JP3292352B2 - コンデンサ用ポリエステルフイルム、その製造方法及びそれを用いたコンデンサ - Google Patents

コンデンサ用ポリエステルフイルム、その製造方法及びそれを用いたコンデンサ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気特性が良く、厚み
均一性の良い、易滑性の改良された、かつ、ハンドリン
グ性に優れたコンデンサ用ポリエステルフイルム、該フ
イルムを用いたコンデンサ及び該フイルムを高速で生産
性良く製造するための改良された方法に関する。更に詳
しくは、電気絶縁性及び蒸着加工性の改良されたコンデ
ンサ用途のポリエステルフイルム及びその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル、とりわけポリエチレンテ
レフタレートをベースポリマーとする2軸配向フイルム
は、機械的特性、電気的特性、寸法安定生が優れている
ことから、磁気テープ用、コンデンサ用、包装用、製版
用、電気絶縁用、写真フイルム用など多くの分野で使用
されている。
【0003】これらの用途の中でもとりわけ磁気テープ
用、コンデンサ用などで一層の高級化、高品質化、小型
化が進んでおり、それに合わせるようにベースポリマー
の無粒子化が進んでいる。
【0004】一方、熱可塑性樹脂からなるポリエステル
フイルムの製膜において、溶融押出したシート状物を回
転ドラムなどの冷却体表面で急冷するに際し、押し出し
口金と回転冷却体表面との間にワイヤー状の電極を設け
て、半固化のシート状物の表面上に静電荷を印加析出さ
せながら冷却体に密着させて急冷することにより、より
均一なフイルムを得る静電印加キャスト法は、特公昭3
7−6142号公報などにより公知である。
【0005】しかし、この静電印加キャスト法において
生産性を高めるために回転冷却体の速度を上げて行く
と、シート状物表面の単位面積当りの静電荷量が減少し
て冷却体表面との密着力が低下し、更に、速度を上げて
行くことにより、回転冷却体によって持ち込まれる随伴
空気を巻き込むようになり、シート状物表面に微細な欠
点を生ずるようになる。
【0006】この静電荷量の減少に対して、印加電圧を
上げる方法は有効な手段であるが、ある一定電圧以上に
高めすぎるとシート状物表面にアーク放電が生じ、静電
密着力が低下するとともにシート状物表面に放電傷を与
え欠点を生ずることになる。
【0007】この静電印加キャスト法の欠点を克服する
方法として、原料ポリエステルの溶融時の比抵抗下げ
る方法が提案されており、例えば、特開昭51−702
69号、特開昭63−254126号公報記載のよう
に、ポリエステル製造時に金属化合物を添加含有せしめ
る方法がある。また、この様な方法によって得られた溶
融比抵抗の低いポリエステルを配合してポリエステルフ
イルムを製造する方法が特開昭59−49258号、特
開昭59−214618号公報などで提案されている。
しかし、これらの方法はフイルムの電気特性を悪化させ
る欠点があるので、コンデンサ用途のポリエステルフイ
ルムには適用できていない。
【0008】また、静電印加法とは別にストリーマコロ
ナを利用する方法が特開昭56−105930号公報で
提案されている。本手法をポリエステルフイルムの成形
に適用しても、ストリーマコロナが生ずる前にアーク放
電が始まり有効な成形方法になり得ない。また、片面ま
たは両面にストリーマコロナを生ずることができる重合
体を積層した重合体シートを成形する方法が特開昭56
−105932号公報で提案されているが、ポリエステ
ルに、他のストリーマコロナを生ずる重合体として例え
ばポリアミドを積層する方法では、本来のポリエステル
の機能を損ない、利用できない。
【0009】さらにまた、前述のような公知の方法と組
み合わせることによって静電印加キャスト法を改善し高
速製膜を達成する手段は容易に類推できるが、一例とし
て積層した重合体シートを成形する方法として、ストリ
ーマコロナを生ぜしめるために片面または両面にストリ
ーマコロナを生ずる樹脂を積層する前述の公知例に従
い、溶融比抵抗の低いポリエステルを片面または両面に
積層する方法が容易に類推できるが、この様な方法を使
用してもポリエステル同士の積層ではストリーマコロナ
を生ずる前にアーク放電が始まり、有効な成形方法にな
