JPH10500988A - 輸送タンパク質用クロストリジウム属細菌毒素の修飾 - Google Patents

輸送タンパク質用クロストリジウム属細菌毒素の修飾

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Abstract

(57)【要約】 神経細胞に関する障害を治療するための化学物質結合体を提供する。この結合体は、標的神経細胞に対して特異性のある活性もしくは不活性のクロストリジウム属細菌毒素を含む。この毒素はその毒素の標的細胞へ侵入する能力に影響を与えることなく、医薬または他の生物活性分子と結合される。

Description

【発明の詳細な説明】 輸送タンパク質用クロストリジウム属細菌毒素の修飾 発明の分野 本発明は、標的レセプターに生化学物質を運ぶシステムに広く関連する。さら に詳しくは、本発明は、毒素レセプターをもつ細胞へ化学物質を運ぶ伝達体とし て修飾されたポリペプチド毒素を用いることに関する。 発明の背景 テタヌストキシン(TeTx、破傷風毒素)とボツリヌス毒素は影響力のある 神経毒素であり、神経伝達物質の放出の阻害を含む機構により麻痺を引き起こす 。これらのクロストリジウム属細菌神経毒素(Clostridial neurotoxin)は、最 初は約150kDaの単鎖タンパク質として生産される。それから、タンパク質 分解による分裂により約100kDaの重(H)鎖と約50kDaの軽(L)鎖 とが生じ、これらは鎖間が1つのジスルフィド結合で連結される。H鎖はドメイ ンを有しており、(このドメインは)神経細胞の表面のレセプターに毒素を結合 させる働きをし、L鎖を細胞に輸送するのを促進する。L鎖は神経伝達物質放出 を妨げる働きをする。 毒素活動の機構が最近明らかにされた。TeTx-L鎖は、シナプトブレビン (synaptobrevin)または小胞会合膜タンパク質(VAMP)と呼ばれる小胞会 合タンパク質に対して特異性を有する亜鉛依存プロテアーゼである。TeTx- L鎖によるVAMPの開裂は、伝達物質を含む小胞と前シナプス膜のドッキング /融合を妨げることにより神経伝達物質の放出を阻害する。 TeTxのただ1つのイソ型はクロストリジウム テタニ(Clostridium teta ni)により生産される一方、BoTNは7つの血清学的に別個なイソ型がクロス トリディア ボツリニウムによって生産される。これら7種のボツリヌス毒素は BoNT/A-Gとして示される。ボツリヌスB型神経毒素は、テタヌストキシ ンのように亜鉛依存プロテアーゼである。ENBO J.12:4821(19 9 3)の中で、Blasiらは、ボツリヌス神経毒素の血清型は一般的なプロテア ーゼの活動を保っている一方で全く異なる基質特異性を発達させたことを提示し ている。ボツリヌス毒素B、D、FおよびGもまたVAMPを開裂させるか、あ るいはイソ型と密接な関連がある。対照的に、BoNT/AおよびBoNT/E は、分子量25kDaのタンパク質が会合されたシナプトソームを開裂する。最 終的にはBoNT/Cはシンタキシン(syntaxin)を開裂することが明らかにさ れた。これらの標的タンパク質に加えて、TeTxおよびBoNT/Bはセルブ レビン(Cellubrevin)を開裂することが報告されている。このように、クロス トリジウム属細菌毒素の神経内標的は一般に神経伝達物質の放出に関連している 。 クロストリジウム属細菌神経毒素は全て、明らかに異なる細胞表面レセプター に結合し、神経伝達物質の放出に必要な細胞構成成分をタンパク質分解する。T eTxは抑制神経細胞(inhibitory neurons)の活動を低減させることにより脊 髄や脳幹下部においてその効果を発揮する。BoNTの7つのイソ型は全て弛緩 性麻痺を生じさせる。機構的には、ボツリヌス毒素は主に神経筋細胞の連結部に 見られる末梢コリン性神経末端を選択的に抑制する。 ある亜鉛依存性エンドプロテアーゼはアミノ酸の保存配列HExxHを含んで いる。サーモリシンでは、亜鉛結合がGlu166とこのモチーフ内のHis142と His146によって成されている。なお、4番目のリガンドは水である。テタヌ スL鎖をサーモリシンや他の亜鉛エンドプロテアーゼと比べると、同じ共通モチ ーフの存在が明らかとなった。考えられるところでは、TeTx-L鎖のGlu2 34 は、サーモリシン中の臨界Glu145残基に対応するものであると思われる。 TeTxのL鎖内のこのモチーフに含まれているGlu234の役割は、セルブ レビン(cellubrevin)のタンパク質分解に対する特定部位の変異誘発やインビ トロアッセイを使って研究されてきた。Nature 364:346(199 3)の中でMcMahonらは、変異L鎖(Glu234がGlnに置換)および セルブレビンDNA構成物を伴ってCOS細胞がコトランスフェクションされた 時にはセルブレビン(cellubrevin)は開裂しないことを証明している。 発明の概要 本発明の1つの態様は、神経細胞に関する障害を治療するための化学物質結合 体に関する。この結合体は、標的神経細胞に対して特異性のある活性もしくは不 活性のボツリヌス毒素またはテタヌストキシンを含む。この毒素は、その毒素の 標的神経細胞へ侵入する能力に影響を与えることなく、医薬または他の生物活性 分子と結合される。このように、本発明の1つの態様は、神経細胞に関連する障 害を治療するための化学物質結合体に関するものである。化学物質結合体は、標 的神経細胞に対して特異性のある不活性なクロストリジウム属細菌神経毒素と、 該神経細胞に結合した医薬若しくは生物活性分子とを含む。神経毒素は、標的神 経細胞に侵入するその能力を維持している。クロストリジウム属細菌神経毒素で あればいずれの種類の毒素であっても用いることができ、テタヌストキシン、ボ ツリヌス毒素A、ボツリヌス毒素B、ボツリヌス毒素C、ボツリヌス毒素D、ボ ツリヌス毒素E、ボツリヌス毒素F、ボツリヌス毒素Gが含まれる。クロストリ ジウム属細菌毒素の不活性化はその軽鎖中のアミノ酸を変更させることにより達 せられる。このように、例えば不活性化したクロストリジウム属細菌神経毒素と しては、Glu234の修飾を有するテタヌストキシン、His227および/または Glu224に修飾を有するボツリヌス毒素Aまたはボツリヌス毒素AのHis227 および/またはGlu224に対応する部位に修飾を有するボツリヌス毒素A以外 のボツリヌス毒素が挙げられる。 本発明の他の態様としては、制御不能な筋痙攣のような哺乳動物の神経筋機能 障害の治療に使用される上記の化学物質結合体に関する。 本発明は、上記化学物質結合体を制御不能な筋痙攣のような哺乳動物の神経筋 機能障害の治療用薬剤の調製に使用することを含む。 本発明の具体的な態様では、化学物質結合体中の医薬がボツリヌス中毒または 破傷風の治療に対する有効成分である。本発明のこの態様は、哺乳類のボツリヌ ス中毒または破傷風の治療に使用することができ、またこのような治療のための 薬剤の調製に使用することができる。 本発明の他の態様としては、ボツリヌス毒素中毒の治療用薬剤の調製に不活性 クロストリジウム属細菌神経毒素を使用することに関する。この態様では、不活 性クロストリジウム属細菌神経毒素は他の医薬を複合させることなく単独で用い ることができる。 さらに本発明の態様としては、活性クロストリジウム属細菌神経毒素と医薬と を含む化学物質結合体の使用に関する。このような結合体は、限局性ジストニー (focal dystonias)、ストローク(stroke)若しくは外傷性脳損傷若しくは脊 椎損傷による痙直(spasticities due to stroke or traumatic brain or spina l cord injury)、眼瞼痙攣(blepharospasm)、斜視(strabismus)、脳性小児 麻痺(cerebral palsy)、筋痙攣による背痛(back due to muscle spasms)の 治療用薬剤の調製に用いられる。 さらに本発明の他の態様では、哺乳類の神経筋機能障害の治療方法に関する。 この方法は、医薬に連結させたクロストリジウム属細菌神経毒素を含む医薬的に 活性のある溶液を調製する段階と、効果を生じる量の医薬的に活性のある溶液を 哺乳類に導入する段階とを含む。神経毒素はこのようないずれの種類の毒素であ っても用いることができ、テタヌストキシン、ボツリヌス毒素A、ボツリヌス毒 素B、ボツリヌス毒素C、ボツリヌス毒素D、ボツリヌス毒素E、ボツリヌス毒 素Fおよびボツリヌス毒素Gが含まれる。神経毒素はその軽鎖中のアミノ酸を変 えることにより不活性化することができる。1つの実施態様では、医薬が神経伝 達物質の放出を抑制し、他の実施態様では医薬がシナプトブレビン(synaptobre vin)の活性を抑制する。 好ましくは、本方法は、制御不能な筋痙攣に関連する神経筋機能障害を治療す るのに使われる。 以下に続く詳細な説明を参照することにより当業者はさらに本発明の実施態様 を見いだすであろう。 図面の簡単な説明 図1は、TeTxおよびMBP-L鎖融合タンパク質を発現するのに使われる DNA構築物(pMAL-LC)の図式表示である。最初の図中の一文字コード は、精製された組換え体L鎖およびAla234-L鎖の、N末端マイクロシーケン シングにより決定された最初の数残基のアミノ酸配列を表している。図の次の部 分は、H鎖がL鎖とジスルフィド結合していることを示している。亜鉛結合ドメ インの 位置もまた図示している。 図2は、天然、組換え又は変異L鎖により開裂したHV62ペプチド(ヒトV AMPの合成断片)の割合を経時的に示したグラフである。種々の記号は、33 (○)、100(□)、250nM(▲)の天然L鎖;または250nM組換え L鎖(△);または2.5μM Ala234-L鎖(■)を表す。挿入図は、天然 L鎖によるHV62基質の見かけ上の加水分解を低減するAla234-L鎖の能力 を示している。中白の棒はAla234-L鎖の存在下で天然L鎖により加水分解さ れた基質の割合を示し、一方、斜線の入った棒はAla234-L鎖が存在しない条 件下で加水分解された基質の割合を示す。 図3は、経時的な神経筋伝達の検定として筋緊張(初期値の%として)を示す グラフである。種々の記号は、10nM TeTx(○)、10nM再構成天然 H鎖およびL鎖(□)、10nM 天然H鎖と会合させた組換え再構成L鎖(△ )、100nM H鎖と共に再生したAla234-L鎖(■)を示す。数値は3検 体から得られた平均値(±SD)である。挿入図は、20nM再構成天然H鎖お よびL鎖(□)並びに40nM再構成天然H鎖および組換えL鎖(△)で得られ た結果を表す。ただし、再構成サンプルの定められた濃度には微量の非共有結合 した鎖は含んでいない。 図4は、輸送タンパク質と医薬分子を結合するのに使われる化学合成機構の図 解を示す。 図5は、組換えBoNT/A軽鎖発現構築物pCALの図解を示す。これはp MAL-c2ベクターのポリリンカーにおけるBamHIとSalI制限部位と の間にL鎖遺伝子を挿入して作製される。ベクターは、malE-LacZa遺 伝子融合体を転写させる位置にある誘導性(inducible)Ptacプロモーターを含 む。lac1q遺伝子は、イソプロピルβ-D-チオガラクトシド(IPTG)に よる誘導まで、Ptacからの転写を抑制するlacリプレッサーをコードする。 rrnBターミネーターは、転写がプラスミドの複製に干渉するのを妨げる。A mprは、アンピシリン耐性のためのβ-ラクタマーゼをコードする。M13-o riおよびpBR322oriはDNA複製の開始点を示す。ファクタ−Xa開 裂部位およびL鎖起点は矢印で指し示している。 図6は、BoNT/Aに対する組換えSNAP-25基質およびウエスタンブ ロットによる開裂検定の結果を示す図である。図解(A)は、BoNT/A開裂 部位を含むSNAP-25のC-末端断片であって、これに対するポリクローナル 抗体を生じさせた。グラフ(B)は、ウエスタンブロットのデンシトメトリック スキャン(densitometric scanning)により得られた数値である。還元型天然B oNT/A(●)および組換え野生型L鎖(○)は、効果的にSNAP-25を 開裂する一方、Tyr227変異体はタンパク質分解活性に欠けた(▽)。 図7Aおよび7Bは、組換えL鎖またはその融合タンパク質が、透過性クロマ フィン細胞からのカテコールアミン放出を阻害することを表す線グラフである。 図7AはファクターXa開裂前であり、図7BはファクターXa開裂後である。細 胞は、20μMジギトニンを含むKGEPバッファー(139mM K+グルタミ ン酸、5mMエチレングリコールビス[β-アミノエチルエーテル]N,N,N ’,N’-テトラアセチックアシッド[EGTA]、2mM ATP、2mM M gCl2、20mMピペラジン-N,N’-ビス[2-エタンサルフォニックアシッ ド][PIPES]pH6.5)に、表示された濃度の天然BoNT/A(○; △)または組換えL鎖融合タンパク質をファクターXaに伴う開裂の前(●)若 しくは後(▲)に配合したもので、15分間インキュベートすることにより透過 性を有するようになった。続いてKGEPで軽くすすぎ、20μM遊離Ca2+を 含むかまたは除いたKGEPで15分間インキュベートした。それから、それぞ れのウエルからアリコート(aliquot)を取り出し、カテコールアミンの含有量 を蛍光法(fluorometric method)によって検定した。細胞内に残存しているカ テコールアミンはTx-100可溶化した後に算出し、分泌物は全細胞含有量( =残存+放出)の割合として算出した。Ca2+を含まない緩衝液中のカテコール アミンを、20μM Ca2+を含む緩衝液で分泌されたカテコールアミンから除 いて、誘発放出を算出した。 図8は、BoNTの天然H鎖で再構成した後の、運動終板で神経誘発性神経筋 伝達における、精製された天然、組換え野生型および変異L鎖の効果を示す線グ ラフである。マウスの半横隔膜の横隔神経(phrenic nerve-hemidiaphrams)に 投与すると、組換えL鎖と再構成したBoNT/A H鎖(1.6nM;○)は 、天 然L鎖とH鎖を再構成したもの(2.0nM;▽)とほぼ同じ程度に神経筋伝達 をブロックした。