JPH10508463A - Fc結合能を有するポリペプチド - Google Patents
Fc結合能を有するポリペプチドInfo
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Abstract
(57)【要約】
本発明は、一般的に、Fcレセプター様活性を有する分子等のFc結合能を有する分子に関するものである。本発明はまた、このような分子、上記分子をコード化する核酸、アンタゴニスト化合物、上記分子及び化合物からなる薬剤組成物、潜在的なアンタゴニストの試験方法、ポリペプチドの製造方法、病気の処置方法および他の概念に関するものである。
Description
【発明の詳細な説明】
Fc結合能を有するポリペプチド発明の分野
本発明は、一般的に、Fcレセプター様活性を有する分子等のFc結合能を有
する分子に関するものである。本発明はまた、このような分子、上記分子をコー
ド化する核酸、アンタゴニスト化合物、上記分子及び化合物からなる薬剤組成物
、潜在的なアンタゴニストの試験方法、ポリペプチドの製造方法、病気の処置方
法および他の概念に関するものである。発明の背景
IgGのFc部分に対する細胞表面レセプター(FcγR)は、ほとんどの造
血細胞上で発現し、IgGとの結合を介して、免疫システムの止血及び感染に対
する宿主の防護において鍵となる役割を果たす。一例を挙げると、FcγRII
は、本質的にIgG免疫複合体やIgA免疫複合体のみに結合するIgGに対す
る低親和性レセプターであり、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、血小板
及びB細胞等の多様な細胞上で発現する(1−3)。FcγRIIは、抗体依存
性細胞介在性細胞障害、免疫複合体のクリアランス、炎症性メディエイタの放出
及び抗体の産生の調節等、数多くの免疫反応に係わっている(1−6)。
同様にして、他のクラスの免疫グロブリンに対するFcレセプターもまた存在
する。例えば、IgEに対するFcレセプターは肥満細胞、好塩基球やランゲル
ハンス細胞上に存在する。
IgG及びIgEのFcレセプターは双方とも、C2セットの2つのIg様ジ
スルフィド結合細胞外ドメインからなる細胞外Ig−相互作用領域を含む(7−
11)。これらのレセプターは構造上全てのIg−超科白血球FcR(FcγR
I、FcγRIII、FcεRI及びFcαRI等)において
保存され、Ig−相互作用モチーフを表していると考えられる(12−16)。
従来の研究により、発明者らはヒトのFcγRIIのIgG結合領域を同定した
(17、18)。キメラFcγRII/FcεRI α鎖レセプターを用いるこ
とにより、FcγRIIの第二の細胞外ドメインがIgGの結合に応答し、直接
の結合領域が154番目のAsnと161番目のSerとの間に位置することが
示された。FcγRIIドメイン2の分子モデルにより、2つの逆並行βシート
(それぞれ、ACFG及びBC’Eストランドを含む)を形成する7個のβスト
ランド(A、B、C、C’、E、F、G)からなり、B及びFストランド間のジ
スルフィド結合及び疎水性残基のコアによって安定化される構造が予想された(
20)。154番目のAsnから161番目のSerまでの結合領域はドメイン
1及び2の境界面での露出したループ領域(F−Gループ)を含むことが示され
た。
本発明を導いた研究により、驚くべきことに、本発明者らは、Fcレセプター
のアミノ酸残基の変更によって免疫グロブリンの親和性が変化することを発見し
た。発明の要約
本発明は、ポリペプチドを天然のFcレセプターと比べた際に1以上のアミノ
酸の付加、欠損または置換により天然のFcレセプターに比べて変更させる、F
c結合能を有するポリペプチドに関するものである。
本発明はまた、Fcレセプターのアンタゴニストとしての作用能に関する化合
物の試験方法、上記方法によって同定されるアンタゴニスト化合物、本発明のポ
リペプチドをコード化する核酸分子および上記核酸分子の作製方法に関するもの
である。さらに、本発明は、免疫グロブリンの検出方法、免疫グロブリンの除去
方法、処置方法および本発明のペプチドまたはアンタゴニストを含む薬剤組成物
に関するものである。図面の簡単な説明
図1は、キメラFcレセプターのIgG複合体結合性を示すものである。
COS−7細胞の単層にキメラcDNA構築物:D1εD2γ(a)、γ109
−116ε(b)、γ130−135ε(c)、またはFcεRI(d)をラン
スフェクションさせた。IgG免疫複合体の結合性を、マウスのIgG1感作赤
血球を用いたEAロゼット形成により単層上で直接評価した。
図2は、キメラFcレセプターのヒトのIgG1−2量体結合性を示すもので
ある。放射線標識された2量体ヒトIgG1を野生型のFcγRIIa(■)ま
たは下記キメラレセプターcDNA:D1εD2γ(□)、γ109−116ε
(●)、γ130−135ε(○)でトランスフェクションさせたCOS−7細
胞に滴定した(titrate)。全てのキメラは図1に示されるEAロゼット形成によ
り決定されるように細胞表面上で発現した。
図3は、FcγRIIaのアラニンの点変異によるヒトのIgG1−2量体結
合性を示すものである。放射線標識された2量体ヒトIgG1を野生型のFcγ
RIIaまたはアラニンの点変異;(A)B−Cループ変異体、Lys113−A
la(□)、Pro114−Ala(▲)、Leu115−Ala(●)、Val116
−Ala(○)、(B)C’−Eループ変異体、Phe129−Ala(+)、S
er130−Ala(◇)、Arg/His131−Ala(◆)、Leu132−Ala
(X)、Asp133−Ala(□)、Pro134−Ala(△)を含むFcγRI
IaでトランスフェクションさせたCOS−7細胞に滴定した(titrate)。野生
型のFcγRIIaに対する、FcγRII変異体;(C)B−Cループ変異体
、(D)C’−Eループ変異体に結合するヒトIgG12量体のレベルの比較を
示すものである。野生型のFcγRIIaの結合性を100%の結合性とし、偽
薬をトランスフェクションさせた細胞を0%の結合性とした。結果は、+S.E
.として表す。変異型FcγRII COS−7細胞のトランスフェクタント(t
ransfectant)間の変動するレセプターの発現を制御するために、発現レベルを放
射線標識された抗FcγRIIモノクローナル抗体8.2を用いて測定し、2量
体の結合性を野
生型のFcγRIIで観察されたものに基準を合わせた。8.2の結合性の具体
的なレベル(cpm+S.E.)は以下の通りである:WT FcγRII 9
5279;Lys133−Ala 71660;Val114−Ala 61636;
Leu115−Ala 44696;Pro116−Ala;Phe129−Ala 7
4707;Ser130−Ala 139802;Arg/His131−Ala 1
40475;Leu132−Ala 121096;Asp133−Ala 1001
49;Pro134−Ala 172047。
図4は、IgG1との相互作用に係わると推定されるFcγRIIの細胞外I
g相互作用領域の分子モデルを示すものである。ドメイン1及び2のループ及び
G/Aストランドの位置を示す。また、Phe160やGly156等のFcレセプタ
ーの機能を変えるアミノ酸及び突然変異の例を示す。
図5は、実施例2のSOE−PCRで使用されるオリゴヌクレオチドを示すも
のである。
図6は、免疫グロブリンに結合するIgEレセプターに関する突然変異の効果
を示すヒストグラムである。
図7は、IgG1及びIgG2に結合するレセプター変異体の比較を示すヒス
トグラムである。
図8は、キメラレセプターがIgE、εεγ(□)、γεγ(○)、CC’(
□)、EF(■)及びGC(◇)に結合する効率を示すグラフである。
図9は、Fab’2断片(1302)ではなく、マウスIgG2a(γ2a)
、IgG2b(γ2b)及びHAGGに対する融合タンパク質、(HSA:Fc
γRII)の特異性を示すSDS−PAGEの写真である。これより、4つの異
なる抗FcγRII抗体(8.2、8.26、IV−3及び8.7)によって検
出されるように融合タンパク質中に存在するエピトープが示される。この融合タ
ンパク質を125Iで放射線標識し、Igまたは示される抗体を用いて沈殿させた
後、還元後SDS−PAGEにかけた。
図10aは、血液中のHSA:FcγRII(−□−)及びFcγRII
(−●−)のクリアランスを示すグラフである。
図10bは、HSA:FcγRIIが尿アフィニティー(urine affinity)中に
蓄積しないことを示すグラフである。
図11は、HSA:FcγRII−シリカ(●)及びHSA:シリカ(○)に
対するHAGGの結合親和性を示すグラフである。HAGGはHSA:シリカに
結合しなかった。
図12は、HSA:FcγRII DNAのヌクレオチド及び推定アミノ酸配
列を示すものである。
図13は、融合タンパク質、rsHSA−FcR(−●−)の免疫複合体への
結合能に関するELISAの研究の結果を示すグラフである。組換レセプターr
sFcRは(−■−)によって示される。
図14aは、リウマチ性関節炎の患者由来の血清のELISAによる研究を示
すものである。プレートを抗FcγRII抗体で、さらにrec.sFcγRI
Iで被覆した。
図14bは、rec.sFcγRIIで被覆したプレートの結果を示すもので
ある。
図15は、FcγRII−HSAシリカ(●)を用いた熱で消耗される(heat
depleted)HAGGのグラフである。これにより、免疫複合体は、HSA−シリ
カ樹脂(○)ではなくHSA:FcγRIIタンパク質シリカ樹脂と共にインキ
ュベートすることにより液体から消耗することが示される。シリカを含まないも
のは(■)によって示す。
図16は、FcγRII−HSAシリカを用いると単量体免疫グロブリンの消
耗がないことを示すグラフである。これより、融合タンパク質は単量体のIgに
は結合しないことが示される。
図17は、様々な源由来のrsFcγRIIの滴定(titration)を示すもので
ある。様々な源由来の組換タンパク質の結合性を抗FcRII抗体8.2を用い
ることによって、さらにペルオキシダーゼで標識された抗マウスIg
によって検出する。組換タンパク質の源は、CHO細胞(CHO rs FcR
)(−●−)、マルトース結合タンパク質に融合したFcγRIIの細胞外ドメ
インから構成される融合タンパク質を発現する細菌(C2 MBP−rs Fc
R)(−■−)、FcγRII−マルトース結合融合タンパク質から切り出され
たFcγRIIの細胞外ドメイン(C2 rs FcR)(−□−)である。融
合タンパク質(d2)(… …)をコントロールとして用いた。これは、単一の
FcRドメインを含み、機能的な活性を持たない。
図18は、リウマチ性因子及び血清によるHRP標識rsHSA−FcγRI
Iの阻害を示すグラフである。HRP−HSA:FcγRII ELISAアッ
セイにおける患者の血清の滴定を示すものである。患者の血清(カラム1〜14
)を、HRP融合タンパク質結合体(conjugate)を添加する前に、Hagg被覆
プレート上に滴定する。正常な血清の滴定もまた示す(カラム15)。正常な血
清では活性の阻害は示されなかったが、カラム12を除く全ての血清はHagg
に対するFcレセプターの結合を顕著に阻害した。
図19は、アンタゴニスト化合物に関する試験における様々なペプトイド(pep
tiod)の名称及びその吸光度を示すものである。好ましい態様の詳細な説明
本発明は、変更により天然のFcレセプターに比べて特性が向上するような1
以上のアミノ酸の付加、欠損または置換によりポリペプチドを上記天然のレセプ
ターに比べて変更する、Fc結合能を有するポリペプチドに関するものである。
「Fc結合能を有するポリペプチド」ということばは、免疫グロブリンのFc
領域に結合できる天然のまたは合成アミノ酸からなるポリペプチドまたはタンパ
ク質を意味するものである。免疫グロブリンは、IgG、IgE、IgA、Ig
MまたはIgDのいずれのクラスものであってもよい。また、
免疫グロブリンは、ヒト、ラット、マウス、ウシ、ヒツジ、ヤギ及びニワトリ、
ダチョウやエミューを含む、他の家畜動物等いずれの動物由来であってもよい。
「天然のFcレセプターに比べて変更される」ということばは、ポリペプチド
が天然のFcレセプターとは異なることを意味する。このような相違としては、
免疫グロブリンの結合能の相違、治療能の相違、アミノ酸組成または溶解性など
が挙げられる。
「向上される特性」ということばは、天然のFcレセプターに比べて望ましい
特性が得られることを意味する。この特性は、Fc結合能を促進若しくは減少さ
せる、治療薬として使用されるポリペプチドの血清中の半減期を増加させるまた
はポリペプチドを検出可能にするようなものであってもよい。
第一の実施態様によると、本発明は、免疫グロブリンとの結合能の変化が免疫
グロブリンとの結合に影響を与える1以上のアミノ酸残基の変更によって引き起
こされるものである、ポリペプチドが免疫グロブリンとの結合能が変更されるF
cレセプター様分子である、Fc結合能を有するポリペプチドに関するものであ
る。
「Fcレセプター様分子」という表現は、少なくともある程度免疫グロブリン
に結合できる分子を意味する。免疫グロブリンは、IgG、IgE,IgA、I
gMまたはIgDのいずれであってもよい。分子は、一般的には、ペプチド、ポ
リペプチド若しくはタンパク質である、または、少なくとも一部は、アミノ酸か
らなる。最も一般的な形態としては、分子はペプチド結合によって連結される数
多くのアミノ酸残基から構成されるペプチドである。アミノ酸成分は、天然であ
ってもあるいは合成であってもよく、当該分野における当業者には既知である。
「免疫グロブリンとの結合能の変化」という表現は、分子が1以上の天然のF
cレセプターの免疫グロブリン結合活性とは異なる活性を有することを意味する
。このようなものとしては、他の形態の免疫グロブリンと比較した
場合のある一形態の免疫グロブリンとの分子の結合能、即ち、分子が天然のFc
レセプターと比べた場合の免疫複合体、凝集体、2量体若しくは単量体免疫グロ
ブリンとの結合能が変化することが挙げられる。分子の活性は、目的とする免疫
グロブリンのクラスの天然のFcレセプターと比べると、向上または減少する。
「免疫グロブリンとの結合能に影響を与える1以上のアミノ酸残基の変更」と
いう表現は、天然のFcレセプターにおける免疫グロブリンの結合に関係する、
相当するアミノ酸残基またはアミノ酸残基の領域がFcレセプター様分子内で変
化することを意味する。免疫グロブリンの結合に関係するアミノ酸は、直接免疫
グロブリンの結合で機能するものであってもあるいは結合が生じるようにレセプ
ターの構造上の一体性を維持することなどにより間接的に生じるものであっても
よい。このような変化は挿入、欠損または置換の結果であってもよい。
本発明者らは、FcγRIIレセプター及びFcεRIレセプターの第一及び
第二のドメインにおけるアミノ酸残基またはアミノ酸残基の領域が免疫グロブリ
ンの結合において機能することを決定した。免疫グロブリンに対するFcレセプ
ターの細胞外領域は保存されるので、IgA、IgM及びIgD等の他の免疫グ
ロブリンに対するFcレセプターの同様の領域が免疫グロブリンの結合に関係す
る、すなわち、本発明の範囲内に含まれると予想される。
好ましくは、Fcレセプター様分子は単離された調製物の形態を有し、このこ
とは他のタンパク質および/または非タンパク質性分子を除去してある程度精製
されることを意味する。調製物の純度は、重量、活性、アミノ酸の類似性、抗体
の反応性または他の既知の手段により測定された際の、非−Fcレセプター様分
子材料に対して、少なくとも40%のFcレセプター様分子、好ましくは少なく
とも60%のFcレセプター様分子、より好ましくは少なくとも75%のFcレ
セプター様分子、さらにより好ましくは少なくと
も85%のFcレセプター様分子、よりさらに好ましくは少なくとも95%のF
cレセプター様分子を表すものである。
Fcレセプター様分子は、細胞膜若しくは支持体手段に結合させても、または
可溶性の形態を有するものであってもよい。薬剤として使用しようとする際には
、分子は、例えば、遺伝子操作により可溶性の分子として、可溶性であることが
好ましい。
可溶性のFcレセプター様分子は、イエリノ(Ierino)ら、ジェー エックスプ
メド(11月)(J.Exp.Med.)(1993年)の方法等の方法によって作製
できる。
この分子はまた、適当な条件下で、検出可能なシグナルを形成するリポーター
分子で標識されてもよい。このようなリポーター分子としては、放射性ヌクレオ
チド(radio-nucleotide)、化学発光分子、生物発光分子、蛍光分子または酵素が
挙げられる。一般的に使用される酵素としては、他のもののうち、西洋ワサビの
ペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ及びアルカ
リホスファターゼが挙げられる。
好ましくは、Fcレセプター様分子は、天然のFcレセプターのアミノ酸の突
然変異体(mutant)、変異体(variant)または誘導体である。これは、Fcレセプ
ター様分子が天然のFcレセプターと比べてそのアミノ酸残基を欠損、挿入、置
換または他に変更されたペプチドからなることを意味する。その突然変異体、変
異体または誘導体の基礎を形成する天然のFcレセプターはヒトまたは動物種由
来であってもよい。このような動物種は、マウス、ラット、ウサギ、ウシ、ヒツ
ジ、ブタまたはヤギ種等の哺乳動物種であることが好ましい。
本発明のFcレセプター様分子を製造するためのアミノ酸の欠損、挿入または
置換は、既知の手段によって行われる。Fcレセプター様分子が組換体由来であ
る際には、この分子をコード化する核酸は、1以上のアミノ酸の挿入若しくは置
換に関する適当なコードをその配列中に導入されてもまたは
コーディング配列から適当に欠損させてもよい。レセプター様分子をdenov
oペプチド合成により製造する際には、目的とするアミノ酸配列を導入してもよ
い。
挿入または置換は、他のタイプのFcレセプター由来のアミノ酸残基のストレ
ッチ(stretch)を構築しているFcレセプター様分子中に入れることによりなさ
れてもよい。例えば、Fcεレセプター等の一レセプター由来の第一のドメイン
を用いて、Fcγレセプターの第一のドメインを置換し、目的とする結果を得て
もよい。または、または上記に加えて、部位特異的突然変異誘発または他の技術
を用いて、アミノ酸の置換を行ってもよい。欠損は1以上のアミノ酸を除去する
ことによって行われる。
アミノ酸の置換は1のアミノ酸を同様の性質を有する残基で置換することによ
る同類置換であってもよい。例えば、表1によるアミノ酸置換が挙げられる。
または、天然のFcレセプターと比較する際に分子に異なる特性を付与する様
々な化学的な特徴を有するアミノ酸による置換であってもよい。
好ましい実施態様においては、本発明は、免疫グロブリンとの結合能の促進が
免疫グロブリンの結合能に影響を与える1以上のアミノ酸残基の変更により生じ
るものである、免疫グロブリンとの結合能が促進されるFcレセプ
ター様分子に関するものである。
「免疫グロブリンとの結合能が促進される」という表現は、分子が目的とする
クラスの天然のFcレセプターより高い免疫グロブリン結合活性を有する、また
は該天然のFcレセプターと比べると増加した免疫グロブリン結合活性を有する
という意味である。
1以上のアミノ酸残基の変更は第一または第二のドメイン内であってもよい。
Fcレセプター様分子が向上したIgG結合能を有する際には、第一のドメイ
ン内の変更は、A/B、C/C’および/またはE/Fループおよび/またはG
/Aストランドの変化を伴うものであることが好ましい。以降引用されるループ
は推定上の3次元構造において同定されたループまたは前記および実施例におい
て同定されたレセプターに関する等価物である。「等価物」ということばは、推
定のループを有する天然のFcレセプターの同じ位置に存在するアミノ酸残基を
意味する。等価物はまた、他の天然のFcレセプターにおいて同等のループ構造
を有する。さらに、本明細書中に記載されるすべてのアミノ酸残基の位置はFc
γRIIまたはFcεRIのアミノ酸配列に対するものである。
FcγRIIのループは下記の通りである:
ドメイン1 A/B Glu10−Ser21
C/C’ Asn42−Ile46
E/F Asn59−Asp62
ドメイン2 B/C Ser109−Val116
C’/E Phe129−Pro134
F/G Asn154−Ser161
G/Aストランド Val79−Pro93
FcεRIのループは下記の通りである:
ドメイン1 A/B Asn10−Asn21
C/C’ Asn42−Leu45
E/F Lys59−Glu61
ドメイン2 B/C Trp110−Lys117
C’/E Tyr129−His134
F/G Lys154−Ile169
G/Aストランド Val79−Ser93
IgGに特異的なFcレセプター様分子の第二のドメインの変更は、B/C、
C’/Eおよび/またはF/Gループ、および/またはドメイン1及び2を連結
するG/Aストランドにおける変化を含む。
好ましくは、上記変化は、1以上のアミノ酸の置換、特に同類置換からなる。
このような変化としては、下記に限定されることはないが、アラニン、グリシン
、セリン、アスパラギンまたは小さな合成の中性に荷電されるアミノ酸による置
換が挙げられる。最も好ましくは、置換はアラニンによるものである。