り得ない。またこの構成のものは、従来の単層での製膜
に最適な溶融比抵抗のポリエステルで得られる効果を越
えることはできない。
【0010】一方、コンデンサ用誘電体として用いられ
るポリエステルフイルムでは、求められる特性に高い電
気絶縁特性を必要とするところから、常法では原料での
溶融比抵抗を低下せしめるために敢えて金属化合物等を
添加して静電印加性を向上させるという処方は採らな
い。このために、生産性が悪く、また、平面性や厚みむ
らなどのシート成形時に発生する欠点も不利になってい
る。
【0011】また、コンデンサ用誘電体として用いられ
るポリエステルフイルムは、一般に6μm以下の厚みが
多く、最近では2μm以下、更に1μm以下の厚みのも
のも多く用いられるようになってきている。この誘電体
として用いられるポリエステルフイルムに電極としてア
ルミニウム金属などを蒸着しまたはアルミニウム箔を巻
き込みコンデンサ素子を製造する時、上記のようにフイ
ルム膜厚が極めて薄くなると、製造過程において、搬送
ロール上の蛇行、ずれ、静電気による剥離不良によって
破れのようなトラブルが発生し易くなる。特に蒸着して
使用するコンデンサ用ポリエステルフイルムは、減圧さ
れた蒸着機内で、アルミニウムなどの金属を高温に加熱
蒸発させて付着させ、ポリエステルフイルムをドラムに
密着させて冷却しながら加工する。この時にしわなどが
入って密着状態が悪くなると、「熱しわ」と言われる蒸
着欠点が発生する。したがって、通常の使用では問題の
無い厚み均一性、易滑性を有していたとしても、本用途
には格段の厚み均一性、易滑性が必要とされる。
【0012】一般にポリエステルフイルムの易滑性を改
良するには、表面に凹凸を付与することにより接触面積
を減少せしめる方法が採用される。この表面に凹凸を形
成させる方法として、ポリエステル製造過程で析出する
不溶性の粒子を析出させる方法、不活性の粒子を添加す
る方法等が用いられる。例えばフイルム表面の平滑性と
滑り性向上を目的に不活性粒子を添加する方法が特開昭
62−232431号公報に開示されている。また、す
べり性と耐摩耗性、粒子脱落性向上を目的に不活性凝集
粒子を添加する方法が特開昭62−212132号公報
に開示されている。これらの粒子はその大きさが大きい
ほど易滑性の改良効果が大であるが、コンデンサ用途で
は高い電気絶縁特性が必要であることと、フイルムの膜
厚が薄いことなどから粒子の選択に制約がある。即ち、
コンデンサ用途ではフイルム内部には粒子が存在しない
か、存在しても極微細でかつ電気特性を悪化させない粒
子であり、かつすべり性などを満足するものが好まし
い。
【0013】更に、一般にプラスチックフイルムは良好
な絶縁体ではあるが、その一方で摩擦や、剥離するとき
に静電気が発生し易く、前述したように、静電気が基に
なってブロッキング破れを起こしたり、静電気によって
マージン形成用オイル吐出ノズルを汚してしまうという
問題が起こる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】かかる問題に鑑み、本
発明者らはコンデンサ用に適した電気特性を持ちなが
ら、厚み均一性の優れた、易滑性の良い、極めてハンド
リングし易くて生産性の良いコンデンサ用ポリエステル
フイルム及びその製造方法を鋭意検討し、その結果本発
明に到達したものである。
【0015】本発明の目的は、静電印加キャストの難し
い電気絶縁特性の高いポリエステルを使用してコンデン
サ用ポリエステルフイルムを冷却固化する際に、厚み均
一性が良く、欠点の無いフイルムを高速で製造する新し
い方法を提供することにある。
【0016】他の目的は、コンデンサ製造過程における
真空蒸着時に巻き出し特性が良く、蒸着欠点のないハン
ドリング性が改良されたフイルムおよびそれを用いたコ
ンデンサを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】この目的に沿う本発明の
コンデンサ用ポリエステルフイルムは、次の構成を有す
る。溶融時の比抵抗が1×109 Ωcm以上であるポリ
エステルAを主層とし、該主層の少なくとも片面に、平
均粒径が0.1〜2.4μmで1次粒径が0.01〜
0.1μmの不活性凝集粒子及び平均粒径が0.01〜
1.0μmの不活性粒子を含有し、溶融時の比抵抗が
