JPH10504248A - 自己接着性フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 静電力によって自己接着性を有し、好ましくは平たい形状の気体のブリスターを含有する誘電性材料のフィルム。フィルムに接着性を持たせるために、該フィルムは内部に大きな単一極性の電荷を与えられ、該電荷は、前記気体のブリスター中に部分的な放電を起こし、放電による電荷をフィルムの誘電性材料中に移動させるのに十分な強さの電荷によってフィルムを充電することによって作られる。

Description

【発明の詳細な説明】 自己接着性フィルムおよびその製造方法 本発明は請求項１のプリアンブルに規定されているような自己接着性フィルム およびその製造方法に関する。 誘電性のフィルムがこすられたり巻かれたり、また、誘電性のフィルムが公知 の連続製造法で製造されたりすると、そのようなフィルムの表面に電荷が形成さ れることはよく知られている。このようにして生じた電荷は静電力を発生させ、 フィルムが、例えば、別の物の表面に付着する場合がある。しかしながら、その ような静電力による吸引は非常に弱く、湿気などにより電荷は容易に消滅する。 このように、静電力は持続時間が非常に短い。このような場合、誘電性のフィル ムは物の表面にまっすぐにのびず、空気の流れなどにより容易に引き離される。 固体材料から製造され、該材料をＤＣコロナ処理することによってフィルム表 面構造で電荷が発生するエレクトレットも以前から知られている。そのようなエ レクトレットのフィルムは、エレクトレットマイク等のような種々の検知器にお いて、まず、利用される可能性がある。 固体フィルム材料の深部にまで侵入する強力な電荷を生成させるのは非常に難 しい。その理由は、フィルムを通り抜けて漏れ電流が流れてしまうために、コロ ナ処理（充電）の間にそのようなフィルム材料の表面の電位を十分に高いレベル にまで上げるのは不可能だからである。固体材料中では、材料の抵抗が電圧の機 能と同様に低下するので、漏れ電流が流れる（A leakage current flows becaus e in solid materials the resistance of the material is reduced as a func tion of voltage.）。 公知のさらなる方法としては、例えば、ポリプロピレンから吹き込み、または キャビティ成形のフィルムを製造するということがある。そのようなフィルムは 小さな、好ましくは平たい気泡をフィルム中に重なり合うような配置で含有して いる。泡構造に起因してフィルムが白いので、そのようなフィルムは優れた印刷 材となる。この種の白いフィルムは包装材などとして一般的に使用されている。 平たい気泡を含有しているフィルムにおいては、気泡中では抵抗率が減少せず 、電圧に伴って漏れ電流が増加しない。したがって、充電中に、例えば 100〜20 0 MV/m の範囲の高い電界を形成することが可能であり、それは、フィルムに含 有されている気泡中に部分的な放電を発生させる。本発明の目的は、静電力によ って自己接着性となった全く新しいタイプのフィルムを提供することであり、該 フィルムの強い接着力は、先に説明したように、フィルムの内部に生じた大きな 単一極の電荷に基づく。フィルムの特徴は添付の請求項に非常に詳細に示されて いる。 この型の自己接着性フィルムの最も重要な利点は、フィルムを何かの表面に接 着させるのに、グルーなどの接着物質や固定具を別に用意する必要がないことで ある。 本発明のフィルムを用いると、非常によく接着がなされる。さらに、本発明の フィルムはその電荷を非常に長い期間、一般的には何年にも亘って保持する。さ らに、フィルムの内部に電荷があるので、静電力はフィルムの両面で利用するこ とができる。このことはフィルム同士が非常に強固に付着することを意味する。 これによって、数多くのフィルム、一般的には15〜30枚だが、場合によっては50 枚ものフィルムを、いわゆるフリップチャートのシートのように重ね合わせるこ とが可能である。フィルムの上に紙のような他の材料を付着させることも可能で ある。 本発明のフィルムは、物の表面にまっすぐにきちんと付着する。本発明のフィ ルムは、例えば、空気の流れ、湿気および熱などに、付着した表面から剥がれず に抗することができる。さらに、本発明のフィルムは粗い表面にもよく付着する 。 本発明の自己接着性気泡フィルムを製造するには、ポリプロピレンなどの熱可 塑性材料で製造された、数十μｍ、例えば、50μｍの厚さの吹き込み成形フィル ムを非常に強い電界（例えば、100〜200 MV/m の範囲の電界）によって充電する 。充電中にフィルムの気泡中で部分的な放電が起こり、フィルムの熱可塑性材料 に放電により発生した電荷が注入される。気泡構造およびフィルム材料の抵抗率 が大きいので、注入された電荷はフィルム中に十分に保持される。結果として、 正味の帯電が高いフィルムが得られ、その強力な接着性はフィルムの内側の大き な 単一極性の電荷に基づいている。 正味の帯電が強力であるので、本発明のフィルムは特に自己接着性フィルムと して使用することができ、例えば、フィルム上に直接情報を印刷することによっ て、視覚的情報の媒体などとしての利用が可能である。フィルムの内側の電荷が フィルムの両面に接着力を生じさせるので、紙や他の軽量の材料に印刷された情 報を本願フィルムに付着させることができる。例えば、いわゆるフリップチャー トを作るために壁等にフィルムを積み重ねて貼ることも可能である。 フィルムに任意の形状の穴や形を切り抜くことも可能であるので、自動車の抗 ぎらつきバリアーや様々な装飾用としても使用することができる。 さらに、フィルムの内側に反対の電荷を作り出すことも可能であり、その結果 、フィルムのある部分は正の電荷を有し、別の部分は負の電荷を有するようにす ることもできる。例えば、正電荷と負電荷とが交互に短冊状に帯電した状態や、 任意の形状の正電荷の帯電領域と負電荷の帯電領域を並べた状態をフィルム中に 形成することができる。正電荷と負電荷とが等しい場合には、フィルムの正味帯 電量はゼロであり、そのようなフィルムは金属板の間に挟んで使用しても、静電 容量の法則 △Ｕ＝Ｑ／△Ｃ （但し、△Ｕは電圧の変化であり、Ｑはフィルムの電荷であり、△Ｃは金属板が 重ねられたときまたは剥がされたときに発生する静電容量の変化である。）に従 った電圧の変化を金属板中に発生させない。静電容量の変化は、あるとしても、 １μＦ／ｍ²のオーダーである。前記短冊状の正負電荷の帯電状態を採用しない 場合には、金属板の間にフィルムを挟むことによって生じる電圧の変化は数ｋＶ にもなる場合があり、生命を脅かすことすらある。鋼およびシート状金属板上へ の自己接着性保護フィルムとしての使用は、本発明のフィルム故に可能な応用例 の１つである。 接着性と印刷性とを向上させるために、吹き込み成形したフィルムにＡＣコロ ナ処理もほどこしてもよい。フィルムの片面にわずかに粘着性を有する材料を塗 布することにより、フィルムの用途を一段と増加させることができる。フィルム の片面にわずかに粘着性を有する材料を塗布することにより、ＡＣコロナ処理お よび前記充電過程の強度の調節の両方によって、フィルムの接着性を調節するこ とが可能になる。 さらに、フィルム内部に形成された正味の電荷量は、塩化第一鉄（通常、電荷 中心（charge centres）として作用する不純物を含有している）のような電荷結 合添加剤をドーピングすることによって調節することができる。 当業者には、本発明の様々な態様が前記の例に限定されず、以下に提示する請 求の範囲内で変化させることができるのは明らかである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，Ｍ Ｃ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ， ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＫＥ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＺ，ＵＧ)， ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，Ｃ Ｈ，ＣＮ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ ，ＧＥ，ＨＵ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ， ＫＺ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，Ｍ Ｋ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＴＪ，ＴＭ， ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ (72)発明者 クウロゲル，ユルキ フィンランド国，エフイーエン−70780 クオピオ，ヴィフルンクエ ６ (72)発明者 レイゼーネン，ラッセ フィンランド国，エフイーエン−90500 オウル，ヒンタンティエ 11 ベー 14

