【発明の詳細な説明】
ヘテロ環部分を有する、消炎剤として有用なジ−ターシャリーブチルーフェノー
ル化合物
技術分野
本発明は非ステロイド消炎薬、特に置換ジ−ターシャリーブチルフェノール化
合物に関する。
発明の背景
一定のジ−ターシャリーブチルフェノール化合物およびそれらに構造的に関連
を有する他の化合物は、顕著な消炎および/または鎮痛作用を有することが見出
さており、他のものは他の症状改変作用をもつことが見出されている。そのよう
な化合物のあるもの、それらの製造方法および用途は下記の引用文献に開示され
ている。米国特許第4,535,165号公報(ムーア(Moore)、1985年
8月13日発行);米国特許第4,724,246号公報(ラビチャンドラン(
Ravichandran)、1988年2月9日発行);米国特許第4,808,620号
公報(オーエ(Oe)、カワサキ(Kawasaki)、テラサワ(Terasawa)およびヤス
ナガ(Yasunaga)、1989年2月28日発行);米国特許第4,891,37
4号公報(ソーワート(Thorwart)、ゲバート(Gebert)、シュライアーバック
(Schleyerbach)およびバートレット(Bartlett)、1990年1月2日発行)
;米国特許第4,908,364号公報(ソーワート(Thorwart)、ゲバート(
Gebert)、シュライアーバック(Schleyerbach)およびバートレット(Bartlett
)、1990年3月13日発行);米国特許第4,940,790号公報(ソー
ワート(Thorwart)、ゲバート(Gebert)、シュライアーバック(Schleyerbach
)およびバートレット(Bartlett)、1990年7月10日発行);米国特許第
5,15
5,122号公報(コナー(Connor)、フリン(Flynn)、コスチアン(Costian
)、マリカン(Mullikan)、シュラム(Shrum)、ユナングスト(Unangst)およ
びウイルソン(Wilson)、1992年10月13日);特開昭58−14885
8(山之内製薬、1983年9月5日公開);特開平1−180878(吉富製薬
工業、1989年7月18日公開)、特開平2−229169(武田薬品工業、
199年9月11日公開);イソムラ、Y.、S.サカモト、N.イトー、H.
ホンマ、T.アベおよびK.クボ、「4位にヘテロ環基を有する2,6−ジ−タ
ーシャリーブチルフェノールの合成と消炎作用III.」、ケミカル・ファーマ
シューティカル・ブレティン、第32巻(1984年)第1号、第152−16
5頁(Isomura,Y.,S.Sakamoto,N.Ito,H.Homma,T.Abe & K.Kubo,”Synthesis an
d Antiinflammatory Activity of 2,6-Di-tert-butylphenols with a Heterocyc
lic Group at the 4-Position.III.”,Chem.Pharm.Bull.,Vol.32(1984)No.1
,pp.152-165);ユナングスト,P.C.,G.P.シュラム、D.T.コナー
、R.D.ダイアーおよびD.J.シュライアー、ジャーナル・オブ・メディカ
ル・ケミストリー、第35巻(1992年)第3691−3698頁、「5−リ
ポキシゲナーゼとシクロオキシゲナーゼに対する二重阻害剤としての新規1,2
,4−オキサジアゾール類および1,2,4−チアジアゾール類」、(Unangst,
R.C.,G.P.Shrum,D.T.Connor,R.D.Dyer & D.J.Schrier,”Novel 1,2,4-Oxadiazol
es and 1,2,4-Thiadiazolesas Dual 5-Lipoxygenase and Cyclooxygenase Inhib
itors”,J.Med.Chem.,Vol.35(1992),pp.3691-3698);コンスタンチーノ,L.
、C.パレンティ、M.ディ・ベラ、P.ザノリおよびM.バラルディ、「新規
合成2,6−ビス−(1,1−ジメチルエチル)フェノール誘導体の消炎作用」
、ファーマコロジカル・リサーチ、第27巻(1993年)第4号、第349−
358頁(Constantino,L.,C.Parenti,M.Di Bella,P.Zanoli & M.Baraldi,”Ant
i-inflammatory Activity of Newly Synthesized 2,6-Bis-(1,1-Dimethylethyl)
Phenol Derivatives”,Pharmacological Research,Vol.27(1993)No.4,pp.349-35
8);マリカン、M.D.、M.W.ウィルソン、D.T.コナー,C.R.コ
スチアン,D.J.シュライアーおよびR.D.ダイアー、「経口活性、非潰瘍
発現性消炎剤としての5−(3,5−
ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,3,4−チアジアゾ
ール類、−1,3,4−オキサジアゾール類および-1,3,4−トリアゾール
類の設計」、ジャーナル・オブ・メディカル・ケミストリー、第36巻(199
3年)、第1090−1099頁(Mullican,M.D.,M.W.Wilson,D.T.Connor,C.R.K
ostian,D.J.Schrler & R.D.dyer,”Design of 5-(3,5-Di-tert-butyl-4-hydroxy
phenyl)-1,3,4-thiadiazoles,-1,3,4-oxadiazoles,and-1,2,4-triazoles as Ora
lly-Active,Nonulcerogenic Anti-inflammatory Agents”,J.Med.Chem.,Vol.36(
1993),pp.1090-1099)。
多数のジ−ターシャリーブチルフェノール化合物が消炎作用を示すことが実証
されているが、そのような化合物の多くは少ししか消炎作用を示さないか、ある