0.6×108 Ωcm以下であるポリエステルBからな
る副層を、積層厚み比φ=dA /dB と溶融比抵抗Rの
積が(1)式を満足し、不活性凝集粒子の平均粒径D
α、不活性粒子の平均粒径Dβと副層の厚みとがそれぞ
れ(2)式を満足するように積層したことを特徴とす
る、コンデンサ用ポリエステルフイルム。 7×108 ≦RB ×φ≦RA (1) Dα/dB ≦10 、Dβ/dB ≦3.5 (2) (RA ;主層の溶融比抵抗、RB ;副層の溶融比抵抗、
A ;主層の厚み、dB;副層の厚み(両面積層の場合
はおのおのの層の厚み))
【0018】また、本発明は、上記ポリエステルフイル
ムを用いたコンデンサ、および上記ポリエステルフイル
ムを、静電印加キャスト法を用いて製造する方法を提供
する。
【0019】本発明においては、上記副層が片面積層で
あるコンデンサ用ポリエステルフイルム及びその製造方
法、副層が両面積層であるコンデンサ用ポリエステルフ
イルム及びその製造方法のいずれであってもよい。更
に、副層には不活性凝集粒子が0.001〜1.0重量
%及び不活性粒子が0.001〜1.0重量%含まれて
いることが好ましい。
【0020】本発明を詳細に説明すると、本発明におい
てポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、ア
ジピン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等の芳香
族ジカルボン酸を主たる酸性分とし、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
テトラメチレングリコール等のグリコールを主たるジオ
ール成分とするポリエステルである。更にこれらのポリ
エステル及びその共重合体を2種以上混合したものであ
ってもよい。
【0021】本発明で主層に使用されるポリエステルA
は、溶融時の比抵抗が1×109 Ωcm以上である。特
にこの主層には高い電気絶縁性をもたせるために、溶融
時の比抵抗が3×109 Ωcm以上であることが好まし
い。更に好ましくは5×109 Ωcm以上である。ま
た、ポリエステルAには、粒子を実質的に含まないこと
が好ましいが、内部析出粒子や、本発明によるリサイク
ルペレットに含まれる程度の粒子を含むことは妨げな
い。
【0022】また、本発明で副層に用いるポリエステル
Bは、その溶融時の比抵抗が0.6×108 Ωcm以下
である。この溶融比抵抗の低いポリエステルは、前述の
公知の方法によって製造されるが、このポリエステルよ
り溶融比抵抗の高いポリエステルとの配合によって得ら
れるものとしてもよいが、溶融時の比抵抗が0.6×1
8 Ωcm以下でなければ本発明の効果は得られない。
【0023】また、積層比φ=dA /dB と溶融比抵抗
Rとは次の関係にある。 7×108 ≦RB ×φ≦RA (1) (RA ;主層の溶融比抵抗、RB ;副層の溶融比抵抗、
A ;主層の厚み、dB;副層の厚み(両面積層の場合
はおのおのの層の厚み))
【0024】すなわち、副層に用いるポリエステルに溶
融比抵抗値の小さいものを選べば積層比を大きくとり、
溶融比抵抗の大きめのポリエステルを選ぶと積層比は小
さくとる必要がある。この関係を維持することがコンデ
ンサ用ポリエステルフイルムとしての電気特性を低下さ
せないために必要である。またRB ×φがポリエステル
Aの溶融比抵抗値を越えると、静電キャスト性が悪くな
って、好ましくない。
【0025】ここで、主層のポリエステルAに溶融比抵
抗値の高い樹脂を選び、副層のポリエステルBに溶融比
抵抗値の低いポリエステルを選ぶことで格段に優れたキ
ャスト性が得られる理由は定かではないが、厚みの大部
分を占める主層に溶融比抵抗値の高い樹脂を選ぶことに
よって放電させることなく高い電圧が印加でき、溶融比
抵抗値の低い表層の樹脂層に静電荷を誘起させ易くして
やるところにあると考えられる。
【0026】また、副層に用いるポリエステルの他の特
徴は、不活性凝集粒子と不活性粒子のそれぞれ1種類以
上を単独でまたは併用して使用し、不活性凝集粒子の平
均粒径Dα、不活性粒子の平均粒径Dβと副層の厚みと
がそれぞれ下記式の関係にある必要がある。 Dα/dB ≦10、Dβ/dB ≦3.5 (2) 但し、両面積層の場合それぞれの層についてこの関係を
