【発明の詳細な説明】
引込み式の注射針を持つ注射器アセンブリ
技術分野
本発明は、出口開口を有する液体容器と、該液体容器内で移動可能なピストン
と、前記液体容器の出口開口内あるいは上に取外し可能に設けられる針取付け具
を持つ吸引針と、前記液体容器の出口開口内あるいは上に固定状態にて設けられ
る針取付け具を持つ注射針とを少なくとも含み、前記ピストンは、使用後に注射
針が前記液体容器内に引き込まれるのを許容するために前記注射針の針取付け具
に直接あるいは間接的に結合される第1の結合手段と、吸引針の存在下において
前記ピストンの移動の間このピストンの第1の結合手段が結合部を形成すること
を防ぐための安全手段とから成る注射器アセンブリに関する。
背景技術
このような注射器アセンブリはWO−A 91/12842に示されている。
この特許は、引込み式の注射針を持つ注射器アセンブリを開示している。この注
射器アセンブリは針取付け具を持ち、この針取付け具は、液体容器の出口開口に
装着され、ピストンの第2のストローク、つまり液体の吸引後、針が液体容器内
に引き込まれ、ることを許容するために、ピストンに結合され得る。この特許に
おいては、液体の吸引のために、吸引針も適用され得ることが示されている。し
かしながら、上記のようにされるための方法は詳細には示されていない。
吸引針の使用は多くの重要な利点を持つ。比較的大きな直径を持つ針が選択さ
れ、その結果液体容器は短時間で充填される。針は、しばしば、隔壁を通して薬
瓶に挿入され、その結果、針の先端は傷付き、針の外側が汚され、このような事
態は注射針にとって望ましくない。ガラス製の蓋を折ってあけるガラス瓶の場合
は、開口に針を挿入する時にそれが傷付くおそれがある。しかも、注射針は、そ
れが例えば短すぎるという理由により、薬瓶から液体を吸引するには不適の形状
を持つ。セパレータタイプの吸引針は、常に患者への注射のために傷付いていず
しかも無菌の注射針が使用されることを保障する。
注射器アセンブリの使用後、注射針は液体容器内に引き込まれ、針の再使用が
適当な手段により防がれる。
上記のWO−A 91/12842によれば、ピストンの液体吸引ストローク
の間、ピストンと針取付け具との間の結合は、ピストンが2つの相互可動部分す
なわち、ロッドに関して移動可能であるヘッドを持つピストンロッドから成る場
合には防止される。その欠点は、結合無しで1回だけピストンが前後に移動可能
にされ、事実、2回目では注射針の針取付け具への結合が生じてしまう。
本発明の目的は、このような欠点の無い注射器アセンブリ、言い換えれば、液
体の吸引の間、ピストンと他の部材との間に生ずる結合無しで多数回前後に移動
可能な注射器アセンブリを提供することにある。
本発明の他の目的は、簡単な構造で容易に扱うことのできる注射器アセンブリ
を提供することにある。
発明の開示
このために、本発明による注射器アセンブリは、以下の点に特徴付けられる。
注射器アセンブリは更に、液体容器の出口開口に装着あるいは装着可能にされる
と共に、注射針の針取付け具に接続あるいは接続可能にされる補助結合部を含み
、該補助結合部は、注射針の存在下においてピストンの第1の結合手段に永久的
に結合され得る第2の結合手段を含み、吸引針の存在下においては結合が生じ得
ないようにされる。
本発明による注射器アセンブリにおいては、ピストン上にはもはや可動部分は
存在せず、それゆえ簡単な構造であり、しかも注射器アセンブリを容易に扱うこ
とができる。
好ましくは、本発明の第1の実施例においては、前記補助結合部は、前記出口
開口の近くにおいて前記液体容器の先端に実質上密着して実質的にファンネル形
状部分として形成され、前記補助結合部は、前記出口開口に挿入されるべき前記
注射針の前記針取付け具部分に永久的に結合され得る第3の結合手段を含み、前
記補助結合部の前記第2の結合手段は、1つ以上のつめの形態に作られ、前記第
1の結合手段は、前記つめが永久的な結合状態を形成できるように前記ピストン
上において環状のカラーの形状を持ち、前記液体容器は、前記補助結合部の第2
の結合手段の近くにおいて、前記補助結合部を位置決めするために1つ以上のラ
グを含み、前記ラグは前記ピストンにより開放され得るものであり、前記針取付
け具は、前記出口開口に挿入されるべき部分を含み、しかも前記補助結合部の前
記つめは、前記吸引針の存在下においては、前記ピストン上の環状のカラーに結
合不能となるような長さを有する。
上記のように構成された前記補助結合部は、非常に安定した状態にて前記液体
容器内にあり、吸引針の存在下においては、ピストンの多数回のストロークにも
かかわらずピストンと補助結合部のつめとの間の結合は生じない。実際、この実
施例による注射器アセンブリは、吸引針がそこに装着された状態にて提供され得
る。
この実施例においては、前記第3の結合手段は、前記注射器アセンブリの長手
方向の中心軸に向けて曲げられた1つ以上のリップとして形成され、前記出口開
口に挿入されるべき前記針取付け具の部分は、前記リップを受け入れるための環
状の溝を含み、前記出口開口に挿入されるべき前記針取付け具の部分は、前記リ
ップに対する永久的な結合のためにカラーを含む。それぞれのパーツは通常、プ
ラスティックで作られるので、内方へ曲げられたリップは、吸引針の取付け具の
存在下で外方へ曲げられると、やがてその弾性を失う。それゆえ、吸引針の針取
付け具においては、前記リップを受け入れるために環状の溝を設けられるのが好
ましい。
本発明による注射器アセンブリの第2の実施例においては、前記補助結合部は
実質上中空であり、前記第2の結合手段は、つめを持つ1つ以上の可動リップの
形状を有し、前記第3の結合手段は、前記吸引針の針取付け具と開放可能に協働
し合うことができると共に、前記注射針の針取付け具に対しては永久的に結合で
きる環状の溝を含み、前記出口開口は、その内側の2つの位置に第4の結合手段
を備えており、該第4の結合手段は前記補助結合部の外側で第5の結合手段と協
働し合うようにされており、前記吸引針の存在下においては、前記第2の結合手
段のつめは前記ピストンにおける凹部とは協働不能であって、前記第5の結合手
段は前記ピストンにおける前記第4の結合手段と協働可能であり、前記注射針の
存在下では前記第2の結合手段のつめは前記ピストンにおける凹部と協働可能で
あり、前記注射針を押すと、前記第4の結合手段と前記第5の結合手段との間の
結合を第2の位置に生じさせる。
この実施例においては、補助結合部は、前記吸引針の存在下では、非動作状態
、すなわち第1の結合位置にあり、ピストンは、結合を生ずること無く必要な回