対照的に、L鎖のTyr227変異体を含む2本鎖では量を多く しても神経誘発性単収縮に対して効果はなかった。再構成物質の濃度は、SDS -PAGEおよびデンシトメトリックスキャニングにより150kDa2本鎖物 質を定量した後に計算して求めた。組織をクレブス-リンガー培地に浸し、95 %O2および5%CO2でエアレーションしながら24℃に保った。示されたすべ てのポイントは、少なくとも3つの別検体の平均±SDである。 図9は、MBP-BoNT/A-L鎖2重変異体(”1”)およびMBP-Te Tx切断(truncated)L鎖-BoNT/A-L鎖2重変異体(”2”)を生成す るための構築物を図解したものである。 発明の詳細な説明 本発明は、連結された薬学的化合物を運ぶための輸送体として、2本鎖形態の 、修飾されたクロストリジウム属細菌神経毒素を利用することに関する。毒素輸 送体に結合させることができる化合物の中には、蛍光物質を保持する視覚化試薬 および治療価値のある医薬がある。天然毒素の酵素的な特性はこのような適用に は不利であったが、本発明者らは、この限界を克服する手段を見いだした。毒素 輸送体による標的と予定される細胞集団には同種の毒素レセプターを有する(ex press)ものも含まれる。 本発明者らは、有効な医薬の輸送薬(delivery agent)は、クロストリジウム 属細菌神経毒素のL鎖中のアミノ酸の1つまたはそれ以上を変異させ、そのプロ テアーゼ活性を不活性化し、さらに医薬をその不活性化された神経毒素に結合さ せることにより調製することができることを見いだした。この酵素活性の失活に もかかわらず、変異した毒素は、都合の良いことに、その同種の細胞表面レセプ ターに結合する能力は維持している。さらに、本発明者らは、弱毒化したクロス トリジウム属細菌神経毒素について他の予期しがたい特性を見いだした。 意義深いことに本発明者らは、クロストリジウム属細菌神経毒素の重鎖および L鎖の両方が最適なレセプター-リガンド相互作用のために要求されることを見 いだした。この知見から毒素輸送体は、2本の鎖分子を両方とも含んでいること が 有利であると考えられる。L鎖分子に関連している毒素の特性は、輸送体に共有 結合した医薬の医療効果を妨げるため、本発明者らは、天然H鎖と再構成した弱 毒化したL鎖分子を作製したところ、得られた2本鎖分子は、同種のレセプター に結合し、インターナリゼイション(internalization)される能力を維持して いた。これは、1つまたはそれ以上のアミノ酸位置の変異により、L鎖タンパク 質の折り畳み構造に対して最小限の損傷で達成することができることを見いだし た。 したがって、医薬に共有結合し得る、媒介手段として不活性化したクロストリ ジウム属細菌神経毒素を用いることを探究した。再構成された毒素、すなわち不 活性化されたL鎖が天然のH鎖にジスルフィド結合された毒素は、標的レセプタ ーに特異的に相互作用し、かつ、結合された分子を伴い細胞質ゾルに輸送される 能力を維持していた。したがって、不活性化され、かつ化学的に修飾された毒素 結合体(modified toxin complex)は、結合された化学物質を、毒素に対する細 胞表面レセプターを有している神経細胞の細胞質ゾルに輸送するシステムとして 用いることができる。 本発明では、TeTx-L鎖をコードしている遺伝子に、マルトースバインデ ィングドメイン(maltose-binding domain)をコードするDNA配列を5’末端 に加えることにより修飾した。それゆえ、このドメインはTeTx-L鎖タンパ ク質のN-末端部位につけ加えられた。E.coli内での発現のあと、組換え 体融合タンパク質(「MBP-L鎖」という)は、アフィニティークロトマトグ ラフィーにより精製された。ファクターXaによるタンパク質分解によれば、融 合タンパク質のL鎖とMBPドメインを分離することができた。次に、精製した L鎖は、2本鎖を生成するためにC.tetani-由来TeTxから分離、精 製したH鎖と結合させた。この再構成TeTx分子は天然毒素の活性特性を示す 。また、天然BoNT/A-H鎖タンパク質と再会合させた組換えBoNT/A- L鎖タンパク質を用いても同様の知見が得られた。 他の実験では、TeTx-L鎖中のGlu234をAlaにする修飾により、VA MPまたはTeTx-L鎖が認識する開裂部位を含む合成基質を開裂するその能 力は失われた。優れたことには、修飾された毒素はそのレセプターに結合する能 力を維持していたが、変異L鎖と野生型H鎖とで形成された複合体の神経毒性も ま た失われた。似たような実験として、分離BoNT/A-L鎖分子のHis227若 しくはGlu224のいずれかを、またはその両方を修飾した。BoNT/A-L鎖 中でのこのような修飾は、細胞の標的基質に対するタンパク質分解活性を消失さ せた。 テタヌストキシンに対しては多くのヒトが免疫されているので、循環抗体によ る中和が最低限になるように、TeTx分子を更に修飾するほうが有利であると 考えられる。TeTx分子への修飾は、その細胞結合およびインターナリゼーシ ョン能力を維持し、しかし免疫システムによる探知は制限することが好ましい。 ここに説明する方法によれば、変異クロストリジウム属細菌神経毒素を合成す ることができ、それは効果的に細胞質ゾルにインターナリゼーションされ、輸送 される能力を有している。これらの毒素は、関連するタンパク質分解活性はなく とも、神経に結合する能力を維持していて有利である。このような弱毒化された 毒素は化学薬を標的神経に特異的に輸送するための新規なシステムをつくるのに 有用である。 ここで述べられる、変異を誘発し酵素的に不活性な2本鎖クロストリジウム属 細菌神経毒素は、毒素に対する細胞表面レセプターを有する神経細胞に化学物質 を輸送するための神経薬理学的な薬として優れたものを提供している。輸送体タ ンパク質に化学薬を結合することは、本発明を実施するために必須である。この ような化学薬としては薬理学的な薬、化学療法的な薬または電磁気放射の光若し くは他の形態の電磁気放射線により検知可能な視覚化試薬を用いることができる 。 似たようなものはたくさんあるが、当業者は、少なくとも1つ重要な点におい て、テタヌストキシンおよびボツリヌス毒素が機能的に区別されることを認識す るであろう。テタヌストキシンは運動ニューロンによって取り込まれ、脊髄へと 運ばれて痙攣による痙直を引き起こす。このようにして、筋肉を起点として脊髄 へさかのぼる道筋を通って、TeTxは脊髄中の標的細胞へと到達することがで きる。逆に、種々の血清型BoNT(BoNT serotypes)では全て、神経毒性は、 コリン作動性神経末端、実質的には注射部位に局部的に限定して作用する。 TeTxが脊髄へ移動して毒素活性を示す能力とBoNTの局部限定的な毒素 活性の能力とのこのような違いは、修飾された毒素輸送体を用いる治療プロトコ ールにおいて活用することができる。特に、TeTxに基づく修飾された毒素は 、脊髄と注射された筋肉とをつなぐ神経の道筋に沿って、結合された医薬を脊髄 に運ぶと考えられる。逆に、血清型ボツリヌス毒素のうちのひとつを基礎にして 修飾された毒素は、注射した部位に局部的に限定されると考えられる。ゆえに、 以下に続く本発明の修飾された毒素輸送体に基づく治療薬を使う臨床家は、Te Txに基づく治療薬(therapeutic agent)を適当な筋肉に注射することによっ て、選択的に脊髄の領域へ医薬を運ぶことができる。その一方、BoNTに基づ く治療薬の筋肉への投与は、作用活性が注射部位の運動ニューロンに限られる。 不活性なテタヌストキシン輸送体は、主に、腕、脚若しくは体の一部分のよう に全般的な範囲で痙直や過剰運動を制御するために、標的となる組織に医薬を運 ぶのに用いられる。医薬および輸送体は、脊髄標的に起源のあるひとつまたはそ れ以上の筋群内に筋内投与することができる。 治療による効果があると考えられる病気としては、痙性斜頸(spasmodic tort icollis)、ポストストローク(post stroke)若しくは外傷性脳損傷(traumati c brain injury)により誘発される痙直(spsticity)、および大きな筋群(lar ge muscle groups,)のジストニー(dystonia)が挙げられるが、これらに限定 されるものではない。 不活性なボツリヌス毒素輸送体は、主に、末梢運動神経末端を標的として医薬 を運ぶのに用いられる。それゆえ、限定された筋群に影響のある病気には、Bo NT/Aに基づく輸送体を使って治療するのが最適である。他の血清型ボツリヌ ス毒素に基づいた輸送体もまたこのような目的に有効であると考えられる。 治療による効果があると考えられる病気としては、晩発性運動障害(tardive dyskinesia)、痙性結腸炎(spastic colitis)、本態性振せん(essential tre mor)、胃平滑筋(gastric smooth muscle)、アカラシア(食道の異常収縮)、 局所性痙直(localized spasticity)、背中若しくはその他の筋群に限定された 筋痙攣痛(painful muscle spasms)、一時的下顎障害(temporal mandibular d isorder)、痙性発声困難(声帯過剰反応 overactive vocal chords)、嚥下障 害(swallowing disorder)、緊張性頭痛(tension headaches)、痙性斜頸(sp asmodic torticollis)、ポストストローク(post stroke)若しくは外傷性脳損 傷 (traumatic brain injury)により誘発される痙直(spasticity)、大きな筋群 (large muscle groups)、心血管平滑筋(cardiovascular smooth muscle)( 例えば、細動脈)、および様々な器官(胆嚢、膀胱、直腸など)に見られる括約 平滑筋(sphincter smooth muscle)のジストニーが挙げられるが、これらに限 定されるものではない。 表1には、本発明に関連し得る治療の概要を示す。この表には、テタヌストキ シンまたはボツリヌス毒素の分子に連結させることができる具体的な医薬の種類 が記載されている。表1に示すように、修飾されたテタヌストキシンは治療薬を 脊椎および他の神経細胞部位に運ぶことができる。修飾されたボツリヌス毒素は 、化学薬を局所に運ぶための媒介手段として用いることができる。 ここにいう輸送体は主に、不活性な2本鎖テタヌストキシンおよびボツリヌス 毒素A型タンパク質であるが、他の全ての血清型のボツリヌス毒素(B−G)も 同様に用いることができる。異なる血清型のボツリヌス毒素は、異なる前シナプ スのレセプターに対して用いることができる。すなわち、異なる血清型の毒素は 、医薬輸送を特異的に行うことに好ましく用いることができる輸送体として使用 されよう。このことは、仮にある組織がひとつのレセプターを他のレセプターよ りも選択的に有している場合には、特に有効である。あるいは、2つの輸送体を 用いて異なる治療薬を体内の同じ標的域に運ぶことに用いることもできる。この 後者のアプローチは、レセプター部位の、異なる毒素リガンド間での競合を減ら すのに有効である。 さらに、クロストリジウム属細菌神経毒素タンパク質の天然のものと組換え野 生型の双方に化学物質を結合させて輸送体として用いることは、本発明の範囲に 含まれる。このような態様では、医薬輸送体のL鎖部分の有する酵素活性により 、その神経毒素特性の効能による治療上の利点を得られる。例えば、神経機能を 阻害する医薬を野生型ボツリヌス毒素分子に結合させて2つの作用を有する結合 体とすることができる。医薬はその標的部位で作用する一方、ボツリヌス毒素は その神経阻害効果を及ぼす。 医薬分子に結合される活性毒素を用いた治療対象となる神経筋疾患の例として は、限局性ジストニー、ストローク若しくは外傷性脳損傷若しくは脊椎損傷によ る痙直、眼瞼痙攣、斜視、脳性小児麻痺、筋痙攣による背痛が含まれる。 以下に示すように、本発明で用いられることが予期されるいくつかの医薬は、 他の医薬が細胞外部で作用するのに対し、細胞内部で作用する。ここで明らかに するように、細胞内部作用医薬は、クロストリジウム属細菌神経毒素輸送体に結 合させることができ、効果的にインターナリゼーションされる。しかし、細胞外 部作用性医薬もまた、本発明で用いることができる。還元されたアルキル化ボツ リヌス毒素は細胞の外部に結合するが、インターナリゼーションはされない(de Pavia et al.,J.Biol.Chem.268:20838(1993))。このようにして、還元さ れたアルキル化分子は、細胞外部作用医薬と結合されて、標的細胞の表面へと運 ばれる。いったん細胞の表面に結合すると、エステラーゼのような酵素が毒素輸 送体から医薬を引き離すので、標的細胞にきわめて接近して医薬を放つことにな る。 以下に、代表的な医薬の種類とこれに結合される輸送体の形態の種々の実施態 様の概要を示す。 不活性クロストリジウム属細菌神経毒素と化学薬とを共有結合する方法は、当 業者に知られている通常の方法による。ただし、不活性な毒素に対応する複合薬 のドメインは、標的細胞上の同種のクロストリジウム属細菌神経毒素レセプター と特異的に相互作用する能力を維持していることが条件である。 精製されたボツリヌス毒素A型は、神経毒素薬として医療的に用いられてきた 。この化合物は、アレルガン社(アーバイン、カリフォルニア)により製造され ており、BOTOX(登録商標)という商品名で販売されている。この薬は、治 療上、局所的、化学的な除神経筋肉麻痺を生じさせるために用いられる。この様 にして化学的除神経を施すと、影響を受けた筋肉は萎縮し、ジャンクション外( extrajunctional)アセチルコリンレセプターを発達させ得る。影響を受けた神 経細胞は、発芽新生を生じ、筋組織を再び神経支配できるので、BOTOXの麻 痺活性は可逆的であると考えられる。 上記の方法に従って製造される修飾されたクロストリジウム属細菌神経毒素は 、減圧化で凍結乾燥した状態で容器に入れ保存できる。