より好ましくは、変更は、133、134、158、159および/または1
60番目の位置で起こる。
さらにより好ましくは、FcγRIIのAsp133および/またはPro134残
基がアラニンで置換される。
Fcレセプター様分子が促進したIgE結合能を有する際には、第一のドメイ
ンにおける変更がA/B、C/C’および/またはE/Fループおよび/または
ドメイン1及び2を連結するG/Aストランドにおける変化を含むことが好まし
い。
IgEに特異的なFcレセプター様分子の第二のドメインの変更としては、B
/C、C’/Eおよび/またはF/Gループにおける変化が挙げられる。
より好ましくは、変更は、130、156、160および/または161番目
の位置で起こる。
さらにより好ましくは、Trp130、Trp156、Tyr160および/またはG
lu161がアラニンで置換される。
他の好ましい実施態様によると、本発明は、免疫グロブリンの結合能の減少が
免疫グロブリンの結合能に影響を与える1以上のアミノ酸残基の変更により生じ
るものである、免疫グロブリンとの結合能が減少するFcレセプター様分子に関
するものである。
「免疫グロブリンとの結合能が減少する」という表現は、分子が目的とするク
ラスの天然のFcレセプターより低い免疫グロブリン結合活性を有する、または
該天然のFcレセプターと比べると減少した免疫グロブリン結合活性を有すると
いう意味である。このようなものとしては、例えば、2量体の免疫グロブリン等
のある形態の免疫グロブリンの結合活性が減少することが挙げられる。
結合能の減少は、第一または第二のドメインにおけるアミノ酸残基の欠損、挿
入または置換による起こる。挿入も明らかに含まれるが、好ましくは、結合能の
減少は1以上のアミノ酸残基の置換または欠損の結果である。
置換は問題となる関連した天然のFcレセプターにおける相当するアミノ酸と
は異なる化学的な特性を有するアミノ酸残基(天然または合成)による置換であ
ることが好ましい。例えば、置換されるアミノ酸が異なる電荷、酸性度または塩
基性度を有する。
付加、置換および/または欠損は上記標準的な方法に従ってなされる。
Fcレセプター様分子が減少したIgG結合能を有する際には、第一のドメイ
ン内の置換が上記ドメインの置換またはA/B、C/C’若しくはE/Fループ
またはG/Aストランドの変化を含むことが好ましい。
より好ましくは、変化は、10〜21、42〜48および/または59〜62
番目の位置で起こる。
IgGに特異的なFcレセプター様分子の第二のドメインの変更は、F/G,
B/CまたはC/C’ループの変化を含むことが好ましい。
より好ましくは、変化は、113、114、115、116、129、131
、155および/または156番目で起こる。
さらにより好ましくは、第一のドメインが欠損するまたは他の免疫グロブリン
のFcレセプター由来のドメインで置換される。
または、FCγRIIのLys113、Pro114、Leu115、Val116、Ph
e129および/またはArg/His131がアラニンで置換されることもさらによ
り好ましい。
Fcレセプター様分子が減少したIgE結合能を有する際には、第一のドメイ
ンにおける変更がA/B、C/C’またはE/Fループの変化を含むことが好ま
しい。
より好ましくは、変化は、第一のドメイン内の10〜21、42〜48および
/または59〜62番目の位置で起こる。
IgEに特異的なFcレセプター様分子の第二のドメインの変更は、F/G、
C’/EまたはB/Cループの変化を含むことが好ましい。
より好ましくは、変化は、131、132、155、158および/または1
59番目の1以上の位置で起こる。
さらにより好ましくは、FcεRIのB/Cループ(Ser109からVal116
)が欠損するまたは他の免疫グロブリンのレセプター由来のB/Cで置換される
。
または、FcεRIのC’/Eループ(Ser130からThr135)が欠損する
または他の免疫グロブリンのレセプター由来のC’/Eで置換されることがより
好ましい。
さらにより好ましくは、FcεRIのTyr131、Glu132、Val155、L
eu158および/またはAsp159がアラニンで置換される。
前記変更に加えて、変更がポリペプチドを治療薬または試薬として有用に
させる他の変更であってもよい。したがって、変更が付加、欠損または置換の形
態を有するものであってもよい。例えば、付加を使用する際には、ポリペプチド
または他の適当な分子を、分子を大きさを大きくするまたは天然のFcレセプタ
ーとリポーター分子とを連結するリンカーを形成するために、天然のFcレセプ
ターに付加してもよい。
第二の実施態様によると、本発明は、ポリペプチドが、ポリペプチドの大きさ
が天然のFcレセプターに比べて大きくなるように天然のFcレセプターと比べ
て変更される、Fc結合能を有するポリペプチドに関するものである。
本発明者らは、驚くべきことに、Fc結合能を有するポリペプチドへのアミノ
酸配列の付加により、動物の体の寿命が延びるのみでなくFc結合成分の生物学
的な活性は維持されることを発見した。したがって、本ポリペプチドは、Fc結
合能を有する可溶性のタンパク質と比較してより長い血清中の半減期を有するた
め、変更される可溶性の天然のFcレセプターより治療薬として有効である得る
。
Fc結合能を有するポリペプチドは、Fcレセプター様分子に関して前記した
ように、単離された形態であることが好ましい。
また、本発明のポリペプチドは、血清または可溶性を必要とする他の投与経路
で使用しようとする際には、可溶性の形態を有することが好ましい。これは、通
常、膜内外領域は含まれないが細胞内領域は含まれることを意味する。
Fc結合ポリペプチドの主題(argumentation)は、第二のポリペプチドまたは
他の適当な分子等のアミノ酸配列をFc結合能を有するペプチドに連結すること
により達成される。Fc結合能を有するペプチドは、前記したのと同様、天然の
レセプター、修飾された天然のレセプター(例えば、膜内外または細胞質領域を
持たないレセプター)またはFcレセプター様分子であってもよい。
下記より小さい大きさのタンパク質は腎臓で排出されるので、Fc結合能を有
するポリペプチドは、約67kDより大きな大きさを有することが好ましい。よ
り好ましくは、ポリペプチドは67〜1,000kDの範囲の大きさである。さ
らにより好ましくは、ポリペプチドは約100kDの大きさである。
好ましくは、本主題は動物において良好に許容されるペプチド、ポリペプチド
または他の分子を付加することによって達成される。このようなペプチドまたは
ポリペプチドとしては、ヒトの血清アルブミン(HSA)、ウシの血清アルブミ
ン、他のFcレセプター、いずれかの種由来の免疫グロブリン、サイトカイン、
補体調節分子(例えば、CD46、CD55、CD59)、補体レセプター及び
サイトカインレセプターが挙げられる。このような付加は、同一のまたは異なる
タイプの1を超える分子を含むものである。使用できる他の分子としては、デキ
ストラン、炭水化物、ポリエチレングリコール及び合成ポリマーが挙げられる。
ポリペプチドは、どのクラスのIgに対するものであってもよい。好ましくは
、ポリペプチドは、IgGまたはIgEに対するものである。より好ましくは、
ポリペプチドは、本明細書中に記載されるように、HSA:FcγRIIである
。
Fc結合能を有するポリペプチドは、融合タンパク質として組換DNA技術を
介するもの等の既知の手段によって製造されても、または2成分を別々に(組換
DNAまたは他の手段によって)製造した後結合させてもよい。または、一方の
若しくは双方の成分をペプチド合成を介して作製してもよい。これらの方法は以
下でより詳細に説明する。
第三の実施態様によると、本発明は、検出可能な成分からなるFc結合能を有
するポリペプチドに関するものである。
「検出可能な成分」ということばは、ポリペプチドがリポーター分子、バイオ
センサーまたは直接あるいは間接的に検出される分子等の検出可能なシ
グナルに連結されるまたはこのようなシグナルを含むことを意味する。このリポ
ーターまたはラベルは放射線標識(radio labelling)、化学発光標識、蛍光標識
、色素体標識または標識抗体結合等により検出可能な成分である。検出は、例え
ば、西洋ワサビのペルオキシダーゼやアルカリホスファターゼ等の他の酵素に共
有結合するストレプトアビジン(streptavidin)に特異的に結合するビオチン等の
リガンドによるポリペプチドの直接標識により達成される。検出可能な実際の成
分は当業者によって適宜選択される。
好ましくは、ポリペプチドは上記したのと同様単離された形態を有する。
好ましくは、検出可能な成分を有するポリペプチドは、本発明の第一または第
二の実施態様で記載されたポリペプチドからなる。また、検出可能な成分は本主
題の一部上に存在するまたは一部からなることが好ましい。または、検出可能な
成分は、Fc結合能を阻害しない場合には、分子のFc結合部分上に存在しても
よい。
好ましくは、検出可能な成分は西洋ワサビのペルオキシダーゼ等の酵素である
。
他の実施態様によると、本発明は、化合物がFc結合能を有するポリペプチド
または天然のFcレセプターに結合できるのに十分な条件及び時間で化合物を該
ポリペプチドまたはレセプターと接触させ、結合が生じるかどうかを測定するこ
とからなる、Fcレセプターのアンタゴニストとしての作用能に関する化合物の
試験方法に関するものである。
上記で直接使用される「Fcレセプター」ということばは、天然の若しくは非
天然のFcレセプターまたはFcに結合する上記部分を含む。
試験される化合物は、Fcレセプターアンタゴニストとして有用である可能性
を有するいずれの化合物でもよい。このような化合物としては、ポリクローナル
及びモノクローナル抗体等の抗体、またはスクアンチボディー(scantibody)や抗
体類似物質(antibody mimetic)(スマイス アンド フォン イズスタイン(Sm
ythe&von Itzstein))等の抗体の断片などである。上
記化合物は、熱帯雨林の植物、サンゴ等の植物または動物から製造される抽出物
であってもよい。また、上記化合物は、ペプチドであってもまたペプチド様物質
であってもまたは組み合わせのライブラリー(ゲイセン(Geysen)ら、1995
年;ストラットン−トーマス(Stratton-Thomas)ら、1995年、ローン カ
ンファレンス オン プロテイン ストラクチャー アンド ファンクション(
Lorne Conference on Protein Structure and Function)、オーストラリア
)由来の物質等の他の有機物質であってもよい。
本発明の方法は、当業者に既知の適当な方法で行われてもよい。Fc結合能を
有するポリペプチドまたはFcレセプターを、Fc結合部位は残して支持体に結
合させ、次に、免疫グロブリン及び調査される化合物を結合したポリペプチドま
たはFcレセプターに添加してもよい。または、Ig若しくはこのFc断片を支
持体に結合させてもよい。ポリペプチドまたはFcレセプター及び調査される化
合物を結合したリガンドに添加してもよい。
当業者にはまた、ポリペプチドまたは天然のFcレセプターを試験される化合
物に結合させるのに必要な条件及び時間は公知である。
結合が行われたかどうかの決定は既知の手段によって行われる。これは、標識
されたポリペプチド若しくは標識されたFcRを用いることによってまたは標識
されたIgを用いることによって等の一般的な検出方法によって成される。この
ような検出方法は、当業者には既知であり、本明細書中に記載する。
このような方法を用いて、いずれかのクラスの免疫グロブリンに対するレセプ
ターの可能性ある阻害剤となる化合物をスクリーニングする。好ましくは、この
ような方法を用いて、FcγレセプターまたはFcεレセプターへのIgの結合
を遮断できる化合物をスクリーニングする。
他の実施態様によると、本発明は、免疫グロブリンの結合に係わるFcレセプ
ターのアミノ酸残基を干渉する上記方法によって同定されるアンタゴニスト化合
物に関するものである。このような化合物は、免疫グロブリンの結
合を干渉するまたは抑制するようにこれらのアミノ酸残基または残基の領域と相
互作用する化合物を包含し、疎水的、静電的または他の化学的相互作用による上
記残基または残基領域に結合する化合物が含まれる。また、これとしては、分子
の構造上の一体性を干渉することにより免疫グロブリンに対する親和性を抑制す
る化合物、さらには免疫グロブリンの結合に係わるアミノ酸を直接干渉する化合
物が挙げられる。また、そのレセプターとは相反して、Igに結合することによ
りレセプター−Ig相互作用を干渉する化合物もまた含まれる。アンタゴニスト
は、抗体、ペプチド、ペプチド様物質または上記した他の化合物であってもよい
。好ましくは、アンタゴニストは、同定された際には、単離された形態を有する
。このようなFcレセプターアンタゴニストは、喘息、リウマチ性関節炎、狼瘡
、腎炎、免疫グロブリンA腎症等、及び免疫複合体の宿主及び下記に限られない
が自己免疫疾患等の他の病気の処置に使用される。
アンタゴニストがIg結合性を遮断するまたは抑制しようとする際には、上記
化合物は、第一のドメインのA/B、C/C’またはE/Fループとまたは第二
のドメインのF/G、B/CまたはC’/EループまたはG/Aストランドと相
互作用することが好ましい。好ましくは、上記化合物は、1以上の天然のFcレ
セプターの下記残基:10から21、42から48、59から62、113、1
14、115、116、129、131、133、156、158、159およ
び/または160番目の残基またはこれらの機能上の等価物に結合できるまたは
これらの機能を遮断できる。
アンタゴニストが喘息またはアレルギーなどの病気においてIgE結合性を遮
断または抑制しようとする際には、上記化合物は、第一のドメインのA/B、C
/C’またはE/Fループおよび/または第二のドメインのF/G、C’/Eま
たはB/CループまたはG/Aストランドと相互作用することが好ましい。
好ましくは、上記化合物は、下記残基:10から21、42から48、5
9から62、131、132、155、158および/または159番目の残基
に結合できるまたはこれらの機能を遮断できる。
他の実施態様によると、本発明は、活性成分としての、処置される症状によっ
て、上記Fcレセプター様分子またはアンタゴニスト化合物などのFc結合能を
有するポリペプチド、および製薬上適当な担体または希釈剤を含む薬剤組成物に
関するものである。例えば、免疫グロブリン結合能が促進したFc結合能を有す
るポリペプチドまたはFcレセプター様分子は、下記に限られるものではないが
、腎炎、狼瘡、喘息、ヘパリン誘導血小板減少性血栓症症候群(heparin induced
thrombocytopoenia thrombosis syndrome)(HITTS)または特発性血小板
減少性紫斑病(ITP)、喘息、アレルギー、湿疹、免疫グロブリン腎症及びリ
ウマチ性関節炎等の病気を処置するのに使用される。結合能が抑制されたFcレ
セプター様分子は、あるまたは特定の種類の免疫グロブリンのみを除去すること
が望ましい病気を処置するのに使用される。アンタゴニスト化合物は、不適当な
若しくは過剰な免疫グロブリンレベルまたは凝集体または免疫複合体が喘息、ア
レルギー、リウマチ性関節炎等の病気の症状の一部である際に処置するのに使用
される。薬剤組成物を説明するために、すべての上記分子及び化合物を、本明細
書中、「活性分子」と称する。したがって、「活性分子」ということばの使用は
、処置される症状によって1以上の上記分子として読むべきである。
薬剤組成物の活性分子は、特定の症状によって変化する量を投与される際に治
療活性を発揮するという意味である。この量は、例えば、動物や活性分子によっ
て変化する。例えば、約0.05μg〜約100mgのFcレセプター様分子ま
たはアンタゴニスト化合物を、Fcレセプター−免疫グロブリンの相互作用を変
化させるために、毎日、体重1kg当たり投与する。投与量は最適な治療応答が
得られるように調節される。例えば、数回に分けた投与物を、毎日、毎週、毎月
、または他の適当な間隔をあけて投与してもよく、または投与物を、急迫した事
情に示されるように比例して減少させても
よい。活性分子は、経口で、静脈内(水溶性の場合)に、腹腔内に、筋肉内に、
皮下に、局所的に、鼻腔内に、皮内に若しくは座薬による経路または移植(例え
ば、緩慢な放出分子を使用する)によるなどの、既知の方法で投与される。投与
経路によっては、活性分子は、当該成分を不活性化する酵素、酸及び他の自然条
件の作用から当該分子を保護するために材料中に被覆する必要がある。
また、活性分子を、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、および/ま
たはこれらの混合物中で調製される分散液においておよび油において投与しても
よい。一般的な貯蔵及び使用条件下では、これらの調製物は、微生物の成長を防
止する防腐剤を含んでいる。
他の実施態様によると、本発明は、ポリペプチドの構造が、変更により天然の
Fcレセプターに比べて特性が向上するように、核酸によってコード化されるア
ミノ酸の付加、欠損および/または置換によって該天然のレセプターと比較して
変更されるFc結合能を有するポリペプチドをコード化する核酸分子に関するも
のである。
「核酸分子」ということばは、天然または合成プリン及びピリミジンから作製
される分子を意味する。この核酸分子は、DNAであってもRANであっても、
一重鎖であっても二重鎖であっても、直鎖状であっても環状であってもよく、さ
らに、より大きな核酸分子の一部を形成するものであってもよい。
「Fc結合能を有するポリペプチド」ということばは、前記と同様の意味であ
る。
「ポリペプチドを天然のFcレセプターと比較して変更する」および「特性を
向上させる」ということばは、前記と同様の意味である。
好ましくは、核酸分子は、他の核酸および/または非核酸分子を除去して精製
されることを意味する、単離された形態を有する。調製物の純度は、核酸の相同
性、配列または他の既知の手段により測定された際の、Fc結合能
を有するポリペプチドをコード化しない核酸分子に対して、少なくとも40%の
Fc結合能を有するポリペプチドをコード化する核酸分子、好ましくは少なくと
も60%の核酸分子、より好ましくは少なくとも75%の核酸分子、さらにより
好ましくは少なくとも85%の核酸分子、よりさらに好ましくは少なくとも95
%の核酸分子を表すものである。
好ましい実施態様によると、本発明は、変更されたFc結合能が免疫グロブリ
ン結合能に影響を与える1以上のアミノ酸残基の変化によって生じるものである
、該変更された結合能を有するFcレセプター様分子をコード化する核酸分子に
関するものである。
「Fcレセプター様分子」という表現は前記と同様の意味である。
「変更された免疫グロブリン結合能」、「免疫グロブリン結合能に影響を与え
る1以上のアミノ酸残基の変化」という表現は前記と同様の意味である。
核酸分子は、IgG、IgE、IgA、IgM、またはIgD等のいずれのタ
イプの免疫グロブリンに対するレセプターとして機能するFcレセプター様分子
をコード化するものであってもよい。このコード化されるFcレセプター様分子
は、どのような種、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウシ、ヒツジ、ヤギ由来で
あってもよく、さらに、様々な源の組み合わせからなるものであってもよい。「
から由来の」ということばは、変更される前の核酸分子の基礎を形成するオリジ
ナルのコーディング配列が特定の種から生じることを意味する。
当業者は、本発明による核酸分子を得るためにはどのような技術を用いて核酸
によってコード化されるアミノ酸を変化させたらよいかを知っている。核酸分子
は、天然のFcレセプターをコード化するDNAの部位特異的突然変異誘発、ス
プライスエックステンションオーバーラップPCR(splice extension overlap
PCR)、de novo合成などによって作製されてもよい。
好ましくは、核酸分子は、前記したのと同様、天然のFcレセプターの突然変
異体、誘導体または変異体をコード化する。
また、核酸分子は、IgGまたはIgEの結合能が向上したFcレセプター様
ペプチドをコード化することが好ましい。「能が向上した」という表現は前記と
同様の意味である。
より好ましくは、核酸分子がIgG結合能が促進するFcレセプター様分子を
コード化する際には、当該分子が、第一のドメインのA/B、C/C’および/
またはE/Fループまたは第二のドメインのB/C、C’/Eおよび/またはF
/Gループおよび/またはこれら2つのドメインをつなぐG/Aストランドにお
いて1以上の変化したアミノ酸を生じるコドンを有する。
コドンは、158、159、160、133および/または134番目の位置
でアミノ酸が変化するようなものであることがさらにより好ましい。最も好まし
くは、変化したアミノ酸が、アラニン、グリシン、セリン、アスパラギンまたは
小さな合成による中性の電荷を有するアミノ酸を有する。最も好ましくは、コド
ンはアミノ酸アラニンを特定するものである。
さらにより好ましくは、核酸分子は、Asp133および/またはPro134に関
するコドンがアラニンを特定するFcγRIIをコード化するcDNAからなる
。さらにより好ましくは、核酸分子は、実施例に記載されるように、Asp133
−AlaまたはPro134−Alaである。
または、より好ましくは、核酸分子は、IgE結合能が促進したFcレセプタ
ー様分子をコード化するものである。この分子は、第一のドメインのA/B、C
