JPH10502A - すぐれた耐摩耗性を有する炭窒化物系サーメット製切削工具 - Google Patents
すぐれた耐摩耗性を有する炭窒化物系サーメット製切削工具Info
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- JPH10502A JPH10502A JP14887596A JP14887596A JPH10502A JP H10502 A JPH10502 A JP H10502A JP 14887596 A JP14887596 A JP 14887596A JP 14887596 A JP14887596 A JP 14887596A JP H10502 A JPH10502 A JP H10502A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 すぐれた耐摩耗性を有する炭窒化物系サーメ
ット製切削工具を提供する。 【解決手段】 炭窒化物系サーメット製切削工具が、単
一相構造を有するTiとMの2元系複合炭窒化物固溶体
相(但し、MはW、Nb、およびTaのうちのいずれか
1種を示す):2〜16%、Co−Ni系合金の結合
相:5〜20%、単一相構造を有するTiとWとNbお
よび/またはTaの3元系複合炭窒化物固溶体相および
不可避不純物:残り、からなる組成(以上、容量%)、
並びに焼結時にいも虫状に成長した前記3元系複合炭窒
化物固溶体相が局部的に相互融着して連続相を形成し、
前記結合相は前記3元系複合炭窒化物固溶体相間に分散
相として存在し、さらに前記前記2元系複合炭窒化物固
溶体相が前記結合相中、あるいは前記結合相および前記
3元系複合炭窒化物固溶体相の中に分散相として分布し
た組織を有する炭窒化物系サーメットで構成する。
ット製切削工具を提供する。 【解決手段】 炭窒化物系サーメット製切削工具が、単
一相構造を有するTiとMの2元系複合炭窒化物固溶体
相(但し、MはW、Nb、およびTaのうちのいずれか
1種を示す):2〜16%、Co−Ni系合金の結合
相:5〜20%、単一相構造を有するTiとWとNbお
よび/またはTaの3元系複合炭窒化物固溶体相および
不可避不純物:残り、からなる組成(以上、容量%)、
並びに焼結時にいも虫状に成長した前記3元系複合炭窒
化物固溶体相が局部的に相互融着して連続相を形成し、
前記結合相は前記3元系複合炭窒化物固溶体相間に分散
相として存在し、さらに前記前記2元系複合炭窒化物固
溶体相が前記結合相中、あるいは前記結合相および前記
3元系複合炭窒化物固溶体相の中に分散相として分布し
た組織を有する炭窒化物系サーメットで構成する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、すぐれた耐摩耗
性を有し、例えば鋼などの高速切削ですぐれた切削性能
を長期に亘って発揮する炭窒化物系サーメット製切削工
具(以下、サーメット工具という)に関するものであ
る。
性を有し、例えば鋼などの高速切削ですぐれた切削性能
を長期に亘って発揮する炭窒化物系サーメット製切削工
具(以下、サーメット工具という)に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、特開平7−307155
号公報に記載されるように、鋼などの切削加工に用いら
れるサーメット工具として、容量%(以下、%は容量%
を示す)で、 単一相構造を有するTiと、W,Nb、およびTaのう
ちのいずれか1種との2元系複合炭窒化物固溶体[以
下、(Ti,M)CNで示す]相:2〜16%、 単一相構造を有するTiとWとNbおよび/またはTa
の3元系複合炭窒化物固溶体[以下、(Ti,W,Nb
/Ta)CNで示す]相:64〜93%、 Co−Ni系合金の結合相および不可避不純物:残り、 からなる組成、並びに図5に組織模式図で例示される通
