JP3503951B2 - チロシンリン酸化切断溝関連タンパク質(pstpip) - Google Patents

チロシンリン酸化切断溝関連タンパク質(pstpip)

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は、PEST型タンパク質リン酸ホスファターゼと
相互作用し、それによって脱リン酸化される新規なタン
パク質に関する。より特には、本発明は、タンパク質チ
ロシンホスファターゼ酵素PTP HSCFと相互作用し、アク
チンモノマーの重合化と関連するPSTPIPポリペプチドに
関する。
発明の背景 真核生物タンパク質におけるチロシン残基のリン酸化
は、数多くの真核生物細胞プロセスの調節において極端
に重要な役割を演じていることが示されている(Fantl
等,Annu.Rev.Biochem.62:453−481(1993)およびHunte
r,1001 Protein Kinases Redux Toward 2000 5:367−37
6(1994))。タンパク質チロシンキナーゼの機能に関
する非常にたくさんの情報が蓄積されている一方で、今
までのところタンパク質中のチロシン残基からリン酸塩
を除去する酵素であるタンパク質チロシンホスファター
ゼ(PTP)の生理学的な役割についてはほとんど理解さ
れていない。およそ50のPTPが今まで記載されている一
方で、ほんのわずかなものの機能が理解され始められて
いるのみである(Tonks,Semin.Cell Biol.4:373−453
(1993)およびDixon,Recent Prog.Horm.Res.51:405−1
4(1996))。しかしながら一般的に、PTPの多くは様々
なタンパク質チロシンキナーゼによって誘導される正ま
たは負のシグナルを調節するように機能すると思われ
る。それ故、PTPは数多くのおよび多様化した細胞プロ
セスにおいて重要な役割を演じているようである。
PTPのPESTファミリーは、ホスファターゼ酵素の群で
ある。これらの酵素の4つの周知の例、PTP PEST[Yang
等,J.Biol.Chem.268(23):17650(1993)]、PTP PEP
[Matthews等,Mol.Cell.Biol.12(5):2396−2405(19
92)]、PTP HSCF[Cheng等,Blood 88(4):1156−116
7(1996);1996年3月22日に査定されたUSSN 08/620,52
6];PTP−K1[Huang等,Oncogene 13:1567−1573(199
6)]、PTP20[Aoki等,J.Biol.Chem.271(46):29422−
29426(1996)]またはFLP1[Dosil等,Blood 88(12):
4510−4525(1996)]およびPTP BDP1(Kim等,Oncogene
13:2275−2279(1996))として周知なものは、全てN
末端ホスファターゼドメインを含み、それにプロリン、
セリンおよびトレオニン残基が豊富な様々なサイズの領
域が引き続くが、上記ドメインは他のタンパク質との明
確なホモロジーを有さない。PTPのPESTファミリーはま
た、タンパク質−タンパク質相互作用に関与していると
考えられる該タンパク質の最C末端で高く保存された20
アミノ酸長の長いプロリンリッチ領域を含む。細胞タイ
プ発現に関して、PTP PESTは遍在して発現され(Yang
等,(1993)上記参照)、PTP PEPはリンパ細胞で発現
され(Matthews等,(1992)上記参照)、PTP HSCFは造
血幹/始原細胞および胎児胸腺(Cheng等,(1996)上
記参照およびDosil等,(1996)上記参照)で発現さ
れ、同様に骨髄を含む部分的な成人組織でも発現され
(Huang等,(1996)上記参照)ならびにPTP BDP1は
能、同様に他の成人組織で低レベルで発現されている
(Kim等,(1996)上記参照)。
PEST PTPの生理学的機能に対する洞察は、これらの酵
素と相互作用するタンパク質、細胞分化に対する該タン
パク質の過剰発現の効果、および該分子の調節の考え得
る形態の調査から得られる。COS細胞へのPTP PESTのド
ミナントネガティブな形態のトランスフェクションは、
p130CASとして同定されている、SH3ドメイン、同様にい
くつかの潜在的チロシンリン酸化SH2結合部位を含む細
胞質ドッキング/アダプター型分子という、内因性過剰
リン酸化タンパク質を引き起こす(Garton等,Mol.Cell.
Biol.16(11):6408−6418(1996))。p130CASの機能
は、不完全にしか理解されていないが、病巣の接着と関
連しているようであり、p125FAK(Petch等,J.Cell.Sci.
108:1371−1379(1995))およびRAFTK(Astier等,J.Bi
ol.Chem.2725(1):228−232(1997))チロシンキナ
ーゼによってリン酸化され、そのことはインテグリン介
在性シグナル伝達において役割を演じていることを示唆
する。ドミナントネガティブPTP PESTはp130CASの脱リ
ン酸化を阻害するために、このリン酸タンパク質はこの
PTPの基質であるようである。
興味深いことに、細胞質アダプタータンパク質SHCのP
TBドメインが、C末端領域PTP PESTにおける非リン酸化
PTB関連結合部位と相互作用することが、最近示されて
いる(Charest等,J.Biol.Chem.271(14):8424−8429
(1996))。
さらに、最近のデータは、そのC末端阻害チロシンのリ
ン酸化によってSrcファミリーキナーゼを不活性化する
細胞質チロシンキナーゼであるCskが、Csk SH3ドメイン
と、該酵素のC末端領域における4つのプロリンリッチ
潜在的SH3結合部位の一つの間での相互作用を介してPEP
PTPと会合することが示されている。つまりこれらの結
果は、PTP PESTとPTP PEP(同様に他のPEST PTPも考え
得る)の生物学的活性が、様々な細胞表面レセプター由
来の情報の伝達に関与する必須の細胞質シグナリングタ
ンパク質との相互作用を通じて介在されることを示唆す
る。
しかしながら、PEST型タンパク質チロシンホスファタ
ーゼのメンバーと結合し、それらによって脱リン酸化さ
れるPSTPIPタンパク質が、これまで開示されていないと
考えられる。それ故、PEST型タンパク質チロシンホスフ
ァターゼのメンバーと結合し、それらによって脱リン酸
化され得るPSTPIPポリペプチドを提供することが、本発
明の目的である。
該ポリペプチドを組換えDNA法によって調製するため
の、PSTPIPポリペプチドをコードする核酸を提供するこ
とが本発明のさらなる目的である。
これらおよび他の目的は、本明細書を全体として考慮
することで、当業者に明らかであろう。
発明の概要 これらの目的は、一つの態様として、以下の群よりな
る単離されたPSTPIPを提供することによって成し遂げら
れる: (i)図1A(配列番号1)に示されたPSTPIPポリペプチ
ドのアミノ酸配列を含むポリペプチド; (ii)(i)のポリペプチドのさらなる哺乳動物ホモロ
ーグ; (iii)(i)または(ii)のポリペプチドをコードす
る核酸に緊縮条件下でハイブリダイズし、PEST型タンパ
ク質チロシンホスファターゼのメンバーに結合する能力
を実質的に維持している核酸によってコードされるポリ
ペプチド;および (iv)PEST型タンパク質チロシンホスファターゼのメン
バーに結合する能力を実質的に維持する(i)−(ii
i)のポリペプチドの何れかの機能的誘導体。
さらなる態様として、本発明は、上記記載されたPSTP
IPポリペプチドのアンタゴニストを提供する。
また他の態様として、本発明は、上記記載のPSTPIPポ
リペプチドをコードする単離された核酸配列、ベクター
を用いてトランスフォームされた宿主細胞によって認識
されるコントロール配列に実施可能に結合した該核酸配
列を含むベクター、および上記記載の核酸配列を含む宿
主細胞を提供する。
また他の態様として、本発明は、上記記載のPSTPIPポ
リペプチドに結合可能である抗体、および上記抗体を生
産するハイブリドーマ細胞系を提供する。一つの実施態
様として、該抗体はモノクローナル抗体である。
本発明はまた、上記記載のPSTPIPポリペプチドを生産
するための方法を提供し、該方法は、該ポリペプチドを
コードする核酸を使用して宿主細胞をトランスフォーム
し、トランスフォームされた細胞培養し、該細胞培養物
から該ポリペプチドを回収することを含む。
もう一つの実施態様として、本発明は、上記記載のPS
TPIPポリペプチドを真核動物細胞に導入することを含
む、上記細胞におけるアクチンモノマーの重合化を誘導
するための方法を提供する。
本発明はまた、上記記載のPSTPIPポリペプチドのアン
タゴニストおよびアゴニストを同定するためのアッセイ
を提供し、該アッセイは、候補のアンタゴニストまたは
アゴニストとPSTPIPポリペプチドを接触させ、アクチン
モノマーの重合化を誘導する該ポリペプチドの能力をモ
ニターすることを含む。
またもう一つの実施態様として、本発明は、以下のも
のを含むPSTホスファターゼ相互作用タンパク質(PSTPI
P)と相互作用することが可能なポリペプチドを同定す
るためのアッセイに関する: (a)転写アクチベーターのDNA結合ドメインに対する
天然のPSTPIP配列またはその断片の融合物、および転写
アクチベーターの活性化ドメインに対する候補のポリペ
プチドの融合物を含むポリペプチドをコードする核酸分
子を、レセプター遺伝子を有する単一の宿主細胞内で発
現させること;および (b)上記レセプター遺伝子によってコードされる分子
のシグナルを検出することによって、上記天然のPSTPIP
配列またはその断片との上記候補のポリペプチドの会合
をモニターすること。
さらに本発明は、天然のPSTホスファターゼ相互作用
タンパク質(PSTPIP)および天然のタンパク質チロシン
ホスファターゼ造血幹細胞分画(PTP HSCF)の相互作用
を阻害することが可能なペプチドを同定するためのアッ
セイに関し、該アッセイは、候補のペプチドと上記PSTP
IPおよびPIP HSCF、またはそれらの断片を接触させ、各
々と相互作用する該PTPPIPおよびPTP HSCF、またはそれ
らの断片の能力を検出することを含む。
図面の簡単な説明 図1A−1C。PSTPIPのタンパク質配列及び推定のドメイ
ン構造。A:ネズミPSTPIP(PSTPIP)(配列番号1)とS.
pombe cdc15(cdc15)(配列番号26)のタンパク質配列
の比較を説明する。星印は保存されたチロシン残基を説
明し、“+”は保存された潜在的SH3結合部位を示す。
予測されるコイルドコイルおよびSH3ドメインは、下線
が引かれている。B:PSTPIPのSH3ドメイン(pstpip.sh
3)(配列番号3)と、ミオシン重鎖(myosin.sh3)
(配列番号4)、スペクトリン(spectrin.sh3)(配列
番号5)、ホドリン(fodrin.sh3)(配列番号5)、造
血特異的タンパク質1(hsp.sh3)(配列番号6)およ
びコルタクチン(cortactin.sh3)(配列番号7)を含
む細胞骨格と相互作用することが周知のいくつかの異な
るタンパク質の配列比較。C:PSTPIPとcdc15pのドメイン
構造。塩基性および酸性残基が豊富な領域(+−+)、
保存されたチロシン残基(*)、保存された潜在的SH3
結合部位(+)および保存されたSH3ドメインを含む予
測されるコイルドコイル領域が説明されている。また、
予測されるPEST分解シグナルを含み、哺乳動物ホモロー
グから失われているS.pombeタンパク質中の大きな領域
が示されている。
図2A−2B。PSTPIP転写産物の発現のノーザンブロット
分析。A:心臓(レーンa)、脳(レーンb)、脾臓(レ
ーンc)、肺(レーンd)、肝臓(レーンe)、筋肉
(レーンf)、腎臓(レーンg)および精巣(レーン
h)におけるPSTPIPおよびアクチンの発現で、15日ネズ
ミ胚(レーンc)および17日ネズミ胚(レーンd)を示
す。
図3。PTP HSCFおよびGST−PSTPIPの間の相互作用。G
ST−p85(レーンa)、GST単独(レーンb)、GST−Src
(レーンc)、GST−Grb−2(レーンd)、GST−PSTPI
P(レーンe)、GST−Abl(レーンf)、GST−PLC(レ
ーンg)、抗PTP HSCFポリクローナル抗体(レーンh)
およびGST−スペクトリン(レーンi)を使用した、イ
ンビトロ転写および翻訳PTP−HSCFホスファターゼの沈
降が示されている。
図4A−4D。PTP HSCF上のPSTPIP相互作用部位のマッピ
ング。A:全長、インビトロ転写および翻訳のために使用
されたC末端ホモロジー(CTH)およびPSTリッチドメイ
ン欠失物を含むPTP HSCF構築物が示されている。B:GST
−PSTPIPまたは抗PTP HSCFポリクローナル抗体を使用し
たPTP HSCFのインビトロ転写および翻訳形態の沈降。レ
ーンは以下のように名付けられている:抗PTP HSCFを使
用した全長PTP HSCF(レーンa)、GST−PSTPIPを使用
した全長PTP HSCF(レーンb)、GST−PSTPIPを使用し
たPSTリッチ+CTH欠失PTP HSCF(レーンd)、GST−ス
ペクトリンを使用したPSTリッチ+CTH欠失PTP HSCF(レ
ーンe)、GST−スペクトリンを使用したCTH欠失PTP HS
CF(レーンf)、GST−PSTPIPを使用したCTH欠失PTP HS
CF(レーンg)、抗PTP HSCFを使用したCTH欠失PTP HSC
F(レーンh)、抗PTP HSCFを使用した全長PSTPIP(レ
ーンi)。C:抗PSTPIPポリクローナル抗体を使用したイ
ンビトロ転写および翻訳PSTPIPの沈降(レーンa)、10
μgのGST−PSTリッチ+CTH PTP HSCF(ホスファターゼ
のPSTリッチおよびCTHドメインを含むGST構築物)(レ
ーンb)、5μgのGST−PSTリッチ+CTH PTP HSCF(レ
ーンc)、2μgのGST−PSTリッチ+CTH PTP HSCF(レ
ーンd)または1μgのGST−PSTリッチ+CTH PTP HSCF
(レーンe)。D:PTP、HSCF、PESTおよびPSTのC末端ホ
モロジー領域由来のプロリンリッチペプチド、またはPT
P HSCF由来のコントロールプロリンリッチペプチドの増
大した量の存在下の、GST−PSTリッチ+CTH PTP HSCFを
使用した、インビトロ転写および翻訳PSTPIPの沈降。
図5A−5B。PSTPIP上のPTP HSCF相互作用部位のマッピ
ング。A:PSTPIPの全長、コイルドコイルおよびSH3ドメ
インを含むGST融合物が示されている。B:GST−全長PSTP
IP(レーンa)、抗ヘマグルチニン(PTP HSCFのN末端
でヘマグルチニンエピトープタグに対して向けられてい
る)(レーンb)、GST−Grb2(レーンc)、GST−スペ
クトリン(レーンd)、GST−全長PSTPIP(レーン
e)、GST−SH3 PSTPIP(レーンf)およびGST−コイル
ドコイルPSTPIP(レーンg)を使用した全長PTP HSCFの
沈降。
図6A−6F。PSTPIPのインビボチロシンリン酸化。A:PT
Pインヒビターペルバナジン酸塩の存在下および不存在
下での抗PSTPIPポリクローナル抗体を使用したBaf3細胞
由来の内因性PSTPIPの免疫沈降が説明されている。沈降
物をそれぞれ抗PSTPIP(αPSTPIP)または抗ホスホチロ
シン(αPTyr)抗体を使用してブロットした。ペルバナ
ジン酸塩の不存在下でのタンパク質はより拡散し、イン
ヒビターの存在下での該タンパク質より低いホスホチロ
シン含有量を示すことに注意すべきである。B:説明され
たようにトランスフェクトされた細胞上の示された抗体
を使用してなされた免疫沈降が示されている。C:C末端P
STPIP FLAGエピトープに対して向けられた抗FLAG抗体
(αFLAG)を使用した免疫沈降、および抗ホスホチロシ
ン抗体(αP−Tyr)を使用したブロッティング。D:抗F
LAG抗体(αFLAG)を使用したPSTPIPの免疫沈降、およ
び抗FLAG(αFLAG)を使用したブロッティング。チロシ
ンリン酸化PSTPIPを含むレーン中の可視的なタンパク質
の不存在は、FLAGエピトープ中のチロシンのリン酸化の
ためである。しかしながら、抗ホスホチロシンブロット
では、タンパク質は明白に可視的である。E:N末端ヘマ
グルチニンエピトープに対して向けられた抗HA抗体(α
HA)を使用したPTP HSCFの免疫沈降、および同じ抗体を
使用したブロッティング。F:PSTPIP(抗FLAGタグ化)の
沈降はPTP HSCF(抗HAタグ化)を引き起こし、PTP HSCF
(抗HAタグ化)の沈降はPSTPIP(抗FLAGタグ化)を引き
起こすことを示す共沈降実験を示す。
図7。3T3細胞中の内因性PSTPIPの局在化。抗PSTPIP
抗体(Cy3)およびファロイジン−FITC(パネルa−
d)を用いて染色した異なる焦点平面で可視的な3T3細
胞の2つの異なる群の共焦点像が示されている。共局在
化の部位は黄色に見え、それは皮膚性アクチン(c.
a.)、ラメリポディウム(lam.)および張線維(s.f.)
である。パネルe−gはより低い倍率を示し、中期細
胞、および同じ試薬を使用して染色したサイトカインを
受ける細胞のそれぞれ2つの高倍率分析を示す。中期細
胞は、この焦点平面での皮膚性のアクチン(c.a.)領域
で主に共局在を示す一方、サイトカインを受けた細胞
は、示された二つの焦点平面で切断溝(c.f.)で主に共
局在を示す。バーはミクロンでのサイズを示す。
図8。トランスフェクトされた3T3細胞におけるPSTPI
Pの発現。パネルaは、サイトメガロウイルスプロモー
ターのコントロールの下でPSTPIPのC末端FLAG版を含む
発現プラスミドを使用してトランスフェクトされた3T3
細胞の群を示す。細胞を、抗FLAG(Cy3)およびファロ
イジン−FITCを使用して染色した。PSTPIPは、皮膚領域
(c.a.)、張線維(s.f.)およびラメリポディウム(la
m.)でのアクチンと共局在する。パネルbおよびcは、
PSTPIPを発現する異常な形態を有する2つの細胞を説明
する。これらの糸状足構造は、長さにおいて100ミクロ
ンより大きいことに注意すべきである。パネルcはま
た、これらの細胞が通常の伸長した3T3細胞とは異なる
形態を有することを説明する。
図9。N末端切りつめは、PTP HSCFに結合するPSTPIP
の欠損を引き起こす。全長PSTPIP(Spencer等,J.Cell.B
iol.,138(4):845−860(1997))、およびN末端か
らの25(delta25)、50(delta50)および75(delta7
5)アミノ酸を失った形態を、インビボで転写および翻
訳した。上部のパネルは、PSTPIP C末端FLAGエピトープ
に対して向けられた抗体を使用したタンパク質の免疫沈
降を説明する。下部のパネルは、C末端プロリンリッチ
結合部位を含むPSP HSCFのC末端149アミノ酸を含むGST
融合タンパク質(Cheng等,Oncogene 13:2275−2279)を
使用して沈降された同じタンパク質を説明する。
図10。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞にお
いて発現されたPSTPIPの様々な形態の共焦点レーザース
キャニング顕微鏡。CHO細胞をPSTPIPの様々な形態を発
現するプラスミドを使用してトランスフェクトし、引き
続き該細胞をPSTPIP C末端FLAGエピトープに対して向け
られたローダミン接合モノクローナル抗体を使用して染
色した。細胞をFアクチンを説明するために、FITC接合
ファロイジンを使用してカウンター染色した。A:野生型
(全長)PSTPIP、B:N末端25アミノ酸を欠失したPSTPI
P、C:N末端50アミノ酸を欠失したPSTPIP、D:N末端75ア
ミノ酸を欠失したPSTPIP、E:トリプトファン232でアラ
ニン置換ミューテーションを有するPSTPIP。
図11。PSTPIPにおけるW232Aは、インビトロでのPTP H
SCF相互作用を破壊する。PSTPIPの野生型およびミュー
タント形態を、インビトロで転写し翻訳した。上部のパ
ネルは、PSTPIP C末端FLAGエピトープに対して向けられ
た抗体を用いた該タンパク質の免疫沈降を説明する。下
部のパネルは、C末端プロリンリッチ結合部位を含むPT
P HSCFのC末端149アミノ酸を含むGST融合タンパク質を
使用して沈降した同じタンパク質を説明する。W232Aミ
ューテーションは、PSTPIPとPST HSCFの間の相互作用を
破壊する一方で、WW型ドメイン(Chen等,J.Biol.Chem.2
72(27):17070−17077(1977))に見出されるものと
の相同性のため選択された他のミューテーションは、接
合に対する効果をほとんど有しない。
図12。PTP HSCFの野生型およびドミナントネガティブ
(「基質トラッピング」)形態を使用したW232Aミュー
タントPSTPIPのインビトロ分析。COS細胞トランスフェ
クションを、図の上部に示されたタンパク質をコードす
るプラスミドを使用して実施した。細胞溶解物を、抗FL
AG抗体(PSTPIPに対して特異的)、または抗HA抗体(PT
P HSCFに対して特異的)を使用して免疫沈降した。生成
ポリペプチドをSDSポリアクリルアミドゲル上に分離
し、これらのタンパク質上の修飾残基を検出するため
に、抗FLAG抗体(PSTPIPを検出するため)、抗HA抗体
(PTP HSCFを検出するため)および抗pY(抗ホスホチロ
シン抗体)を使用してプローブした。PSTPIPのW232Aミ
ュータントは、PTP HSCFを使用しても共沈降せず、PTP
HSCFのドミナントネガティブ(C−S)形態による「基
質トラップ化」(過剰リン酸化によって測定される)で
も共沈降しない一方で、該タンパク質の野生型形態(PS
TPIPwt)は沈降したPTP HSCFとの複合体中で見出され、
ドミナントネガティブ(C−S)PTP HSCFによって過剰
リン酸化される(「基質トラップ化」(Jia等,Science
268(5218):1754−1758(1985);Garton等,Mol.Cell.B
iol.16(11):6408−6418(1996);Flint等,Proc.Natl.