/C’および/またはE/Fループまたは第二のドメインのF/G、C’/Eお
よび/またはB/CループまたはG/Aストランドにおいて1以上の変化したア
ミノ酸を生じるコドンを有する。
より好ましくは、コドンは、130、156、160および/または161番
目の位置でアミノ酸を変化させるものである。
核酸分子は、Trp130、Trp156、Trp160および/またはGlu161に関
するコドンがアラニンを特定するFcεRIをコード化するcDNAからなるこ
とがさらにより好ましい。さらにより好ましくは、核酸分子は、実施例に記載さ
れるように、Trp130−Ala、Asp159−Ala、Trp160−Alaおよび
/またはGlu161−Alaである。
または、核酸分子は、IgGまたはIgEとの結合能が抑制されるFcレセプ
ター様ペプチドをコード化するものであることが好ましい。「能が抑制される」
という表現は前記と同様の意味である。
コドンによって特定されるアミノ酸の変化は、通常、前記したような異なる化
学的な特性を有するアミノ酸である。
より好ましくは、核酸分子がIgG分子との結合能が抑制されるFcレセプタ
ー様ペプチドをコード化する際には、該分子は、第一のドメインのA/B、C/
C’および/またはE/Fループおよび/または第二のドメインのB/C、C’
/Eおよび/またはF/Gループおよび/またはG/Aストランドにおいて1以
上の変化したアミノ酸を生じさせるコドンからなる。
さらにより好ましくは、上記コドンは、10〜21、42〜48、59〜62
、113、114、115、116、129、131、155および/または1
56番目の位置のアミノ酸を変化させるものである。
さらにより好ましくは、FcγRIIの第一のドメインに関するコドンは、除
去されるあるいは他の免疫グロブリンのレセプターに関するコドンで置換される
。
または、より好ましくは、Lys113、Pro114、Leu115、Val116、P
he129、Arg/His131及びIle155および/またはGly156に関するコ
ドンはFcγRIIにおいてアラニンに関するコドンによって置換される。さら
により好ましくは、核酸分子は、実施例中に記載される、構築物DleD2γ、
Lys113−Ala、Pro114−Ala、Leu115−Ala、Val116−Al
a、Phe129−Alaおよび/またはArg/His131−Alaからなる。
または、より好ましくは、核酸分子がIgEとの結合能が抑制されるFcレセ
プター様ペプチドをコード化する際には、該分子は、第一のドメインのA/B、
C/C’および/またはE/Fループまたは第二のドメインのF/G、C’/E
および/またはB/CループまたはG/Aストランドにおいて1以上の変化した
アミノ酸を生じさせるコドンからなる。
さらにより好ましくは、上記コドンは、10〜21、42〜48、59〜62
、129、131、132、155、158、159番目の位置のアミノ酸を変
化させるものである。
さらにより好ましくは、FcεRIの第一のドメインに関するコドンは、除去
されるあるいは他の免疫グロブリンのレセプターに関するコドンで置換される。
または、より好ましくは、Tyr129、Tyr131、Glu132、Val155、L
eu158および/またはAsp159に関するコドンはFcεRIにおいてアラニン
に関するコドンによって置換される。さらにより好ましくは、本発明の核酸分子
は、実施例中に記載されるように、構築物γ109−116ε、γ130−13
5ε、Tyr131−Ala、Glu132−Ala,Val155−Ala、Leu158
−AlaおよびAsp159−Alaからなる。
他の好ましい実施態様によると、本発明は、ポリペプチドの大きさが天然のF
cレセプターより大きくなるようにポリペプチドが該天然のFcレセプターと比
べて変更される、Fc結合能を有するポリペプチドをコード化する核酸分子に関
するものである。
好ましくは、該核酸分子は可溶性のポリペプチドをコード化する。
好ましくは、該核酸は、天然のFcレセプタまたはその細胞外領域または前記
Fcレセプター様分子一をコード化する成分および約67kDより大きいタンパ
ク質を生じるアミノ酸配列をコード化する成分からなる。好ましくは、コード化
されるタンパク質は67kD〜1000kDの範囲である。
好ましくは、コード化される非Fc結合成分は、前記したようなHSA、
他のFcレセプター、いずれかの種由来のIg、サイトカイン及び成分調節分子
などの動物によって良好に許容されるペプチドである。より好ましくは、核酸は
、HSA:FcγRIIと同じ配列を有するまたは実質的にこの配列と同様であ
る。
更なる好ましい実施態様によると、本発明は、検出可能な成分からなるFc結
合能を有するポリペプチドをコード化する核酸分子に関するものである。
「検出可能な成分」ということばは、前記したのと同様の意味である。
核酸分子は本発明の第一または第二の実施態様に記載されたポリペプチドをコ
ード化することが好ましく、さらに検出可能な成分は免疫グロブリン、HRP、
Alk−Phosまたは他の検出可能な成分をコード化するヌクレオチド配列等
の適当なヌクレオチド配列によってコード化されることが好ましい。
本発明はまた、本発明の核酸分子を製造するプライマーとして使用される核酸
分子にまで拡張される。実施例中に記載されたプライマーが特に好ましい。
本発明はさらに、その構造が、変更によって天然のFcレセプターに比べて特
性が向上するような1以上のアミノ酸の付加、欠損または置換によって該天然の
Fcレセプターに比べて変更される、Fc結合能を有するポリペプチドをコード
化する核酸を製造することからなる本発明の核酸分子の作製方法にまで拡張され
る。
「核酸分子を製造する」ということばは、化学的な手段、SOE−PCR、d
e novo合成または融合タンパク質がコード化されるような核酸の付加によ
る天然のFcレセプター遺伝子の直接的な突然変異誘発を含むものである。様々
な変異方法は当該分野における当業者には既知である。
本発明はまた、上記Fc結合能を有するポリペプチドをコード化する核酸分子
からなるベクターおよび該核酸分子を発現する宿主細胞にまで拡張され
るものである。適当なベクター及び宿主細胞は当該分野における当業者には既知
である。好ましい態様によると、本発明は実施例に記載されるcDNA構築物及
び該構築物を含む宿主細胞に関するものである。
本発明はまた、組換手段による本発明のポリペプチドの製造方法に関するもの
である。上記方法は本発明の核酸を発現させ、少なくともある程度までポリペプ
チドを単離または精製することからなる。通常、核酸分子は適当なベクター上に
存在するまたは宿主ゲノム中に組み込まれる。適当な宿主、ベクター及び精製方
法は当該分野における当業者には既知である。しかしながら、詳細に説明するの
みを目的として、幾つかの宿主及びベクターについて下記に説明する。
適当な原核性宿主としては、下記に制限されるものではないが、エシェリキア
属(Escherichia)、ストレプトマイセス属(Streptomyces)やバチルス属(Bacil
lus)などが挙げられる。適当な真核性宿主としては、下記に制限されるものでは
ないが、ピチア属(Pichia)やサッカロマイセス属(Saccharomyces)等の酵母お
よびVERO、HeLa、マウスC127、チャイニーズハムスター卵巣(CH
O)、WI−38、BHK、COS、MDCK、NSI、J558及び昆虫細胞
系等の培養される動物細胞が挙げられる。このような組換技術は既知になり、メ
ソッズ イン エンザイモロジー(Methods of Enzymology)(アカデミック
プレス(Academic Press))65及び69巻(1979年)、100及び101
巻(1983年)、および上記に列挙される引用文献に記載される。最も一般的
に使用される組換DNA方法を具体的に示す広範な技術的なディスカッションは
、マニアティス(Maniatis)ら、モレキュラー クローニング(Molecular Clon
ing)、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー(Cold Spring Harbor
Laboratory)(1982年)またはキャレント プロトコルズ イン モレキ
ュラー バイオロジー(Current Protocols in Molecular Biology)、グリー
ン パブリッシング(Greene Publishing)(1988年、1991年)に示さ
れている。
ポリペプチドをコード化する核酸が製造されれば、DNAを発現ベクター中に
挿入し、構築物を用いて適当な宿主細胞中に形質転換する。発現ベクターは、目
的とするDNA配列が操作により連結されると、ベクターはベクターを含む宿主
細胞中で目的とするDNA配列によってコード化される生成物の産生させること
ができるような発現制御配列を有するという特徴を有する。
組換産物が製造された後、この産物を回収することが望ましい。産物がこれを
産生する細胞によって排出される際には、産物は細胞培養液から直接回収できる
。産物が細胞内に保持される際には、細胞内の産物を得るために、細胞を機械的
、化学的または生物学的手段によって物理的に破壊しなければならない。
タンパク質産物では、精製プロトコルにより他のタンパク質を本質的に含まな
いタンパク質産物を得、さらにDNA、RNAや潜在的な発熱性物質等の他の宿
主細胞の夾雑物を排除するまたは許容できるレベルにまで減少させることが望ま
しい。したがって、精製を容易にするためにFLAG(商標)ペプチドシステム
等の市販のシステムを使用することが望ましい。または、ポリペプチドの固有の
Ig結合特性を用いてアフィニティーにより精製してもあるいは抗Fcレセプタ
ー抗体を使用してもよい。
上述したように、様々な宿主細胞が本発明のポリペプチドの産生に使用される
。特定の宿主細胞の選択は、特にレセプターの性質、その合成速度、その遅延速
度及びレセプターを発現させる組換ベクターの特性を考慮して当業者の知識の範
囲に含まれる。宿主細胞発現システムの選択は、使用される細胞培養方法の性質
を広範に必要とする。発現システムが選択されれば、回分式若しくは連続式、撹
拌若しくはエアーリフト(air-lift)による、液体若しくは固定化という特定の生
産形態の選択できる。したがって、細胞マイクロキャリアー(cell microcarrier
)を使用するまたは使用しない、流動層型バイオリアクター、中空糸型バイオリ
アクター、ローラーボトル培養、または撹拌タ
ンク型バイオリアクターが多様に使用される。このような選択の基準は、細胞培
養分野において認められている。
他の実施態様によると、本発明は、本発明のポリペプチドまたはFcレセプタ
ー若しくはその一部及びサンプル中に存在する免疫グロブリンが結合するのに十
分な時間及び条件下で、サンプルを該ポリペプチド、またはFcレセプター若し
くはその一部と接触させ、結合したポリペプチド−免疫グロブリン、Fcレセプ
ター−免疫グロブリンまたはFcレセプターの一部−免疫グロブリンの存在を検
出するおよび/またはその量を測定することからなる、サンプルにおける免疫グ
ロブリンの存在および/または量の測定方法に関するものである。
サンプルは、免疫グロブリンの存在を決定しようとするいずれの源由来であっ
てもよい。体液及び血液、唾液、汗、精液や膣分泌物等の分泌物由来のサンプル
が使用されてもよい。腎臓等からの生検検体などの固体の組織サンプルも含まれ
る。
「Fcレセプター」ということばは、天然の源由来であるあるいは組換手段に
よるものである天然のまたは非天然のFcレセプターまたはその一部を意味する
。Fcレセプターは少なくとも一部が精製されることが好ましい。
結合したポリペプチドまたはFcレセプターの検出は、既知の手段によって
測定される。免疫グロブリンの存在がリポーター分子によって検出されることが
好ましい。または、結合した抗体−レセプターを、ラベルで標識された抗ポリペ
プチド、リポーター分子抗Igまたは他の検出可能なシグナルによって検出して
もよい。免疫グロブリンの量は、同一条件下で既知の量のIgを用いて得られる
標準曲線と比較することにより測定される。
本発明のポリペプチドまたはFcレセプターは可溶性であってもまたは当業者
には既知のニトロセルロース、紙、マトリックスまたは樹脂等の固体の支持体に
結合させてもよい。
本発明の他の実施態様は、区画化された形態において本発明のポリペプチ
ドまたはFcレセプターを入れるために使用される第一のコンパートメントおよ
び検出器手段を含むために使用される少なくとも1つの他のコンパートメントか
らなる、サンプルにおける免疫複合体を含む免疫グロブリンの検出用キットに関
するものである。
「検出器手段」ということばは、Fcレセプター様分子に結合した免疫グロブ
リンを検出するための手段を意味し、このようなものとしては、結合した免疫グ
ロブリン−レセプターの検出に必要な、適当な基質、緩衝液等が挙げられる。
これに関連して、免疫グロブリンとの結合能が向上したFcレセプター様分子
の形態を有する本発明のポリペプチドは有用な実験試薬を提供する。これは、F
cレセプター様分子が選択的に免疫グロブリン複合体に結合できるため、IgG
に特異的なFcレセプター様分子で特に有用である。したがって、Ig結合能が
向上したFcレセプター様分子等のFcレセプター様分子は、選択的な結合能を
発揮しない、例えば、プロテインAの代わりとして免疫沈降に使用される。
関連した実施態様によると、本発明は、サンプル及び本発明のポリペプチドま
たはIgGに特異的なFcレセプター中に存在する複合体がさらに複合体を形成
するのに十分な時間及び条件下で、サンプルを該ポリペプチドまたはFcレセプ
ターと接触させ、さらなる複合体を検出することからなる、サンプルにおける免
疫複合体の検出方法を提供するものである。
上記方法は、単量体IgGを認識しないため、本発明のポリペプチド及びIg
Gに対するFcレセプターの複合体との結合能を利用するものである。さらに、
向上した活性を有するFcレセプター様分子の使用により、サンプルにおいてよ
り低いレベルの複合体を検出し、同様のものに対して選択的であるため、より感
受性の高いアッセイが得られる。
上記方法は、免疫複合体が関与する病気、例えば、腎炎、狼瘡、関節炎、ヘパ
リン誘導血小板減少性血栓症症候群(heparin induced
thrombocytopoenia thrombosis syndrome)(HITTS)、ギヤン−バレー症候
群または特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の診断に有用な道具である。
更なる実施態様によると、本発明は、サンプル中の免疫グロブリンが本発明の
ポリペプチドまたはFcレセプターとの複合体を形成するのに適当な時間及び条
件下で、サンプルを該ポリペプチドまたはFcレセプターと接触させ、サンプル
の残りから該複合体を分離することからなる、サンプルからの免疫グロブリンの
除去方法に関するものである。
上記方法に使用されるサンプルは、上記したようなサンプルであってもまたは
採取され、上記方法で処理された後閉鎖系の一部として患者に返される血液また
は血漿など患者から連続的に採取されるサンプルであってもよい。
使用されるポリペプチドまたはFcレセプターはIgGおよび/またはIgA
に特異的であることが好ましい。本明細書に記載されるFcγRIIはIgAに
結合できることが本発明者らによって分かった。したがって、FcγRIIの使
用は、免疫グロブリンA腎症等のIgGおよび/またはIgAの免疫複合体がか
かわる病気の処置に特に好ましい。また、好ましくは、上記方法はサンプル中に
存在する免疫複合体を除去しようとするものであり、使用されるポリペプチドは
IgGまたはIgAを含む免疫複合体に結合可能である。
複合体の分離は、標準的な血液浄化またはプラズマフェレシス技術等の公知の
手段によって達成されてもよいが、固体の支持体に結合した本発明のポリペプチ
ドまたはFcレセプター若しくはその一部を含む装置を使用してもよい。このよ
うな固体の支持体としては、シリカ、セファロース(商標)、アガロース、セル
ロース膜などが挙げられる。このような装置は、ポリペプチドまたはレセプター
若しくはその一部が支持体に結合した容器、そこからサンプルが流れ込む流入口
およびそこからサンプルが患者に戻される流出口からなることが好ましい。
さらなる他の実施態様によると、本発明は、患者から体液を採取し、本発明の
ポリペプチドまたはFcレセプターが免疫グロブリンに結合できるのに十分な時
間及び条件下で、該体液を該ポリペプチドまたはFcレセプターと接触させ、該
結合した免疫グロブリンを体液から除去し、該体液を患者に置換することからな
る、体液からの免疫グロブリンの除去方法に関するものである。
上記方法は、免疫複合体の除去に係わるものである。これは、狼瘡、ITP、
HITTS、リウマチ性関節炎等の免疫複合体を除去することが望ましい病気の
または腎炎の患者における感染後の処置に使用される。
より好ましくは、上記方法は、免疫複合体の病気の処置におけるプラズマフェ
レシスに使用される。さらにより好ましくは、上記方法は、IgGとの結合能が
向上したFcレセプター様分子を利用するものである。
Fcレセプター様分子は、プラズマフェレシスに使用される際には、膜等の、
固体の支持体に結合されることが好ましい。シリカ、アガロース、セファロース
(商標)またはセルロース誘導体等の、適当な支持体が使用され、これらは当該
分野における当業者には既知である。
他の実施態様によると、本発明は、有効量の本発明のポリペプチド、Fcレセ
プターまたは本発明のアンタゴニスト化合物を患者に投与することからなる、免
疫複合体または抗原−抗体相互作用が関与する病気の処置方法に関するものであ
る。
患者は、ヒトまたは動物であってもよく、哺乳動物が好ましい。
血清の半減期が増加したポリペプチドを本発明の方法に使用することが好まし
い。免疫グロブリン結合能が向上したFcレセプター様分子からなるこのポリペ
プチドを上記方法に使用することがより好ましい。しかしながら、病気によって
は、免疫グロブリンまたは分化した免疫グロブリン(differential immunoglobul
in)結合能が抑制されたFcレセプター様分子が免疫グロブリンの一形態には結
合するが他の形態には結合しないことが望ましい場合など
には好ましいことが示される。例えば、複合体には結合するが単量体には結合し
ないようなIgG結合能が変化するFcレセプター様分子が使用される。
上記方法に使用されるポリペプチドは可溶性であることが好ましい。より好ま
しくは、ポリペプチドは薬剤組成物中で投与される。必要であれば、IgG結合
能が向上したFcレセプター様分子を有する本発明のポリペプチドを、過剰な免
疫グロブリンが免疫複合体病、腎炎、狼瘡、リウマチ性関節炎、感染後に不適当
なIgGの産生を伴う病気、ヘパリン誘導血小板減少性血栓症症候群(heparin i
nduced thrombocytopoenia thrombosis syndrome)(HITTS)、超急性移植
拒否反応及び特発性血小板減少性紫斑病(ITP)などの炎症または病気の原因
因子として含まれる病気の処置に使用される。
加えて、IgG結合能が向上した本発明のポリペプチド、Fcレセプター分子
は、IgEが病気の原因因子の一つである、IgEが係わる病気の処置に使用さ
れる。このような病気としては、喘息、アレルギー及び湿疹が挙げられる。
このような方法は、有効量の本発明のポリペプチドまたはFcレセプターを患
者に投与することからなるものである。
本発明のポリペプチド、特に本発明による向上した活性を有するIgに特異的
なFcレセプター様分子からなる可溶性のポリペプチドは、患者に投与される際
のIgE結合の拮抗阻害剤として特に有用であると考えられる。このポリペプチ
ドは2様式で機能する。第一には、非結合IgEを吸収し、第二には、既に結合
したIgEを置換するまたは強力なIgEに対する親和性によりIgEの再結合
を阻害する。このようにして、喘息発作または食物アレルギーにおける等のアレ
ルギー反応またはハチ刺されにおけるIgEの作用が抑制あるいは緩和される。
同様のことが本発明の可溶性のIgEに特異的なポリペプチドにも適用さ
れる。特に、本発明による向上した活性を有するIgに特異的なFcレセプター
様分子は、患者に投与されると、IgG結合の拮抗阻害剤として有用であると考
えられる。まず、上記分子は、免疫複合体凝集体またはIgGに吸収し、細胞表
面FcγR、例えば、FcγRI、FcγRII、FcγRIIIへの結合を阻
害し、さらに炎症の活性化を阻害あるいは抑制する。
このようにして、免疫複合体により誘導される炎症、例えば、リウマチ性関節
炎、グッドパスチャー症候群、超急性移植拒否反応または狼瘡は、抑制あるいは
緩和される。
本発明を下記実施例を参照しながら説明するが、本発明は下記実施例に限定さ
れない。実施例1
材料および方法
キメラFcγRII/FcεRI及び突然変異FcγRIIレセプターcDN
A及び発現構築物。
キメラFcγRII/FcεRIa鎖または突然変異FcγRII cDNA
を、FcγRIIaNR cDNA(7)を鋳型として用いたスプライスオーバー
ラップエックステンション(Splice Overlap Extension)(SOE)PCR(
27)によって構築した。SOE PCRを以下のようにして行った:PCR反
応を2回用いて、一緒にスプライシングされるFcγRII−FcεRIまたは
FcγRII断片を増幅した。上記反応を、25増幅サイクルを目的として2.