数だけ前後に移動され得る。注射針が装着されるとすぐに、補助結合部は、第2
の動作位置に置かれ、前記補助結合部の第2の結合手段と前記ピストンの前記第
1の結合手段との結合が生ずる。
この実施例の特別なケースにおいては、前記補助結合部の前記第5の結合手段
は、前記第2の結合手段のつめのリップ上でラグの形状を持ち、前記第4の結合
手段は、前記出口開口の内壁に2つの周方向の凹部の形状を持つように形成され
、前記凹部は前記出口開口の出口側の方向に関して下流側にあって他の前記凹部
に向けて面取りされており、前記出口開口への前記補助結合部の挿入後であって
、前記吸引針の存在下において、つめのリップ上のラグは、前記第2の結合手段
のつめが前記ピストンに結合できない時に、前記下流側の凹部と協働可能であり
、前記注射針を押すと、前記ピストンへの前記つめの結合が可能である時であっ
て前記ラグと前記凹部との結合が前記リップの互いに近付くような曲げにより開
放される間、前記補助結合部のラグは前記他の凹部に向けて移動可能にされてい
る。
このケースにおいては、補助結合部は、注射針の針取付け具の一部を形成する
。それゆえ、この実施例においては、補助結合部は、吸引針の存在下では、液体
容器の出口開口には無く、その結果、ピストンと補助結合部との間の不要の結合
は決して起こらない。
特に、このケースでは、前記第4の結合手段は、前記補助結合部と前記液体容
器との結合のために前記第5の結合手段が協働可能な状態であって、前記リップ
を互いに近付くように曲げかつ前記ピストンと前記補助結合部との結合により結
合が解除されるように、前記出口開口の内側で周方向の凹部あるいはカラーの形
状を持つように形成されている。
液体容器の出口開口内あるいは上での針取付け具上への該当する針の取付けは
、様々な方法で行われ得る。通常、これは、出口開口には外側にねじ溝が切られ
、針取付け具には内側にねじが切られることで実現される。
本発明によれば、前記液体容器の出口開口は、面取りされたカラーを持つチュ
ーブ形状を持つように作られており、吸引針、注射針の針取付け具は、面取りさ
れたカラーの外径より小さな内径を持つキャップを含む。この方法では、緊密な
密着による良好かつ信頼できる取付けが実現できるが、わずかな回転により簡単
な方法で開放できる。
注射針のキャップは、前記出口開口上の面取りされたカラーと永久的に結合可
能にされている1つ以上のつめを含むのが好ましい。これは、液体容器内に注射
針を引き入れた後は、その再使用を防ぐためである。
現在の注射及び吸引針は、例えばスリーブその他の形態により、ユーザが針に
よって傷害を受けることを防止する手段を含む。本発明によれば、注射針と同様
に、吸引針は、好ましくは使用前に取外し可能な鞘を含む。特に、両方の鞘は1
つの鞘の2つの鞘部としてユニット化され、非常に簡単な操作性を提供する。両
方の針は、常に一緒にあり、液体容器から吸引針を取外す時には、それは再び鞘
の対応する鞘部の方へ挿入することができ、その後注射針は同じ鞘から装着する
ことができる。このような方法で、両方の針は、紛失したり、他の針と不用意に
混同してしまうことが無い。
鞘部の好ましい実施例においては、2つの鞘部が互いに1つの鞘にユニット化
され、針は並んで互いに反対方向にそれらの中に挿入可能にされ、少なくとも1
つの鞘部は、他の鞘部にも合うようなキャップを含む。
実際には、本発明による注射針は、吸引針が既に液体容器に装着された状態で
提供され、他の鞘部においては、注射針が反対向きに備えられている。吸引針の
使用後は、吸引針は対応する鞘部に挿入されて液体容器から取り外される。複合
鞘の手段により、注射針が出口開口に装着されると、キャップは、注射針の鞘部
から取外され、吸引針用の鞘部に移し換えられる。鞘部のこの様な構造は、望ま
しくない結果をもたらす、針による傷害を防ぎ、非常に簡単な操作性を提供する
。
更に、本発明は、本発明による注射器アセンブリに使用されるところの補助結
合部を提供する。
加えて、本発明は、本発明による注射器アセンブリに適用するための、少なく
とも針と針取付け具とを含む注射針及び吸引針を提供する。
しかも、本発明による注射器アセンブリに適用するための鞘は、少なくとも吸
引針と注射針とを受け入れるための少なくとも2つの反対方向を向いた鞘部を含
む。 最後に、本発明は、本発明による注射器アセンブリに適用するためのピス
トンであって、その先端には、内方に向けたカラーを備えた凹部を有し、しかも
実質上中心を横切るように向けられた前面を持つピストンロッドを含み、前記前
面において環状のカラー部が2つ以上のサポートにより支持されており、その周
囲には弾性変形可能なピストンヘッドが設けられているピストンを提供する。
本発明による注射器アセンブリにおいては、吸引針は、液体容器内に望ましく
ない固形物が吸引されることを防ぐために、その中にふるいあるいはフィルタを
配置しているのが望ましい。これは、特に、薬瓶がガラス製で、折って取るよう
なガラスのキャップを持つ場合には、しばしばガラス粉末が瓶の中に入ることが
起こり得るケースがあるので重要なことである。
吸引針及びその針取付け具は一体構造で、例えばプラスティックあるは金属で
作られる。
図面の簡単な説明
本発明は添付の図面を参照して以下に説明される。
第1図は、吸引針を持つ本発明による注射器アセンブリの実施例を示し;
第2図は、注射針を持つ第1図の注射器アセンブリを示し;
第3図は、補助結合部が結合されている第2図の注射器アセンブリを示し;
第4図は、注射針が液体容器内に引き込まれている第2図の注射器アセンブリ
を示し;
第5図は、吸引針を持つ本発明による注射器アセンブリの他の実施例を示し;
第6図は、注射針を持つ第5図の注射器アセンブリを示し;
第7図は、吸引針を持つ第5図の注射器アセンブリを簡単にした実施例を示し
;
第8図は、注射針を持つ第7図の注射器アセンブリの実施例を示し;
第9図は、鞘を持つ第7図の注射器アセンブリを示し;
第10図は、鞘を持つ第8図の実施例を示し;
第11図は、2つの鞘部を持つ鞘を有する本発明による注射器アセンブリの特
別な実施例を示し;
第12図は、第11図の注射器アセンブリのピストンの断面を示し;
第13図は、第11図の注射器アセンブリの前面を示し;
第14図は、充填コアをもつピストンの斜視図を示し;
第15図は、ゴム製のピストンキャップを持つピストンヘッドの断面を示す。
発明を実施するための最良の形態
第1図において、本発明による注射器アセンブリの第1の実施例は1で示され
ている。この注射器アセンブリ1は、液体容器2とその中で移動可能なピストン