凍結乾燥に先立って、修 飾された毒素は、当業者に知られているアルブミンや他の適当な薬品のような、 製薬的に許容される賦形剤と混合できる。製薬的な調製については、ニュージャ ージーの Medical Economics Data of Oradell により毎年出版される「Physici ans Desk Reference」にさらに記載がある。凍結乾燥剤は、筋内注射の前に、無 菌の非保存性生理食塩水を使って再調製する。この溶液は、上述の種々の神経筋 障害の治療に使いかってがよい。軽鎖タンパク質に化学物質を結合させる方法 多種多様な化学物質を毒素輸送体分子に結合させて用いることができると考え られるが、これらの代表的物質は神経薬学的薬または医薬であろう。したがって 、以下の説明では、輸送体タンパク質と医薬との結合方法を詳説する。しかしな がら、当業者であれば、より一般的な用語「化学物質(chemical compound)」 を「医薬(drug)」という用語に置き換えたにすぎないことは認識できるであろ う。 タンパク質のアミノ酸鎖に化学物質を結合する方法は数多く知られている。本 発明者らは、L鎖ペプチドから医薬を離すためにリンカー分子を用いる。上記の ように、本発明者らは、その本質的な機能に影響を及ぼすことなく、TeTxの N末端に11アミノ酸を結合することができることを見いだした。このため、化 合物の結合部分として、ボツリヌス毒素またはテタヌストキシンのL鎖のN末端 部位を用いることができる。 ほとんどの医薬で立体障害に対して敏感ではない位置があることは知られてい る。また、連結工程により医薬分子にキラリティが生じるわけではない。さらに 、リンカーと医薬とは共有結合により結合される。L鎖と医薬との距離はスペー サー分子を挿入して調節する事ができる。スペーサーとしては、リンカー、医薬 及びL鎖に結合し、またそれらを結びつけることができる官能基を有するものを 用いることができる。 好ましいスペーサーとしては、: 1)HOOC-(CH2n-COOH、n=1−12、ペプチドのアミノ末端に 挿入して、そのアミノ末端を医薬上のリンカーに連結するのに好適である。 2)HO-(CH2n-COOH、n>10、ペプチドのアミノ末端に結合させ 、L鎖を医薬分子上のリンカーをL鎖に結合するのに適している。 3)(C66n、n>2、医薬分子上のリンカーとL鎖を結合するアタッチ メントとして好適である。ベンゼン環は医薬とL鎖との間の剛性のあるスペーサ ーとなる。もちろん、適当な官能基、例えば下記にX基として特定されるような ものが、医薬とL鎖を連結するベンゼン環についていることもある。 二つの異なる結合タイプが見られる。最初のタイプは、医薬-リンカー-L鎖分 子が細胞中に導入された後にもインタクト(無傷)のまま維持される。二つめの タイプは、医薬-リンカー-L鎖分子が細胞に導入された後に代謝されて医薬を分 離する。 導入後もインタクトのまま維持されるリンカー ひとつの方法としては、システイン残基がL鎖分子の末端に従来の技術を用い て結合される。例えば、L鎖分子をコードする遺伝子構築物を、タンパク質のN -末端部位にシステイン残基が含まれるように変異させることができる。マレイ ミドリンカーは既知の手法によりシステイン残基に結合される。 二つめの方法としては、リンカーを直接医薬に結合する。医薬-X成分は、X がOH、SH、NH2、CONH、CONH2であるものであってもよい。もちろ ん、好ましい基は、活性部位にはなく、また立体的に障害とならない。以下の反 応により、医薬-Xをリンカー分子に連結する。 一旦医薬がリンカーに結合されると、医薬を毒素に連結するために以下の反応を 行うことができる。この反応においては、毒素は医薬に対する結合部分となる接 触可能なリシン基を有する。上記の通り、リシンなどの追加アミノ酸は、L鎖遺 伝子のN-末端部位に容易に結合でき、医薬に対する結合部位として用いられる 。以下の反応では、水素化シアノホウ素ナトリウム(sodium cyanoborohydride )が、L鎖分子上のリシン基にリンカーを結合するために用いられる。 本発明に用いられるものとして挙げられている医薬は、フリー-XH基を有し、 神経抑制剤(neuroinhibitor)として作用し得る医薬である。これらの神経抑制 剤は、神経がファイアリング(firing)するのを阻害されているような医学的徴 候において神経伝達物質の過剰生産を妨げることができる。好ましい-XH基を 有する医薬としては、アコニチン(Aconitine)、アデノシンアゴニスト/アン タゴニスト(adenosine agonists/antagonists)、アドレナリン作用薬(adrene rgics)、アナトキシン A(anatoxin A)、抗てんかん薬(antiepileptics)、 バクロフェン(baclofen)、バチアコトキシン(bactiachotoxin)、ブレフェル ヂン A(brefeldin A)、ブレベトキシン(brevetoxin)、カプトプリル(capt or il)、クラーレ(curare)、ダントロレン(dantrolene)、ドキソルビン(doxo rubin)、ジアゼパン(diazepan)、グライアノトキシン(grayanotoxin)、リド レイン(lidoraine)、メトカルバモール(methocarbamol)、メチルリカコニチ ン(methyllycaconitine)、ネオサキシトキシン(neosaxitoxin)、フィソスツ チジミン(physostigmine)、プシコシン(psychosine)、THA、テトロドト キシン(tetrodotoxin)、ベサミコル(vesamicol)およびバイガバタム(vigab atum) 導入後開裂するリンカー 医薬の作用の様式によっては、導入後にL鎖から医薬が分離されることが重要 となることがある。この方法では、医薬はリンカーとともに合成のための活性部 位となるフリー-XH基を有する。-XH基はアルコール、フェノール、アミン、 カルボン酸またはチオールでもよい。導入後代謝されるように医薬を毒素に連結 する際の一般式は以下の通りである。 Xとしては、O、N/NH、CO2、S、CONHが挙げられる。 リンカーとしては以下に示すA)またはB)が挙げられる。 リンカーA又はBとの具体的反応を以下に示す。 リボザイムを毒素輸送体に連結する手法では、リンカーの結合のためにアデノ シンおよびグアノシン塩基上のフリーアミノ官能基を用いる。とりわけ、我々の アプローチでは、フリーアミノ部位が修飾された修飾アデノシンまたはグアノシ ン残基を、スクシニミド(succinimide)の窒素部位に結合されるリンカーと結 合させる。 これらの修飾ヌクレオシドの構造は次のように図式化できる: 糖-塩基-NH-リンカー-スクシニミド リボザイムは通常の方法に従って、定められた順序でヌクレオシドを逐次連結し て調製される。連結反応は、個々の化学ユニットの糖部分の間に生じる。上記し たように、リボザイムの3’または5’末端のいずれかでの修飾ヌクレオシドの 結合は、前述の機構によって毒素輸送体に共有結合で連結するための手段を提供 するであろう。ここに述べた物質や方法の他のものも本発明の実施または試験に 用いることができるが、好ましい方法および物質は今述べた通りである。ここに 述べられている種々のPCRおよびクローニング手順を行うために用いることが できる方法についての一般的参考文献として、Molecular Cloning: A Laborator y Mannual(Sambrook et al.eds.Cold Spring Harbor Lab Publ.1989)および Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.eds.,Greene Publi shing Associates and Wiley-Interscience 1987)がある。 不活性TeTx構成物を作成する最初の段階は、野生型および変異型L鎖構造 遺伝子をプラスミド発現ベクターにサブクローニングすることを含む。この目的 のために用いられるベクターは、マルトースバインディングタンパク質ドメイン (maltose binding protein domain)のN末端を、L鎖のC末端に連結する融合 タンパク質を発現するように設計される。ベクターにコードされたファクターXa の共有結合開裂部位は、MBPとL鎖挿入配列との間に挿入される。L鎖DN Aの部位特異的変異誘発を用いてGlu234をAlaに代える。 実施例1では、野生型および変異型テタヌストキシンL鎖のマルトースバイン ディング融合タンパク質をコードした組換えプラスミドを作成する方法を説明す る。 実施例1 マルトース-バインディング-タンパク質-TeTx-L鎖構築物 E.Coli K-12 TG1菌株を、以下に説明する全てのプラスミド構築 物の増殖用のホストとして用いた。pMAL-LCプラスミド(野生型L鎖遺伝 子)は、FairweatherらがFEBSLett.323:218(19 93)で示したpTet87プラスミドからのL鎖をコードする1417-bp 断片のポリメラーゼチェーンリアクション(PCR)増幅により構築した。この PCR増幅で用いられるaおよびdという2つのポリヌクレオチドプライマーは 、それぞれ配列5’-GAGATGGTCGACATGCCAATAACCAT AAATAAT-3’(配列番号1)、5’-ACGCGAAGCTTTTATC ATGCAGTTCTATTATA-3’(配列番号2)を有していた。この反 応の増幅産物をSalIおよびHindIII(Promega)で消化し、それから 野生型TeTx配列を保有するpMAL-LCプラスミドを作製するために同じ 酵素で消化したpMAL-c2ベクター(New England BioLabs)(図1A)に連 結した。部位特異的変異誘発用には、配列5’-TAGTACATGTATAA GTGCGTGCATTAATAG-3’(配列番号3)および5’-TTATA CATGTACTACATGGT-3’(配列番号4)をそれぞれ有するbとc というさらに2つのプライマーを用いた。それぞれのプライマーは、TeTx- L鎖の234アミノ酸位置のGluコドンをAlaコドンに変異させる際に利用 するAflIII開裂部位を有する。pTet87のPCR増幅は、プライマー a/bおよびc/dの組合せを別々に用いて行った。a/bの組合せから得られ た増幅産物は、SalIおよびAflIIIで消化し、c/dの組合せから得ら れたものはAflIIIおよびHindIIIで消化した。マジックDNAクリ ーンアップシステム(Promega)で精製した後、変異TeTx配列を保有するp MAL-LC-Ala234プラスミドを作製するために試料をSalIおよびHi ndIIIで開裂したpMAL-c2に連結した。 サブクローニングの後、プラスミドDNAをアンピシリン耐性形質転換体の培 養物から精製して、構築物の構造を制限酵素マッピングおよび挿入したDNAの 配列決定により確認した。 SalIおよびHindIIIによる消化により、アガロースゲル電気泳動に より推定される長さが1417bpである断片を収集した。DNA配列決定によ り、L鎖遺伝子の5’-末端の接続部のヌクレオチド配列、多重クローニング部 位(MCS)、ファクターXa開裂部位、L鎖およびMBPコドン配列がすべて 正しいリーディングフレームになっていることを確認した(図1A)。 上記プラスミド構築物の利用により、組換え野生型および変異L鎖融合タンパ ク質の作製が可能となった。特に、pMAL-LCまたはpMAL-LC-Ala2 34 プラスミドを保有するバクテリアクローンの培養は、組換え体融合タンパク質 の高レベル合成を刺激するイソプロピルβ-D-チオガラクトシド(IPTG)に より誘導される。アミロースアフィニティー樹脂によるバクテリア抽出物のアフ ィニティークロマトグラフィーによって、2つの融合タンパク質のラージスケー ル精製を行った。 実施例2では、上記の実施例で説明したプラスミド構築物によってコードされ た組換えL鎖融合タンパク質の生成と精製の手法を説明する。 実施例2 TeTx融合タンパク質の発現 並びに野生型およびAla234-L鎖変異タンパク質の精製 pMAL-LCまたはpMAL-LC-Ala234プラスミドを保有するE.Co liクローンを、アンピシリンを100μg/mlおよびグルコースを2mg/ mlにしたL-ブロース(broth)中に37℃の条件で、およそ2×108cel l/ml(A600〜0.5)の密度になるまで増殖させた。最終濃度0.3mM までIPTGを添加して誘導を開始した。2時間後に6000×g、30分間遠 心分離を行い、細胞を収集した。得られたペレットを、1mM フェニルメタン スルホニルフルオリド(PMSF)を含むカラム緩衝液[10mM トリス-HC l、200mM NaCl、1mM エチレングリコールビス(β-アミノエチル エーテル)-N,N,N',N'-テトラ酢酸、および1mM ジチオトレイトール(D TT)(p H7.4)]に再懸濁し、超音波処理により溶菌させた。遠心分離の後、粗抽出 物をアミロースアフィニティーカラム(2.5×10cm、40mlの樹脂)に アプライした。結合しなかったタンパク質を緩衝液で洗って除去し、続いて、M ainaらがGene74:365(1988)に記載した手順にしたがって、 結合したMBP-LC融合タンパク質を10mMマルトースを含む緩衝液で溶離 した。分離された融合タンパク質は、アミコンセントリコン(Amicon CENTRICON )を用いた0.5−1mg/mlに濃縮した。それからタンパク質試料を、ソジ ウムドデシルサルフェイトポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE )および抗-MBPポリクローナル抗体と抗-L鎖モノクローナル抗体を用いたウ エスタンブロッティングにより分析した。双方の細胞抽出物のSDS-PAGE は、非誘導培養のクーマシー染色パターンにはない、誘導タンパク質バンド(Mr 〜90,000)の存在を示した。タンパク質バンドの分子量は、MBPとL 鎖の融合から予測されるもの(それぞれMr〜40,000および50,000 )に一致した。