5単位のTaqポリメラーゼ(アンプリタック(Amplitaq)、セタス(Cetus))
を使用して500ngの各オリゴヌクレオチドプライマー、1.25nM dN
TP、50nM KCl、10mM トリス−Cl、pH8.3及び1.5nM
MgCl2の存在下で100ngのFcγRIIaNR cDNAについて行った
。第三のPCR反応を行って、2断片をスプライシングし、スプライシングされ
た産物を増幅した。100ngの各断片(アガロースゲルを介して大きさによる
分画によって精製)(2
8)を上記PCR条件下で適当なオリゴヌクレオチドプライマーと共に使用した
。
キメラFcγRII/FcεRIa鎖レセプターを以下のようにして得た。キ
メラg、e109−116:オリゴヌクレオチド対(NR1+CHM10)及び
(CHM09+EG5)を用いて、オリゴヌクレオチドNR1及びEG5を用い
て一緒にスプライシングされる2断片を製造した。NR1及びEG5の後、キメ
ラg,e130−135:オリゴヌクレオチド対(NR1+PM12)及び(P
M11+EG5)を用いた。使用されるオリゴヌクレオチドの配列及びFcγR
IIaNR cDNAとのハイブリッド形成の位置は、下記の通りである:
NR1、5’−TACGAATTCCTATGGAGACCCAAATGTCT
C−3’(ヌクレオチド位置10−30);
EG5、5’−TTTGTCGACCACATGGCATAACG−3’(96
7−981);
CHM09、5’−CACATCCCAGTTCCTCCAACCGTGGCA
CCTCAGCATC−3’(419−437及びFcεRIa鎖の442−4
62番目のヌクレオチド);
CHM10、5’−AGGAACTGGGATGTGTACAAGGTCACA
TTCTTCCAG−3’(462−487及びFcεRIa鎖の446−46
2);
PM11、5’−GTGGTTCTCATACCAGAATTTCTGGGGA
TTTTCC−3’(473−490及びFcεRIa鎖の492−506);
PM12、5’−CTGGTATGAGAACCACACCTTCTCCATC
CCAC−3’(516−531及びFcεRIa鎖の491−506)。
FcεRIa鎖由来の配列に下線を付し、FcγRIIa鎖由来の配列に
下線を付さない;PCR産物のクローニングに使用される制限酵素部位を含む非
相同性配列を太字で示す。ヌクレオチドの位置は、従来公表されたFcγRII
a及びFcεRIa鎖cDNA配列(7、13)を参照する。
FcγRIIのアラニン点突然変異cDNAを、下記オリゴヌクレオチドを組
み合わせて得た。Pro114−Ala、(GBC01+EG5)及び(GBC0
2+NR1);Lys113−Ala、(GBC03+EG5)及び(GBC04
+NR1);Leu115−Ala、(GBC05+EG5)及び(GBC06+
NR1);Val116−Ala、(GBC07+EG5)及び(GBC08+N
R1);Phe129−Ala、(GCE01+EG5)及び(GCE02+NR
1);Ser130−Ala、(GCE03+EG5)及び(GCE04+NR1
);Arg/His131−Ala、(GCE05+EG5)及び(GCE06+
NR1);Leu132−Ala、(GCE07+EG5)及び(GCE08+N
R1);Asp133−Ala、(GCE09+EG5)及び(GCE10+NR
1);Pro134−Ala、(GCE11+EG5)及び(GCE12+NR1
)。オリゴヌクレオチドNR1及びEG5を用いて、各変異体の2成分断片を一
緒にスプライシングし、点置換されたcDNAを製造した。使用されたオリゴヌ
クレオチドの配列及びFcγRIIaNR cDNAとのハイブリッド形成の位
置は、下記の通りである:NR1及びEG5は上記の通りである;
GBC01、5’−GAAGGACAAGGCTCTGGTCAAG−3’(ヌ
クレオチド位置443−464);
GBC02、5’−CTTGACCAGAGCCTTGTCCTTC−3’(4
43−464);
GBC03、5’−CTGGAAGGACGCTCCTCTGGTC−3’(4
40−461);
GBC04、5’−GACCAGAGGAGCGTCCTTCCAG−3’(4
40−461);
GBC05、5’−GGACAAGCCTGCTGTCAAGGTC−3’(4
46−467);
GBC06、5’−GACCTTGACAGCAGGCTTGTCC−3’(4
46−467);
GBC07、5’−GACAAGCCTCTGGCTAAGGTCAC−3’(
447−469);
GBC08、5’−GTGACCTTAGCCAGAGGCTTGTC−3’(
447−469);
GCE01、5’−CCCAGAAAGCTTCCCGTTTGG−3’(49
0−611);
GCE02、5’−CCAAACGGGAAGCTTTCTGGG−3’(49
0−611);
GCE03、5’−CAGAAATTCGCTCGTTTGGATC−3’(4
92−614);
GCE04、5’−GATCCAAACGAGCGAATTTCTG−3’(4
92−614);
GCE05、5’−GAAATTCTCCGCTTTGGATCCC−3’(4
94−616);
GCE06、5’−GGGATCCAAAGCGGAGAATTTC−3’(4
94−616);
GCE07、5’−ATTCTCCCGTGCTGATCCCACC−3’(4
97−619);
GCE08、5’−GGTGGGATCAGCACGGGAGAAT−3’(4
97−619);
GCE09、5’−CTCCCGTTTGGCTCCCACCTTC−3’(5
00−622);
GCE10、5’−GAAGGTGGGAGCCAAACGGGAG−3’
(500−622);
GCE11、5’−CCGTTTGGATGCTACCTTCTCC−3’(5
03−625);
GCE12、5’−GGAGAAGGTAGCATCCAAACGG−3’(5
03−625)。
Alaコドンまたはその補体を太字で示す。
キメラ及び突然変異レセプターcDNA発現構築物を、cDNAを真核性発現
ベクターpKC3(29)中にサブクローニングによって製造した。各cDNA
をPCR反応中で操作し、5’末端にEcoRI部位(EcoRI認識部位を含
有する5’−フランキングオリゴヌクレオチドプライマーNR1)および3’末
端にSalI部位(SalI認識部位を含有する3’−フランキングオリゴヌク
レオチドプライマーEG5)を持たせることによって、cDNAをpKC3のE
coRI及びSalI部位にクローニングできるようにした。キメラcDNAの
ヌクレオチド配列の一体性を、上記したシークエナーゼTM(ユーナイテッド ス
テーツ バイオケミカル コーポレイション(United States Biochemical C
orp.)、クリーブランド、オーエッチ(Cleveland,OH))(31)を用いたジデ
オキシヌクレオチド鎖−ターミネーション配列決定(dideoxynucleotide chain-t
ermination sequencing)(30)によって決定した。
トランスフェクション−COS−7細胞(30〜50%密集/5cm2シャー
レ)に、DEAE−デキストラン法(32)によってFcR cDNA発現構築
物を一時的にトランスフェクションした。細胞を、4時間、10%(v:v)ヌ
シーラム(Nuserum)(フローラボラトリーズ(Flow Laboratories)、オースト
ラリア)を含有するダルベッコの改変イーグル培地(DME)(フローラボラト
リーズ(Flow Laboratories)、オーストラリア)における5〜10mg/ml
DNA、0.4mg/ml DEAE−デキストラン(ファルマシア(Pharma
cia)、アップサラ、スェーデン(Uppsala,
Sweden))及び1mMクロロキン(シグマ(Sigma)、セント ルイス、エムオー
(St Louis,Mo))から構成されるトランスフェクション混合物(1ml/5c
m2シャーレ)と共にインキュベートした。次に、トランスフェクション混合物
を除去し、細胞を、2分間、リン酸緩衝液(PBS、7.6mM Na2HPO4
/3.25mM NaH2PO4/145mM NaCl)、pH7.4における
10%(v:v)ジメチルスルホキシドで処理し、洗浄し、アッセイに使用され
る48〜72時間前に、十分に補足された培養液に戻された。COS−7細胞を
、10%(v:v)熱不活性化胎児ウシ血清、100U/mlペニシリン、10
0mg/mlストレプトマイシン、2mMグルタミン(コモンウェルス シーラ
ム ラボラトリーズ(Commonwealth Serum Laboratories)、オーストラリア)
及び0.05mM2−メルカプトエタノール(2mE)(コック ライト リミ
テッド(Kock Light Ltd.)、イギリス)を添加されたDME中に維持した。
モノクローナル抗体及びIg試薬一抗FcγRII mAb8.2−を本実験
において製造した(19)。マウスのIgE抗TNP mAb(TIB 142
)をアメリカン タイプ カルチャー コレクション(American Type Cultur
e Collection) ロックヴィレ、エムエー(Rockville,Ma))から得たハイブリ
ドーマ細胞系から製造した:マウスのIgG1抗TNP mAb(A3)をドク
ター エー ロペス(Dr A.Lopez)(33)からの寄贈であるハイブリドーマ
細胞系から製造した。ヒトIgG1ミエローマタンパク質を上記(34)と同様
にしてミエローマ患者の血清から精製した。ヒトIgG1オリゴマーを、下記の
ようにしてS−アセチルメルカプトコハク酸無水物(S-acetylmercaptosuccinic
anhydride)(SAMSA)(シグマ(Sigma)、セント ルイス、エムオー(St
Louis,Mo))及びN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピ
オネート(N-succinimidyl-3-(2-pyridyldithio)propionate)(SPDP)(ピ
アース ケミカル カンパニー(Pierce Chemical Company)、ロックフォード
、アイエル(Rockford,IL))を用いた
化学的な架橋によって調製した:リン酸緩衝液(0.01Mリン酸ナトリウム
pH7.5/0.15M NaCl)におけるhIgG1ミエローマタンパク質
(10mg/mlで5mg)をジオキサンにおける5倍モル過剰のSPDPで3
0分間処理した。過剰な試薬をPBS pH7.0/2mMEDTAへの透析に
より除去した。SAMSA修飾hIgG1を30分間200mlのヒドロキシル
アミン(PBS pH7.0において1mM)で処理した後、SPDP修飾hI
gG1と混合(1:1のモル比)し、さらに1時間インキュベートした。この反
応をN−エチルマレイミド(シグマ(Sigma)、セント ルイス、エムオー(St
Luis,Mo))を6.6mMの最終濃度まで添加することにより終了させた(35
)。すべての反応は室温で行われた。2量体hIgG1を、セファクリルS−3
00HR(ファルマシア エルケービー バイオテクノロジー(Pharmacia LK
B Biotechnology)による大きさによる分画クロマトグラフイー(size fraction
ation chromatography)によって単量体及びオリゴマーhIgG1から精製した
。
FcR発現構築物でトランスフェクションされた赤血球−抗体ロゼット形成−
COS−7細胞の単層をEA複合体とインキュベートし、ヒツジの赤血球(SR
BC)をトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)(フルカ ケミカ(Fluka
Chemika)、スイス)で被覆することによって調製した後、マウスのIgG1ま
たはIgE抗TNBS mAb(36)により上記細胞を感作した。5cm2シ
ャーレのトランスフェクションされた細胞当たり、2mlの2%EA(v:v)
を添加し、37℃で5分間インキュベートした。次に、このシャーレを500×
gで3分間遠心し、30分間氷上に置いた。非結合EAをグルタミン(フローラ
ボラトリーズ(Flow Laboratories)、オーストラリア)で修飾され、0.5%
ウシ血清アルブミン(BSA)を含むL−15培地で洗浄することによって除去
した。
直接結合したFcR発現構築物でトランスフェクションされた2量体−hIg
G1または2量体−mIgG1−COS−7細胞を集め、PBS/0.