3と吸引針4と注射針6(第2図参照)とを含む。吸引針4は、キャップ9を有
して針取付け具8と共に1つのユニットとして構成される針7を含む。フィルタ
5が図式的に示され、このフィルタ5は、望ましくないガラス破片のような固形
物が液体容器2内に吸引されることを防止するように作用する。
液体容器2内には、補助結合部10が配置され、液体容器2の内壁に設けられ
た突起部12で留まっている。この補助結合部10は、周方向に関して分割され
た複数のつめ13(第2の結合手段)を含み、これらの複数のつめ13は、シー
ルリング16が配置されたピストン3上の環状の凹部15(第1の結合手段)に
永久的に結合され得る。環状の凹部15は、ピストン3の2つの部位18、19
で規定され、部位18は部位19よりも大きな径を有している。
液体容器2の出口開口11は外側カラー17を持ち、この外側カラー17はキ
ャップ9の内壁18と摩擦により密着している。針取付け具8は、リップ21と
協働する環状の凹部20を有し、リップ21は注射器アセンブリの中心軸に向け
て少し曲げられている。
補助結合部10は、液体容器2の突起部12と液体容器2の内壁14との間に
閉じこめられている。
吸引針4の針取付け具8は、液体容器2内に延びる延長部23を有し、ピスト
ン3のストローク制限手段として作用する。このようにして、吸引針4の存在下
ではピストン3上の結合手段15がつめ13に結合することを防止する安全手段
を提供し、これにより、吸引後に装着されるべき注射針6と望むような結合を提
供することはもう出来ない。通常、本実施例による注射器アセンブリは、既にそ
こに装着されている状態で吸引針を供給され、注射針6は分離状態にてそこに供
給される。以降において詳しく検討されるように、吸引針4は、注射針6と同様
に、出荷時に、鞘を有する。
第2図において、第1図による注射器アセンブリは、注射針6が装着されて示
されている。吸引針4による液体25の吸引後、吸引針4は、回転あるいは引き
抜きにより出口開口11から取り外される。これは、必要とあれば、吸引針4が
鞘で覆われた状態で行われる。続いて、注射針6が、そこに鞘がある状態で出口
開口11に移し替えられ、つめ26がカラー17の後ろに嵌まり、その結果注射
針6はもはや取り外しできなくなる。
注射針6は針27と針取付け具28とに加えて分離キャップ30を有する。針
取付け具28は、環状のカラー31と凹部34とを有する。カラー31は、補助
結合部10の内方に曲げられたリップ21と肩部32との間にクランプされる。
リップ21は凹部34内に配置されている。この方法で、針27を持つ針取付け
具28は、明白にしかも永久的な形態で補助結合部10に結合される。
注射針は通常、しばしば大きなリールで供給される中空材料で作られるので、
これらの針は常にわずかに湾曲しており、その結果、キャップ30の開口33を
通して針を引き入れた後は、針は再び外方へは押すことができない。通路33も
また、前述と同様の作用を持つアセンブリの長手方向の中心軸に関して傾きを持
つことができる。
第2図に示される状態では、ピストン3の部位18は、注射針27を通して液
体25を押出した後は、ラグ12を外方に押すことができ、その結果、19にお
ける環状の凹部15は、シールリング16の変形下でつめ13に結合することが
できる。この状態は第3図に示されている。
上記の結合状態の間、ラグ12は液体容器2の変形により開放され、補助結合
部10はそれに沿って、針取付け具28及び針27を伴って移動され得る。この
方法で、注射針27は液体容器2内へ引き込まれる。引き込まれた注射針27を
持つこの状態は第4図に示されている。その後、もし再びピストンが液体容器内
へ周知の方法で押し込まれると、針は使用不能にされる。これは、針が再び開口
33を通して外へ出ることができず、多分曲がってしまうからである。
ラグ26とカラー17との協働作用により、キャップ30はもはや出口開口か
ら取り外しできないので、再使用は防止される。
第5図、第6図には本発明による注射器アセンブリの他の実施例が示されてお
り、この実施例においては中空の補助結合部40が使用されている。加えて、こ
の実施例では、ピストン3は第1の実施例のような環状の凹部は有していないが
、内方に向けたカラー42を有する中央凹部41を有している。吸引針4は、例
えば金属あるいはプラスティックでキャップ9と一体の構造に作られている。補
助結合部40は、リップ49上につめ45を有し、このつめ45はピストン3の
凹部41におけるカラー42と協働することができる。補助結合部40はまた、
環状の凹部46を有して、この凹部46は、注射針6の針取付け具47上のつめ
48と協働可能である。
補助結合部40は更に、つめ45と環状の凹部46との間のリップ49に形成
された複数のラグ50を有する。これらのラグ50は補助結合部40上で第5の
結合部材を形成し、出口開口11の内壁上において2つの位置を持つ第4の結合
部材と協働可能である。
これらの第4の結合部材は、2つの凹部52、53を有し、凹部52は凹部5
3に向けて面取りされている。初期の状態においては、吸引針の存在下で、補助
結合部40は第5図に示された位置、すなわちラグ50が凹部52内に置かれた
位置にある。注射針6の装着時、つめ48は補助結合部40における凹部46内
に入り込み、ラグ50は凹部52から凹部53の方へ力を受け、つめ45はそれ
から液体容器2内でフリーになる。その結果、それらはピストン3の開口41に
おけるカラー52と結合され得る。第1の実施例とまったく同様に、注射針6の
針取付け具47はキャップ30と分離して作られ、本例においてもまた、キャッ
プ30は、永久的な固定のためにカラー17の後ろに入り込むことのできるスナ
ップラグ26を備えられている。
第1図〜第4図に示された第1の実施例と比べた場合の利点は、ピストン3が
補助結合部40のつめ45を押している初期の状態において、液体容器2内に実
質的に空気が存在せず、それゆえ吸引により完全に液体を充満させることができ
、しかも注射針の存在により液体を放出するときには、液体容器は実質上完全に
空にされ、第1図〜第4図に示された実施例のケースにおいては、より少ない容
量で済むことである。
第7図、第8図は、第5図、第6図の注射器アセンブリを単純化した注射器ア
センブリを示す。ここでは、補助結合部は、注射針6の針取付け具60と一体の
構造に作られている。補助結合部及び針取付け具60は、リップ49の端部につ
め45を有し、更にラグ50を有する。第4の結合部材は、1つの位置のみにあ
り、この例では、出口開口11において内方に向けたカラー61として形成され
ている。