Acad.Sci.USA 94(5):1680−1685(1997);Spencer
等,(1997),上記参照)) 図13。C末端由来PTP HSCFペプチドのアラニンスキャ
ニングミュータジェネシス。示された位置のそれぞれで
のアラニンを使用したPTP HSCFのC末端から由来するペ
プチドを、インビトロで転写され翻訳されたPSTPIPと、
GST PTP HSCF融合タンパク質の間での相互作用を阻害す
る能力について分析した。相互作用の阻害は、GST融合
物に対する結合の欠失およびゲル上のシグナルの欠失を
引き起こす一方、減少した阻害活性を有するペプチド
は、ほとんど競合的ではなく、結合を許容する。この分
析に使用されたペプチド中のこのC末端領域の配列、PT
P HSCF(Cheng等,(1996),上記参照)、同様にPTP P
EST(GartonおよびTonks,EMBO J.13(16):3763−3771
(1994))およびPTP PEP(Matthews等,(1992),上
記参照)もまた説明されている。
図14。PTP HSCF.A/1.のC末端のミューテーションの
インビトロおよびインビボ分析。示された位置でのアラ
ニン置換を含むPTP HSCF構築物をインビトロで転写し翻
訳して、生成ミュータントタンパク質をそれぞれ1μg/
ml(上部パネル)または10μg/ml(第二のパネル)のGS
T PTPPIPを使用して沈降した。第三のパネルは、全ての
ミュータントが生産されていることを確かめるためのN
末端HAタグに対して向けられたモノクローナル抗体を使
用したインビトロ転写および翻訳PTP HSCFミュータント
の免疫沈降を説明する。GST PTPPIP融合タンパク質を使
用して沈降された複数のバンドは、明らかにPTPのC末
端タンパク質分解産物である。R444およびW450の両者を
アラニンにミューテートしたPTP HSCF(R+W)の二重
ミュータントで実施されたGST PSTPIP沈降(10μg/ml)
もまた示されている(下部パネル、図14A/2)。B:COS細
胞を、説明されたアラニン置換体、またはC末端24アミ
ノ酸について欠失されたPTP HSCFのミュータント(PTP
HSCFD24)およびC末端FLAGエピトープタグを有する野
生型PSTPIPのそれぞれを使用して、ヘマグルチニン(H
A)タブ化PTP HSCFをコードするプラスミドの10:1の割
合で共トランスフェクトした。トランスフェクトされた
細胞溶解物を、抗HAモノクローナル抗体を使用して免疫
沈降し、該沈降物をPTP HSCFの野生型または様々なミュ
ータント形態のそれぞれと複合体化したPSTPIPの相対的
量を検出するために、抗PSTPIPポリクローナル抗体を使
用してブロットした。溶解物をまた、抗HA抗体を使用し
て免疫沈降し、PTP HSCFの等しい発現を確認するために
同じ抗体を使用してブロットした。PSTPIPの等しい発現
を、抗FLAGモノクローナル抗体を使用した溶解物の免疫
沈降および抗PSTPIPポリクローナル抗体を使用したブロ
ッティングによって測定した。PTP HSCFD24およびPTP H
SCF444+450ミュータントの両者での共沈降の完全な欠
損に注意すべきである。
図15。W232A PSTPIPは、v−Srcの存在下でより効率
的にチロシンリン酸化する。野生型またはW232Aミュー
タントPSTPIPのそれぞれをコードする等量のプラスミド
を、v−Srcチロシンキナーゼをコードするプラスミド
の増大する量の存在下でCOS細胞内にトランスフェクト
した。PSTPIPを抗FLAG抗体を使用して免疫沈降し、PSTP
IPに対して向けられたポリクローナル抗体(上部パネ
ル)または抗ホスホチロシン抗体(下部パネル)のそれ
ぞれを使用してブロットした。上部パネルの密度分析に
より、PSTPIPの野生型またはW232Aミュータント形態の
間で得られたシグナルの〜10−15%の差異が明らかにさ
れた一方、下部パネルの密度分析は、加えられたv−Sr
cプラスミドの量に依存して、該タンパク質のミュータ
ント形態におけるホスホチロシンの2−3倍高いレベル
を示した。
発明の詳細な説明 A. 定義 「PSTPIPポリペプチド」、「PSTPIP」「PSTホスファ
ターゼ相互作用タンパク質」および「PST HSCF相互作用
タンパク質」なる用語は互換的に使用され、図1A(配列
番号1)に示されたPSTPIPポリペプチドのアミノ酸配
列、またはさらなるそれらの哺乳動物ホモローグを含む
ポリペプチドを指す。上記用語はまた、図1A(配列番号
2)に示されたPSTPIPポリペプチドのアミノ酸配列、ま
たはそのさらなる哺乳動物ホモローグ、同様に上記ポリ
ペプチドの何れかの機能的な誘導体を含むポリペプチド
をコードする核酸に対して、緊縮条件下でハイブリダイ
ズする核酸によってコードされる機能的なポリペプチド
を包含するために企図される。
「さらなる哺乳動物ホモローグ」またはその文法的な
同等体によって、図1A(配列番号1)に示されたPSTPIP
ポリペプチドと機能的に相同であるネズミ以外の哺乳動
物種由来のPSTPIPポリペプチドを意味する。上記PSTPIP
ホモローグは、例えばヒト、ウサギ、ラット、ブタ、非
ラット霊長類、ウマおよびヒツジといったような哺乳動
物において同定される。図1A(配列番号2)に示される
ネズミPSTPIPポリペプチドをコードする核酸から由来す
るプローブを使用して、これらの哺乳動物から調製され
たcDNAライブラリーをスクリーニングすることは、ヒト
ホモローグ(配列番号28および29)のような上記ホモロ
ーグの同定を許容するであろう。
この文脈における「天然PSTPIPポリペプチド」なる用
語は、天然のソースから単離された、合成された、組換
えDNA法によって生産された、またはこれらおよび/ま
たは他の方法の組み合わせによって生産されたものであ
れ、開始メチオニンを含むまたは含まない、いかなるヒ
トまたは非ヒト動物種の、上記記載の性質を有する天然
で生じるPSTPIPポリペプチドをも指す。天然のPSTPIPポ
リペプチドは特異的に、図1A(配列番号1)に示された
天然PSTPIPタンパク質、および天然ヒトPSTPIPタンパク
質(配列番号29)を含む。
ポリペプチドの「機能的誘導体」とは、天然のポリペ
プチドと共通の質的な生物学的活性を有する化合物とい
う。それ故、天然PSTPIPポリペプチドの機能的な誘導体
とは、例えばPEST型タンパク質チロシンホスファターゼ
ファミリーのメンバーに結合可能である、および/また
は少なくとも一つのリン酸化チロシン残基を有する場
合、PEST型タンパク質チロシンホスファターゼのメンバ
ーによって脱リン酸化される、および/またはアクチン
と会合するといった、天然のPSTPIPポリペプチドに共通
な質的な生物学的活性を有する化合物である。「機能的
な誘導体」には、それぞれの天然ポリペプチドに共通な
生物学的活性を有するという条件で、いかなる動物種
(ヒトを含む)由来の天然ポリペプチドの断片、天然
(ヒト及び非ヒト)ポリペプチドの誘導体またはその断
片、天然ポリペプチドのグリコシル化変異体、および天
然ポリペプチドのペプチド及び非ペプチド類似体が制限
されることなく含まれる。「断片」とは、成熟天然ポリ
ペプチドの配列内の領域を含む。「誘導体」なる用語
は、天然ポリペプチドのアミノ酸配列変異体(挿入、欠
失および置換されている)、および共有結合修飾を定義
するために使用される。「非ペプチド変異体」とは、天
然ポリペプチドのペプチド類似体と実質的に同じ表面を
提示する有機化合物である。それ故、本発明の天然PST
PIPポリペプチドの非ペプチド類似体とは、天然PSTPIP
のペプチド類似体と実質的に同じ表面を提示する有機化
合物である。上記化合物は、ペプチド類似体と同様な方
式で他の分子と相互作用し、本発明の天然PSTPIPの生物
学的活性を真似ている。本発明の天然PSTPIPのポリペプ
チド機能的誘導体は、図1A(配列番号1)に示されたPS
TPIPアミノ酸配列と、少なくとも65%、より好ましくは
少なくとも75%、さらにより好ましくは少なくとも85
%、最も好ましくは少なくとも95%の全体の配列ホモロ
ジーを有し、PEST型タンパク質チロシンホスファターゼ
のメンバーを結合する能力を実質的に維持している。
機能的誘導体の定義の文脈において「生物学的活性」
なる用語は、天然ポリペプチドに質的に共通な少なくと
も一つの生理学的機能の所有として定義される。本発明
の天然PSTPIPの機能的な誘導体は、PEST型タンパク質チ
ロシンホスファターゼのメンバーに結合するその質的能
力によって統一される。
「PEST型タンパク質チロシンホスファターゼ」なる語
によって、プロリン、セリンおよびトレオニン残基のリ
ッチな可変サイズ領域を含む非触媒ドメイン、およびプ
ロリン残基がリッチであり、少なくとも一つの潜在的SH
3結合ドメインと定義されるC末端20アミノ酸部分を有
するタンパク質チロシンホスファターゼ酵素を意味する
[Pawson,Nature 373:573−580(1995)]。PEST型タン
パク質チロシンホスファターゼファミリーの中には、タ
ンパク質チロシンホスファターゼPTP PEST[Yang等,
(1993)上記参照]、PTP PET[Matthews等,(1992)
上記参照]、PTP HSCF[Cheng等,(1996)上記参照];
PTP−K1[Huang等,(1993)上記参照]、PTP20[Aoki
等,(1996)上記参照]またはFLP1[Dosil等,(199
6)上記参照]として周知なもの、およびPTP BDP1[Kim
等,(1996)上記参照]が含まれる。
「アゴニスト」なる用語は、天然PSTPIPの少なくとも
一つの生物学的活性を維持するという条件で、本発明の
天然PSTPIPポリペプチドのペプチド及び非ペプチド類似
体、および天然PSTPIPを特異的に結合する抗体を指すた
めに使用される。好ましくは、本発明のアゴニストは、
PEST型タンパク質チロシンホスファターゼのメンバーに
結合する質的な能力、および/またはアクチンモノマー
の重合化を誘導する質的な能力を維持している。
「アンタゴニスト」なる用語は、本発明の天然PSTPIP
ポリペプチドの生物学的活性を阻害する分子を指すため
に使用される。好ましくは、ここでのアンタゴニスト
は、PEST型タンパク質チロシンホスファターゼ酵素のメ
ンバーに結合する、本発明のPSTPIPポリペプチドの能力
を阻害する。アンタゴニストは、アクチンモノマーの重
合化を誘導するPSTPIPポリペプチドの能力を阻害するこ
ともまた好ましい。
アゴニストおよびアンタゴニスト候補には、ペプチ
ド、タンパク質、有機分子等を含む様々な異なる化合物
が含まれる。例えば、組み合わせたオリゴヌクレオチド
ライブラリーを調製し、PSTPIPポリペプチドに結合す
る、またはPEST型タンパク質チロシンホスファターゼの
メンバーに対するPSTPIPポリペプチドの結合を妨げるメ
ンバーについて上記ライブラリーをスクリーニングする
ことは、当業者に周知である。
天然のポリペプチドおよびその機能的誘導体の観点で
「同一」または「ホモロジー」なる語は、配列を並べ、
もし必要であれば最大のパーセントホモロジーを達成す
るためにギャップを導入し、そして配列同一性の部分と
していかなる保存的置換をも考慮することなく、相当す
る天然のポリペプチドの残基と同一ある候補の配列中の
アミノ酸残基のパーセントとしてここで定義される。N
またはC末端伸長または挿入のいずれも、同一性または
ホモロジーを減少するものとして解釈されない。整列に
ついての方法およびコンピュータープログラムは本分野
で周知である。
一般的に、「アミノ酸」なる語は、全ての天然で生じ
るL−α−アミノ酸を指す。しかしながら、ある実施態
様として、D−アミノ酸が、構造的制限を容易にするた
めに本発明のポリペプチドまたはペプチド内に存在す
る。例えば、ジスルフィド結合形成および安定性を容易
にするために、Dアミノ酸システインが、本発明の天然
のPSTPIPポリペプチドのペプチド機能的誘導体またはペ
プチドアンタゴニストの一つまたは両末端に提供され
る。アミノ酸は、一文字または三文字表記にそれぞれに
よって示される: これらのアミン酸は、その側鎖の化学的組成および性
質にしたがって分類される。それらは、電荷および非電
荷の2つの群に広く分類される。これらの群のそれぞれ
は、より正確にアミノ酸を分類するためにサブグループ
に分割される。
I.電荷アミノ酸 酸性残基:アスパラギン酸、グルタミン酸 塩基性残基:リシン、アルギニン、ヒスチジン II.非電荷アミノ酸 親水性残基:セリン、トレオニン、アスパラギン、
グルタミン 脂肪族残基:グリシン、アラニン、バリン、ロイシ
ン、イソロイシン 非極性残基:システイン、メチオニン、プロリン 芳香族残基:フェニルアラニン、チロシン、トリプ
トファン 「アミノ酸配列変異体」なる語は、天然のアミノ酸配
列と比較してそのアミノ酸配列におけるいくつかの差異
を有する分子を指す。
置換変異体は、除去された天然配列中の少なくとも一
つのアミノ酸残基、および同じ位置でのその場所に挿入
された異なるアミノ酸を有するものである。置換は、唯
一の分子中のアミノ酸が置換されている場合、単一であ
り、二つ以上のアミノ酸が同じ分子中で置換されている
場合、複数である。
挿入された変異体は、天然配列中の特定の位置で一つ
のアミノ酸とすぐ近接した一つ以上のアミノ酸を有する
ものである。一つのアミノ酸にすぐ近接するということ
は、該アミノ酸のα−カルボキシまたはα−アミノ官能
基のそれぞれと結合していることを意味する。
欠失変異体は、天然アミノ酸配列中の一つ以上のアミ
ノ酸が除去されたものをいう。一般的に欠失変異体は、
該分子の特定の領域で欠失された一つまたは二つのアミ
ノ酸を有するであろう。
「抗体」(Ab)及び「イムノグロブリン」(Ig)と
は、同じ構造的性質を有する糖タンパク質である。抗体
が特異的な抗原に対する結合特異性を示す一方で、イム
ノグロブリンには抗体、及び抗原特異性を欠く他の抗体
様分子の両者が含まれる。後者の種類のポリペプチドは
例えば、リンパ系によって低レベルで、及びミエローマ
によって高レベルで生産される。
「天然の抗体」及び「天然のイムノグロブリン」は通
常、2の相同な系(L)鎖及び2の相同な重(H)鎖よ
り成る約150,000ドルトンの異種4量体糖タンパク質で
ある。各軽鎖は一つの共通ジスルフィド結合によって重
鎖に結合し、一方でジスルフィド結合の数は異なるイム
ノグロブリンアイソタイプの重鎖の間で変化する。重鎖
及び軽鎖のそれぞれはまた、規則的な感覚の鎖内ジスル
フィド結合を有する。各重鎖は、数多くの定常ドメイン
が引き続く一つの可変ドメイン(VH)を一端で有する。
各軽鎖は一端で一つの可変ドメインを有し(VL)、他の
一端で一つの定常ドメインを有する;軽鎖の定常ドメイ
ンは重鎖の第一の定常ドメインと並んでおり、軽鎖可変
ドメインは重鎖の可変ドメインと並んでいる。特定のア
ミノ酸残基が軽鎖と重鎖の可変ドメインの間で界面を形
成していると考えられる(Clothia等,J.Mol.Biol.186:6
51−663(1985)並びにNovotnyおよびHaber,Proc.Natl.
Acad.Sci.USA 82:4592−4596(1985))。
「可変」なる語は、可変ドメインの特定の部分が抗体
の間の配列において極端に異なるという事実をいい、そ
の特定の抗原に対する特定の抗体の結合及び特異性にお
いて用いられる。しかしながら該可変性は、抗体の可変
ドメインを通じて均等に配置しているわけではない。そ
れは、軽鎖及び重鎖可変ドメインの両者における相補性
決定領域(CDR)または超可変領域と呼ばれる3の部分
に集中している。可変ドメインの最も高く保存された部
分は、フレームワーク(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及
び軽鎖のそれぞれの可変ドメインは、主にβシート構造
を採用し、3のCDRによって連結される4のFR領域を含
み、該領域はループ連結を形成し、ある場合には一部β
シート構造を形成する。各鎖におけるCDRは、FR領域に
よって他の鎖由来のCDRと非常に近接して共に位置し、
抗体の抗原結合部位の形成に貢献している(Kabat et a
l.,Seqeunces of Proteins of Immunological Interes
t,National Institute of Health,Bethesda,MD(1991)
参照)。定常ドメインは抗原に対する抗体の結合には直
接関与していないが、抗体依存性細胞毒性における抗体
の沈降のような様々なエフェクター機能を示す。
抗体のパパイン切断は、「Fab」断片と呼ばれる2の
相同な抗原結合断片を生産し、それぞれは単一の抗原結
合部位と残余の「Fc」断片を有し、Fcの名前は容易に結
晶化するその能力を反映する。パパイン処理は、2の抗
原結合部位を有しまだ抗原を架橋可能なF(ab′)
片を生ずる。
「Fv」は、完全な抗原認識部位及び抗原結合部位を含
む最小の抗体断片である。この領域は、かたい非共有会
合において一つの重鎖及び一つの軽鎖可変ドメインのダ
イマーよりなる。それは、各可変ドメインの3のCDRがV
H−VLダイマーの表面上で抗原結合部位を決定するため
に相互作用する配置内に存在する。まとめていうと、6
のCDRが抗体に対して抗原結合特異性を与える。しかし
ながら、単一の可変ドメインでさえ(または抗原に対し
て特異的な3のみのCDRを含むFvの半分)、完全な結合
部位より低い親和性ではあるが、抗原を認識し結合する
能力を有する。
Fab断片もまた、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第一
の定常ドメイン(CH1)を含む。Fab断片は、抗体ヒンジ
領域由来の一つ以上のシステインを含む重鎖CH1ドメイ
ンのカルボキシ末端でいくつかの残基を加えることによ
って、Fab断片とは異なる。Fab′−SHは、定常ドメイン
のシステイン残基(類)が遊離チオール基を有するFa
b′に対するここでの記号である。(Fab′)抗体断片
は、もともとその間でヒンジシステインを有するFab′
断片のペアとして生産された。抗体断片の他の化学的結
合もまた周知である。
いかなる脊椎動物種由来の抗体(イムノグロブリン)
の「軽鎖」も、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づ
いて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2の明
らかに区別されるタイプの一つに分類されうる。
その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に依存して、
イムノグロブリンは異なるクラスに分類されうる。イム
ノグロブリンには5の主要なクラス:IgA,IgD,IgE,IgGお
よびIgMが存在し、これらのいくつかはさらにサブクラ
ス(アイソタイプ)に分割される、例えばIgG1,IgG2,Ig
G3,IgG4,IgA1及びIgA2。イムノグロブリンの異なるクラ
スに相当する重鎖定常ドメインはそれぞれα、δ、ε、
γ及びμと呼ばれる。イムノグロブリンの異なるクラス
のサブユニット構造及び三次元構造は、周知である。
「抗体」なる語は最広義で用いられ、単一のモノクロ
ーナル抗体(アゴニストおよびアンタゴニスト抗体を含
む)、ポリエピトープ特性を有する抗体組成物、同様に
抗体断片(例えばFab,F(ab′)及びFv断片)を、所
望の生物学的活性を示す範囲で含む。
ここにおいて使用される「モノクローナル抗体」なる
語は、実質的に均質な抗体、すなわち母集団を含むそれ
ぞれの抗体がわずかに存在してもよい天然に生じ得る変
異を除いて同等であるような母集団から得られる抗体を
指す。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一
の抗原性部位を指向する。更に、典型的には異なる決定
基(エピトープ)に向けられた異なる抗体を含む慣用の
(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノク
ローナル抗体は抗原上の単一の決定基に向けられてい
る。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は他
のイムノグロブリンで夾雑していないハイブリドーマ培
養物により合成される点においても有利である。「モノ
クローナル」なる修飾語は、実質的に均質な抗体の母集
団から得られ、いずれかの特定方法による産生を要求す
るものとも解されない抗体の特徴を示す。例えば、本発
明に従って使用されるべきモノクローナル抗体は、Kohl
er等,Nature 256:495(1975)により最初に記述された
ハイブリドーマ法により調製されてよく、あるいは組換
えDNA法(Cabilly等による米国特許第4,816,567号参
照)により調製されてもよい。
ここにおけるモノクローナル抗体は、特定的には「キ
メラ」抗体(イムノグロブリン)を含み、そのH及び/
またはL鎖の一部は特定の種から誘導された抗体の対応
する配列に同等、若しくは相同的であるか、または特定
の抗体種若しくは亜種に属するものであり、その一方で
鎖の残る部分は他の種から誘導された抗体の対応する配
列に同等、若しくは相同的であるか、または他の抗体種
若しくは亜種に属するものであり、加えて、それらが所
望の生物学的活性を示す限りこのような抗体の断片も含
む(Cabilly等,前出文献;Morrison等,Proc.Natl.Acad.
Sci.USA,81:6851−6855(1984))。
非ヒト(例えばネズミ)抗体の「ヒト化」形態は、非
ヒトイムノグロブリンから誘導された最小の配列を含む
キメライムノグロブリン、イムノグロブリン鎖、または
その断片(Fv、Fab、Fab′F(ab′)若しくは抗体の
他の抗原結合配列等)である。ほとんどの部分について
ヒト化抗体はヒトイムノグロブリン(受容抗体)であ
り、そのレセプターの相補性決定領域(CDR)の残基
は、所望の特異性、親和性、及び容量を持ったマウス、
ラットまたはウサギ等の非ヒト種(提供側抗体)のCDR
の残基により置換されている。ある例においては、ヒト
イムノグロブリンのFvフレームワーク領域(FR)は、対
応する非ヒト残基により置換されている。更に、ヒト化
抗体は、受容抗体にも、あるいは導入されるCDRまたは
フレームワーク配列にも見出されない残基を含んでもよ
い。これらの修飾は、抗体の性能を更に洗練させるかま
たは最適化させるために行われる。一般的に、ヒト化抗
体は実質的に全て、または少なくとも1つ、典型的には
2つの可変領域を有し、全てまたは実質的に全てのCDR
領域が非ヒトイムノグロブリンのものに対応し、また全
てまたは実質的に全てのFR領域がヒトイムノグロブリン
のものである。ヒト化抗体は、最適にはイムノグロブリ
ンの定常領域(Fc)、典型的にはヒトイムノグロブリン
のものの少なくとも一部をも含んでよい。更に詳細に
は、Jones等,Nature 321:522−525(1986);Reichmann
等,Nature 332:323−329(1988);1987年9月30日に印
刷されたEP−B−239 400;Presta,Curr.Op.Struct.Bio
l.2:593−596(1992);および1996年1月24日に印刷さ
れたEP−B−451 216参照。
本発明の文脈において、「細胞」、「細胞系」及び
「細胞カルチャー」なる表現は、可換的に使用され、全
てのこのような表記は子孫の細胞も含む。また全ての子
孫は、計画的または不慮の変異のためにDNA含量におい
て正確に同等である必要はないものと理解される。元の
形質転換細胞についてスクリーニングしたのと同様な機
能及び生物学的活性を有する変異子孫細胞が含まれる。
「複製可能発現ベクター」および「発現ベクター」な
る用語は、外来DNAの断片内に挿入された通常二本鎖のD
NAの断片を指す。外来DNAは、宿主細胞において通常見
出されないDNAである異種DNAとして定義される。該ベク
ターは、適切な宿主細胞内に外来または異種DNAを輸送
するために使用される。一度宿主細胞に入ると、該ベク
ターが宿主細胞染色体DNAと非独立に複製でき、該ベク
ターおよびその挿入された(外来)DNAのいくつかのコ
ピーが生産される。さらに、該ベクターは外来DNAをポ
リペプチドに翻訳することを許容する必要なエレメント
を含む。それ故、外来DNAによってコードされたポリペ
プチドの多くの分子は、急速に合成される。
「コントロール配列」なる表現は、特定の宿主中で機
能的に連結されたコード配列を発現するために必要なDN
A配列を指す。原核生物に好適な制御配列は、例えばプ
ロモータ、場合によりオペレータ配列、リボソーム結合
部位、および可能性としては他のまだほとんど理解され
ていない配列を含む。真核性細胞は、プロモータ、ポリ
アデニル化シグナル、及びエンハンサーを使用すること
が知られている。
核酸は、他の核酸配列と機能的に関連して配置される
場合に、「機能的に連結されている」。例えば、先行配
列または分泌リーダーのDNAは、それがポリペプチドの
分泌に関与する先行タンパク質として発現される場合に
ポリペプチドのDNAに機能的に連結され;またプロモー
タ若しくはエンハンサーは、それが配列の転写に影響す
る場合にコード配列に対して機能的に連結され;またリ
ボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するように位置
する場合にコード配列に機能的に連結されている。一般
的に、「機能的に連結」とは、DNA配列が連続し、分泌
リーダーの場合には連続かつ読み取りのフェーズ内に連
結されることを意味する。しかしながら、エンハンサー
は連続する必要はない。連結は、慣用の制限部位におい
ての連結により達成される。そのような部位が存在しな
い場合には、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたは
リンカーが慣用の方法により使用される。
「イムノアドヘシン」または「PSTPIPイムノアドヘシ
ンキメラ」とは、イムノグロブリン配列と結合タンパク
質の機能的ドメイン(類)(通常リセプター、細胞接着
分子またはリガンド)を組み合わせたキメラ抗体様分子
である。このタイプの融合タンパク質の最も一般的な例
として、特異的なリガンドを認識し結合するタンパク質
のドメインと、イムノグロブリン(Ig)のヒンジまたは
Fc領域を組み合わせる。このタイプの分子は、「免疫」
および「接着」機能を組み合わせるために、「イムノア
ドヘシン」と呼ばれる;他のしばしば使用される名前と
しては、「Ig−キメラ」、「Ig−」または「Fc融合タン
パク質」、あるいは「レセプター−グロブリン」であ
る。
「オリゴヌクレオチド」とは、1988年5月4日に印刷
されたEP 266,032に記載されたような固相法を使用し
て、またはFroehler等,Nucl.Acids Res.14:5399(198
6)によって記載されたようにデオキシヌクレオシドH
−ホスホナート中間体を介して、ホスホトリエステル、
ホスフィト、またはホスホルアミダイト化学のような周
知の方法によって化学的に合成された、短い長さの一本
鎖または二本鎖ポリデオキシヌクレオチドをいう。それ
からそれらはポリアクリルアミドゲル上で精製される。
ハイブリダイゼーションは好ましくは「緊縮条件」下
で実施され、その用語は、(1)例えば50℃で0.015塩
化ナトリウム/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%ドデシ
ル硫酸ナトリウムといった、低イオン強度および高温で
の洗浄を使用し、または(2)例えば42℃で0.1%ウシ
血清アルブミン/0.1%Ficol/0.1%ポリビニルピロリド
ン/750mM塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムを含
む50nMリン酸ナトリウム、pH6.5を含む50%(vol/vol)
ホルムアミドといった、ホルムアミドのような変性試薬
をハイブリダイゼーションの間に使用する。もう一つの
例としては、42℃で50%ホルムアミド、5×SSC(0.75M
NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナト
リウム(pH6/8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デ
ンハルト溶液、ソニケートされたサケ精子DNA(50μg/m
l)、0.1%SDS、および10%硫酸デキストランを使用
し、42℃で0.2×SSCおよび0.1%SDS中で洗浄する。また
もう一つの例は、55℃で10%硫酸デキストラン、2×SS
C(塩酸ナトリウム/クエン酸ナトリウム)および50%
ホルムアミドを使用してハイブリダイゼーションし、引
き続き55℃でEDTAを含む0.1×SSCより成る強緊縮洗浄を
実施する。
「トランスフォーメーション」なる語は、染色体がエ
レメントとしてまたは染色体挿入のいずれでも、DNAが
複製可能であるように生物内にDNAを導入することを意
味する。使用される宿主細胞に依存して、トランスフォ
ーメーションは、上記細胞に適した標準的な方法を使用
して実施される。Cohen,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 69:21
10(1972)およびMandel等,J.Mol.Biol.53:154(1970)
に記載された塩化カルシウムを使用したカルシウム処理
は、一般的に実質的に細胞壁障壁を含む原核生物または
他の細胞に対して使用される。上記脂肪壁を有しない哺
乳動物細胞については、Grahamおよびvan der Eb,Virol
ogy 52:456−457(1987)のリン酸カルシウム沈降法が
好ましい。哺乳動物細胞宿主系のトランスフォーメーシ
ョンの一般的な態様は、1983年8月16日に査定された米
国特許第4,399,216号にAxelによって記載されている。
酵母へのトランスフォーメーションは、Van Solingen
等,J.Bact.130:946(1977)およびHsiao等,Proc.Natl.A
cad.Sci USA 76:3829(1979)の方法にしたがって典型
的に実施される。しかしながら、核注入、エレクトロポ
レーションまたはプロトプラスト融合のような細胞内に
DNAを導入するための他の方法もまた使用される。
制限切断由来の所定のDNAの断片の「回収」または
「単離」とは、周知の分子量のマーカーDNA断片のもの
に対する移動度の比較による興味ある断片の同定、所望
の断片を含むゲル部分の摘出、DNAからのゲルの分離と
いった、電気泳動によるポリアクリルアミドまたはアガ
ロースゲル上での切断物の分離を意味する。この方法は
一般的に周知である。例えば、Lawn等,Nucleic Acids R
es.9:6103−6114(1981)およびGoeddel等,Nucleic Aci
ds Res.8:4057(1980)を参照。
「ライゲーション」とは、二つの二本鎖核酸断片の間
でホスホジエステル結合を形成する工程をいう(Maniat
is等,(1982)上記参照)。もし他に断り書きがなけれ
ば、ライゲーションは、ライゲートされるDNA断片のお
よそ等モル量の0.5mgに対して10ユニットのT4DNAリガー
ゼ(「リガーゼ」)を使用して、周知の方法および条件
で達成される。
トランスフォーマントからのDNAの「調製」は、微生
物培養物からプラスミドDNAを単離することを意味す
る。もし他に断り書きがなければ、Maniatis等,(198
2)上記参照のアルカリ/SDS法が使用される。
B. 組換えDNA法によるPSTPIPポリペプチドの生産 1. PSTPIPをコードする核酸の同定および単離 本発明の天然PSTPIPタンパク質をコードする核酸は、
cDNAまたはゲノムライブラリーから単離される。例え
ば、適切なcDNAライブラリーは、所望のPSTPIPタンパク
質を発現することが周知な細胞(例えばAmerican Type
Culture Collectionから入手可能なBaf3)からポリアデ
ニル化mRNAを得、該mRNAを二本鎖cDNAを合成するための
テンプレートとして使用することによって構築すること
ができる。本発明の天然PSTPIPをコードするmRNAは、例
えば、成人肺及び脾臓、同様に大変早期の7日のネズミ
胚由来の組織において発現される。本発明の新規なPSTP
IPポリペプチドをコードする遺伝子はまた、ヒトゲノム
コスミドライブラリー、またはネズミ由来胚細胞(ES)
ゲノムライブラリーのようなゲノムライブラリーからも
得ることができる。
それからcDNAであれゲノムであれライブラリーを、そ
れによってコードされる興味ある遺伝子またはタンパク
質を同定するためにデザインされたプローブを使用して
スクリーニングする。cDNA発現ライブラリーについて
は、適切なプローブにはPSTPIPポリペプチドを認識しそ
れに特異的に結合するモノクローナルおよびポリクロー
ナル抗体が含まれる。cDNAライブラリーについては、適
切なプローブには、同じまたは異なる種由来のPSTPIPポ
リペプチドの周知のまたは疑いのある部分をコードする
注意深く選択されたオリゴヌクレオチドプローブ(通常
約20−80ベースの長さ)、および/または同じまたは同
様な遺伝子をコードする相補的または相同cDNAまたはそ
の断片が含まれる。ゲノムDNAライブラリーをスクリー
ニングするための適切なプローブには、オリゴヌクレオ
チド、同じまたは相同な遺伝子をコードするcDNAまたは
その断片、および/または相同なゲノムDNAまたはその
断片が含まれる。選択されたプローブを使用したcDNAま
たはゲノムライブラリーをスクリーニングは、Sambrook
等,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,New York,
Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989の第10−12
章に記載された標準的な方法を使用して実施される。
もし、本発明のポリペプチドをコードするDNAが、様
々な組織由来のcDNAライブラリーをスクリーニングする
ために注意深く選択されたオリゴヌクレオチド配列によ
って単離されたならば、プローブとして選択されたオリ
ゴヌクレオチド配列は、偽のポジティブを最小化するの
に十分な長さで十分に明白である。現実のヌクレオチド
配列(類)は、最低のコドン縮重を有する領域に基づい
て通常デザインされる。該オリゴヌクレオチドは、一つ
以上の地位で縮重しているであろう。縮重したオリゴヌ
クレオチドの使用は、ライブラリーが好ましいコドンの
使用が未知である種からスクリーニングされた場合特に
重要である。
オリゴヌクレオチドは、スクリーニングされるライブ
ラリーにおいてDNAにハイブリダイズする場合検出でき
るようにラベルされていなければならない。ラベリング
の好ましい方法は、ATP(例えばγ32P)および該オリゴ
ヌクレオチドの5′末端をラジオラベルするためのポリ
ヌクレオチドキナーゼの使用である。しかしながら、ビ
オチン化または酵素ラベルを制限することなく含むオリ
ゴヌクレオチドをラベルするための方法も使用すること
ができる。
PSTPIPポリペプチドをコードするcDNAはまた、直接的
発現コローニング、または1987年7月28日に査定された
米国特許第4,683,195号、Sambrrok等,上記参照の第14
節、またはAusubel等,編,Current Protocols in Molec
ular Biology,Geene Publishing Associates and Wiley
−Interscience(1991)の第15章に記載されているよう
なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用することによる
ような、組換えDNA法の他の周知の方法によって同定お
よび単離可能である。
一度一種からPSTPIPポリペプチドをコードするcDNAが
単離されると、他種由来のcDNAは交種ハイブリダイゼー
ションによって得ることができる。このアプローチにし
たがって、ヒトまたは他の哺乳動物のcDNAまたはゲノム
ライブラリーが、周知の基準に従って周知のPSTPIP配列
から選択されたラベル化オリゴヌクレオチド配列によっ
てプローブされ、そのことは該配列が偽のポジティブを
最小化するのに十分な長さで十分に明白であることを示
す。典型的には、約30から50ベースを有する32Pラベル
化オリゴヌクレオチドが、特にもし該オリゴヌクレオチ
ドがメチオニンまたはトリプトファンに対する一つ以上
のコドンを含む場合十分である。単離された核酸は、核
酸のソース由来の他のポリペプチドをコードする混在し
た核酸から同定され分離されるDNAであろう。ハイブリ
ダイゼーションは好ましくは、個々で上記記載のような
「緊縮条件」下で実施される。
一度配列がわかると、特定のPSTPIPポリペプチドをコ
ードする遺伝子は、EngelsおよびUhlmann,Agnew.Chem.I
nt.Ed.Engl.28:716(1989)に記載された方法の一つに
したがって、化学的合成によっても得ることができる。
これらの方法には、トリエステル、ホスホロアミダイ
ト、およびH−ホスファナート法、PCRおよび他のオー
トプライマー法、および固相上でのオリゴヌクレオチド
合成が含まれる。
2. PSTPIPをコードする核酸のクローニングおよび発現 一度PSTPIPをコードする核酸が入手可能になると、一
般的にさらなるクローニング(DNAの増幅)または発現
のための複製可能発現ベクター内にライゲートされる。
発現およびクローニングベクターは本分野で周知であ
り、ベクターを一つ以上の選択された宿主細胞において
複製可能にする核酸配列を含む。適切なベクターの選択
は、1)それがDNA増幅またはDNA発現のいずれのために
使用されるものか、2)ベクター内に挿入されるDNAの
サイズ、および3)該ベクターを使用してトランスフォ
ームされる宿主細胞に依存するであろう。核ベクター
は、その機能(DNAの増幅またはDNAの発現)およびそれ
が適合可能である宿主細胞に依存して様々な構成要素を
含む。ベクター構成要素は一般的に、以下のものの一つ
以上を制限することなく含む:シグナル配列、複製オリ
ジン、一つ以上のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメ
ント、プロモーター、および転写終結配列。所望のコー
ドおよびコントロール配列という上記記載の構成要素の
一つ以上を含む適切なベクターの構築は、標準的なライ
ゲーション法を使用する。単離されたプラスミドまたは
DNA断片は、切断され、加工され、そして必要とされる
プラスミドを生産するために望ましい形態に再ライゲー
トされる。構築されたプラスミドにおける正確な配列を
確認するための分析として、ライゲーション混合物は、
例えば大腸菌K12株294(ATCC31,446)といった大腸菌細
胞をトランスフォームするために一般的に使用され、適
切であるかどうかアンピシリンまたはテトラサイクリン
耐性によって成功した形質転換体を選択する。該形質転
換体由来のプラスミドを調製し、制限エンドヌクレアー
ゼ切断によって分析し、および/またはMessing等,Nucl
eic Acids Res.9:309(1981)の方法、またはMaxam等,M
ethods in Enzymology 65:499(1980)の方法によって
シークエンスする。
本発明にポリペプチドは、様々な原核生物および真核
生物宿主細胞において発現される。適切な原核生物に
は、例えば大腸菌またはバチルスといったグラム陰性ま
たはグラム陽性生物が含まれる。好ましいクローニング
宿主は、大腸菌294(ATCC31,446)であるが、大腸菌
B、大腸菌X1776(ATCC31,537)、大腸菌W3110(ATCC2
7,325)、シュードモナス種、またはSerratia Marcesan
sのような他のグラム陰性またはグラム陽性原核生物が
適している。
原核性細胞に加えて、糸状菌または酵母等の真核性微
生物も、ここでのベクターの好適な宿主である。Saccha
romyces cerevisiaeまたは通常のベーカーズイースト
は、下等真核性宿主微生物の内では最も通常に使用され
ている。しかしながら、S.pombe(BeachおよびNurce,Na
ture 290:140(1981))、Kluyveromyces.lactis(Louv
encourt等,J.Bacteriol.737(1983));yarrowia(EP 4
02,226);Pichia pastoris(EP 183,070);Trichoderma
reesia(EP 244,234);Neurospora crassa(Case et a
l.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76:5259−5263(1979))
およびA.nidulans(Ballance et al.,Biochem.Biophys.