り、上記結合相が連続相を形成し、上記(Ti,W,N
b/Ta)CN相および(Ti,M)CN相が分散相を
形成する組織を有する炭窒化物系サーメット(以下、サ
ーメットと云う)で構成されたサーメット工具が知られ
ている。
号公報に記載されるように、鋼などの切削加工に用いら
れるサーメット工具として、容量%(以下、%は容量%
を示す)で、 単一相構造を有するTiと、W,Nb、およびTaのう
ちのいずれか1種との2元系複合炭窒化物固溶体[以
下、(Ti,M)CNで示す]相:2〜16%、 単一相構造を有するTiとWとNbおよび/またはTa
の3元系複合炭窒化物固溶体[以下、(Ti,W,Nb
/Ta)CNで示す]相:64〜93%、 Co−Ni系合金の結合相および不可避不純物:残り、 からなる組成、並びに図5に組織模式図で例示される通
り、上記結合相が連続相を形成し、上記(Ti,W,N
b/Ta)CN相および(Ti,M)CN相が分散相を
形成する組織を有する炭窒化物系サーメット(以下、サ
ーメットと云う)で構成されたサーメット工具が知られ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年の切削装置
の高性能化はめざましく、かつ省エネ化および省力化に
対する要求も強く、これに伴い、切削加工は高速化の傾
向にあるが、上記の従来サーメットを、例えば鋼の高速
切削に用いた場合、摩耗が著しく、比較的短時間で使用
寿命に至るのが現状である。
の高性能化はめざましく、かつ省エネ化および省力化に
対する要求も強く、これに伴い、切削加工は高速化の傾
向にあるが、上記の従来サーメットを、例えば鋼の高速
切削に用いた場合、摩耗が著しく、比較的短時間で使用
寿命に至るのが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述ような観点から、上記の従来サーメット工具に着目
し、これの耐摩耗性向上をはかるべく研究をおこなった
結果、上記の従来サーメット工具の製造に際しては、圧
粉体の焼結が、通常の条件、すなわち、(a) 室温か
ら(液相出現温度−20℃)の温度までを、0.1〜
0.5Torrの真空雰囲気中で昇温し、(b) 昇温
後、5〜15Torrの窒素雰囲気にかえて1400〜
1520℃の範囲内の所定の焼結温度迄昇温し、(c)
引続いて同じ窒素雰囲気中で前記焼結温度に所定時間
保持後炉冷、の条件で行われるが、この焼結を、(a)
室温から1200〜1270℃の範囲内の所定温度ま
でを0.5〜1.5Torrの窒素雰囲気中で昇温し、
(b) 昇温後、雰囲気を、5〜10Torrの水素と
メタンの混合ガス(メタン含有割合:1〜15%)に変
えて(液相出現温度−50℃)の温度まで昇温し、この
温度に所定時間保持し、(c) 引続いて雰囲気を、5
〜15Torrの窒素雰囲気にかえて1400〜152
0℃の範囲内の焼結温度まで昇温し、(d) 同じ窒素
雰囲気中で前記焼結温度に所定時間保持後炉冷、の条件
で行うと、特に上記焼結温度への昇温過程、すなわち、
上記窒素雰囲気での昇温と、これに続く上記混合ガス雰
囲気での昇温、さらに前記混合ガス雰囲気での所定時間
保持によって(Ti,W,Nb/Ta)CNにいも虫状
の成長が起こり、これによって(Ti,W,Nb/T
a)CNが局部的に相互融着して連続相を形成するよう
になり、この結果焼結後のサーメットは、図1、2に組
織模式図で例示されるように、焼結時にいも虫状に成長
した(Ti,W,Nb/Ta)CN相1が局部的に相互
融着して連続相を形成し、Co−Ni系合金の結合相3
は前記(Ti,W,Nb/Ta)CN相間に分散相とし
て存在し、かつ(Ti,M)CN相2が、前記結合相
中、あるいは前記結合相と前記(Ti,W,Nb/T
a)CN相の中に分散相として分布した組織をもつよう
になり、さらに一段の耐摩耗性向上を目的として、必要
に応じて炭窒化チタン(以下、TiCNで示す)を含有