この実施例の利点は、吸引針4がある時、補助結合部のどの部分も液体容器内
に延びていず、それにより補助結合部は注射針6の針取付け具60と1つのユニ
ットを形成し、その結果、結合に際するどのようなリスクも回避される点にある
。
第7図、第8図から明らかなように、出口開口11の内壁はやや円錐形に作ら
れ、吸引針の部位63は注射針の部位64と同様にされて、それらの外側におい
て対応しあう適合形状を持つ。これは、非常に良好なシール性を持つ非常に単純
な装着を実現するためである。部位64は、注射針6の近くで、キャップ30と
1ユニットを形成する。
吸引針により液体容器2が液体で満たされると、吸引針は取り外されて、注射
針6が出口開口11上に移し替えられ、それからつめ26がカラー17の後ろに
入り込む。注射針を通して液体を放出する時には、リップ49上のつめ45は開
口41により互いに近付き合うようにわずかに曲がり、その結果、ラグ50はカ
ラー61に沿って動くことができ、かくして、ピストンは針取付け具60を針2
7と共に液体容器内へ引き入れることができる。
第9図は、鞘70を備えた吸引針を持つ第7図の注射器アセンブリの実施例を
示す。この鞘は、その全内壁に沿って、吸引針4と協働可能な長手方向のリブ7
1を有し、72において吸引針4のキャップ9と密着する。キャップ9は、その
外側に適切なリブ74を備えられている。これはまた、前述した図面にも示され
ている。このようなリブ74及び密着接触部72の存在により、吸引針は、鞘7
0の存在下で、容易に出口開口11に装着でき、かつそこから容易に取り外すこ
とができる。
第10図は、同様な鞘を示すが、第8図の注射針6に装着され、ラグ71はそ
の時、注射針のキャップ30の部位75と協働する。故意に、注射針は部位76
においてリブを備えられていない。これは、注射針は装着のみされるべきで、取
り外しされないからである。言い換えれば、第1図に示されるように、力は矢印
Aの方向のみに加えるべきで、他の方向には加えられないからである。
第11図は、本発明による注射器アセンブリの特別な実施例を示し、その操作
の原理は、第8図、第9図、つまり第6図、第7図の例を単純化したアセンブリ
のそれに対応しているが、特別な鞘80が使用される。この鞘80は、2つの鞘
部81、82を有し、吸引針4は既に出口開口11に装着されており、注射針6
の鞘部81はキャップ83により閉じられている。この場合、液体容器は、第1
2図、第13図に示されるように、楕円形に作られる。第12図は、第11図の
線X−Xに沿った断面図を示し、第13図は鞘80の端面図を示す。これらの図
から明らかなように、ピストン3の形状が適合される。
この特別な実施例の利点は、吸引針と注射針とが1つの部品で供給されること
であり、その結果両方共に紛失することが無く、しかも容易に交換できることで
ある。吸引針は装着される時には、鞘80が取り外され、液体容器は液体で満た
される。続いて、吸引針が鞘部82に挿入され、出口開口11から取り外される
。それから、キャップ83が鞘部81から外され、必要であれば、開口85に置
かれる。その後、まだ鞘部81にある注射針6が出口開口に嵌め込まれる。続い
て、鞘は無駄になるので、使用後、注射針は液体容器内に引き込まれる。
この実施例及び前述した例においても、液体容器の断面形状は特定の形状に制
限されず、楕円形状あるいは略多面形状が好ましい。第1図〜第4図の実施例に
おいては、非円形の液体容器が特に好ましく、例えば、円形よりも楕円形液体容
器がラグ12を作るのにより簡単に成形できる。
第14図は、ピストン3の斜視図であり、このピストン3は、前面90、ピス
トンロッド91、及び環状のカラー94を支持している4つのサポート92を有
している。この実施例は、ピストンが比較的簡単な方法で製造できるという特別
な例である。このピストンは、内部に向けたカラーを持つピストンヘッドに中央
凹部を有する。このピストンは、1つの充填物95を持つ簡単な2つの部分の金
型により製造できる。半分の金型の分離は、ピストン3上に破線97により概略
的に示されている。成型終了後、ゴム製のピストンキャップ98が第15図に示
すように配置される。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1996年4月29日
【補正内容】
明細書
引込み式の注射針を持つ注射器アセンブリ
技術分野
本発明は、出口開口を有する液体容器と、該液体容器内で移動可能なピストン
と、前記液体容器の出口開口内あるいは上に取外し可能に設けられる針取付け具
を持つ吸引針と、前記液体容器の出口開口内あるいは上に固定状態にて設けられ
る針取付け具を持つ注射針とを少なくとも含み、前記ピストンは、使用後に注射
針が前記液体容器内に引き込まれるのを許容するために前記注射針の針取付け具
に直接あるいは間接的に結合される第1の結合手段と、吸引針の存在下において
前記ピストンの移動の間このピストンの第1の結合手段が結合部を形成すること
を防ぐための安全手段とから成る注射器アセンブリに関する。
背景技術
このような注射器アセンブリはWO−A 91/12842に示されている。
この特許は、引込み式の注射針を持つ注射器アセンブリを開示している。この注
射器アセンブリは針取付け具を持ち、この針取付け具は、液体容器の出口開口に
装着され得るものであり、液体容器を空にした後、針が液体容器内に引き込まれ
ることを許容するために、ピストンに結合され得る。容器に充填するために、吸 引針がその出口開口に装着され、ピストンと結合することはできない。
吸引針の使用は多くの重要な利点を持つ。比較的大きな直径を持つ針が選択さ
れ、その結果液体容器は短時間で充填される。針は、しばしば、隔壁を通して薬
瓶に挿入され、その結果、針の先端は傷付き、針の外側が汚され、このような事
態は注射針にとって望ましくない。ガラス製の蓋を折ってあけるガラス瓶の場合
は、開口に針を挿入する時にそれが傷付くおそれがある。しかも、注射針は、そ
れが例えば短すぎるという理由により、薬瓶から液体を吸引するには不適の形状
を持つ。セパレータタイプの吸引針は、常に患者への注射のために傷付いていず
しかも無菌の注射針が使用されることを保障する。
注射器アセンブリの使用後、注射針は液体容器内に引き込まれ、針の再使用が
適当な手段により防がれる。
上記のWO−A 91/12842によれば、注射針は、液体容器が空の間は 摩擦力のみで保持される。針を、針取付け具と共に液体シリンダ内に押すことが できる。
本発明の目的は、改良された注射器アセンブリを提供することにある。
発明の開示
