、ビタミンB12枯渇の他の方法で得られた結果と一致している。 実施例3 化学療法剤との組み合わせにおける ビタミンB12抗レセプター抗体のインビボ評価 Nu/nuマウスに、百万個のRaji Burkittリンパ腫細胞を皮下注射する。2週間 後、かろうじて触知できる小節が注射部位に存在する。プラナリメーター(plana rimeter)で3次元で測定を行い、そして等しい大きさの腫瘍を10匹のマウスの実 験群に割り当てる。マウスに、薬剤、メトトレキセート(3用量レベル-50、10、 および5mg/M2)ならびに100μg/マウスの抗体D2/20を静脈注射する。処置は、週 1回、施される。抗体および薬剤単独のコントロール、ならびにビヒクルのコン トロールを含む。マウスを、8週間の間、毎週、毒性、死、および腫瘍サイズに ついて視覚的にモニターし、8週間で実験を終了し、マウスを屠殺し、そして腫 瘍を摘出し、重量を測定する。重量(グラム)に換算される一連の腫瘍測定の平均 を、下記の表7に示す。 これらの結果に基づくと、ビタミンB12抗レセプター抗体は、ヒトBurkittリ ンパ腫のこのモデルにおける腫瘍増殖の阻害に際して活性であること、およびメ トトレキセートとの組み合わせはより効果的な養生法を提供することが結論され 得る。 実施例4 化学療法との組み合わせにおけるビタミンB12抗レセプター抗体 を用いるAIDS関連リンパ腫を有する患者の処置 AIDS関連リンパ腫(「ARL」)と診断される患者を、処置のために病院に収容す る。患者は、CNSの併発および乏しい予後を表し、起源不明の熱を患う。患者は 、200/μl未満のCD-4数を有し、そしてARLの診断の前に、AZT(ジドブジン(zidov udine))の抗レトロウイルス処置を受けている。患者に、以下のプロトコルに従 って骨髄支持体(bone marrow support)(rGM-CSF)と化学療法を組み合わせる養生 法を積極的に与える: A.シクロホスファミド、200mg/M2、1〜5日目に毎日30分かけて静脈内; B.ビンクリスチン1.4mg/M2、2mg/用量を越えない、1日目に急速(push)に静 脈内; C.高用量のメトトレキセート、1日目1500mg/M2、30分にわたり150mg/M2を投 与し、続いて、その次の23 1/2時間にわたって1350mg/M2を投与し、尿のpHで維 持される急速尿流量(rapid urine flow)は、重炭酸ナトリウムを補充して、尿pH >7.5に維持した; D.フォリン酸、メトトレキセートの注入終了12時間後に開始し、6時間(q6h) 毎に30mgを静脈内または経口にて投与し、フォリン酸を血清メトトレキセートレ ベルが0.01uMになるまで続ける; E.ミトキサントロン(Mitoxanthrone)、10mg/M2を4および5日目に急速に静脈 内; F.デカドロン(decadron)5mg/M2を4および5日目に急速に静脈内; G.rGM-CSF、絶対顆粒球数(absolute granulocyte count)が>1,000/ulになる まで、6日目まで3μg/kgを皮下に1日2回(bid);そして H.シタラビン(cytarabine)(50mg)をコース1の1日目に鞘内に;その後、6つ の他の処置コースの各々について、1日目に鞘内にメトトレキセート(12mg)、お よび16日目に鞘内にシタラビン。 患者にはまた、予防的に抗生物質およびジフルカン(Diflucan)を投与する。AZ Tは、化学療法中は中止される。患者は、7つの処置コースを受け、そして節疾 患の部分的な応答およびCNS疾患の完全な応答を経験したことを評価する。7ヶ 月後、患者は、周辺部に再発する疾患で病院に戻ってくるが、CNS併発について は、まだ陰性である。 患者を、次のことを除いて同じ組み合わせ養生法で処置する:rGM-CSFは腫瘍 増殖の加速に関係するために含まれず、鞘内処置ではなく、そしてビタミンB12 レセプター抗体を含む。特に、抗体を、化学療法の各コースの1日目で投与する 。養生法の抗体成分は、マウス抗体D2/20由来の「ヒト化」キメラIgMからなり、 4時間にわたる静脈内点滴において100mgの用量で投与する。この抗体は、患者 内で72時間の血清半減期を有することが以前に決定されている。 患者は、rGM-CSFの欠如のための非応答性好中球(neutophil)の数により、3つ だけのコースの後、処置から解放される。しかし4ヶ月後、患者は、周辺の疾患 の完全な応答を経験したと評価される。患者は、17ヶ月間、完全な応答を続ける 。 実施例5 ビタミンB12レセプターを調節し得るモノクローナル抗体の同定 ビタミンB12取込みの阻害についてのアッセイにおいて陽性なハイブリドーマ (上記の実施例1)を、レセプターを調節し得るこれらのハイブリドーマを同定す るために設計された、異なるアッセイにおいてスクリーニングする。ハイブリド ーマ上清を、1×106個のK562白血病細胞と4℃で60分間インキュベートする。 細胞を再懸濁し、洗浄し、そして等しい細胞(5×105)のアリコートを分離チュ ーブに取り出し、そして37℃で60分間インキュベートする。一方、その残りのア リコートを、同じ期間、4℃で保持する。各ハイブリドーマからの両アリコート を、フルオレセインイソチオシアネート結合の抗マウス免疫グロブリン(FITC-α MIg)で染色することにより、結合したマウス免疫グロブリンについて分析する。 未結合の2次抗体を洗浄により除去し、そして、Coulter Epicss フロー血球計 算機を用いて染色細胞を試験する。陽性細胞の平均蛍光強度(MFI)および結合プ ロファイルを、2つの細胞のアリコート上で比較する。実施例1において同定さ れる抗体の、姉妹クローンF10/4およびF10/8だけが、図3に示されるレセプター 調節について陽性である。