する場合には、同じく図3、4に組織模式図で例示され
るように、このTiCN相4および前記(Ti,M)C
N相2が、前記結合相中、あるいは前記結合相と前記
(Ti,W,Nb/Ta)CN相の中に分散相として分
布した組織をもつようになり、このような組織を有する
サーメットで構成されたサーメット工具は、例えば鋼の
高速切削で、連続相を形成するまでにいも虫状に成長
し、かつ相互融着した上記(Ti,W,Nb/Ta)C
N相の作用によってすぐれた耐摩耗性を長期に亘って発
揮するという研究結果を得たのである。
上述ような観点から、上記の従来サーメット工具に着目
し、これの耐摩耗性向上をはかるべく研究をおこなった
結果、上記の従来サーメット工具の製造に際しては、圧
粉体の焼結が、通常の条件、すなわち、(a) 室温か
ら(液相出現温度−20℃)の温度までを、0.1〜
0.5Torrの真空雰囲気中で昇温し、(b) 昇温
後、5〜15Torrの窒素雰囲気にかえて1400〜
1520℃の範囲内の所定の焼結温度迄昇温し、(c)
引続いて同じ窒素雰囲気中で前記焼結温度に所定時間
保持後炉冷、の条件で行われるが、この焼結を、(a)
室温から1200〜1270℃の範囲内の所定温度ま
でを0.5〜1.5Torrの窒素雰囲気中で昇温し、
(b) 昇温後、雰囲気を、5〜10Torrの水素と
メタンの混合ガス(メタン含有割合:1〜15%)に変
えて(液相出現温度−50℃)の温度まで昇温し、この
温度に所定時間保持し、(c) 引続いて雰囲気を、5
〜15Torrの窒素雰囲気にかえて1400〜152
0℃の範囲内の焼結温度まで昇温し、(d) 同じ窒素
雰囲気中で前記焼結温度に所定時間保持後炉冷、の条件
で行うと、特に上記焼結温度への昇温過程、すなわち、
上記窒素雰囲気での昇温と、これに続く上記混合ガス雰
囲気での昇温、さらに前記混合ガス雰囲気での所定時間
保持によって(Ti,W,Nb/Ta)CNにいも虫状
の成長が起こり、これによって(Ti,W,Nb/T
a)CNが局部的に相互融着して連続相を形成するよう
になり、この結果焼結後のサーメットは、図1、2に組
織模式図で例示されるように、焼結時にいも虫状に成長
した(Ti,W,Nb/Ta)CN相1が局部的に相互
融着して連続相を形成し、Co−Ni系合金の結合相3
は前記(Ti,W,Nb/Ta)CN相間に分散相とし
て存在し、かつ(Ti,M)CN相2が、前記結合相
中、あるいは前記結合相と前記(Ti,W,Nb/T
a)CN相の中に分散相として分布した組織をもつよう
になり、さらに一段の耐摩耗性向上を目的として、必要
に応じて炭窒化チタン(以下、TiCNで示す)を含有
する場合には、同じく図3、4に組織模式図で例示され
るように、このTiCN相4および前記(Ti,M)C
N相2が、前記結合相中、あるいは前記結合相と前記
(Ti,W,Nb/Ta)CN相の中に分散相として分
布した組織をもつようになり、このような組織を有する
サーメットで構成されたサーメット工具は、例えば鋼の
高速切削で、連続相を形成するまでにいも虫状に成長
し、かつ相互融着した上記(Ti,W,Nb/Ta)C
N相の作用によってすぐれた耐摩耗性を長期に亘って発
揮するという研究結果を得たのである。
【0005】この発明は、上記の研究結果にもとづいて
なされたものであって、 (a) 単一相構造を有する(Ti,M)CN相:2〜
16%、 Co−Ni系合金の結合相:5〜20%、 同じく単一相構造を有する(Ti,W,Nb/Ta)C
N相および不可避不純物:残り、 からなる組成、並びに焼結時にいも虫状に成長した上記
(Ti,W,Nb/Ta)CN相が局部的に相互融着し
て連続相を形成し、上記結合相は前記(Ti,W,Nb
/Ta)CN相間に分散相として存在し、さらに上記
(Ti,M)CN相が前記結合相中、あるいは前記結合
相および前記(Ti,W,Nb/Ta)CN相の中に分
散相として分布した組織を有するサーメットで構成され