いは全く示さない。従って、活性を試験しなければ、一般的にそのような化合物
が実質的な消炎作用を示すかどうかを予測することはできない。
本発明の目的は、効果的な消炎、鎮痛および/または抗酸化作用をもつ化合物
を提供することである。
さらに、本発明の目的は、副作用が少ないそのような化合物を提供することで
ある。
また、本発明の目的は、本発明の化合物を用いて炎症および/または苦痛を治
療する方法を提供する。
発明の概要
本発明は下記構造をもつ化合物を包含する。
式中、a)各Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜約7のアルキル基であり;
b)ZはOまたはN−Xであり;
c)Xは水素原子、炭素数1〜約7のアルキル基、C(O)Y、C(S)Y、お
よびSO2Yから選ばれ;
d)YはR′、OR′およびNR′2であり;そして
e)各R′は水素原子、炭層数1〜約7のアルキル基、およびフェニル基である
。
発明の詳細な説明
本明細書では、特に指示しない限り、「アルキル」は直鎖状、分岐状または環
状炭化水素鎖であって、飽和または不飽和、置換または無置換のものを意味する
。好適なアルキルは直鎖状アルキルである。好ましい分岐状アルキルは、分岐鎖
を1つまたは2つ、好ましくは1つ有する。好適な環状アルキルは、単環状であ
るか、または直鎖状と単環状との組み合わせであり、特に直鎖に単環状末端をも
つものである。好適なアルキルは飽和したものである。不飽和アルキルは1つも
しくは2つの二重結合または/および1つもしくは2つ以上の三重結合をもつ。
好適な不飽和アルキルは1つもしくは2つの二重結合または1つの三重結合、さ
らに好ましくは1つの二重結合、をもつ。好適なアルキルは無置換のものである
。好適な置換アルキルは、モノ−、ジ−またはトリ置換されたものであり、さら
に好ましくはモノ置換されたものである。好適なアルキル置換としては、ハロ、
ヒドロキシ、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ
、ペントキシ)、アリールオキシ(例えば、フェノキシ、クロロフェノキシ、ト
リルオキシ、メトキシフェノキシ、アルキルオキシカルボニルフェノキシ、アシ
ルオキシフェノキシ)、ベンジルオキシ、アシルオキシ(例えば、プロピオニル
オキシ、ベンゾイルオキシ、アセトキシ)、カルバモイルオキシ、カルボキシ、
メルカプト、アルキルチオ、アシルチオ、アリールチオ(例えば、フェニルチオ
、クロロフェニルチオ、アルキルフェニルチオ、アルコキシフェニルチオ、アル
キルオキシカルボニルフェニルチオ)、ベンジルチオ、アリール(例えば、フェ
ニル、トリル、アルキルオキシフェニル、アルキルオキシカルボニルフェニル、
カ
ルボキシフェニル、ハロフェニル)、ヘテロ環基(heterocyclyl)、ヘテロアリ
ール、アミノ(例えば、アミノ、モノ−およびジ−C1−C3アルカニルアミノ、
メチルフェニルアミノ、メチルベンジルアミノ)、アミド(例えば、アミド、モ
ノ−およびジ−C1−C3アルカニルアミド、カルバムアミド(carbamamide)、
ウレイドおよびグアニジノがある。
本明細書において、「アルカニル」(alkanyl)は飽和アルキルを意味する。
本明細書において、「アルコキシ」はQ−O−(ただし、Qはアルキル)の構
造をもつ置換基を意味する。
本明細書において、「アルキルチオ」はQ−S−(ただし、Qはアルキル)の
構造をもつ置換基を意味する。
本明細書において、「アリール」は炭素数6〜約10の無置換または置換芳香
環をもつ部分を意味する。好適なアリールはフェニルとナフチルであり;もっと
も好適なアリールはフェニルである。好適なアリールは無置換のものである。好
適な置換アリールはモノ−、ジ−またはトリ置換のものであり、より好ましくは
モノ置換のものである。好適なアリール置換基としてはヒドロキシ、メルカプト
ハロ、メチル、エチルおよびプロピルがある。
本明細書において、「ヘテロ環基(ヘテロシクリル)」(heterocyclyl)は、
3〜約8個の環原子をもつ飽和または不飽和非芳香環を有する部分を意味し、2
〜約6個の炭素原子とO,SおよびNから選ばれる1〜約4個のヘテロ原子とを
含む。好適なヘテロ環類は飽和したものである。好適なヘテロ環類は5または6
個の原子を環にもち、1〜3個のヘテロ原子を環にもち、好ましくは1または2
個のヘテロ原子を環にもつ。好適なヘテロ環類の具体例としては、ピペリジニル
、テトラヒドロチエニル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラ
ヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、
オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、オキサチアゾリジニル、イソチアゾ
リジニル、アゼピニル、オキセピニル、トリアゾリジニルがある。ヘテロ環類は
無置換または置換であり、好ましくは無置換である。好適な置換ヘテロ環類はモ
ノ−、ジ−またはトリ置換のものであり、より好ましくはモノ置換のものである
。
好適なヘテロ環置換基としては、アルキル(置換アルキル、例えばチオメチル、
カルボキシメチル、クロロメチル、トリフルオロメチルを含む)、ハロ、ヒドロ
キシ、カルボキシ、アルコキシ、アシロキシ、メルカプト、アミノ(モノ−およ
びジ−C1−C3アルカニルアミノ、例えばメチルアミノ、ジメチルアミノを含む
)、アミド、カルバムアミド、チオカルバムアミド、ウレイド、チオウレイド、
グアニジノ(メチル置換グアニジノ、例えばメチルグアニジノ、N,N′−ジメ
チルグアニジノ、N,N−ジメチルグアニジノを含む)がある。
本明細書において、「ヘテロアリール」は、2〜5個の炭素原子とO,Sおよ
びNから選ばれた1〜4個のヘテロ原子とを含む5または6個の環原子をもつ芳
香環を有する部分である。さらに好適なヘテロアリール類は1〜3個のヘテロ原