このために、本発明による注射器アセンブリは、以下の点に特徴付けられる。
注射器アセンブリは更に、液体容器の出口開口に装着されると共に、注射針の針
取付け具に接続可能にされる補助結合部を含み、該補助結合部は、注射針の存在
下においてピストンの第1の結合手段に永久的に結合され得る第2の結合手段を
含み、吸引針の存在下においては結合が生じ得ないようにされる。
本発明による前記補助結合部は、非常に安定した状態にて前記液体容器内にあ り、吸引針の存在下においては、ピストンの多数回のストロークにもかかわらず ピストンと補助結合部のつめとの間の結合は生じない。実際、この実施例による 注射器アセンブリは、吸引針がそこに装着された状態にて提供され得る。
本発明による注射器アセンブリの特別の実施例においては、アセンブリは更に 補助結合部を含み、
前記補助結合部は、前記出口開口の近くにおいて前記液体容
器の先端に実質上密着して実質的にファンネル形状部分として形成され、前記補
助結合部は、前記出口開口に挿入されるべき前記注射針の前記針取付け具部分に
永久的に結合され得る第3の結合手段を含み、前記補助結合部の前記第2の結合
手段は、1つ以上のつめの形態に作られ、前記第1の結合手段は、前記つめが永
久的な結合状態を形成できるように前記ピストン上において環状のカラーの形状
を持ち、前記液体容器は、前記補助結合部の第2の結合手段の近くにおいて、前
記補助結合部を位置決めするために1つ以上のラグを含み、前記ラグは前記ピス
トンにより開放され得るものであり、前記針取付け具は、前記出口開口に挿入さ
れるべき部分を含み、しかも前記補助結合部の前記つめは、前記吸引針の存在下
においては、前記ピストン上の環状のカラーに結合不能となるような長さを有す
る。
この実施例においては、前記第3の結合手段は、前記注射器アセンブリの長手
方向の中心軸に向けて曲げられた1つ以上のリップとして形成され、前記出口開
口に挿入されるべき前記針取付け具の部分は、前記リップを受け入れるための環
状の溝を含み、前記出口開口に挿入されるべき前記針取付け具の部分は、前記リ
ップに対する永久的な結合のためにカラーを含む。それぞれのパーツは通常、プ
ラスティックで作られるので、内方へ曲げられたリップは、吸引針の取付け具の
存在下で外方へ曲げられると、やがてその弾性を失う。それゆえ、吸引針の針取
付け具においては、前記リップを受け入れるために環状の溝を設けられるのが好
ましい。
本発明による注射器アセンブリの好ましい実施例においては、前記補助結合部
は実質上中空であり、前記第2の結合手段は、つめを持つ1つ以上の可動リップ
の形状を有し、前記第3の結合手段は、前記吸引針の針取付け具と開放可能に協
働し合うことができると共に、前記注射針の針取付け具に対しては永久的に結合
できる環状の溝を含み、前記出口開口は、その内側の2つの位置に第4の結合手
段を備えており、該第4の結合手段は前記補助結合部の外側で第5の結合手段と
協働し合うようにされており、前記吸引針の存在下においては、前記第2の結合
手段のつめは前記ピストンにおける凹部とは協働不能であって、前記第5の結合
手段は前記ピストンにおける前記第4の結合手段と協働可能であり、前記注射針
の存在下では前記第2の結合手段のつめは前記ピストンにおける凹部と協働可能
であり、前記注射針を押すと、前記第4の結合手段と前記第5の結合手段との間
の結合を第2の位置に生じさせる。
この実施例においては、補助結合部は、前記吸引針の存在下では、非動作状態
、すなわち第1の結合位置にあり、ピストンは、結合を生ずること無く必要な回
数だけ前後に移動され得る。注射針が装着されるとすぐに、補助結合部は、第2
の動作位置に置かれ、前記補助結合部の第2の結合手段と前記ピストンの前記第
1の結合手段との結合が生ずる。
この実施例の特別なケースにおいては、前記補助結合部の前記第5の結合手段
は、前記第2の結合手段のつめのリップ上でラグの形状を持ち、前記第4の結合
手段は、前記出口開口の内壁に2つの周方向の凹部の形状を持つように形成され
、
前記凹部は前記出口開口の出口側の方向に関して下流側にあって他の前記凹部に
向けて面取りされており、前記出口開口への前記補助結合部の挿入後であって、
前記吸引針の存在下において、つめのリップ上のラグは、前記第2の結合手段の
つめが前記ピストンに結合できない時に、前記下流側の凹部と協働可能であり、
前記注射針を押すと、前記ピストンへの前記つめの結合が可能である時であって
前記ラグと前記凹部との結合が前記リップの互いに近付くような曲げにより開放
される間、前記補助結合部のラグは前記他の凹部に向けて移動可能にされている 。
現在の注射及び吸引針は、例えばスリーブその他の形態により、ユーザが針に
よって傷害を受けることを防止する手段を含む。本発明によれば、注射針と同様
に、吸引針は、好ましくは使用前に取外し可能な鞘を含む。特に、両方の鞘は1
つの鞘の2つの鞘部としてユニット化され、非常に簡単な操作性を提供する。両
方の針は、常に一緒にあり、液体容器から吸引針を取外す時には、それは再び鞘
の対応する鞘部の方へ挿入することができ、その後注射針は同じ鞘から装着する
ことができる。このような方法で、両方の針は、紛失したり、他の針と不用意に
混同してしまうことが無い。
鞘部の好ましい実施例においては、2つの鞘部が互いに1つの鞘にユニット化
され、針は並んで互いに反対方向にそれらの中に挿入可能にされ、少なくとも1
つの鞘部は、他の鞘部にも合うようなキャップを含む。
実際には、本発明による注射針は、吸引針が既に液体容器に装着された状態で
提供され、他の鞘部においては、注射針が反対向きに備えられている。吸引針の
使用後は、吸引針は対応する鞘部に挿入されて液体容器から取り外される。複合
鞘の手段により、注射針が出口開口に装着されると、キャップは、注射針の鞘部
から取外され、吸引針用の鞘部に移し換えられる。鞘部のこの様な構造は、望ま
しくない結果をもたらす、針による傷害を防ぎ、非常に簡単な操作性を提供する
。
更に、本発明は、本発明による注射器アセンブリのための補助結合部を提供す
る。
加えて、本発明は、本発明による注射器アセンブリのための、少なくとも針と
針取付け具とを含む注射針及び吸引針を提供する。
しかも、本発明による注射器アセンブリに適用するための鞘は、少なくとも吸
引針と注射針とを受け入れるための少なくとも2つの反対方向を向いた鞘部を含
む。
最後に、本発明は、本発明による注射器アセンブリのためのピストンであって
、その先端には、内方に向けたカラーを備えた凹部を有し、しかも実質上中心を
横切るように向けられた前面を持つピストンロッドを含み、前記前面において環