5%BSA中で洗浄し、L−15培地/0.5%BSAに107/mlで再懸濁
した。細胞50mlを、4℃で120分間125I−2量体−hIgG1の連続希
釈液50mlとインキュベートした。125I−2量体−Igを上記(37)した
クロアミン−T法によって調製したところ、これはFcレセプター発現COS−
7細胞への結合において非標識2量体Igと同等に競合することが示された。ジ
ブチルフタレート及びジオクチルフタレートオイル(フルカ ケミカ(Fluka C
hemika)、スイス)の3:2(v:v)混合物により細胞を遠心分離した後、細
胞結合125I−2量体−IgG1を測定し、細胞結合125I−2量体を測定した。
非特異的な2量体結合を偽薬をトランスフェクションさせた細胞でアッセイする
ことにより測定し、全結合から引くことにより、結合した特異的な2量体−Ig
G1を得た。細胞表面FcγRII発現レベルを、結合部位とは離れた所に結合
することが示される(19)、抗FcγRII mAb8.2を用いて測定し、
これを用いて変異FcγRII COS−7細胞のトランスフェクタント(trans
fectant)間の変動する細胞表面レセプターの発現を修正した。8.2の結合をヒ
トIgG1−2量体結合アッセイに関するのと同様にして直接結合アッセイで測
定した。
結果
キメラレセプターはIgG結合に係わるFcγRIIの複数の領域を同定する
ドメイン1及びドメイン2のB−CまたはC’−Eループ領域のヒトFcγR
IIによるIgGの結合に関する役割を決定するために、FcγRIIの上記各
領域をヒトFcεRIa鎖の同等の領域で置換したキメラレセプターを作製した
。キメラレセプターcDNAをSOE PCRによって構築し、真核性発現ベク
ターpKC3中にサブクローニングし、一時的にCOS−7細胞にトランスフェ
クションした。キメラレセプターのIgG結合能を、EAロゼット形成及び2量
体hIgG1の直接結合により決定した。
FcγRII ドメイン1のFcεRIa鎖のものによる置換により、予
想された通り、非常に感作されたIgG−EA複合体との結合能を維持した(図
1a)レセプター(D1εD2γと称する)が産生されたが、これに対して、野
生型のレセプターは2量体−hIgG1に結合しなかった(図2)。同様にして
、FcγRII ドメイン2のSer109−Val116(B−Cループ)またはS
er130−Thr135(C’−Eループ)の残基からなるFcεRIα鎖の領域を
FcεRIa鎖の同等の領域(それぞれ、キメラγ109−116ε及びγ13
0−135εを産生する)で置換することによっても、hIgG1−2量体結合
の欠損が生じる(図2)が、これらのレセプターはIgG−EA複合体結合能を
維持していた(図1b、c)。発現可能な形態のFcεRIα鎖(17)をトラ
ンスフェクションしたCOS−7細胞は、hIgG1 2量体またはIgG−E
Aのいずれにも結合しなかった(図1d、図2)。したがって、ドメイン1また
はB−C、C’−Eドメイン2の置換体を含むキメラFcγRIIは非常に置換
されたEA複合体には結合できるが2量体−hIgG1には結合できなかったこ
とから、これらのレセプターは野生型のFcγRIIより低い親和力でIgGに
結合することが示唆される。これらの知見から、ドメイン1及びドメイン2のB
−C、C’−E領域は直接IgGに結合しないと考えられるが、これらはFcγ
RIIによってIgGの結合に寄与すると考えられることが示される。
FcγRIIドメイン2のB−C及びC’−Eループの詳細な構造分析
FcγRIIドメイン2のB−C及びC’−Eループ領域のIgGとの結合へ
の寄与を、B−C(残基Lys113−Val116)及びC’−E(残基Phe129
−Pro134)ループにおける個々の領域をアラニンで置換する点突然変異誘発
ストラテジーを用いて測定した。変異型レセプターをコード化するcDNAもま
た、SOE PCRを用いて得、真核性発現ベクターpKC3中にサブクローニ
ングした。このようにして得られた発現構築物を一時的にCOS−7細胞にトラ
ンスフェクションし、変異型レセプターのIg結合能を2量体 hIgG1の結
合性を評価することによって測定した。COS−7
細胞トランスフェクタントでの変異体の細胞膜発現レベルを、抗FcγRII
mAb8.2(結合部位と離れたエピトープを検出することが示される)を用い
て測定したところ、野生型のレセプターのレベルに匹敵した(図3を参照)。相
対的な変異型レセプターのhIgG1結合能を、細胞表面発現レベルの変差を修
正した後、直接結合アッセイを用いて測定し、野生型のFcγRII結合に対す
る割合(%)として表した。
B−Cループ残基(Lys113、Val114、Leu115、Pro116)を順次A
laと置換することにより、各々の場合、hIgG1−2量体の結合性が減少す
る(図3)。最も劇的な効果は、Lys113及びLeu115の置換で見られ、これ
らは、野生型のFcγRIIに比べて15.9+3.4(平均+SD)及び20
.6+4.0%の結合性しか示さなかった。Val114またはPro116のAla
による置換は上記に比べると効果は小さく、これらのレセプターは、それぞれ、
野生型の結合性の53.5+13.5及び73.5+7.9%を示した。これら
の結果から、B−Cループのそれぞれの上記残基は、直接的な接触残基としてま
たは結合部位の正しい構造を維持することによる間接的であるとにかかわらず、
FcγRIIによるIgGの結合性の原因となることが示唆される。また、C’
−Eループの129〜134番目の残基(Phe129、Ser130、Arg/Hi
s131、Leu132、Asp133、Pro134)のアラニンによる置換から、この領
域はFcγRIIによるIgGの結合性において役割を果たすことが示唆される
。Phe129及びArg/His131の置換により、野生型のFcγRIIに比べ
て、それぞれ、8.2+4.4及び21.9+3.9にまで90%及び80%、
hIgG1−2量体の結合性が減少した(図3)。これに対して、残基Asp13 3
及びPro134の置換によっては、野生型のレセプターの113.5+8.8及
び113.5+0.2%まで結合性が上昇した。Ser130及びLeu132の置換
は、これらの変異体が野生型のFcγRIIに匹敵する結合性を示したため、h
IgG1の結合性には有意の効果はなかった(図3)。これらの知見から、Ph
e129
及びArg/His131はhIgG1の結合に重要な役割を果たすことが示唆
され、また、Asp133及びPro134の置換は結合性を上昇させるという観察結
果から、これらの残基の重要な役割が示唆され、この役割はPhe129及びAr
g/His131とは異なるものであると考えられる。繰り返すが、可能性のある
直接的な結合の役割またはレセプターの構造上の一体性への寄与の間の区別は成
されないが、これらの知見は、明らかに、B−C及びC’−EループがFcγR
IIによるIgGの結合性において役割を果たすことを示している。推定上のド
メイン2モデルにおける結合の役割を有すると報告される残基の位置から、Fc
γRIIとIgGとの接触に係わっているのはドメイン1との境界を形成するB
−C−C’−E−F−G面の領域であることが示唆される(図4)。
ディスカッション
本明細書中に記載される知見から、IgGとhFcγRIIとの相互作用はレ
セプターの複数の領域を含むことが明らかに示唆される。全細胞外領域のうち、
154〜161番目のセグメントのみが、ヒトFcεRIa鎖の相当する領域へ
のこの領域の挿入のみがFcεRIにIgG結合機能を付与したため、直接Ig
Gに結合することが示された。さらに、FcγRIIの上記領域のヒトFcεR
Iaの上記領域による置換によりIgG結合性が失われたことから、FcγRI
IのAsn154からSer161までの残基はhFcγRIIのキーとなるIgG1
相互作用部位を有することが示される。しかしながら、本願中に記載されるよう
にさらにキメラhFcγRII/FcεRIaレセプターが得られたことから、
hFcγRIIドメイン2のさらに2領域が、直接はIgGに結合することはで
きないものの、hFcγRIIによるIgG結合性に影響を与えることが示唆さ
れた。hFcγRIIのSer109からVal116(B−Cループ)及びPhe12 9
からPro134(C’−Eループ)を含む領域をFcεRIa鎖の同等の領域で
置換することによって、推定上の結合部位(Asn154からSer161)を含み、
IgG−EA結合
能を保持するにもかかわらず、2量体 hIgG1結合能を失ったレセプターが
製造された。事実、109−116及び129−134番目の領域の個々の残基
について部位特異的突然変異誘発を行うことにより、FcγRIIによるhIg
G1の結合において重要な役割を果たすと考えられる多くの残基が同定された。
B−CループのLys113、Pro114、Leu115及びVal116、およびC’−
EループのPhe129及びArg/His131のアラニンによる置換によって、す
べて、hIgG1の結合性が減少した。したがって、これらの知見から、hFc
γRIIのB−C及びC’−EループもまたIgGの結合に寄与することを示唆
する強力な証拠が得られる。
本明細書に記載される知見から、アラニンの置換により上記イソタイプのhF
cγRIIへの結合が顕著に減少するため、131番目の残基の性質はhIgG
1の結合に役割を果たすことが示唆される。したがって、この領域のみがIgG
に直接結合することが信頼性高く示されると記載される(20)ように、hFc
γRIIのF−Gループは明らかにIgGとの直接的な相互作用に係わる主要な
領域であるが、131番目の残基も結合の役割を果たすと考えられる。
全FcγRIIの分子モデルから、Ig結合に係わる領域はドメイン2の同様
の面上でかつドメイン1及び2の境界面に位置することが示される。さらに、こ
れから、ドメイン1のA/B及びE/Fループさらにはドメイン1及び2を結ぶ
ストランド(G/Aストランド)は同じ領域(ドメイン相互の境界面)に位置し
、ドメインの結合領域に寄与することも示される。この領域は疎水性のポケット
を形成し、レセプターアンタゴニストの開発が上記領域で標的にされる。
さらに、FcγRII及びFcεRIさらには他のFcRは相同性があるので
、これらの全体の構造及び結合部位の位置の一般的な原則は本願に開示されたも
のと同様である。
本明細書に記載される研究から、hFcγRIIのドメイン1は、IgG
の結合に直接には役割を果たしていないと考えられるものの、hFcγRIIに
よるIgGの結合の親和性には重要な役割を果たすことが示される。このことは
、hFcγRIIのドメイン1のhFcεRIのドメイン1による置換により、
上記レセプターが2量体 hIgG1に結合できなくなることによって示される
ように、IgG結合能が減少したこととして示唆される。これらのデータは、ド
メイン1のIgG結合の役割はhFcγRIIにより効率的にIgGに結合でき
るようにドメイン2の構造を安定化させる、レセプターの構造への影響であると
考えられることを意味する。この報告はドメインとの境界面でのドメイン2のル
ープ領域へのhFcγRIIのIgG結合部位の局在化と一致する。したがって
、この結合部位は、ドメイン1と非常に近位であり、構造に影響が及ぼされると
予想されるように、恐らく、ドメイン1の底のループ及びストランド領域、即ち
、Gストランド、及びA−B、E−F及びC’−Cループによるものである。
さらに、IgGの結合におけるhFcγRII ドメイン2のB−C及びC’
−Eループの関与に関する示唆は、構造上及び機能上FcγRIIに類似する、
ラットのFcγRIIIのクローニング及びさらなるIg結合に関する研究(3
8)で得られた。これらの第二の細胞外ドメインにおいて広範にアミノ酸が相違
する、2つのラットのFcγRIIIのイソ型、IIIA及びIIIHは、ラッ
ト及びマウスのIgGサブクラスへの結合が異なることが示された。双方のイソ
型はrtIgG1、rtIgG2b及びmIgG1に結合するが、IIIH型の
みがrtIgG2b及びmIgG2bに結合する点で異なる。ラットのFcγR
IIIA及びIIIHのイソ型間のアミノ酸の相違は、主に、ドメイン2の推定
上のB−C及びC’−Eループに存在する(図5)。しかしながら、ラットのF
cγRIIIA及びIIIHのF−Gループ領域はほとんど全部が保存され、こ
の点は、双方の形態ともrtIgG1、rtIgG2a及びmIgG1に結合す
るという観察結果と共に、F−Gループ領域が主要なIgG相互作用領域である
という、およB−
C及びC’−Eループ領域が保持結合の役割を担うという報告と一致することに
留意すべきである。
数多くの類似点がhFcγRIIのIgGとの相互作用及びhFcεRIのI
gEとの相互作用の分子的な基礎において明らかであることは興味深いことであ
る。hFcεRIの2つの細胞外ドメインのIg結合の役割はhFcγRIIと
同様であり、ドメイン2はIgEの直接的な結合に応答可能であり、ドメイン1
は保持装置の役割を果たす(17、26)。さらに、hFcγRIIに関して記
載されたように、我々はまた、hFcεRIのドメイン2において複数のIgE
結合領域を同定した。キメラhFcγRII/hFcεRIレセプターを用いて
、我々は、hFcγRIIの相当する領域への残基Trp87からLys128、T
yr129からAsp135及びLys154からGln161によって包含されるhFcε
RI領域の導入がhFcγRIIにIgE結合能を付与することが分かった(1
7、20)ので、hFcεRI ドメイン2がそれぞれ直接IgEと結合できる
少なくとも3つの領域を含むことを示した。これらのデータは、hFcεRIの
ドメイン2の少なくとも4つの領域、即ち、Ser93からPhe104、Arg111
からGlu125、Tyr129からAsp135及びLys154からIle161、がIg
Eの結合に寄与することを示唆するものである。これらの領域のうち3領域、即
ち、それぞれ、B−C、C’−E及びF−Gループを含む、Arg111からGl
u125、Tyr129からAsp135及びLys154からIle161は、FcγRII
によるIgGの結合において重要であることが同定された3領域と一致するもの
である。したがって、FcγRIIに関して記載されるのと同様に、これらの知
見は、B−C、C’−E及びF−Gループが、hFcεRIの重要なIgE相互
作用領域として、ドメイン1の境界面においてドメイン2内で並置することを意
味する。実施例2
FcγRIIのドメイン2の特性化
材料及び方法
変異体を実施例1と同様にして構築し、構築物を用いてCOS細胞にトラ
ンスフェクションさせた。
結果およびディスカッション
FcγRIIのドメイン2の変異体をさらに作製した。単一のアミノ酸残基を
アラニンに変換した3つの点変異体を構築した。これらの変異cDNAを用いて
、COS細胞にトランスフェクションさせ、変異体によってコード化されたタン
パク質のヒトIgG1 2量体への結合能を試験した。Asn123およびGly1 24
での変異は結合に何等効果を有さなかったが、Lys125での変異は結合性を
抑制することが分かった(データを示さず)。試験されたアミノ酸残基はC’お
よびCループの間の空隙に見付かる。これらの結果から、123及び124番目
の位置は結合部位に寄与しないが125番目が結合に係わることが示される。
C’−C hFcγRII Ala点変異cDNAの構築
Asn123−Ala、CC−01+EG5 及び CC−02+NR1
Gly124−Ala、CC−03+EG5 及び CC−04+NR1
Lys125−Ala、CC−05+EG5 及び CC−06+NR1
オリゴヌクレオチド配列及びこれらのFcγRII aNR cDNAとのハイ
ブリッド形成の位置は下記の通りである:
CC−01、5’−CATTCTTCCAGGCAGGAAAATCCCAG−
3’(ヌクレオチドの位置 467−498);
CC−02、5’−CTGGGATTTTCCTGCCTGGAAGAATG−
3’(467−494)
CC−03、5’−CTTCCAGAATGCAAAATCCCAGAAATT
C−3’(473−500);
CC−04、5’−GAATTTCTGGGATTTTGCATTCTGGAA
G−3’(473−500);
CC−05、5’−CCAGAATGGAGCATCCCAGAAATTC−3
’(476−500);
CC−06、5’−GAATTTCTGGGATGCTCCATTCTGG−3
’(476−500)。実施例3
FcγRIIのアラニン変異体へのヒトIgG1及びIgG2の
結合性の比較
IgG2の結合性もまた評価したところ、IgG1またはIgG2の結合性に
影響を与える変異の性質の類似点及び相違点が数点観察された(図7)。
Lys113、Pro114、Leu115、Phe129、His131、I155、G156の
変異はIgG1及びIgG2の結合性を減少させる。
Val116の変異はIgG1の結合性のみを減少させる。
Ser130、Leu132、Asp133、Pro134、Tyr157の変異はIgG2
の結合性のみを減少させる。
Thr158及びLeu159の変異はIgG1及びIgG2の結合性を促進する。実施例4
FcεRIのIgE結合部位
IgGレセプター、FcγRIIに関して記載したのと同様の実験をIgEレ
セプター、FcεRIについて行った。
IgEレセプターの3領域が突然変異誘発実験のターゲットとなった。112
〜116、129〜134及び154〜161番目の残基によって規定されるこ
れらの領域はFcεRIの第二のドメインに位置する。個々のアミノ酸残基をア
ラニンに変異させ、IgE結合性に関する効果を測定する実験を行った。Fcε
RIの変異は、図5に示されるオリゴヌクレオチドを用いてFcγRIIに関し
て記載されたスプライスオーバーラップエックステンション(Splice Overlap
Extension)によって行った。
Tyr131またはGlu132の変異が、顕著にFcεRIのIgE結合能を抑制
した(図6)。これに対して、Trp130の変異により、FcεRIによるIg
Eの結合は促進または向上した。
また、154〜161番目の残基由来の(及びこれを含む)セグメント内の残
基の変異から、Val155の変異は完全に結合能を失わせてしまい、Leu158ま
たはAsp159の変異もまたIgE結合を抑制したことが示された。さらに、T
rp156、Tyr160またはGlu161の変異はFcεRIへのIgEの結合を促
進した。ドメイン1はIg結合にも関わり、我々はFcγRIIの分子モデルを
開発し、さらに我々はFcγRII及びFcεRIが非常に関連したタンパク質
であることを知っているので、FcγRIIと同様のFcεRIのドメイン1の
領域、即ち、FcεRIにおいて、A/Bループ、Asn10-Asn21残基、C
’/Cループ、Asn42−Glu47残基、およびE/Fループ、Asn59−As
n62、が結合に関わりがあると考えられる。
これらの研究を基にして、残基によってはFcεR相互作用に主要な役割を有
するものがあり、これらの残基の操作は有用な薬剤または診断試薬の製造に使用
できることは明らかである。したがって、Tyr131、Glu132、Val155、
Leu158、Asp159の変異はすべてIgE結合性を抑制する。反対に、Trp130
、Trp156、Tyr160またはGlu161の変異はすべて、これらの変異レセ
プターは野生型のレセプターより効率的にIgEに結合できるので、FcεRI
の機能を向上させる。実施例5
IgE結合性に関するキメラレセプターの効果
材料および方法
キメラレセプターを実施例1と同様にして作製した。FcεRIIのドメイン
2を有するがドメイン1における様々な成分を有するキメラレセプターを製造し
た。用語は以下の通りである:
εεγ: FcεRII由来のドメイン1及び2およびFcγRII由来の膜
内外領域を有するレセプターを意味する。これをコントロールとして使用した。
γεγ: FcγRII由来のドメイン1、FcεRII由来のドメイン2及
びFcTγII由来の膜内外領域を有するレセプターを意
味する。
G: FcεRI由来のGストランドを含むγεγを意味する。
EF: FcεRI由来のE/Fループを含むγεγを意味する。
CC’: FcεRI由来のC/C’ループを含むγεγを意味する。
上記キメラレセプターを作製するために使用されるオリゴヌクレオチドは下記
の通りである:
CC’ NR1 + LR3
LR4 + EG5
EF NR1 + EG32
EG33+ EG5
G NR1 + LR1
LR2 + EG5
NR1及びEG5は実施例1に記載されたのと同様である。
アンチセンス LR1 5’−GGTTCACTGAGGCTGGTCTGG
C−3’
センス LR2 5’−CAGCCTCAGTGAACCTGTGTA
CC−3’
アンチセンス LR3 5’−CGTCTCTTCTGACAGGCTGCC
ATTGTGGAACCAC−3’
センス LR4 5’−GTCAGAAGAGACGAATTCACC
CAGCTACAGGTCC−3’
アンチセンスEG32 5’−AAATTTGGCATTCACAATATT
CAAGCTGGGCTGCGTGTGG−3’
センス EG33 5’−AATATTGTGAATGCCAAATTT
GAAGACAGCGGGGAGTACAC−3’
IgEへのキメラレセプターの結合効率を上記直接的に記載した構築物をコー
ド化するcDNAをトランスフェクションしたCOS細胞の単層上のI
gE被覆赤血球を用いて検定した。IgEの放射線標識されたFc部分をキメラ
レセプターの研究に使用した。
結果およびディスカッション
ロゼット形成の結果から、CC’キメラ構築物をトランスフェクションした細
胞は他のトランスフェクタントに比べて悪くロゼット形成する(データを示さず