たサーメット工具、 (b) 単一相構造を有する(Ti,M)CN相:2〜
16%、 同じく単一相構造を有するTiCN相:1〜10%、 Co−Ni系合金の結合相:5〜20%、 同じく単一相構造を有する(Ti,W,Nb/Ta)C
N相および不可避不純物:残り、 からなる組成、並びに焼結時にいも虫状に成長した上記
(Ti,W,Nb/Ta)CN相が局部的に相互融着し
て連続相を形成し、上記結合相は前記(Ti,W,Nb
/Ta)CN相間に分散相として存在し、さらに上記
(Ti,M)CN相およびTiCN相が前記結合相中、
あるいは前記結合相および前記(Ti,W,Nb/T
a)CN相の中に分散相として分布した組織を有するサ
ーメットで構成されたサーメット工具、 以上(a)および(b)のサーメット工具に特徴を有す
るものである。
なされたものであって、 (a) 単一相構造を有する(Ti,M)CN相:2〜
16%、 Co−Ni系合金の結合相:5〜20%、 同じく単一相構造を有する(Ti,W,Nb/Ta)C
N相および不可避不純物:残り、 からなる組成、並びに焼結時にいも虫状に成長した上記
(Ti,W,Nb/Ta)CN相が局部的に相互融着し
て連続相を形成し、上記結合相は前記(Ti,W,Nb
/Ta)CN相間に分散相として存在し、さらに上記
(Ti,M)CN相が前記結合相中、あるいは前記結合
相および前記(Ti,W,Nb/Ta)CN相の中に分
散相として分布した組織を有するサーメットで構成され
たサーメット工具、 (b) 単一相構造を有する(Ti,M)CN相:2〜
16%、 同じく単一相構造を有するTiCN相:1〜10%、 Co−Ni系合金の結合相:5〜20%、 同じく単一相構造を有する(Ti,W,Nb/Ta)C
N相および不可避不純物:残り、 からなる組成、並びに焼結時にいも虫状に成長した上記
(Ti,W,Nb/Ta)CN相が局部的に相互融着し
て連続相を形成し、上記結合相は前記(Ti,W,Nb
/Ta)CN相間に分散相として存在し、さらに上記
(Ti,M)CN相およびTiCN相が前記結合相中、
あるいは前記結合相および前記(Ti,W,Nb/T
a)CN相の中に分散相として分布した組織を有するサ
ーメットで構成されたサーメット工具、 以上(a)および(b)のサーメット工具に特徴を有す
るものである。
【0006】なお、この発明のサーメット工具を構成す
るサーメットの構成成分である(Ti,W,Nb/T
a)CN相は、これの金属成分であるTiとWとNb/
Taの含有割合が、これら金属成分に占める割合(原子
%)で、 W:5〜25%、 Nb/Ta:6〜30%、 Ti:残り、 を満足した場合に、焼結時にいも虫状の成長が起こっ
て、相互融着が発生し易くなり、連続相の形成が促進さ
れるようになるのある。
るサーメットの構成成分である(Ti,W,Nb/T
a)CN相は、これの金属成分であるTiとWとNb/
Taの含有割合が、これら金属成分に占める割合(原子
%)で、 W:5〜25%、 Nb/Ta:6〜30%、 Ti:残り、 を満足した場合に、焼結時にいも虫状の成長が起こっ
て、相互融着が発生し易くなり、連続相の形成が促進さ
れるようになるのある。
【0007】また、この発明のサーメット工具を構成す
るサーメットにおいて、(Ti,M)CN相は、工具の
耐塑性変形性を向上させる作用をもつが、その割合が2
%未満では所望の耐塑性変形性向上効果が得られず、一
方その割合が16%を超えると靭性が低下し、切刃に欠
損やチッピングが発生し易くなることから、その含有割
合を2〜16%、望ましくは2〜12%と定めたもので
あり、さらに結合相は、焼結性を向上させ、もって工具
の強度および靭性を向上させる作用をもつが、その割合
が5%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方
その割合が20%を超えると、(Ti,W,Nb/T