状のカラー部が2つ以上のサポートにより支持されており、その周囲には弾性変
形可能なピストンヘッドが設けられているピストンを提供する。
本発明による注射器アセンブリにおいては、吸引針は、液体容器内に望ましく
ない固形物が吸引されることを防ぐために、その中にふるいあるいはフィルタを
配置しているのが望ましい。これは、特に、薬瓶がガラス製で、折って取るよう
なガラスのキャップを持つ場合には、しばしばガラス粉末が瓶の中に入ることが
起こり得るケースがあるので重要なことである。
吸引針及びその針取付け具は一体構造で、例えばプラスティックあるは金属で
作られる。
図面の簡単な説明
本発明は添付の図面を参照して以下に説明される。
第1図は、吸引針を持つ本発明による注射器アセンブリの実施例を示し;
第2図は、注射針を持つ第1図の注射器アセンブリを示し;
第3図は、補助結合部が結合されている第2図の注射器アセンブリを示し;
第4図は、注射針が液体容器内に引き込まれている第2図の注射器アセンブリ
を示し;
第5図は、吸引針を持つ本発明による注射器アセンブリの他の実施例を示し;
第6図は、注射針を持つ第5図の注射器アセンブリを示し;
第7図は、吸引針を持つ注射器アセンブリを示し;
第8図は、注射針を持つ第7図の注射器アセンブリを示し;
第9図は、鞘を持つ第7図の注射器アセンブリを示し;
第10図は、鞘を持つ第8図の実施例を示し;
第11図は、2つの鞘部を持つ鞘を有する注射器アセンブリを示し;
第12図は、第11図の注射器アセンブリのピストンの断面を示し;
第13図は、第11図の注射器アセンブリの前面を示し;
第14図は、充填コアをもつピストンの斜視図を示し;
第15図は、ゴム製のピストンキャップを持つピストンヘッドの断面を示す。
発明を実施するための最良の形態
第1図において、本発明による注射器アセンブリの第1の実施例は1で示され
ている。この注射器アセンブリ1は、液体容器2とその中で移動可能なピストン
3と吸引針4と注射針6(第2図参照)とを含む。吸引針4は、キャップ9を有
して針取付け具8と共に1つのユニットとして構成される針7を含む。フィルタ
5が図式的に示され、このフィルタ5は、望ましくないガラス破片のような固形
物が液体容器2内に吸引されることを防止するように作用する。
液体容器2内には、補助結合部10が配置され、液体容器2の内壁に設けられ
た突起部12で留まっている。この補助結合部10は、周方向に関して分割され
た複数のつめ13(第2の結合手段)を含み、これらの複数のつめ13は、シー
ルリング16が配置されたピストン3上の環状の凹部15(第1の結合手段)に
永久的に結合され得る。環状の凹部15は、ピストン3の2つの部位18、19
で規定され、部位18は部位19よりも大きな径を有している。
液体容器2の出口開口11は外側カラー17を持ち、この外側カラー17はキ
ャップ9の内壁と摩擦により密着している。針取付け具8は、リップ21と協働
する環状の凹部20を有し、リップ21は注射器アセンブリの中心軸に向けて少
し曲げられている。
補助結合部10は、液体容器2の突起部12と液体容器2の内壁14との間に
閉じこめられている。
吸引針4の針取付け具8は、液体容器2内に延びる延長部23を有し、ピスト
ン3のストローク制限手段として作用する。このようにして、吸引針4の存在下
ではピストン3上の結合手段15がつめ13に結合することを防止する安全手段
を提供し、これにより、吸引後に装着されるべき注射針6と望むような結合を提
供することはもう出来ない。通常、本実施例による注射器アセンブリは、既にそ
こに装着されている状態で吸引針を供給され、注射針6は分離状態にてそこに供
給される。以降において詳しく検討されるように、吸引針4は、注射針6と同様
に、出荷時に、鞘を有する。
第2図において、第1図による注射器アセンブリは、注射針6が装着されて示
されている。吸引針4による液体25の吸引後、吸引針4は、回転あるいは引き
抜きにより出口開口11から取り外される。これは、必要とあれば、吸引針4が
鞘で覆われた状態で行われる。続いて、注射針6が、そこに鞘がある状態で出口
開口11に移し替えられ、つめ26がカラー17の後ろに嵌まり、その結果注射
針6はもはや取り外しできなくなる。
注射針6は針27と針取付け具28とに加えて分離キャップ30を有する。針
取付け具28は、環状のカラー31と凹部34とを有する。カラー31は、補助
結合部10の内方に曲げられたリップ21と肩部との間にクランプされる。リッ
プ21は凹部34内に配置されている。この方法で、針27を持つ針取付け具2
8は、明白にしかも永久的な形態で補助結合部10に結合される。
注射針は通常、しばしば大きなリールで供給される中空材料で作られるので、
これらの針は常にわずかに湾曲しており、その結果、キャップ30の開口を通し
て針を引き入れた後は、針は再び外方へは押すことができない。通路もまた、前
述と同様の作用を持つアセンブリの長手方向の中心軸に関して傾きを持つことが
できる。
第2図に示される状態では、ピストン3の部位18は、注射針27を通して液
体25を押出した後は、ラグ12を外方に押し、その結果、部位19における環
状の凹部15は、シールリング16の変形下でつめ13に結合することができる
。この状態は第3図に示されている。
上記の結合状態の間、ラグ12は液体容器2の変形により開放され、補助結合
部10はそれに沿って、針取付け具28及び針27を伴って移動され得る。この
方法で、注射針27は液体容器2内へ引き込まれる。引き込まれた注射針27を
持つこの状態は第4図に示されている。その後、もし再びピストンが液体容器内
へ周知の方法で押し込まれると、針は使用不能にされる。これは、針が再び開口 を
通して外へ出ることができず、多分曲がってしまうからである。
ラグ26とカラー17との協働作用により、キャップ30はもはや出口開口か
ら取り外しできないので、再使用は防止される。
第5図、第6図には本発明による注射器アセンブリの他の実施例が示されてお
り、この実施例においては中空の補助結合部40が使用されている。加えて、こ
の実施例では、ピストン3は第1の実施例のような環状の凹部は有していないが
、内方に向けたカラー42を有する中央凹部41を有している。吸引針4は、例
えば金属あるいはプラスティックでキャップ9と一体の構造に作られている。補
助結合部40は、リップ49上につめ45を有し、このつめ45はピストン3の
凹部41におけるカラー42と協働することができる。補助結合部40はまた、
環状の凹部46を有して、この凹部46は、注射針6の針取付け具47上のつめ
48と協働可能である。