満足する必要がある。
【0027】不活性粒子としては、二酸化珪素、二酸化
チタン、二酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、アルミ
ナ、タルク、カオリンなどの無機系粒子が一般的に使用
される。不活性凝集粒子としてはこれらの不活性粒子の
凝集体を言う。また、不活性粒子としてスチレン、シリ
コーン、ポリメチルメタクリレート、ポリアミドイミド
などの高耐熱性高分子の有機系粒子の使用も妨げない。
本発明に用いることのできる粒子は、粒子の充填層がポ
リエステルの極く表面のみに限られるという特性のため
に、従来のものに比べて粒子の電気特性を考慮すること
なく、すべり性、ポリエステルとの親和性改良などを目
的に粒子を自由に選択できる利点がある。
【0028】即ち、本発明フイルムの副層に含まれる不
活性凝集粒子は、平均粒径が0.1〜2.4μmで、そ
の1次粒径は0.01〜0.1μmである。0.01μ
m未満であると凝集力が小さくなり凝集の利点がなくな
る。また、0.1μmより大きくなると凝集力が大きく
なりすぎて製膜工程で凝集を破壊することができなくな
って不適である。また、凝集粒子の平均粒径は0.1〜
2.4μmである必要がある。0.1μm未満では押し
出し及び縦、横方向に2軸延伸し、熱固定した後に有効
な突起になり難いので不適である。また、2.4μmを
越えると押し出し及び縦、横方向に2軸延伸しても大き
な突起として残り、加工工程で突起となった粒子の脱落
が起こったり、コンデンサ素子に加工された後でピンホ
ールの様な欠点を生じたりし易くなって、コンデンサと
しての電気特性を損なうので好ましくない。
【0029】また、副層の厚みと凝集粒子の粒径との関
係に関して、Dα/dB ≦10である。この凝集粒子は
押し出しおよび延伸工程でフイルム面に平行な方向に適
度につぶれるが、Dα/dB が10を越えると、ポリエ
ステルを突き破り凝集粒子がむき出しになって、加工中
に脱落してくるので好ましくない。
【0030】また、不活性凝集粒子の添加量は0.00
1から1.0重量%の範囲が好ましい。0.001重量
%未満ではすべり性が向上しないか、向上してもわずか
しか期待できない。また、1.0重量%を越えると、溶
融押出時に再凝集し、粗大突起になるので好ましくな
い。
【0031】ここで、凝集粒子を用いる理由について考
察すると、分散の良い粒子を用いた場合その突起の広が
りは粒子の径に相当する分しかないが、凝集粒子では押
し出しおよび縦、横延伸工程でフイルムの厚みに垂直な
方向に(つまりフイルムの表面と平行な方向に)つぶれ
るために裾広がりのある台形状突起を形成することがで
きるところにあると考えられている。この台形状突起に
よってフイルムの滑りと摩擦を適度にコントロールする
条件が本発明の特徴の一つであり、前述の問題を解決し
てくれる。
【0032】また、第2の粒子として平均粒径が0.0
1から1.0μmの不活性粒子を含有している。この粒
子は不活性凝集粒子のすき間を埋めるために適宜使用す
る。平均粒径は上述の如く0.01から1.0μmであ
る。0.01μm未満ではすき間を埋める効果がない。
また1.0μmを越えると、副層のポリエステルを突き
出てしまって粒子が脱落し易くなり好ましくない。添加
量としては0.001から1.0重量%が好ましい。
0.001重量%未満では添加した効果がない。1.0
重量%を越えると、ポリエステルを溶融押し出しする時
に粒子が再凝集してフイルムにしたとき粗大突起とな
り、好ましくない。更に、副層の厚みと凝集粒子の粒径
に関しては、Dβ/dB ≦3.5である。Dβ/dB
3.5を越えると、ポリエステルを突き破り粒子がむき
出しになって加工中に脱落してくるので好ましくない。
【0033】本発明フイルムにおいては、副層は、片面
または両面積層ともに効果がある。片面の場合、副層は
回転冷却体の反対面側に積層すると効果が大きいが、回
転冷却体面側に積層しても効果が認められる。両面積層
が引き取り速度を大ならしめるためには最も好ましいが
これに限定しない。
【0034】上記のようなポリエステルフイルムを誘電
体として用いたコンデンサは、高い電気絶縁特性をもち
つつ、蒸着時の加工特性にも極めて優れている。
【0035】また、本発明のポリエステルフイルムを製
造する場合、特に優れた静電印加キャスト性が得られ、
