JPH10507782A - 液体産物、特に石油原料の真空蒸溜の方法及びそれを行うための装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 この真空蒸留方法は、真空下にある容器に送られる液体生成物を、蒸気−ガス相と少なくとも１つの液体留分とに分離すること、真空形成装置を用いて上記蒸気−ガス相を上記容器から取り出すこと、それに続いて上記真空形成装置中で凝縮を直接行うことにより上記蒸気−ガス相をガス相及び液相に分離することを含む。液相の一部を上記真空形成装置中で流体作業媒体として使用する。この真空蒸留装置は複数の主管と真空形成装置を備えた真空条件下にある容器を含み、この真空形成装置は複数の主管で相互に連結されたエゼクタ、分離器及びポンプを含む。

Description

【発明の詳細な説明】 液体産物、特に石油原料の真空蒸留の方法及びそれを行うための装置 発明の分野 本発明は、液体産物、特に石油原料の真空蒸留のための方法及び装置に関し、 真空塔での石油ベースストック（ｂａｓｅ ｓｔｏｃｋ）の精留に使用すること のできるものである。 技術の状態 ジェットブロア（エゼクタ）を用いて減圧を作りだすサイドセクション（ｓｉ ｄｅ ｓｅｃｔｉｏｎ）を備えた真空塔を含む石油原料の真空蒸留のための方法 及び装置は公知であり、この場合、使用される能動的（噴出）媒体はスチームで ある（米国特許Ｎo.２０７３４４６及び２１４０３４２）。 しかしながら、公知の方法及び装置の欠陥は石油留分とスチームが混合し、従 って、石油留分の一部がスチームに持ち去られ、これはスチームの汚染と装置の 効率の低下をもたらしている。 液体産物を真空下の容器に供給し、容器中でこの液体産物を易揮発性留分のガ ス及び蒸気と、少なくとも１つの液体留分とに分離し、容器の上部から真空形成 装置を用いてガス及び蒸気をポンプ抜き出しし、凝縮冷却器を通し、これらをそ れから排出することを含む液体産物の真空蒸留の方法は公知である（Ｋ．Ｐ．Ｓ ｈｕｍｓｋｉ“Ｖａｃｃｕｍ ａｐｐａｒａｔｕｓ ａｎｄ ｅｑｕｉｐｍｅｎ ｔ ｉｎ ｃｈｅｍｉｃａｌ ｅｎｇｉｎｅｅｒｉｎｇ”，Ｍｏｓｃｏｗ，Ｍａ ｓｈｉｎｏｓｔｒｏｙｅｉｙｅ Ｐｕｂｌｉｓｈｅｒ ｓ，１９７４，の１２３，１４３，１５３頁）。 石油原料を供給し、液体留分を抜き出すための複数の主管、並びにガス及び蒸 気を塔頂から抜き出し、真空形成装置（エゼクタタイプスチームポンプ）に連結 されている主管を有する真空塔を含む石油原料の真空蒸留のための装置も知られ ている。前記塔頂と真空形成装置の間の主管は冷却凝縮器を有する（Ｐｅｔｒｏ ｌｅｕｍ ｒｅｆｉｎｅｒ Ｈａｎｄｂｏｏｋ．Ｅｄ．Ｇ．Ａ．Ｌａｓｔｏｖｋ ｉｎ，Ｌｅｎｉｎｇｒａｄ，Ｋｈｉｍｉｙａ Ｐｕｂｌｉｓｈｅｒ，１９８９， ７４頁）。 公知の方法及び装置によれば、塔中の真空度はエゼクタタイプのスチームポン プを用いて達成され、この場合、使用される噴出媒体はスチームである。 前記スチームは石油蒸気及び分解ガスと混合し、これはこれら生成物によるス チーム凝縮物の汚染、及び頂部石油留分のスチーム凝縮物による除去をもたらす 。更に、エゼクタタイプスチームポンプは、冷却凝縮器を通った後に凝縮されな い炭化水素ガスを、例えば石油精製プラントの燃料収集器へ前記ガスを供給する のに必要な圧力に圧縮することを提供しない。それ故、もし追加の圧縮装置が無 いときは、前記ガスはフレームタウンジ（ｆｌａｍｅ ｔｏｕｎｇｅｓ）中で燃 焼しなければならない。 真空形成装置からの凝縮物は、沈降タンクへ送られ、ここで石油生成物は水凝 縮物から分離される。前記タイプの沈降タンクは、明らかに環境汚染源である。 公知の方法及び装置の他の欠点は、真空形成装置に至る前に、冷却凝縮器にお いて易揮発性留分を凝縮させることである。この凝縮器はその圧力差の故に、塔 頂における比較的高い圧力をもたらし、揮発性（軽質）生成物の収率を低下させ るか、又は真空形成装置に 与えられる電力増加に導く。 発明の開示 本発明の課題は、環境汚染を減らし、電力消費を減らし、且つ装置の効率を増 すために、真空形成装置の閉じた回路を作りだすことによる真空蒸留プロセスを 強化することを提供する液体産物の真空蒸留の方法及び装置を作りだすことであ る。 上記課題は、液体産物、特に石油に基づいたものの真空蒸留の方法において、 液体産物を真空下の容器に供給し、この容器中の液体産物を分離して蒸気−ガス 相と少なくとも１つの液体留分とに分離し、続いて前記蒸気−ガス相を蒸気凝縮 によりガス及び液相に分離し、ここに前記蒸気−ガス相は真空形成装置を用いて 容器から排出し、蒸気凝縮を真空形成装置中で直接実施し、液相の一部は真空形 成装置用の流体作業媒体として使用し、且つそこからの過剰熱の予備的除去を行 うことを含む方法により、解決される。 