)ことを示した。
キメラレセプターについて、IgEの放射線標識されたFc部分を用いた定量
的なアッセイを行った(図8参照)。キメラレセプターγεγは正常なレセプタ
ー(この場合では、εεγ)において認められたのと同じレベルまで結合性を回
復する。このことは、EF及びG領域がFcεRIIにおける結合において重要
であることを意味する。実施例6
Fc結合能を有する可溶性ポリペプチドの産生および
FcεRII融合タンパク質の産生
本発明の遺伝子操作されたポリペプチドの2例は、組換可溶性FcγRII(
FcγRIIの細胞外ドメインのみを含む)およびヒト血清アルブミンを遺伝子
操作によりFcγRIIの細胞外ドメインに融合した融合タンパク質である。
組換可溶性Fcレセプター(rec.sFcγRII)は、前記スプライスオ
ーバーラップエックステンション(Splice Overlap Extension)(SOE)等
の標準的な突然変異誘発技術を用いて得られる。翻訳停止コドン(例えば、TA
A、TGAまたはTAG)が、膜内外固着セグメントは含まずにIg結合細胞外
領域を含むタンパク質を産生するようにこのような変異DNA由来のRNAの翻
訳終了させる位置でDNAに挿入されるように、FcγRII cDNA若しく
はゲノムDNAまたはその組み合わせを変異させる。
したがって、分子は、SOEを用いて170番目の残基の3’側にコドン、T
AGを挿入させることにより得られた。この変異DNAを様々な発現システムに
導入し、Fc結合能を有するポリペプチドを得た。発現システム
としては、CHO細胞、繊維芽細胞、酵母(ピチア パストリス(Pichia pasto
ris))及びバキュロウイルス(bacculovirus)が挙げられる。rec.sFcγR
IIの分子量は、発現システムによって変化する;即ち、CHO細胞では30k
Dでありまたはピチア パストリス(Pichia pastoris)では26kDである。こ
れは、グリコシル化の相違によるものである。明らかに、細菌、植物及び哺乳動
物などの多くの他の発現システムを使用してもよい。
本発明のポリペプチドの第2の例は、Fc結合能を有するポリペプチドをコー
ド化するDNAを様々なタンパク質をコード化するDNAに融合してFc結合能
を維持する新規なタンパク質を得ることによって製造される融合タンパク質であ
る。このような新規なタンパク質としては、FcγRIIに融合されたヒト血清
アルブミンが挙げられる。このタンパク質は、SOEを用いてHSAをコード化
するDNAをFcγRIIに融合させることによって得られる。これは、HSA
のC末端に近い残基をFcγRIIのアミノ末端のアミノ酸残基に融合させるよ
うにして成される。本実施例において、FcγRIIをコード化するDNAを融
合タンパク質に使用するが、前記Fcレセプター様分子をコード化するDNA等
の他のタンパク質をコード化するDNAを使用することも可能であることに留意
することは重要である。
材料および方法
HSA:FcγRII融合タンパク質を下記方法に従って製造した。オリゴヌ
クレオチドHT4及びHT7を用いてHSA DNAを増幅した。HT4はクロ
ーニング用の制限部位(EcoRI)を含み、HT7はFcγRIIと重なる配
列を有する。これらの配列は下記の通りである:
HT4 5’−ATCGATGAATTCATGAAGAAGTGGTGG
GTAAC−3’
HT7 5’−GGGGGAGC/GCCTAAGGCAGCTTGAC−
3’
EcoRI制限部位を上記HT4において太字で示す。この近辺にHSA
開始コドンであるATGがある。上記HT7配列におけるスラッシュはFcγR
II−HSAの連結部位を意味する。
オリゴヌクレオチドHT8及びHT5を用いてFcγRIIの必要なセグメン
ト(細胞外ドメイン)を増幅した。HT8はHSA配列と重なる配列を含む(お
よびオリゴヌクレオチドHT7も同様)。また、HT5は翻訳終止コドンおよび
クローニングを目的とした制限部位(EcoRI)を含む。これらのオリゴヌク
レオチド配列は下記の通りである:
HT8 5’S−CCTTAGGC/GCTCCCCCAAAGGCTG−
3’
HT5 5’−CCCCATCATGAATTCCTATTGGACAGT
GATG−3’
上記HT8配列におけるスラッシュはHSA及びFcγRIIをコード化する
DNA間の連結部位を意味する。HT4におけるEcoRI制限部位を太字で示
す。終止コドンであるCTAはEcoRI部位の付近である。HT7及びHT5
はアンチセンス配列である。
作製された構築物を用いて、ピチア パストリス(Pichia pastoris)細胞に形
質転換した。発現したタンパク質についてウェスタンブロッティングを行った。
結果およびディスカッション
抗FcγRIIポリクローナル抗体を用いてウェスタンブロッティングを行っ
た。形質転換された酵母からの上清を抗体を用いて試験し、結果から、HSA:
FcγRIIがトランスフェクションされた細胞及び可溶性のFcγRIIをコ
ード化する構築物がトランスフェクションされた細胞からの上清のみが抗体と反
応したことが示された。コントロールは反応しなかった(結果は示さず)。
ウェスタンブロッティングにより、HSAの67kDにFcγRIIの細胞外
ドメインの30kDを足した予想された分子量である約100kDのタ
ンパク質が検出された。30kDの組換FcγRIIもまた抗体によって検出さ
れた。
産生された100kDのタンパク質は、免疫グロブリン被覆ビーズには結合し
たが、Fab’2被覆ビーズには結合しなかったことから、このタンパク質はI
gGのFc部分に対して特異性を有することが示された。また、SOEの産生物
の配列決定により、図12に示されるような融合タンパク質の予想された配列が
確認された。
FcγR細胞外ドメインが更なる分子に結合し、Fcレセプター活性は維持で
きることは明らかである。FcγRIIに密接に関連したFcレセプターは、特
にそのIg結合細胞外領域において、数多く存在するので、FcγRIIに関し
て記載されたタイプの修飾は、FcγRI、FcεRI、FcγRIII及びF
cαRI等の他のFcレセプターにも可能であることは明白である。これは、上
記レセンプターが細胞外領域において本質的に同数のアミノ酸を有する際に特に
いえると考えられる。さらに、FcεRI、FcγRII、FcαRI及びFc
εRIIIはすべて、免疫グロブリンの超科のメンバーである2つのジスルフィ
ド結合したドメイン中に編成される細胞外領域を有する。さらに、FcγRII
、FcγRIII、FcεRI及びFcαRIはすべて相同性がある。
また、融合タンパク質の非Fc結合部分は上記他の種のレセプターに結合する
ことも明らかである。融合タンパク質の「外来」成分は、免疫グロブリンが融合
タンパク質のFc結合部分と結合できないタイプである場合には、免疫グロブリ
ンであってもよい。例えば、FcγRIIの細胞外部分はIgMに結合してもま
たはFcεRIの細胞外部分はIgGに結合してもよい。他の外来タンパク質成
分としては、オボアルブミン、他のFcレセプター、補体、CD46、CD59
、DAF、CRI、CR3等の他の組換体由来タンパク質及びサイトカイン等の
炎症を調節するのに係わるタンパク質等のタンパク質および補体調節タンパク質
が挙げられる。また、レセプターは他の
高分子量単位に結合してもよい。
上記実験は組換手段を介して本発明によるポリペプチドの産生を含むが、本発
明によるポリペプチドを他の組換手段以外の手段によって得ることも可能である
。これは、産生する分子がFc結合能を維持するならばデキストラン、脂質、及
び炭水化物等の他の分子にタンパク質のFc結合部分を結合させるなどの化学的
な手段によって成されてもよい。
図9は、HSA−FcγRIIが免疫グロブリンに特異的であり、かつ抗レセ
プターモノクローナル抗体によって検出されるエピトープがそのままであるので
融合タンパク質は正しく折りたたまれていることを示すものである。また、これ
から、HSA−FcγRIIはマウスのIgG1(mγ1)、IgG2b(γ2
b)及びヒトのIgG(HAGG)に結合するが、Fc部分が欠損したIgG(
1302)には結合しないことも示される。実施例7
動物に投与されるHSA:FcγRII
図10aは、マウスの血液からのHSA:FcγRII融合タンパク質のクリ
アランスを示す曲線を示すものである。動物に、HSA:FcγRII融合タン
パク質または可溶性のFcγRIIのいずれかを注射し、循環による消失を測定
した。この結果、レセプターFcγRIIの半減期は約40分であり、HSA:
FcγRIIの半減期は140分である。また、HSA:FcγRIIは長持間
存在する、例えば、投与量の9%が8時間後に存在し、7%が24時間後に存在
した。これに対して、すべての可溶性のFcγRIIは排出された。
レセプターまたは融合タンパク質の尿中の出現をモニターした(図10b)。
可溶性のFcγRIIは迅速に出現するが、尿中には融合タンパク質は検出され
なかった、すなわち、融合タンパク質は排出されなかった。実施例8
サンプルからの免疫グロブリンの除去方法
FcRまたはこの変異型若しくは融合タンパク質を固体の支持体に結合させる
。本方法をプラズマフェレシスに使用する際には、固体の支持体は膜な
どである。基質は、本実施例などにおいては、シリカである。ヒトアルブミン(
天然)及びHSA:FcγRIIを2つの別個の調製物におけるシリカビーズに
カップリングさせた。
タンパク質のカップリングによる本発明による試薬の製造は標準的な方法によ
って達成される。本実施例においては、シリカビーズのヒドロキシル基を3−ア
ミノプロピルトリエトキシシラン(APTS)との交換反応を介してアミノ基で
置換した。これによりシリカビーズは活性化される。このタンパク質をカルボジ
イミド(EDC等)と混合し、活性化シリカビーズに添加した。タンパク質のカ
ルボシキル基をカルボジイミドと組み合わせることによって、O−アシルイソウ
レア誘導体を形成し、さらにこれをシリカビーズのアミノ基と反応させることに
より、尿素誘導体が除去されてアミドが形成する。
試薬の別の調製方法として、タンパク質及びカルボジイミドをN−ヒドロキシ
スクシンイミドの存在下で反応させ、より安定したアミノ−反応性中間体を形成
した。β−メルカプトエタノールを添加して、未反応のカルボジイミドを消失さ
せた。次に、タンパク質スクシンイミド誘導体を活性化シリカビーズに加えた。
シリカに結合したヒトアルブミン及び及びシリカに結合したHSA:FcγR
IIの調製を以下のようにして行った:
50mg NH2−シリカビーズ
0.9mg HSAまたはHSA−FcγRII
30mg EDC
を、PBS(pH6)(4ml)において、一晩、4℃でインキュベートした
。
表2から、シリカにHSAを結合(混合物中のトレーサー標識されたHSAの
使用により測定)後、非特異的に結合した材料を除去するためにはNaHCO3
による3回の洗浄が必要であったことが示される。実施例9
HSA:FcγRIIの免疫複合体への結合能
材料および方法
実施例7と同様。各チューブに、1mlのPBS及び0.5%BSAの一容積
において1.8μgのHSA:FcγRII融合タンパク質またはHSAと共役
した2μgのシリカマトリックスを入れた。300ngのヨウ素標識HAGGま
たは単量体IgGを添加した。さらに、シリカを含まないチューブをコントロー
ルとして、非特異的な消耗を測定した。サンプルを所定の時間に採取し、シリカ
ビーズの除去後の上清中に残存する標識HAGGまたは単量体Igの量を測定し
た。
本実施例において、本発明のタンパク質の一つである、HSA:FcγRII
の、HAGGによって示される免疫複合体との結合能を説明する。
本発明のタンパク質がある形態の免疫グロブリンには結合できるが他の形態に
は結合できないことは、治療上重要な意味を持つ。本発明のタンパク質は、単量
体Igとは相反して、免疫グロブリン複合体に特異的に結合することが分かった
。
HSA:FcγRIIへのHAGGの形態を有する免疫複合体の結合を試験し
た。これらの結果を表3に記載する。
表3に、シリカにおけるHSAへではなくHSA:FcγRIIa融合タンパ
ク質への凝集Ig(HAGG)の形態の免疫複合体の結合性を示す。
HAGGとHSA:FcγRIIとの相互作用を研究した。これを図11に示
す。
図11に示される結果から、HSAへの結合と比べるとHSA:FcγRII
への標識されたHAGGの結合には明らかな相違があることが示される。さらに
、これの結果から、非標識の拮抗剤HAGGの濃縮物を加えると、標識されたH
AGGの結合性はHSA−シリカで見られるレベルまで漸次阻害されることが示
される。実施例10
免疫複合体アッセイ
本発明のポリペプチドは免疫複合体の存在を検出するのに使用できる。本実施
例において、本発明のポリペプチドが免疫複合体を検出するのに使用でき、かつ
アッセイを最適化するような修飾が成されることは明らかである。
2方法が免疫複合体アッセイの開発に使用される。第一の方法は、組換可溶性
(rec.sFcγRII)を抗Fcレセプター抗体と組み合わせて使用するも
のである。第二の方法は、HSA融合タンパク質を使用するものである。
本実施例に記載されるアッセイはELISAフォーマットを使用するものであ
るが、原理は、化学発光、バイオセンサー、凝集反応等のいずれのフォーマット
にも適用される。
材料および方法
免疫複合体アッセイ(ICA)
8.26モノクローナル抗体によるマイクロタイターストリプウェルの被覆
8.26モノクローナル抗体(mAb)を炭酸塩緩衝液(pH10.0)にお
いて5μl/mlまで希釈した。希釈した8.26 mAbの50μlのアリコ
ートをヌンク マクシーソープ マイクロタイター ストリプウェル(Nunc max
isorp microtitre stripwell)中に入れ、4℃で12時間インキュベートした。
8.26 mAbで被覆したマイクロタイター ストリプウェル(microtitre st
ripwell)は、少なくとも2週間は安定である。
組換FcRIIの結合能
上記段階をアッセイ直前に行う。ストリプウェル(stripwell)をアッセイ前に
デカンテーションし、PBS/0.2%BSA(pH7.4)で2回洗浄した。
ウェルを200μlのPBS/2%BSA(pH7.4)を添加することにより
遮断した後、室温で30分間インキュベートした。これをデカンテーションし、
100μlの組換FcRIIを添加した(1ウェル当たり1μg/ml)。次に
、これを37℃で30分間インキュベートした。さらに、ウェルをPBS/0.
2%BSAで4回洗浄した。
ELISAアッセイ
標準物質(100μl)、コントロールまたは試験サンプルを各ウェルに添加
した。標準曲線を熱により凝集したIgGをPBSで希釈することによって作製
した。これを37℃で30分間インキュベートした後、PBS/0.2%BSA
で4回洗浄した。ヤギ抗ヒトIgGアルカリホスファターゼ結合体(100μl
)(シグマ(Sigma))の作業希釈液を添加した後、室温で1時間インキュベート
し、さらに、PBS/0.2%BSAで4回洗浄した。p−ニトロフェニルホス
フェート基質(シグマ104ホスファターゼタブレット(Sigma 104 phosphatas
e tablet):−2.5mg/ml炭酸塩緩衝液)(100μl)を添加し、これ
を暗室で室温で30分間インキュベートた後、OD450nmを読みとった。注
意:サンプルについて、8.26
mAbをマウスのIgG2b(シグマ(Sigma)MOPC−141)に置換するこ
とによって抗マウスの反応性を試験した。)
図13は、ELISAプレートをrec.sFcγRII(図中では、rsF
cγRIIとして表す)でまたはHSA:FcγRII融合タンパク質(図中で
は、rsHSA−FcRとして表す)で被覆したことを示すものである。凝集し
た免疫グロブリン(HAGG)を滴下し、結合した免疫グロブリンをHRP結合
抗ヒトIgを用いて検出した。
標準的なELISAプレートへのタンパク質の結合プロトコルを用いることに
よって、Fc結合能を有するタンパク質の表面との「間隔をあける(spacing)」
ことによりタンパク質の活性が向上することは明らかである。このことは、本発
明のポリペプチドに結合する抗体を用いることによってまたは該ポリペプチドの
細胞外ドメインをタンパク質やデキストラン等の他の分子に結合させることによ
ってなどの標準的な方法によって達成できる。スペーザーとして有用な抗体は、
抗体8.2または8.26である。HAGGの形態を有するまたはリウマチ性関
節炎の患者の血清中の免疫複合体の検出はこれらの方法を使用することによって
改善される。下記表IIIから、抗FcR抗体に結合したrec.sFcγRI
Iは単量体IgよりもHAGGに優先的に結合する(OD450nmで測定)こ
とが示される。単量体Igは10〜20%の凝集物が混在する。
これに関連して、図14は、ELISAプレートを抗FcγRII抗体8.2
でさらにrec.sFcγRII(A)でまたはrec.sFcγRII(B)
でのいずれかで被覆したことを示すものである。BSAで遮断した後、リウマチ
性関節炎の患者からの血清を加え、結合した免疫複合体をHRP結合抗ヒトIg
を用いて分解した。上記方法のいずれかを用いることにより、免疫複合体が検出
できる。明らかに、上記方法に関する変動が使用される。実施例11
イムノホレシス装置および使用方法
免疫複合体を、例えば、プラズマフェレシス装置において固体支持体に結合さ
せた本発明のポリペプチドを用いることにより循環から除去する。このようなポ
リペプチドのシリカ等の固体支持体への結合は、HSA:FcγRIIに関して
前記したのと同様である。
HSA:FcγRIIタンパク質が機能性であることを示すために、下記試験
を行った。免疫複合体(HAGGの形態を有する)がHSA:FcγRIIには
結合するがHSAまたはHSA:シリカには結合しないことは示さ
れた。図11、14、15及び16を参照。図14は、125Iで標識されたHA
GG(A)または単量体Ig(B)を室温で20時間までHSA:FcγRII
−シリカまたはHSA−シリカと共にインキュベートしたことを示すものである
。サンプルを様々な時間で抜き、シリカ複合体の除去後に残存するHAGGまた
はIgを測定した。図15は、免疫複合体はHSA−シリカ樹脂と共にではなく
HSA:FcγRIIタンパク質−シリカ樹脂と共にインキュベーションされる
ことにより液体から消失することを示すものである。また、我々は、単量体免疫
グロブリンはHSA−FcγRIIに結合しないことが分かった。これに関して
は、単量体放射線標識免疫複合体はHSA−FcγRIIシリカにまたはHSA
−シリカに結合しないことを示す図16を参照。実施例12
Fcレセプターに対するアンタゴニストの発見を目的とする
アッセイ
無細胞系をFcレセプター活性を阻害する成分の存在を検出するために考案し
た。本実施例では、FcγRIIを用いたが、本ストラテジーは他のFcレセプ
ターにも同様にして使用できる。
本発明の原理は、既知のあるいは不明の化合物を用いて、免疫複合体へのFc
結合能を有するポリペプチドの結合を阻害することを試みるものである。本発明
のポリペプチドは直接的にまたは間接的にのいずれで標識されてもよい。これら
のポリペプチドはrec.sFcγRIIまたはHSA:FcγRIIのいずれ
であってもよい。記載されたフォーマットでは、免疫複合体を標準的なインキュ
ベーション条件下で表面に結合させるELISAアッセイを用いる。本発明のポ
リペプチドを、リポーティング酵素(reporting enzyme)である、西洋ワサビのペ
ルオキシダーゼ(HRP)で直接標識し、推定上のアンタゴニストと混合する。
この混合物を免疫複合体に加えると、免疫複合体への本発明のポリペプチドの結
合の阻害によって、HRP−基質を標準ELISAI回により加える際の発色が
抑制される。
いずれのリポーティング物質(reporting substance)、例えば、放射性ヨウ素
、アルカリホスファターゼ等の他の酵素、レセプターを予め結合させたビーズま
たは赤血球、蛍光物質(flurogenic substance)などを使用してもよいことに留意
することは重要である。本フォーマットでは、HRPをHSA−FcγRIIに
結合させる。我々の結果から、HRPを標識として使用する際には、Fc結合活
性を維持するためにスペーサーを使用する必要があることが示された。
間接的なアッセイの使用を必要とする別のストラテジーを使用してもよい。こ
のようなアッセイによると、本発明のポリペプチドを推定上の阻害剤の混合物に
添加した後、この混合物を表面に結合する免疫複合体に添加する。インキュベー
ション期間後、表面を洗浄し、結合するFcレセプターを抗レセプター抗体を用
いて検出する。ポリペプチドのFc結合能のアンタゴニストは免疫複合体への結
合を阻害し、潜在的なシグナルを抑制する。
詳しくは、下記プロトコルを使用した。HAGGプレートを、37℃で16時
間、被覆緩衝液(0.5M 炭酸塩/重炭酸塩、pH9.6)において25μg
/mlで50μl/ウェルのHAGGをインキュベートすることによって調製し
た。幾つかのウェルはネガティブコントロールとしてHAGGを含ませなかった
。表面への非特異的な結合を防止するために、プレートのウェルを37℃で3時
間、1%(w/v)ウシ血清アルブミンを含むmPBSで処理した。次に、ウェ
ルをmPBSに浸漬することにより3回洗浄した。可溶性FcγRIIを含有す
るサンプルを必要に応じて希釈し、30μl容加えた。rec.sFcγRII
の標準物質の希釈液を作製し、標準曲線を作成するために30μl容加えた。最
後に、30μlの検出試薬(アマシャム(Amersham)(#9310)抗マウスI
gFab’2断片HRP結合体の1/1000希釈液から構成される)及び0.