pMAL-c2ベクターシステムを使って組換えL鎖およびAl a234変異体を発現させるための定められた最適条件は、IPTGで37℃、2 時間の誘導であった。それ以上の時間誘導してもプロテアーゼ阻害剤を混合させ ても生成物の収量は増えなかった。どちらの融合タンパク質も緩衝水溶液(0. 5mg/mlまで)に溶解し、また−20℃で保存して8カ月安定していた。 この最初の精製段階の後、双方のMBP-L鎖調製物を、ファクターXaによっ て、酵素:タンパク質の割合を0.5−1:100(w/w)として、23℃、 24時間で開裂した。この開裂により、SDS-PAGEにより確認された通り 、MBPが遊離して野生型-L鎖およびAla234-L鎖それぞれへの融合タンパ ク質の転換が達成された。カラム緩衝液に対し十分に透析してマルトースを除い た後、L鎖またはAl234-L鎖を新たなアフィニティーカラムに再吸着させてさ らに精製した。この精製段階の所望の生成物はカラム洗浄画分中に見いだされる 。カラム洗浄の画分は、A280nmでモニターし、SDS-PAGEおよびウエスタ ンブロッティングにより再確認した。 アミノ酸配列決定のために、野生型または変異型L鎖をSDS-PAGEにか け、TousらがAnal.Biochem.179:50(1989)で記載 した ようにポリ(ビニリデンジフルオライド)膜に移し、モデル4000タンパク質 シンケンサー(Chelsea Instruments,London)を用いて、自動エドマン分解を 行った。2つの生成物をマイクロシーケンシングしたところ、図1Aに示される ように、ベクターの多重クローニング部位によりコードされる11アミノ酸の後 に位置する4つの残基が、天然L鎖のN-末端のそれと全く同じであることが明 かとなった。所望の構造を有する組換えL鎖タンパク質を精製することに成功し たので、我々は次にこれらの化合物の酵素活性を試験した。 天然L鎖タンパク質の亜鉛依存プロテアーゼ活性の試験を、組換えL鎖タンパ ク質の活性についての検定として行った。この検定では、2つの異なるタンパク 質基質を用いた。最初に、ウシ小シナプス小胞(SSVs)を用いた。クーマシ ー染色およびタンパク質ゲルのウエスタンブロッティングに基づいて基質のタン パク質分解開裂を検定した。 実施例3では、SSVsを基質として用いて野生型および変異型組換えL鎖タ ンパク質のタンパク質分解活性を検定する方法について説明する。 実施例3 インビトロ基質のTeTx-L鎖依存タンパク質分解測定 天然、組換え野生型またはAla234L鎖を、ウシ小シナプス小胞(0.5m g/ml)とともに、50mM HEPES、400mM NaCl、5mM D DT、2μM ZnSO4(pH7.4)中、37℃で、90分間インキュベート した。反応は、SDS-PAGE試料緩衝液を添加し3−5分間煮沸して停止さ せた。それから試料をSDS-PAGEにかけ、ShoneらがEur.J.B iochem.217:965(1993)に示したヒトVAMP2の33−9 4残基に対応する62-アミノ酸合成ポリペプチドに対して産生させたアフィニ ティー精製抗-HV62抗体を用いたウエスタンブロッティングにより検出した 。抗-HV62抗体の調製方法は、実質的にPaivaらがJ.Neuroch em.61:2338(1993)の中で示している方法と同じである。SDS −PAGE後の消化物の抗-VAMP抗体プローブによるウエスタンブロッティ ングまたはタンパク質染色による半定量検定をしたところ、ウシSSVsととも に組換え(100 nM)または基準(50nM)L鎖タンパク質をインキュベートすることによっ てVAMPのタンパク質分解開裂が生じた。Ala234-L鎖は、濃度2.3μM であってもプロテアーゼとして不活性であることが判明した。この結果はGlu234 がTeTx-L鎖の酵素活性にとって必須であることを裏付けた。 天然および組換えL鎖の相対活性をより正確に定量するために、ヒトVAMP -2の33-94残基に対応する合成62-残基ポリペプチド、HV62、の開裂 の測定にRP-HPLCを用いた。 実施例4では、HV62ペプチド基質を用いて天然および組換えL鎖のインビ トロ活性を定量するための手順を説明する。 実施例4 天然および組換えTeTx-L鎖タンパク質のタンパク質分解活性の定量 5mM DDTを含む20mM HEPES、200mM NaCl(pH7. 4)のHV62ペプチドのストック溶液(最終濃度40μM、最終容量60μl )を調製L鎖(最終濃度100nM)とともに37℃でインキュベートした。所 定時間間隔で、5mMエチレンジアミン-四酢酸(EDTA)60μlおよび1 %(v/v)トリフルオロ酢酸(TFA)(pH2)を添加して反応を停止し、 続いて遠心分離を行った。試料は分析にかけるまで−20℃で保存した。HV6 2加水分解の進行度を、0−60%アセトニトリル勾配を用い、0.05%TF A中で平衡化したマイクロパックス(Micropax)C18カラム上で逆相高圧液体ク ロマトグラフィーによりA220nmをモニターしながら測定した。Schiavo らがEMBO J.11:3577(1992)に発表した知見と同じく、Gl u76およびPhe77の間のただ1つのタンパク質分解部位が開裂生成物のN末端 配列決定によって確認された。HV62加水分解の割合を77−94残基に対応 した分解生成物のピーク高さから算出した。生成物の既知量をピーク高さに関連 付けた直線標準曲線を、定量のために用いた。 分離した開裂生成物(77−94残基)の定量、すなわち天然L鎖によるポリ ペプチドの時間および濃度依存加水分解、は図2に示す通りである。組換えL鎖 (250nM)によるHV62基質(40μM)の開裂はそのタンパク質分解活 性により確認した。しかしながら、基準L鎖タンパク質で観察されるのと同じレ ベルの加水分解(n=4)を生じさせるには、2.5倍高濃度の組換えL鎖が必 要となる。この特定の条件下では、100nM天然および組換えL鎖の37℃で の基質開裂の初速度は、それぞれ45.6±3.6および21.6±2.4pm ol/minであった。さらに重要なことには、Ala234-L鎖を2.5μMで 3時間インキュベートしたときには、ポリペプチド(40μM)のタンパク質分 解は検知されなかった。この後者の発見は、Glu234がTeTx-L鎖の酵素活 性に必須であることを裏付けた。 Ala234-L鎖変異体を特徴づけるタンパク質分解活性の欠落は、L鎖が基質 に結合できないか、あるいはペプチド結合(Glu、Phe)を開裂することが できないかのいずれかに起因する。2つの可能性を区別するために、Ala234 L鎖の、天然L鎖によるHV62基質の開裂を減じる能力について調べた。これ は、天然L鎖を添加する前に、前もってHV62とAla234L鎖をインキュベ ートするという単純な試験により行った。この試験を行うために、反応緩衝液中 で9μM HV62を、4.5μM Ala234-L鎖とともに、150nM天然L 鎖を添加する前に前もって37℃で1時間インキュベートした。反応を止めたと ころで、上記したように試料中の基質開裂を分析した。この試験の結果から、A la234-L鎖変異タンパク質が存在すると、天然L鎖の活性が50%以上も減少 することが判明した(図2、挿入部)。この結果から、変異L鎖はペプチドに結 合する能力は維持しており、それゆえ天然L鎖のタンパク質分解活性を阻害して いることが判明した。 Ala234-L鎖が検知し得るタンパク質活性を有していないことが証明された ので、我々は、天然H鎖および不活性L鎖成分を会合した2本鎖分子の特性を調 べた。毒素タンパク質H鎖は細胞表面レセプターに結合するのに大きく貢献する ので、基質をタンパク質分解する能力を喪失した2本鎖毒素はおそらく細胞表面 に結合する能力を維持しており、またインターナリゼションされると我々は推論 した。このような2本鎖種は、神経細胞にさまざまな化合物類(chemical speci es)を運ぶ輸送体として用いることに容易に応用し得る。 実施例5では、天然L鎖、組換え野生型L鎖またはAla234-L鎖のいずれか を合体させた2本鎖TeTxを調製する方法について説明する。 実施例5 天然H鎖と組換えL鎖からのTeTxの再会合 WellerらがEur.J.Biochem 182:649(1989) で詳述したようにTeTxより精製した天然H鎖を、等モル量の天然L鎖、組換 え野生型L鎖またはAla234L鎖のいずれかに結合させた。2M尿素、20m MDDT、1M NaClおよびトリス-HCl(pH8.4)に対して攪拌しな がら18時間その混合物を透析し、さらに50mMトリス-HClおよび600 mMグリシン(pH8.4)に対して攪拌せずに72時間透析した。1アリコー ト(300μg)を25mMトリス-HCl緩衝液(pH8.4)の入ったHP LC DEAEカラムにかけ、NaCl勾配(0−1M)を有する同じ緩衝液で 溶離した。共有結合再構成(covalent reconstitution)の程度は、非還元SD S-PAGEおよび銀染色法により確認した。 2本鎖種(dichain species)の再会合は、天然TeTxと同様に泳動した高 Mrタンパク質染色バンドの存在により確認した。組換え野生および変異L鎖に ついて、銀染色ゲルのデンシトメトリックスキャンにより確認したところ、2本 鎖種(dichain species)の相対量は55.1および56.8%であった。天然 H鎖およびL鎖は同等レベルの再構成を示した。後者は、DTTによる還元で毒 素がフリーH鎖およびL鎖にもどったので鎖間ジスルフィド結合を有していた。 2本鎖毒素分子の再会合ができたので、組換えL鎖を含有した2本鎖の生物活 性を調べた。SDS-PAGE分析によれば、2本鎖種は再会合していたが、こ れのみでは、再構成タンパク質は適切に折りたたまれ、あるいは適切に鎖間また は鎖内ジスルフィド結合が形成されて活性毒素を生成しているとはいいきれない 。そこで、毒素活性について作用検定を行う必要があった。 実施例6では、再会合した2本鎖毒素の生物活性を検定する方法を説明する。 実施例6 再会合TeTx2本鎖毒素のバイオアッセイ FairweatherらがInfect.Immunol 58:1323 (1990)で示したようにして、2本鎖毒素または他の試料をマウス(20g )の首の背側部分に皮下注射(200μ/匹)し、MaiseyらがEur.J .Biochem.177:683(1988)に示したようにして、LD50値 を決めた。この実験の結果を表2に示す。 表2から明らかなように、Ala234-L鎖および天然H鎖から再構成された2 本鎖種は、H鎖のみよりも毒素活性がなかった。天然H鎖と組換えL鎖による再 構成2本鎖は毒性を示すことから、この活性の欠如は再会合のプロセスに起因す るものではない。 HabermannらがNaunyn-Schmiedeberg’s Ar ch.Phamacol.311:33(1980)に示している神経筋の伝達 物質をブロックするTeTxの局所的な作用を、インタクトな毒素に対する再構 成試料の活性の評価に使用した。 実施例7は、再構成2本鎖の神経筋伝達に対する影響を評価する方法について 説明する。 実施例7 再構成されたH鎖および組換えTeTx-L鎖またはAla234-L鎖の 神経筋伝達に対する影響 マウスの左横隔膜神経半横隔膜調製物からの再構成2本鎖によるアセチルコリ ン放出の抑制を、de PaivaらがFEBS Lett.277:171(1 990)に示したようにして、神経誘発性筋緊張(muscle tension)として測定 した。完全麻痺に至るまでの時間として、毒素を加えてから、筋緊張が元の最大 反応の10%まで低下したときのポイントまでを記録した。試験手順は、Pai vaらがJ.Neurochem.61:2338(1993)に概略を示して いるような方法を採った。この試験の結果を図3に示す。 天然H鎖とL鎖から生じる毒素では完全麻痺に至るまでに240秒要するとこ ろ、TeTxは150秒以内に神経誘発性筋緊張を失わせた。この結果は、Te TxおよびBoNT/Aの天然毒素に関して、WellerらがEur.J.B iochem.182:649(1989)で明らかにした、TeTxとBoN T/Aから再構成した鎖の下部神経筋ブロッキング活性についての報告と一致す るものである。組換えTeTxL鎖を天然H鎖と再構成すると、得られた2本鎖 は、予想されたよりも1.5倍の効能を示した。40nMの組換え2本鎖は、完 全麻痺に至らせるまでに、20nM再構成天然2本鎖(図3、挿入部)と同じだ けの時間を要しており、上記した発現L鎖(expressed L chain)の減少した酵 素活性と一致する。マウスバイオアッセイにより、TeTxもまた、再構成天然 鎖(図2)よりもより毒性がある(15倍)であることが判明した。さらに、再 構成に組換え野生型L鎖を用いると、FairweatherらがFEBS L et t.323:218に報告したレベルの近くまでさらに致死量(lethality)が 低下した。 最も意義深いのは、Ala243-L鎖と天然H鎖を使って再構成した2本鎖は、 100nMで、6時間以上神経筋伝達に対し不活性であることが判明したことで ある。 実施例8では、クロストリジウム属細菌神経毒素L鎖タンパク質に化学物質を 共有結合により連結させる方法について説明する。この実施例では、細胞質から シナプス小胞へのアセチルコリンの取込みをブロックする医薬を、フリーSH基 を用いて輸送体に連結する。この工程での合成工程の概要を図4に示す。 実施例8 輸送体タンパク質とベサミコール(Vesamicol)との化学結合 最初に、THF、DMSO、DMFまたはアセトニトリルなどの溶媒中の、そ れぞれ等モル濃度の塩基性触媒溶液(ピリジン、2,6−ジメチルピリジン、ト リエチルグアニジンなど)を用いて、ベサミコール(vesamicol)をリンカーで ある1-クロロプロピル12-クロロ-ドデカン酸(dodecanoate)に結合する。反 応は、0から100℃の間の温度で、1〜48時間行う。次に、上記したのと同 じ溶媒中にヨウ化ナトリウム(触媒として用いた)の存在下、上記と同様の時間 と温度で、得られたベサミコール-リンカー生成物を等モル量のマレイミドのカ リウム塩と反応させる。 