Res.Commun.112:284−289(1983);Tilburn et al.,Gen
e 26:205−221(1983);Yelton et al.,Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA 81:1470−1474(1984))及びA.niger(Kell
y et al.,EMBO J.4:475−479(1985))等のAspergillu
s宿主等、多くの他の属、種及び株が一般的に入手可能
であり、また有用である。
好適な宿主細胞はまた、多細胞生物から誘導される。
このような宿主細胞は、複雑な処理及びグリコシル化活
性が可能である。原理的には、脊椎動物または無脊椎動
物のいずれから誘導されようが、任意の高等真核性細胞
培養物が利用可能であるが、ヒトのような哺乳動物由来
の細胞が好ましい。無脊椎動物細胞の例は、植物及び昆
虫細胞である。多くのバキュロウイルス株及び変異体、
並びに対応する許容可能な昆虫宿主細胞が、Spodoptera
frugiperda(イモ虫)、Aedes aegypti(蚊)、Aedes
albopictus(蚊)、Drosophila melanogaster(ショウ
ジョウバエ)及びBombyx mori宿主細胞から同定されて
いる。例えば、Luckow et al.,Bio/Technology 6:47−5
5(1988);Miller et al.,in Genetic Engineering,Set
low et al.,eds.Vol.8(Plenum Publishing,1986),pp.
277−279;及びMaeda et al.,Nature 315:592−594(198
5)参照。例えばAutographa californixa NPVのL−1
変異体等のトランスフェクションのための多くのウイル
ス株が一般に入手可能であり、このようなウイルスは本
発明におけるウイルスとして特にSpodoptera frugiperd
a細胞のトランスフェクトのために使用され得る。
綿、トウモロコシ、ポテト、ダイズ、ペチュニア、ト
マト及びタバコの植物細胞培養物は、宿主として使用さ
れ得る。典型的には、植物細胞は、予めPSTPIP DNAを含
むように操作された細菌のある種の株、Agrobacterium
tumefaciensと共に培養することによりトランスフェク
トされる。植物細胞培養物とA.tumefaciensとの培養の
間に、PSTPIPポリペプチドをコードするDNAが植物細胞
宿主に移動し、それがトランスフェクトされて適当な条
件下でPSTPIP DNAを発現するであろう。加えて、ノパリ
ン合成酵素プロモーター及びポリアデニル化シグナル配
列等の植物細胞に適合性の調節及びシグナル配列も入手
可能である。Depicker et al.,J.Mol.Appl.Gen.1:561
(1982)。加えて、T−DNA 780遺伝子の上流領域から
単離されたDNA断片は、組換えDNA含有植物組織におい
て、植物が発現可能な遺伝子の転写レベルを活性化及び
増大させうる。1989年6月21日発行のEP 321,196。
しかしながら、最も興味あるのは脊椎動物細胞であ
り、培養物(組織培養物)中での脊椎動物細胞の増殖は
情報になっている。例えば、Tissue Culture,Academic
Press Kruse and Patterson,編(1973)参照。有用な哺
乳動物細胞系の例は、SV40により形質転換されたサル腎
臓CV1系(COS−7,ATCC CRL 1651);ヒト胚腎細胞系(2
93または懸濁培養中の生育についてサブクローンされた
293細胞、Graham et al.,J.Gen.Virol.36:59(197
7));仔ハムスター腎細胞9BHK,ATCC CCL 10);モル
モット卵巣細胞/−DHFR(CHO,Urlaub et al.,Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 77:4216(1980));マウスセルトリ細
胞(TM4,Mather,Biol.Reprod.23:243−251(1980));
サル腎細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル
腎細胞(VERO−76,ATCC CRL−1587);ヒト頸部腫瘍細
胞(HELA,ATCC CCL 2);イヌ腎細胞(MDCK,ATCC CCL 3
4);バッファローラット肝細胞(BRL 3A,ATCC CRL 144
2);ヒト肺細胞(W138,ATCC CCL 75);ヒト肝細胞(H
ep G2,HB 8065);マウス乳癌(MMT 060562,ATCC CCL 5
1);TRI細胞(Mather et al.,Annal.N.Y.Acad.Sci.383:
44−68(1982));MRC5細胞;FS4細胞;並びにヒト肝癌
系(Hep G2)である。好ましい宿主細胞は、ヒト胚腎29
3およびチャイニーズハムスター卵巣細胞である。
本発明の実施において特に有用な発現ベクターは、PS
TPIPポリペプチドをコードするDNAの哺乳動物細胞にお
ける一過的発現を提供する。一般的に、一過的発現に
は、宿主細胞が発現ベクターの多コピーを蓄積し、そし
て該発現ベクターによってコードされる所望のポリペプ
チドの高レベルを合成するような、宿主細胞において効
率的に複製可能である発現ベクターの使用が含まれる。
適切な発現ベクターおよび宿主細胞を含む一過的系は、
クローンDNAによってコードされるポリペプチドの簡便
なポジティブの同定を許容し、同様に所望の生物学的ま
たは生理学的性質についての上記ポリペプチドの急速な
スクリーニングを許容する。それ故、一過的発現系は、
PSTPIPポリペプチドの類似体および変異体を同定する目
的のために、本発明において特に有用である。
組換え脊椎動物細胞培養物におけるPSTPIPポリペプチ
ドの合成の適用に適した他の方法、ベクター、および宿
主細胞は、Getting等,Nature 293:620−625(1981);Ma
ntel等,Nature 281:40−46(1979);Levinson等;EP 11
7,058に記載されている。PSTPIPポリペプチドの哺乳動
物細胞培養物発現のための特に有用なプラスミドは、pR
K5(EP307,247)またはpSV16B(PCT出願番号WO91/0829
1)である。
様々な宿主細胞における本発明のPSTPIPポリペプチド
の発現に適した他のクローニングおよび発現ベクター
は、例えば1991年11月27日に印刷されたEP457,758に記
載されている。数多くの様々な発現ベクターが、現在商
業的に入手可能である。例示的な商業的な酵母発現ベク
ターは、pPIC.9(Invitrogen)であり、大腸菌細胞のト
ランスフォーメーションに適した商業的に入手可能な発
現ベクターはPET15b(Novagen)である。
C. 宿主細胞の培養 本発明のPSTPIPポリペプチドの生産に使用される原核
性細胞は、一般にSambrook et al.,前出文献に記述され
るように適当な培地中で培養される。
哺乳動物細胞は、様々な培地で培養することができ
る。商業的に入手可能な、例えばHam′s F10(Sigm
a)、最小必須培地((MEM),Sigma)、RPMI−1640(Si
gma)及び、ダルベッコ修飾イーグル培地((DMEM)、S
igma)が、宿主細胞の培養に好適である。加えて、Ham
およびWallance.,Meth.Enz.58:44(1979),Barnsおよび
Sato.,Anal.Biochem.102:255(1980),米国特許第4,76
7,704;4,657,866;4,927,762;または4,562,655;WO90/034
30;WO87/00195;及び米国再審査特許30,985に記述されて
いる何れかの培地も宿主細胞の培養培地として使用され
得る。これらのいずれの培地も、必要に応じてホルモン
類及び/または多の成長因子(インスリン、トランスフ
ェリン、または表皮成長因子等)、塩類(塩化ナトリウ
ム、カルシウム、マグネシウム及びリン酸等)、緩衝剤
(HEPES等)、ヌクレオシド(アデノシン及びチミジン
等)、抗生物質(ゲンタマイシンTM等)、微量元素(通
常マイクロモルの最終濃度で存在する無機化合物として
定義される)、並びにグルコースまたは他の同等なエネ
ルギー源が補充されてもよい。その他の必要な補充物
が、当業者に知られている適当な濃度をもって含まれて
もよい。温度、pH等の培養条件は、クローニングまたは
発現のために選択された宿主について従来使用されてい
るとおりで、当業者には明らかであろう。
この開示において引用される宿主細胞は、インビトロ
細胞培養物、並びに宿主動物または植物内にある細胞を
含む。
本発明のPSTPIPポリペプチドは、相同的組換え、また
は特定のPSTPIPポリペプチドをコードするDNAを既に含
む細胞内に導入されたコントロールエレメントを利用す
る組換え生産法を使用して生産されることは、さらに視
野に入っている。
D. 遺伝子増幅/発現の検出 遺伝子増幅及び/または発現は、試料中において例え
ば慣用のサザンブロッティング、mRNAの転写を定量する
ノーサンブロッティング(Thomas,Proc.Natl.Acad.Sci.
USA 77:5201−5205(1980))、ドットブロッティング
(DNA分析)、またはインサイツ・ハイブリダイゼーシ
ョンにより、ここに提供される配列に基づいた適当な標
識プローブを使用して直接に測定されうる。種々の標識
が使用され得、最も普通には放射性同位体、特に32Pで
ある。しかしながら、ポリヌクレオチドに導入するため
のビオチン修飾ヌクレオチドの使用等、他の技術も採用
されうる。次いでビオチンは、放射性核種、蛍光体、酵
素等の広範囲の種々の標識により標識されたアビジンま
たは抗体に対する結合部位として作用する。別法とし
て、DNA二重体、RNA二重体、DNA−RNAハイブリッド二重
体またはDNA−蛋白質二重体等の特定の二重体を認識す
る抗体が採用されうる。次いで抗体は、標識され、また
アッセイが実行され、ここにおいて二重体は表面に結合
され、該表面の二重体形成により該二重体に結合する抗
体が検出されうる。
別法として、遺伝子発現は組織断面の免疫組織化学的
染色、及び細胞培養物または体液のアッセイ等の免疫学
的方法により、遺伝子生成物の発現を直接に定量して測
定されうる。免疫組織化学的染色技術によれば、細胞試
料が典型的には脱水及び固定化により調製され、次いで
結合される遺伝子生成物に対して特異的な標識抗体が反
応に付され、ここにおいて標識は、一般に酵素標識、蛍
光標識、発光正標識等の目視検出可能なものである。本
発明に使用するために好適な特に高感度の染色技術は、
Hse et al.,Am.J.Clin.Path.75:734−738(1980)に記
述されている。
免疫組織化学的染色及び/または試料液体のアッセイ
のために有用な抗体は、モノクローナルまたはポリクロ
ーナルのいずれでもよく、いかなる動物においても調製
されうる。簡便には、該抗体は、天然PSTPIPポリペプチ
ドに対して、またはさらに以下に記載されるここで提供
されるDNA配列に基づいた合成ペプチドに対して調製さ
れる。
E. 天然PSTPIPポリペプチドのアミノ酸配列変異体 天然PSTPIPポリペプチドのアミノ酸配列変異体を、PS
TPIP DNA内へ適切なヌクレオチド変化を導入することに
よって、または所望のポリペプチドのインビトロ合成に
よって、本分野で周知の方法により調整する。アミノ酸
配列変異体の構築においては、二つの主要な変数が存在
する:ミューテーション部位の位置およびミューテーシ
ョンの性質である。PSTPIPをコードするDNA配列の操作
を必要としない天然で生じる対立遺伝子を除いて、PSTP
IPポリペプチドのアミノ酸配列変異体は、対立遺伝子に
到達するものであれ、天然で生じないアミノ酸配列に到
達するものであれ、DNAをミューテーションすることに
よって好ましくは構築される。
ミューテーションの一つの群は、本発明のポリペプチ
ドのN末端コイルドコイル領域内に作製されるであろ
う。この領域内の非保存的置換は、PTP HSCF(またはい
かなる他のPEST PTP)によって結合および/または脱リ
ン酸化される能力を失うPSTPIP変異体を引き起こす。ア
クチンと会合する能力を改変するようにミューテートさ
れたPSTPIP変異体は、例えばサイトカインのインデュー
サーまたはインヒビターとして有用であろう。
ネズミPSTPIP配列(配列番号1)において、コイルド
コイルドメインは、約30位のアミノ酸から約261位のア
ミノ酸にわたるように定義される(図1A参照)。しかし
ながら、より広い意味では、コイルドコイルドメイン
は、PSTPIPタンパク質のN末端で始まるように見受けら
れる。ミューテーション分析により、この領域に存在す
る6個のシステイン残基が、PSTPIPの正しいホールディ
ング及び機能に必須ではないことが明らかとなった。予
期していなかったことだが、ネズミ配列の232位のアミ
ノ酸のトリプトファン(W)残基は、PST HSCFを結合す
るために必須であることが見出された。このトリプトフ
ァン残基のアラニンへのミューテーションは、結合の完
全な喪失を引き起こした。したがって、生物学的活性を
維持するために、232位でのトリプトファンは維持され
なければならないが、他の芳香族アミノ酸、例えばチロ
シンおよびフェニルアラニンによる置換は、ある程度PS
T HSCFを結合する能力を維持する変異体を引き起こすで
あろう。逆に、PTP HSCFを結合しない変異体が必要であ
るならば、ネズミ配列の232位のトリプトファン、及び
ヒトを含む他の哺乳動物種由来のPSTPIPタンパク質にお
ける相当する残基は、置換のための主要なターゲットで
ある。
配列番号1の232位のトリプトファン残基がPTP HSCF
結合における重要な役割を演じている一方で、205位の
トリプトファン、221位のフェニルアラニン、および224
位のロイシンは必須ではなく、容易にミューテートされ
る。
代わりに、または加えて、アミノ酸改変は、達成すべ
き目的に依存して、様々な種由来のPSTPIPタンパク質に
おいて、または高く保存された領域において、異なる部
位を作製することができる。上記部位での位置は、例え
ば(1)保存された選択を使用した最初の置換、それか
ら達成する結果に依存したさらなる徹底的な選択を使用
した置換、(2)ターゲット残基の欠失、または(3)
位置された部位に隣接した同じまたは異なるクラスの残
基の挿入、あるいは1−3のケースの組み合わせといっ
た一連の修飾を典型的に受けるであろう。一つの役立つ
方法は、「アラニンスキャニング」と呼ばれるものであ
る(CunninghamおよびWells,Science 244,1081−1085
[1989])。
天然で生じるアミノ酸は、共通な側鎖の性質に基づい
て群に分けられる: (1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、il
e; (2)中性疎水性:cys、ser、thr; (3)酸性:asp、glu; (4)塩基性:asn、gln、his、lys、arg; (5)鎖の伸長に影響する残基:gly、pro;および (6)芳香族:trp、tyr、phe。
保存的置換には、一つの群の一つのメンバーを同じ群
のもう一つのメンバーと交換することが含まれる一方、
非保存的置換には、一つの群のメンバーをもう一つのこ
れらのクラスと交換することが含まれる。機能または免
疫学的同一性における実質的な変化は、より保存的でな
い置換を選択することによってなされる、すなわち
(a)例えばシートまたはヘリックス構造といった置換
の領域でのポリペプチド骨格の構造、(b)ターゲット
部位での分子の電荷または疎水性度、(c)側鎖の大き
さを持することにおける効果において有意に異なる。本
発明の新規な天然PSTPIPポリペプチドの性質における最
大の変化を生産することが一般的に期待される置換は、
(a)例えばセリルまたはスレオニルといった親水性残
基を、ロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バ
リルまたはアラニルといった疎水性残基に置換するこ
と;(b)システインまたはプロリンを他の残基に置換
すること;(c)例えばリシル、アルギニル、またはヒ
スチジルといった塩基性の側鎖を有する残基を、例えば
グルタミルまたはアスパラチルといった酸性の残基で置
換すること;あるいは例えばフェニルアラニンといった
大きな側鎖を有する残基を、例えばグリシンといった側
鎖を有しないものに置換することであろう。
アミノ酸欠失は一般的に、約1から30残基、より特に
は約1から10残基の範囲であり、典型的には連続してな
される。
実施例において議論される結果は、PSTPIPのN末端が
PTPHSCFを結合することが可能な正確にホールディング
されたタンパク質の形成に必要とされることを示す。し
たがって、構造的正確性および生物学的活性が維持され
るのであれば、N末端欠失は、ネズミPSTPIP配列の約25
アミノ酸、またはヒトまたは他の哺乳動物配列における
相当するアミノ酸より小さくわたっていないはずであ
る。PSTPIPタンパク質のC末端部分の存在は、あまり重
要ではない。コイルドコイルドメインは、該タンパク質
の正確なホールディングに重要であり、そのことはPSTP
IPのコイルドコイルドメインのトランスフェクション
が、皮層のアクチン細胞骨格およびラメリポディウムと
の該タンパク質の共局在化を引き起こすことを示すデー
タによって証明され、該現象は正確にホールディングさ
れたタンパク質に仮定的に必要とされる。上記注意し、
図1に示されるように、ネズミPSTPIP配列(配列番号
1)において、コイルドコイルドメインは約30位アミノ
酸から約261位アミノ酸にわたるものと定義されてい
る。同様な構造は、例えばヒトといった他の哺乳動物種
由来のPSTPIPにおいて容易に同定することができる。
アミノ酸挿入には、1残基から100以上の残基を含む
ポリペプチドの範囲の長さのアミノおよび/またはカル
ボキシ末端融合物が含まれ、同様に単一または複数のア
ミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。配列内挿入(すな
わちPSTPIPタンパク質アミノ酸内への挿入)は、約1か
ら10残基、より好ましくは1から5残基、さらにより好
ましくは1から3残基の範囲が一般的である。末端挿入
の例としては、N末端メチオニル残基を用いたPSTPIPポ
リペプチド、細菌組換え細胞培養物中の直接的な発現の
人工物、および組換え宿主細胞からの成熟PSTPIPの分泌
を容易にするためのPSTPIP分子のN末端に対する異種N
末端シグナル配列の融合物が含まれる。上記シグナル配
列は一般的に、企図された宿主種から得られ、それ故そ
れと同種である。適切な配列には、大腸菌についてSTII
またはIpp、酵母についてアルファファクター、哺乳動
物細胞についてヘルペスgDのようなウイルスシグナルが
含まれる。
天然のPSTPIP分子の他の挿入変異体には、例えばベー
タラクタマーゼまたは大腸菌trpローカスにコードされ
る酵素のような細菌ポリペプチド、または酵母タンパク
質といった免疫原性ポリペプチドに対するPSTPIP分子の
NまたなC末端の融合物、および1989年4月6日に印刷
されたWO89/02922に記載されているイムノグロブリン領
域(好ましくはイムノグロブリン定常領域)、アルブミ
ン、またはフェリチンのような長い半減期を有するタン
パク質とのC末端融合物が含まれる。
さらなる挿入変異体は、新規なPSTPIPポリペプチドの
免疫学的に活性な誘導体であり、それはPSTPIPポリペプ
チド、および免疫学的に競合的な外因性のポリペプチド
のエピトーピを含むポリペプチド、すなわち融合物が投
与され、または外因性ポリペプチドに対して生じた抗体
によって結合されることができる動物において免疫応答
を引き出すことが可能であるポリペプチドを含む。上記
面疫学的に競合的なポリペプチドの典型的な例として、
アレルゲン、自己免疫エピトープ、または他の潜在的な
免疫源、あるいはtrpLE、β−ガラクトシダーゼ、また
はヘルペスgDタンパク質のようなウイルスポリペプチド
等のような細菌ポリペプチドを含む融合物受容者におい
て抗体を前もって存在することによって認識される抗原
が挙げられる。
免疫原性融合物を、インビトロでの交差反応、または
免疫原性ポリペプチドをコードするDNAを使用してトラ
ンスフォームされた組換え細胞培養物によって生産す
る。免疫原性融合物は、、免疫原性配列がペプチド結合
によって新規なPSTPIP分子またはその断片に結合された
またはその中に挿入されたものであることが好ましい。
それ故これらの産物は、PSTPIPエピトープおよび少なく
とも一つのPSTPIPポリペプチドとは外来のエピトープを
含む直鎖状ポリペプチド鎖より成る。本発明のPSTPIP分
子またはその断片内のどこかに該エピトープを導入する
ことが、本発明の範囲内にあることは理解されよう。こ
れらの免疫原性挿入物は、製薬学的に許容可能なキャリ
アー内に処方され、PSTPIP分子に対する抗体を生産する
ために患者へ投与される場合に特に有用であり、次に該
抗体は、診断薬として、組織分類において、または本質
的に周知なイムノアフィニティー法によって新規なPSTP
IPポリペプチドの精製において有用である。代わりに、
本発明のPSTPIPポリペプチドの精製において、例えば抗
体、レセプターまたはリガンドといった融合された外因
性ポリペプチドに対する結合パートナーが、不純物を含
む混合物から該融合物を吸着するために使用され、その
後に融合物が溶出され、必要であれば、酵素学的な切断
によって、新規なPSTPIPが該融合物から回収される。
所望のミューテーションを同定した後、PSTPIP変異体
をコードする遺伝子は、例えば周知の方法を使用して化
学的合成によって得ることが可能である。より特には、
PSTPIPアミノ酸配列変異体をコードするDNAは、PSTPIP
の以前に調製された変異体または非変異体バージョンを
コードするDNAの部位特異的突然変異誘発によって調製
される。部位特異的突然変異誘発は、横切っているプラ
イマー結合部の両側で安定な二本鎖を形成するための十
分なサイズおよび配列複雑性を有するプライマー配列を
提供するために、所望のミューテーション、同様に十分
な数の隣接ヌクレオチドのDNA配列をコードする特異的
なオリゴヌクレオチド配列の使用を通じてPSTPIP変異体
の生産を許容する。典型的には、改変される配列の結合
部の両側の約5から10残基を有する約20から25ヌクレオ
チドの長さのプライマーが好ましい。一般的に、部位特
異的突然変異誘発の方法は、Edelman等,DNA 2:183(198
3)のような印刷物によって例示されているように、本
分野で周知である。予測されるであろうように、部位特
異的突然変異誘発の方法は典型的に、一本鎖および二本
鎖形態の両者で存在するファージベクターを使用する。
部位特異的突然変異誘発で有用である典型的なベクター
には、例えばMessing等,Third Cleveland Symposium on
Macromolecules and Recombinant DNA,A.Walton,編,Am
sterdam(1981)に開示されているようなM13ファージの
ようなベクターが含まれる。これおよび他のファージベ
クターは商業的に入手可能であり、その使用は当業者に
周知である。M13由来ベクターを使用したDNA断片におけ
る部位特異的突然変異誘発に向けたオリゴデオキシリボ
ヌクレオチドの構築についての万能で効率的な方法は、
Zoller等,Nucleic Acids Res.10:6487−6500[1982])
に印刷された。また、複製の一本鎖ファージオリジンを
含むプラスミドベクター(Veira等,Meth.Enzymol.153:3
[1987])は、一本鎖DNAを得るために使用される。代
わりに、ヌクレオチド置換をインビトロで適切なDNA断
片を合成するために導入し、本分野で周知のPCR法によ
ってそれを増幅する。
PCR法はまた、PSTPIPポリペプチドのアミノ酸配列変
異体を作製するために使用される。PCRミュータジェネ
シスの特異的な例として、テンプレートプラスミドDNA
(1μg)を、増幅される領域の外側のプラスミドDNA
における独特の制限部位を有する制限エンドヌクレアー
ゼを使用して切断することによって直線化する。この物
質の100ngを、4つのデオキシリボヌクレオチドを含むP
CRバッファーを含むPCR混合物に加え、GENEAMPRキット
(Perkin−Elmer Cetus,Norwalk,CT and Emeryvill,CA
から得られる)、および25ピコモルの各オリゴヌクレオ
チドプライマー内に、50μlの最終容量に含ませる。該
反応混合物を、35μlの鉱油を使用して層状にする。該
反応物を100℃で5分変性させ、一瞬氷上におき、それ
から1μlのThermus aquaticus(Taq)DNAポリメラー
ゼ((5ユニット/μl)Perkin−Elmer Cetus,Norwal
k,CT and Emeryville,CAから購入される)を、鉱油層の
下に加える。それから該反応混合物を、以下のようにプ
ログラムされたDNA Thermal Cycler(Perkin−Elmer Ce
tusから購入された)内に挿入する: 55℃、2分 72℃、30秒、それから以下の19サイクル: 94℃、30秒、 55℃、30秒、そして 72℃、30秒。
プログラムの最後に、反応バイアルをサーマルサイク
ラーから取り出し、水相を新しいバイアルに移し、フェ
ノール/クロロホルム(50:50vol)で抽出し、エタノー
ル沈降し、そしてDNAを標準的な方法で回収する。この
物質を、ベクターに挿入するための適切な処理に受けさ
せる。
変異体を調製するためのもう一つの方法であるカセッ
トミュータジェネシスは、Well等,Gene 34:315(1985)
に記載された方法に基づく。
さらに、ファージミドディスプレー法と呼ばれるもの
が、天然のまたは変異体PSTPIPポリペプチドまたはその
断片のアミノ酸配列変異体を作製するのに有用である。
この方法には、(a)ミューテートされるレセプターを
コードする第一の遺伝子、天然のまたは野生型ファージ
コートタンパク質の少なくとも一部分をコードする第二
の遺伝子で、その場合第一および第二の遺伝子は異種で
あり、そして第一および第二の遺伝子に機能的に連結し
た転写調節エレメントを含む複製可能発現ベクターを構
築し、それによって融合タンパク質をコードする遺伝子
融合物を形成し;(b)第一の遺伝子内の一つ以上の選
択された位置でベクターをミューテートし、それによっ
て関連するプラスミドのファミリーを形成し;(c)該
プラスミドを使用して適切な宿主細胞をトランスフォー
ムし;(d)ファージコートタンパク質をコードする遺
伝子を有するヘルパーファージを使用してトランスフォ
ームされた宿主細胞を感染し;(e)少なくとも該プラ
スミドの一部を含む、宿主をトランスフォーム可能であ
る組換えファージミド粒子を形成するために適した条件
下でトランスフォームされた感染宿主細胞を培養し、該
条件は、ファージミド粒子の少なからぬ量が、該粒子の
表面に融合タンパク質の一コピーより多くをディスプレ
ーするように調節し;(f)ファージミド粒子の少なく
とも一部が抗原を結合するように適切な抗原とファージ
ミド粒子を接触させ;そして(g)結合しないものから
結合するファージミド粒子を分離することを含む。工程
(d)から(g)を一度以上繰り返す。好ましくはこの
方法において、プラスミドは転写調節エレメントのコン
トロールの下におき、培養条件を該粒子の表面に融合タ
ンパク質の一つより多いコピーをディスプレーするファ
ージミド粒子の量または数が約1%より少なくなるよう
に調節する。また好ましくは、融合タンパク質の一コピ
ーより多くをディスプレーするファージミド粒子の量
は、融合タンパク質の単一コピーをディスプレーするフ
ァージミド粒子の量の10%より小さい。最も好ましく
は、該量は20%より小さい。典型的にこの方法において
は、発現ベクターはさらに、該ポリペプチドの各サブユ
ニットをコードするDNAに融合された分泌シグナル配列
を含み、該転写調節エレメントはプロモーター系であろ
う。好ましいプロモーター系は、lacZ、λPL、tac、T7
ポリメラーゼ、トリプトファン、およびアルカリホスフ