37℃で保持されるサンプルの蛍光強度は、4℃で保持 されるサンプルよりも有意に低くく、そしてレセプター調節の予備的な証拠を構 成する。 レセプター調節または「キャッピング」についてのパラメーターは、コルヒチ ン(colchine)またはビンブラスチンのような微小管およびミクロフィラメントイ ンヒビターを用いる研究によりさらに詳説され、調節における細胞骨格の必要性 を示している。研究はまた、酸化ナトリウムを用いて行われ、キャッピングが細 胞エネルギープロセスに依存することを示す。さらに、レセプターの発現を完結 するための時間は、24時間であることが測定され、そして、わずかナノグラム/m Lレベルの抗体が、レセプターを欠失した細胞の維持のために必要とされ、72時 間内のチミジン取り込みを完全に阻害することが測定されている。 実施例6 ビタミンB12抗レセプター抗体を用いる宿主対 移植片疾患(GVHD)を患う患者の処置 急性白血病を患う成人患者は、骨髄移植の前に導入養生法のために入院する。 患者に、3g/M2のシトシンアラビノシドを6日間、12時間毎に与え、次いで、3 日間、1日に2回、200cGyの分割された全身照射を与える。患者に、T細胞が枯 渇した組織適合性骨髄を投与し、その後、GVHDの予防のためのシクロスポリンと メトトレキセートとを一緒に導入する。シクロスポリンを、サイラスティックカ テーテルを通して、1日目から180日目まで、最初の15日間は1.5mg/Kg/日の用量 レベル、その後は3mg/Kg/日の用量レベルで投与する。メトトレキセートを、1 、3、6、11、18、25、および31日目に0.25mg/Kg/日の用量で投与する。 患者に移植が行われ、そして3ヶ月までは、GVHDの証拠が見られない。しかし 、その時点で、患者は再入院し、そしてシクロスポリンAをなお投与されている が、第III段階のGVHDを患っていると診断される。患者に、再びメトトレキセー トを一度投与するが、これはビタミンB12抗レセプター抗体と組み合わせて投与 する。この養生法は、メトトレキセート(0.25mg/Kg/日)の注入後、4時間にわた る静脈内点滴において50mgの用量でマウス抗体F10/4由来の「ヒト化」キメラIgM を投与することからなる。この養生法は、シクロスポリンの投与を維持する間、 1、3、 6、および11日目に施される。2週間後、GVHDの最大の発現が解消し、患者は、 さらに60日間、シクロスポリンで維持される。患者は2年間GVHDを有さず、その 時点で白血病からGVHDを再発し、そして死亡する。 実施例7 ビタミンB12抗レセプター抗体を有する化学療法剤の血液学的毒性の減少 リンパ節および肝臓の両方で併発している第IV期大腸ガンを有する患者を、処 置するために病院へ収容する。患者は、10分間注入により与えられるロイコボリ ン(200mg/M2)、次いで2週間毎の5-フルオロウラシルの1,000/M2用量の養生法が 施される。処置を、第III/IV段階の白血球減少および血小板減少のために、2ヶ 月後に停止する。患者は、肝臓およびリンパ節疾患の部分的応答ならびに最小の 神経毒性だけを経験する。 この患者を、ビタミンB12レセプターを調節し得る、抗体F10/4の「ヒト化」 キメラであるIgMの前注入により再処置する。患者に、2時間にわたって2mgの 抗体を注入する(この用量は、前もって骨髄細胞上のレセプターを調節するため に以前に見出されたが、患者の固体腫瘍病巣の生検においては、イムノペルオキ シダーゼにより実質的に検出され得ない)。18時間後、患者に、以前のように5- フルオロウラシルおよびロイコボリンを注入する。この患者は、続けて、4ヶ月 間の2週間毎に処置を受け、そして第1段階の血小板減少、および穏やかな神経 毒性のみを経験する。この2番目の処置の間隔後、患者は、肝疾患の実質的に完 全な応答とともに、リンパ節疾患の完全な応答を経験していると評価される。 実施例8 組換えTcIIの産生 TcII cDNA の調製。λgtIIにおいてヒト内皮細胞cDNAライブラリーから以前に 単離され、そしてPGEM 3Z f(-)ベクター(Platica,O.ら、J.Biol.Chem 266:78 60,1991)にサブクローン化された、TcIIについての全長cDNAを、溶液培地中で 増幅し、そしてアルカリ溶解および塩化セシウム勾配遠心分離により単離した(S ambrook J.ら、「Molecular Cloning,A Laboratory Manual」Cold Spring Harb or Laboratory Press,1989)。このプラスミドを、EcoRIで消化し、そしてcDNA 挿入体を、0.8%低融点(LMP)アガロースゲルにおける電気泳動により分離し、そ してフェノール抽出によりアガロースから回収し、その後エタノール沈澱を行っ た(Sambrook J.ら、「Molecular Cloning,A laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY,」Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)。 バキュロウイルス用プラスミドベクターへのcDNAの挿入。このプラスミド、PV L1393(Webb,N.R.ら、Technique 2:173,1990)を、Escherichia coli JM109内で 増殖し、そして塩化セシウム勾配遠心分離により精製した。(Sambrook J.ら、「 Molecular Cloning,A Laboratory Manual」Cold Spring Harbor Laboratory Pr ess,1989)。TcII cDNAをこのベクターに挿入するために、プラスミドを、EcoRI 消化により線状化し、そして電気泳動後LMPアガロースから単離した。