組換え不活性L鎖と天然H鎖とを、およそ150kDarの2本鎖分子に復元 する。復元は、等モル量のL鎖とH鎖タンパク質を尿素とDTTの存在下で混合 して行う。混合液は、実施例5で用いた透析緩衝液と同じ組成の緩衝液を用いて 4℃で透析する。復元プロセス中は好ましくは緩衝液を酸素化するとよい。緩衝 液は24時間で5回取り替える。尿素とDTTを除去するとL鎖とH鎖のジスル フィド結合が生じる。二本鎖のそれぞれは、医薬を結合することができるいくつ かのフリーのスルフィドリル基を有する。 輸送体を含む上記のトリス-NaClに5倍モル以上のベサミコールリンカー を混合し、暗所に4℃で1〜24時間の条件で、ベサミコールリンカーを、イン タ クト輸送体分子に存在するフリースルフィドリル基に結合させる。次に輸送体- ベサミコール試料はトリス-NaClに対して一晩透析し、ベサミコール輸送体 から余分なベサミコール-リンカー-マレイミドを除去する。 医薬-輸送体物質は、治療上有効量を無菌注射として投与するのに利用できる 。 上記の修飾され、不活性化されたTeTx神経毒素輸送体は多数の臨床用の適 用があるであろう。例えば、これらの修飾された毒素は、人体の全身領域(gene ral area)での痙直に影響を及ぼす神経筋障害の治療に有用であろうと考えられ る。この機能障害には、痙性斜頸、ポストストロークまたは外傷性脳損傷により 誘発される痙直が含まれるが、これらに限定はされない。 実施例9では、上記の化学的に修飾され、不活性化されたTeTx輸送体を、 毒素レセプターをもつ神経単位に化学物質を運ぶための治療用医薬として用いる 方法について説明する。 実施例9 修飾された毒素の治療適用:痙性斜頸(頸部のジストニー) 首筋系の痙性または緊張性収縮で、頭、顎のステレオタイプ異常偏向(deviat ions)を生じて、片方に回旋し、また肩が回旋した頭の脇まで持ち上がっている ような症状が現れている痙性斜頸を患う45歳の女性に、当業者が知っている適 切な医薬を、不活性なテタヌストキシン輸送体に結合させて、症状のでている筋 肉へ治療有効量を直接処置する。 3−7日後には症状はかなり緩和し、例えば、患者は自分の頭と肩を正常な位 置に保つことができ、あるいは痛みや不快感が著しく軽減される。 実施例10では、上記不活性なTeTx輸送体を、毒素レセプターをもつ神経 単位に化学物質を運ぶための治療用医薬として用いる方法についてさらに説明す る。 実施例10 修飾された毒素の治療適用: ポストストロークまたは外傷性脳損傷により誘発される痙直 外傷性脳損傷を患う24歳の青年男性は、動きを制限し、またリハビリテーシ ョンや衛生(hygiene)の妨げとなるほど上肢および下肢痙直が進行している。 症状には、患者や付添人が衛生の困難をもつほどの重度の手のクロージング(cl osing)、腰のカーリング(curling)および脚のクロージング(closing)も含 まれる。さらに、肢の痙性は理学的リハビリテーションの妨げとなり、また筋肉 の痙攣や関節の不動化を引き起こす。当業者が知っている適切な医薬を不活性な テタヌストキシン輸送体に結合させ、治療上有効な量の無菌注射液を、症状ので ている筋肉へ直接投与する。これらの症状の軽減が7−21日中に現れ、下肢は リラックスして患者や付添人が通常の衛生を保てるようになる。 脳血管卒中(cerebral vascular event(stroke))を患う70歳の女性は下肢 痙直が進行して、衛生を保つために多大な努力を要する。患者の両肢に、当業者 が知っている適切な医薬を、不活性なテタヌストキシン輸送体に結合させて、患 者の両肢に治療上有効な量を直接注射する。注射は、症状のでている筋肉へ直接 行う。これらの症状の軽減が7−21日中に現れ、下肢はリラックスして患者や 付添人が通常の衛生を保てるようになる。 以上の説明での結果および結論は、主に修飾されたTeTx輸送体の生成、性 質決定、使用に関連しているが、修飾されたBoNT/A輸送体に関しても同様 な結果が得られている。我々がBoNT/Aについてまず行ったのは、L鎖タン パク質をコードしている配列のサブクローニングであった。 BoNT/A-L鎖をコードしているDNA断片を、BoNT/A-L鎖遺伝子 の5’および3’末端にアニールされるセンスおよびアンチセンスプライマーを 用いたPCRにより増幅した。増幅生成物をpBluescript II SK+ ベクターに結合してプラスミド、pSALを作製した。 以下の実施例に説明するように、2本鎖プラスミドの配列決定によって、クロ ーン化されたL鎖遺伝子のヌクレオチド配列は基準となるBoNT/A-L鎖の ものと同一であることが確かめられた。 実施例11では、BoNT/A-L鎖をコードするポリヌクレオチド配列をク ローン化するための方法について説明する。 実施例11 BoNT/A-L鎖遺伝子のサブクローニング BoNT/A-L鎖をコードしているDNA配列を、5’-AAAGGCCTT TTGTTAATAAACAA-3’(配列番号5)および5’-GGAATTC TTACTTATTGTATCCTTTA-3’(配列番号6)という配列を有 する合成オリゴヌクレオチドを用いたPCRプロトコールによって増幅した。こ れらのプライマーを使えば、Stu IとEcoR I制限部位を、BoNT/A -L鎖遺伝子断片の5’末端と3末端にそれぞれ導入することができる。これら の制限部位は、後で増幅生成物の単一方向(unidirectional)サブクローニング に用いる。さらに、これらのプライマーは、L鎖をコードしている配列のC-末 端に停止コドンを導入する。C.botulinum(63A菌株)からの染色 体DNAは増幅反応でのテンプレートとして用いられる。 PCR増幅は、10mM トリス-HCl(pH8.3)、50mM KCl、 1.5mM MgCl2、デオキシヌクレオチドトリリン酸(dNPT)をそれぞ れ0.2mM、プライマーをそれぞれ50pmol、ゲノムDNAを200ng およびTaq-ポリメラーゼ(Promega)を含む100μl容量中で行った。反応 溶液は、変性(94℃、1分)、アニーリング(37℃、2分)、重合(72℃ 、2分)を35回繰り返す条件にかけた。最後にさらに72℃で5分間、反応を 延長した。 PCR増幅生成物は、Stu IおよびEcoR Iで消化し、アガロース電気 泳動で精製し、Stu IおよびEcoR Iで消化したpBluescript II SK+に結合させてプラスミド、pSALを得た。このプラスミドを保有 するバクテリアの形質転換体は、通常の方法によって分離する。クローン化され たL鎖ポリヌクレオチドの同定は、SEQUENASE(United States Bioche micals)を用い、製造業社の取扱説明書にしたがって2本鎖プラスミドの配列決 定を行うことにより確認した。 合成オリゴヌクレオチドの配列決定プライマーは、オーバーラップ配列決定を 実行するのに十分なように用意した。クローン化された配列は、BinzらがJ .Bio.Chem.265:9153(1990)で、またThompson らがEur.J.Biochem.189:73(1990)で明らかにした配 列 と一致することがわかった。 BoNT/A-L鎖の酵素活性が落ちるように設定された部位特異的変異体も また作成した。 実施例12では、変異BoNT/A-L鎖をコードしているポリヌクレオチド を構築するために用いられる方法について説明する。 実施例12 BoNT/A-L鎖ポリヌクレオチドの変異誘発 HiguchiらがPCRプロトコール、Innis、Gelfand、Sn inskyおよびWhite編、Academic Press,Inc.(1 990)に示した方法の変法に従って鋳型としてクローン化されたL鎖ポリヌク レオチドを用い、PCRを介して、BoNT/A Glu224をGlnに、または His227をTyrに変異誘発させた。 Gln224変異体を作成するためのセンスおよびアンチセンスオリゴヌクレオ チドプライマーとしては、配列5’-GCACATCAACTTATACAT-3 ’(配列番号7)および5’-ATGTATAAGTTGATGTGC-3’(配 列番号8)を有するものを用いた。Tyr227変異体を作製するためのセンスお よびアンチセンスオリゴヌクレオチドプライマーとしては、配列5’-AACT TATATATGCTGGAC-3’(配列番号9)および5’-GTCCAGC ATATATAAGTT-3’(配列番号10)を有するものを用いた。2回目 のPCRでは、プライマーとして配列番号5および配列番号6の配列を用いて、 完全な変異遺伝子を増幅した。Gln224変異を有する増幅したポリヌクレオチ ドは、Stu IおよびEcoR Iで消化し、Sma IおよびEcoR Iで二 重消化したpBluescript II SK+ベクターに結合して、プラスミ ド、pSAL-Gln224を作成した。Tyr227変異変異を有する増幅したポリ ヌクレオチドは、Stu IおよびEcoR Iで消化し、Sam IおよびEc oR Iで二重消化したpBluescript II SK+ベクターに結合して 、プラスミド、pSAL-Tyr227を作成した。組換えL鎖をコードするポリヌ クレオチドは、それぞれのプラスミドから開裂し、バクテリア中での融合タンパ ク質生成を促進する ために、原核生物発現ベクターに結合した。マルトースバインディング融合タン パク質の発現を高レベルにする能力のある発現ベクターを作成するために、pM AL-c2ベクターを用いた。 実施例21(後記参照)に開示したとおり、グルタチオンS-トランスフェラー ゼ(GST)融合タンパク質の生成に、pGEX-2Tベクター(Phmacia)を同 様に用い、同じく良好な結果を得た。我々は、GST融合タンパク質を生成し試 験したが、都合のよいことに、マルトースバインディングドメインを結合した融 合タンパク質は、極めて容易に精製することができることを見いだした。ここで 説明した発現構築物のすべてのL鎖タンパク質コーディング配列は、ベクターが 有するIPTG-誘導Ptaqプロモーターの転写調節下にあった。 実施例13では、バクテリアのホスト細胞中で、BoNT/A野生型および変 異L鎖を発現するプラスミドを構築するために用いる方法を説明する。 実施例13 組換えBoTN/A-L鎖発現プラスミドの構築 pSAL、pSAL-Gln224およびpSAL−Tyr227プラスミドによっ て担持される、BoNT/A野生型および変異型L鎖ポリヌクレオチドは、Ba mH IおよびSal Iで消化して切除し、プラスミドpCAL、pCAL-G ln224およびpCAL-Tyr227を生成するために、pMAL-c2発現ベクタ ー(New England BioLabs)のBam IおよびSal I部位 の間に結合した。pCALプラスミドを図5に示す。pCAL、pCAL-Gl n224およびpCAL-Tyr227プラスミドは、上記で明らかなように、1コド ンの変異を除いては同一である。pMAL-c2ベクターは、IPTG-誘導Pta c プロモーターの転写調節下でマルトースバインディングタンパク質(MBP) をコードするMalE遺伝子を保有する。 このプラスミド内の多重クローニング部位(MCS)によって、MalEをコ ードしている配列の3’末端で、L鎖をコードしている配列のサブクローニング をすることができる。重要なのは、ファクターXaプロテアーゼ開裂配列が融合 タンパク質のMalEとL鎖配列との間に存在することである。発現プラスミド を 保有する形質転換E.coli TG1は通常の方法により分離した。 pCAL、pCAL-Gln224およびpCAL-Tyr227ラスミドの構造は、 制限酵素消化およびアガロースゲル電気泳動により確かめた。DNA配列分析に より、これらのプラスミド中に存在する挿入片(inserts)は、基準(authentic )L鎖遺伝子の翻訳リーディングフレイムについて正しい方向にあることが確認 された。また配列分析により、予想どおり、L鎖遺伝子の5’末端は、MCSと ファクターXaの開裂部位に7つのアミノ酸をコードする短い配列を介して融合 されたことが確認された。さらに、DNA配列決定の結果は、L鎖配列と連結さ れたMalE配列は同じ翻訳リーディングフレームにあることを示した。組換え L鎖をコードしている発現プラスミドを保有するバクテリアのクローンを利用す ることで、野生型および変異BoNT/A-L鎖タンパク質双方の有用量を生成 することが可能となった。野生型および変異L鎖融合タンパク質の生成および精 製には同様の手法が採られた。 以下に続く実施例では野生型およびTry227変異融合タンパク質を用いる手 法を説明するが、同一の方法をGln224変異を有する融合タンパク質の生成に も適用することができた。 実施例14では、pCALおよびpCAL-Tyr227プラスミドを保有するバ クテリア内での野生型および変異L鎖の発現を確かめるために用いる方法につい て説明する。 実施例14 BoNT/A-L鎖融合プロテインの発現 pCALまたはpCAL-Tyr227のいずれかを保有するバクテリアのコロニ ーを充分に分離して、100μg/ml アンピシリンと2%(w/v)グルコ ースとを含むL-ブロースに接種し、30℃で1晩振盪培養した。1晩培養した 培養物を、100μg/mlのアンピシリンを含む新鮮なL-ブロースで1:1 0に希釈し、2時間インキュベートした。最終濃度が0.1mMとなるようにI PTGを添加することにより、融合タンパク質発現を誘導した。さらに30℃で 4時間インキュベートした後、6000×gで10分間遠心分離を行うことによ りバク テリアを収集した。スモールスケールSDS-PAGE分析により、IPTG-誘 導バクテリア由来の試料中に90kDaのタンパク質が存在することが確認され た。このMrは、MBP(〜40kDa)およびBoNT/A-L鎖(〜50kD a)という成分を有する融合タンパク質の予期されたサイズに一致した。さらに 、コントロール培養物と比較したところ、IPTG-誘導クローンは融合タンパ ク質をより多量に含んでいた。 またIPTG-誘導バクテリアの抽出物中に所望の融合タンパク質が存在する ことは、また、Cenci di BelloらがEur.J.Biochem. 