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．静電力によって自己接着性を有し、好ましくは平たい形状の気泡を含有する 誘電性の材料のフィルムにおいて、フィルムに接着性を持たせるために、該フィ ルムは内部に大きな単一極性の電荷を与えられ、該電荷は、前記気泡中に部分的 な放電を起こし、放電による電荷をフィルムの誘電性材料中に移動させるのに十 分な強さの電荷によってフィルムを充電することによって作られることを特徴と すること。 ２．前記フィルムがわずかに粘着性を有する粘着剤様の層を塗布される請求項１ に記載のフィルム。 ３．前記フィルムの接着性を調節するために、その片方または両方の表面をＡＣ コロナ処理に付す請求項１または２に記載のフィルム。 ４．前記フィルムの内部に生じる正味の電荷を増大させるために、塩化第一鉄の ような電荷結合添加剤をドープしてなる請求項１、２または３に記載のフィルム 。 ５．前記フィルムのある部分が正の電荷を有し、別の部分が負の電荷を有する請 求項１〜４のいずれかに記載のフィルム。 ６．静電力によって自己接着性を有し、好ましくは平たい形状の気泡を含有する 誘電性材料のフィルムの製造方法において、フィルムに接着性を持たせるために 、前記気泡中に部分的な放電を起こし、放電による電荷をフィルムの誘電性材料 中に移動させるのに十分な強さの電荷によってフィルムを充電し、該フィルムの 内部に大きな単一極性の電荷を生じさせることを特徴とすること。 ７．前記フィルムがＡＣコロナ処理に付される請求項６に記載の方法。 ８．前記フィルムの接着性がＡＣコロナ処理の強度、前記充電の強度またはその 両方によって調節される請求項６または７に記載の方法。