JPH10501701A - Htkリガンド - Google Patents

Htkリガンド

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JPH10501701A
JPH10501701A JP8505150A JP50515096A JPH10501701A JP H10501701 A JPH10501701 A JP H10501701A JP 8505150 A JP8505150 A JP 8505150A JP 50515096 A JP50515096 A JP 50515096A JP H10501701 A JPH10501701 A JP H10501701A
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htk ligand
receptor
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ディー. ベネット,ブライアン
マシューズ,ウイリアム
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ジェネンテック インコーポレイテッド
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Abstract

(57)【要約】 Htk受容体に結合して、該受容体を活性化する新規な肝がん膜貫通キナーゼ受容体リガンド(Htkリガンド)を開示する。例として、マウスおよびヒトHtkリガンドを、可溶性のHtk-Fc融合タンパク質を用いて種々の組織において同定した。これらのリガンドをクローン化して、それらの配列を決定した。本発明はまた、該リガンドをコードする核酸、該リガンドの生産および使用方法、並びに該リガンドに特異的な抗体に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 Htkリガンド 発明の背景 発明の分野 本発明は、一般的に受容体タンパク質チロシンキナーゼ(receptor proteintyr osine kinase: rPTK)リガンドに関する。さらに特定すると、本発明は、肝がん 膜貫通キナーゼ(hepatoma transmembrane kinase: Htk)受容体(HpTK 5受容体と しても知られる)に結合して、それを活性化する新規なリガンド、並びに該リガ ンドの単離および組換え生産に関する。関連技術の説明 細胞の増殖および分化を調節するシグナルの伝達は、一部には、種々の細胞性 タンパク質のリン酸化により調節されている。タンパク質チロシンキナーゼはこ の過程を触媒する酵素である。タンパク質チロシンキナーゼファミリーの仲間は 、チロシンキナーゼ触媒ドメイン中にいくつかの保存されたアミノ酸領域が存在 することで確認できる(Hanks ら,Science,241:42-52[1988])。チロシンキナー ゼドメインは有糸分裂誘発、形質転換および細胞分化のシグナル伝達経路に関与 している。ある種のチロシンキナーゼは主に細胞の増殖および分化を刺激するが 、他のチロシンキナーゼは増殖を阻止して分化を促進する。さらに、それが発現 される細胞環境に応じて、同じチロシンキナーゼが細胞増殖を刺激したり阻止し たりする。Schlessingerら,Neuron,9:383-391[1992]を参照のこと。 受容体タンパク質チロシンキナーゼ(rPTK)は、細胞外シグナルを細胞内シグナ ル伝達経路に伝えることによって、細胞の増殖および分化を制御する。これらの rPTKは、細胞内触媒部分、膜貫通ドメインおよび細胞外リガンド結合ドメインに 関して、類似した構造を共有する(Schlessingerら,同上)。リガンドの結合と 生物学的シグナルの伝達に関与する細胞外ドメイン(ECD)は、多くの異なる構造 モチーフで構成されていることがわかっている。細胞内ドメインは触媒タンパク 質チロシンキナーゼを含む。 受容体チロシンキナーゼは、配列および構造の類似性にしたがって、いくつか のクラスに分類される。例えば、クラスV受容体はシステインに富む領域とフィ ブロネクチンIII 型領域を細胞外ドメインに有し、これにはEPH,ELK,ERK,EEK ,ECK および HEK受容体が含まれる。各種クラスの受容体チロシンキナーゼとそ れらの機能については、例えば、Hanksら(同上)、およびSchlessingerら(同 上)を参照のこと。 受容体タンパク質チロシンキナーゼのタンパク質リガンドは、細胞表面のそれ らの同族受容体の細胞外ドメインに結合し、それによりチロシンのリン酸化を刺 激する。こうしたリガンドのいくつかは、インスリン様増殖因子1(IGF-1)、上 皮増殖因子(EGF)、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、神経増殖因子(NGF)などの増殖因 子またはサイトカインである。多くのチロシンキナーゼ受容体のリガンドは、造 血系において機能することがわかっている。例えば、最近クローニングされたマ ウスflt3/flk-2チロシンキナーゼ受容体のリガンドは、原始的なマウス造血細胞 とヒトCD34陽性骨髄細胞の増殖を刺激する。Lyman ら,Cell,75:1157-1167(199 3)。 ECK 受容体のリン酸化を刺激するタンパク質リガンドが最近クローニングされ 、CHO 細胞において発現された。Bartley ら,Nature,368:558-560(1994)。こ のECK リガンドは、以前にHolzman ら,Mol.Cell.Biol.10:5830-5838(1990) により単離された分子、B61 と同一であることが判明した。 受容体チロシンキナーゼは最近同定され、ヒト肝細胞がん細胞系のHep 3Bから クローニングされた。この受容体は、“Htk”受容体または“HpTK 5”受容体と 呼ばれるもので、rPTKのクラスVまたはEPH サブファミリーに属すると考えられ る。Bennettら,J.Biol.Chem.,269(19):14211-14218(1994)を参照のこと。 ヒト胎児組織のノーザンブロット分析から、Htk受容体核酸の発現は心臓、肺 、肝臓、脳および腎臓で起こることが明らかになった。成人組織では、脳にまっ たくシグナルを検出できなかったのに対し、胎盤は特に強いシグナルを有し、次 いで腎臓、肝臓、肺および膵臓であった。骨格筋と心臓はより低いシグナル強度 を有していた。Bennett ら(同上)を参照のこと。 ヒト腫瘍細胞系におけるHtk受容体核酸の発現もノーザンブロット分析により 分析された。肝がん、乳がん(MCF-7)、結腸がん(Colo 205)、肺がん(NCI 69)、 メラノサイト(HM-1)および子宮頸がん(HeLa)から誘導された細胞系は、適当な大 きさの検出可能なシグナルを有していた。メッセージは造血系由来の選ばれた細 胞系内に存在していた。K562(多分化能を有する原始骨髄細胞)、THP-1(単球様 細胞)、U937(骨髄単球性細胞系)、Hep3B(ヒト肝がん細胞系)およびCMK(骨髄巨 核球由来)はすべてHtk受容体のメッセージについて陽性であったが、リンパ球様 細胞(H9,Jurkat,JH-1,Raji,Ramos)または選ばれた他の骨髄細胞(KG-1または KMT2)はノーザン分析によって検出可能な転写産物を示さなかった。Bennett ら (同上)を参照のこと。 “myk-1”と呼ばれるHtk受容体のマウス相同体が乳腺上皮から単離された。An dresら,Oncogene,9:1461-1467(1994)を参照のこと。Andresらは、myk-1 が乳 腺上皮の増殖の間に誘導され、その分化の間にダウンレギュレーションされると 報じている。さらに、この受容体の調節解除された発現は、乳腺の発がんにおけ る初期現象を表す可能性があると考えられる(Andres ら,同上参照)。 しかしながら、Htk受容体のタンパク質リガンドはこれまで開示されたことが ないようである。したがって、本発明の目的はHtk受容体に対するリガンドを提 供することである。 本発明の更なる目的は、Htkリガンドを組換えDNA技法で生産できるように 、Htkリガンドをコードする核酸を提供することである。 これらおよび他の目的は、当業者には、本明細書全体を考察することにより明 らかになるだろう。 発明の概要 これらの目的は、一面では、抗原的にまたは生物学的に活性である単離したHt kリガンドを提供することにより達成される。一つの実施態様において、本発明 は、少なくとも膜貫通領域が欠失されている可溶性形態のリガンドを提供する。 通常は細胞質ドメインも存在しないだろう。 Htkリガンドの可溶性形態の一例は、Htkリガンドの細胞外ドメインと免疫グ ロブリン配列の融合体であるイムノアドヘシン(immunoadhesin)である。 本発明はまた、他のポリペプチドに融合されたHtkリガンド(またはその一部 )からなる他のキメラに関する。このようなキメラの一例はエピトープタグ付き Htkリガンドである。 他の面において、本発明は生物活性Htkリガンドと製剤学的に許容される担体 を含む組成物を提供する。Htkリガンドは医薬組成物中に可溶性形態で存在する ことが好ましい。 本発明はまた、HtkリガンドおよびHtkリガンドキメラをコードする単離した核 酸配列を提供する。 核酸は、本発明の一実施態様では、宿主細胞に形質転換し得る複製可能なベク ター中に挿入される。形質転換宿主細胞の培養物中で核酸を発現させて、宿主細 胞培養物からタンパク質を回収することを含んでなる、Htkリガンドをコードす る核酸を用いて新規なタンパク質を産生させる方法も提供される。 さらに、本発明は、Htk受容体のキナーゼドメインのリン酸化を起こさせるた めに、Htk受容体をHtkリガンドと接触させることを含む方法を提供する。 本発明はまた、例えばHtkリガンドを含むと思われる生物学的試料中のHtkリガ ンドの存在を検出するのに使用できる、Htkリガンドと結合するモノクローナル 抗体を提供する。 図面の簡単な説明 図1A-1B は、ここに記載されるマウスHtkリガンドのヌクレオチド配列(配列 番号1)と推定アミノ酸配列(配列番号2)のアライメントを示す。 図2は、ここに記載されるヒトHtkリガンドのヌクレオチド配列(配列番号3 )と推定アミノ酸配列(配列番号4)のアライメントを示す。 図3は、マウスHtkリガンド(muHtkL)とヒトHtkリガンド(humHtkL)のアミノ酸 配列(それぞれ配列番号2および4)のアライメントを示す。同一の残基は線で 囲ってある。陰影をつけた領域は膜貫通ドメインを表す。細胞外ドメインおよび 細胞内ドメインはそれぞれ膜貫通ドメインに対してN末端およびC末端にある。 シグナルペプチドの切断部位であると予想されるアミノ酸は矢印で示してある。 潜在的なN-結合グリコシル化部位には(*)印が、そして保存されたシステイン には(▼)印が付けてある。 図4は、Bennett ら(同上)に開示されたヒトHtk受容体のヌクレオチド配列 (配列番号5)と推定アミノ酸配列(配列番号6)を示す。シグナルペプチドの 切断部位であると予想されるアミノ酸は矢印で示してある。ELK サブファミリー の仲間において保存されているシステインは丸で囲ってあり、膜貫通領域には上 線が引いてある。 図5A-5B は、SV40MES 13細胞系(図5A)またはCOS-7 細胞において発現された 組換えマウスHtkリガンド(図5B)に対するHtk-Fcの結合競合曲線を示す。それ ぞれの結合曲線のスキャッチャード表示は挿入図に示してあり、Kdはそれぞれ3 nMと0.5nM であることがわかる。 好適な実施態様の詳細な説明 I.定義 本発明を説明するにあたって、以下の用語を採用し、下記のように定義するも のとする。 「Htkリガンド」は、本明細書中では、rPTKに結合してそれを活性化する、好 ましくはHtk受容体の細胞外ドメインに結合することによりその細胞内チロシン キナーゼドメインを活性化する任意のポリペプチド配列であると定義される。rP TKの活性化は、rPTKの細胞内ドメイン中のチロシン残基の自己リン酸化により測 定できる。受容体の自己リン酸化を測定するための典型的な方法については本明 細書中の実施例4を参照のこと。Htkリガンドは天然に存在するポリペプチド( 該ポリペプチドは図3に示したアミノ酸配列のいずれかを有する)の他の生物学 的性質をもっていてもよい。 本明細書にとって「生物学的性質」とは、図3の配列(その天然型であろうと 変性されたコンホメーションであろうと)により示されるHtkリガンドが直接ま たは間接に果たすin vivo エフェクターまたは抗原機能もしくは活性を意味する 。主なエフェクター機能は、Bennett ら(同上)に開示されたHtk受容体(HpTK5 受容体としても知られる)のようなrPTKに結合してそれを活性化するHtkリガン ドの能力である。Htk受容体はrPTKのクラスVまたはEPH サブファミリーのrPTK である。Htk受容体のヌクレオチドおよびアミノ酸配列は図4に示される。一般 に、このリガンドはHtk受容体の細胞外ドメインに結合し、それによってその細 胞内チロシンキナーゼドメインを活性化するだろう。その結果、該リガンドの該 受容体への結合は、in vivo またはin vitroで、Htkリガンドの受容体を担う細 胞の増殖および/または分化および/または活性化を増強または阻止し得るだろ う。Htk受容体への該リガンドの結合は、RIA、ELISA、他の競合結合アッセイの ような競合結合法を含めた従来の技法を用いて測定できる。リガンド/受容体複 合体は濾過、遠心分離、フローサイトメトリー(例えば、Lyman ら,Cell,75:1 157-1167[1993]; Urdalら,J.Biol.Chem.,263:2870-2877[1988]; および Gea ringら,EMBO J,8:3667-3676[1989]を参照)などの分離法を用いて同定できる 。結合実験から得られた結果は、スキャッチャード分析(Scatchard,Ann.NY Ac ad.Sci.,51:660-672[1949]; および Goodwinら,Cell,73:447-456[1993])な どの結合データの通常のグラフ表示を用いて分析できる。HtkリガンドはHtk受容 体のリン酸化を誘導するので、本明細書中の実施例4に記載したアッセイのよう な通常のチロシンリン酸化アッセイは、Htk受容体/リガンド複合体の形成の指 標としても使える。その他のエフェクター機能としては、例えばシグナル伝達、 酵素活性または酵素変調活性(例えば、チロシンキナーゼ活性)、または構造的 な役割がある。しかしながら、エフェクター機能には、Htkリガンドに対する抗 体と交差反応し得るエピトープまたは抗原部位を含むという機能は含まれない。 抗原機能とは、図3のポリペプチド配列のいずれかを含む天然に存在するポリペ プチドのポリペプチド配列に対して誘導された抗体と交差反応することができる 、エピトープまたは抗原部位をもつことを意味する。 「生物活性」Htkリガンドは、Htkリガンドのエフェクター機能を共有し、かつ 抗原機能をさらにもち得る(しかし、もつとは限らない)ポリペプチドとして本 明細書中では定義される。Htkリガンドの主な既知のエフェクター機能は、Htk受 容体のタンパク質リン酸化を起こさせるその能力である。 「抗原活性」Htkリガンドは、Htkリガンドの抗原機能を有し、かつエフェクタ ー機能をさらにもち得る(しかし、もつとは限らない)ポリペプチドとして定 義される。 好ましい実施態様において、抗原活性Htkリガンドは、Htkリガンドと結合でき る抗体に少なくとも約106l/moleの親和性で結合するポリペプチドである。通常 、ポリペプチドは少なくとも約107l/moleの親和性で結合する。Htkリガンドと結 合できる単離抗体は、それが存在する自然環境の成分から同定・分離される抗体 である。最も好ましくは、抗原活性Htkリガンドは、天然のコンホメーションのH tkリガンドと結合できる抗体に結合するポリペプチドである。天然のコンホメー ションのHtkリガンドとは、カオトロピック剤、熱、または(例えば、非還元非 変性分画ゲル上での泳動により測定したとき)Htkリガンドの三次元構造を実質 的に改変する他の処理によって変性されていない、天然に存在するHtkリガンド である。通常、生物活性または抗原活性Htkリガンドは、図3に示した成熟Htkリ ガンドのアミノ酸配列のいずれか一方と少なくとも75% の、より好ましくは少な くとも80% の、より好ましくは少なくとも85% の、より好ましくは少なくとも90 % の、最も好ましくは少なくとも95% のアミノ酸配列同一性を有するだろう。こ の配列に関する同一性または相同性とは、本明細書中では、配列を並列化し、必 要に応じて、配列同一性の最大パーセントを達成するためにギャップを導入し、 また、いかなる保存的同類置換も配列同一性の部分とみなさずに判定した後で、 Htkリガンド残基と同一である候補配列のアミノ酸残基のパーセントとして定義 される。Htkリガンド配列へのN末端、C末端もしくは内部伸長、欠失、または 挿入はどれも、配列同一性または相同性に影響を与えるものとは解釈されないだ ろう。 したがって、本発明の主題である生物活性および抗原活性Htkリガンドポリペ プチドは次のものを含む。すなわち、Htkリガンドの全翻訳ヌクレオチド配列に より表されるポリペプチド(そのシグナル配列を含む);シグナル配列が切断さ れている成熟Htkリガンド;本質的にHtkリガンドの細胞内ドメインまたは膜貫通 ドメインからなる断片;Htkリガンド由来の少なくとも5、10、15、20、25、30 または40個のアミノ酸残基の保存的配列を有するHtkリガンドの断片;上で定義 したHtkリガンドまたはその断片のNもしくはC末端または内部にアミノ酸残基 が挿入されている、Htkリガンドのアミノ酸配列変異型;上で定義したHtkリ ガンドまたはその断片のアミノ酸残基が他の残基で置換されている(例えば部位 特異的または PCR突然変異誘発による予め決められた突然変異を含む)、上で定 義したHtkリガンドまたはその断片のアミノ酸配列変異型;ウサギ、ラット、ブ タ、ヒト以外の霊長類、ウマ、マウス、ヒツジのHtkリガンドのような種々の動 物種のHtkリガンド、および前記およびヒトのHtkリガンドの対立形質(allele)ま たは他の天然に存在する変異型;Htkリガンドまたはその断片が、置換、化学的 、酵素的または他の適当な手段により、天然に存在するアミノ酸以外の成分で共 有結合修飾されている、上で定義したHtkリガンドまたはその断片の誘導体;お よびHtkリガンドのグリコシル化変異型(グリコシル化部位の挿入、または適当 な残基の欠失、挿入または置換によるグリコシル化部位の改変)である。好まし いHtkリガンドはヒトHtkリガンド、特に図2に示した配列を有する天然ヒトHtk リガンドである。 一つの好ましい実施態様において、Htkリガンドは可溶性のHtkリガンドからな る。「可溶性Htkリガンド」とは、天然Htkリガンドの少なくとも膜貫通ドメイン 、および場合により細胞内ドメイン、を本質的に含まないHtkリガンドを意味す る。「本質的に含まない」とは、可溶性Htkリガンド配列が2%未満の、好まし くは 1.0〜0%の、より好ましくは 0.5〜0%の膜貫通ドメインを有することを 意味する。天然のマウスおよびヒトアミノ酸配列の膜貫通ドメインは図3に示さ れ、すなわちマウスHtkリガンドでは残基228 から253 であり、ヒトHtkリガンド では残基225 から250 である。このような可溶性Htkリガンドは治療の立場から すれば有利である。と言うのは、それらが一般に、例えば患者の血流中に溶解す るからである。同様に、こうした可溶性リガンドは、細胞膜に入る傾向が少ない と予想されるので、診断薬として特に有用であることがわかる。 Htkリガンドの可溶性形態の一例は「イムノアドヘシン」である。「イムノア ドヘシン」という用語は「Htkリガンド−免疫グロブリンキメラ」という表現と 交換可能に用いられ、Htkリガンドの細胞外ドメイン(ECD)を免疫グロブリン配列 と組み合わせたキメラ分子を意味する。免疫グロブリン配列は免疫グロブリンの 定常ドメインであることが好ましい(が、必ずしもそうではない)。本発明のキ メラの免疫グロブリン部分はIgG-1,IgG-2,IgG-3 またはIgG-4 サブタイプ、 IgA、IgE、IgD またはIgM から得られるが、IgG-1 またはIgG-3 から得ることが 好ましい。 本明細書中で用いる「細胞外ドメイン」または「ECD」という用語は、ここに 開示される天然Htkリガンドの細胞外ドメインの受容体結合機能を共有するあら ゆるポリペプチド配列を指す。受容体結合機能とは、Htk受容体のようなrPTKの 細胞外ドメインと結合する(場合により該受容体を活性化する)ポリペプチドの 能力のことである。したがって、一般に、より小さなセグメントも受容体に結合 できることがわかっているので、完全な細胞外ドメインを含む必要はない。ECD は、成熟Htkリガンドの細胞質ドメインと疎水性の膜貫通配列(および、場合に より、膜貫通ドメインのアミノ末端側の1〜20個のアミノ酸)が欠失されている ポリペプチドを包含する。Htkリガンドの細胞外ドメインは図3に示してある( すなわち、それは膜貫通ドメインのアミノ末端側である)。 本明細書中で用いる「エピトープタグ付き(epitope tagged)」という用語は、 「タグポリペプチド(tag polypeptide)」に融合された全Htkリガンドまたはその 一部からなるキメラポリペプチドを指す。タグポリペプチドは抗体をつくれるエ ピトープを提供するに足る残基を有するが、Htkリガンドの活性を妨害しないよ うに十分短いものである。また、タグポリペプチドは、それに対する抗体が他の エピトープと実質的に交差反応しないようにユニークなものである方がよい。適 当なタグポリペプチドは一般に少なくとも6個のアミノ酸残基を有し、通常は約 8〜50個のアミノ酸残基(好ましくは約9〜30個の残基)を有する。 「外因性」治療化合物は、本明細書中では、哺乳動物患者にとって外来性であ るか、哺乳動物患者の体内に存在するが哺乳動物患者の体外で生産された化合物 に相当する治療化合物を意味すると定義される。 ここに開示された種々のタンパク質を記載するために用いられる「単離した」 とは、同定して、その自然環境の成分から分離および/または回収したタンパク 質を意味する。その自然環境の汚染成分は該タンパク質の診断または治療的使用 を妨害する物質であり、酵素、ホルモンおよび他のタンパク質性または非タンパ ク質性の溶質を含む。好ましい実施態様では、タンパク質は、(1)スピニング・ カップ・シークエネーター(spinning cup sequenator)を使って少なくとも15残 基のN末端または内部アミノ酸配列を得るのに十分な程度に、または(2)クーマ シーブルーあるいは好ましくは銀染色を用いて非還元または還元条件下でSDS-PA GEにより均一に、精製されるだろう。単離したタンパク質は、組換え細胞内のそ の場のタンパク質を含むものである。なぜなら、Htkリガンドの自然環境の少な くとも一つの成分が存在していないからである。しかし、通常、単離したタンパ ク質は少なくとも一つの精製段階により調製されるだろう。 「本質的に純粋な」タンパク質とは、組成物の合計重量に基づいて、少なくと も約90重量%の、好ましくは少なくとも約95重量%のタンパク質を含む組成物を いう。「本質的に均一な」タンパク質とは、組成物の合計重量に基づいて、少な くとも約99重量%のタンパク質を含む組成物をいう。 本発明によれば、「Htkリガンド核酸」または「Htkリガンド核酸分子」は、生 物活性または抗原活性Htkリガンドをコードするか、この種のHtkリガンドをコー ドする核酸配列に相補的であるか、またはストリンジェント条件下で該Htkリガ ンドをコードする核酸配列にハイブリダイズして、それに安定して結合されたま までいる、10個より多い塩基を含むRNA またはDNA である。この核酸はシグナル 配列をコードする図1Aおよび図2の核酸配列の領域を含んでいてもよい。一実施 態様において、核酸配列は次の配列から選ばれる: (a)図1Aまたは図2の核酸配列のコーディング領域; (b)遺伝暗号の縮重の範囲内で(a)の配列のいずれかに対応する配列;または (c)ストリンジェント条件下で(a)または(b)の配列に相補的な配列とハイブリ ダイズし、かつ生物活性Htkリガンドをコードする配列。 一つの好ましい実施態様では、この核酸は、ポリペプチドの膜貫通領域(およ び、場合により細胞質領域)が欠失されている可溶性のHtkリガンドをコードし ている。 好ましくは、Htkリガンド核酸分子は、図3に示したHtkリガンドのアミノ酸配 列のいずれかと、少なくとも75% の、より好ましくは少なくとも80% の、さらに 好ましくは少なくとも85% の、より一層好ましくは少なくとも90% の、最も好ま しくは少なくとも95% の配列同一性を有するポリペプチドをコードするものであ る。Htkリガンドをコードする核酸配列にハイブリダイズするHtkリガンド核 酸分子は少なくとも20個の、より好ましくは40個の、最も好ましくは90個の塩基 を含む。 