ポリアデ ニル化シグナルを含む、54ヌクレオチド(nt)リーダーペプチド、37nt 5'非翻訳 領域、および548nt 3'非翻訳領域を含有する全長TcII cDNA(1866bp)を、このプ ラスミドに挿入し、そして、タンパク質の翻訳のために正しい方向のcDNAを含む クローンを、制限酵素を用いる挿入体含有プラスミドの消化の後、予想されるフ ラグメントサイズにより同定した。 SF9 細胞の培養。SF9細胞(ATCC 1711-CRL)を、SummersおよびSmithにより記載 される10%熱不活性化ウシ胎児血清(FBS)(GIBCO,Grand Island,NY)を補充した TNM-FH培地(Sigma Chemical Co,St.Louis,MO)中、27℃で増殖させた(Summers ,M.ら、Texas Agricultural Experiment Station Bulletin 番号1555,College Station,TX,Texas A&M University,1987)。 野生型バキュロウイルスの単離。SF9細胞に、10の感染多重度(MOI)でAutograp ha californica核多角体病ウイルス(AcNPV)を感染させた。27℃で72時間のイン キュベーション後、培地を回収し、そして培地中の細胞外ウイルスを回収し、そ して培地中の細胞外ウイルスを、スクロース密度勾配遠心分離により精製した。 組換えウイルスの生成および単離。組換えウイルスの産生および単離を、リン 酸カルシウムトランスフェクションプロトコル(Graham,FLら、Virology 52:456 ,1973)を使用して、SummersおよびSmithにより記載されるように行った(Summer s,M.ら、Texas Agricultural Experiment Station Bulletin 番号1555,Colleg e Station,TX,Texas A&M University,1987)。96時間後のトランスフェクション 培地中の組換えウイルスを、LMPアガロースプレートにおけるプラークアッセイ により精製した。組換えプラークを、視覚的スクリーニングにより同定し、そし てプローブとしてTcII cDNAを用いる感染SF9細胞由来のDNAのドットブロットハ イブリダイゼーションにより確認した。組換えウイルスについてのその後のすべ てのアッセイを、個々プラークから回収したウイルスを感染させたSF9細胞の培 養後培地において、組換え体TcIIへの[57Co]B12(Amersham,Arlington Heights ,IL)の結合を測定することにより行った。バキュロウイルス内で産生された組 換え体TcIIは、天然ヒトTcIIと同じ機能的性質を有する。このタンパク質の産生 およびその性質は、Quadros、Blood81:1239,1993に詳細に記載されている。 組換え体TcIIの精製。100〜120時間、組換えウイルスで感染させたSF9細胞か らの培養培地を回収し、そして細胞破片を15分間3,000gでの遠心分離により除去 した。この組換え体TcIIを、以下の改変と共に、Quadros,E.V.ら(J.Biol.Che m 261:15455,1986)に以前に記載されたような、光反応性(photo-labile)B12-Pr opyl-Sephacryl(Pharmacia LKB)を用いるアフィニティクロマトグラフィーによ り精製した:TcIIのバッチ式精製のために、2gのCM-Sephadex C-50(Pharmacia LKB)を、1N HClでpH5.2に滴定されていた培養培地1リットル毎に添加した。前 記(Quadros,E.V.ら、J.Biol.Chem 261:15455,1986)のような精製手順の最終 段階を省略した。なぜならアフィニティマトリクスから遊離したタンパク質は、 ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により測定 される混入タンパク質が全く存在しなかったからである。 実施例9 TcII に対する抗体の産生 マウスモノクローナル抗体を、実施例8において産生される組換えヒトTcIIを 用いる免疫化動物から、従来の方法により産生した。このハイブリドーマを培養 し、そして播種した。ハイブリドーマの増殖を示すウェルを、Hermansonら(Immo bilized Affinity Ligand Techniques ,Academic Press,1992)に記載される酵 素結合免疫吸着アッセイ(「ELISA」)によりTcIIに対する抗体の存在についてス クリーニングした。陽性ウェルを同定し、次いで、放射免疫アッセイ(RIA)にお いてTcIIへの57Co標識ビタミンB12の結合を阻害するそれらの能力を測定するこ とにより、アポTcII(図4、タイプ1)に対する抗体の存在について試験した。Tc IIを、マイクロタイタープレート上にコートする。放射能標識ビタミンB12およ び抗体サンプルを、37℃で3時間、プレート上でインキュベートする。混合物を デカントし、PBS X3でマイクロタイタープレートを洗浄した後、プレートの放射 能を測定する。この結果を、図5において阻害パーセントとして報告する。 実施例10 ビタミンB12の細胞取り込みを阻害するモノクローナル抗体を単離するために 使用されるホロTcIIの細胞取り込みのためのアッセイ 次いで、実施例9で生じたELISAデータを使用してハイブリッドを選択し、生 物学的調製物中の標識ビタミンB12の取り込みを阻害する能力について試験した 。1-18、2-2、3-4、3-11、3-16、4-4、4-7、5-2、5-12、5-4、5-19、6-4、6-13 、7-4、8-4、および5-18を、ELISAにより評価されたそれらの能力に基づいて選 択した。 ヒト赤白血病細胞K562(ATCC受託番号CCL243)を使用して、ビタミンB12取り 込みを評価した。