流体作業媒体は、これに前記容器からの液体留分の少なくとも一部を加えるこ とにより、更新するのが好ましい。 真空条件下の容器を含み、この容器には、液体産物を供給し、また少なくとも １つの液体留分を排出する複数の主管、及び容器の上部を真空形成装置に連結す る主管を取り付けた、特に石油原料の真空蒸留用装置において、前記真空形成装 置は主管により連結されているエゼクタ、分離器及びポンプを含み、ここに、前 記エゼクタのガス入口は蒸気−ガス相排出用の主管によって連結され、このエゼ クタの液体入口はポンプの出口に連結され、エゼクタの出口は前記分離器の入口 に連結され、この分離器の液体出口は前記ポンプ入口に連結されている。 前記冷却器は、前記エゼクタの液体入口と前記分離器の液体出口 の間の主管に配置するのがよく、これは前記液相から過剰な熱を除去するのを可 能にする。 追加の分離器入口と前記容器からの流体留分取り出しのための主管とを連結す ると、真空形成装置の閉じた回路への前記容器から抜き出された液体留分で、前 記流体作業媒体の更新がなされる。 液体産物の真空蒸留のための本発明方法及び装置は、前記容器の上部からの蒸 気−ガス相の効率的な取り出しと、その後の、エゼクタの流通部分及びエゼクタ の後の主管の両方において、それの凝縮を提供する。未凝縮ガス（石油精製の場 合においては炭化水素ガス）は、ユーザーのために必要な圧力に同時に圧縮され る。これは炭化水素ガスの分離器からの配送を可能にし、これは技術の需要に応 じて使用されることができ、過剰の液相は更なる技術的加工のための中間精製物 として配送することができる。類似の技術と相違して、本発明方法は頂部石油留 分と水の混合がなく、凝縮物と炭化水素ガス（石油精製の場合）の環境への放出 がない。従って、本発明方法は生態的に純粋なものである。 更に、本発明方法は前記容器の上部を真空形成装置に連結する主管に軽質石油 留分の蒸気のための冷却凝縮器を使用しないことを可能にする。これは、軽質石 油留分の蒸気の凝縮がエゼクタ中で起こっているからである。本発明方法はまた 、塔頂の循環還流割合を減らし、これはそこでの圧力差を減らすことになり、そ して最後に塔の底での圧力を減らし、これは真空蒸留の低沸点（軽質）生成物の 増加をもたらす。 液体産物の真空蒸留の装置を実施するそのような方法及び設計は、環境汚染を 実質的に減少させ、電力消費を減らし、従って装置の出力を増す。 図面の簡単な説明 本発明を、添付の図面を引用して、それが実現した具体例の詳細な記述によっ て更に説明する。ここに、図１は液体産物の真空蒸留用の装置の構成を示す。 本発明が達成した好ましい具体例 特許請求した装置は分留用真空塔１を示し、これは、加熱された液体産物（例 えば、石油原料）を供給するための主管３、外部循環還流の主管４、蒸気−ガス 相の出口用の主管５及び塔底の出口用の主管６を備えている。主管５は、塔頂１ を液−ガスエゼクタ７に連結し、このエゼクタは主管により分離器８及びポンプ ９に連結されている。このエゼクタ７、分離器８及びポンプ９は真空形成装置で あり、ここに、エゼクタ７のガス入口は蒸気−ガス相出口の主管５に連結され、 エゼクタ７の液体入口はポンプ９の出口と連結されており、エゼクタの出口は分 離器８の入口に連結されており、分離器８の液体出口はポンプ９の入口に連結さ れている。 冷却器１０は、エゼクタ７の液体入口と、分離器８の液体出口の間の主管に設 置されている。この分離器８は、主管１１により消費者の燃料システムに、主管 １２により石油製品容器に、連結されている（これら後者は図面に示されていな い）。この分離器８の追加の入口は、塔からの液体留分による真空形成装置の追 加の供給のために用いられる主管１３により、塔１での液体留分の排出のための 主管３に連結されている。冷却器１４及びポンプ１５が、真空形成装置の追加の 供給のために使用される主管３に設けられている。冷却器１４の出口は、塔１と 、外部循環還流の主管４により連結されている。 液体産物の真空蒸留のための提案された装置は以下のようにして 実施される。 加熱された液体産物（石油の蒸留の場合は、石油原料）は、入口主管２を経由 して圧力１０〜６０mmHgで塔１に供給される。液体留分（減圧軽油）は、主管３ を経由して排出され、この主管はポンプ１５を通り、冷却器１４で冷却され、次 いで２つの流れに分割され、その内の１つは主管４を経由して塔上部の外部循環 還流に向けられ、第２の流れは主管１３を経由し、追加の入口を通って真空形成 装置の分離器８に向けられる。