子を環に、好ましくは1または2個のヘテロ原子を環にもつ。好適なヘテロアリ
ール類の具体例としては、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、
ピラジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラニル、チエニル、テトラゾ
リル、チアゾリル、イソチアゾリル、フリル、オキサチアゾリルがある。ヘテロ
アリール類は無置換または置換であり、好ましくは無置換である。好適な置換ヘ
テロアリール類はモノ−、ジ−またはトリ置換であり、さらに好適にはモノ置換
である。好適なヘテロアリール置換基としては、アルキル(置換アルキル、例え
ばチオメチル、カルボキシメチル、クロロメチル、トリフルオロメチルを含む)
、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、チオ、アミノ(モノ−およびジ−C1〜C3ア
ルカニルアミノ、例えばメチルアミノ、ジメチルアミノ、メトキシメチルアミノ
、カルポキシメチルアミノを含む)、アミド、シアナミド、チオカルバムアミド
、ウレイド、チオウレイド、グアニジノ(メチル置換グアニジノ、例えばメチル
グアニジノ、N,N′−ジメチルグアニジノ、N,N−ジメチルグアニジノを含
む)、S−メチルチオカルバモイルがある。
本明細書において、「ハロ」はフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味
する;好適なハロはフルオロ、クロロおよびブロモである;より好適にはクロロ
であり、またフルオロである。化合物
本発明は下記の構造をもつ特定のジ−ターシャリーブチルフェノール化合物を
包含する。
上述の構造式で、各Rは独立に炭素数が1〜約7、好ましくは1〜約4、であ
る。各Rは好ましくは飽和されている。各Rは好ましくは無置換である。各Rは
好ましくはC1〜約C3の直鎖状または分岐状アルカニル、またはC3〜約C4の環
状アルカニルである。各Rは好ましくは、メチル、エチル、n−プロピルまたは
i−プロピルである;さらに好ましくは、メチルまたはエチルである;もっとも
好ましくはメチルである。各Rは、また、好ましくはシクロプロピルである。好
ましくは、両Rは同じ部分を表す。
上述の構造式で、ZはOまたはN−Xである;好適なZは酸素である。Xは水
素、炭素数1〜約7のアルキル、C(O)Y、C(S)YおよびSO2Yから選
ばれる。好適なXは水素である。また、好適なXはSO2Yである。
YはR′,OR′およびNR′2から選ばれる。好ましいYはR′である。ま
た、好ましいYはNR′2である。R′は水素原子、炭素数1〜約7のアルキル
、およびフェニルから選ばれる。好ましいR′は水素原子またはC1〜C4アルキ
ルである。さらに好ましいR′は水素原子、メチル、エチル、n−プロピル、i
−プロピルおよびシクロプロピルから選ばれる;もっとも好ましいのは水素原子
またはメチルである。
本発明の好適な化合物としては上述の構造式でR、Z、X、YおよびR′が下
記の表に示すものである。
薬理効果を決定し評価するために、当業者に知られた種々の試験法を用いて本
発明の化合物の動物試験を行う。本発明の化合物消炎作用は、炎症応答に特徴的
な局所的な浮腫に拮抗する能力を試験するように設計された試験方法を用いて都
合よく実証することができる。そのような公知の試験法の例としては、ラット・
カラゲニン浮腫試験、オキサゾロン誘発炎症化マウス耳試験、およびアラキドン
酸誘発炎症化マウス耳試験がある。鎮痛作用は、マウスにおける鎮痛性フェニル
ベンゾキノン誘発痙攣試験、およびラットにおけるランドールおよびセリット(
Randall & Selitto)試験のような公知のモデルで試験することができる。他の
有用な公知の試験としてはラット・アジュバント関節炎試験があり、この試験は
急性ではなく慢性のモデルにおける抗炎症作用、抗関節および抗再吸着作用を評
価する有用なモデルである。
これらおよび他の適当な薬理作用試験法が開示および/または言及されている
のは、米国特許第4,130,666号公報(ムーア(Moore)、1978年1
2月19日発行);米国特許第4,431,656号公報(カツミら(Katsumi e
t al.)、1984年2月14日);米国特許第4,440,784号公報(カツ
ミら(Katsumi et al.)、1984年4月3日;特開昭60−54315(カツ
ミ(Katsumi)、1985年3月28日公開);欧州特許出願公開第0,059
,090号公報(山之内製薬、1982年9月1日公開);オパス、E.V.、
R.
J.ボニーおよびJ.L.ヒュームズ、「アラキドン酸により炎症を誘発したマ
ウス耳におけるプロスタグランジンおよびロイコトリエン合成」、ザ・ジャーナ
ル・オブ・インベスティゲイティブ・ダーマトロジィ、第84巻第4号(198
5年)第253−256頁(Opas,E.V.,R.J.Bonney & J.L.Humes,"Prostaglandi
n and Leukotriene Synthesis in Mouse Ears Inflamed by Arachidonic Acid",
The Journal of Investigative Dermatology,Vol.84,No.4(1985),pp.253-256)
;スウィングル、K.F.、R.L.ベルおよびG.G.I.ムーア、「抗酸化
剤の抗炎症作用」、アンチ−インフラマトリ・アンド・アンチリューマチック・
ドラッグズ、第III巻、第4章、K.D.レインズフォード編集、CRCプレス
・インコーポレイテッド(1985年)、第105−126頁(Swingle,K.F.,R
.L.Bell & G.G.I.Moore,"Anti-inflammatory Activity of Antioxidants",Anti-
inflammatory and Antirheumatic Drugs,Vol.111,Chapter 4,K.D.Rainsford,ed.