補助結合部40は更に、つめ45と環状の凹部46との間のリップ49に形成
された複数のラグ50を有する。これらのラグ50は補助結合部40上で第5の
結合部材を形成し、出口開口11の内壁上において2つの位置を持つ第4の結合
部材と協働可能である。
これらの第4の結合部材は、2つの凹部52、53を有し、凹部52は凹部5
3に向けて面取りされている。初期の状態においては、吸引針の存在下で、補助
結合部40は第5図に示された位置、すなわちラグ50が凹部52内に置かれた
位置にある。注射針6の装着時、つめ48は補助結合部40における凹部46内
に入り込み、ラグ50は凹部52から凹部53の方へ力を受け、つめ45はそれ
から液体容器2内でフリーになる。その結果、それらはピストン3の開口41に
おけるカラー42と結合され得る。第1の実施例とまったく同様に、注射針6の
針取付け具47はキャップ30と分離して作られ、本例においてもまた、キャッ
プ30は、永久的な固定のためにカラー17の後ろに入り込むことのできるスナ
ップラグ26を備えられている。
第1図〜第4図に示された第1の実施例と比べた場合の利点は、ピストン3が
補助結合部40のつめ45を押している初期の状態において、液体容器2内に実
質的に空気が存在せず、それゆえ吸引により完全に液体を充満させることができ
、しかも注射針の存在により液体を放出するときには、液体容器は実質上完全に
空にされ、第1図〜第4図に示されている実施例のケースにおいては、より少な
い容量で済むことである。
第7図、第8図は、補助結合部が、注射針6の針取付け具60と一体の構造に 作られている注射器アセンブリを示す
。補助結合部及び針取付け具60は、リッ
プ49の端部につめ45を有し、更にラグ50を有する。第4の結合部材は、1
つの位置のみにあり、この例では、出口開口11において内方に向けたカラー6
1として形成されている。
吸引針4がある時、補助結合部のどの部分も液体容器内に延びていず、それに
より補助結合部は注射針6の針取付け具60と1つのユニットを形成し、その結
果、結合に際するどのようなリスクも回避される点にある。
第7図、第8図から明らかなように、出口開口11の内壁はやや円錐形に作ら
れ、吸引針の部位63は注射針の部位64と同様にされて、それらの外側におい
て対応しあう適合形状を持つ。これは、非常に良好なシール性を持つ非常に単純
な装着を実現するためである。部位64は、注射針6の近くで、キャップ30と
1ユニットを形成する。
吸引針により液体容器2が液体で満たされると、吸引針は取り外されて、注射
針6が出口開口11上に移し替えられ、それからつめ26がカラー17の後ろに
入り込む。注射針を通して液体を放出する時には、リップ49上のつめ45は開
口41により互いに近付き合うようにわずかに曲がり、その結果、ラグ50はカ
ラー61に沿って動くことができ、かくして、ピストンは針取付け具60を針2
7と共に液体容器内へ引き入れることができる。
第9図は、第7図の吸引針に鞘70を備えた注射器アセンブリを示す。この鞘
は、その全内壁に沿って、吸引針4と協働可能な長手方向のリブ71を有し、7
2において吸引針4のキャップ9と密着する。キャップ9は、その外側に適切な
リブ74を備えられている。これはまた、前述した図面にも示されている。この
ようなリブ74及び密着接触部72の存在により、吸引針は、鞘70の存在下で
、
容易に出口開口11に装着でき、かつそこから容易に取り外すことができる。
第10図は、同様な鞘を示すが、第8図の注射針6に装着され、リブ71はそ
の時、注射針のキャップ30の部位75と協働する。故意に、注射針は部位76
においてリブを備えられていない。これは、注射針は装着のみされるべきで、取
り外しされないからである。言い換えれば、第1図に示されるように、力は矢印
Aの方向のみに加えるべきで、他の方向には加えられないからである。
第11図は、注射器アセンブリを示し、その操作の原理は、第8図、第9図、
つまり第6図、第7図の例を単純化したアセンブリのそれに対応しているが、特
別な鞘80が使用される。この鞘80は、2つの鞘部81、82を有し、吸引針
4は既に出口開口11に装着されており、注射針6の鞘部81はキャップ83に
より閉じられている。この場合、液体容器は、第12図、第13図に示されるよ
うに、楕円形に作られる。第12図は、第11図の線X−Xに沿った断面図を示
し、第13図は鞘80の端面図を示す。これらの図から明らかなように、ピスト
ン3の形状が適合される。
この特別な実施例の利点は、吸引針と注射針とが1つの部品で供給されること
であり、その結果両方共に紛失することが無く、しかも容易に交換できることで
ある。吸引針は装着される時には、鞘80が取り外され、液体容器は液体で満た
される。続いて、吸引針が鞘部82に挿入され、出口開口11から取り外される
。それから、キャップ83が鞘部81から外され、必要であれば、開口85に置
かれる。その後、まだ鞘部81にある注射針6が出口開口に嵌め込まれる。続い
て、鞘は無駄になるので、使用後、注射針は液体容器内に引き込まれる。
この実施例及び前述した例においても、液体容器の断面形状は特定の形状に制
限されず、楕円形状あるいは略多面形状が好ましい。第1図〜第4図の実施例に
おいては、非円形の液体容器が特に好ましく、例えば、円形よりも楕円形液体容
器がラグ12を作るのにより簡単に成形できる。
第14図は、ピストン3の斜視図であり、このピストン3は、前面90、ピス
トンロッド91、及び環状のカラー94を支持している4つのサポート92を有
している。この実施例は、ピストンが比較的簡単な方法で製造できるという特別
な例である。このピストンは、内部に向けたカラーを持つピストンヘッドに中央
凹部を有する。このピストンは、1つの充填物95を持つ簡単な2つの部分の金
型により製造できる。半分の金型の分離は、ピストン3上に破線97により概略
的に示されている。成型終了後、ゴム製のピストンキャップ97が第15図に示
すように配置される。
請求の範囲
1. 出口開口(11)を有する液体容器(2)と、
該液体容器(2)内で移動可能なピストン(3)と、
前記液体容器(2)の出口開口(11)の内側あるいは外側に取外し可能に組
み付けられる針取付け具を有する吸引針(4)と、
前記液体容器(2)の出口開口(11)の内側あるいは外側に永久固定状態に
て組み付けられる針取付け具を有する注射針(6)とを、少なくとも含み、
前記ピストン(3)は、前記注射針(6)をその使用後に前記液体容器内に引
き込むことを許容すべく、前記注射針(6)の前記針取付け具に直接あるいは間