「ストリンジェント条件」は、(1)洗浄のために低イオン強度と高温を使用す る、例えば、0.015M NaCl/0.0015M クエン酸ナトリウム/0.1% NaDodSO4、50℃を 使用する;(2)ハイブリダイゼーションの間にホルムアミドのような変性剤を使 用する、例えば、0.1%ウシ血清アルブミン/0.1% フィコール/0.1% ポリビニルピ ロリドン/750mM NaCl,75mM クエン酸ナトリウムを含む50mMリン酸ナトリウム緩 衝液pH6.5 とともに50%(v/v)ホルムアミド、42℃を使用する;または(3)50% ホ ルムアミド、5xSSC(0.75M NaCl,0.075M クエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナ トリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5xデンハート溶液、音波処理サ ケ精子DNA(50 μg/ml)、0.1% SDSおよび10% デキストラン硫酸、42℃を使用し 、0.2xSSC および0.1% SDS中42℃で洗浄する;条件である。 「単離した」Htkリガンド核酸分子は、Htkリガンド核酸の天然の供給源中で通 常はそれと関連している少なくとも1種の汚染核酸分子から同定・単離した核酸 である。単離したHtkリガンド核酸分子は、それが自然界で見いだされる形態ま たは状況とは相違するものである。したがって、単離したHtkリガンド核酸分子 は、自然界の細胞内に存在するHtkリガンド核酸分子と区別される。しかし、単 離したHtkリガンド核酸分子は、例えばその核酸分子が自然界の細胞の染色体位 置とは異なる染色体位置にある、通常Htkリガンドを発現する細胞内に含まれるH tkリガンド核酸分子を含むものである。 単離したHtkリガンドポリペプチド、Htkリガンド核酸、またはHtkリガンド抗 体は、Htkリガンド抗体の使用に関する論議において後述され定義される標識を 用いて、診断および検索目的のために標識することができる。 「制御配列」という表現は、特定の宿主生物において機能的に連結されたコー ディング配列を発現させるのに必要なDNA 配列を指す。原核生物に適する制御配 列としては、例えば、プロモーター、場合によりオペレーター配列、リボソーム 結合部位、そしておそらく、まだ十分に理解されていない他の配列が含まれる。 真核生物の細胞はプロモーター、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーを 利用することが知られている。 核酸は、それが他の核酸配列との機能的な関係に置かれているとき、「機能的 に連結」されている。例えば、ポリペプチドをその分泌に関与するプレタンパク 質として発現させる場合は、プレ配列または分泌リーダーのDNA をポリペプチド のDNA に機能的に連結させる。プロモーターまたはエンハンサーがコーディング 配列の転写に影響を与えるには、それをコーディング配列に機能的に連結させる 。また、翻訳を促進させるためにリボソーム結合部位を配置する場合は、それを コーディング配列に機能的に連結させる。一般的に、「機能的に連結」とは、連 結されるDNA 配列が連続しており、分泌リーダーの場合には、連続していてさら に読み枠が一致していることを意味する。しかし、エンハンサーは連続している 必要はない。連結は都合のよい制限部位でのライゲーションにより行われる。こ うした部位が存在しない場合は、通常のプラクティスに従って合成オリゴヌクレ オチドアダプターまたはリンカーを用いる。 「抗体」という用語は最も広い意味で用いられ、特に単一の抗Htkリガンドモ ノクローナル抗体(アゴニストおよびアンタゴニスト抗体を含む)およびポリエ ピトープ特異性を有する抗Htkリガンド抗体組成物を包含する。 本明細書中で用いる「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗 体の集団(すなわち、該集団を構成する個々の抗体が同一である)から得られる 抗体を指すが、自然界で起こり得る突然変異がわずかに存在してもよい。モノク ローナル抗体は高度に特異的で、ただ一つの抗原部位に対して誘導される。さら に、異なる抗原決定基(エピトープ)に対する各種の抗体を含む従来の(ポリク ローナル)抗体と対照的に、それぞれのモノクローナル抗体は抗原上の単一の抗 原決定基に対して誘導されたものである。 モノクローナル抗体は、本明細書においては、それらが所望の生物活性を示す かぎり、抗Htkリガンド抗体の可変部(超可変部を含む)を定常部(例えば、「 ヒト化」抗体)と、または軽鎖を重鎖と、またはある種由来の鎖を他の種由来の 鎖と、スプライシングすることにより作られたハイブリッドおよび組換え抗体; 起源種または免疫グロブリンのクラスまたはサブクラスの指定に関係なく、異種 タンパク質との融合体;および抗体断片(例えば、Fab,F(ab')2およびFv)を含 む。〔例えば、米国特許第4,816,567 号およびMage & Lamoyi,in Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.79-97(Mar cel Dekker,Inc.,New York(1987)を参照のこと。〕 したがって、「モノクローナル」という語句は実質的に均一な抗体集団から得 られる抗体の特性を示すもので、特定の方法による抗体の生産を必要とすると解 釈すべきでない。例えば、本発明にしたがって用いられるモノクローナル抗体は 、最初にKohler & Milstein,Nature,256:495(1975)により記載されたハイブ リドーマ法、または組換えDNA 法(米国特許第4,816,567 号)により作ることが できる。「モノクローナル抗体」はまた、例えばMcCaffertyら,Nature,348:55 2-554(1990)に記載された技法を用いて作製されたファージライブラリーから単 離することも可能である。 非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリン由来 の最小配列を含む免疫グロブリン鎖またはそのフラグメント(例えばFv、Fab、F ab'、F(ab')2または抗体の他の抗原結合性部分配列)である、特異的なキメラ免 疫グロブリンである。たいていは、ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定部 (CDR)由来の残基が所望の特異性、親和性および能力を有するマウス、ラットウ サギなどの非ヒト種(ドナー)の抗体のCDR 由来の残基により置き換えられてい るヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの場合には、ヒト 免疫グロブリンのFvフレームワーク部(FR)の残基が対応する非ヒト残基で置き換 えられる。さらに、ヒト化抗体はレシピエント抗体にも移入CDR またはフレーム ワーク配列にも存在しない残基を含んでいてもよい。こうした修飾は抗体の性能 をさらに向上させ、最適化するために行われる。一般に、ヒト化抗体は少なくと も1つの、典型的には2つの可変部の実質的に全部を含み、その際、CDR 部の全 部または実質的に全部が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、そしてFR部の全 部または実質的に全部がヒト免疫グロブリンの共通配列のものである。また、ヒ ト化抗体は免疫グロブリンの定常部(Fc)、一般的にはヒト免疫グロブリンの定常 部、の少なくとも一部を含むだろう。 II.発明の実施の形態 本発明は、Htk受容体に結合し、それを活性化する新規なHtkリガンドの発見 に基づくものである。 マウスのHtkリガンドのcDNA 配列を図1A-Bに示してある。シグナルペプチド切 断後のこのタンパク質の推定分子量は34kDで、pIは8.9 であると見積もられる。 同様に、ヒトHtkリガンドが同定され単離された。ヒトHtkリガンドのヌクレオチ ドおよびアミノ酸配列は図2に示してある。マウスおよびヒトのリガンドはアミ ノ酸レベルで96% の相同性を示し、両動物種間で高度の保存が認められる。Htk リガンドおよびその変異型の調製について以下に記載する。 1.天然配列Htkリガンドおよびその変異型の調製 下記の説明の大半は、Htkリガンド核酸を含むベクターで形質転換した細胞を 培養し、その細胞培養物からポリペプチドを回収することによるHtkリガンドの 生産に関する。さらに、本発明のHtkリガンドは、1991年5月16日に公開されたW O 91/06667に記載されるような、相同的組換えによっても生産し得ると考えられ る。 簡単に述べると、この方法は、内因性Htkリガンド遺伝子を含む一次哺乳動物 細胞(例えば、目的のHtkリガンドがヒトのものであるならば、ヒト細胞)を、 増幅可能な遺伝子〔例えば、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)または以下に記載 のもの〕およびHtkリガンド遺伝子の増幅をもたらすためのHtkリガンド遺伝子の コーディング領域の遺伝子座のDNA 配列と相同である少なくとも約150bp の長さ の少なくとも1つのフランキング領域を含む構築物(すなわち、ベクター)で形 質転換することを含む。増幅可能な遺伝子はHtkリガンド遺伝子の発現を妨害し ない部位に存在しなければならない。形質転換は、構築物が一次細胞のゲノムに 相同的に組み込まれて増幅可能な領域を定めるように行われる。 その後、該構築物を含む一次細胞を、増幅可能な遺伝子またはその構築物中に 存在する他のマーカーによって選択する。マーカー遺伝子の存在は、その構築物 が宿主ゲノム中に組み込まれて存在することを裏付ける。選択は二次宿主におい て行われるので、これ以上の一次細胞の選択を行う必要はない。所望により、PC R を使用し、得られた増幅DNA 配列の配列決定を行うか、または正しい相同組込 み体由来のDNA が存在する場合は適当な長さのPCR 断片を決定し、かかる断片 を含む細胞のみを増やすことにより、相同的組換え現象の発生を調べることがで きる。さらに、所望により、選択した細胞をこの時点で増幅することもでき、そ れには該細胞に適当な増幅剤(例えば、増幅可能な遺伝子がDHFRである場合はメ トトレキセート)を用いてストレスをかけて、多コピー数の標的遺伝子が得られ るようにする。しかし、以下に記載する2回目の形質転換の後まで増幅工程を行 わないことが好ましい。 選択工程後、選択した一次細胞から、全増幅可能領域を含むに足る大きさのゲ ノムのDNA 部分を単離する。次に、二次哺乳動物発現宿主細胞をこれらのゲノム DNA 部分で形質転換し、クローニングし、そして増幅可能領域を含むクローンを 選択する。その後、一次細胞において増幅されていない場合は、その増幅可能領 域を増幅剤によって増幅する。最後に、いまやHtkリガンド遺伝子を含む増幅可 能領域を多コピー数で保持している二次発現宿主細胞を、該遺伝子を発現して該 タンパク質を産生させるべく増殖させる。 A.Htk リガンドをコードするDNA の単離 HtkリガンドをコードするDNA は、HtkリガンドmRNAを有しかつそれを検出可能 なレベルで発現すると思われる組織から作製された任意のcDNAライブラリーから 得ることができる。したがって、ヒトHtkリガンドDNA はヒト胎児肺または脳組 織から作製されたcDNAライブラリーより都合よく得られる。マウスHtkリガンドD NA は、例えば、SV40MES 13細胞系のcDNAライブラリーから誘導できる。また、 ゲノムライブラリーからまたはオリゴヌクレオチド合成によりHtkリガンド遺伝 子を得ることもできる。 ライブラリーは対象の遺伝子またはそれによりコードされるタンパク質を同定 すべく設計されたプローブ(例えば、Htkリガンドに対する抗体または約20〜80 塩基のオリゴヌクレオチド)を用いてスクリーニングする。所定のプローブによ るcDNAまたはゲノムライブラリーのスクリーニングは、Sambrookら,Molecular Cloning: A Laboratory Manual(New York: Cold Spring Harbor Laboratory Pre ss,1989)の第10-12 章に記載される標準方法を用いて行うことができる。Htkリ ガンドをコードする遺伝子を単離するための別の方法は、Sambrookら(同上)の 第14節に記載されるPCR 法を用いることである。 本発明を実施するための好適な方法は、慎重に選んだオリゴヌクレオチド配列 を用いて種々の組織、好ましくは哺乳動物胎児の肺または脳細胞系、より好まし くはヒト胎児の肺または脳細胞系からのcDNAライブラリーをスクリーニングする ことである。プローブとして選ばれるオリゴヌクレオチド配列は、偽陽性を最小 限にするに足る長さのもので、絶対に信頼のおけるものである必要がある。 オリゴヌクレオチドは、ライブラリー中のDNA へのハイブリダイゼーションを スクリーニングする際に検出できるように、標識されねばならない。好ましい標 識法は、当技術分野で公知であるように、32P-標識ATP をポリヌクレオチドキナ ーゼとともに用いてオリゴヌクレオチドを放射性標識するものである。しかし、 ビオチン化または酵素標識を含むが、これらに限らない、他の方法を用いてオリ ゴヌクレオチドを標識することも可能である。 全長ポリペプチドをコードするHtkリガンド核酸は特に興味がもてる。いくつ かの好ましい実施態様において、その核酸配列は天然Htkリガンドのシグナル配 列を含む。全タンパク質のコーディング配列を有する核酸を得るには、初めて本 明細書に開示された推定アミノ酸配列を用いて、必要に応じて、Sambrookら(同 上)の第7.79節に記載される通常のプライマー伸長法を用いて、所定のcDNAまた はゲノムライブラリーをスクリーニングし、cDNA に逆転写されていないmRNAの 前駆体およびプロセシング中間体を検出する。 B.天然Htkリガンドのアミノ酸配列変異型 Htkリガンドのアミノ酸配列変異型は、HtkリガンドDNA に適当なヌクレオチド 変化を導入するか、または所望のHtkリガンドポリペプチドを合成することによ り得られる。こうした変異型には、例えば、図3にHtkリガンドについて示した アミノ酸配列内の残基からの欠失、または挿入もしくは置換が含まれる。最終的 な構築物が所望の特性を保有するという条件で、最終構築物に到達するために欠 失、挿入および置換をどのように組み合わせてもよい。アミノ酸の変化はHtkリ ガンドの翻訳後プロセスを変更し、例えば、グリコシル化部位の数または位置を 変化させたり、膜定着特性を変えたり、そして/またはHtkリガンドのリーダー 配列を挿入するか欠失するかにより、あるいは該リーダー配列に影響を及ぼすこ とにより、Htkリガンドの細胞内位置を変化させたりする。 Htkリガンドのアミノ酸配列変異型を設計するにあたって、変異部位の位置お よび変異の性質は修飾しようとするHtkリガンドの特性により異なる。変異部位 を個々にまたは順次修飾することができ、例えば(1)最初に保存的同類アミノ酸 の選択により置換し、次いで達成された結果に応じてより過激な選択で置換する 、(2)標的残基を欠失する、または(3)所定部位に隣接して同一のまたは異なるク ラスの残基を挿入する、または選択肢1〜3を組み合わせる。 突然変異誘発に適した位置であるHtkリガンドポリペプチドの残基または領域 を同定するための有用な方法は、Cunningham and Wells,Science,244:1081-10 85(1989)に記載される「アラニン走査突然変異誘発(alanine scanning mutage nesis)」と呼ばれている方法である。ここでは、1個の残基または標的残基のグ ループを同定し(例えば、arg、asp、his、lys、glu のような荷電残基)、これ を中性または負に荷電したアミノ酸(最も好ましくは、アラニンまたはポリアラ ニン)で置換して、細胞内または細胞外のまわりの水性環境とそのアミノ酸との 相互作用に影響を与えるようにする。その後、こうした置換に機能的感受性を示 すドメインを、置換部位にまたはその代わりに更なる変異または他の変異を導入 することで純化する。したがって、アミノ酸配列変異を導入する部位が予め決定 されるので、変異そのものの性質を予め決定する必要はない。例えば、所定の部 位における変異の性能を最適化するために、標的コドンまたは標的領域でアラニ ン走査またはランダム突然変異誘発を行って、発現されたHtkリガンド変異型を 所望の活性の最適な組合せについてスクリーニングする。 アミノ酸配列変異型の構築においては主に2つの変動要因、すなわち変異部位 の位置と変異の性質、がある。これらは図3の配列の変異型であり、天然に存在 する対立形質(HtkリガンドDNA の操作を必要としない)、または天然に存在し ない対立形質もしくは変異型を作製するためにDNA に突然変異を起こすことによ り作られた所定の変異型を表す。一般的に、変異の位置および性質は修飾しよう とするHtkリガンドの特性により異なるだろう。明らかに、Htkリガンドを既知の 受容体タンパク質チロシンキナーゼリガンドに変換する変異は本発明の範囲に含 まれない。 アミノ酸配列欠失は一般に約1から30個、より好ましくは約1から10個の 残基の範囲で行われ、典型的には連続している。連続欠失は通常偶数個の残基で 行われるが、1個または奇数個の欠失も本発明の範囲内である。Htkリガンドと 既知Htkリガンド(ヒトHtkリガンドのアミノ酸配列に対して最高の配列同一性を 有するリガンド)間の低相同領域を欠失させて、Htkリガンドの活性を改変する ことができる。相同Htkリガンドタンパク質と実質的に相同な領域をHtkリガンド から欠失させると、Htkリガンドの生物活性がより顕著に改変されるだろう。連 続欠失の数は、影響を受けたHtkリガンドのドメインの三次構造、例えばβプリ ーツシートやαヘリックス、を保存するように選択する。 一つの好ましい欠失変異型はここに記載する可溶性Htkリガンドである。Htkリ ガンドのこの変異型は、膜貫通ドメインと場合により細胞内ドメインが欠失変異 型作製技術を使って欠失されている。 アミノ酸配列挿入は、鎖長が1個の残基から100個以上の残基を含むポリペ プチドにまで及ぶアミノ−および/またはカルボキシル−末端融合、並びに1個 または複数個のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。配列内挿入(すなわち、成熟 Htkリガンド配列内部への挿入)は一般に約1から10個、より好ましくは1か ら5個、最も好ましくは1から3個の残基にわたる。挿入は好ましくは偶数個の 残基において行われるが、これは必要とされない。末端挿入の例としては、組換 え細胞培養物による成熟Htkリガンドの直接発現の人工産物であるN末端メチオ ニル残基を有する成熟Htkリガンド、および組換え宿主からの成熟Htkリガンドの 分泌を促すための異種N末端シグナル配列を成熟Htkリガンド分子のN末端に融 合させたものがある。このようなシグナル配列は一般に意図する宿主細胞種から 得られ、したがって宿主細胞種に対して相同である。適当な配列として、大腸菌 ではSTIIまたはlpp、酵母ではα因子またはインベルターゼ、そして哺乳動物細 胞ではヘルペスgDのようなウイルスシグナルが挙げられる。 Htkリガンド分子の他の挿入変異型としては、HtkリガンドのNまたはC末端へ の免疫原性ポリペプチド(例えば、βラクタマーゼまたは大腸菌のtrp遺伝子座 によりコードされる酵素のような細菌のポリペプチド、または酵母タンパク質) の融合体、および1989年4月6日に公開されたWO 89/02922に記載されるような 、半減期の長いタンパク質(例えば、免疫グロブリンの定常部または他の免 疫グロブリン領域、アルブミン、フェリチン)とのC末端融合体が挙げられる。 第三グループの変異型はアミノ酸置換変異型である。これらの変異型は、Htk リガンド分子の少なくとも1個のアミノ酸残基が除去されて、その位置に異なる 残基が挿入されたものである。最も関心のある置換突然変異誘発部位としては、 例えばHtkリガンドの活性部位として同定された部位、および既知の類似体中に 存在するアミノ酸が側鎖のかさ、電荷または疎水性の点で実質的に異なるが、同 時に、種々の動物Htkリガンド種間で選ばれた部位に高度の配列同一性が存在す る部位である。対象となる他の部位は、様々な種から得られたHtkリガンドの特 定の残基が同一となる部位である。これらの部位、特に連続した少なくとも3つ の他と同一に保存された部位に含まれるもの、は比較的保存的な方法で置換され る。このような保存的同類置換を表1の「好適な置換」の見出しの下に示してあ る。こうした置換が生物学的活性を変化させる場合は、表1で「代表的な置換」 と名づけた、またはアミノ酸のクラスに関して以下で詳述される、より実質的な 変化を導入して、生産物をスクリーニングする。 Htkリガンドの機能または免疫学的同一性における実質的修飾を行うには、(a) 例えばシートまたはらせんコンホメーションとしての、置換領域のポリペプチド 主鎖の構造、(b)該分子の標的部位の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖 のかさ、を維持するのに及ぼすその効果の点で大いに異なる置換を選択する。天 然に存在する残基は通常の側鎖の性質に基づいて次のグループに分けることがで きる: (1)疎水性:ノルロイシン,met,ala,val,leu,ile; (2)中性親水性:cys,ser,thr; (3)酸性:asp,glu; (4)塩基性:asn,gln,his,lys,arg; (5)鎖の方向に影響を与える残基:gly,pro;および (6)芳香族:trp,tyr,phe。 非保存的置換はこれらのクラスの1つのメンバーを他のクラスのメンバーと交 換することを伴うだろう。このような置換残基を保存的置換部位に導入してもよ いが、残存する(非保存)部位に導入することがより好ましい。 本発明の一つの実施態様では、この分子に存在する1以上の内部プロテアーゼ 切断部位を不活性化することが望ましい。これらの部位はコード化されたアミノ 酸配列を調べることにより、例えばトリプシンの場合には、アルギニルまたはリ シニル残基について調べることにより確認できる。プロテアーゼ切断部位が確認 されたら、標的残基を別の残基(好ましくは、グルタミンのような塩基性残基ま たはセリンのような疎水性残基)で置換するか、該残基を欠失させるか、または 該残基の直後にプロリル残基を挿入することにより、それらの部位を加水分解切 断に対して不活性にする。 別の実施態様では、シグナル配列の出発メチオニル残基以外の任意のメチオニ ル残基、またはこのようなメチオニル残基のそれぞれのNまたはC末端側の約3 残基内に位置する任意の残基を他の残基(好ましくは、表1に従う)で置換する か、欠失させる。あるいは、このような部位に隣接して約1〜3個の残基を挿入 する。 さらに、この分子の酸化安定性を高めかつ異常な架橋を防ぐために、Htkリガ ンドの適切なコンホメーションに関与していないシステイン残基を、一般にはセ リンで、置換することができる。 Htkリガンドのアミノ酸配列変異型をコードする核酸分子は当技術分野で公知 の種々の方法により得られる。こうした方法には、制限するものではないが、天 然の供給源からの単離(天然に存在するアミノ酸配列変異型の場合)、またはHt kリガンドの初期に調製された変異型または非変異型のオリゴヌクレオチド媒介 (または部位特異的)突然変異誘発、PCR突然変異誘発、およびカセット突然変 異誘発による製造が含まれる。 オリゴヌクレオチド媒介突然変異誘発はHtkリガンドDNA の置換、欠失および 挿入変異型を製造するのに適した方法である。この技法は Adelmanら,DNA,2:1 83(1983)に記載されるように当技術分野で公知である。簡単に述べると、Htk リガンドDNA を改変するにあたって、所望の変異をコードするオリゴヌクレオチ ドをDNA 鋳型(この鋳型はHtkリガンドの未改変つまり天然のDNA 配列を含むプ ラスミドまたはバクテリオファージの一本鎖形態である)にハイブリダイズさせ る。ハイブリダイゼーション後、DNA ポリメラーゼを用いて該鋳型の全第二相補 鎖を合成する。したがって、第二相補鎖はオリゴヌクレオチドプライマーを取り 込んでおり、HtkリガンドDNA の所定の変異をコードするだろう。 一般には、鎖長が少なくとも25ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドを用いる。 最適なオリゴヌクレオチドは、その変異をコードするヌクレオチドの両側に、鋳 型と完全に相補的な12〜15ヌクレオチドをもつだろう。こうすると、オリゴヌク レオチドが一本鎖DNA 鋳型分子に適切にハイブリダイズするだろう。Creaら,Pr oc.Natl.Acad.Sci.USA 75:5765(1978)に記載されるような当技術分野で公 知の方法を用いてオリゴヌクレオチドを簡単に合成することができる。 DNA 鋳型は、バクテリオファージM13 ベクター(市販のM13mp18 およびM13mp1 9 ベクターが適している)から、またはVieraら,Meth.Enzymol.153:3(1987) に記載されるような一本鎖ファージ複製起点を含むベクターから誘導されるベク ターにより作製され得る。こうして、変異を起こさせようとするDNA をこれらの ベクターの1つに挿入して一本鎖鋳型を作製する。一本鎖鋳型の作製はSambrook ら(同上)の第4.21-4.41 節に記載されている。 また、一本鎖DNA 鋳型は標準的な方法を用いて二本鎖プラスミド(または他の )DNA を変性させることによっても得られる。 