,CRC Press,Inc.,(1985),pp.105126);アダムキエビッチュ、V.W.、W.B
.ライスおよびJ.D.マッコル、「正常ラットおよび副腎摘出ラットにおける
トリプシンの消炎効果」、カナディアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリ
ー・アンド・ヒュジオロジィー、第33巻(1955年)第332−339頁(
Adamkiewich,V.W.,W.B.Rice & J.D.McColl,"Antiphlogistic Effect of Trypsin
in Normal and in Adrenalectomized Rats",Canadian Journal of Biochemistr
y & Physiology,Vol.33(1955),pp.332-339);セリエ,H.、「関節炎の病因に
おける副腎皮質の関与に関するさらなる研究」、ブリティッシュ・メディカル・
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);およびウィンター,C.A.、E.A.リズレーおよびG.W.、「ラット
の後足におけるカラゲニン誘発浮腫、抗炎症薬用効力検定法として」、プロシー
ディングズ・オブ・ソサイエティ・オブ・エクスペリメンタル・バイオロジィー
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ロイド抗炎症薬用の実験室的方法」、非ステロイド系消炎薬、第3章、J.G.
ロンバルディーノ編集、ジョン・ワイリー&サンズ、インコーポレイテッド(1
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イジェンツ・アンド・アクションズ、第10巻第1/2号(1980年)第31
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.,Vol.111,No.4(1957),pp.409-419);ウィンター、C.A.およびL.フォル
テイカー、「刺激原の非経口投与により影響される侵害受容しきい値および種々
の抗侵害受容薬のしきい値」、ジャーナル・オブ・ファーマコロジカル・エクス
ペリメンタル・セラピー(Winter,C.A.& L.Faltaker,"Nociceptive Thresholds
as Affected by Parenteral Administration of Irritants and of Various Ant
inociceptive Drugs",J.
Pharmacol.Exp.Ther.,Vol.148,No.3(1965),pp.373-379)。これらすべての引用
文献の開示内容は引用により本明細書の一部を構成するものとする。
多くの抗炎症薬、特に非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS)、は胃腸に対して、
特に経口投与した際に、望ましくない副作用を引き起こす;そのような副作用と
しては、潰瘍とびらんがある。これらの副作用は、しばしば無症候であるが、入
院治療を要するほど重篤になることがあり、致命的であることすらある。本発明
の化合物は一般にそのような胃腸に対する副作用が他のNSAIDSにくらべて少なく
、多くの他のジ−ターシャリーブチルフェノール誘導体と比べてさえも少ない。
本発明化合物のあるものは胃腸に対して保護的でさえあり、胃を潰瘍とびらん、
特にエタノールまたは他のNSAIDSにより引き起こされる潰瘍とびらんから保護す
る。
一定のNSAIDSは、一定のジ−ターシャリーブチルフェノール誘導体を含め、全
身投与すると、一定の肝臓酵素が全身レベルで望ましくない増加をみせる。本発
明化合物は一般に肝臓酵素に対する副作用がほとんどないか、あるいはまったく
ない。
本発明で使用し得る化合物は下記の一般的反応工程式に従って製造することが
できる。
一般構造式IIIの化合物の一般的調製方法は、ZがOのときは、一般構造式II
の適当なβ−クロロケトンをヒドロキシルアミンと縮合環化(cyclocondensatio
n)反応させることである。例えば、この反応は適当なβ−クロロケトンとヒド
ロキシルアミン・ハロゲン酸塩(ハイドロハライド)のアルコール溶液を理論量
の水性NaOHで徐々に処理することにより行うことができる。一般構造式III
の化合物は、ZがNHのときは、一般構造式Iのα,β-不飽和ケトンをヒドラジ
ンで縮合環化することにより調製することができる。例えば、この反応は適当な
α,β-不飽和ケトンと理論量のヒドラジン水和塩のアルコール溶液を30℃〜6
0℃の間の温度で加熱することにより行うことができる。より高い反応温度が望
ましいならば、この反応を密閉フラスコ内で行うことができる。必要なβ−クロ
ロケトンとα,β−不飽和ケトンは、2,6−ジ−ターシャリーブチルフェノー
ルを適当なα,β−不飽和酸クロライドとフリーデル−クラフツ反応させ、つい
で過剰の塩酸に暴露することにより、あるいはシリル化3,5−ジ−ターシャリ
ーブチル−4−ヒドロキシアセトフェノンを適当なケトンとTiCl4の影響下
にアルドール縮合することにより、都合よく調製することができる。
下記の非限定的な実施例は本発明化合物の合成に関し、さらなる情報を提供す
るものである。
実施例1
3−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)−4,5
−ジヒドロ−5,5−ジメチルイソオキサゾールの合成:
3−クロロ−1−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニ ル)−3−メチルブタン−1−オン
内部温度計、機械式撹拌機、添加漏斗および隔壁付導入口を備えた12リット
ル容丸底フラスコ内に、3,3−ジメチルアクリロイルクロライド(146g、
1.23モル)をCH2Cl2(1000ml)に溶解した溶液を装入する。この
溶液を撹拌し、CH2Cl2−ドライアイス浴中で−10℃まで冷却し、ついで、
TiCl4(1M CH2Cl2溶液、1476ml、1.47モル、1.2当量)