ァターゼプロモーター、並びにそれらの組み合わせを使
用するであろう。また通常該方法は、M13K07,M13R408,M
13−VCSおよびPhiX174から選択されるヘルパーファージ
を使用するであろう。好ましいヘルパーファージはM13K
07であり、好ましいコートタンパク質はM13ファージ遺
伝子IIIコートタンパク質である。好ましい宿主は、大
腸菌および大腸菌のプロテアーゼ欠損株である。
変異体PSTPIPの性質を前もって予測することはしばし
ば困難であるため、いくつかのスクリーニングが最適な
変異体を選択するために必要であろうことは予測されよ
う。
上記および同様なミュータジェネシス法のさらなる詳
細は、例えばSambrook等,上記参照およびCurrent Prot
ocols in Molecular Biology,Ausubel等,編,上記参照
のような一般的な教科書に見出される。
F. グリコシル化変異体 グリコシル化変異体は、本発明の範囲に含まれる。そ
れらには、グリコシル化を完全に欠失した変異体(非グ
リコシル化)、天然形態よりも少なくとも一つの少ない
グリコシル化部位を有する変異体、同様にグリコシル化
が変化している変異体が含まれる。脱グリコシル化及び
非グリコシル化アミノ酸配列変異体、脱グリコシル化及
び非グリコシル化天然PSTPIP、および他のグリコシル化
変異体が含まれる。例えば、置換または欠失ミュータジ
ェネシスが、本発明の天然または変異体PSTPIP分子にお
けるNまたはO結合グリコシル化部位を除去するために
使用され、例えばアスパラギン残基が欠失またはリシン
またはヒスチジンのようなもう一つの塩基性残基に置換
される。代わりに、グリコシル化認識部位を除去するこ
とによってグリコシル化を妨げるために、たとえアスパ
ラギン残基を変化させないのであっても、グリコシル化
部位を形成する隣の残基が置換または欠失される。
さらに、天然分子のグリコシル化部位を有する非グリ
コシル化PSTPIPポリペプチドを、原核生物はポリペプチ
ド内にグリコシル化を導入できないために、組換え原核
生物細胞培養物において生産する。
グリコシル化変異体は、適切な宿主細胞を選択するこ
とによって、またはインビトロの方法によって生産され
る。例えば酵母および昆虫細胞は、哺乳動物系のものと
は有意に変わっているグリコシル化を導入する。同様
に、PSTPIPポリペプチドのソースとは異なる種(例えば
ハムスター、ネズミ、ブタ、ウシまたはヒツジ)、また
は組織起源(例えば肺、肝、リンパ、間葉または表皮)
を有する哺乳動物細胞は、例えばマンノースの上昇した
レベルまたはマンノース、フコース、シアル酸、および
哺乳動物糖タンパク質において典型的に見出される他の
糖について特徴付けられるような変異体グリコシル化を
導入する能力について一般的にスクリーニングされる。
PSTPIPのインビトロでのプロセシングは、例えばノイラ
ミニダーゼ切断といった酵素的な加水分解によって典型
的に成し遂げられる。
G. PSTPIPポリペプチドの共有結合修飾 PSTPIPポリペプチドの共有結合修飾は、ここに範囲に
含まれる。上記修飾は、選択された部位または末端残基
と反応可能な有機誘導化試薬と、PSTPIPポリペプチドの
ターゲット化アミノ酸残基を反応することによって、ま
たは選択された組換え宿主細胞において機能する翻訳後
修飾のメカニズムを利用することによって、伝統的に導
入される。生成共有結合誘導体は、生物学的活性、PSTP
IPのイムノアッセイ、または組換え体のイムノアフィニ
ティー精製のための抗PSTPIP抗体の調製において重要で
ある残基の同定に向けたプログラムにおいて有用であ
る。例えば、ニンヒドリンとの反応の後の該タンパク質
の生物学的活性の完全な不活性化は、少なくとも一つの
アルギニルまたはリシル残基がその活性に重要であるこ
とを示唆し、その後、選択された条件下で修飾された個
々の残基を、修飾アミノ酸残基を含むペプチド断片の単
離によって同定する。上記修飾は当業者の範囲内にあ
り、過度の実験なく実施される。
最も普通には、システイン残基が、クロロ酢酸または
クロロアセタミド等のα−ハルアセテート(及び対応す
るアミン)と反応に付されて、カルボキシメチルまたは
カルボキシアミドメチル誘導体を与える。システイン残
基は、ブロモトリフルオロアセトン、α−ブロモ−β−
(5−イミダゾイル)プロピオン酸、クロロアセチルホ
スフェート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2
−ピリジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジスルフ
ィド、p−クロロメルクリベンゾエート、2−クロロメ
ルクリ−4−ニトロフェノール、またはクロロ−7−ニ
トロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールとの反応に
より誘導される。
ヒスチジン残基は、pH5.5−7.0においてジエチルピロ
カルボネートとの反応により誘導され、けだしこの試薬
はヒスチジン側鎖に比較的特異的であるからである。パ
ラ−ブロモフェナシルブロマイドも有用であり、該反応
は、好ましくはpH6.0において0.1Mカコジル酸ナトリウ
ム中で行われる。
リジン及びアミノ末端残基は、コハク酸または他のカ
ルボン酸無水物と反応に付される。これらの試薬による
誘導は、リジン残基の電荷の逆転の効果がある。α−ア
ミノ−含有残基の誘導のための他の好適な試薬は、メチ
ルピコリンイミデート等のイミドエステル類、ピリドキ
サルホスフェート、ピリドキサル、クロロボロハイドラ
イド、トリニトロベンゼンスルホン酸、O−メチルイソ
ウレア、2,4−ペンタンジオン、及びグリオキシレート
とのトランスアミナーゼ触媒反応を含む。
アルギニン残基は、1種または数種の慣用の試薬によ
り修飾され、それらの内にはフェニルグリオキサール、
2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン及びニ
ンヒドリンがある。グアニジン官能基の高いpKa故に、
アルギニン残基の誘導は、アルカリ条件下で反応を行う
ことが必要である。更に、これらの試薬は、アルギニン
イプシロン−アミノ基に加えて、リジンの基とも反応し
うる。
チロシン残基の特異的修飾は、芳香族性ジアゾニウム
化合物またはテトラニトロメタンとの反応によりチロシ
ル残基に分光学的標識を導入することに特に興味を持っ
て行われうる。最も一般的には、N−アセチルイミジゾ
ール及びテトラニトロメタンが、それぞれO−アセチル
チロシン分子種及び3−ニトロ誘導体を形成するために
使用される。チロシル残基は、放射免疫アッセイにおい
て使用される標識タンパク質を調製するために、125Iま
たは131Iを使用してヨウ素化され、クロラミンT法が好
適である。
カルボキシル側鎖基(アスパルチルまたはグルタミ
ル)は、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル
−4−エチル)カルボジイミドまたは1−エチル−3−
(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイ
ミド等の、カルボジイミド(R−N=C=N=R')との
反応により選択的に修飾される。更に、アスパルチル及
びグルタミル残基は、アンモニウムイオンとの反応によ
りアスパラギニル及びグルタミニル残基に変換される。
グルタミニル及びアスパラギニル残基は、それぞれ対
応するグルタミル及びアスパルチル残基にしばしば脱ア
ミド化される。代わりに、これらの残基は中性または塩
基性条件下で脱アミド化される。これらの残基のそれぞ
れの形態は、本発明の範囲内にある。
そのほかの修飾は、プロリン及びリジンのヒドロキシ
ル化、セリンまたはスレオニン残基のヒドロキシル基の
ホスホリル化、リジン、アルギニン、及びヒスチジン側
鎖のα−アミノ基のメチル化(T.E.Creighton,Protein
s:Structure and Molecular Properties,W.H.Freeman
& Co.,San Francisco,pp.79−86(1983))、N−アミ
ノ末端のアセチル化、並びにC−末端カルボキシル基の
アミド化を含む。該分子はさらに、米国特許第4,640,83
5;4,496,689;4,301,144;4,670,417;4,791,192または4,1
79,337号に示された方法で、例えばポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコールまたはポリオキシアル
キレンといった非タンパク質性ポリマーに共有結合され
る。
二官能試薬を使用した誘導化は、ポリペプチドとPSTP
IPポリペプチドの分子内凝集を調製するために、同様に
アッセイまたはアフィニティー精製での使用のための水
不溶性支持マトリックスまたは表面に対するPSTPIPポリ
ペプチドを架橋するために有用である。さらに、鎖内架
橋の研究は、形態学的な構造に対する直接的な情報を提
供するであろう。一般的に使用される架橋試薬には、1,
1−ビス(ヂアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グ
ルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエス
テル、ホモ二官能性イミドエステルおよび二官能性マレ
イミドが含まれる。メチル−3−[(p−アジドファニ
ル)ジチオ]プロピオイミダートのような融合化試薬
は、光の存在下で架橋を形成することが可能な光活性化
可能中間体を産する。代わりに、臭化シアン活性化炭化
水素、および米国特許第3,959,642;3,969,287;3,691,01
6;4,195,128;4,247,642;4,229,537;4,055,635;および4,
330,440号に記載されているシステム反応性基質のよう
な反応性水不溶性マトリックスが、タンパク質固定化お
よび架橋のために使用される。
特定の翻訳後修飾は、発現されたポリペプチド上での
組換え宿主細胞の機能の結果である。グルタミニルおよ
びアスパラギニル残基は、相当するグルタミルおよびア
スパルチル残基にしばしば翻訳後で脱アミド化される。
代わりにこれらの残基は、穏やかな酸性条件下で脱アミ
ド化される。これらの残基の各形態は、本発明の範囲に
含まれる。
他の誘導化には、非タンパク質性ポリマーに共有結合
された本発明の新規なペプチドが含まれる。非タンパク
質性ポリマーは通常、親水性合成ポリマー、すなわち天
然では見出されないポリマーである。しかしながら、天
然で存在するポリマー、および組換え法またはインビト
ロ法によって生産されるポリマーも、天然から単離され
るポリマーと同様に有用である。親水性ポリビニルポリ
マーは本発明に範囲内にあり、例えばポリビニルアルコ
ールおよびポリビニルピロリドンが挙げられる。ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコールのような
ポリビニルアルキレンエーテルが特に好ましい。
PSTPIPポリペプチドは、米国特許第4,640,835;4,496,
689;4,301,144;4,670,417;4,791,192または4,179,337号
に記載された方法で、ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコールまたはポリオキシアルキレンのよう
な様々な非タンパク質性ポリマーに結合される。
PSTPIPポリペプチドは、例えばコアセルベーション
法、または界面重合化によって調製されるマイクロカプ
セル内に、コロイド状薬剤輸送システム(例えばリポソ
ーム、アルブミンマイクロスフェアー、マイクロエマル
ジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)内にまたはマク
ロエマルジョン内にに封入される。上記方法は、Reming
ton′s Pharmaceutical Sciences,第16版、Oslo,A,編に
開示されている。
PSTPIPポリペプチドのさらなる誘導化は、ここで「イ
ムノアドヘシン」と呼ばれる。今日では、50より多いイ
ムノアドヘシンが本分野で報告されている。文献中に報
告されたイムノアドヘシンは、例えばT細胞レセプター
(Gascoigne et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:2936
−2940(1987));CD4(Capon et al.,Nature 337:525
−531(1980);Traunecker et al.,Nature 339:68−70
(1980);Zetmeissl et al.,DNA Ceel Biol.USA 9:347
−353(1990);Byrn et al.,Nature 344:667−670(199
0));L−セレクチン(ホーミングレセプター)(Watso
n et al.,J.Cell.Biol.110:2221−2229(1990);Watson
et al.,Nature 349:164−167(1991));E−セレクチ
ン[Mulligan等,J.Immunol.151:6410−17[1993:;Jacob
等,Biochemistry 34:1210−1217[1995]);P−セレク
チン(Mulligan等,上記参照;Hollenbaugh等,Biochemis
try 34:5678−84[1995]);ICAM−1(Sauton等,J.Ex
p.Med.176:1471−1476[1992];Martin等,J.Virol.67:3
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9[1992]);L1グリコプロテイン(Doherty等,Neuron 1
4:57−66[1995]);TNF−R1(Ashkenazi等,Proc.Natl.
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r.J.Immunol.21:2883−86[1991];Peppel等,J.Exp.Me
d.174:1483−1489[1991]);TNF−R2(Zack等,Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA 90:2335−39[1983];Wooley等,J.Imm
unol.151:6602−07[1993]);CD44(Aruffo et al.,Ce
ll 61:1303−1313(1910));CD28およびB7(Linsley e
t al.,J.Exp.Med.173:721−730(1991)];CTL−4[Li
nsley等,J.Exp.Med 174:651−569(1991));CD22(Sta
menkovic et al.,Cell 66:1133−1144(1991));NPレ
セプター[Bennett等,J.Biol.Chem.266:23060−23067
(1991)];IgEレセプターα[Ridgway and Gorrnan,J.
Cell.Biol.115,abstr.1448(1991);HGFレセプター[Ma
rk,M.R.等,1992,J.Biol.Chem.Submitted];IFN−γRα
およびβ鎖[Marsters等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:5
401−05[1995]);trk−A、−Bおよび−C(Shelton
等,J.Neurosci.15:477−91[1995]);IL−2(Landolf
i,J.Immunol.146:915−19[1991]);IL−10(Zheng等,
J.Immunol.154:5590−5600[1995])を含む。
最も単純で最も容易なイムノアドヘシンデザインは、
イムノグロブリン重鎖のヒンジ及びFc領域と、「アドヘ
シン」タンパク質の結合領域(類)を組み合わせる。一
般的に、本発明のPSTPIP−イムノグロブリンキメラを調
製する場合、所望のPSTPIPポリペプチドをコードする核
酸を、イムノグロブリン定常ドメイン配列のN末端をコ
ードする核酸にC末端で融合するが、N末端での融合も
また可能である。典型的には、上記融合物中でコードさ
れるキメラポリペプチドは、少なくとも機能的に活性な
イムノグロブリン重鎖の定常領域のヒンジ、CH2およびC
H3ドメインを維持している。融合物はまた、定常ドメイ
ンのFc部分のC末端で、または重鎖のCH1または軽鎖の
相当する領域に対してすぐN末端で作製される。融合物
が作製される正確な部位は重要ではない;特定の部位が
周知であり、PSTPIP−イムノグロブリンキメラの生物学
的活性、分泌または結合性質を最適化するために選択さ
れる。
好ましい実施態様において、天然の成熟PSTPIPポリペ
プチドあるいはその変異体またはその断片の配列は、例
えばIgG1等のイムノグロブリンのエフェクター機能を含
む抗体C−末端部分(特にFc領域)のN−末端に融合さ
れる。重鎖定常領域の全体を、PSTPIP配列に融合するこ
とも可能である。しかしながら、より好ましくはパパイ
ン切断部位の直ぐ上流のヒンジ領域から始まる配列(Ig
GのFcを化学的に定義し;重鎖定常領域の最初の残基を1
14位として、残基216、または他のイムノグロブリンの
類似する部位)が、融合に使用される。特に好適な実施
態様において、PSTPIP配列(フルレングスまたは断片ま
たは変異体)は、IgG1、IgG2、またはIgG3重鎖のヒンジ
領域、CH2及びCH3、またはCH1、ヒンジ、CH2及びCH3領
域に対して融合される。融合が行われる厳密な部位は重
要ではなく、至適部位は常法の実験により決定されう
る。
いくつかの実施態様において、PSTPIP−イムノグロブ
リンキメラは、多量体として、及び特には同種二量体ま
たは四量体として集合する(WO 91/08298)。一般的に
はこれらの集合体イムノグロブリンは、既知の単位構造
を有するであろう。基本的な4本鎖構造単位は、IgG、I
gD及びIgEが存在する形態である。4本単位は、より高
分子量のイムノグロブリンにおいて反復され;IgMは、ジ
スルフィド結合により互いに保持される基本的4本単位
の五量体として一般には存在する。IgAグロブリン及び
場合によってはIgGグロブリンは、血清中において多量
体としても存在しうる。多量体の場合、各4本単位は、
同じであるかまたは異なってもよい。
本発明の範囲にある種々の典型的な集合PSTPIP−イム
ノグロブリンキメラは、下記に模式的に図表化される: (a)ACL−ACL; (b)ACH−(ACH,ACL−ACH,ACL−VHCH,またはVLCL−AC
H); (c)ACL−ACH−(ACL−ACH,ACL−VHCH,VLCL−ACH,ま
たはVLCL−VHCH); (d)ACL−VHCH(ACH,またはACL−VHCH,またはVLCL−A
CH); (e)VLCL−ACH−(ACL−VHCH,またはVLCL−ACH);及
び (f)(A−Y)n−(VLCL−VHCH2, 式中、 各Aは、同じまたは異なったWntポリペプチドのアミ
ノ酸配列を表し; VLは、イムノグロブリン軽鎖可変領域であり; VHは、イムノグロブリン重鎖可変領域であり; CLは、イムノグロブリン軽鎖の定常領域であり; CHは、イムノグロブリン重鎖の定常領域であり; nは、1より大きい整数であり; Yは、共有的交差結合試薬の残基を示す。
簡潔さのために前述の構造は、基本的特徴のみを示
し;それらはイムノグロブリンの連結部(J)または他
の領域は示されず、またジスルフィド結合も示されな
い。しかしながら、そのような領域が結合活性のために
必要な場合には、それらはイムノグロブリン分子に占め
る通常の位置に存在するように構築されるであろう。
別法として、PSTPIPアミノ酸配列は、イムノグロブリ
ン重鎖及び軽鎖の間にされ得、而してキメラ重鎖を有す
るイムノグロブリンが得られる。この実施態様におい
て、PSTPIPポリペプチド配列は、イムノグロブリンの各
アームにおけるイムノグロブリン重鎖の3'末端に対し
て、ヒンジ及びCH2領域の間またはCH2及びCH3領域の間
の何れかにおいて融合される。類似する構築物が、Hoog
enboom et al.,Mol.Immunol.28:1027−1037(1991)に
より報告されている。
イムノグロブリン軽鎖の存在は、本発明のイムノアド
ヘシンにおいては必要とされないが、イムノグロブリン
軽鎖は、PSTPIP−イムノグロブリン重鎖融合ポリペプチ
ドに共有的に結合するか、あるいは、PSTPIPポリペプチ
ドに直接に融合するかの何れかで存在するであろう。前
者の場合、イムノグロブリン軽鎖をコードするDNAは、
典型的にはPSTPIP−イムノグロブリン重鎖融合タンパク
質をコードするDNAと共に発現される。分泌に際して、
ハイブリッド重鎖及び軽鎖は共有的に結合して、2個の
ジスルフィド結合したイムノグロブリン重鎖−軽鎖対を
有するイムノグロブリン様構造を与えるであろう。この
ような構造の調製のための好適な方法は、例えば1989年
3月28日発行の米国特許第4,816,567号に開示されてい
る。
好適な実施態様において、本発明のイムノアドヘシン
の構築に使用されるイムノグロブリン配列は、IgGイム
ノグロブリン重鎖定常領域に由来する。ヒトイムノアド
ヘシンについては、ヒトIgG1及びIgG3イムノグロブリン
配列の使用が好ましい。IgG1を使用することの主な優位
点は、IgG1イムノアドヘシンが固定化タンパク質Aにて
効率的に精製されうることである。対照的に、IgG3の精
製には顕著により不安定な媒体であるタンパク質Gを必
要とする。しかしながら、特定のイムノアドヘシン構造
のためのIg融合の相手を選択する際には、イムノグロブ
リンの他の構造的及び機能的性質を考慮しなければなら
ない、例えば、IgG3のヒンジはより長く、より柔軟性で
あって、それはIgG1と融合させた場合に、適切に畳み込
みまたは機能しないであろうより大きいアドヘシン領域
を適合させうる。IgGイムノアドヘシンは典型的に一価
または二価である一方、IgAおよびIgMのような他のIgサ
ブタイプは、基本的Igホモダイマー単位のそれぞれ二量
体または五量体構造を生ずる。マルチマーイムノアドヘ
シンは、そのIgGベースカウンターパートよりも大きな
親和性を有してそれぞれのターゲットを結合できる点で
有利である。上記構造物の報告された例は、CD4−IgM
(Trunecker等,上記参照);ICAM−IgM(Martin等,J.Vi
rol.67:3561−68[1983]);およびCD2−IgM(Arulana
ndam等,J.Exp.Med.177:1439−50[1993])。
インビボの応用のためにデザインされたPSTPIP−Igイ
ムノアドヘシンについて、Fc領域によって特定される薬
物速度論的性質およびエフェクター機能は、同様に重要
である。IgG−1,IgG−2およびIgG−4は全て21日のイ
ンビボ半減期を有するが、補体系を活性化するその相対
的能力は異なる。IgG−4は補体を活性化せず、IgG−2
はIgG−1より補体活性化について有意に弱い。さらにI
gG−1とは異なり、IgG−2は、単核細胞または好中球
上のFcレセプターに結合しない。IgG−3は補体活性化
に最適である一方、そのインビボ半減期は他のIgGアイ
ソタイプのおよそ三分の一である。ヒトの治療薬として
使用されるようにデザインされたイムノアドヘシンに対
するもう一つの重要な考慮は、特定のアイソタイプのア
ロタイプ変異体の数である。一般的に、より小さく血清
学的に定義されたアロタイプを有するIgGアイソタイプ
が好ましい。例えば、IgG−1は、4つのみの血清学的
に定義されたアロタイプ部位を有し、そのうちの二つ
(Glmおよび2)は、Fc領域中に位置する;これらの部
位の一つ、Glm1は非免疫原性である。対照的に、IgG−
3には12個の血清学的に定義されたアロタイプが存在
し、その全てがFc領域中に存在する;これらの部位の三
つだけが(G3m5,11および21)、非免疫原性である一つ
のアロタイプを有する。それ故、γ3イムノアドヘシン
の潜在的な免疫原性は、γ1イムノアドヘシンのものよ
り大きい。
PSTPIP−Igイムノアドヘシンは、Ig cDNA配列にフレ
ーム中でPSTPIP部分をコードするcDNA配列を融合するこ
とによって最も簡便に構築される。しかしながら、ゲノ
ムIg断片への融合もまた使用される(例えばGascoigne
等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:2936−2940[1987];Ar
uffo等,Cell 61:1303−1313[1990];Stamenkovic等,Ce
ll 66:1133−144[1991])。融合物の後者のタイプ
は、発現のためのIg調節配列の存在を必要とする。IgG
重鎖定常領域をコードするcDNAを、ハイブリダイゼーシ
ョンまたはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によって、
脾臓または抹消血液リンパ球から由来するcDNAライブラ
リーから、印刷された配列に基づいて単離することがで
きる。
H. 抗PSTPIP抗体調製 (i)ポリクローナル抗体 一般にPSTPIP分子に対するポリクローナル抗体は、PS
TPIPおよびアジュバントの複数回の経皮的(sc)または
腹腔内的(ip)注射により、動物に生じさせうる。PSTP
IPまたはタンパク質に対するターゲットアミノ酸配列を
含む断片を、免疫されるべき種に対して免疫原性のタン
パク質、例えばキーホールリンペットヘモシアニン、血
清アルブミン、ウシチログロブリンまたはダイズトリプ
シンインヒビタ等と、二官能性または誘導化試薬、例え
ばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル
(システイン残基を介しての接合)、N−ヒドロキシス
クシンイミド(リジン残基を介して)、グルタルアルデ
ヒド、無水コハク酸、SOCl2、またはR及びR1が異なる
アルキル基であるR1N=C=NRを使用して接合させるこ
とは有用であろう。
動物は、1mgまたは1μgのペプチドまたは接合体
(それぞれウサギまたはマウス)を3体積のフロイント
完全アジュバントと合わせ、該溶液を複数部位に皮内的
に注射することにより、抗原、免疫原性接合体または誘
導体に対して免疫される。1ヶ月後に動物は、フロイン
ト完全アジュバント中のペプチドまたは接合体の基の量
の1/5ないし1/10を用い、複数部位の経皮注射により追
加免疫される。7〜14日後に、動物は採血され、血清が
抗PSTPIP抗体力価についてアッセイされる。動物は力価
がプラトーにはいるまで追加免疫される。好ましくは動
物は、同じPSTPIPポリペプチドの接合体であるが、異な
るタンパク質に接合するか及び/または異なった交差結
合試薬を介して接合する接合体にて追加免疫される。接
合体は、タンパク質融合体として組み換え細胞培養にお
いても調製されうる。アルム等の凝集剤も、免疫応答を
向上するために好適に使用される。
(ii)モノクローナル抗体 モノクローナル抗体は、実質的に均質な抗体の母集
団、即ち母集団に含まれる個々の抗体は、少量存在しう
る自然に起こる可能性のある変異を除いて同等である母
集団から得られる。従って、修飾語“モノクローナル”
は、異なる抗体の混合物ではないものとしての抗体の特
徴を示す。
例えば本発明の抗PSTPIPモノクローナル抗体は、Kohl
er & Milstein.,Nature 256:495(1975)によって最初
に記述されたハイブリドーマ法を使用して作成される
か、または組換えDNA法(Cabilly等、米国特許第4,816,
567)によって作成されてもよい。ハイブリドーマ法に
おいて、マウスまたはハムスター等の適当な宿主動物
は、免疫に使用したタンパク質に対して特異的に結合す
るであろう抗体を産生するか、または産生しうるリンパ
細胞を引き出すために、上述したようにして免疫され
る。別法として、リンパ細胞はインビトロにおいて免疫
される。次いで、リンパ細胞は、ポリエチレングリコー
ル等の適当な融合試薬を使用して、ミエローマ細胞と融
合され、ハイブリドーマ細胞が形成される(Goding,Mon
oclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59−
103(Academic Press,1986))。