天然のDNA 配列を(例えば、アミノ酸配列変異型をつくるために)変異させる には、オリゴヌクレオチドを適当なハイブリダイゼーション条件下で一本鎖鋳型 にハイブリダイズさせる。次いで、DNA 重合酵素(通常はDNA ポリメラーゼIの Klenow断片)を加え、合成用プライマーとしてオリゴヌクレオチドを用いて鋳型 の相補鎖を合成する。かくして、ヘテロ二重鎖分子が形成されるが、一方のDNA 鎖はHtkリガンドの変異型をコードし、そして他方のDNA 鎖(もとの鋳型)はHtk リガンドの天然の未改変配列をコードする。続いて、このヘテロ二重鎖分子を用 いて適当な宿主細胞(通常は大腸菌JM101 のような原核細胞)を形質転換する。 細胞を増殖させた後、それらをアガロースプレートにまき、32Pで放射性標識し たオリゴヌクレオチドプライマーを用いてスクリーニングして変異DNA を含む細 菌コロニーを同定する。その後、変異領域を取り出し、タンパク質生産用の適当 なベクター、一般には適当な宿主の形質転換に用いられるタイプの発現ベクター 、の中に挿入する。 上記の方法は、ホモ二重鎖分子が作られるように(その場合、プラスミドの両 方の鎖が変異を含む)改変することもできる。改変は次のように行う。すなわち 、一本鎖オリゴヌクレオチドを上記のように一本鎖鋳型にアニールする。3種の デオキシリボヌクレオチド、つまりデオキシリボアデノシン(dATP)、デオキシリ ボグアノシン(dGTP)およびデオキシリボチミジン(dTTP)の混合物をdCTP-(aS)と 呼ばれる修飾チオ−デオキシリボシトシン(Amersham Corporationから得られる )と混合する。この混合物を鋳型−オリゴヌクレオチド複合体に加える。この混 合物にDNA ポリメラーゼを添加すると、変異塩基を別にすれば鋳型と同一のDNA 鎖が得られる。さらに、この新しいDNA 鎖はdCTPの代わりにdCTP-(aS)を含み、 これは制限エンドヌクレアーゼ消化からそれを保護するのに役立つだろう。 ヘテロ二重鎖の鋳型鎖に適当な制限酵素でニック(nick)を入れた後、ExoIIIヌ クレアーゼまたは他の適当なヌクレアーゼを用いて、変異を起こそうとする部位 を含む領域を越えた位置で鋳型鎖を消化する。その後この反応を停止させて、部 分的に一本鎖にした分子を残す。次いで、4種全部のデオキシリボヌクレオシド 三リン酸、ATP およびDNA リガーゼの存在下でDNA ポリメラーゼを使って完全な DNA ホモ二重鎖を形成させる。このホモ二重鎖分子はその後上記のように大腸菌 JM101 などの適当な宿主に形質転換することができる。 1より多いアミノ酸が置換されているHtkリガンド変異型をコードするDNA は いくつかの方法でつくることができる。アミノ酸がポリペプチド鎖中に接近して 存在するのであれば、所望のアミノ酸置換のすべてをコードする1つのオリゴヌ クレオチドを用いて同時にそれらの変異を起こさせる。しかし、アミノ酸が互い からある程度離れて存在する(約10個以上のアミノ酸によって分離される)場合 は、所望の変異のすべてをコードする単一のオリゴヌクレオチドを作製すること がより困難である。その代わりに、2つの代替法のうちの1つを用いることがで きる。 第1の方法は、置換すべきそれぞれのアミノ酸に対して別個のオリゴヌクレオ チドを作製するものである。その後、一本鎖鋳型DNA にオリゴヌクレオチドを同 時にアニールする。鋳型から合成されるDNA の第二鎖は、所望のアミノ酸置換の すべてをコードするだろう。 別の方法は所望の変異型を得るために2回以上の突然変異誘発を必要とする。 1回目は単一変異型について記載したとおりである。すなわち、鋳型として野生 型DNA を使用し、この鋳型に最初の1以上のアミノ酸置換をコードするオリゴヌ クレオチドをアニールした後、ヘテロ二重鎖DNA 分子を作製する。2回目の突然 変異誘発では、1回目の突然変異誘発で得られた変異DNA を鋳型として利用する 。したがって、この鋳型はすでに1以上の変異を含んでいる。次に、追加のアミ ノ酸置換をコードするオリゴヌクレオチドをこの鋳型にアニールする。この回に 得られるDNA 鎖は1回目と2回目の両方の突然変異誘発からの変異をコードして いる。得られたこのDNA は3回目の突然変異誘発において鋳型として用いること ができ、以後同様に用いる。 PCR 突然変異誘発もHtkリガンドのアミノ酸変異型をつくる上で適している。 以下の説明はDNA に関するものであるが、この方法はRNA にも適用できることが 理解されよう。PCR 技術は一般に次の手順にしたがう(Erlich,Science,252:1 643-1650(1991)、R.Higuchiによる章,p.61-70 を参照のこと)。PCR におい て出発物質として少量の鋳型DNA を用いる場合、配列が鋳型DNA の対応領域とわ ずかに異なるプライマーを用いて、特定のDNA 断片(該プライマーが鋳型と相違 する位置でのみ鋳型配列と相違する)を比較的多量に得ることが可能である。 プラスミドDNA に変異を導入するためには、変異位置と重なりかつ該変異を含む ように一方のプライマーを設計し、他方のプライマーの配列をプラスミドの反対 鎖のある範囲の配列と同一にしなければならないが、この配列はプラスミドDNA のどこの配列でもよい。しかしながら、第2プライマーの配列は第1プライマー の配列から200 ヌクレオチド以内にあって、最終的にこれらのプライマーによっ て挟まれた全増幅DNA 領域の塩基配列を容易に決定できるようにすることが好ま しい。上記したようなプライマー対を用いるPCR 増幅は、プライマーによって特 定された変異位置において異なるDNA フラグメントの集団をもたらすが、鋳型を コピーする際に他の位置で時に誤りをおかしやすい。 鋳型と生成物の比率が極端に低い場合は、大多数の生成物DNA 断片が所望の変 異を組み込んでいる。この生成物を用いて、標準DNA 技術によりPCR 鋳型として 利用するプラスミドの対応領域を置換する。変異型の第2プライマーを用いるか 、または異なる変異型プライマーを用いて2回目のPCR を行って、得られた2つ のPCR 断片をベクター断片に3部分(またはそれ以上)連結で同時に連結するこ とにより、別々の位置に変異を同時に導入することができる。 PCR 突然変異誘発の特定例では、鋳型プラスミドDNA(1μg)を、プラスミドDNA の増幅しようとする領域の外側に特異な認識部位を有する制限エンドヌクレア ーゼで消化して線状にする。この物質のうち、100ng を4種類のデオキシヌク ット(Perkin-Elmer Cetus(Norwalk,CTおよびEmeryville,CA)より入手)およ び25pmole の各オリゴヌクレオチドプライマーに加えて最終容量50μl とする。 この反応混合物に35μl の鉱油を重層する。反応混合物を100 ℃で5分変性し、 短時間氷上に置き、次に1μl のThermus aquaticus(Taq)DNA ポリメラーゼ( 5単位/μl,Perkin-Elmer Cetus から購入)を鉱油層の下に加える。その後、 反応混合物を次のようにプログラム化したDNA サーマルサイクラー(Perkin-Elm er Cetusから購入)に挿入する: 55℃で2分 72℃で30秒、その後、次のサイクルを19回: 94℃で30秒 55℃で30秒、および 72℃で30秒。 プログラムの終了時に、反応バイアルをサーマルサイクラーから取り出し、水 層を新たなバイアルに移し、フェノール/クロロホルム(50/50 vol)で抽出し 、エタノール沈殿させ、そして標準方法によりDNA を回収する。続いて、この物 質をベクターに挿入するための適当な処理に付す。 変異型を作製するためのもう一つの方法であるカセット突然変異誘発は、Well s ら,Gene,34:315(1985)に記載される方法に基づくものである。出発物質は 変異を起こそうとするHtkリガンドDNA を含むプラスミド(または他のベクター )である。変異を起こそうとするHtkリガンドDNA 中のコドンを同定する。同定 した変異部位のそれぞれの側に特異な制限エンドヌクレアーゼ部位が存在しなけ ればならない。このような制限部位が存在しないのであれば、上記のオリゴヌク レオチド媒介突然変異誘発法を用いて、HtkリガンドDNA の適当な位置にそれら を導入することができる。制限部位がプラスミド中に導入されたら、プラスミド をこれらの部位で切断して線状にする。制限部位間のDNA の配列をコードするが 、所望の変異を含む二本鎖オリゴヌクレオチドを標準方法により合成する。2つ の鎖を別々に合成した後に、それらを標準方法により一緒にハイブリダイズする 。この二本鎖オリゴヌクレオチドがカセットと呼ばれるものである。このカセッ トは線状プラスミドの両末端と適合する3'および5'末端をもつように設計され、 かくしてそれをプラスミドに直接連結させることが可能である。このプラスミド はいまや変異HtkリガンドDNA 配列を含む。 C.複製可能なベクターへの核酸の挿入 天然または変異型Htkリガンドをコードしている核酸(例えば、cDNAまた はゲノムDNA)を、さらにクローニングするため(DNAの増幅)、あるいは 発現のために複製可能なベクターに挿入する。多くのベクターが利用可能である 。ベクター成分は、制限するものではないが、一般に以下のもの:シグナル配列 、複製開始点、1以上の標識遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター及 び転写停止配列の1以上を含む。 (i)シグナル配列成分 本発明のHtkリガンドは組換え法により生産されてもよく、直接に生産するだ けでなく、好ましくはシグナル配列または成熟タンパク質もしくはポリペプチド のN末端で特定の切断部位を持っている他のポリペプチドである異種ポリペプチ ドを有する融合ポリペプチドとしても製造できる。一般に、シグナル配列はベク ターの成分であってもよく、あるいはそのベクターに挿入されるHtkリガンドD NAの部分であってもよい。選択された異種シグナル配列は好ましくは、宿主細 胞により認識され、プロセシングされる(即ちシグナルペプチダーゼによって切 断される)ものである。天然Htkリガンドシグナル配列を認識及びプロセシング しない原核生物宿主細胞については、シグナル配列は例えばアルカリホスファタ ーゼ、ペニシリナーゼ、lpp、あるいは熱安定性エンテロトキシンIIリーダーの 群から選択された原核生物シグナル配列によって置き換えられる。酵母分泌のた めには、天然シグナル配列を、例えば酵母インベルターゼリーダー、αファクタ ーリーダー(Saccharomyces及びKluyveromyces αファクターリーダーを含み、 後者は1991年4月23日に発行されたアメリカ特許5,010,182号に記載されている) 、あるいは酸ホスファターゼリーダー、C.albicansグルコアミラーゼリーダー (1990年4月4日に発行されたEP 362,179)、あるいは1990年11月15日に発行され たWO 90/13646に記載されたシグナルにより置換されてもよい。哺乳類細胞発現 においては、天然シグナル配列(例えばin vivoでヒト細胞からHtkリガンドの分 泌を通常起こすHtkリガンドの前配列)で十分であるが、他の動物のHtkリガンド からのシグナル配列、及び同種あるいは関連種の分泌ポリペプチドからのシグナ ル配列のような他の哺乳動物シグナル配列、並びに例えば単純ヘルペスgDシグナ ルの ようなウイルス分泌リーダーも適している可能性がある。 そのような前駆体領域のためのDNAは、読み取り枠の中で成熟Htkリガンド をコードしているDNAに結合される。 (ii)複製開始点成分 発現及びクローニングベクターの両者は、1以上の選択された宿主細胞の中で ベクターが複製することを可能にする核酸配列を含む。一般にベクターをクロー ニングする際に、この配列はベクターが宿主染色体DNAから独立して複製する ことを可能とし、複製開始点あるいは自己複製配列を含むものである。このよう な配列は、いろいろな細菌、酵母及びウイルスについて周知である。プラスミド pBR322からの複製開始点は、ほとんどのグラム陰性菌に適当であり、2μプラス ミド開始点は酵母に適当であり、種々のウイルスの開始点(SV40、ポリオーマ、 アデノウイルス、VSVまたはBPV)が、ベクターを哺乳類細胞中でクローニングす るために有用である。一般に、複製開始点成分は、哺乳類の発現ベクターには必 要とされない(早期プロモーターを含むことのみからSV40開始点を典型的に使用 することができる)。 ほとんどの発現ベクターは「シャトル」ベクターであり、即ち、生物の少くと も1つの綱において複製でき、さらに別の生物に発現のためにトランスフェクト することができるものである。例えば、ベクターを大腸菌中でクローニングし、 その後、それが宿主細胞染色体から独立して複製できないとしても、同じベクタ ーを酵母あるいは哺乳類細胞に発現のためにトランスフェクトする。 また、DNAは宿主ゲノムへの挿入によっても増幅され得る。これは例えばバ チルス種を宿主として使用し、ベクター中にバチルスゲノムDNAに見られる配 列に相補的なDNA配列を含ませることにより容易に行うことができる。このベ クターによるバチルスのトランスフェクションにより、そのゲノムとの相同組換 えが起こり、HtkリガンドDNAの挿入が起こる。しかし、Htkリガンドをコード しているゲノムDNAの回収は外来的に複製されたベクターよりも複雑である。 HtkリガンドDNAを切り出すのに制限酵素消化が必要であるからである。 (iii)選択遺伝子成分 発現及びクローニングベクターは、選択可能マーカーともいわれる選択遺伝子 も含まなければならない。この遺伝子は、選択培養培地の中で増殖させられた形 質転換宿主細胞の生存または増殖に必要なタンパク質をコードする。選択遺伝子 を含むベクターで形質転換されていない宿主細胞はその培養培地中で生存しない 。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質あるいは他の毒素、例えば、アンピシリ ン、ネオマイシン、メトトレキセート、あるいはテトラサイクリンに対する抵抗 性を与えるか、(b)自主栄養欠陥を追加する(complement)か、あるいは(c)複雑な 培地から利用できない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする遺伝子で あり、例えばバチルスについてはD-アラニンラセマーゼをコードしている遺伝子 である。 選択方法の一つの例は、宿主細胞の増殖を拘束するのに薬剤を利用する。異種 遺伝子でうまく形質転換された細胞は、薬剤耐性を与えるタンパク質を生産して 選択過程を耐えぬく。そのような主要な選択の例は、薬剤ネオマイシン(Souther n ら、J.Molec.Appl.Genet.1:327[1982])、ミコフェノール酸(Mulligan ら 、Science 209:1422[1980])、またはハイグロマイシン(Sugden ら、Mol.Cell. Biol.5:410-413[1985])を使用するものである。上記の3つの例は、真核生物 制御の下に細菌遺伝子を使用してそれぞれ適当な薬剤G418即ちネオマイシン(ジ ェネティシン)、xgpt(ミコフェノール酸)またはハイグロマイシンに対する抵 抗性を与えるものである。 哺乳類細胞についての適当な選択可能なマーカーの別の例は、Htkリガンド核 酸を取り込むことが可能な細胞の同定を可能にするもの、例えばDHFRまたはチミ ジンキナーゼである。哺乳類細胞形質転換体を、形質転換体だけがそのマーカー を取り込むことによって適応して生存する選択圧の下に置く。選択圧は、その培 地中の選択試薬の濃度が連続的に変化する条件下でその形質転換細胞を培養する ことによって与えられ、それにより選択遺伝子及びHtkリガンドをコードするD NAの両方が増幅される。増幅は、増殖に重要なタンパク質の製造に対するより 大きい需要がある遺伝子が組換え体細胞の連続した世代の染色体内でタンデムに 繰り返されるプロセスである。増加した量のHtkリガンドは、増幅されたDNA から合成される。増幅可能な遺伝子のその他の例としては、メタロチオネイン-I 、-II、好ましくは霊長類メタロチオネイン遺伝子、アデノシンデアミナーゼ、 オ ルニチンデカルボキシラーゼ等が挙げられる。 例えば、DHFR選択遺伝子で形質転換された細胞は、DHFRの競合的拮抗薬のメト トレキセート(Mtx)を含む培養培地中で、その形質転換体のすべてを培養する ことによってまず同定される。野生型DHFRが使用されている場合、適当な宿主細 胞は、Urlaub and Chasin,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980)によ って記載されたように製造され増殖されたDHFR活性を欠くチャイニーズハムスタ ー卵巣(CHO)細胞系である。その後形質転換した細胞を増加したレベルのメト トレキセートにさらす。これによりDHFR遺伝子の複数のコピーが合成され、付随 してHtkリガンドをコードしているDNAのような、発現ベクターを含んでいる 他のDNAの複数のコピーが合成される。この増幅法は、その他の適当な宿主に も使用することができ、例えばMtxに非常に抵抗性を有する変異体DHFR遺伝子を 使用した場合は、外来DHFRの存在にもかかわらず、例えばATCC No.CCL61 CHO-K 1にも使用することができる(EP 117,060)。 あるいは、Htkリガンド、野生型DHFRタンパク質及びその他の選択可能なマー カー、例えばアミノグリコシド3-ホスホトランスフェラーゼ(APH)をコードして いるDNA配列で形質転換または同時形質転換された宿主細胞[特に外来DHFRを 含む野生型宿主]は、アミノグリコシド抗生物質、例えばカナマイシン、ネオマ イシン即ちG418のような選択可能なマーカーに対する選択試薬を含む培地中で細 胞を増殖させることによって選択することができる。アメリカ特許4,965,199 号 を参照。 酵母で使用するための適当な選択遺伝子は、酵母プラスミドYRp7に存在するtr p1遺伝子である(Stinchcomb ら、Nature 282:39[1979];Kingsmanら、,Gene 7:1 41[1979];またはTschemper ら、Gene 10:157[1980])。trp1遺伝子は、トリプト ファン中で増殖する能力を欠く酵母の突然変異株、例えばATCC No.44076あるい はPEP4-1(Jones,Genetics 85:12[1977])のための選択マーカーを与える。そし て、酵母宿主細胞ゲノム中のtrp1傷害の存在により、トリプトファン不存在下で の増殖によって形質転換を検出するのに効果的な周囲の状況を提供する。同様に 、Leu2が欠けている酵母株(ATCC 20,622または38,626)は、Leu2遺伝子を有す る公知のプラスミドによって補足される。 さらに、1.6 μm環状プラスミドpKD1に由来するベクターをKluyveromyces酵母 の形質転換に使用することができる。Bianchi ら、Curr.Genet.12:185(1987) 。さらに最近、組換え型仔ウシキモシンの大規模生産のための発現系が、K.lac tisについて報告されている。Van den Berg,Bio/Technoloay 8:135(1990)。ま た、Kluyveromycesの工業生産株による成熟組換え型ヒト血清アルブミンの分泌 のための安定した複数コピー発現ベクターが開示されている。Fleer ら、Bio/Te chnoloay 9:968-975(1991)。 (iv)プロモーター成分 発現及びクローニングベクターは通常、宿主生物によって認識される、機能可 能なようにHtkリガンド核酸に結合されたプロモーターを含む。プロモーターは 、構造遺伝子の開始コドンの上流域(5')(一般に約100〜1000bpの範囲内)に 位置し、それが機能可能なように連結される特定の核酸配列、例えばHtkリガン ド核酸配列の転写及び翻訳を制御する、非翻訳配列である。そのようなプロモー ターは、典型的には誘導可能なもの及び構成的なものの2つの種類に属する。誘 導可能なプロモーターは、例えば栄養素の存在または欠如、温度の変化等の培養 条件の変化に応答した制御の下に、DNAからの転写のレベルを増加させ始める プロモーターである。現在、種々の有力な宿主細胞により認識される多数のプロ モーターが周知である。これらのプロモーターは、制限酵素消化によってそのプ ロモーターをソースDNAから取り出し、その単離されたプロモーター配列をベ クターに挿入することによって機能可能なようにHtkリガンドをコードしている DNAに結合される。天然Htkリガンドプロモーター配列及び多くの異種プロモ ーターの両方を使用してHtkリガンドDNAの増幅及び/または発現を起こすこ とができるが、異種プロモーターが好ましく、これは一般に天然Htkリガンドプ ロモーターと比較してそれがHtkリガンドのより大きい転写とより高い収率を可 能とすることによる。 原核生物宿主に使用するのに適するプロモーターとしては、β−ラクタマーゼ 及びラクトースプロモーター系(Changら、Nature 275:615[1978]及びGoeddel ら、Nature 281:544[1979])、アルカリ性ホスファターゼ、トリプトファン(trp )プロモーター系(Goeddel,Nucleic Acids Res.,8:4057[1980]及びEP 36,77 6)及びハイブリッドプロモーター、例えばtacプロモーター(deBoer ら、Proc.N atl.Acad.Sci.USA 80:21-25[1983])等がある。しかし、その他の公知の細菌 プロモーターも適している。そのヌクレオチド配列は公表されており、当業者は それにより、必要な制限部位を与えるアダプターまたはリンカーを使用して、そ れらをHtkリガンドをコードしているDNAに結合することが可能である(Sieben list ら、Cell 20:269[1980])。細菌系で使用するためのプロモーターは、Htkリ ガンドをコードしているDNAに機能可能なように結合したShine-Dalgarno(S.D .)配列も含む。 プロモーター配列は真核生物についても知られている。実質的にすべての真核 生物遺伝子が、転写開始部位からおよそ25〜30塩基上流域に位置するATの豊富な 領域を持つ。多くの遺伝子の転写開始位置から70〜80塩基上流に見られるもう一 つの配列はCXCAAT領域である(Xは任意のヌクレオチドである)。殆どの真核生 物遺伝子の3'末端はAATAAA配列であり、これはコード配列の3'末端へポリAテイ ルを付加するためのシグナルであり得る。これらの配列はすべて真核生物発現ベ クターに適当に挿入される。 酵母宿主で使用するための適当なプロモーター配列の例としては、3-ホスホグ リセレートキナーゼのプロモーター(Hitzeman ら、J.Biol.Chem.255:2073[19 80])あるいはその他の解糖酵素(Hess ら、J.Adv.Enzyme.Reg.7:149[1968]; 及びHolland,Biochemistry 17:4900[1978])、例えばエノラーゼ、グリセルア ルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルベートデカ ルボキシラーゼ、ホスホフクルトキナーゼ、グルコース-6-ホスフェートイソメ ラーゼ、3-ホスホグリセレートムターゼ、ピルベートキナーゼ、トリオースホス フェートイソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ及びグルコキナーゼのよ うな酵素のプロモーターがある。 増殖条件によって制御される転写という別の利点を有する誘導可能なプロモー ターであるその他の酵母プロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソ シトクロームC、酸ホスファターゼ、窒素代謝と関連する分解性酵素、メタロチ オネイン、グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ及びマルトー ス及びガラクトース資化を行う酵素のプロモーター領域である。酵母発現に使用 するための適当なベクター及びプロモーターが、Hitzemanら、EP 73,657Aにさら に記載されている。酵母エンハンサーも酵母プロモーターと共に有利に使用する ことができる。 哺乳類宿主細胞中でのベクターからのHtkリガンド転写は、例えば、ポリオー マウイルス、鶏痘ウイルス(1989年7月5日に発行されたUK 2,211,504)、アデノウ イルス(例えばアデノウイルス2)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイル ス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、最も好ましく はシミアンウイルス40(SV40)等のウイルスのゲノムから得られたプロモーター 、異種哺乳類プロモーターから得られたプロモーター、例えばアクチンプロモー ターあるいは免疫グロブリンプロモーター、熱ショックプロモーターから得られ たプロモーター、通常Htkリガンド配列に関連するプロモーターから得られたプ ロモーター等で、宿主細胞系に適合するものにより制御される。 SV40ウイルスの早期及び後期プロモーターは、SV40ウイルスの複製開始点をや はり含むSV40制限断片として好適に得られる。