219:161(1993)に示したポリクローナル抗-L鎖プローブを用いる ウエスタンブロッティングにより確認した。PVDF膜(Pharmacia; Milton Ke ynes,UK)上の反応バンドは、ホースラディッシュペルオキシダーゼに結合した 抗-ウサギ免疫グロブリン(Bio-Rad;Hemel Hempstead,UK)とECL検知システ ム(Amersham,UK)を用いて視覚化した。ウエスタンブロッティングの結果、フ ルサイズの融合タンパク質よりもMrの低いタンパク質に対応するいくつかのか すかなバンドと共に優勢融合タンパク質の存在が確認された。この観察により、 バクテリア中でまたは分離過程中に融合タンパク質の限定分解が生じたことを示 唆された。分離過程中に1mMまたは10mMのベンズアミジン(Sigma;Poole, UK)を用いても、このタンパク質分解は避けられなかった。 上記過程により分離したインタクト融合タンパク質の収率は、ここで説明した すべての過程で適切に保たれた。染色SDS-PAGEゲルによる見積もりでは 、IPTGを用いて誘導したバクテリアクローンから、培養物のリッターあたり 5−10mgのMBP-野生型または変異L鎖融合タンパク質が得られた。ここ に示したBoTN/A-L鎖融合タンパク質の生成方法は、限定タンパク質分解 が生じるとはいえ極めて効果的である。pCALおよびpCAL-Tyr227発現 プラスミドによりコードされたMBT-L鎖融合タンパク質は、アミロースアフ ィニティークロマトグラフィーによりバクテリアから精製された。組換え野生型 または変異L鎖は、ファクターXaを用いた部位特異開裂により融合タンパク質 の糖バインディングドメインから分離した。この開裂過程により、フリーMBP 、フリーL鎖および少量の開裂してない融合タンパク質が得られる。このような 混合物中に 得られたL鎖が所望の作用を有することが明らかとなったが、我々はさらに精製 を行った。すなわち、開裂した生成物の混合物をMBTと開裂してない融合タン パク質の両方を結合する2回目のアミロースアフィニティーカラムを行った。フ リーL鎖は、アフィニティーカラムにはとどまらず、以下に説明する実験に用い るために分離された。 実施例15では、バクテリアのクローンから、野生型およびTyr227変異組 換えBoNT軽鎖を生成および精製するために用いられる方法を説明する。 実施例15 融合タンパク質の精製および組換えBoNT/A−L鎖の単離 野生型または変異BoNT/A-L鎖タンパク質のいずれかを発現しているバ クテリアの培養物1リッターからのペレットを、1mMフェニルメタンスルホニ ルフルオライド(PMSF)を含むカラム緩衝液[10mMトリス-HCl(p H8.0)、200mM NaCl、1mM EGTA、1mM DTT]に再懸 濁し、超音波処理により溶菌させた。溶菌液は、15000×g、4℃で15分 間遠心分離して清澄化した。上澄みをアミロースアフィニティーカラム[2×1 0cm、30ml樹脂](New England BioLabs;Hitchin、UK)にかけた。結合し なかったタンパク質を、280nmの吸光度の安定により判断して、タンパク質 が溶出しなくなるまでカラム緩衝液で樹脂を洗浄した。その後、結合したMBP -L鎖融合タンパク質を10mMマルトースを含むカラム緩衝液で溶離した。融 合タンパク質を含む画分をプールし、150mM NaCl、2mM CaCl2 および1mM DTTを配合した20mMトリス-HCl(pH8.0)に対して 、4℃で72時間透析した。 融合プロテインを、150mM NaCl、2mM CaCl2および1mM D TTを配合した20mMトリス-HCl(pH8.0)緩衝液に対して透析する と同時に、ファクターXa(Promega;Southampton、UK)を用い、酵素:基質割合 を1:100として切断した。透析は、4℃で24時間行った。切断により得ら れたMBPと、野生型または変異L鎖のいずれかとの混合物をカラム緩衝液で平 衡化した10mlアミロースカラムにかけた。L鎖が含まれている試料を特定す るた め、SDS-PAGE分析用に素通り画分のアリコートを調製した。素通り画分 の残りは−20℃で保存した。E.coliの総抽出物または精製タンパク質を SDS中で可溶化し、通常の方法に従ってPAGEにかけた。この結果、組換え 毒素断片が試料のタンパク質含量のおよそ90%をしめることが示された。上記 結果は、ここで説明したMBP-L鎖融合プロテインを作成するアプローチは、 野生型および変異組換えBoNT/A-L鎖を生成するのに効果的なものとなり 得ることを示した。さらに、これらの結果は、組換えL鎖は、マルトースバイン ディングドメインから分離しその後精製することができることを証明した。これ らの結果は組換えL鎖のある構造的特性を直接的に扱ったものであるが、これら のタンパク質の機能的特性について定めることが残った。したがって、我々は、 野生型および変異組換えL鎖の酵素活性を調べることを行った。組換えL鎖生成 物とそれに対応する天然のものの酵素活性を比較するために、感受性抗体ベース アッセイ(sensitive antibody-based assay)を開発した。アッセイでは、Bo NT/A開裂部位に対応するインタクトなSNAP-25のC-末端部に特異性を 有する抗体を用いた。SNAP-25のBoNT/A開裂の反応生成物のウエス タンブロッティングにより、抗体がSNAP-25サブフラグメントに結合する ことができないことが明らかとなった。このように、以下の実施例で用いた抗体 試薬は、インタクトSNAP-25のみを探知した。加えたBoNT/A軽鎖ま たはその組換え体によるSNAP-25タンパク質分解のインディケーターとし て抗体結合の喪失は役立った。 実施例16では、天然および組換えBoNT/A-L鎖がともにSNAP-25 基質をタンパク質分解するが、Tyr227変異L鎖はしないことを明らかにする ために用いる方法について説明する。なお、この実施例ではTyr227変異L鎖 を用いたが、Glu224変異L鎖もSNAP-25開裂アッセイにおいて同じ結果 を与えた。 実施例16 SNAP-25基質に対する組換えL鎖タンパク質分解の評価 野生型および変異BoNT/A-L鎖、ならびにそれらの組換え類似体の能力 を 比較するために、SNAP-25基質を開裂させる定量アッセイを行った。この アッセイのために用いられた基質は、pGEX-2Tベクターを用いて発現させ 、グルタチオンアガロースのアフィニティークロマトグラフィーで精製して、ト ロンビンで開裂する部位を含むグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST) -SNAP-25融合タンパク質を調製して得た。トロンビンを用い、150mM NaClおよび2.5mM CaCl2を含む50mMトリス-HCl(pH7. 5)(Smith et al.,Gene67:31(1988))中で、酵素 :基質割合を1:100として、SNAP-25を融合タンパク質から切断した 。切断されなかった融合タンパク質と開裂したグルタチオン-インディングドメ インは、ゲルに結合させた。組換えSNAPタンパク質は同緩衝液を用いて溶離 し、100mMヘペス(pH7.5)に対して、4℃で24時間透析した。総タ ンパク質濃度は一般的な方法で測定した。 SNAP-25のC-末端部に対して特異性のあるウサギポリクローナル抗体を 、アミノ酸配列、CANQRATKMLGSG(配列番号11)を有する合成ペ プチドに対して生じさせた。このペプチドは、シナプス原形質膜タンパク質の1 95から206残基および天然SNAP-25には見られないN-末端システイン 残基に対応するものである。抗原性を改良するために、マレイミドベンゾイル- N-ヒドロキシスクシニミドエステル(MBS)をクロス-リンクキング試薬(Si gma;Poole、UK)として、合成ペプチドをウシ血清アルブミン(BSA)(Sigma; Poole、UK)結合させた(Liu et al.,Biochemistry18:690(1979))。クロス-リン カーとしてエチル-3-(3-ジメチルプロピル)カルボジイミドを用いてヨード 酢酸で活性化されたアミノアルキルアガロース樹脂にN-末端システイン残基を 介して結合された抗原ペプチドを有するカラム(Bio-Rad;Hemel Hempstead、UK) を用いて抗-ペプチド抗体のアフィニティー精製を行った。25mMトリス-HC l(pH7.4)および150mM NaClを含む緩衝液でカラムを連続洗浄 した後、ペプチド-特異性抗体を、100mMグリシン(pH2.5)および2 00mM NaClの溶液を用いて溶離し、0.2mlの1Mトリス-HCl(p H8.0)中和緩衝液の入ったチューブに収集した。 すべての野生型または変異型L鎖を含む組換え調製物を、酵素活性を測定する 前に、0.02%ルブロールと10μM 酢酸亜鉛を含む100mM HEPES (pH7.5)、4℃で1晩透析した。前もって、これらの透析された試料だけ ではなく、20mM DTTを用いて37℃、30分間還元したBoNT/Aを 、1mMのDTTを加えた同ヘペス緩衝液で異なる濃度に希釈した。 5μlの組換えSNAP-25基質(最終濃度8.5μM)を含む反応混合物 には、および20μl還元BoNT、組換え野生型L鎖またはTyr227変異L 鎖のいずれかが含まれた。すべての試料を、2%トリフルオロ酢酸(TFA)と 5mM EDTAの水溶液25μlで反応を停止させる(Foran et al.,Biochemi stry33:15365(1994))前に、37℃で1時間インキュベートした。それぞれのサ ンプルのアリコートを、SDS-PAGE試料緩衝液を加えて煮沸することによ り、SDS-PAGEおよびポリクローナルSNAP-25抗体を用いたウエスタ ンブロッティング用に調製した。抗SNAP-25抗体の反応性は、ECL検出 システムでモニターし、デンシトメトリックスキャンニングによって定量した。 図6に示されるように、ウエスタンブロッティングの結果、精製した変異L鎖 と、天然または組換え野生型BoNT/A-L鎖のいずれかとではタンパク質分 解活性に明かな違いが示された。組換え野生型L鎖は、反応中正の対照として供 される還元BoNT/A天然L鎖より効果がやや低いが、明らかにSNAP-基 質を開裂した。対照的に、Tyr227変異体は検定において実質的にタンパク質 分解活性を示さなかった。このようにして、BoNT/A-L鎖の酵素活性形態 は組換え手段により生成、分離された。さらに、L鎖タンパク質中のアミノ酸の ひとつを置換すると、シナプス末端タンパク質を分解する組換えタンパク質の能 力が失われた。後に示すが、我々はクロストリジウム属細菌神経毒素内のアミノ 酸の位置を1つ以上変異させて、同じ効果を得られることも発見した。野生型組 換えBoNT/A-L鎖の生物活性の予備的な試験として、ジギトニン-透過性ウ シアドレノクロマフィン(adrenochromaffin)細胞からのCa2+-励起(evoked )カテコールアミン放出を低減するMBL-L鎖融合タンパク質の能力を試験し た。インタクトまたはフリーMBPおよび組換えL鎖を含む混合物を生成するた めにファクターXaで開裂した野生型組換えL鎖融合タンパク質は、天然BoN T/Aによる抑制と同等のCa2+-刺激放出の用量依存性抑制を誘発し、矛盾は なかった。 実施例17では、クロマフィン細胞(chromaffin cell)からのカテコールア ミン放出を抑制するBoNT/A融合タンパク質の能力を検定するために用いる 方法を説明する。 実施例17 透過性クロマフィン細胞からのカテコールアミン放出を抑制する 組換えL鎖融合タンパク質の能力の検定 クロマフィン細胞を、LivettがPhysiol.Rev.64:110 3(1984)で示した方法を用いてプロテアーゼ灌流(protease perfusion) によりウシの副腎から調製した。細胞を、10%ウシ胎児血清、8μMフルオロ ドキシウリン、50μg/mlゲンタマイシン、10μMシトシンアラビノフラ ノシド、2.5μg/mlファンジゾーン(fungizone)、25国際単位/ml ペニシリン、25μg/mlストレプトマイシンおよび2mMグルタミンを加え たダルベッコ修正イーグル培地の入った24-ウエルプレートに、1×106細胞 /ウエルとなるようにプレートした。試験は、プレート後3−8日間行った。C a2+励起カテコールアミン放出を蛍光光度法により測定した。図7に示すように この予備試験の結果は、組換え野生型BoNT/A-L鎖融合タンパク質と野生 型組換えL鎖のファクターXa開裂生成物を含む混合物の双方が、都合のよいこ とにこれらの天然BoNT/A毒素に似た生物学的特性を示した。そこで、組換 えL鎖に上記のようなこれらの特性が欠けているかどうかを調べることに関心が 生じた。 一点の変異が組換えL鎖のタンパク質分解活性を喪失させることから、我々は 、不活性なBoNT/A天然毒素を作成する手段として、変異L鎖を合体した二 本鎖分子の再構成をさらに進めた。親融合タンパク質の糖バインディングドメイ ンが欠落している、精製組換え野生型およびTyr227変異L鎖を、BoNT/ Aから分離した天然H鎖と再構成した。約150kDaのジスルフィド-連結2 本鎖の形成は、非還元条件下のSDS-PAGEにより確認された。定量分析に より、組換えL鎖は天然H鎖タンパク質と再会合し、天然L鎖タンパク質よりは 低い効率で2本鎖毒素を形成したことが明かとなった。この違いは、組換えタン パク質と天然タンパク質の折り畳み構造の違いを表していると考えられる。 実施例18では、HおよびL鎖を有する2本鎖毒素を再会合するために用いら れる方法を示す。天然、組換え野生型または変異BoNT/A-L鎖のいずれか を合体させた2本鎖は、この方法手順で再会合される。実施例ではTyr227を 用いているが、当業者であれば同じ手順で他の変異L鎖を天然H鎖に会合するこ とができるであろう。 