a)CN相の成長が抑制され、連続相の形成が困難にな
って所望の耐摩耗性向上効果が得られなくなることか
ら、その含有割合を5〜20%、望ましくは7〜12%
としたのである。また、TiCN相の存在によって一段
と耐摩耗性が向上するようになるので、必要に応じて含
有されるが、その含有量が1%未満では所望の耐摩耗性
向上効果が得られず、一方その含有量が10%を越える
と、靭性が急激に低下するようになることから、その含
有量を1〜10%、望ましくは3〜6%と定めた。
るサーメットにおいて、(Ti,M)CN相は、工具の
耐塑性変形性を向上させる作用をもつが、その割合が2
%未満では所望の耐塑性変形性向上効果が得られず、一
方その割合が16%を超えると靭性が低下し、切刃に欠
損やチッピングが発生し易くなることから、その含有割
合を2〜16%、望ましくは2〜12%と定めたもので
あり、さらに結合相は、焼結性を向上させ、もって工具
の強度および靭性を向上させる作用をもつが、その割合
が5%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方
その割合が20%を超えると、(Ti,W,Nb/T
a)CN相の成長が抑制され、連続相の形成が困難にな
って所望の耐摩耗性向上効果が得られなくなることか
ら、その含有割合を5〜20%、望ましくは7〜12%
としたのである。また、TiCN相の存在によって一段
と耐摩耗性が向上するようになるので、必要に応じて含
有されるが、その含有量が1%未満では所望の耐摩耗性
向上効果が得られず、一方その含有量が10%を越える
と、靭性が急激に低下するようになることから、その含
有量を1〜10%、望ましくは3〜6%と定めた。
【0008】
【発明の実施の形態】つぎにこの発明のサーメット工具
を実施例により具体的に説明する。原料粉末として、い
ずれも0.5〜2μmの範囲内の所定の平均粒径を有
し、かつ重量比で(以下、同じ)、TiC/TiN/W
C=45/45/10の組成を有する(Ti,W)CN
粉末(以下、固溶体A粉末という)、TiC/TiN/
NbC=47/47/6の組成を有する(Ti,Nb)
CN粉末(以下、固溶体B粉末と云う)、TiC/Ti
N/TaC=45/45/10の組成を有する(Ti,
Ta)CN粉末(以下、固溶体C粉末という)、さらに
TiCN粉末、TiN粉末、NbC粉末、TaC粉末、
WC粉末、Co粉末、およびNi粉末を用意し、これら
原料粉末を表1、2に示される配合組成に配合し、ボー
ルミルにて72時間湿式混合し、乾燥した後、1.5t
on/cm2 の圧力で圧粉体A〜Yをプレス成形した。
を実施例により具体的に説明する。原料粉末として、い
ずれも0.5〜2μmの範囲内の所定の平均粒径を有
し、かつ重量比で(以下、同じ)、TiC/TiN/W
C=45/45/10の組成を有する(Ti,W)CN
粉末(以下、固溶体A粉末という)、TiC/TiN/
NbC=47/47/6の組成を有する(Ti,Nb)
CN粉末(以下、固溶体B粉末と云う)、TiC/Ti
N/TaC=45/45/10の組成を有する(Ti,
Ta)CN粉末(以下、固溶体C粉末という)、さらに
TiCN粉末、TiN粉末、NbC粉末、TaC粉末、
WC粉末、Co粉末、およびNi粉末を用意し、これら
原料粉末を表1、2に示される配合組成に配合し、ボー
ルミルにて72時間湿式混合し、乾燥した後、1.5t
on/cm2 の圧力で圧粉体A〜Yをプレス成形した。
【0009】ついで、圧粉体A〜Yを、以下の条件、す
なわち、(a) 室温から1250℃までを0.5To
rrの窒素雰囲気中で昇温し、(b) 1250℃に昇
温後、8Torrの水素とメタンの混合ガス(メタン:
10%含有)雰囲気にかえて1320℃まで、1℃/m
in.の速度で昇温し、昇温後前記雰囲気および温度に
1時間保持し、(c) 引続いて15Torrの窒素雰
囲気にかえて、1520℃の焼結温度に2℃/min.