Fiers ら、Nature 273:113(1978) ;Mulligan and Berg,Science 209:1422-1427(1980);Pavlakisら、Proc.Natl. Acad.Sci.USA 78:7398-7402(1981)。ヒトサイトメガロウイルス即時早期プロ モーターは、HindIII E制限断片として好適に得られる。Greenaway ら、Gene 18 :355-360(1982)。ウシパピローマウイルスをベクターとして使用した哺乳類宿主 中でDNAを発現するための系が、アメリカ特許4,419,446 号に開示されている 。この系を改変したものが、アメリカ特許4,601,978 号に記載されている。また 、サル細胞中で免疫インターフェロンをコードしているcDNAを発現すること についてはGrayら Nature 295:503-508(1982); 単純ヘルペスウイルスからのチ ミジンキナーゼプロモーターの制御下のマウス細胞中でのヒトβ-インターフェ ロンcDNAの発現についてはReyes ら、Nature 297:598-601(1982);培養マウ ス及びウサギ細胞中でのヒトインターフェロンβ1遺伝子の発現についてはCana ani 及び Berg,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:5166-5170(1982);及びCV-1サ ル腎臓細胞、ニワトリ胚繊維芽細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞、HeLa細 胞及びマウスNIH-3T3細胞中でのラウス肉腫ウイルス長末端反復をプロモーター として使用した細菌CAT配列の発現についてはGormanら、Proc.Natl.Aca d.Sci.USA 79:6777-6781(1982)を参照されたい。 (v)エンハンサーエレメント成分 本発明のHtkリガンドをコードしているDNAのより高等な真核生物による転 写は、ベクターにエンハンサー配列を挿入することによって増強される場合が多 い。エンハンサーはDNAのシス-作用エレメントで、通常約10〜300bpであり、 プロモーターに作用してその転写を増強する。エンハンサーは方向及び位置につ いて比較的独立しており、転写単位に対して5'(Laiminsら、Proc.Natl.Acad. Sci.USA 78:993[1981])、及び3'(Luskyら、Mol.Cell.Bio.3:1108[1983]) 、イントロン内(Banerjiら、Cell 33:729[1983])、並びにコード配列そのもの内 (Osborneら、Mol.Cell.Bio.4:1293[1984])に見られる。現在、多くのエン ハンサー配列が哺乳類の遺伝子から知られている(グロビン、エラスターゼ、ア ルブミン、α-フェトプロテイン及びインシュリン)。しかし典型的には、真核 生物細胞ウイルスからのエンハンサーを使用する。例としては、複製起点の後期 側のSV40エンハンサー(bp 100-270)、サイトメガロウイルス早期プロモーターエ ンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー及びアデノウイルスエ ンハンサーがある。また、真核生物プロモーターの活性化のためにエレメントを 増強することについてはYaniv,Nature 297:17-18(1982)を参照されたい。この エンハンサーは、Htkリガンドコード配列に対して位置5'または3'でベクター中 へスプライスし得るが、プロモーターから部位5'に位置することが好ましい。 (vi)転写停止成分 真核生物宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒトあるいはその他の多 細胞生物からの有核細胞)中で使われる発現ベクターは、転写の停止及びmRN Aを安定させるために必要な配列を含む。そのような配列は、真核生物またはウ イルスDNAもしくはcDNAの5'及び場合によっては3'、非翻訳領域から通常 に使用できる。これらの領域は、HtkリガンドをコードしているmRNAの非翻 訳部分でポリアデニル化断片として転写されたヌクレオチドセグメントを含む。 (vii)ベクターの構築及び分析 上記に上げた成分の1以上を含む適当なベクターの構築には標準的な結合法を 使用する。単離されたプラスミドまたはDNA断片を切断し、形を調整し、所望 の形態に再結合して必要なプラスミドを生成する。 構築されたプラスミド中に正しい配列が構築されたことを確認する分析のため に、結合混合物を使用して大腸菌K12株294(ATCC 31,446)を形質転換し、適当な 場合にはアンピシリンまたはテトラサイクリン耐性によってうまく形質転換され た細胞を選択する。形質転換体からのプラスミドを調製し、制限エンドヌクレア ーゼ消化よって分析し、及び/またはMessing ら、Nucleic Acids Res.9:309(1 981)の方法またはMaxamら、Methods in Enzymology 65:499(1980)の方法により 配列決定する。 (viii)一時的発現ベクター 本発明の実施に特に有用なものは、哺乳類細胞中でHtkリガンドをコードする DNAの一時的発現を提供する発現ベクターである。一般に一時的発現には、宿 主細胞中で効率的に複製し、その宿主細胞がその発現ベクターの多くのコピーを 蓄積し、そしてその発現ベクターによってコードされた所望のポリペプチドを高 いレベルで合成することができる発現ベクターを使用する。Sambrookら、上出、 pp.16.17-16.22。適当な発現ベクター及び宿主細胞を含む一時的発現系は、ク ローニングされたDNAによってコードされたポリペプチドの好適な積極的確認 、並びに所望の生物学的及び生理学的性質についてのそのようなポリペプチドの 迅速なスクリーニングを可能とする。即ち、一時的発現系は、本発明において生 物学的に活性なHtkリガンドであるHtkリガンドの類似体及び変異型を同定する目 的のために特に有用である。 (ix)適当な典型的脊椎動物細胞ベクター 組換え体脊椎動物細胞培養中でのHtkリガンドの合成に使用するのに適当なそ の他の方法、ベクター及び宿主細胞は、Gethingら、Nature 293:620-625(1981) ;Manteiら、Nature 281:40-46(1979);Levinsonら; EP 117,060; 及びEP I17,05 8に記載されている。Htkリガンドの哺乳類細胞培養発現のために特に有用なプラ スミドはpRK5(EP 307,247)またはpSVI6Bである(PCT公開WO 91/08291、1991年 6月13日発行)。 D.宿主細胞の選択及び形質転換 本明細書中に記載したベクターをクローニングし発現するための適当な宿主細 胞は、上記の原核生物、酵母あるいはより高等な真核細胞である。この目的に適 当な原核生物としては、真正細菌、例えばグラム陽性あるいはグラム陰性生物、 例えば腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、例えばエシェリキア(Escherichia)、 例えば大腸菌、エンテロバクター(Enterobacter)、エルウィニア(Erwinia)、ク レブシェラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、サルモネラ(Salmonella)、例 えばねずみチフス菌(Salmonella typhimurium)、セラチア(Serratia)、例えばセ ラチア・マルセサンス(Serratia marcescans)、及びシゲラ(Shigella)、並びに バシラス(Bacilli)、例えばバシラス・サチリス(B.subtilis)及びバシラス・リ ヘニフォルミス(B.licheniformis)(例えば1989年4月12日発行のDD 266,710に記 載されたバシラス・リヘニフォルミス41P)、シュードモナス(Pseudomonas)、例 えば赤痢菌(P.aeruginosa)、ストレプトマイセス(Streptomyces)等がある。好 ましい大腸菌クローニング宿主は大腸菌294(ATCC 31,446)であるが、他の株、例 えば大腸菌B、大腸菌X1776(ATCC 31,537)、大腸菌W3110(ATCC 27,325)も適 当である。これらの例は、限定的なものではなく例示的なものである。株W3110 は特に好ましい宿主または親宿主であり、これはそれが組換え体DNA産物醗酵 のための共通の宿主株であるからである。好ましくは、宿主細胞はタンパク質分 解酵素の分泌量がなるべく少ないものである。例えば、株W3110を改変してタン パク質をコードしている遺伝子中で遺伝的突然変異を生じるようにすることがで き、そのような宿主の例としては大腸菌W3110 株27C7がある。27C7の完全な遺伝 子型は、tonAΔ ptr3 phoAΔE15 Δ(argF-lac)169 ompTΔ degP41kanrである。 株27C7はAmerican Type Culture CollectionにATCC No.55,244として1991年10月 30日に寄託されている。あるいは、1990年8月7日発行のアメリカ特許4,946,783 号に開示された変異型原形質タンパク分解酵素を有する大腸菌株を使用してもよ い。あるいは、例えばPCRあるいは他の核酸ポリメラーゼ反応のようなクローニ ング方法も適当である。 原核生物に加えて、糸状菌または酵母のような真核生物微生物も、Htkリガン ドをコードしているベクターのための適当なクローニングまたは発現宿主である 。下等な真核生物宿主微生物の中では、サッカロマイセス・セルビシエ(Sacchar omyces cerevisiae)、即ち通常のパン酵母が最も一般に使用される。しかし、多 く のその他の属、種及び株が通常利用でき、本発明において有用である。例えば、 分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)(Beach及び Nurse,Nature 290:140[1981 ];EP 139,383、1985年5月2日発行); Kluyveromyces宿主(アメリカ特許4,943,52 9 号;Fleerら、上出)、例えばK.lactis[MW98-8C,CBS683,CBS4574; Louvenco urtら、J.Bacteriol.,737(1983)]、K.fragilis(ATCC 12,424)、K.bulgaricu s(ATCC 16,045)、K.wickeramii(ATCC 24,178)、K.waltii(ATCC 56,500)、K .drosophilarum(ATCC 36,906;Van den Bergら、上出)、K.thermotolerans、及 びK.marxianus;yarrowia[EP 402,226]; Pichia pastoris(EP 183,070; Sreekr ishna ら、J.Basic Microbiol.28:265-278[1988]);Candida; Trichoderma rees ia[EP 244,234];Neurospora crassa(Case ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76: 5259-5263[1979]); Schwanniomyces、例えばSchwanniomyces occidentalis(EP 3 94,538、1990年10月31日発行);及び糸状菌、例えばNeurospora、Penicillium、T olypocladium(WO 91/00357、1991年1月10日発行)、及びアスペルギルス宿 主、例えばA.nidulans(Ballance ら、Biochem Biophys.Res.Commun.112:28 4-289[1983];Tilburnら、Gene 26:205-221[1983];Yeltonら、Proc.Natl.Aca d.Sci.USA 81:1470-1474[1984])及びA.niger(Kelly 及びHynes,EMBO J.4: 475-479[1985])等がある。 グリコシル化Htkリガンドの発現のための適当な宿主細胞は、多細胞生物から 得られる。そのような宿主細胞は複雑なプロセシングを行うことができ、グリコ シル化活性を有する。原則として、脊椎動物あるいは無脊椎動物培養物からの任 意の高等な真核生物細胞培養物をいずれも使用することができる。無脊椎動物細 胞の例としては、植物及び昆虫細胞が挙げられる。多数のバキュロウイルス株及 び変異体及び対応する許容される昆虫宿主細胞が、Spodoptera frugiperda(毛 虫)、Aedes aegypti(カ)、Aedes albopictus(カ)、Drosophila melanogast er(ショウジョウバエ)及びカイコのような宿主から同定されている。例えば、Lu ckowら、Bio/Technology 6:47-55(1988);Millerら、Genetic Engineering,Setl owら、eds.,Vol.8(Plenum Publishing、1986),pp 277-279;及びMaedaら、Na ture 315:592-594(1985)を参照。トランスフェクションのための種々のウイルス の株が公に利用でき、例えば、Autographa californica NPVのL-1変異 体及びカイコNPVのBm-5株があり、そのようなウイルスを本発明のウイルスとし て使用することができ、特にSpodoptera frugiperda細胞のトランスフェクショ ンのために使用することができる。 綿、とうもろこし、ジャガイモ、大豆、ツクバネアサガオ、トマト及びタバコ のような植物細胞培養物を宿主として利用することができる。典型的には、植物 細胞を、前もってHtkリガンドDNAを含むように操作された細菌アグロバクテ リウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のある種の株とインキ ュベートすることによりトランスフェクトする。植物細胞培養物のA.tumefacie nsとのインキュベーションの間、HtkリガンドをコードしているDNAは植物細 胞宿主へ移され、それがトランスフェクトされ、適当な条件下でHtkリガンドD NAを発現する。さらに、植物細胞と適合する制御及びシグナル配列が利用でき 、例えばノパリンシンターゼプロモーターやポリアデニル化シグナル配列等が利 用できる。Depickerら、J.Mol Appl.Gen.1:561(1982)。また、T-DNA 780 の遺伝子の上流領域から単離されたDNAセグメントは、組換えDNA含有植物 組織中で植物発現可能な遺伝子の転写レベルを活性化するか増加させることがで きる。EP 321,196、1989年6月21日発行。 しかし、脊椎動物細胞が最も関心の高いものであり、最近では培養物(組織培 養)中で脊椎動物細胞を増殖させることが日常的操作になっている(Tissue Cult ure,Academic Press、Kruse 及びPatterson,editors[1973])。有用な哺乳類宿 主細胞系の例としては、SV40よって形質転換されたサル腎臓CV1系(COS-7、ATCC CRL 1651);ヒト胎児腎臓系(293細胞または懸濁培養中で増殖についてサブク ローニングされた293細胞、Grahamら、J.Gen.Virol.36:59[1977]);小型ハム スター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10); チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(C HO,Urlaub and Chasin,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216[1980]); マウス セルトリ細胞(TM4,Mather,Biol Reprod.23:243-251[1980]); サル腎臓細胞(C V1 ATCC CCL 70); アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1587); ヒ ト子宮頚癌細胞(HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34); バッ ファローラット肝細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442); ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 7 5); ヒト肝細胞(Hep G2、HB 8065); マウス乳癌(MMT 060562、 ATCC CCL51);TRI細胞(Matherら、Annals.N.Y.Acad.Sci.383:44-68[1982]) ;MRC 5細胞;FS4細胞;及びヒト肝癌系(Hep G2)等がある。 宿主細胞を上記の本発明の発現またはクローニングベクターでトランスフェク トまたは好ましくは形質転換し、プロモーターを誘発し、形質転換細胞を選択し 、所望の配列をコードする遺伝子を増幅するのに適当なように改変された従来の 栄養培地中で培養する。 トランスフェクションとは、コード配列が実際に発現されるかどうかにかかわ らず、宿主細胞によって発現ベクターが取り込まれることをいう。多数のトラン スフェクションの方法が当業者に知られており、例えばCaPO4及びエレクトロポ レーションがある。このベクターが宿主細胞中で機能していることが示されれば 、トランスフェクションは一般に成功したものと認識される。 形質転換とは、DNAを、染色体外エレメントあるいは染色体要素(chromosom al integrant)として複製可能なように生物に導入することを意味する。使用す る宿主細胞に応じて、そのような細胞に適当な標準的な方法により形質転換を行 う。Sambrookら(上出)の第1.82節に記載されるような塩化カルシウムを使用し たカルシウム処理、あるいはエレクトロポレーションを実質的な細胞壁バリヤー を含む原核生物またはその他の細胞に一般に使用する。Shawら、Gene 23:315(19 83)及びWO 89/05859、1989年6月29日発行に記載されるように、アグロバクテリ ウム・ツメファシエンスによる感染がある種の植物細胞の形質転換に使用される 。また、WO 91/00358、1991年1月10日発行に記載されるように、超音波処理を使 用して植物をトランスフェクトすることもできる。 そのような細胞壁を有していない哺乳類細胞については、Graham and van der Eb,Viroloay 52:456-457(1978)のリン酸カルシウム沈殿法が好ましい。哺乳類 細胞宿主系形質転換の一般的概観は、Axelによって1983年8月16日に発行された アメリカ特許4,399,216 号に記載されている。酵母への形質転換は、典型的には 、Van Solingenら、J.Bact.130:946(1977)及びHsiao ら、Proc.Natl.Acad .Sci(USA)76:3829(1979)の方法により行われる。しかし、DNAを細胞に 導入するその他の方法、例えば核マイクロインジェクション、エレクトロポレー ション、生菌細胞(intact cells)による細菌のプロトプラスト融合、あるいは ポリカチオン、例えばポリブレン、ポリオルニチン等を使用してもよい。哺乳類 細胞を形質転換するための種々の方法については、Keownら、Methods in Enzymo logy(1989)、Keownら、Methods in Enzymology 185:527-537(1990)及びMansour ら、Nature 336:348-352(1988)を参照されたい。 E.宿主細胞の培養 Sambrookら(上出)に一般的に記載されるようにして、本発明のHtkリガンド ポリペプチドを生産するために使用される原核生物細胞を、適当な培地中で培養 する。 本発明のHtkリガンドを生産するために使われる哺乳類宿主細胞は種々の培地 中で培養することができる。Ham's F1O(Sigma)、最小必須培地([MEM],Sigma)、 RPMI-1640(Sigma)、及びDulbecco改変Eagle 培地([DMEM],Sigma)のような市販 の培地が宿主細胞を培養するのに適している。さらに、Ham 及びWallace,Meth .Enz.58:44(1979)、Barnes及び Sato,Anal.Biochem.102:255(1980)、アメ リカ特許4,767,704号;4,657,866号;4,927,762号;または4,560,655号;WO 90/ 03430;WO87/00195;アメリカ特許再発行30,985号;またはアメリカ特許5,122,4 69号(これらのすべての開示は引用により本明細書の一部とする)に記載された 培地のいずれをも宿主細胞の培養培地として使用することができる。これらの培 地にはいずれも、ホルモン及び/または他の成長因子(インシュリン、トランス フェリンあるいは上皮成長因子等)、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネ シウム、リン酸塩等)、バッファー(HEPES等)、ヌクレオシド(アデノシン及 びチミジン等)、抗生物質(ゲンタマイシンTM等)、微量元素(通常マイクロモ ル範囲の最終濃度で存在する無機化合物として定義される)、グルコースまたは 等価のエネルギー源等を補充してもよい。その他の必要な補充物を当業者に知ら れる適当な濃度で含ませてもよい。温度、pH等のような培養条件は発現のために 選択された宿主細胞について従来使用されるものであり、当業者には明らかであ ろう。 一般に、哺乳類細胞培養の生産性を最大にするための原理、プロトコル及び実 際的なテクニックは、Mammalian Cell Biotechnoloay: a Practical Approach, M.Butler,ed.,IRL Press,1991に見られる。 本明細書において言うところの宿主細胞とは、培養物中の細胞並びに宿主動物 中の細胞を含む。 F.遺伝子増幅/発現の検出 遺伝子増幅及び/または発現は、適当な標識プローブを使用し、本明細書中に 記載した配列に基づいて、mRNAの転写の量をはかる従来のサザンブロッティ ング、ノーザンブロッティング(Thomas,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:5201- 5205[1980])、ドットブロッティング(DNA分析)によりサンプル中で直接、 またin situ ハイブリダイゼーションにより測定することができる。種々の標識 を使用することができ、一般に最も多く使用されるのは放射性同位体、特に32P である。しかしその他の方法も使用することができ、例えばポリヌクレオチドへ 導入するための、ビオチンにより修飾されたヌクレオチドを使用することができ る。ビオチンは、例えば放射性核種、螢光剤、酵素等のような広範な種類の標識 で標識されたアビジンや抗体へ結合するための部位としての役目を果たす。ある いは、二重鎖DNA、二重鎖RNA、二重鎖DNA‐RNAハイブリッドあるい は二重鎖DNA‐タンパク質等の特定の二重鎖を認識することができる抗体を使 用してもよい。その抗体をさらに標識し、二重鎖が表面に結合した場所でアッセ イを行い、表面における二重鎖の形成の際に二重鎖に結合した抗体の存在が検出 されるようにすることができる。 あるいは遺伝子発現は免疫学的方法によって測定されてもよく、例えば、組織 切片の免疫組織化学的染色や細胞培養物または体液のアッセイにより、直接遺伝 子産物の発現の量を測定してもよい。免疫組織学化的染色法によれば、典型的に は脱水及び固定により細胞サンプルを作製し、その後結合遺伝子産物に特異的な 標識抗体と反応させる。ここで標識は通常は視覚的に検出可能なものであり、例 えば酵素標識、螢光標識、化学発光標識等である。本発明で使用するのに適した 特に感度の高い染色法が、Hsuら、Am.J.Clin.Path.75:734-738(1980)に記載 されている。 免疫組織化学的染色及び/またはサンプル液体のアッセイのために有用な抗体 は、モノクローナルまたはポリクローナルのいずれであってもよく、任意の哺乳 動物中で製造され得る。好適には、天然Htkリガンドポリペプチドまたは下記第4 節中でさらに記載される本明細書に示したDNA配列に基づく合成ペプチドに対 して抗体を製造することができる。 G.Htk リガンドポリペプチドの精製 Htkリガンドは、好ましくは分泌ポリペプチドとして培養培地から回収される が、分泌シグナルなしで直接生産された場合には宿主細胞溶解物から回収するこ ともできる。Htkリガンドが膜に結合している場合は、適当な洗剤溶液(例えばT riton-X 100)を使用して膜から放出させることができる。 Htkリガンドがヒト起源のもの以外の組換え細胞中で生産される場合は、Htkリ ガンドはヒト起源のタンパク質またはポリペプチドを完全に含まない。しかし、 Htkリガンドに関して実質的に均質な調製物を得るためには組換え細胞タンパク 質またはポリペプチドからHtkリガンドを精製することが必要である。