6μg/μlの抗FcγRII抗体8.2(1%BSA加PBSにおいて)を添
加し、37℃で1時間インキュベートした。次に、プレートをPBST中に8回
浸漬することに
より洗浄した。さらに、ABTS試薬を加え(100ml)、405nmで読み
とった。
図17のデータより、哺乳動物細胞(CMOrsFcR)中でまたは細菌(C
2rsFcγR2)中でまたは細菌のマルトース結合タンパク質との融合タンパ
ク質(C2MBPrsFcR)として産生されるrec.sFcγRIIが上記
アッセイにおいて使用できることが示される。アッセイの特異性が、単一のFc
γRIIドメイン(d2)からなる分子は免疫複合体への検出可能な結合を示さ
ないという事実によって示される。
両実施例において、他のレセプターを、IgE及びFcεR、IgM及びFc
μR若しくはFcγRIII若しくはFcγRII及びIgG複合体等の他の免
疫グロブリンクラス及び免疫複合体への結合を検出するために使用してもよいこ
とに留意すべきである。
我々は、上記方法及びその変異法によりFcγRIIと免疫複合体との相互作
用を阻害する化合物を有効に検出できることを示唆できた。
詳しくは、下記方法を使用した。HAGGプレートを、37℃で16時間被覆
緩衝液中で25μg/mlで50μl/ウェルをインキュベートすることにより
作製した。また、HAGGを含まないネガティブコントロールを調製した。表面
への非特異的な結合を防止するために、プレートのウェルを、37℃で3時間、
0.5%(w/v)のツィーン20(ライブラリーのスクリーニング用)または
1%(w/v)のウシ血清アルブミンを含むmPBSで処理した。
rec.sFcγRIIの結合の阻害に関する特異性試験を下記のようにして
行った。ウェルを、0.05%(w/v)のツィーン20を含むmPBS(PB
ST)中に浸漬することにより3回洗浄した。25μl容のrec.sFcγR
II(rec.sFcγRIIをコード化するDNAでトランスフェクションさ
れたCHO細胞の上清から精製した)を、45μg/μlの濃度で始めて、連続
して1:2希釈した。HRP結合HSA:FcγR
II融合タンパク質(1:100希釈で25μl)を加えた。これは、約4μg
/μlまたは40nM wrt rsHSA−FcγRII融合HRP−結合体
に相当する。これを37℃で1時間インキュベートした。
Fc結合能の阻害に関する化合物または生物学的調製物のライブラリーのスク
リーニングを以下のようにして行った。ウェルを0.05%(w/v)のツィー
ン20を含むmPBS(PBST)中に浸漬することにより3回洗浄した。化合
物を含む溶液(2μl)をHRP結合HSA:FcγRII融合タンパク質を含
む溶液(1:200希釈で100μl)に加えた。これは、約4μg/μlまた
は40nM wrt rsHSA−FcγRII融合HRP−結合体に相当する
。これを37℃で1時間インキュベートした後、90μlを上記HAGG含有プ
レートに移した。
Fc結合能の阻害に関して生物学的調製物またはライブラリーをスクリーニン
グした(第二のバージョン)。ウェルを上記と同様にしてPBSに浸漬すること
によって洗浄した。1.0%BSA(w/v)を含む100μlのmPBSにお
ける溶液(患者血清または化合物のライブラリー)の連続希釈液を37℃で1時
間インキュベートし、プレートをPBSで4回洗浄した後、HRP結合HSA:
FγRII融合タンパク質を添加した(1:100の希釈で50μl)。これは
、約8μg/μlまたは80nM wrtrsHSA−FcγRII融合タンパ
ク質HRP−結合体に相当する。これを37℃で1時間インキュベートした。次
に、これらのプレートをPBSTに5回浸漬することにより洗浄した。ABTS
試薬(100μl)を加え、これをA405nmで読みとった。
データ(示さず)を、プレート表面に結合した免疫複合体へのHRP結合HS
A:FcγRIIタンパク質の結合を特異的に阻害するrec.sFcγRII
を用いることによって得た。アッセイに添加するrec.sFcγRIIの量を
増やすと、HAGGへのHRP−HSA:FcγRIIの結合量が減少した。こ
れらの結果から、免疫複合体へのHRP−HSA:Fcγ
RII融合タンパク質の結合は特異的であり、FcγRII及び免疫複合体間の
相互作用の阻害剤を検出できることが示された。他の実験(図18)では、Fc
γRII:免疫複合体の相互作用の阻害剤の存在を患者の血清において同定した
。上記場合では、血清をHAGG被覆ELISAプレートに滴定し、HRP−H
SA:FcγRII融合タンパク質を添加した。明らかに、リウマチ性因子を含
む患者の血清は免疫複合体へのHRP−HSA:FcγRII融合タンパク質の
結合を阻害する。これは、正常な血清(カラム15)を用いて得られる吸光度と
比較した際の吸光度の減少によって示される。
他の実験において、HRP−HSA:FcγRIIを用いて、有機化合物のラ
イブラリーをスクリーニングした。このライブラリーは、シモン(Simon)ら、P
NAS、89:9267(1992年)「ペプトイズ ア モレキュラー アプ
ローチ ツー ドラッグ ディスカバリー(Peptoids A Molecular Approach
to Drug Discovery)」に記載されるのと同様の標準的な化学法によって製造
した。これにより、合成化合物の一団を製造し、個々の化合物(または化合物の
セット)の免疫グロブリンへのHRP−HSA:FcγRIIの結合の阻害能を
、ライブラリー成分(化合物)を予めHRP−HSA:FcγRII融合タンパ
ク質または本発明の他のポリペプチドとインキュベートすることにより、評価し
た。これらのポリペプチドは、IgEまたはIgA等の他のクラスの免疫グロブ
リンに特異的であってもよい。HRP−HSA:FcγRIIを化合物と混合し
、HAGG(または免疫複合体)への結合の効果を上記したようにして測定した
。結合の阻害性をコントロール(阻害剤なし)に比べた際の吸光度の減少によっ
て表す。このような実験の結果を図19に示す。これは、上記したようにしてス
クリーニングされたジペプトイドライブラリーを示すものである。得られた結果
のタイプの一例としては、最大の結合性は0.619単位の吸光度(540nm
)によって示す。化合物TC1の存在下では、この吸光度値はバックグラウンド
値である
0.304と同等である0.3085にまで落ちる。TC1はHRPポリペプチ
ド結合体の免疫複合体との相互作用を完全に阻害する。加えて、化合物によって
(例えば、(RB1))は、明らかに、相互作用を阻害しないものもある。結合
体のRB1とのインキュベーションは、阻害剤の不存在下でのHAGGへの結合
体の結合性によって得られる最大の結合性(0.619)と同等の0.597の
吸光度が得られたので、相互作用を阻害しない。これらの機能的なアッセイは、
Fcレセプターへの結合によるまたはFcレセプターが結合する部位における免
疫複合体(IgA、IgE、IgG、IgM、IgD)への結合によるFcレセ
プター機能の阻害剤に関するスクリーニングに使用できることに留意すべきであ
る。この第二のタイプのアンタゴニストは、Fcレセプター機能のアンタゴニス
トの分類上の定義に合わないが、本発明がFcレセプター機能の阻害能に関する
化合物の試験方法およびこのような方法によって同定されるアンタゴニスト自体
に関するものである限り、本発明の概念に含まれる。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1996年7月15日
【補正内容】
図18は、リウマチ性因子及び血清によるHRP標識rsHSA−FcγRI
Iの阻害を示すグラフである。HRP−HSA:FcγRII ELISAアッ
セイにおける患者の血清の滴定を示すものである。患者の血清(カラム1〜14
)を、HRP融合タンパク質結合体(conjugate)を添加する前に、Hagg被覆
プレート上に滴定する。正常な血清の滴定もまた示す(カラム15)。正常な血
清では活性の阻害は示されなかったが、カラム12を除く全ての血清はHagg
に対するFcレセプターの結合を顕著に阻害した。
図19は、アンタゴニスト化合物に関する試験における様々なペプトイド(pep
tiod)の名称及びその吸光度を示すものである。好ましい態様の詳細な説明
本発明は、ポリペプチドがIgGに結合でき、および単一の変更が存在し、該
変更がドメイン2の154から161番目の残基以外の位置で起こる際に、該変
更により天然のFcレセプターに比べて特性が向上するような1以上のアミノ酸
の付加、欠損または置換によりポリペプチドが上記天然のレセプターに比べて変
更される、Fc結合能を有するポリペプチドに関するものである。
「Fc結合能を有するポリペプチド」ということばは、免疫グロブリンのFc
領域に結合できる天然のまたは合成アミノ酸からなるポリペプチドまたはタンパ
ク質を意味するものである。免疫グロブリンは、IgG、IgE、IgA、Ig
MまたはIgDのいずれのクラスものであってもよい。また、免疫グロブリンは
、ヒト、ラット、マウス、ウシ、ヒツジ、ヤギ及びニワトリ、ダチョウやエミュ
ーを含む、他の家畜動物等いずれの動物由来であってもよい。
「天然のFcレセプターに比べて変更される」ということばは、ポリペプチド
が天然のFcレセプターとは異なることを意味する。このような相違としては、
免疫グロブリンの結合能の相違、治療能の相違、アミノ酸組成また
は溶解性などが挙げられる。
「向上される特性」ということばは、天然のFcレセプターに比べて望ましい
特性が
(図中では、rsHSA−FcRとして表す)で被覆したことを示すものである
。凝集した免疫グロブリン(HAGG)を滴下し、結合した免疫グロブリンをH
RP結合抗ヒトIgを用いて検出した。
標準的なELISAプレートへのタンパク質の結合プロトコルを用いることに
よって、Fc結合能を有するタンパク質の表面との「間隔をあける(spacing)」
ことによりタンパク質の活性が向上することは明らかである。このことは、本発
明のポリペプチドに結合する抗体を用いることによってまたは該ポリペプチドの
細胞外ドメインをタンパク質やデキストラン等の他の分子に結合させることによ
ってなどの標準的な方法によって達成できる。スペーザーとして有用な抗体は、
抗体8.2または8.26である。HAGGの形態を有するまたはリウマチ性関
節炎の患者の血清中の免疫複合体の検出はこれらの方法を使用することによって
改善される。下記表4から、抗FcR抗体に結合したrec.sFcγRIIは
単量体IgよりもHAGGに優先的に結合する(OD450nmで測定)ことが
示される。単量体Igは10〜20%の凝集物が混在する。
これに関連して、図14は、ELISAプレートを抗FcγRII抗体8.2
でさらにrec.sFcγRII(A)でまたはrec.sFcγRII(B)
でのいずれかで被覆したことを示すものである。BSAで遮断した後、リウマチ
性関節炎の患者からの血清を加え、
10.該アミノ酸がアラニンに変更される、請求の範囲第9項に記載のポリペプ
チド。
11.Asp133および/またはPro134がアラニンに変更される、請求の範囲
第10項に記載のポリペプチド。
12.該変更が第二のドメインにおいて天然のFcレセプターに比べて130番
目のアミノ酸の位置で起こり、かつ該ポリペプチドがIgGに結合可能である、
請求の範囲第8項に記載のポリペプチド。
13.該アミノ酸がアラニンに変更される、請求の範囲第12項に記載のポリペ
プチド。
14.Trp130がアラニンに変更される、請求の範囲第12項に記載のポリペ
プチド。
15.目的とするクラスの天然のFcレセプターに比べて免疫グロブリン結合能
が抑制される、請求の範囲第4項に記載のポリペプチド。
16.該ポリペプチドが、ポリペプチドの大きさが天然のFcレセプターより大
きくなるように該天然のFcレセプターに比べて変更される、請求の範囲第1項
に記載のポリペプチド。
17.可溶性である、請求の範囲第1から16項のいずれかに記載のポリペプチ
ド。
18.該大きさが67から1000kDである、請求の範囲第16項または第1
7項に記載のポリペプチド。
19.Fc結合成分及び融合成分からなる融合タンパク質の形態を有する請求の
範囲第16項に記載のポリペプチド。
20.該Fc結合成分が天然のFcレセプターの細胞外領域、該天然のFcレセ
プターの一部または請求の範囲第1から8項のいずれかに記載のポリペプチドで
ある、請求の範囲第19項に記載のポリペプチド。
21.該融合成分がヒトの血清アルブミン、Fcレセプター、補体調節分子、補
体レセプター、サイトカインレセプター、デキストラン、炭水化物、
ポリエチレングリコール及び合成ポリマーからなる群より選ばれる薬理学上許容
されるタンパク質または他の分子である、請求の範囲第20項に記載のポリペプ
チド。
22.HSA:FcγRIIからなる、
クションされる宿主細胞。
57.ポリペプチドがIgGに結合でき、および単一の変更が存在し、該変更が
ドメイン2の154から161番目の残基以外の位置で起こる際に、ポリペプチ
ドの免疫グロブリン結合能に影響を及ぼすアミノ酸に特異的な1以上のコドンの
付加、欠損および/または置換により該ポリペプチドをコード化する核酸分子を
製造することからなる、該ポリペプチドが天然のFcレセプターに比べて該分子
によってコード化される1以上のアミノ酸の付加、欠損および/または置換によ
り該天然のFcレセプターに比べて変更され、該変更によって該天然のレセプタ
ーに比べて特性が向上するものである、Fc結合能を有するポリペプチドをコー
ド化する核酸分子の作製方法。
58.請求の範囲第56項に記載の宿主細胞における請求の範囲第1から25項
のいずれかに記載のポリペプチドの発現を得ることからなる、請求の範囲第1か
ら25項のいずれかに記載のポリペプチドの製造方法。
59.請求の範囲第1から25項のいずれかに記載のポリペプチドまたは単離さ
れたFcレセプター若しくはその一部及びサンプル中に存在する免疫グロブリン
が結合するのに十分な時間及び条件下で、サンプルを該ポリペプチドまたはFc
レセプター若しくはその一部と接触させ、結合したポリペプチド−免疫グロブリ
ン、結合したFcレセプター−免疫グロブリンまたは結合したFcレセプターの
一部−免疫グロブリンの存在を検出するおよび/またはその量を測定することか
らなる、サンプルにおける免疫グロブリンの存在および/または量の決定方法。
60.区画化された形態において請求の範囲第1から25項のいずれかに記載の
ポリペプチドまたは単離されたFcレセプター若しくはその一部を入れるために
使用される第一のコンパートメントおよび検出器手段を含むために使用される少
なくとも1つの他のコンパートメントからなる、サンプルにおける、免疫複合体
の検出用を含む、免疫グロブリンの検出用キット。
61.該ポリペプチドがIgGまたはIgEに特異的である、
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1996年8月23日
【補正内容】
請求の範囲
1.ポリペプチドが天然のFcレセプターに比べて1以上のアミノ酸の付加、欠
損および/または置換により該天然のレセプターに比べて変更され、ポリペプチ
ドがIgGに結合でき、および単一の変更が存在し、該変更がドメイン2の15
4から161番目の残基以外の位置で起こる際に、該変更によって該天然のレセ
プターに比べて特性が向上するものである、Fc結合能を有するポリペプチド。
2.Fc結合能の変化が免疫グロブリン結合能に影響を与える1以上のアミノ酸
の変更によって生じるものである、Fc結合能が変化するFcレセプター様分子
である請求の範囲第1項に記載のポリペプチド。
3.IgG、IgE、IgA、IgMまたはIgDに結合可能である、請求の範
囲第1項または第2項に記載のポリペプチド。
4.該変更が第一および/または第二のドメイン中である、請求の範囲第3項に
記載のポリペプチド。
5.該変更がドメイン1のA/B、C/C’および/またはE/Fループおよび
/またはG/Aストランド中であり、該ポリペプチドがIgGまたはIgEに結
合可能である、請求の範囲第4項に記載のポリペプチド。
6.該変更がドメイン2のB/C、C’/Eおよび/またはF/Gループ中であ
り、該ポリペプチドがIgEに結合可能である、請求の範囲第4項に記載のポリ
ペプチド。
7.該変更がドメイン2のB/Cおよび/またはC’/Eループ中であり、該ポ
リペプチドがIgGに結合可能である、請求の範囲第4項に記載のポリペプチド
。
8.目的とするクラスの天然のFcレセプターに比べてFc結合能が向上する、
請求の範囲第5項または第6項に記載のポリペプチド。
9.該変更が第二のドメインにおいて天然のFcレセプターに比べて133
または134番目のアミノ酸の位置でおよび必要であれば158、159および
/または160番目で起こり、さらに該ポリペプチドがIgEに結合可能である
、請求の範囲第8項に記載のポリペプチド。
請求の範囲第21項に記載のポリペプチド。
23.検出可能な成分からなる、請求の範囲第1項に記載のポリペプチド。
24.該検出可能な成分が直接的なまたは間接的な標識からなる、請求の範囲第
23項に記載のポリペプチド。
25.該検出可能な成分が放射線標識、化学発光標識、色素体標識、標識抗体、
または西洋ワサビのペルオキシダーゼやアルカリホスファターゼ等の検出可能な
酵素からなる、請求の範囲第24項に記載のポリペプチド。
26.化合物及びFc結合能を有するポリペプチドまたはFcレセプター若しく
はその一部が結合できるのに十分な条件下及び時間、該化合物を該ポリペプチド
またはFcレセプター若しくはその一部と接触させ、結合が起こるかどうかを決
定することからなる、Fcレセプターのアンタゴニストとしての作用能に関する
化合物の試験方法。
27.請求の範囲第1から8、15、16及び33項のいずれかに記載のポリペ
プチドが使用される、請求の範囲第26項に記載の方法。
28.該化合物がIgGまたはIgEとの結合の阻害能に関して試験されるもの
である、請求の範囲第26項に記載の方法。
29.請求の範囲第27項に記載の方法によって単離されるアンタゴニスト化合
物。
30.該化合物がIgGまたはIgE Fcレセプターの第一のドメインのA/
B、C/C’および/またはE/Fループおよび/または第二のドメインのB/
C、C’/Eおよび/またはF/Gループおよび/またはG/Aストランドの機
能を遮断できるものである、請求の範囲第29項に記載のアンタゴニスト。
31.FcレセプターではなくIgに結合することによって作用する、請求の範
囲第29項に記載のアンタゴニスト。
32.請求の範囲第1から22項のいずれかに記載のポリペプチドまたは請求の
範囲第29項に記載のアンタゴニストおよび製薬上適当な担体または希
釈剤からなる薬剤組成物。
33.ポリペプチドが天然のFcレセプターに比べて核酸によってコード化され
るアミノ酸の付加、欠損および/または置換により該天然のレセプターに比べて
変更され、ポリペプチドがIgGに結合でき、および単一の変更が存在し、該変
更がドメイン2の154から161番目の残基以外の位置で起こる際に、該変更
によって該天然のレセプターに比べて特性が向上するものである、Fc結合能を
有するポリペプチドをコード化する単離された核酸分子。
34.免疫グロブリン結合能の変化が免疫グロブリン結合能に影響を与える1以
上のアミノ酸残基の変更によって生じるものである、免疫グロブリン結合能が変
化するFcレセプター様分子をコード化する請求の範囲第33項に記載の分子。