の速度で昇温し、この焼結温度に1時間保持後炉冷、の
条件で焼結することによりいずれもSNMG432の規
格に則したスローアウエイチップ形状をもった本発明サ
ーメット工具1〜25を製造した。
なわち、(a) 室温から1250℃までを0.5To
rrの窒素雰囲気中で昇温し、(b) 1250℃に昇
温後、8Torrの水素とメタンの混合ガス(メタン:
10%含有)雰囲気にかえて1320℃まで、1℃/m
in.の速度で昇温し、昇温後前記雰囲気および温度に
1時間保持し、(c) 引続いて15Torrの窒素雰
囲気にかえて、1520℃の焼結温度に2℃/min.
の速度で昇温し、この焼結温度に1時間保持後炉冷、の
条件で焼結することによりいずれもSNMG432の規
格に則したスローアウエイチップ形状をもった本発明サ
ーメット工具1〜25を製造した。
【0010】また、上記圧粉体A〜Yを、以下の条件、
すなわち、(a) 室温から1350℃までを0.2T
orrの真空雰囲気中で昇温し、(b) 1350℃に
昇温後、15Torrの窒素雰囲気にかえて1520℃
の焼結温度に昇温し、この焼結温度に1時間保持後炉
冷、の条件で焼結することにより同一の形状をもった従
来サーメット工具1〜25をそれぞれ製造した。
すなわち、(a) 室温から1350℃までを0.2T
orrの真空雰囲気中で昇温し、(b) 1350℃に
昇温後、15Torrの窒素雰囲気にかえて1520℃
の焼結温度に昇温し、この焼結温度に1時間保持後炉
冷、の条件で焼結することにより同一の形状をもった従
来サーメット工具1〜25をそれぞれ製造した。
【0011】この結果得られた各種のサーメット工具に
ついて、これを構成するサーメットの組織をオージェ電
子分光分析装置および画像処理解析装置を用いて観察
し、構成相の含有割合を測定した。また、図1〜5に走
査型電子顕微鏡を用いて組織観察(4000倍)した結
果を模式図で示した。なお、図1が本発明サーメット工
具3、図2が本発明サーメット工具23、図3が本発明
サーメット工具13、図4が本発明サーメット工具1
0、そして図5が従来サーメット工具3の組織模式図で
ある。さらに、上記の各種サーメット工具について、 被削材:JIS−SNCM440(硬さ:HB220)
の丸棒、 切削速度:300m/min.、 切り込み:2.5mm、 送り:0.3mm/rev.、 の条件での鋼の乾式連続高速切削試験を行い、切刃の逃
げ面摩耗幅が0.2mmに至るまでの切削時間を測定し
た。これらの結果を表3〜6に示した。
ついて、これを構成するサーメットの組織をオージェ電
子分光分析装置および画像処理解析装置を用いて観察
し、構成相の含有割合を測定した。また、図1〜5に走
査型電子顕微鏡を用いて組織観察(4000倍)した結
果を模式図で示した。なお、図1が本発明サーメット工
具3、図2が本発明サーメット工具23、図3が本発明
サーメット工具13、図4が本発明サーメット工具1
0、そして図5が従来サーメット工具3の組織模式図で
ある。さらに、上記の各種サーメット工具について、 被削材:JIS−SNCM440(硬さ:HB220)
の丸棒、 切削速度:300m/min.、 切り込み:2.5mm、 送り:0.3mm/rev.、 の条件での鋼の乾式連続高速切削試験を行い、切刃の逃
げ面摩耗幅が0.2mmに至るまでの切削時間を測定し
た。これらの結果を表3〜6に示した。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】
【表3】
【0015】
【表4】
【0016】
【表5】
【0017】
【表6】
【0018】
【発明の効果】本発明サーメット工具1〜25は、いず
れも図1〜4に例示される組織のいずれかの組織、すな
わち、いも虫状に成長し、かつ相互融着した(Ti,
W,Nb/Ta)CN相によって連続相が形成され、C
o−Ni系合金の結合相が前記(Ti,W,Nb/T
a)CN相間に分散相として存在し、さらに(Ti,
M)CN相、あるいは(Ti,M)CN相とTiCN相
が結合相中、あるいは結合相と前記(Ti,W,Nb/
Ta)CN相の中に分散相として分布した組織を示し、
一方従来サーメット工具1〜25は、いずれも図5に例
示される組織、すなわち、連続相を形成する結合相と、
いずれも分散相を形成する(Ti,W,Nb/Ta)C
N相と(Ti,M)CN相、さらに必要に応じてTiC
N相からなる組織を示し、この組織の相異によって表
2、3に示される通り、本発明サーメット工具1〜25
は、鋼の高速切削で従来サーメット工具1〜25に比し
て一段とすぐれた耐摩耗性を示すようになることが明ら
かである。上述のように、この発明のサーメット工具