最初のス テップとして、培養培地または溶解物を遠心分離して微粒子細胞デブリスを除去 する。その後、以下に例示するような適当な精製方法、例えばイオン交換カラム の上の分画化;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカあるいはDEAEのようなカチオ ン交換樹脂の上のクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS-PAGE;硫 安沈殿;例えばセファデックスG-75を使用するゲル濾過;IgGのような汚染物を 除去するためのプロテインAセファロースカラム等により、Htkリガンドを汚染 可溶性タンパク質及びポリペプチドから精製する。 好ましい体様においては、Bennettら(上出)中に開示されたHtk受容体-Fc融合 物をプロテインAセファロースカラム上に固定し、Htkリガンドをこのカラムを 使用したアフィニティ精製により単離することができる。 残基が削除されるか、挿入されるか、置換されたHtkリガンド変異型は、その 変化によって起こる性質の実質的な変化を考慮に入れて、天然Htkリガンドと同 じ方法で回収される。例えば、別のタンパク質またはポリペプチド、例えば細菌 またはウイルス抗原とのHtkリガンド融合体を調製することにより精製を容易に することができ、その抗原に対する抗体を含んでいる免疫アフィニティカラムを 使用して融合ポリペプチドを吸着することができる。ウサギポリクローナル抗-H tkリガンドカラムのような免疫アフィニティカラムを使用して、Htkリガンド変 異型を残っている少なくとも1つの免疫エピトープへ結合することによりそれを 吸着することができる。フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)のような プロテアーゼインヒビターも精製の間のタンパク質分解性の分解を防止するため に有用であり得、また偶発的な汚染生物の増殖を防ぐために抗生物質を含ませて もよい。当業者であれば、天然Htkリガンドに適当な精製法は、組換え型細胞培 養物中での発現でのHtkリガンドまたはその変異型の特性の変化を考慮した改変 を必要とし得ることを理解するであろう。 H.Htk リガンドポリペプチドの共有結合性修飾 Htkリガンドポリペプチドの共有結合性修飾(covalent modifications)は本発 明の範囲内に含まれる。天然Htkリガンド及びHtkリガンドのアミノ酸配列変異体 は、共有結合で修飾され得る。1つの種類の本発明の範囲内の共有結合性修飾は 、Htkリガンド断片(例えば可溶性Htkリガンド)である。約40までのアミノ酸残 基を有する変異型Htkリガンド断片は、化学合成によって、あるいは完全長ある いは変異型Htkリガンドポリペプチドの酵素的または化学的開裂により好適に製 造することができる。Htkリガンドまたはその断片の共有結合性修飾の他の型は 、Htkリガンドまたはその断片の目標とされたアミノ酸残基を、選択された側鎖 あるいはN-またはC-末端残基と反応することができる有機誘導化剤と反応させる ことによってその分子に導入される。 システイニル残基は、クロロ酢酸あるいはクロロアセタミドのようなα-ハロ アセテート(及び対応するアミン)と反応させるのが最も一般的であり、カルボキ シメチルやカルボキシアミドメチル誘導体を生じる。システイニル残基はまた、 ブロモトリフルオロアセトン、α-ブロモ-β-(5-イミドゾイル)プロピオン酸、 クロロアセチルホスフェート、N-アルキルマレイミド、3-ニトロ-2-ピリジルジ スルフィド、メチル2-ピリジルジスルフィド、p-クロロメルクリベンゾエート、 2-クロロメルクリ-4-ニトロフェノール、またはクロロ-7-ニトロベンゾ-2-オキ サ-1,3-ジアゾールとの反応により誘導体化される。 ヒスチジル残基はpH 5.5-7.0でのジエチルピロカーボネートとの反応によって 誘導体化され、これはこの試薬がヒスチジル側鎖に比較的特異的であるからであ る。p-ブロモフェナシルブロミドも有用であり、その反応は好ましくは、0.1Mカ コジル酸ナトリウム中でpH 6.0で行われる。 リシニル及びアミノ末端残基は、コハク酸無水物あるいはその他のカルボン酸 無水物と反応させる。これらの試薬による誘導体化は、リシニル残基の電荷を逆 にする効果を持つ。α-アミノ含有残基を誘導体化するためのその他の適当な試 薬としては、イミドエステル、例えばメチルピコリンイミデート、ピリドキサー ルホスフェート、ピリドキサール、クロロボロハイドライド、トリニトロベンゼ ンスルホン酸、O-メチルイソウレア、2,4-ペンタンジオン、及びトランスアミナ ーゼにより触媒されるグリオキシレートとの反応等が挙げられる。 アルギニル残基は、1以上の慣用の試薬との反応によって修飾され、例えばフ ェニルグリオキサール、2,3-ブタンジオン、1,2-シクロヘキサンジオン、ニンヒ ドリンがある。アルギニン残基の誘導体化は、グアニジン官能基の高いpKa のた めその反応をアルカリ性条件中で行うことを必要とする。さらに、これらの試薬 はリシンのそのような基、並びにアルギニンε-アミノ基と同様に反応し得る。 チロシル残基の特定の修飾は、芳香族ジアゾニウム化合物あるいはテトラニト ロメタンとの反応によりチロシル残基にスペクトル標識を導入することにおいて 特別の利点がある。最も一般的には、N-アセチルイミダゾール及びテトラニトロ メタンを使用してそれぞれO-アセチルチロシル種及び3-ニトロ誘導体を形成する 。チロシル残基は125Iまたは131Iを使用してヨウ素化し、ラジオイムノアッセイ で使用するための標識タンパク質を製造することができる。上記のクロラミンT 方法が適当である。 カルボキシル側鎖基(アスパルチルまたはグルタミル)は、カルボジイミド(R -N=C-N-R'、R及びR'は異なるアルキル基であり、例えば1-シクロヘキシル-3-(2- モルホリニル-4-エチル)カルボジイミドあるいは1-エチル-3-(4-アゾニア-4,4- ジメチルフェニル)カルボジイミド等である)との反応によって選択的に修飾され る。さらに、アスパルチル残基及びグルタミル残基は、アンモニウムイオンとの 反応によってアスパラギニル及びグルタミニル残基に変換される。 二官能性試薬による誘導体化は、抗Htkリガンド抗体を精製する方法で使用す るための非水溶性支持体マトリックスまたは表面にHtkリガンドを架橋させるこ と、あるいはその逆の場合において有用である。一般に使用される架橋剤として は、例えば1,1-ビス(ジアゾアセチル)-2-フェニルエタン、グルタルアルデヒ ド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、例えば4-アジドサリチル酸とのエス テル、3,3-ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)のようなジスクシン イミジルエステルを含むホモ二官能性イミドエステル、二官能性マレイミド、例 えばビス-N-マレイミド-1,8-オクタン等である。メチル-3-[(p-アジドフェニル) ジチオ]プロピオイミデートのような誘導体化剤は、光の存在下で架橋を形成す ることができる光活性化中間体を生成する。あるいは、非水溶性マトリックス、 例えばシアノゲンブロミド活性化炭水化物、及びアメリカ特許3,969,287号;3,6 91,016号;4,195,128号;4,247,642号;4,229,537号及び4,330,440号に記載され た反応性基体がタンパク質固定化のために使用される。 グルタミニル及びアスパラギニル残基は、対応するグルタミル及びアスパルチ ル残基にそれぞれ脱アミド化されることも多い。これらの残基は中性または塩基 性条件下で脱アミド化される。これらの残基の脱アミド形態は、本発明の範囲内 のものである。 その他の修飾としては、プロリン及びリシンのヒドロキシル化、セリルまたは スレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン及びヒスチジ ン側鎖のα-アミノ基のメチル化(T.E.Creighton,Proteins: Structure and Mo lecular Properties,W.H.Freeman & Co.,San Francisco,pp.79-86[1983]) 、N末端アミンのアセチル化、C末端カルボキシル基のアミド化が挙げられる。 本発明の範囲内に包含されるHtkリガンドポリペプチドの別の型の共有結合性 修飾は、ポリペプチドの天然のグリコシル化パターンを変化させることを含む。 変化させるとは、天然のHtkリガンドに見られる1以上の炭水化物部分を削除す ること、及び/または天然のHtkリガンドには存在しない1以上のグリコシル化 部位を付加することを意味する。 ポリペプチドのグリコシル化は、典型的にはN-結合かO-結合である。N-結合と は、炭水化物部分がアスパラギン残基の側鎖に結合することを示す。トリペプチ ド配列アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニン(Xはプロリン以 外のアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素的結合のた めの認識配列である。従って、ポリペプチド中にこれらのトリペプチド配列のい ずれかが存在することにより、可能性があるグリコシル化部位が形成される。O- 結合グリコシル化とは、糖のN-アセチルガラクトサミン、ガラクトースあるいは キシロースのうちの1種のヒドロキシアミノ酸への結合をいう。ヒドロキシアミ ノ酸は最も一般的にはセリンまたはスレオニンであるが、5-ヒドロキシプロリン または5-ヒドロキシリシンも使用できる。 Htkリガンドポリペプチドへのグリコシル化部位の付加は、上記のトリペプチ ド配列の1以上を含むようにそのアミノ酸配列を変化させる(N-結合グリコシル 化部位について)ことにより好適に得られる。そのような変更は、天然のHtkリ ガンド配列に1以上のセリンあるいはスレオニン残基を付加するか、それらによ り置換することによっても得られる(O-結合グリコシル化部位について)。簡単 にするために、Htkリガンドアミノ酸配列はDNAレベルにおける変更により変 化させることが好ましく、所望のアミノ酸に翻訳されるコドンを生成するように 特にHtkリガンドポリペプチドをコードしているDNAを前もって選択された塩 基において変異させることが好ましい。DNA突然変異は、「天然Htkリガンド のアミノ酸配列変異型」の表題で上記した方法を使用することにより生成するこ とができる。 Htkリガンドポリペプチド上で炭水化物部分の数を増やすための別の手段は、 グリコシドを化学的または酵素的にポリペプチドに結合することである。この方 法は、N-またはO-結合グリコシル化のためのグリコシル化能力を有する宿主細胞 中でポリペプチドを製造することを必要としないことにおいて有利である。使用 する結合方法によって、(a)アルギニン及びヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基 、(c)遊離スルフヒドリル基、例えばシステインのもの、(d)遊離ヒドロキシル基 、例えばセリン、スレオニンまたはヒドロキシプロリンのもの、(e)芳香族残基 、例えばフェニルアラニン、チロシン、あるいはトリプトファンのもの、あるい は(f)グルタミンのアミド基に糖を結合することができる。これらの方法は、198 7年9月11日に発行されたWO 87/05330、及びAplin 及びWriston,CRC Crit.Rev .Biochem.,pp.259-306(1981)に記載されている。 Htkリガンドポリペプチド上に存在する炭水化物部分の除去は化学的または酵 素的に行い得る。化学的脱グリコシル化は、ポリペプチドを化合物トリフルオロ メタンスルホン酸かそれと等価な化合物にさらすことを必要とする。この処理に より、結合糖(N-アセチルグルコサミンまたはN-アセチルガラクトサミン)以外 のほとんどあるいはすべての糖が開裂し、一方ポリペプチドはそのままに残る。 化学的脱グルコシル化は、Hakimuddin ら、Arch.Biochem.Biophys.259:52(1 987)及びEdgeら、Anal.Biochem.118:131(1981)により記載されている。ポ リペプチド上の炭水化物部分の酵素的開裂は、種々のエンド-及びエキソ-グリコ シダーゼを使用することによりThotakura ら、Meth.Enzymol.138:350(1987)に 記載されたように行うことができる。 可能性があるグリコシル化部位でのグリコシル化は、化合物ツニカマイシンを 使用することにより、Duskinら、J.Biol.Chem.257:3105(1982)により記載さ れたようにして防ぐことができる。ツニカマイシンは、タンパク質−N-グリコシ ド結合の形成をブロックする。 Htkリガンドの共有結合性修飾のまた別の種類は、Htkリガンドポリペプチドを 種々の非タンパク質ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレン グリコール、ポリオキシアルキレン等に、アメリカ特許4,640,835号;4,496,689 号;4,301,144号;4,670,417号;4,791,192号あるいは4,179,337号に記載された ような方法で結合することを含む。 変異型Htkリガンドの特性を前もって予測することは難しいことが多いので、 最適な変異型を選択するために回収された変異型のある種のスクリーニングが必 要とされることは理解されるであろう。Htkリガンド分子の免疫学的特性の変化 、例えば所与の抗体についてのアフィニティの変化等も、競争型イムノアッセイ により測定できる。変異型を、その酵素的活性の抑制あるいは増強の変化につい て、天然のHtkリガンドについて同じアッセイで観察された活性と比較すること によりアッセイする。例えば、Lokkerら、EMBO 11:2503-2510(1992)に記載され た技術を使用して、Htk受容体のプロテインキナーゼ活性を刺激する変異型Htkリ ガンドの能力についてスクリーニングを行うことができる。本明細書の実施例4 も参照されたい。酸化還元あるいは熱安定性、疎水性、タンパク質分解性の分解 に対する感受性、キャリヤーと凝集する傾向もしくはマルチマーに凝集する傾向 等のようなタンパク質あるいはポリペプチドの性質のその他の可能性がある修飾 は、 当分野で周知の方法によりアッセイされる。 I.Htk リガンド-免疫グロブリンキメラ(イムノアドヘシン) 免疫グロブリン(Ig)及びそのある種の変異体が知られており、多くのものが 組換え細胞培養中で製造されている。例えば、アメリカ特許4,745,055号;EP 25 6,654;Faulknerら、Nature 298:286(1982); EP 120,694; EP 125,023; Morriso n,J.Immun.123:793(1979); Kohlerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:2197 (1980); Raso ら、Cancer Res.41:2073(1981); Morrison ら、Ann.Rev.Immuno l.2:239(1984); Morrison,Science 229:1202(1985); Morrisonら、Proc.Natl .Acad.Sci.USA 81:6851(1984); EP 255,694; EP 266,663; 及びWO 88/03559 を参照。再構築された免疫グロブリン鎖も知られている。例えばアメリカ特許4, 444,878号;WO 88/03565;EP 68,763及びそれらに引用された参考文献を参照。 適当な免疫グロブリン定常部配列に結合された受容体配列から構築されたキメラ (イムノアドヘシン)が当分野で知られている。文献中に報告されたイムノアド ヘシンとしては、T細胞受容体の融合物(Gascoigneら、Proc.Natl.Acad.Sci .USA 84:2936-2940[1987]); CD4(Capon ら、Nature 337:525-531[1989]; Traun ecker ら、Nature 339:68-70[1989]; Zettmeissl ら、DNA Cell Biol.USA 9:34 7-353[1990];及びByrnら、Nature 344:667-670[1990]); L-セレクチン(ホーミン グ受容体)(Watson ら、J.Cell.Biol.110:2221-2229[1990]; 及びWatsonら、N ature 349:164-167[1991]); CD44(Aruffoら、Cell 61:1303-1313[1990]); CD28 及びB7(Linsleyら、J.Exp.Med.173:721-730[1991]); CTLA-4(Lisleyら、J.E xp.Med.174:561-569[1991]); CD22(Stamenkovic ら、Cell 66:1133-1144[1991 ]); TNF受容体(Ashkenaziら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:10535-10539[199 1]; Lesslauerら、Eur.J.Immunol.27:2883-2886[1991]; 及びPeppelら、J. Exp.Med.174:1483-1489[1991]); 及びIgE受容体α(Ridgway and Gorman,J.C ell.Biol.Vol.115,abstr.1448[1991])等がある。 最も単純で最も直接的なイムノアドヘシンデザインとしては、ヒンジを持つ「 アドヘシン(adhesin)」タンパク質の結合領域と免疫グロブリン重鎖のFc領域を 結合したものである。通常、本発明のHtkリガンド-免疫グロブリンキメラを製 造する場合は、Htkリガンドの細胞外ドメインをコードしている核酸かそのフラ グメントを免疫グロブリン定常部配列のN末端をコードしている核酸のC末端側 に結合するが、N末端側で融合することも可能である。 典型的には、そのような融合物ではコードされたキメラポリペプチドは、少く とも機能的に活性なヒンジ、免疫グロブリン重鎖の定常部のCH2及びCH3ドメイン を保持する。また、融合は定常部のFc部分のC末端に、あるいは重鎖のCH1また は軽鎖の対応する領域のN末端に直接形成される。 融合が形成される正確な部位は重要ではなく、特別な部位が周知であり、Htk リガンド−免疫グロブリンキメラの生物学的活性、分泌及び結合特性を最適化す るために選択することができる。 ある態様においては、本質的にはWO 91/08298に記載されたように、Htkリガン ド-免疫グロブリンキメラを、モノマーかヘテロもしくはホモマルチマー、特に ダイマーまたはテトラマーとして組み立てる。 好ましい態様においては、Htkリガンド細胞外ドメイン配列を、免疫グロブリ ンG1(IgG-1)のFcドメインのN末端に融合する。重鎖定常部全体をHtkリガンド 細胞外ドメイン配列に融合することが可能である。しかしより好ましくは、IgG Fcを化学的に定義するパパイン切断部位のすぐ上流域のヒンジ領域で開始してい る配列(即ち重鎖定常部の最初の残基を114であるとして残基216)、あるいはそ の他の免疫グロブリンの類似する部位をその融合に使用する。特に好ましい態様 においては、Htkリガンドアミノ酸配列を、(a)ヒンジ領域及びCH2及びCH3、ある いは(b)IgG-1、IgG-2またはIgG-3重鎖のCH1、ヒンジ、CH2及びCH3ドメインに融 合する。融合を形成する正確な部位は重要でなく、最適な部位は日常的な実験に より決定することができる。 ある態様においては、Htkリガンド-免疫グロブリンキメラを、マルチマー、特 にホモダイマーあるいはテトラマーとして組み立てる。一般にこれらの組み立て られた免疫グロブリンは公知のユニット構造を持つ。基本的な4つの鎖構造単位 は、IgG、IgD及びIgEが取る形態である。4つの鎖のユニットは、より大きい分子 量の免疫グロブリンでは反復され、IgMは一般に、ジスルフィド結合により一体 に保持された4つの基本ユニットのペンタマーとして存在する。また、IgAグロブ リン及びときとしてIgGグロブリンは、血清中でマルチマー形態で存在し得る。 マルチマーの場合、4つのユニットの各々は、同じでも異なってもよい。 本発明の範囲内の組み立てられたHtkリガンド−免疫グロブリンキメラの種々 の例を概略的に以下に示す。 (a)ACL-ACL; (b)ACH-[ACHACL-ACH、ACL-VHCHまたはVLCL-ACH]; (c)ACL-ACH-[ACL-ACH、ACL-VHCH、VLCL-ACHまたはVLCL-VHCH]; (d)ACL-VHCH-[ACHまたはACL-VHCHまたはVLCL-ACH]; (e)VLCL-ACH-[ACL-VHCHまたはVLCL-ACH];及び (f)[A-Y]n-[VLCL-VHCH]2 上記でAは同じであるか異なるHtkリガンドアミノ酸配列を表し、 VLは免疫グロブリン軽鎖可変部であり、 VHは免疫グロブリン重鎖可変部であり、 CLは免疫グロブリン軽鎖定常部であり、 CHは免疫グロブリン重鎖定常部であり、 nは1より大きい整数であり、 Yは共有結合架橋剤の残基を示す。 簡潔にするため、上記の構造は重要な構造のみを示し、結合(J)あるいは免疫 グロブリンのその他のドメイン、あるいはジスルフィド結合は示していない。し かし、そのようなドメインが結合活性に必要とされる場合においては、それらが 免疫グロブリン分子中に占める通常の位置においてそれらが存在するように構築 される。 あるいは、キメラ重鎖を含む免疫グロブリンが得られるようにHtkリガンド細 胞外ドメイン配列を免疫グロブリン重鎖及び軽鎖配列の間に挿入してもよい。こ の態様においては、Htkリガンド配列は、免疫グロブリンの各アームにおいて、 ヒンジとCH2ドメインの間あるいはCH2及びCH3ドメインの間で、免疫グロブリン 重鎖の3'末端に融合される。同様の構造物がHoogenboomら、Mol.Immunol.28:1 027-1037(1991)によって報告されている。 免疫グロブリン軽鎖の存在は本発明のイムノアドヘシンに必要とされる訳では ないが、免疫グロブリン軽鎖は、共有結合でHtkリガンド免疫グロブリン重鎖融 合ポリペプチドに結合するか、Htkリガンド細胞外ドメインに直接融合して存在 し得る。前者の場合においては、免疫グロブリン軽鎖をコードしているDNAが 、典型的にはHtkリガンド-免疫グロブリン重鎖融合タンパク質をコードしている DNAと同時に発現される。分泌にあたり、そのハイブリッド重鎖及び軽鎖は共 有結合で結合されて、2つのジスルフィド結合免疫グロブリン重鎖-軽鎖対を含む 免疫グロブリン様構造を与える。そのような構造の製造に適当な方法は、例えば アメリカ特許4,816,567号(1989年3月28日発行)中に開示されている。 好ましい態様においては、本発明のイムノアドヘシンの構築に使用される免疫 グロブリン配列は、IgG免疫グロブリン重鎖定常部からのものである。ヒトイム ノアドヘシンについては、ヒトIgG1及びIgG3免疫グロブリン配列を使用すること が好ましい。IgG1を使用する主要な利点は、IgG1イムノアドヘシンが、固定され たプロテインA上で効率的に精製され得ることである。これに対してIgG3の精製 はあまり融通のきかない媒体(less versatile medium)であるタンパク質Gを必要 とする。しかし、特別なイムノアドヘシン構築のためにIg融合相手を選択する場 合には、免疫グロブリンの他の構造的及び機能的特性を考慮しなければならない 。例えば、IgG3ヒンジはより長くてより柔軟であるので、IgG1に融合されるとき 折り畳まれずあるいは正しく機能しないことがあり得るより大きな「アドヘシン 」ドメインを収容し得る。もう一つの重要な点は価数である。IgGイムノアドヘ シンは二価のホモダイマーであるのに対して、IgAやIgMのようなIgサブタイプは 、基本的なIgホモダイマー単位のダイマーあるいはペンタマー構造をそれぞれ取 り得る。そして、in vivoでの用途のために設計されたHtkリガンド-Igイムノア ドヘシンについては、薬剤動力学的性質とFc領域によって特定されるエフェクタ ー機能も重要でもある。IgG1、IgG2及びIgG4はすべて21日のin vivo半減期を示 すが、それらの補体系を活性化することにおける相対的な能力は異なる。IgG4は 補体を活性化せず、IgG2は補体活性化においてIgG1よりかなり劣る。さらに、Ig G1と違って、IgG2は単核細胞あるいは好中球上のFc受容体に結合しない。IgG3 は補体活性化に適しているが、そのin vivo半減期は、他のIgGアイソタイプの約 3分の1である。ヒトの治療剤として使用するために設計されるイムノアドヘ シンについてのもう一つの重要な考慮事項は特定のアイソタイプについてのアロ タイプ変異体の数である。一般に、より少ない血清学的に定義されるアロタイプ を有するIgGアイソタイプが好ましい。例えば、IgG1は4つしか血清学的に定義さ れるアロタイプ部位を有しておらず、その2つ(Glm及び2)はFc領域中に位置し 、これらの部位の1つG1m1は非免疫原性である。これに対して、IgG3には12の血 清学的に定義されるアロタイプがあり、これらはすべてFc領域中にある。