代表的には、それらを使用前に48〜72時間、10%ウシ胎児血清 を含有するRPMI1640培地で培養した。最初に、100μLの容量で57Co(Amersham, Arlington Heights,ILまたはEastman Kodak,Rochester,NY)で標識したビタ ミンB12を、混合および室温での30分間のインキュベーションにより500μLの容 量中のTcIIに結合させた。次いで、TcII[57Co]B12複合体を、試験される各モノ クローナル抗体(2-2、4-7、3-11を包含する)(培養上清または腹水の形態で) とともに、または無関係な培養上清(無関係な腹水またはマウス血清)のような 適切なコントロールとともに、4℃で一晩インキュベートした。細胞を回収し、 そして、500μL中に1〜1.5×106細胞の間で、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)で2 回洗浄した。これらの細胞を、100μLの100mMカルシウムといっしょに抗体/TcI I[57Co]B12混合物に添加し、そして37℃で1時間インキュベートした。100μL の100nM EDTAをカルシウムの代わりに使用し、非特異的な結合を測定した。なぜ な ら、レセプターに対するTcII結合は、カルシウム依存性であるからである。[57C o]B12の細胞取り込みを、Hermle遠心機で5分間、2000RPMでサンプルを遠心分 離することにより生じた細胞ペレット中の57Co由来の放射能を計測することによ り測定した。これらの結果を図6に報告する。驚くべき結果は、いくつかのクロ ーンはまた、取り込みが増加したことであった。このことは、マウス腹水中のTc IIの存在の結果であり得る。 実施例11 ホロTcIIまたはアポTcIIに対する特異性の測定 次いで、ビタミンB12の取り込みを阻害する3つのクローン(2-2、3-11、4-7 )(図5)を従来の免疫沈降技術を用いて試験し、TcIIのアポ形態に対するホロ 形態のそれらの特異性を決定した。特に、キャリアタンパク質のアポ形態を得る ためにカルボキシメチル-Sephadex(Quadrosら、J.biol.Chem.,261(33):1545 5-15460,1986)でのクロマトグラフィーにより精製された組換えTcIIを、前記 (Quadrosら、Am.J.Physiol.256:296-303,1989)のように1251(Amersham)で 放射能標識した。ホロTcIIを、アリコートを室温で30分間、アポTcIIを飽和する ために十分なビタミンB12(Sigma)とともにインキュベートすることによりこ の材料から調製した。試験される抗体を、プロテインAと結合したSepharoseビ ーズ上に捕獲し、HBSS中で洗浄し、125I-ホロTcIIまたは125I-アポTcIIのいずれ かとインキュベートし、洗浄し、そして結合した放射能をγカウンターで測定し た。TcIIに対するポリクローナルウサギ抗体をポジティブコントロールとして使 用した。 図7に示すように、3つすべてのクローンがホロTcIIに選択的に結合した。こ の結果は、TcIIに対するビタミンB12の結合が分子上に新規決定基の発現を導く ことを示す。この決定基は、レセプターにより認識され、そしてホロTcIIについ てレセプターの特異性を担い得るTcIIの領域に関連する。 実施例12 抗体の精製 増殖阻止剤は、ILガラスローラー容器においてDMEM、10%ウシ胎児血清、0. 2% β-メルカプトエタノール、および2% 3T3馴化培地(インターロイキン6 の供給源)中で増殖させたハイブリドーマクローン1-9、3-9、5-18、および3-11 により産生された。培養上清を回収し、そしてこの計画の開始前に凍結保存した 。解凍した上清を、0.22μmフィルターを通して濾過し、細菌または細胞破片を すべて除去し、次いで、1M Hepes(pH7.2)で緩衝化した。抗体を、ヒツジ抗マウ スイムノグロブリンカラムでのアフィニティークロマトグラフィーにより、以下 のようにこの培養培地から精製した。 カラムおよび緩衝液を室温になるまで放置した。0.5%アジ化ナトリウムを含 むリン酸緩衝化生理食塩水(1×PBS)をカラムより排出した。このカラムをま ず200mLのPBSで、次いて200mLの0.1Mグリシン(pH2.5)で予め循環させ、混入物 を取り除き、次いで200mLのPBSで再平衡化した。この時点でカラムを通過する緩 衝液のpHが7.0〜8.0であることをpH試験紙で確認した。200mLの培養培地をカラ ムに載せ、通過させ、そして「通過滴」として回収した。次いで、この通過滴を カラムに再度載せた。この段階のpHが約7.4であることを確認した。200mLのPBS をカラムに添加してすべての非結合タンパク質を洗浄し、そして最初の20mLを「 洗浄1」として別のチューブに回収した。この時点のpHが7.0〜8.0であることを 確認した。最後の緩衝液をシリンジでカラムから吸引した。8mLの0.1Mグリシン をカラムに添加し、そして10分間静置した。8つの1mL画分をカラムより回収し 、pHが2.5であることを確認した。次いで、画分を、35μLの飽和tris緩衝液で中 和した。溶出物の光学密度読取値を280nmで得て、どの画分が保存するために十 分な抗体を有するかを決定した。タンパク質濃度を、次式を用いてmg/mLで算出 した: 1.4 O.D.=1mg/mL 0.12を超えるO.D.読取値を与える溶出物をプールし、そしてYM10 43mmメンブレ ンフィルターを用いる高圧濾過により濃縮した。濾過装置をPBSで3回洗浄して すべてのグリシン/tris緩衝液を洗い出し、そして中性pHの溶液中に抗体を再懸 濁した。280nmでの光学密度読取値を得て、最終濃度を得た。この溶液を0.22μm シリンジフィルターで濾過滅菌し、そして4℃で保存した。 