35.該コード化されるポリペプチドがIgG、IgE、IgA、IgMまたは
IgDに結合する、請求の範囲第33項または第34項に記載の分子。
36.可溶性のポリペプチドをコード化する、請求の範囲第33項に記載の分子
。
37.該コード化されるポリペプチドがドメイン1のA/B、C/C’および/
またはE/Fループおよび/またはG/Aストランドにおける変更を有するもの
であり、該ポリペプチドがIgGまたはIgEに結合可能である、請求の範囲第
34項に記載の分子。
38.該コード化されるポリペプチドがドメイン2のB/C、C’/Eおよび/
またはF/Gループにおける変更を有するものであり、該ポリペプチドがIgE
に結合可能である、請求の範囲第34項に記載の分子。
39.該変更がドメイン2のB/Cおよび/またはC’/Eループ中であり、該
ポリペプチドがIgGに結合可能である、請求の範囲第34項に記載の分子。
40.目的とするクラスの天然のFcレセプターに比べて免疫グロブリン結
合能が向上するポリペプチドをコード化する、請求の範囲第34項に記載の分子
。
41.該変更が第二のドメインにおいて天然のFcレセプターに比べて133ま
たは134番目のアミノ酸の位置でおよび必要であれば158、159および/
または160番目で起こり、さらに該ポリペプチドがIgEに結合可能である、
請求の範囲第37項に記載の分子。
42.該変更されるアミノ酸がアラニンに変更される、請求の範囲第41項に記
載の分子。
43.Asp133および/またはPro134がアラニンに変更される、請求の範囲
第42項に記載の分子。
44.該変更が第二のドメインにおいて130番目のアミノ酸の位置で起こる、
請求の範囲第38項に記載の分子。
45.該変更されるアミノ酸がアラニンに変更される、請求の範囲第44項に記
載の分子。
46.Trp130がアラニンに変更される、請求の範囲第45項に記載の分子。
47.天然のFcレセプターに比べて免疫グロブリン結合能が抑制されるポリペ
プチドをコード化する請求の範囲第34項に記載の分子。
48.該ポリペプチドが、ポリペプチドの大きさが天然のFcレセプターより大
きくなるように該天然のFcレセプターに比べて変更される、請求の範囲第33
項に記載の分子。
49.該ポリペプチドが可溶性である、請求の範囲第33から35および37か
ら48項のいずれかに記載の分子。
50.該ポリペプチドの大きさが67から1000kDである、請求の範囲第4
8項または第49項に記載の分子。
51.該ポリペプチドがFc結合成分及び融合成分からなる融合タンパク質であ
る、請求の範囲第48項に記載の分子。
52.該Fc結合成分が天然のFcレセプターに比べてFc結合能が向上するポ
リペプチドをコード化するヌクレオチド配列によってまたは天然のFcレセプタ
ー若しくはその一部をコード化するヌクレオチド配列によって形成される、請求
の範囲第51項に記載の分子。
53.該コード化される融合成分がヒトの血清アルブミン、Fcレセプター、補
体レセプター、補体調節タンパク質及びサイトカインレセプターからなる群より
選ばれる薬理学上許容されるタンパク質である、請求の範囲第52項に記載の分
子。
54.HSA:FcγRIIをコード化する構築物である請求の範囲第53項に
記載の分子。
55.請求の範囲第33から54項のいずれかに記載の分子からなるベクター。
56.請求の範囲第55項に記載のベクターが形質転換またはトランスフェ
請求の範囲第59項に記載の方法または請求の範囲第60項に記載のキット。
62.サンプル中に存在する免疫グロブリンが請求の範囲第1から22項のいず
れかに記載のポリペプチドまたは単離されたFcレセプター若しくはその一部と
複合体を形成するのに十分な時間及び条件下で、サンプルを該ポリペプチドまた
はFcレセプター若しくはその一部と接触させ、該複合体をサンプルの残りから
分離することからなる、サンプルからの免疫グロブリンの除去方法。
63.患者から体液を採取し、請求の範囲第1から22項のいずれかに記載のポ
リペプチドまたは単離されたFcレセプター若しくはその一部を免疫グロブリン
に結合させるのに十分な時間及び条件下で、該体液を該ポリペプチドまたはFc
レセプター若しくはその一部と接触させ、該結合した免疫グロブリンを体液から
除去し、該体液を患者に置換することからなる、体液からの免疫グロブリンの除
去方法。
64.該除去される免疫グロブリンが免疫グロブリン複合体である、請求の範囲
第62項または第63項に記載の方法。
65.該使用されるポリペプチドがIgGまたはIgEに特異的である、請求の
範囲第64項に記載の方法。
66.有効量の請求の範囲第1から22項のいずれかに記載のポリペプチドを患
者に投与することからなる、過剰な免疫グロブリンが病気の原因因子として含ま
れる病気の処置方法。
【手続補正書】
【提出日】1997年3月17日
【補正内容】
(1)明細書第36頁第11〜26行
「NR1,5’−……6)。」を、以下のとおり補正する。
「NR1、5’−TACGAATTCCTATGGAGACCCAAATGTC
TC−3’(ヌクレオチド位置10−30);
EG5、5’−TTTGTCGACCACATGGCATAACG−3’(96
7−981);
CHM09、5’−CACATCCCAGTTCCTCCAACCGTGGCA
CCTCAGCATC−3’(419−437及びFcεRIa鎖の442−4
62番目のヌクレオチド);
CHM10、5’−AGGAACTGGGATGTGTACAAGGTCACA
TTCTTCCAG−3’(462−487及びFcεRIa鎖の446−46
2);
PM11、5’−GTGGTTCTCATACCAGAATTTCTGGGGA
TTTTCC−3’(473−490及びFcεRIa鎖の492−506);
PM12、5’−CTGGTATGAGAACCACACCTTCTCCATC
CCAC−3’(516−531及びFcεRIa鎖の491−506)。」
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),AU,CA,JP,SG,U
S
(72)発明者 ホガース,フィリップ,マーク
オーストラリア国,ビクトリア州 3016,
ウィリアムズタウン,ステュワート スト
リート 23
(72)発明者 マッケンジー,イアン,ファークハー,キ
ャンベル
オーストラリア国,ビクトリア州 3056,
ブルスウィック,ブルンズウィック ロー
ド 359
(72)発明者 ベイカー,ロス,イアン
オーストラリア国,ウェスタン オースト
ラリア州 6076,グースベリー ヒル,ジ
ョン ファラント ドライブ 16
(72)発明者 ヒューレット,マーク,ダレン
オーストラリア国,ビクトリア州 3036,
カイラー,メルセデス ストリート 17
(72)発明者 ポウェル,マリー,シャーン
オーストラリア国,ビクトリア州 3802,
エンデュヴァー ヒルズ,ギャスレイ コ
ート 7
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.ポリペプチドが天然のFcレセプターに比べて1以上のアミノ酸の付加、欠 損および/または置換により該天然のレセプターに比べて変更され、該変更によ って該天然のレセプターに比べて特性が向上するものである、Fc結合能を有す るポリペプチド。 2.Fc結合能の変化が免疫グロブリン結合能に影響を与える1以上のアミノ酸 の変更によって生じるものである、該Fc結合能が変化するFcレセプター様分 子である請求の範囲第1項に記載のポリペプチド。 3.IgG、IgE、IgA、IgMまたはIgDに結合可能である、請求の範 囲第1項または第2項に記載のポリペプチド。 4.該変更が第一および/または第二のドメイン中である、請求の範囲第3項に 記載のポリペプチド。 5.該変更がドメイン1のA/B、C/C’および/またはE/Fループおよび /またはG/Aストランド中であり、該ポリペプチドがIgGまたはIgEに結 合可能である、請求の範囲第4項に記載のポリペプチド。 6.該変更がドメイン2のB/C、C’/Eおよび/またはF/Gループ中であ り、該ポリペプチドがIgGまたはIgEに結合可能である、請求の範囲第4項 に記載のポリペプチド。 7.目的とするクラスの天然のFcレセプターに比べてFc結合能が向上する、 請求の範囲第5項または第6項に記載のポリペプチド。 8.該変更が第一のドメインにおいて天然のFcレセプターに比べて133、1 34、158、159および/または160番目のアミノ酸の位置で起こる、請 求の範囲第7項に記載のポリペプチド。 9.該アミノ酸がアラニンに変更される、請求の範囲第8項に記載のポリペプチ ド。 10.Asp133および/またはPro134がアラニンに変更される、請求の範 囲第9項に記載のポリペプチド。 11.該変更が第二のドメインにおいて天然のFcレセプターに比べて130、 156、160および/または161番目のアミノ酸の位置で起こる、請求の範 囲第7項に記載のポリペプチド。 12.該アミノ酸がアラニンに変更される、請求の範囲第11項に記載のポリペ プチド。 13.Trp130、Trp156、Tyr160および/またはGlu161がアラニンに 変更される、請求の範囲第12項に記載のポリペプチド。 14.目的とするクラスの天然のFcレセプターに比べて免疫グロブリン結合能 が抑制される、請求の範囲第4項に記載のポリペプチド。 15.該ポリペプチドが、ポリペプチドの大きさが天然のFcレセプターより大 きくなるように該天然のFcレセプターに比べて変更される、請求の範囲第1項 に記載のポリペプチド。 16.可溶性である、請求の範囲第1から15項のいずれかに記載のポリペプチ ド。 17.該大きさが67から1000kDである、請求の範囲第15項または第1 6項に記載のポリペプチド。 18.Fc結合成分及び融合成分からなる融合タンパク質の形態を有する請求の 範囲第15項に記載のポリペプチド。 19.該Fc結合成分が天然のFcレセプターの細胞外領域、該天然のFcレセ プターの一部または請求の範囲第1から7項のいずれかに記載のポリペプチドで ある、請求の範囲第18項に記載のポリペプチド。 20.該融合成分がヒトの血清アルブミン、Fcレセプター、補体調節分子、補 体レセプター、サイトカインレセプター、デキストラン、炭水化物、ポリエチレ ングリコール及び合成ポリマーからなる群より選ばれる薬理学上許容されるタン パク質または他の分子である、請求の範囲第19項に記載のポリペプチド。 21.HSA:FcγRIIからなる、請求の範囲第20項に記載のポリペプチ ド。 22.検出可能な成分からなる、請求の範囲第1項に記載のポリペプチド。 23.該検出可能な成分が直接的なまたは間接的な標識からなる、請求の範囲第 22項に記載のポリペプチド。 24.該検出可能な成分が放射線標識、化学発光標識、色素体標識、標識抗体、 または西洋ワサビのペルオキシダーゼやアルカリホスファターゼ等の検出可能な 酵素からなる、請求の範囲第23項に記載のポリペプチド。 25.化合物及びFc結合能を有するポリペプチドまたはFcレセプター若しく はその一部が結合できるのに十分な条件下及び時間、該化合物を該ポリペプチド またはFcレセプター若しくはその一部と接触させ、結合が起こるかどうかを決 定することからなる、Fcレセプターのアンタゴニストとしての作用能に関する 化合物の試験方法。 26.該ポリペプチドが請求の範囲第1から7、14、15及び22項のいずれ かに記載されるものである、請求の範囲第25項に記載の方法。 27.該化合物がIgGまたはIgEとの結合の阻害能に関して試験されるもの である、請求の範囲第25項に記載の方法。 28.請求の範囲第26項に記載の方法によって単離されるアンタゴニスト化合 物。 29.該化合物がIgGまたはIgE Fcレセプターの第一のドメインのA/ B、C/C’および/またはE/Fループおよび/または第二のドメインのB/ C、C’/Eおよび/またはF/Gループおよび/またはG/Aストランドの機 能を遮断できるものである、請求の範囲第28項に記載のアンタゴニスト。 30.FcレセプターではなくIgに結合することによって作用する、請求の範 囲第28項に記載のアンタゴニスト。 31.請求の範囲第1から21項のいずれかに記載のポリペプチドまたは請 求の範囲第28項に記載のアンタゴニストおよび製薬上適当な担体または希釈剤 からなる薬剤組成物。 32.ポリペプチドが天然のFcレセプターに比べて核酸によってコード化され るアミノ酸の付加、欠損および/または置換により該天然のレセプターに比べて 変更され、該変更によって該天然のレセプターに比べて特性が向上するものであ る、Fc結合能を有するポリペプチドをコード化する単離された核酸分子。 33.免疫グロブリン結合能の変化が免疫グロブリン結合能に影響を与える1以 上のアミノ酸残基の変更によって生じるものである、免疫グロブリン結合能が変 化するFcレセプター様分子をコード化する請求の範囲第32項に記載の分子。 34.該コード化されるポリペプチドがIgG、IgE、IgA、IgMまたは IgDに結合する、請求の範囲第32項または第33項に記載の分子。 35.可溶性のポリペプチドをコード化する、請求の範囲第32項に記載の分子 。 36.該コード化されるポリペプチドがドメイン1のA/B、C/C’および/ またはE/Fループおよび/またはG/Aストランドにおける変更を有するもの であり、該ポリペプチドがIgGまたはIgEに結合可能である、請求の範囲第 33項に記載の分子。 37.該コード化されるポリペプチドがドメイン2のB/C、C’/Eおよび/ またはF/Gループにおける変更を有するものであり、該ポリペプチドがIgG またはIgEに結合可能である、請求の範囲第33項に記載の分子。 38.目的とするクラスの天然のFcレセプターに比べて免疫グロブリン結合能 が向上するポリペプチドをコード化する、請求の範囲第33項に記載の分子。 39.該変更が第一のドメインにおいて天然のFcレセプターに比べて13 3、134、158、159および/または160番目のアミノ酸の位置で起こ る、請求の範囲第36項に記載の分子。 40.該変更されるアミノ酸がアラニンに変更される、請求の範囲第39項に記 載の分子。 41.Asp133および/またはPro134がアラニンに変更される、請求の範囲 第40項に記載の分子。 42.該変更が第二のドメインにおいて130、156、160および/または 161番目のアミノ酸の位置で起こる、請求の範囲第37項に記載の分子。 43.該変更されるアミノ酸がアラニンに変更される、請求の範囲第42項に記 載の分子。 44.Trp130、Trp156、Tyr160および/またはGlu161がアラニンに 変更される、請求の範囲第43項に記載の分子。 45.天然のFcレセプターに比べて免疫グロブリン結合能が抑制されるポリペ プチドをコード化する請求の範囲第33項に記載の分子。 46.該ポリペプチドが、ポリペプチドの大きさが天然のFcレセプターより大 きくなるように該天然のFcレセプターに比べて変更される、請求の範囲第32 項に記載の分子。 47.該ポリペプチドが可溶性である、請求の範囲第32から46項のいずれか に記載の分子。 48.該ポリペプチドの大きさが67から1000kDである、請求の範囲第4 6項または第47項に記載の分子。 49.該ポリペプチドがFc結合成分及び融合成分からなる融合タンパク質であ る、請求の範囲第46項に記載の分子。 50.該Fc結合成分が天然のFcレセプターに比べてFc結合能が向上するポ リペプチドをコード化するヌクレオチド配列によってまたは天然のFcレセプタ ー若しくはその一部をコード化するヌクレオチド配列によって形成 される、請求の範囲第49項に記載の分子。 51.該コード化される融合成分がヒトの血清アルブミン、Fcレセプター、補 体レセプター、補体調節タンパク質及びサイトカインレセプターからなる群より 選ばれる薬理学上許容されるタンパク質である、請求の範囲第50項に記載の分 子。 52.HSA:FcγRIIをコード化する構築物である請求の範囲第51項に 記載の分子。 53.請求の範囲第32から52項のいずれかに記載の分子からなるベクター。 54.請求の範囲第53項に記載のベクターが形質転換またはトランスフェクシ ョンされる宿主細胞。 55.ポリペプチドの免疫グロブリン結合能に影響を及ぼすアミノ酸に特異的な 1以上のコドンの付加、欠損および/または置換により該ポリペプチドをコード 化する核酸分子を製造することからなる、該ポリペプチドが天然のFcレセプタ ーに比べて該分子によってコード化される1以上のアミノ酸の付加、欠損および /または置換により該天然のFcレセプターに比べて変更され、該変更によって 該天然のレセプターに比べて特性が向上するものである、Fc結合能を有するポ リペプチドをコード化する核酸分子の作製方法。 56.請求の範囲第54項に記載の宿主細胞における請求の範囲第1から24項 のいずれかに記載のポリペプチドの発現を得ることからなる、請求の範囲第1か ら24項のいずれかに記載のポリペプチドの製造方法。 57.請求の範囲第1から24項のいずれかに記載のポリペプチドまたはFcレ セプター若しくはその一部及びサンプル中に存在する免疫グロブリンが結合する のに十分な時間及び条件下で、サンプルを該ポリペプチドまたはFcレセプター 若しくはその一部と接触させ、結合したポリペプチド−免疫グロブリン、結合し たFcレセプター−免疫グロブリンまたは結合したFcレセプターの一部−免疫 グロブリンの存在を検出するおよび/またはその量を 測定することからなる、サンプルにおける免疫グロブリンの存在および/または 量の決定方法。 58.区画化された形態において請求の範囲第1から24項のいずれかに記載の ポリペプチドまたはFcレセプター若しくはその一部を入れるために使用される 第一のコンパートメントおよび検出器手段を含むために使用される少なくとも1 つの他のコンパートメントからなる、サンプルにおける、免疫複合体の検出用を 含む、免疫グロブリンの検出用キット。 59.該ポリペプチドがIgGまたはIgEに特異的である、請求の範囲第57 項に記載の方法または請求の範囲第58項に記載のキット。 60.サンプル中に存在する免疫グロブリンが請求の範囲第1から21項のいず れかに記載のポリペプチドまたはFcレセプター若しくはその一部と複合体を形 成するのに十分な時間及び条件下で、サンプルを該ポリペプチドまたはFcレセ プター若しくはその一部と接触させ、該複合体をサンプルの残りから分離するこ とからなる、サンプルからの免疫グロブリンの除去方法。 61.患者から体液を採取し、請求の範囲第1から21項のいずれかに記載のポ リペプチドまたはFcレセプター若しくはその一部を免疫グロブリンに結合させ るのに十分な時間及び条件下で、該体液を該ポリペプチドまたはFcレセプター 若しくはその一部と接触させ、該結合した免疫グロブリンを体液から除去し、該 体液を患者に置換することからなる、体液からの免疫グロブリンの除去方法。 62.該除去される免疫グロブリンが免疫グロブリン複合体である、請求の範囲 第60項または第61項に記載の方法。 63.該使用されるポリペプチドがIgGまたはIgEに特異的である、請求の 範囲第62項に記載の方法。 64.有効量の請求の範囲第1から21項のいずれかに記載のポリペプチドを患 者に投与することからなる、過剰な免疫グロブリンが病気の原因因子として含ま れる病気の処置方法。
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