実施例18 天然L鎖、組換え野生型またはTyr227変異L鎖と、 精製H鎖との再構成 BoNT/A(List Biological Inc.;Campbell,USA)から天然H鎖とL鎖と を、2M尿素を用いて分離し、100mM DTTで還元し確立したクロマトグ ラフの手法(Kozaki et al.,Japan J.Med.Sci.Biol.34:61(1981); Maisey et al .,Eur.J.Biochem.177:683(1988))に従って精製した。精製したH鎖を、等モル 量の天然L鎖、組換え野生型L鎖またはTyr227変異L鎖のうちのいずれかと 結合した。再構成は、試料を25mMトリス(pH8.0)、50μM酢酸亜鉛 および150mM NaClからなる緩衝液に対して、4℃で4日間透析して行 った。透析に続き、ジスルフィド結合した150kDa2本鎖を形成した組換え L鎖と天然H鎖の結合をSDS-PAGEで検出し、デンシトメトリックスキャ ンにより定量した。組換えL鎖を用いて形成された2本鎖の割合は、天然L鎖を を用いて得られた場合よりも低かった。実際のところ、組換え野生型または変異 L鎖は約30%が再構成されたのに対して、90%以上の天然L鎖がH鎖と再会 合した。このように再構成の効率は低いが、組換えL鎖を合体させた物質は、以 下の機能的な研究用に容易に生成された。 変異L鎖を保有する二本鎖分子は、インビトロで生理学的に検定すると、天然 または野生型組換えL鎖のいずれかを有する再会合2本鎖と比べて新規な特性を 有していた。透析に続いて、本実施例で示した再構成物質を、マウスの半横隔膜 の横隔神経(phrenic nerve-hemidiaphragms)を浸した培地に投与した。いかに 示すとおり、天然または野生型組換えL鎖のいずれかを用いて再構成した2本鎖 は、この検定において効果的に神経筋伝達をブロックした。対照的に、変異L鎖 を用いて再構成された2本鎖分子は、全く不活性であった。 実施例19では、組換えL鎖を合体させた再構成2本鎖毒素の変更された機能 的特性を明らかにするために用いる方法について説明する。 実施例19 再構成毒素の神経筋伝達における効果の評価 マウスの半横隔膜の横隔神経(phrenic nerve-hemidiaphragms)をBalb/ Cマウス(20−25g)から切除し、NaCl、118.0;KCl,4.7 ;MgSO4、1.2;CaCl2、2.5;NaHCO3、23.8;KH2PO4 、1.2;グルコース、11.7、pH7.4(de Pavia et al,Biol.Chem.2 68:20838(1993))(mM)からなる10mlのエアレーションしたクレブス-リ ンガー溶液の入った閉鎖型循環式スーパーフュージョンシステム(superfusion system)中に浸した。横隔神経の最大上刺激(supramaximal simulation)によ って単収縮が誘発され、フォース-ディスプレイスメント変換器(force-displac ement transducer)(Simpson J.Pharmacol.Exp.Ther.212:16(1980))を用いて 測定した。図8に示した結果は、野生型組換えL鎖を用いて再構成した2本鎖毒 素は、天然L鎖を用いて再構成した2本鎖とほぼ同様に神経筋伝達をブロックす ることを示した。これらの再構成タンパク質による伝達の遮断は、BoNT/A の毒に侵されたシナプスの神経誘発筋緊張を一時的に回復させる電圧ゲートK+ チャンネルの遮断物である4-アミノピリジン(Simpson J.Pharmacol.Exp.Ther. 245:867(1988))0.3mMを投与すると消える。この知見は、組換えL鎖を含 むサンプルによる阻害が、伝達物質放出のシナプス前の遮断によって生じること を明らかにした。すなわち、このアッセイでは、野生型組換えL鎖を含む2本鎖 毒素はBoNT/Aの活性を擬態した。 これに対してTyr227変異L鎖を合体させた2本鎖物質は、たとえ高濃度で 試験しても、神経誘発性単収縮(nerve-evoked muscle twitch)に何ら影響を及 ぼさなかった。変異L鎖を含む2本鎖分子を特徴づける、この活性の欠落は、上 記SNAP-25開裂アッセイの結果と全く一致するものであった。重要なのは 、半横隔膜-神経アッセイで得られた結果は、毒素の活性部位での、臨床的な関 連モデ ルについての活性の喪失に拡大解釈できることである。 組換えL鎖を合体させた2本鎖分子の特性についてさらに明らかにするために 、これらの薬がマウスにボツリヌス中毒症状を引き起こす能力を試す実験を行っ た。 実施例20では、変異L鎖ではなく、天然または野生型組換えL鎖が合体した 組換え2本鎖が、インビトロで神経毒素活性を有することを証明するための方法 について説明する。 実施例20 再構成毒素のマウス致死量検定および その神経伝達に対する効果 再構成2本鎖がボツリヌス中毒を引き起こす能力を以下のように実験用マウス の腹腔に注射して評価した。結果は、4日以内での致死量をmgタンパク質(L D50/mg)で表した(Maisey et al.,Eur.J.Biochem.177:683(1988))。野生 型組換えL鎖を含む2本鎖物質の毒性(6×107 LD50/mg)は、天然L鎖 を用いて再構成した2本鎖の毒性(7×107 LD50/mg)と同等であった。 Tyr227変異体を用いて再構成した2本鎖を注射したマウスには、4日以内で はボツリヌス中毒の症状が表れなかった。すなわち、ここに明らかにしたすべて のインビトロおよびインビボの検定では、Tyr227変異L鎖が活性を失ってい るのに対して、E.coliで発現させた組換え野生型L鎖は、対応する天然物 の能力と同等であることになる。 ここに明らかにした方法に従って調製された組換えBoNT/A-L鎖の一般 的な利用性を説明するため、我々はタンパク質分解活性を欠落した変異融合タン パク質の2つ目のセットを作成した。より具体的には、我々は、Glu224をG lnにする変異誘発が野生型BoNT/A-L鎖に伴う酵素活性を取り除くこと を実証した。さらに、この実証においてGST融合タンパク質を用いることによ って、我々は、組換えBoNT/A-L鎖を生成する我々のアプローチの普遍性 を確認した。 実施例21では、GSTタンパク質とのGln224変異BoNT/A-L鎖融合 体をコードするポリヌクレオチドを構築するために用いる方法について説明する 。 実施例21 GSTとのBoNT/A-L鎖融合体の調製と発現 BoNT/A野生型、Gln224変異およびTyr227変異L鎖をコードするポ リヌクレオチドを実施例11および実施例12で説明したそのとおりに調製した 。増幅生成物はStu IとEcoR Iで消化し、アガロースゲル電気泳動で精 製し、プラスミドpTAL-野生型(GST)、pTAL-Gln224(GST) およびpTAL-Tyr227(GST)を生成するためにpGEX-2T発現ベク ター(Pharmacia)のSma IおよびEcoR I部位の間に結合した。プラス ミドを保有するE.coli XL-Blue形質転換体を一般的な方法によって 分離した。 発現構築物を含むE.coliの培養物は、実施例14で説明したそのとおり にしてコードされた融合タンパク質を発現するように誘導した。細胞を溶菌した 後、当業者がよく用いる方法にしたがって、GST融合タンパク質をグルタチオ ンアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。その後、インビトロアッ セイでGST融合タンパク質のタンパク質分解活性を試験した。 実施例22では、変異BoNT/A-L鎖GST融合タンパク質のタンパク質 分解活性を検定するのに用いる方法について説明する。 実施例22 BoNT/A-L鎖GST融合タンパク質の特徴 分離したGST変異L鎖融合タンパク質のSNAP-25基質に対するタンパ ク質分解活性を検定した。精製したL鎖融合タンパク質および組換えGST-S NAP-25基質を50mMトリス-HCl(pH8.0)中2時間または1晩2 2℃でインキュベートし、生成物をSDS-PAGEにより分析した。分析結果 によれば、変異体はSNAP-25類似体に対して検知できるタンパク質分解活 性を発揮しないことが示された。対照的に、野生型組換えL鎖融合タンパク質は 基質をタンパク質分解した。すなわち、GST変異BoNT/A-L鎖融合タン パク質は、MBP変異体融合タンパク質のように酵素的に不活性であった。さら に、野生型 BoNT/A-L鎖配列を有するGST融合タンパク質は、SNAP-25基質に 対して酵素的に活性であった。これらの結果は、BoNT/A-L鎖の保存され たHExxHモチーフを形成しているアミノ酸の重要性を確認するものであり、 またMBP融合タンパク質以外の融合タンパク質を、本発明を実施するのに用い られる組換えタンパク質を生成するために用いることができることを実証するも のであった。GST融合タンパク質として形成されようがMBP融合タンパク質 として形成されようが、組換え変異BoNT/A-L鎖は、天然毒素あるいは組 換え野生型L鎖と合体した再構成2本鎖を特徴づける活性が欠けていた。 前記実施例では、いかにしてクロストリジウム属細菌神経毒素L鎖が組換え体 において活性化または弱毒化された分子として発現するように設定され得るかを 説明した。これらのL鎖は天然H鎖と再構成され、神経筋伝達のレベルで生物活 性を有した、あるいは喪失した2本鎖分子が生成される。 以下の実施例では、連結分子を生体内で運搬するための媒介手段として、2本 鎖輸送体分子を用いることができる確かな証拠を提供する。 ハイブリッド”3重鎖”分子はこの例示をするために用いられた。より具体的 には、Gln224/Tyr227の二重変異により不活性化されたBoNT/A-L 鎖を、TeTx-L鎖の活性部分に融合した。得られた組換えタンパク質は天然 BoNT/A-H鎖と再構成して、”3重鎖”が生成された。3重鎖複合体は標 的神経に結合し、侵入する。2重変異BoNT/A-L鎖は酵素活性に欠けるの で、3重鎖に関連する神経毒性は、必然的に活性TeTx成分の存在に帰するこ ととなる。以下の実施例で提供される結果から、輸送体が標的細胞にインターナ リゼーションされ、連結された分子を細胞質ゾルに運ぶことができ、また輸送さ れたタンパク質は細胞内で活性があったことを確認した。以下に示す生化学的な 試験では、BoNT/A-L鎖に関連するいかなる神経毒素活性も排した。 実施例23では、不活性なクロストリジウム属細菌神経毒素L鎖を含む輸送体 が、末梢コリン作動性神経末端にインターナリゼーションされ得ることを証明す るために用いる方法について説明する。さらに、以下に示された結果は、このよ うな輸送体が、細胞内で生物活性を維持したまま、連結された分子を標的神経細 胞の細胞質ゾルに運ぶ能力を有していることを示した。 実施例23生化学物質運搬用の媒介手段としてのクロストリジウム属細菌神経毒素輸送体 3重鎖のL鎖成分は図9に示される機構にしたがって生成した。2重変異(G lu224をGln224およびHis227をTyr227)をPCR変異誘発によってB oNT/A-L鎖に導入した。プライマーおよび2重変異を生じさせるために用 いた方法は、Gln224変異体を鋳型として用いた以外は、Tyr227変異を生成 するための方法と同じである。2重変異(dm)L鎖は、pSALdmを形成す るために、まずpBluescript SK+IIにクローン化し、その後pC ALdmを得るためにpMAL-c2にクローン化した。マルトースバインディ ングドメインおよび2重変異を持つBoNT/A-L鎖ドメインを有する融合タ ンパク質(MBP-BoNT/A dm)を発現させるためにpCALdm構築物 を用いた。pCALdm構築物は図9中では”1”として標識してある。TeT x-L鎖は、配列、5’-ATTTCACCAATAACCATAAATAATT TTAG-3’(配列番号12)を有するプライマーおよび5’-CGGGATC CTTCTGTATCATTGTAAAT-3’(配列番号13)を有するプラ イマーと共に、クローン化した野生型遺伝子配列を保有するポリヌクレオチドを 鋳型として用いて、PCRプロトコールにより端を切断した。増幅生成物は、N -末端に加えられた2つのアミノ酸をコードし、Gly399で切断された。通常、 天然TeTxではH鎖にジスルフィド結合するところに対応するCys439を含 む、最後の58残基が切除された。BamH Iで開裂した後、得られたDNA 断片を、pCTL399を生成するためにXmn IとBamH Iで消化したp MAL-c2にクローン化した。MBA-切断TeTx-L鎖-BoNT/A-L鎖 dm遺伝子融合体、pCTLALdm、は、切り出したBoNT/A-L鎖dm 遺伝子を、BamHI- とSalI-とで消化したpCTL399に結合させて 作成した。図9で”2”として標識したpCTLALdm構築物は、E.col i中でMBP-TeTx切断L鎖-BoNT/A-L鎖dm融合タンパク質を発現 させるために用いた。 pCALdm構築物にコードされた、精製したMBP-BoNT/AdmのL 鎖融合タンパク質は、実施例16の方法にしたがって検定を行ったところ、組換 え SNAP-25基質を開裂できなかった。すなわち、予想通り、BoNT/A-L 鎖2重変異融合タンパク質は酵素活性が欠落していた。ファクターXaで融合タ ンパク質を開裂した後、2本鎖分子を形成するために、精製BoNT/A-L鎖 2重変異体を天然BoNT/A-H鎖と再構成した。実施例19の方法により試 験したところ、これらの2本鎖は、マウス半横隔膜で神経筋伝達をブロックする ことができなかった。すなわち、これも予想通り、2重変異BoNT/A-L鎖 が合体した2本鎖は、このインビトロアッセイにおいて生物活性を欠いていた。 結局、実施例20の方法にしたがってマウスに注射しても、2重変異BoNT/ A-L鎖が合体した再構成2本鎖は、毒性はなかった。2重変異BoNT/A-L 鎖が合体した2本鎖を、天然BoNT/AのLD50投与量の200倍以上の量で 注射しても毒性はなかった。 これらの結果は、Gln224/Tyr2272重変異により、天然BoNT/A分 子に関連するあらゆる毒性が除去されることを明らかにした。したがって、L鎖 二重変異体が合体した輸送体に関連するいかなる毒素活性も、輸送体そのものに は毒素活性がないのであるから、不活性なBoNT/A-L鎖に連結した分子に 起因するはずである。