実施例13 抗体としての精製タンパク質の測定 精製タンパク質サンプルを、還元および非還元条件の両条件下で、SDS-PAGEゲ ルでの電気泳動により抗体であることを決定した(完全な抗体分子ならびに重鎖 および軽鎖の両方を視覚化した)。SDS-PAGEミニゲルを、Mini-PROTEAN II Dual Slab Cell(Bio-Rad Laboratories)を使用して調製した。ガラスプレート、ス ペーサー、コーム、およびキャスティングスタンドガスケットを、使用前にエタ ノールで清浄にした。以下の手順を使用した: ゲルサンドイッチを組み立てて、プレートとスペーサーとが直接接しているこ とを確実にした。6%アクリルアミド分離ゲルを、2mLのアクリルアミド、5.44 mLの蒸留水、2.5mLの1.5M Tris-HCl(pH8.8)、50μの10% APSおよび10μLのTe medで調製した。4.7mLを2枚のゲルプレートの間にピペットで移した。12%ゲル を、4mLのアクリルアミドおよび3.44mLの蒸留水を使用したことを除いて同様に 調製した。気泡が形成されないことを確実にするために、蒸留水の層をそれぞれ のゲル上にピペットで移した。両方のゲルを20分間重合させた。蒸留水を真空に より除去した。 スタッキングゲルを、0.833mLのアクリルアミド/Bis、2.9mLの蒸留水、1.25m Lの1.5M Tris-HCl(pH6.8)、20μLの10% APSおよび10μLのTemedで調製した。 ゲルを、ゲルサンドイッチの間にピペットで移し、そしてコームを直ちにそれぞ れの中に入れ、そして30分間重合させた。コームを除去し、そしてサンプルレー ンを蒸留水で濯いだ。ゲルを内部冷却コアに取り付け、そしてGST移動緩衝液(r unning buffer)(グリシン、SDS、およびTris)を中央のチャンバーに添加した 。 4つのモノクローナル抗体(1-9、3-9、5-18、および3-11)のサンプルを、2 〜3mg/mLで、非還元6%ゲルではブロモフェノールブルーとともに、そして12 %還元ゲルではブロモフェノールブルーおよび2% β-メルカプトエタノールと ともに調製した。これらのサンプルならびに高分子量マーカーおよび低分子量マ ーカーの両方をゲル上に載せた。1レーン当たり5μLを添加した。内部冷却コ アを下方の緩衝液チャンバーに入れた。チャンバーを1×GSTで満たし、そし てすべての気泡をゲルの底部から除去した。 次いで、チャンバーを蓋で密閉し、そして電源に接続した。電圧を、サンプル が移動緩衝液に到達するまで100ボルトに設定し、到達したら200ボルトに上げた 。電気泳動が終了した後、ゲルサンドイッチを装置より取り外した。上部および 下部のゲルプレートをはずし、そしてスタッキングゲルを廃棄した。ゲルを1× Semi-Dryトランスファー緩衝液下に置くことにより、ランニングゲルをプレート から取り出した。ゲルを固定し、そしてJ.H.Morrisseyの銀染色手順(Analytic al Biochemistry,117:307-310,1981)の改変法を用いて染色した。 実施例14 イソ型抗体の決定 ELISAサンドイッチアッセイを使用して、精製した4つのモノクローナル抗体 のそれぞれのイソ型、ならびに別の潜在的に有用な増殖阻止抗体である2-6(こ れは上記と同様の方法で単離した)のイソ型を決定した。2-6について試験した 抗体は精製されておらず、培養上清をELISAウェルに直接添加した。 100μLのイソ型特異的ラット抗マウス捕獲抗体を、平底96ウェルFalconポリビ ニルELISAプレートの各ウェルに、5μg/mL(1×PBS中で調製)の濃度で添加し た。1つのイソ型(IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgM、κおよびλ軽鎖)につき 2つの横列をコートした。1つの横列は、バックグランドシグナルの基準として PBSのみを含有した。ELISAプレートを、室温で一晩、湿ったペーパータオルを並 べた密閉容器中でインキュベートした。ペーパータオル上でプレートをたたくこ とによってウェルの中身を空にし、そして100μLの1×PBS、0.5%粉ミルクをそ れぞれのウェルに添加して非特異的結合を阻止した。これを室温で1時間インキ ュベートした。 4つの精製モノクローナル抗体およびコントロール抗体2E11(これは、IgG1κ であることが知られる)を、PBS/ミルク中に5μg/mLで調製した。このプレート をPBS/ミルク中で3回洗浄し、次いで、100μLの各抗体溶液をELISAプレートの 2つの縦列の各ウェルに添加し、それにより各抗体を各イソ型に対して試験した 。これを室温で1時間インキュベートした。ウェルを空にし、そしてプレートを 工 程3のように洗浄した。100μLのラット抗マウスイムノグロブリン(これは、PB S/ミルク中に1:1000に希釈された西洋ワサビペルオキシダーゼで標識されていた )を、プレート上の各ウェルに添加し、そして1時間インキュベートした。プレ ートを工程3のように再度洗浄し、次いで、蒸留水で3回濯いだ。2,2'アジノビ ス(3-エチルベンズチアゾリンスルホン酸、またはABTS)基質を、2μL/mLの新 鮮に調製した3%過酸化水素を含むクエン酸緩衝液(pH4.5)中に1mg/mLで調製 した。100μLのこの溶液をELISAプレート上の各ウェルに添加し、そして37℃で 約20分間放置した。一旦色の変化反応が観察されると、プレートをBio-Tek Micr oplate EL 309 ELISA Readerで読みとった。 精製抗体のイソ型を表8に示す。 実施例15 トランスコバラミンIIに対する抗体特異性の決定 同様のELISAサンドイッチアッセイを使用して、精製抗体がイソ型分類実験で 使用されたものと同様にTcIIを認識するか否かを決定した。