をカニューレで反応混合物が−5℃を越えて暖まることのないような添加速度で
添加する。添加終了後、この溶液を10分間撹拌し、2,6−ジ−ターシャリー
ブチルフェノール(253.4g、1.23モル、1.0当量)をCH2Cl2(
500ml)に溶解した溶液を添加漏斗を用いて滴下する。添加速度を調節して
反応温度を0℃未満に維持した。添加終了後、冷浴を取り外し、混合物を周囲温
度で4時間撹拌した。TLC分析(EtOAC:ヘキサン、1:9)により完全
に反応していることが示された。H2O(2リットル)を注意深く添加し、混合
物を6リットル容抽出漏斗に移す。有機相を分離し、追加のH2O(2×100
0ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、12リットル容反応容器に戻
す。エーテル−HCl(1M、アルドリッチ、2000mlを添加する。2時間
撹拌後、溶液を6リットル容分別漏斗に移し、H2O(3×1リットル)で洗浄
する。有機相をNa2SO4で乾燥し、ろ過して10リットル容丸底フラスコ内に
装入し、回転蒸発させた。残滓を1リットルのペンタンに取り、一夜−4℃に保
った。得られた結晶性固体をろ取し、乾燥して3−クロロ−1−(3,5−ジ−
ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン−1−オン
を得る。
3−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)−4,5 −ジヒドロ−5,5−ジメチルイソオキサゾール
マグネチックスターラーとAr導入口を備えた5リットル容丸底フラスコに3
−クロロ−1−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)
−3−メチルブタン−1−オン(77.1g、0.24モル)とヒドロキシルア
ミン塩酸塩(20.1g、0.28モル)とをEtOH(2.2リットル)に溶
解した溶液を装入する。この溶液を撹拌してから、2N NaOH(119ml
、0.24モル、1.0当量)を15分間で滴下した。二つの溶液が接触すると
急
速に消失する黄色が観察される。添加終了後、反応混合物を50℃で加熱する。
この反応後、TLC(EtOAc−ヘキサン、1:4)を行う。3時間後、約5
0%の転換が達成される。H2O(750ml)を添加して粗生成物を沈殿させ
、ろ過する。ろ液を取り除く。固形物をヘキサンから再結晶させるだけで3−(
3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)−4,5−ジヒド
ロ−5,5−ジメチルイソオキサゾールを淡黄色の固体として得る。H2O/E
tOHろ液を回転蒸発器で濃縮してEtOHを除去し、得られた縣濁液をCH2
Cl2(3×200ml)で抽出する。水相を捨て、有機相を乾燥(MgSO4)
し、ろ過し、上述の結晶化からのヘキサン母液と一緒にし、蒸発させて油状固体
を得る。ヘキサンから結晶化して3−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−
ヒドロキシフェニル)−4,5−ジヒドロ−5,5−ジメチルイソオキサゾール
を、第1のバッチよりも若干純度が落ちる黄色固体として得る。
実施例2
3−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)−5,5
−ジメチル−1H−ジヒドロピラゾールの合成
3−クロロ−1−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)−3−メチルブタン−1−オン(実施例1)(3.45g、10.1mmo
l)とヒドラジン・ハイドレート(0.8ml、14mmol)を無水アルコー
ルEtOH(50ml)に溶解した溶液50℃で1時間撹拌する。さらにヒドラ
ジン・ハイドレート(1ml、18mmol)を2等分して2時間かけて添加し
た。この反応後、TLC(ヘキサン:EtOAC、9:1)を行い、50℃で1
8時間撹拌して終了する。溶媒を留去すると、黄色固体がのこる。これをEtO
H:H2Oから結晶させて3−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)−5,5−ジメチル−1H−ジヒドロピラゾールの白色柱状結晶
を得る。
実施例3
3−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)−5,5
−ジメチル−1−メチルスルホニル−1H−ジヒドロピラゾールの合成
3−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)−5,5
−ジメチル−1H−ジヒドロピラゾール(実施例2)650mg、トリエチルア
ミン360μl、およびN,N−ジメチルアミノピリジン50mgをメチレンク
ロライド20mlに溶解し、撹拌し、0℃に冷却した溶液にメタンスルホニルク
ロライド182μlを添加する。0℃で30分間撹拌した後、冷却浴を取り外し
、混合物を室温で2時間撹拌する。溶媒を減圧留去し、残滓をフラッシュ・クロ
マトグラフィー(エチルアセテートの10%ヘキサン溶液)により精製して3−
(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)−5,5−ジメ
チル−1−メチルスルホニル−1H−ジヒドロピラゾールの無色固体を得る。
実施例4
1−カルボンアミド−3−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)−5,5−ジメチル−1H−ジヒドロピラゾールの合成
3−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)−5,5
−ジメチル−1H−ジヒドロピラゾール(実施例2)600mgを酢酸9ml、
テトラヒドロフラン6.5mlおよび水18.6mlの混合物に35℃で溶解し
、撹拌した溶液にシアン酸カリウム260mgを添加する。35℃で30分間撹