薄物フイルムであっても、良好に2軸延伸できる。
【0036】以下本発明を実施例を用いて説明するが、
本発明における特性は次の測定法による。 (1)静電印加キャスト法 押出機の口金部において、押出フイルムの上部にある電
極と回転冷却体との間に直流高電圧を印加する。回転冷
却体の速度を上げ、フイルム表面に欠点が生じないよう
に印加電圧を上げて行ったとき、電圧を上げてもフイル
ム表面の欠点が消えないか、アーク放電が開始するか、
または電圧を上げても静電荷が散逸して密着力が落ち、
随伴空気がフイルムと回転冷却体との間に流れ込んで密
着できなくなる回転冷却体の最高速度で判定する。
【0037】(2)溶融比抵抗 290℃で溶融したポリエステル中に2枚の銅板電極を
設け、1kVの高電圧を印加した時の電流値を読み取り
比抵抗値(Ωcm)を計算により求める。
【0038】(3)厚みむら 巻き取られたフイルムを長手方向に10m採取して、ア
ンリツ(株)製電子マイクロメータで連続的に厚みを測
定し、その最大厚みと最小厚みを平均厚みで除して百分
率(%)で比較する。
【0039】(4)蒸着加工性の評価 1Torrまで減圧できるチャンバー内に張力検出機構
を持った巻出機と巻取機を設置し、2本の直径100m
mで表面粗度を1sに研磨したクロムメッキロールを5
0cm隔てて平行に設置して、速度300m/分で、巻
出張力を1kg/mにセットし、巻出製品上のフイルム
のズレ量と、2本のロール間に出来るしわを評価した。
ズレ量はカセトメータで読み、しわの発生の程度、ばた
ついたり蛇行しない程度を◎、○、△、×の4段階で評
価したが、おおむね次の基準によった。 判定 巻き出しズレ量(mm) しわの状況 ◎ : 0〜1 しわ発生無し ○ : 2〜5 間欠的なしわが横に流れる △ : 6〜20 常時しわが流れる × : 20以上 ばたつきが始まる 更に、テスト後のロ−ルの汚れ状態を○:汚れなし、
×:白粉汚れありで評価し、記録した。
【0040】(5)電気絶縁抵抗 JIS−C2318に従って素子法で電気絶縁特性を測
定し、その時のミニマムの破壊電圧を比較する。
【0041】(6)積層比 主層用の第1の押出機と副層用の第2の押出機の吐出量
比より求めた。
【0042】(7)極限粘度 オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定す
る。
【0043】(8)平均粒径 電子顕微鏡写真により測定した全粒子の50重量%の点
にあたる粒子の等価球直径として求めた。等価球直径と
は粒子と同じ容積を有する球の直径である。
【0044】
【実施例】
ポリエステルの製造 主層のポリエステルAとして極限粘度0.64、溶融比
抵抗5×109 Ωcm及び9×109 Ωcmの内部析出
粒子の他には粒子を含まないポリエステルを用いた。
【0045】また、副層のポリエステルBとして、内部
析出粒子の他に粒子を含まない極限粘度0.65、溶融
比抵抗6×106 Ωcmのポリエステル1 種類と、同じ
く内部粒子の他に粒子を含まない極限粘度0.65、溶
融比抵抗1×108 Ωcmおよび不活性凝集粒子として
二酸化珪素を用い、不活性粒子として炭酸カルシウムを
用いて、それぞれ極限粘度0.65、溶融比抵抗1×1
8 Ωcmのマスターポリエステルを作成し、適宜配合
して表1〜表5の溶融比抵抗、添加量として使用した。
【0046】製膜法 ポリエステルAを常法で乾燥し、285℃に設定された
第1の押出機で溶融し口金より吐出させた。ポリエステ
ルBは各マスターポリエステルを溶融比抵抗、粒子径、
添加量が表1〜表5に示したようになるように適宜配合
し、同じく常法で乾燥して積層比が表に示したようにな
るように第2の押出機の回転数を設定した。これを片面
または両面に積層して口金より、25℃に設定した回転
冷却体上に吐出させた。回転冷却体上には、線径0.1
5mmのワイヤー電極によって静電的に回転冷却体上に
密着させ、約70μmの未延伸シートを得た。更に、縦
延伸機でおよそ97℃で3.4倍に延伸し、ついで10
0℃で3.6倍に横延伸して215℃で熱固定して約6
μmの2軸延伸ポリエステルフイルムを得た。更に50
0mm幅で5000mの長さに張力3kg/m、面圧5
0kg/m、速度150m/分の条件でスリットした。
【0047】実施例1〜4 ポリエステルBを片面積層とし、回転冷却体と反対面に