斯くして調製されたハイブリドーマ細胞は、非融合の
親ミエローマ細胞の生育または生存を阻害する1種以上
の物質を好ましくは含有する、適当な培養培地に播種さ
れ育成される。例えば親ミエローマ細胞が酵素ハイポキ
サンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ
(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合には、ハイブリドーマ
のための培地は、典型的にはHGPRT−欠損細胞の生育を
阻害する物質であるハイポキサンチン、アミノプテリン
及びチミジン(HAT培地)を含むであろう。
好ましいミエローマ細胞は、効率的に融合し、選択さ
れた抗体産生細胞により安定した高水準の抗体産生を支
持し、かつHAT培地等の培地に感受性のものである。こ
れらの内で好ましいミエローマ細胞系は、Salk Institu
te Cell Distribution Center,San Diego,California U
SAから入手可能なMOPC−21及びMPC−11マウス腫瘍から
誘導されるもの、及びAmerican Type Cultue Collectio
n,Rockville,Maryland USAから入手可能なSP−2細胞等
のネズミミエローマ系である。ヒトミエローマ及びマウ
ス−ヒトヘテロミエローマも、ヒトモノクローナル抗体
の産生に関して記述されている(Kozbor et al.,J.Immu
nol.133:3001(1984);Brodeur et al.,Monoclonal Ant
ibody Production Techniques and Applications,pp.51
−63(Marcel Dekker,Inc.New York,1987))。
ハイブリドーマ細胞が生育する培養培地は、該抗原に
対して向けられたモノクローナル抗体の産生についてア
ッセイされる。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により
産生されるモノクローナル抗体の結合特異性が、免疫沈
殿または放射免疫アッセイ(RIA)若しくは酵素結合免
疫吸着剤アッセイ(ELISA)等のインビトロ結合アッセ
イにより測定される。モノクローナル抗体の結合親和性
は、例えばMunson et al.,Anal.Baiochem.107:220(198
0)のスキャッチャード(Scatchard)アッセイにより測
定されうる。
ハイブリドーマが、所望の特異性、親和性及び/また
は活性の抗体を産生することが同定された後は、該クロ
ーンは限定希釈法によりサブクローン化され得、標準法
により育成される(Goding,前出文献)。この目的のた
めに適当な培地は、D−MEMまたはRPMI−1640培地を含
む。加えて、ハイブリドーマ細胞は、動物内で腹水腫瘍
としてインビボにおいて生育されうる。
サブクローンから分泌されたモノクローナル抗体は、
例えばタンパク質A−セファロース、ヒドロキシアパタ
イトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析またはア
フィニティクロマトグラフィー等の慣用のイムノグロブ
リン精製方法により、培養培地、腹水または血清から好
適に分離される。
本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、慣
用方法により容易に単離され、配列決定される(例えば
ネズミ抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的
に結合しうるオリゴヌクレオチドプローブの使用によ
り)。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好まし
い供給源として働く。一旦単離されれば、DNAは発現ベ
クターに入れられ、これは次いで、E.coli細胞、霊長類
COS細胞、モルモット卵巣(CHO)細胞、またはイムノグ
ロブリンタンパク質を別途産生しないミエローマ細胞に
トランスフェクトさせ、組換え宿主細胞においてモノク
ローナル抗体の合成を得る。DNAはまた、例えば、同種
ネズミ配列の位置にヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインに対
するコード配列を置換することによって修飾され、Morr
ison等,Proc.Natl.Acad.Sci.81:6851(1984)、または
非イムノグロブリンポリペプチドに対するコード配列の
全てまたは一部を、イムノグロブリンコード配列に共有
結合することによって修飾される。この方法において、
ここで抗PSTPIPモノクローナル抗体の結合特異性を有す
る「キメラ」または「ハイブリッド」抗体が調製され
る。
典型的なこのような非イムノグロブリンポリペプチド
は、本発明の抗体の定常領域を置換するか、またはそれ
らは抗体の一方の抗原結合部位の可変領域を置換して、
PSTPIPポリペプチドに対して特異性を有する一つの抗原
結合部位及び異なる抗原に特異性を有する他の抗原結合
部位を有するキメラ性二価抗体を創生する。
キメラまたはハイブリッド抗体は、交差結合試薬を含
む合成タンパク質化学における貴地方法を使用してイン
ビトロにて調製されてもよい。例えば、イムノトキシン
は、ジスルフィド交換反応またはチオエーテル結合形成
により使用して構築される。この目的に好適な試薬の例
は、イミノチオレート及びメチル−4−メルカプトブチ
ルイミデートを含む。
診断的応用のために、抗体は、典型的には検出可能な
部分でラベルされる。検出可能部分は、直接的又は間接
的に検出可能なシグナルを生ずることのできる任意のも
のである。例えば、検出可能な部分は、3H、14C、32P、
35S又は125Iなどの放射性同位元素;フルオレセインイ
ソチオシアナート、ローダミンまたはルシフェリンなど
の蛍光又は化学発光化合物;ビオチンまたは、アルカリ
ホスファターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼまたはセイ
ヨウワサビペルオキシダーゼ等の酵素である。
ポリペプチド変異体の検出可能な部分への分離可能な
結合のためにこの分野で知られた任意の方法が採用さ
れ、Hunter等,Nature,144:945(1962);David等,Bioche
mistry,13:1014(1974);Pain等,J.Immunol.Meth.,40:2
19(1981);及びNygren,J.Histrochem.and Cytochem.,
30:407(1982)に記載されたものも含む。
本発明の抗体は、競合結合アッセイ、直接及び間接サ
ンドウィッチアッセイ、及び免疫沈降アッセイ等の周知
の検定方法に採用することができる。Zola,Monoclonal
Antibodies:A Manual of Techniques,pp.147−158(CRC
Press,Inc.,1987)。
競合結合アッセイは、限られた量の抗体との結合につ
いて、試験サンプル分析物(PSTPIP)と競合するラベル
した標準物(それはPSTPIPポリペプチドまたは免疫学的
に反応性のその部分である)の能力に依る。試験サンプ
ル中のPSTPIPポリペプチドの量は、抗体と結合し始める
標準物の量に反比例する。結合を始める標準物の量の測
定を腰囲にするため、通常、抗体は、競合の前又は後に
不溶化され、抗体と結合した標準物及び分析物が、結合
していない標準物及び分析物から分離しやすくする。
サンドウィッチアッセイは2つの抗体の使用を含み、
各々が、検出すべきタンパク質の異なる免疫原部分又は
エピトープに結合できる。サンドウィッチアッセイにお
いて、試験サンプル分析物は、固体支持体に固定化され
た第1の抗体に結合し、次いで、第2の抗体が分析物に
結合し、不溶性の3元複合体を形成する。米国特許第4,
376,110号参照。第2の抗体は、それ自身が検出可能な
部分でラベルされてもよく(直接サンドウィッチアッセ
イ)、あるいは、検出可能な部分でラベルした抗−免疫
グロブリン抗体を用いて測定してもよい(間接サンドウ
ィッチアッセイ)。例えば、サンドウィッチアッセイの
一つのタイプがELISAであり、検出可能な部分は酵素で
ある。
(iii)ヒト化抗体 非ヒト抗体をヒト化する方法はこの分野で周知であ
る。一般に、ヒト化抗体は、非−ヒトである供給源から
導入される1個以上のアミノ酸残基を有する。これらの
非−ヒトアミノ酸残基は、しばしば“輸入”残基と称さ
れ、これは典型的には“輸入”可変領域から採られる。
ヒト化は、基本的には齧歯類CDRまたはCDR配列を、対応
するヒト抗体配列で置換することにより、Winter及び共
同研究者の方法に従って行われうる(Jones et al.,Nat
ure 321:522−525(1986);Riechmann et al.,Nature 3
32:323−327(1985);Verhoeyen et al.,Science 239:1
534−1536(1988))。従って、このようなヒト化抗体
は、キメラ抗体(Cabilllyet al.前出文献)であり、実
質的に身障の可変領域より少ない部分が非−ヒト種から
の対応する配列により置換されている。実際的には、ヒ
ト化抗体は典型的にはCDR残基のいくらか及び、たぶんF
Rのいくらかが、齧歯類抗体の類似部位からの残基によ
り置換されている。
抗体が、抗原に対する高い親和性及び他の好ましい生
物学的性質を保ってヒト化されることは重要である。こ
の目的を達成するために、好ましい方法に従えば、ヒト
化抗体は親及びヒト化配列の三次元モデルを使用して、
親配列及び種々の概念的ヒト化生成物の分析工程により
調製される。三次元イムノグロブリンモデルは、一般に
利用可能であり当業者にはなじみがある。選択された候
補のイムノグロブリン配列の可能な三次元配置構造を描
いて映し出すコンピュータプログラムが利用可能であ
る。これらのディスプレーを見ることは、候補のイムノ
グロブリン配列の機能における残基のそれらしい役割の
分析、即ち候補のイムノグロブリンの抗原に対する結合
能力に影響を与える残基の分析を可能とする。このよう
にして、FR残基が、標的抗原に対する増大した親和性等
の所望の抗体特性が達成される様に、共通及び輸入配列
から選択され、組み合わされる。一般的に、CDR残基
は、抗原結合への影響において、直接的かつ最も実質的
に関与するものである。さらなる詳細は、1992年8月21
日に提出された米国特許出願番号07/934,373を参照し、
それは1991年6月14日に提出された出願番号07/715,272
の一部継続出願である。
別法として、免疫により、内因性イムノグロブリン産
生を伴わずに完全量のヒト抗体を産生しうるトランスジ
ェニック動物(例えばマウス)の作成が可能である。例
えば、キメラ及び生殖系列変異マウスにおける抗体重鎖
結合領域(JH)遺伝子の同型接合的削除が、内因性抗体
の産生を完全に阻害することが記述されている。このよ
うな生殖系列変異マウスへのヒト生殖系列イムノグロブ
リン遺伝子の並びの移送は、抗原の攻撃に対してヒト抗
体の産生を生じるであろう。例えば、Jakobovits et a
l.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551(1993);Jakobovi
ts et al.,Nature 362:255−258(1993)参照。
(iv)二重特異性抗体 二重特異性抗体とは、少なくとも二つの異なる抗原に
対する結合特異性を有するモノクローナルの、好ましく
はヒトまたはヒト化された抗体である。この場合におい
ては、結合特異性の一つはPSTPIPポリペプチドに対する
ものであり、他のものはいかなる他の抗原に対するもの
であってもよい。二重特異性抗体を作成する方法は、本
分野で周知である。
伝統的に、二重特異性抗体の組換え生産は、2種のイ
ムノグロブリン重鎖−軽鎖対の同時発現に基づき、ここ
において2本の鎖は異なる特異性を有する(Milstein a
nd Cuello,Nature 305:537−539(1983))。イムノグ
ロブリン重鎖及び軽鎖の無作為の寄せ集めのために、こ
れらのハイブリドーマ(クォドローマ:Quadromas)は、
1種のみが正しい二重特異性構造を有する10種の異なる
異なる抗体分子の可能な混合物を生じる。通常アフィニ
ティクロマトグラフィー工程により行われる正しい分子
の精製は、かなり煩雑であり、また生成物の収率も低
い。同様な手法は、1993年5月13日発行のPCT出願公報W
O 93/08829及びTraunecker et al.,EMBO J.10:3655−36
59(1991)に開示されている。
別のより好ましい方法に従うと、所望の結合特異性を
持った抗体可変領域(抗体−抗原結合部位)は、イムノ
グロブリン定常領域配列に融合される。融合物は、好ま
しくは少なくともヒンジの一部、及びイムノグロブリン
重鎖の第二と第三の定常領域(CH2及びCH3)を有するイ
ムノグロブリン重鎖定常領域を伴う。軽鎖結合に必要な
部位を含む、融合物の少なくとも一つに存在する第一の
重鎖定常領域を有することが好ましい。イムノグロブリ
ン重鎖融合物、及び所望によりイムノグロブリン軽鎖を
コードするDNAが、別個の発現ベクターに挿入され、適
当な宿主生物に同時インフェクションする。これは、構
築に使用される3種のポリペプチドの異なる比が至適収
率を与える場合に、実施態様において3種のポリペプチ
ド断片の相対比の調節に大きな柔軟性を与える。しかし
ながら、少なくとも2種のポリペプチド鎖の同じ比率で
の発現が高収率をもたらす場合、または比率が重要でな
い場合には、2種または3種全てのポリペプチド鎖のコ
ード配列を1個の発現ベクター中に挿入することも可能
である。この方法の好ましい実施態様において、二重特
異的抗体は、第一の結合特異性を一つのアームに有する
ハイブリッドイムノグロブリン重鎖、及び他方のアーム
のハイブリッドイムノグロブリン重鎖−軽鎖対(第二の
結合特異性を与える)からなる。この非対称構造は、二
重特異的分子の半分のみにイムノグロブリン軽鎖が存在
することが分離に容易な方法を提供するため、所望の二
重特異的化合物を望まれないイムノグロブリン鎖の組み
合わせから分離することを容易にする。この方法は、19
94年3月3日発行のWO 94/04690に開示されている。
二重特異的抗体の生成の更なる詳細は、例えば、Sure
sh et al.,Methods in Enzymology 121:210(1986)参
照。
(v)異種接合抗体 異種接合抗体もまた、本発明の範囲に含まれる。異種
接合抗体は、二つの共有結合した抗体より成る。上記抗
体は例えば、非所望の細胞に対して免疫系をターゲット
化するために(米国特許第4,676,980号)、およびHIV感
染の治療のために(PCT出願公報WO91/00360およびWO92/
200373;EP03089)提案されている。異種接合抗体は、い
かなる簡便な架橋法にもっても作製される。適切な架橋
試薬は本分野で周知であり、数多くの架橋法と共に米国
特許第4,676,980号に開示されている。
I. PSTPIPポリペプチドのペプチド及び非ペプチド類似
体 本発明のPSTPIPポリペプチドのペプチド類似体は、天
然ポリペプチドの三次元構造に基づいてモデル化され
る。ペプチドは、Merrifield,J.Am.Chem.Soc.15:2149−
2154(1963)に最初に記載された固相合成法のような周
知の方法によって合成される。他のペプチド合成法は、
例えばBodanszky等,Peptide Synthesis,John Wiley &
Sons,第二版,1976、同様に当業者が容易に入手可能な他
の参考書に記載されている。ペプチド合成法の要約は、
StuartおよびYoung,Solid Phase Peptide Synthesis,Pi
erce Chemical Company,Rockford IL(1984)内に見出
される。ペプチドはまた、所望のペプチドをコードする
配列を使用して組換えDNA法によっても調製される。
ペプチド類似体に加えて、本発明はまた、本発明のペ
プチド類似体と同様な表面をディスプレーし、それ故同
様な方法で他の分子と相互作用する非ペプチド(例えば
有機)化合物も企図する。
J. PSTPIPポリペプチドの使用 本発明のPSTPIPポリペプチドは、様々な目的のために
有用である。例えば、図1Aに示されたPSTPIPポリペプチ
ドは、もう一つの哺乳動物において同種のPSTPIPを同定
し単離するために有用である。天然のPSTPIPポリペプチ
ドおよびその機能的同等物はまた、天然PSTPIPポリペプ
チドのアゴニストまたはアンタゴニストを同定するため
のスクリーニングアッセイにおいて有用である。上記ア
ッセイは、何れかの簡便な細胞タイプまたは生化学的結
合アッセイの形態で実施され、当業者に周知の様々なア
ッセイフォーマットで実施される。
本発明のPSTPIPポリペプチドは、真核生物細胞におけ
るアクチンモノマーの重合化に関与することがここで示
される。上記のように、PSTPIPポリペプチドは、当業者
がアクチンモノマーの重合化を誘導することを望む場
合、様々な指摘で有用である。本発明のPSTPIPポリペプ
チド、およびそれをコードする核酸はまた、それらを特
異的に発現する組織における分子マーカーとしても有用
である。上記のように、PSTPIPポリペプチド、およびそ
れをコードする核酸は、特異的な哺乳動物組織の組織タ
イピングのためにも有用である。
本発明のPSTPIPポリペプチドはまた、タンパク質ゲル
に対するタンパク質分子マーカーとしても有用である。
本発明のPSTPIPポリペプチドをコードする核酸はま
た、ここで例示される組換え法によるPSTPIPポリペプチ
ドの調製において、および他種における他のPSTPIPポリ
ペプチド類似体のコード配列に対するcDNAおよびゲノム
ライブラリーの探索のためのハイブリダイゼーションプ
ローブの提供においても有用である。
本発明のPSTPIPポリペプチドのアンタゴニストは、該
ポリペプチドの少なくとも一つの生物学的活性を阻害す
るためのインヒビターとして有用である。
本発明のさらなる詳細は、以下の非制限的な実施例に
おいて説明される。
本発明のPSTPIPポリペプチドはまた、PTP−PSTPIP相
互作用のインヒビターを同定するためのPTP HSCFとのイ
ンビトロのアッセイにおいて使用することができる。上
記インヒビターは、PSTPIPおよび/またはPとHSCFに結
合することによってPTP−PSTPIP相互作用を阻害する、
ポリペプチド、ペプチドまたは小(有機)分子である。
同様なアッセイは、ホスファターゼの脱リン酸化の酵素
学的なインヒビターを見出すためにも使用できる。上記
インヒビターは、腫瘍細胞の細胞分裂を停止または阻害
可能な化学療法試薬として有用である。
天然PSTPIPポリペプチドのミュータント(アミン酸配
列変異体)は、細胞分裂機構の他の構成要素を同定する
ためのトランスフェクトされた組換え宿主細胞において
インビボで使用することができる。さらに、PSTPIPの領
域は、酵母トゥーハイブリッド系、またはいかなる機能
的に同様なアッセイ構成において、潜在的に細胞分裂に
関与する他の相互作用タンパク質を同定するためにイン
ビトロで使用される。
PSTPIPを特異的に結合する抗体は、例えば急速に分裂
する細胞を同定するために使用することができ、次に上
記急速に分裂する細胞より成る腫瘍をイメージするため
に使用される。
天然PSTPIP分子をコードする核酸は、腫瘍治療に対し
てより特異的なターゲットを提供する、腫瘍細胞におい
て特異的に発現する同種遺伝子を単離するために使用で
きる。
K. 物質および方法 1.トゥーハイブリッドスクリーニングアッセイ 酵母トゥーハイブリッドスクリーニングアッセイを、
本質的に記載されているように実施した(Chien等,Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA 88:9578−9582(1991)およびBar
tel等,Methods Enzymol.254:241−263(1995))。PTP
HSCFのC221−S活性部位ミュータント(Cheng等,(199
6)上記参照)を、プラスミドpPC97におけるGal4結合ド
メインを使用してフレーム中でクローン化した。6×10
6の個々のクローンのライブラリーを、標準的な方法を
使用してGal4活性化ドメインプラスミドpPC86においてB
af3リンパ始原細胞から生産した。酵母を両プラスミド
を使用してトランスフォームし、30℃で3日間ヒスチジ
ンマイナスのプレート上でインキュベートした。これら
の条件の下で成育したコロニーをヒスチジンマイナスプ
レート上に再ストリークし、β−ガラクトシダーゼ活性
について試験した(Bartel等,(1995)上記参照)。様
々なレベルのβ−ガラクトシダーゼ活性を有するコロニ
ーを単離し、pPC86ベクター中のcDNA挿入物をPCRによっ
て単離し、標準的な方法を使用してスクリーニングし
た。PSTPIPをコードするコロニーを、pPC97プラスミド
を含むもともとのPとHSCFの存在下および不存在下で細
胞内にトランスフェクションすることによってPTP相互
作用への依存性について試験し、引き続きヒスチジンマ
イナスプレート上での成育およびβ−ガラクトシダーゼ
活性について分析した。
2.相互作用ドメインのマッピング C末端でFLAGエピトープ(DYKDDDDK)(配列番号8)
を使用してタグ化されたフルレングスPSTPIPをコードす
るcDNAを得るために、プライマー48.BAMHI.F(CGCGGATC
CACCATGATGGCCCAGCTGCAGTTC)(配列番号9)および48.
SALFLAG.R(GTACGCGTCGACTCACTTGTCATCGTCGTCC TTGTAGT
CGAGCTT)(配列番号10)を使用してPCRを実施した。生
成PCR断片を、BamH IおよびSal Iを使用して切断し、サ
イトメガロウイルスプロモーターを含む発現プラスミ
ド、pRK.tkneoのBamH IおよびSal I部位内にサブクロー
ン化し、それ故プラスミドpRK.PIP.FLAG.Cを作製した。
PTP HSCF欠失ミュータントは、そのN末端でインフルエ
ンザヘマグルチニンエピトープを含む構築物から由来
し、以下のように作製された:プライマーprkr(TGCCTT
TCTCTCCACAGG)(配列番号11)および38.spe.mid.R(CT
CCTTGAGGTTCTACTAGTGGGGG CTGGTGTCCTG)(配列番号1
2)を使用して、PRK.HSCFでPCRを実施した。ホスファタ
ーゼドメイン(アミノ酸1−312)をコードする生成PCR
断片を、Cla IおよびSpe Iを使用して切断し、Cla Iお
よびXba Iを使用して切断されたpRK.tk.neo内にサブク
ローン化し、プラスミドpRK.hscf.ptpドメインを生産し
た。同様にプライマーprkrおよび39.spe endR(GCGGCCG
CACTAGTATCCAGTCTGTGCTCCATCTGTTAC)(配列番号13)を
使用してPCRを実施し、hscfの1−439アミノ酸をコード
する生成断片を、Cla IおよびSpe Iを使用して切断し、
pRKtkneoのCla IおよびXba I部位内にサブクローン化し
た。GST融合タンパク質を、DH5−アルファ細菌細胞にお
いて製造品(Pharmacia Biotech)に本質的にしたがっ
て調製した。PSTPIPに対応するフルレングスcDNA(2−
415アミノ酸)を含むSal IからNot I断片を、Sal Iおよ
びNot I部位で切断されたpGEX−4T−2(Pharmacia)内
にサブクローン化した。
PSTPIPのコイルドコイルドメインをコードするDNA断
片を得るために、プライマーPC86F(GCGTTTGGAATCA CTA
C)(配列番号14)およびpip48.1706R(TTATAGTTTAGCGG
CCGCTCACCGGTAGTCCTGGGCTGATG)(配列番号15)を使用
してPCRを実施した。PCR断片をSal IおよびNot Iを使用
して切断し、引き続きpGEX−4T−2のSal IおよびNot I
部位内にクローン化した。PSTPIPのSH3ドメインをコー
ドするcDNA断片を得るために、プライマーpip48.1673.F
(GTACGCGTCGACCGCACTCTACG ACTACACTGCACAG)(配列番
号16)およびPC86R(CTCTGGCGAAGAAGTCC)(配列番号1
7)を使用してPCRを実施し、生成産物をSal IおよびNot
Iを使用して切断し、pGEX−4T−2におSal IおよびNot
I部位内にサブクローン化した。PTP HSCFのPST(およ
びC末端ホモロジー)(304−453アミノ酸)をコードす
るcDNA断片を得るために、プライマーPST38−R1(GATCG
AATTCCCAGAACCTCAA GGAGAACTGC)(配列番号18)および
PST38−XHO I(GATCCTCGAGTTACACCCGTGTCCACTCTGCTGGAG
GA)(配列番号19)を使用してPCRを実施した。生成PCR
産物を、EcoR IおよびXho Iを使用して切断し、pGEX−4
T−2のEcoR IおよびSal I部位内にサブクローン化し
た。タンパク質の決定を、Geno Tachnology(St Loui
s)由来のキットを使用してCourrusアッセイにしたがっ
て実施した。
結合を、WongおよびJohnsonの方法にしたがって実施
した(Wong等,J.Biol.Chem.271(35):20981−20984(1
996))。略記すると、Sp6プロモーターのコントロール
の下で、PSTPIPタンパク質またはPTP HSCFのそれぞれを
有する1μgのプラスミドを、Promega TnT Rabbit Ret
iculocyteシステムを使用してインビトロで転写/翻訳
した。サンプルを、50mM HEPES、pH7.2、1%tritonX10
0、10%グリセリン、100mM NaCl、5mM EDTAおよびロイ
ペプシン、ペプスタチン、アポロチニンおよびPMSFのそ
れぞれを2μg/ml内に希釈した。サンプルを、1時間樹
脂ををもにプレ精製し、1μgのGST融合タンパク質
を、前もって1時間3%BSAでブロックしておいたGSH−
Sepharoseの30μlと共に加えた。これを4℃で1時間
反応させ、それからSDSゲル電気泳動の前にHEPES/Trito
n結合バッファーで6回樹脂を洗浄した。p−アルコキ
シベンジルアルコール樹脂上でFMOC保護されたアミノ酸
を使用した標準的な固相化学によって、自動Milligen 9
050 Peptide Synthesizerで、該ペプチドを合成した。
乾燥ペプチドを10mg/mlの濃度のHEPES/Triton結合バッ
ファーに再懸濁した。ペプチド阻害を、インビトロ翻訳
産物に対して最初に該ペプチドを加えることによって実
施し、それから引き続きGSH−SepharoseによるGST融合
を実施した。結合/洗浄工程は、以前に記載された。合
成されたペプチドおよびそれらが由来するPTPは以下の
ものである: 3.チロシンリン酸化の分析 Baf3細胞を、1mMバナジン酸ナトリウムおよび10mMロ
ド酢酸と共に1μg/mlアプロチニン、PMSF、ロイペプシ
ンおよびペプスタチンを含む1%Triton、50mM HEPES、
10%グリセリンおよび5mM EDTAにおいて溶解した。細胞
を溶解前4時間、0.1mMペルバナジン酸塩を使用して処
理した。1μg/ml抗PSTPIPポリクローナル抗体および40
μgの溶解タンパク質を使用して、40℃で一晩バナジン
酸塩含有溶解バッファー中で免疫沈降を実施した。1μ
g/ml親和性精製抗PSTPIPまたは商業的な4G10抗ホスホチ
ロシンモノクローナル(Upstate Biotech)の1:5000希
釈物を使用して、ウエスタンブロットを実施した。HRPO
−ECL試薬(Pierce)によってシグナルを検出した。C
221−Sミュータントは以前に記載されているものであ
った(Cheng等,(1996)上記参照)。PTP HSCF D197
Aミュータントを、PCRを使用して生産した。ヌクレオ
チド591に相当するミュータジェナイズプライマーD197
A.F(GTATATGTCCTGGCCAGCCCATGGGGTTCCCAGCAG)(配列
番号24)および停止コドンに相当するプライマーD197A.