拌した後、混合物を55℃で5時間撹拌する。溶媒を減圧留去し、残滓をメチレ
ンクロライド50ml中に取る。溶液を0.1N水酸化ナトリウム水溶液15m
lで3回洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を留去し、残滓をフラッシュク
ロマトグラフィー(エチルアセテートの20%ヘキサン溶液)により精製して1
−カルボンアミド−3−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)−5,5−ジメチル−1H−ジヒドロピラゾールの無色固体を得る。
実施例5
3−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)−5,5
−ジシクロプロピル−1H−ジヒドロピラゾールの合成
1−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3 −ジシクロプロピルプロプ)−2−エン−1−オン
3,5−ジ−ターシャリ
ーブチル−4−ヒドロキシアセトフェノン4gを乾燥メチレンクロライド250
ml中に溶解し、撹拌した溶液を−78℃に冷却し、ジイソプロピルエチルアミ
ン(i−Pr2EtN)7.3mlを添加し、ついでトリメチルシリル・トリフ
ルオロメタンスルホネート(TMSOTf)8.1mlを添加した。混合物を−
78℃で10分間撹拌し、1時間かけて周囲温度まで昇温させる。この混合物を
ふたたび−78℃に冷却し、これにジシクロプロピルケトン3.6ml、ついで
四塩化チタンの1Mメチレンクロライド溶液32mlを添加する。1時間撹拌し
た後、混合物を1N塩酸水溶液で洗浄し、溶媒を減圧留去する。残滓をメタノー
ル−1N塩酸水溶液50mlに溶解し、室温で1時間撹拌する。この混合物を減
圧濃縮し、メチレンクロライドと水で分別する。有機相を炭酸ナトリウム水溶液
、ブライン(brine)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を留去し、残
滓をフラッシュクロマトグラフィー(エチルアセテートの10%ヘキサン溶液)
により精製する。生成物をヘキサンから再結晶して1−(3,5−ジ−ターシャ
リーブチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジシクロプロピルプロプ−2
−エン−1−オンの橙色固体を得る。
3−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)−5,5 −ジシクロブロピル−1H−ジヒドロピラゾール
耐圧ガラス容器に1−(3
,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジシクロ
プロピルプロプ−2−エン−1−オン350mg、ヒドラジン・ハイドレート0
.2mlおよびエタノール15mlを装入する。この容器を閉じ、均一混合物を
80℃で15時間加熱する。溶媒を減圧留去し、残滓をメチレンクロライドに取
り、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を留去し、粗生成物をヘキサ
ンから結晶させて精製して3−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)−5,5−ジシクロプロピル−1H−ジヒドロピラゾールの黄色
固体を得る。組成物
本発明の組成物は安全かつ有効な量の本発明化合物と、製薬的に許容し得る担
体とを含んでなる。ここで、「安全かつ有効な」とは、健全な医療上の判断の範
囲内で、治療すべき症状において陽性の変化を有意に誘発するのに十分であるが
、
重篤な副作用を避けるのに十分低い(適正な利益/危険比の)化合物の量を意味
する。安全かつ有効な化合物量は治療する特定の症状、治療を受ける患者の年齢
および肉体的条件、その症状の重さ、治療期間、並行して行われる治療の性質、
使用した特定の製薬的に許容し得る担体、などの担当医師の知識と技量の範囲内
の因子によって変化する。
本発明の組成物は、好ましくは、化合物を約0.1重量%〜約99.9重量%
、さらに好ましくは約20重量%〜約80重量%、もっとも好ましくは約40重
量%〜約70重量%含む。
上述の化合物に加えて、本発明の組成物は製薬的に許容し得る担体を含有する
。「製薬的に許容し得る担体」という用語は、ここでは、一種または二種以上の
相溶性固体または液体充填剤希釈剤または封入物質であり、ヒトまたは下等動物
に投与するのに適しているものを意味する。「相溶性」という用語は、ここでは
、組成物の成分が本発明化合物と相互に混ざり合うことができ、通常の使用状況
において組成物の製薬的有効性を低減するようなことがないことを意味する。製
薬的に許容し得る担体は、もちろん、十分に純度が高く、かつ十分に毒性が低い
ので治療を受けているヒトまたは下等動物に投与するのに適したものとなってい
る。
製薬的に許容し得る担体またはその成分として用いられる物質の若干の例を挙
げると、ラクトース、グルコース、スクロースのような糖類;コーンスターチ、
ジャガイモでんぷんのようなでんぷん類;カルボキシメチルセルロースナトリウ
ム塩、エチルセルロース、酢酸セルロースのようなセルロースおよびその誘導体
;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ステアリン酸、ステアリン酸マ
グネシウムのような固体潤滑剤;硫酸カルシウム;ピーナッツ油、綿実油、ごま
油、オリーブ油、コーン油、カカオ脂のような植物性油;プロピレングリコール
、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコールのような
ポリオール類;アルギン酸;ツイーン(登録商標)のような乳化剤;ソジウムラ
ウリルスルフェートのような湿潤剤;色剤;香料;賦形剤;錠剤化剤;安定剤;
酸化防止剤;保恒剤;発熱性物質(パイロージェン)を含まない水;等張塩水;
および燐酸緩衝液がある。
本発明の化合物と一緒に使用すべき製薬的に許容し得る担体は、基本的には上
述の化合物の投与方法によって選択される。