これら の部位中3つだけ(G3m5、11及び21)が1つの非免疫原性アロタイプを有する。即 ち、γ3イムノアドヘシンの強力な免疫原性はγ1イムノアドヘシンのものよりも 高い。 本発明のHtkリガンド-Igイムノアドヘシンの設計にあたっては、rPTK結合及び /またはHtkリガンドの生物学的活性に必要とされないドメインは削除してもよ い。親免疫グロブリンに関しては、有用な接続点は、2つの重鎖の間にジスルフ ィド結合を形成するヒンジのシステインのすぐ上流域である。よく使用される設 計においては、その分子の「アドヘシン」(Htkリガンド)部分のC末端残基の コドンが、IgG1ヒンジ領域の配列DKTHTCPPCP(配列番号7)のコドンのすぐ上流 に置かれる。 イムノアドヘシンの構築及び発現に適する一般的な方法は、(天然あるいは変 異型)Htkリガンドに関して上記に開示したものと同じものである。Htkリガンド -Igイムノアドヘシンは、最も好適には、Htkリガンド部分を読み取り枠内でコー ドするcDNA配列をIgcDNA配列に融合することにより構築される。しかし 、ゲノムIg断片への融合も使用することができる(例えば、Gascoigneら(上出 );Aruffoら、Cell 61:1303-1313[1990];及びStamenkovicら、Cell 66:1133-11 44[1991]を参照)。後者のタイプの融合は、発現のためのIg調節配列の存在を必 要とする。IgG重鎖定常部をコード化ているcDNAは、ハイブリダイゼーショ ンまたはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によって、脾臓または抹消血リンパ球 に由来するcDNAライブラリーから、発表されている配列に基づいて単離する ことができる。選択した宿主細胞中で効率的な発現を起こすプラスミドベクター 中に、そのイムノアドヘシンの「アドヘシン」及びIg部分をコードしているcD NAをタンデムに挿入する。哺乳類細胞中での発現のためには、pRK5ベースベク ター(Schallら、Cell 6l:361-370[1990])及びCDM8ベースベクター(Seed, Nature 329:840[1989])が有用である。オリゴヌクレオチド誘発欠失的突然変異 誘発(oligonucleotide-directed deletional mutagenesis)を使用して設計され た継目コドン(junction codons)の間の余分な配列を除去することによって正確 な継目が形成される(Zoller 及びSmith,Nucleic Acids Res.10:6487[1982]及 びCaponら、Nature 337:525-531[1989])。合成オリゴヌクレオチドを使用するこ とができ、それは各半分が所望の継目の両側の配列に相補的なものである。理想 的には、これらは36-から48-マーである。あるいはPCR技術を使用して、読み取 り枠内で分子の2つの部分を適当なベクターと結合することができる。 Htkリガンド-Igイムノアドヘシンの発現のための宿主細胞系の選択は、主にそ の発現ベクターに依存する。もう一つの重要な点は、必要とされるタンパク質の 量である。一時的なトランスフェクションによってミリグラム量が生成できる場 合が多い。例えば、アデノウイルスEIA-形質転換293ヒト胎児腎臓細胞系は、リ ン酸カルシウム法の改変法によりpRK5ベースベクターで一時的にトランスフェク トし、効率的にイムノアドヘシンを発現させることができる。CDM8ベースベクタ ーを使用して、DEAE-デキストラン法によりCOS細胞をトランスフェクトすること ができる(Aruffoら、Cell 61:1303-1313[1990]及びZettmeisslら、DNA Cell Bio l.(US)9:347-353[1990])。タンパク質のより大きい量を所望する場合は、宿主 細胞系の安定したトランスフェクションの後にイムノアドヘシンを発現させるこ とができる。例えば、pRK5ベースベクターを、チャイニーズハムスター卵巣(CHO )細胞に、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)をコードし、G418に対する抵抗性を与 える別のプラスミドの存在下に導入することができる。G418に抵抗性を示すクロ ーンを培養中で選択することができる。これらのクローンをDHFRインヒビターメ トトレキセートの増加濃度の存在下に増殖させ、DHFRとイムノアドヘシン配列を コードしている遺伝子コピーの数が同時増幅したクローンを選択する。イムノア ドヘシンがそのN末端に疎水性リーダー配列を含む場合はプロセシングを受け、 トランスフェクトされた細胞により分泌される可能性がある。より複雑な構造を もつイムノアドヘシンの発現には、限定的に適する宿主細胞を必要とすることが あり得る。例えば、軽鎖やJ鎖のような成分は、ある種のミエローマあるいはハ イブリドーマ宿主細胞により得られる(Gascoigneら(上出)及びMartinら、 J.Virol.67:3561-3568[1993])。 イムノアドヘシンは、アフィニティークロマトグラフィーによって好適に精製 することができる。アフィニティリガンドとしてのプロテインAの適合性は、そ のキメラ中に使用される免疫グロブリンFcドメインの種及びアイソタイプに依存 する。プロテインAは、ヒトγ1、γ2またはγ4重鎖に基づくイムノアドヘシ ンを精製するために使用することができる(Lindmarkら、J.Immunol.Meth.62: 1-13[1983])。タンパク質Gは、すべてのマウスアイソタイプ及びヒトγ3につい て推奨される(Gussら、EMBO J.5:1567-1575[1986])。アフィニティリガンドが 結合されるマトリックスは最も多くの場合アガロースであるが、他のマトリック スも利用できる。制御された多孔質のガラスまたはポリ(スチレンジビニル)ベ ンゼンのような物理的に安定したマトリックスにより、アガロースで得られるよ りも速い流速と短い処理時間が可能となる。イムノアドヘシンをプロテインAま たはGアフィニティカラムに結合するための条件は、完全にFcドメインの特性、 即ちその種とアイソタイプにより決まる。一般に、適当なリガンドを選択すれば 、無条件に培養液から効率的な結合が直接得られる。イムノアドヘシンの一つの 顕著な特徴は、ヒトγ1分子について、プロテインAに対する結合能力が同じFc 型の抗体と比較していくらか減じられていることである。結合したイムノアドヘ シンは、酸性のpH(3.0以上)、あるいは弱カオトロピック塩を含んでいる中性p Hのバッファー中で効率よく溶出することができる。このアフィニティークロマ トグラフィーステップにより>95%純度以上のイムノアドヘシン調製物が得られる 。 イムノアドヘシンを精製するのに、プロテインAあるいはGでのアフィニティ ークロマトグラフィーの代わりに、あるいはそれに加えて、当分野で知られてい る他の方法を使用することができる。イムノアドヘシンは、チオフィリック(thi ophilic)ゲルクロマトグラフィー(Hutchens及びPorath,Anal.Biochem.159:217 -226[1986])及び固定化金属キレートクロマトグラフィー(Al-Mashikhi及びMaka i,J.Dairy Sci.71:1756-1763[1988])において抗体と同様に挙動する。一方、 抗体とは異なり、イオン交換カラムでのその挙動はその等電点のみによっては決 まらず、そのキメラ的性質により分子に存在し得る電荷双極子によっても左右さ れる。 J.エピトープタグ付き Htkリガンド 本出願は、別のポリペプチド(上記したイムノアドヘシンなど)に融合した H tkリガンドからなるキメラポリペプチドを含む。一つの好ましい態様では、キメ ラポリペプチドは、Htkリガンド(またはその断片、例えば、HtkリガンドのEC D)と、抗タグ抗体が選択的に結合できるエピトープを提供するタグポリペプチ ドとの融合体を含む。エピトープタグは一般に、Htkリガンドのアミノ−または カルボキシ−末端で確認される。Htkリガンドのそのようなエピトープタグ付き 形態は、その存在をタグポリペプチドに対する標識抗体を使用して検出すること ができるので好ましい。また、エピトープタグの付与により、Htkリガンドを、 抗タグ抗体を使用するアフィニティー精製により容易に精製することができる。 抗体の関与するアフィニティー精製法および診断アッセイは後述する。 タグポリペプチドおよびそれらの各々の抗体は、その分野では周知である。例 としては、flu HAタグポリペプチドおよびその抗体 12CA5(Field ら、Mol.Cell .Biol.8:2159-2165(1988)); c-mycタグおよびそれに対する 8F9、3C7、6E10、 G4、B7および 9E10 抗体(Evanら、Molecular and Cellular Biology 5(12):3610 -3616(1985));ならびに単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグおよび その抗体(Paborskyら、Protein Engineering 3(6):547-553(1990))が挙げられる 。他のタグポリペプチドも開示されている。例としては、Flag−ペプチド(Hopp ら、BioTechnology,6:1204-1210(1988)); KT3 エピトープペプチド(Martinら、 Science,255:192-194(1992)); α−チューブリンエピトープペプチド(Skinner ら、J.Biol.Chem.266:15163-15166(1991)); およびT7 遺伝子 10 タンパク質 ペプチドタグ(Lutz-Freyermuth ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:6393-639 7(1990))が挙げられる。タグポリペプチドがいったん選択されると、それに対 する抗体は、本明細書に開示する方法を使用して生じさせることができる。 エピトープタグ付き Htkリガンドの構築および産生に適する一般的方法は、( 天然または変異型の)Htkリガンドに関して上記した方法と同じである。Htkリガ ンド−タグポリペプチド融合体の構築は、Htkリガンド部分をコードするcDN A配列をタグポリペプチドDNA配列に同じ読み枠で融合し、得られたDN A融合構築物を適切な宿主細胞で発現させることにより行うのが最も便利である 。通常は、本発明の Htkリガンド−タグポリペプチドキメラ体を作る場合、Htk リガンド(またはその断片)をコードする核酸の3’端を、タグポリペプチドの N−末端をコードする核酸に融合させるが、5’融合体も可能である。 エピトープタグ付き Htkリガンドの精製は、抗タグ抗体を使用するアフィニテ ィークロマトグラフィーにより便利に行うことができる。アフィニティー抗体を 結合させるマトリックスで最もよく利用されるのはアガロースであるが、他のマ トリックスも利用できる(例えば、コントロールされた多孔質ガラスビーズ(C PG)またはポリ(スチレンジビニル)ベンゼン)。エピトープタグ付き Htkリ ガンドは、例えば緩衝液のpHまたはイオン強度を変えたり、カオトロピック試 薬を添加することにより、アフィニティーカラムから溶離することができる。 2.Htk リガンドの治療上の使用、組成物および投与 Htkリガンドは、Htkリガンドに対する受容体(Htk受容体など)を有する細胞 の増殖および/または分化および/または活性化を刺激または阻害することによ り哺乳類を治療するための治療用途があると考えられる。大脳皮質、海馬、線条 および小脳における HtkリガンドDNAの顕著な領域発現(実施例3参照)は、 これらの構造またはこれらの構造に突き出るニューロンが影響を受ける神経変性 疾患の治療に Htkリガンドポリペプチドが有用である可能性を示唆している。そ のような疾患としては、それらに限定されないが、アルツハイマー病、パーキン ソン病、ハンティングトン舞踏病および小脳の障害が挙げられる(Hefti,J.Neu robiol.inpress(1994); Marsden,Lancet 335:948-952(1990); Agid,Lancet 3 37:1321-1327(1991); Wexler ら、Ann.Rev.Neurosci.14:503-529(1991))。 成熟した外因性 Htkリガンドまたはその可溶性形態(例えば、可溶性イムノア ドヘシン)を、これらの症状のある患者に投与することができる。ヒト Htkリガ ンドは、内因性 Htkリガンドのレベルが抑制された、好ましくはそのような抑制 されたレベルが病的障害を招く状況にあるヒトに投与できる限りでは、明らかに 有用である。 Htkリガンドの治療組成物は、所望の純度を有する Htkリガンドを所望により 生理学的に許容されうる担体、賦形剤または安定剤(Remington's Pharmaceutic al Sciences,第16版、Osol,A.編(1980))と混合して凍結乾燥したケーキまた は水溶液の形態にすることにより保存用とする。許容されうる担体、賦形剤また は安定剤は、レシピエントに対して使用する用量および濃度で無毒であり、リン 酸、クエン酸および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸などの酸化防止剤 ;低分子量(約 10 残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンまたは 免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー ;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリシンなどのアミノ 酸;グルコース、マンノースまたはデキストリンなどの単糖、二糖および他の炭 水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトールまたはソルビトールなどの糖 アルコール;ナトリウムなどの塩形成対イオン;および/または Tween、Pluron ics またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン界面活性剤などが 挙げられる。 Htkリガンドはまた、例えばコアセルベーション法または界面重合によって作 った微小カプセル(例えば、各々、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン −微小カプセルおよびポリ〔メチルメタクリレート〕微小カプセル)中に、コロ イドドラッグデリバリーシステム(例えば、リポソーム、アルブミン小球、微小 エマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)中に、またはマクロエマルジョン 中に保持させてもよい。そのような技術は、Remington's Pharmaceutical Scien ces(前出)に開示されている。 in vivo 投与に使用する Htkリガンドは、無菌でなければならない。これは、 凍結乾燥および再調製の前または後に滅菌濾過膜によって濾過することにより容 易に行われる。Htkリガンドは、通常、凍結乾燥形または溶液で保存する。 治療用 Htkリガンド組成物は、一般に、無菌アクセスロを有する容器、例えば 皮下注射針によって刺し通すことができる栓を有する静脈内溶液バッグまたはバ イアルに入れる。 Htk リガンド投与方法は、公知方法、例えば静脈内、腹腔内、大脳内、筋肉内 、眼内、動脈内もしくは病巣内注射または輸液法、あるいは下記に示す徐放シス テムに従う。Htk リガンドは、輸液またはボーラス注射によって連続的に投与す る。Htk リガンド抗体は、同じ方法でまたは血流もしくはリンパへの投与により 投与 する。 徐放性製剤の適する例としては、タンパク質を含む固体の疎水性ポリマーの半 透性マトリックスで、該マトリックスが、成形品、例えばフィルムまたは微小カ プセルの形状であるものが挙げられる。徐放性マトリックスの例としては、ポリ エステル、ヒドロゲル〔例えば、Langerら、J.Biomed.Mater.Res.15:167-27 7(1981)および Langer,Chem.Tech.12:98-105(1982)に記載のポリ(2−ヒ ドロキシエチル−メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール)〕、ポリラ クチド(米国特許 No.3,773,919、EP 58,481)、L−グルタミン酸およびL−グ ルタミン酸γ−エチルのコポリマー(Sidmanら、Biopolymers 22:547-556(1983 ))、非分解性エチレン−酢酸ビニルコポリマー(Langerら、前出)、Lupron D epot(商標)(乳酸−グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドで構成さ れる注射可能な小球)などの分解可能な乳酸−グリコール酸コポリマー、ならび にポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP 133,988)が挙げられる。 エチレン−酢酸ビニルおよび乳酸−グリコール酸などのポリマーは、分子を 1 00日間以上にわたって放出することができるが、ある種のヒドロゲルは、タンパ ク質の放出期間がより短い。カプセルに入れたタンパク質が長期間体内にとどま る場合、それらは、37℃の水分に触れて変性または凝集し、その結果、生物学的 活性の低下および免疫原性の変化を招く可能性がある。関与する作用機構に応じ てタンパク質を安定にするための理論的ストラテジーを考案することができる。 例えば、凝集機構が、チオ−ジスルフィド交換による分子間S−S結合の生成で あることが見いだされると、安定化は、スルフヒドリル残基の修飾、酸性溶液か らの凍結乾燥、水分含量の調節、適切な添加剤の使用、および特定のポリマーマ トリックス組成物の開発により達成することができる。 徐放性 Htkリガンド組成物としては、リポソームに取り込まれた Htkリガンド も挙げられる。Htkリガンドを含むリポソームは、自体公知の方法によって作ら れる(DE 3,218,121; Epstein ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:3688-3692(1 985); Hwangら、Proc.Natl.Acal.Sci.USA 77:4030-4034(1980); EP 52,322; EP 36,676; EP 88,046; EP 143,949; EP 142,641;日本特許出願 83-118008; 米 国特許 No.4,485,045および 4,544,545; ならびに EP 102,324)。リポ ソームは通常、小さい(約 200〜800 Å)単ラメラ型で、脂質含量は約 30 モル %コレステロールより多く、最適の Htkリガンド治療のために割合を選択して調 整する。 治療に使用するための Htkリガンドの有効量は、例えば、治療目的、投与法お よび患者の症状に依存する。従って、療法士は、最適の治療効果を得るのに必要 な用量の決定および投与法の改良を行う必要があるだろう。典型的な一日の用量 は、約1μg/kg〜10 mg/kgまたはそれ以上の範囲にすることができ、上記した諸 要因に依存する。典型的には、医師は、所望の効果を達成するほどの用量に達す るまで Htkリガンドを投与する。この治療の進行は、通常のアッセイにより容易 にモニターされる。 3. Htk リガンドの治療以外の診断的使用 Htkリガンドをコードする核酸は、組織特異的型別(例えば、乳腺上皮)用診 断薬として使用することができる。例えば、in situ ハイブリッド形成、ノーザ ンおよびサザンブロット法、ならびにPCR分析などの方法を使用して、Htkリ ガンドをコードするDNAおよび/またはRNAが、評価される細胞型に存在す るかどうかを調べることができる。Htkリガンド核酸またはポリペプチドは、乳 腺癌の診断マーカーとして使用することもできる。例えば、Htkリガンドを本明 細書に記載する技術を使用して標識し、Htk受容体核酸の発現を標識した Htkリ ガンドを使用して定量することができる。 ヒト Htkリガンド核酸は、染色体 13q33に局在化している。したがって、ヒト Htkリガンドに対する核酸は、このヒト染色体に対するマーカーとして使用する ことができる。 Htkリガンド核酸はまた、本明細書に例示する組換え技術による Htkリガンド ポリペプチドの調製に有用である。 単離した Htkリガンドポリペプチドは、定量的診断アッセイにおいて、標準物 質または対照として使用することができ、その標準物質または対照に対して、未 知量の Htkリガンドを含むサンプルを調製することができる。 Htkリガンド製剤はまた、抗体の生成において、Htkリガンドのアッセイにおけ る標準物質として(例えば、Htkリガンドを標識することによりラジオイムノ アッセイまたは酵素連結イムノアッセイにおける標準物質として使用する)、ア フィニティー精製技術における生物学的サンプル中の Htk受容体の有無の検出( 例えば、標識した Htkリガンドを使用して)に対して、および放射性ヨウ素、酵 素、蛍光団、スピン標識などで標識した場合の競合的受容体結合アッセイにおい て有用である。 Htkリガンドはまた、診断手段として有用である。例えば、Htkリガンドは、本 明細書に詳述する技術を使用して原核生物細胞において産生することができ、そ うして産生した非グリコシル化タンパク質は、例えば、分子量マーカーとして使 用することができる。還元条件下での非グリコシル化 Htkリガンドの推定される 分子量(mw)は、約 34 kDである。可溶 Htkリガンドの還元条件下での推定 mw は、22 kD である。Htkリガンドを分子量マーカーとして使用するために、例え ばゲル濾過クロマトグラフィーまたはSDS−PAGEを使用して、分子量を測 定しようとするタンパク質を実質的に標準的方法で分離する。Htkリガンドおよ び他の分子量マーカーは、分子量範囲を与えるための標準物質として使用される 。例えば、ホスホリラーゼ(mw=97,400)、ウシ血清アルブミン(mw=68,000) 、卵白アルブミン(mw=46,000)、Htkリガンド(mw=34,000)、トリプシン阻 害剤(mw=20,100)、およびリゾチーム(mw=14,400)が、mwマーカーとして使 用できる。本明細書に記載する他の分子量マーカーとしては、例えば、Amersham Corporation(Arlington Heights,IL)から市販されているものが挙げられる。 分子量マーカーは、分離後の検出を容易にするために標識することが多い。抗体 およびタンパク質を標識するための技術は本明細書で述べるが、この分野では周 知である。例えば、分子量マーカーをビオチン化し、例えばSDS−PAGEで 分離した後、ブロットをストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダ ーゼとともにインキュベートすることができる。次いで、そのバンドは、光検出 により検出することができる。 また、Htkリガンドを増殖因子として使用し、Htk受容体を有するある種の細胞 を ex vivo増殖することは有用である。ex vivo 増殖することができるこれらの 細胞は、同時に、他の公知増殖因子またはサイトカインにさらすことができる。 サイトカインの例としては、インターロイキン(例えば、IL-3)、顆粒球−マク ロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-C SF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、エリトロポエチン(Epo)、リンホトキ シン、スチール(steel)因子(SLF)、腫瘍壊死因子(TNF)およびγ−インターフェ ロンが挙げられる。この結果、Htk受容体を有する細胞の増殖および/または分 化が得られる。例えば、ある種の腫瘍関連因子(通常はタンパク質)を単離しよ うとするヒト腫瘍細胞系は、Htkリガンドを使用して ex vivo増殖することがで きる。また、腫瘍関連因子に対する抗体を生じさせ、それを診断目的に使用する こともできる。Htkリガンドで処理することができるそのような腫瘍細胞系の例 としては、例えば、乳癌細胞(例えば、MCF-7)、肝細胞系、Colo 205、NCI 69 、HM-1および HeLa が挙げられる。 本発明の別の態様では、リガンドを Htk受容体のアフィニティー精製に使用す ることができる。簡単に述べると、その技術は、Htkリガンドを不活性で多孔性 のマトリックス(例えば、臭化シアンと反応させたアガロース)に共有結合的に 結合させることを含む。Htk受容体を含む溶液は次いで、クロマトグラフィー材 料を通過させ、次いで、溶離条件を変えることにより(例えば、pHまたはイオ ン強度を変えることにより)溶出することができる。 精製した Htkリガンドおよびそれをコードする核酸はまた、正常な増殖および 発達ならびに、例えば悪性疾患における異常な増殖および発達における Htkリガ ンドおよび受容体の役割を研究するための、リガンドおよびその同族受容体の機 構研究のための試薬として販売することもできる。 