R(GCAGGTCGACTCTAGATTACACCCGTGTCCACTCTG)(配列番
号25)を、Msc IおよびXba Iを使用して切断された断片
を生産するためにPCRで使用した。サイトメガロウイル
スプロモーターの制御の下で野生型酵素をコードするプ
ラスミドであるpRK.HA.38WTを、Cla IおよびMsc Iを使
用して切断し、生成600bp断片をpRK.tkneoのCla Iおよ
びXba I部位内にMsc I−Xba I PCR断片を使用してライ
ゲートした。SV40早期プロモーターの制御のものでV−
src原ガン遺伝子をコードするプラスミドは、Dr.Art Le
vinson(CEO−Genentech,Inc)からの寄贈であった。NI
H3T3細胞およびCOS−7細胞を、10%FBS、2mML−グルタ
ミン、10mM HEPES、pH7.2およびペン連鎖球菌を補った
高グルコースDMEMで培養した。
COS−7細胞をエレクトロポレーションによりトラン
スフェクトした。略記すると、1.5×106COS−7細胞
を、PBS中で24μgの全DNAと混合し、960μF、0.22ボ
ルトでエレクトロポレーションした(Bio−Rad Gene Pu
lsar)。エレクトロポレーションに引き続き、細胞を10
cm皿に植え、3日間インキュベートした。トランスフェ
クトされたCOS細胞の10cm皿を、氷冷PBSで二度洗浄し、
M−PIPA(50mM Tris 7.4,1%NP40,0.25%DOC,150mM Na
Cl,1mMオルトバナジン酸ナトリウム,1mM NaFプラスComp
leteTMプロテアーゼインヒビター(Boehringer Mannhei
m))の1ml中に溶解した。溶解物を4℃で100μl Ultra
Link Immobilized Protein A/G(Pierce)を使用して15
分インキュベートし、引き続き5分遠心分離した。上清
を回収し、−70℃で貯蔵するか直接免疫沈降した。5μ
gのM2または12CA5を、500μlの溶解物に加え、4℃で
一晩インキュベートした。Ultralink Protein A/Gを加
え、インキュベーションを4℃で2時間継続した。免疫
複合体をM−RIPAを使用して3回洗浄した。タンパク質
をSDS−PAGEに受けさせ、1×Transfer Buffer(Nove
x)中でニトロセルロースにトランスファーした。イム
ノブロットを、3%ミルク/PBSで4℃で一晩ブロックし
た、。Flagタグ化PIPを検出するために、ブロットを10
μg/ml Bio−M2(ビオチン化抗Flagモノクローナル抗
体、KODAK)を使用してインキュベートし、引き続き10
μg/mlストレプタビジン−HRP(UBI)中でインキュベー
トした。HA−タグ化PTPhscfを検出するために、ブロッ
トを製造者の説明書にしたがって抗−(HA)−ペルオキ
シダーゼ(Boehringer Mannheim)中でインキュベート
した。ホスホチロシンを検出するために、ブロットを製
造者の説明書にしたがってHRP−接合4G10(抗ホスホチ
ロシンモノクローナルUBI)中でインキュベートした。
4.内因性およびトランスフェクトPSTPIPの共焦点顕微鏡 ウサギポリクローナル抗体を、GST−PSTPIP融合タン
パク質に対して生産した。完全なPSTPIP−GST融合タン
パク質をGSH−セファロース上で精製し、200μgの融合
タンパク質を使用して2箇所の部位に筋肉内に、完全フ
ロイントアジュバント中の100μgのPSTPIP−GST融合タ
ンパク質の全量を使用して複数の部位で皮下に注射し
た。ウサギを、不完全フロイント中の100μgの融合タ
ンパク質を使用して3週間ごとに追加免疫した。15mlの
ウサギ血清を、穏やかな回転と共に4℃で3時間0.5mg
のPSTPIP−GST−GSH−セファロースを使用して反応させ
た。樹脂を遠心分離によって回収し、10カラム容量のPB
Sを使用して洗浄した。イムノグロブリンを、100mM酢
酸、500mM NaClを使用して親和性マトリックスから溶出
し、NaOHを使用して中和し、それからPBSを使用して一
晩透析した。細胞を5時間、リポフェクタミン(0.8ml
のOPTI−MEM中の2μg pRK.PIP.FLAG.C/12μlリポフェ
クタミン)を使用してトランスフェクトした。DNA/リポ
フェクタミン溶液を取り出し、新鮮な血清含有培地を加
えた。トランスフェクションの開始に引き続く48時間
で、細胞を20分PHEM6.1(60mM PIPES,25mM HEPES,10mM
EGTAおよび2mM MaCl2)中の4%ホルムアルデヒドで固
定し、PHEN6.9中の0.2%TritonX−100,300mMスクロース
中で10分浸透させた。細胞PHEM6.9中で二度洗浄し、そ
れから該抗体の非特異的結合をブロックするために1時
間、1%FBS/PHEM6.9を使用してインキュベートした。
細胞を、非関連抗体コントロールとして10μg/mlのM2
(KODAK,抗FLAGモノクローナル抗体)または10μg/mlの
12CA5(Boehringer Mannheim抗HAモノクローナル抗体)
を含む2%BSA/PHEM6.9中で1時間インキュベートし
た。2%BSA/PHEM6.9を使用した二度の細胞の洗浄後、
細胞をCy3接合AfinniPureヒツジ抗マウスIgGの1:2000希
釈物、および2%BSA/PHEM6.9中のFluorescein Phallod
in(Molecular Probes)の1:200希釈物を使用して30分
インキュベートした。細胞を2%BSA/PHEM6.9中で洗浄
し、DAPIを使用してVectashield Mounting Medium中に
置いた。NIH3T3細胞をチェンバースライド当たり200,00
0細胞で植え、一晩接着を許容した。細胞を0.4μg/mlの
ウサギ抗PIPまたは0.4μg/mlのウサギIgGを使用して染
色し、Cy3接合ヤギ抗ウサギを使用して検出した。さら
に、細胞を、Fluorescein−Phalloidinの1:200希釈物を
使用して共染色した。
L. 実施例 実施例1−PTP HSCF結合タンパク質の同定 PTP HSCFに対する潜在的な基質を同定するために(Ch
eng等,(1996)上記参照)、我々は、おとりとして酵
素の触媒的に不活性な形態、およびネズミ造血始原細胞
由来のライブラリーを使用して酵母トゥーハイブリッド
スクリーニングアッセイを実施し、該細胞タイプはこの
ホスファターゼの高レベルを発現することが以前に示さ
れている(Cheng等,(1996)上記参照)。これは、ヒ
スチジンの不存在下で成育し、β−ガラクトシダーゼの
変化するレベルを発現するおよそ70の酵母クローンの単
離を引き起こした。該クローンの配列分析により、およ
そ40%がGal4 DNA結合ドメインとのわずかに多様化した
5'融合物を有する関連配列をコードすることが明らかと
なった。該クローンの残りのものの配列は、それらが人
工的な相互作用のためであるようであることを示唆し
た。これらの関連配列を含む全てのトゥーハイブリッド
クローンのヒスチジンの成育およびβ−ガラクトシダー
ゼ発現の分析により、同じ細胞におけるホスファターゼ
おとり構築物を含むことに絶対的に依存することが明ら
かとなった(データは示されていない)。最長のトゥー
ハイブリッドクローンを、もともとのBaf3トゥーハイブ
リッドライブラリーからフルレングスcDNAを単離するた
めに使用した。
図1Aは、PTP HSCFと相互作用するタンパク質が、細胞
分裂の間切断溝でアクチンリングの集合に関与する細胞
骨格相互作用タンパク質であるS.pombeの細胞周期タン
パク質、CDC15p(配列番号26)(Fankhauser,Cell 82:4
35−444(1995))と有意な配列ホモロジーを有する新
規な415残基分子(分子量〜47,5990Dと予測される)で
あることを説明する。このホモロジー(〜26%配列同一
性)は、哺乳動物タンパク質には見出されない酵母分子
中のおよそ500残基の大きな挿入物を除いて、両分子の
全長にわたっており、酵母タンパク質はタンパク質配列
データベース中で最も高い記録のホモロジーを有する。
数多くの性質がこれらの二つのタンパク質で観察され
ている。例えば、両者はそのカルボキシ末端でSH3ドメ
インを有し(Feng等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:12408
−12415(1995)およびPawson,(1995)上記参照)、そ
して哺乳動物SH3ドメインは、ミオシン重鎖、スペクト
リン、ホドリン、造血特異的タンパク質1(HS1)およ
びp80/85src基質、コルタクチンを含む数多くの周知の
細胞骨格調節タンパク質で見出されるものと相同である
ようである(図1B)。さらに、哺乳動物および酵母の両
者のタンパク質(Fankhauser,(1995)上記参照)は、
配列ホモロジーの基づいて、同様にProstructプログラ
ムを使用した哺乳動物配列の分析に基づいて予測される
そのN末端での潜在的なコイルドコイルドメインを含む
(図1C)。これらのコイルドコイルドメインの中には、
酸性および塩基性残基(哺乳動物タンパク質の99−180
残基)の著しい含有量を有する領域が存在する。哺乳動
物タンパク質は、チロシンホスファターゼとの相互作用
に基づいて単離されたため、該タンパク質はチロシンリ
ン酸化されていると考えられ(以下参照)、哺乳動物お
よび酵母配列の調査により、5の保存的なチロシン残基
が明らかにされた(哺乳動物タンパク質の53,191,587,3
67および369位)。最後に、SH3結合部位として機能する
プロリンリッチ領域(PXXP)(配列番号27)についての
該タンパク質の調査により、これらのタンパク質におけ
る二つの上記保存的部位が明らかにされた(哺乳動物タ
ンパク質の278および323位で始まる)(Feng等,(199
5)上記参照およびPawson,(1995)上記参照)。p80/85
コルタクチン(Wu等,Mol.Cell.Biol.11:5113−5124(19
91))およびHS1(Kitamura等,Nuc.Acids.Res.17:9367
−9379(1989))は、繰り返しコイルドコイルおよびSH
3ドメインを含み、PTP HSCF相互作用タンパク質とより
離れた関係を有する二つの他の哺乳動物タンパク質であ
るが、これらの二つのタンパク質は、PTP相互作用タン
パク質から離れているように見えるそのコイルドコイル
領域で相同な37アミノ酸繰り返しを有する。哺乳動物配
列は、PESTホスファターゼPTP HSCFと相互作用する能力
に基づいて単離されたため、それはPSTPIPと名付けられ
た(PST Phosphatase Interacting Protein)。
胚形成の間のおよび成人組織におけるPSTPIPの発現の
ノーザンブロット分析が、図2に説明されている。興味
深いことに、該タンパク質は後期の段階と比較して大変
早期の7日目の胚でより高く発現されており、11日目の
胚で有意に下方調節されているようである(図2B)。該
タンパク質は、成人肺及び脾臓で比較的高く、精巣、筋
肉、腎、脳および心臓でより低いレベルで発現されてい
る(図2A)。しかしながら、アクチンブロットはPSTPIP
ブロットについて1週間で現れるのに対して4時間で現
れるため、相互作用タンパク質は、アクチンよりかなり
低いレベルである。以前に、我々および他の者は、PTP
HSCFはまた成人肺及び陣の両者で検出可能なレベルで発
現されていることを示した(Cheng等,(1996)上記参
照およびHuang等,(1996)上記参照)。
実施例2−PTP HSCFおよびPSTPIPの間の相互作用の特徴 PTP HSCFとPSTPIPの間の結合に関与する領域を特徴付
けするために、急速で直接的なインビトロ結合アッセイ
を実施した。このアッセイにおいては、ホスファターゼ
および相互作用タンパク質のそれそれの様々なGST融合
物を、同系結合タンパク質のインビトロ転写産物を沈降
するために使用した。図3は、様々なSH3ドメイン、同
様に全長PSTPIPを含むGST融合タンパク質によるインビ
トロ転写PTP HSCFの沈降により、GST PSTPIPおよびホス
ファターゼの間の相互作用における高程度の特異性が明
らかになったことを説明する。図3はまた、GST融合タ
ンパク質のこの濃度では(〜1マイクログラム/mlまた
は〜1.5マイクロモル)、PSTPIP融合タンパク質は、酵
素に対して向けられたポリクローナル抗体、またはPTP
N末端でヘマグルチニンタグに対して向けられたモノク
ローナル抗体よりも、ホスファターゼを沈降することに
ついてより効率的であるようであった(データは示され
ていない)。この結果は、GST PSTPIPとインビトロ翻訳
PTP HSCFの間の比較的高親和性相互作用に一致する(以
下参照)。
PSTPIPと相互作用するPTP HSCFの領域を、全てのPEST
Pとで高く保存されている20アミノ酸C末端ドメイン
(Yang等,(1993)上記参照,Matthews等,(1992)上
記参照,Cheng等,(1996)上記参照,Huang等,(1996)
上記参照,Aoki等,(1996)上記参照,Dosil等,(199
6)上記参照,およびKim等,(1996)上記参照)、また
はこのドメイン、同様に触媒ドメインに対してC末端の
より長いプロリン、セリンおよびトレオニンリッチ領域
のそれぞれを欠失した酵素の欠失ミュータントを作製す
ることによって同定した(図4A)。図4B−Cは、PTP HS
CFとPSTPIPの間の相互作用を完全に破壊するPTP HSCFの
C末端20アミノ酸ホモロジードメインの欠失を明らかに
する。この領域は全てのPEST PTPにおいて保存されてい
るので、PTP PEST(Yang等,(1993)上記参照)同様に
PTP PEP(Matthews等,(1992)上記参照)の両者もPST
PIPと相互作用する可能性が存する。この可能性を調査
し、同様に20アミノ酸C末端がこの相互作用について十
分であるかどうかを調べるために、三つのPEST PTPの相
同なC末端から由来する20残基長のペプチドを、PTP HS
CFとPSTPIPの間の相互作用と競合させるために使用した
(図4D)。この形態のアッセイにおいて、ホスファター
ゼのPSTリッチおよびC末端ホモロジー領域から由来す
るGST融合物は、様々な量のペプチドの存在下でインビ
トロ翻訳PSTPIPを沈降するために使用した。図4Dは、全
ての三つのペプチドが〜800nMほどの濃度で相互作用を
ブロックする一方で、PTP HSCFの異なるプロリンリッチ
領域から由来するコントロールペプチドは、相互作用を
完全にブロックしないことを説明する。これらのデータ
は、PEST PTPのこの小プロリンリッチ領域が、ホスファ
ターゼとPSTPIPの間の抗親和性相互作用を介在するのに
十分であり、さらにこれらのPTPの全てがC末端ホモロ
ジードメインを介してPSTPIPと相互作用する可能性を示
す。
C末端ホモロジー領域と相互作用するPSTPIPの領域を
調べるために、相互作用タンパク質のSH3ドメインまた
はコイルドコイルドメインのそれぞれを含むGST融合物
を、インビトロ翻訳PTP HSCFを免疫沈降するために使用
した。PSTPIPと相互作用するC末端ホモロジー領域は、
2個のオーバーラップするコンセンサスSH3(PXXP)
(配列番号27)結合部位を含み、ホスファターゼ−PSTP
IP相互作用が、SH3型結合現象である可能性に一致した
(Pawson,(1995)上記参照およびFeng等,(1995)上
記参照)。しかしながら、図5が示すように、ペプチド
実験で測定された相互作用の親和性は、SH3ドメイン−P
XXP(配列番号27)相互作用について以前に報告された
ものの多くよりも有意に高く(Feng等,(1995)上記参
照)、これらのタンパク質の間の相互作用は、驚くべき
ことにコイルドコイルドメインによって介在されるがSH
3領域によっては介在されなかった。この発見は、コイ
ルドコイルドメインのN末端に非常に近い部位で始まる
二つのハイブリッドクローンの結果と一致し、C末端プ
ロリンリッチドメインと相互作用するPSTPIP部位がN末
端を含むことを示唆する。それ故これらのデータは、PT
P HSCFのC末端プロリンリッチドメインとPSTPIPのコイ
ルドコイル領域の間の、新規で明らかな高親和性相互作
用を定義する。
実施例3−PSTPIPは、PTP HSCFホスファターゼ活性に対
する基質である PTP HSCFとPSTPIPとの間の会合は、相互作用タンパク
質がホスファターゼに対する基質であることを示唆す
る。さらに、PSTPIPと高リン酸化CDC15タンパク質の間
の数多くのチロシンの保存は、相互作用タンパク質がチ
ロシンリン酸化される可能性に一致する。図6に示され
るように、内因性PSTPIPは実際、Baf3細胞においてチロ
シンリン酸化され、このリン酸化は、チロシンホスファ
ターゼインヒビターバナジン酸塩によって有意に増大さ
れ、該タンパク質がPTP酵素によってインビボで脱リン
酸化される推定に一致する(Dixon,Ann.NY Acad.Sci.76
6:18−22(1995))。
インビボでPSTPIPをリン酸化する潜在的なチロシンキ
ナーゼはsrcである。以前のデータは、V−srcチロシン
キナーゼが、細胞骨格と会合し、完全な形態学的変化を
引き起こす細胞骨格エレメントを調節し(Cooper等,Cel
l 73:1051−1054(1993),Kaplan等,EMBO J.13:4745−4
756(1994)およびThomas等,Nature 376:267−271(199
5))、そしてp80/85コルタクチン(Wu等,上記参照,Ok
amura等,J.Biol.Chem.270(44):26613−26618(198
5),Vuori等,J.Biol.Chem.270(38):22259−22262(19
85)およびDehio等,EMBO J.14:2741−2782(1995)、PS
TPIPに構造的に類似するコイルドコイル含有結合タンパ
ク質であるSH3のチロシンリン酸化を介在する。さら
に、PSTPIPと機能的に類似するもう一つのSH3含有タン
パク質であるHS1は、様々なSRCファミリーキナーゼによ
ってチロシンリン酸化される(Yamanashi等,Proc.Natl.
Acad.Sci.USA 90:3631−3635(1993),Nada等,Oncogene
9:3571−3578(1994),Takemoto等,EMBO J.14:3403−3
414(1995)およびTakemoto等,Int.Immunol.8(11):16
99−1705(1996))。これらの結果は、該酵素の構成的
に活性な形態であるV−srcが、PSTPIPのチロシンリン
酸化を介在し、それ故相互作用タンパク質とPTP HSCFの
間の可能性のある基質相互作用の分析を許容した。この
可能性を試験するために、PSTPIPをV−srcチロシンキ
ナーゼおよびPTP HSCFの野生型またはドミナントネガテ
ィブ形態のそれぞれと共にCOS細胞内にトランスフェク
トした。ドミナントネガティブホスファターゼを、活性
部位システインからセリン(C229−S)のそれそれをミ
ューテーションで、それはチロシンに付着したホスファ
ターゼと共有結合遷移状態中間体を形成する酵素の能力
を破壊し、または重要な活性部位アスパラギン酸からア
ラニン(D197−A)のミューテーションで、それはホス
ファターゼの触媒除去を阻害する(Dixon,(1995)上記
参照,Jia等,Science 268(5218):1754−1758(1995)
およびGarton等,(1996)上記参照)の各ミューテーシ
ョンによって生産した。両者の場合で、これらのミュー
テーションは、基質に固く結合するが、それを脱リン酸
化せず、その結果は基質は過剰リン酸化される。この方
法は、PTP PEST(garton,(1996)上記参照)およびPTP
SHP−2(harbst等,Cell 85:899−909(1996))を含
む様々なPTPの数に対する基質を特徴付けするために以
前に利用されており、これらのミュータント酵素はイン
ビボで完全な基質特異性を示す。
図6B−Fに示されているように、PSTPIPは、V−src
共トランスフェクションに応答してチロシンリン酸化さ
れる。PSTPIPおよびV−src発現細胞内への野生型PTP H
SCFのトランスフェクションは、相互作用タンパク質に
おけるチロシンリン酸化の減少したレベルを引き起こ
し、ホスファターゼ酵素によるPSTPIPチロシンからリン
酸塩をインビボで除去することに一致し、それはもし相
互作用タンパク質が該酵素の基質であるならば予期され
るであろう結果である。さらにより注目すべきは、図6B
−Fはまた、PSTPIPおよびV−srcトランスフェクト細
胞内にPTP HSCFの各ドミナントネガティブ形態の共トラ
ンスフェクションが、相互作用タンパク質上のチロシン
ホスファターゼのレベルの劇的な増大を引き起こすこと
も説明する。D197−Aミューテーションは、C229−Sミ
ューテーションよりわずかに効率的なドミナントネガテ
ィブタンパク質であり、p130CASというその基質の一つ
の相互作用するPTP PESTのドミナントネガティブ形態を
使用して見出された結果と一致する(Garton,(1996)
上記参照)。
インビトロ結合研究に加えてこれらの結果は、PSTPIP
とPTP HSCFの間の直接的な物理的相互作用を示唆し、図
6B−Fはまた、同系結合タンパク質上のエピトープタグ
に対する抗体によってPSTPIPまたはPTP HSCFのそれぞれ
の共沈降物を示すことによるこれらのタンパク質のイン
ビボ物理的会合を説明する。それ故これらのデータは、
PSTPIPがインビボでPTP HSCFと相互作用すること、およ
びこの相互作用がV−srcキナーゼによって修飾された
チロシン残基を脱リン酸化することをホスファターゼに
許容することの結論と一致する。さらに、チロシンリン
酸化PSTPIPはV−srcを使用してトランスフェクトされ
た細胞でのみ観察されるために、これらのデータはま
た、COS細胞がPSTPIPをチロシンリン酸化する細胞キナ
ーゼにおいて欠失していること、およびこれらの細胞に
おける該タンパク質の劇的な過剰発現が、内因性チロシ
ンリン酸化機構を圧倒することを示唆する。
実施例4−PSTPIPの細胞内局在 S.pombe CDC15pを、細胞分裂後の核の領域に移動
し、アクチンリッチ切断溝の形成を開始するまで、皮層
アクチン細胞骨格と会合させる(fankhauser,(1995)
上記参照)。該タンパク質は、それが皮層アクチンを含
む細胞の領域に戻ってくる場合、細胞分裂の完成まで、
切断溝に会合したままである。内因性PSTPIPの細胞内局
在を分析するために、3T3細胞を該タンパク質のGST融合
物に対して向けられたアフィニティー精製ポリクローナ
ル抗体を使用して染色した。図7は、相互作用タンパク
質が細胞におけるいくつかのアクチン含有部位に共局在
することを説明する。大部分の該タンパク質は、細胞膜
の細胞内の側の皮層アクチン細胞骨格と会合しているよ
うである。該タンパク質はまた、アクチン張線維と、同
様にアクチンを含有する細胞のラメリポディウム領域内
で共局在するようである。
さらに、CHO細胞内へのPSTPIPのトランスフェクショ
ンは、焦点の接触の部位での発現を明らかにした(デー
タは示されていない)。これらの結果は、PSTPIP関連タ
ンパク質p80−85コルタクチンと対照的であり、それは
皮層アクチンおよび張線維の末端で局在するが示される
が、張線維そのものではない(Wu等,(1991)上記参
照)。S.pombe CDC15pの場合のように(Fankhauser,(1
995)上記参照)、これらのデータはPSTPIPが細胞周期
の非細胞質分裂期の間細胞骨格アクチンと会合すること
を示唆する。
重要なことに、細胞質分裂を受けている細胞を調べる
と、内因性PSTPIPが切断溝に主に会合していることが明
らかである(Fishkind等,Current Opinion in Cell Bio
logy 7:23−31(1995)およびFankhauser,(1995)上記
参照)。図7に示されるように、PSTPIPとアクチンリン
グの両者は、分裂中の細胞のこの領域に共局在する。図
7はまた、切断溝中のPSTPIPが、切断溝を構成するよう
に機能する膜結合Fアクチンと主に会合していることを
説明し(Fishkind,(1995)上記参照)、切断溝に垂直
に位置する切片の研究によりこれが支持され、切断溝の
構築中の細胞膜に付着したPSTPIPおよびアクチンの両者
を含むドーナッツ上の構造が示される(データは示され
ていない)。皮層関連アクチンおよびPSTPIPの多くは、
細胞質分裂の間切断溝に移動することは図7から明らか
であり、その結果は酵母CDC15pおよびアクチンで観察さ
れたものと著しく類似する(Fankhauser,(1995)上記
参照)。それ故、これらの細胞内局在データは、PSTPIP
が切断溝の調節に潜在的に関与するアクチン結合タンパ
ク質である結論に一致する。
実施例5−過剰発現PSTPIPによる糸状足誘導 PSTPIPが切断溝で演じている一つの役割は、重合化ア
クチンの認識である(Cao等,J.Cell Biol.111:1905−19
11(1990a),Cao等,J.Cell Biol.110:1089−1095(1990
b),Fishkind等,J.Cell Biol.123(4):837−848(199
3)およびFishkind,(1995)上記参照)。アクチン集合
におけるPSTPIPの可能性のある機能を調べるために、3T
3細胞を、強力なサイトメガロウイルスプロモーターの
制御の下で該タンパク質のエピトープタグ化バージョン
を使用してトランスフェクトし、トランスフェクトされ
た細胞を引き続きトランスフェクトPSTPIP同様にFアク
チンの発現について調べた。図8に示されるように、ト
ランスフェクトされたOSTPIPを発現する正常形態を有す
る3T3細胞は、Fアクチンと皮層表面での該タンパク質
の共局在、同様にラメリポディウム構造とFアクチン張
線維を示し、内因性PSTPIP局在を調べた得られたデータ
と一致した(図7参照)。図8はまた、該タンパク質の
過剰発現がしばしば、それを発現する細胞の高パーセン
トで著しい形態変化を誘導することを説明する。これら
の細胞は、重合化アクチンで満たされた伸長した糸状足
様構造を含む。多くの場合、該構造は〜150ミクロンよ
り長い長さであり、それらはしばしばノブのような形態
を示した。さらに、細胞の大多数は、単一の伸長した糸
状足構造を含んだ。この構造は、有意な細胞増殖または
細胞膜合成の不存在下でおそらく生産されるようであ
る;該茶房体のザン体のサイズは、糸状足構造の長化し
たものと付随して劇的に減少しているようであるためで
ある。このタイプの細胞形態は、グリーン蛍光タンパク
質のトランスフェクションでは決して観察されず(デー
タは示されていない)、図8はそれが通常の伸長した非
トランスフェクト細胞の形態とは大変異なることを説明
する。要約すると、これらの結果は、インビボでのPSTP
IPの非制御的な発現が伸長した糸状足様構造の誘導を引
き起こし、該タンパク質が皮層細胞骨格の不適切な重合
化を誘導する可能性と一致する。
実施例6−PSTPIPにおけるN末端欠失 物質と方法 欠失ミュータジェネシス PSTPIP分子における欠失を、アミノ末端とカルボキシ
末端の両者から作製した。該欠失物を、もともともPSTP
IP発現ベクター内に戻してライゲートしたpfu−PCRから
構築した(Spencer等,(1997)上記参照)。N末端欠
失物に対するPCRプライマーは(全て5'から3'): C末端欠失物に対するプライマーは: プライマーN−coil.1は、C末端欠失物に対する5−プ
ライマーPCRプライマーとして共通に使用される。
PSTPIPおよびPTP HSCF相互作用のインビトロおよびイン
ビボ分析 様々なPTP HSCFおよびPSTPIP構築物の間のインビトロ
結合分析を、以前に記載されたように実施した(Spence
r等,(1997)上記参照)。略記すると、TnT Rabbit Re
ticulocyte Lysate System(Promega)を使用してプラ
スミドをインビトロで転写し翻訳する。サンプルを、50
mM HEPES,pH7.21%トリトンX−100,10%グリセリン,10
0mM NaCl,および2μg/mlのロイペプシン、ペプスタチ
ン、アプロチニンおよびPNSF(溶解バッファー)中で希
釈した。それからサンプルを様々な濃度でGST融合タン
パク質と反応させ、結合タンパク質をグルタチオン−セ
ファロースビーズを使用して遠心分離し、SDSポリアク
リルアミドゲル上で分析した。C末端由来ペプチド阻害
研究を、10μg/mlの示されたペプチドの存在下でGST融
合タンパク質結合反応物をインキュベートすることによ
って実施した。ペプチドを以前に記載されたようにFMOC
保護アミノ酸によって生産した(Spencer等,(1997)
上記参照)。PTP HSCFおよびPSTPIPの様々な形態のもの
の間でインビボ相互作用もまた以前に記載されたように
実施した(Spencer等,(1997)上記参照)。略記する
と、COS細胞を様々な構築物を使用してトランスフェク
トし、48時間後溶解物を調製して、PSTPIPのC末端に含
まれるFLAGエピトープ、またはPTP HSCFのN末端に含ま
れるHAエピトープのそれぞれに対する抗体を使用して免
疫沈降した。生成ブロットを、PSTPIPを検出するために
抗FLAG、PTP HSCFを検出するための抗HA、または各タン
パク質中のこの修飾アミノ酸のレベルを検出するための
抗ホスホチロシンを使用してプローブした。
トランスフェクト細胞の共焦点顕微鏡 共焦点顕微鏡を、以前に記載されたように実施した
(Soencer等,(1997)上記参照)。略記すると、チェ
ンバースライド中のCHO細胞を、リポフェクタミンおよ
び示されたプラスミドを使用してトランスフェクトし
た。48時間後、細胞をホルムアルデヒドを使用して固定
し、抗FLAGエピトープ特異的抗体(Kodak)およびフル
オレセイン−ファロイジン(Molecular Probes)を使用
して染色した。抗フラッグ染色細胞を洗浄し、Cy3−接
合ヒツジ抗マウスIgGを使用して染色した。染色細胞
を、Molecular Dynamics Confocal Microscope(2001)
を使用して観察し、ImageSpaceソフトウェアー(Molecu
lar Dynamics)を使用して分析した。
結果 PSTPIPは、酵母トゥーハイブリッドスクリーニングに
おいて、PEST型PYP、PTP HSCFの結合パートナーとして
もともと単離された。興味深いことに、この方法で単離
されたクローンの全てが、PSTPIPのN末端の10−15アミ
ノ酸以内で始まり、N末端がPTP HSCFに対する結合のた
めに重要であるという提案と一致した。この可能性を調
べるために、PSTPIPコイルドコイルドメインのN末端の
25(delta25)、50(delta50)、75(delta75)のアミ
ノ酸を欠失物を作製した。これらの欠失ミュータント
を、インビトロ転写/翻訳によって生産し、プロリンリ
ッチPSTPIP結合部位を含む、PTP HSCFのC末端149アミ
ノ酸を含むGST融合タンパク質(GST−PTP HSCF)に対す
る結合について試験した。図9に示されるように、PSTP
IPの全長およびdelta25形態は、GST PTP HSCF融合タン
パク質と相互作用することができる一方で、delta50お
よびdelta75形態はできなかった。結合のこの欠如は、
現実の結合部位の欠失、または該タンパク質のミスホー
ルディングのそれぞれのためである。PSTPIPの全長(図
10)またはコイルドコイルドメインのそれぞれのトラン
スフェクションは、皮層アクチン細胞骨格およびラメリ
ポディウムと該タンパク質の共局在を引き起こし、正確
なホールディングタンパク質がおそらく必要とされる現
象であろう。それ故、PSTPIPのミュータント形態の細胞
局在の分析は、該タンパク質の正確なホールディングに
対するアッセイを利用することができる。図10は、PSTP
IPの野生型およびdelta25形態の両者が、皮層アクチン
細胞骨格と主に共局在する一方で、該タンパク質のdelt
a50およびdelta75形態は、両方とも細胞室内で大きな凝
集物を形成し、皮層局在を表さないすることを示し、こ
れらの欠失ミュータントが正確にホールディングされて
いないという仮説に一致する。これらのデータは、もと
もとのトゥーハイブリッドアッセイの結果と一致し、そ
れらは、PSTPIPのN末端が、PTP HSCFに結合することが
可能な正確にホールディングされたタンパク質の形成に
必要であることと一致する。
議論 タンパク質チロシンホスファターゼによる多様化した
細胞タンパク質のチロシンリン酸化の調節は、細胞調節
の重要な態様である(NeelおよびTonks,Opin.Cell Bio
l.,9(2):193−204(1997))。これらの酵素的な脱
リン酸化の多くは、SH2型ドメインによるホスホチロシ
ン残基の認識、同様に該酵素の触媒ドメインによる該基
質の直接的な認識によって介在される(Garton等,(19
96)上記参照;Saxton等,EMBO J.16(9):2352−2364
(1997))。ここで我々は、以前に記載されたSH3−お
よびWW−型ポリプロリン結合分子から多様化したPSTPIP
という細胞骨格会合タンパク質におけるトリプトファン
含有部位によって、PTPのC末端でプロリンリッチモチ
ーフの認識に関与するチロシンリン酸化の調節のための
新規な機構を記載する。このタンパク質−タンパク質相
互作用は、PSTPIPホスホチロシンの脱リン酸化に対して
必要であると思われるので(spencer等,(1997)上記
参照)、それは細胞骨格の調節のための潜在的に重要な
新規な機構である。
プロリンリッチヘリックスにおけるSH3およびWWドメ
インの両者によって利用される機構は、X線結晶解析、
NMRおよび部位特異的突然変異誘発を使用した構造−機
能分析を通じて解明されている。SH3ドメインは、他の
タンパク質ドメインの不存在下で発現する場合正確にホ
ールディングされるようである高く構造的な60アミノ酸
の長い分子より成り、この短いモチーフは比較的高親和
性を有するプロリンリッチペプチドに結合することが可
能である(Terasawa等,Nat.Struc.Biol.,1:891−897(1
994);Wittekind等,J.Mol.Biol.267(4):933−952;Fe
ng等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:12408−12415(199
5))。WWドメインはまた比較的小さく(〜38アミノ
酸)、他の分子の不存在下で発現された場合活性タンパ
ク質を形成することが可能な高く構造的なモチーフであ
る(Macias等,Nature 382:646−649(11996))。これ
は、PSTPIPで見出されるポリプロリン認識配列とは対照
的である。この場合、該タンパク質のN末端50アミノ酸
の欠失は、PTP HSCFのC末端プロリンリッチドメインに
結合しない明らかなミスホールド分子を引き起こす。こ
れらのデータは、このタイプのポリプロリンリッチドメ
インが、SH3またはWWモジュールのそれぞれより、相互
作用の大きな複雑性を必要とする可能性と一致する。
実施例7−PSTPIPのミューテーション分析 物質および方法 PSTPIPのミュータジェネシスを、Dut/Ung-法を使用し
て実施した(BioRad Laboratories,Richmond,CA)。ミ
ューテーションを、ミューテートクローンの同定のため
に加工された新たな認識部位と共に、およそ12アミノ酸
離れて導入した。プライマーアニリングを、70℃で10
分、37℃で10分、室温で5分実施し、T7 DNAポリメラー
ゼを加える前に氷上に置いた。PSTPIPアラニンスキャン
のために使用されたプライマーは以下のものであった
(全て5'から3'): PSTPIPのPTP HSCF結合ドメインの領域内のシステインも
また、以下のプライマーを使用してアラニンにミューテ
ートした(全て5'から3'): PSTPIPおよびPTP HSCF相互作用のインビトロおよびイ
ンビボ分析並びにトランスフェクト細胞の共焦点顕微鏡
を、実施例6に記載されている様に実施した。
v−Src介在性PSTPIPチロシンリン酸化の分析 COS細胞を、PSTPIPの野生型またはW232Aミュータント
の一定量を使用してトランスフェクトし、v−Srcチロ
シンキナーゼをコードするプラスミドの増大する量を使
用して共トランスフェクトした(Spencer等,(1997)
上記参照)。プラスミド濃度を、CMVプロモーターを含
む空のベクターに等しくした。48時間後、溶解物を調製
し、抗FLAGモノクローナル抗体を使用して免疫沈降し
た。沈降物をSDSポリアクリルアミドゲル上で移動さ
せ、ブロットし、以前に記載されたように抗FLAG抗体ま
たは抗ホスホチロシン抗体のそれぞれを使用してプロー
ブした(Spencer等,(1997)上記参照)。結合抗体
を、促進した化学蛍光試薬を使用して顕視化した。
結果 PSTPIPコイルドコイルドメイン内の結合部位をより急
速に定義するために、クラスターおよびポイントミュー
テーションの集合体を該ドメイン内に生産した。予備欠
失マッピングは、PTP HSCFの結合がコイルドコイルドメ
インの1−264アミノ酸を含むPSTPIPの形態を使用して
得ることができたことを示唆し、それ故ミュータジェネ
シスは、該タンパク質のこの領域に確認された。タンパ
ク質ホールディングは、PTP HSCFの結合に必須であるよ
うであるため(図9および10)、該タンパク質のこの部
分内の全ての6個のシステイン残基をセリンにミューテ
ートし、生成ミュータントを、PTP HSCF GST融合タンパ
ク質との相互作用について試験した。個々のシステイン
残基の除去は、これらの二つのタンパク質の結合に影響
しないようであり、該タンパク質が個々のシステインの
不存在下で正確にホールディングし機能することを示唆
した(データは示されていない)。それ故、PSTPIPのさ
らなるミューテーション分析を、PTP HSC F結合に潜在
的に直接関与する領域(類)を同定するために実施し
た。クロスターアラニン置換を、PSTPIPコイルドコイル
を通過するおよそ12アミノ酸の間隔で生産し、各ミュー
タントをPTP HSCF GST融合タンパク質に対する結合に対
して引き続き試験した。L26QR,D38VE,E50ER,R62K,R73T
S,N86VG,R99EE,E110RQ,I122MD,L133YK,D145QK,E159RV,Q
169VE,E184SおよびR194QMのクラスター残基の、個々に
アラニンへのミューテーションは、インビボでこれらの
二つのタンパク質の結合活性において全くまたは小さな
変化のそれぞれしか生じなかった(データは示されてい
ない)。以前の表記では、最初の一文字アミノ酸コード
に引き続く次の数字は、アラニン置換が始まる配列番号
1中のアミノ酸位置を示す一方、引き続く一文字アミノ
酸コードは、各個々のクラスター中のアラニンによって
置換された他の一致したアミノ酸を示す。図1は、PSTP
IPの232位でトリプトファンのアラニンへのミューテー
ションが、インビボでPTP HSCF GST融合タンパク質への
結合の完全な欠損を引き起こすことを説明する。さらに
図12は、COS細胞内へのPTP HSCFと野生型PSTPIPの共ト
ランスフェクションが、以前に記載されたように該タン
パク質のインビボでの会合を引き起こす(Spencer等,
(1997)上記参照)一方で、PSTPIPのW232Aミュータン
トの共トランスフェクションが、インビボでの会合の完
全な欠損を引き起こすことを示し、インビトロでの結合
研究と一致した。予測されたように、PSTPIPのミュータ
ント非結合形態は、PTP HSCFのドミナントネガティブCy
s−Serミュータントによってもはや「構造的にトラッ
プ」されなくなるが(Jia等,(1995)上記参照;Garton
等,(1995)上記参照;Flint等,(1997)上記参照;Spe
ncer等,(1997)上記参照)、それはv−Src(図4)
またはペルバナジン酸(データは示されていない)の存
在下で明らかにチロシンリン酸化される。それ故、野生
型PSYPIPが、PTP HSCFのドミナントネガティブ基質トラ
ッピング形態(PTP HSCF C−F)の存在下で増大したチ
ロシンリン酸化を示す(Jia等,(1995)上記参照;Gart
on等,(1996)上記参照;Flint等,(1997)上記参照;S
pencer等,(1997)上記参照一方で、PST PIPW232Aミュ
ータントは、該酵素のこのミュータント形態の存在下で
過剰リン酸化されなかった(図12)。以前の結果は、ト
リプトファン、芳香族および疎水性残基が、WW型ドメイ
ン中の他の残基の場合において正確に並んでいることが
見出される場合、プロリンリッチドメインの認識に関与
していることを示唆したため、(Macias等,(1996),
上記参照;Chen等,(1997),上記参照)、我々は、W23
2の近傍のこれらの残基に対するPSTPIP配列を調べた。
この実験により、W232は205位のもう一つのトリプトフ
ァンに対して27アミノ酸C末端側であることが明らかと
なった。さらに、フェニルアラニン(F221)およびロイ
シン(L224)残基もまた、WWモチーフを連想させる間隔
を有してW232残基の近傍に位置する(Andre等,Biochem.