したがって、2重変異BoNT/A-L鎖が合体した組換 え2本鎖が、理想的なコリン作用性の輸送体として提供される。 pCTLALdmにコードされ、精製されたTeTx切断L鎖-BoNT/A- L鎖dm融合タンパク質は、BoNT/AではなくTeTxの特性を有していた 。より具体的には、pCTLALdmにコードされた融合タンパク質は、濃度に 依存して、神経膜からシナプトブレビンを開裂する能力を示した。この活性はB oNT/AL鎖成分によるものではなく、融合体の切断TeTx-L鎖成分によ るエンドプロテアーゼ活性が保持されていることが強調される。想像どおり、p CTLALdmにコードされた融合タンパク質は組換えSNAP-25基質を開 裂する能力が欠如していた。このことは、融合体のBoNT/A-L鎖成分に関 連する酵素活性がうまく除去されていることを確認するものである。pCTLA Ldmにコードされた融合タンパク質をファクターXaで開裂した後、分離した ハイブリッド毒素を天然BoNT/A-H鎖と再構成して、3重鎖を得た。 最も重要なのは、作成された3重鎖が、インビトロおよびインビボ双方でのボ ツリヌス中毒の特徴的症状を示すことである。3重鎖は2nM濃度で、24℃、 161分間、マウス半横隔膜の神経誘発単収縮をブロックし、また107 LD50 /mg以上のマウスにおける毒性を与えた。しかしながら、”3重鎖”の存在量 を正確に測定するのを妨げる再構成試料中のフリーMBP、開裂しなかった融合 タンパク質およびいくらかの天然H鎖の存在により、このタンパク質の効能につ いての正確な量的データを提供することはできなかったことは注意すべきである 。重要なことは、半横隔膜試験で3重鎖で観察されたブロックが、BoNT/A が誘発する神経筋伝達の抑制を消滅させるがTeTxによるものは消失させない 電位ゲートK+チャンネルブロッカーである4−アミノピリジンにより消失しな いということである。さらに、観察された毒性についてのH鎖(あるいは天然B oNT/Aにいくらか混ざっているH鎖)の寄与は、神経筋麻痺活性の欠如がよ り多量のH鎖を再構成に使用し、3重鎖物質についてと同一に扱っても観察され なかったことから排除される。 これらの結果は、輸送体が運動神経末端を標的とし、インターナリゼーション されて、TeTx-L鎖に連結したものを細胞質ゾルに輸送する媒介手段として 作用することができることを明らかにした。さらに、TeTx-L鎖に連結した ものは、コリン作用性神経への運送の後もその生物活性を維持した。このアセチ ルコリンを含む神経単位に医薬を運ぶシステムとして新規な輸送体の利用は明確 に確立された。 上記で説明したL鎖を修飾する手法に加え、実施例8に詳説した方法にしたが って、天然または組換えボツリヌス毒素L鎖タンパク質を化学物質に共有結合さ せることができる。得られた輸送体は、治療有効量の無菌注射剤として投与し得 る。 修飾されたBoNT/A毒素輸送体は、神経臨床的に適用されるであろう。例 えば、BoNT/A-ベース輸送体は、治療的に有用な医薬を末梢運動神経に運 ぶために用いることができる。したがって、この様式でこれらの医薬は限られた 筋群を制御するために有用であろう。治療標的として研究されるであろう疾病と しては、晩発性運動障害(tardive dyskinesia)、痙性結腸炎(spastic coliti s)、本態性振せん(essential tremor)、平滑筋異常(smooth muscle abnorma litie s)、局所性痙直(localized spasticity)、背中または他の筋群に限られた筋 痙攣痛(painful muscle spasms)、一時的下顎障害(temporal madibular diso rder)、痙性発生困難(spasmodic dysphonia)、緊張性頭痛(tension headach es)が挙げられる。 実施例24では、いかにして上記化学的に修飾された不活性BoNT/A毒素 輸送体を、毒素レセプターを発現する神経に化学物質を運ぶ治療薬として用いる ことができるかについて説明する。 実施例24 修飾された毒素の治療適用:晩発性運動障害 トラジン(Thorazine)またはハルド(Haldo)などの抗精神病薬による治療で 晩発性運動障害を患う45歳の男性患者に、当業者が知っている適当な医薬を、 不活性なボツリヌス毒素輸送体に結合させて、治療有効量を顔面筋に直接処置す る。1−3日後、晩発性運動障害すなわち、口顔運動障害(orofacial dyskines ia)、アテトーシス(athetosis)、ジストニー、ヒョレア(chorea)、習性攣 縮(tics)、しかめ面(facial grimacing)などが顕著に低減する。 実施例25ではさらに、いかにして上記化学的に修飾された不活性な毒素を、 毒素レセプターを有する神経単位に化学物質を運ぶ治療用医薬として用いること ができるかについて説明する。 実施例25 修飾された毒素の治療適用:本態性振せん 頭部や手の筋肉のリズミカル振動(rhythmical oscillation)および姿勢や動 きの持続刺激という症状の現れている本態性振せんを患う45歳の男性に、有効 な医薬(出願書類中の前記表を参照)を不活性なボツリヌス毒素輸送体に結合さ せて、治療有効量を症状のでている筋肉に直接注射する。筋肉は筋電図検査(E MG)も使って見極めればよい。1、2週間後には、症状、すなわち患者の頭部 や手の振動は、かなり軽減される。 実施例26ではさらに、いかにして上記化学的に修飾された不活性BoNT/ A毒素輸送体を、毒素レセプターを有する神経に化学物質を運ぶ治療薬として用 いることができるかについて説明する。 実施例26 修飾された毒素の治療適用:平滑筋異常 食道下部狭窄(病名アカラシア Achalasia)を患う30歳の女性には、食物の 経口摂取を妨げる症状が現れている。食道下部狭窄により食物や流動物が蓄積し 、ついには逆流してしまって、患者は適切に栄養を採ることが妨げられる。医薬 (出願書類中の前記表を参照)を不活性なボツリヌス毒素輸送体に結合し、治療 有効量を症状のでている括約筋に直接投与する。普通、内視鏡を用いて、または 手術中に、2から4四分円(quardrants)に注射する。約1−7日中には、逆流 をなくすか抑制して普通に固形物や液体を胃に送り込むことができるようになる 。 実施例27では、さらに、いかにして上記化学的に修飾された不活性BoNT /A毒素輸送体を、毒素レセプターを有する神経単位に化学物質を運ぶ治療薬と して用いることができるかについて説明する。 実施例27 修飾された毒素治療適用:痙性ジストニー(声帯過剰反応) 声帯の痙直によりはっきりとしゃべることができない45歳の男性に、当業者 が知っている適当な医薬を、不活性なボツリヌス毒素輸送体に結合させて、治療 有効量の注射を声帯に施す。1から7日後には、患者ははっきりと話すことがで きる。 実施例27では、本発明の不活性なクロストリジウム属細菌神経毒素のもう一 つの使用法を示す。さらにもう一つの使用法では、不活性な毒素をボツリヌス中 毒または破傷風の治療に用いることができる。このような治療のために、不活性 なクロストリジウム属細菌神経毒素を、カプトプリルや他の亜鉛プロテアーゼ阻 害剤のようなボツリヌス中毒または破傷風に対する治療活性成分に結合する。ボ ツリヌス中毒または破傷風にかかった患者は、筋肉内注射のように治療有効量を 投与して治療することができる。個々の輸送体/医薬結合体の適切な治療有効量 は、当業者が容易に知り得る技術を用い経験的に決定することができる。 また、不活性な毒素のみでも、ボツリヌス中毒毒素の症状を示す者に即効性解 毒剤として用いることができる。この目的のために好ましくは、投与は少なくと も1mgの不活性毒素を注射して行うとよい。高レベルの毒素に侵されている者 には、より多く投与する必要があるかもしれない。この目的のためには、他の医 薬を結合させることなく、不活性毒素だけで用いることもできる。この輸送体を 用いれば、ボツリヌス毒素抗血清の投与のような従来技術よりもボツリヌス毒素 の被毒に対してより効果的であると考えられる。 すなわち、我々は、有用な量のL鎖タンパク質を生成するため組換えDNA技 術を用い、TeTxおよびBoNT/A毒素の作用についてさらなる識見を得た 。PCRベースプロトコールを利用して、L鎖をコードする遺伝子を増幅し、そ の後発現ベクターににクローン化し、E.coli内で高レベルに発現させた。 細胞質ゾル画分からアミロースアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製 した後、野生型配列を発現した融合タンパク質が、BoNT/Aに対する基質の 組換え体で、シナプトソームに関するMr 25kDaのタンパク質(SNAP− 25)をタンパク質分解することが見いだされた。さらに、マルトースバインデ ィングタンパク質から一旦酵素的に開裂されると、組換えL鎖タンパク質は、天 然タンパク質の特性と同じような特性を示すことが明かとなった。また、発現さ れたL鎖を精製天然H鎖と再構成して、神経誘発神経筋伝達をインビトロで阻害 しマウスにボツリヌス中毒症状を生じさせる、ジスルフィド結合2本鎖タンパク 質を形成した。最も重要なのは、我々は、L鎖タンパク質の配列中のひとつのア ミノ酸を置換することで、野生型タンパク質に通常伴うタンパク質分解活性が阻 害されることを見いだしたことである。これにより、タンパク質分解が不活性な L鎖を合体させて2本鎖毒素を弱毒化した形態とすることが可能となる。 また我々は、弱毒化した毒素をバクテリア内で生成できるようにするために、 適当な部位特異的変異を導入したひとつの遺伝子を、それぞれの神経毒素用に生 成することができることを予期している。このアプローチは、構成成分から2本 鎖を再構成する必要をなくすのに有効であろう。得られた弱毒化された毒素は、 共有結合された化学物質を毒素レセプターを有する神経細胞に運ぶための有利な 輸送体として提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG), AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TT, UA,UG,US,UZ,VN (72)発明者 ウィラー,ラリー,アレン アメリカ合衆国,92715 カリフォルニア, アーバイン,バリー ビュー 18番地 (72)発明者 ガースト,マイケル,エルウッド アメリカ合衆国,92622 カリフォルニア, ニューポート ビーチ,ビスタ ホーガー 2433番地

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.神経細胞に関連する障害を治療するための化学物質結合体であって、標的神 経細胞に対して特異性を有する不活性なクロストリジウム属細菌神経毒素と前記 神経毒素に結合した医薬または他の生物活性分子とを含み、前記神経毒素が前記 標的神経細胞に侵入する能力を維持している化学物質結合体。 2.前記クロストリジウム属細菌神経毒素がテタヌストキシン、ボツリヌス毒素 A、ボツリヌス毒素B、ボツリヌス毒素C、ボツリヌス毒素D、ボツリヌス毒素 E、ボツリヌス毒素Fおよびボツリヌス毒素Gからなる群より選ばれる請求項1 に記載の化学物質結合体。 3.前記クロストリジウム属細菌神経毒素が、その軽鎖中のアミノ酸の変更によ り不活性化されている請求項1に記載の化学物質結合体。 4.前記不活性化されたクロストリジウム属細菌神経毒素が、Glu234の修飾 を有するテタヌストキシン、His227および/またはGlu224に修飾を有する ボツリヌス毒素A、またはボツリヌス毒素AのHis227および/またはGlu2 24 に対応する部位に修飾を有するボツリヌス毒素A以外のボツリヌス毒素である 請求項3に記載の化学物質結合体。 5.哺乳類の神経筋機能障害の治療に用いられる請求項1〜4のいずれかに記載 の化学物質結合体。 6.制御不能な筋痙攣に関連する神経筋障害の治療に用いられる請求項5に記載 の化学物質結合体。 7.哺乳類での神経筋機能障害の治療用の薬剤の調製における請求項1〜4のい ずれかに記載の化学物質結合体の使用。 8.前記神経筋機能障害が、制御不能な筋痙攣に関連する請求項7に記載の使用 。 9.前記医薬が、ボツリヌス中毒または破傷風の治療用の有効成分である請求項 1〜4のいずれかに記載の化学物質結合体。 10.ボツリヌス中毒または破傷風の治療に用いられる請求項9の化学物質結合 体。 11.哺乳類でのボツリヌス中毒または破傷風の治療用の薬剤の調製における請 求項9に記載の化学物質結合体の使用。 12.急性のボツリヌス毒素中毒の治療用の薬剤の調製における不活性クロスト リジウム属細菌神経毒素の使用。 13.前記クロストリジウム属細菌神経毒素が、他の医薬と複合せずに用いられ る請求項12に記載の使用。 14.限局性ジストニー、ストローク若しくは外傷性脳損傷若しくは脊椎の損傷 による痙直、眼瞼痙攣、斜視、脳性小児麻痺または筋痙攣による背痛の治療用薬 剤の調製における、活性クロストリジウム属細菌神経毒素と医薬とを含む化学物 質結合体の使用。 15.哺乳類の神経筋機能障害の治療方法であって、医薬が結合されたクロスト リジウム属細菌神経毒素を含む医薬的に活性のある溶液を調製し、有効量の前記 薬学的に活性のある溶液を哺乳類に導入することを特徴とする方法。 16.前記クロストリジウム属細菌神経毒素が、テタヌストキシン、ボツリヌス 毒素A、ボツリヌス毒素B、ボツリヌス毒素C、ボツリヌス毒素D、ボツリヌス 毒素E、ボツリヌス毒素Fおよびボツリヌス毒素Gからなる群より選ばれる請求 項15に記載の方法。 17.前記クロストリジウム属細菌神経毒素が、その軽鎖中のアミノ酸の変更に より不活性化されている請求項15に記載の方法。 18.前記医薬が、神経伝達物質の放出を抑制する請求項15に記載の方法。 19.前記医薬が、シナプトブレビン(synaptobrevin)の活性を抑制する請求 項18に記載の方法。 20.前記神経筋機能障害が、制御不能な筋痙攣に関連する請求項15に記載の 方法。
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