この手順において、 4つの精製モノクローナル抗体を、PBS中に10μg/mL(2.5μg/mLの各抗体)で一 緒に混合し、そして100μLを各ウェルに添加した。これを一晩インキュベートし 、次いで、プレートを洗浄し、そしてPBS 0.5%ミルク中でブロックした。100μ L の5倍濃縮ヒト血清または5倍濃縮ウシ胎児血清を、プレート上の各横列の最初 のウェルに添加した。次いで、血清を、プレート全域で、PBS/ミルク中で滴定( 連続希釈)した:各工程で血清を2倍希釈した。これを1時間インキュベートし 、洗浄し、そしてブロックし、次いで、ビオチンで標識された精製抗TcII抗体を 2つの横列の各ウェルに添加した(今回は1連)。これを1時間インキュベート し、洗浄し、そしてブロックし、次いで、PBS/ミルク中で1:2000に希釈した50μ Lの西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジンを各ウェルに添加した 。これを2時間インキュベートし、洗浄/ブロックし、イソ型分類プロトコルに つき同様の基質溶液を添加し、そしてELISAリーダーで読みとった。一旦結果が この実験から得られると、正常な濃度のヒト血清、マウス血清、アカゲザル血清 、および組換えTcIIで実験を繰り返した。マウス血清は入手が限られたことから 、100μLの代わりに50μLのみをELISAプレートの最初のウェルに添加した。結果 を図8に示す。 抗体5-18は、3-11および3-9のように検出剤として妥当な活性を示すにも関わ らず、捕獲抗体としてほとんど働かないことが見出された。しかし、これは1-9 との組み合わせにおいて応答を示さなかったことから、両方のモノクローナル抗 体が同一のエピトープを認識し得ることを示唆する。残りのモノクローナル抗体 の組み合わせは応答を生じ、このことは3-11および3-9が独立したエピトープを 認識することを示唆する。 実施例16 抗体機能の決定 3つの抗TcIIモノクローナル抗体(5-18、3-11、および1-9)を、K562細胞(A TCC受託番号CCL243)内への3Hチミジンの取り込みの分析により示されるそれら の増殖を阻止する能力について評価した。 K562細胞を、10%ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地(Gibco BRL,Burlington ,Ontario)で培養した。次いで、細胞をPBS中で3回洗浄し、そして10% QUSO (合成アモルファス沈澱シリカ,Degussa Corporation,New Jersey)で処理し たヒト血清を含み、ビタミンB12および葉酸を欠くRPMIに再懸濁した。(QUSO処 理血清を、1mLの血清当たり30mgのQUSOの濃度でQUSOを添加することにより4℃ において調製した。遠心分離後、血清上清を回収し、そしてTcIIを含まないヒト 血清として使用した。) 次いで、K562細胞を、B12および葉酸を欠くRPMI培地の20μL容量でTerasaki プレート(1ウェル当たり約500細胞)へ移した。3つのコントロール群を利用 した。(1)TcIIネガティブコントロール群、(2)無関係な抗体のコントロー ル群(抗IL-3モノクローナル抗体)、および(3)抗体ネガティブコントロール 群。20ng/mLのホロTcII(ビタミンB12が結合したTcII)を、3つの抗TcII抗体 (1μg/mL)を含有するウェルおよび1つのTcIIネガティブコントロール群を除 くコントロールウェルに添加した。 培養6日後、0.5μCi/mL溶液由来の3Hチミジンを、5μLの容量で各ウェルに 添加した。7日目に、標準的な技術を用いてガラスファイバー上に細胞を回収し た。チミジンの取り込みを、カクテル中の回収したファイバー穿孔物をBeckman Betaカウンターで計測することにより決定した。 図9に示す得られたデータは、抗体3-11が20ng/mLのホロTcIIの存在下で細胞 増殖を効果的に阻止することを示す。抗体5-18および1-9は、抗体ネガティブコ ントロール群および無関係な抗体のコントロールと比較した場合、増殖防止に効 果的でない。 実施例17 抗TcIIモノクローナル抗体の細胞増殖の防止 別の実施例において、抗TcIIモノクローナル抗体の細胞増殖に影響する能力を 研究した。これらの研究のために、K562細胞を、0.2×106細胞/mLで、葉酸を含 まず10μM MeTHFおよび1%ヒト血清を含むRPMI1640培地で培養した。さらに、 3つのモノクローナル抗体(2-2、3-11、および4-7)のうちの1つを、4μg/mL で各培養物に添加した(コントロールを除く)。4日毎に細胞を計測し、そして 0.2×106細胞/mLの濃度に分割した。細胞を、3連で、血球計算版を用いて計測 した。 図10に示すように、抗体2-2、4-7、および3-11をそれぞれ含むウェルは、4日 後に始まる細胞増殖が減少していた。8日目までで、増殖は細胞死と足並みが揃 わず、そして次の4日間にわたって増殖は起こらなかった。これらのデータは、 葉酸を制限した条件下では、モノクローナル抗体2-2がK562増殖の防止に効果的 であることを示す。 実施例18 抗TcIIモノクローナル抗体はビタミンB12の細胞取り込みを防止する 3つのモノクローナル抗体(2-2、4-7、3-11)を、放射能標識ビタミンB12の 細胞取り込みを防止するそれらの能力について評価した。これらの研究において 、K562細胞を、培養ウェルにおいて1mLの容量で、0.2×106細胞/mLでRPMI1640 培地中で培養した。培地に、10%ウシ胎児血清および1.2ng/mLの57C標識コバラ ミン-TcII(ホロTcII)(細胞の添加前に、抗体を含む培地に添加された)を補 充した。細胞を、抗体の存在下または非存在下て37℃でインキュベートし、そし て培養の22、44、および68時間後に充分に洗浄し、そしてβカウンターで計測す ることにより、57Cコバラミンの細胞内取り込みについて評価した。 