Biophys.Res.Comm.205(2):1201−1205(1994)。し
かしながら、これらの残基がアラニンにミューテートさ
れた場合、PTP HSCF結合に対する何の効果もインビトロ
で観察されなかった(図11)。それ故、PTP HSCFプロリ
ンリッチモチーフの認識におけるW232の関与と共に、こ
れらの二つのトリプトファン残基の並置がWWモジュール
を連想させる一方で、WW型ドメインについて記載された
コンセンサス配列に対するこれらの近傍トリプトファン
を含む領域の比較(Andre等,(1994)上記参照)は、W
Wモジュール内の保存された残基のほとんどが、PSTPIP
のこの領域で見出されないことを明らかにした(データ
は示されていない)。さらに、PSTPIP中の二つのトリプ
トファン残基の間隔は、典型的なWW型モチーフで見出さ
れるものより幾分長い(PSTPIPについて27アミノ酸であ
るのに対し、コンセンサスWWドメインについて〜22アミ
ノ酸)。最後に、重要なトリプトファンのミューテーシ
ョンが、delta50および75欠失ミュータントで観察され
たように(図10)、タンパク質ホールディングに対する
大きな効果を引き起こさないことを確認するために、W2
32AミュータントをCHO細胞にトランスフェクトし、共焦
点顕微鏡で観察した。図10に示されるように、このミュ
ータントタンパク質は、野生型タンパク質から区別可能
である方式で皮層アクチン細胞骨格と共局在しているよ
うに見え、W232Aミュータントがインビボで正確にホー
ルディングされている仮説と一致した。それ故これらの
データは、232トリプトファン残基がPSTPIPとPTP HSCF
の間の相互作用に直接関与していることを示唆する。さ
らに、W232は典型的なWWモジュールに位置しているよう
には見えないので(Andre等,(1994)上記参照)、そ
れらはまた、この領域がタンパク質−タンパク質認識モ
チーフの新規なタイプを定義することも示唆する。
以前に我々は、PSTPIPが、v−Srcチロシンキナーゼ
と共トランスフェクトされた場合チロシンリン酸化され
ることを示した(Spencer等,(1997)上記参照)。さ
らに我々は、チロシンリン酸化PSTPIPが、野生型または
ドミナントネガティブHSCFのそれぞれによって、脱リン
酸化または「基質とラッピング」に対する基質であるこ
と、および基質トラッピング活性が、PTPのC末端プロ
リンリッチ領域によって介在される二つのタンパク質の
間の相互作用を必要とすることを示した(Spencer等,
(1997)上記参照)。我々はまた、内因性チロシンキナ
ーゼ(類)が、BaF3およびトランスフェクトCOS細胞の
両者においてPSTPIPを用いてチロシンをリン酸化するこ
とができ、および内因性チロシンホスファターゼ(類)
はこれらのチロシン残基を脱リン酸化可能であることを
示した。さらに、図12に示された予備的証拠は、W232A
ミュータントが、v−Srcの存在下で野生型PSTPIPより
も効率的にリン酸化されることを示唆した。v−Src−
誘導チロシンリン酸化におけるW232残基の役割をより質
的に調べるために、我々は、増大する量のv−Src発現
プラスミドと共にPSTPIPの野生型およびW232Aミュータ
ントの一定量をCOS細胞内にトランスフェクトし、引き
続き免疫沈降PSTPIPにおけるホスホチロシンのレベルを
分析した。図15は、PTP HSCFに結合できないPSTPIPのW2
32Aミュータント形態が、PTP結合野生型タンパク質より
もインビボでv−Srcの存在下で有意により効率的にチ
ロシンリン酸化されることを説明し、図12に示された最
初のデータを確認する。これらのデータは、PSTPIPがCO
S中の内因性PEST型PTPと相互作用するようであり、それ
によって脱リン酸化され、W232Aミュータントで観察さ
れるように、この相互作用の欠損は、v−Srcの存在下
で該タンパク質の増大したチロシンリン酸化を引き起こ
すという仮説と一致する。
議論 WWドメインによるリガンド認識に対する全体の構造の
重要性は、重要なトリプトファン認識残基に対してC末
端側であるプロリンのミューテーションによって強調さ
れる(Chen等,(1997),上記参照)。全てのWWモチー
フで保存されているこの残基のアラニンへのミューテー
ションは、主に該ドメインのホールディングを破壊する
ために、不活性なWWモジュールを引き起こす。PSTPIPポ
リプロリン認識配列は、高く保存されたプロリンを欠失
し(Spencer等,(1997),上記参照)、該タンパク質
中の他の残基が、リガンド結合部位の形成に関与する可
能性と一致する。PSTPIP中のポリプロリン認識配列を含
む領域は、コイルドコイルを形成すると予想されるドメ
イン内に存在するという発見は潜在的に重要であり、予
備データはPSTPIPのこの領域が、コイルドコイル含有タ
ンパク質の特徴である二量体化を介在することを示唆す
る。実施例6で議論されたN末端欠失研究の結果と共に
これは、この相対的に伸長したドメインの全体のホール
ディングが、正確な構造をとったポリプロリン認識部位
の形成に必須であることを示唆する。
これらの結果は、PSTPIPポリプロリン認識ドメイン
が、SH3およびWWモジュールとは機能的および構造的に
多様化していることを示唆する一方で、これらの結合モ
チーフの間の興味深い連結は、全ての三つのドメイン中
の重要なトリプトファン残基の結果である。SH3およびW
Wモチーフの両者において、これらのトリプトファン
は、今までに同定されている該モジュールの全てにおい
て保存されている。SH3(Feng等,Science266:1241−124
7(1994))およびWW(Cheng等,(1997)上記参照)モ
チーフの両者において、トリプトファンは、この残基の
ミューテーションが結合の破壊を引き起こすために、プ
ロリンリッチペプチド内での相互作用に必須であるよう
である。興味深いことに、これはまた、PSTPIPプロリン
リッチ認識部位の場合でも存在し、トリプトファン残基
がポリプロリン立地ドメインの認識に対して独特に適し
ている可能性に一致する。SH3およびWWドメインの両者
由来の構造的データは、この仮説を確認する。SH3ドメ
インの場合では、保存されたトリプトファン残基が、結
合ポケット中で見出され、この残基はプロリンリッチリ
ガンド中のヘリックス配向プロリンと重なることによっ
て相互作用するようである(Feng等,(1994)上記参
照;Terasawa等,(1994)上記参照;Wittekind等,(197
7)上記参照)。yesキナーゼ会合タンパク質(YAP)由
来のWWドメインのNMR分析(Sudol等,J.Biol.Chem.270
(24):14733−14741(1995)は同様に、保存されたト
リプトファン残基およびこのタンパク質によって認識さ
れるプロリンヘリックス中のプロリンの間の相互作用を
明らかにしたが、この保存されたトリプトファンは、結
合ポケットの構造と関与する可能性も存在する(Macias
等,(1996),上記参照;Chen等,(1997)上記参
照)。PST PIPのコイルドコイル領域中の単一のトリプ
トファンのミューテーションは、ホスファターゼに対す
るインビトロおよびインビボの両者の結合を破壊すると
いう事実は、このトリプトファン残基が、PEST PTPのC
末端中の潜在的なヘリックス配向プロリンと同様に相互
作用するという仮説と一致する。代わりに、この疎水性
残基のアラニンへの置換は、該タンパク質のミスホール
ディングを引き起こす可能性も存在する。しかしなが
ら、W232Aミュータントタンパク質が、不正確にホール
ディングされたならば、それは未だ細胞骨格と会合する
ことが可能であり、トランスフェクトv−SrcまたはPTP
インヒビター、ペルバナジン酸塩の存在下でチロシンリ
ン酸化されるため、これは局在の破壊のみ存在するよう
である。興味深いことに、PTP HSCFに対するPTP HSCFの
結合の関与する重要なトリプトファンに対して、N末端
に位置するトリプトファンは、リガンド認識に必要では
ないようであり、その結果はYAP中のWWドメインのN末
端トリプトファンについて見出されるものと同様である
(Chen等,(1997)上記参照)。最後に、特に疎水性お
よび芳香族側鎖を有する数多くの他の残基が、SH3[1
0][8][9]およびWW(macias等,(1996)上記参
照;Chen等,(1997)上記参照)ドメインの両者による
プロリンリッチリガンドの認識に関与している一方で、
PSTPIP中の二つの上記残基(F221およびL224)のミュー
テーションは、結合に対する有意な効果を有さず、PSTP
IPのポリプロリン認識ドメインがWWモジュールから多様
化する仮説に一致する。
PSTPIPの機能におけるW232の存在的な需要性は、v−
Srcチロシンキナーゼと共にCOS細胞中にW232Aミュータ
ントを発現することが、細胞骨格会合タンパク質の増大
したチロシンリン酸化を引き起こすという発見によって
強調される。これらのデータは、PSTPIPがインビボで内
因性PTPと相互作用し、この相互作用がチロシン残基か
らリン酸塩を取り出すことを介在するという仮説に一致
する。さらに、このミューテーションが、C末端プロリ
ンリッチドメインを介してPEST型PTP HSCFの結合をブロ
ックするために、これらの結果は、PSTPIPがCOS細胞中
の一つ以上の内因性PEST型チロシンホスファターゼと相
互作用する可能性を示唆する。しかしながら、該タンパ
ク質は、内因性PEST型PTPを効率的に結合できないよう
であるため、なぜW232Aミュータントが、v−Srcの不存
在下で構成的にチロシンリン酸化されないのかという疑
問が残る。適切なチロシンキナーゼがCOS再オブ内に存
在しないことが議論されている一方で、我々は以前に、
BaF3細胞における内因性状態のバナジン酸塩の存在下
で、同様にCOS細胞内にトランスフェクトされた場合で
も、該タンパク質がチロシンリン酸化されることを示し
た(Spencer等,(1997)上記参照)。これらのデータ
の予想される説明は、PSTPIPをリン酸化するキナーゼ
は、この修飾を介在するためのチロシンリン酸化のよう
な活性化現象を必要とすることである。それ故、構成的
な活性化チロシンキナーゼである[33]v−Srcは、バ
ナジン酸塩の不存在下でW232Aミュータントのチロシン
リン酸化を介在することが予測されるであろう。さらに
該データは、バナジン酸塩が、PSTPIPのチロシンリン酸
化を引き続き介在する、内因性チロシンホスファターゼ
をおそらく阻害することによって、内因性チロシンキナ
ーゼ(類)を活性化するに違いないことを示唆する(Ji
a等,)1995上記参照)。
実施例8−PTP HSCFのミューテーション分析 物質と方法 ミュータジェネシス アラニンへの単一のコドンミューテーションを、実施
例7に記載された方法に引き続きPTP HSCFのカルボキシ
末端で作製し、以下のプライマーを使用した(全て5'か
ら3'): R444+W450ダブルミュータントを、R444ミュータントホ
スファターゼの一本鎖テンプレート上のHSCF W450プラ
イマーを使用して作製した。該ミュータントを、DNAシ
ークエンシングによって全て確認した。
他の方法を、前記実施例に記載されたように実施し
た。
結果 PSTPIP結合に必須であるPTP HSCFのC末端20アミノ酸
領域内の残基を分析するために、各位置の別々に取り込
まれたアラニンを有する20アミノ酸ペプチドを、インビ
トロでの相互作用のブロッキングについて試験した。以
前に我々は、三つの異なるPEST型PTPのこの領域から由
来する20アミノ酸ペプチド(Yang等,J.Biol.Chem.268
(12):17650(1993);Matthews等,(1992)上記参照;
Cheng等,(1996)上記参照)が、C末端プロリンリッ
チ結合部位を含むC末端149アミノ酸を含有するPTP HSC
FのGST融合物(GST PTP HSCF)(Spencer等,(1997)
上記参照)に対するPST PIPのインビトロ翻訳形態の結
合を効率的にブロックすることができることを示した。
図13は、PTP HSCFのC末端から由来するペプチドにおけ
るR436,P440,G442,P443,R444,P447およびW450の個々の
アラニン置換が、該ミュータントペプチドによる結合の
減少した阻害を引き起こす一方、該ペプチド内の他の部
位のアラニン置換は、インビトロで相互作用をブッロク
するためのこれらのペプチドの能力にほとんどまたは全
く影響しないことを示した。重要なことに、これらの残
基は、PEST型PTP C末端の全てにおいて保存されており
(Yang等,(1993)上記参照;Matthews等,(1992)上
記参照;Cheng等,(1996),上記参照;Kim等,Oncogene
13:2275−2279(1996))、ホスファターゼのこのファ
ミリーの他のメンバーから由来するペプチドは全て、こ
の相互作用を有効にブロックすることを示す以前のデー
タと一致した(Spencer等,(1997),上記参照)(図1
3)。ペプチドミューテーション分析を確認するため
に、PTP HSCF C末端領域においてPST PIP結合に対して
重要であることが見出されている各残基を、全タンパク
質においてアラニンにミューテートし、PST PIPを結合
する各ミュータントPTPの能力を、インビトロおよびイ
ンビボで分析した。図14は、完全にアラニンを含むが、
ペプチドマッピング研究から予測される位置の一つでア
ラニンを含まないホスファターゼのミュータントが、イ
ンビトロ結合アッセイにおいてGST PST PIPに対する結
合について実質的に欠損しているが、GST PST PIPの10
倍の増大した量が、ミュータントPTP HSCFタンパク質と
相互作用することができることを示し、結合の部分的な
欠陥のみを示唆した。さらに、PTP HSCFのこの領域にお
ける二つの必須残基(R444およびW450)のダブルミュー
テーションの生産は、PST PIPに対する結合についての
より強い阻害効果を引き起こした(図14)。これらのポ
イントミューテーションのインビボ分析により、PTP HS
CFの単一のミューテーションにおける結合に対する最も
穏やかな効果のみが明らかになり、PST PIPの十分に高
レベルが、ミュータントタンパク質と相互作用すること
が可能であることを示唆するインビトロデータと一致し
た。しかしながら、インビトロ実験で観察されたよう
に、PTP HSCFの二重にミューテートされた形態(R444+
W450)は、完全なC末端プロリンリッチドメイン(PTP
HSCF D24)を欠いているミュータントと、PST PIPに関
するインビトロ相互作用について同じくらい貧弱であっ
た(Spencer等,(1997)上記参照)。これらのデータ
は、結合相互作用に対するこれらの残基の重要性を確認
し、それらは、PTP HSCFのC末端領域の多くが、PST PI
Pに結合する最高の親和性に必要であることを示唆す
る。
議論 PTP HSCFのプロリンリッチドメインのミューテーショ
ン分析は、PST PIP結合部位が新規なポリプロリン認識
モジュールであるという提案と適合的である。これらの
データは、ホスファターゼにおける結合部位が、R436か
らW450のおよそ15残基の長さにわたっているようである
ことを示す。これは、ミュータジェネシス、X線結晶解
析およびNMR分析が、10−12(Feng等,(1994),上記
参照;Terasawa等,(1994)上記参照;Wittekind等,(1
997)上記参照)または6(Macias等,(1996)上記参
照;Chen等,(1997)上記参照)残基の長さがそれぞれ
最高親和性相互作用に必要である、SH3およびWWドメイ
ン認識部位上の構造的残基と対照的である。さらに、PS
T PIPポリプロリン認識ドメインが、二つの相対的に近
接に位置したトリプトファンを含む点で、WWモジュール
と大変同様であるようである一方で、WWモチーフに認識
されるリガンドは、重要な認識機能を実施するプロリン
とチロシンの両者を有する一般的構造、XPPXYを有する
ことが見出されている(Chen等,(1995)上記参照;Ein
bond等,FEBS Letts.384:1−8(1996);Macias等,(19
96)上記参照;Pirozzi等,J.Biol.Chem.272(23)14611
−14616(1996))。PTP HSCFポリプロリン領域は、二
つの近接するプロリン残基を含み、その一つは結合に関
与することが見出されているが、第二のプロリンのC末
端にはチロシン残基は存在しない。これらの結果は、PS
T PIPによるPTP HSCFポリプロリンドメインの認識が、S
H3およびWWモジュールによって利用される機構とは大変
異なることを示唆する一方、強い類似性が近接に位置す
るプロリン残基の関与で見出されている。同様な類似性
は、SH3認識部位におけるプロリンについて見出されて
いる(Feng等,(1994)上記参照)一方、量的に測定さ
れていないがWW認識部位におけるこれらの残基のミュー
テーションもまた結合に影響することを示した(Chen
等,(1997),上記参照)。再びいうと、その同系のリ
ガンドに結合するSH3およびWWモジュールの構造的分析
は、結合におけるこれらのプロリンの役割を説明する。
これらのモチーフの両者の場合において、該リガンド
は、ヘリックス領域内の残基と認識モジュール内の保存
された側鎖の間の相互作用を許容する二型ポリプロリン
ヘリックス構造を採用する(Feng等,(1994),上記参
照;Feng等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:12408−12415
(1995))。PST PIP C末端領域におけるプロリンのミ
ューテーションは、結合に対する影響を引き起こすの
で、この領域は適切な構造における関連側鎖を配置する
二型プロリンヘリックスをも形成するようである。さら
に、そしてSH3およびWW認識モチーフとは対照的に、こ
の領域内のグリシンもまた、PST PIPに対する結合に関
与しているようである。グリシン残基もまたペプチド構
造のメディエーターであるため、この残基がこの小領域
を適切な構造にホールディングするように機能し、この
小ペプチドがPST PIPに大変効率よく結合するようにす
る残基を誘導する高密度の構造である可能性が存する
(Spencer等,(1997)上記参照)。重要なことに、ミ
ュータジェナイズ研究により、ポリプロリンリガンドに
対するSH3およびWWモチーフの両者の結合におけるヒプ
ロリン残基の重要性が明らかとなった。WWドメインの場
合、該リガンドの保存的チロシン残基は相互作用につい
て重要であり、結合モジュールと直接接触する一方で
(Macias等,(1996),上記参照)、SH3認識部位のN
またはC末端領域中のアミノ酸は、ペプチドリガンドの
結合の配向および親和性を決定しうる(Feng等,(199
5),上記参照)。PTP HSF C末端内に保存されたアルギ
ニンのミューテーションは、結合に対して影響を有する
ため、SH3認識モジュールについて観察されるように、
電気的に安定な相互作用が結合現象に関与している可能
性が存する(Feng等,(1995)上記参照)。C末端トリ
プトファンの重要性は、PST PIP中の重要なトリプトフ
ァン残基をおそらく有する疎水性が重なった相互作用の
可能性を示唆する。最後に、結合に関与する残基は高く
保存されているため(Chen等,(1996),上記参照)、
これらのデータは、関連PTP PEST、PEPおよびBDP−1の
C末端から由来するC末端プロリンリッチペプチド(Sp
encer等,(1997)上記参照)が、PTP HSCFおよびPST P
IPの間の相互作用を効率的にブロックすることを示す以
前の研究と完全に一致する。
M.要約 我々は、PTPのプロリンリッチC末端ホモロジードメ
インと、相互作用タンパク質のコイルドコイルドメイン
の間の相互作用を介して、PESTチロシンホスファターゼ
に結合するアクチン結合タンパク質、PSTPIPの新規なメ
ンバーを単離した。細胞骨格と会合する多くの他のタン
パク質と同様に、PSTPIPは、V−srcトランスフェクト
細胞においてチロシンリン酸化され、これらのリン酸化
残基の少なくとも一部は、結合PとHSCFの触媒部位に対
する基質であるようである。PSTPIPは、皮膚細胞骨格、
同様にラメリポディウムおよび張線維に局在し、細胞質
分裂の間アクチンリッチ切断溝に移動するようである。
3T3歳オブにおける該タンパク質の過剰発現は、長い糸
状足構造を誘導し、細胞骨格の認識におけるPSTPIPの役
割と一致する。これらのデータは、PSTPIPが、その生理
学的機能は一部チロシンリン酸化の程度によって調節さ
れている細胞骨格結合タンパク質であることを示す。
PSTPIPに対するホモロジーを有する配列についてのタ
ンパク質データベースの分析は、この新規なタンパク質
に対する潜在的な機能を示唆する。PSTPIPに有意なホモ
ロジーを有する配列のほとんどは、タンパク質のアクチ
ン結合ファミリーに入り、PSTPIPがアクチンと相互作用
することはここで報告された共焦点研究から明らかであ
る。ミオシン、ホドリンおよびスペクトリンを含む多く
の他のアクチン結合型タンパク質は、PSTPIPとホモロジ
ーを示す一方で、これらのホモロジーの大半は、SH3ド
メイン内に存在し、該タンパク質の他の領域とはほとん
どまたは全く存在しない。これはまた、同様だが同じで
はない方法で、アクチン細胞骨格に結合するもう一つの
タンパク質、コンタクチンについても当てはまる(Wu
等,(1991)上記参照)が、コイルドコイルドメインの
小領域、同様にSH3領域における弱いホモロジーが存在
する。これは、最大程度のホモロジーを有するタンパク
質、酵母S.pombe cdc15pとは対照的であり、該タンパク
質はSH3同様にコイルドコイルドメインの両者において
有意な配列保存を示す(Fankhauser等,(1995)上記参
照)。Cdc15pは、有糸分裂後の細胞の切断溝でアクチン
リングの形成に絶対的に必要とされる高くリン酸化され
たタンパク質であり、このタンパク質中のミューテーシ
ョンは、有糸分裂後の核の全体のアクチンリングの集合
を不可能にすることを引き起こし、それ故多核細胞を生
ずる。PSTPIPと同様に、cdc15pは、有糸分裂後の核全体
に移動し、おそらく切断溝への細胞骨格の再編成を介在
する場合、後期まで皮層アクチン細胞骨格に局在する
(Fankhauser等,(1995)上記参照;Chang等,Cell 84:1
91−194(1996)およびSimanis,Sem.in Cell Biol.6:79
−87(1995))。切断溝へのPSTPIP移動のタイミング
は、決定され続けている一方で、細胞質分裂の間のこの
部位でのアクチンリングとの強い共局在は、cdc15pで観
察されるものと類似する(Fankhauser等,(1995)上記
参照)。さらにcdc15pは、誘因にだつリン酸化される場
合、後期の開始およびFアクチン細胞骨格の形成まで過
剰リン酸化される。興味深いことに、酵母タンパク質は
細胞分裂の終わりに高い状態でリン酸化され、リン酸化
が切断溝との会合を調節していることを示唆する。cdc1
5pのリン酸化のタイプは未だ分析されていない一方で、
これは、チロシンおよび/またはセリントレオニンホス
ファターゼが、cdc15pの機能の調節に関与しているに違
いないことを示唆し、PTP HSCFのようなPTPの結合およ
び触媒活性が、細胞質分裂をコントロールするように機
能することによる機構を提供する。再び言うと、細胞周
期の間のPSTPIPのチロシンリン酸化のタイミングは、既
に決定されている一方で、PSTPIPおよびcdc15pの間のチ
ロシン残基の正確な保存、同様にBaf3細胞における内因
性PTP相互作用タンパク質のバナジン酸感受性リン酸化
は、細胞周期の間のリン酸化レベルの調節を提案する。
それ故、PSTPIPおよびcdc15pの両者の配列、細胞局在、
およびリン酸化は、哺乳動物タンパク質がcdc15pの潜在
的ホモローグであることを示唆する。
特にセリンおよびトレオニン残基のリン酸化は、細胞
質分裂における調節現象および細胞骨格の再編成におい
て重要な役割を演じていることが依然に示されている
(Yamakita等,J.Cell Biol.124:129−137(1994);Egel
hoff等,Call 75:363−371(1993)およびFishkind等,
(1995)上記参照)。しかしながら今日では、チロシン
リン酸化がこれらの機能において役割を演じている可能
性は、不完全にしか調べられていない。この文献で報告
されたデータは、PTP HSCFによるPSTPIPに対するチロシ
ンリン酸化の調節が、おそらく細胞質分裂を含む細胞骨
格コントロールの耐用において役割を演じていることを
示す。上記リン酸化に関与する考え得るキナーゼはたく
さん存在する一方、ここ、同様に何れかで記載された情
報は、チロシンキナーゼのSrcファミリーのメンバー
が、直接または間接の機構のいずれ化によってこの相互
作用タンパク質のリン酸化に関与することを示唆する。
二つの他のPSTPIP関連タンパク質、p80/85コルタクチン
およびHS1タンパク質は、V−srcトランスフェクト細胞
においてチロシンリン酸化されることが両者とも周知で
あり、コルタクチンはPSTPIPと同様な方法で細胞骨格と
相互作用することが周知である(Wu等,(19919上記参
照)。さらに、細胞骨格と関与する多量の他のタンパク
質もまた、V−srcトランスフェクト細胞においてチロ
シンリン酸化される(Schaller等,Proc.Nuc.Acid Res.a
nd Mol.Biol 44:205−277(1993))。興味深いこと
に、コルタクチンのチロシンリン酸化はまた、C−src
上のC末端阻害チロシンをリン酸化するチロシンキナー
ゼであるCskキナーゼを欠失したマウスから単離された
細胞において劇的に増大し、コルタクチンが直接または
間接にインビボでの基質であることを示唆した。さら
に、HS1はインビトロでSrcのSH3およびSH2ドメインに結
合でき、それはまたインビトロおよびインビボでこのキ
ナーゼによってチロシンリン酸化されることが示されて
いる(Takemoto等,(1996)上記参照)。コルタクチン
およびHS1は離れて関連しているが、それ故トランスフ
ェクト細胞におけるV−srcによるPSTPIPのチロシンリ
ン酸化は、生地学的に関連しているであろう。
さらに、以前のデータは、C−srcが、局所的接着お
よびラメリポディウム、同様に他のアクチン含有部位で
会合していることを示し、これらの領域に局在するPST
ぴPをリン酸化する可能性と一致する(Kaplan等,(19
94)上記参照)。最後に、V−srcは、トランスフェク
ト細胞において細胞骨格変化を誘導することが周知であ
り、アクチン結合タンパク質であるコルタクチンが、張
線維の末端からこれらのSrc−トランスフェクト細胞の
ポドソームまで再配合されることを明確に示しており、
上記アクチン結合タンパク質のリン酸化がその細胞局在
の変化を介在する可能性と一致する(Wu等,(1991)上
記参照)。
PTPのドミナントネガティブ形態は、最も著しくはPTP
PEST(Garton等,(1996)上記参照)およびコルクス
クリューPTP(SH PTP−2)(Herbst等,(1996)上記
参照)などのいくつかの酵素の基質を同定するために以
前に利用された。一般的にこれらの研究は、これらのド
ミナントネガティブミュータントが、インビボでの驚く
ほど制限された数のチロシンリン酸化を増大し、対照的
にインビトロでこれらの酵素の比較的無差別の挙動を増
大する。PTP HSCFの二つの異なるドミナントネガティブ
形態の共発現が、V−src誘導性PSTPIPチロシンリン酸
化における劇的な増大を介在する証拠は、それ故いくつ
かの結論を一致する。第一に、これらの二つのタンパク
質は、おそらくインビトロ結合研究から測定されるC末
端ホモロジードメインおよびコイルドコイル領域相互作
用を通じて、インビボで密接に相互作用し、共沈降分析
(図6)は、上記物理的相互作用を支持する。そこでこ
れは、基質に対して近接して触媒ドメインを運ぶための
PTPによる非接触ドメインの使用のさらなるもう一つの
例を提供するが、この場合に利用される結合機構は新規
である(Tonks,(1993)上記参照)。第二に、チロシン
リン酸化PSTPIPは、PTP HSCFに対するインビボでの基質
であり、PSTPIPとPTP HSCFの両者が発現された場合、Ba
f3細胞中の内因性ホスホチロシン実験におけるバナジン
酸によって阻害された酵素が、PTP HSCFであるようであ
ることを示唆するものである。最後に、もし我々がPTP
HSCFのミュータント形態が、他のドミナントネガティブ
PTPで見出される基質特異性と同じ程度のものを有する
ことを仮定するのであれば、さらにV−src共トランス
フェクション研究は、Srcまたは関連ファミリーメンバ
ーのそれぞれが、非トランスフェクション細胞における
インビボでのPSTPIPのチロシンリン酸化と関連している
キナーゼであることを示唆する。
プロリンリッチC末端ホモロジードメインと、コイル
ドコイル領域の間の高親和性結合の性質は、SH3プロリ
ンリッチコア相互作用に対して以前に記載されたものを
連想させる(Pawson等,(1995)上記参照)。この後者
の場合、プロリンヘリックスは、SH3ドメインの結合ポ
ケットに対する比較的高親和性および特異性を有して結
合する高構造的小ペプチドドメインの形成を誘導し、塩
架橋を含む様々な相互作用が、ペプチド結合の特異性お
よび芳香性を介在する(Feng等,(1995)上記参照)。
全て比較的小さいIC50でPSTPIP−PTP HSCF結合相互作用
を阻害するようである三つのぺST PTPのプロリンリッチ
C末端ホモロジードメインの分析により、それらはSH3
結合部位に対してみられるものと同様なプロリンヘリッ
クスを形成することが予測されるプロリンリッチコア領
域を共有することが明らかとなる(Yang等,(1993)上
記参照、Matthews等,(1992)上記参照およびCheng
等,(1996)上記参照)。この領域は、数多くの電荷残
基を含み、このドメインの潜在的なヘリックス性質は、
コイルドコイルドメイン内の部位と相互作用するための
適切な結合構造においてこれらの残基に位置する可能性
が存する。全てのPEST PTPは、このプロリンリッチ領域
を介してPSTPIPに結合すると予測されるため、相互作用
タンパク質のホスホチロシン含有量は、異なる細胞タイ
プにおいて異なるPEST PTPによって調節されているであ
ろう。これらの系列と共に、ドミナントネガティブ(D
−A)PTP PESTを使用してトランスフェクトされたCOS
細胞で観察される唯一の過剰リン酸化タンパク質が、p1
30casであったことに注目することは興味深い(Carton
等,(1996)上記参照)。この結果は、もしPSTPIPがCO
S細胞において発現されたならば、チロシンリン酸化も
されず、この細胞系におけるこのPTPに対する基質では
ないことを示唆する。PSTPIPが、休止細胞における皮層
アクチン、ラメリポディウムおよび張線維から、分裂中
の細胞における細胞質分裂切断溝に移動する機構は、上
記考え得る(Strome,Cell 72:3−6(1993))。このタ
ンパク質がアクチンに固く結合し、アクチンが切断平面
に再配向された場合、PSTPIPは消極的にそれに伴う一つ
の可能性が存する(Cao等,(1990a)上記参照、Cao
等,(1990b)上記参照およびFishkind,(1993)上記参
照)。しかしながら、cdc15pが欠失した場合の酵母の実
験により、皮層アクチンはこのタンパク質の不存在下で
は切断平面に移動しないことが明らかとなり、cdc15pが
この部位に横断し、アクチンリングの集合を介在するこ
とを示唆する(Simanis等,(1995)上記参照)。それ
故これらのデータは、もしPSTPIPが、cdc15pの哺乳動物
ホモローグであるならば、このタンパク質におけるドミ
ナントネガティブミュータントは、切断溝でのアクチン
の集合を破壊するはずであることを示唆する。興味深い
ことに、SH3ドメインを欠くcdc15pの欠失ミュータント
は、cdc15ミュータントを救うことができないようであ
り、細胞質分裂アクチンリングを集合することにおける
このC末端ドメインの必須の役割を示唆する(Fankhaus
er等,(1995)上記参照)。
PSTPIPが機能する考え得る機構は、ネズミ3T3細胞に
おける過剰発現研究の結果によって示唆される。これら
のトランスフェクト細胞の多くにおける伸長した糸状足
構造は、該タンパク質の非調節発現が、アクチン繊維の
偏位で有機的な集合を介在し、それ故PSTPIPおよびFア
クチンを含む細胞突出部を引き起こす可能性に一致す
る。この観点において、このタンパク質の予想されるコ
イルドコイルドメインにおけるリシンの強力なレベル
は、以前に記載されたアクチン結合部位と一致する(Va
ndekerckhove,Curr.Orin.Cell Biol.2:41−50(1990)
およびFriedrich等,Cell 70:81−92(1992))。興味深
いことに、トランスフェクト細胞の多くは、単一の糸状
足様構造を含み、この形態の性質が急速に形成され、細
胞生存能力における否定的な影響を有するようであるこ
とを示唆する。これらの細胞の多くの明らかな小サイズ
は、このアクチン含有スパイクが、細胞膜合成の不存在
下で形成されることを示唆し、該構造の急速な形成にま
た一致する。この形態の完全性の浸透物における明らか
な異種性は、トランスフェクトタンパク質の翻訳後修飾
における発現レベルまたは差異のそれぞれのためであろ
う。それ故、PSTPIPが高機能的Fアクチン含有構造の急
速な集合に役割を果たすことは明らかであろう。
実施例9 大腸菌におけるPSTPIPの発現 本実施例は、大腸菌における組換え発現によるPSTPIP
の非グリコシル化形態の調製を説明する。
PSTPIPをコードするDNA配列(配列番号2)を、選択
されたPCRプライマーを使用して最初に増幅する。該プ
ライマーは、選択された発現ベクターにおける制限酵素
部位に相当する制限酵素部位を含むべきである。様々な
発現ベクターが利用可能である。適した発現ベクターは
pBR322であり(大腸菌から由来する;Bolivar等,Gene,2:
95(1977)参照)、それはアンピシリンおよびテトラサ
イクリン耐性のための遺伝子を含む。該ベクターを制限
酵素を使用して切断し、脱リン酸化する。それから、PC
R増幅配列をベクターにライゲートする。該ベクターは
好ましくは、抗生物質耐性、trpプロモーター、ポリhis
リーダー(第一の6個のSTIIコドン、ポリhis配列、お
よびエンテロキナーゼ切断部位を含む)、PSTPIPコード
領域、ラムダ転写ターミネーター、およびargU遺伝子を
コードする配列を含む。
それから、ライゲーション混合物を、Sambrook等,上
記参照において記載される方法を使用して選択された大
腸菌株をトランスフォームするために使用する。トラン
スフォーマントを、LBプレートで成育する能力によって
同定し、抗生物質耐性コロニーを選択する。プラスミド
DNAを単離し、制限分析およびDNAシークエンシングによ
って確認する。
選択されたクローンを、抗生物質を補ったLBプレート
のような液体培養培地で一晩成育させる。一晩の培養物