は、通常の切削は勿論のこと、高速切削でも、すぐれた
耐摩耗性を長期に亘って発揮するので、切削加工の省力
化および省エネ化、さらにFA化にも十分満足に対応す
ることができるのである。
れも図1〜4に例示される組織のいずれかの組織、すな
わち、いも虫状に成長し、かつ相互融着した(Ti,
W,Nb/Ta)CN相によって連続相が形成され、C
o−Ni系合金の結合相が前記(Ti,W,Nb/T
a)CN相間に分散相として存在し、さらに(Ti,
M)CN相、あるいは(Ti,M)CN相とTiCN相
が結合相中、あるいは結合相と前記(Ti,W,Nb/
Ta)CN相の中に分散相として分布した組織を示し、
一方従来サーメット工具1〜25は、いずれも図5に例
示される組織、すなわち、連続相を形成する結合相と、
いずれも分散相を形成する(Ti,W,Nb/Ta)C
N相と(Ti,M)CN相、さらに必要に応じてTiC
N相からなる組織を示し、この組織の相異によって表
2、3に示される通り、本発明サーメット工具1〜25
は、鋼の高速切削で従来サーメット工具1〜25に比し
て一段とすぐれた耐摩耗性を示すようになることが明ら
かである。上述のように、この発明のサーメット工具
は、通常の切削は勿論のこと、高速切削でも、すぐれた
耐摩耗性を長期に亘って発揮するので、切削加工の省力
化および省エネ化、さらにFA化にも十分満足に対応す
ることができるのである。
【図1】本発明サーメット工具3を構成するサーメット
の組織模式図である。
の組織模式図である。
【図2】本発明サーメット工具23を構成するサーメッ
トの組織模式図である。
トの組織模式図である。
【図3】本発明サーメット工具13を構成するサーメッ
トの組織模式図である。
トの組織模式図である。
【図4】本発明サーメット工具10を構成するサーメッ
トの組織模式図である。
トの組織模式図である。
【図5】従来サーメット工具3を構成するサーメットの
組織模式図である。
組織模式図である。
1 (Ti,W,Nb/Ta)CN相 2 (Ti,M)CN相 3 結合相 4 TiCN相
Claims (2)
- 【請求項1】 単一相構造を有するTiとMの2元系複
合炭窒化物固溶体相(但し、MはW,Nb、およびTa
のうちのいずれか1種を示す):2〜16%、 Co−Ni系合金の結合相:5〜20%、 単一相構造を有するTiとWとNbおよび/またはTa
の3元系複合炭窒化物固溶体相および不可避不純物:残
り、 からなる組成(以上、容量%)、並びに焼結時にいも虫
状に成長した上記3元系複合炭窒化物固溶体相が局部的
に相互融着して連続相を形成し、上記結合相は前記3元
系複合炭窒化物固溶体相間に分散相として存在し、さら
に上記2元系複合炭窒化物固溶体相が前記結合相中、あ
るいは前記結合相および前記3元系複合炭窒化物固溶体
相の中に分散相として分布した組織、を有することを特
徴とするすぐれた耐摩耗性を有する炭窒化物系サーメッ
ト製切削工具。 - 【請求項2】 単一相構造を有するTiとMの2元系複
合炭窒化物固溶体相(但し、MはW,Nb、およびTa
のうちのいずれか1種を示す):2〜16%、 同じく単一相構造を有する炭窒化チタン相:1〜10
%、 Co−Ni系合金の結合相:5〜20%、 単一相構造を有するTiとWとNbおよび/またはTa
の3元系複合炭窒化物固溶体相および不可避不純物:残
り、 からなる組成(以上、容量%)、並びに焼結時にいも虫
状に成長した上記3元系複合炭窒化物固溶体相が局部的
に相互融着して連続相を形成し、上記結合相は前記3元
系複合炭窒化物固溶体相間に分散相として存在し、さら
に上記2元系複合炭窒化物固溶体相および炭窒化チタン
相が前記結合相中、あるいは前記結合相および前記3元
系複合炭窒化物固溶体相の中に分散相として分布した組
織、を有することを特徴とするすぐれた耐摩耗性を有す
る炭窒化物系サーメット製切削工具。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14887596A JPH10502A (ja) | 1996-06-11 | 1996-06-11 | すぐれた耐摩耗性を有する炭窒化物系サーメット製切削工具 |
EP96118868A EP0775755B1 (en) | 1995-11-27 | 1996-11-26 | Carbonitride-type cermet cutting tool having excellent wear resistance |
DE69613942T DE69613942T2 (de) | 1995-11-27 | 1996-11-26 | Verschleissfester Karbonitrid-Cermet Schneidkörper |