本発明の化合物を注射すべきときは、非静脈内注射が好ましい。好適な製薬的
に許容し得る担体は滅菌された生理食塩水であり、血液に適合性の縣濁剤を含有
し、そのpHを約7.4に調整したものである。そのような注射可能な組成物は
、好ましくは、本発明化合物を約1%〜約50%、さらに好ましくは約5%〜約
25%、また好ましくは本発明化合物を約10mg〜約600mg/ドース含ん
でなる。
局所適用に適した製薬的に許容し得る担体としては、ローション、クリーム、
ゲルなどに用いるのに適したものがある。局所用組成物は約1%〜約50%、よ
り好ましくは約5%〜約25%、の皮膚軟化剤を含有しているのが好適である。
そのような局所用の5つの組成物は本発明化合物を約0.1%〜約50%、より
好ましくは約0.5%〜約10%含んでなり、また好ましくは本発明化合物を約
5mg〜約1000mg/ドース含んでなるのが好適である。
本発明化合物の好適な投与方法は経口投与である。従って、好適な単位薬用量
形態は錠剤、カプセル等であり、安全かつ有効量の、好ましくは約5mg〜約3
500mg、より好ましくは約10mg〜約1000mg、そして、もっとも好
ましくは約25mg〜約600mgの本発明化合物を含んでなる。
本発明化合物の多くは疎水性である。水系組成物または水系媒体に溶解性また
はこれと混和性の組成物を提供することを望む場合は、可溶化剤を組成物中に含
ませてもよい。そのような可溶化剤の非制限的な例としてはポリエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、エタノール、およびポロキシエチレン(35)ヒ
マシ油がある。
本発明組成物用の特に好適な経口組成物担体は、米国特許第5,189,06
6号公報(ケルムおよびブランズ(Ke1m & Bruns)、発明の名称:「テブフェロ
ンの製薬組成物」("Pharmaceutical Compositions of Tebufelone")、199
3年2月23日発行)および米国特許第5,281,420号公報(ケルムおよ
びドブロジ("Kelm & Dobrozsi")、発明の名称:「テブフェロンの固体分散組
成物」
("Solid Dispersion compositions of Tebufelone")1994年1月25日発
行)に開示されている。これらの内容はここに引用により本明細書の一部を構成
するものとして導入される。方法
本発明の他の実施の態様は、治療を必要とするヒトまたは下等動物に安全かつ
有効量の本発明化合物を投与することにより、炎症により特徴づけられた疾病を
治療または予防する方法である。ここで、「炎症により特徴づけられた疾病」と
いう用語は、炎症が関与していることが知られている状態を意味し、関節炎(例
えば、リューマチ様関節炎、変形性関節症、関節症性乾癬、若年性関節炎、ライ
ター氏症候群、感染性関節炎、強直性脊椎炎、全身性狼そう(systemic
lupus)、および痛風)のような状態、ならびに同定可能な疾病と結びつ
いているか否かにかかわらず炎症の存在を意味する。炎症により特徴づけられる
疾病には、さらに、口腔内の炎症(例えば、歯肉炎または歯周病と結びついた炎
症);胃腸管炎症(例えば、潰瘍および過敏性腸炎と結びついた炎症);皮膚炎
と結びついた炎症(例えば、乾癬、アクネ、その他の皮膚炎);呼吸器管と結び
ついた炎症(例えば、喘息、気管支炎、およびアレルギー);および中枢神経系
の炎症(例えば、アルツハイマー病)がある。
本発明の別の実施の形態としては、ヒトまたは下等動物に安全かつ有効量の本
発明化合物を投与することにより苦痛を治療しまたは予防する方法である。本発
明化合物の投与により治療ないし予防される苦痛には末梢性苦痛、生理痛、歯痛
、および下背部の痛み(腰痛)が含まれる。
本発明の他の実施の形態は、治療を必要とするヒトまたは下等動物に安全かつ
有効量の本発明化合物を投与することにより、酸化的ストレス(oxidative stre
ss)から生じるフリーラジカルによる損傷および虚血性状態から保護する方法で
ある。そのような治療には虚血性心臓病、アテローム性動脈硬化症、発作、およ
び心臓の虚血性細胞損傷がある。
本発明の別の実施の形態は、治療を必要とするヒトまたは下等動物に安全かつ
有効量の本発明化合物を投与することにより、胃または十二指腸の潰瘍またはび
らんを治療または予防する方法である。特に、エタノールまたは非ステロイド抗
炎症薬(NSAIDs)により引き起こされたそのような潰瘍またはびらんは好
適な本発明化合物を投与することにより治療および/または予防することができ
る。
本発明化合物の胃腸に対する安全性または胃に対する保護的性質を決定するの
に適した試験方法は公知である。
胃腸にたいする急性安全性を決定する方法は下記の文献に開示および/または
引用されている。ユナングスト,ピー.シー.、ジー.ピー.シュラム、ディー
.ティー.コナー、アール.ディー.ダイアー、およびディー.ジェイ.シュラ
イアー、「5リポキシゲナーゼおよびシクロオキシゲナーゼにたいする二重阻害
剤としての新規1,2,4−オキサジアゾール類および1,2,4−チアジアゾ
ール類」、ジャーナル・オブ・メディカル・ケミストリー、第35巻(1992
)(Unangst,P.C.,G.P.Shrum,D.T.Connor,R.D.Dyer,and DJ.Schrier,"Novel 1,2
,4Oxadiazoles and1,2,4-Thiadiazoles as Dual 5-Lipoxygenase and Cyclooxyg
enase Inhibitors",J.Med.Chem.,Vol.35(1992),pp.3691-3698)および;セガワ
,ワイ.オー.、オー.オーヤ、ティー.アベ、ティー.オマタら、「新規抗炎
症薬N−{3−[3−(ピペリジニルメチル)フェノキシ]プロピル}カルバモ
イルメチルチオ]エチル 1−(p−クロロベンゾイル)5−メトキシ−2−メ
チル−3−インドリルアセテート」、アルツナイミッテル−フォルシュンク/医
薬研究、第42巻(1992)第954−992頁(Segawa,Y,O.Ohya,T.Abe,T.