Htkリガンドは、Htk受容体に結合させるための潜在的アゴニストまたはアンタ ゴニストの競合的スクリーニングに使用することができる。Htkリガンドの変異 型は、それらが、使用する分析系、例えば抗−Htk リガンド抗体によって認識さ れるならば、Htkリガンドに対するアッセイの標準物質または対照として有用で ある。 4. Htk リガンド抗体の調製 本明細書で定義した抗体例の産生に関して以下に記載する。これらの抗体例と しては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、二重特異的抗 体またはヘテロコンジュゲート抗体が挙げられる。 A.ポリクローナル抗体 Htkリガンドに対するポリクローナル抗体は、一般に、Htkリガンドおよびアジ ュバントを多数回、皮下(sc)または腹腔内(ip)注射することにより、動 物内に生じる。Htkリガンドまたは標的アミノ酸配列を含む断片を、免疫感作す べき種において免疫原性のあるタンパク質(例えば、キーホールリンペットヘモ シアニン、血清アルブミン、ウシチログロブリンまたは大豆トリプシン阻害剤) に、二官能性試薬または誘導体化試薬、例えばマレイミドベンゾイルスルホスク シンイミドエステル(システイン残基による結合)、N−ヒドロキシスクシンイ ミド(リシン残基による結合)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl2 、またはR1N=C=NR(RおよびR1は、異なるアルキル基である。)を使 用して結合させることは有用であると考えられる。 1 mgまたは 1μg(各々、ウサギまたはマウスに対して)の結合体を3倍容量 のフロイント完全アジュバントと一緒にし、その溶液を複数の部位で皮内注射す ることにより、動物を免疫原性結合体または誘導体に対して免疫感作する。1ヵ 月後、フロイント完全アジュバント中の結合体の最初の量の1/5〜1/10を 複数の部位で皮下注射することにより追加免疫を行う。7〜14日後、その動物 の血を取り、血清の抗−Htkリガンド抗体力価をアッセイする。力価がプラトー 値になるまで動物の追加免疫を行う。好ましくは、同じ Htkリガンドであるが、 異なるタンパク質に結合した、および/または異なる架橋試薬によって結合した 結合体によって動物の追加免疫を行う。また、結合体は、組換え細胞培養物にお いてタンパク質融合体として作ることもできる。また、免疫反応を高めるために 、ミョウバンなどの凝集剤を使用する。 B.モノクローナル抗体 モノクローナル抗体は、実質的に均一な抗体の集団から得られる。すなわち、 その集団を構成する個々の抗体は、少量で存在する可能性のある自然界で起こる 突然変異を除いて同じである。従って、用語「モノクローナル」は、抗体の特徴 が別々の抗体の混合物ではないことを示す。 例えば、本発明の抗− Htkリガンドモノクローナル抗体は、最初に Kohler & Milstein,Nature 256:495(1975)によって記載されたハイブリドーマ法を使用 して作ることができ、または組換えDNA法(Cabilly ら、U.S.Pat.No.4,816 ,567)によって作ることができる。 ハイブリドーマ法では、マウスまたは他の適する宿主動物(ハムスターなど) を上述したように免疫感作して、免疫感作に使用したタンパク質に特異的に結合 する抗体を産生する、または産生することができるリンパ球を誘導する。あるい は、リンパ球をin vitro免疫感作してもよい。次いで、リンパ球をポリエチレン グリコールなど適切な融合剤を使用して骨髄腫細胞と融合し、ハイブリドーマ細 胞を作製する(Goding,Monoclonal Antibodies: Principles and Practice,pp .59-103[Academic Press,1986])。 このようにして作製したハイブリドーマ細胞を、好ましくは融合していない親 骨髄腫細胞の増殖または生存を阻害する1種以上の物質を含む適当な培養培地に 接種して増殖させる。例えば、親骨髄腫細胞がヒポキサンチン グアニン ホス ホリボシル トランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)酵素に欠けてい る場合、ハイブリドーマに対する培養培地は、典型的には、ヒポキサンチン、ア ミノプテリンおよびチミジン(HAT培地)を含む。それらの物質は、HGPR T−欠損細胞の増殖を妨げるものである。 好ましい骨髄腫細胞は、効率よく融合し、選択された抗体産生細胞による安定 した高レベルの抗体発現を支持し、HAT培地などの培地に対して感受性がある ものである。これらのうち、好ましい骨髄腫細胞系は、the Salk Institute Cel l Distribution Center(San Diego,California USA)から入手できる MOPC-21 および MPC-11 マウス腫瘍ならびに the American Type Culture Collection(R ockville,Maryland USA)から入手できる SP-2 細胞に由来するものなどのマウ ス骨髄腫系である。ヒト骨髄腫およびマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞系もヒトモ ノクローナル抗体の産生に対して記載されている(Kozvbor,J.Immunol.,133: 3001(1984);および Brodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques a nd Applications,pp.51-63,Marcel Dekker,Inc.,New York,1987)。また、 ヒトモノクローナル抗体の産生技術に関しては、Boerner ら、J.Immunol.,147 (1):86-95(1991)およびWO 91/17769(1991年11月28日公開)を参照。 ハイブリドーマ細胞が増殖している培養培地を、Htkリガンドに対するモノク ローナル抗体の産生に対してアッセイする。好ましくは、ハイブリドーマ細胞に よって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降法またはin vit ro 結合アッセイ(ラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合イムノソル ベントアッセイ(ELISA)など)によって測定する。 モノクローナル抗体の結合アフィニティーは、例えば、Munson & Pollard,An al.Biochem.107:220(1980)のスキャッチャード分析によって測定する。 ハイブリドーマ細胞が所望の特異性、親和性および/または活性を有する抗体 を産生することが確認されると、クローンは限界希釈法によってサブクローン化 し、標準的方法によって増殖させることができる。Goding,Monoclonal Antibod ies: Principles and Practice,pp.59-104(Academic Press,1986)。この目的 に適する培養培地としては、例えば、ダルベッコの改良イーグル培地またはRP MI−1640培地が挙げられる。さらに、そのハイブリドーマ細胞は、動物に おいて、腹水癌として in vivo増殖させることができる。 サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、適切には、例えばタ ンパク質A−セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電 気泳動、透析またはアフィニティークロマトグラフィーなどの通常の免疫グロブ リン精製法によって、培養培地、腹水または血清から分離する。あるいは、現在 は、免疫感作すると、内在性免疫グロブリン産生の不在下でヒト抗体の全レパー トリーを産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を作 ることが可能である。例えば、キメラマウスおよび生殖系列突然変異体マウスに おける抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子のホモ接合欠失の結果、内在性抗体産生 が完全に阻害されることが記載されている。そのような生殖系列突然変異体マウ スにおけるヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイの移入は、抗原チャレンジ により、ヒト抗体の産生を生じる。例えば、Jakobovitsら、Proc.Natl.Acad. Sci.USA 90:2551-255(1993);および Jakobovits ら、Nature 362:255-258(199 3)参照。 さらに別の態様では、抗体または抗体断片を、McCaffertyら、Nature,348:55 2-554(1990)に記載の方法の使用により生じる抗体ファージライブラリーから、 Htkリガンド(またはその断片)を使用して単離し、適する抗体または抗体断片 について選択することができる。Clacksonら、Nature,352:624-628(1991)およ び Marksら、J.Mol.biol.,222:581-597(1991)は、各々、ファージライブラリ ーを使用して、マウスおよびヒト抗体の単離を記載している。その後の論文では 、鎖シャッフル法(Markら、Bio/Technol.10:779-783(1992))ならびに非常に 大きいファージライブラリーを構築するための方法としての組合せ感染および i n vivo組換え(Waterhouseら、Nuc.Acids Res.,21:2265-2266(1993))による 高親和性(nM範囲)ヒト抗体の産生が記載されている。すなわち、これらの方 法は、「モノクローナル」抗体を単離するための伝統的なモノクローナル抗体ハ イブリドーマ法に変わる実行可能な方法であり、本発明はこれらを包含する。 本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、常法を使用して(例えば 、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することがで きるオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)容易に単離し、配列決 定される。本発明のハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの好ましい供給源 となる。DNAは、単離されると、発現ベクターに入れ、そうでなければ免疫グ ロブリンタンパク質を産生しないサルの COS細胞、チャイニーズハムスター卵巣 (CHO)細胞または骨髄腫細胞などの宿主細胞へのトランスフェクションを行うこ とができ、その結果、組換え宿主細胞でのモノクローナル抗体の合成が得られる 。DNAはまた、例えば、相同マウス配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖定常部 のコード配列で置き換える(Morrisonら、Proc.Nat.Acad.Sci.81,6851(1984 ))か、免疫グロブリンコード配列に、非免疫グロブリンポリペプチドのコード配 列の全部または一部分を共有結合することにより改変できる。そのようにして、 「キメラ」または「ハイブリッド」抗体は、本明細書の抗−Htk リガンドモノク ローナル抗体の結合特異性を有するように作製される。 典型的には、そのような非免疫グロブリンポリペプチドを本発明の抗体の定常 部の代わりに使用するか、本発明の抗体の一つの抗原結合部位の可変部の代わり に使用して、Htkリガンドに対する特異性を有する一つの抗原結合部位および別 の抗原に対する特異性を有する別の抗原結合部位を含む2価のキメラ抗体を作る 。 キメラまたはハイブリッド抗体はまた、合成タンパク質化学における公知方法 (架橋剤を用いる方法など)を使用して in vitro 合成できる。例えば、イムノ トキシンは、ジスルフィド交換反応を使用して、またはチオエーテル結合を形成 することにより構成できる。この目的に適する試薬の例としては、イミノチオレ ートおよびメチル−4−メルカプトブチルイミデートが挙げられる。 診断用途の場合、本発明の抗体は、典型的には、検出可能成分で標識する。検 出可能成分は、直接的または間接的に検出信号を生じることができるいずれかに することができる。例えば、検出可能成分は、3H、14C、32P、35S、もしく は125Iなどの放射性同位体;フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン もしくはルシフェリンなどの蛍光化合物もしくは化学発光化合物;またはアルカ リホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼもしくはホースラディッシュペルオキ シダーゼなどの酵素であってもよい。 検出可能成分に抗体を別々に結合させるための公知のどの方法を使用してもよ く、例えば、Hunterら、Nature 144:945(1962); Davidら、Biochemistry 13:101 4(1974); Pain ら、J.Immunol.Meth.40:219(1981);およびNygren,J.Histoc hem.and Cytochem.30:407(1982)に記載の方法が挙げられる。 本発明の抗体は、競合的結合アッセイ、直接および間接サンドイッチアッセイ 、ならびに免疫沈降アッセイなどのどの公知アッセイ法でも使用できる。Zola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques,pp.147-158(CRC Press,In c.,1987)。 競合的結合アッセイは、標識した標準物質(Htkリガンドまたはその免疫学的 反応性部分でもよい)が試験サンプルの被分析物(Htkリガンド)と、限られた 量の抗体との結合について競合する能力に基づくものである。試験サンプル中の Htkリガンドの量は、抗体に結合する標準物質の量に反比例する。結合する標準 物質の量の測定を容易にするために、抗体は一般に、競合の前または後に不溶化 し、抗体に結合する標準物質および被分析物が、未結合のままである標準物質お よび被分析物から便利に分離できるようにする。 サンドイッチアッセイは二つの抗体の使用を含み、各々の抗体は、検出すべき タンパク質の異なる免疫原部分またはエピトープに結合できる。サンドイッチア ッセイでは、試験サンプルの被分析物が第一の抗体によって結合して固相支持体 上に固定化され、その後、第二の抗体がその被分析物に結合して、3層から成る 不溶性複合体が形成される。例えば、米国特許 No..4,376,110参照。第二の抗 体は、それ自体を検出可能成分で標識するか(直接サンドイッチアッセイ)、ま たは検出可能成分で標識した抗−免疫グロブリン抗体を使用して測定することが できる(間接サンドイッチアッセイ)。例えば、サンドイッチアッセイの一つの 型はELISAアッセイであり、この場合は、検出可能成分が酵素である。 C.ヒト化抗体 非ヒト抗体をヒト化する方法は周知である。一般に、ヒト化抗体は、ヒト以外 からの1種以上のアミノ酸残基が導入されている。これらのヒト以外のアミノ酸 残基は、しばしば「インポート」残基と呼ばれ、典型的には、「インポート」可 変部から取られる。ヒト化は、本質的には、Winterおよび共同研究者らの方法( Jones ら、Nature 321:522-525(1986); Riechmannら、Nature 332:323-327(1988 ); Verhoeyenら、Science 239:1534-1536(1988))に従って、侵食 CDR配列をヒ ト抗体の対応する配列の代わりに使用することにより行うことができる。従って 、そのような「ヒト化」抗体はキメラ抗体であり(Cabilly,前出)、完全なヒト 可変部よりも実質的に少ない領域がヒト以外の種に由来する対応配列により置換 されている。実際、ヒト化抗体は、典型的には、いくつかの CDR残基および恐ら くいくつかの FR 残基がげっ歯類抗体の類似部位に由来する残基で置換されたヒ ト抗体である。 抗体は、抗原に対する高い親和性および他の好ましい生物学的特性を保持する ようにしてヒト化することが重要である。この目的を達成するために、好ましい 方法によれば、ヒト化抗体は、親配列およびヒト化配列の三次元モデルを使用し た、親配列および種々の概念上のヒト化産物の分析法により調製する。三次元免 疫グロブリンモデルは、当業者には周知である。選択された候補免疫グロブリン 配列の予想される三次元立体構造の例示および表示にはコンピュータープログラ ムを利用することができる。これらの表示を調べることにより、候補免疫グロブ リン配列の機能における残基の予想される役割を分析することができる。すなわ ち、候補免疫グロブリンの抗原結合能に影響を及ぼす残基を分析することができ る。このようにして、FR 残基を共通のインポート配列から選択し、結合させて 、抗体の所望の特性(標的抗原に対する親和性の増加など)を達成することがで き る。一般に、抗原結合に対する影響においては、CDR 残基が直接的かつほとんど 実質的に関与している。さらに詳細については、WO 92/22653(1992年12月23日 公開)を参照。 D.二重特異的抗体 二重特異的抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を有する モノクローナル抗体、好ましくは、ヒト抗体またはヒト化抗体である。本発明の 場合、結合特異性の一つは Htkリガンドに対するものであり、他方は、他のいず れかの抗原、好ましくは受容体または受容体サブユニットに対するものである。 例えば、Htk 受容体および Htkリガンドを特異的に結合する二重特異的抗体は、 本発明の範囲内である。 二重特異的抗体の作製法は周知である。伝統的には、二重特異的抗体の組換え 産生は、二つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の同時発現に基づくものであり、こ の場合、二つの重鎖は異なる特異性を有する(Millstein および Cuello,Natur e 305:537-539(1983))。免疫グロブリンの重鎖および軽鎖のランダムな取り合 わせのため、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、10種類の抗体分子混 合物を産生する可能性があり、そのうちの1個のみが正しい二重特異的構造であ る。正しい分子の精製は、通常はアフィニティークロマトグラフィー工程により 行うが、多少煩雑であり、収率も低い。同様の方法は、WO 93/08829(1993年5 月13日公開)および Traunecker ら、EMBO 10:3655-3659(1991)に開示されてい る。 より好ましい別の方法によれば、所望の結合特異性を有する抗体可変部(抗体 −抗原結合部位)を、免疫グロブリン定常部配列に融合させる。融合体は、好ま しくは、免疫グロブリン重鎖定常部を有し、ヒンジ部、CH2およびCH3領域 の少なくとも一部を含む。融合体の少なくとも一つに存在する、軽鎖結合に必要 な部位を含む第一重鎖定常部(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリ ン重鎖融合体および所望により免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAを別々の 発現ベクターに挿入し、適する宿主生物に同時トランスフェクションする。こう すると、構築に使用される3個のポリペプチド鎖の比が等しくないことにより最 適の収率が得られる態様では、3個のポリペプチド断片の相互の比の調整におけ る柔軟性が大きくなる。しかし、比が等しい少なくとも2個のポリペプチド鎖の 発現により高い収率が得られる場合、または比が特に重要ではない場合は、一つ の発現ベクターに2個または3個全てのポリペプチド鎖のコード配列を挿入する ことが可能である。この方法の好ましい態様では、二重特異的抗体は、一方のア ームの第一の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖、および他方 のアームのハイブリッド免疫グロブリン重鎖−軽鎖対(第二の結合特異性を付与 する)から構成される。この非対称構造は、二重特異的分子の半分のみに免疫グ ロブリン軽鎖が存在すると分離が容易になるので、望ましくない免疫グロブリン 鎖の組み合わせからの所望の二重特異的化合物の分離を容易にすることが分かっ た。この方法は、WO 94/04690(1994年3月3日公開)に開示されている。二重 特異的抗体の作製のさらに詳細については、例えば、Sureshら、Methods in Enz ymology 121:210(1986)を参照。 E.ヘテロコンジュゲート抗体 ヘテロコンジュゲート抗体も本発明の範囲内である。ヘテロコンジュゲート抗 体は、二つの共有結合的に結合した抗体で構成される。そのような抗体は、例え ば、望ましくない細胞に対する免疫系細胞を標的とすること(米国特許 No.4,6 76,980)およびHIV感染の治療(WO 91/00360、WO 92/200373およびEP 03089 )に対して提案されている。ヘテロコンジュゲート抗体は、通常の架橋法を使用 して作ることができる。適する架橋剤は周知であり、多数の架橋法とともに米国 特許 No..4,676,980に開示されている。 5. Htk リガンド抗体の用途 Htk抗体は、Htkリガンドの活性(例えば、乳癌の発生における)をブロックす るために治療的適応において有用であると考えられる。 治療用の Htkリガンド抗体組成物および投与形態は、Htkリガンドに関して上 記したものと同じである。抗体の典型的な一日の用量は、約 1μg/kg〜5 mg/kg の範囲であり、Htkリガンド投与について上述した諸要因に依存する。 Htkリガンド抗体は、Htk リガンドの診断アッセイ、例えば、特定の細胞、組 織または血清におけるその発現の検出においても有用であると考えられる。抗体 は、上述した Htkリガンドと同様の方法で標識し、および/または不溶マトリッ クス上に固定化される。Htkリガンド抗体はまた、組換え細胞培養または天然源 からの Htkリガンドのアフィニティー精製に対しても有用である。他のタンパク 質との検出可能な交差反応がない Htkリガンド抗体を使用すると、Htkリガンド をこれらの他の公知タンパク質から精製することができる。Htkリガンドおよび その抗体に適する診断アッセイは、上記した通りである。 III.実験 以下は、本発明を行うための特定の態様の実施例である。下記実施例は、説明 の目的に対してのみ提供するものであり、本発明の範囲を決して限定するもので はない。 ここで引用する刊行物、特許および特許出願は全て、前出または下記のいずれ も、その全文を参考として本明細書に組み入れる。実施例1 Htk リガンドを同定するための可溶性 Htk受容体−Fc融合タンパク質の産生 Htkリガンドを同定し、最終的にクローン化するために、Htk受容体の細胞外ド メイン(ECD)がヒトIgG1 Fcに融合して成る融合タンパク質を構成する。 融合タンパク質の産生法に関しては、Bennett ら、(前出)を参照。 Htk受容体−Fc融合体を使用して、前述したFACS分析により、一連の腎臓 細胞系を、Htk受容体の細胞外ドメインに結合する能力に対してスクリーニング する。Urdal ら、J.Biol.Chem.263:2870-2877(1988);および Gearingら、EMB O J.,8:3667-3676(1989)参照。融合タンパク質を特異的に結合するどの細胞 系も、Htkリガンドの膜結合供給源を示す。約 15 種類の腎臓細胞系のスクリー ニングにより、SV4OMES 13と名付けられた一つのマウス腎臓糸球体間質細胞系へ の特異的結合が認められる。SV40MES 13細胞系は、Htk−Fc結合に対して陽性で あり、他の Fc 融合タンパク質に対しては陽性でないことが示される。 結合競合実験を以下のように行う。SV40MES 13細胞(5 x 106細胞/ウェル) を、可変量の未標識 Htk−Fcの存在下で、125I−Htk−Fcの定常状態の結合をア ッセイする。細胞は、1 nMまたは 0.2nM の125I−Htk−Fcおよび種々の濃度の 未標識 Htk−Fc(10 pm〜 1μM)とともに4℃で2時間、インキュベートする。細 胞および未結合の125I−標識 Htk−Fcを、以前に記載された(Lee ら、 J.Biol.Chem.267:16283-16287(1992))ショ糖クッションによる遠心分離によ り分離する。Munsonおよび Rodbard,Anal.Biochem.107:220-239(1980)に記 載されているように、結合データを分析して親和性および1細胞あたりの部位数 を求める。Htk−Fc融合タンパク質を、Urdalら、J.Biol.Chem.263:2870-2877 (1988)に記載のラクトペルオキシダーゼ法によりヨウ素化する。SV40MES 13に 結合する融合タンパク質の Kdは3 nM であり、部位数は細胞1個につき約 6,500 である(図5A)。SV40MES 13細胞系由来のならし培地は、Htk受容体のチロシ ン自動リン酸化を活性化することができない。