接的に結合される第1の結合手段と、前記吸引針(4)の存在下において前記ピ
ストン(3)の移動の間前記ピストン(3)の前記第1の結合手段が結合部を形
成することを防ぐように位置付けられている安全手段とを含む注射器アセンブリ
において、
該注射器アセンブリは更に、前記液体容器の出口開口に装着されると共に、前
記注射針(6)の前記針取付け具に接続される補助結合部(10;40)を含み
、該補助結合部は、前記注射針の存在下において前記ピストン(2)の前記第1
の結合手段に永久的に結合され得る第2の結合手段を含み、前記吸引針の存在下
においては結合が生じ得ないようにしたことを特徴とする注射器アセンブリ。
2. 請求の範囲1項記載の注射器アセンブリにおいて、前記補助結合部は、
前記出口開口の近くにおいて前記液体容器の先端に実質上密着して実質的にファ
ンネル形状部分(10)として形成され、前記補助結合部(10)は、前記出口
開口に挿入されるべき前記注射針(6)の前記針取付け具(28)部分に永久的
に結合され得る第3の結合手段を含み、前記補助結合部(10)の前記第2の結
合手段は、1つ以上のつめ(13)の形状をなし、前記第1の結合手段は、前記
つめ(13)が永久的な結合状態を形成できるように前記ピストン上において環
状のカラー(15)の形状をなし、前記液体容器(2)は、前記補助結合部(1
0)の第2の結合手段の近くにおいて、前記補助結合部(10)を位置決めする
ために1つ以上のラグ(12)を含み、前記ラグ(12)は前記ピストン(3)
により開放され得るものであり、前記針取付け具(8)は、前記出口開口に挿入
されるべき部分(23)を含み、しかも前記補助結合部(18)の前記つめ(1
3)は、前記吸引針(4)の存在下においては、前記ピストン(3)上の環状の
カラー(15)に結合不能となるような長さを有することを特徴とする注射器ア
センブリ。
3. 請求の範囲2項記載の注射器アセンブリにおいて、前記第3の結合手段
は、前記注射器アセンブリの長手方向の中心軸に向けて曲げられた1つ以上のリ
ップとして形成され、前記出口開口に挿入されるべき前記針取付け具(8)の部
分は、前記リップ(21)を受け入れるための環状の溝(20)を含み、前記出
口開口に挿入されるべき前記針取付け具(28)の部分は、前記リップ(21)
に対する永久的な結合のためにカラーを含むことを特徴とする注射器アセンブリ
。
4. 請求の範囲1項記載の注射器アセンブリにおいて、前記補助結合部(4
0)は実質上中空であり、前記第2の結合手段は、つめ(45)を持つ1つ以上
の可動リップ49の形状をなし、前記第3の結合手段は、前記吸引針(4)の針
取付け具と開放可能に協働しあうことができると共に、前記注射針(6)の針取
付け具(47)に対しては永久的に結合できる環状の溝(46)を含み、前記出
口開口(11)は、その内側の2つの位置に第4の結合手段を備えており、該第
4の結合手段は前記補助結合部(40)の外側で第5の結合手段と協働しあうよ
うにされており、前記吸引針(4)の存在下においては、前記第2の結合手段の
つめ(45)は前記ピストン(3)における凹部(41)とは協働不能であって
、前記第5の結合手段は前記ピストンにおける前記第4の結合手段と協働可能で
あり、前記注射針(6)の存在下では前記第2の結合手段のつめ(45)は前記
ピストン(3)における凹部(41)と協働可能であり、前記注射針(6)を押
すと、前記第4の結合手段と前記第5の結合手段との間の結合を第2の位置に生
じさせることを特徴とする注射器アセンブリ。
5. 請求の範囲4項記載の注射器アセンブリにおいて、前記補助結合部(4
0)の前記第5の結合手段は、前記第2の結合手段のつめ(45)のリップ(4
9)上でラグ(50)の形状をなし、前記第4の結合手段は、前記出口開口(1
1)の内壁に2つの周方向の凹部(52、53)の形状を持つように形成され、
前記凹部(52)は前記出口開口(11)の出口側の方向に関して下流側にあっ
て他の前記凹部(53)に向けて面取りされており、前記出口開口(11)への
前記補助結合部(40)の挿入後であって、前記吸引針(4)の存在下において
、つめ(45)のリップ(49)上のラグ(50)は、前記第2の結合手段のつ
め(45)が前記ピストン(3)に結合できない時に、前記下流側の凹部(52
)と協働可能であり、前記注射針(6)を押すと、前記ピストン(3)への前記
つめ(45)の結合が可能である時であって前記ラグ(50)と前記凹部(53
)との結合が前記リップ(49)の互いに近付くような曲げにより開放される間
、前記補助結合部(40)のラグ(50)は前記他の凹部に向けて移動可能にさ
れていることを特徴とする注射器アセンブリ。
6. 請求の範囲1〜5項のいずれかに記載の注射器アセンブリにおいて、前
記吸引針(4)とこれと同様の前記注射針(6)は、使用前に取外し可能な鞘(
70)を含むことを特徴とする注射器アセンブリ。
7. 請求の範囲6項記載の注射器アセンブリにおいて、2つの鞘部が1つの
鞘(80)にユニット化されていることを特徴とする注射器アセンブリ。
8. 請求の範囲7項記載の注射器アセンブリにおいて、2つの鞘部が互いに
1つの鞘(80)にユニット化され、針は並んで互いに反対方向にそれらの中に
挿入可能にされ、少なくとも1つの鞘部は、他の鞘部にも合うようなキャップ(
83)を含むことを特徴とする注射器アセンブリ。
9. 請求1〜8項のいずれかに記載の注射器アセンブリのための補助結合部
。
10. 請求の範囲1〜8項のいずれかに記載の注射器アセンブリのための、
針と針取付け具とを含む注射針。
11. 請求の範囲1〜8項のいずれかに記載の注射器アセンブリのための、
針と針取付け具とを含む吸引針。
12. 請求の範囲1〜8項のいずれかに記載の注射器アセンブリのための鞘
であって、吸引針と注射針とを受け入れるための少なくとも2つの反対方向を向
いた鞘部を含む鞘。
13. 請求の範囲1〜8項のいずれかに記載の注射器アセンブリのためのピ
ストンであって、その先端には、内方に向けたカラー(42)を備えた凹部(4
1)を有し、しかも実質上中心を横切るように向けられた前面(90)を持つピ
ストンロッド(91)を含み、前記前面(90)において環状のカラー部(94
)が2つ以上のサポート(92)により支持されており、その周囲には弾性変形
可能なピストンキャップ(98)が設けられているピストン。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
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