Omata,et al.,"Anti-inflammatory,Analgesic,and Antipyretic Effects and Ga
strointestinal Toxicity of the New Anti-inflammatory Drug N-{3-[3-(piper
idinylmethyl)phenoxy]-propyl}-carbamoylmethylthiolethyl 1-(p-chlorobenzo
yl)5-Methoxy-2-methyl-3-indolylacetate",Arzneim.-Forsch./Drug Res.,Vol.4
2(1992),pp.954-992.)。ここに開示されている方法において、動物の胃を典型
的には化合物投与後2時間試験する。
準慢性的な胃腸にたいする安全性を決定するための方法は下記の文献に開示お
よび/または引用されている。メラランジュ,アール.、シー.ジェントリーら
、「ナブメトンまたはその活性代謝産物、6−メトキシ−2−ナフチル酢酸(6
MNA)の抗炎症効果および胃腸にたいする効果」、ダイジェスチョン・ディジ
ーズ・サイエンス、第37巻(1992年)第1847−1852頁(Melarang
e,R.,C.Gentry,et al.,"Anti-inflammatory and Gastrointestinal Effects of
Nabumetoneor Its Active Metabolite,6-Methoxy-2-naphthylacetic Acid(6MNA)
",Dig.Dis.Sci.,Vol.37(1992),pp.1847-1852);およびワング,エス.、エス
.ジェイ.リーら、「BF389−低潰瘍発現性の新規抗炎症剤の抗関節炎プロ
フィル」、エイジェンツ・アクションズ、第37巻(1992年)第90−91
頁(Wong,S.,S.J.Lee,et al.,"Antiarthritic Profile of BF389-A Novel Anti-
inflammatory Agent With Low Ulcerogenic Liability",Agents Actions,Vol.37
(1992),pp.90-91)。
急性胃腸保護を決定する方法は下記の文献に開示および/または引用されてい
る。プレイフォード,アール.ジェイ.、ディー.エイ.ヴァーゼイ、エス.ホ
ールデン、エム.アール.アリソン、およびジェイ.カラン、「インドメタシン
誘導胃損傷に対するフェンタニルの薬用量依存効果」、ダイジェスチョン、第4
9巻(1991年)第198−203頁[Playford,RJ.,D.A.Versey,S.Haldane,
M.R.Alison,and J.Calan,"Dose-dependent Effects of Fentanyl on lndomethac
in-induced Gastric Damage",Digestion,Vol.49(1991),pp.198-203]。ここに開
示されている方法では、雌のルイスラット(130〜175g)に、胃に損傷を
与える量のインドメタシンを投与する2時間前と投与直前とに本発明化合物(4
0mg/kg、1日2回)またはビヒクルを経口的に投与する。ラットを4時間
後にCO2で窒息させて殺す。胃本体(gastric corpus)の損傷
(出血性壊死のミリメートル)をディジタル・イメージングにより測定する。
本発明化合物の好適な投与方法は経口投与であるが、他の公知の投与方法で、
例えば、皮膚粘膜を介して(例えば、皮膚、直腸などから)、および非経口的に
(例えば、皮下注射、筋肉内注射、関節腔内注射、静脈内注射など)投与しても
よい。眼内投与および吸入も含まれる。具体的投与方法としては、限定されるこ
となく、経口、経皮、粘膜、舌下、鼻腔内、筋肉内、静脈内、腹腔内、皮下、お
よび局所投与がある。
本発明化合物の好適な薬用量は、約0.2mg/kg〜約70mg/kg、さ
らに好ましくは約0.5mg/kg〜約12mg/kgの範囲内である。好適な
注射量としては本発明化合物を約0.1mg/kg〜約10mg/kgの範囲内
で含む。好適な局所薬用量は約1mg/cm2〜約200mg/cm2の本発明化
合物を皮膚表面に適用することを含む。好適な経口薬用量は約0.5mg/kg
〜約50mg/kg、さらに好ましくは約1mg/kg〜約20mg/kg、さ
らに好ましくは約2mg/kg〜約10mg/kgの本発明化合物を含む。その
ような薬用量は好ましくは1日約1回〜約6回、さらに好ましくは1日約2回〜
約4回投与される。そのような1日当たりの薬用量は好ましくは少なくとも1週
間、また好ましくは少なくとも2週間、また好ましくは、少なくとも1ケ月、ま
た好ましくは少なくとも2ケ月間、また好ましくは少なくとも6ケ月間、1年間
、2年間またはそれ以上投与される。
以下の非限定的な実施例により本発明を説明する。
実施例A
錠剤の形の製薬組成物を混合および直接圧縮のような従来方法により下記の処
方に調製する。
成分 量(mg/錠剤)
化合物1 200
微結晶セルロース 100
ソジウム・スターチ・グリコレート 30
ステアリン酸マグネシウム 3
上述の組成物を1日2回経口投与すると、リューマチ様関節炎患者の炎症が軽
快する。この組成物を変形性関節症患者に1日2回投与することにより顕著な効
果が達成される。
実施例B
カプセルの形の製薬組成物を従来方法により下記処方に調製する。
成分 量(mg/カプセル)
化合物5 200
ラクトース カプセルを満たす量
上述のカプセルを1日1回経口投与するとリューマチ様関節炎または変形性関
節症患者の症状が軽快する。
実施例C
液状の製薬組成物を従来の方法により下記処方に調製する。
成分 量
化合物2 200mg
EtOH 4ml
メチルセルロース 0.4mg
蒸留水 76ml
ツウィーン(Tween)80 1.6ml
上述の組成物50mlを1日1回経口投与するとリューマチ様関節炎または変
形性関節症患者の症状が軽快する。
実施例D
液状の製薬組成物を従来方法により下記処方に調製する。
成分 量
微結晶性(微粉化)化合物3 200mg
アビセル(アヴィセル)(微結晶性セルロース) 50mg
ツウィーン(Tween)80 1.6ml
メチルセルロース 0.4mg
脱イオン水 80ml
上述の組成物100mlを1日2回経口投与すると、リューマチ様関節炎また
は変形性関節症患者の症状が軽快する。
本発明の特定の実施態様を説明したが、ここに開示した組成物に種々の変更を
加えても本発明の範囲内であることは当業者には自明であろう。以下の請求の範
囲の請求項にそのような本発明内の変更のすべてを網羅する。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C07D 261/04 C07D 261/04
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG),
AM,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CN,C
Z,EE,FI,GE,HU,IS,JP,KG,KP
,KR,KZ,LK,LR,LT,LV,MD,MG,
MK,MN,MX,NO,NZ,PL,RO,RU,S
G,SI,SK,TJ,TM,TT,UA,UZ,VN