これは、膜結合リガンドの概念を 支持するものである。 実施例2マウス Htkリガンドのクローン化 Htk受容体−Fcタンパク質を使用して、以下のように、COS-7 細胞に一時的に トランスフェクションした SV40MES 13 cDNAライブラリーから Htkリガンド をクローン化する。SV40MES 13細胞系由来のcDNA発現ライブラリーは、プラ スミドベクター pRK5Bにおいて構築する(Holmesら、Science 253:1278-1280(1 991))。各々約 2000 のcDNAを有する 50 のプールを最初に COS-7細胞にト ランスフェクションし、細胞を、Gearing ら、EMBO J.8:3667-3676(1989)に記 載されているように、スライドオートラジオグラフィーを使用して、Htk受容体 −Fc結合能についてスクリーニングする。この最初のスクリーニングから5つの 陽性プールが得られ、これらのプールのうち2つを、個々のクローンが得られる まで引き続きスクリーニングを繰り返すことにより、徐々に細分する。 陽性クローンの一つ(#7)(マウス pRK5B-Htkリガンドと命名)を使用して 結合競合実験を行う。特に、結合競合曲線は、クローン#7で一時的にトランス フェクションしたCOS-7 細胞の単層(ウェル毎に 5 x 105細胞)を使用し、DE AEデキストラントランスフェクション法(McMahan ら、EMBO J.10:2821-2830( 1991))を使用して、SV40MES 13に関して上述したように作成する。 結合点毎に 2.5 x 104細胞で使用したトランスフェクションしたCOS-7 細胞(C OS-7t)の125I−Htk−Fcの定常状態結合を、上述したように、可変量の未 標識 Htk-Fc の存在下でアッセイする。トランスフェクションしたCOS-7 細胞に 結合する Htk−Fcは、500 pmの Kdを示し(図5B)、これは、クローン#7が マウス Htkリガンドであることを示す。 マウス HtkリガンドのDNA配列および推定されるアミノ酸配列を図1A〜B に示す。シグナルペプチド切断後のタンパク質の予測分子量は 34 kDであり、推 定pIは 8.9である。 #7クローンから誘導される配列を、同一のコード配列を示す 4700 bpの別の 独立したクローンの配列決定により確認する。DNA配列決定は、自動 Applied Biosystems DNA配列決定装置 373A 型により、ABI Taq Dye デオキシターミ ネーターサイクルシークエンシングキットを使用して行う。個々のクローンの両 鎖をそのまま配列決定する。 Htkリガンドと B61(Bartley ら、前出、および Holzmanら、前出)との配列 を比較すると、分子間で 23 % の類似性を示す。しかし、B61 は、膜貫通ドメイ ンを含まない。にもかかわらず、相同性の程度は、Htkリガンドおよび B61が、 受容体チロシンキナーゼの EPH/ELKファミリーの種々のメンバーに結合する、構 造的に類似したファミリーのメンバーであり得ることを示唆するものである。 実施例3Htk リガンドの組織分布 成熟マウス組織、成人組織およびヒト胎児組織における Htkリガンドの有無を 検出するために、ノーザンブロット分析を行う。特に、成熟マウス、成人および ヒト胎児の組織に由来する 2μg/レーンのポリA−選択RNAを含むノーザンブ ロットは、Clonetech(Palo Alto,CA)から得られる。マウスのブロットは、42 ℃、50 %ホルムアミド中で32P標識したマウス HtkリガンドcDNAにハイブリ ダイズし、ストリンジェント条件下で洗浄する(最終洗浄:0.2 x SSC、0.2 %SD S(60℃))。ヒト組織ブロットは、42℃、35 %ホルムアミド中でハイブリダイ ズし、上述したようにストリンジェント条件下で洗浄する。 成熟および胎児組織におけるマウスおよびヒト HtkリガンドメッセンジャーR NAのノーザン分析は、約 5.2 kb にただ一つの転写物を示し、これは、広範な 組織発現を示す。特に、Htkリガンドは、成熟マウスの肺、脳、心臓および腎臓 では多量に存在し、脾臓、肝臓、骨格筋および精巣では少量存在する。該リガン ドは、成人の心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、膵臓、脾臓、胸腺、前 立腺、精巣、卵巣、小腸および結腸に存在するが、末梢血液の白血球においては 、ノーザン分析により検出できない。最後に、ヒト胎児の脳、肺および腎臓組織 では、転写物が最も高い量で検出でき、ヒト胎児の肝臓組織での検出は少量であ る。 in situ ハイブリダイゼーションも行って、HtkリガンドDNA発現を検出す る。マウスの胚(13日目の胚)または生後1日目のマウスもしくは成熟マウスの 脳を、次のように、in situ ハイブリダイゼーション用に調製する。新しく切開 した脳または胚を 4 %のホルムアルデヒドで固定して凍結し、クリオスタットに より切片を作製する。切片を解凍してスライドに載せ、風乾して、−70℃で保存 する。発表された方法(Phillipsら、Science 250:290-294(1990))の改良によ り、ハイブリダイゼーションを32P標識したリボプローブを用いて行う。図1A 〜Bのマウス HtkリガンドDNA配列のヌクレオチド 1597 〜 2198 に対応する センス(対照)およびアンチセンスcRNAプローブをハイブリダイゼーション に使用する。 ハイブリダイゼーションを行う日に、切片を室温に戻し、1 % グルタルアルデ ヒド/0.1 M リン酸塩(pH 7.2)が添加された、または未添加の4 % ホルムア ルデヒド中で10〜30分間固定し、洗浄して、42℃で 1〜3 時間、ハイブリダイゼ ーション緩衝液中でインキュベートする。ハイブリダイゼーション緩衝液は、50 % ホルムアミド、0.1 M のNaCl、20 mM のトリスHCl(pH 8.0)、1 x Denhardt溶液、10 %デキストラン硫酸、10mM DTTから成る。プローブをキャ リアRNAの存在下で3分間、95℃に加熱し、その後直ちに4℃に冷却する。次 いで、プローブを 6.5 x 106cpm/ml の最終濃度で各スライド上のハイブリダイ ゼーション緩衝液に添加し、55℃で一夜ハイブリダイゼーションを行う。ハイブ リダイゼーションの後、切片を次のように処理する。すなわち、2 x SSC で2回 洗浄し、RNAse A(20μg/ml)中で 30 分インキュベートし、2 x SSC で2 回洗浄し、0.1 x SSC 中、55℃で1時間インキュベートし、0.5 x SSC で2回洗 浄し、一連のエタノール溶液(0.3 M の酢酸アンモニウムを含む 60 %、75 %お よび 85 % エタノール、次いで、90 %および100 %エタノール)で脱水し、室温 で風乾する。次いで、切片を 1〜3 日間、シートフィルム(Beta-Max,Amersham )にさらした後、エマルジョン(Amersham LM-1)に浸し、4℃で 3〜8 週間さら す。フィルムおよびエマルジョンのオートラジオグラフを、標準的な写真現像液 および定着剤による処理を行って現像する。 シートフィルムのオートラジオグラフを、ライトボックス(light box)上での 視覚検査および立体顕微鏡の両方により調べる。エマルジョンのオートラジオグ ラフは、明視野および暗視野顕微鏡下で調べる。オートラジオグラムの観察によ り、アンチセンスプローブとハイブリダイズした切片上のいくつかの領域にハイ ブリダイゼーションシグナルが示され、センスプローブとハイブリダイズした対 照切片上には認められなかった。これらの領域としては、それらに限定されない が、海馬の CA1領域、大脳皮質(梨状皮質および entorhinal 皮質など)および 尾状被殻を含めた成人の前脳のいくつかの領域が挙げられる。小脳皮質にも目立 ったハイブリダイゼーションが観察される。隔壁、脳梁などの白質路、ならびに 多数の間脳、中脳および髄脳領域などの他の脳構造ではハイブリダイゼーション は、強度が弱いか、存在しない。胚では、強いハイブリダイゼーションが、発達 中の肺、消化管、肝臓、腎臓、唾液腺、椎骨、筋肉、嗅上皮、発達中の耳の上皮 、後根および三叉神経節の両方の内側、脳および脊髄の両方の髄膜ならびに脳お よび脊髄の両方の多数の領域内に認められる(が、これらに制限されない。)。 発達中の脳内では、発達中の前脳における発現が非常に強いが、主な全ての部分 (終脳、間脳、中脳、後脳および髄脳)で顕著なハイブリダイゼーションが認め られた。 実施例4Htk リガンドによる Htk受容体のチロシンリン酸化の誘導 Htkリガンドが Htkリン酸化を刺激するかどうかを調べ、上記したクローン# 7が実際に Htk受容体のリガンドをコードすることをさらに確認するために、以 下の実験を行う。 NIH 3T3 細胞を、全長の Htk受容体により安定にトランスフェクションする。 32 bp のリンカー配列、37 bp のpBluescript(Stratagene La Jolla,CA)ポリリ ンカーおよび 3969 bpの Htk受容体cDNA全体を含む 4038 bpの Cla1 − Xba 1 cDNA断片を、ラウス肉腫ウイルス LTRプロモーターのコントロール下にあ る発現ベクター pRIS(Genentech,Inc.)にサブクローン化する。10 % のFCSを 補充した、高グルコースのダルベッコ改良イーグル培地(DMEM)で維持した NIH 3T3 細胞を、Gormanら、DNA Prot.Engineer.Tech.2:3-10(1990)に記載 のリン酸カルシウム法によって、pRIS−Htk 受容体および pNeo(ネオマイシン 耐性マーカーを含む SV40 をベースとするベクター)により同時トランスフェク ションする。ネオマイシン耐性コロニーをトランスフェクションの 48 時間後に 、400 μg/mlの Geneticin(Gibco/BRL)により選択する。14日後、個々の耐性コ ロニーを単離し、増殖させ、ウサギのポリクローナル抗血清を使用して、Htk受 容体発現をフローサイトメトリーにより分析する。応答の特異性は、偽トランフ ェクションした 3T3細胞を使用して示す。 次いで、100 万個のトランフェクションを受けた 3T3細胞(3T3-T)またはトラ ンフェクションを受けていない 3T3細胞(3T3)を、1 x 106個のHtk リガンドを一 時的にトランフェクションさせた COS-7細胞(上記したDEAE−デキストラン 法を使用して上記で得たクローン#7でトランフェクションする)、偽トランフ ェクションした COS-7細胞、または 3 x 106個のSV40MES 13細胞とともに、37℃ で 30 分間、同時インキュベートする。トランフェクションした NIH 3T3細胞お よび偽トランフェクションした NIH 3T3細胞も、Htk受容体の自動リン酸化を誘 発することが知られている、ハイブリドーマ抗HpTK 5(ATCC受託番号 HB 11 ,583)によって産生されるモノクローナル抗ヒト Htk受容体抗体(IC2-C2)とと もにインキュベートする。 細胞を NP-40溶解緩衝液(1 % の NP-40、1 mMのEDTA、200 mMのNaCl 、50 mMのトリスHCl(pH 8.0)、2 mMのDMSF、2.5 mMのNa3VO4) に溶解し、以下のようにして作った抗ヒト Htkウサギポリクローナル血清により 免疫沈降させる。ポリクローナル抗体は、Bennettら(前出)に記載の可溶性 Ht k受容体−Fc融合タンパク質に対して、ニュージーランド白ウサギで生じさせる 。100 μlのPBS中の 4μg のタンパク質を、100 μl のフロイントアジュバ ン ト(一次注射に対しては完全アジュバント全追加免疫に対しては不完全アジュバ ント)によって乳化する。一次免疫および最初の追加免疫では、タンパク質を膝 窩リンパ節に直接注入する(Sigel ら、Methods Enzymol.93:3-12(1983))。その 後の追加免疫では、タンパク質を皮下および筋肉内に注入する。1.3 μg タンパ ク質/kg体重を3週間毎に注入し、各追加免疫の1および2週間後に採血する。 抗体の特異性は、1:200 の希釈度の前免疫血清または抗Htk 受容体−IgG Fc血清 を使用して、全長の Htk受容体またはベクターのみでトランスフェクションした NIH 3T3細胞のフローサイトメトリー分析により示す。 免疫沈降した細胞は、SDS−PAGE 4〜12 %勾配ゲル上で分析する。次い で、ゲルをニトロセルロースフィルターに移し、抗ホスホチロシン抗体 4G10(UB I,Lake Placid,New York)を使用してウェスタンブロット法を行った。クロー ン#7でトランスフェクションした COS-7細胞、SV40MES 13細胞、および IC2-C 2 抗体は、同時インキュベーションすると Htk受容体の自動リン酸化を誘導し、 これにより、Htkリガンドが Htkリン酸化を刺激し、クローン#7が Htkリガン ドをコードすることが認められる。 実施例5ヒト Htkリガンドのクローン化 ヒト Htkリガンドをクローン化するために、ヒト胎児脳のcDNAライブラリ ーを、Sambrookら(前出)に一般的に記載された方法を使用して作製する。ヒト 胎児肺のライブラリーは、Clonetech(Palo Alto,CA)から購入する。これらの ライブラリーを、Sambrookら(前出)に記載された方法を使用し、マウスcDN Aの5’端から得られる断片(すなわち、図1A〜Bの残基 515〜 2,312)をプ ローブとしてスクリーニングする。ヒト Htkリガンド遺伝子全体は、ヒト胎児脳 のライブラリーから単離された一つのクローンに存在することが認められる。ヒ ト Htkリガンドをコードする核酸を有するプラスミドは、受託番号 No.75,820と して 1994年6月24日付でATCCに寄託された。ヒトHtk リガンドのヌクレオ チドおよびアミノ酸配列は、図2に示す。その配列は、シグナルペプチド切断後 に 34 kDの予想される分子量を有するタンパク質をコードする。マウスおよびヒ トのリガンドは、アミノ酸レベルで 96%の配列同一性を示し、これは、種間の保 存度が高いことを示す。これは、ヒト Htk受容体とそのマウス相同体である myk -1との間の相同性(アミノ酸レベルで 91 % が同一である)と一致する。寄託 下記培養物は、ATCC(12301 Parklawn Drive,Rockville,MD,USA)に寄 託された。 これらの寄託は、特許手続上の微生物寄託の国際的承認に関するブダペスト条 約の条項およびそれに従う規則(ブダペスト条約)の下で行った。これは、寄託 日から 30 年間生きた培養物の保管を保証するものである。寄託物は、ブダペス ト条約の条件下、ATCCから入手可能となり、Genentech,Inc.とATCCと の間の協定により、関係する米国特許の発行または米国もしくは外国特許出願の 公開がなされると、どちらが先であっても、公衆に対して培養物の永久かつ無制 限の入手可能性が保証され、また、35 USC§122 およびそれに従う長官規則(37 CFR §1.14の特に 886 OG 638 を参照)に従って権利を与えられた、米国特許 商標局長官によって定められた人への培養物の入手可能性が保証される。 本出願の譲受人は、適切な条件下での培養で培養物が死滅または消滅または破 壊した場合、通知に対して速やかに同じ培養物の生きた試料と交換することに同 意した。寄託された菌株の入手可能性は、その国の特許法による政府の許可の下 で認められた権利に違反して発明を実施するためのライセンスと解釈すべきでは ない。 上記記載は、当業者が本発明を実施することができるのに十分であると考えら れる。寄託した態様は、本発明の一つの態様を単に例示したものであり、機能的 に同等である培養物は本発明の範囲内であるので、本発明は、寄託された培養物 によって範囲が限定されるものではない。本明細書における物質の寄託は、本明 細書に含まれる記載が、最良の実施態様を含む本発明のあらゆる態様を実施する のに不十分であることを認めるものではなく、また、請求の範囲が寄託によって 示される特定の例示に限定されると解釈されるべきではない。実際、本明細書に 示し、記載したこと以外の本発明の種々の変形は、上記記載から当業者には明ら かであり、添付する請求の範囲内である。
【手続補正書】 【提出日】1997年5月1日 【補正内容】 請求の範囲 1.(a)配列番号2の成熟マウスHtkリガンドのアミノ酸配列; (b)配列番号4の成熟ヒトHtkリガンドのアミノ酸配列; (c)(a)または(b)のアミノ酸配列以外の動物種由来の成熟Htkリガンドの天然 に存在するアミノ酸配列; (d)表1に規定した単一の好適な同類アミノ酸置換を有する(a)、(b)、(c)ま たは(d)の配列のアレリック変異型;および (e)表1に規定した単一の好適な同類アミノ酸置換を有する(a)、(b)、(c)、 または(d)の配列; よりなる群から選ばれるアミノ酸配列を含み、Htk受容体のリン酸化を引き起 こし、そして/またはHtk受容体に結合する、単離したタンパク質分子。 2.配列番号2の成熟マウスHtkリガンドのアミノ酸配列または配列番号4の成 熟ヒトHtkリガンドのアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離したタンパク 質分子。 3.(a)配列番号2のアミノ酸 28-227 である、成熟可溶性マウスHtkリガンドの アミノ酸配列; (b)配列番号4のアミノ酸 25-224 である、成熟可溶性ヒトHtkリガンドのア ミノ酸配列; (c)(a)または(b)のアミノ酸配列以外の動物種由来の成熟可溶性Htkリガンド の天然に存在するアミノ酸配列; (d)(a)、(b)、または(c)の配列のアレリック変異型;および (e)表1に規定した単一の好適な同類アミノ酸置換を有する(a)、(b)、(c)、 または(d)の配列; よりなる群から選ばれるアミノ酸配列を含み、かつHtk受容体に結合する、単 離した可溶性Htkリガンド。 4.成熟可溶性マウスHtkリガンドまたは成熟可溶性ヒトHtkリガンドのアミノ酸 配列を有する、請求項3に記載の可溶性Htkリガンド。 5.免疫グロブリン配列に融合された請求項3または請求項4の可溶性Htkリガ ンドをコードするアミノ酸配列を含んでなるキメラポリペプチド。 6.Htkリガンドの細胞外ドメイン配列と免疫グロブリンの定常部配列との融合 体からなる、請求項5に記載のキメラポリペプチド。 7.前記の定常部配列が免疫グロブリンの重鎖のものである、請求項6に記載の キメラポリペプチド。 8.エピトープタグポリペプチド配列に融合された請求項1〜4のいずれか1つ に記載の単離したタンパク質分子を含んでなるキメラポリペプチド。 9.請求項1〜8のいずれか1つに記載のタンパク質分子および製剤学的に許容 される担体を含んでなる組成物。 10.請求項1〜8のいずれか1つに記載のタンパク質分子をコードするヌクレオ チド配列を含む単離した核酸分子。 11.配列番号2の成熟マウスHtkリガンドのアミノ酸配列または配列番号4の成 熟ヒトHtkリガンドのアミノ酸配列をコードする、請求項10に記載の単離した核 酸分子。 12.(a)配列番号1に示した核酸配列の残基 242から1168、または配列番号3に 示した核酸配列の残基 104から1030; (b)遺伝暗号の縮重の範囲内で(a)の配列の1つに対応する配列;および (c)ストリンジェント条件下で(a)または(b)からの配列に相補的な配列とハ イブリダイズし、かつHtk受容体のリン酸化を引き起こすタンパク質分子をコー ドする配列; よりなる群から選ばれる核酸配列を有する、請求項10に記載の単離した核酸分 子。 13.成熟可溶性マウスHtkリガンドのアミノ酸配列または成熟可溶性ヒトHtkリガ ンドのアミノ酸配列をコードする、請求項10に記載の単離した核酸分子。 14.下記ベクターで形質転換された宿主細胞により認識される制御配列に機能的 に連結された、請求項10〜13のいずれか1つに記載の核酸分子を含んでなるベク ター。 15.請求項14のベクターを含有する宿主細胞。 16.請求項15の核酸分子を発現するようにトランスフェクトした宿主細胞を培養 し、そして宿主細胞培養物からHtk受容体のリン酸化を引き起こすタンパク質分 子を回収することを含んでなる、Htk受容体のリン酸化を引き起こすタンパク質 分子の調製方法。 17.Htk受容体の細胞外ドメインを請求項1〜8のいずれかIつに記載のHtkリガ ンドと接触させることを含んでなる、肝がん膜貫通キナーゼ受容体(Htk受容体) のチロシンキナーゼドメインを活性化する方法。 18.請求項1〜8のいずれか1つに記載のHtkリガンドと結合するモノクローナ ル抗体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C12N 15/02 9358−4B C12P 21/08 C12P 21/02 0276−2J G01N 33/577 B 21/08 9282−4B C12N 15/00 C G01N 33/577 9735−4B 5/00 B //(C12N 5/10 C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:91) (C12P 21/08 C12R 1:91)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.単離した肝がん膜貫通キナーゼ受容体リガンド(Htkリガンド)。 2.Htkリガンドが抗原的に活性である、請求項1に記載のHtkリガンド。 3.Htkリガンドが生物学的に活性である、請求項1に記載のHtkリガンド。 4.ヒトHtkリガンドからなる、請求項1に記載のHtkリガンド。 5.図1Aの位置28から336 に示したアミノ酸配列と少なくとも80% の配列同一性 を有するアミノ酸配列を含むタンパク質分子からなり、かつ生物学的に活性なHt kリガンドからなる、請求項1に記載のHtkリガンド。 6.図2の位置25から333 に示したアミノ酸配列と少なくとも80% の配列同一性 を有するアミノ酸配列を含むタンパク質分子からなり、かつ生物学的に活性なHt kリガンドからなる、請求項1に記載のHtkリガンド。 7.可溶性の肝がん膜貫通キナーゼ受容体リガンド(Htkリガンド)。 8.請求項1のHtkリガンドおよび製剤学的に許容される担体を含んでなる組成 物。 9.請求項7の可溶性Htkリガンドおよび製剤学的に許容される担体を含んでな る組成物。 10.請求項1のHtkリガンドをコードする単離した核酸分子。 11.(a)図1Aに示した核酸配列の残基242 から1168; (b)遺伝暗号の縮重の範囲内で(a)の配列に対応する配列;および (c)ストリンジェント条件下で(a)または(b)からの配列に相補的な配列とハ イブリダイズし、かつ生物活性Htkリガンドをコードする配列; よりなる群から選ばれる核酸配列を有する、請求項10に記載の単離した核酸分 子。 12.(a)図2に示した核酸配列の残基104 から1030; (b)遺伝暗号の縮重の範囲内で(a)の配列に対応する配列;および (c)ストリンジェント条件下で(a)または(b)からの配列に相補的な配列とハ イブリダイズし、かつ生物活性Htkリガンドをコードする配列; よりなる群から選ばれる核酸配列を有する、請求項10に記載の単離した核酸分 子。 13.請求項7のHtkリガンドをコードする単離した核酸分子。 14.下記ベクターで形質転換された宿主細胞により認識される制御配列に機能的 に連結された請求項10の核酸分子を含んでなるベクター。 15.請求項14のベクターを含む宿主細胞。 16.請求項10の核酸を発現するようにトランスフェクトした宿主細胞を培養し、 そして宿主細胞培養物からHtkリガンドを回収することを含んでなる、Htkリガン ドの調製方法。 17.免疫グロブリン配列に融合された肝がん膜貫通キナーゼ受容体リガンド(Htk リガンド)のアミノ酸配列からなるキメラポリペプチド。 18.Htkリガンドの細胞外ドメイン配列と免疫グロブリンの定常部配列との融合 体からなる、請求項17に記載のキメラポリペプチド。 19.前記の定常部配列が免疫グロブリンの重鎖のものである、請求項18に記載の キメラポリペプチド。 20.請求項17のキメラポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離し た核酸分子。 21.タグポリペプチド配列に融合された肝がん膜貫通キナーゼ受容体リガンド(H tkリガンド)のアミノ酸配列からなるキメラポリペプチド。 22.請求項21のキメラポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離し た核酸分子。 23.Htk受容体の細胞外ドメインを請求項1のHtkリガンドと接触させることを含 んでなる、肝がん膜貫通キナーゼ受容体(Htk受容体)のチロシンキナーゼドメイ ンを活性化する方法。 24.Htk受容体の細胞外ドメインを請求項7の可溶性Htkリガンドと接触させるこ とを含んでなる、肝がん膜貫通キナーゼ受容体(Htk受容体)のチロシンキナーゼ ドメインを活性化する方法。 25.請求項1のHtkリガンドに結合するモノクローナル抗体。
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