図11に表す結果に示されるように、3つの抗体はすべて、放射能標識コバラミ ンの取り込みを阻止しこのアッセイにおいて抗体3-11および4-7が抗体2-2より優 れていた。抗体の存在下での放射能標識コバラミンのわずかな取り込みは、細胞 内から培地への遊離B12の交換およびウシ胎児血清中に存在するわずかな量のホ ロTcIIにより説明され得る。 実施例19 抗TcII抗体が細胞増殖を防止し、そしてアポトーシスを誘導する コバラミン依存性の細胞増殖の阻止に効果的である抗体がまた、アポトーシス (プログラム細胞死)を誘導するか否かを決定するために研究を行った。これら の研究のために、K562細胞を、0.2×106細胞/mLで、葉酸を含まず10μM MeTHFお よび1%ヒト血清を含むRPMI1640培地中で培養した。抗体を4μg/mLで添加した 。細胞を4日毎に0.2×106細胞/mLに分配し戻した。 細胞増殖(コントロールの増殖の%として表される、100%に基づく)を、培 養8日目と12日目の間に、血球計算板を用いて、トリパンブルー色素中で細胞を 計測することにより決定した。アポトーシス細胞の%を、フローサイトメトリー でTUNELポジティブ細胞を評価することにより決定した。TUNELアッセイのために 使用される方法は、約2×106細胞を、4分間、1000RPMでスピンダウンし、そし て慎重に培地を除去することを必要とする。次に、細胞を、PBS中の1%パラホ ルムアルデヒド(氷冷)の1mL中に撹拌しながら再懸濁した。撹拌はすべて、変 速撹拌機で最大速度の約2/3で行った。細胞を氷上で15分間固定し、次いで、エ ッペンドルフチューブに移した。次いで、細胞を1分間、4000RPMで遠心分離し 、そしてホルムアルデヒドを慎重に除去した。次に、細胞を撹拌し、そして1mL の氷冷した70%エタノールを添加した。固定サンプルを、DNA鎖の切断について フローサイトメトリーで分析するまで-70℃の冷凍庫で保存した。 DNA鎖の切断分析のために、細胞を、Darzynjkiewicz,Z.の方法(アポトーシ スに関連するDNA鎖の切断の検出:Handbook of Flow Cytometry Methods J.Pau l Robinson(編)、Wiley-Liss Inc(出版),New York,N.Y.1993)を使用してフ ローサイトメトリー用に調製した。FITC結合体での標識後、細胞をCoulter Epic s Elite Flow Cytometerを使用して分析し、そしてDNA鎖の切断にポジティブに 染色される細胞の%を決定した。 図12のデータは、細胞増殖を最も効果的に防止する抗体がまた、アポトーシス の誘導にも効果的であったことを示す。特に、抗体4-7、3-11、および2-2は、培 養8日後にアポトーシスを45%まで誘導するのに効果的であった。 実施例20 脾細胞のTcII-コバラミン依存性増殖 この実験において、脾細胞増殖におけるTcII/コバラミン要求性を分析するた めに研究を行った。これらの研究で使用するモデル系は、ホロTcIIの存在下また は非存在下でIL-2で刺激されたConA活性化マウス(Balb/C)脾細胞のものであっ た。特に、Balb/C脾細胞を、10%ウシ胎児血清を含むRPMI中で5μg/mLのConAで 72時間刺激し、そして37℃でインキュベートした。次に、細胞を洗浄し、そして コバラミンおよび葉酸を含まないが10% QUSO処理ウシ胎児血清を含有する200μ LのRPMI中でマイクロタイターウェル内にプレートした(QUSO処理に関する方法 については実施例16を参照のこと)。IL-2を、各ウェル(バックグランドコント ロールを除く)に100単位/mLで添加した。組換えホロTcIIの連続希釈(0.2〜100 ng/mL)をウェルに添加し、そして細胞増殖を、37℃でのインキュベーションの 4日後に、MTT色素減少アッセイ(KotnikおよびFleischmann、造血細胞増殖因子 活性を測定するための簡便かつ迅速な方法、J.Immunol.Methods 129(1990):2 3-30)を用い、そして培地の光学密度を550nmで読み取ることにより測定した。 図13に示すように、10ng/mLのホロTcIIの添加が、脾細胞増殖の増加を引き起 こす。これらのデータは、正常脾細胞がコバラミンの利用性に感受性であること 、および制御されない増殖が、おそらく抗TcIIモノクローナル抗体治療でのコバ ラミン取り込みの阻害により改善され得ることを示唆する。 本発明は、特定の実施態様に関して開示および記載されてきたが、形態および 詳細における種々の変更または改変が、本発明の精神および範囲を逸脱すること なく行われ得ることが当業者に理解される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12N 5/10 A61K 37/02 ADG 15/02 C12N 15/00 C C12P 21/08 5/00 B //(C12P 21/08 C12R 1:91) (31)優先権主張番号 08/476,440 (32)優先日 1995年6月7日 (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG), AM,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CN,C Z,EE,FI,GE,HU,IS,JP,KG,KP ,KR,KZ,LK,LR,LT,LV,MD,MG, MN,MX,NO,NZ,PL,RO,RU,SG,S I,SK,TJ,TM,TT,UA,UZ,VN (72)発明者 モーガン, エイ. チャールズ ジュニ ア アメリカ合衆国 ワシントン 98020, エドモンズ,ドリフトウッド プレイス 803 (72)発明者 クアドロス, エドワード ブイ. アメリカ合衆国 ニューヨーク 11228, ブルックリン,クロプシー アベニュー 1403 (72)発明者 ローゼンバーグ, シェルドン ピー. アメリカ合衆国 ニューヨーク 10022, ニューヨーク,イースト 52エヌディー ストリート 320