US08/753,534 US5710383A (en) | 1995-11-27 | 1996-11-26 | Carbonitride-type cermet cutting tool having excellent wear resistance |
CN96121487A CN1099471C (zh) | 1995-11-27 | 1996-11-27 | 具有优越耐磨性的碳氮化物型陶瓷切削工具 |
KR1019960058483A KR100384507B1 (ko) | 1995-11-27 | 1996-11-27 | 내마모성이탁월한카보나이트라이드계써멧절단용구 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14887596A JPH10502A (ja) | 1996-06-11 | 1996-06-11 | すぐれた耐摩耗性を有する炭窒化物系サーメット製切削工具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10502A true JPH10502A (ja) | 1998-01-06 |
Family
ID=15462683
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14887596A Withdrawn JPH10502A (ja) | 1995-11-27 | 1996-06-11 | すぐれた耐摩耗性を有する炭窒化物系サーメット製切削工具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10502A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000328169A (ja) * | 1999-05-03 | 2000-11-28 | Sandvik Ab | チタン基炭窒化物合金 |
JP2000336450A (ja) * | 1999-05-03 | 2000-12-05 | Sandvik Ab | チタン基炭窒化物合金 |
WO2007148921A1 (en) * | 2006-06-21 | 2007-12-27 | Snu R&Db Foundation | Ceramic and cermet having the second phase to improve toughness via phase separation from complete solid-solution phase and the method for preparing them |
-
1996
- 1996-06-11 JP JP14887596A patent/JPH10502A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000328169A (ja) * | 1999-05-03 | 2000-11-28 | Sandvik Ab | チタン基炭窒化物合金 |
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WO2007148921A1 (en) * | 2006-06-21 | 2007-12-27 | Snu R&Db Foundation | Ceramic and cermet having the second phase to improve toughness via phase separation from complete solid-solution phase and the method for preparing them |
KR100796649B1 (ko) * | 2006-06-21 | 2008-01-22 | 재단법인서울대학교산학협력재단 | 인성을 향상시키는 2차 상이 완전 고용상으로부터 상분리에의하여 형성된 세라믹과 서멧트 및 각각의 제조 방법 |
US8679220B2 (en) | 2006-06-21 | 2014-03-25 | Snu R&Db Foundation | Ceramic and cermet having the second phase to improve toughness via phase separation from complete solid-solution phase and the method for preparing them |
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