積層した例を表1に示した。
【0048】比較例1〜7 ポリエステルA単体で製膜したものの他に、ポリエステ
ルBを片面積層とした比較例を表2に示した。表1に示
された通り本発明においては、静電印加キャスト性、厚
み均一性、電気絶縁性、すべり性、真空下での巻き出し
性とも良好であり、いずれも従来になく好ましいもので
あった。
【0049】実施例5〜8 ポリエステルBを両面積層としたものの好適な例を表3
に示した。両面積層とすることにより同じ積層比でもキ
ャスト性が向上し、電気特性の低下及び滑り性の悪化は
認められなかった。
【0050】比較例8〜12 ポリエステルBを両面積層とし、溶融比抵抗、粒子、膜
厚を変えたものを積層し表4に示した。
【0051】実施例9、10 両面積層でポリエステルAに更に好適な溶融比抵抗のポ
リエステルを使用した例を表5に示した。
【0052】比較例13 実施例9において、副層の厚みを上げた例を表5に示し
た。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電気絶縁特性の高いポリエステルフイルムを製造するた
めに溶融比抵抗の低いポリエステルを溶融比抵抗の高い
ポリエステルに極薄く積層することで、冷却成形用の回
転冷却体の速度を上げることができ、生産性よく製造で
き、単膜の製膜法と遜色無い電気絶縁特性が得られる。
【0059】また、本発明方法でキャストした未延伸シ
ートを縦および横方向に2軸延伸し熱固定したポリエス
テルフイルムは、ハンドリングに際して、すべり性が良
く、特に蒸着工程やコンデンサ加工工程での生産性が良
くなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−272713(JP,A) 特開 平6−181142(JP,A) 特開 平3−122134(JP,A) 特開 平6−192441(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01G 4/00 - 4/10 H01G 4/14 - 4/42

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融時の比抵抗が1×109 Ωcm以上
    であるポリエステルAを主層とし、該主層の少なくとも
    片面に、平均粒径が0.1〜2.4μmで1次粒径が
    0.01〜0.1μmの不活性凝集粒子及び平均粒径が
    0.01〜1.0μmの不活性粒子を含有し、溶融時の
    比抵抗が0.6×108 Ωcm以下であるポリエステル
    Bからなる副層を、積層厚み比φ=dA /dB と溶融比
    抵抗Rの積が(1)式を満足し、不活性凝集粒子の平均
    粒径Dα、不活性粒子の平均粒径Dβと副層の厚みとが
    それぞれ(2)式を満足するように積層したことを特徴
    とする、コンデンサ用ポリエステルフイルム。 7×108 ≦RB ×φ≦RA (1) Dα/dB ≦10 、Dβ/dB ≦3.5 (2) (RA ;主層の溶融比抵抗、RB ;副層の溶融比抵抗、
    A ;主層の厚み、dB;副層の厚み(両面積層の場合
    はおのおのの層の厚み))
  2. 【請求項2】 副層が主層の片面に積層されている、請
    求項1のコンデンサ用ポリエステルフイルム。
  3. 【請求項3】 副層が主層の両面に積層されている、請
    求項1のコンデンサ用ポリエステルフイルム。
  4. 【請求項4】 副層に、不活性凝集粒子が0.001〜
    1.0重量%、不活性粒子が0.001〜1.0重量%
    含まれている、請求項1ないし3のいずれかに記載のコ
    ンデンサ用ポリエステルフイルム。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載のポ
    リエステルフイルムを、静電印加キャスト法を用いて製
    造する、コンデンサ用ポリエステルフイルムの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし4のいずれかに記載のポ
    リエステルフイルムを用いたコンデンサ。
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