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.TcII上の結合部位に指向する増殖阻止剤であって、該増殖阻止剤は、該結 合部位を阻止し、ビタミンB12の細胞取り込みを阻害し得る、増殖阻止剤。 2.前記増殖阻止剤が、タンパク質、ペプチド、および小さな有機分子からな る群より選択される、請求項1に記載の増殖阻止剤。 3.前記増殖阻止剤がタンパク質である、請求項2に記載の増殖阻止剤。 4.前記増殖阻止剤が抗体である、請求項3に記載の増殖阻止剤。 5.前記抗体が10-7から10-10の範囲の親和性を有する、請求項4に記載の増 殖阻止剤。 6.前記抗体が10-9より大きい親和性を有する、請求項4に記載の増殖阻止剤 。 7.前記結合部位がビタミンB12結合部位である、請求項1に記載の増殖阻止 剤。 8.TcII/B12複合体上の結合部位に指向する増殖阻止剤であって、該増殖阻 止剤は、該結合部位を阻止し、ビタミンB12の細胞取り込みを阻害し得る、増殖 阻止剤。 9.前記増殖阻止剤がアポTcII/B12複合体に結合する、請求項8に記載の増 殖阻止剤。 10.前記増殖阻止剤がホロTcII/B12複合体に結合する、請求項8に記載の 増殖阻止剤。 11.前記増殖阻止剤が、タンパク質、ペプチド、および小さな有機分子から なる群より選択される、請求項8、9、または10のいずれかに記載の増殖阻止 剤。 12.前記増殖阻止剤がタンパク質である、請求項11に記載の増殖阻止剤。 13.前記増殖阻止剤が抗体である、請求項12に記載の増殖阻止剤。 14.前記抗体が10-7から10-10の範囲の親和性を有する、請求項13に記載 の増殖阻止剤。 15.前記抗体が10-9より大きい親和性を有する、請求項13に記載の増殖阻 止剤。 16.前記抗体が、3-11、4-7、および2-2からなる群より選択される、請求項 13に記載の増殖阻止剤。 17.消去部位に指向する増殖阻止剤であって、該増殖阻止剤が網状内皮器官 に対してTcIIの除去をもたらし得る、増殖阻止剤。 18.前記増殖阻止剤が、タンパク質、ペプチド、および小さな有機分子から なる群より選択される、請求項17に記載の増殖阻止剤。 19.前記増殖阻止剤がタンパク質である、請求項18に記載の増殖阻止剤。 20.前記増殖阻止剤が抗体である、請求項19に記載の増殖阻止剤。 21.2-2、3-11、4-7、1-18、5-19、2-6、および7-14からなる群より選択さ れる、モノクローナル抗体増殖阻止剤。 22.3-11を含む、モノクローナル抗体増殖阻止剤。 23.4-7を含む、モノクローナル抗体増殖阻止剤。 24.2-2を含む、モノクローナル抗体増殖阻止剤。 25.2-6を含む、モノクローナル抗体増殖阻止剤。 26.温血動物における細胞分裂を阻害する方法であって、該温血動物に治療 有効量の請求項1〜25のいずれかに記載の増殖阻止剤を投与する工程を包含す る、方法。 27.温血動物におけるビタミンB12の細胞取り込みを阻害する方法であって 、ビタミンB12の細胞取り込みが阻害されるように、該温血動物に有効量の請求 項1〜25のいずれかに記載の増殖阻止剤を投与する工程を包含する、方法。 28.生物学的調製物におけるビタミンB12の細胞取り込みを阻害する方法で あって、ビタミンB12の細胞取り込みが阻害されるように、該生物学的調製物に 有効量の請求項1〜25のいずれかに記載の増殖阻止剤を投与する工程を包含す る、方法。 29.請求項1〜25のいずれかに記載の増殖阻止剤および薬学的に受容可能 なキャリアまたは希釈剤を含む、薬学的組成物。 30.温血動物における新生物疾患を処置する方法であって、該温血動物に有 効量の請求項1〜25のいずれかに記載の増殖阻止剤を投与する工程を包含する 、方法。 31.ビタミンB12/トランスコバラミンIIレセプターに対する抗レセプター 抗体であって、該抗体は、該レセプターを阻止し、ビタミンB12の細胞取り込み を阻害し得る、抗レセプター抗体。 32.前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項31に記載の抗レセプタ ー抗体。 33.温血動物における標的細胞の細胞分裂を阻害する方法であって、該動物 に該標的細胞表面上のビタミンB12/トランスコバラミンIIレセプターに対する 抗レセプター抗体を投与する工程を包含し、該抗体が、該レセプターを阻止し、 該標的細胞によるビタミンB12の細胞取り込みを阻害し得る、方法。 34.前記抗レセプター抗体がモノクローナル抗体である、請求項33に記載 の方法。 35.前記標的細胞が、新生物細胞、活性化リンパ芽細胞、活性化T細胞、腫 瘍細胞、骨髄幹細胞、増殖腺維芽細胞、増殖上皮細胞、または増殖表皮細胞から 選択される、請求項32に記載の方法。 36.温血動物におけるビタミンB12の細胞取り込みを阻害する方法であって 、該動物に細胞表面上のビタミンB12/トランスコバラミンIIレセプターに対す る抗レセプター抗体を投与する工程を包含し、該抗体が、該レセプターを阻止し 、ビタミンB12の細胞取り込みを阻害し得る、方法。 37.前記抗レセプター抗体がモノクローナル抗体である、請求項36に記載 の方法。 38.前記細胞が、新生物細胞、活性化リンパ芽細胞、活性化T細胞、腫瘍細 胞、骨髄幹細胞、増殖腺維芽細胞、増殖上皮細胞、または増殖表皮細胞である、 請求項33に記載の方法。
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