液相は、徐々に分解ガス（炭化水素ガス）により 飽和され、塔上部から排出されるが、これはエゼクタノズルにおける前記ガスの 放出により、塔中の真空度を減らす。それは、真空形成装置に由来する液相ポン プでのエネルギー消費を引き起こす。従って、よりよい真空を作りだし、それを 作りだすための電力消費を減らすためには、塔から真空形成装置の閉じた回路へ 来る液体留分を用いて、真空形成装置を循環する液相を徐々に更新する。 塔頂から主管５を通して、蒸気−ガス相は排出され、これはポンプ９による閉 じた回路中を循環する液相のエネルギーにより、液−ガスエゼクタ７により吸引 される。真空形成装置の冷却器１０において、過剰の熱は液相から除かれる。こ の過剰の熱は、一部は液相の循環の回路中で機械的エネルギーの散逸により形成 され、一部はスチームの凝縮及び液−ガスエゼクタ７により塔１から吸引される 凝縮されないガスの冷却により形成される。これらは温度安定化を与える。 液−ガスエゼクタの出口において、能動的な液相から、塔１の上部から主管５ を経由して来る受け身の蒸気−ガス相へのエネルギーの伝達により、０．１１Ｍ Ｐａより大きな圧力を持った２相混合物が形成され、これが分離器８に供給され る。エゼクタの流通部分中 で凝縮されなかったスチーム相の最終的な凝縮がこの混合物中で起こる。この混 合物は真空形成装置の分離器８中で分かれ、気相と液相を形成する。主管１１を 経由する気相は消費者の燃料システム（図示していない）に供給される。塔１か らの減圧軽油で部分的に再生された液相は、ポンプ９の入口に向かう。塔１の上 部からエゼクタ７に送られる凝縮された蒸気により、及び液体留分の主管１３を 経由する流れにより形成される過剰な液相は、主管１２を経由して石油製品容器 （図示していない）に送られる。真空形成装置の始動期間において使用される作 業媒体は、蒸気の凝縮物及び主管３を経由して供給される液体留分からなる液相 に化学的、物理的に類似する液体であればどんなものでもよい。しかしながら、 前記液体は徐々に蒸気の凝縮物及び分離器８に蓄積された液体留分の混合物で置 き換えられる。主管６は、真空蒸発からの重質留分の排出に使用される。 従って、液体産物の真空蒸留のための本発明方法及び装置は、石油精製産業に おける実際の問題の解決を提案する。即ち、環境に優しい真空石油精製の技術が 実現され、塔中に真空を得るための経済的出費が減らされ、石油産物からの真空 蒸留から得られる軽質留分の収率が増す。 産業上の利用 本発明は、石油原料以外の真空蒸留製品、例えば、化学、食料又は医薬産業に おける真空蒸留製品を生産するのに使用することができる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 コチェマソフ，アレクサンドル ミハイロ ビチ ロシア連邦，109429 モスクワ，カポトニ ア，クバルタル １―12―63 (72)発明者 コチェルギン，イバン アレクサンドロビ チ ロシア連邦，109649 モスクワ，カポトニ ア，クバルタル ５―４―43

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．液体産物を真空下の容器に供給し、この容器中の液体産物を分離して蒸気 −ガス相と少なくとも１つの液体留分とに分離し、続いて前記蒸気−ガス相を蒸 気凝縮によりガス及び液相に分離し、ここに前記蒸気−ガス相の前記容器からの 取り出しは真空形成装置を用いて行われ、この装置には流体作業媒体が送られる 、液体産物、特に石油原料の真空蒸留の方法において、蒸気凝縮を真空形成装置 中で直接実施し、液相の一部は真空形成装置用の流体作業媒体として使用し、且 つそこからの過剰熱の予備的除去を行うことを含むことを特徴とする方法。 ２．前記容器からの液体の少なくとも一部を前記流体作業用媒体に加えること を特徴とする請求の範囲１の方法。 ３．真空条件下の容器、液体産物を供給し、また少なくとも１つの液体留分を 排出する複数の主管、及び容器の上部を真空形成装置に連結し、蒸気−ガス相を 取り出すための主管を含む、液体産物、特に石油原料の真空蒸留用装置において 、前記真空形成装置は主管により相互に連結されているエゼクタ、分離器及びポ ンプを含み、ここに、前記エゼクタのガス入口は蒸気−ガス相排出用の主管に連 結され、このエゼクタの液体入口はポンプの出口に連結され、このエゼクタの出 口は前記分離器の入口に連結され、この分離器の液体出口は前記ポンプ入口に連 結されていることを特徴とする前記装置。 ４．エゼクタの液体入口と分離器の液体出口の間の主管に更に冷却器を設けて いることを特徴とする請求の範囲３の装置。 ５．容器から排出される液体留分用の主管が追加の分離器入口に連結されてい ることを特徴とする請求の範囲３の装置。