を、大きなスケールの培養物をイノキュレートするため
に引き続き使用する。それから細胞を、発現プロモータ
ーを誘導する間、所望の光学密度で成育させる。
数時間の細胞の培養の後、各細胞を遠心分離によって
回収する。遠心分離によって得られた細胞ペレットを、
本分野で周知の様々な試薬を使用して可溶化し、可溶化
PSTPIPタンパク質を、該タンパク質の固い結合を許容す
る条件下で金属キレートカラムを使用して精製する。
実施例10 哺乳動物細胞におけるPSTPIPの発現 本実施例は、哺乳動物細胞における組換え発現による
PSTPIPのグリコシル化形態の調製を説明する。
ベクター、pRK5(1989年3月15日印刷のEP307,247参
照)は、発現ベクターとして使用される。一般的にPSTP
IP DANを、Sambrook等,上記参照に記載されたライゲー
ション法を使用してPSTPIP DNAの挿入を許容する選択さ
れた制限酵素を用いてpRK5内にライゲートする。調製ベ
クターはpRK5−PSTPIPと呼ばれる。
一つの実施態様として、選択される宿主細胞は293細
胞である。ヒト293細胞(ATCC CCL 1573)を、胎児ウシ
血清、および任意に栄養構成要素および/または抗生物
質を補ったDMEMのような培地で組織培養プレート上で融
合するために培養させる。約10μgのpRK5−PSTPIP DNA
をVA RNA遺伝子[Thimmappaya等,Cell,31:543(198
2)]をコードする1μgのDNAと共に混合し、500μl
の1μg Tris−HCl、0.1mM EDTA、0.227M CaCl2で溶解
する。この混合物に対して、500μlの50mM HAPES(pH
7.35)、280mM NaCl、1.5mM NaPO4を滴定で加え、沈殿
物を25℃で10分形成させる。該沈殿物を懸濁し、293細
胞に加え、37℃で約4時間静置しておく。培養培地を吸
い取り、2mlのPBS中の20%グリセリンを30秒間加える。
それから293細胞を血清フリー培地を使用して洗浄し、
新鮮な培地を加え、該細胞を約5日間インキュベートさ
せる。
トランスフェクションのおよそ24時間後、培養培地を
取り出し、培養培地(単独)または200μCi/mlの35Sシ
ステインおよび200μCi/mlの35Sメチオニンを含む培養
培地と置換する。12時間のインキュベートの後、調製培
地を回収し、スピンフィルターで濃縮し、15%SDSゲル
上に乗せる。加工されたゲルを乾燥し、PSTPIPポリペプ
チドの存在を明らかにするために選択された所定時間フ
ィルムをさらす。トランスフェクト細胞を含む培地を、
さらなるインキュベーションにかけ(血清フリー培地に
おいて)、該培地を選択されたバイオアッセイにおいて
試験する。
代わりの方法として、PSTPIPを、Somparyrac等,Proc.
Natl.Acad.Sci.,12:7575(1981)に記載された硫酸デキ
ストラン法を使用して一過的に293細胞内へ導入する。2
93細胞をスピナーフラスコに最大密度まで成育させ、70
0μgのpRK5−PSTPIP DNAを加える。該細胞を、遠心分
離によってスピナーフラスコから最初に濃縮し、PBSを
使用して洗浄する。DNA−デキストラン沈降物を、4時
間細胞ペレット上でインキュベートする。該細胞を90秒
20%グリセリンを使用して処理し、組織培養培地を使用
して洗浄し、組織培養培地、5μg/mlウシインスリンお
よび0.1μl/mlウシトランスフェリンを含むスピナーフ
ラスコ内で再導入する。約4日後、濃縮培地を遠心分離
し、細胞および破片を除去するために濾過する。発現さ
れたPSTPIPを含むサンプルを、それから濃縮し、透析お
よび/またはカラムクロマトグラフィーのような選択さ
れた方法によって精製する。
もう一つの実施態様として、PSTPIPをCHO細胞で発現
させる。pRK5−PSTPIPをCaPO4またはDEAE−デキストラ
ンのような周知の試薬を使用してCHO細胞内にトランス
フェクトする。上記記載のように、細胞培養物をインキ
ュベートし、培養培地(単独)または35S−メチオニン
のようなラジオラベルを含む培地を使用して培地を交換
する。PSTPIPポリペプチドの存在を測定した後、培養培
地を血清フリー培地と交換する。好ましくは該培養培地
を、約6日間インキュベートし、それから調節培地を回
収する。発現PSTPIPを含む培地をそれから濃縮し、選択
された方法によって精製する。
エピトープタグ化PSTPIPもまた、宿主CHO細胞で発現
される。PSTPIPをpRK5ベクターの一つにサブクローン化
する。サブクローン挿入物を、バキュロウイルス発現ベ
クター内のポリhisタグのような選択されたエピトープ
タグとフレーム中で融合するためにPCRを受けさせる。
ポリhisタグ化PSTPIP挿入物をそれから、安定なクロー
ンの選択のためのDHFRのような選択マーカーを含むSV40
由来ベクター内にサブクローン化する。最後に、CHO細
胞を、SV40由来ベクターを使用してトランスフェクトす
る(上記記載のように)。発現を確実にするために、上
記記載のようにラベリングを実施する。発現されたポリ
Hisタグ化PSTPIPを含む培養培地をそれから濃縮し、Ni
2+キレートアフィニティークロマトグラフィーのような
いかなる選択された方法によっても精製する。
実施例11 酵母におけるPSTPIPの発現 以下の方法は、酵母におけるPSTPIPの組換え発現を記
載する。
第一に、酵母発現ベクターを、ADH2/GAPDHプロモータ
ーからのPSTPIPの細胞内生産または分泌のために構築す
る。PSTPIPをコードするDNA、選択されたシグナルペプ
チド、およびプロモーターを、PSTPIPの細胞内発現に向
けた選択されたプラスミドにおける適切な制限酵素部位
内に挿入する。分泌のために、PSTPIPをコードするDNA
を、PSTPIPの発現のためのADH2/GAPDHプロモーター、酵
母アルファ−ファクター分泌シグナル/リーダー配列、
およびリンカー配列をコードするDNAと共に、選択され
たプラスミド内にクローン化する。
それから、酵母株AB100のような酵母細胞を、上記記
載の発現プラスミドを使用してトランスフォームし、選
択された発酵培地で培養する。トランスフォームされた
酵母上清を、10%トリクロロ酢酸を使用した沈降によっ
て分析し、SDS−PAGEによって分離し、引き続き熊シー
ブルーを使用してゲルを染色する。
組換えPSTPIPを引き続き、遠心分離によって発酵培地
から酵母細胞を取り出すことによって単離して精製し、
それから選択されたカートリッジフィルターを使用して
培地を濃縮する。PSTPIPを含む濃縮物をさらに、選択さ
れたカラムクロマトグラフィー樹脂を使用して精製す
る。
実施例12 バキュロウイルスにおけるPSTPIPの発現 以下の方法は、バキュロウイルスにおけるPSTPIPの組
換え発現を記載する。
PSTPIPを、バキュロウイルス発現ベクターに含まれた
エピトープタグの上流に融合する。上記エピトープタグ
は、ポリhisタグおよびイムノグロブリンタグ(IgGのFc
領域のような)を含む。様々なプラスミドが使用され、
その中にはpVL1393(Novagen)のような商業的に入手可
能なプラスミドから由来するプラスミドが含まれる。略
記すると、PSTPIPまたはPSTPIPの所望の部分(膜貫通タ
ンパク質の細胞核ドメインをコードする配列のような)
を、5'および3'領域に相補的なプライマーを使用してPC
Rによって増幅する。5'プライマーは横に並んだ(選択
された)制限酵素部位を取り込む。それから生産物を、
選択された制限酵素を使用して切断し、発現ベクター内
にサブクローン化する。
組換えバキュロウイルスを、リポフェクチン(GIBCO
−BRLから商業的に入手可能)を使用してSpodopreta fr
ugiperda(“Sf9")細胞(ATCC CRL 1711)内に、上記
プラスミドおよびBaculoGoldTMウイルスDNA(Pharminge
n)を共トランスフェクトすることによって生産する。2
8℃でのインキュベーションの4−5日後、関連ウイル
スを回収し、さらなる増幅のために使用する。ウイルス
感染およびタンパク質発現を、O'Reilley等,Baculoviru
s expression vectors:A laboratory Manual,Oxford:Ox
ford University Press(1994)に記載されたように実
施した。
それから、発現されたポリhisタグ化PSTPIPを、例え
ば以下のようにNi2+キレートアフィニティークロマログ
ラフィーによって精製する。抽出物を、Rupert等,Natur
e,362:175−179(1993)に記載されたように組み換えウ
イルス感染Sf9細胞から調製する。略記すると、Sf9細胞
を洗浄し、ソニケーションバッファー(25nM Hepes,pH
7.9;12.5mM MgCl2;0.1mM EDTA;10%グリセリン;0.1% N
P−40;0.4M KCl)中に再懸濁し、氷上で20秒二度ソニケ
ートする。ソニケート物を遠心分離によってきれいに
し、上清をローディングバッファー(50mMリン酸塩、30
0mM NaCl、10%グリセリン、pH7.8)中で50倍に希釈
し、0.45μmフィルターで濾過する。Ni2+−NTAアガロ
ースカラム(Qiagenから商業的に入手可能)を5mLのベ
ッド容量に調節し、25mLの水を使用して洗浄し、25mLの
ローディングバッファーで平衡化する。濾過された細胞
抽出物を、1分当たり0.5mLでカラムに乗せる。該カラ
ムをローディングバッファーでベースラインA280で洗浄
し、そのときポイント分画回収を始める。次に該カラム
を二次洗浄バッファーで洗浄し(50mMリン酸塩;300mM N
aCl、10%グリセリン、pH6.0)、それを非特異的結合タ
ンパク質について溶出した。A280ベースラインに再び到
達した後、該カラムを二次洗浄バッファーにおいて0か
ら500mMのイミダゾール勾配を使用して溶出する。1mLの
分画を回収し、SDS−PAGEによって分析し、アルカリホ
スファターゼに接合したNi2+−NTA(Qiagen)を使用し
て銀染色またはウエスタンブロットを実施する。溶出さ
れたHis10タグ化PSTPIPを含む分画をプールし、ローデ
ィングバッファーに対して透析した。
代わりに、IgGタグ化(またはFcタグ化)PSTPIPの精
製を、例えばプロテインAまたはプロテインGカラムク
ロマトグラフィーを含む周知のクロマトグラフィー法を
使用して実施する。
N. 結論の意見 上記記載は、本発明を実施するために使用される特異
的な方法を詳細に述べる。上記特異的な方法が詳細に述
べられているが、当業者は、本発明の利益を使用するた
めの同じ情報に到達する代わりの信頼できる方法を利用
する手段を十分に知っているであろう。しかしながらそ
れ故、上記の詳細は教科書中に存し、その全体の範囲を
制限するために構築されるべきものではない;むしろ、
本発明の範囲は、添付されたクレームの合法的な構成に
よってのみ決定される。ここで引用された全ての文献
は、参考として全体として取り込まれる。
配列表 (1)一般的情報: (i)出願人:Genentech,Inc. Lasky,Laurence A. Dowbenko,Donald J. (ii)発明の名称:チロシンリン酸化切断節関連タン
パク質(PSTPIP) (iii)配列数:73 (iv)連絡先: (A)住所:Genentech,Inc. (B)通り:1 DNA Way (C)市:South San Francisco (D)州:California (E)国:USA (F)郵便番号:94080 (v)コンピューター読み取り形態: (A)メディアタイプ:3.5インチ,1.44Mb フロッピ
ーディスク (B)コンピューター:IBM PC互換機 (C)オペレーティング・システム:PC−DOS/MS−D
OS (D)ソフトウェア:WinPatin(Genentech) (vi)現在の出願データ: (A)出願番号: (B)出願日: (C)分類: (vii)先願データ: (A)出願番号:08/798419 (B)出願日:1997年2月7日 (vii)先願データ: (A)出願番号:08/938829 (B)出願日:1997年9月29日 (viii)弁理士/代理人情報: (A)氏名:Dreger,Ginger R. (B)登録番号:33,055 (C)参照/登録番号:P1066P2PCT (ix)遠距離通信情報: (A)電話:650/225−3216 (B)テレファックス:650/952−9881 (2)配列番号1に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:415アミノ酸 (B)タイプ:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号1: (2)配列番号2に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:2100ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の形態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号2: (2)配列番号3に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:48アミノ酸 (B)タイプ:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号3: (2)配列番号4に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:50アミノ酸 (B)タイプ:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号4: (2)配列番号5に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:50アミノ酸 (B)タイプ:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号5: (2)配列番号6に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:50アミノ酸 (B)タイプ:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号6: (2)配列番号7に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:48アミノ酸 (B)タイプ:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号7: (2)配列番号8に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:8アミノ酸 (B)タイプ:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号8: (2)配列番号9に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:33ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号9: (2)配列番号10に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:45ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号10: (2)配列番号11に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:18ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号11: (2)配列番号12に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:36ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号12: (2)配列番号13に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:39ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号13: (2)配列番号14に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:17ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号14: (2)配列番号15に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:41ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号15: (2)配列番号16に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:37ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号16: (2)配列番号17に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:17ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号17: (2)配列番号18に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:32ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号18: (2)配列番号19に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:38ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号19: (2)配列番号20に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:20アミノ酸 (B)タイプ:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号20: (2)配列番号21に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:19アミノ酸 (B)タイプ:アミノ酸 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号21: (2)配列番号22に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:20アミノ酸 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(C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号33: (2)配列番号34に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:42ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号34: (2)配列番号35に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:42ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号35: (2)配列番号36に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:33ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号36: (2)配列番号37に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:42ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号37: (2)配列番号38に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:40ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号38: (2)配列番号39に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:45ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号39: (2)配列番号40に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:48ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号40: (2)配列番号41に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:48ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号41: (2)配列番号42に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:47ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号42: (2)配列番号43に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:29ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号43: (2)配列番号44に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:34ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号44: (2)配列番号45に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:32ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号45: (2)配列番号46に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:34ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号46: (2)配列番号47に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:34ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号47: (2)配列番号48に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:37ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号48: (2)配列番号49に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:34ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号49: (2)配列番号50に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:35ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号50: (2)配列番号51に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:32ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号51: (2)配列番号52に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:42ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号52: (2)配列番号53に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:42ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号53: (2)配列番号54に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:45ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号54: (2)配列番号55に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:42ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号55: (2)配列番号56に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:31ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号56: (2)配列番号57に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:37ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号57: (2)配列番号58に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:36ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号58: (2)配列番号59に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:42ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号59: (2)配列番号60に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:24ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号60: (2)配列番号61に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:41ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号61: (2)配列番号62に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:24ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号62: (2)配列番号63に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:27ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号63: (2)配列番号64に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:28ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号64: (2)配列番号65に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:30ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号65: (2)配列番号66に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:36ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号66: (2)配列番号67に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:33ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号67: (2)配列番号68に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:34ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号68: (2)配列番号69に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:31ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号69: (2)配列番号70に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:30ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号70: (2)配列番号71に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:34ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号71: (2)配列番号72に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:31ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号72: (2)配列番号73に関する情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:34ベースペア (B)タイプ:核酸 (C)鎖の状態:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号73:
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12N 5/10 G01N 33/15 Z C12P 21/08 33/50 Z G01N 33/15 C12R 1:91 33/50 C12N 15/00 ZNAA //(C12P 21/08 5/00 B C12R 1:91) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C12N 1/00 - 9/99 C07K 14/00 - 16/46 C12P 21/00 - 21/08 C12Q 1/00 - 1/70 PubMed MEDLINE(STN) BIOSIS/WPI(DIALOG) EOROPAT(QUESTEL) GenBank/DDBJ/EMBL/G eneSeq SwissProt/PIR/GeneS eq

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(i)図1A(配列番号1)に示されたPSTP
    IPポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチド; (ii)図1A(配列番号1)のPSTPIPアミノ酸配列と少な
    くとも85%の配列同一性を有するポリペプチド;および (iii)(i)のポリペプチドをコードする核酸に緊縮
    条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされる
    ポリペプチド より成る群から選択される単離されたPSTPIPポリペプチ
    ドであり、(ii)および(iii)のポリペプチドは、N
    末端ホスファターゼドメインを含み、それにプロリン、
    セリンおよびトレオニン残基が豊富な様々なサイズの領
    域が引き続き、最C末端で高く保存された20アミノ酸長
    の長いプロリンリッチ領域を含むPEST型タンパク質チロ
    シンホスファターゼに結合する能力を実質的に維持して
    いることを条件とするPSTPIPポリペプチド。
  2. 【請求項2】図1A(配列番号1)に示されたPSTPIPポリ
    ペプチドのアミノ酸配列を含む請求項1のPSTPIPポリペ
    プチド。
  3. 【請求項3】少なくとも一つのチロシン残基がリン酸化
    された場合、PEST型タンパク質チロシンホスファターゼ
    のメンバーによって脱リン酸化されることが可能である
    請求項1のPSTPIPポリペプチド。
  4. 【請求項4】PEST型タンパク質チロシンホスファターゼ
    のメンバーがPTP HSCFである請求項1のPSTPIPポリペプ
    チド。
  5. 【請求項5】C末端SH3ドメインを欠いている請求項1
    のPSTPIPポリペプチド。
  6. 【請求項6】リン酸化されていない請求項1のPSTPIPポ
    リペプチド。
  7. 【請求項7】少なくとも一つのチロシン残基でリン酸化
    されている請求項1のPSTPIPポリペプチド。
  8. 【請求項8】アクチンと会合する請求項1のPSTPIPポリ
    ペプチド。
  9. 【請求項9】請求項1のPSTPIPポリペプチドをコードす
    る単離された核酸配列。
  10. 【請求項10】それを使用してトランスフォームされた
    宿主細胞によって認識されるコントロール配列に機能的
    に連結した請求項9の核酸配列を含むベクター。
  11. 【請求項11】請求項9の核酸配列を含む宿主細胞。
  12. 【請求項12】請求項10のベクターを含む宿主細胞。
  13. 【請求項13】請求項1のPSTPIPポリペプチドに特異的
    に結合可能な抗体。
  14. 【請求項14】検出可能に標識された請求項13の抗体。
  15. 【請求項15】モノクローナル抗体である請求項13の抗
    体。
  16. 【請求項16】請求項13の抗体を生産するハイブリドー
    マ細胞系。
  17. 【請求項17】PSTPIPポリペプチドをコードする核酸を
    使用して宿主細胞をトランスフォームし、トランスフォ
    ームされた細胞を培養し、細胞培養物から上記ポリペプ
    チドを回収することを含む請求項1のPSTPIPポリペプチ
    ドを生産する方法。
  18. 【請求項18】請求項1のPSTPIPポリペプチドを、真核
    生物細胞内に導入することを含む上記細胞におけるアク
    チンモノマーの重合化を誘導する方法。
  19. 【請求項19】導入する工程が、請求項10のベクターを
    上記細胞に導入することを含む請求項18の方法。
  20. 【請求項20】請求項1のPSTPIPポリペプチドを、候補
    の化合物と接触させ、アクチンモノマーの重合化を誘導
    する上記ポリペプチドの能力をモニターすることを含
    む、請求項1のPSTPIPポリペプチドのアンタゴニストま
    たはアゴニストのスクリーニング方法。
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